JPWO2011043026A1 - リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
充放電の繰り返しによる発生するクラックを低減させることにより、サイクル特性の低下が抑制された、高容量のリチウムイオン二次電池を提供する。集電体シートと、集電体シートに支持された負極活物質層とを備え、集電体シートは、規則的なパターンに沿って配置された凸部と、凸部間に存在する平坦部とを有し、負極活物質層は、合金系負極活物質からなる、各凸部に支持された略紡錘状の柱状体と平坦部に支持された隆起体とを備え、隆起体の高さは、隣接する柱状体の最近接位置の高さよりも低く、隣接する2つの柱状体及び柱状体間に挟まれた隆起体の中央部を通過する仮想直線から、集電体シートの表面に向けて仮想切断した鉛直断面において、隣接する2つの柱状体同士の最近接位置を結ぶ線分と平坦部の表面と2つの柱状体の側面とによって規定される空間の断面積に対して、隆起体の断面積が占める割合が平均25%以上であるリチウムイオン二次電池用負極。
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池用負極およびそれを用いたリチウムイオン二次電池に関する。詳しくは、本発明は、合金系活物質を用いた負極の改良に関する。
近年、ポータブルコンピュータや携帯電話機などのポータブル機器に用いられる電池の需要が増大している。ポータブル機器用の電池には、高容量、高エネルギー密度、及び優れたサイクル特性が求められる。リチウムイオン二次電池はこのような要求を満たす電池である。
リチウムイオン二次電池は、リチウムイオンを吸蔵および放出する正極及び負極と、正極と負極とを隔離するセパレータと、リチウムイオン伝導性を有する電解質と、を備える。負極は通常、銅箔などの負極集電体の表面に負極活物質層が支持されて形成されている。負極活物質層に含まれる負極活物質として、従来から、黒鉛などの炭素系負極活物質が用いられている。近年、炭素系負極活物質よりも高容量、高エネルギー密度の負極活物質として、所謂、合金系負極活物質も知られている。合金系負極活物質は、例えば、ケイ素やスズの、単体,酸化物,又はこれらの合金を含む。リチウムイオン二次電池を充放電する際には、合金系負極活物質はリチウムイオンを可逆的に吸蔵または放出する。合金系負極活物質は、可逆的に、リチウムイオンを吸蔵することによりリチウムと合金化して膨張し、リチウムイオンを放出することにより脱合金化して収縮する。
負極活物質はリチウムイオンを吸蔵することにより顕著に膨張する。リチウムイオンの吸蔵による合金系負極活物質の膨張率は、炭素系負極活物質の膨張率に比べて著しく高い。充電時には、負極集電体自身は、合金系負極活物質の著しい膨張に対して充分に追従して変形することができない。このために、充電時に、負極集電体が部分的に損傷したり、負極集電体から負極活物質層が部分的に剥離したりするおそれがあった。この場合には、負極集電体と負極活物質層との間に隙間ができて、両者間の電気伝導性が低下することにより充放電特性が低下するおそれがあった。また、充放電を繰り返した場合には、集電体に皺、うねり、歪み等が生じるおそれもあった。この場合には、セパレータおよび正極との間に隙間が生じることにより、充放電反応が電池内で不均一になり、局部的な電池の特性低下を引き起こすおそれもあった。
膨張の際に発生する合金系活物質の内部応力を緩和するために、負極活物質層の内部に空隙を設けた負極が知られている。具体的には、例えば、下記特許文献1は、負極集電体の平坦な表面にシリコン薄膜を形成し、形成されたシリコン薄膜を部分的に除去することによりシリコンの柱状凸部を形成させることを開示している。特許文献1は、このような負極によれば、隣接するシリコンの柱状凸部間に空隙を形成することができ、それにより、膨張の際に発生する合金系活物質の内部応力を緩和して皺の発生等を抑制できることを開示している。
特許文献1に開示された電極においては、平坦な集電体の表面に下地層を介して柱状のシリコンが形成されている。このような柱状のシリコンは、充電に伴う正極からのリチウムイオンの吸収により著しく膨張する。そして、膨張しすぎたシリコンは膨張に耐えられなくなり、クラックが発生する。クラックにより露出する面は、活性が高いために電解質を分解させる。従って、このようなクラックの発生は、サイクル特性を低下させる原因になる。
本発明は、高容量の合金系負極活物質を用いたリチウムイオン二次電池において、充放電の繰り返しによるクラックの発生等を低減させることにより、サイクル特性の低下が抑制された、高容量のリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明の一局面のリチウムイオン二次電池用負極は、集電体シートと、集電体シートに支持された負極活物質層とを備え、集電体シートは、規則的な間隔を有するパターンに沿って配置された複数の凸部と、複数の凸部間に存在する複数の平坦部と、からなる表面を有し、負極活物質層は、合金系負極活物質からなる、各凸部に支持された複数の略紡錘状の柱状体と各平坦部に支持された複数の隆起体とを備え、各隆起体の高さは、隣接する柱状体の最近接位置の高さよりも低く、リチウムイオン二次電池の放電状態において、上面視した場合における、隣接する2つの柱状体のそれぞれの中央部及び2つの柱状体間に挟まれた隆起体の中央部を通過する仮想直線から、集電体シートの表面に向けて仮想切断した鉛直断面において、隣接する2つの柱状体同士の最近接位置を結ぶ線分と平坦部の表面と2つの柱状体の側面とによって規定される空間の断面積に対して、隆起体の断面積が占める割合が平均25%以上である。
このようなリチウムイオン二次電池用負極によれば、電池の充電時において膨張した柱状体及び隆起体が互いに接触することにより、負極活物質層内に発生した内部応力を分散させるとともに、負極活物質の膨張が制限される。これにより、負極活物質にクラック等が発生することを抑制できる。また、複数の柱状体間に形成された空間に配された隆起体が電池の容量確保に寄与する。従って、同じ量の合金系負極活物質を集電体に担持する場合において、空間を有効利用できるために、負極活物質層内に生じる内部応力の集中を抑制することができる。
本発明の他の一局面のリチウムイオン二次電池は、リチウムイオン二次電池用負極と、リチウムイオンを吸蔵および放出する正極と、負極および正極を隔離するセパレータと、リチウムイオン伝導性を有する電解質と、を備える。
このようなリチウムイオン二次電池は、高容量であり、サイクル特性にも優れている。
本発明によれば、サイクル特性に優れた高容量のリチウムイオン二次電池を提供することができる。
図面を参照して本実施形態のリチウムイオン二次電池用負極10について詳しく説明する。図1は負極10の一面の上面模式図である。図2は図1のII-II線における縦断面の模式図である。また、図3は、リチウムイオン二次電池(以下単に電池とも呼ぶ)の充電時における負極10の一面の断面模式図を示す。負極10は、負極集電体1と、負極集電体1の両面に支持された負極活物質層2とを備える。図2に示すように、負極集電体1は、その両表面に規則的な間隔を有するパターンに沿って配置された、高さH3の複数の凸部1aを有し、且つ、凸部1a間に平坦部1bを有する、金属シートである。負極活物質層2は、リチウムイオンを吸蔵および放出する合金系負極活物質(以下単に負極活物質とも呼ぶ)からなる。負極活物質層2は、集電体1の凸部1aに支持された高さH1の略紡錘状の柱状体2aと、集電体1の平坦部1bに支持された中央部が隆起した高さH2の隆起体2bとを含む。なお、図1及び図2では、放電状態の負極活物質層2の様子が示されている。
合金系負極活物質としては、ケイ素やスズの、単体,酸化物,及びこれらの合金など、従来から知られた、リチウムイオンと合金を形成する物質が特に限定なく用いられる。これらの中では、SiOx(0≦x≦1.5)で表される酸化ケイ素が、特に高容量を維持できる点から好ましい。xが1.5を超える場合には、容量を確保するためにより厚い負極活物質層2を形成する必要があり、その場合には負極集電体1が反りやすくなる傾向がある。xは、さらに好ましくは、0.3以上1.2以下である。xが0.3以上の場合には、ケイ素単体に比べて充放電に伴う負極活物質の膨張および収縮が小さくなり、膨張収縮時に発生する応力変化を低減することができる。
図1及び図2に示すように、隆起体2bは、隣接する柱状体2aに挟まれた平坦部1bの表面に存在する。そして、隆起体2bは、負極10を上面視した場合における隆起体2bの中心部と、隆起体2bに隣接する2つの柱状体2aのそれぞれの中心部とを通過する直線で垂直切断したときの仮想の縦断面において、柱状体2a同士の最近接位置を結んだ線分Aと、平坦部1bの表面と、2つの柱状体2aの側面とによって規定される空間B内に存在する。図2においては、空間Bは破線で囲まれた領域である。そして、放電状態において、隆起体2bの断面積は、空間Bの断面積の25%以上を占める。ここで、「放電状態」とは、負極10が組み込まれたリチウムイオン二次電池の使用初期の充放電期間(慣らし充放電)における放電状態を意味する。空間Bの断面積に対する隆起体2bの断面積の割合は、放電状態のリチウムイオン二次電池から負極10を取り出し、走査型電子顕微鏡(SEM)で、負極10の任意の断面または水平方向から観察した面の画像を撮影し、空間Bの断面積及び隆起体2bの断面積を測定し、空間Bの断面積に対する隆起体2bの断面積を算出することにより得られる。
負極10においては、複数の柱状体2a間に形成された空間に充放電反応に寄与する負極活物質からなる隆起体2bが形成されている。このような隆起体2bを有する負極活物質層2によれば、負極活物質の膨張時においては、図3に示すように、膨張した隆起体2bと膨張した柱状体2aとが接触することにより、負極活物質層2内に発生した内部応力が分散される。また、電池の充電時においては、柱状体2aと隆起体2bはリチウムイオンを吸蔵して膨張している。そして、膨張した柱状体2aが膨張した隆起体2bに接触して支えられる。これにより、膨張により発生した内部応力による負極活物質層2の膨張が規制される。その結果、電池の充放電を繰り返した場合に、負極活物質が膨張しすぎることによるクラックの発生や、負極集電体の損傷や、負極集電体からの負極活物質の剥離等が抑制される。それにより、サイクル特性が向上する。また、隣接する柱状体2a間の空間に容量確保に寄与する隆起体2を配置することにより、より高い容量を確保することができる。
空間Bの断面積に対する隆起体2bの断面積の割合は25%以上であり、好ましくは30〜60%、さらに好ましくは30〜40%である。空間Bの断面積に対する隆起体2bの断面積の割合が25%を下回る場合には、容量確保のための隆起体2bの寄与が小さくなり、また、負極活物質が膨張しすぎることによりクラックが発生したりする。一方、空間Bの面積に対する隆起体2bの面積の割合の上限は特に限定されないが、高すぎる場合には、柱状体2a間に存在する空間による応力緩和の効果が低くなる傾向がある。
ここで、空間Bに対する隆起体2bの面積の割合を求める方法について詳しく説明する。はじめに、使用初期の負極10が組み込まれたリチウムイオン二次電池を充電する。充電は、例えば、20℃の環境下において、充電レート1Cで電池電圧が4.2Vになるまで定電流充電を行い、引き続いて、電流値が0.05Cになるまで定電圧充電を行う。そして充電されたリチウムイオン二次電池を放電する。放電は放電レート0.2Cで、電池電圧2.5Vになるまで定電流放電を行う。このような、リチウムイオン二次電池の使用初期における、定電流放電後の状態を「初期放電状態」とする。
次に、初期放電状態におけるリチウムイオン二次電池から負極10を含む極板群を取り出す。そして、取り出された極板群から負極10を取り出す。そして、得られた負極10の任意の断面または水平面を走査型電子顕微鏡(SEM)で、例えば、2000倍の倍率で観察する。そして、得られたSEM画像から、2つの柱状体2aの最近接位置を結ぶ線分Aを引く。そして、線分Aと平坦部1bの表面と柱状体2aの側面によって囲まれた領域である空間Bの断面積を測定する。同様にして、同じSEM画像から、空間B内に存在する隆起体2bの断面積を測定する。そして、測定された空間Bの断面積に対する隆起体2bの断面積の占有割合を算出する。占有割合は、空間Bの断面積に対する隆起体2bの断面積を数点、例えば5点算出し、各点の面積割合を算術平均する。このようにして、初期放電状態における負極10の空間Bの断面積に対する隆起体2bの断面積の占有割合が算出される。
放電状態における柱状体2aの断面の形状は側面が部分的に膨らんでいる略紡錘状であり、好ましくは、中央部よりも上側で膨らんだ略紡錘状である。そして、柱状体2aの高さH1は、負極集電体1の平坦部1bからその頂部までの高さとして20〜30μm程度、さらには22〜24μm程度であることが好ましい。柱状体2aの高さH1が高すぎる場合には膨張した柱状体2a同士が密着することにより柱状体2a間で膨張が規制される。しかし、この場合には、空間Bが垂直方向に広がる結果、隆起部2bと柱状体2aとの接触面積が小さくなるために、柱状体2aの下部の膨張を規制しにくくなる傾向がある。また、H1が低すぎる場合には、空間Bが水平方向に広がる結果、隆起部2bと柱状体2aとの接触面が大きくなる傾向がある。しかし、膨張した柱状体2a同士が密着しにくくなるために柱状体2a同士の接触による膨張を規制しにくくなる傾向がある。
放電状態における隆起体2bの頂部の高さH2は、負極集電体1の平坦部1bの表面からその頂部までの高さとして3〜6μm程度、さらには、3〜4μm程度であることが好ましい。
放電状態における隆起体2bの頂部の高さH2は、柱状体2aの頂部の高さH1に対して10〜30%、さらには10〜25%であることが好ましい。隆起体2bの頂部の高さH2の割合が柱状体2aの頂部の高さH1に対して低すぎる場合には、隆起体2bによる容量確保の効果が小さくなり、また、柱状体2aと接触することによる膨張を規制する効果も小さくなる傾向がある。一方、隆起体2bの高さの割合が高すぎる場合には、柱状体2a間に存在する空間による応力緩和の効果が低くなる傾向がある。
放電状態における隆起体2bの形状は、図2に示すように、その中央部がその周囲よりも丘状に隆起していることが、略紡錘状の柱状体の下部の形状に沿った形状であるために好ましい。そして、隆起体2bの中央部の頂部の高さが端部2cの高さの1.3倍以上、さらには1.3〜2.5倍であることが好ましい。このように隆起体2bの頂部の高さが端部2cの高さの1.3倍以上になるように隆起体2bの中央部分が隆起した形状になっている場合には、柱状体2aと隆起体2bとの間で応力を分散させる効果が高くなる点から好ましい。
初期放電状態における負極活物質層2の空隙率は、20〜70%、さらには30〜40%程度であることが好ましい。空隙率が高すぎる場合には負極活物質の密度が小さくなる傾向があり、空隙率が低すぎる場合には柱状体2a間に存在する空間による応力緩和の効果が低くなる傾向がある。負極活物質層2の空隙率は、例えば、水銀ポロシメータを用いた測定によって求めることができる。
なお、負極活物質層2の空隙率が高すぎる場合には、負極活物質層2中の隆起体2bの体積割合が低くなっている傾向がある。すなわち、隣接する柱状体2a同士の間に、容量確保に充分寄与する程度の充分な体積の隆起体2bが形成されていない傾向がある。一方、活物質層2の空隙率が低すぎる場合には、負極活物質層2中の隆起体2bの体積割合が高くなっている傾向がある。このような場合には、柱状体2a間に存在する空間による応力緩和の効果が低くなる傾向がある。
次に、負極10の製造方法の一例について、詳しく説明する。
負極10は、規則的なパターンに沿って配置された複数の凸部1aと平坦部2bとを備えた負極集電体1の表面に、例えば、蒸着プロセスのような気相薄膜形成法を用いて合金系負極活物質を被着させる際に、凸部1aにおける合金系負極活物質の成長速度、及び、凸部1aの陰になる平坦部1bにおける合金系負極活物質の成長速度をコントロールしながら、柱状体2a、及び、隆起体2bを成長形成させることにより得られる。
負極10は、規則的なパターンに沿って配置された複数の凸部1aと平坦部2bとを備えた負極集電体1の表面に、例えば、蒸着プロセスのような気相薄膜形成法を用いて合金系負極活物質を被着させる際に、凸部1aにおける合金系負極活物質の成長速度、及び、凸部1aの陰になる平坦部1bにおける合金系負極活物質の成長速度をコントロールしながら、柱状体2a、及び、隆起体2bを成長形成させることにより得られる。
負極集電体1は、例えば、凸部1aの形状に対応した凹部を表面に備える鋼鉄製ローラでシート状の集電体材料をプレスすることによって形成することができる。
集電体材料の具体例としては、銅箔、銅合金箔、ニッケル箔などが挙げられる。銅合金箔の具体例としては、銅に対してクロム、スズ、亜鉛、ケイ素、ニッケルなどを0.2質量%ずつ添加した銅合金箔、銅に対してスズを0.05〜0.2質量%添加した銅合金箔、銅にジルコニウムを0.02〜0.2質量%添加した銅合金箔、銅にチタンを1〜4質量%添加した銅合金箔などが挙げられる。
凸部1aの高さH3は特に限定されないが、3〜15μm、さらには5〜10μmであることが好ましい。凸部1aの高さが低すぎる場合には、後述するように、合金系負極活物質を蒸着する際の平坦部1bへの蒸着速度を凸部1aの遮蔽効果によりコントロールするシャドウイング効果が現れにくくなり、平坦部1bに合金系活物質が成長形成しすぎてしまう。この場合には隣接する柱状体2a間に空間が形成されにくくなる傾向がある。また、凸部1aの高さが高すぎる場合には、シャドウイング効果が高くなりすぎて、平坦部1bの表面に隆起体2bが形成されにくくなる傾向がある。
各凸部1aの形状は特に限定されず、具体的には、例えば、菱柱状等の柱状、錐状、台形状などが挙げられる。これらの中では、菱柱状が加工の容易性の点から好ましい。
また、凸部1aの規則的な配置パターンも特に限定されないが、具体的には、例えば、格子配列、千鳥配列等が挙げられる。これらの中では、千鳥配列が蒸着後の空隙率が適度であるために、応力緩和に優れる点から好ましい。
また、凸部1aの規則的な配置パターンも特に限定されないが、具体的には、例えば、格子配列、千鳥配列等が挙げられる。これらの中では、千鳥配列が蒸着後の空隙率が適度であるために、応力緩和に優れる点から好ましい。
負極集電体1表面に占める平坦部1bの面積割合は、30〜50%、さらには、30〜35%の範囲であることが好ましい。平坦部1bの面積割合が低すぎる場合には、隣り合う柱状体2a間に充分な空間を維持することができず、また、後述する蒸着プロセスの際のシャドウイング効果が高くなりすぎて、隆起体2bが形成されにくくなる傾向がある。また、平坦部1bの面積割合が高すぎる場合には、隣り合う柱状体2a同士の間の空間が大きくなりすぎて、そのために、後述する蒸着プロセスの際のシャドウイング効果が低くなりすぎて、隣接する柱状体2a間に空間が形成されにくくなる傾向がある。
柱状体2aおよび隆起体2bは、負極集電体1の表面に対して斜方向から、合金系負極活物質源を所定の条件で蒸着(以下、斜方蒸着プロセスとも呼ぶ)させることにより成長形成させることができる。このような方法によれば蒸着時において、平坦部1bが凸部1aの陰になる。そのために、凸部1aにおける合金系活物質の成長速度よりも、平坦部1bにおける合金系活物質の成長速度のほうが低くなる。その結果、柱状体2aと、柱状体2aよりも小さい隆起体2bが形成される。また、隣接する凸部1a間の中央部は、各凸部1aの周囲よりも陰になりにくいために、中央部がその周囲に比べて隆起した形状を有する隆起体2bが形成される。
斜方蒸着プロセスは、例えば、図4に示すような蒸着装置40を用いて、ターゲット45に対する負極集電体1の角度を変えながら蒸着する多段蒸着により行われる。
蒸着装置40は、真空チャンバ41と、原料ガス等を供給するためのノズル43と、負極集電体1を固定するための固定台44と、ケイ素,スズ,これらの酸化物又は合金等からなる蒸着源であるターゲット45と、ターゲットを蒸発させるための電子ビーム銃46とを備える。固定台44は、図4の矢印で示した方向に可動可能である。
はじめに、固定台44に負極集電体1を固定する。このとき、ターゲット45からの蒸気が、負極集電体1の表面に対して斜め方向から接触するように、固定台44の水平方向とのなす角度α1を、例えば、50〜72°、さらには60〜65°程度の範囲になるように調整しておくことが好ましい。そして、真空チャンバ41内を図示しない排気ポンプを用いて減圧した後、ノズル43からガスを所定の流量で流す。ガスの具体例としては、例えば、ケイ素酸化物を形成させるための酸素等の原料ガスの他、ヘリウム(He),アルゴン(Ar),窒素等の不活性ガスであるキャリアガスが挙げられる。そして、真空チャンバ41内の圧力を図略のレギュレーターにより所定の圧力に調整する。そして、電子ビーム銃46の加速電圧を調整しながら、ターゲット45に電子ビームを照射することにより、ケイ素等であるターゲット45を蒸発させる。そして、ターゲット45の蒸発物及びノズル43から供給された酸素等の原料ガスが負極集電体1の表面に蒸着される。このような蒸着処理を所定の時間行う。この工程においては、ターゲット45に対して負極集電体1の表面が一定の角度で傾けられているために、ターゲット45の方向に対して、凸部1a間に形成された平坦部1bは部分的に陰になる。その結果、凸部1aの一方向側の蒸着膜の成長が早くなり、陰の部分である平坦部1bの表面における蒸着膜の成長は遅くなる。なお、このように凸部1aの陰を利用して、蒸着膜の成長速度を調整する効果をシャドウイング効果と呼ぶ。このようにして、第1段目の蒸着を行う。
なお、上述した斜方蒸着プロセスにおいては、例えば、ノズル43から供給されるガスの流量を比較的大きくしたり、真空チャンバ41内の圧力を比較的高くしたり、電子ビーム銃46の加速電圧を適宜変化させたりすることにより、ターゲット45から蒸発した原料原子50と、ノズル43から供給されたガス51との衝突頻度を高めることが好ましい。それにより、図5に示すように、ターゲット45から蒸発した原料原子50の、負極集電体1表面に対する入射方向に変化を与えることができる。その結果、凸部1aの影になる平坦部1bに対して被着する、原料原子50やガス51の量を調整することができる。その結果、柱状体2aと隆起体2bとの成長速度を、よりコントロールしやすくなる。このような蒸着条件の具体例としては、例えば、真空チャンバ41内を、例えば7×10-3Pa(abs)以下になるまで減圧した後、不活性ガスを導入することにより、例えば1×10-2〜5×10-2Pa(abs)程度に圧力調整する。このような条件によれば、分子の衝突頻度が高くなるために、平坦部1bに対する蒸着膜の成長を促進させることができる。
次に、上述したような、第1段目の蒸着の後、固定台44を可動させることにより、ターゲット45に対する負極集電体1の表面の傾きを、水平方向とのなす角度α2に調整する。角度α2は通常、第1段目に調整した角度α1とは水平方向に対して−α1度になるように調整される。そして、第1段目の蒸着条件と同様の条件で蒸着処理を行う。このようにして第2段目の蒸着を行う。
このような角度α1側からの斜方蒸着および角度α2側からの斜方蒸着を交互に所定の段数で繰り返すことにより、負極集電体1表面に柱状体2aと隆起体2bとが形成される。このようにして、負極10が得られる。
次に、図5を参照して、負極10を用いたリチウムイオン二次電池の一例である、ラミネート型リチウムイオン二次電池11について説明する。
ラミネート型リチウムイオン二次電池11は、負極10、正極12、およびこれらを隔離するセパレータ13からなる電極群と、リチウムイオン伝導性を有する電解質と、を備える。電極群と電解質とは外装ケース14に収容されている。負極10は、負極集電体1と負極集電体1上に形成された負極活物質層2とを有する。正極12は、正極集電体17と、正極集電体17上に形成された正極活物質層18とを有する。負極集電体1および正極集電体17には、それぞれ負極リード19および正極リード20の一端が接続されており、各リード19、20の他端は、外装ケース14の外部に導出されている。外装ケース14は、樹脂フィルムにアルミニウム箔をラミネートしたラミネートフィルムであって、その開口部21は、樹脂材料からなるガスケット22によって封止されている。
正極12は、例えば、正極活物質、導電剤、結着剤等を分散媒に分散させた正極合剤液を正極集電板の表面に塗布し、乾燥及び圧延することにより得られる。
正極活物質の具体例としては、例えば、コバルト酸リチウムおよびその変性体(コバルト酸リチウムにアルミニウムやマグネシウムを固溶させたものなど)、ニッケル酸リチウムおよびその変性体(一部ニッケルをコバルト置換させたものなど)、マンガン酸リチウムおよびその変性体などの複合酸化物が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極活物質の具体例としては、例えば、コバルト酸リチウムおよびその変性体(コバルト酸リチウムにアルミニウムやマグネシウムを固溶させたものなど)、ニッケル酸リチウムおよびその変性体(一部ニッケルをコバルト置換させたものなど)、マンガン酸リチウムおよびその変性体などの複合酸化物が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
導電剤の具体例としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラックや、各種グラファイト等が挙げられる。結着剤の具体例としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリレート単位を有するゴム粒子等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本実施形態におけるセパレータ、および非水電解質としては、特に限定されず、この分野で公知の各種の材料を用いることができる。
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明の範囲は実施例の内容により、何ら限定されるものではない。
[実施例1]
(1)負極集電体の作製
一方のローラの表面に複数の円形の凹部を有する一対の鋼鉄製ローラを用いて合金銅箔を圧延することにより、両表面に凸部を有する負極集電体を作製した。合金銅箔としては、厚さ26μmの合金銅箔(Zr含有量0.02質量%、日立電線(株)製)を用いた。また、圧延の線圧は、1000kgf/cm(約9.81kN/cm)であった。
(1)負極集電体の作製
一方のローラの表面に複数の円形の凹部を有する一対の鋼鉄製ローラを用いて合金銅箔を圧延することにより、両表面に凸部を有する負極集電体を作製した。合金銅箔としては、厚さ26μmの合金銅箔(Zr含有量0.02質量%、日立電線(株)製)を用いた。また、圧延の線圧は、1000kgf/cm(約9.81kN/cm)であった。
負極集電体の表面には、千鳥配列パターンに沿って配置された複数の円柱状の凸部が形成されていた。各凸部は、高さ約7μm、直径約10μmであった。また、隣り合う凸部間の中心間距離は30μmであった。また、負極集電体の平坦部の面積割合は30〜40%であった。
(2)負極の作製
図4に示したような蒸着装置40を用いて、次のようにして、得られた負極集電体の両表面に合金系負極活物質からなる負極活物質層を形成した。
図4に示したような蒸着装置40を用いて、次のようにして、得られた負極集電体の両表面に合金系負極活物質からなる負極活物質層を形成した。
蒸着源であるターゲットとして純度99.9999%のケイ素を用いた。はじめに、得られた負極集電体を蒸着装置40の固定台44に設置し、負極集電体の表面と水平方向とのなす角α1を60°に調整した。そして、真空チャンバ41内の圧力を7×10-3Pa(abs)に減圧した。そして、真空チャンバ41内にノズル43から酸素ガス及びHeガスを供給した。なお、酸素ガスの流量は400sccm(25℃)、Heガスの流量は80sccm(25℃)に設定した。そして、ガスの供給及びレギュレーターの調整により、真空チャンバ41内の圧力を5×10-2Pa(abs)に調整した。そして、加速電圧を−8kV、エミッション500mAの条件で電子ビーム銃からターゲットに電子ビームを照射することにより第1段目の蒸着を行った。なお、蒸着時間は5秒間であった。この第1段目の蒸着により、凸部の表面に厚みが80nmのケイ素酸化物層が形成された。
1段目の蒸着後、固定台44を可動させることにより負極集電体の表面と水平方向とのなす角α2を60°に調整した。そして、第1段目の蒸着と同様の条件で、第2段目の蒸着を行った。さらに、奇数段目の蒸着は第1段目と同様に、偶数段目の蒸着は第2段目と同様にして、負極集電体の表面と水平方向とのなす角度を交互に変えながら、合計8段の蒸着を行った。
このようにして、負極集電体の両表面に、SiOx(x=1.2)で表される組成を有する合金系負極活物質層を形成した。このようにして、負極A1が得られた。蒸着直後の負極A1をSEMで観察すると、図2に示すような、各凸部に支持された、高さ約20μmの柱状体と、各平坦部に支持された、高さ約5.5μmの中央部が隆起した隆起体が形成されていた。なお、柱状体は、中央部よりも上側で膨らんだ略紡錘状であり、膨らんだ部分の直径は約25μmであった。また、隆起体の高さは、隣接する柱状体の最近接位置の高さよりも低かった。
(3)正極の作製
平均粒径5μmのコバルト酸リチウム(LiCoO2)100質量部、アセチレンブラック3質量部、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)4質量部、及び所定量の分散媒(N−メチル−2−ピロリドン)を混合することにより、正極合剤ペーストを得た。この正極合剤ペーストを厚み15μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の片面に塗布し、乾燥させることにより、正極活物質層を形成した。そして、正極活物質層の厚みが85μmとなるように圧延することにより正極が形成された。
平均粒径5μmのコバルト酸リチウム(LiCoO2)100質量部、アセチレンブラック3質量部、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)4質量部、及び所定量の分散媒(N−メチル−2−ピロリドン)を混合することにより、正極合剤ペーストを得た。この正極合剤ペーストを厚み15μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の片面に塗布し、乾燥させることにより、正極活物質層を形成した。そして、正極活物質層の厚みが85μmとなるように圧延することにより正極が形成された。
(4)ラミネート型リチウムイオン二次電池の作製
負極と、正極と、負極A1と正極との間に介在させるセパレータとを積層することにより電極群を作製した。なお、セパレータとしては、ポリエチレン製微多孔膜(商品名:ハイポア、厚さ20μm、旭化成株式会社製)を用いた。次に、ポリプロピレンからなるガスケット用タブが形成されたニッケル製負極リードの一端を、負極A1のリード取付け部に溶接した。一方、ポリプロピレンからなるガスケット用タブが形成されたアルミニウム製正極リードの一端を、正極のリード取付け部に溶接した。そして、電極群をアルミニウムラミネートシートからなる外装ケースに挿入した。さらに、外装ケースに電解液を注液した。電解液としては、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比3:5:2の割合で含む混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させた非水電解液を用いた。
負極と、正極と、負極A1と正極との間に介在させるセパレータとを積層することにより電極群を作製した。なお、セパレータとしては、ポリエチレン製微多孔膜(商品名:ハイポア、厚さ20μm、旭化成株式会社製)を用いた。次に、ポリプロピレンからなるガスケット用タブが形成されたニッケル製負極リードの一端を、負極A1のリード取付け部に溶接した。一方、ポリプロピレンからなるガスケット用タブが形成されたアルミニウム製正極リードの一端を、正極のリード取付け部に溶接した。そして、電極群をアルミニウムラミネートシートからなる外装ケースに挿入した。さらに、外装ケースに電解液を注液した。電解液としては、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比3:5:2の割合で含む混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させた非水電解液を用いた。
そして、負極リード及び正極リードのそれぞれを外装ケースの開口部から外部へと導出させた状態で、外装ケースの開口部を溶着した。このようにして、ラミネート型リチウムイオン二次電池Aが得られた。
(5)負極およびリチウムイオン二次電池の評価
(2つの柱状体同士の最近接位置を結ぶ線分と平坦部の表面と柱状体の側面とによって規定される空間Bの断面積に対する隆起体の断面積の割合)
20℃の恒温槽に電池Aを所定の時間放置した。そして、両極間の電圧が4.2Vに達するまで、充電レート1Cで定電流充電を行った。両極間の電圧が4.2Vに達した後、電流値が0.05Cになるまで定電圧充電を行った。そして、充電後の電池Aを、両極間電圧が2.5Vになるまで放電レート0.2Cで定電流放電を行うことにより、初期放電状態とした。
(2つの柱状体同士の最近接位置を結ぶ線分と平坦部の表面と柱状体の側面とによって規定される空間Bの断面積に対する隆起体の断面積の割合)
20℃の恒温槽に電池Aを所定の時間放置した。そして、両極間の電圧が4.2Vに達するまで、充電レート1Cで定電流充電を行った。両極間の電圧が4.2Vに達した後、電流値が0.05Cになるまで定電圧充電を行った。そして、充電後の電池Aを、両極間電圧が2.5Vになるまで放電レート0.2Cで定電流放電を行うことにより、初期放電状態とした。
そして、初期放電状態の電池Aから負極A1を取り出した。そして、初期放電状態における負極A1の表面および断面の状態をSEMで観察した。初期放電状態における柱状体の高さは平均23μmであり、隆起体の高さは平均6μmであった。従って、初期放電状態における隆起体の高さは、柱状体の高さの約26%であった。また、初期放電状態における隆起体の中央部の高さは、隆起体の端部の高さの約2.5倍であった。
隆起体の高さは、隣接する柱状体同士の最近接位置の高さよりも低く、隣接する柱状体間に形成された空間内に存在していた。また、放電状態においては、柱状体と隆起体とは互いに接触していなかった。
そして、SEM画像において、図1及び図2に示すように、隣接する2つの柱状体同士の最近接位置を結ぶ線分と平坦部の表面と柱状体の側面とによって規定される空間Bの断面積、及び、隆起体の断面積を求め、空間Bの断面積に対する隆起体の断面積の割合を求めた。なお、空間Bの断面積に対する隆起体の断面積の割合は、満遍なく選ばれた5点で測定したデータを数平均した。その結果得られた初期放電時における、負極A1の空間Bの断面積に対する隆起体の断面積は、平均60%であった。
なお、充電状態の電池Aから負極A1を取り出し、その断面の状態をSEMで観察したところ、柱状体及び隆起体は著しく膨張していた。そして、隣接する柱状体同士が互いに接触しているとともに、隣接する柱状体間に形成された空間において膨張した隆起体の上部が、隣接する柱状体の下部を支えるように接触していた。
なお、充電状態の電池Aから負極A1を取り出し、その断面の状態をSEMで観察したところ、柱状体及び隆起体は著しく膨張していた。そして、隣接する柱状体同士が互いに接触しているとともに、隣接する柱状体間に形成された空間において膨張した隆起体の上部が、隣接する柱状体の下部を支えるように接触していた。
(サイクル容量維持率の評価)
初期放電状態の電池Aに対して、両極間の電圧が4.2Vになるまで充電レート1Cで定電流充電を行った。両極間の電圧が4.2Vに達した後、電流値が0.05Cになるまで定電圧充電を行った。そして、充電後、休止時間を20分間保持した。そして、充電後の電池Aを、両極間電圧が2.5Vになるまで放電レート0.2Cで定電流放電を行った。この充放電サイクルを1サイクルとして、合計100サイクル繰り返した。このとき、1サイクル目の放電容量W1[mAh]と100サイクル目の放電容量W100[mAh]を測定し、サイクル容量維持率[%]をW100/W1×100の式により算出した。その結果、電池Aのサイクル容量維持率は90%であった。また、サイクル容量維持率の評価後の負極A1の柱状体及び隆起体にはクラックが殆ど観察されなかった。
初期放電状態の電池Aに対して、両極間の電圧が4.2Vになるまで充電レート1Cで定電流充電を行った。両極間の電圧が4.2Vに達した後、電流値が0.05Cになるまで定電圧充電を行った。そして、充電後、休止時間を20分間保持した。そして、充電後の電池Aを、両極間電圧が2.5Vになるまで放電レート0.2Cで定電流放電を行った。この充放電サイクルを1サイクルとして、合計100サイクル繰り返した。このとき、1サイクル目の放電容量W1[mAh]と100サイクル目の放電容量W100[mAh]を測定し、サイクル容量維持率[%]をW100/W1×100の式により算出した。その結果、電池Aのサイクル容量維持率は90%であった。また、サイクル容量維持率の評価後の負極A1の柱状体及び隆起体にはクラックが殆ど観察されなかった。
[実施例2]
「負極の作製(2)」において、ガス供給後の圧力を5×10-2Pa(abs)に調整する代わりに、1×10-2Pa(abs)となるように調整した以外は、実施例1と同様にして負極B1を作製した。そして、負極A1の代わりに負極B1を用いた以外は実施例1と同様にして、電池Bを作製した。そして、実施例1と同様にして、負極及び電池の評価を行った。
「負極の作製(2)」において、ガス供給後の圧力を5×10-2Pa(abs)に調整する代わりに、1×10-2Pa(abs)となるように調整した以外は、実施例1と同様にして負極B1を作製した。そして、負極A1の代わりに負極B1を用いた以外は実施例1と同様にして、電池Bを作製した。そして、実施例1と同様にして、負極及び電池の評価を行った。
初期放電状態において、柱状体の高さは約23μm、隆起体の高さは約3μmであり、柱状体の高さに対する隆起体の高さの割合は約13%であった。また、負極B1の隆起体の断面積は、前記空間の断面積の30%であった。また、電池Bのサイクル容量維持率は85%であった。また、サイクル容量維持率の評価後の負極B1の柱状体及び隆起体にはクラックが殆ど観察されなかった。
[実施例3]
「負極の作製(2)」において、ガス供給後の圧力を5×10-2Pa(abs)に調整する代わりに、2×10-2Pa(abs)となるように調整した以外は、実施例1と同様にして負極C1を作製した。そして、負極A1の代わりに負極C1を用いた以外は実施例1と同様にして、電池Cを作製した。そして、実施例1と同様にして、負極及び電池の評価を行った。
「負極の作製(2)」において、ガス供給後の圧力を5×10-2Pa(abs)に調整する代わりに、2×10-2Pa(abs)となるように調整した以外は、実施例1と同様にして負極C1を作製した。そして、負極A1の代わりに負極C1を用いた以外は実施例1と同様にして、電池Cを作製した。そして、実施例1と同様にして、負極及び電池の評価を行った。
初期放電状態において、柱状体の高さは約23μm、隆起体の高さは約4.9μmであり、柱状体の高さに対する隆起体の高さの割合は約21%であった。また、負極C1の隆起体の断面積は、前記空間の断面積の40%であった。また、電池Cのサイクル容量維持率は87%であった。また、サイクル容量維持率の評価後の負極C1の柱状体及び隆起体にはクラックが殆ど観察されなかった。
[比較例1]
「負極の作製(2)」において、ガス供給後の圧力を5×10-2Pa(abs)に調整する代わりに、8×10-3Pa(abs)となるように調整した以外は、実施例1と同様にして負極D1を作製した。そして、負極A1の代わりに負極D1を用いた以外は実施例1と同様にして、電池Dを作製した。そして、実施例1と同様にして、負極及び電池の評価を行った。
「負極の作製(2)」において、ガス供給後の圧力を5×10-2Pa(abs)に調整する代わりに、8×10-3Pa(abs)となるように調整した以外は、実施例1と同様にして負極D1を作製した。そして、負極A1の代わりに負極D1を用いた以外は実施例1と同様にして、電池Dを作製した。そして、実施例1と同様にして、負極及び電池の評価を行った。
初期放電状態において、柱状体の高さは約23μm、隆起体の高さは約2.6μmであり、柱状体の高さに対する隆起体の高さの割合は約11%であった。また、負極D1の隆起体の断面積は、前記空間の断面積の20%であった。また、電池Cのサイクル容量維持率は80%であった。なお、充電状態の電池Dから負極D1を取り出し、その断面の状態をSEMで観察したところ、柱状体及び隆起体は何れも膨張していた。そして、隣接する柱状体同士は互いに接触していたが、柱状体と隆起体の上部とは殆ど接触していなかった。また、柱状体には、クラックが観察された。これは、柱状体に発生した内部応力により柱状体が膨張しすぎて、発生したものであると思われる。
以上の結果から、合金系負極活物質の蒸着時の真空チャンバ41内の減圧度の調整により、平坦部に対する合金系負極活物質の被膜の成長を調整できることがわかる。本発明者らは、この現象は、蒸着時の減圧度を調整することにより、蒸発したシリコン原子等の運動性が変化して、凸部間に形成された空間に入り込む原料ガスの量が変化することによると考えている。
また、所定の隆起体を形成して活物質内で応力を均等化することにより、サイクル容量維持率が大きく改善されることがわかる。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、合金系活物質の特徴である高い充放電容量を有し、充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供するための負極として有用である。また、本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、リチウムイオンキャパシタにおける負極の用途にも応用することができる。
1 負極集電体、 1a 凸部、 1b 平坦部、 2 負極活物質層、 2a 柱状体、 2b 隆起体、 2c 端部、 10 リチウムイオン二次電池用負極、 11 ラミネート型リチウムイオン二次電池、 12 正極、 13 セパレータ、 14 外装ケース、 17 正極集電体、 18 正極活物質層、 19 負極リード、 20 正極リード、 21 開口部、 22 ガスケット、 40 蒸着装置、 41 真空チャンバ、 43 ノズル、 44 固定台、 45 ターゲット、 50 原料原子、 51 不活性ガス、 A 線分、 B 空間、 H1 柱状体2aの高さ、 H2 隆起体2bの高さ、 H3 凸部1aの高さ
本発明は、リチウムイオン二次電池用負極およびそれを用いたリチウムイオン二次電池に関する。詳しくは、本発明は、合金系活物質を用いた負極の改良に関する。
近年、ポータブルコンピュータや携帯電話機などのポータブル機器に用いられる電池の需要が増大している。ポータブル機器用の電池には、高容量、高エネルギー密度、及び優れたサイクル特性が求められる。リチウムイオン二次電池はこのような要求を満たす電池である。
リチウムイオン二次電池は、リチウムイオンを吸蔵および放出する正極及び負極と、正極と負極とを隔離するセパレータと、リチウムイオン伝導性を有する電解質と、を備える。負極は通常、銅箔などの負極集電体の表面に負極活物質層が支持されて形成されている。負極活物質層に含まれる負極活物質として、従来から、黒鉛などの炭素系負極活物質が用いられている。近年、炭素系負極活物質よりも高容量、高エネルギー密度の負極活物質として、所謂、合金系負極活物質も知られている。合金系負極活物質は、例えば、ケイ素やスズの、単体,酸化物,又はこれらの合金を含む。リチウムイオン二次電池を充放電する際には、合金系負極活物質はリチウムイオンを可逆的に吸蔵または放出する。合金系負極活物質は、可逆的に、リチウムイオンを吸蔵することによりリチウムと合金化して膨張し、リチウムイオンを放出することにより脱合金化して収縮する。
負極活物質はリチウムイオンを吸蔵することにより顕著に膨張する。リチウムイオンの吸蔵による合金系負極活物質の膨張率は、炭素系負極活物質の膨張率に比べて著しく高い。充電時には、負極集電体自身は、合金系負極活物質の著しい膨張に対して充分に追従して変形することができない。このために、充電時に、負極集電体が部分的に損傷したり、負極集電体から負極活物質層が部分的に剥離したりするおそれがあった。この場合には、負極集電体と負極活物質層との間に隙間ができて、両者間の電気伝導性が低下することにより充放電特性が低下するおそれがあった。また、充放電を繰り返した場合には、集電体に皺、うねり、歪み等が生じるおそれもあった。この場合には、セパレータおよび正極との間に隙間が生じることにより、充放電反応が電池内で不均一になり、局部的な電池の特性低下を引き起こすおそれもあった。
膨張の際に発生する合金系活物質の内部応力を緩和するために、負極活物質層の内部に空隙を設けた負極が知られている。具体的には、例えば、下記特許文献1は、負極集電体の平坦な表面にシリコン薄膜を形成し、形成されたシリコン薄膜を部分的に除去することによりシリコンの柱状凸部を形成させることを開示している。特許文献1は、このような負極によれば、隣接するシリコンの柱状凸部間に空隙を形成することができ、それにより、膨張の際に発生する合金系活物質の内部応力を緩和して皺の発生等を抑制できることを開示している。
特許文献1に開示された電極においては、平坦な集電体の表面に下地層を介して柱状のシリコンが形成されている。このような柱状のシリコンは、充電に伴う正極からのリチウムイオンの吸収により著しく膨張する。そして、膨張しすぎたシリコンは膨張に耐えられなくなり、クラックが発生する。クラックにより露出する面は、活性が高いために電解質を分解させる。従って、このようなクラックの発生は、サイクル特性を低下させる原因になる。
本発明は、高容量の合金系負極活物質を用いたリチウムイオン二次電池において、充放電の繰り返しによるクラックの発生等を低減させることにより、サイクル特性の低下が抑制された、高容量のリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明の一局面のリチウムイオン二次電池用負極は、集電体シートと、集電体シートに支持された負極活物質層とを備え、集電体シートは、規則的な間隔を有するパターンに沿って配置された複数の凸部と、複数の凸部間に存在する複数の平坦部と、からなる表面を有し、負極活物質層は、合金系負極活物質からなる、各凸部に支持された複数の略紡錘状の柱状体と各平坦部に支持された複数の隆起体とを備え、各隆起体の高さは、隣接する柱状体の最近接位置の高さよりも低く、リチウムイオン二次電池の放電状態において、上面視した場合における、隣接する2つの柱状体のそれぞれの中央部及び2つの柱状体間に挟まれた隆起体の中央部を通過する仮想直線から、集電体シートの表面に向けて仮想切断した鉛直断面において、隣接する2つの柱状体同士の最近接位置を結ぶ線分と平坦部の表面と2つの柱状体の側面とによって規定される空間の断面積に対して、隆起体の断面積が占める割合が平均25%以上である。
このようなリチウムイオン二次電池用負極によれば、電池の充電時において膨張した柱状体及び隆起体が互いに接触することにより、負極活物質層内に発生した内部応力を分散させるとともに、負極活物質の膨張が制限される。これにより、負極活物質にクラック等が発生することを抑制できる。また、複数の柱状体間に形成された空間に配された隆起体が電池の容量確保に寄与する。従って、同じ量の合金系負極活物質を集電体に担持する場合において、空間を有効利用できるために、負極活物質層内に生じる内部応力の集中を抑制することができる。
本発明の他の一局面のリチウムイオン二次電池は、リチウムイオン二次電池用負極と、リチウムイオンを吸蔵および放出する正極と、負極および正極を隔離するセパレータと、リチウムイオン伝導性を有する電解質と、を備える。
このようなリチウムイオン二次電池は、高容量であり、サイクル特性にも優れている。
本発明によれば、サイクル特性に優れた高容量のリチウムイオン二次電池を提供することができる。
図面を参照して本実施形態のリチウムイオン二次電池用負極10について詳しく説明する。図1は負極10の一面の上面模式図である。図2は図1のII-II線における縦断面の模式図である。また、図3は、リチウムイオン二次電池(以下単に電池とも呼ぶ)の充電時における負極10の一面の断面模式図を示す。負極10は、負極集電体1と、負極集電体1の両面に支持された負極活物質層2とを備える。図2に示すように、負極集電体1は、その両表面に規則的な間隔を有するパターンに沿って配置された、高さH3の複数の凸部1aを有し、且つ、凸部1a間に平坦部1bを有する、金属シートである。負極活物質層2は、リチウムイオンを吸蔵および放出する合金系負極活物質(以下単に負極活物質とも呼ぶ)からなる。負極活物質層2は、集電体1の凸部1aに支持された高さH1の略紡錘状の柱状体2aと、集電体1の平坦部1bに支持された中央部が隆起した高さH2の隆起体2bとを含む。なお、図1及び図2では、放電状態の負極活物質層2の様子が示されている。
合金系負極活物質としては、ケイ素やスズの、単体,酸化物,及びこれらの合金など、従来から知られた、リチウムイオンと合金を形成する物質が特に限定なく用いられる。これらの中では、SiOx(0≦x≦1.5)で表される酸化ケイ素が、特に高容量を維持できる点から好ましい。xが1.5を超える場合には、容量を確保するためにより厚い負極活物質層2を形成する必要があり、その場合には負極集電体1が反りやすくなる傾向がある。xは、さらに好ましくは、0.3以上1.2以下である。xが0.3以上の場合には、ケイ素単体に比べて充放電に伴う負極活物質の膨張および収縮が小さくなり、膨張収縮時に発生する応力変化を低減することができる。
図1及び図2に示すように、隆起体2bは、隣接する柱状体2aに挟まれた平坦部1bの表面に存在する。そして、隆起体2bは、負極10を上面視した場合における隆起体2bの中心部と、隆起体2bに隣接する2つの柱状体2aのそれぞれの中心部とを通過する直線で垂直切断したときの仮想の縦断面において、柱状体2a同士の最近接位置を結んだ線分Aと、平坦部1bの表面と、2つの柱状体2aの側面とによって規定される空間B内に存在する。図2においては、空間Bは破線で囲まれた領域である。そして、放電状態において、隆起体2bの断面積は、空間Bの断面積の25%以上を占める。ここで、「放電状態」とは、負極10が組み込まれたリチウムイオン二次電池の使用初期の充放電期間(慣らし充放電)における放電状態を意味する。空間Bの断面積に対する隆起体2bの断面積の割合は、放電状態のリチウムイオン二次電池から負極10を取り出し、走査型電子顕微鏡(SEM)で、負極10の任意の断面または水平方向から観察した面の画像を撮影し、空間Bの断面積及び隆起体2bの断面積を測定し、空間Bの断面積に対する隆起体2bの断面積を算出することにより得られる。
負極10においては、複数の柱状体2a間に形成された空間に充放電反応に寄与する負極活物質からなる隆起体2bが形成されている。このような隆起体2bを有する負極活物質層2によれば、負極活物質の膨張時においては、図3に示すように、膨張した隆起体2bと膨張した柱状体2aとが接触することにより、負極活物質層2内に発生した内部応力が分散される。また、電池の充電時においては、柱状体2aと隆起体2bはリチウムイオンを吸蔵して膨張している。そして、膨張した柱状体2aが膨張した隆起体2bに接触して支えられる。これにより、膨張により発生した内部応力による負極活物質層2の膨張が規制される。その結果、電池の充放電を繰り返した場合に、負極活物質が膨張しすぎることによるクラックの発生や、負極集電体の損傷や、負極集電体からの負極活物質の剥離等が抑制される。それにより、サイクル特性が向上する。また、隣接する柱状体2a間の空間に容量確保に寄与する隆起体2を配置することにより、より高い容量を確保することができる。
空間Bの断面積に対する隆起体2bの断面積の割合は25%以上であり、好ましくは30〜60%、さらに好ましくは30〜40%である。空間Bの断面積に対する隆起体2bの断面積の割合が25%を下回る場合には、容量確保のための隆起体2bの寄与が小さくなり、また、負極活物質が膨張しすぎることによりクラックが発生したりする。一方、空間Bの面積に対する隆起体2bの面積の割合の上限は特に限定されないが、高すぎる場合には、柱状体2a間に存在する空間による応力緩和の効果が低くなる傾向がある。
ここで、空間Bに対する隆起体2bの面積の割合を求める方法について詳しく説明する。はじめに、使用初期の負極10が組み込まれたリチウムイオン二次電池を充電する。充電は、例えば、20℃の環境下において、充電レート1Cで電池電圧が4.2Vになるまで定電流充電を行い、引き続いて、電流値が0.05Cになるまで定電圧充電を行う。そして充電されたリチウムイオン二次電池を放電する。放電は放電レート0.2Cで、電池電圧2.5Vになるまで定電流放電を行う。このような、リチウムイオン二次電池の使用初期における、定電流放電後の状態を「初期放電状態」とする。
次に、初期放電状態におけるリチウムイオン二次電池から負極10を含む極板群を取り出す。そして、取り出された極板群から負極10を取り出す。そして、得られた負極10の任意の断面または水平面を走査型電子顕微鏡(SEM)で、例えば、2000倍の倍率で観察する。そして、得られたSEM画像から、2つの柱状体2aの最近接位置を結ぶ線分Aを引く。そして、線分Aと平坦部1bの表面と柱状体2aの側面によって囲まれた領域である空間Bの断面積を測定する。同様にして、同じSEM画像から、空間B内に存在する隆起体2bの断面積を測定する。そして、測定された空間Bの断面積に対する隆起体2bの断面積の占有割合を算出する。占有割合は、空間Bの断面積に対する隆起体2bの断面積を数点、例えば5点算出し、各点の面積割合を算術平均する。このようにして、初期放電状態における負極10の空間Bの断面積に対する隆起体2bの断面積の占有割合が算出される。
放電状態における柱状体2aの断面の形状は側面が部分的に膨らんでいる略紡錘状であり、好ましくは、中央部よりも上側で膨らんだ略紡錘状である。そして、柱状体2aの高さH1は、負極集電体1の平坦部1bからその頂部までの高さとして20〜30μm程度、さらには22〜24μm程度であることが好ましい。柱状体2aの高さH1が高すぎる場合には膨張した柱状体2a同士が密着することにより柱状体2a間で膨張が規制される。しかし、この場合には、空間Bが垂直方向に広がる結果、隆起部2bと柱状体2aとの接触面積が小さくなるために、柱状体2aの下部の膨張を規制しにくくなる傾向がある。また、H1が低すぎる場合には、空間Bが水平方向に広がる結果、隆起部2bと柱状体2aとの接触面が大きくなる傾向がある。しかし、膨張した柱状体2a同士が密着しにくくなるために柱状体2a同士の接触による膨張を規制しにくくなる傾向がある。
放電状態における隆起体2bの頂部の高さH2は、負極集電体1の平坦部1bの表面からその頂部までの高さとして3〜6μm程度、さらには、3〜4μm程度であることが好ましい。
放電状態における隆起体2bの頂部の高さH2は、柱状体2aの頂部の高さH1に対して10〜30%、さらには10〜25%であることが好ましい。隆起体2bの頂部の高さH2の割合が柱状体2aの頂部の高さH1に対して低すぎる場合には、隆起体2bによる容量確保の効果が小さくなり、また、柱状体2aと接触することによる膨張を規制する効果も小さくなる傾向がある。一方、隆起体2bの高さの割合が高すぎる場合には、柱状体2a間に存在する空間による応力緩和の効果が低くなる傾向がある。
放電状態における隆起体2bの形状は、図2に示すように、その中央部がその周囲よりも丘状に隆起していることが、略紡錘状の柱状体の下部の形状に沿った形状であるために好ましい。そして、隆起体2bの中央部の頂部の高さが端部2cの高さの1.3倍以上、さらには1.3〜2.5倍であることが好ましい。このように隆起体2bの頂部の高さが端部2cの高さの1.3倍以上になるように隆起体2bの中央部分が隆起した形状になっている場合には、柱状体2aと隆起体2bとの間で応力を分散させる効果が高くなる点から好ましい。
初期放電状態における負極活物質層2の空隙率は、20〜70%、さらには30〜40%程度であることが好ましい。空隙率が高すぎる場合には負極活物質の密度が小さくなる傾向があり、空隙率が低すぎる場合には柱状体2a間に存在する空間による応力緩和の効果が低くなる傾向がある。負極活物質層2の空隙率は、例えば、水銀ポロシメータを用いた測定によって求めることができる。
なお、負極活物質層2の空隙率が高すぎる場合には、負極活物質層2中の隆起体2bの体積割合が低くなっている傾向がある。すなわち、隣接する柱状体2a同士の間に、容量確保に充分寄与する程度の充分な体積の隆起体2bが形成されていない傾向がある。一方、活物質層2の空隙率が低すぎる場合には、負極活物質層2中の隆起体2bの体積割合が高くなっている傾向がある。このような場合には、柱状体2a間に存在する空間による応力緩和の効果が低くなる傾向がある。
次に、負極10の製造方法の一例について、詳しく説明する。
負極10は、規則的なパターンに沿って配置された複数の凸部1aと平坦部2bとを備えた負極集電体1の表面に、例えば、蒸着プロセスのような気相薄膜形成法を用いて合金系負極活物質を被着させる際に、凸部1aにおける合金系負極活物質の成長速度、及び、凸部1aの陰になる平坦部1bにおける合金系負極活物質の成長速度をコントロールしながら、柱状体2a、及び、隆起体2bを成長形成させることにより得られる。
負極10は、規則的なパターンに沿って配置された複数の凸部1aと平坦部2bとを備えた負極集電体1の表面に、例えば、蒸着プロセスのような気相薄膜形成法を用いて合金系負極活物質を被着させる際に、凸部1aにおける合金系負極活物質の成長速度、及び、凸部1aの陰になる平坦部1bにおける合金系負極活物質の成長速度をコントロールしながら、柱状体2a、及び、隆起体2bを成長形成させることにより得られる。
負極集電体1は、例えば、凸部1aの形状に対応した凹部を表面に備える鋼鉄製ローラでシート状の集電体材料をプレスすることによって形成することができる。
集電体材料の具体例としては、銅箔、銅合金箔、ニッケル箔などが挙げられる。銅合金箔の具体例としては、銅に対してクロム、スズ、亜鉛、ケイ素、ニッケルなどを0.2質量%ずつ添加した銅合金箔、銅に対してスズを0.05〜0.2質量%添加した銅合金箔、銅にジルコニウムを0.02〜0.2質量%添加した銅合金箔、銅にチタンを1〜4質量%添加した銅合金箔などが挙げられる。
凸部1aの高さH3は特に限定されないが、3〜15μm、さらには5〜10μmであることが好ましい。凸部1aの高さが低すぎる場合には、後述するように、合金系負極活物質を蒸着する際の平坦部1bへの蒸着速度を凸部1aの遮蔽効果によりコントロールするシャドウイング効果が現れにくくなり、平坦部1bに合金系活物質が成長形成しすぎてしまう。この場合には隣接する柱状体2a間に空間が形成されにくくなる傾向がある。また、凸部1aの高さが高すぎる場合には、シャドウイング効果が高くなりすぎて、平坦部1bの表面に隆起体2bが形成されにくくなる傾向がある。
各凸部1aの形状は特に限定されず、具体的には、例えば、菱柱状等の柱状、錐状、台形状などが挙げられる。これらの中では、菱柱状が加工の容易性の点から好ましい。
また、凸部1aの規則的な配置パターンも特に限定されないが、具体的には、例えば、格子配列、千鳥配列等が挙げられる。これらの中では、千鳥配列が蒸着後の空隙率が適度であるために、応力緩和に優れる点から好ましい。
また、凸部1aの規則的な配置パターンも特に限定されないが、具体的には、例えば、格子配列、千鳥配列等が挙げられる。これらの中では、千鳥配列が蒸着後の空隙率が適度であるために、応力緩和に優れる点から好ましい。
負極集電体1表面に占める平坦部1bの面積割合は、30〜50%、さらには、30〜35%の範囲であることが好ましい。平坦部1bの面積割合が低すぎる場合には、隣り合う柱状体2a間に充分な空間を維持することができず、また、後述する蒸着プロセスの際のシャドウイング効果が高くなりすぎて、隆起体2bが形成されにくくなる傾向がある。また、平坦部1bの面積割合が高すぎる場合には、隣り合う柱状体2a同士の間の空間が大きくなりすぎて、そのために、後述する蒸着プロセスの際のシャドウイング効果が低くなりすぎて、隣接する柱状体2a間に空間が形成されにくくなる傾向がある。
柱状体2aおよび隆起体2bは、負極集電体1の表面に対して斜方向から、合金系負極活物質源を所定の条件で蒸着(以下、斜方蒸着プロセスとも呼ぶ)させることにより成長形成させることができる。このような方法によれば蒸着時において、平坦部1bが凸部1aの陰になる。そのために、凸部1aにおける合金系活物質の成長速度よりも、平坦部1bにおける合金系活物質の成長速度のほうが低くなる。その結果、柱状体2aと、柱状体2aよりも小さい隆起体2bが形成される。また、隣接する凸部1a間の中央部は、各凸部1aの周囲よりも陰になりにくいために、中央部がその周囲に比べて隆起した形状を有する隆起体2bが形成される。
斜方蒸着プロセスは、例えば、図4に示すような蒸着装置40を用いて、ターゲット45に対する負極集電体1の角度を変えながら蒸着する多段蒸着により行われる。
蒸着装置40は、真空チャンバ41と、原料ガス等を供給するためのノズル43と、負極集電体1を固定するための固定台44と、ケイ素,スズ,これらの酸化物又は合金等からなる蒸着源であるターゲット45と、ターゲットを蒸発させるための電子ビーム銃46とを備える。固定台44は、図4の矢印で示した方向に可動可能である。
はじめに、固定台44に負極集電体1を固定する。このとき、ターゲット45からの蒸気が、負極集電体1の表面に対して斜め方向から接触するように、固定台44の水平方向とのなす角度α1を、例えば、50〜72°、さらには60〜65°程度の範囲になるように調整しておくことが好ましい。そして、真空チャンバ41内を図示しない排気ポンプを用いて減圧した後、ノズル43からガスを所定の流量で流す。ガスの具体例としては、例えば、ケイ素酸化物を形成させるための酸素等の原料ガスの他、ヘリウム(He),アルゴン(Ar),窒素等の不活性ガスであるキャリアガスが挙げられる。そして、真空チャンバ41内の圧力を図略のレギュレーターにより所定の圧力に調整する。そして、電子ビーム銃46の加速電圧を調整しながら、ターゲット45に電子ビームを照射することにより、ケイ素等であるターゲット45を蒸発させる。そして、ターゲット45の蒸発物及びノズル43から供給された酸素等の原料ガスが負極集電体1の表面に蒸着される。このような蒸着処理を所定の時間行う。この工程においては、ターゲット45に対して負極集電体1の表面が一定の角度で傾けられているために、ターゲット45の方向に対して、凸部1a間に形成された平坦部1bは部分的に陰になる。その結果、凸部1aの一方向側の蒸着膜の成長が早くなり、陰の部分である平坦部1bの表面における蒸着膜の成長は遅くなる。なお、このように凸部1aの陰を利用して、蒸着膜の成長速度を調整する効果をシャドウイング効果と呼ぶ。このようにして、第1段目の蒸着を行う。
なお、上述した斜方蒸着プロセスにおいては、例えば、ノズル43から供給されるガスの流量を比較的大きくしたり、真空チャンバ41内の圧力を比較的高くしたり、電子ビーム銃46の加速電圧を適宜変化させたりすることにより、ターゲット45から蒸発した原料原子50と、ノズル43から供給されたガス51との衝突頻度を高めることが好ましい。それにより、図5に示すように、ターゲット45から蒸発した原料原子50の、負極集電体1表面に対する入射方向に変化を与えることができる。その結果、凸部1aの影になる平坦部1bに対して被着する、原料原子50やガス51の量を調整することができる。その結果、柱状体2aと隆起体2bとの成長速度を、よりコントロールしやすくなる。このような蒸着条件の具体例としては、例えば、真空チャンバ41内を、例えば7×10-3Pa(abs)以下になるまで減圧した後、不活性ガスを導入することにより、例えば1×10-2〜5×10-2Pa(abs)程度に圧力調整する。このような条件によれば、分子の衝突頻度が高くなるために、平坦部1bに対する蒸着膜の成長を促進させることができる。
次に、上述したような、第1段目の蒸着の後、固定台44を可動させることにより、ターゲット45に対する負極集電体1の表面の傾きを、水平方向とのなす角度α2に調整する。角度α2は通常、第1段目に調整した角度α1とは水平方向に対して−α1度になるように調整される。そして、第1段目の蒸着条件と同様の条件で蒸着処理を行う。このようにして第2段目の蒸着を行う。
このような角度α1側からの斜方蒸着および角度α2側からの斜方蒸着を交互に所定の段数で繰り返すことにより、負極集電体1表面に柱状体2aと隆起体2bとが形成される。このようにして、負極10が得られる。
次に、図5を参照して、負極10を用いたリチウムイオン二次電池の一例である、ラミネート型リチウムイオン二次電池11について説明する。
ラミネート型リチウムイオン二次電池11は、負極10、正極12、およびこれらを隔離するセパレータ13からなる電極群と、リチウムイオン伝導性を有する電解質と、を備える。電極群と電解質とは外装ケース14に収容されている。負極10は、負極集電体1と負極集電体1上に形成された負極活物質層2とを有する。正極12は、正極集電体17と、正極集電体17上に形成された正極活物質層18とを有する。負極集電体1および正極集電体17には、それぞれ負極リード19および正極リード20の一端が接続されており、各リード19、20の他端は、外装ケース14の外部に導出されている。外装ケース14は、樹脂フィルムにアルミニウム箔をラミネートしたラミネートフィルムであって、その開口部21は、樹脂材料からなるガスケット22によって封止されている。
正極12は、例えば、正極活物質、導電剤、結着剤等を分散媒に分散させた正極合剤液を正極集電板の表面に塗布し、乾燥及び圧延することにより得られる。
正極活物質の具体例としては、例えば、コバルト酸リチウムおよびその変性体(コバルト酸リチウムにアルミニウムやマグネシウムを固溶させたものなど)、ニッケル酸リチウムおよびその変性体(一部ニッケルをコバルト置換させたものなど)、マンガン酸リチウムおよびその変性体などの複合酸化物が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極活物質の具体例としては、例えば、コバルト酸リチウムおよびその変性体(コバルト酸リチウムにアルミニウムやマグネシウムを固溶させたものなど)、ニッケル酸リチウムおよびその変性体(一部ニッケルをコバルト置換させたものなど)、マンガン酸リチウムおよびその変性体などの複合酸化物が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
導電剤の具体例としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラックや、各種グラファイト等が挙げられる。結着剤の具体例としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリレート単位を有するゴム粒子等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本実施形態におけるセパレータ、および非水電解質としては、特に限定されず、この分野で公知の各種の材料を用いることができる。
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明の範囲は実施例の内容により、何ら限定されるものではない。
[実施例1]
(1)負極集電体の作製
一方のローラの表面に複数の円形の凹部を有する一対の鋼鉄製ローラを用いて合金銅箔を圧延することにより、両表面に凸部を有する負極集電体を作製した。合金銅箔としては、厚さ26μmの合金銅箔(Zr含有量0.02質量%、日立電線(株)製)を用いた。また、圧延の線圧は、1000kgf/cm(約9.81kN/cm)であった。
(1)負極集電体の作製
一方のローラの表面に複数の円形の凹部を有する一対の鋼鉄製ローラを用いて合金銅箔を圧延することにより、両表面に凸部を有する負極集電体を作製した。合金銅箔としては、厚さ26μmの合金銅箔(Zr含有量0.02質量%、日立電線(株)製)を用いた。また、圧延の線圧は、1000kgf/cm(約9.81kN/cm)であった。
負極集電体の表面には、千鳥配列パターンに沿って配置された複数の円柱状の凸部が形成されていた。各凸部は、高さ約7μm、直径約10μmであった。また、隣り合う凸部間の中心間距離は30μmであった。また、負極集電体の平坦部の面積割合は30〜40%であった。
(2)負極の作製
図4に示したような蒸着装置40を用いて、次のようにして、得られた負極集電体の両表面に合金系負極活物質からなる負極活物質層を形成した。
図4に示したような蒸着装置40を用いて、次のようにして、得られた負極集電体の両表面に合金系負極活物質からなる負極活物質層を形成した。
蒸着源であるターゲットとして純度99.9999%のケイ素を用いた。はじめに、得られた負極集電体を蒸着装置40の固定台44に設置し、負極集電体の表面と水平方向とのなす角α1を60°に調整した。そして、真空チャンバ41内の圧力を7×10-3Pa(abs)に減圧した。そして、真空チャンバ41内にノズル43から酸素ガス及びHeガスを供給した。なお、酸素ガスの流量は400sccm(25℃)、Heガスの流量は80sccm(25℃)に設定した。そして、ガスの供給及びレギュレーターの調整により、真空チャンバ41内の圧力を5×10-2Pa(abs)に調整した。そして、加速電圧を−8kV、エミッション500mAの条件で電子ビーム銃からターゲットに電子ビームを照射することにより第1段目の蒸着を行った。なお、蒸着時間は5秒間であった。この第1段目の蒸着により、凸部の表面に厚みが80nmのケイ素酸化物層が形成された。
1段目の蒸着後、固定台44を可動させることにより負極集電体の表面と水平方向とのなす角α2を60°に調整した。そして、第1段目の蒸着と同様の条件で、第2段目の蒸着を行った。さらに、奇数段目の蒸着は第1段目と同様に、偶数段目の蒸着は第2段目と同様にして、負極集電体の表面と水平方向とのなす角度を交互に変えながら、合計8段の蒸着を行った。
このようにして、負極集電体の両表面に、SiOx(x=1.2)で表される組成を有する合金系負極活物質層を形成した。このようにして、負極A1が得られた。蒸着直後の負極A1をSEMで観察すると、図2に示すような、各凸部に支持された、高さ約20μmの柱状体と、各平坦部に支持された、高さ約5.5μmの中央部が隆起した隆起体が形成されていた。なお、柱状体は、中央部よりも上側で膨らんだ略紡錘状であり、膨らんだ部分の直径は約25μmであった。また、隆起体の高さは、隣接する柱状体の最近接位置の高さよりも低かった。
(3)正極の作製
平均粒径5μmのコバルト酸リチウム(LiCoO2)100質量部、アセチレンブラック3質量部、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)4質量部、及び所定量の分散媒(N−メチル−2−ピロリドン)を混合することにより、正極合剤ペーストを得た。この正極合剤ペーストを厚み15μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の片面に塗布し、乾燥させることにより、正極活物質層を形成した。そして、正極活物質層の厚みが85μmとなるように圧延することにより正極が形成された。
平均粒径5μmのコバルト酸リチウム(LiCoO2)100質量部、アセチレンブラック3質量部、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)4質量部、及び所定量の分散媒(N−メチル−2−ピロリドン)を混合することにより、正極合剤ペーストを得た。この正極合剤ペーストを厚み15μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の片面に塗布し、乾燥させることにより、正極活物質層を形成した。そして、正極活物質層の厚みが85μmとなるように圧延することにより正極が形成された。
(4)ラミネート型リチウムイオン二次電池の作製
負極と、正極と、負極A1と正極との間に介在させるセパレータとを積層することにより電極群を作製した。なお、セパレータとしては、ポリエチレン製微多孔膜(商品名:ハイポア、厚さ20μm、旭化成株式会社製)を用いた。次に、ポリプロピレンからなるガスケット用タブが形成されたニッケル製負極リードの一端を、負極A1のリード取付け部に溶接した。一方、ポリプロピレンからなるガスケット用タブが形成されたアルミニウム製正極リードの一端を、正極のリード取付け部に溶接した。そして、電極群をアルミニウムラミネートシートからなる外装ケースに挿入した。さらに、外装ケースに電解液を注液した。電解液としては、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比3:5:2の割合で含む混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させた非水電解液を用いた。
負極と、正極と、負極A1と正極との間に介在させるセパレータとを積層することにより電極群を作製した。なお、セパレータとしては、ポリエチレン製微多孔膜(商品名:ハイポア、厚さ20μm、旭化成株式会社製)を用いた。次に、ポリプロピレンからなるガスケット用タブが形成されたニッケル製負極リードの一端を、負極A1のリード取付け部に溶接した。一方、ポリプロピレンからなるガスケット用タブが形成されたアルミニウム製正極リードの一端を、正極のリード取付け部に溶接した。そして、電極群をアルミニウムラミネートシートからなる外装ケースに挿入した。さらに、外装ケースに電解液を注液した。電解液としては、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比3:5:2の割合で含む混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させた非水電解液を用いた。
そして、負極リード及び正極リードのそれぞれを外装ケースの開口部から外部へと導出させた状態で、外装ケースの開口部を溶着した。このようにして、ラミネート型リチウムイオン二次電池Aが得られた。
(5)負極およびリチウムイオン二次電池の評価
(2つの柱状体同士の最近接位置を結ぶ線分と平坦部の表面と柱状体の側面とによって規定される空間Bの断面積に対する隆起体の断面積の割合)
20℃の恒温槽に電池Aを所定の時間放置した。そして、両極間の電圧が4.2Vに達するまで、充電レート1Cで定電流充電を行った。両極間の電圧が4.2Vに達した後、電流値が0.05Cになるまで定電圧充電を行った。そして、充電後の電池Aを、両極間電圧が2.5Vになるまで放電レート0.2Cで定電流放電を行うことにより、初期放電状態とした。
(2つの柱状体同士の最近接位置を結ぶ線分と平坦部の表面と柱状体の側面とによって規定される空間Bの断面積に対する隆起体の断面積の割合)
20℃の恒温槽に電池Aを所定の時間放置した。そして、両極間の電圧が4.2Vに達するまで、充電レート1Cで定電流充電を行った。両極間の電圧が4.2Vに達した後、電流値が0.05Cになるまで定電圧充電を行った。そして、充電後の電池Aを、両極間電圧が2.5Vになるまで放電レート0.2Cで定電流放電を行うことにより、初期放電状態とした。
そして、初期放電状態の電池Aから負極A1を取り出した。そして、初期放電状態における負極A1の表面および断面の状態をSEMで観察した。初期放電状態における柱状体の高さは平均23μmであり、隆起体の高さは平均6μmであった。従って、初期放電状態における隆起体の高さは、柱状体の高さの約26%であった。また、初期放電状態における隆起体の中央部の高さは、隆起体の端部の高さの約2.5倍であった。
隆起体の高さは、隣接する柱状体同士の最近接位置の高さよりも低く、隣接する柱状体間に形成された空間内に存在していた。また、放電状態においては、柱状体と隆起体とは互いに接触していなかった。
そして、SEM画像において、図1及び図2に示すように、隣接する2つの柱状体同士の最近接位置を結ぶ線分と平坦部の表面と柱状体の側面とによって規定される空間Bの断面積、及び、隆起体の断面積を求め、空間Bの断面積に対する隆起体の断面積の割合を求めた。なお、空間Bの断面積に対する隆起体の断面積の割合は、満遍なく選ばれた5点で測定したデータを数平均した。その結果得られた初期放電時における、負極A1の空間Bの断面積に対する隆起体の断面積は、平均60%であった。
なお、充電状態の電池Aから負極A1を取り出し、その断面の状態をSEMで観察したところ、柱状体及び隆起体は著しく膨張していた。そして、隣接する柱状体同士が互いに接触しているとともに、隣接する柱状体間に形成された空間において膨張した隆起体の上部が、隣接する柱状体の下部を支えるように接触していた。
なお、充電状態の電池Aから負極A1を取り出し、その断面の状態をSEMで観察したところ、柱状体及び隆起体は著しく膨張していた。そして、隣接する柱状体同士が互いに接触しているとともに、隣接する柱状体間に形成された空間において膨張した隆起体の上部が、隣接する柱状体の下部を支えるように接触していた。
(サイクル容量維持率の評価)
初期放電状態の電池Aに対して、両極間の電圧が4.2Vになるまで充電レート1Cで定電流充電を行った。両極間の電圧が4.2Vに達した後、電流値が0.05Cになるまで定電圧充電を行った。そして、充電後、休止時間を20分間保持した。そして、充電後の電池Aを、両極間電圧が2.5Vになるまで放電レート0.2Cで定電流放電を行った。この充放電サイクルを1サイクルとして、合計100サイクル繰り返した。このとき、1サイクル目の放電容量W1[mAh]と100サイクル目の放電容量W100[mAh]を測定し、サイクル容量維持率[%]をW100/W1×100の式により算出した。その結果、電池Aのサイクル容量維持率は90%であった。また、サイクル容量維持率の評価後の負極A1の柱状体及び隆起体にはクラックが殆ど観察されなかった。
初期放電状態の電池Aに対して、両極間の電圧が4.2Vになるまで充電レート1Cで定電流充電を行った。両極間の電圧が4.2Vに達した後、電流値が0.05Cになるまで定電圧充電を行った。そして、充電後、休止時間を20分間保持した。そして、充電後の電池Aを、両極間電圧が2.5Vになるまで放電レート0.2Cで定電流放電を行った。この充放電サイクルを1サイクルとして、合計100サイクル繰り返した。このとき、1サイクル目の放電容量W1[mAh]と100サイクル目の放電容量W100[mAh]を測定し、サイクル容量維持率[%]をW100/W1×100の式により算出した。その結果、電池Aのサイクル容量維持率は90%であった。また、サイクル容量維持率の評価後の負極A1の柱状体及び隆起体にはクラックが殆ど観察されなかった。
[実施例2]
「負極の作製(2)」において、ガス供給後の圧力を5×10-2Pa(abs)に調整する代わりに、1×10-2Pa(abs)となるように調整した以外は、実施例1と同様にして負極B1を作製した。そして、負極A1の代わりに負極B1を用いた以外は実施例1と同様にして、電池Bを作製した。そして、実施例1と同様にして、負極及び電池の評価を行った。
「負極の作製(2)」において、ガス供給後の圧力を5×10-2Pa(abs)に調整する代わりに、1×10-2Pa(abs)となるように調整した以外は、実施例1と同様にして負極B1を作製した。そして、負極A1の代わりに負極B1を用いた以外は実施例1と同様にして、電池Bを作製した。そして、実施例1と同様にして、負極及び電池の評価を行った。
初期放電状態において、柱状体の高さは約23μm、隆起体の高さは約3μmであり、柱状体の高さに対する隆起体の高さの割合は約13%であった。また、負極B1の隆起体の断面積は、前記空間の断面積の30%であった。また、電池Bのサイクル容量維持率は85%であった。また、サイクル容量維持率の評価後の負極B1の柱状体及び隆起体にはクラックが殆ど観察されなかった。
[実施例3]
「負極の作製(2)」において、ガス供給後の圧力を5×10-2Pa(abs)に調整する代わりに、2×10-2Pa(abs)となるように調整した以外は、実施例1と同様にして負極C1を作製した。そして、負極A1の代わりに負極C1を用いた以外は実施例1と同様にして、電池Cを作製した。そして、実施例1と同様にして、負極及び電池の評価を行った。
「負極の作製(2)」において、ガス供給後の圧力を5×10-2Pa(abs)に調整する代わりに、2×10-2Pa(abs)となるように調整した以外は、実施例1と同様にして負極C1を作製した。そして、負極A1の代わりに負極C1を用いた以外は実施例1と同様にして、電池Cを作製した。そして、実施例1と同様にして、負極及び電池の評価を行った。
初期放電状態において、柱状体の高さは約23μm、隆起体の高さは約4.9μmであり、柱状体の高さに対する隆起体の高さの割合は約21%であった。また、負極C1の隆起体の断面積は、前記空間の断面積の40%であった。また、電池Cのサイクル容量維持率は87%であった。また、サイクル容量維持率の評価後の負極C1の柱状体及び隆起体にはクラックが殆ど観察されなかった。
[比較例1]
「負極の作製(2)」において、ガス供給後の圧力を5×10-2Pa(abs)に調整する代わりに、8×10-3Pa(abs)となるように調整した以外は、実施例1と同様にして負極D1を作製した。そして、負極A1の代わりに負極D1を用いた以外は実施例1と同様にして、電池Dを作製した。そして、実施例1と同様にして、負極及び電池の評価を行った。
「負極の作製(2)」において、ガス供給後の圧力を5×10-2Pa(abs)に調整する代わりに、8×10-3Pa(abs)となるように調整した以外は、実施例1と同様にして負極D1を作製した。そして、負極A1の代わりに負極D1を用いた以外は実施例1と同様にして、電池Dを作製した。そして、実施例1と同様にして、負極及び電池の評価を行った。
初期放電状態において、柱状体の高さは約23μm、隆起体の高さは約2.6μmであり、柱状体の高さに対する隆起体の高さの割合は約11%であった。また、負極D1の隆起体の断面積は、前記空間の断面積の20%であった。また、電池Cのサイクル容量維持率は80%であった。なお、充電状態の電池Dから負極D1を取り出し、その断面の状態をSEMで観察したところ、柱状体及び隆起体は何れも膨張していた。そして、隣接する柱状体同士は互いに接触していたが、柱状体と隆起体の上部とは殆ど接触していなかった。また、柱状体には、クラックが観察された。これは、柱状体に発生した内部応力により柱状体が膨張しすぎて、発生したものであると思われる。
以上の結果から、合金系負極活物質の蒸着時の真空チャンバ41内の減圧度の調整により、平坦部に対する合金系負極活物質の被膜の成長を調整できることがわかる。本発明者らは、この現象は、蒸着時の減圧度を調整することにより、蒸発したシリコン原子等の運動性が変化して、凸部間に形成された空間に入り込む原料ガスの量が変化することによると考えている。
また、所定の隆起体を形成して活物質内で応力を均等化することにより、サイクル容量維持率が大きく改善されることがわかる。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、合金系活物質の特徴である高い充放電容量を有し、充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供するための負極として有用である。また、本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、リチウムイオンキャパシタにおける負極の用途にも応用することができる。
1 負極集電体、 1a 凸部、 1b 平坦部、 2 負極活物質層、 2a 柱状体、 2b 隆起体、 2c 端部、 10 リチウムイオン二次電池用負極、 11 ラミネート型リチウムイオン二次電池、 12 正極、 13 セパレータ、 14 外装ケース、 17 正極集電体、 18 正極活物質層、 19 負極リード、 20 正極リード、 21 開口部、 22 ガスケット、 40 蒸着装置、 41 真空チャンバ、 43 ノズル、 44 固定台、 45 ターゲット、 50 原料原子、 51 不活性ガス、 A 線分、 B 空間、 H1 柱状体2aの高さ、 H2 隆起体2bの高さ、 H3 凸部1aの高さ
Claims (14)
- リチウムイオン二次電池に用いられる負極であって、
集電体シートと、前記集電体シートに支持された負極活物質層とを備え、
前記集電体シートは、規則的な間隔を有するパターンに沿って配置された複数の凸部と、前記複数の凸部間に存在する複数の平坦部と、からなる表面を有し、
前記負極活物質層は、合金系負極活物質からなる、前記各凸部に支持された複数の略紡錘状の柱状体と前記各平坦部に支持された複数の隆起体とを備え、
前記隆起体の高さは、隣接する前記柱状体の最近接位置の高さよりも低く、
リチウムイオン二次電池の放電状態において、
上面視した場合における、隣接する2つの前記柱状体のそれぞれの中央部及び前記2つの柱状体間に挟まれた前記隆起体の中央部を通過する仮想直線から、前記集電体シートの表面に向けて仮想切断した鉛直断面において、隣接する2つの前記柱状体同士の最近接位置を結ぶ線分と前記平坦部の表面と2つの前記柱状体の側面とによって規定される空間の断面積に対して、前記隆起体の断面積が占める割合が平均25%以上である、リチウムイオン二次電池用負極。 - 前記放電状態における、前記隆起体の高さが3〜6μmの範囲である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
- 前記放電状態においては前記柱状体と前記隆起体の上部とは接触せず、充電時においては前記柱状体の下部と前記隆起体の上部とが接触している請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
- 前記放電状態において、前記隆起体はその中央部がその周囲よりも隆起しており、前記中央部の頂部の高さが前記周囲の端部の高さの1.3倍以上である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
- 前記柱状体が、中央部よりも上側で膨らんだ略紡錘状である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
- 前記放電状態における、前記柱状体の高さが20〜30μmの範囲である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
- 前記放電状態における、前記隆起体の高さが前記柱状体の高さの10〜30%の範囲である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
- 前記柱状体が、前記合金系負極活物質からなる積層体である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
- 前記凸部の高さが3〜15μmの範囲である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
- 前記規則的な間隔を有するパターンが千鳥配列である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
- 前記集電体シートの表面における、前記平坦部の面積割合が30〜50%の範囲である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
- 前記負極活物質層の空隙率が、前記放電状態において20〜70%である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
- 前記放電状態が、リチウムイオン二次電池の初期充放電期間における放電状態である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
- 請求項1に記載の負極と、リチウムイオンを吸蔵および放出する正極と、前記負極および前記正極を隔離するセパレータと、リチウムイオン伝導性を有する電解質と、を備える、リチウムイオン二次電池。
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