以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るボールバルブ1の外観構成を概略的に示す斜視図である。図2は、ボールバルブ1の流路2が連通された状態を概略的に示す断面図であり、図3は、ボールバルブ1の流路2が閉鎖された状態を概略的に示す断面図である。以下、説明の便宜上、図1における矢印ab方向を流体の流れ方向とし、矢印a方向を上側、矢印b方向を下側とする。また、矢印cd方向(図2においては紙面に対して垂直方向)を幅方向とし、矢印c方向を手前側、矢印d方向を奥側とする。さらに、矢印ef方向を回動軸線X1方向とし、矢印e方向を左側、矢印f方向を右側とする。
図1〜3に示すように、本発明の実施の形態に係るボールバルブ1は、一方及び他方の開口部11,12を有する第1貫通孔としての弁本体貫通孔10hが設けられた筒状の弁本体10と、弁本体10に対して回動軸線X1周りに回動可能に支持され、弁本体10の弁本体貫通孔10hと連通可能な上側開口部31a及び下側開口部31bを有する第2貫通孔としてのボール弁体貫通孔31が設けられたボール弁体30とを備えている。ボール弁体30には、弁本体10に回動軸線X1周りに回動可能に軸支される軸部35と、軸部35とは反対側にモータ40の出力軸としてのモータ出力軸41が取り付けられる出力軸取付部としての出力軸嵌合凹部42とが設けられている。ボール弁体30の外周面には、回動軸線X1方向において出力軸嵌合凹部42と下側開口部31bとの間に回動軸線X1に対して傾斜する面に沿って延びる面でなる第1傾斜面80が設けられている。以下、ボールバルブ1の構成について具体的に説明する。
図1に示すように、ボールバルブ1は、弁本体10と、カバー部材20と、ボール弁体30とを備えている。なお、ボールバルブ1には、ボール弁体30を回動させるモータ40が一体に取り付けられた構造を有している。また、図2,3に示すように、ボールバルブ1は、ボール弁体30とカバー部材20との間の隙間を封止するシール部材50と、ボール弁体30の回動を規制する回動規制部70とを備えている。また、第1傾斜面80は、回動規制部70に重なるように同一又は略同一の位置に設けられている。
図4は、本発明の実施の形態に係るボールバルブ1の弁本体10の外観構成を概略的に示す斜視図であり、図5は、図4に示すボールバルブ1の弁本体10を別の方向から見た斜視図である。図6は、図4に示すボールバルブ1の弁本体10の断面図であり、図7は、図4に示すボールバルブ1の弁本体10の上面図である。図1〜7に示すように、弁本体10は、全体が円筒形状又は略円筒形状に形成されている。なお、弁本体10は、内面が筒状であれば外形の形状は特に問わない。この弁本体10は、特に限定するものではないが、一例を開示すると、例えば、樹脂等で形成されている。但し、これに限るものではなく、金属等で形成されていてもよい。また、図1,4,5,7に示すように、弁本体10は、その外面の上側(矢印a方向)の部分に弁本体10の外側幅よりも大きく、弁本体10の外面から幅方向(矢印cd方向)へ突出したボールバルブ側連結部17が設けられている。弁本体10は、ボールバルブ側連結部17を介してモータ40と連結される。
図1〜7に示すように、弁本体10の流れ方向(矢印ab方向)には、弁本体10の上端面10a及び下端面10bとの間を貫通する弁本体貫通孔10hが設けられており、弁本体貫通孔10hを形成する2つの下側開口部11及び上側開口部12を有している。下側(矢印b方向)に設けられた下側開口部11は、円形状又は略円形状に形成されている。また、上側(矢印a方向)に設けられた上側開口部12は、下側開口部11よりも直径の大きい円形状又は略円形状に形成されている。下側開口部11は、流体(例えばガス)の流入口である。上側開口部12は、下側開口部11から流入される流体のカバー部材20への流出口である。弁本体10では、下側開口部11から上側開口部12へ向かうに連れて次第に内径が拡がる凹球面状の曲面からなる内周曲面14aと、内周曲面14aの上側(矢印a方向)の端部から同一内径のまま更に上側(矢印a方向)へ直線上に延びる円環状の内周面14bとによって形成された弁室14を有している。弁室14は、ボール弁体30を収容した状態で回動自在に軸支するための空間である。
弁本体10において弁室14を形成する内周面14bには、モータ40の出力軸であるモータ出力軸41を弁室14の内部にまで挿通する貫通孔からなる出力軸挿通孔15が設けられている。また、内周面14bには、出力軸挿通孔15と回動軸線X1方向(矢印ef方向)において対向する部分に有底円筒形状又は有底略円筒形状の所定の深さを有する凹状の部分である軸支持孔16が設けられている。出力軸挿通孔15及び軸支持孔16は、同軸に配設されており、回動軸線X1を中心軸としている。弁本体10において弁室14を形成する内周曲面14aは、ボール弁体30の外周面との間に僅かな隙間(クリアランス)を有して対向しており、出力軸挿通孔15の近傍であって、出力軸挿通孔15の下側(矢印b方向)の位置に側面視三角形状の突起部分である凸状部18が一体に形成されている。また、弁本体10の一方の開口部(下側開口部)11には、切り欠き部83が設けられている。凸状部18の構成については、後述する回動規制部70において詳述する。また、切り欠き部83の構成についても後述する。
図1〜3に示すように、カバー部材20は、全体が円筒形状又は略円筒形状に形成されている。カバー部材20の材質は、特に限定するものではないが、一例を開示すると、例えば、樹脂等である。但し、これに限るものではなく、金属等であってもよい。カバー部材20は、流れ方向(矢印ab方向)、すなわち、回動軸線X1方向(矢印ef方向)と垂直な方向に沿ってカバー部材貫通孔20hが設けられ、カバー部材貫通孔20hを形成する2つの下側開口部21及び上側開口部22を有している。
下側(矢印b方向)に設けられた下側開口部21は、円形状又は略円形状に形成されており、弁本体10の上側開口部12から流入される流体の流入口である。この下側開口部21は、弁本体10の下側開口部11の直径と略同一の直径に形成されている。上側開口部22は、下側開口部21よりも僅かに直径の大きい円形状又は略円形状に形成されており、下側開口部21から流入された流体の図示しない配管への流出口である。但し、これに限るものではなく、下側開口部21及び上側開口部12の内径は同じ大きさであってもよく、又は、下側開口部21の方が上側開口部12よりも大きな内径を有していてもよい。カバー部材20は、弁本体10の上側開口部12から弁本体貫通孔10hに一部挿入されるように嵌め込まれ、カバー部材20の外周壁20aが弁本体10の内周面14bに当接された状態で固定される。この固定状態において、弁本体10の弁本体貫通孔10hと、カバー部材20のカバー部材貫通孔20hとが連通され、ボールバルブ1における流体の流路2が形成される。
図8は、本発明の実施の形態に係るボールバルブ1のボール弁体30の外観構成を概略的に示す斜視図であり、図9は、図8に示すボールバルブ1のボール弁体30の側面図である。図10は、図8に示すボールバルブ1のボール弁体30を別の方向から見た斜視図である。図1〜3,8〜10に示すように、ボール弁体30は、全体が球状又は略球状に形成されている。ボール弁体30の材質は、特に限定するものではないが、一例を開示すると、例えば、樹脂等である。但し、これに限るものではなく金属等であってもよい。ボール弁体30には、弁本体10の下側開口部11及びカバー部材20の下側開口部21と同一又は略同一の内径を有するボール弁体貫通孔31が流れ方向(矢印ab方向)、すなわち、回動軸線X1方向(矢印ef方向)とは垂直な方向に沿って形成されている。ボール弁体30は、ボール弁体貫通孔31を形成している下側(矢印b方向)の下側開口部31bと上側(矢印a方向)の上側開口部31aとを有している。
また、ボール弁体30は、弁本体10の弁室14に回動自在に軸支された状態において出力軸挿通孔15と対向するように平坦に形成された円形状又は略円形状の平坦面32を有している。この平坦面32には、回動軸線X1を中心として、所定形状及び所定深さの嵌合凹部である出力軸取付部としての出力軸嵌合凹部33が形成されている。出力軸嵌合凹部33は、回動軸線X1方向(矢印ef方向)においてモータ40のモータ出力軸41と連結される有底円柱形状又は有底略円柱形状の所定深さの凹部である。
また、ボール弁体30は、軸支持孔16よりも直径の大きな円形状又は略円形状の平坦面34を有している。ボール弁体30の平坦面32と平坦面34とは背向し、互いに平行な面を形成している。軸部35は弁本体10に回動軸線X1周りに回動可能に軸支される突起からなる。具体的には、ボール弁体30の平坦面34に、回動軸線X1を中心として所定径及び所定高さの円柱形状又は略円柱形状の突起からなる軸部35は設けられている。軸部35は、弁本体10の軸支持孔16に回動可能に軸支される軸支持部として機能する部分である。軸部35の直径は、軸支持孔16の直径よりも僅かに小さい。ボール弁体30の軸部35と弁本体10の軸支持孔16との間には、回動軸線X1方向(矢印ef方向)において所定の隙間(クリアランス)を有しており、ボール弁体30は、回動軸線X1方向(矢印ef方向)において僅かに移動可能となっている。
出力軸嵌合凹部33と軸部35とは、同軸に配設されており、回動軸線X1を中心軸としている。また、ボール弁体30は、回動軸線X1方向(矢印ef方向)と平行であって、上側開口部31a、下側開口部31bとは夫々モータ40の回動方向へ約90度異なる位置において一対の平行な円形状又は略円形状の平坦面36,37を有している。また、ボール弁体30の外周面には、ボール弁体30の平坦面32を部分的に取り囲むように平面視円弧状の凹状部としての凹状溝38が設けられている。また、ボール弁体30の外面には第1傾斜面80に加えて、第2傾斜面81及び治具挿入凹部82が設けられている。凹状溝38の構成については、後述する回動規制部70において詳述する。また、第1傾斜面80、第2傾斜面81及び治具挿入凹部82の構成についても後述する。
モータ40は、例えば、ステッピングモータ、DC(direct current)モータ、ブラシレスDCモータ等である。図1〜3に示すように、モータ40の本体の外周面には、幅方向(矢印cd方向)へそれぞれ突出したモータ側連結部43が設けられている。モータ側連結部43は、弁本体10のボールバルブ側連結部17と一体に連結される部分であり、例えば、ネジやスナップフィット等により連結される。モータ40には、例えば、モータ40をコントロールするコントローラ等から図示しないリード線を介して駆動信号が供給され、この駆動信号に基づいてモータ出力軸41を回動駆動させる。
モータ40のモータ出力軸41は、弁本体10の出力軸挿通孔15に挿通される。したがって、モータ40は、モータ出力軸41を介してボール弁体30を回動駆動させることが可能となる。モータ出力軸41には、ボール弁体30の出力軸嵌合凹部33と嵌合する出力軸嵌合凸部42が設けられている。モータ40のモータ出力軸41とボール弁体30の出力軸嵌合凹部33との間には、回動軸線X1方向(矢印ef方向)において所定の隙間(クリアランス)を有している。モータ40の出力軸嵌合凸部42とボール弁体30の出力軸嵌合凹部33の嵌合には、Dカットが用いられており、この場合、回動軸線X1方向(矢印ef方向)に沿って対向する位置に2つの平面が形成されることでD状のカット部分が形成された支柱からなる出力軸嵌合凸部42と、上述の2つの平面に対向する2つの平面が形成された出力軸嵌合凹部33が用いられている。但し、これに限るものではなく、出力軸嵌合凸部42として周方向に沿って外側に歯状の溝が形成され、出力軸嵌合凹部33として出力軸嵌合凸部42に形成された歯状の溝と対向する内側に、互いに噛合する歯状の溝が形成されたスプラインやセレーションが用いられてもよい。
モータ40の出力軸嵌合凸部42とボール弁体30の出力軸嵌合凹部33との嵌合は、モータ40の回動方向においては、モータ40のモータ出力軸41とボール弁体30とが一体に回動する一方、回動軸線X1方向(矢印ef方向)においては、モータ40のモータ出力軸41に対して、上述したクリアランスの分だけボール弁体30が僅かに移動可能となっている。モータ40のモータ出力軸41は、出力軸挿通孔15、軸支持孔16、出力軸嵌合凹部33及び軸部35と同軸であり、回動軸線X1を中心軸としている。
なお、弁本体10の上側開口部12とカバー部材20の外周面との間には、Oリング60が取り付けられており、弁本体10とカバー部材20との間の隙間を封止している。また、弁本体10の出力軸挿通孔15を形成している弁本体10の内周面とモータ40のモータ出力軸41の外周面との間にはOリング61が取り付けられており、弁本体10とモータ出力軸41との隙間を封止している。
シール部材50は、流れ方向(矢印ab方向)においてボール弁体30とカバー部材20との間に設けられており、ボール弁体30とカバー部材20との間の隙間を封止している。シール部材50は、ボール弁体30からの押し圧力やカバー部材20との図示しない係合等により保持されている。シール部材50は、弁本体10の内周曲面14aを形成している内径と同一外径を有する円環状又は略円環状の弾性体である。シール部材50の流れ方向(矢印ab方向)の厚さは、ボール弁体30とカバー部材20との間の隙間の密封性を上げるため、この隙間の寸法よりも大きく形成されている。シール部材50の材質は、特に限定するものではないが、一例を開示すると、例えば、ゴムや樹脂やエラストマー等の高弾性部材である。シール部材50には、ボール弁体30のボール弁体貫通孔31及びカバー部材20の下側開口部21よりも僅かに直径の大きい円形状又は略円形状の開口部51が形成されている。シール部材50は、その断面形状において、ボール弁体30と接触する下側(矢印b方向)の角部分がR状に形成されている。したがって、シール部材50は、ボール弁体30が回動したときに抵抗の少ない状態で当接される。
図11は、本発明の実施の形態に係るボールバルブ1の回動規制部70の構成を概略的に示す部分拡大図である。回動規制部70は、弁本体10の内周曲面14aに設けられた凸状部18と、ボール弁体30の凹状溝38とによってボール弁体30の回動範囲を規制する回動規制構造である。具体的には、回動規制部70は、ボール弁体30が回動した際に、シール部材50と接触することのない範囲で、ボール弁体30の回動を規制するものである。
ボール弁体30の凹状溝38は、図8〜11に示すように、ボール弁体30の平坦面32を部分的に取り囲むようにボール弁体30の外周面に形成された平面視円弧状の凹み部分である。また、凹状溝38は、ボール弁体30の外周面から内部へ向かって断面三角形状又は断面略三角形状に切り欠かれたような凹状の溝である。凹状溝38は、ボール弁体30の回動範囲を規制するべく、上側開口部31aを上側(矢印a方向)に向け、かつ、平坦面36を左側(矢印d方向)に向けた状態を基準とした場合、回動軸線X1を回動中心として所謂XY軸平面におけるほぼ第3象限の範囲に約90度の範囲で形成されている。言い換えると、凹状溝38は、平坦面32の周囲に沿って、ボール弁体30の平坦面36近傍の位置から下側開口部31b近傍の位置までの範囲にわたって略C字状に形成されている。凹状溝38は、弁本体10の凸状部18と対向する円弧状の曲面(以下、これを「対向曲面」ともいう。)38aと、対向曲面38aと垂直を為して弁本体10の凸状部18と対向する平坦な面(以下、これを「対向平坦面」ともいう。)38bと、対向曲面38a及び対向平坦面38bと垂直を為すとともに凸状部18と当接した際に係止する平坦な面(以下、これを「係止端面」ともいう。)38c及び38dとを有している。
弁本体10の凸状部18は、図4〜7,11に示すように、シール部材50と流れ方向(矢印ab方向)において対向する弁本体10の内周曲面14aに一体的に設けられ、内周曲面14aからボール弁体30へ向かって突出した側面視三角形状の三角柱状又は略三角柱状の突起部分である。この凸状部18は、凹状溝38の円弧状の対向曲面38aと僅かな隙間(クリアランス)を有して対向する表面円弧状の対向曲面18aと、対向曲面18aと垂直を為して凹状溝38の対向平坦面38bと僅かな隙間(クリアランス)を有して対向する平坦な対向平坦面18bと、対向曲面18a及び対向平坦面18bと垂直を為すとともに凹状溝38の係止端面38c及び38dと当接した際に係止する平坦な面(以下、これを「係止端面」ともいう。)18c及び18dとを有している。
回動規制部70により、ボールバルブ1において、ボール弁体30の可動範囲が、弁本体10の弁本体貫通孔10hとボール弁体30のボール弁体貫通孔31とが連通した開放状態と、ボール弁体貫通孔31と弁本体貫通孔10hとが直交して弁本体貫通孔10hが平坦面36,37によって閉鎖された閉鎖状態との間に制限される。開放状態においては、ボール弁体30の凹状溝38の係止端面38dに対して弁本体10の凸状部18の係止端面18dが当接して係止され、これ以上開放方向へボール弁体30を回動できなくなる。また、開放状態からボール弁体30が閉鎖方向に回動されると、係止端面38dと係止端面18dとの係止が解除されて互いに離間していき、閉鎖状態になると凹状溝38における係止端面38cに弁本体10の凸状部18における係止端面18cが当接して係止される。そして、ボール弁体30がこれ以上閉鎖方向に回動できなくなる。
上述したように、ボールバルブ1は、ボール弁体30に第1傾斜面80、第2傾斜面81、及び治具挿入凹部82を備えており、弁本体10に切り欠き部83を備えている。図3,12に示すように、第1傾斜面80は、回動軸線X1に対して軸部35側に傾斜しており、回動軸線X1方向において出力軸嵌合凹部33と下側開口部31bとの間であって、ボール弁体30が回動した際、シール部材50と接触することのない範囲に設けられている。また、第1傾斜面80は、ボール弁体貫通孔31までは達していない。第1傾斜面80は、平面に沿ってボール弁体30の一部が切り取られて形成されたような形となっている。
より具体的には、図8,9に示すように、第1傾斜面80は、平坦面36と下側開口部31bとで挟まれた領域に形成されており、出力軸嵌合凹部33に接して又は近接しており、平坦面36及び下側開口部31bには接触しない面となっている。第1傾斜面80により、平坦面32の一部及びその下側のボール弁体30の一部が切り取られたようになっている。このように、第1傾斜面80は、ボール弁体30の回動軸線X1周りの他の部分よりも内周側に位置している。本実施の形態においては、図8,9に示すように、第1傾斜面80は、回動規制部70の凹状溝38に重なるように凹状溝38と同一又は略同一の位置に設けられており、第1傾斜面80により、回動規制部70の凹状溝38の対向曲面38a及び対向平坦面38bの一部についても切り取られたようになっている。図8,9に示すように、第1傾斜面80は、ボール弁体30の出力軸嵌合凹部33の外周側近傍から凹状溝38の対向平坦面38bの内周側近傍に向かって形成された平面視円弧状の第1平面80aと、対向平坦面38bの内周側近傍からボール弁体30の平坦面36及び下側開口部31bの外周側近傍に向かって形成された平面視蒲鉾状の第2平面80bとを有している。
また、第1傾斜面80と回動軸線X1との間の角度、つまり第1傾斜面80の法線と回転軸線X1との間の角度αは、例えば15度〜45度である。但し、角度αは15度〜45度に限定されるものではなく、弁本体10及びボール弁体30の具体的な形態に応じて適宜決められる値であり、後述するようにボール弁体30が弁本体10に組み付け可能若しくは組み付け容易となる値であればよい。角度αは、第1傾斜面80の法線方向における第1傾斜面80からのボール弁体30の幅が最小になるような角度が好ましい。
図3,10に示すように、第2傾斜面81は、ボール弁体30の軸部35の外面に、回動軸線X1に対して第1傾斜面80側に傾斜する面に沿って延びる面でなり、平面に沿って軸部35の先端側の一部が切り取られて形成されたような形となっている。より具体的には、第2傾斜面81は、軸部35の頂面からボール弁体30の平坦面36と下側開口部31bとの間に向かって形成された平面視円弧状の平面である。第2傾斜面81は、第1傾斜面80を回動軸線X1に沿ってボール弁体30の外周面上を下側に軸部35迄移動させた際の第1傾斜面80の領域において軸部35に形成されており、第2傾斜面81の軸部35における位置は、この移動された第1傾斜面80の回動軸線X1周りの幅の中央に近いほどよい。また、第1傾斜面の法線と前記第2傾斜面の法線とは、1つの面上に延びていることが好ましく、つまり、第2傾斜面81は、所定の点を中心としてボール弁体30を所定の角度回転させた際に、第1傾斜面80と同一面上となるようなものが好ましい。また、第2傾斜面81と回動軸線X1との間の角度、つまり第2傾斜面81の法線と回転軸線X1との間の角度βは、第1傾斜面80と回動軸線X1との角度αよりも小さくなっている。但し、ボール弁体30の弁本体10への組み付けが容易となるようであれば、第2傾斜面81と回動軸線X1との角度βは、これに限定されない。
治具挿入凹部82は、ボール弁体30の外面に形成された、ボール弁体30を弁本体10に組み付ける際の治具84(後述)を挿入するための凹部であり、図3,10に示すように、回動軸線X1方向において第1傾斜面80と第2傾斜面81との間であって下側開口部31bと第2傾斜面81との間に設けられている。より具体的には、治具挿入凹部82は、下側開口部31b及び平坦面36と第2傾斜面81との間に設けられており、長孔形状又は略長孔形状に形成されており、第1傾斜面80と平行又は略平行方向に所定の深さだけ凹んで設けられている。
図2〜7に示すように、切り欠き部83は、弁本体10の下側開口部11に設けられており、ボール弁体30を弁本体10に組み付ける際の治具84(後述)が入り込むようになっている。より具体的には、切り欠き部83は、弁本体10の下側開口部11の側壁に設けられており、ボールバルブ1において第1傾斜面80と平行又は略平行方向な底面を形成するように所定の幅を有して楔状に切り欠くようにして形成されている。切り欠き部83は、上面から見て、出力軸挿通孔15と軸支持孔16との間に設けられていることが好ましい(図7参照)。後述するように、切り欠き部83は、ボール弁体30を弁本体10に組み付ける際の治具84の逃げ空間を形成している。
続いて、上述した構成を有するボールバルブ1におけるボール弁体30の弁本体10への取り付け方法について説明する。図13,14は、本発明の実施の形態に係るボールバルブ1におけるボール弁体30の弁本体10への取り付け方法を説明するための図である。まず、図13に示すように、ボール弁体30は、治具84が治具挿入凹部82に挿入されて治具84に支持された状態で、弁本体10の上側開口部12から下側(矢印b方向)に移動されて弁本体10に挿入される。治具84を流れ方向(矢印ab方向)と平行又は略平行に支持することにより、ボール弁体30の第1傾斜面80を流れ方向と平行又は略平行に支持することができる。このとき、ボール弁体30は、ボール弁体30の軸部35が下側(矢印b方向)を向いて弁本体10に挿入され、弁本体10における回動軸線X1方向のボール弁体30の幅は最小の状態となっている。このため、弁室14内においてボール弁体30を下側に滑らかに移動させることができ、また、弁室14内に凸状部18等の出っ張りがあったとしても、弁室14内においてボール弁体30を下側に移動させることができる。
この姿勢でボール弁体30が下側に更に移動され、軸部35が弁本体10の軸支持孔16の近傍まで移動されると、図14に示すように、治具84を軸支持孔16側(矢印f方向)に移動させて、弁室14の内部でボール弁体30の軸部35を弁本体10の軸支持孔16に嵌合させるようにボール弁体30を回転させる。これにより、ボール弁体30は、弁本体10に組み付けられる。このとき、軸部35には第2傾斜面81が形成されており、第2傾斜面81が軸支持孔16の下側の縁部と対向することなり、軸部35が軸支持孔16の縁に引っ掛かることなく、軸部35を軸支持孔16内に挿入することができる。
このように、ボールバルブ1では、ボール弁体30の外周面に、回動軸線X1に対して傾斜する第1傾斜面80が設けられている。このため、弁本体10の上側開口部12から下側(矢印b方向)に移動させて弁本体10に挿入させる際やボール弁体30が弁本体10の軸支持孔16の近傍まで移動させる際にも、ボール弁体30の第1傾斜面80が流れ方向(矢印ab方向)と平行又は略平行となってボール弁体30を移動させることができる。このため、ボール弁体30がカバー部材20の内周面や弁本体10の内周面14bに衝突することなく、ボール弁体30を移動させることができる。また、治具84を軸支持孔16側(矢印f方向)に移動させてボール弁体30を回転させる際にも、ボール弁体30の一部が第1傾斜面80によってボール弁体30が弁本体10の内周曲面14aや弁本体10の凸状部18に衝突することなく、ボール弁体30を弁本体10に組み付けることができる。したがって、弁本体10とボール弁体30との間のクリアランスを小さくした場合にも、容易にボール弁体30を弁本体10に組み付けることができるため、ボールバルブ1を小型化することができると共に、ボールバルブ1の組立性を向上することができる。
また、ボールバルブ1では、弁本体10の弁室14にボール弁体30を組み付けるだけでボール弁体30を軸支可能な状態にすることができるため、わざわざスプリングによる付勢や装着溝による固定を行う必要がないので、ボールバルブ1を構成する部品の部品点数が増加することやボールバルブ1に余計な加工を施すことを抑制でき、ボールバルブ1の複雑化及び大型化を抑えてボールバルブ1を簡易に形成することができる。
また、ボールバルブ1では、軸部35の外面には、回動軸線X1に対して傾斜する第2傾斜面81が設けられている。このため、上述のように治具84を軸支持孔16側(矢印f方向)に移動させてボール弁体30を回転させる際にも、軸部35の一部が第2傾斜面81によって弁本体10の内周曲面14aや軸支持孔16の縁及び内周面に軸部35が衝突することなく、ボール弁体30を弁本体10に組み付けることができる。このため、一段と容易にボール弁体30を弁本体10に組み付けることができる。
また、ボールバルブ1では、ボール弁体30に、ボール弁体30を弁本体10に組み付ける際の治具84を挿入する治具挿入凹部82が設けられている。また、弁本体10の下側開口部11にボール弁体30を弁本体10に組み付ける際の治具84が入り込む切り欠き部83が設けられている。このため、ボール弁体30を弁本体10の上側開口部12から下側(矢印b方向)に移動させて弁本体10に挿入させる際や、ボール弁体30を弁本体10の軸支持孔16の近傍まで移動させる際、治具84を軸支持孔16側(矢印f方向)に移動させてボール弁体30を回転させる際にも、治具挿入凹部82に治具84を挿入して容易にボール弁体30を移動及び回転させることができる。また、治具84を軸支持孔16側(矢印f方向)に移動させてボール弁体30を回転させる際にも、切り欠き部83の逃げ空間を用いて治具84が弁本体10の下側開口部11に衝突することなくボール弁体30を回転させて弁本体10に組み付けることができる。
また、第1傾斜面80は、ボール弁体30が回動した際、シール部材50と接触することのない範囲に設けられている。このため、ボール弁体30とシール部材50との間の密封状態が第1傾斜面80によって損なわれ、弁室14に流体が漏れることを未然且つ有効に防止することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
例えば、ボールバルブ1としては、ボール弁体30の凹状溝38及び弁本体10の凸状部18により回動規制部70を構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、回動規制部70を別の機構として有し、例えば、図15,16に示すように、ボール弁体30の凹状溝38及び弁本体10の凸状部18を有していなくてもよい。また、ボールバルブ1は、回動規制部70を有していなくてもよい。このような場合であっても、弁本体10の上側開口部12から下側(矢印b方向)に移動させて弁本体10に挿入させる際やボール弁体30が弁本体10の軸支持孔16の近傍まで移動させる際に、カバー部材20の内周面や弁本体10の内周面14bに衝突することなく、ボール弁体30を移動させることができる。また、治具84を軸支持孔16側(矢印f方向)に移動させてボール弁体30を回転させる際に、ボール弁体30が弁本体10の内周曲面14aに衝突することなく、ボール弁体30を弁本体10に組み付けることができる。