JPWO2011018994A1 - フタロシアニン化合物およびその製造方法、ならびに該フタロシアニン化合物を含有する着色組成物 - Google Patents

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Abstract

ハロゲンフリーで緑色の色相を有し、有機溶剤および酸に対する耐性に優れ、かつ高彩度なフタロシアニン化合物を提供する。特定一般式で表される、N,N’−二置換イミダゾロン構造またはピペラジンジオン構造を導入した無金属フタロシアニン化合物または金属フタロシアニン化合物、並びに当該化合物と合成樹脂とを含有してなる着色組成物。本発明のフタロシアニン化合物は、鮮明な緑色を呈しハロゲンフリーであるので、緑色顔料として塗料、プラスチック、印刷インキ、ゴム、レザー、捺染、カラーフィルター、ジェットインキ、熱転写インキなどの着色材として有用である。

Description

本発明は、緑色顔料として用いることが出来るフタロシアニン化合物およびその製造方法、ならびに該フタロシアニン化合物を含む着色組成物に関する。
従来から知られている緑色顔料の代表的なものとして、ポリハロゲン化銅フタロシアニンが挙げられる。このポリハロゲン化銅フタロシアニンは優れた堅牢性を有しているが、分子内に塩素、臭素等のハロゲン原子を多量に有するため、近年その安全性や環境への負荷が懸念されている。また、ポリハロゲン化フタロシアニンはハロゲン原子を多量に有するために分子量が大きくなり、着色力が低くなる問題がある。そこで、ハロゲン原子を有しない化合物で緑色に着色できる顔料が求められている。
ハロゲン原子を有しない(以下、「ハロゲンフリー」という。)化合物で緑色に着色する方法として、青色顔料である銅フタロシアニンと黄色の有機顔料を混合し、緑色に調色する方法が提案されている(例えば、特許文献1および2参照。)しかし、この方法では化学構造が全く異なる2種類の顔料を混合するために色別れを生じる問題や、混合した顔料の種類により各々耐光性が異なるため、太陽光暴露等での色相変化が大きいという問題があった。
一方、単一で緑色の色相を有するハロゲンフリーの化合物として、例えばイミダゾロン環を導入したフタロシアニン化合物が特許文献3で、ピリド骨格を導入したフタロシアニン化合物が特許文献4で報告されている。特許文献3に記載のフタロシアニン化合物は、緑色の色相を呈するので調色の必要もなく、且つ有機溶剤及び酸耐性を有する特性を有する。しかしながら彩度が低いという問題があった。
特開2001−64534号公報 特開2002−194242号公報 特開2007−16203号公報 特開2006−291088号公報
本発明の目的は、ハロゲンフリーで緑色の色相を有し、有機溶剤および酸に対する耐性に優れ、かつ高彩度なフタロシアニン化合物を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記一般式(1−1)又は(1−2)で表されるN,N’−二置換イミダゾロン構造またはピペラジンジオン構造を導入したフタロシアニン化合物が、ハロゲンフリーで緑色の色相を有し、有機溶剤および酸に対する耐性に優れ、かつ高い彩度を有することを見出した。
すなわち、本発明は、一般式(1−1)又は一般式(1−2)で表されるフタロシアニン化合物を提供する。
Figure 2011018994
(但し、
1)n=1の場合、R〜Rは各々独立して炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数7〜9のアラルキル基を表し、
2)n=2の場合、R〜Rは各々独立して水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数7〜9のアラルキル基を表す。
また、一般式(1−1)中、Mは2〜4価の金属原子(但し金属原子は酸化されていてもよい)を表す。)
また本発明は、前記記載のフタロシアニン化合物の合成原料であって、一般式(2)で表されるフタロニトリル化合物を提供する。
Figure 2011018994
(一般式(2)中、RおよびR10は各々独立して炭素原子数1〜6のアルキル基または炭素数7〜9のアラルキル基を表す。)
また本発明は、前記記載のフタロシアニン化合物の合成原料であって、一般式(3)で表されるフタロニトリル化合物を提供する。
Figure 2011018994
(一般式(3)中、RおよびR10は各々独立して炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素数7〜9のアラルキル基を表す。)
また本発明は、前記一般式(2)又は(3)で表されるフタロニトリル化合物単独もしくは前記一般式(1−1)中のMで表される2〜4価の金属原子に対応する金属塩との混合物を熱縮合させることを特徴とする前記記載のフタロシアニン化合物の製造法を提供する。
また本発明は、前記記載のフタロシアニン化合物と、合成樹脂とを含有する着色組成物を提供する。
本発明のフタロシアニン化合物は緑色の色相を有し、有機溶剤および酸に対する耐性にすぐれ、かつ高彩度であるため、緑色顔料として有用である。特に全てのベンゼン環を含窒素環で置換した構造を有するので、黄味の強い緑色を呈する。また凝集も生じにくい。
また、本発明のフタロシアニン化合物はハロゲンフリーであるため、安全性が高く、環境負荷が低いという特徴も有する。したがって、環境対策が要求されている用途には、既存の緑色顔料であるハロゲン化フタロシアニン系顔料の代替品として非常に有用である。
本発明のフタロシアニン化合物は、上記特徴を有することから、印刷インキ、塗料、着色プラスチック、トナー、インクジェット用インキ、カラーフィルター等の広範囲な用途の着色剤として用いることができる。
化合物(29)の赤外分光スペクトルである。 化合物(29)のN−メチルピロリジン−2−オン溶液中での紫外可視分光スペクトルである。 化合物(30)の赤外分光スペクトルである。 化合物(30)の硫酸溶液中での紫外可視分光スペクトルである。 本発明の実施例15、16および比較例1〜3における焼付塗膜展色試験で得られた焼付塗膜の光吸収スペクトルである。 化合物(36)の赤外分光スペクトルである。 化合物(36)のN,N−ジメチルホルムアミド中での紫外可視分光スペクトルである。 本発明の実施例19および比較例1〜3における焼付塗膜展色試験で得られた焼付塗膜の光吸収スペクトルである。
本発明の一般式(1−1)又は一般式(1−2)で表されるフタロシアニン化合物は、フタロシアニンの4つのベンゼン骨格のそれぞれに、N,N’−二置換イミダゾロン構造またはピペラジンジオン構造を導入した化合物である。本願においては、フタロシアニンの中心部分に金属が錯形成した化合物を一般式(1−1)で表し、無金属の化合物を一般式(1−2)で表した。なおいずれも緑色を呈す。
なお、一般式(1−1)で表されるフタロシアニン化合物を化合物(1−1)とし、一般式(1−2)で表されるフタロシアニン化合物を化合物(1−2)と称す。
本発明の化合物(1−1)又は化合物(1−2)の合成例を以下に記載する。
前記化合物(1−1)又は化合物(1−2)を合成するためには、まず、その中間体であるN,N’−二置換イミダゾロン環を有するジニトリル化合物である下記一般式(2)で表されるジシアノベンツイミダゾロン化合物、又はピペラジンジオン環を有するジニトリル化合物である下記一般式(3)で表されるジシアノテトラヒドロキノキサリンジオン化合物を下記の合成方法により合成する。
Figure 2011018994
(式中、RおよびR10は各々独立して炭素数1〜6のアルキル基または炭素数7〜9のアラルキル基を表す。)
Figure 2011018994
(一般式(3)中、RおよびR10は各々独立して炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素数7〜9のアラルキル基を表す。)
(N,N’−二置換ジシアノベンツイミダゾロン化合物の合成)
前記一般式(2)においてRとR10が同一の化合物(以下RとR10が同一の場合をR11で表し、そのような化合物を一般式(6)で表す)については、例えば以下の方法で合成することができる。1,2−ジアミノ−4,5−ジシアノベンゼン(下記式(4))と、ホスゲン、クロロ炭酸エステル、尿素または1,1’−カルボニルビス−1H−イミダゾールをアセトニトリル等の有機溶媒中、0〜130℃で1〜6時間程度反応させることにより、下記式(5)で表されるジシアノベンズイミダゾロン化合物(以下、「化合物(5)」という。)を得ることができる。次いで化合物(5)をN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒中で水素化ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸カリウム、カリウムt−ブトキシド等の塩基の存在下、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキル等の化合物のうち1種の化合物と反応することにより前記一般式(2)で表されるN,N’−二置換ジシアノベンツイミダゾロン化合物(以下、「化合物(2)」という。)においてRとR10が同一の化合物(6)を得ることができる。
Figure 2011018994
(一般式(6)中、R11は炭素数1〜6のアルキル基または炭素数7〜9のアラルキル基を表す。また前記反応式中Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子またはトシル基、メシル基、トリフルオロメタンスルホン酸基等のスルホン酸エステル基を表す。)
なお、1,2−ジアミノ−4,5−ジシアノベンゼンの合成法についてはケミストリー ヨーロピアン ジャーナル(Chemistry−A European Journal),9(5),1233(2003)、ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(Journal of Organic Chemistry),71,3345(2006)、シンセシス(Synthesis),1179(2008)に記載されている。
前記一般式(2)においてRとR10が異なる化合物(以下RとR10が異なる場合をR12及びR13で表し、そのような化合物を一般式(12)で表す)は、例えば以下の方法で合成できる。o−ジブロモベンゼンの4,5位をジニトロ化して得られた化合物(7)のニトロ基をアミンにより置換して化合物(8)を得る。次いで臭素原子をシアノ基で置換、ニトロ基を還元する。得られたジアミノ化合物(10)は上記記載の方法により前記一般式(2)においてRとR10が異なるN,N’−二置換ジシアノベンズイミダゾロン化合物(12)に変換できる。この合成方法の詳細については、ケミカル コミュニケーションズ(Chemical Communications),2236(2002)に記載されている。
Figure 2011018994
(一般式(12)中、R12およびR13は各々独立して炭素数1〜6のアルキル基または炭素数7〜9のアラルキル基を表す(但しR12およびR13が同一の基である場合を除く)。また前記反応式中Xは前記と同じものを表す。)
(ジシアノテトラヒドロキノキサリンジオン化合物の合成)
下記式(13)で表されるピペラジンジオン環の窒素原子上の置換基が水素であるジシアノテトラヒドロキノキサリンジオン化合物(以下、「化合物(13)」という。)の合成法については、ヨーロピアン ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(European Journal of Organic Chemistry,4535(2007))に合成例が記載されている。
前記一般式(3)においてRとR10が水素以外で同一の化合物(以下、RとR10が水素以外で同一の場合をR11で表し、そのような化合物を一般式(14)で表す。)については例えば以下の方法で合成することが出来る。化合物(13)をN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシド等の溶剤中で炭酸セシウム、水素化ナトリウム、カリウムt−ブトキシド等の塩基の存在下でハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキル等の化合物のうち1種類の化合物と反応することにより、前記一般式(3)で表されるジシアノテトラヒドロキノキサリンジオン化合物(以下、化合物(3)と呼ぶ。)においてRとR10が水素以外で同一の化合物(14)が得られる。
Figure 2011018994
(一般式(14)中、R11は炭素数1〜6のアルキル基または炭素数7〜9のアラルキル基を表し、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子またはトシル基、メシル基、トリフルオロメタンスルホン酸基等のスルホン酸エステル基を表す。)
前記一般式(3)においてRとR10が異なる化合物(以下RとR10が異なる場合をR12及びR13で表し、そのような化合物を一般式(20)で表す)は、例えば以下の方法で合成できる。o−ジブロモベンゼンの4,5位をジニトロ化して得られた化合物(15)のニトロ基をアミンにより置換して化合物(16)を得る。次いで臭素原子をシアノ基で置換して化合物(17)とし、ニトロ基を還元してジアミノ化合物(18)を得る。化合物(18)は上記記載の方法により前記一般式(3)においてRとR10が異なるジシアノテトラヒドロキノキサリンジオン化合物(20)に変換できる。この合成方法の詳細については、ケミカル コミュニケーションズ(Chemical Communications),2236(2002)に記載されている。
Figure 2011018994
(一般式(20)中、R12およびR13は各々独立して炭素数1〜6のアルキル基または炭素数7〜9のアラルキル基を表す(但しR12およびR13が同一の基である場合を除く)。また前記反応式中Xは前記と同じものを表す。)
(化合物(1−1)又は化合物(1−2)の合成)
本発明の化合物(1−1)は前記合成法により得られる化合物(2)又は化合物(3)と、前記一般式(1−1)中のMで表される2〜4価の金属原子に対応する金属塩とを有機溶媒中、120〜250℃で加熱縮合することによって得ることができる。また、R,R10の異なる2種類以上の化合物(2)又は化合物(3)を用いることで、前記一般式(1−1)中のR〜Rがそれぞれ異なる化合物を得ることができる。前記一般式(1−1)においてn=2、R〜Rが水素である化合物は化合物(13)を原料として同様の方法で合成できる。
また、本発明の化合物(1−2)は、該合成方法において前記2〜4価の金属原子に対応する金属塩を用いずに合成することで得ることができる。
前記一般式(1−1)中のMで表される2〜4価の金属原子としては、例えばマグネシウム、アルミニウム、チタン、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、プラチナ、パラジウム等が挙げられる。中でもチタン、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛が好ましく、バナジウム、コバルト、銅、亜鉛が最も好ましい。またこれらの金属は酸化されていてもよい。
前記2〜4価の金属原子に対応する金属塩は、ハロゲン塩、酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩等の種々のものを用いることができるが、好ましくはハロゲン塩、酢酸塩である。
前記化合物(1−1)又は化合物(1−2)の合成の際に用いる有機溶媒としては、例えば、アルコール類、グリコール類、トリクロロベンゼン、キノリン、α−クロロナフタレン、ニトロベンゼン、スルホラン、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。また、無溶媒で反応しても構わない。
また化合物(1−1)又は化合物(1−2)の合成の際に、触媒としてアルカリや1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン(以下、「DBU」という。)、シクロヘキシルアミン等の有機アミンを用いると収率が向上するため好ましい。
前記化合物(1−1)及び化合物(1−2)中のR〜Rで表される炭素原子数1〜6のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。炭素原子数7〜9のアラルキル基としてはベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基等が挙げられる。アルキル基またはアラルキル基の炭素原子数が多くなると有機溶剤に対する耐久性が低下する傾向にある。
中でも、前記一般式(1−1)及び一般式(1−2)中のR〜Rとしてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基が特に好ましい。
前記一般式(1−1)及び一般式(1−2)中のn=1でありR〜Rが水素原子を含む特許文献3に記載の化合物、前記一般式(1−1)及び一般式(1−2)中のn=2でありR〜Rが水素原子を含む化合物は彩度が低いが、該化合物は強い凝集が生じる。これは、イミダゾロン環およびピペラジンジオン環の窒素原子上に水素原子を有するために分子間の強い水素結合力が生じ凝集が激しくなり、これが原因で彩度が低下すると考えられる。本願の化合物(1−1)又は化合物(1−2)においてイミダゾロン環又はピペラジンジオン環の窒素原子上に水素原子以外の置換基を有する化合物は、凝集が生じずに、彩度の高い色相が得られると考えられる。
上記合成法によって、化合物(1−1)又は化合物(1−2)は緑色の粗顔料として得られるが、着色剤として用いる際には顔料化処理を行うことが好ましい。この顔料化処理の方法としては、例えば、ソルベントソルトミリング、ソルトミリング、ドライミリング、ソルベントミリング、アシッドペースティング等の磨砕処理、溶媒加熱処理などが挙げられる。これらの顔料化処理によって、顔料の粒子径の調製も同時に行うことができる。
本発明のフタロシアニン化合物を緑色顔料として用いる場合は、上記のような顔料化処理を行い、顔料の粒子径を0.01〜1μmの範囲に調製して用いることが好ましい。得られる顔料の電子顕微鏡写真において、粒子の平均長さ/幅比(いわゆる平均アスペクト比)が3未満でより1に近く、しかも粒子径分布がより狭い顔料が得られるソルベントソルトミリングは、好ましい顔料化処理である。
本発明の着色組成物は、本発明のフタロシアニン化合物を着色剤として、合成樹脂と共に含有する組成物であり、例えば、印刷インキ、塗料、着色プラスチック、トナー、インクジェット用インキ、カラーフィルター用カラーペーストおよびカラーレジスト等が挙げられる。
本発明の着色組成物の調製に用いる合成樹脂としては、例えば、重合樹脂や縮合樹脂、特に尿素樹脂/ホルムアルデヒド樹脂およびメラミン/ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、アクリル/メラミン、ポリスチレン、セルロースエーテル、ニトロセルロース、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン等が挙げられる。これらは単独または混合物として使用することが出来る。
本発明の着色組成物は、着色用途に応じて、本発明のフタロシアニン化合物100部当たり、例えば、合成樹脂(不揮発分)100〜2,000部となる様に混合することで、容易に調製することが出来る。
また印刷インキ、塗料、着色プラスチック等を調製する際に用いる充填剤としては、例えば、各種金属箔、酸化チタン、シリカ等を用いることが出来る。各種添加剤としては、例えば、界面活性剤、防腐剤等を、溶媒としては、水の他、顔料の結晶状態を変化させない各種有機溶剤を用いることが出来る。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。合成した化合物の分析は特に記載のない限り次の機器を使用した。
NMR分析:日本電子株式会社製核磁気共鳴装置「JNM−LA300」、内部標準物質としてTMSを使用
赤外分光分析:日本分光株式会社製赤外分光光度計「FT/IR−4200」またはPERKIN ELMER社製赤外分光光度計「SPECTRUM ONE」
FD/MS分析:日本電子株式会社製質量分析計「JMS−700」
紫外可視分光分析:株式会社日立製作所製分光光度計「U−4100」
[合成例1]
(化合物(5)の合成)
脱水アセトニトリル245質量部中に、1,2−ジアミノ−4,5−ジシアノベンゼン39.0質量部および1,1’−カルボニルビス−1H−イミダゾール50.8質量部を加え、70℃で4時間攪拌した。次いで、得られた反応混合物を室温に冷却し、析出した固体をろ過、アセトニトルで洗浄し、減圧下乾燥して目的化合物43.5質量部(収率96%)を得た。
得られた化合物について、ジメチルスルホキシド(以下、「DMSO」という。)−d溶液中でのH−および13C−NMR分析、KBr錠剤法での赤外分光分析を行ったところ下記の分析結果が得られた。
<NMR分析>
H−NMR(DMSO−d):δ7.61(s,2H),11.7(br,2H)。
13C−NMR(DMSO−d):δ105.7,111.9,115.7,132.2,153.9。
<赤外分光分析>
3314(N−H伸縮振動)、2241(シアノ基CN伸縮振動)、1728(C=O伸縮振動)cm−1
上記の結果より、合成例1で得られた化合物は、前記式(5)で表されるジシアノベンツイミダゾロン化合物であることを確認した。
[合成例2]
(前記一般式(2)においてRおよびR10がメチル基であるジシアノベンツイミダゾロン化合物の合成)
脱水N,N−ジメチルホルムアミド95質量部中に水素化ナトリウム(60%パラフィン分散体)3.91質量部を加え、氷冷して内温を25〜30℃に保ちながら化合物(5)9.0質量部を添加した。次いでヨウ化メチル14.6質量部を滴下し、さらに室温で1時間攪拌した。反応混合物を氷水300質量部に注ぎ、析出した固体をろ過、水およびn−へキサンで洗浄し、減圧下乾燥して目的化合物8.45質量部(収率82%)を得た。
合成例2で得られた化合物について、DMSO−d溶液中でのH−および13C−NMR分析、KBr錠剤法での赤外分光分析を行ったところ下記の分析結果が得られた。
<NMR分析>
H−NMR(DMSO−d):δ3.40(s,6H),8.00(s,2H)。
13C−NMR(DMSO−d):δ27.6,106.7,112.6,116.8,133.0,153.9。
<赤外分光分析>
2955(メチル基C−H伸縮振動)、2226(シアノ基CN伸縮振動)、1728(C=O伸縮振動)cm−1
以上の分析結果より、合成例2で得られた化合物が下記式(21)で表されるN,N’−二置換ジシアノベンツイミダゾロン化合物であることを確認した。
Figure 2011018994
[合成例3]
(前記一般式(2)においてRおよびR10がエチル基であるジシアノベンツイミダゾロン化合物の合成)
脱水N,N−ジメチルホルムアミド115質量部中に水素化ナトリウム(60%パラフィン分散体)5.70質量部を加え、氷冷して内温を20〜35℃に保ちながら化合物(5)12.8質量部を添加した。次いで脱水N,N−ジメチルホルムアミド19質量部に溶解したヨウ化エチル22.2質量部を滴下し、さらに室温で4時間攪拌した。反応混合物を氷水400質量部に注ぎ、析出した固体をろ過、水およびn−へキサンで洗浄し、減圧下乾燥して目的化合物14.2質量部(収率85%)を得た。
合成例3で得られた化合物について、DMSO−d溶液中でのH−および13C−NMR分析、KBr錠剤法での赤外分光分析を行ったところ下記の分析結果が得られた。
<NMR分析>
H−NMR(DMSO−d):δ1.21(t,j=7.1Hz,6H),3.93(q,j=7.1Hz,4H),8.07(s,2H)。
13C−NMR(DMSO−d):δ13.3,36.1,106.8,112.7,116.8,132.0,152.9。
<赤外分光分析>
2924(エチル基C−H伸縮振動)、2228(シアノ基CN伸縮振動)、1716(C=O伸縮振動)cm−1
以上の分析結果より、合成例3で得られた化合物が下記式(22)で表されるN,N’−二置換ジシアノベンツイミダゾロン化合物であることを確認した。
Figure 2011018994
[合成例4]
(前記一般式(2)においてRおよびR10がプロピル基であるジシアノベンツイミダゾロン化合物の合成)
脱水N,N−ジメチルホルムアミド38質量部中に水素化ナトリウム(60%パラフィン分散体)1.78質量部を加え、氷冷して内温を20〜35℃に保ちながら化合物(5)4.0質量部を添加した。次いで脱水N,N−ジメチルホルムアミド9質量部に溶解したヨウ化プロピル7.57質量部を滴下し、さらに室温で5時間攪拌した。反応混合物を氷水200質量部に注ぎ、析出した固体をろ過、水およびn−へキサンで洗浄し、減圧下乾燥して目的化合物4.43質量部(収率76%)を得た。
合成例4で得られた化合物について、DMSO−d溶液中でのH−および13C−NMR分析、KBr錠剤法での赤外分光分析を行ったところ下記の分析結果が得られた。
<NMR分析>
H−NMR(DMSO−d):δ0.86(t,j=7.4Hz,6H),1.67(m,4H),3.87(t,j=7.2Hz,4H),8.11(s,2H)。
13C−NMR(DMSO−d):δ10.8,21.0,42.5,106.8,112.8,116.8,132.4,153.5。
<赤外分光分析>
2964(プロピル基C−H伸縮振動)、2224(シアノ基CN伸縮振動)、1710(C=O伸縮振動)cm−1
以上の分析結果より、合成例4で得られた化合物が下記式(23)で表されるN,N’−二置換ジシアノベンツイミダゾロン化合物であることを確認した。
Figure 2011018994
〔合成例5〕
(前記一般式(3)においてRおよびR10がメチル基であるジシアノテトラヒドロキノキサリンジオン化合物の合成)
脱水N,N−ジメチルホルムアミド120質量部中に化合物(13)5.00質量部、炭酸セシウム19.2質量部を加えて攪拌した。この混合物に室温でヨウ化メチル8.36質量部を加え、室温で1晩攪拌した。反応混合物に酢酸エチル270質量部を加え、析出した固体をろ過分離した。ろ液に水600質量部を加え、有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。最初に得られた固体と濃縮残渣をあわせ、アセトン・酢酸エチル・ヘキサン(質量比10:10:40)の混合溶媒より再結晶し、目的化合物4.02質量部を得た(収率71%)。
合成例5で得られた化合物について、ジメチルスルホキシド(以下、「DMSO」という。)−d溶液中でのH−および13C−NMR分析、KBr錠剤法での赤外分光分析を行ったところ下記の分析結果が得られた。
<NMR分析>
H−NMR(DMSO−d):δ3.55(s,6H),8.17(s,2H)。
13C−NMR(DMSO−d):δ30.3,108.8,115.8,120.2,131.4,153.5。
<赤外分光分析>
2960(メチル基C−H伸縮振動)、2234(シアノ基CN伸縮振動)、1695(C=O伸縮振動)cm−1
以上の分析結果より、合成例5で得られた化合物が、下記式(24)で表されるジシアノテトラヒドロキノキサリンジオン化合物であることを確認した。
Figure 2011018994
[合成例6]
(前記一般式(2)においてRおよびR10がエチル基であるジシアノテトラヒドロキノキサリンジオン化合物の合成)
脱水N,N−ジメチルホルムアミド90質量部中に、水素化ナトリウム(60%パラフィン分散体)1.54質量部を加え、室温で攪拌した。この混合物に化合物(13)3.71質量部、次いでヨウ化エチル6.55質量部を添加し、室温で1晩攪拌した。反応混合物を水800質量部に注ぎ、析出した固体をろ過分離した。得られた粗生成物をアセトン・酢酸エチル・ヘキサン(質量比10・10・40)の混合溶媒中に懸濁し、加熱還流した。室温に冷却後、固体をろ過分離し、目的化合物1.69質量部を得た(収率36%)。
合成例6で得られた化合物について、DMSO−d溶液中でのH−および13C−NMR分析、KBr錠剤法での赤外分光分析を行ったところ下記の分析結果が得られた。
<NMR分析>
H−NMR(DMSO−d):δ1.19(t,J=7.0Hz,6H),4.17(q,J=7.0Hz,4H),8.21(s,2H)。
13C−NMR(DMSO−d):δ11.7,38.1,109.0,115.9,120.2,130.6,153.2。
<赤外分光分析>
2975(エチル基C−H伸縮振動)、2232(シアノ基CN伸縮振動)、1709(C=O伸縮振動)cm−1
以上の分析結果より、合成例6で得られた化合物が、下記式(25)で表されるジシアノテトラヒドロキノキサリンジオン化合物であることを確認した。
Figure 2011018994
[合成例7]
(前記一般式(3)においてRおよびR10が1−プロピル基であるジシアノテトラヒドロキノキサリンジオン化合物の合成)
脱水N,N−ジメチルホルムアミド95質量部中に化合物(13)4.45質量部、炭酸セシウム17.1質量部を加えて攪拌した。この混合物に室温で1−ヨウ化プロピル8.93質量部を加え、35℃で3日間攪拌した。反応混合物を水400質量部に注ぎ、析出した固体をろ過分離した。得られた粗生成物を酢酸エチル60質量部に懸濁し、加熱還流した後、へキサン45質量部を加えて析出した固体をろ過分離し、目的化合物2.64質量部をえた(収率42%)。
合成例7で得られた化合物について、DMSO−d溶液中でのH−および13C−NMR分析、KBr錠剤法での赤外分光分析を行ったところ下記の分析結果が得られた。
<NMR分析>
H−NMR(DMSO−d):δ0.95(t,J=7.3Hz,6H),1.61(m,4H),4.08(t,J=7.7Hz,4H),8.23(s,2H)。
13C−NMR(DMSO−d):δ10.9,19.5,44.3,108.9,115.9,120.3,130.7,153.3。
<赤外分光分析>
2967(プロピル基C−H伸縮振動)、2231(シアノ基CN伸縮振動)、1709(C=O伸縮振動)cm−1
以上の分析結果より、合成例7で得られた化合物が、下記式(26)で表されるジシアノテトラヒドロキノキサリンジオン化合物であることを確認した。
Figure 2011018994
[実施例1]
(前記一般式(1−1)(n=1)においてMが亜鉛原子であり、R〜Rすべてがメチル基であるフタロシアニン化合物の合成)
1−ペンタノール20質量部中に合成例2で得られたジシアノベンツイミダゾロン化合物(21)2.0質量部、酢酸亜鉛0.432質量部およびDBU1.45質量部を加え、攪拌しながら6.5時間加熱還流した。反応液を70℃以下に冷却後、析出した固体をろ過分離した。得られた粗生成物を熱メタノール、熱アセトン、1mol/l塩酸、8質量%アンモニア水、熱N,N−ジメチルホルムアミド、メタノールの順で洗浄し、目的のフタロシアニン化合物1.89質量部(収率88%)を緑色固体として得た。
上記で得られた化合物についてFD/MS分析、KBr錠剤法による赤外分光分析、硫酸溶液中での紫外可視分光分析を行ったところ、下記の分析結果が得られた。
<FD/MS分析>
912 M
<赤外分光分析>
2942(メチル基C−H伸縮振動),1695(C=O伸縮振動),1494,1081,745,585cm−1
<紫外可視分光分析>
316,459,722,817nm
上記の結果より、実施例1で得られた緑色固体が、下記式(27)で表される亜鉛テトラベンツイミダゾロノポルフィラジンであることを確認した。
Figure 2011018994
[実施例2]
(前記一般式(1−1)(n=1)においてMが銅原子であり、R〜Rすべてがメチル基であるフタロシアニン化合物の合成)
1−ペンタノール45質量部中に合成例2で得られたジシアノベンツイミダゾロン化合物(21)4.71質量部、塩化銅(I)0.633質量部およびDBU3,90質量部を加え、攪拌しながら9時間加熱還流した。反応液を70℃以下に冷却後、析出した固体をろ過分離した。得られた粗生成物を熱メタノール、熱アセトン、1mol/l塩酸、8質量%アンモニア水、熱N,N−ジメチルホルムアミド、メタノールの順で洗浄し、目的のフタロシアニン化合物4.52質量部(収率89%)を緑色固体として得た。
上記で得られた化合物についてFD/MS分析、KBr錠剤法による赤外分光分析、硫酸溶液中での紫外可視分光分析を行ったところ、下記の分析結果が得られた。
<FD/MS分析>
911 M
<赤外分光分析>
1704(C=O伸縮振動),1493,1439,1083,745,583cm−1
<紫外可視分光分析>
463,728,825nm
上記の結果より、実施例2で得られた緑色固体が、下記式(28)で表される銅テトラベンツイミダゾロノポルフィラジンであることを確認した。
Figure 2011018994
[実施例3]
(前記一般式(1−1)(n=1)においてMが亜鉛原子であり、R〜Rすべてがエチル基であるフタロシアニン化合物の合成)
1−ペンタノール82質量部中に合成例3で得られたジシアノベンツイミダゾロン化合物(22)8.67質量部、酢酸亜鉛1.66質量部およびDBU5.49質量部を加え、攪拌しながら7時間加熱還流した。反応液を70℃以下に冷却後、析出した固体をろ過分離した。得られた粗生成物を熱メタノール、熱アセトン、1mol/l塩酸、8質量%アンモニア水、熱N,N−ジメチルホルムアミド、メタノールの順で洗浄し、目的のフタロシアニン化合物5.42質量部(収率59%)を緑色固体として得た。
上記で得られた化合物についてFD/MS分析、KBr錠剤法による赤外分光分析、N−メチル−2−ピロリジノン溶液中での紫外可視分光分析を行ったところ、下記の分析結果が得られた。
<FD/MS分析>
1024 M
<赤外分光分析>
2973(エチル基C−H伸縮振動)、1693(C=O伸縮振動),1487,1417.1080,731,586cm−1
<紫外可視分光分析>
307,363,622,691nm
上記の結果より、実施例3で得られた緑色固体が、下記式(29)で表される亜鉛テトラベンツイミダゾロノポルフィラジンであることを確認した。
Figure 2011018994
[実施例4]
(前記一般式(1−1)(n=1)においてMが銅原子であり、R〜Rすべてがエチル基であるフタロシアニン化合物の合成)
1−ペンタノール20質量部中に合成例3で得られたジシアノベンツイミダゾロン化合物(22)2.40質量部、塩化銅(I)0.250質量部およびDBU1.52質量部を加え、攪拌しながら7時間加熱還流した。反応液を70℃以下に冷却後、析出した固体をろ過分離した。得られた粗生成物を熱メタノール、熱アセトン、1mol/l塩酸、8質量%アンモニア水、熱N,N−ジメチルホルムアミド、メタノールの順で洗浄し、目的のフタロシアニン化合物1.96質量部(収率76%)を緑色固体として得た。
上記で得られた化合物についてFD/MS分析、KBr錠剤法による赤外分光分析、硫酸溶液中での紫外可視分光分析を行ったところ、下記の分析結果が得られた。
<FD/MS分析>
1023 M
<赤外分光分析>
2969(エチル基C−H伸縮振動),1710(C=O伸縮振動),1490,1428,1083,746,588cm−1
<紫外可視分光分析>
467,730,829nm
上記の結果より、実施例4で得られた緑色固体が、下記式(30)で表される銅テトラベンツイミダゾロノポルフィラジンであることを確認した。
Figure 2011018994
[実施例5]
(前記一般式(1−1)(n=1)においてMがコバルト原子であり、R〜Rすべてがエチル基であるフタロシアニン化合物の合成)
1−ペンタノール30質量部中に合成例3で得られたジシアノベンツイミダゾロン化合物(22)3.00質量部、臭化コバルト(II)0.683質量部およびDBU1.90質量部を加え、攪拌しながら8時間加熱還流した。反応液を70℃以下に冷却後、析出した固体をろ過分離した。得られた粗生成物を熱メタノール、熱アセトン、1mol/l塩酸、8質量%アンモニア水、熱N,N−ジメチルホルムアミド、メタノールの順で洗浄し、目的のフタロシアニン化合物1.41質量部(収率44%)を濃緑色固体として得た。
上記で得られた化合物についてFD/MS分析、KBr錠剤法による赤外分光分析、N−メチル−2−ピロリジノン溶液中での紫外可視分光分析を行ったところ、下記の分析結果が得られた。
<FD/MS分析>
1019 M
<赤外分光分析>
2978(エチル基C−H伸縮振動),1706(C=O伸縮振動),1490,1434,1082,749,587cm−1
<紫外可視分光分析>
379,620,691nm
上記の結果より、実施例5で得られた濃緑色固体が、下記式(31)で表されるコバルトテトラベンツイミダゾロノポルフィラジンであることを確認した。
Figure 2011018994
[実施例6]
(前記一般式(1−1)(n=1)においてMがV=Oであり、R〜Rすべてがエチル基であるフタロシアニン化合物の合成)
1−ペンタノール25質量部中に合成例3で得られたジシアノベンツイミダゾロン化合物(22)2.00質量部、塩化バナジウム(III)0.344質量部およびDBU1.27質量部を加え、攪拌しながら9時間加熱還流した。反応液を70℃以下に冷却後、析出した固体をろ過分離した。得られた粗生成物を熱エタノール、熱アセトン、1mol/l塩酸、8質量%アンモニア水、熱N,N−ジメチルホルムアミド、メタノールの順で洗浄し、目的のフタロシアニン化合物0.823質量部(収率39%)を緑色固体として得た。
上記で得られた化合物についてFD/MS分析、KBr錠剤法による赤外分光分析、N−メチル−2−ピロリジノン溶液中での紫外可視分光分析を行ったところ、下記の分析結果が得られた。
<FD/MS分析>
1027 M
<赤外分光分析>
2978(エチル基C−H伸縮振動),1709(C=O伸縮振動),1493,1427,1081,754,587cm−1
<紫外可視分光分析>
315,344,444,649,723nm
上記の結果より、実施例6で得られた緑色固体が、下記式(32)で表される酸化バナジウムテトラベンツイミダゾロノポルフィラジンであることを確認した。
Figure 2011018994
[実施例7]
(前記一般式(1−1)(n=1)においてMが亜鉛原子であり、R〜Rすべてがプロピル基であるフタロシアニン化合物の合成)
1−ペンタノール20質量部中に合成例4で得られたジシアノベンツイミダゾロン化合物(23)2.00質量部、酢酸亜鉛0.349質量部およびDBU1.13質量部を加え、攪拌しながら9時間加熱還流した。反応液を70℃以下に冷却後、析出した固体をろ過分離した。得られた粗生成物を熱エタノール、熱アセトン、1mol/l塩酸、8質量%アンモニア水、熱N,N−ジメチルホルムアミド、メタノールの順で洗浄し、目的のフタロシアニン化合物1.20質量部(収率57%)を緑色固体として得た。
上記で得られた化合物についてFD/MS分析、KBr錠剤法による赤外分光分析、N−メチル−2−ピロリジノン溶液中での紫外可視分光分析を行ったところ、下記の分析結果が得られた。
<FD/MS分析>
1136 M
<赤外分光分析>
2967(プロピル基C−H伸縮振動),1714(C=O伸縮振動),1488,1419,1090,748cm−1
<紫外可視分光分析>
306,363,623,692nm
上記の結果より、実施例7で得られた緑色固体が、下記式(33)で表される亜鉛テトラベンツイミダゾロノポルフィラジンであることを確認した。
Figure 2011018994
[実施例8]
(前記一般式(1−2)(n=1)において、R〜Rすべてがメチル基であるフタロシアニン化合物の合成)
1−ペンタノール8.15質量部中に合成例2で得られたジシアノベンツイミダゾロン化合物(21)1.00質量部およびDBU0.72質量部を加え、攪拌しながら24時間加熱還流した。反応液を70℃以下に冷却後、析出した固体をろ過分離した。得られた粗生成物を熱メタノール、熱アセトン、1mol/l塩酸、8質量%アンモニア水、熱N,N−ジメチルホルムアミド、メタノールの順で洗浄し、目的のフタロシアニン化合物0.13質量部(収率13%)を緑色固体として得た。
上記で得られた化合物についてFD/MS分析、KBr錠剤法による赤外分光分析、硫酸溶液中での紫外可視分光分析を行ったところ、下記の分析結果が得られた。
<FD/MS分析>
850 M
<赤外分光分析>
1705(C=O伸縮振動),1494,1080,1024,742,582cm−1
<紫外可視分光分析>
312,459,781,825,871nm
上記の結果より、実施例8で得られた緑色固体が、下記式(34)で表される無金属テトラベンツイミダゾロノポルフィラジンであることを確認した。
Figure 2011018994
[実施例9]
(前記一般式(1−2)(n=1)においてR〜Rすべてがエチル基であるフタロシアニン化合物の合成)
1−ペンタノール82質量部中に合成例3で得られたジシアノベンツイミダゾロン化合物(22)10.0質量部およびDBU6.34質量部を加え、攪拌しながら9時間加熱還流した。反応液を70℃以下に冷却後、析出した固体をろ過分離した。得られた粗生成物を熱メタノール、熱アセトン、1mol/l塩酸、8質量%アンモニア水、熱N,N−ジメチルホルムアミド、メタノールの順で洗浄し、目的のフタロシアニン化合物5.53質量部(収率55%)を緑色固体として得た。
上記で得られた化合物についてFD/MS分析、KBr錠剤法による赤外分光分析、硫酸溶液中での紫外可視分光分析を行ったところ、下記の分析結果が得られた。
<FD/MS分析>
962 M
<赤外分光分析>
2978(エチル基C−H伸縮振動)、1710(C=O伸縮振動),1492,1473.1077,1027,749,587cm−1
<紫外可視分光分析>
313,465,785,827,876nm
上記の結果より、実施例9で得られた緑色固体が、下記式(35)で表される無金属テトラベンツイミダゾロノポルフィラジンであることを確認した。
Figure 2011018994
[実施例10]
((前記一般式(1−1)(n=2)においてMが亜鉛原子であり、R〜Rがすべてメチル基であるフタロシアニン化合物の合成)
1−ペンタノール25質量部中に合成例5で得られたジシアノテトラヒドロキノキサリンジオン化合物(24)2.40質量部、酢酸亜鉛0.46質量部およびDBU1.52質量部を加え、攪拌しながら7時間加熱還流した。反応液を70℃以下に冷却後、析出した固体をろ過分離した。得られた粗生成物を熱メタノール、熱アセトン、1mol/l塩酸、8質量%アンモニア水,水、熱N,N−ジメチルホルムアミド、メタノールの順で洗浄し、目的のフタロシアニン化合物1.74質量部を緑色固体として得た(収率68%)。
上記で得られた緑色固体についてFD/MS分析、KBr錠剤法による赤外分光分析、N,N−ジメチルホルムアミド溶液中での紫外可視分光分析の測定を行ったところ下記の分析結果が得られた。
<FD/MS分析>
m/z=1024 M
<赤外分光分析>
1678(C=O伸縮振動),1461,1383,1104,744cm−1
<紫外可視分光分析>
吸収波長:313,375,693nm
上記の結果より、実施例10で得られた緑色固体が、下記式(36)で表される亜鉛テトラ(テトラヒドロキノキサリンジオノ)ポルフィラジン化合物であることを確認した。
Figure 2011018994
[実施例11]
(前記一般式(1−1)(n=2)においてMが銅原子であり、R〜Rがすべてメチル基であるフタロシアニン化合物の合成)
1−ペンタノール4質量部中に合成例5で得られたジシアノテトラヒドロキノキサリンジオン化合物(24)0.10質量部、塩化銅(I)0.0107質量部およびDBU0.0761質量部を加え、攪拌しながら4.5時間加熱還流した。反応液を70℃以下に冷却後、析出した固体をろ過分離した。得られた粗生成物を熱アセトン、1mol/l塩酸、8質量%アンモニア水,水、熱N,N−ジメチルホルムアミド、アセトンの順で洗浄し、目的のフタロシアニン化合物0.0932質量部を緑色固体として得た(収率87%)。
上記で得られた緑色固体についてFD/MS分析、KBr錠剤法による赤外分光分析、硫酸溶液中での紫外可視分光分析を行ったところ下記の分析結果が得られた。
<FD/MS分析>
m/z=1023 M
<赤外分光分析>
1679(C=O伸縮振動),1464,1387,1113,745cm−1
<紫外可視分光分析>
吸収波長:326,769,798nm
上記の結果より、実施例11で得られた緑色固体が、下記式(37)で表される銅テトラ(テトラヒドロキノキサリンジオノ)ポルフィラジン化合物であることを確認した。
Figure 2011018994
[実施例12]
(前記一般式(1−1)(n=2)においてMが亜鉛原子であり、R〜Rがすべてエチル基であるフタロシアニン化合物の合成)
1−ペンタノール20質量部中に合成例6で得られたジシアノテトラヒドロキノキサリンジオン化合物(25)1.67質量部、酢酸亜鉛0.29質量部およびDBU0.95質量部を加え、攪拌しながら6時間加熱還流した。反応液を70℃以下に冷却後、析出した固体をろ過分離した。得られた粗生成物を熱メタノール、熱アセトン、1mol/l塩酸、8質量%アンモニア水,水、熱N,N−ジメチルホルムアミド、メタノールの順で洗浄し、目的のフタロシアニン化合物0.61質量部を緑色固体として得た(収率34%)。
上記で得られた緑色固体についてFD/MS分析、KBr錠剤法による赤外分光分析、N−メチル−2−ピロリジノン溶液中での紫外可視分光分析の測定を行ったところ下記の分析結果が得られた。
<FD/MS分析>
m/z=1136 M
<赤外分光分析>
2981(エチル基C−H伸縮振動),1667(C=O伸縮振動),1469,1401,1107,744cm−1
<紫外可視分光分析>
吸収波長:317,366,698nm
上記の結果より、実施例12で得られた緑色固体が、下記式(38)で表される亜鉛テトラ(テトラヒドロキノキサリンジオノ)ポルフィラジン化合物であることを確認した。
Figure 2011018994
[実施例13]
(前記一般式(1−1)(n=2)においてMが亜鉛原子であり、R〜Rがすべてプロピル基であるフタロシアニン化合物の合成)
1−ペンタノール25質量部中に合成例7で得られたジシアノテトラヒドロキノキサリンジオン化合物(26)2.64質量部、酢酸亜鉛0.42質量部およびDBU1.36質量部を加え、攪拌しながら8.5時間加熱還流した。反応液を70℃以下に冷却後、析出した固体をろ過分離した。得られた粗生成物を熱メタノール、熱アセトン、1mol/l塩酸、8質量%アンモニア水,水、熱N,N−ジメチルホルムアミド、メタノールの順で洗浄し、目的のフタロシアニン化合物1.34質量部を緑色固体として得た(収率48%)。
上記で得られた緑色固体についてFD/MS分析、KBr錠剤法による赤外分光分析、N−メチル−2−ピロリジノン溶液中での紫外可視分光分析の測定を行ったところ下記の分析結果が得られた。
<FD/MS分析>
m/z=1248 M
<赤外分光分析>
2963(プロピル基C−H伸縮振動),1677(C=O伸縮振動),1469,1398,1104,744cm−1
<紫外可視分光分析>
吸収波長:317,371,697nm
上記の結果より、実施例13で得られた緑色固体が、下記式(39)で表される亜鉛テトラ(テトラヒドロキノキサリンジオノ)ポルフィラジン化合物であることを確認した。
Figure 2011018994
[実施例14]
(前記一般式(1−2)(n=2)において、R〜Rすべてがメチル基であるフタロシアニン化合物の合成)
1−ペンタノール8.15質量部中に合成例5で得られたジシアノテトラヒドロキノキサリンジオン化合物(24)1.00質量部およびDBU0.64質量部を加え、攪拌しながら9時間加熱還流した。反応液を70℃以下に冷却後、析出した固体をろ過分離した。得られた粗生成物を熱メタノール、熱アセトン、熱N,N−ジメチルホルムアミド、メタノールの順で洗浄し、目的のフタロシアニン化合物0.63質量部(収率63%)を緑色固体として得た。
上記で得られた化合物についてFD/MS分析、KBr錠剤法による赤外分光分析、硫酸溶液中での紫外可視分光分析を行ったところ、下記の分析結果が得られた。
<FD/MS分析>
m/z=962 M
<赤外分光分析>
1666(C=O伸縮振動),1464,1384,1116,743cm−1
<紫外可視分光分析>
吸収波長:336,776,819nm
上記の結果より、実施例14で得られた緑色固体が、下記式(40)で表される無金属テトラ(テトラヒドロキノキサリンジオノ)ポルフィラジン化合物であることを確認した。
Figure 2011018994
(40)
(色特性の測定)
実施例で合成したフタロシアニン化合物0.3質量部をロジン変性フェノール樹脂使用ワニス2.0質量部に分散した。得られた着色組成物を白色紙上に展色し、分光光度計(GetragMacbeth社製SpectroEye)を用いて色特性を測定した。得られた結果を表1に示す。
(光源D65、2度視野)
表1中、Cは彩度を表し、hは色相角を表す。各々合成した化合物は緑色の色相を有した。
Figure 2011018994
[実施例15](顔料化)
実施例3で得られたフタロシアニン化合物(29)0.50質量部を塩化ナトリウム1.50質量部、ジエチレングリコール0.75質量部とともに磨砕した。その後、この混合物を600質量部の温水に投じ、1時間攪拌した。水不溶分を濾過分離して温水でよく洗浄した後、80℃で減圧下乾燥し、顔料化を行った。顔料の粒子径は、300nm以下、粒子の平均長さ/幅比は3未満であった。
得られたフタロシアニン化合物(29)の緑色顔料を用いて、下記の焼付塗膜展色試験および耐薬品性試験を行った。
<焼付塗膜展色試験>
フタロシアニン化合物(29)の緑色顔料4質量部、アルキッド樹脂(DIC株式会社製「ベッコール J−524−IM−60」)70%と、メラミン樹脂(DIC株式会社製「スーパーベッカミン G−821−60」)30%との混合樹脂10質量部、キシレン7質量部およびn−ブタノール3質量部を、媒体にガラスビーズを用いてペイントコンディショナーで2時間分散した。その後、アクリルメラミン樹脂を50質量部追加し、さらにペイントコンディショナーで5分間混合し、緑色着色組成物を得た。
得られた緑色着色組成物を、アプリケーターを用いてポリエステルフィルムに塗布し、130℃で30分間焼き付けた。得られた塗膜は光沢のある鮮明な緑色であった。
上記で得られた塗膜について、分光光度計(株式会社島津製作所製分光光度計「UV−2450」を使用)を用いて紫外可視分光スペクトルと色特性を測定した。この塗膜の吸収波長を下記の表2に、色特性の測定結果を表4に示す。なお、この測定で得られた光吸収スペクトルを図5に示す。
<耐薬品性試験>
フタロシアニン化合物(29)の緑色顔料1質量部、及び下記表1に挙げた有機溶剤または酸20質量部をフタ付きの容器に加え、密封して30秒間振り混ぜた後、15分間静置した。次いで、再び30秒間振り混ぜ、30分間静置後、ろ過し、ろ液の着色を目視で確認し、下記基準で評価した。
:ろ液の着色なし、×:ろ液に着色あり
[実施例16]
フタロシアニン化合物(29)の緑色顔料に代えて、実施例4で得られたフタロシアニン化合物(30)を緑色顔料として用いた以外は、実施例15と同様に焼付塗膜展色試験および耐薬品性試験を行った。
〔実施例17〕
フタロシアニン化合物(29)の緑色顔料に代えて、実施例7で得られたフタロシアニン化合物(33)を緑色顔料として用いた以外は、実施例15と同様に焼付塗膜展色試験および耐薬品性試験を行った。
〔実施例18〕
フタロシアニン化合物(29)の緑色顔料に代えて、実施例9で得られたフタロシアニン化合物(35)を緑色顔料として用いた以外は、実施例15と同様に焼付塗膜展色試験および耐薬品性試験を行った。
〔実施例19〕
フタロシアニン化合物(29)の緑色顔料に代えて、実施例10で得られたフタロシアニン化合物(36)を緑色顔料として用いた以外は、実施例15と同様に焼付塗膜展色試験および耐薬品性試験を行った。
[比較例1]
フタロシアニン化合物(29)の緑色顔料に代えて塩素化銅フタロシアニン顔料(DIC株式会社製「Fastogen Green S」、C.I.Pigment Green 7)を用いた以外は、実施例15と同様にして、焼付塗膜展色試験および耐薬品性試験を行った。
[比較例2]
フタロシアニン化合物(29)の緑色顔料に代えて臭素化銅フタロシアニン顔料(DIC株式会社製「Fastogen Green 2YK−CF」、C.I.Pigment Green 36)を用いた以外は、実施例15と同様にして、焼付塗膜展色試験および耐薬品性試験を行った。
[比較例3]
フタロシアニン化合物(29)の緑色顔料に代えて特許文献3に記載された方法で合成した下記式(41)で表されるフタロシアニン化合物の緑色顔料を用いた以外は、実施例15と同様にして、焼付塗膜展色試験を行った。
Figure 2011018994
実施例15〜19および比較例1〜3の緑色顔料の試験結果を表2(実施例)及び表3(比較例)に示す。なお、表1中のハロゲンフリーの項目は、ハロゲンフリーであるものを「○」と表記し、ハロゲンフリーでないものを「×」と表記した。
Figure 2011018994
Figure 2011018994
表3の結果から、本発明のフタロシアニン化合物は、鮮明でハロゲンフリーの緑色顔料として用いることができ、既存の耐薬品性が高い緑色顔料として知られている塩素化銅フタロシアニンや臭素化塩素化銅フタロシアニン顔料と同等の有機溶剤および酸に対する耐性を有することが分かる。
Figure 2011018994
(C光源2度視野でのCIE色空間値)
表4の結果から、本発明のフタロシアニン化合物は、比較例3の化合物(41)と比べて彩度(C)が著しく向上していることが分かる。また、化合物(29)、(30)、(35)は臭素化銅フタロシアニンに近い黄味の緑色の色相を有することが分かる。
本発明のフタロシアニン化合物は、鮮明な緑色を呈しハロゲンフリーであるので、緑色顔料として塗料、プラスチック、印刷インキ、ゴム、レザー、捺染、カラーフィルター、ジェットインキ、熱転写インキなどの着色材として有用である。

Claims (7)

  1. 一般式(1−1)又は(1−2)で表されるフタロシアニン化合物。
    Figure 2011018994
    (但し、
    1)n=1の場合、R〜Rは各々独立して炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数7〜9のアラルキル基を表し、
    2)n=2の場合、R〜Rは各々独立して水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数7〜9のアラルキル基を表す。
    また、一般式(1−1)中、Mは2〜4価の金属原子(但し金属原子は酸化されていてもよい)を表す。)
  2. 前記一般式(1−1)において、Mで表される2〜4価の金属原子が銅又は亜鉛である請求項1に記載のフタロシアニン化合物。
  3. 前記一般式(1−1)又は一般式(1−2)においてR〜Rが各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基である請求項1又は2に記載のフタロシアニン化合物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のn=1である場合のフタロシアニン化合物の合成原料であって、一般式(2)で表されるフタロニトリル化合物。
    Figure 2011018994
    (一般式(2)中、RおよびR10は各々独立して炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素数7〜9のアラルキル基を表す。)
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のn=2である場合のフタロシアニン化合物の合成原料であって、一般式(3)で表されるフタロニトリル化合物。
    Figure 2011018994
    (一般式(3)中、RおよびR10は各々独立して炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素数7〜9のアラルキル基を表す。)
  6. 前記一般式(2)又は(3)で表されるフタロニトリル化合物単独もしくは前記一般式(1−1)中のMで表される2〜4価の金属原子に対応する金属塩との混合物を熱縮合させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフタロシアニン化合物の製造法。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載のフタロシアニン化合物と、合成樹脂とを含有する着色組成物。
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