JPWO2011068225A1 - ガラス板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
表面へのNa+の溶出が抑えられた安価なガラス板およびその製造方法を提供する。少なくともSi、Al、CaおよびNaの各元素を含むソーダライムシリカガラスからなるガラス板であって、ガラス板の少なくとも一方の表面から2000nmの深さにおけるNa量を100%としたとき、前記表面から20nmの深さにおけるNa量が、45%以下であり、前記表面から40nmの深さにおけるNa量が、70%以下であり、前記表面から60nmの深さにおけるNa量が、80%以下であるガラス板。
Description
本発明は、表面へのNa+の溶出が抑えられたガラス板およびその製造方法に関する。
建築用ガラス板、車両用ガラス板(自動車用窓ガラス等)、太陽電池用ガラス板(カバーガラス、薄膜太陽電池用ガラス基板)、太陽熱発電集光ミラー用ガラス基板等には、汎用性があり製造しやすいことから、Si、Al、Na、Ca等の各元素を含むソーダライムシリカガラスが用いられている。
しかし、Naを含むソーダライムシリカガラスからなるガラス板においては、表面にNa+が溶出しやすく、そのため、下記の問題が生ずる。
(1)ガラス板の表面に設けられる反射防止膜と、経時的にガラス板の表面に溶出したNa+とが反応し、反射防止膜がガラス板から剥離する。
(2)薄膜太陽電池用ガラス基板等の表面に設けられた透明導電膜と、経時的にガラス板の表面に溶出したNa+とが反応し、透明導電膜が劣化する。
(3)長期間屋外で用いた場合、経時的にガラス板の表面に溶出したNa+によってヤケとよばれる白濁等が発生する。
なお、経時的なガラス板の表面へのNa+の溶出は、単に時間の経過にともないNa+が溶出する現象を指すほか、ガラス板を加工する際に必要とされる加熱工程においてNa+が溶出する現象も含む。
(1)ガラス板の表面に設けられる反射防止膜と、経時的にガラス板の表面に溶出したNa+とが反応し、反射防止膜がガラス板から剥離する。
(2)薄膜太陽電池用ガラス基板等の表面に設けられた透明導電膜と、経時的にガラス板の表面に溶出したNa+とが反応し、透明導電膜が劣化する。
(3)長期間屋外で用いた場合、経時的にガラス板の表面に溶出したNa+によってヤケとよばれる白濁等が発生する。
なお、経時的なガラス板の表面へのNa+の溶出は、単に時間の経過にともないNa+が溶出する現象を指すほか、ガラス板を加工する際に必要とされる加熱工程においてNa+が溶出する現象も含む。
そのため、表面に反射防止膜、透明導電膜等の機能膜を設ける用途、特に太陽電池用ガラス板には、表面へのNa+の溶出が抑えられたガラス板が要望されている。
なお、表面にNa+が溶出しないガラスとしては、Naを含まない無アルカリガラスが知られている。しかし無アルカリガラスは、用いる原料が溶解しにくく製造工程が煩雑になり、品種の多い建築用ガラス板、自動車用ガラス板、太陽電池用ガラス板等には不向きである。また、機能膜へのNa+の溶出を抑えるために、ガラス板と機能膜や太陽電池層などとの間にアルカリバリヤ膜を介在させることが知られている(特許文献1参照)。しかしこのようなNa+の溶出抑制手段では、アルカリバリヤ膜をガラス板の表面に設ける工程が増える。
なお、表面にNa+が溶出しないガラスとしては、Naを含まない無アルカリガラスが知られている。しかし無アルカリガラスは、用いる原料が溶解しにくく製造工程が煩雑になり、品種の多い建築用ガラス板、自動車用ガラス板、太陽電池用ガラス板等には不向きである。また、機能膜へのNa+の溶出を抑えるために、ガラス板と機能膜や太陽電池層などとの間にアルカリバリヤ膜を介在させることが知られている(特許文献1参照)。しかしこのようなNa+の溶出抑制手段では、アルカリバリヤ膜をガラス板の表面に設ける工程が増える。
本発明は、表面へのNa+の溶出が抑えられたガラス板およびその製造方法を提供する。
本発明のガラス板は、少なくともSi、Al、CaおよびNaの各元素を含むソーダライムシリカガラスからなるガラス板であって、ガラス板の少なくとも一方の表面から2000nmの深さにおけるNa量を100%としたとき、前記表面から20nmの深さにおけるNa量が、45%以下であり、前記表面から40nmの深さにおけるNa量が、70%以下であり、前記表面から60nmの深さにおけるNa量が、80%以下であることを特徴とする。
また、本発明のガラス板は、酸化物基準の質量百分率表示で、
SiO2 :60〜80%、
Al2O3:2〜10%、
MgO :0〜10%、
CaO :1〜18%、
Na2O :5〜20%、
K2O :0〜5%、
を含むことが好ましく、
SiO2 :66〜72%、
Al2O3:5〜10%、
MgO :4〜8%、
CaO :6〜15%、
Na2O :7〜17%、
K2O :0〜1%、
を含むことがさらに好ましい。
SiO2 :60〜80%、
Al2O3:2〜10%、
MgO :0〜10%、
CaO :1〜18%、
Na2O :5〜20%、
K2O :0〜5%、
を含むことが好ましく、
SiO2 :66〜72%、
Al2O3:5〜10%、
MgO :4〜8%、
CaO :6〜15%、
Na2O :7〜17%、
K2O :0〜1%、
を含むことがさらに好ましい。
本発明のガラス板の製造方法は、少なくともSi、Al、CaおよびNaの各元素を含むソーダライムシリカガラスからなるガラス板の製造方法であって、溶融ガラスをガラス板に成形し、該ガラス板を冷却する際に、表面温度が該ガラス板のガラス転移温度+50℃から該ガラス板のガラス転移温度−150℃までの間にある該ガラス板の少なくとも一方の表面に、SO2ガスまたはSO3ガスを接触させ、冷却後における前記表面から2000nmの深さにおけるNa量を100%としたとき、前記表面から20nmの深さにおけるNa量が、45%以下であり、前記表面から40nmの深さにおけるNa量が、70%以下であり、前記表面から60nmの深さにおけるNa量が、80%以下であるガラス板を得ることを特徴とする。
本発明のガラス板は、表面へのNa+の溶出が、経時においても抑えられる。
また、本発明のガラス板の製造方法によれば、表面へのNa+の溶出が抑えられたガラス板を製造できる。
また、本発明のガラス板の製造方法によれば、表面へのNa+の溶出が抑えられたガラス板を製造できる。
本発明のガラス板は、少なくともSi、Al、CaおよびNaの各元素を含むソーダライムシリカガラスからなるガラス板の少なくとも一方の表面付近におけるNa量の深さ方向の分布を変化させることによって、該表面へのNa+の溶出を抑えたことに特徴がある。
本発明のガラス板におけるNa量の分布は、下記の条件(I)を満たす。
条件(I):
ガラス板の表面から2000nmの深さにおけるNa量を100%としたとき、
ガラス板の表面から20nmの深さにおけるNa量が、45%以下であり、
ガラス板の表面から40nmの深さにおけるNa量が、70%以下であり、
ガラス板の表面から60nmの深さにおけるNa量が、80%以下である。
本発明のガラス板は、少なくとも一方の表面付近のNa量の分布が条件(I)を満たすことによって、経時による該表面へのNa+の溶出が充分に抑えられる。
条件(I):
ガラス板の表面から2000nmの深さにおけるNa量を100%としたとき、
ガラス板の表面から20nmの深さにおけるNa量が、45%以下であり、
ガラス板の表面から40nmの深さにおけるNa量が、70%以下であり、
ガラス板の表面から60nmの深さにおけるNa量が、80%以下である。
本発明のガラス板は、少なくとも一方の表面付近のNa量の分布が条件(I)を満たすことによって、経時による該表面へのNa+の溶出が充分に抑えられる。
本発明のガラス板におけるNa量の分布は、下記の条件(II)を満たすことが好ましい。
条件(II):
ガラス板の表面から2000nmの深さにおけるNa量を100%としたとき、
ガラス板の表面から20nmの深さにおけるNa量が、40%以下であり、
ガラス板の表面から40nmの深さにおけるNa量が、60%以下であり、
ガラス板の表面から60nmの深さにおけるNa量が、70%以下である。
条件(II):
ガラス板の表面から2000nmの深さにおけるNa量を100%としたとき、
ガラス板の表面から20nmの深さにおけるNa量が、40%以下であり、
ガラス板の表面から40nmの深さにおけるNa量が、60%以下であり、
ガラス板の表面から60nmの深さにおけるNa量が、70%以下である。
ガラス板の表面から特定の深さにおけるNa量は、下記の方法によって測定される。
Na量の測定方法:
Naの量は、X線光電子分光法により、ガラス中の各元素の濃度プロファイルを測定することで測定される。この際、60Coイオンスパッタを用いてガラス板の表面から内部までエッチング処理しながらX線光電子分光測定を行うことで、ガラス板表面から特定の深さにおけるNa量が測定される。測定する深さは、ガラス板表層から約100nm程度である。
Na量の測定方法:
Naの量は、X線光電子分光法により、ガラス中の各元素の濃度プロファイルを測定することで測定される。この際、60Coイオンスパッタを用いてガラス板の表面から内部までエッチング処理しながらX線光電子分光測定を行うことで、ガラス板表面から特定の深さにおけるNa量が測定される。測定する深さは、ガラス板表層から約100nm程度である。
本発明のガラス板は、下記の組成を有するソーダライムシリカガラスからなることが好ましい。
酸化物基準の質量百分率表示で、
SiO2 :60〜80%、
Al2O3:2〜10%、
MgO :0〜10%、
CaO :1〜18%、
Na2O :5〜20%、
K2O :0〜5%、
を含む。
酸化物基準の質量百分率表示で、
SiO2 :60〜80%、
Al2O3:2〜10%、
MgO :0〜10%、
CaO :1〜18%、
Na2O :5〜20%、
K2O :0〜5%、
を含む。
SiO2の含有量が60%以上であることで、耐候性が良好となるため、好ましい。SiO2の含有量が80%以下であることで、溶融性が良好になり、また失透しにくくなるため、好ましい。SiO2の含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で60〜80%が好ましく、63〜76%がより好ましく、65〜75%がさらに好ましく、66〜72%が最も好ましい。
Al2O3は、耐候性を向上させる成分であり、また、後述するSO2ガスまたはSO3ガスとの接触による脱アルカリを効率よく行わせる成分である。
Al2O3の含有量が2%以上であることで、耐候性が良好となり、後述するSO2ガスまたはSO3ガスとの接触による脱アルカリの効率が良くなる。Al2O3の含有量が10%以下であることで、溶融性がよくなり、また原料コストが高くならないため、好ましい。Al2O3の含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で2〜10%が好ましく、2.5〜10%がより好ましく、4〜10%がさらに好ましく、5〜10%が最も好ましい。
Al2O3の含有量が2%以上であることで、耐候性が良好となり、後述するSO2ガスまたはSO3ガスとの接触による脱アルカリの効率が良くなる。Al2O3の含有量が10%以下であることで、溶融性がよくなり、また原料コストが高くならないため、好ましい。Al2O3の含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で2〜10%が好ましく、2.5〜10%がより好ましく、4〜10%がさらに好ましく、5〜10%が最も好ましい。
MgOはガラス原料の溶融を促進し、耐候性を向上させる成分であり、また、後述するSO2ガスまたはSO3ガスとの接触による脱アルカリを効率よく行わせる成分である。
MgOの含有量が0.1%以上であることで、溶融性、耐候性が良好となり、後述するSO2ガスまたはSO3ガスとの接触による脱アルカリの効率が良くなる。MgOの含有量が10%以下であることで、ガラスが失透しにくくなるため好ましく。MgOの含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で0〜10%が好ましく、0.1〜10%がより好ましく、0.5〜10%であればさらに好ましく、4〜8%が最も好ましい
MgOの含有量が0.1%以上であることで、溶融性、耐候性が良好となり、後述するSO2ガスまたはSO3ガスとの接触による脱アルカリの効率が良くなる。MgOの含有量が10%以下であることで、ガラスが失透しにくくなるため好ましく。MgOの含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で0〜10%が好ましく、0.1〜10%がより好ましく、0.5〜10%であればさらに好ましく、4〜8%が最も好ましい
CaOはガラス原料の溶融を促進し、耐候性を向上させる成分である。
CaOの含有量が1%以上であることで、溶融性、耐候性が良好となる。CaOの含有量が18%以下であることで、ガラスが失透しにくくなるため好ましい。CaOの含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で1〜18%が好ましく、3〜18%がより好ましく、5〜15%がさらに好ましく、6〜15%が最も好ましい。
CaOの含有量が1%以上であることで、溶融性、耐候性が良好となる。CaOの含有量が18%以下であることで、ガラスが失透しにくくなるため好ましい。CaOの含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で1〜18%が好ましく、3〜18%がより好ましく、5〜15%がさらに好ましく、6〜15%が最も好ましい。
Na2Oはガラス原料の溶融を促進する成分である。
Na2Oの含有量が5%以上であることで、溶融性が良好となる。Na2Oの含有量が20%以下であることで、ガラスの耐候性が良くなるため好ましい。Na2Oの含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で5〜20%が好ましく、6〜19%がより好ましく、7〜18%がさらに好ましく、7〜17%が最も好ましい。
Na2Oの含有量が5%以上であることで、溶融性が良好となる。Na2Oの含有量が20%以下であることで、ガラスの耐候性が良くなるため好ましい。Na2Oの含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で5〜20%が好ましく、6〜19%がより好ましく、7〜18%がさらに好ましく、7〜17%が最も好ましい。
K2Oはガラス原料の溶融を促進し、Na2Oと共に用いることでガラスの耐候性を向上させる成分である。K2Oの含有量が5%以下であることで、原料コストが高くならず好ましい。K2Oの含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で0〜5%が好ましく、0〜2.5%がより好ましく、0〜1.5%がさらに好ましく、0〜1%が最も好ましい。
本発明のガラス板は、用途に応じて、着色成分を含んでいてもよい。着色成分としては、Fe、Ti、Co、Cr、V、Mn、Ce等の各元素が挙げられる。ただし、近赤外線領域の光も利用する太陽電池用ガラス板の用途においては、近赤外線領域の光を吸収するFe(特に2価のFe)をできるだけ含まない(具体的にはFe2O3に換算した全Feの含有量が酸化物基準の質量百分率表示で0.1%以下である)ことが好ましい。
本発明のガラス板は、清澄剤として用いたSnO2を含んでいてもよい。SnO2の含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で0.5%以下が好ましい。SnO2の含有量が0.5%以下であれば、SnO2の揮散が少なく、コストを低く抑えることができる。SnO2の含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で0〜0.3%がより好ましく、0〜0.1%がさらに好ましい。
本発明のガラス板は、清澄剤として用いたSO3を含んでいてもよい。SO3の含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で1%以下が好ましい。SO3の含有量が1%以下であれば、SO3のガス成分が気泡としてガラス中に残らない。SO3の含有量は、酸化物基準の質量百分率表示で0.02〜0.5%がより好ましく、0.05〜0.2%がさらに好ましい。
本発明のガラス板は、建築用ガラス板、車両用ガラス板、太陽電池用ガラス板のいずれにも用いることができ、特に太陽電池用ガラス板、太陽熱発電集光ミラー用ガラス基板等として好適である。
自動車用窓ガラスとして用いる場合は、必要に応じて、複数のガラス板を中間膜で挟んだ合せガラス、平面状のガラスを曲面に加工した曲げガラス、強化処理をした強化ガラスとして用いる。
また、太陽電池用ガラス板として用いる場合は、カバーガラスとして用いてもよく、薄膜太陽電池用ガラス基板として用いてもよい。
自動車用窓ガラスとして用いる場合は、必要に応じて、複数のガラス板を中間膜で挟んだ合せガラス、平面状のガラスを曲面に加工した曲げガラス、強化処理をした強化ガラスとして用いる。
また、太陽電池用ガラス板として用いる場合は、カバーガラスとして用いてもよく、薄膜太陽電池用ガラス基板として用いてもよい。
本発明のガラス板は、たとえば、下記の工程(i)〜(vi)を順に経て製造される。
(i)目標とする組成になるように、各種のガラス母組成原料、清澄剤等を混合し、ガラス原料を調製する。
(ii)ガラス原料を溶融させて溶融ガラスとする。
(iii)溶融ガラスを清澄した後、フロート法等により所定の厚さのガラス板に成形する。
(iv)ガラス板を冷却する。この際、ガラス板の少なくとも一方の表面(必要に応じて両方の表面)に、SO2ガスまたはSO3ガスを接触させる。
(v)ガラス板を所定の大きさに切断し、本発明のガラス板とする。
(vi)必要に応じて、切断したガラス板を強化処理してもよく、合せガラスに加工してもよく、複層ガラスに加工してもよい。
(i)目標とする組成になるように、各種のガラス母組成原料、清澄剤等を混合し、ガラス原料を調製する。
(ii)ガラス原料を溶融させて溶融ガラスとする。
(iii)溶融ガラスを清澄した後、フロート法等により所定の厚さのガラス板に成形する。
(iv)ガラス板を冷却する。この際、ガラス板の少なくとも一方の表面(必要に応じて両方の表面)に、SO2ガスまたはSO3ガスを接触させる。
(v)ガラス板を所定の大きさに切断し、本発明のガラス板とする。
(vi)必要に応じて、切断したガラス板を強化処理してもよく、合せガラスに加工してもよく、複層ガラスに加工してもよい。
工程(i):
ガラス母組成原料としては、珪砂、長石等、通常のソーダライムシリカガラスの原料として用いられているものが挙げられる。
清澄剤としては、SnO2、SO3等が挙げられる。
ガラス原料は、上述した好ましい組成を有するソーダライムシリカガラスが得られるように、後述する工程(iii)における脱アルカリの影響を加味して調製することが好ましい。なお、工程(iii)において脱アルカリが起こるのはガラス板の表面付近のごく限られた領域のみであり、脱アルカリによって最終的に得られるガラス板の組成に与える影響は少ない。
ガラス母組成原料としては、珪砂、長石等、通常のソーダライムシリカガラスの原料として用いられているものが挙げられる。
清澄剤としては、SnO2、SO3等が挙げられる。
ガラス原料は、上述した好ましい組成を有するソーダライムシリカガラスが得られるように、後述する工程(iii)における脱アルカリの影響を加味して調製することが好ましい。なお、工程(iii)において脱アルカリが起こるのはガラス板の表面付近のごく限られた領域のみであり、脱アルカリによって最終的に得られるガラス板の組成に与える影響は少ない。
工程(ii):
ガラス原料の溶融は、たとえば、ガラス原料を連続的に溶融窯に供給し、重油等により約1500℃に加熱することによって行われる。
ガラス原料の溶融は、たとえば、ガラス原料を連続的に溶融窯に供給し、重油等により約1500℃に加熱することによって行われる。
工程(iv):
高温のガラス板の表面にSO2ガスまたはSO3ガスを接触させると、ガラス板の表面付近にあるNa+とSO2ガスまたはSO3ガスが反応してNa2SO4が生成する。Na2SO4は、ガラス板の表面に析出し、ガラス板の表面から脱落するため、ガラス板の表面付近が脱アルカリされ、ガラス板の表面付近におけるNa量の分布が上述した条件(I)(好ましくは条件(II))を満たすようになる。
高温のガラス板の表面にSO2ガスまたはSO3ガスを接触させると、ガラス板の表面付近にあるNa+とSO2ガスまたはSO3ガスが反応してNa2SO4が生成する。Na2SO4は、ガラス板の表面に析出し、ガラス板の表面から脱落するため、ガラス板の表面付近が脱アルカリされ、ガラス板の表面付近におけるNa量の分布が上述した条件(I)(好ましくは条件(II))を満たすようになる。
この際、ガラス板のAl2O3の含有量が酸化物基準の質量百分率表示で2%以上(好ましくは5%以上、より好ましくは5%以上)であれば、ガラス板の表面にNa+が移動しやすくなり、SO2ガスまたはSO3ガスとの接触による脱アルカリが効率よく行われる。また、ガラス板のMgOの含有量が酸化物基準の質量百分率表示で3%以上(好ましくは4%以上)であれば、ガラス板の表面にNa+がさらに移動しやすくなり、SO2ガスまたはSO3ガスとの接触による脱アルカリがより効率よく行われる。
本発明のガラス板を製造するにあたり、ガラス板の表面にSO2ガスまたはSO3ガスを接触させる際の、ガラス板の表面温度は、ガラス板のガラス転移温度+50℃からガラス板のガラス転移温度−150℃までの間であることが好ましい。ガラス板の表面温度がガラス板のガラス転移温度以上であれば、Na+とSO2ガスまたはSO3ガスとの反応が充分に進行する。ガスを接触させる際のガラス板の表面温度がガラス板のガラス転移温度+50℃以下であることで、ガラス中のアルカリ移動量が多くなりすぎず、SO2ガスまたはSO3ガスとの接触により形成された脱アルカリ層が緩和しにくくなり、またガラスが変形しにくくなるため好ましい。
ガラス板の表面温度は、ガラス板に直接熱電対式の温度計を接触させる、放射温度計を用いる等の方法により測定される。ガラス板のガラス転移温度は、日本工業規格(JIS)R3103−3に定められた方法に従い測定される。
ガラス板の表面へのSO2ガスまたはSO3ガスの接触は、たとえば、ガラス板の表面にSO2ガスまたはSO3ガスを吹き付ける方法等によって行われる。
ガラス板の表面に吹き付けるSO2ガスまたはSO3ガスの量は、ガラス板の表面付近におけるNa量の分布が上述した条件(I)(好ましくは条件(II))を満たすように適宜調整する。
ガラス板の表面に吹き付けるSO2ガスまたはSO3ガスの量は、ガラス板の表面付近におけるNa量の分布が上述した条件(I)(好ましくは条件(II))を満たすように適宜調整する。
本発明のガラス板を、フロート法で製造する場合、ガラス板の表面へのSO2ガスまたはSO3ガスの接触を次のように行うことが好ましい。すなわち、調整されたガラス原料が溶解槽に投入され、溶融したガラスが適宜清澄の後フロートバスにおいて板ガラスに成形される。成形された板ガラスは、徐冷却工程において徐冷却され、所定の寸法に切断されてガラス板として使用される。この徐冷工程において、成形された板ガラスは600℃程度から徐々に冷却されるので、上述のSO2ガスまたはSO3ガスの接触に好適な温度、すなわちガラス板のガラス転移温度+50℃からガラス板のガラス転移温度−150℃までの間に、徐冷ゾーンに配置されたガス吹き付け装置から徐冷段階の板ガラスにSO2ガスまたはSO3ガスを吹き付けることができる。その後、板ガラス表面に生成されたNa2SO4を洗浄除去し、適宜切断することで、本発明のガラス板が好適に得られる。
なお、表面付近のNa量が減っている本発明のガラス板を製造する方法としては、上述したガラス板の表面にSO2ガスまたはSO3ガスを接触させるほかに、ガラス板の表面にフッ素ガス等のハロゲンガスを吹きつけたり、ガラス板を温水に接触させたり浸漬させたりすることで、得ることができる。溶融ガラスをフロート法やダウンドロー法で成形して板ガラスを製造することで、ガラス板を得る場合には、板ガラスへの成形工程の後の徐冷却工程においてSO2ガスまたはSO3ガスを吹き付けることができる。この場合、雰囲気中に舞うガスの成形工程への影響を少なくできる点で、SO2ガスまたはSO3ガスを用いることが好ましい。
以上説明した本発明のガラス板にあっては、ガラス板の表面付近におけるNa量の分布が上述した条件(I)を満たすため、経時による表面へのNa+の溶出が抑えられる。
また、少なくともSi、Al、CaおよびNaの各元素を含むソーダライムシリカガラスからなる安価なガラスを用い、表面付近のみNa量を減らしているため、無アルカリガラスに比べ、安価である。
また、ガラス板の表面付近のNa量が減ってガラス板の表面付近のSiO2の量が多くなっているため、ガラス板の表面付近の屈折率が下がる。その結果、ガラス板の反射率が下がり、また、透過率が上がる。
また、少なくともSi、Al、CaおよびNaの各元素を含むソーダライムシリカガラスからなる安価なガラスを用い、表面付近のみNa量を減らしているため、無アルカリガラスに比べ、安価である。
また、ガラス板の表面付近のNa量が減ってガラス板の表面付近のSiO2の量が多くなっているため、ガラス板の表面付近の屈折率が下がる。その結果、ガラス板の反射率が下がり、また、透過率が上がる。
以上説明した本発明のガラス板の製造方法にあっては、表面温度が該ガラス板のガラス転移温度+50℃から該ガラス板のガラス転移温度−150℃までの間にある該ガラス板の表面に、SO2ガスまたはSO3ガスを接触させ、表面付近におけるNa量の分布が上述した条件(I)を満たすガラス板を得ているため、表面へのNa+の溶出が抑えられたガラス板を安価に製造できる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。
例1〜8は実施例であり、例9は比較例である。また、これらの例のうち、例4〜9は実験例であり、例1〜3はシミュレーション(模擬実験)による例である。
例1〜8は実施例であり、例9は比較例である。また、これらの例のうち、例4〜9は実験例であり、例1〜3はシミュレーション(模擬実験)による例である。
(実験例にかかる例4〜8のガラス板の作製)
実験例にかかる例4〜8のガラス板を、次のように作製した。まず、SO2ガスによる脱アルカリの影響を加味して、最終的に得られるガラス板の組成が表1に示す組成となるように各原料を混合し、ガラス原料を調製した。
ガラス原料をるつぼに入れ、電気炉中で1500℃に加熱し、溶融ガラスとした。
溶融ガラスをカーボン板上に流し出し、所定の温度で徐冷した。冷却後、ガラスの両面を研磨し、厚さ2mmのガラス板を得た。該ガラス板を500℃に予熱した後、600℃〜610℃に加熱された電気炉中で保持し、175ml/minのO2ガス(N2ガスやO2ガスとN2ガスとの混合ガスでもよいが、本例ではO2ガスを用いた)をキャリアガスとして、SO2ガスを25ml/minの流量でガラス板の表面に吹きつけた。その後電気炉内のガスをキャリアガスにより置換した後、該ガラス板を電気炉内より取り出した。
実験例にかかる例4〜8のガラス板を、次のように作製した。まず、SO2ガスによる脱アルカリの影響を加味して、最終的に得られるガラス板の組成が表1に示す組成となるように各原料を混合し、ガラス原料を調製した。
ガラス原料をるつぼに入れ、電気炉中で1500℃に加熱し、溶融ガラスとした。
溶融ガラスをカーボン板上に流し出し、所定の温度で徐冷した。冷却後、ガラスの両面を研磨し、厚さ2mmのガラス板を得た。該ガラス板を500℃に予熱した後、600℃〜610℃に加熱された電気炉中で保持し、175ml/minのO2ガス(N2ガスやO2ガスとN2ガスとの混合ガスでもよいが、本例ではO2ガスを用いた)をキャリアガスとして、SO2ガスを25ml/minの流量でガラス板の表面に吹きつけた。その後電気炉内のガスをキャリアガスにより置換した後、該ガラス板を電気炉内より取り出した。
(比較例にかかる例9のガラス板の作製)
例9のガラス板は、SO2ガスの吹き付けがないこと以外は例4、7のガラス板と同様にして、作製した。
こうして得られたガラス板について、ガラス板の表面付近のNa量の分布の測定、後述するガラス板の表面付近の脱Na量の指標であるdS値、ガラス板の表面に設けられた反射防止膜の耐剥離性の評価を行った結果を表1に示す。各値の測定や評価は、次のように行った。
例9のガラス板は、SO2ガスの吹き付けがないこと以外は例4、7のガラス板と同様にして、作製した。
こうして得られたガラス板について、ガラス板の表面付近のNa量の分布の測定、後述するガラス板の表面付近の脱Na量の指標であるdS値、ガラス板の表面に設けられた反射防止膜の耐剥離性の評価を行った結果を表1に示す。各値の測定や評価は、次のように行った。
(ガラス板の表面付近のNa量の分布:例4、7、9)
ガラス板の表面から特定の深さにおけるNa量は、X線光電子分光法により下記のようにして測定した。
Naの量は、X線光電子分光法により、ガラス中のNaの濃度プロファイル(濃度分布)を測定し、求めた。ガラス板の表面から特定の深さにおけるNa量を測定するために、ガラス板の表面を、60Coイオンスパッタを用いてエッチング(etching)していった。具体的には、60Coイオンスパッタの条件として10kV、10nA、入射角度67度、X線光電子分光法の測定条件として単色化Al−KαX線源、検出角度75度、検出ピークとしてNa2s、Ca2s、Mg2s、Al2p、Si2p、O1sをモニターしながらガラス板表面から約100nmの深さまで深さ方向の濃度プロファイルの測定を行った。ガラス板表面から2000nmの深さにおけるNa量と2000nm以上の深さにおけるNa量とに大きな違いはないので、この2000nmの深さにおけるNa量は、ガラス板の破片の断面一般部のX線光電子分光法による測定で代用した。
ガラス板の表面から特定の深さにおけるNa量は、X線光電子分光法により下記のようにして測定した。
Naの量は、X線光電子分光法により、ガラス中のNaの濃度プロファイル(濃度分布)を測定し、求めた。ガラス板の表面から特定の深さにおけるNa量を測定するために、ガラス板の表面を、60Coイオンスパッタを用いてエッチング(etching)していった。具体的には、60Coイオンスパッタの条件として10kV、10nA、入射角度67度、X線光電子分光法の測定条件として単色化Al−KαX線源、検出角度75度、検出ピークとしてNa2s、Ca2s、Mg2s、Al2p、Si2p、O1sをモニターしながらガラス板表面から約100nmの深さまで深さ方向の濃度プロファイルの測定を行った。ガラス板表面から2000nmの深さにおけるNa量と2000nm以上の深さにおけるNa量とに大きな違いはないので、この2000nmの深さにおけるNa量は、ガラス板の破片の断面一般部のX線光電子分光法による測定で代用した。
(反射防止膜の密着性および耐候性の評価:例4〜9)
ガラス板の表面に設けられる反射防止膜の経時による密着性(剥離防止性)および耐候性を下記のようにして評価した。
上記の密着性や耐候性は、ヤケと呼ばれる白濁の有無に左右されることがある。そこで、ガラス板を120℃、100%RH、20時間の加速試験に供することで、ヤケの発生有無を目視で評価した。すなわち、加速試験に供しないガラス(リファレンスガラス)と外観が同等のものを「◎」、リファレンスガラスと外観がほぼ変わらないものを「○」、リファレンスガラスと外観が異なりヤケが顕著であるものを「×」として、判定した。
ガラス板の表面に設けられる反射防止膜の経時による密着性(剥離防止性)および耐候性を下記のようにして評価した。
上記の密着性や耐候性は、ヤケと呼ばれる白濁の有無に左右されることがある。そこで、ガラス板を120℃、100%RH、20時間の加速試験に供することで、ヤケの発生有無を目視で評価した。すなわち、加速試験に供しないガラス(リファレンスガラス)と外観が同等のものを「◎」、リファレンスガラスと外観がほぼ変わらないものを「○」、リファレンスガラスと外観が異なりヤケが顕著であるものを「×」として、判定した。
(ガラス板の表面付近の脱Na量の指標dS値の測定:例4〜9)
また、ガラス表面にSO2ガスまたはSO3ガスを接触させると、ガラス表面にNa2SO4が生成される。そこで、この生成されたNa2SO4に含まれるS原子(硫黄原子)の量を蛍光X線分析により測定した。このS原子の測定値(dS:単位「個」)とガラス表面から脱離したNa量とは、dS値が増加すれば離脱したNa量も増加する正の相関関係であることをICP(誘導結合プラズマ)発光分析法および原子吸光法により確認した。すなわち、ガラス表面にSO2ガスまたはSO3ガスを接触させた後のガラス中に存在するNa量とdS値とが負の相関関係であることを確認した。そこで、実験例においては蛍光X線分析結果によるdSを、シミュレーション例においては計算結果によるdSを、それぞれ得た。
dSは、以下の計算方法により求めた。
dS=[SO2処理後試料表面の蛍光X線分析におるS原子量の測定値]−[SO2処理前試料表面の蛍光X線分析におるS原子量の測定値]
また、ガラス表面にSO2ガスまたはSO3ガスを接触させると、ガラス表面にNa2SO4が生成される。そこで、この生成されたNa2SO4に含まれるS原子(硫黄原子)の量を蛍光X線分析により測定した。このS原子の測定値(dS:単位「個」)とガラス表面から脱離したNa量とは、dS値が増加すれば離脱したNa量も増加する正の相関関係であることをICP(誘導結合プラズマ)発光分析法および原子吸光法により確認した。すなわち、ガラス表面にSO2ガスまたはSO3ガスを接触させた後のガラス中に存在するNa量とdS値とが負の相関関係であることを確認した。そこで、実験例においては蛍光X線分析結果によるdSを、シミュレーション例においては計算結果によるdSを、それぞれ得た。
dSは、以下の計算方法により求めた。
dS=[SO2処理後試料表面の蛍光X線分析におるS原子量の測定値]−[SO2処理前試料表面の蛍光X線分析におるS原子量の測定値]
(ガラス板のガラス板のガラス転移温度)
ガラス板のガラス転移温度は、それぞれのガラス組成をもつ場合のガラス転移温度を計算により求めた。
ガラス板のガラス転移温度は、それぞれのガラス組成をもつ場合のガラス転移温度を計算により求めた。
例4、例7および例8の本発明のガラス板は、ガラス板の表面付近におけるNa量の分布が上述した条件(I)を満たしているため、表面へのNa+の溶出が抑えられ、その結果、表面に設けられた反射防止膜が剥離しにくく、また、耐候性にも優れたものである。
例9のガラス板は、通常のソーダライムシリカガラスの組成であり、SO2ガスとの接触の際に表面にNa+が溶出しにくく、脱アルカリが効率よく行われなかったため、ガラス板の表面付近におけるNa量の分布が上述した条件(I)を満たすことなく、その結果、表面に設けられた反射防止膜が剥離しやすく、また、耐候性にも劣っていた。
例1〜3はdSの値が、例9より大きく、例4に近い値であるために、ガラス板の表面付近におけるNa量の分布は、条件(I)を満たしているものと考える。
また、例5および6はdSの値が、例4と例7の間にあること、および、密着性・耐候性試験が「○」であることから、ガラス板の表面付近におけるNa量の分布は、条件(I)を満たしているものと考える。
例9のガラス板は、通常のソーダライムシリカガラスの組成であり、SO2ガスとの接触の際に表面にNa+が溶出しにくく、脱アルカリが効率よく行われなかったため、ガラス板の表面付近におけるNa量の分布が上述した条件(I)を満たすことなく、その結果、表面に設けられた反射防止膜が剥離しやすく、また、耐候性にも劣っていた。
例1〜3はdSの値が、例9より大きく、例4に近い値であるために、ガラス板の表面付近におけるNa量の分布は、条件(I)を満たしているものと考える。
また、例5および6はdSの値が、例4と例7の間にあること、および、密着性・耐候性試験が「○」であることから、ガラス板の表面付近におけるNa量の分布は、条件(I)を満たしているものと考える。
本発明のガラス板は、建築用ガラス板、車両用ガラス板(自動車用窓ガラス等)、太陽電池用ガラス板(カバーガラス、薄膜太陽電池用ガラス基板)、太陽熱集光ミラー用ガラス基板等として好適である。
なお、2009年12月4日に出願された日本特許出願2009−276315号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
なお、2009年12月4日に出願された日本特許出願2009−276315号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
Claims (4)
- 少なくともSi、Al、CaおよびNaの各元素を含むソーダライムシリカガラスからなるガラス板であって、
ガラス板の少なくとも一方の表面から2000nmの深さにおけるNa量を100%としたとき、
前記表面から20nmの深さにおけるNa量が、45%以下であり、
前記表面から40nmの深さにおけるNa量が、70%以下であり、
前記表面から60nmの深さにおけるNa量が、80%以下である、ガラス板。 - 酸化物基準の質量百分率表示で、
SiO2 :60〜80%、
Al2O3:2〜10%、
MgO :0〜10%、
CaO :1〜18%、
Na2O :5〜20%、
K2O :0〜5%、
を含む、請求項1に記載のガラス板。 - 酸化物基準の質量百分率表示で、
SiO2 :66〜72%、
Al2O3:5〜10%、
MgO :4〜8%、
CaO :6〜15%、
Na2O :7〜17%、
K2O :0〜1%、
を含む、請求項1に記載のガラス板。 - 少なくともSi、Al、CaおよびNaの各元素を含むソーダライムシリカガラスからなるガラス板の製造方法であって、
溶融ガラスをガラス板に成形し、該ガラス板を冷却する際に、表面温度が該ガラス板のガラス転移温度+50℃から該ガラス板のガラス転移温度−150℃までの間にある該ガラス板の少なくとも一方の表面に、SO2ガスまたはSO3ガスを接触させ、
冷却後における前記表面から2000nmの深さにおけるNa量を100%としたとき、
前記表面から20nmの深さにおけるNa量が、45%以下であり、
前記表面から40nmの深さにおけるNa量が、70%以下であり、
前記表面から60nmの深さにおけるNa量が、80%以下であるガラス板を得る、
ガラス板の製造方法。
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