JPWO2011039922A1 - 回転ダンパ - Google Patents

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Abstract

ロータ2とピストン3との対向面の外周部間には、第1カム機構8を設ける。ロータ2のピストン3との対向面の中央部には、軸部2cを一体に設ける。軸部2cの外周面には、一対の外側突出部9a,9aを設ける。ピストン3には、軸部2cが挿入される貫通孔3aを形成する。この貫通孔3aの内周面には、一対の内側突出部9b,9bを設ける。各外側突出部9aは、内側突出部9b,9b間を通り抜け可能に配置し、各内側突出部9bは外側突出部9a,9a間を通り抜け可能に配置する。外側突出部9aが内側突出部9b,9b間を通りぬけた後、所定角度だけ回転させたときに互いに対向する外側突出部9aと内側突出部9bとの対向面間に第2カム機構9を設ける。【選択図】図2

Description

この発明は、ピストンがロータの回転に追随して確実に移動するように構成された回転ダンパに関する。
一般に、この種の回転ダンパは、下記特許文献1に記載されているように、一端が開口し、他端が底部によって閉じられたケーシングと、このケーシングの開口部側の端部に回転可能に嵌合されたロータと、このロータと底部との間のケーシング内に移動可能に、かつ回転不能に設けられ、ケーシングの内部を底部側の第1の室とロータ側の第2の室とに区分するピストンと、基端部が第1の室内に配置され、先端部がピストンを回転可能に、かつ移動可能に貫通してロータに回転不能に連結されたカム部材とを有している。
ロータとピストンとの互いに対向する対向面間には、第1カム機構が設けられている。第1カム機構は、ロータが一方向へ回転するときには、ピストンを第2の室側から第1の室側へ移動させ、ロータが他方向へ回転するときには、ピストンが第1の室側から第2の室側へ移動することを許容する。一方、カム部材の基端部には、大径部が形成されており、この大径部とピストンとの互いに対向する対向面間には、第2カム機構が設けられている。第2カム機構は、ロータが一方向へ回転するときには、ピストンが第2の室側から第1の室側へ移動することを許容し、ロータが他方向へ回転するときには、ピストンを第1の室側から第2の室側へ移動させる。したがって、ピストンは、ロータがいずれの方向へ回転する場合であっても、第1カム機構又は第2カム機構によって移動させられる。よって、ピストンは、ロータの回転に追随して確実に移動する。
特許第4064235号公報
上記従来の回転ダンパにおいては、カム部材がピストンを貫通しているので、ロータ、ピストン及びカム部材を組み立てる際には、カム部材をピストンに挿通した後、その状態を維持しつつカム部材の先端部をロータにさらに嵌合させなければならず、ロータ、ピストン及びカム部材の組立に多くの手間を要するという問題があった。
この発明は、上記の問題を解決するために、一端部が開口し、他端部に底部を有するケーシングと、このケーシング内の開口部側の端部に回転軸線を中心として回転可能に設けられたロータと、このロータと上記底部との間の上記ケーシング内に上記回転軸線方向へ移動可能に、かつ回転不能に配置され、上記ケーシングの内部を上記底部側の第1の室と上記ロータ側の第2の室とに区画するピストンと、上記第1及び第2の室に充填された流体とを備え、上記ロータと上記ピストンとの間には、上記ロータの回転に伴って上記ピストンを上記回転軸線方向へ移動させる第1及び第2カム機構が設けられた回転ダンパにおいて、上記第1カム機構が上記ロータと上記ピストンとの互いに対向する対向面間に形成され、上記ピストンと対向する上記ロータの端面の中央部には、上記底部側へ向かって延びる軸部が形成され、この軸部の外周面には外側突出部が形成され、上記ピストンの上記ロータとの対向面の中央部には、上記軸部が回転可能に挿入される被挿入部が形成され、この被挿入部の内周面には内側突出部が形成され、この内側突出部が上記外側突出部より上記ロータ側に位置するように配置され、上記外側突出部と上記内側突出部との上記回転軸線方向において対向する対向面間に上記第2カム機構が設けられていることを特徴としている。
この場合、上記軸部が上記被挿入部に上記ロータ側の開口部から所定位置まで挿入された状態で上記ロータを上記ピストンに対して所定の位置まで回転させると、上記外側突出部と上記内側突出部とが上記回転軸線方向に対向するように、上記外側突出部及び上記内側突出部が配置されていることが望ましい。
上記軸部が上記ロータに一体に設けられていることが望ましい。
上記外側突出部が上記軸部の周方向へ180°離れて二つ設けられ、上記内側突出部が上記被挿入部の周方向へ180°離れて二つ設けられ、上記外側突出部が上記内側突出部の間を通り抜け可能であることが望ましい。
上記被挿入部が上記ピストンを上記回転軸線方向に貫通する貫通孔として形成され、上記軸部の外周面と上記被挿入部の内周面との間の隙間を含む上記被挿入部の内部が、上記第1の室と上記第2の室とを連通させ、上記流体をほぼ抵抗なく流通させる連通路とされ、上記軸部より上記底部側に位置する上記被挿入部の内部に上記被挿入部を開閉する弁機構が設けられ、この弁機構が、上記被挿入部の内周面に形成された弁座と、この弁座に対し上記流体によって上記ケーシングの軸線方向へ移動させられることにより、上記弁座に着座、離間して上記被挿入部を開閉する弁体とを有していることが望ましい。
上記弁座が、上記回転軸線と直交する方向に延び、幅方向の中央部が両端部に対して上記第2の室側に位置するような凹湾曲面によって形成され、上記弁体が、外力が作用しない自然状態で上記弁座に着座したときには上記弁座の幅方向の両端部に接触し、かつ上記弁座の幅方向の中央部に対して隙間が形成されるように、板状に形成され、しかも上記弁体は、上記弁体を上記弁座に押し付ける上記流体の圧力の大きさに対応して弾性変形するよう弾性変形可能に形成され、上記流体の圧力が所定の大きさを越えると、上記弁座の少なくとも上記被挿入部を囲む環状の部分に押圧接触して上記被挿入部全体を閉じるまで弾性変形可能であることが望ましい。
上記特徴構成を有するこの発明によれば、ロータとピストンとは、軸部を被挿入部に所定位置まで挿入するだけで組み立てることができる。つまり、ワンタッチ操作で組み立てることができる。したがって、ロータとピストンとを容易に組み立てることができる。
図1は、この発明の一実施の形態を示す正面図である。 図2は、図1のX−X線に沿う拡大断面図である。 図3は、同実施の形態の分解斜視図である。 図4は、ロータの低速回転時に弁体が弁座に着座した状態を示す図2のX部の拡大図である。 図5は、ロータの高速回転時に弁体が弁座に着座した状態を示す図2のX部の拡大図である。 図6は、同実施の形態において用いられているロータを示す図であって、図6(A)はその正面図、図6(B)はその側面図、図6(C)は図6(A)のC矢視図、図6(D)はその斜視図である。 図7は、同実施の形態において用いられているピストンを示す図であって、図7(A)はその正面図、図7(B)はその側面図、図7(C)はその平面図、図7(D)はその底面図、図7(E)は図7(B)のE−E線に沿う断面図、図7(F)はその斜視図である。 図8は、この発明の他の実施の形態を示す分解斜視図である。
以下、この発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1〜図7は、この発明の一実施の形態を示す。この実施の形態の回転ダンパAは、図1〜図3に示すように、ケーシング1、ロータ2及びピストン3を主な構成要素としている。
ケーシング1は、金属板又は硬質樹脂を成形してなるものであり、図1〜図3に示すように、一端(図2において上端)が開口した筒部1aと、この筒部1aの他端部を閉じる底部1bとによって有底筒状に形成されている。筒部1aの底部1b側の端部には、二つの平坦部1c,1cが筒部1aの周方向へ180°離れて形成されている。この平坦部1c,1cが形成されることにより、筒部1aが、その開口部側に位置する断面円形の円筒部1dと、底部1b側に位置する断面長円形状をなす扁平筒部1eとに区分されている。
図2、図3及び図6に示すように、ロータ2は、その一端部(図2において下端部)に嵌合部2aを有している。この嵌合部2aは、円筒部1dにその軸線(以下、回転軸線という。)Lを中心として回転可能に嵌合されている。ロータ2の他端部には、連結軸部2bが形成されている。この連結軸部2bは、図1及び図2に示すように、ケーシング1から外部に突出しており、相対回転する二つの部材の一方に回転不能に連結される。二つの部材の他方には、ケーシング1が回転不能に連結される。
ロータ2は、ケーシング1から抜け止めされている。すなわち、ケーシング1の開口側の端部には、当該端部を径方向内側へ向かって折り曲げることにより、係止片1fが形成されている。そして、この係止片1fにロータ2がストッパ4を介して突き当たることにより、ロータ2がケーシング1に抜け止めされている。また、ロータ2の外周面と円筒部1dの内周面との間は、Oリング等のシール部材5によって封止されている。
図2に示すように、底部1bとロータ2の間に位置するケーシング1の内部には、ピストン3が挿入されている。ピストン3は、少なくとも一部が扁平筒部1eに回転軸線L方向へ移動可能に、かつ回転不能に嵌合されている。これにより、ピストン3がケーシング1に対し回転軸線L方向へ移動可能で、かつ回転不能になっている。
ピストン3がケーシング1の内部に設けられることにより、ケーシング1の内部が、底部1bとピストン3とによって区画される第1の室6Aと、ロータ2とピストン3とによって区画される第2の室6Bとに区分されている。第1及び第2の室6A,6Bには、流体(図示せず)が充填されている。流体としては、通常、粘性流体が用いられる。
図2、図3及び図7に示すように、ピストン3には、その中央部を回転軸線Lに沿って貫通する貫通孔(被挿入部)3aが形成されている。この貫通孔3aは、第1の室6Aと第2の室6Bとを連通する連通路としての機能を有しており、ピストン3が第1の室6A側から第2の室6B側へ移動すると、第2の室6B内の流体が貫通孔3aを通って抵抗なく第1の室6Aに流入する。したがって、ピストン3は、第1の室6A側から第2の室6B側へは高速で移動することができる。ピストン3が第2の室6B側から第1の室6A側へ移動するときには、第1の室6A内の流体が第2の室6Bに貫通孔3aを通って流入しようとするが、このときには貫通孔3aが後述する弁機構7によって閉じられる。このため、第1の室6A内の流体は、ピストン3の外周面とケーシング1の内周面との間に形成される隙間を通って第2の室6Bに流入する。ところが、ピストン3の外周面とケーシング1の内周面との間の隙間は非常に狭いものであり、そこを流れる流体に対して一種のオリフィスとして作用する。したがって、第1の室6A内の流体が第2の室6Bに流入するときには、大きな流通抵抗が発生し、その流通抵抗によってピストン3の移動速度が低速に抑えられる。
貫通孔3aの底部1b側に位置する端部には、弁機構7が設けられている。弁機構7は、次のように構成されている。すなわち、ピストン3の底部1b側の端部には、ピストン3を回転軸線Lと直交する方向に横断するスリット7aが形成されている。このスリット7aの底部1bと対向する面(スリット7aの回転軸線L方向を向く二つの面のうち、ロータ2側に位置する面)には、弁座7bが形成されている。この弁座7bの幅(スリット7aの横断方向及び回転軸線L方向との両者と直交する方向の幅)及び長さは、貫通孔3aの直径より大きく設定されている。したがって、弁座7bは、貫通孔3aを囲むように形成されている。弁座7bは、回転軸線Lと直交する方向に延びる円弧面によって構成されており、弁座7bを構成する円弧面は、その曲率中心線が回転軸線Lと直交するように配置されている。したがって、弁座7bは、その幅方向(スリット7aの横断方向及び回転軸線L方向の両者と直交する方向;図7(A)、(B)において左右方向)の中央部が両端部より第2の室6B側に位置するように凹湾曲させられている。弁座7bは、必ずしも円弧面によって構成することなく、楕円面その他の滑らかな凹曲面によって構成してもよい。
スリット7aには、弁体7cが挿入されている。弁体7cは、それに外力が作用しない自然状態であるときには平板状をなしている。弁体7cの厚さ(回転軸線L方向の寸法)は、スリット7aの回転軸線L方向の寸法より小さく設定されている。したがって、弁体7cは、それとスリット7aの回転軸線L方向における寸法との差の分だけ回転軸線L方向へ移動可能である。弁体7cは、第2の室6B内の流体が第1の室6Aに流入するときには、その流体によって底部1b側へ移動させられ、スリット7aの支持面7dによって支持される。この状態では、貫通孔3aが開かれる。つまり、貫通孔3aの弁座7bより上流側の部分が、弁座7bと弁体7cとの間の隙間を介して第1の室6Aと連通する。勿論、弁座7bと弁体7cとの間に形成される隙間は、流体をほとんど抵抗なく流すことができるような大きさに設定されている。一方、弁体7cは、第1の室6A内の流体が第2の室6Bに流入するときには、その流体によって弁座7bに押し付けられる。つまり、弁体7cが弁座7bに着座させられる。これにより、貫通孔3aが閉じられる。ただし、弁体7cによる貫通孔3aの閉じ状態は、次に述べるように、第1の室6A内の圧力に応じて変化する。
すなわち、弁座7bが凹湾曲面によって構成されているのに対し、弁体7cが平板状に形成されているので、弁体7cは、弁座7bに単に着座しているときには、弁座7bの幅方向の両端部にのみ接触する。この結果、弁体7cと弁座7bとの間には、隙間S(図4参照)が形成される。この状態では、第1の室6A内の流体の一部が隙間S及び貫通孔3aを通って第2の室6Bに流入することになり、その分だけ第1の室6Aから第2の室6Bへ流れる流体に対する抵抗が小さくなる。つまり、ピストン3が第2の室6B側から第1の室6A側へ低速で移動するときには、流体に対する抵抗が小さくなっているのである。
しかるに、弁体7cは、樹脂や金属によって構成されており、適度の強度と弾性とを併せ持っている。したがって、ピストン3の移動速度が速くなり、それに応じて第1の室6A内の流体の圧力が高くなると、第1の室6A内の流体によって弁体7cの中央部が第2の室6B側へ向かって湾曲するように弁体7cが弾性変形させられる。この結果、隙間Sの幅(回転軸線L方向における幅)が狭くなる。そして、第1の室6A内の圧力が所定の大きさを越えると、図5に示すように、隙間Sが無くなるまで弁体7cが弾性変形させられる。このときには、弁体7cが弁座7bのうちの少なくとも貫通孔3aを囲む部分に押圧接触させられており、貫通孔3a全体が弁体7cによって完全に閉じられている。したがって、第1の室6A内の流体は、貫通孔3aを通ることなく、一種のオリフィスであるケーシング1の内周面とピストン3の外周面との間の隙間を通ることになる。よって、第1の室6Aから第2の室6Bへ流れる流体に対する抵抗が最大になり、ピストン3の第2の室6B側から第1の室6A側への移動速度が低速に抑えられる。
嵌合部2aとピストン3との対向面の外周部、つまり両対向面のうちの貫通孔3aより外側に位置する部分には、一対の第1カム機構8,8が形成されている。一対の第1カム機構8,8は、周方向に180°離れて配置されている。第1カム機構8は、嵌合部2aのピストン3との対向面(ピストン3側の端面)に形成されたカム面8aと、ピストン3の嵌合部2aとの対向面(嵌合部2a側の端面)に形成されたカム面8bとを有している。カム面8a,8bは、常時接触しており、ロータ2が一方向へ回転するときには、ピストン3を第2の室6B側から第1の室6A側へ移動させる。ロータ2が他方向へ回転するときには、ピストン3が第1の室6A側から第2の室6B側へ移動することを許容する。なお、カム面8a,8bのいずれか一方については他方に接触する突出部としてもよい。
嵌合部2aのピストン3との対向面の中央部には、断面円形の軸部2cが形成されている。この軸部2cは、貫通孔3aより所定の大きさだけ小径になっており、回転軸線L上を底部1b側に向かって延び、貫通孔3aに挿入されている。軸部2cの外周面と貫通孔3aの内周面との間には、一対の第2カム機構9,9が形成されている。一対のカム機構9,9は、周方向に180°離れて配置されている。
カム機構9は、次のように構成されている。すなわち、軸部2cの貫通孔3aに挿入された先端部外周面には、一対の外側突出部9a,9aが形成されている。一対の外側突出部9a,9aは、周方向に180°離れて配置されている。外側突出部9aの外周面は、貫通孔3aの内周面に対し回転可能に接触するか、僅かに離れている。一方、貫通孔3aの内周面のロータ2側の端部には、一対の内側突出部9b,9bが形成されている。一対の内側突出部9b,9bは、周方向に180°離れて配置されている。内側突出部9bの内周面は、軸部2cの外周面に対し回転可能に接触するか、僅かに離れている。
外側突出部9a及び内側突出部9bは、各外側突出部9aが一対の内側突出部9b,9b間を回転軸線L方向へ通り抜けることができ、各内側突出部9bが一対の外側突出部9a,9a間を回転軸線L方向へ通り抜けることができるように配置されている。したがって、外側突出部9aが内側突出部9b,9b間の間隙と対向し、かつ内側突出部9bが外側突出部9a,9a間の間隙と対向するように、ロータ2とピストン3とを位置合わせし、その状態で軸部2cを貫通孔3aにロータ2側の開口部から挿入すると、各外側突出部9a,9aが内側突出部9b,9bの間に入り込み、各内側突出部9b,9bが外側突出部9a,9a間に入り込む。そして、軸部2cを貫通孔3aに所定の位置まで挿入すると、外側突出部9a,9aが内側突出部9b,9b間を通り抜けてそれらより底部1b側に位置する。その状態でロータ2をピストン3に対して所定角度だけ、例えば90°だけ回転させると、外側突出部9aのロータ2側を向く端面と、内側突出部9bの底部1b側を向く端面とが回転軸線L方向に対向する。外側突出部9aと内側突出部9bとの各対向面には、カム面9c,9dがそれぞれ形成されている。両カム面9c,9dによって第2カム機構9が構成されている。
第2カム機構9のカム面9c,9dは、常時接触しており、ロータ2が上記一方向へ回転するときには、ピストン3が第2の室6B側から第1の室6A側へ移動することを許容する。ロータ2が上記他方向へ回転するときには、ピストン3を第1の室6A側から第2の室6B側へ移動させる。したがって、ピストン3は、ロータ2が一方向へ回転するときには、第1カム機構8によって第2の室6B側から第1の室6A側へ移動させられ、ロータ2が他方向へ回転するときには、第2カム機構9によって第1の室6A側から第2の室6B側へ移動させられることになり、ロータ2が回転しているにも拘わらずピストン3が停止しているような自体が生じることがなく、ピストン3はロータ2の回転に追随して確実に移動する。なお、二つのカム面9c,9dのいずれか一方については他方に接触する突出部としてもよい。
軸部2c及び外側突出部9a,9aが貫通孔3aに挿入されるのみならず、貫通孔3aの内周面に内側突出部9b,9bが形成されているが、それによって貫通孔3aがふさがれることはない。軸部2cの外径が貫通孔3aより小径に設定され、外側突出部9a,9aが周方向へ互いに離れて配置され、さらに内側突出部9b,9bが周方向へ互いに離れて配置されているからである。このように配置されているので、第1及び第2の室6A,6B内の各流体は、貫通孔3aの内周面、軸部2cの外周面、外側突出部9a及び内側突出部9b間に形成される隙間を通って貫通孔3a内をほとんど抵抗なく流れることができる。
上記構成の回転ダンパAにおいて、いま図2に示す状態になっているものとする。すなわち、回転ダンパAがロータ2を上側に、底部1bを下側に位置させた状態で配置され、しかもピストン3が最も底部1bに接近した状態でロータ2が停止しているものとする。この状態では、弁体7cが支持面7dに接触している。勿論、回転ダンパAがその上下を逆にして配置されているときには、弁体7cが弁座7bに接触している。また、回転ダンパAが水平に配置されているときには、弁体7cが弁座7bと支持面7dとのいずれかに接触するか、それらの間に位置している。
ロータ2が上記他方向へ回転すると、ピストン3が第1の室6A側から第2の室6B側へ移動する。その結果、第2の室6B内の流体が貫通孔3aを通って第1の室6A内に流入しようとし、弁体7cを支持面7dに押し付ける。この結果、貫通孔3aが開かれ、第2の室6B内の流体は、ほとんど抵抗なく第1の室6Aに流入することができる。よって、ピストン3が第1の室6A側から第2の室6B側へ高速で移動することができ、ロータ2が他方向へ高速で回転することができる。
ピストン3が第2の室6B側へ移動した状態において、ロータ2が上記一方向へ回転すると、ピストン3が第2の室6B側から第1の室6A側へ移動する。その結果、第1の室6A内の流体が貫通孔3aを通って第2の室6Bに流入しようとする。しかるに、このときには、第1の室6A内の流体が弁体7cを弁座7bに着座させる。これによって、貫通孔3aが閉じられる。このため、第1の室6A内の流体は、一種のオリフィスを構成するケーシング1の内周面とピストン3の外周面との間を通過して第2の室6Bに流入する。このときの流通抵抗により、ピストン3の第2の室6B側から第1の室6A側へ移動速度が低速に抑えられ、ひいてはロータ2の一方向への回転が低速に抑えられる。つまり、ダンパ効果が発揮される。特に、この実施の形態では、弁体7cが弾性変形可能に形成されるとともに、弁座7bが円筒面によって凹湾曲面状に構成されているので、ロータ2の回転が高速になるほど大きなダンパ効果が得られる。
上記構成の回転ダンパAを組み立てる場合には、ロータ2とピストン3との軸線を一致させるとともに、周方向の位置合わせを行う。次に、軸部2cを貫通孔3aにそのロータ2側の開口部から所定の位置まで挿入する。その後、ロータ2をピストン3に対して所定の角度だけ回転させる。これにより、ロータ2とピストン3との組立を完了する。その後、ロータ2にシール部材5及びストッパ4を順次装着する。また、ピストン3に弁体7cを装着する。シール部材5及びストッパ4のロータ2への装着及び弁体7cのピストン3への装着は、ロータ2とピストン3との組立前に行っておいてもよい。その後、ピストン3及びロータ2をその順にケーシング1に挿入する。そして、係止片1fを折り曲げることによって回転ダンパAの組立を完了する。
このように、ロータ2とピストン3とは、軸部2cを貫通孔3aに挿入した後、所定の角度だけ回転させることによって組み立てることができる。つまり、ワンタッチ操作で組み立てることができる。よって、カム部材をピストンに挿通した後、その状態を維持しつつカム部材の先端部をさらにロータに嵌合させる必要がある従来の回転ダンパに比して、ロータ2とピストン3との組立に要する手間を軽減することができる。
図8は、この発明の他の実施の形態を示す。この実施の形態においては、ロータ2及びピストン3に代えてロータ2A及びピストン3Aが用いられている。ロータ2Aの軸部2cには、回転軸線L上を先端面から基端部まで延びる孔(図示せず)が形成されている。これにより、軸部2cが筒状に形成されている。筒状をなす軸部2cの周壁部には、複数(この実施の形態では2つ)のスリット2d(図8には一つのスリット2dのみ図示)が形成されている。これにより、軸部2cが弾性的に拡縮径可能になっている。そして、軸部2cが拡縮径することにより、二つの外側突出部9a,9aが軸部2cの径方向へ接近離間移動可能になっている。
ピストン3Aの貫通孔3aの内周面には、二つの内側突出部9b,9bに代えて一つの内側突出部(図示せず)が形成されている。この内側突出部は、貫通孔3aの内周面に沿って環状に延びている。したがって、貫通孔3aに軸部2cを挿入すると、外側突出部9a,9aが内側突出部に突き当たる。しかし、軸部2cが拡縮径可能で、外側突出部9a,9aが接近移動可能であるから、内側突出部に突き当たった外側突出部9a,9aは互いに接近するように移動して内側突出部に乗り上がり、軸部2cに挿入に伴って内側突出部の内周面上を摺動する。そして、外側突出部9a,9aが内側突出部を乗り越えると、軸部2cがそれ自体の弾性によって拡径する。この結果、外側突出部9a,9aと内側突出部とが回転軸線方向において互いに対向する。そして、両対向面間に第2カム機構が構成されている。
この実施の形態においては、ロータ2Aとピストン3Aとを組み立てるに際し、外側突出部9aのカム面9cと内側突出部のカム面(図示せず)との位置合わせを予め行っておくことにより、軸部2cを貫通孔3aに単に挿入するだけでロータ2Aとピストン3Aとを組み立てることができ、ロータ2Aをピストン3Aに対して回転させる必要がない。したがって、ロータ2Aとピストン3Aとをより一層容易に組み立てることができる。
なお、この発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲において各種の変形例を採用することができる。
例えば、上記の実施の形態においては、第1及び第2カム機構8,9をそれぞれ二つ宛て形成しているが、それぞれ一つだけ形成してもよく、三つ以上形成してもよい。
また、上記の実施の形態においては、軸部2cをロータ2に一体に形成しているが、軸部2bをロータ2と別体に形成し、固定手段によってロータ2に固定してもよい。例えば、嵌合部2aの底部1bと対向する端面の中央部にねじ孔を形成し、このねじ孔に軸部2cを螺合固定してもよい。
また、被挿入部として貫通孔3aを用いているが、貫通孔3aに代えて底部1b側が閉じた止まり孔を被挿入部としてもよい。
さらに、上記の実施の形態においては、ロータ2が一方向へ回転するときのみダンパ効果が発揮されるように構成されているが、ロータ2が他方向へ回転するときのみダンパ効果が発揮されるように構成してもよく、ロータ2が正逆いずれの方向へ回転するときにもダンパ効果が発揮されるように構成してもよい。
また、弁座7bを凹湾曲状に形成しているが、回転軸線Lと直交する平面によって構成してもよい。
この発明に係る回転ダンパは、ダンパ効果が確実に発揮されることが必要である二つの回転部材の間に用いることができる。
A 回転ダンパ
L 回転軸線
1 ケーシング
2 ロータ
2A ロータ
2c 軸部
3 ピストン
3A ピストン
3a 貫通孔(被挿入部)
6A 第1の室
6B 第2の室
7 弁機構
7b 弁座
7c 弁体
8 第1カム機構
9 第2カム機構
9a 外側突出部
9b 内側突出部

Claims (6)

  1. 一端部が開口し、他端部に底部を有するケーシングと、このケーシング内の開口部側の端部に回転軸線を中心として回転可能に設けられたロータと、このロータと上記底部との間の上記ケーシング内に上記回転軸線方向へ移動可能に、かつ回転不能に配置され、上記ケーシングの内部を上記底部側の第1の室と上記ロータ側の第2の室とに区画するピストンと、上記第1及び第2の室に充填された流体とを備え、上記ロータと上記ピストンとの間には、上記ロータの回転に伴って上記ピストンを上記回転軸線方向へ移動させる第1及び第2カム機構が設けられた回転ダンパにおいて、
    上記第1カム機構が上記ロータと上記ピストンとの互いに対向する対向面間に形成され、上記ピストンと対向する上記ロータの端面の中央部には、上記底部側へ向かって延びる軸部が形成され、この軸部の外周面には外側突出部が形成され、上記ピストンの上記ロータとの対向面の中央部には、上記軸部が回転可能に挿入される被挿入部が形成され、この被挿入部の内周面には内側突出部が形成され、この内側突出部が上記外側突出部より上記ロータ側に位置するように配置され、上記外側突出部と上記内側突出部との上記回転軸線方向において対向する対向面間に上記第2カム機構が設けられていることを特徴とする回転ダンパ。
  2. 上記軸部が上記被挿入部に上記ロータ側の開口部から所定位置まで挿入された状態で上記ロータを上記ピストンに対して所定の位置まで回転させると、上記外側突出部と上記内側突出部とが上記回転軸線方向に対向するように、上記外側突出部及び上記内側突出部が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回転ダンパ。
  3. 上記軸部が上記ロータに一体に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転ダンパ。
  4. 上記外側突出部が上記軸部の周方向へ180°離れて二つ設けられ、上記内側突出部が上記被挿入部の周方向へ180°離れて二つ設けられ、上記外側突出部が上記内側突出部の間を通り抜け可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の回転ダンパ。
  5. 上記被挿入部が上記ピストンを上記回転軸線方向に貫通する貫通孔として形成され、上記軸部の外周面と上記被挿入部の内周面との間の隙間を含む上記被挿入部の内部が、上記第1の室と上記第2の室とを連通させ、上記流体をほぼ抵抗なく流通させる連通路とされ、上記軸部より上記底部側に位置する上記被挿入部の内部に上記被挿入部を開閉する弁機構が設けられ、この弁機構が、上記被挿入部の内周面に形成された弁座と、この弁座に対し上記流体によって上記ケーシングの軸線方向へ移動させられることにより、上記弁座に着座、離間して上記被挿入部を開閉する弁体とを有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の回転ダンパ。
  6. 上記弁座が、上記回転軸線と直交する方向に延び、幅方向の中央部が両端部に対して上記第2の室側に位置するような凹湾曲面によって形成され、上記弁体が、外力が作用しない自然状態で上記弁座に着座したときには上記弁座の幅方向の両端部に接触し、かつ上記弁座の幅方向の中央部に対して隙間が形成されるように、板状に形成され、しかも上記弁体は、上記弁体を上記弁座に押し付ける上記流体の圧力の大きさに対応して弾性変形するよう弾性変形可能に形成され、上記流体の圧力が所定の大きさを越えると、上記弁座の少なくとも上記被挿入部を囲む環状の部分に押圧接触して上記被挿入部全体を閉じるまで弾性変形可能であることを特徴とする請求項5に記載の回転ダンパ。
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