JPWO2011039949A1 - 非水電解質およびそれを用いた非水電解質二次電池 - Google Patents

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Abstract

非水溶媒と、非水溶媒に溶解した溶質とを含む非水電解質であって、非水溶媒が、エチレンカーボネートと、プロピレンカーボネートと、ジエチルカーボネートと、第1添加剤とを含み、エチレンカーボネートと、プロピレンカーボネートと、ジエチルカーボネートとの合計に占めるプロピレンカーボネートの重量割合WPCが30〜60重量%であり、前記合計に占めるエチレンカーボネートの重量割合WECに対するプロピレンカーボネートの重量割合WPCの比:WPC/WECが、2.25≦WPC/WEC≦6を満たし、第1添加剤が、不飽和スルトンおよびスルホン酸エステルの少なくとも一方を含み、かつ、非水電解質全体の0.1〜3重量%を占める、非水電解質。

Description

本発明は、非水電解質および非水電解質二次電池に関し、特に非水電解質二次電池のガス発生の低減に寄与する非水電解質に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池に含まれる非水電解質は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解された溶質とを含む。溶質としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)等が用いられている。
非水溶媒は、鎖状カーボネート、環状カーボネート、環状カルボン酸エステル、鎖状エーテル、環状エーテル等を含む。鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)等が挙げられる。環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネート(VC)等が挙げられる。ECやPCなどの環状カーボネートは誘電率が高く、高いリチウムイオン伝導性を得る上で有利であるが、高粘度であるため、低粘度であるDECなどの鎖状カーボネートと混合して用いられることが多い。
非水電解質二次電池では、一般的に炭素材料が負極材料として用いられている。炭素材料は、上記のような非水電解質との間で副反応を生じ、電池特性を低下させることがある。特に、PCを多く含む非水電解質を用いると、PCの分解とともに負極の劣化が起こりやすい。そこで、炭素材料と非水電解質との副反応を抑制するために、負極表面に被膜(SEI:solid electrolyte interface)を形成することが重要である。また、被膜は電池特性に影響を及ぼすため、その性状を制御することが重要である。被膜と関連する技術として、以下が挙げられる。
特許文献1は、PCを含む非水溶媒に、VCと1,3−プロパンスルトン(PS)とを、被膜形成のための添加剤として含ませることを提案している。
特許文献2は、添加剤として不飽和スルトンを含む非水電解質を提案している。不飽和スルトンを用いることで、優れた高温保存特性を有する電池が得られると述べられている。
特許文献3は、添加剤として環状カルボン酸エステルおよびスルホン酸誘導体を含む非水電解質を提案している。これにより、優れた高温保存特性を有する電池が得られると述べられている。
特開2004−355974号公報 特開2002−329528号公報 特開2002−343426号公報
しかし、特許文献1の非水電解質は、添加剤であるPSにより、負極に過剰な被膜が形成されやすい。また、PCの共存下では、PSによる被膜形成よりもPCの分解が優先されることがあり、これに伴い負極が劣化することがある。
また、特許文献2および特許文献3の非水電解質は、基本的にPC量が少なく、ECの含有量が多い組成を有している。そのため、ECに由来する被膜が過剰に形成されやすい。
被膜は抵抗成分でもあるため、過剰に形成されると電池特性の低下の原因になる。例えば、被膜が過剰に形成されると、リチウムイオンの挿入および脱離が阻害される。そのため、負極の充電受入性が低下してLiが析出しやすくなり、非水電解質二次電池のサイクル特性が低下する。
本発明の一局面は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解した溶質とを含む非水電解質に関する。非水溶媒は、エチレンカーボネートと、プロピレンカーボネートと、ジエチルカーボネートと、第1添加剤とを含む。エチレンカーボネートと、プロピレンカーボネートと、ジエチルカーボネートとの合計に占めるプロピレンカーボネートの重量割合WPCが30〜60重量%であり、上記合計に占めるエチレンカーボネートの重量割合WECに対するプロピレンカーボネートの重量割合WPCの比:WPC/WECが、2.25≦WPC/WEC≦6を満たす。第1添加剤は、不飽和スルトンおよびスルホン酸エステルの少なくとも一方を含み、かつ、非水電解質全体の0.1〜3重量%を占める。
本発明に係る非水電解質によれば、非水電解質二次電池の高温環境下での充放電サイクル時のガス発生を抑制できる。
また、本発明の他の一局面は、正極、負極、正極と負極との間に配されるセパレータおよび上記の非水電解質を含み、負極が、負極芯材および負極芯材に付着した負極合剤層を含み、負極合剤層が、黒鉛粒子と、黒鉛粒子の表面を被覆する水溶性高分子と、水溶性高分子で被覆された黒鉛粒子間を接着する結着剤とを含む、非水電解質二次電池に関する。
負極合剤層が水溶性高分子を含むことで、第1添加剤を含む非水電解質が負極に浸透し易くなり、少量の第1添加剤でも被膜を均一に形成しやすくなる。そのため、負極の充電受入性が向上するとともに、高温環境下での充放電サイクル時のガス発生を良好に抑制することができる。
より具体的には、正極、負極、正極と負極との間に配されるセパレータおよび非水電解質を含み、負極が、負極芯材および負極芯材に付着した負極合剤層を含み、負極合剤層が、黒鉛粒子と、黒鉛粒子の表面を被覆する水溶性高分子と、水溶性高分子で被覆された黒鉛粒子間を接着する結着剤とを含み、非水電解質が、非水溶媒と、非水溶媒に溶解した溶質とを含み、非水溶媒が、エチレンカーボネートと、プロピレンカーボネートと、ジエチルカーボネートと、第1添加剤とを含み、エチレンカーボネートと、プロピレンカーボネートと、ジエチルカーボネートとの合計に占めるプロピレンカーボネートの重量割合WPCが30〜60重量%であり、合計に占めるエチレンカーボネートの重量割合WECに対するプロピレンカーボネートの重量割合WPCの比:WPC/WECが、2.25≦WPC/WEC≦6を満たし、第1添加剤が、不飽和スルトンおよびスルホン酸エステルの少なくとも一方を含み、かつ、非水電解質全体の0.01〜2.95重量%を占める、非水電解質二次電池に関する。
非水電解質二次電池の高温環境下での充放電サイクル時のガス発生を抑制できる非水電解質、およびそれを用いた非水電解質二次電池を提供することができる。
本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記述するが、本発明は、構成および内容の両方に関し、本願の他の目的および特徴と併せ、図面を照合した以下の詳細な説明によりさらによく理解されるであろう。
本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の構成を概略的に示す縦断面図である。
非水電解質は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解した溶質とを含む。本実施形態において、非水溶媒は、エチレンカーボネート(EC)と、プロピレンカーボネート(PC)と、ジエチルカーボネート(DEC)と、第1添加剤とを含む。ECおよびPCは誘電率が高く、高いリチウムイオン伝導性を得る上で有利であるが、高粘度であるため、低粘度のDECと混合して用いる必要がある。
PC、EC等の環状カーボネートは、DEC等の鎖状カーボネートよりも酸化電位が高い。そのため、環状カーボネートは、鎖状カーボネートに比べて酸化分解しにくい。また、鎖状カーボネートは、負極で還元分解されやすい。よって、DECの重量割合が相対的に大きい場合、正極および負極において、DECの酸化分解および還元分解が起こり、CO、CO2、CH4、C26等のガス発生量が多くなる。
一方、EC、PCおよびDECを含む非水溶媒において、ECの重量割合が相対的に大きい場合、特に正極においてECの酸化分解が起こり、CO、CO2等のガス発生量が多くなる。さらに、ECの重量割合が大きすぎると負極に過剰な量の被膜が形成されるため、充電受入性が低下し、Liが析出しやすい。
そこで、本発明では、EC、PCおよびDECを含む非水溶媒において、ECと、PCと、DECとの合計に占めるPCの重量割合WPCを30〜60重量%と相対的に大きくしている。PCの重量割合WPCを相対的に大きくすることで、DECの酸化分解および還元分解、ならびにECの酸化分解を顕著に抑制できる。PCの重量割合WPCは、40〜60重量%であることがより好ましい。
更に、PC(融点:−49℃)はEC(融点:37℃)に比べて融点が低いため、非水電解質の粘度を低くすることができ、非水電解質二次電池の低温特性の面で有利である。すなわち、PCの重量割合WPCを相対的に大きくすることで、DECやECに由来するガス発生を良好に抑制しつつ、非水電解質二次電池の低温特性を向上させることができる。
非水溶媒において、ECと、PCと、DECとの合計に占めるECの重量割合WECに対するPCの重量割合WPCの比:WPC/WECは、2.25≦WPC/WEC≦6を満たす。
PC/WECが2.25より小さいと、特に正極でECの酸化分解に由来するガス発生量が多くなる場合がある。一方、WPC/WECが6を超えると、特に負極でPCの還元分解に由来するガス発生量が多くなる場合がある。ECの重量割合WECに対するPCの重量割合WPCの比:WPC/WECは、3≦WPC/WEC≦5を満たすことがより好ましい。
ただし、非水溶媒におけるPCの重量割合を大きくするとともに、本発明の非水電解質には、PCの還元分解を抑制可能な第1添加剤を更に含ませている。これにより、ECおよびDECに由来するガス発生を抑制し、非水電解質二次電池の低温特性を向上させるとともに、PCの還元分解に由来するガス発生も抑制できる。
第1添加剤は、不飽和スルトンおよびスルホン酸エステルの少なくとも一方を含む。これらの第1添加剤は、負極でPCよりも優先的に還元されて被膜を形成するため、PCの還元分解を抑制することができる。PCの分解電位は、リチウム基準で0.9V程度であるが、不飽和スルトンやスルホン酸エステルは、1.2〜1.25Vという高い電位で被膜を形成する。そのため、第1添加剤による被膜形成が優先的に起こり、PCの還元分解が抑制される。
第1添加剤は、非水電解質全体の0.1〜3重量%を占める。不飽和スルトンやスルホン酸エステルは、SO3基が還元的に活性であり、反応性に富む。そのため、上記のような少量であっても、負極に適度な量の安定な被膜を形成できる。よって、負極のインピーダンスを小さく維持することができる。第1添加剤の量が0.1重量%より小さいと、十分に被膜を形成することができず、負極でのPCの還元分解を十分に抑制できない。第1添加剤の量が3重量%を超えると、負極に過剰な量の被膜が形成されて充電受入性が低下し、Liが析出し易くなる。第1添加剤は、非水電解質全体の0.5〜1.5重量%を占めることがより好ましい。
通常、負極に被膜を形成するための第1添加剤としては、飽和スルトン等(例えば、1,3−プロパンスルトン)が用いられる。しかし、飽和スルトンが被膜を形成する電位は、リチウム基準で約0.9Vである。この電位はPCの分解電位に近いため、PCの還元分解を抑制する効果が十分に得られない場合がある。また、このような第1添加剤は、還元的に活性ではなく、反応性がやや低いことから、比較的多量に添加される。その結果、被膜が過剰に形成され易く、充電受入性の低下を招く。
非水溶媒が不飽和スルトンを含む場合、正極および負極に被膜が形成される。正極に被膜が形成されると、高温環境下における、正極での非水溶媒の酸化分解を抑制することができる。また、負極に被膜が形成されることで、負極での非水溶媒の還元分解、特にPCの還元分解を良好に抑制できる。
不飽和スルトンは、以下の式(1):
Figure 2011039949
(式中、nは1〜3の整数であり、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子またはアルキル基であり、アルキル基の水素原子の少なくとも1つは、フッ素原子で置換されていてもよい。)で表される化合物であることが好ましい。
具体的な不飽和スルトンとしては、1,3−プロペンスルトン、2,4−ブテンスルトン、2,4−ペンテンスルトン、3,5−ペンテンスルトン、1−フルオロ−1,3−プロペンスルトン、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ブテンスルトン、1,4−ブテンスルトンおよび1,5−ペンテンスルトン等が挙げられる。なかでも、重合反応性に富む点で、1,3−プロペンスルトンを用いることがより好ましい。不飽和スルトンは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非水溶媒がスルホン酸エステルを含む場合、負極に被膜が形成される。負極に被膜が形成されることで、負極での非水溶媒の還元分解、特にPCの還元分解を抑制できる。
スルホン酸エステルは、以下の式(2):
Figure 2011039949
(式中、R5およびR6は、それぞれ独立に、アルキル基またはアリール基であり、アルキル基またはアリール基の水素原子の少なくとも1つは、フッ素原子で置換されていてもよい。)で表される化合物であることが好ましい。
スルホン酸エステルは、還元されて被膜を形成する電位が高く、優先的に還元されやすい点から、芳香族スルホン酸エステルであることが好ましい。具体的には、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸トリフルオロメチル、ベンゼンスルホン酸2,2,2−トリフルオロエチル、4−フルオロベンゼンスルホン酸メチル、4−フルオロベンゼンスルホン酸エチル、3,5−ジフルオロベンゼンスルホン酸メチル、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸メチル等が挙げられる。なかでも、被膜抵抗が低いことから、ベンゼンスルホン酸メチルを用いることが特に好ましい。
第1添加剤は、不飽和スルトンおよびスルホン酸エステルのいずれか一方であってもよく、両方を含んでもよいが、不飽和スルトンを単独で用いることが特に好ましい。不飽和スルトンおよびスルホン酸エステルを両方含む場合、不飽和スルトンの量が、非水電解質全体の0.05〜2重量%であり、スルホン酸エステルの量が、非水電解質全体の0.05〜1重量%であればよい。
ECと、PCと、DECとの合計に占めるECの重量割合WECは5〜20重量%であることが好ましく、10〜15重量%であることがより好ましい。ECの重量割合が5重量%より小さいと、負極に被膜(SEI:solid electrolyte interface)が十分に形成されず、リチウムイオンが負極に吸蔵もしくは負極から放出されにくくなる場合がある。ECの重量割合が20重量%を超えると、特に正極においてECの酸化分解が起こり、ガス発生量が多くなる場合がある。また、ECの重量割合が20重量%を超えると、負極に過剰な量の被膜が形成されて充電受入性が低下し、Liが析出しやすくなる場合がある。非水溶媒におけるECの重量割合が5〜20重量%、好ましくは10〜15重量%であることで、ECの酸化分解に由来するガス発生量が小さくなり、かつ負極に適度な量の安定な被膜が形成されるため、非水電解質二次電池の充放電容量およびレート特性が大きく向上する。
ECと、PCと、DECとの合計に占めるDECの重量割合WDECは、30〜65重量%であることが好ましく、35〜55重量%であることがより好ましい。DECの重量割合が30重量%より小さいと、低温での放電特性が低下しやすくなる場合がある。DECの重量割合が65重量%を超えると、ガス発生量が大きくなる場合がある。
EC、PCおよびDECの重量割合は、WEC:WPC:WDEC=1:(3〜6):(3〜6)であることが好ましく、1:(3.5〜5.5):(3.5〜5.5)であることが更に好ましく、1:5:4であることが特に好ましい。EC、PCおよびDECの重量割合が上記の範囲である非水電解質は、PCの重量割合が大きく、ECおよびDECの重量割合が相対的に小さい。そのため、ECおよびDECの酸化反応や還元反応に由来するガス発生量を非常に少なくすることができる。
なお、非水電解質は、上記の不飽和スルトンおよびスルホン酸エステル(第1添加剤)に加えて、高温サイクル特性および低温放電特性の向上の観点から、さらに他の化合物(第2添加剤)を含んでもよい。第2添加剤は特に限定されないが、例えば、スルホラン等の環状スルホン、フッ素化芳香族化合物、フッ素化エーテル等の含フッ素化合物、γ−ブチロラクトン等の環状カルボン酸エステル、脂肪酸アルキルエステル等が挙げられる。
なかでも、第2添加剤は、フッ素化芳香族化合物および脂肪酸アルキルエステルの少なくとも一方を含むことが好ましい。フッ素化芳香族化合物は、例えば、ベンゼンやトルエンに含まれる水素原子の少なくとも1つが、フッ素原子で置換された化合物である。上記の第2添加剤を用いることで、非水電解質の粘度が低下し、イオン伝導度が向上するため、充放電時の分極が抑制される。その結果、サイクル特性および低温放電特性が向上する。また、部分的な正極電位の上昇および負極でのLi析出が抑制されるため、充放電サイクルに伴うガス発生が抑制される。
フッ素化芳香族化合物としては、例えば、フルオロベンゼン(FB)、1,2−ジフルオロベンゼン、1,2,3−トリフルオロベンゼン、1,2,3,4−テトラフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、2−フルオロトルエン、トリフルオロトルエンなどが挙げられる。なかでも、フルオロベンゼン(FB)、1,2−ジフルオロベンゼンおよび1,2,3−トリフルオロベンゼンが特に好ましい。
脂肪酸アルキルエステルとしては、例えばプロピオン酸エチル(EP)、ペンタン酸メチル、ペンタン酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチルなどが挙げられる。
非水電解質全体における第2添加剤の重量割合は、10重量%以下であることが好ましく、1〜10重量%がより好ましく、5〜10重量%が特に好ましい。
第2添加剤は、1種のみ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非水電解質の25℃における粘度は、例えば3〜7mPa・sである。これにより、特に低温でのレート特性の低下を抑制できる。例えば、非水電解質における鎖状カーボネート(DEC)の重量割合を変化させることによって、非水電解質の粘度を制御できる。粘度は、回転型粘度計と、コーンプレートタイプのスピンドルとを用いて測定する。
非水電解質の溶質は特に限定されない。例えば、LiPF6、LiBF4等の無機リチウムフッ化物や、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22等のリチウムイミド化合物等が挙げられる。
上記のように、ECと、PCと、DECとの合計に占めるPCの重量割合WPCが30〜60重量%である非水溶媒に、不飽和スルトンおよびスルホン酸エステルの少なくとも一方を添加することで、非水電解質二次電池の負極に適度な量の安定な被膜を優先的に形成でき、高温環境下での保存時および充放電サイクル時のガス発生を抑制可能な非水電解質が得られる。また、PCの重量割合を大きくすることで、非水電解質二次電池の低温特性も向上する。
本発明の非水電解質二次電池について説明する。
非水電解質二次電池は、正極、負極、正極と負極との間に配されるセパレータおよび上記の非水電解質を含む。非水電解質二次電池は、使用する前に充放電を少なくとも1回行うことが好ましい。充放電は、負極の電位がリチウム基準で0.08〜1.4Vとなる範囲で行うことが好ましい。このような充放電を行うことで、不飽和スルトンおよびスルホン酸エステルの少なくとも一方を含む第1添加剤の一部が分解して、正極や負極に被膜を形成する。上記の充放電後の電池に含まれる非水電解質中の第1添加剤の量は、例えば0.01〜2.95重量%となる。
本実施形態においては、負極は、負極芯材および負極芯材に付着した負極合剤層を含み、負極合剤層が、黒鉛粒子と、黒鉛粒子の表面を被覆する水溶性高分子と、水溶性高分子で被覆された黒鉛粒子間を接着する結着剤とを含む。
黒鉛粒子の表面を水溶性高分子で被覆することにより、第1添加剤を含む非水電解質が、負極の内部まで浸透し易くなる。その結果、非水電解質が黒鉛粒子の表面にほぼ均一に存在可能となり、初期充電時に負極被膜がムラなく均一に形成されやすくなる。そのため、非水電解質に対する第1添加剤の添加量を小さくしても、負極に適度量の安定な被膜が形成され、PCの還元分解を良好に抑制できる。例えば、第1添加剤の量を、電池に添加する前の非水電解質全体の0.5〜1.5重量%(電池に含まれている非水電解質では0.01〜1.45重量%)としても、PCの還元分解を良好に抑制できる。これにより、負極の充電受入性が向上し、Liの析出を抑制できるとともに、ガス発生を良好に抑制できる。すなわち、水溶性高分子と上記の非水電解質とを併用することで、それぞれを単独で用いた場合よりもガス発生を大幅に抑制することができる。
水溶性高分子の種類は特に限定されないが、セルロース誘導体またはポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンもしくはこれらの誘導体などがあげられる。これらのうちでも特に、水溶性高分子は、セルロース誘導体またはポリアクリル酸を含むことが好ましい。セルロース誘導体としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのNa塩などが好ましい。セルロース誘導体の分子量は1万〜100万が好適である。また、ポリアクリル酸の分子量は5000〜100万が好適である。
負極合剤層に含まれる水溶性高分子の量は、黒鉛粒子100重量部あたり、0.4〜2.8重量部が好ましく、0.5〜1.5重量部が更に好ましく、0.5〜1重量部が特に好ましい。水溶性高分子の量が上記範囲に含まれる場合、水溶性高分子が黒鉛粒子の表面を高い被覆率で被覆することができる。また、黒鉛粒子表面が水溶性高分子で過度に被覆されることがなく、負極の内部抵抗の上昇も抑制される。
負極合剤層に含ませる結着剤は、特に限定されないが、粒子状であり、ゴム弾性を有する結着剤が好ましい。粒子状の結着剤の平均粒径が0.1μm〜0.3μmであることが好ましく、0.1〜0.26μmであることが更に好ましく、0.1〜0.15μmであることが特に好ましく、0.1〜0.12μmであることが最も好ましい。なお、結着剤の平均粒径は、例えば、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、加速電圧200kV)により、10個の結着剤粒子のSEM写真を撮影し、これらの最大径の平均値として求める。
粒子状であり、ゴム弾性を有し、平均粒径が0.1μm〜0.3μmである結着剤としては、特にスチレン単位およびブタジエン単位を含む高分子が好ましい。このような高分子は、弾性に優れ、負極電位で安定である。
負極合剤層に含まれる結着剤の量は、黒鉛粒子100重量部あたり、0.4〜1.5重量部が好ましく、0.4〜1重量部が更に好ましく、0.4〜0.7重量部が特に好ましい。水溶性高分子が黒鉛粒子の表面を被覆している場合、黒鉛粒子間の滑り性が良好であるため、水溶性高分子で被覆された黒鉛粒子表面に付着した結着剤は、十分なせん断力を受け、黒鉛粒子表面に有効に作用する。また、粒子状で平均粒径の小さい結着剤は、水溶性高分子で被覆された黒鉛粒子の表面と接触する確率が高くなる。よって、結着剤の量が少量でも十分な結着性が発揮される。
負極芯材としては、金属箔などが用いられる。リチウムイオン二次電池の負極を作製する場合には、一般に銅箔、銅合金箔などが負極芯材として用いられる。なかでも銅箔(0.2モル%以下の銅以外の成分が含まれていてもよい)が好ましく、特に電解銅箔が好ましい。
負極合剤層の水浸透速度は、3〜40秒であることが好ましい。負極合剤層の水浸透速度は、例えば水溶性高分子の被覆量によって制御できる。負極合剤層の水浸透速度が3〜40秒であることで、第1添加剤を含む非水電解質が、負極の内部まで特に浸透しやすくなる。これにより、PCの還元分解をより良好に抑制できる。負極合剤層の水浸透速度は、10〜25秒であることがより好ましい。
負極合剤層の水浸透速度は、例えば以下の方法で25℃の環境下で測定する。
2μlの水を滴下して、液滴を負極合剤層の表面に接触させる。負極合剤層表面に対する水の接触角θが10°より小さくなるまでの時間を測定することで、負極合剤層の水浸透速度が求められる。負極合剤層表面に対する水の接触角は、市販の接触角測定装置(例えば、協和界面科学(株)製のDM−301)を用いて測定すればよい。
負極合剤層の空隙率は、24〜28%であることが好ましい。表面を水溶性高分子で被覆した黒鉛粒子を含む負極合剤層の空隙率を24〜28%に制御することで、第1添加剤を含む非水電解質が、負極の内部までより浸透しやすくなる。これにより、均一な被膜が負極に形成され易くなるため、PCの還元分解をより良好に抑制できる。
負極は、負極活物質として黒鉛粒子を含む。ここでは、黒鉛粒子とは、黒鉛構造を有する領域を含む粒子の総称である。よって、黒鉛粒子には、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化メソフェーズカーボン粒子などが含まれる。
広角X線回折法で測定される黒鉛粒子の回折像は、(101)面に帰属されるピークと、(100)面に帰属されるピークとを有する。ここで、(101)面に帰属されるピークの強度I(101)と、(100)面に帰属されるピークの強度I(100)との比は、0.01<I(101)/I(100)<0.25を満たすことが好ましく、0.08<I(101)/I(100)<0.2を満たすことが更に好ましい。なお、ピークの強度とは、ピークの高さを意味する。
黒鉛粒子の平均粒径は、14〜25μmが好ましく、16〜23μmが更に好ましい。平均粒径が上記範囲に含まれる場合、負極合剤層における黒鉛粒子の滑り性が向上し、黒鉛粒子の充填状態が良好となり、黒鉛粒子間の接着強度の向上に有利である。なお、平均粒径とは、黒鉛粒子の体積粒度分布におけるメディアン径(D50)を意味する。黒鉛粒子の体積粒度分布は、例えば市販のレーザー回折式の粒度分布測定装置により測定することができる。
黒鉛粒子の平均円形度は、0.9〜0.95が好ましく、0.91〜0.94が更に好ましい。平均円形度が上記範囲に含まれる場合、負極合剤層における黒鉛粒子の滑り性が向上し、黒鉛粒子の充填性の向上や、黒鉛粒子間の接着強度の向上に有利である。なお、平均円形度は、4πS/L2(ただし、Sは黒鉛粒子の正投影像の面積、Lは正投影像の周囲長)で表される。例えば、任意の100個の黒鉛粒子の平均円形度が上記範囲であることが好ましい。
黒鉛粒子の比表面積Sは、3〜5m2/gが好ましく、3.5〜4.5m2/gが更に好ましい。比表面積が上記範囲に含まれる場合、負極合剤層における黒鉛粒子の滑り性が向上し、黒鉛粒子間の接着強度の向上に有利である。また、黒鉛粒子の表面を被覆する水溶性高分子の好適量を少なくすることができる。
黒鉛粒子の表面を水溶性高分子で被覆するために、以下の製造方法で負極を製造することが望ましい。ここでは、方法Aおよび方法Bを例示する。
まず、方法Aについて説明する。
方法Aは、黒鉛粒子と、水と、水に溶解した水溶性高分子とを混合し、得られた混合物を乾燥させて、乾燥混合物とする工程(工程(i))を含む。例えば、水溶性高分子を水中に溶解させて、水溶性高分子水溶液を調製する。得られた水溶性高分子水溶液と黒鉛粒子とを混合し、その後、水分を除去して、混合物を乾燥させる。このように、混合物を一旦乾燥させることにより、黒鉛粒子の表面に水溶性高分子が効率的に付着し、水溶性高分子による黒鉛粒子表面の被覆率が高められる。
水溶性高分子水溶液の粘度は、25℃において、1000〜10000mPa・sに制御することが好ましい。粘度は、B型粘度計を用い、周速度20mm/sで、5mmφのスピンドルを用いて測定する。また、水溶性高分子水溶液100重量部と混合する黒鉛粒子の量は、50〜150重量部が好適である。
混合物の乾燥温度は80〜150℃が好ましく、乾燥時間は1〜8時間が好適である。
次に、得られた乾燥混合物と、結着剤と、液状成分とを混合し、負極合剤スラリーを調製する(工程(ii))。この工程により、水溶性高分子で被覆された黒鉛粒子の表面に、結着剤が付着する。黒鉛粒子間の滑り性が良好なため、水溶性高分子で被覆された黒鉛粒子表面に付着した結着剤は、十分なせん断力を受け、水溶性高分子で被覆された黒鉛粒子表面に有効に作用する。
そして、得られた負極合剤スラリーを、負極芯材に塗布し、乾燥させて、負極合剤層を形成することにより、負極が得られる(工程(iii))。負極合剤スラリーを負極芯材に塗布する方法は、特に限定されない。例えば、ダイコートを用いて、負極芯材の原反に負極合剤スラリーを所定パターンで塗布する。塗膜の乾燥温度も特に限定されない。乾燥後の塗膜は、圧延ロールで圧延し、所定の厚さに制御される。圧延工程により、負極合剤層と負極芯材との接着強度や、水溶性高分子で被覆された黒鉛粒子間の接着強度が高められる。こうして得られた負極合剤層を負極芯材とともに所定形状に裁断することにより、負極が完成する。
次に、方法Bについて説明する。
方法Bは、黒鉛粒子と、結着剤と、水と、水に溶解した水溶性高分子とを混合し、得られた混合物を乾燥させて、乾燥混合物とする工程(工程(i))を含む。例えば、水溶性高分子を水中に溶解させて、水溶性高分子水溶液を調製する。水溶性高分子水溶液の粘度は、方法Aと同様でよい。次に、得られた水溶性高分子水溶液と、結着剤と、黒鉛粒子とを混合し、その後、水分を除去して、混合物を乾燥させる。このように、混合物を一旦乾燥させることにより、黒鉛粒子の表面に水溶性高分子と結着剤とが効率的に付着する。よって、水溶性高分子による黒鉛粒子表面の被覆率が高められるとともに、水溶性高分子で被覆された黒鉛粒子の表面に結着剤が良好な状態で付着する。結着剤は、水溶性高分子水溶液に対する分散性を高める観点から、水を分散媒とするエマルジョンの状態で水溶性高分子水溶液と混合することが好ましい。
次に、得られた乾燥混合物と、液状成分とを混合し、負極合剤スラリーを調製する(工程(ii))。この工程により、水溶性高分子と結着剤で被覆された黒鉛粒子が、液状成分である程度膨潤し、黒鉛粒子間の滑り性が良好となる。
そして、得られた負極合剤スラリーを、方法Aと同様に、負極芯材に塗布し、乾燥させ、圧延して、負極合剤層を形成することにより、負極が得られる(工程(iii))。
方法Aおよび方法Bで、負極合剤スラリーを調製する際に用いる液状成分は、特に限定されないが、水、アルコール水溶液などが好ましく、水が最も好ましい。ただし、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMP)などを用いてもよい。
正極は、非水電解質二次電池の正極として用いることのできるものであれば、特に限定されない。正極は、例えば、正極活物質と、カーボンブラックなどの導電剤と、ポリフッ化ビニリデンなどの結着剤とを含む正極合剤スラリーを、アルミニウム箔などの正極芯材に塗布し、乾燥し、圧延することにより得られる。正極活物質としては、リチウム含有遷移金属複合酸化物が好ましい。リチウム含有遷移金属複合酸化物の代表的な例としては、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、LiMnO2、LixNiyzMe1-(y+z)2+dなどを挙げることができる。
なかでも、高容量を確保しつつ、ガス発生を抑制する効果がより顕著に得られる点から、正極は、リチウムおよびニッケルを含む複合酸化物を含むことが好ましい。この場合、複合酸化物に含まれるニッケルのリチウムに対するモル比が、30〜100モル%であることが好ましい。
複合酸化物は、更に、マンガンおよびコバルトよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、リチウムに対するマンガンおよびコバルトの合計のモル比は70モル%以下であることが好ましい。
複合酸化物は、更に、Li、Ni、Mn、CoおよびO以外の元素Mを含むことが好ましく、元素Mのリチウムに対するモル比は1〜10モル%であることが好ましい。
具体的なリチウムニッケル含有複合酸化物としては、例えば、一般式(1):
LixNiyzMe1-(y+z)2+d (1)
(Mは、CoおよびMnよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Meは、Al、Cr、Fe、Mg、およびZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、0.98≦x≦1.1であり、0.3≦y≦1であり、0≦z≦0.7であり、0.9≦(y+z)≦1であり、−0.01≦d≦0.01である)で表されるものが挙げられる。
セパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどからなる微多孔性フィルムが一般に用いられている。セパレータの厚みは、例えば10〜30μmである。
本発明は、円筒型、扁平型、コイン型、角型など、様々な形状の非水電解質二次電池に適用可能であり、電池の形状は特に限定されない。
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
《実施例1》
(a)負極の作製
工程(i)
まず、水溶性高分子であるカルボキシメチルセルロース(以下、CMC、分子量40万)を水に溶解し、CMC濃度1重量%の水溶液を得た。天然黒鉛粒子(平均粒径20μm、平均円形度0.92、比表面積4.2m2/g)100重量部と、CMC水溶液100重量部とを混合し、混合物の温度を25℃に制御しながら攪拌した。その後、混合物を120℃で5時間乾燥させ、乾燥混合物を得た。乾燥混合物において、黒鉛粒子100重量部あたりのCMC量は1重量部であった。
工程(ii)
得られた乾燥混合物101重量部と、平均粒径0.12μmの粒子状であり、スチレン単位およびブタジエン単位を含み、ゴム弾性を有する結着剤(以下、SBR)0.6重量部と、0.9重量部のカルボキシメチルセルロースと、適量の水とを混合し、負極合剤スラリーを調製した。なお、SBRは水を分散媒とするエマルジョン(日本ゼオン(株)製のBM−400B(商品名)、SBR重量割合40重量%)の状態で他の成分と混合した。
工程(iii)
得られた負極合剤スラリーを、負極芯材である電解銅箔(厚さ12μm)の両面にダイコートを用いて塗布し、塗膜を120℃で乾燥させた。その後、乾燥塗膜を圧延ローラで線圧0.25トン/cmで圧延して、厚さ160μm、黒鉛密度1.65g/cm3の負極合剤層を形成した。負極合剤層を負極芯材とともに所定形状に裁断することにより、負極を得た。
以下の方法で、負極合剤層の水浸透速度を測定した。
2μlの水を滴下して、液滴を負極合剤層の表面に接触させた。その後、接触角測定装置(協和界面科学(株)製のDM−301)を用いて、25℃における負極合剤層表面に対する水の接触角θが10°より小さくなるまでの時間を測定した。負極合剤層の水浸透速度は、15秒であった。
また、負極合剤を構成する各材料の真密度から、負極合剤層の空隙率を計算したところ、25%であった。
(b)正極の作製
正極活物質である100重量部のLiNi0.80Co0.15Al0.052に対し、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)を4重量部添加し、適量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)とともに混合し、正極合剤スラリーを調製した。得られた正極合剤スラリーを、正極芯材である厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に、ダイコートを用いて塗布し、塗膜を乾燥させ、更に、圧延して、正極合剤層を形成した。正極合剤層を正極芯材とともに所定形状に裁断することにより、正極を得た。
(c)非水電解質の調製
エチレンカーボネート(EC)と、プロピレンカーボネート(PC)と、ジエチルカーボネート(DEC)との重量割合が10:50:40である混合溶媒に、1モル/リットルの濃度でLiPF6を溶解させて非水電解質を調製した。非水電解質には、第1添加剤として1重量%の1,3−プロペンスルトン(PRS)を含ませた。回転粘度計(コーンプレート型、コーンプレートの半径:24mm)によって25℃における非水電解質の粘度を測定したところ、5.4mPa・sであった。
(d)電池の組み立て
図1に示すような角型リチウムイオン二次電池を作製した。
負極と正極とを、これらの間に厚さ20μmのポリエチレン製の微多孔質フィルムからなるセパレータ(セルガード(株)製のA089(商品名))を介して捲回し、断面が略楕円形の電極群21を構成した。電極群21はアルミニウム製の角型の電池缶20に収容した。電池缶20は、底部と、側壁とを有し、上部は開口しており、その形状は略矩形である。側壁の主要平坦部の厚みは80μmとした。その後、電池缶20と正極リード22または負極リード23との短絡を防ぐための絶縁体24を、電極群21の上部に配置した。次に、絶縁ガスケット26で囲まれた負極端子27を中央に有する矩形の封口板25を、電池缶20の開口に配置した。負極リード23は、負極端子27と接続した。正極リード22は、封口板25の下面と接続した。開口の端部と封口板25とをレーザで溶接し、電池缶20の開口を封口した。その後、封口板25の注液孔から2.5gの非水電解質を電池缶20に注入した。最後に、注液孔を封栓29で溶接により塞ぎ、高さ50mm、幅34mm、内空間の厚み約5.2mm、設計容量850mAhの角型リチウムイオン二次電池1を完成させた。
〈電池の評価〉
(1)サイクル容量維持率の評価
電池1に対し、電池の充放電サイクルを45℃で繰り返した。充放電サイクルにおいて、充電では、充電電流600mA、終止電圧4.2Vの定電流充電を行った後、4.2Vで充電カット電流43mAまで定電圧充電を行った。充電後の休止時間は、10分間とした。一方、放電では、放電電流を850mA、放電終止電圧を2.5Vとし、定電流放電を行った。放電後の休止時間は、10分間とした。
3サイクル目の放電容量を100%とみなし、500サイクルを経過したときの放電容量をサイクル容量維持率[%]とした。結果を表1に示す。
(2)電池膨れの評価
また、3サイクル目の充電後における状態と、501サイクル目の充電後における状態とで、電池1の最大平面(縦50mm、横34mm)に垂直な中央部の厚みを測定した。その電池厚みの差から、45℃での充放電サイクル経過後における電池膨れの量[mm]を求めた。結果を表1に示す。
(3)低温放電特性評価
電池1に対し、電池の充放電サイクルを25℃で3サイクル繰り返した。次に、4サイクル目の充電を25℃で行った後、0℃で3時間放置後、そのまま0℃で放電を行った。3サイクル目(25℃)の放電容量を100%とみなし、4サイクル目(0℃)の放電容量を百分率で表し、これを低温放電容量維持率[%]とした。結果を表1に示す。なお、充放電条件は、充電後の休止時間以外は(i)と同様にした。
《実施例2》
第1添加剤の量を、表1に示すように変えたこと以外、実施例1と同様にして、非水電解質を調製した。得られた非水電解質を用いたこと以外、実施例1と同様にして、電池2〜9を作製した。なお、電池2、3、および9は比較例である。
電池2〜9について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2011039949
表1より、第1添加剤を0.1〜3重量%含む非水電解質を用いた電池は、いずれもサイクル容量維持率および低温放電容量維持率が良好であった。また、サイクル後の電池膨れが小さいことから、ガス発生量が低減されていると考えられる。なかでも、第1添加剤の量が0.5〜1.5重量%である電池1、5および6は、いずれもサイクル容量維持率および低温放電容量維持率が更に向上していた。また、電池の膨れも更に小さくなっていた。以上より、EC、PCおよびDECを含む非水電解質に、第1添加剤として不飽和スルトンを含ませることで、ガス発生を良好に抑制できることがわかった。
非水電解質が第1添加剤を含まない場合、充放電を行うことができなかった。第1添加剤の量が0.1重量%より小さい場合、サイクル特性および低温放電容量維持率がいずれも低下していた。これは、第1添加剤の量が少ないことから負極に十分な被膜が形成されず、PCの還元分解を十分に抑制できなかったためと考えられる。第1添加剤の量が3重量%を超える場合も、サイクル特性および低温放電容量維持率がいずれも低下していた。これは、負極に過剰な被膜が形成され、充電受入性が低下したためと考えられる。
《実施例3》
エチレンカーボネート(EC)と、プロピレンカーボネート(PC)と、ジエチルカーボネート(DEC)との重量割合を、表2に示すように変えたこと以外、実施例1と同様にして、非水電解質を調製した。得られた非水電解質を用いたこと以外、実施例1と同様にして、電池10〜17を作製した。なお、電池10および17は比較例である。
電池10〜17について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2011039949
表2より、PCの重量割合WPCが30〜60重量%であり、PCの重量割合WPCとECの重量割合WECとの比:WPC/WECが2.25≦WPC/WEC≦6を満たす非水電解質を用いた電池は、いずれもサイクル容量維持率および低温放電容量維持率が良好であった。また、サイクル後の電池膨れも小さくなっていた。なかでも、電池12は、サイクル容量維持率および低温放電容量維持率が更に向上し、電池の膨れも更に小さくなっていた。
PCが30重量%より小さい場合、高温サイクル後の電池膨れが増大し、サイクル容量維持率が低下していた。この電池の非水溶媒においては、DECやECの量が相対的に大きくなっている。そのため、正極および負極におけるDECの酸化分解および還元分解や、正極におけるECの酸化分解が起こり、ガス発生量が増大したと考えられる。WPCが60重量%を超える場合も、高温サイクル後の電池膨れが増大し、サイクル容量維持率が低下していた。これは、PCの量が過剰となり、負極においてPCの還元分解が起こったためと考えられる。
《実施例4》
第1添加剤として、1,3−プロペンスルトンの代わりに、表3に示す量のベンゼンスルホン酸メチルを用いたこと以外、実施例1と同様にして、非水電解質を調製した。得られた非水電解質を用いたこと以外、実施例1と同様にして、電池18〜25を作製した。なお、電池18および25は比較例である。
電池18〜25について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2011039949
表3より、第1添加剤としてベンゼンスルホン酸メチルを0.1〜3重量%含む非水電解質を用いた電池は、いずれもサイクル容量維持率および低温放電容量維持率が良好であった。また、サイクル後の電池膨れが小さいことから、ガス発生量が低減されていると考えられる。なかでも、第1添加剤の量が0.5〜1.5重量%である電池20〜22は、いずれもサイクル容量維持率および低温放電容量維持率が更に向上していた。また、電池の膨れも更に小さくなっていた。以上より、EC、PCおよびDECを含む非水電解質に、第1添加剤としてスルホン酸エステルを含ませることでも、不飽和スルトンと同様に、ガス発生を良好に抑制できることがわかった。
《実施例5》
エチレンカーボネート(EC)と、プロピレンカーボネート(PC)と、ジエチルカーボネート(DEC)との重量割合を、表4に示すように変えたこと以外、実施例4の電池21と同様にして、非水電解質を調製した。得られた非水電解質を用いたこと以外、実施例4の電池21と同様にして、電池26〜32を作製した。なお、電池26は比較例である。
電池26〜32について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 2011039949
表4より、第1添加剤としてベンゼンスルホン酸メチルを含む場合でも、PCの重量割合WPCが30〜60重量%であり、PCの重量割合WPCとECの重量割合WECとの比:WPC/WECが2.25≦WPC/WEC≦6を満たす非水電解質を用いた電池は、いずれもサイクル容量維持率および低温放電容量維持率が良好であった。また、サイクル後の電池膨れも小さくなっていた。なかでも、電池21、28および29は、サイクル容量維持率が更に向上していた。
《実施例6》
乾燥混合物において、黒鉛粒子100重量部あたりのCMC量を変えて、負極合剤層の水浸透速度を表5に示すように変化させたこと以外、実施例1と同様にして、負極を作製した。黒鉛粒子100重量部あたりのCMC量は、CMC水溶液のCMC濃度により変化させた。得られた負極を用いたこと以外、実施例1と同様にして、電池33〜40を作製した。
電池33〜40について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表5に示す。
Figure 2011039949
表5より、負極合剤層に含まれるCMCの量が、黒鉛粒子100重量部あたり、0.4〜2.8重量部である電池は、いずれもサイクル容量維持率および低温放電容量維持率が良好であった。また、サイクル後の電池膨れも小さくなっていた。なかでも、CMCの量が0.5〜1.5重量部である電池35〜37は、サイクル容量維持率および低温放電容量維持率が更に向上し、電池の膨れも更に小さくなっていた。これは、黒鉛粒子の表面を水溶性高分子で被覆することにより、第1添加剤を含む非水電解質が負極の内部まで浸透しやすくなり、被膜がムラなく均一に形成されたためと考えられる。
《実施例7》
水溶性高分子として表6に示すものを用いたこと以外、実施例1と同様にして、負極を作製した。得られた負極を用いたこと以外、実施例1と同様にして、電池41〜44を作製した。水溶性高分子は、いずれも分子量100万のものを用いた。なお、水溶性高分子を含まない電池41は比較例である。
電池41〜44について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表6に示す。
Figure 2011039949
表6より、負極合剤層が水溶性高分子を含む電池は、いずれもサイクル容量維持率および低温放電容量維持率が向上し、電池の膨れも小さくなっていた。一方、負極合剤層が水溶性高分子を含まない電池41は、サイクル後の電池膨れが大きくなっていた。CMC以外の水溶性高分子を用いた場合でも、CMCと同様の効果が得られることがわかった。
《実施例8》
第2添加剤として表7に示す量のフルオロベンゼン(FB)を用いたこと以外、実施例1と同様にして、非水電解質を調製した。得られた非水電解質を用いたこと以外、実施例1と同様にして、電池45〜48を作製した。
電池45〜48について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表7に示す。
Figure 2011039949
表7より、第1添加剤として不飽和スルトンを含み、第2添加剤として1〜10重量%のFBを含む電池は、いずれもサイクル容量維持率および低温放電容量維持率が良好であった。また、サイクル後の電池膨れも小さく、ガス発生量が低減されていることがわかった。第2添加剤としてFBを添加することで、非水電解質の粘度が低下し、イオン伝導度が向上したため、充放電時の分極が抑制され、サイクル特性および低温放電特性が向上したと考えられる。また、部分的な正極電位の上昇および負極でのLi析出が抑制されるため、充放電サイクルに伴うのガス発生が抑制されたと考えられる。
《実施例9》
第2添加剤として表8に示すフッ素化芳香族化合物を用いたこと以外、実施例8の電池47と同様にして、非水電解質を調製した。得られた非水電解質を用いたこと以外、実施例8の電池47と同様にして、電池49〜55を作製した。
電池49〜55について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表8に示す。
Figure 2011039949
第2添加剤として表8に示すフッ素化芳香族化合物を含む電池は、いずれもサイクル容量維持率が向上し、サイクル後の電池膨れも低減されていた。よって、これらのフッ素化芳香族化合物も、フルオロベンゼンと同様の効果を示すことがわかった。
《実施例10》
第2添加剤として表9に示す量のFBを用いたこと以外、実施例4の電池21と同様にして、非水電解質を調製した。得られた非水電解質を用いたこと以外、実施例4の電池21と同様にして、電池56〜59を作製した。
電池56〜59について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表9に示す。
Figure 2011039949
表9より、第1添加剤としてベンゼンスルホン酸メチルを用いた場合でも、第2添加剤として1〜10重量%のFBを含ませることで、良好なサイクル容量維持率および低温放電容量維持率を示した。また、サイクル後の電池膨れも小さく、ガス発生量が低減されていることがわかった。以上より、第1添加剤としてスルホン酸エステルを用いた場合でも、第2添加剤による効果が得られることがわかった。
《実施例11》
第2添加剤として表10に示す量のプロピオン酸エチル(EP)を用いたこと以外、実施例1と同様にして、非水電解質を調製した。得られた非水電解質を用いたこと以外、実施例1と同様にして、電池60〜63を作製した。
電池60〜63について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表10に示す。
Figure 2011039949
表10より、第1添加剤として不飽和スルトンを含み、第2添加剤としてEPを含む電池は、いずれも低温放電容量維持率が良好であった。なかでも、EPの重量割合が1〜10重量%である電池は、サイクル容量維持率が良好であり、サイクル後の電池膨れも小さく、ガス発生量が低減されていることがわかった。第2添加剤としてEPを添加することで、非水電解質の粘度が低下し、イオン伝導度が向上したため、充放電時の分極が抑制され、サイクル特性および低温放電特性が向上したと考えられる。また、部分的な正極電位の上昇および負極でのLi析出が抑制されるため、充放電サイクルに伴うガス発生が抑制されたと考えられる。
《実施例12》
第2添加剤として表11に示す脂肪酸アルキルエステルを用いたこと以外、実施例11の電池62と同様にして、非水電解質を調製した。得られた非水電解質を用いたこと以外、実施例11の電池62と同様にして、電池64〜67を作製した。
電池64〜67について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表11に示す。
Figure 2011039949
第2添加剤として表11に示す脂肪酸アルキルエステルを含む電池は、いずれもサイクル容量維持率および低温放電容量維持率が良好であった。また、サイクル後の電池膨れも小さく、ガス発生量が低減されていることがわかった。よって、これらの脂肪酸アルキルエステルも、プロピオン酸エチルと同様の効果を示すことがわかった。
《実施例13》
第2添加剤として表12に示す量のプロピオン酸エチルを用いたこと以外、実施例4の電池21と同様にして、非水電解質を調製した。得られた非水電解質を用いたこと以外、実施例4の電池21と同様にして、電池68〜71を作製した。
電池68〜71について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表12に示す。
Figure 2011039949
表12より、第1添加剤としてベンゼンスルホン酸メチルを用いた場合でも、第2添加剤としてEPを含む電池は、いずれも低温放電容量維持率が良好であった。なかでもEPの重量割合が1〜10重量%である電池は、サイクル容量維持率が良好であり、サイクル後の電池膨れも小さく、ガス発生量が低減されていることがわかった。以上より、第1添加剤としてスルホン酸エステルを用いた場合でも、第2添加剤による効果が得られることがわかった。
本発明の非水電解質を用いることで、高温環境下での保存時および充放電サイクル時の非水電解質二次電池の充放電容量の低下を抑制する効果と、優れた低温特性とを両立することができる。本発明の非水電解質二次電池は、携帯電話、パソコン、デジタルスチルカメラ、ゲーム機器、携帯オーディオ機器等に有用である。
本発明を現時点での好ましい実施態様に関して説明したが、そのような開示を限定的に解釈してはならない。種々の変形および改変は、上記開示を読むことによって本発明に属する技術分野における当業者には間違いなく明らかになるであろう。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、すべての変形および改変を包含する、と解釈されるべきものである。
20 電池缶
21 電極群
22 正極リード
23 負極リード
24 絶縁体
25 封口板
26 絶縁ガスケット
29 封栓
本発明は、非水電解質および非水電解質二次電池に関し、特に非水電解質二次電池のガス発生の低減に寄与する非水電解質に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池に含まれる非水電解質は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解された溶質とを含む。溶質としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)等が用いられている。
非水溶媒は、鎖状カーボネート、環状カーボネート、環状カルボン酸エステル、鎖状エーテル、環状エーテル等を含む。鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)等が挙げられる。環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネート(VC)等が挙げられる。ECやPCなどの環状カーボネートは誘電率が高く、高いリチウムイオン伝導性を得る上で有利であるが、高粘度であるため、低粘度であるDECなどの鎖状カーボネートと混合して用いられることが多い。
非水電解質二次電池では、一般的に炭素材料が負極材料として用いられている。炭素材料は、上記のような非水電解質との間で副反応を生じ、電池特性を低下させることがある。特に、PCを多く含む非水電解質を用いると、PCの分解とともに負極の劣化が起こりやすい。そこで、炭素材料と非水電解質との副反応を抑制するために、負極表面に被膜(SEI:solid electrolyte interface)を形成することが重要である。また、被膜は電池特性に影響を及ぼすため、その性状を制御することが重要である。被膜と関連する技術として、以下が挙げられる。
特許文献1は、PCを含む非水溶媒に、VCと1,3−プロパンスルトン(PS)とを、被膜形成のための添加剤として含ませることを提案している。
特許文献2は、添加剤として不飽和スルトンを含む非水電解質を提案している。不飽和スルトンを用いることで、優れた高温保存特性を有する電池が得られると述べられている。
特許文献3は、添加剤として環状カルボン酸エステルおよびスルホン酸誘導体を含む非水電解質を提案している。これにより、優れた高温保存特性を有する電池が得られると述べられている。
特開2004−355974号公報 特開2002−329528号公報 特開2002−343426号公報
しかし、特許文献1の非水電解質は、添加剤であるPSにより、負極に過剰な被膜が形成されやすい。また、PCの共存下では、PSによる被膜形成よりもPCの分解が優先されることがあり、これに伴い負極が劣化することがある。
また、特許文献2および特許文献3の非水電解質は、基本的にPC量が少なく、ECの含有量が多い組成を有している。そのため、ECに由来する被膜が過剰に形成されやすい。
被膜は抵抗成分でもあるため、過剰に形成されると電池特性の低下の原因になる。例えば、被膜が過剰に形成されると、リチウムイオンの挿入および脱離が阻害される。そのため、負極の充電受入性が低下してLiが析出しやすくなり、非水電解質二次電池のサイクル特性が低下する。
本発明の一局面は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解した溶質とを含む非水電解質に関する。非水溶媒は、エチレンカーボネートと、プロピレンカーボネートと、ジエチルカーボネートと、第1添加剤とを含む。エチレンカーボネートと、プロピレンカーボネートと、ジエチルカーボネートとの合計に占めるプロピレンカーボネートの重量割合WPCが30〜60重量%であり、上記合計に占めるエチレンカーボネートの重量割合WECに対するプロピレンカーボネートの重量割合WPCの比:WPC/WECが、2.25≦WPC/WEC≦6を満たす。第1添加剤は、不飽和スルトンおよびスルホン酸エステルの少なくとも一方を含み、かつ、非水電解質全体の0.1〜3重量%を占める。
本発明に係る非水電解質によれば、非水電解質二次電池の高温環境下での充放電サイクル時のガス発生を抑制できる。
また、本発明の他の一局面は、正極、負極、正極と負極との間に配されるセパレータおよび上記の非水電解質を含み、負極が、負極芯材および負極芯材に付着した負極合剤層を含み、負極合剤層が、黒鉛粒子と、黒鉛粒子の表面を被覆する水溶性高分子と、水溶性高分子で被覆された黒鉛粒子間を接着する結着剤とを含む、非水電解質二次電池に関する。
負極合剤層が水溶性高分子を含むことで、第1添加剤を含む非水電解質が負極に浸透し易くなり、少量の第1添加剤でも被膜を均一に形成しやすくなる。そのため、負極の充電受入性が向上するとともに、高温環境下での充放電サイクル時のガス発生を良好に抑制することができる。
より具体的には、正極、負極、正極と負極との間に配されるセパレータおよび非水電解質を含み、負極が、負極芯材および負極芯材に付着した負極合剤層を含み、負極合剤層が、黒鉛粒子と、黒鉛粒子の表面を被覆する水溶性高分子と、水溶性高分子で被覆された黒鉛粒子間を接着する結着剤とを含み、非水電解質が、非水溶媒と、非水溶媒に溶解した溶質とを含み、非水溶媒が、エチレンカーボネートと、プロピレンカーボネートと、ジエチルカーボネートと、第1添加剤とを含み、エチレンカーボネートと、プロピレンカーボネートと、ジエチルカーボネートとの合計に占めるプロピレンカーボネートの重量割合WPCが30〜60重量%であり、合計に占めるエチレンカーボネートの重量割合WECに対するプロピレンカーボネートの重量割合WPCの比:WPC/WECが、2.25≦WPC/WEC≦6を満たし、第1添加剤が、不飽和スルトンおよびスルホン酸エステルの少なくとも一方を含み、かつ、非水電解質全体の0.01〜2.95重量%を占める、非水電解質二次電池に関する。
非水電解質二次電池の高温環境下での充放電サイクル時のガス発生を抑制できる非水電解質、およびそれを用いた非水電解質二次電池を提供することができる。
本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記述するが、本発明は、構成および内容の両方に関し、本願の他の目的および特徴と併せ、図面を照合した以下の詳細な説明によりさらによく理解されるであろう。
本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の構成を概略的に示す縦断面図である。
非水電解質は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解した溶質とを含む。本実施形態において、非水溶媒は、エチレンカーボネート(EC)と、プロピレンカーボネート(PC)と、ジエチルカーボネート(DEC)と、第1添加剤とを含む。ECおよびPCは誘電率が高く、高いリチウムイオン伝導性を得る上で有利であるが、高粘度であるため、低粘度のDECと混合して用いる必要がある。
PC、EC等の環状カーボネートは、DEC等の鎖状カーボネートよりも酸化電位が高い。そのため、環状カーボネートは、鎖状カーボネートに比べて酸化分解しにくい。また、鎖状カーボネートは、負極で還元分解されやすい。よって、DECの重量割合が相対的に大きい場合、正極および負極において、DECの酸化分解および還元分解が起こり、CO、CO2、CH4、C26等のガス発生量が多くなる。
一方、EC、PCおよびDECを含む非水溶媒において、ECの重量割合が相対的に大きい場合、特に正極においてECの酸化分解が起こり、CO、CO2等のガス発生量が多くなる。さらに、ECの重量割合が大きすぎると負極に過剰な量の被膜が形成されるため、充電受入性が低下し、Liが析出しやすい。
そこで、本発明では、EC、PCおよびDECを含む非水溶媒において、ECと、PCと、DECとの合計に占めるPCの重量割合WPCを30〜60重量%と相対的に大きくしている。PCの重量割合WPCを相対的に大きくすることで、DECの酸化分解および還元分解、ならびにECの酸化分解を顕著に抑制できる。PCの重量割合WPCは、40〜60重量%であることがより好ましい。
更に、PC(融点:−49℃)はEC(融点:37℃)に比べて融点が低いため、非水電解質の粘度を低くすることができ、非水電解質二次電池の低温特性の面で有利である。すなわち、PCの重量割合WPCを相対的に大きくすることで、DECやECに由来するガス発生を良好に抑制しつつ、非水電解質二次電池の低温特性を向上させることができる。
非水溶媒において、ECと、PCと、DECとの合計に占めるECの重量割合WECに対するPCの重量割合WPCの比:WPC/WECは、2.25≦WPC/WEC≦6を満たす。
PC/WECが2.25より小さいと、特に正極でECの酸化分解に由来するガス発生量が多くなる場合がある。一方、WPC/WECが6を超えると、特に負極でPCの還元分解に由来するガス発生量が多くなる場合がある。ECの重量割合WECに対するPCの重量割合WPCの比:WPC/WECは、3≦WPC/WEC≦5を満たすことがより好ましい。
ただし、非水溶媒におけるPCの重量割合を大きくするとともに、本発明の非水電解質には、PCの還元分解を抑制可能な第1添加剤を更に含ませている。これにより、ECおよびDECに由来するガス発生を抑制し、非水電解質二次電池の低温特性を向上させるとともに、PCの還元分解に由来するガス発生も抑制できる。
第1添加剤は、不飽和スルトンおよびスルホン酸エステルの少なくとも一方を含む。これらの第1添加剤は、負極でPCよりも優先的に還元されて被膜を形成するため、PCの還元分解を抑制することができる。PCの分解電位は、リチウム基準で0.9V程度であるが、不飽和スルトンやスルホン酸エステルは、1.2〜1.25Vという高い電位で被膜を形成する。そのため、第1添加剤による被膜形成が優先的に起こり、PCの還元分解が抑制される。
第1添加剤は、非水電解質全体の0.1〜3重量%を占める。不飽和スルトンやスルホン酸エステルは、SO3基が還元的に活性であり、反応性に富む。そのため、上記のような少量であっても、負極に適度な量の安定な被膜を形成できる。よって、負極のインピーダンスを小さく維持することができる。第1添加剤の量が0.1重量%より小さいと、十分に被膜を形成することができず、負極でのPCの還元分解を十分に抑制できない。第1添加剤の量が3重量%を超えると、負極に過剰な量の被膜が形成されて充電受入性が低下し、Liが析出し易くなる。第1添加剤は、非水電解質全体の0.5〜1.5重量%を占めることがより好ましい。
通常、負極に被膜を形成するための第1添加剤としては、飽和スルトン等(例えば、1,3−プロパンスルトン)が用いられる。しかし、飽和スルトンが被膜を形成する電位は、リチウム基準で約0.9Vである。この電位はPCの分解電位に近いため、PCの還元分解を抑制する効果が十分に得られない場合がある。また、このような第1添加剤は、還元的に活性ではなく、反応性がやや低いことから、比較的多量に添加される。その結果、被膜が過剰に形成され易く、充電受入性の低下を招く。
非水溶媒が不飽和スルトンを含む場合、正極および負極に被膜が形成される。正極に被膜が形成されると、高温環境下における、正極での非水溶媒の酸化分解を抑制することができる。また、負極に被膜が形成されることで、負極での非水溶媒の還元分解、特にPCの還元分解を良好に抑制できる。
不飽和スルトンは、以下の式(1):
Figure 2011039949
(式中、nは1〜3の整数であり、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子またはアルキル基であり、アルキル基の水素原子の少なくとも1つは、フッ素原子で置換されていてもよい。)で表される化合物であることが好ましい。
具体的な不飽和スルトンとしては、1,3−プロペンスルトン、2,4−ブテンスルトン、2,4−ペンテンスルトン、3,5−ペンテンスルトン、1−フルオロ−1,3−プロペンスルトン、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ブテンスルトン、1,4−ブテンスルトンおよび1,5−ペンテンスルトン等が挙げられる。なかでも、重合反応性に富む点で、1,3−プロペンスルトンを用いることがより好ましい。不飽和スルトンは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非水溶媒がスルホン酸エステルを含む場合、負極に被膜が形成される。負極に被膜が形成されることで、負極での非水溶媒の還元分解、特にPCの還元分解を抑制できる。
スルホン酸エステルは、以下の式(2):
Figure 2011039949
(式中、R5およびR6は、それぞれ独立に、アルキル基またはアリール基であり、アルキル基またはアリール基の水素原子の少なくとも1つは、フッ素原子で置換されていてもよい。)で表される化合物であることが好ましい。
スルホン酸エステルは、還元されて被膜を形成する電位が高く、優先的に還元されやすい点から、芳香族スルホン酸エステルであることが好ましい。具体的には、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸トリフルオロメチル、ベンゼンスルホン酸2,2,2−トリフルオロエチル、4−フルオロベンゼンスルホン酸メチル、4−フルオロベンゼンスルホン酸エチル、3,5−ジフルオロベンゼンスルホン酸メチル、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸メチル等が挙げられる。なかでも、被膜抵抗が低いことから、ベンゼンスルホン酸メチルを用いることが特に好ましい。
第1添加剤は、不飽和スルトンおよびスルホン酸エステルのいずれか一方であってもよく、両方を含んでもよいが、不飽和スルトンを単独で用いることが特に好ましい。不飽和スルトンおよびスルホン酸エステルを両方含む場合、不飽和スルトンの量が、非水電解質全体の0.05〜2重量%であり、スルホン酸エステルの量が、非水電解質全体の0.05〜1重量%であればよい。
ECと、PCと、DECとの合計に占めるECの重量割合WECは5〜20重量%であることが好ましく、10〜15重量%であることがより好ましい。ECの重量割合が5重量%より小さいと、負極に被膜(SEI:solid electrolyte interface)が十分に形成されず、リチウムイオンが負極に吸蔵もしくは負極から放出されにくくなる場合がある。ECの重量割合が20重量%を超えると、特に正極においてECの酸化分解が起こり、ガス発生量が多くなる場合がある。また、ECの重量割合が20重量%を超えると、負極に過剰な量の被膜が形成されて充電受入性が低下し、Liが析出しやすくなる場合がある。非水溶媒におけるECの重量割合が5〜20重量%、好ましくは10〜15重量%であることで、ECの酸化分解に由来するガス発生量が小さくなり、かつ負極に適度な量の安定な被膜が形成されるため、非水電解質二次電池の充放電容量およびレート特性が大きく向上する。
ECと、PCと、DECとの合計に占めるDECの重量割合WDECは、30〜65重量%であることが好ましく、35〜55重量%であることがより好ましい。DECの重量割合が30重量%より小さいと、低温での放電特性が低下しやすくなる場合がある。DECの重量割合が65重量%を超えると、ガス発生量が大きくなる場合がある。
EC、PCおよびDECの重量割合は、WEC:WPC:WDEC=1:(3〜6):(3〜6)であることが好ましく、1:(3.5〜5.5):(3.5〜5.5)であることが更に好ましく、1:5:4であることが特に好ましい。EC、PCおよびDECの重量割合が上記の範囲である非水電解質は、PCの重量割合が大きく、ECおよびDECの重量割合が相対的に小さい。そのため、ECおよびDECの酸化反応や還元反応に由来するガス発生量を非常に少なくすることができる。
なお、非水電解質は、上記の不飽和スルトンおよびスルホン酸エステル(第1添加剤)に加えて、高温サイクル特性および低温放電特性の向上の観点から、さらに他の化合物(第2添加剤)を含んでもよい。第2添加剤は特に限定されないが、例えば、スルホラン等の環状スルホン、フッ素化芳香族化合物、フッ素化エーテル等の含フッ素化合物、γ−ブチロラクトン等の環状カルボン酸エステル、脂肪酸アルキルエステル等が挙げられる。
なかでも、第2添加剤は、フッ素化芳香族化合物および脂肪酸アルキルエステルの少なくとも一方を含むことが好ましい。フッ素化芳香族化合物は、例えば、ベンゼンやトルエンに含まれる水素原子の少なくとも1つが、フッ素原子で置換された化合物である。上記の第2添加剤を用いることで、非水電解質の粘度が低下し、イオン伝導度が向上するため、充放電時の分極が抑制される。その結果、サイクル特性および低温放電特性が向上する。また、部分的な正極電位の上昇および負極でのLi析出が抑制されるため、充放電サイクルに伴うガス発生が抑制される。
フッ素化芳香族化合物としては、例えば、フルオロベンゼン(FB)、1,2−ジフルオロベンゼン、1,2,3−トリフルオロベンゼン、1,2,3,4−テトラフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、2−フルオロトルエン、トリフルオロトルエンなどが挙げられる。なかでも、フルオロベンゼン(FB)、1,2−ジフルオロベンゼンおよび1,2,3−トリフルオロベンゼンが特に好ましい。
脂肪酸アルキルエステルとしては、例えばプロピオン酸エチル(EP)、ペンタン酸メチル、ペンタン酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチルなどが挙げられる。
非水電解質全体における第2添加剤の重量割合は、10重量%以下であることが好ましく、1〜10重量%がより好ましく、5〜10重量%が特に好ましい。
第2添加剤は、1種のみ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非水電解質の25℃における粘度は、例えば3〜7mPa・sである。これにより、特に低温でのレート特性の低下を抑制できる。例えば、非水電解質における鎖状カーボネート(DEC)の重量割合を変化させることによって、非水電解質の粘度を制御できる。粘度は、回転型粘度計と、コーンプレートタイプのスピンドルとを用いて測定する。
非水電解質の溶質は特に限定されない。例えば、LiPF6、LiBF4等の無機リチウムフッ化物や、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22等のリチウムイミド化合物等が挙げられる。
上記のように、ECと、PCと、DECとの合計に占めるPCの重量割合WPCが30〜60重量%である非水溶媒に、不飽和スルトンおよびスルホン酸エステルの少なくとも一方を添加することで、非水電解質二次電池の負極に適度な量の安定な被膜を優先的に形成でき、高温環境下での保存時および充放電サイクル時のガス発生を抑制可能な非水電解質が得られる。また、PCの重量割合を大きくすることで、非水電解質二次電池の低温特性も向上する。
本発明の非水電解質二次電池について説明する。
非水電解質二次電池は、正極、負極、正極と負極との間に配されるセパレータおよび上記の非水電解質を含む。非水電解質二次電池は、使用する前に充放電を少なくとも1回行うことが好ましい。充放電は、負極の電位がリチウム基準で0.08〜1.4Vとなる範囲で行うことが好ましい。このような充放電を行うことで、不飽和スルトンおよびスルホン酸エステルの少なくとも一方を含む第1添加剤の一部が分解して、正極や負極に被膜を形成する。上記の充放電後の電池に含まれる非水電解質中の第1添加剤の量は、例えば0.01〜2.95重量%となる。
本実施形態においては、負極は、負極芯材および負極芯材に付着した負極合剤層を含み、負極合剤層が、黒鉛粒子と、黒鉛粒子の表面を被覆する水溶性高分子と、水溶性高分子で被覆された黒鉛粒子間を接着する結着剤とを含む。
黒鉛粒子の表面を水溶性高分子で被覆することにより、第1添加剤を含む非水電解質が、負極の内部まで浸透し易くなる。その結果、非水電解質が黒鉛粒子の表面にほぼ均一に存在可能となり、初期充電時に負極被膜がムラなく均一に形成されやすくなる。そのため、非水電解質に対する第1添加剤の添加量を小さくしても、負極に適度量の安定な被膜が形成され、PCの還元分解を良好に抑制できる。例えば、第1添加剤の量を、電池に添加する前の非水電解質全体の0.5〜1.5重量%(電池に含まれている非水電解質では0.01〜1.45重量%)としても、PCの還元分解を良好に抑制できる。これにより、負極の充電受入性が向上し、Liの析出を抑制できるとともに、ガス発生を良好に抑制できる。すなわち、水溶性高分子と上記の非水電解質とを併用することで、それぞれを単独で用いた場合よりもガス発生を大幅に抑制することができる。
水溶性高分子の種類は特に限定されないが、セルロース誘導体またはポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンもしくはこれらの誘導体などがあげられる。これらのうちでも特に、水溶性高分子は、セルロース誘導体またはポリアクリル酸を含むことが好ましい。セルロース誘導体としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのNa塩などが好ましい。セルロース誘導体の分子量は1万〜100万が好適である。また、ポリアクリル酸の分子量は5000〜100万が好適である。
負極合剤層に含まれる水溶性高分子の量は、黒鉛粒子100重量部あたり、0.4〜2.8重量部が好ましく、0.5〜1.5重量部が更に好ましく、0.5〜1重量部が特に好ましい。水溶性高分子の量が上記範囲に含まれる場合、水溶性高分子が黒鉛粒子の表面を高い被覆率で被覆することができる。また、黒鉛粒子表面が水溶性高分子で過度に被覆されることがなく、負極の内部抵抗の上昇も抑制される。
負極合剤層に含ませる結着剤は、特に限定されないが、粒子状であり、ゴム弾性を有する結着剤が好ましい。粒子状の結着剤の平均粒径が0.1μm〜0.3μmであることが好ましく、0.1〜0.26μmであることが更に好ましく、0.1〜0.15μmであることが特に好ましく、0.1〜0.12μmであることが最も好ましい。なお、結着剤の平均粒径は、例えば、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、加速電圧200kV)により、10個の結着剤粒子のSEM写真を撮影し、これらの最大径の平均値として求める。
粒子状であり、ゴム弾性を有し、平均粒径が0.1μm〜0.3μmである結着剤としては、特にスチレン単位およびブタジエン単位を含む高分子が好ましい。このような高分子は、弾性に優れ、負極電位で安定である。
負極合剤層に含まれる結着剤の量は、黒鉛粒子100重量部あたり、0.4〜1.5重量部が好ましく、0.4〜1重量部が更に好ましく、0.4〜0.7重量部が特に好ましい。水溶性高分子が黒鉛粒子の表面を被覆している場合、黒鉛粒子間の滑り性が良好であるため、水溶性高分子で被覆された黒鉛粒子表面に付着した結着剤は、十分なせん断力を受け、黒鉛粒子表面に有効に作用する。また、粒子状で平均粒径の小さい結着剤は、水溶性高分子で被覆された黒鉛粒子の表面と接触する確率が高くなる。よって、結着剤の量が少量でも十分な結着性が発揮される。
負極芯材としては、金属箔などが用いられる。リチウムイオン二次電池の負極を作製する場合には、一般に銅箔、銅合金箔などが負極芯材として用いられる。なかでも銅箔(0.2モル%以下の銅以外の成分が含まれていてもよい)が好ましく、特に電解銅箔が好ましい。
負極合剤層の水浸透速度は、3〜40秒であることが好ましい。負極合剤層の水浸透速度は、例えば水溶性高分子の被覆量によって制御できる。負極合剤層の水浸透速度が3〜40秒であることで、第1添加剤を含む非水電解質が、負極の内部まで特に浸透しやすくなる。これにより、PCの還元分解をより良好に抑制できる。負極合剤層の水浸透速度は、10〜25秒であることがより好ましい。
負極合剤層の水浸透速度は、例えば以下の方法で25℃の環境下で測定する。
2μlの水を滴下して、液滴を負極合剤層の表面に接触させる。負極合剤層表面に対する水の接触角θが10°より小さくなるまでの時間を測定することで、負極合剤層の水浸透速度が求められる。負極合剤層表面に対する水の接触角は、市販の接触角測定装置(例えば、協和界面科学(株)製のDM−301)を用いて測定すればよい。
負極合剤層の空隙率は、24〜28%であることが好ましい。表面を水溶性高分子で被覆した黒鉛粒子を含む負極合剤層の空隙率を24〜28%に制御することで、第1添加剤を含む非水電解質が、負極の内部までより浸透しやすくなる。これにより、均一な被膜が負極に形成され易くなるため、PCの還元分解をより良好に抑制できる。
負極は、負極活物質として黒鉛粒子を含む。ここでは、黒鉛粒子とは、黒鉛構造を有する領域を含む粒子の総称である。よって、黒鉛粒子には、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化メソフェーズカーボン粒子などが含まれる。
広角X線回折法で測定される黒鉛粒子の回折像は、(101)面に帰属されるピークと、(100)面に帰属されるピークとを有する。ここで、(101)面に帰属されるピークの強度I(101)と、(100)面に帰属されるピークの強度I(100)との比は、0.01<I(101)/I(100)<0.25を満たすことが好ましく、0.08<I(101)/I(100)<0.2を満たすことが更に好ましい。なお、ピークの強度とは、ピークの高さを意味する。
黒鉛粒子の平均粒径は、14〜25μmが好ましく、16〜23μmが更に好ましい。平均粒径が上記範囲に含まれる場合、負極合剤層における黒鉛粒子の滑り性が向上し、黒鉛粒子の充填状態が良好となり、黒鉛粒子間の接着強度の向上に有利である。なお、平均粒径とは、黒鉛粒子の体積粒度分布におけるメディアン径(D50)を意味する。黒鉛粒子の体積粒度分布は、例えば市販のレーザー回折式の粒度分布測定装置により測定することができる。
黒鉛粒子の平均円形度は、0.9〜0.95が好ましく、0.91〜0.94が更に好ましい。平均円形度が上記範囲に含まれる場合、負極合剤層における黒鉛粒子の滑り性が向上し、黒鉛粒子の充填性の向上や、黒鉛粒子間の接着強度の向上に有利である。なお、平均円形度は、4πS/L2(ただし、Sは黒鉛粒子の正投影像の面積、Lは正投影像の周囲長)で表される。例えば、任意の100個の黒鉛粒子の平均円形度が上記範囲であることが好ましい。
黒鉛粒子の比表面積Sは、3〜5m2/gが好ましく、3.5〜4.5m2/gが更に好ましい。比表面積が上記範囲に含まれる場合、負極合剤層における黒鉛粒子の滑り性が向上し、黒鉛粒子間の接着強度の向上に有利である。また、黒鉛粒子の表面を被覆する水溶性高分子の好適量を少なくすることができる。
黒鉛粒子の表面を水溶性高分子で被覆するために、以下の製造方法で負極を製造することが望ましい。ここでは、方法Aおよび方法Bを例示する。
まず、方法Aについて説明する。
方法Aは、黒鉛粒子と、水と、水に溶解した水溶性高分子とを混合し、得られた混合物を乾燥させて、乾燥混合物とする工程(工程(i))を含む。例えば、水溶性高分子を水中に溶解させて、水溶性高分子水溶液を調製する。得られた水溶性高分子水溶液と黒鉛粒子とを混合し、その後、水分を除去して、混合物を乾燥させる。このように、混合物を一旦乾燥させることにより、黒鉛粒子の表面に水溶性高分子が効率的に付着し、水溶性高分子による黒鉛粒子表面の被覆率が高められる。
水溶性高分子水溶液の粘度は、25℃において、1000〜10000mPa・sに制御することが好ましい。粘度は、B型粘度計を用い、周速度20mm/sで、5mmφのスピンドルを用いて測定する。また、水溶性高分子水溶液100重量部と混合する黒鉛粒子の量は、50〜150重量部が好適である。
混合物の乾燥温度は80〜150℃が好ましく、乾燥時間は1〜8時間が好適である。
次に、得られた乾燥混合物と、結着剤と、液状成分とを混合し、負極合剤スラリーを調製する(工程(ii))。この工程により、水溶性高分子で被覆された黒鉛粒子の表面に、結着剤が付着する。黒鉛粒子間の滑り性が良好なため、水溶性高分子で被覆された黒鉛粒子表面に付着した結着剤は、十分なせん断力を受け、水溶性高分子で被覆された黒鉛粒子表面に有効に作用する。
そして、得られた負極合剤スラリーを、負極芯材に塗布し、乾燥させて、負極合剤層を形成することにより、負極が得られる(工程(iii))。負極合剤スラリーを負極芯材に塗布する方法は、特に限定されない。例えば、ダイコートを用いて、負極芯材の原反に負極合剤スラリーを所定パターンで塗布する。塗膜の乾燥温度も特に限定されない。乾燥後の塗膜は、圧延ロールで圧延し、所定の厚さに制御される。圧延工程により、負極合剤層と負極芯材との接着強度や、水溶性高分子で被覆された黒鉛粒子間の接着強度が高められる。こうして得られた負極合剤層を負極芯材とともに所定形状に裁断することにより、負極が完成する。
次に、方法Bについて説明する。
方法Bは、黒鉛粒子と、結着剤と、水と、水に溶解した水溶性高分子とを混合し、得られた混合物を乾燥させて、乾燥混合物とする工程(工程(i))を含む。例えば、水溶性高分子を水中に溶解させて、水溶性高分子水溶液を調製する。水溶性高分子水溶液の粘度は、方法Aと同様でよい。次に、得られた水溶性高分子水溶液と、結着剤と、黒鉛粒子とを混合し、その後、水分を除去して、混合物を乾燥させる。このように、混合物を一旦乾燥させることにより、黒鉛粒子の表面に水溶性高分子と結着剤とが効率的に付着する。よって、水溶性高分子による黒鉛粒子表面の被覆率が高められるとともに、水溶性高分子で被覆された黒鉛粒子の表面に結着剤が良好な状態で付着する。結着剤は、水溶性高分子水溶液に対する分散性を高める観点から、水を分散媒とするエマルジョンの状態で水溶性高分子水溶液と混合することが好ましい。
次に、得られた乾燥混合物と、液状成分とを混合し、負極合剤スラリーを調製する(工程(ii))。この工程により、水溶性高分子と結着剤で被覆された黒鉛粒子が、液状成分である程度膨潤し、黒鉛粒子間の滑り性が良好となる。
そして、得られた負極合剤スラリーを、方法Aと同様に、負極芯材に塗布し、乾燥させ、圧延して、負極合剤層を形成することにより、負極が得られる(工程(iii))。
方法Aおよび方法Bで、負極合剤スラリーを調製する際に用いる液状成分は、特に限定されないが、水、アルコール水溶液などが好ましく、水が最も好ましい。ただし、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMP)などを用いてもよい。
正極は、非水電解質二次電池の正極として用いることのできるものであれば、特に限定されない。正極は、例えば、正極活物質と、カーボンブラックなどの導電剤と、ポリフッ化ビニリデンなどの結着剤とを含む正極合剤スラリーを、アルミニウム箔などの正極芯材に塗布し、乾燥し、圧延することにより得られる。正極活物質としては、リチウム含有遷移金属複合酸化物が好ましい。リチウム含有遷移金属複合酸化物の代表的な例としては、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、LiMnO2、LixNiyzMe1-(y+z)2+dなどを挙げることができる。
なかでも、高容量を確保しつつ、ガス発生を抑制する効果がより顕著に得られる点から、正極は、リチウムおよびニッケルを含む複合酸化物を含むことが好ましい。この場合、複合酸化物に含まれるニッケルのリチウムに対するモル比が、30〜100モル%であることが好ましい。
複合酸化物は、更に、マンガンおよびコバルトよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、リチウムに対するマンガンおよびコバルトの合計のモル比は70モル%以下であることが好ましい。
複合酸化物は、更に、Li、Ni、Mn、CoおよびO以外の元素Mを含むことが好ましく、元素Mのリチウムに対するモル比は1〜10モル%であることが好ましい。
具体的なリチウムニッケル含有複合酸化物としては、例えば、一般式(1):
LixNiyzMe1-(y+z)2+d (1)
(Mは、CoおよびMnよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Meは、Al、Cr、Fe、Mg、およびZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、0.98≦x≦1.1であり、0.3≦y≦1であり、0≦z≦0.7であり、0.9≦(y+z)≦1であり、−0.01≦d≦0.01である)で表されるものが挙げられる。
セパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどからなる微多孔性フィルムが一般に用いられている。セパレータの厚みは、例えば10〜30μmである。
本発明は、円筒型、扁平型、コイン型、角型など、様々な形状の非水電解質二次電池に適用可能であり、電池の形状は特に限定されない。
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
《実施例1》
(a)負極の作製
工程(i)
まず、水溶性高分子であるカルボキシメチルセルロース(以下、CMC、分子量40万)を水に溶解し、CMC濃度1重量%の水溶液を得た。天然黒鉛粒子(平均粒径20μm、平均円形度0.92、比表面積4.2m2/g)100重量部と、CMC水溶液100重量部とを混合し、混合物の温度を25℃に制御しながら攪拌した。その後、混合物を120℃で5時間乾燥させ、乾燥混合物を得た。乾燥混合物において、黒鉛粒子100重量部あたりのCMC量は1重量部であった。
工程(ii)
得られた乾燥混合物101重量部と、平均粒径0.12μmの粒子状であり、スチレン単位およびブタジエン単位を含み、ゴム弾性を有する結着剤(以下、SBR)0.6重量部と、0.9重量部のカルボキシメチルセルロースと、適量の水とを混合し、負極合剤スラリーを調製した。なお、SBRは水を分散媒とするエマルジョン(日本ゼオン(株)製のBM−400B(商品名)、SBR重量割合40重量%)の状態で他の成分と混合した。
工程(iii)
得られた負極合剤スラリーを、負極芯材である電解銅箔(厚さ12μm)の両面にダイコートを用いて塗布し、塗膜を120℃で乾燥させた。その後、乾燥塗膜を圧延ローラで線圧0.25トン/cmで圧延して、厚さ160μm、黒鉛密度1.65g/cm3の負極合剤層を形成した。負極合剤層を負極芯材とともに所定形状に裁断することにより、負極を得た。
以下の方法で、負極合剤層の水浸透速度を測定した。
2μlの水を滴下して、液滴を負極合剤層の表面に接触させた。その後、接触角測定装置(協和界面科学(株)製のDM−301)を用いて、25℃における負極合剤層表面に対する水の接触角θが10°より小さくなるまでの時間を測定した。負極合剤層の水浸透速度は、15秒であった。
また、負極合剤を構成する各材料の真密度から、負極合剤層の空隙率を計算したところ、25%であった。
(b)正極の作製
正極活物質である100重量部のLiNi0.80Co0.15Al0.052に対し、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)を4重量部添加し、適量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)とともに混合し、正極合剤スラリーを調製した。得られた正極合剤スラリーを、正極芯材である厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に、ダイコートを用いて塗布し、塗膜を乾燥させ、更に、圧延して、正極合剤層を形成した。正極合剤層を正極芯材とともに所定形状に裁断することにより、正極を得た。
(c)非水電解質の調製
エチレンカーボネート(EC)と、プロピレンカーボネート(PC)と、ジエチルカーボネート(DEC)との重量割合が10:50:40である混合溶媒に、1モル/リットルの濃度でLiPF6を溶解させて非水電解質を調製した。非水電解質には、第1添加剤として1重量%の1,3−プロペンスルトン(PRS)を含ませた。回転粘度計(コーンプレート型、コーンプレートの半径:24mm)によって25℃における非水電解質の粘度を測定したところ、5.4mPa・sであった。
(d)電池の組み立て
図1に示すような角型リチウムイオン二次電池を作製した。
負極と正極とを、これらの間に厚さ20μmのポリエチレン製の微多孔質フィルムからなるセパレータ(セルガード(株)製のA089(商品名))を介して捲回し、断面が略楕円形の電極群21を構成した。電極群21はアルミニウム製の角型の電池缶20に収容した。電池缶20は、底部と、側壁とを有し、上部は開口しており、その形状は略矩形である。側壁の主要平坦部の厚みは80μmとした。その後、電池缶20と正極リード22または負極リード23との短絡を防ぐための絶縁体24を、電極群21の上部に配置した。次に、絶縁ガスケット26で囲まれた負極端子27を中央に有する矩形の封口板25を、電池缶20の開口に配置した。負極リード23は、負極端子27と接続した。正極リード22は、封口板25の下面と接続した。開口の端部と封口板25とをレーザで溶接し、電池缶20の開口を封口した。その後、封口板25の注液孔から2.5gの非水電解質を電池缶20に注入した。最後に、注液孔を封栓29で溶接により塞ぎ、高さ50mm、幅34mm、内空間の厚み約5.2mm、設計容量850mAhの角型リチウムイオン二次電池1を完成させた。
〈電池の評価〉
(1)サイクル容量維持率の評価
電池1に対し、電池の充放電サイクルを45℃で繰り返した。充放電サイクルにおいて、充電では、充電電流600mA、終止電圧4.2Vの定電流充電を行った後、4.2Vで充電カット電流43mAまで定電圧充電を行った。充電後の休止時間は、10分間とした。一方、放電では、放電電流を850mA、放電終止電圧を2.5Vとし、定電流放電を行った。放電後の休止時間は、10分間とした。
3サイクル目の放電容量を100%とみなし、500サイクルを経過したときの放電容量をサイクル容量維持率[%]とした。結果を表1に示す。
(2)電池膨れの評価
また、3サイクル目の充電後における状態と、501サイクル目の充電後における状態とで、電池1の最大平面(縦50mm、横34mm)に垂直な中央部の厚みを測定した。その電池厚みの差から、45℃での充放電サイクル経過後における電池膨れの量[mm]を求めた。結果を表1に示す。
(3)低温放電特性評価
電池1に対し、電池の充放電サイクルを25℃で3サイクル繰り返した。次に、4サイクル目の充電を25℃で行った後、0℃で3時間放置後、そのまま0℃で放電を行った。3サイクル目(25℃)の放電容量を100%とみなし、4サイクル目(0℃)の放電容量を百分率で表し、これを低温放電容量維持率[%]とした。結果を表1に示す。なお、充放電条件は、充電後の休止時間以外は(i)と同様にした。
《実施例2》
第1添加剤の量を、表1に示すように変えたこと以外、実施例1と同様にして、非水電解質を調製した。得られた非水電解質を用いたこと以外、実施例1と同様にして、電池2〜9を作製した。なお、電池2、3、および9は比較例である。
電池2〜9について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2011039949
表1より、第1添加剤を0.1〜3重量%含む非水電解質を用いた電池は、いずれもサイクル容量維持率および低温放電容量維持率が良好であった。また、サイクル後の電池膨れが小さいことから、ガス発生量が低減されていると考えられる。なかでも、第1添加剤の量が0.5〜1.5重量%である電池1、5および6は、いずれもサイクル容量維持率および低温放電容量維持率が更に向上していた。また、電池の膨れも更に小さくなっていた。以上より、EC、PCおよびDECを含む非水電解質に、第1添加剤として不飽和スルトンを含ませることで、ガス発生を良好に抑制できることがわかった。
非水電解質が第1添加剤を含まない場合、充放電を行うことができなかった。第1添加剤の量が0.1重量%より小さい場合、サイクル特性および低温放電容量維持率がいずれも低下していた。これは、第1添加剤の量が少ないことから負極に十分な被膜が形成されず、PCの還元分解を十分に抑制できなかったためと考えられる。第1添加剤の量が3重量%を超える場合も、サイクル特性および低温放電容量維持率がいずれも低下していた。これは、負極に過剰な被膜が形成され、充電受入性が低下したためと考えられる。
《実施例3》
エチレンカーボネート(EC)と、プロピレンカーボネート(PC)と、ジエチルカーボネート(DEC)との重量割合を、表2に示すように変えたこと以外、実施例1と同様にして、非水電解質を調製した。得られた非水電解質を用いたこと以外、実施例1と同様にして、電池10〜17を作製した。なお、電池10および17は比較例である。
電池10〜17について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2011039949
表2より、PCの重量割合WPCが30〜60重量%であり、PCの重量割合WPCとECの重量割合WECとの比:WPC/WECが2.25≦WPC/WEC≦6を満たす非水電解質を用いた電池は、いずれもサイクル容量維持率および低温放電容量維持率が良好であった。また、サイクル後の電池膨れも小さくなっていた。なかでも、電池12は、サイクル容量維持率および低温放電容量維持率が更に向上し、電池の膨れも更に小さくなっていた。
PCが30重量%より小さい場合、高温サイクル後の電池膨れが増大し、サイクル容量維持率が低下していた。この電池の非水溶媒においては、DECやECの量が相対的に大きくなっている。そのため、正極および負極におけるDECの酸化分解および還元分解や、正極におけるECの酸化分解が起こり、ガス発生量が増大したと考えられる。WPCが60重量%を超える場合も、高温サイクル後の電池膨れが増大し、サイクル容量維持率が低下していた。これは、PCの量が過剰となり、負極においてPCの還元分解が起こったためと考えられる。
《実施例4》
第1添加剤として、1,3−プロペンスルトンの代わりに、表3に示す量のベンゼンスルホン酸メチルを用いたこと以外、実施例1と同様にして、非水電解質を調製した。得られた非水電解質を用いたこと以外、実施例1と同様にして、電池18〜25を作製した。なお、電池18および25は比較例である。
電池18〜25について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2011039949
表3より、第1添加剤としてベンゼンスルホン酸メチルを0.1〜3重量%含む非水電解質を用いた電池は、いずれもサイクル容量維持率および低温放電容量維持率が良好であった。また、サイクル後の電池膨れが小さいことから、ガス発生量が低減されていると考えられる。なかでも、第1添加剤の量が0.5〜1.5重量%である電池20〜22は、いずれもサイクル容量維持率および低温放電容量維持率が更に向上していた。また、電池の膨れも更に小さくなっていた。以上より、EC、PCおよびDECを含む非水電解質に、第1添加剤としてスルホン酸エステルを含ませることでも、不飽和スルトンと同様に、ガス発生を良好に抑制できることがわかった。
《実施例5》
エチレンカーボネート(EC)と、プロピレンカーボネート(PC)と、ジエチルカーボネート(DEC)との重量割合を、表4に示すように変えたこと以外、実施例4の電池21と同様にして、非水電解質を調製した。得られた非水電解質を用いたこと以外、実施例4の電池21と同様にして、電池26〜32を作製した。なお、電池26は比較例である。
電池26〜32について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 2011039949
表4より、第1添加剤としてベンゼンスルホン酸メチルを含む場合でも、PCの重量割合WPCが30〜60重量%であり、PCの重量割合WPCとECの重量割合WECとの比:WPC/WECが2.25≦WPC/WEC≦6を満たす非水電解質を用いた電池は、いずれもサイクル容量維持率および低温放電容量維持率が良好であった。また、サイクル後の電池膨れも小さくなっていた。なかでも、電池21、28および29は、サイクル容量維持率が更に向上していた。
《実施例6》
乾燥混合物において、黒鉛粒子100重量部あたりのCMC量を変えて、負極合剤層の水浸透速度を表5に示すように変化させたこと以外、実施例1と同様にして、負極を作製した。黒鉛粒子100重量部あたりのCMC量は、CMC水溶液のCMC濃度により変化させた。得られた負極を用いたこと以外、実施例1と同様にして、電池33〜40を作製した。
電池33〜40について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表5に示す。
Figure 2011039949
表5より、負極合剤層に含まれるCMCの量が、黒鉛粒子100重量部あたり、0.4〜2.8重量部である電池は、いずれもサイクル容量維持率および低温放電容量維持率が良好であった。また、サイクル後の電池膨れも小さくなっていた。なかでも、CMCの量が0.5〜1.5重量部である電池35〜37は、サイクル容量維持率および低温放電容量維持率が更に向上し、電池の膨れも更に小さくなっていた。これは、黒鉛粒子の表面を水溶性高分子で被覆することにより、第1添加剤を含む非水電解質が負極の内部まで浸透しやすくなり、被膜がムラなく均一に形成されたためと考えられる。
《実施例7》
水溶性高分子として表6に示すものを用いたこと以外、実施例1と同様にして、負極を作製した。得られた負極を用いたこと以外、実施例1と同様にして、電池41〜44を作製した。水溶性高分子は、いずれも分子量100万のものを用いた。なお、水溶性高分子を含まない電池41は比較例である。
電池41〜44について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表6に示す。
Figure 2011039949
表6より、負極合剤層が水溶性高分子を含む電池は、いずれもサイクル容量維持率および低温放電容量維持率が向上し、電池の膨れも小さくなっていた。一方、負極合剤層が水溶性高分子を含まない電池41は、サイクル後の電池膨れが大きくなっていた。CMC以外の水溶性高分子を用いた場合でも、CMCと同様の効果が得られることがわかった。
《実施例8》
第2添加剤として表7に示す量のフルオロベンゼン(FB)を用いたこと以外、実施例1と同様にして、非水電解質を調製した。得られた非水電解質を用いたこと以外、実施例1と同様にして、電池45〜48を作製した。
電池45〜48について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表7に示す。
Figure 2011039949
表7より、第1添加剤として不飽和スルトンを含み、第2添加剤として1〜10重量%のFBを含む電池は、いずれもサイクル容量維持率および低温放電容量維持率が良好であった。また、サイクル後の電池膨れも小さく、ガス発生量が低減されていることがわかった。第2添加剤としてFBを添加することで、非水電解質の粘度が低下し、イオン伝導度が向上したため、充放電時の分極が抑制され、サイクル特性および低温放電特性が向上したと考えられる。また、部分的な正極電位の上昇および負極でのLi析出が抑制されるため、充放電サイクルに伴うのガス発生が抑制されたと考えられる。
《実施例9》
第2添加剤として表8に示すフッ素化芳香族化合物を用いたこと以外、実施例8の電池47と同様にして、非水電解質を調製した。得られた非水電解質を用いたこと以外、実施例8の電池47と同様にして、電池49〜55を作製した。
電池49〜55について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表8に示す。
Figure 2011039949
第2添加剤として表8に示すフッ素化芳香族化合物を含む電池は、いずれもサイクル容量維持率が向上し、サイクル後の電池膨れも低減されていた。よって、これらのフッ素化芳香族化合物も、フルオロベンゼンと同様の効果を示すことがわかった。
《実施例10》
第2添加剤として表9に示す量のFBを用いたこと以外、実施例4の電池21と同様にして、非水電解質を調製した。得られた非水電解質を用いたこと以外、実施例4の電池21と同様にして、電池56〜59を作製した。
電池56〜59について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表9に示す。
Figure 2011039949
表9より、第1添加剤としてベンゼンスルホン酸メチルを用いた場合でも、第2添加剤として1〜10重量%のFBを含ませることで、良好なサイクル容量維持率および低温放電容量維持率を示した。また、サイクル後の電池膨れも小さく、ガス発生量が低減されていることがわかった。以上より、第1添加剤としてスルホン酸エステルを用いた場合でも、第2添加剤による効果が得られることがわかった。
《実施例11》
第2添加剤として表10に示す量のプロピオン酸エチル(EP)を用いたこと以外、実施例1と同様にして、非水電解質を調製した。得られた非水電解質を用いたこと以外、実施例1と同様にして、電池60〜63を作製した。
電池60〜63について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表10に示す。
Figure 2011039949
表10より、第1添加剤として不飽和スルトンを含み、第2添加剤としてEPを含む電池は、いずれも低温放電容量維持率が良好であった。なかでも、EPの重量割合が1〜10重量%である電池は、サイクル容量維持率が良好であり、サイクル後の電池膨れも小さく、ガス発生量が低減されていることがわかった。第2添加剤としてEPを添加することで、非水電解質の粘度が低下し、イオン伝導度が向上したため、充放電時の分極が抑制され、サイクル特性および低温放電特性が向上したと考えられる。また、部分的な正極電位の上昇および負極でのLi析出が抑制されるため、充放電サイクルに伴うガス発生が抑制されたと考えられる。
《実施例12》
第2添加剤として表11に示す脂肪酸アルキルエステルを用いたこと以外、実施例11の電池62と同様にして、非水電解質を調製した。得られた非水電解質を用いたこと以外、実施例11の電池62と同様にして、電池64〜67を作製した。
電池64〜67について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表11に示す。
Figure 2011039949
第2添加剤として表11に示す脂肪酸アルキルエステルを含む電池は、いずれもサイクル容量維持率および低温放電容量維持率が良好であった。また、サイクル後の電池膨れも小さく、ガス発生量が低減されていることがわかった。よって、これらの脂肪酸アルキルエステルも、プロピオン酸エチルと同様の効果を示すことがわかった。
《実施例13》
第2添加剤として表12に示す量のプロピオン酸エチルを用いたこと以外、実施例4の電池21と同様にして、非水電解質を調製した。得られた非水電解質を用いたこと以外、実施例4の電池21と同様にして、電池68〜71を作製した。
電池68〜71について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表12に示す。
Figure 2011039949
表12より、第1添加剤としてベンゼンスルホン酸メチルを用いた場合でも、第2添加剤としてEPを含む電池は、いずれも低温放電容量維持率が良好であった。なかでもEPの重量割合が1〜10重量%である電池は、サイクル容量維持率が良好であり、サイクル後の電池膨れも小さく、ガス発生量が低減されていることがわかった。以上より、第1添加剤としてスルホン酸エステルを用いた場合でも、第2添加剤による効果が得られることがわかった。
本発明の非水電解質を用いることで、高温環境下での保存時および充放電サイクル時の非水電解質二次電池の充放電容量の低下を抑制する効果と、優れた低温特性とを両立することができる。本発明の非水電解質二次電池は、携帯電話、パソコン、デジタルスチルカメラ、ゲーム機器、携帯オーディオ機器等に有用である。
本発明を現時点での好ましい実施態様に関して説明したが、そのような開示を限定的に解釈してはならない。種々の変形および改変は、上記開示を読むことによって本発明に属する技術分野における当業者には間違いなく明らかになるであろう。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、すべての変形および改変を包含する、と解釈されるべきものである。
20 電池缶
21 電極群
22 正極リード
23 負極リード
24 絶縁体
25 封口板
26 絶縁ガスケット
29 封栓

Claims (11)

  1. 非水溶媒と、前記非水溶媒に溶解した溶質とを含む非水電解質であって、
    前記非水溶媒が、エチレンカーボネートと、プロピレンカーボネートと、ジエチルカーボネートと、第1添加剤とを含み、
    前記エチレンカーボネートと、前記プロピレンカーボネートと、前記ジエチルカーボネートとの合計に占める前記プロピレンカーボネートの重量割合WPCが30〜60重量%であり、
    前記合計に占める前記エチレンカーボネートの重量割合WECに対する前記プロピレンカーボネートの重量割合WPCの比:WPC/WECが、2.25≦WPC/WEC≦6を満たし、
    前記第1添加剤が、不飽和スルトンおよびスルホン酸エステルの少なくとも一方を含み、かつ、前記非水電解質全体の0.1〜3重量%を占める、非水電解質。
  2. 前記不飽和スルトンが、以下の式(1):
    Figure 2011039949

    (式中、nは1〜3の整数であり、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子またはアルキル基であり、前記アルキル基の水素原子の少なくとも1つは、フッ素原子で置換されていてもよい。)で表される化合物である、請求項1記載の非水電解質。
  3. 前記スルホン酸エステルが、以下の式(2):
    Figure 2011039949

    (式中、R5およびR6は、それぞれ独立に、アルキル基またはアリール基であり、前記アルキル基または前記アリール基の水素原子の少なくとも1つは、フッ素原子で置換されていてもよい。)で表される化合物である、請求項1または2記載の非水電解質。
  4. 前記エチレンカーボネートの重量割合WECが5〜20重量%であり、前記合計に占める前記ジエチルカーボネートの重量割合WDECが30〜65重量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解質。
  5. 前記非水溶媒が、フッ素化芳香族化合物および脂肪酸アルキルエステルの少なくとも一方からなる第2添加剤を含み、前記非水電解質全体における前記第2添加剤の重量割合が、10重量%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解質。
  6. 正極、負極、前記正極と前記負極との間に配されるセパレータおよび請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水電解質を含み、
    前記負極が、負極芯材および前記負極芯材に付着した負極合剤層を含み、
    前記負極合剤層が、黒鉛粒子と、前記黒鉛粒子の表面を被覆する水溶性高分子と、前記水溶性高分子で被覆された前記黒鉛粒子間を接着する結着剤とを含む、非水電解質二次電池。
  7. 請求項6記載の電池の充放電を少なくとも1回行うことにより得られる、非水電解質二次電池。
  8. 前記水溶性高分子が、セルロース誘導体またはポリアクリル酸を含む、請求項6または7記載の非水電解質二次電池。
  9. 前記負極合剤層の水浸透速度が、3〜40秒である、請求項6〜8のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
  10. 前記第1添加剤が、前記非水電解質全体の0.01〜2.95重量%を占める、請求項7〜9のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
  11. 正極、負極、前記正極と前記負極との間に配されるセパレータおよび非水電解質を含み、
    前記負極が、負極芯材および前記負極芯材に付着した負極合剤層を含み、
    前記負極合剤層が、黒鉛粒子と、前記黒鉛粒子の表面を被覆する水溶性高分子と、前記水溶性高分子で被覆された前記黒鉛粒子間を接着する結着剤とを含み、
    前記非水電解質が、非水溶媒と、前記非水溶媒に溶解した溶質とを含み、
    前記非水溶媒が、エチレンカーボネートと、プロピレンカーボネートと、ジエチルカーボネートと、第1添加剤とを含み、
    前記エチレンカーボネートと、前記プロピレンカーボネートと、前記ジエチルカーボネートとの合計に占めるプロピレンカーボネートの重量割合WPCが30〜60重量%であり、
    前記合計に占める前記エチレンカーボネートの重量割合WECに対する前記プロピレンカーボネートの重量割合WPCの比:WPC/WECが、2.25≦WPC/WEC≦6を満たし、
    前記第1添加剤が、不飽和スルトンおよびスルホン酸エステルの少なくとも一方を含み、かつ、前記非水電解質全体の0.01〜2.95重量%を占める、非水電解質二次電池。
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