JP2000088019A - 摩擦材及びその製造方法 - Google Patents
摩擦材及びその製造方法Info
- Publication number
- JP2000088019A JP2000088019A JP10255692A JP25569298A JP2000088019A JP 2000088019 A JP2000088019 A JP 2000088019A JP 10255692 A JP10255692 A JP 10255692A JP 25569298 A JP25569298 A JP 25569298A JP 2000088019 A JP2000088019 A JP 2000088019A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- friction
- fibers
- fiber
- surface side
- friction material
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Braking Arrangements (AREA)
- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Paper (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】紙状の基材を用いた摩擦材において、強度を確
保するとともに相手材への追従性を向上させて、大きな
摩擦係数を確保する。 【解決手段】繊維の交絡密度を、相手材と摩擦する摩擦
面側の方が芯金に接して固定される固定面側より低くな
るようにした。摩擦面側100には固定面側200に比
べて軟質な毛羽立ち繊維層10が形成されているため、
摩擦面側100表面は相手材への追従性に優れ相手材と
の高い接触面積が確保される。したがって大きな摩擦係
数が確保される。
保するとともに相手材への追従性を向上させて、大きな
摩擦係数を確保する。 【解決手段】繊維の交絡密度を、相手材と摩擦する摩擦
面側の方が芯金に接して固定される固定面側より低くな
るようにした。摩擦面側100には固定面側200に比
べて軟質な毛羽立ち繊維層10が形成されているため、
摩擦面側100表面は相手材への追従性に優れ相手材と
の高い接触面積が確保される。したがって大きな摩擦係
数が確保される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車、産業機械、
鉄道車両などの動力伝達系のクラッチフェーシングなど
に用いられ、油中で用いられる湿式摩擦材に関する。
鉄道車両などの動力伝達系のクラッチフェーシングなど
に用いられ、油中で用いられる湿式摩擦材に関する。
【0002】
【従来の技術】湿式クラッチのフェーシングに用いられ
ている摩擦材としては、有機繊維を基材とし、それに各
種摩擦調整剤などの充填材を配合して、フェノール樹脂
などの熱硬化性樹脂よりなる結合材を含浸固化させてな
る紙質の摩擦材が多く用いられている。
ている摩擦材としては、有機繊維を基材とし、それに各
種摩擦調整剤などの充填材を配合して、フェノール樹脂
などの熱硬化性樹脂よりなる結合材を含浸固化させてな
る紙質の摩擦材が多く用いられている。
【0003】このような摩擦材においては、使用時の繊
維の剥離や充填材の脱落を防止する必要があり、例えば
特開平7−18094号公報には、無機繊維とフィブリ
ル化有機繊維とを含む抄紙体に熱硬化性樹脂を含浸し、
加熱硬化してなる摩擦材が開示されている。この摩擦材
によれば、フィブリル化繊維を含むために繊維どうしの
結合力が増大し、繊維の剥離が防止できる。またフィブ
リル化繊維により充填材が捕捉されるため、充填材の脱
落も防止できる。
維の剥離や充填材の脱落を防止する必要があり、例えば
特開平7−18094号公報には、無機繊維とフィブリ
ル化有機繊維とを含む抄紙体に熱硬化性樹脂を含浸し、
加熱硬化してなる摩擦材が開示されている。この摩擦材
によれば、フィブリル化繊維を含むために繊維どうしの
結合力が増大し、繊維の剥離が防止できる。またフィブ
リル化繊維により充填材が捕捉されるため、充填材の脱
落も防止できる。
【0004】そして従来の摩擦材の製造方法としては、
繊維と充填材とを混合してPVAなどの定着剤を含む水
中に分散させ、それを抄紙して抄紙体を形成する。そし
て抄紙体を乾燥させた後にフェノール樹脂などの結合材
を含浸させ、次いで加熱硬化させることで製造する方法
が一般的である。ところが上記した有機質の摩擦材は、
耐熱性が低く摩擦係数も小さいという問題があり、この
問題を解決するために種々の対策がとられている。
繊維と充填材とを混合してPVAなどの定着剤を含む水
中に分散させ、それを抄紙して抄紙体を形成する。そし
て抄紙体を乾燥させた後にフェノール樹脂などの結合材
を含浸させ、次いで加熱硬化させることで製造する方法
が一般的である。ところが上記した有機質の摩擦材は、
耐熱性が低く摩擦係数も小さいという問題があり、この
問題を解決するために種々の対策がとられている。
【0005】この対策として、例えばクラッチフェーシ
ングでは、摩擦板の数を多くしたりして相手材との接触
面積を大きくすることが行われている。しかしこのよう
な対策を講じることにより、湿式クラッチ構造が複雑か
つ大型となってエネルギー損失が大きくなり、コストも
高いものとなっている。また、例えば銅系の焼結摩擦材
を湿式クラッチに適用する試みも行われている。このよ
うな焼結摩擦材を利用できれば、摩擦板の数が少なく面
積が小さくとも耐熱性や耐圧強度を満足させることがで
き、上記問題を解決することができる。しかし多くの焼
結金属系の摩擦材は、摩擦係数が有機質の摩擦材より小
さい場合が多く、近年の高性能化した自動車の湿式クラ
ッチ用としては摩擦特性が不十分であった。
ングでは、摩擦板の数を多くしたりして相手材との接触
面積を大きくすることが行われている。しかしこのよう
な対策を講じることにより、湿式クラッチ構造が複雑か
つ大型となってエネルギー損失が大きくなり、コストも
高いものとなっている。また、例えば銅系の焼結摩擦材
を湿式クラッチに適用する試みも行われている。このよ
うな焼結摩擦材を利用できれば、摩擦板の数が少なく面
積が小さくとも耐熱性や耐圧強度を満足させることがで
き、上記問題を解決することができる。しかし多くの焼
結金属系の摩擦材は、摩擦係数が有機質の摩擦材より小
さい場合が多く、近年の高性能化した自動車の湿式クラ
ッチ用としては摩擦特性が不十分であった。
【0006】なお特公平7-021298号公報には、繊維成
分、無機質充填材及び摩擦調整剤を湿式抄造した紙質基
材に熱硬化性樹脂を含浸した摩擦面側と、繊維成分を湿
式抄造した紙質基材に熱硬化性樹脂を含浸した固定面側
の二層構造の湿式摩擦材が開示されている。しかしこの
摩擦材における固定面側は冷却性と機械的強度を向上さ
せるだけのものであって摩擦特性には影響がなく、摩擦
特性は摩擦面側そのものに係っている。そして摩擦面側
の摩擦係数は一般的な湿式摩擦材とほとんど同等であ
り、さらなる摩擦係数の向上が求められている。
分、無機質充填材及び摩擦調整剤を湿式抄造した紙質基
材に熱硬化性樹脂を含浸した摩擦面側と、繊維成分を湿
式抄造した紙質基材に熱硬化性樹脂を含浸した固定面側
の二層構造の湿式摩擦材が開示されている。しかしこの
摩擦材における固定面側は冷却性と機械的強度を向上さ
せるだけのものであって摩擦特性には影響がなく、摩擦
特性は摩擦面側そのものに係っている。そして摩擦面側
の摩擦係数は一般的な湿式摩擦材とほとんど同等であ
り、さらなる摩擦係数の向上が求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような事
情に鑑みてなされたものであり、紙状の基材を用いた摩
擦材において、強度を確保するとともに相手材への追従
性を向上させて、大きな摩擦係数を確保することを目的
とする。
情に鑑みてなされたものであり、紙状の基材を用いた摩
擦材において、強度を確保するとともに相手材への追従
性を向上させて、大きな摩擦係数を確保することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の摩擦材の特徴は、繊維を基体成分とする紙状の摩擦
材において、繊維の交絡密度は相手材と摩擦する摩擦面
側の方が芯金に接して固定される固定面側より低いこと
にある。また上記摩擦材を製造する本発明の製造方法の
特徴は、繊維が分散した抄紙原液から湿式抄造して抄紙
体を形成し、抄紙体を乾燥させた後に抄紙体に結合材を
含浸させて硬化させる摩擦材の製造方法において、抄紙
体に結合材を含浸させる工程の前段階で、繊維がほとん
ど交絡していない層を抄紙体の摩擦面側となる一表面側
に形成することにある。
明の摩擦材の特徴は、繊維を基体成分とする紙状の摩擦
材において、繊維の交絡密度は相手材と摩擦する摩擦面
側の方が芯金に接して固定される固定面側より低いこと
にある。また上記摩擦材を製造する本発明の製造方法の
特徴は、繊維が分散した抄紙原液から湿式抄造して抄紙
体を形成し、抄紙体を乾燥させた後に抄紙体に結合材を
含浸させて硬化させる摩擦材の製造方法において、抄紙
体に結合材を含浸させる工程の前段階で、繊維がほとん
ど交絡していない層を抄紙体の摩擦面側となる一表面側
に形成することにある。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明にいう繊維の交絡密度と
は、繊維どうしが交絡した部分が全体に占める割合をい
う。本発明の摩擦材は、固定面側の繊維の交絡密度が高
く、摩擦面側の繊維の交絡密度が低くなるように構成さ
れている。したがって摩擦面側は繊維どうしが殆ど交絡
せず独立した開放系となるため、摩擦面側には固定面側
に比べて軟質な繊維層が形成される。したがって摩擦面
側表面は相手材への追従性に優れ、相手材との高い接触
面積が確保されるため高い摩擦係数が確保される。一
方、固定面側は繊維どうしが充分に交絡しているので、
湿式抄造された従来の摩擦材と同等の強度が確保され
る。
は、繊維どうしが交絡した部分が全体に占める割合をい
う。本発明の摩擦材は、固定面側の繊維の交絡密度が高
く、摩擦面側の繊維の交絡密度が低くなるように構成さ
れている。したがって摩擦面側は繊維どうしが殆ど交絡
せず独立した開放系となるため、摩擦面側には固定面側
に比べて軟質な繊維層が形成される。したがって摩擦面
側表面は相手材への追従性に優れ、相手材との高い接触
面積が確保されるため高い摩擦係数が確保される。一
方、固定面側は繊維どうしが充分に交絡しているので、
湿式抄造された従来の摩擦材と同等の強度が確保され
る。
【0010】そして本発明の製造方法では、抄紙体に結
合材を含浸させる工程の前段階で、繊維がほとんど交絡
していない層を抄紙体の摩擦面側となる一表面側に形成
している。これにより抄紙体の一表面側に繊維の交絡密
度が低い軟質の層が形成されるので、その一表面側を摩
擦面側として用いることにより、摩擦面側表面は相手材
への追従性に優れ、相手材との高い接触面積が確保され
るため高い摩擦係数が確保される。一方、固定面側は繊
維どうしが充分に交絡しているので、従来の摩擦材と同
等の強度及び相手材への追従性が確保される。
合材を含浸させる工程の前段階で、繊維がほとんど交絡
していない層を抄紙体の摩擦面側となる一表面側に形成
している。これにより抄紙体の一表面側に繊維の交絡密
度が低い軟質の層が形成されるので、その一表面側を摩
擦面側として用いることにより、摩擦面側表面は相手材
への追従性に優れ、相手材との高い接触面積が確保され
るため高い摩擦係数が確保される。一方、固定面側は繊
維どうしが充分に交絡しているので、従来の摩擦材と同
等の強度及び相手材への追従性が確保される。
【0011】繊維がほとんど交絡していない繊維層を抄
紙体の一表面側に形成するには、例えば抄紙体の一表面
を引っ掻いて毛羽立たせる方法、あるいは抄紙体の一表
面に繊維を乾式又は湿式で配置する方法などが例示され
る。後者の方法の場合には、抄紙体の一表面側に配置さ
れる繊維どうしができるだけ交絡しないように配置す
る。例えば湿式で配置する場合には、繊維分散液を吹き
付けなどで塗布して付着させるとよい。このようにすれ
ば、吹き付け時にノズルから噴出された1個の塗粒内で
は繊維どうしが交絡しているかもしれないが、無数の塗
粒が噴出されることで塗布されるのであり、隣接する塗
粒どうしの間では繊維の交絡は生じない。したがって吹
き付け法によれば、大部分の繊維を交絡しない状態で一
表面側に配置することができる。
紙体の一表面側に形成するには、例えば抄紙体の一表面
を引っ掻いて毛羽立たせる方法、あるいは抄紙体の一表
面に繊維を乾式又は湿式で配置する方法などが例示され
る。後者の方法の場合には、抄紙体の一表面側に配置さ
れる繊維どうしができるだけ交絡しないように配置す
る。例えば湿式で配置する場合には、繊維分散液を吹き
付けなどで塗布して付着させるとよい。このようにすれ
ば、吹き付け時にノズルから噴出された1個の塗粒内で
は繊維どうしが交絡しているかもしれないが、無数の塗
粒が噴出されることで塗布されるのであり、隣接する塗
粒どうしの間では繊維の交絡は生じない。したがって吹
き付け法によれば、大部分の繊維を交絡しない状態で一
表面側に配置することができる。
【0012】また摩擦面側の繊維がほとんど交絡してい
ない層と、固定面側のそれ以外の層との厚さの比は、強
度の面から摩擦面側層/固定面側層≦1/10とするの
が好ましい。基体成分を構成する繊維としては、ガラス
繊維、ロックウール、チタン酸カリウム繊維、セラミッ
ク繊維、シリカ繊維、シリカ−アルミナ繊維、カオリン
繊維、ボーキサイト繊維、ノボロイド繊維、カヤノイド
繊維、ホウ素繊維、マグネシア繊維、金属繊維などの無
機繊維、リンターパルプ、木材パルプ、合成パルプ、ポ
リエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリイミド系繊
維、ポリビニルアルコール変性繊維、ポリ塩化ビニル繊
維、ポリプロピレン繊維、ポリベンゾイミダゾール繊
維、アクリル繊維、炭素繊維、フェノール繊維、ナイロ
ン繊維、セルロース繊維などの有機繊維の一種又は複数
種を用いることができる。この繊維から抄造法により抄
紙体が得られる。
ない層と、固定面側のそれ以外の層との厚さの比は、強
度の面から摩擦面側層/固定面側層≦1/10とするの
が好ましい。基体成分を構成する繊維としては、ガラス
繊維、ロックウール、チタン酸カリウム繊維、セラミッ
ク繊維、シリカ繊維、シリカ−アルミナ繊維、カオリン
繊維、ボーキサイト繊維、ノボロイド繊維、カヤノイド
繊維、ホウ素繊維、マグネシア繊維、金属繊維などの無
機繊維、リンターパルプ、木材パルプ、合成パルプ、ポ
リエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリイミド系繊
維、ポリビニルアルコール変性繊維、ポリ塩化ビニル繊
維、ポリプロピレン繊維、ポリベンゾイミダゾール繊
維、アクリル繊維、炭素繊維、フェノール繊維、ナイロ
ン繊維、セルロース繊維などの有機繊維の一種又は複数
種を用いることができる。この繊維から抄造法により抄
紙体が得られる。
【0013】ところで、摩擦材としてはその必要特性
上、充填材を含むことが望ましいが、固定面側に充填材
を含むと柔軟性が損なわれて相手材への追従性が低下す
る。また固定面側に含まれた摩擦調整剤などは、摩擦特
性に寄与しない。したがって摩擦面側、つまり抄紙体の
一表面側に充填材を含むことが望ましい。しかしなが
ら、摩擦面側は軟質で繊維の交絡密度が低いのであるか
ら、摩擦面側の表層に充填材を含ませたのでは、充填材
の保持力が低くなり使用中に脱落する恐れがある。また
充填材により剛性が増大して相手材への追従性が低下す
る。そこで摩擦面側の表層は交絡密度の低い繊維層のみ
とし、その繊維層を構成する繊維の根元部分に充填材が
保持された構造とすることが望ましい。
上、充填材を含むことが望ましいが、固定面側に充填材
を含むと柔軟性が損なわれて相手材への追従性が低下す
る。また固定面側に含まれた摩擦調整剤などは、摩擦特
性に寄与しない。したがって摩擦面側、つまり抄紙体の
一表面側に充填材を含むことが望ましい。しかしなが
ら、摩擦面側は軟質で繊維の交絡密度が低いのであるか
ら、摩擦面側の表層に充填材を含ませたのでは、充填材
の保持力が低くなり使用中に脱落する恐れがある。また
充填材により剛性が増大して相手材への追従性が低下す
る。そこで摩擦面側の表層は交絡密度の低い繊維層のみ
とし、その繊維層を構成する繊維の根元部分に充填材が
保持された構造とすることが望ましい。
【0014】上記のように充填材を摩擦面側に含ませる
方法としては、例えば表面を毛羽立たせた後に充填材を
乾式で配置し、その後ローラなどで押圧する方法を採用
することができる。これにより交絡密度が低い繊維層を
構成する繊維が充填材を包み込むように折れ曲がるの
で、充填材の脱落を防止することができる。また抄紙体
の表面に充填材を配置し、その上から繊維を交絡しない
ように配置することもできる。
方法としては、例えば表面を毛羽立たせた後に充填材を
乾式で配置し、その後ローラなどで押圧する方法を採用
することができる。これにより交絡密度が低い繊維層を
構成する繊維が充填材を包み込むように折れ曲がるの
で、充填材の脱落を防止することができる。また抄紙体
の表面に充填材を配置し、その上から繊維を交絡しない
ように配置することもできる。
【0015】なお充填材を摩擦面側の交絡密度の低い繊
維の根元に乾式で配置する方法としては、重力で振り掛
ける方法、加圧空気などで吹き付ける方法、固定面側を
負圧として吸着する方法、静電誘導により吸着する方
法、またこれらの方法の組合せ、さらに加振させながら
これらの方法を行うこと、などが例示される。この充填
材としては、例えば硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭
酸マグネシウム、炭化珪素、炭化ホウ素、炭化チタン、
窒化珪素、窒化ホウ素、アルミナ、シリカ、ジルコニ
ア、カシューダスト、ラバーダスト、珪藻土、タルク、
カオリン、酸化マグネシウム、二硫化モリブデン、ニト
リルゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、スチレ
ンブタジエンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴムなどの一
種又は複数種を適量用いることができる。また、これら
の充填材粉末を繊維に絡めて形成した複合充填材を用い
ることも好ましい。
維の根元に乾式で配置する方法としては、重力で振り掛
ける方法、加圧空気などで吹き付ける方法、固定面側を
負圧として吸着する方法、静電誘導により吸着する方
法、またこれらの方法の組合せ、さらに加振させながら
これらの方法を行うこと、などが例示される。この充填
材としては、例えば硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭
酸マグネシウム、炭化珪素、炭化ホウ素、炭化チタン、
窒化珪素、窒化ホウ素、アルミナ、シリカ、ジルコニ
ア、カシューダスト、ラバーダスト、珪藻土、タルク、
カオリン、酸化マグネシウム、二硫化モリブデン、ニト
リルゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、スチレ
ンブタジエンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴムなどの一
種又は複数種を適量用いることができる。また、これら
の充填材粉末を繊維に絡めて形成した複合充填材を用い
ることも好ましい。
【0016】上記のように処理された抄紙体は、熱硬化
性樹脂などの結合材が含浸され、加熱硬化された後、必
要であれば所定形状に打ち抜いて本発明の摩擦材が得ら
れる。ここで用いられる結合材としては、フェノール樹
脂など従来用いられている熱硬化性樹脂を用いてもよい
が、金属アルコキシド及び有機基置換金属アルコキシド
の少なくとも一方を加水分解して調製されたゾル溶液を
乾燥・焼成してなる有機無機質の複合結合材を用いるこ
とが望ましい。これにより一層高い摩擦係数をもつ湿式
摩擦材が得られる。
性樹脂などの結合材が含浸され、加熱硬化された後、必
要であれば所定形状に打ち抜いて本発明の摩擦材が得ら
れる。ここで用いられる結合材としては、フェノール樹
脂など従来用いられている熱硬化性樹脂を用いてもよい
が、金属アルコキシド及び有機基置換金属アルコキシド
の少なくとも一方を加水分解して調製されたゾル溶液を
乾燥・焼成してなる有機無機質の複合結合材を用いるこ
とが望ましい。これにより一層高い摩擦係数をもつ湿式
摩擦材が得られる。
【0017】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を具体
的に説明する。 (実施例1)叩解機に水と、セルロース繊維と、アラミ
ド繊維とを入れ、叩解歯車にて繊維を微細化するととも
に繊維間の混合・絡まりを促進した。次に攪拌機に水と
叩解溶液と調整剤などを入れ、抄紙厚さに必要な原料溶
液の濃度調整を行った。セルロース繊維とアラミド繊維
との比率は、重量比で80:10である。
的に説明する。 (実施例1)叩解機に水と、セルロース繊維と、アラミ
ド繊維とを入れ、叩解歯車にて繊維を微細化するととも
に繊維間の混合・絡まりを促進した。次に攪拌機に水と
叩解溶液と調整剤などを入れ、抄紙厚さに必要な原料溶
液の濃度調整を行った。セルロース繊維とアラミド繊維
との比率は、重量比で80:10である。
【0018】そして長網式抄造機を用い、その無終端長
網上に上記原料溶液を流出させ除水させて湿式抄造し
た。得られた抄紙体を二本のロールで圧搾し、乾燥ドラ
ムで乾燥させて一定厚さの抄紙体1とした。次に、図1
に示すように、抄紙体1をローラブラシ2に通し、表面
繊維を毛羽立たせて毛羽立ち繊維層10を形成した。そ
の後図2に示すように、抄紙体1の毛羽立ち繊維層10
の繊維の根元にホッパー3からカシューダスト4を振り
掛けて供給した。そして抄紙体1を垂直に立てることで
余分なカシューダストを振り落とし、次いで図3に示す
ように一対の圧縮ローラ5の間を通過させることで圧縮
した。
網上に上記原料溶液を流出させ除水させて湿式抄造し
た。得られた抄紙体を二本のロールで圧搾し、乾燥ドラ
ムで乾燥させて一定厚さの抄紙体1とした。次に、図1
に示すように、抄紙体1をローラブラシ2に通し、表面
繊維を毛羽立たせて毛羽立ち繊維層10を形成した。そ
の後図2に示すように、抄紙体1の毛羽立ち繊維層10
の繊維の根元にホッパー3からカシューダスト4を振り
掛けて供給した。そして抄紙体1を垂直に立てることで
余分なカシューダストを振り落とし、次いで図3に示す
ように一対の圧縮ローラ5の間を通過させることで圧縮
した。
【0019】これにより毛羽立ち繊維層10のそれぞれ
の繊維がカシューダスト4を包み込むように折れ曲が
り、かつカシューダスト4は抄紙体1に埋め込まれて保
持された。カシューダスト4は、摩擦面側100の繊維
成分90重量部に対して100重量部含まれている。そ
の後、カシューダスト4が保持された抄紙体1を所定形
状に打ち抜き、所定量のゾル溶液を含浸させた。このゾ
ル溶液は、抄紙体1の100重量部に対して30重量部
含浸された。なお、このゾル溶液は、ガラス容器にエタ
ノール27.6重量部とテトラエトキシシラン(Si(OC2
H5)4) 20.8重量部を秤量し、10分間攪拌した。そ
の後、この溶液を攪拌しながら0.05Nの塩酸水溶液
を20重量部滴下し、さらに24時間攪拌して調製され
たものである。
の繊維がカシューダスト4を包み込むように折れ曲が
り、かつカシューダスト4は抄紙体1に埋め込まれて保
持された。カシューダスト4は、摩擦面側100の繊維
成分90重量部に対して100重量部含まれている。そ
の後、カシューダスト4が保持された抄紙体1を所定形
状に打ち抜き、所定量のゾル溶液を含浸させた。このゾ
ル溶液は、抄紙体1の100重量部に対して30重量部
含浸された。なお、このゾル溶液は、ガラス容器にエタ
ノール27.6重量部とテトラエトキシシラン(Si(OC2
H5)4) 20.8重量部を秤量し、10分間攪拌した。そ
の後、この溶液を攪拌しながら0.05Nの塩酸水溶液
を20重量部滴下し、さらに24時間攪拌して調製され
たものである。
【0020】そして常温にて通風乾燥させ、昇温して2
00℃で1時間加熱してゾル溶液をゲル化させ、本実施
例の摩擦材を得た。この摩擦材では、図3に示すよう
に、摩擦面側100に繊維の交絡密度の低い毛羽立ち繊
維層10が形成され、固定面側200は抄造されたまま
の状態であるので繊維の交絡密度が高くなっている。ま
た摩擦面側100の繊維がほとんど交絡していない層の
厚さは0.1mmであり、固定面側200の層の厚さは
0.9mmである。
00℃で1時間加熱してゾル溶液をゲル化させ、本実施
例の摩擦材を得た。この摩擦材では、図3に示すよう
に、摩擦面側100に繊維の交絡密度の低い毛羽立ち繊
維層10が形成され、固定面側200は抄造されたまま
の状態であるので繊維の交絡密度が高くなっている。ま
た摩擦面側100の繊維がほとんど交絡していない層の
厚さは0.1mmであり、固定面側200の層の厚さは
0.9mmである。
【0021】(実施例2)セルロース繊維とアラミド繊
維との比率を、重量比で10:80としたこと以外は実
施例1と同様にして、実施例2の摩擦材を製造した。 (実施例3)セルロース繊維とアラミド繊維との比率を
重量比で10:80とし、かつカシューダストを摩擦面
側100の繊維成分90重量部に対して200重量部含
ませたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の摩
擦材を製造した。摩擦面側100の繊維がほとんど交絡
していない層の厚さは0.1mmであり、固定面側20
0の層の厚さは0.9mmである。
維との比率を、重量比で10:80としたこと以外は実
施例1と同様にして、実施例2の摩擦材を製造した。 (実施例3)セルロース繊維とアラミド繊維との比率を
重量比で10:80とし、かつカシューダストを摩擦面
側100の繊維成分90重量部に対して200重量部含
ませたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の摩
擦材を製造した。摩擦面側100の繊維がほとんど交絡
していない層の厚さは0.1mmであり、固定面側20
0の層の厚さは0.9mmである。
【0022】(実施例4)叩解機に水と、セルロース繊
維と、アラミド繊維とを入れ、叩解歯車にて繊維を微細
化するとともに繊維間の混合・絡まりを促進した。次に
攪拌機に水と叩解溶液と調整剤などを入れ、抄紙厚さに
必要な原料溶液の濃度調整を行った。セルロース繊維と
アラミド繊維との比率は、重量比で80:10である。
維と、アラミド繊維とを入れ、叩解歯車にて繊維を微細
化するとともに繊維間の混合・絡まりを促進した。次に
攪拌機に水と叩解溶液と調整剤などを入れ、抄紙厚さに
必要な原料溶液の濃度調整を行った。セルロース繊維と
アラミド繊維との比率は、重量比で80:10である。
【0023】そして長網式抄造機を用い、その無終端長
網上に上記原料溶液を流出させ除水させて湿式抄造し
た。得られた抄紙体を二本のロールで圧搾し、乾燥ドラ
ムで乾燥させて一定厚さの抄紙体1を形成した。次に図
4に示すように、上記した原料溶液60をホッパー6か
ら抄紙体1表面に吹き付け、加熱通風乾燥を行った。こ
れにより空間層7をもつ繊維層11が形成された。
網上に上記原料溶液を流出させ除水させて湿式抄造し
た。得られた抄紙体を二本のロールで圧搾し、乾燥ドラ
ムで乾燥させて一定厚さの抄紙体1を形成した。次に図
4に示すように、上記した原料溶液60をホッパー6か
ら抄紙体1表面に吹き付け、加熱通風乾燥を行った。こ
れにより空間層7をもつ繊維層11が形成された。
【0024】その後図5に示すように、抄紙体1を垂直
に立て、繊維層11の空間層7にホッパー3からカシュ
ーダスト4を吹き付けて供給した。余分なカシューダス
トは下方に落下して除去された。次に、図6に示すよう
に一対の圧縮ローラ5の間を通過させることで圧縮し
た。これにより繊維層11のそれぞれの繊維がカシュー
ダスト4を包み込むように押圧され、かつカシューダス
ト4は抄紙体1に埋め込まれて保持された。カシューダ
スト4は、摩擦面側の繊維成分90重量部に対して10
0重量部含まれている。
に立て、繊維層11の空間層7にホッパー3からカシュ
ーダスト4を吹き付けて供給した。余分なカシューダス
トは下方に落下して除去された。次に、図6に示すよう
に一対の圧縮ローラ5の間を通過させることで圧縮し
た。これにより繊維層11のそれぞれの繊維がカシュー
ダスト4を包み込むように押圧され、かつカシューダス
ト4は抄紙体1に埋め込まれて保持された。カシューダ
スト4は、摩擦面側の繊維成分90重量部に対して10
0重量部含まれている。
【0025】そして実施例1と同様にして、打ち抜き、
ゾル溶液を含浸し、加熱硬化して実施例4の摩擦材を得
た。摩擦面側の繊維がほとんど交絡していない層の厚さ
は0.1mmであり、残りの固定面側の層の厚さは0.
9mmである。なお本実施例では、カシューダスト4を
吹き付けて繊維層11の空間層7に供給したが、図7に
示すように、抄紙体1の裏面側(固定面側)から吸引し
てホッパー3から供給されるカシューダスト4を空間層
7に吸引して付着させてもよい。
ゾル溶液を含浸し、加熱硬化して実施例4の摩擦材を得
た。摩擦面側の繊維がほとんど交絡していない層の厚さ
は0.1mmであり、残りの固定面側の層の厚さは0.
9mmである。なお本実施例では、カシューダスト4を
吹き付けて繊維層11の空間層7に供給したが、図7に
示すように、抄紙体1の裏面側(固定面側)から吸引し
てホッパー3から供給されるカシューダスト4を空間層
7に吸引して付着させてもよい。
【0026】また図8に示すように、抄紙体1の裏面側
(固定面側)にプラス極に帯電したローラ8を接触さ
せ、ホッパー3をマイナス極とすることでカシューダス
ト4をマイナス極として空間層7に静電吸着させること
もできる。さらにこれらの方法を複数組み合わせてもよ
いし、これらの方法を実施例1〜3の製造方法に適用し
てカシューダスト4を繊維の根元に供給することもでき
る。
(固定面側)にプラス極に帯電したローラ8を接触さ
せ、ホッパー3をマイナス極とすることでカシューダス
ト4をマイナス極として空間層7に静電吸着させること
もできる。さらにこれらの方法を複数組み合わせてもよ
いし、これらの方法を実施例1〜3の製造方法に適用し
てカシューダスト4を繊維の根元に供給することもでき
る。
【0027】(比較例1)叩解機に水と、セルロース繊
維と、アラミド繊維とを入れ、叩解歯車にて繊維を微細
化するとともに繊維間の混合・絡まりを促進した。次に
攪拌機に水と叩解溶液と調整剤などを入れ、抄紙厚さに
必要な原料溶液の濃度調整を行った。セルロース繊維と
アラミド繊維との比率は、重量比で80:10である。
そして長網式抄造機を用い、その無終端長網上に上記原
料溶液を流出させ除水させて第1抄紙体を形成した。
維と、アラミド繊維とを入れ、叩解歯車にて繊維を微細
化するとともに繊維間の混合・絡まりを促進した。次に
攪拌機に水と叩解溶液と調整剤などを入れ、抄紙厚さに
必要な原料溶液の濃度調整を行った。セルロース繊維と
アラミド繊維との比率は、重量比で80:10である。
そして長網式抄造機を用い、その無終端長網上に上記原
料溶液を流出させ除水させて第1抄紙体を形成した。
【0028】一方、アラミド繊維10重量部と、カシュ
ーダスト100重量部と調整剤が混合された水分散液を
調製し攪拌した。これによりアラミド繊維がカシューダ
ストに絡みついて複合充填材が形成された。そして調整
剤を入れ、抄紙厚さに必要な原料溶液の濃度調整を行っ
た。原料溶液中のセルロース繊維とアラミド繊維と複合
充填材の比率は、重量比で80:10:110である。
ーダスト100重量部と調整剤が混合された水分散液を
調製し攪拌した。これによりアラミド繊維がカシューダ
ストに絡みついて複合充填材が形成された。そして調整
剤を入れ、抄紙厚さに必要な原料溶液の濃度調整を行っ
た。原料溶液中のセルロース繊維とアラミド繊維と複合
充填材の比率は、重量比で80:10:110である。
【0029】そして長網式抄造機の無終端長網上に抄造
された第1抄紙体の上にこの原料溶液を流出させ、除水
させて第2抄紙体を形成した。得られた二層構造の抄紙
体を二本のロールで圧搾し、乾燥ドラムで乾燥させて一
定厚さの紙質基材を形成した。その後実施例1と同様に
して、打ち抜き、ゾル溶液を含浸し、加熱硬化して比較
例1の摩擦材を得た。なおゾル溶液は、抄紙体100重
量部に対して27重量部含浸された。また摩擦面側の繊
維がほとんど交絡していない層の厚さは0.1mmであ
り、固定面側の層の厚さは0.9mmである。
された第1抄紙体の上にこの原料溶液を流出させ、除水
させて第2抄紙体を形成した。得られた二層構造の抄紙
体を二本のロールで圧搾し、乾燥ドラムで乾燥させて一
定厚さの紙質基材を形成した。その後実施例1と同様に
して、打ち抜き、ゾル溶液を含浸し、加熱硬化して比較
例1の摩擦材を得た。なおゾル溶液は、抄紙体100重
量部に対して27重量部含浸された。また摩擦面側の繊
維がほとんど交絡していない層の厚さは0.1mmであ
り、固定面側の層の厚さは0.9mmである。
【0030】(比較例2)第1抄紙体中のセルロース繊
維とアラミド繊維との比率を重量比で10:80とした
こと、及び第2抄紙体中のセルロース繊維とアラミド繊
維と複合充填材の比率を重量比で10:80:110と
したこと以外は比較例1と同様にして、比較例2の摩擦
材を製造した。
維とアラミド繊維との比率を重量比で10:80とした
こと、及び第2抄紙体中のセルロース繊維とアラミド繊
維と複合充填材の比率を重量比で10:80:110と
したこと以外は比較例1と同様にして、比較例2の摩擦
材を製造した。
【0031】(比較例3)第1抄紙体中のセルロース繊
維とアラミド繊維との比率を重量比で10:80とし、
かつ複合充填材のアラミド繊維とカシューダストの比率
を重量比で10:200とし、さらに第2抄紙体のセル
ロース繊維とアラミド繊維と複合充填材の比率を重量比
で10:80:210としたこと以外は比較例1と同様
にして、比較例3の摩擦材を製造した。
維とアラミド繊維との比率を重量比で10:80とし、
かつ複合充填材のアラミド繊維とカシューダストの比率
を重量比で10:200とし、さらに第2抄紙体のセル
ロース繊維とアラミド繊維と複合充填材の比率を重量比
で10:80:210としたこと以外は比較例1と同様
にして、比較例3の摩擦材を製造した。
【0032】(比較例4)叩解機に水と、セルロース繊
維と、アラミド繊維を入れ、叩解歯車にて繊維を微細化
するとともに繊維間の混合・絡まりを促進した。次に攪
拌機に水と、叩解溶液と、カシューダスト及び調整剤な
どを入れ、抄紙厚さに必要な原料溶液の濃度調整を行っ
た。セルロース繊維とアラミド繊維とカシューダストの
比率は、重量比で55:5:40である。
維と、アラミド繊維を入れ、叩解歯車にて繊維を微細化
するとともに繊維間の混合・絡まりを促進した。次に攪
拌機に水と、叩解溶液と、カシューダスト及び調整剤な
どを入れ、抄紙厚さに必要な原料溶液の濃度調整を行っ
た。セルロース繊維とアラミド繊維とカシューダストの
比率は、重量比で55:5:40である。
【0033】そして長網式抄造機を用い、その無終端長
網上に上記原料溶液を流出させ除水させて湿式抄造し
た。得られた抄紙体を二本のロールで圧搾し、乾燥ドラ
ムで乾燥させて一定厚さの抄紙体を形成した。その後実
施例1と同様にして、打ち抜き、ゾル溶液の代わりにフ
ェノール樹脂を含浸し、加熱硬化して比較例4の摩擦材
を得た。なおフェノール樹脂は、抄紙体100重量部に
対して30重量部含浸されている。また、この摩擦材の
厚さは1mmである。
網上に上記原料溶液を流出させ除水させて湿式抄造し
た。得られた抄紙体を二本のロールで圧搾し、乾燥ドラ
ムで乾燥させて一定厚さの抄紙体を形成した。その後実
施例1と同様にして、打ち抜き、ゾル溶液の代わりにフ
ェノール樹脂を含浸し、加熱硬化して比較例4の摩擦材
を得た。なおフェノール樹脂は、抄紙体100重量部に
対して30重量部含浸されている。また、この摩擦材の
厚さは1mmである。
【0034】(試験・評価)実施例1〜3及び比較例1
〜4の摩擦材について、SAE#2摩擦試験機を用い表
1に示す条件にて静摩擦係数を測定した。なお、それぞ
れ固定面側を芯金に接着し、摩擦面側を相手材と摩擦さ
せた。またSAE#2摩擦試験機を用い表2に示す条件
にて、摩擦係数が初期安定状態より10%低下するまで
のサイクル数又は剥離が発生するまでのサイクル数(耐
久性)を測定した。それぞれの結果を表3に示す。
〜4の摩擦材について、SAE#2摩擦試験機を用い表
1に示す条件にて静摩擦係数を測定した。なお、それぞ
れ固定面側を芯金に接着し、摩擦面側を相手材と摩擦さ
せた。またSAE#2摩擦試験機を用い表2に示す条件
にて、摩擦係数が初期安定状態より10%低下するまで
のサイクル数又は剥離が発生するまでのサイクル数(耐
久性)を測定した。それぞれの結果を表3に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】表3より、比較例4の摩擦材は静摩擦係数
が小さく耐久性も低いのに比べ、比較例1〜3の摩擦材
はかなり優れた特性を有している。したがって、充填材
は固定面側よりも摩擦面側に含ませるのが好ましいこと
が明らかである。なお、比較例1〜3では第2抄紙体の
製造に複合充填材を用いたが、複合充填材としないより
も複合充填材とした方が静摩擦係数が向上することがわ
かっている。したがって、比較例1〜3において複合充
填材を用いなければ、表3に示す値よりさらに低い静摩
擦係数となる。
が小さく耐久性も低いのに比べ、比較例1〜3の摩擦材
はかなり優れた特性を有している。したがって、充填材
は固定面側よりも摩擦面側に含ませるのが好ましいこと
が明らかである。なお、比較例1〜3では第2抄紙体の
製造に複合充填材を用いたが、複合充填材としないより
も複合充填材とした方が静摩擦係数が向上することがわ
かっている。したがって、比較例1〜3において複合充
填材を用いなければ、表3に示す値よりさらに低い静摩
擦係数となる。
【0039】そして実施例1〜3と比較例1〜3との比
較より、実施例1〜3の方が高い静摩擦係数を示してい
ることがわかる。これは、摩擦面側の繊維を毛羽立たせ
て交絡密度を低くしたことによる効果であると考えられ
る。
較より、実施例1〜3の方が高い静摩擦係数を示してい
ることがわかる。これは、摩擦面側の繊維を毛羽立たせ
て交絡密度を低くしたことによる効果であると考えられ
る。
【0040】
【発明の効果】すなわち本発明の摩擦材によれば、繊維
を基体成分とする紙質の摩擦材として、従来より摩擦係
数が増大し高い摩擦特性が得られる。そして本発明の摩
擦材の製造方法によれば、抄造という簡単な製造方法で
高い摩擦係数をもつ摩擦材を安価に安定して製造するこ
とができる。
を基体成分とする紙質の摩擦材として、従来より摩擦係
数が増大し高い摩擦特性が得られる。そして本発明の摩
擦材の製造方法によれば、抄造という簡単な製造方法で
高い摩擦係数をもつ摩擦材を安価に安定して製造するこ
とができる。
【図1】本発明の一実施例の摩擦材の製造方法におい
て、抄紙体を毛羽立たせる方法を示す説明図である。
て、抄紙体を毛羽立たせる方法を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施例の摩擦材の製造方法におい
て、充填材を繊維の根元に供給する方法を示す説明図で
ある。
て、充填材を繊維の根元に供給する方法を示す説明図で
ある。
【図3】本発明の一実施例の摩擦材の製造方法におい
て、充填材を繊維の根元に保持する方法を示す説明図で
ある。
て、充填材を繊維の根元に保持する方法を示す説明図で
ある。
【図4】本発明の第4の実施例の摩擦材の製造方法にお
いて、抄紙体表面に交絡密度の低い繊維層を形成する方
法を示す説明図である。
いて、抄紙体表面に交絡密度の低い繊維層を形成する方
法を示す説明図である。
【図5】本発明の第4の実施例の摩擦材の製造方法にお
いて、充填材を繊維の空間層に供給する方法を示す説明
図である。
いて、充填材を繊維の空間層に供給する方法を示す説明
図である。
【図6】本発明の第4の実施例の摩擦材の製造方法にお
いて、充填材を繊維の根元に保持する方法を示す説明図
である。
いて、充填材を繊維の根元に保持する方法を示す説明図
である。
【図7】充填材を繊維の空間層に供給する方法の一態様
を示す説明図である。
を示す説明図である。
【図8】充填材を繊維の空間層に供給する方法の一態様
を示す説明図である。
を示す説明図である。
1:抄紙体 4:カシューダスト(充填材) 7:空間層 10:毛羽立ち繊維層(摩擦面
側) 11:繊維層(摩擦面側)
側) 11:繊維層(摩擦面側)
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16D 69/02 F16D 69/02 J A Fターム(参考) 3J058 BA46 BA76 EA31 FA01 FA11 FA21 GA02 GA22 GA67 GA68 GA73 GA93 4F071 AA09 AA20 AA24 AA30 AA31 AA41 AA43 AA54 AA58 AA60 AA67 AA74 AB03 AB06 AB18 AB26 AB27 AB28 AB29 AB30 AD01 DA01 DA10 DA20 4L055 AF09 AF35 AG18 AG43 AG96 AH37 AJ10 BE02 BE10 BE20 GA33 GA50
Claims (2)
- 【請求項1】 繊維を基体成分とする紙状の摩擦材にお
いて、相手材と摩擦する摩擦面側の方が芯金に接して固
定される固定面側より繊維の交絡密度が低いことを特徴
とする摩擦材。 - 【請求項2】 繊維が分散した抄紙原液から湿式抄造し
て抄紙体を形成し、該抄紙体を乾燥させた後に該抄紙体
に結合材を含浸させて硬化させる摩擦材の製造方法にお
いて、 該抄紙体に結合材を含浸させる工程の前段階で、繊維が
ほとんど交絡していない層を該抄紙体の摩擦面側となる
一表面側に形成することを特徴とする摩擦材の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10255692A JP2000088019A (ja) | 1998-09-09 | 1998-09-09 | 摩擦材及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10255692A JP2000088019A (ja) | 1998-09-09 | 1998-09-09 | 摩擦材及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000088019A true JP2000088019A (ja) | 2000-03-28 |
Family
ID=17282316
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10255692A Pending JP2000088019A (ja) | 1998-09-09 | 1998-09-09 | 摩擦材及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000088019A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000145849A (ja) * | 1998-11-16 | 2000-05-26 | Nsk Warner Kk | 湿式摩擦材 |
JP2008503661A (ja) * | 2004-06-25 | 2008-02-07 | イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー | セルロースおよびパラ−アラミドパルプならびにその製造方法 |
JP2009521617A (ja) * | 2005-12-21 | 2009-06-04 | イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー | ポリアレーンアゾール/木材パルプおよびその製造方法 |
JP2018184667A (ja) * | 2017-04-24 | 2018-11-22 | セイコーエプソン株式会社 | 処理装置、シート製造装置、処理方法およびシートの製造方法 |
-
1998
- 1998-09-09 JP JP10255692A patent/JP2000088019A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000145849A (ja) * | 1998-11-16 | 2000-05-26 | Nsk Warner Kk | 湿式摩擦材 |
JP2008503661A (ja) * | 2004-06-25 | 2008-02-07 | イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー | セルロースおよびパラ−アラミドパルプならびにその製造方法 |
JP4634447B2 (ja) * | 2004-06-25 | 2011-02-16 | イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー | セルロースおよびパラ−アラミドパルプならびにその製造方法 |
JP2009521617A (ja) * | 2005-12-21 | 2009-06-04 | イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー | ポリアレーンアゾール/木材パルプおよびその製造方法 |
JP2018184667A (ja) * | 2017-04-24 | 2018-11-22 | セイコーエプソン株式会社 | 処理装置、シート製造装置、処理方法およびシートの製造方法 |
JP7043739B2 (ja) | 2017-04-24 | 2022-03-30 | セイコーエプソン株式会社 | 処理方法およびシートの製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3948844B2 (ja) | 湿式摩擦材 | |
EP2212072B1 (en) | Method of making mounting mats for mounting pollution control element | |
CN103717937B (zh) | 湿式摩擦材料 | |
US20140154147A1 (en) | Mat for mounting a pollution control element for the treatment of exhaust gas | |
CN101443093B (zh) | 包含粘土的陶瓷过滤器及其制备方法 | |
KR20040019827A (ko) | 마찰 변형층을 구비한 마찰 물질 | |
CN102575552A (zh) | 多层垫和废气处理装置 | |
JP2009543955A (ja) | 高充填繊維ベール | |
JP2000026837A (ja) | 摩擦特性と被圧縮疲労強度を両立させた湿式ペーパー摩擦材 | |
JP2000088019A (ja) | 摩擦材及びその製造方法 | |
JPH11246846A (ja) | 摩擦材料及びその製造方法 | |
JP2000161406A (ja) | 湿式摩擦材 | |
JP5927064B2 (ja) | マット材の製造方法 | |
JP2007246590A (ja) | 摩擦材 | |
JP2002348561A (ja) | 湿式摩擦材 | |
EP0129022A2 (en) | Process for making dry friction material | |
JP2001032869A (ja) | 摩擦材 | |
JP2001026657A (ja) | 湿式摩擦材及びその製造方法 | |
JPH055294A (ja) | セラミツク繊維紙 | |
KR20080113675A (ko) | 무기 섬유 매트 일체형 세라믹 필터 및 그 제조 방법 | |
JP3026974B1 (ja) | 軽量繊維板の製造方法 | |
JP6918183B1 (ja) | 除湿部材、除湿ローター、および、除湿部材の製造方法 | |
JP2001027271A (ja) | 摩擦材 | |
KR100817109B1 (ko) | 허니컴 구조체용 세라믹 페이퍼의 제조방법 및 이를 이용한허니컴 구조체 | |
JP2019116076A (ja) | 多層マット及び多層マットの製造方法 |