JP6157332B2 - ダンパーヒンジ及びこのダンパーヒンジを用いた消火栓装置 - Google Patents

ダンパーヒンジ及びこのダンパーヒンジを用いた消火栓装置 Download PDF

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Description

本発明は、筐体と蓋の如き2つの物体を相対的に枢動するように結合するダンパーヒンジ及びこのダンパーヒンジを用いた消火栓装置に関するものである。
この種のダンパーヒンジにおいて、ヒンジ本体内に2つのダンパーを配置して構成されているものがあるが(特許文献1、2参照)、これらのダンパーヒンジは、いずれも、ヒンジ本体の相対回転に応じて2つのダンパーが同時に作用してダンパートルクを重畳するだけであった。
例えば、特許文献1(特開平7-286472号公報)に記載のダンパーヒンジは、固定側翼板4の軸筒(ヒンジ本体)内に背合わせして挿入された2つのダンパー1を備え、これらのダンパー1のステータ2は、その多角外周面を軸筒の相応する多角内周面に係合して軸筒と共に一緒に回転するようにし、ロータ3は、軸筒の端部から突出して可動側翼板6のアーム8の軸孔に同様に多角面で係合している。可動側翼板6が例えば固定側翼板4から離れる方向(開く方向)に枢動する際には、ダンパー1のロータ3は、小さなダンパートルクで回動し、可動側翼板6が逆方向(閉じる方向)に枢動する際には、ダンパー1のロータ3は、大きなダンパートルクで回動して衝撃を緩和している。従って、このダンパーヒンジは、2つのダンパーが固定部と可動部との間で同時にダンパー力が作用して大きなトルクを得ることができる。これは、特許文献2(特開2001−193339号公報)のダンパーヒンジも同様である。
一方、最近、内部に弁機構を設けてロータがケーシング(ステータ)に対して一方の方向に回動する時には、弁が開いて小さな流体抵抗が得られるが、ロータがステータに対して反対方向に回動する時には、弁が閉じて流体がロータとステータとの間のオリフィスを介して大きな流体抵抗が付与されるようにした回転ダンパーが提案されている(特許文献3参照)。
特許文献3(WO2011/039922号公報)に開示の回転ダンパーは、ロータ2がケーシング1(ステータ)内に回転自在に配置され、ケーシング1内に2つの室6A、6Bを区画するピストン3が設けられ、2つの室6A、6Bの間にはケーシング1内に充填された流体の流路を開閉する弁機構7が設けられ、またロータ2とピストン3との間に2つのカム機構8、9が設けられ、これらのカム機構8、9によってロータ2の回転に伴ってピストン3を軸線移動して弁機構7を開閉するようになっている。
この回転ダンパーにおいては、2つのカム機構8、9は、ロータ2を一方向に回動する際には、弁機構7を開く方向にピストン3を移動して小さな抵抗でロータを回動し、ロータ2を逆方向に回動する際には、弁機構7を閉じる方向にピストン3を移動し、従って、流体は、ロータ2とケーシング1との間の隙間(オリフィス)を介して移動してロータ2の回動に大きな抵抗を付与している。
この種の回転ダンパーは、大きなダンパー力を得るために、2つのカム機構がそれぞれ対をなしているため、ロータの回動角度を大きくすることができない欠点があった。
特開平7-286472号公報 特開2001-193339号公報 WO2011/039922号公報
本発明が解決しようとする1つの課題は、回転ダンパーの限界回動角度を越えて大きな枢動角度を得ることができるダンパーヒンジを提供することにある。
本発明が解決しようとする他の課題は、回転ダンパーの限界回動角度を越えて大きな枢動角度を得ることができるダンパーヒンジを用いた消火栓装置を提供することにある。
本発明の課題解決手段は、
相互に枢動自在に結合すべき2つの物体の一方の物体に取り付けられるべき第1のヒンジ本体と、
他方の物体に取り付けられるべき第2のヒンジ本体と、
前記第1のヒンジ本体に回転軸とケースのいずれか一方が非回転状態で係入する第1の回転ダンパーと、
前記第2のヒンジ本体に回転軸とケースのいずれか一方が非回転状態で係入する第2の回転ダンパーと、
前記第1の回転ダンパーの回転軸とケースのいずれか他方が一端部に非回転状態で係入すると共に前記第2の回転ダンパーの回転軸とケースのいずれか他方が他端部に非回転状態で係入する連結環とを備え、
前記連結環は、前記一方の物体や前記他方の物体には取り付けられずに、前記第1のヒンジ本体や前記第2のヒンジ本体に対して回転可能なものであること
を特徴とするダンパーヒンジを提供することにある。
本発明の課題解決手段において、
前記連結環は、前記第1と第2のヒンジ本体内に跨って配置することができ、
また、前記第1のヒンジ本体と前記連結環の相応する端部との間に設けられて前記第1のヒンジ本体と前記連結環とを第1の所定の許容回動角度で相対回転する第1の回動許容手段と、前記第2のヒンジ本体と前記連結環の相応する端部との間に設けられて前記第2のヒンジ本体と前記連結環とを第2の所定の許容回動角度で相対回転する第2の回動許容手段とを更に備えているのが好ましい。
本発明の課題解決手段において、
第1と第2の回転ダンパーのダンパー力は同じでもよいし、異なってもよいが、
いずれの場合にも、第1と第2の回動許容手段は、第1と第2の許容回動角度が第1と第2の回転ダンパーの許容回動角度内でそれぞれ設定されていてそれを越えると、第1と第2のヒンジ本体と連結環とが回動方向に一体化する機能を有し、従って第1と第2の回転ダンパーは、連結環を介して回動角度を重畳して第1と第2のヒンジ本体間の枢動角度を大きくすることができる。
また、第1と第2の回転ダンパーのダンパー力が異なる場合には、前記第1と第2の回動許容手段は、ダンパー力の小さい回転ダンパーを有するヒンジ本体側が許容回動角度に達した後、ダンパー力の大きい回転ダンパーを有するヒンジ本体側の回転ダンパーを介して回動許容角度まで回動するように作動する。
第1及び第2の回動許容手段は、前記第1及び第2のヒンジ本体の連結環が相対回転する部分にそれぞれ設けられたヒンジ本体側の第1と第2のヒンジ側突部と前記連結環の第1と第2のヒンジ本体に相応する端部にそれぞれ設けられた第1と第2の連結環側突部とから成っており、
前記第1と第2の許容回動角度は、前記ヒンジ本体側のヒンジ側突部と前記連結環側の相応する第1と第2の連結環突部との回動方向の間隔で設定することができる。
このようにすると、第1と第2のヒンジ本体の第1と第2の回転ダンパーを同時に又はそれぞれ順次動作しつつ第1と第2のヒンジ側突部と第1と第2の連結環側突部との間隔の和の範囲内、即ち、第1と第2の回動許容角度の和の範囲内で2つのヒンジ本体を相対的に回動するが、前記連結環は、これらの2つの回転ダンパーの動作を連携し又は切り替えて2つのヒンジ本体を連動させる機能を有する。
前記連結環が前記第1と第2のヒンジ本体に跨って配置されている場合、前記第1と第2のヒンジ本体と前記連結環とを一体化するために、前記連結環の相応する端部の環状溝に係入する第1と第2の掛け止めピンを有するのが好ましい。
本発明の課題解決手段においては、また、
互いに回転可能な2つ以上の前記連結環を有し、
隣り合う連結環に跨って設けられた少なくとも1つの第3の回転ダンパーを備え、
隣り合う連結環の一方に前記第3の回転ダンパーの回転軸とケースのいずれか一方が非回転状態(回転不能状態)で係入し、
隣り合う連結環の他方に前記第3の回転ダンパーの回転軸とケースのいずれか他方が非回転状態(回転不能状態)で係入し、
前記第1のヒンジ本体側にある連結環は、前記第1の回転ダンパーの回転軸とケースのいずれか他方が一端部に非回転状態(回転不能状態)で係入し、かつ、前記第1のヒンジ本体に対して回転可能であり、
前記第2のヒンジ本体側にある連結環は前記第2の回転ダンパーの回転軸とケースのいずれか他方が一端部に非回転状態で係入し、かつ、前記第2のヒンジ本体に対して回転可能であること
を特徴とするダンパーヒンジを提供することができる。
このように2つ以上の連結環と少なくとも1つの第3の回転ダンパーとを備えている場合、
前記第1のヒンジ本体側にある連結環の前記第1のヒンジ本体側の端部は前記第1のヒンジ本体の相応する端部に回動自在に係入し、
前記第2のヒンジ本体側にある連結環の前記第2のヒンジ本体側の端部は前記第2のヒンジ本体の相応する端部に回動自在に係入し、
前記隣り合う連結環の一方の端部は、前記隣り合う連結環の他方の相応する端部に回動自在に係入し、
前記第1のヒンジ本体と前記第1のヒンジ本体側にある連結環の相応する端部との間に設けられて前記第1のヒンジ本体と前記連結環とを第1の所定の許容回動角度で相対回転する第1の回動許容手段と、前記第2のヒンジ本体と前記第2のヒンジ本体側にある連結環の相応する端部との間に設けられて前記第2のヒンジ本体と前記連結環とを第2の所定の許容回動角度で相対回転する第2の回動許容手段と、前記隣り合う連結環の一方と他方の相応する端部とを第3の所定の許容回動角度で相対回転する第3の回動許容角度とを更に備えているのが好ましい。
このように複数の連結環と第1乃至第3の回転ダンパーとを有する場合においても、第1乃至第3の回転ダンパーのダンパー力は同じでもよいし、異なってもよいが、いずれの場合にも、第1乃至第3の回動許容手段は、第1乃至第3の許容回動角度が第1乃至第3の回転ダンパーの限界回動角度内でそれぞれ設定されていてそれを越えると、第1と第2のヒンジ本体と連結ブラケットと連結環とが回動方向に一体化する機能を有し、従って第1乃至第3の回転ダンパーは、連結ブラケット及び連結環を介して回動角度を重畳して第1と第2のヒンジ本体間の枢動角度を大きくすることができる。
前記第1乃至第3の回動許容手段は、前記第1及び第2のヒンジ本体と前記連結環との相互に相対回転する部分の一方にそれぞれ設けられた第1乃至第3の円弧状突部と他方にそれぞれ設けられた第1乃至第3の突条型突部との間の回動方向の間隔から成っているものとすることができ、これらの第1乃至第3の円弧状突部及び突条型突部は、それぞれ周方向に180度間隔で1対ずつ設けられているのが好ましく、また、前記第1乃至第3の回動許容角度は、相応する回転ダンパーの限界回転角度又はそれ以下に設定することができる。
本発明のダンパーヒンジは、蓋と筐体の枢支部以外の種々の枢支部に適用することができるが、例えば、トンネルの内壁に埋設される消火栓装置の箱型フレームの開口部に取り付けられてフレームの開口部を閉じる2つ折りの前面パネルの2つのパネル半部の枢支部に適用することができる。この場合、相互に枢動自在に結合すべき2つの物体の一方が消火栓装置のフレームの開口部を開閉する2つ折りの前面パネルの一方のパネル半部(可動半部)であり、前記2つの物体の他方が前記2つ折りの前面パネルの他方のパネル半部(固定半部)であり、本発明の課題解決手段によるダンパーヒンジの前記第1のヒンジ本体は、前記一方のパネル半部に取り付けられ、前記第2のヒンジ本体は、前記他方のパネル半部に取り付けられる。この種の2つ折り前面パネルは、その2つの半部がほぼ180度相対的に角度変位することが要求され、本発明のダンパーヒンジは、このような2つ折りパネルに最適である。
本発明によれば、上記のように、2つ以上の回転ダンパーを備えてこれらの回転ダンパーをその限界回動角度の範囲内で総合して2つのヒンジ本体を回転ダンパーの限界回動角度を越えて大きな枢動角度で枢動することができる。
本発明の第1の実施の形態によるダンパーヒンジの展開状態の斜視図である。 図1のダンパーヒンジの正背面を示し、同図(A)は、正面図、同図(B)は、背面図である。 図1のダンパーヒンジの側面図である。 図1のダンパーヒンジの下面図である。 図4の5−5線断面図である。 図2の6-6線断面図である。 図1のダンパーヒンジを分解して示し、同図(A)はその正面側からの分解斜視図、同図(B)は、その裏面側からの分解斜視図である。 本発明に用いられる一方のヒンジ本体を示し、同図(A)は、その一方側から見た斜視図、同図(B)は、その他方側から見た斜視図、同図(C)は、正面図、同図(D)は、側面図、同図(E)は、背面図、同図(F)は、同図(C)のF−F線断面図、同図(G)は、同図(F)の断面状態の斜視図である。 本発明に用いられる連結環を示し、同図(A)は、斜視図、同図(B)は、上面図、同図(C)は、正面図、同図(D)は、側面図、同図(E)は、同図(C)のE−E線断面図、同図(F)は、同図(B)のF−F線断面図である。 本発明のダンパーヒンジの一方(左側)の回転ダンパーが他方の(右側)の回転ダンパーよりも大きなダンパー力を有する場合ダンパーヒンジの動作(A)乃至(E)を示し、各動作で中央の正面とその左右に正面のアルファベットの記号で切断した断面との動作説明図である。 本発明のダンパーヒンジの他方(右側)の回転ダンパーが一方の(左側)の回転ダンパーよりも大きなダンパー力を有する場合のダンパーヒンジの動作(A)乃至(E)を示し、各動作で中央の正面とその左右に正面のアルファベットの記号で切断した断面との動作説明図である。 本発明の第2の実施の形態によるダンパーヒンジの折り畳み状態の正面図である。 図12のダンパーヒンジの上面図である。 図12の14−14線断面図である。 図13の15−15線断面図である。 図12のダンパーヒンジの分解斜視図である。 図12のダンパーヒンジに用いられる連結ブラケットを示し、同図(A)は、その一方側から見た斜視図、同図(B)は、その他方側から見た斜視図、同図(C)は、正面図、同図(D)は、上面図、同図(E)は、右側面図、同図(F)は、左側面図、同図(G)は、同図(C)のG−G線断面図、同図(H)は、同図(D)のH−H線断面図である。 図1乃至1図6のダンパーヒンジを用いた消火栓装置を示し、同図(A)、(C)、(E)は、その前面パネルを閉じた状態の斜視図、正面図及び(C)のE−E線断面図、同図(B)(D)(F)は、その前面パネルの上半部を折り畳んで開いた状態の斜視図、正面図及び(D)のF−F線断面図である。 図5と同様の図であるが、ヒンジ本体の外端部を変形し、また防水構造を付加した本発明の第3の実施の形態によるダンパーヒンジの縦断面図である。 図19のダンパーヒンジの分解斜視図である。
(全体構成)
本発明の好ましい第1の実施の形態によるダンパーヒンジ10が図1乃至図7に示されており、このダンパーヒンジ10は、相互に回動(枢動)自在に結合すべき図示しない2つの物体の一方の物体(例えば、蓋)に取り付けられるべき第1のヒンジ本体20と他方の物体(例えば、筐体)に取り付けられるべき第2のヒンジ本体40と、これらの第1と第2のヒンジ本体20、40内にそれぞれ設けられた第1と第2の回転ダンパー30、50と、第1と第2のヒンジ本体20、40に跨って配置されてこれらの第1と第2のヒンジ本体20、40及び回転ダンパー30、50を連結する連結環60とを備えている。
(ヒンジ本体の構成)
第1と第2のヒンジ本体20、40は、図示の形態では、有底の筒状部材20C、40Cとこれらの筒状部材20C、40Cにそれぞれ一体に設けられた取付け片20P、40Pとから成り、取付け片20P、40Pを相応する物体にねじ止めして固定される。図1、図2、図5、図7及び図8において符号22、42は、取付け片20P、40Pにそれぞれ設けられて物体にねじ止めすべきねじの貫通孔である。
(回転ダンパーの構成)
第1と第2の回転ダンパー30、50は、ケース32、52とこれらのケース32、52内に回転自在に配置されて一方の回転方向には粘性流体の高い抵抗によってゆっくりと回転し、他方の回転方向には粘性流体の低い抵抗によって急速に回転する回転軸34、54とから成り、他方の回転方向に応じた粘性流体の低い抵抗は、一方の回転方向に対しては閉じるが他方の回転方向には開く図示しない弁機構によって付与され、一方の回転方向に応じた粘性流体の高い抵抗は、弁機構が閉じることによって回転軸34、54とケース32、52との間のオリフィスによって付与される。弁機構の開閉は、例えば、回転軸の回転方向に応じてカム機構を介して進退するピストンによって行われる。これらの回転ダンパー30、50の詳細な構造は、特許文献3に開示されたものと同様の構造とすることができるので、詳細な構造の説明は省略する。この種の回転ダンパーは、大きなダンパー力を得ることができるが、ケース内にカム機構、ピストン及び弁機構を含んでいるため、許容回転角度は比較的小さい。なお、許容回転角度とは、ケース32、52に対して回転軸34、54が回転可能な角度の限界値のことである。
これらの第1と第2の回転ダンパー30、50は、そのケース32、52の角型周面32A、52Aが相応する第1と第2のヒンジ本体20、40の有底筒状部材20C、40Cの奥(底側)の角孔20CAH、40CAHにそれぞれ係入して第1と第2のヒンジ本体20、40内に非回転状態(回転不能状態)で配置されている。
(連結環の構成)
第1と第2の回転ダンパー30、50を連結する連結環60は、第1と第2の回転ダンパー30、50の回転軸34、54が非回転状態で係入するダンパー回転軸係入孔(角孔)63H、65Hを両端に有する。図9(E)(F)から解るように、ダンパー回転軸係入孔63H、65Hは、連続しているが、これらは、不連続であってもよい。
従って、第1と第2のヒンジ本体20、40は、第1と第2の回転ダンパー30、50のケース32、52と非回転状態で結合され、また第1と第2の回転ダンパー30、50の回転軸34、54は、連結環60と非回転状態で連結され、第1と第2のヒンジ本体20、40は、相応する第1と第2の回転ダンパー30、50の回転軸34、54を介して連結環60に相互に結合されている。
(回動許容手段の説明)
本発明のダンパーヒンジ10は、第1のヒンジ本体20と連結環60の相応する端部との間に設けられて第1のヒンジ本体20と連結環60とを第1の所定の許容回動角度α1で相対回転する第1の回動許容手段70と、第2のヒンジ本体40と連結環60の相応する端部との間に設けられて第2のヒンジ本体40と連結環60とを第2の所定の許容回動角度α2で相対回転する第2の回動許容手段90とを更に備えている。
これらの第1と第2の回動許容手段70、90は、第1と第2の許容回動角度α1、α2が第1と第2の回転ダンパー30、50の限度回動角度内でそれぞれ設定されていてそれを越えると、第1と第2のヒンジ本体20、40と連結環60とが回動方向に一体化する機能を有し、従って第1と第2の回転ダンパー30、50は、連結環60を介して回動角度を重畳して第1と第2のヒンジ本体30、50間の第1と第2の許容回動角度α1とα2との和に相応する角度まで枢動角度を大きくすることができる。
これらの第1と第2の回動許容手段70、90の具体例を詳細に述べると、第1及び第2の回動許容手段70、90は、第1及び第2のヒンジ本体20、40の連結環60が嵌まり込んで(係入して)相対回転する部分にそれぞれ設けられたヒンジ本体側の第1と第2のヒンジ側突部72P、92Pと、連結環60の第1と第2のヒンジ本体20、40に相応する端部にそれぞれ設けられた第1と第2の連結環側突部76P、96Pとから成っており、第1と第2の許容回動角度α1及びα2は、第1と第2のヒンジ側突部72P、92Pと第1と第2の連結環突部76P、96Pとの回動方向の間隔で設定される。
このようにすると、第1と第2のヒンジ本体20、40の相対的回動を第1と第2の回転ダンパー30、50を同時に又はそれぞれ順次動作しつつ行う際、第1と第2のヒンジ側突部72P、92Pと第1と第2の連結環側突部76P、96Pとの間隔の和の範囲内、即ち、第1と第2の許容回動角度α1とα2の和の範囲内で、2つのヒンジ本体20、40を相対的に回動し、連結環60は、これらの2つの回転ダンパー30、50の動作を連携し又は切り替えて2つのヒンジ本体20、40を連動させる機能を有するが、この動作の詳細は、図10乃至図11以下を参照にて後述する。
図示の形態では、第1と第2のヒンジ側突部72P、92Pは、円弧状の形態であり、第1と第2の連結環側突部76P、96Pは、軸線方向に延びる突条の形態であり、且つ、これらの第1及び第2の円弧状突部72P、92P及び突条型突部76P、96Pは、それぞれ周方向に180度間隔で1対形成されている。
この場合、第1と第2の許容回動角度α1、α2は、相応する回転ダンパー30、50の限界回転角度又はそれ以下に設定することができる。
図7から判るように、連結環60の第1と第2の突条型突部76P、96Pは、連結環60の両端の小径外周面66、69に設けられており、従ってこれら突条型突部76P、96Pは、連結環60の最外周面と面一となっている。
更に、図8(F)から判るように、第1と第2のヒンジ本体20、40は、相応する回転ダンパー30、50の角周面(角型周面32A、52A)が係入する角孔20CAH、40CAHを有する部分と連結環60の相応する端部の1対の突条型突部76P、96Pが回転自在に嵌まり込む(係入する)する部分(1対の円弧状突部72P、92Pを有する部分)とがそれぞれ軸線方向に隣接して設けられている。また、図5及び図6から判るように、連結環60は、そのダンパー回転軸係入孔63H、65H(図9)に第1及び第2の回転ダンパー30、50の回転軸34、54が係入した状態で第1と第2のヒンジ本体20、40の入口(底と反対側の開口)からこれらのヒンジ本体20、40内に入り込んで第1と第2のヒンジ本体20、40の入口が対向してこれらのヒンジ本体20、40が隣接するようになっている。
(ダンパーヒンジの一体化)
図5及び図7に示すように、第1と第2のヒンジ本体20、40は、連結環60の相応する部分にある環状溝62G、64Gに係入する第1と第2の掛け止めピン26、46を有する。これらの掛け止めピン26、46は、第1と第2のヒンジ本体20、40の筒状部材20C、40Cの一部を径方向に平行な方向に貫通して形成され取付け片20P、40Pで開口するピン差込み孔20H、40Hに差し込んで第1と第2のヒンジ本体20、40に取り付けられる(特に、図7(B)の右側の第2のヒンジ本体40参照)。これらの掛け止めピン26、46は、第1と第2のヒンジ本体20、40及び第1と第2の回転ダンパー30、50が連結環60に対して相対的に回動可能にしつつ第1と第2のヒンジ本体20、40と回転ダンパー30、50と連結環60とを抜け止め状態で一体に組み付ける働きを有する。
(ダンパーヒンジの動作説明)
次に、本発明の第1の実施の形態によるダンパーヒンジ10の動作を図10及び図11を参照して詳細に述べる。本発明のダンパーヒンジ10の第1と第2の回転ダンパー30、50は、同じダンパー力を有していてもよいし、異なるダンパー力を有していてもよいが、図10及び図11では、第1と第2の回転ダンパー30、50が異なるダンパー力を有する場合の動作を示している。
(図10=第1の回転ダンパー30が第2の回転ダンパー50よりも小さいダンパー力を有する場合)
まず、第1のヒンジ本体20内の回転ダンパー30が第2ヒンジ本体40内の回転ダンパー50よりも小さなダンパー力を有する場合の動作を図10を参照して述べる。図10の(A)から(E)までの図面は、第1と第2のヒンジ本体20、40の展開状態(第1と第2のヒンジ本体20、40が最も離れた状態)から、第1のヒンジ本体20を45度(B)、90度(C)、135度(D)及び180度(E)回動した状態を順次示している。なお、これらの角度は、図10(A)を基準とした第1のヒンジ本体20の反時計方向の回動角度であり、これらの角度は、第2のヒンジ本体40に対する角度ではそれぞれ135度、90度、45度、0度となる。図10(A)は、中間にダンパーヒンジ10の正面を示し、この中央のダンパーヒンジ10のE−E線、J−J線断面図を右側に、D−D線、M−M線断面図を左側に示しており、以下図10(B)乃至(E)も同様に中間の正面図に付された断面線に沿って切断した断面図を右及び左に示している。
まず、第1のヒンジ本体20を第2のヒンジ本体40に対して図10(A)の右側の断面で見て反時計方向に45度まで回動する際の状態を観察すると、左側の第2のヒンジ本体40及びその内部の回転ダンパー50(左側の2つの断面の斜線が施された部分及び右側の2つの断面の斜線が施されていない部分であってそのケース52及び回転軸54のすべて)は全く動きがなく、右側の第1のヒンジ本体20と第1の回転ダンパー30のケース32とが45度回動し、一方、回転軸34は静止している。このとき、連結環60も第2の回転ダンパー50に非回転状態で結合しているので、全く動きがない。従って、第1のヒンジ本体20の回動は、相応する第1の回転ダンパー30のケース32と回転軸34との間の粘性流体による高い抵抗を受けながらゆっくりと行われる。この回動の間、第1のヒンジ本体20側の第1のヒンジ側円弧状突部72Pも回動するが、この突部72Pの回転方向の縁は、まだ、連結環60側の第1の連結環側突部76Pに衝合していないので、連結環60は、静止している。
このようにして、第1のヒンジ本体20が回動し図10の(C)に示す90度の回動角度に達すると、第1のヒンジ側円弧状突部72Pの回転方向の縁が第1の連結環突部76Pに衝合し、第1のヒンジ本体20は、連結環60に対してそれ以上回動することができない。
従って、第1のヒンジ本体20を更に回動しようとすると、第1のヒンジ側円弧状突部72Pと第1の連結環側突部76Pとの衝合状態によって連結環60も同方向に回動し、それ以後は、連結環60の反対側に連結されている第2の回転ダンパー50の回転軸54を同じく粘性流体の高い抵抗を受けて回動しつつ第1のヒンジ本体20を第2のヒンジ本体40に対して回動する。図10の(D)(E)で第2の回転ダンパー50の回転軸54が回転し、一方、ケース52は静止しているのが判る。この際、第2の連結環側突部96Pも回動し、第2のヒンジ本体40の第2のヒンジ側円弧状突部92Pの縁に近づき、第1のヒンジ本体20が第2のヒンジ本体40に対して180度回動したとき、第2の連結環側突部96Pの回転方向の縁が第2のヒンジ側円弧状突部92Pに衝合してそれ以上は回動することはない。
このようにして第1のヒンジ本体20を第2のヒンジ本体40に向けて回動(枢動)してこれらのヒンジ本体20、40に取り付けられた2つの物体(例えば、蓋と筐体)を閉じることができる。なお、第1のヒンジ本体20の第2のヒンジ本体40に対する回動は、手動で行う場合の他に、ヒンジ本体20側の物体(例えば、蓋)に当初は手動で押し下げて回動するが、ヒンジ本体20が傾くと、相応する物体(蓋)の重みで回動することによって行われるのが通常であり、このような自重による回動も含む。
図10(E)の状態から第1のヒンジ本体20を第2のヒンジ本体20に対して離れるように回動する動作(例えば、蓋を筐体に対して開くように持ち上げる動作)は、手動などで第1のヒンジ本体20を持ち上げて行われるが、この場合には、第1と第2の回転ダンパー30、50は、粘性流体の流動抵抗が低くダンパー力が働かないので、第1と第2のヒンジ本体20、40の相対回転は、回転ダンパー30、50を元の位置に戻しながら行われ、この際、第1と第2の回動許容手段70、90は、第1と第2のヒンジ側円弧状突部72P、92Pと第1と第2の連結環側突条突部76P、96Pとが元の位置に戻される(第1と第2のヒンジ本体20、40を相互に接近する方向の回動方向に対して間隔をあける位置に戻される)。
上記の正逆動作において、連結環60は、第1のヒンジ本体20や第2のヒンジ本体40に対して回動するが、第1及び第2のヒンジ本体20、40の掛け止めピン26、46は、連結環60の相応する環状溝62G、64G内を相対的に移動するので、連結環60が第1及び第2のヒンジ本体20、40によって干渉されることがない。
(図11=第2の回転ダンパー50が第1の回転ダンパー30よりもダンパー力が小さい場合)
第2のヒンジ本体40内の回転ダンパー50が第1のヒンジ本体20内の回転ダンパー30よりも小さなダンパー力を有する場合の動作は、図11に示されている。図11の(A)から(E)までの図面は、図10の(A)から(E)までの図面と同様に表示されているので、詳細な説明は省略する。
まず、第1のヒンジ本体20を第2のヒンジ本体40に対して図11(A)の右側の断面で見て反時計方向に45度まで回動する際の状態を観察すると、左側の第2のヒンジ本体40及びその内部の回転ダンパー50のケース52(左側の2つの断面の斜線が施された部分及び右側の2つの断面の斜線が施されていない部分)は全く動きがなく、右側の第1のヒンジ本体20と第1の回転ダンパー30のケース32及び回転軸34とが45度回動している。このとき、連結環60は、第1の回転ダンパー30の回転軸34に非回転状態で結合しているので、同様に45度回動し、従って連結環60に非回転状態で結合している第2の回転ダンパー50の回転軸54がその静止しているケース52に対して回動する。このようにして、第1のヒンジ本体20の回動は、ダンパー力が弱い方の第2の回転ダンパー50のケース52と回転軸54との間の粘性流体による高い抵抗を受けながらゆっくりと行われる。この回動の間、連結環60の第2の連結環側突部96Pも回動するが、この突部96Pは、まだ、第2のヒンジ本体40側の第2のヒンジ側円弧状突部92Pに衝合していないので、連結環60は、回動を続けている。
このようにして、第1のヒンジ本体20が回動し図11の(C)に示す90度の回動角度に達すると、第2の連結環側状突部96Pが第2のヒンジ側円弧状突部92Pに衝合し、連結環60は、第2のヒンジ本体40に対してそれ以上回動することができないで静止する。
従って、第1のヒンジ本体20を更に回動しようとすると、静止している連結環60に非回転状態で結合しているため同じく静止している第1の回転ダンパー30の回転軸34を中心にして第1の回転ダンパー30のケース32が回転する(図11の(D)参照)。このため、今度は、第2の回転ダンパー50よりも高いダンパー力を有する第1の回転ダンパー30のダンパー力を受けつつ第1のヒンジ本体20が回動(枢動)する。また、このように、第2の回転ダンパー50から第1の回転ダンパー30に切り替わると、第1のヒンジ本体20の第1の円弧状突部72Pが連結環60の静止状態にある第1の連結環側突部76Pに向けて接近するように移動し、第1の円弧状突部72Pが連結環60の第1の連結環側突部76P一方の縁に衝合して第1のヒンジ本体20は180度回動したところで止まる。図11(C)から(E)まで連結環60及び第1の回転ダンパー30の回転軸34が静止しているのが判る。
このようにして、第1のヒンジ本体20を第2のヒンジ本体40に向けて枢動してこれらのヒンジ本体20、40に取り付けられた2つの物体(例えば、蓋と筐体)を閉じることができる。
図11(E)の状態から第1のヒンジ本体20を第2のヒンジ本体20に対して離れるように回動する動作は、上記動作とは逆の動作となるが、この場合には、第1及び第2の回転ダンパー30、50のダンパー力が働かないので、図10で述べたのと同様に、第1と第2の回動許容手段70、90の正動作の回動方向での許容回動角度を復帰しながら第1と第2のヒンジ本体20、40の相対回動が行われる。
このようにして、第1のヒンジ本体20と第2のヒンジ本体40とにそれぞれ取り付けられた2つの物体は開くことができるが、この逆の動作では、回転ダンパー30、50は、粘性流体の抵抗が低いので、これらの物体を円滑に開くことができる。
図10及び図11の動作は、いずれかのヒンジ本体側の回転ダンパーのダンパー力が他方のヒンジ本体側の回転ダンパーのダンパー力よりも小さい場合であったが、第1と第2の回転ダンパー30、50が同じダンパー力を有する場合には、第1と第2のヒンジ本体20、40を折り畳み位置に相対回動する際に、第1と第2の回動許容手段70、90が同時に動作してこれらの回転ダンパー30、50のそれぞれの限界回動角度を越えて第1と第2の許容回動角度の和まで第1と第2のヒンジ本体20、40を枢動することができる。また、これらの動作説明から判るように、連結環60は、第1と第2の回転ダンパー30、50をそれぞれの限界回転角度を越えて回転方向に直列に駆動するようにこれらの回転ダンパー30、50を接続する機能を有する。
本発明の第2の実施の形態によるダンパーヒンジ110が図12乃至図17に示されており、第1の実施の形態によるダンパーヒンジ10と同じ部分には同じ符号が付されている。
このダンパーヒンジ110は、第1と第2のヒンジ本体20、40内に跨って配置される少なくとも1つの連結ブラケット(第2の連結環)120と、この連結ブラケット120に設けられた第3の回転ダンパー130とを備え、連結環60は、第3の回転ダンパー130の回転軸134と第2の回転ダンパー50の回転軸54とを連結している点で第1の実施の形態によるダンパーヒンジと異なる。
連結ブラケット120の第1のヒンジ本体20側の端部は、第1のヒンジ本体20の端部に回動自在に係入し、連結環60の両端は、連結ブラケット120の反対側の端部と第2のヒンジ本体40の相応する端部に回動自在に係入している。
第1の回転ダンパー30の回転軸34は、連結ブラケット120の相応する端部のダンパー回転軸係入溝123Gに非回転状態で係入し、第2の回転ダンパー50の回転軸54と第3の回転ダンパー130の回転軸134とは、連結環60の相応する端部のダンパー係入溝65H、63Hに非回転状態で係入している。
このダンパーヒンジ110は、第1のヒンジ本体20と連結ブラケット120の相応する端部との間に設けられて第1のヒンジ本体20と連結ブラケット120とを第1の所定の許容回動角度α1で相対回転する第1の回動許容手段70と、第2のヒンジ本体40と連結環60の相応する端部との間に設けられて第2のヒンジ本体40と連結環60とを第2の所定の許容回動角度α2で相対回転する第2の回動許容手段90と、連結ブラケット120と連結環60の相応する端部とを第3の所定の許容回動角度α3で相対回転する第3の回動許容手段170とを備えている。
第1乃至第3の回動許容手段70、90、170は、第1の実施の形態と同様に、第1及び第2のヒンジ本体20、40と連結ブラケット120の回転ダンパーの回転軸が係入する内周部分に設けられた第1乃至第3の円弧状突部72P、92P、172P(図16、図17参照)と、連結ブラケット120の連結環60側の端部、連結環60の第2のヒンジ本体40側の端部及び連結ブラケット120の第1のヒンジ本体20側の端部にそれぞれ設けられた第1乃至第3の突条型突部76P、96P、176P(図16、図17参照)とから成っており、第1乃至第3の許容回動角度α1乃至α3は、これらの第1乃至第3の円弧状突部72P、92P、172Pと第1乃至第3の突条型突部76P、96P、176Pの回動方向の角度間隔によって設定されている。なお、図12乃至図17には、円弧状突出部72P、92Pが示されていないが、これらは、第1の実施の形態によるものと同じである。
この第2の実施の形態によるダンパーヒンジ110の動作は、第1の実施の形態によるものと同じであり、第1乃至第3の回転ダンパー30、50、130のダンパー力が異なる場合には、第1及び第2のヒンジ本体のダンパーが働く方向の相対回転は、ダンパー力が小さい順から許容回動角度毎に回転ダンパーの回転軸を順次回動し、ダンパー力が同じ場合には、第1乃至第3の回動許容手段70、90、170がその許容回動角度で第1乃至第3の回転ダンパー30、50、130をそれぞれ回動して第1と第2のヒンジ本体20,40間の相対回転(枢動)を達成する。第1と第2のヒンジ本体20,40のダンパー力が働かない方向への逆方向の相対回転も、第1の実施の形態によるものと同様に、第1乃至第3の回動許容手段70、90、170の許容回動角度に戻すように、即ち第1乃至第3の円弧状突部72P、92P、172Pと第1乃至第3の突条型突部76P、96P、176Pの間隔を元に戻すように動作しつつ第1と第2のヒンジ本体20,40を逆方向に相対回転(枢動)する。
なお、図示していないが、連結ブラケット120の突条型突部176P及び連結環60の外周には、第1の実施の形態の連結環60の環状溝62G、64Gと同様の環状溝を有し、一方第1と第2のヒンジ本体20、40及び連結ブラケット120にはこれらの環状溝に係入する掛け止めピンを差し込んで第1及び第2のヒンジ本体20、40と連結ブラケット120とを相互の回転を許しつつ軸線方向に一体化するようにしている。
上記のように、本発明によれば、2つのヒンジ本体20、40の間に2つ又は3つ以上の回転ダンパー30、50、130を設けてこれらの回転ダンパーをそれぞれの回動許容手段を介して回動方向に直列に駆動して回転ダンパーの限界回動角度が小さくても、この限界回動角度を越えて2つのヒンジ本体間の枢動角度を大きくすることができる。
なお、上記の2つの実施の形態では、回転ダンパーのケースがヒンジ本体及び連結ブラケットに非回転状態で係入されているが、回転ダンパーの回転軸がヒンジ本体及び連結ブラケットに非回転状態で係入されていてもよく、この場合には、回転ダンパーのケースが連結環及び連結ブラケットに非回転状態で係入される。
また、連結ブラケットと第3の回転ダンパーは、1個に限らず、それぞれ2個以上設けてもよく、この場合には、2個以上の連結ブラケットのうち第1のヒンジ本体側にある連結ブラケットが第1のヒンジ本体の端部に係入する。
また、上記2つの実施の形態では、第1のヒンジ本体及び第2のヒンジ本体と連結環との間及び隣り合う連結環の間に第1乃至第3の回動許容手段が設けられているが、これらの間に設けられた第1乃至第3の回転ダンパー自体は、第1乃至第3の回動許容手段と同じ機能を有することができるので、第1乃至第3の回動許容手段を省略してもよい。第1乃至第3の回動許容手段があると、回転時の負荷は、これらの回動許容手段が担うので、回転時の負荷が大きい場合には、回動許容手段があった方が望ましいが、回転時の負荷が小さい場合には、上記のように、第1乃至第3の回動許容手段を省略することができる。
図示の実施の形態では、本発明のダンパーヒンジが適用される2つの物体は蓋と筐体であってその枢支部にダンパーヒンジが用いられているが、蓋と筐体の枢支部以外の種々の枢支部に本発明のダンパーヒンジを適用することができる。
図18は、蓋と筐体との枢支部以外に本発明を適用した例を示しており、この図示の例では、本発明のダンパーヒンジ10は、例えば、トンネルの内壁に埋設される消火栓装置に適用されている。この消火栓装置200は、箱型フレーム210とその開口部を開閉する2つ折りの前面パネル220とから成っている。フレーム210内には、図示しない給水管に接続されるべき給水栓212と、この給水栓212に接続され、先端に消火用ノズルを有する消火用ホース214とが収納されている。本発明のダンパーヒンジ10は、2つ折りの前面パネル220の2つのパネル半部220Uと220Lとの枢支部に適用される。図示の形態では、一方のパネル半部220Uは、可動半部であり、他方のパネル半部220Lは、固定半部である。この場合、本発明のダンパーヒンジ10によって相互に枢動自在に結合すべき2つの物体の一方が一方のパネル半部(可動半部)220Uであり、2つの物体の他方が他方のパネル半部(固定半部)220Lであり、ダンパーヒンジ10の第1のヒンジ本体20は、一方のパネル半部220Uに取り付けられ、第2のヒンジ本体40は、他方のパネル半部220Lに取り付けられる。本発明のダンパーヒンジ10は、図10、図11に示すように、2つの物体を180度開閉することができるので、消火栓装置2002つ折り前面パネル220は、図18(A)(C)(E)に示すように、その2つの半部220U、220Lが180度展開して開口部を閉じる位置から図18(B)(D)(F)に示すように相互に折り畳んで開口部の一半部を開くように180度相対的に角度変位することができる。これにより、火災発生時には、開口部を介して、箱型フレーム210内から消火用ホース214を引き出して、消火作業を行うことができる。
本発明の第3の実施の形態によるダンパーヒンジ10が図19及び図20に示されている。この第3の実施の形態によるダンパーヒンジ10は、以下に述べる2つの追加構造部分を除いて第1の実施の形態によるダンパーヒンジ10と実質的に同じである。
1つの追加構造部分は、第1及び第2のヒンジ本体20、40の筒状部材20C、40Cの外端にそれぞれねじ蓋21、41で閉じられる開口部20CO、40COが形成されたことである。ねじ蓋21、41は、その外端面にスクエアソケットタイプのドライバが差し込まれる多角内面のソケット穴21R、41Rを有し、このソケット穴21R、41Rにソケットドライバのスクエアヘッドを差し込んで筒状部材20C、40Cの開口部20CO、40COにねじ込んでこれらの開口部20CO、40COを閉じる。なお、図19、図20において、符号23、43は、筒状部材20CO、40COとねじ蓋21、41との間に配置された防水用Oリングであり、これらのOリング23、43は、ねじ蓋21,41の外周面に設けられたリング溝23G、43Gに嵌め込まれる。
他の1つの追加構造部分は、第1と第2のヒンジ本体20、40の筒状部材20C、40Cと連結環60との間に防水用Oリング25、45を配置してこれらの間を防水することである。これらの防水用Oリング25、45は、連結環60の外周面に設けられたリング溝25G、45Gに嵌め込まれる。
この第3の実施の形態によれば、ヒンジ本体20、40の筒状部材20C、40Cの成形が容易であり、また、ヒンジ本体20、40とねじ蓋21、41との間及びヒンジ本体20、40の筒状部材20C、40Cと連結環60との間の防水性を高めることができる。
なお、この第3の実施の形態による構造は、第2実施の形態によるダンパーヒンジ110にも同様に適用することができることはもちろんである。
本発明によれば、上記のように、2つのヒンジ本体間に複数の回転ダンパーを設けてこれらの回転ダンパーを順次又は同時に回動させて回転ダンパーの限界回動角度を越えて2つのヒンジ本体間の枢動角度を大きくすることができるので、産業上の利用性が向上する。
10、110 ダンパーヒンジ
20 第1のヒンジ本体
20C 筒状部材
20CAH 角孔
20P 取付け片
20H ピン差込み孔
21 ねじ蓋
21R ドライバ差込み用へこみ
22 ねじ貫通孔
23 Oリング
23G リング溝
25 Oリング
25G リング溝
26 掛け止めピン
30 第1の回転ダンパー
32 ケース
32A 角型周面
34 回転軸
40 第2のヒンジ本体
40C 筒状部材
40CAH 角孔
40H ピン差込み孔
40P 取付け片
41 ねじ蓋
41R ドライバ差込み用ソケット穴
42 ねじ貫通孔
43 Oリング
43G リング溝
45 Oリング
45G リング溝
46 掛け止めピン
50 第2の回転ダンパー
52 ケース
52A 角型周面
54 回転軸
60 連結環
62G、64G 環状溝
63G、65G ダンパー回転軸係入溝
66、69 小径外周面
70 第1の回動許容手段
72P 第1のヒンジ側円弧状突部
76P 第1の連結環側突条型突部
90 第2の回動許容手段
92P 第2のヒンジ側円弧状突部
96P 第2の連結環側突条型突部
120 連結ブラケット(第2の連結環)
120CAH 角孔
123G ダンパー回転軸係入溝
130 第3の回転ダンパー
132 ケース
132A 角型周面
134 回転軸
170 第3の回動許容手段
172P 第3の円弧状突部
176P 第3の突条型突部
α1、α2、α3 第1乃至第3の許容回動許容角度

Claims (10)

  1. 相互に枢動自在に結合すべき2つの物体の一方の物体に取り付けられるべき第1のヒンジ本体と、
    他方の物体に取り付けられるべき第2のヒンジ本体と、
    前記第1のヒンジ本体に回転軸とケースのいずれか一方が非回転状態で係入する第1の回転ダンパーと、
    前記第2のヒンジ本体に回転軸とケースのいずれか一方が非回転状態で係入する第2の回転ダンパーと、
    前記第1の回転ダンパーの回転軸とケースのいずれか他方が一端部に非回転状態で係入すると共に前記第2の回転ダンパーの回転軸とケースのいずれか他方が他端部に非回転状態で係入する連結環とを備え、
    前記連結環は、前記一方の物体や前記他方の物体には取り付けられずに、前記第1のヒンジ本体や前記第2のヒンジ本体に対して回転可能なものであること
    を特徴とするダンパーヒンジ。
  2. 請求項1に記載のダンパーヒンジであって、
    前記連結環は、前記第1と第2のヒンジ本体内に跨って配置されていること
    を特徴とするダンパーヒンジ。
  3. 請求項2に記載されたダンパーヒンジであって、
    前記第1のヒンジ本体と前記連結環の相応する端部との間に設けられて前記第1のヒンジ本体と前記連結環とを第1の所定の許容回動角度で相対回転する第1の回動許容手段と、前記第2のヒンジ本体と前記連結環の相応する端部との間に設けられて前記第2のヒンジ本体と前記連結環とを第2の所定の許容回動角度で相対回転する第2の回動許容手段とを更に備えていること
    を特徴とするダンパーヒンジ。
  4. 請求項3に記載のダンパーヒンジであって、
    前記第1及び第2の回動許容手段は、前記第1及び第2のヒンジ本体の連結環が相対回転する部分にそれぞれ設けられたヒンジ本体側の第1と第2のヒンジ側突部と前記連結環の第1と第2のヒンジ本体に相応する端部にそれぞれ設けられた第1と第2の連結環側突部とから成っており、
    前記第1と第2の回動許容角度は、前記ヒンジ本体側のヒンジ側突部と前記連結環側の相応する第1と第2の連結環突部との回動方向の間隔で設定されていること
    を特徴とするダンパーヒンジ。
  5. 請求項2乃至4のいずれかに記載のダンパーヒンジであって、
    前記第1と第2のヒンジ本体は、前記連結環の相応する端部の環状溝に係入する第1と第2の掛け止めピンを有すること
    を特徴とするダンパーヒンジ。
  6. 請求項1に記載のダンパーヒンジであって、
    互いに回転可能な2つ以上の前記連結環を有し、
    隣り合う連結環に跨って設けられた少なくとも1つの第3の回転ダンパーを備え、
    隣り合う連結環の一方に前記第3の回転ダンパーの回転軸とケースのいずれか一方が非回転状態で係入し、
    隣り合う連結環の他方に前記第3の回転ダンパーの回転軸とケースのいずれか他方が非回転状態で係入し、
    前記第1のヒンジ本体側にある連結環は、前記第1の回転ダンパーの回転軸とケースのいずれか他方が一端部に非回転状態で係入し、かつ、前記第1のヒンジ本体に対して回転可能であり、
    前記第2のヒンジ本体側にある連結環は前記第2の回転ダンパーの回転軸とケースのいずれか他方が一端部に非回転状態で係入し、かつ、前記第2のヒンジ本体に対して回転可能であること
    を特徴とするダンパーヒンジ。
  7. 請求項6に記載のダンパーヒンジであって、
    前記第1のヒンジ本体側にある連結環の前記第1のヒンジ本体側の端部は前記第1のヒンジ本体の相応する端部に回動自在に係入し、
    前記第2のヒンジ本体側にある連結環の前記第2のヒンジ本体側の端部は前記第2のヒンジ本体の相応する端部に回動自在に係入し、
    前記隣り合う連結環の一方の端部は、前記隣り合う連結環の他方の相応する端部に回動自在に係入し、
    前記第1のヒンジ本体と前記第1のヒンジ本体側にある連結環の相応する端部との間に設けられて前記第1のヒンジ本体と前記連結環とを第1の所定の許容回動角度で相対回転する第1の回動許容手段と、前記第2のヒンジ本体と前記第2のヒンジ本体側にある連結環の相応する端部との間に設けられて前記第2のヒンジ本体と前記連結環とを第2の所定の許容回動角度で相対回転する第2の回動許容手段と、前記隣り合う連結環の一方と他方の相応する端部とを第3の所定の許容回動角度で相対回転する第3の回動許容角度とを更に備えていること
    を特徴とするダンパーヒンジ。
  8. 請求項7に記載のダンパーヒンジであって、
    前記第1乃至第3の回動許容手段は、前記第1及び第2のヒンジ本体と前記前記連結環との相互に相対回転する部分の一方にそれぞれ設けられた第1乃至第3の円弧状突部と他方にそれぞれ設けられた第1乃至第3の突条型突部との間の回動方向の間隔から成っていること
    を特徴するダンパーヒンジ。
  9. 箱型フレームと前記箱型フレームの開口部を開閉する前面パネルとから成り、
    前記前面パネルは、請求項1乃至8のいずれかのダンパーヒンジによって前記開口部を開閉するように前記箱型フレームに支持されていること
    を特徴とする消火栓装置。
  10. 相互に枢動自在に結合すべき2つの物体の一方が消火栓装置のフレームの開口部を開閉する2つ折りの前面パネルの一方のパネル半部(可動半部)であり、
    前記2つの物体の他方が前記2つ折りの前面パネルの他方のパネル半部(固定半部)であり、
    請求項1乃至8のいずれかのダンパーヒンジの前記第1のヒンジ本体は、前記一方のパネル半部に取り付けられ、
    前記第2のヒンジ本体は、前記他方のパネル半部に取り付けられていること
    を特徴とする消火栓装置。
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