JPWO2011013695A1 - シリコン単結晶引き上げ用シリカガラスルツボ - Google Patents

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Abstract

高温下での強度が高く、引き上げ終了後には簡単に取り出すことができるシリカガラスルツボを提供する。シリカガラスルツボ10は、ルツボの外表面側に設けられたシリカガラス外層13aと、ルツボの内表面側に設けられたシリカガラス内層13cと、シリカガラス外層13aとシリカガラス内層13cとの間に設けられたシリカガラス中間層13bとを備えている。シリカガラス外層13aは100ppm以上の鉱化剤濃度を有し、シリカガラス中間層13b及びシリカガラス内層13cは50ppm以下の鉱化剤濃度を有する。シリカガラス外層13a及びシリカガラス中間層13bは天然シリカからなり、シリカガラス内層13cは高純度天然シリカ又は合成シリカからなることが好ましい。底部10Bにおけるシリカガラス外層13aの厚さは0.5mm〜2.0mmであり、側壁部10Aにおけるシリカガラス外層13aの厚さは、底部10Bにおけるシリカガラス外層13aよりも厚い。

Description

本発明は、チョクラルスキー法(CZ法)によるシリコン単結晶の引き上げに使用するシリカガラスルツボに関し、特に引き上げ終了時の使用済みルツボの取り出しが容易なシリカガラスルツボに関する。
CZ法によるシリコン単結晶の引き上げに使用するシリカガラスルツボは、単結晶の大口径化に伴って大型化し、高温の熱環境下に長時間曝されるため、より高い強度が求められており、その解決方法として、例えば特許文献1には、ルツボ表面に結晶化促進剤を施し、引き上げ工程の高温下でルツボ表面を結晶化することによってルツボ強度を高める技術が提案されている。また、特許文献2には、シリカガラスルツボの外表面にシリカガラスよりも高い軟化温度を有する安定化層を設ける技術が記載されている。
また、特許文献3及び4には、高温下での耐久性を高めるため、ルツボの外層をアルミニウム(Al)添加シリカ層、中間層を天然シリカ層又は高純度合成シリカ層、内層を透明高純度合成シリカ層とする3層構造のシリカガラスルツボが開示されている。また、特許文献5には、ルツボの側壁部及び湾曲部が3層構造であって、結晶化促進剤添加シリカガラスからなる外層と、天然原料シリカガラスからなる不透明中間層と、天然原料シリカガラス又は合成原料シリカガラスからなる透明内層からなり、ルツボの底部が2層構造であって、天然原料シリカガラスからなる不透明外層と、天然原料シリカガラス又は合成原料シリカガラスからなる透明内層からなるシリカガラスルツボが開示されている。この構造によれば、ルツボ底部とサセプターとの密着性を高めることができ、ルツボを安定的に支持することができる。
上記シリコン単結晶の引き上げにおいては、サセプターにシリカガラスルツボを装着してルツボ全体を加熱し、ルツボ内部にチャージした多結晶シリコン塊を溶融して単結晶を引き上げる。溶融シリコンに接触するシリカガラスルツボの内表面は溶損するので、一回又は数回の引き上げ後、サセプター内には溶損したルツボが残る。また、この使用済みルツボ内には溶融シリコンが残留しているが、このルツボとシリコン残液は冷却するにつれて熱膨張率の違いによる歪みが生じ、ルツボが破損し、サセプター内には破損したルツボ残がシリコン塊と共に残る。したがって、このルツボ残は再利用できず、サセプターから取り出されて廃棄される。
従来のシリカガラスルツボは、ルツボ残をサセプターから取り出す際に、シリカガラスルツボがサセプターに密着して取り出しに難渋する場合があり、工具を用いて密着した部分を破砕して取り出すなどの必要が生じ、大型ルツボにおいてはハンドリングが困難で、時には高価なサセプターに傷をつける場合も生じている。そのため、引き上げ終了後にルツボ残を簡単に取り出すことができるシリカガラスルツボがユーザーから強く求められている。
この問題を解決するため、特許文献6においては、高温下で外表面が結晶化することにより形成される結晶層の厚みが0.5〜2mmとなるように結晶化促進層を形成することにより、引き上げ終了後の冷却時にルツボ側壁部分を小さく破損させ、これによりルツボの取り出しを容易にしている。
特開平9−110590号公報 特表2004−531449号公報 特開2000−247778号公報 国際公開第2004/106247号パンフレット 特開2008−81374号公報 特開2006−213556号公報
上述したように、特許文献6に記載された従来のシリカガラスルツボにおいては、結晶化促進層を十分に薄くすることでルツボの冷却時に表面の結晶層のみを細かく破損させ、ルツボをサセプターから取り出しやすくしている。しかしながら、結晶層が非常に薄いため、従来の強化ルツボのように十分な強度を与えるものとは言い難い。上述の通り、最近単結晶の大口径化に伴ってルツボも大型化し、高温下に長時間曝されるため、耐久性の高いルツボが求められていることから、高温下での強度が高く、しかもサセプターから取り出し易いシリカガラスルツボの提供が望まれている。
本発明は、シリコン単結晶の引き上げに使用する従来のシリカガラスルツボにおける上記課題を解決したものであり、引き上げ中の高温下で強度が高く、引き上げ終了後には簡単に取り出すことができるシリカガラスルツボを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本願発明者らは鋭意研究を重ねた結果、ルツボの外表面に形成される結晶層が厚い場合、単結晶引き上げ後の冷却時に肉厚全体を貫通するひび割れが生じやすく、このようなひび割れがルツボの底部で生じた場合には湯漏れの原因になるが、側壁部では湯漏れの原因にならないことに気がついた。また、ルツボを安定的に支持するためにはルツボの底部がわずかに変形してサセプターに密着したほうがよいが、サセプターからのルツボの取り出しが大変となるため、冷却後の取り出しやすさが重要となるが、ルツボの側壁部ではむしろ内倒れ等の変形が生じないことが重要であり、冷却後の取り出しやすさは底部ほど問題にならないことに気がついた。
本発明はこのような技術的知見に基づくものであり、本発明によるシリカガラスルツボは、側壁部、湾曲部及び底部を有するものであって、ルツボの外表面側に設けられたシリカガラス外層と、ルツボの内表面側に設けられたシリカガラス内層と、シリカガラス外層とシリカガラス内層との間に設けられたシリカガラス中間層とを備え、シリカガラス外層は100ppm以上の鉱化剤濃度を有し、シリカガラス中間層は50ppm以下の鉱化剤濃度を有し、底部におけるシリカガラス外層の厚さは0.5mm以上2.0mm以下であり、側壁部におけるシリカガラス外層の厚さは、ルツボ底部におけるシリカガラス外層よりも厚いことを特徴とする。
本発明によれば、ルツボ外表面側に設けられるシリカガラス外層の厚さがルツボ底部において0.5mm以上2.0mm以下であり、ルツボ外表面に形成される結晶層の厚みが冷却時の破砕に適した厚さに形成されているので、引き上げ終了後にルツボが次第に冷却したときに、ガラス質シリカと結晶質シリカの熱膨張率の違いからルツボ外表面の結晶層に亀裂が生じてルツボの外表面のみが小さく破損し、サセプターにルツボが密着したとしても、ルツボ残をサセプターから容易に取り出すことができる。また、シリカガラス外層が結晶化することにより得られる結晶層は非常に薄いことから、ルツボとサセプターとの密着性を阻害することはなく、よってルツボを安定的に支持することができる。
また、本発明によれば、側壁部におけるシリカガラス外層の厚さが底部におけるシリカガラス外層よりも厚いことから、側壁部の粘性を高めることができ、シリコン単結晶引き上げ中の高温下において側壁部の変形が生じにくいルツボを提供することができる。
本発明において、側壁部におけるシリカガラス外層の厚さは3.0mm以上であることが好ましい。この構造によれば、側壁部の粘性を高めることができ、単結晶引き上げ中の高温下において側壁部の内倒れ等の変形を防止することができる。底部のシリカガラス外層と異なり、側壁部のシリカガラス外層が十分に厚い場合には、ルツボが次第に冷却したときに、表層のみならず壁部を貫通する亀裂が生じるおそれがあるが、引き上げ終了後のルツボ内にはシリコン融液がほとんど残っていないことから、たとえ側壁部に亀裂が生じたとしても湯漏れが生じることはない。したがって、湯漏れとルツボの変形の両方を防止しながら、サセプターからの取り出しが容易なルツボを提供することができる。
本発明において、側壁部におけるシリカガラス外層の平均厚さは、湾曲部におけるシリカガラス外層の平均厚さよりも厚く、湾曲部におけるシリカガラス外層の平均厚さは、底部におけるシリカガラス外層の平均厚さよりも厚いことが好ましい。シリカガラス外層の厚さがこのように段階的に変化する場合には、ルツボ底部において亀裂が生じる確率を十分に低減することができる。特に、湾曲部におけるシリカガラス外層の厚さがルツボ底部に向かって徐々に薄くなる場合には、側壁部におけるシリカガラス外層の厚さをほぼ一定にすることができ、側壁部及び底部においてシリカガラス外層の機能を安定的に発揮させることができる
本発明において、シリカガラス内層は20ppm以下の鉱化剤濃度を有するシリカガラス層であってもよい。このシリカガラス層は、20ppm以下の鉱化剤濃度を有する天然シリカガラス層であってもよく、1ppm以下の鉱化剤濃度を有する合成シリカシリカガラス層であってもよい。いずれの場合も、ルツボ内表面からシリコン融液中へ溶出する鉱化剤の量が少ないため、シリコン単結晶の不純物汚染を抑制することができる。
本発明において、鉱化剤は、Alであることが好ましい。鉱化剤としてAlを用いた場合には、Alを含む層の粘度が大きくなってルツボの強度が高まるという利点に加えて、高温時の熱拡散が少ないため、シリコン単結晶の引き上げ中に形成される結晶層の厚さの制御が容易であり、シリコン単結晶の引き上げ時間や条件に左右されることなく薄い結晶層を安定的に形成することができるという利点がある。
本発明において、ルツボの外表面側に設けられた多数の気泡を含む不透明シリカガラス層と、ルツボの内表面側に設けられた透明シリカガラス層とを備え、不透明シリカガラス層は、シリカガラス外層及びシリカガラス中間層を含み、透明シリカガラス層は、シリカガラス内層を含むことが好ましい。
このように、本発明によれば、引き上げ中の高温下で強度が高く、引き上げ終了後にルツボ残を簡単に取り出すことができ、さらに安全に取り扱うことが可能なシリカガラスルツボを提供することができる。
本発明の好ましい実施形態によるシリカガラスルツボの構造を示す略断面図である。 本実施形態によるシリカガラスルツボの鉱化剤濃度に基づく層構造を示す略断面図である。 シリカガラスルツボ10の製造方法を説明するための模式図である。 シリカガラスルツボ10の製造工程を概略的に示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の好ましい実施形態によるシリカガラスルツボの構造を示す略断面図である。
図1に示すように、本実施形態によるシリカガラスルツボ10は、側壁部10A及び底部10Bを有し、容器としての基本形状を有している。側壁部10Aは、ルツボの中心軸(Z軸)と平行な円筒状の部分であって、ルツボの開口から略真下に延びている。但し、側壁部10AはZ軸に対して完全に平行である必要はなく、開口に向かって徐々に広がるように傾斜していてもよい。また、側壁部10Aは直線的であってもよく、緩やかに湾曲していてもよい。特に限定されるものではないが、側壁部10Aは、Z軸と直交するXY平面に対するルツボ壁面の接線傾斜角が80度以上となる領域として定義することができる。
ルツボの底部10Bは、ルツボの中心軸との交点を含む略円盤状の部分であり、底部10Bと側壁部10Aとの間には湾曲部10Cが設けられている。湾曲部10Cは側壁部10Aの直径が徐々に小さくなる部分である。ルツボ底部10Bの形状はいわゆる丸底であってもよく、平底であってもよい。また、湾曲部10Cの曲率や角度も任意に設定することができる。ルツボ底部10Bが丸底の場合には、底部10Bも適度な曲率を有するため、底部10Bと湾曲部10Cとの曲率差は平底に比べて非常に小さい。ルツボ底部10Bが平底の場合には、底部10Bが平坦或いは極めて緩やかな湾曲面をなし、湾曲部10Cの曲率は非常に大きい。なお、平底の場合、底部10Bは、Z軸と直交するXY平面に対するルツボ壁面の接線傾斜角が30度以下となる領域として定義することができる。
ルツボの肉厚は部位によっても異なるが、10mm以上であることが好ましく、13mm以上であることがより好ましい。通常、口径32インチ(約800mm)以上の大型ルツボの肉厚は10mm以上、40インチ(約1000mm)以上の大型ルツボの肉厚は13mm以上であり、これらの大型ルツボはサセプターからの取り出しが非常に困難であり、また長時間使用されるため変形が生じやすく、本発明による効果が顕著だからである。具体例を挙げれば、直径32インチ、高さ500mmのシリカガラスルツボの厚さは、直銅部で17mm、湾曲部で25mmm、底部で14mmである。
図1に示すように、シリカガラスルツボ10は、ルツボの外表面側に設けられた不透明シリカガラス層11と、ルツボの内表面側に設けられた透明シリカガラス層12とを備えている。
不透明シリカガラス層11は、多数の微小な気泡を内包する非晶質シリカガラス層である。本明細書において「不透明」とは、シリカガラス中に多数の気泡が内在し、見かけ上白濁した状態を意味する。不透明シリカガラス層11は、ルツボ外周に配置されたヒータからの熱をシリカガラスルツボ中のシリコン融液に均一に伝達する役割を果たす。不透明シリカガラス層11は透明シリカガラス層12に比べて熱容量が大きいことから、シリコン融液の温度を容易に制御することができる。
不透明シリカガラス層11の気泡含有率は透明シリカガラス層12よりも高く、その機能を発揮できる限りにおいて特に限定されないが、0.7%以上であることが好ましい。不透明シリカガラス層11の気泡含有率が0.7%未満では不透明シリカガラス層11の機能を発揮できないからである。なお、不透明シリカガラス層11の気泡含有率は比重から求めることができる。ルツボから単位体積(1cm)の不透明シリカガラス片を切り出し、その質量がAであり、気泡を内包しないシリカガラスの比重がB(=2.21)であるとすると、気泡含有率はP(%)=(1−A/B)×100となる。
透明シリカガラス層12は、実質的に気泡を含まない非晶質シリカガラス層である。透明シリカガラス層12によれば、ルツボ内表面から剥離するシリカ片の増加を防止することができ、シリコン単結晶化率を高めることができる。ここで、「実質的に気泡を含まない」とは、気泡が原因で単結晶化率が低下しない程度の気泡含有率及び気泡サイズであることを意味し、特に限定されるものではないが、気泡含有率が0.1%以下であり、気泡の平均直径が100μm以下であることが好ましい。不透明シリカガラス層11から透明シリカガラス層12への気泡含有率の変化は比較的急峻であり、透明シリカガラス層12の気泡含有率が増加し始めた位置からルツボの外表面側に向かって30μm程度進んだところでほぼ不透明シリカガラス層11の気泡含有率に達する。したがって、不透明シリカガラス層11と透明シリカガラス層12との境界Lは明確であり、目視にて容易に区別できる。
透明シリカガラス層12の気泡含有率は、光学的検出手段を用いて非破壊的に測定することができる。光学的検出手段としては、シリカガラスルツボの内表面に沿って回動操作できるものが用いられ、表面から一定深さに存在する気泡を検出するには、光学カメラのレンズの焦点を表面から深さ方向に走査すればよい。光学検出手段による測定結果は画像処理装置に取り込まれ、気泡含有率P(%)が算出される。詳細には、光学カメラを用いてルツボ内表面の画像を撮像し、ルツボ内表面を一定面積ごとに区分して基準面積S1とし、この基準面積S1ごとに気泡の占有面積S2を求め、P(%)=(S2/S1)×100により算出される。このような非破壊的気泡含有率測定法は、例えば、特開平3−86249号公報や特開平11−228283号公報に詳述されている。
図2は、本実施形態によるシリカガラスルツボの鉱化剤濃度に基づく層構造を示す略断面図である。
図2に示すように、シリカガラスルツボ10は3層構造であって、ルツボの外表面側から順にシリカガラス外層13a、シリカガラス中間層13b、及びシリカガラス内層13cを有している。図2において、不透明シリカガラス層11と透明シリカガラス層12との境界は破線Lで示されている。図示のように、不透明シリカガラス層11と透明シリカガラス層12との境界Lは、シリカガラス中間層13bとシリカガラス内層13cとの境界と必ずしも一致しない。よって、本実施形態においては、不透明シリカガラス層11がシリカガラス外層13aとシリカガラス中間層13bの大部分を含み、透明シリカガラス層12がシリカガラス内層13cとシリカガラス中間層13bの残りの部分を含む構成となっている。
シリカガラス外層13a及びシリカガラス中間層13bは天然シリカガラスからなることが好ましい。天然シリカガラスとは、ケイ石、天然水晶等の天然質シリカを原料として製造されたシリカガラスを意味する。一般に天然シリカは合成シリカに比べて金属不純物の濃度が高く、OH基の濃度が低いという特性を有している。例えば、天然シリカのAlの濃度は1ppm以上、アルカリ金属(Na,K及びLi)の濃度はそれぞれ0.05ppm以上、OH基の濃度は60ppm未満である。尚、天然シリカか否かは一つの要素に基づいて判断されるべきものではなく、複数の要素に基づいて総合的に判断されるべきものである。天然シリカは、合成シリカに比べて高温における粘性が高いことから、ルツボ全体の耐熱強度を高めることができる。また、天然質原料は合成シリカに比べて安価であり、コスト面でも有利である。
シリカガラス外層13aは、ルツボの外表面の結晶化(クリストバライト化)を促進させると共に高温下でのシリカガラスの粘性を高めてルツボの強度を向上させる機能を有している。このような機能を実現するため、シリカガラス外層13aに含まれる鉱化剤の平均濃度は100ppm以上であることが必要である。鉱化剤の平均濃度が100ppm未満では、ルツボの外表面が結晶化しないか又は結晶化が不十分となり、結晶化促進層として機能しないおそれがあるからである。
鉱化剤の種類は、ガラスの結晶化を促すものであれば特に限定されない。結晶化は、金属不純物が含まれている場合に特に起こりやすいので、鉱化剤としては、金属不純物が好適であり、例えば、アルカリ金属(例:ナトリウムやカリウム)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、又はバリウム)、アルミニウム、鉄である。
鉱化剤としてAlを用いた場合には、Alを含む層の粘度が大きくなってルツボの強度が高まるという利点に加えて、高温時の熱拡散が少ないため、シリコン単結晶の引き上げ中に形成される結晶層の厚さの制御が容易であり、シリコン単結晶の引き上げ時間や条件に左右されることなく薄い結晶層を安定的に形成することができるという利点がある。
シリカガラス中間層13bは、ルツボの所望の肉厚を確保するために必要な層である。また、シリカ粉の溶融中にアーク炎の不規則な流れによって鉱化剤を多く含むシリカガラス外層13aの原料粉が流動し、シリカガラス内層13cが汚染されることを防止する役割も果たす。さらに、シリカガラス中間層13bは、鉱化剤濃度の違いから生じる内部応力の歪みを防止する中間層としても機能する。ルツボ外層の鉱化剤濃度を高くすると共に鉱化剤濃度の少ない高純度の内層を設け、さらにアルミニウム濃度が段階的に減少するように外層と内層の中間に中間層を設けることにより、内部応力を緩和することができ、冷却時におけるルツボの破損を防止することができる。
シリカガラス中間層13bはシリカガラス外層13aと異なり、単結晶引き上げ中の高温下で結晶化しないことが必要である。そのため、シリカガラス中間層13bに含まれる鉱化剤の平均濃度は50ppm以下であることが必要である。この構成によれば、鉱化剤濃度差が適切に設定されているので、ガラス質シリカと結晶質シリカとの境界を明確化することができる。
シリカガラス外層13aはルツボの外表面の全面に形成されているが、その厚さは部位によって異なっている。本実施形態において、シリカガラス外層13aはルツボの側壁部10Aにおいて比較的厚く形成され、底部において比較的薄く形成される。具体的には、底部10Bにおけるシリカガラス外層13aの厚さWは0.5mm以上2.0mm以下であり、側壁部10Aにおけるシリカガラス外層13aの厚さWは3.0mm以上であってWよりも厚い。具体例を挙げると、W=2.0mmであり、W=4.0mmである。
底部10Bにおけるシリカガラス外層13aの厚さWは0.5mm以上2.0mm以下であることが必要である。シリカガラス外層13aの厚みが0.5mmよりも薄いと十分な破壊効果が得られず、2mmを超えると破壊が進みすぎて冷却の途中で崩落が生じ、湯漏れを起こす危険があるからである。
側壁部10Aにおけるシリカガラス外層13aの厚さWは3mm以上であり、4mm以上であることが好ましい。また、厚さWは、ルツボ側壁部10Aの肉厚Wの1/2以下(W/2以下)であることが好ましい。この場合、W≧10mmであることが好ましい。シリカガラス外層13aの厚さがルツボ側壁部10Aの肉厚Wの1/2よりも大きい場合には、シリカガラス中間層13bが薄くなる結果、鉱化剤の遮蔽効果が不十分となり、シリカガラス外層13aの鉱化剤の化合物がシリカガラス中間層13bを通過してシリカガラス内層13cに混入し、高純度のシリカガラス内層13cの鉱化剤濃度が高くなってしまうからである。シリカガラス外層13aの厚さが4mm以上であれば、ルツボ底部10Bにおけるシリカガラス外層13aとの厚さの違いが明確となり、側壁部10Aの変形を十分に抑制することができる。
シリカガラス外層13aは、側壁部10Aでは概ね一定の厚さを有し、湾曲部10Cから徐々に薄くなり、底部10Bにおいて0.5mm以上2.0mm以下の一定の厚さとなるように構成されていることが好ましい。この場合、側壁部10Aにおけるシリカガラス外層13aは、湾曲部10Cにおけるシリカガラス外層13aの平均の厚さよりも厚い。また、湾曲部10Cにおけるシリカガラス外層13aの厚さは、底部10Bにおけるシリカガラス外層13aよりも厚い。ただし、本発明は、シリカガラス外層13aの厚さが湾曲部10Cから徐々に薄くなる構成に限定されず、側壁部10Aにおけるシリカガラス外層13aが十分な厚さを有する場合には、側壁部10Aの途中から徐々に薄くなるように構成されていてもよい。
シリカガラス外層13aは単結晶引き上げ中の高温下で結晶化するが、シリカガラス外層13aが底部10Bにおいて薄い場合には、単結晶の引き上げ終了後にルツボが次第に冷却したときに、ガラス質シリカと結晶質シリカの熱膨張率の違いからルツボ外表面の結晶層に亀裂が生じてルツボの外表面のみが小さく破損するので、サセプターにルツボが密着したとしても剥離しやすく、ルツボ残をサセプターから容易に取り出すことができる。また、結晶層が非常に薄いことから、ガラス質シリカと結晶質シリカの熱膨張率の違いによる応力によってシリカガラス中間層13bに損傷を与えることがなく、ルツボとサセプターとの間の密着性を阻害することはなく、ルツボ底部の破損による湯漏れの問題も生じない。
シリカガラス外層13aが側壁部10Aにおいて厚く形成されている場合には、シリコン単結晶引き上げ中の高温下において、側壁部10Aの粘性を高めることができ、側壁部10Aの内倒れ等の変形を防止することができる。また、単結晶の引き上げ終了後にルツボが次第に冷却したときに、ガラス質シリカと結晶質シリカの熱膨張率の違いからルツボ外表面の結晶層に亀裂が生じてルツボの外表面のみが破損するので、サセプターにルツボが密着したとしても、ルツボ残をサセプターから容易に取り出すことができる。ルツボの底部10Bと異なり、結晶層が厚い場合には、残りのガラス層が薄くなり、ガラス質シリカと結晶質シリカの熱膨張率の違いによる応力も大きく、シリカガラス中間層13bに損傷を与えるおそれがあるが、引き上げ終了後にはシリコン融液はほとんど残っていないため、側壁部10Aに亀裂が生じたとしても湯漏れの問題は生じない。
シリカガラス内層13cは、ルツボ内表面から溶出する不純物を低減し、シリコン単結晶の不純物汚染を抑制する役割を果たす。そのため、シリカガラス内層13cの鉱化剤濃度はできるだけ低いほうがよい。シリカガラス内層13cの原料は高純度の天然シリカガラス又は合成シリカガラスであることが好ましい。合成シリカガラスとは、例えばケイ素アルコキシドの加水分解により合成された合成原料を溶融して製造されたシリカガラスを意味する。一般に合成シリカは天然シリカに比べて金属不純物の濃度が低く、OH基の濃度が高いという特性を有している。例えば、合成シリカに含まれる各金属不純物の濃度は0.05ppm未満であり、OH基の濃度は30ppm以上である。ただし、金属不純物が添加された合成シリカも知られていることから、合成シリカか否かは一つの要素に基づいて判断されるべきものではなく、複数の要素に基づいて総合的に判断されるべきものである。このように、合成シリカガラスは天然シリカガラスと比べて不純物が少ないことから、ルツボからシリコン融液中へ溶出する不純物の増加を防止することができ、シリコン単結晶化率を高めることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、ルツボ底部10Bの外表面側に設けられるシリカガラス外層13aの厚さが0.5mm以上2.0mm以下であり、結晶層の厚みが冷却時の破砕に適した厚さに形成されているので、引き上げ終了後にルツボが次第に冷却したときに、ガラス質シリカと結晶質シリカの熱膨張率の違いからルツボ底部の外表面の結晶層に亀裂が生じてルツボの外表面のみが小さく破損する。したがって、ルツボがサセプターに密着したとしても、ルツボ残をサセプターから容易に取り出すことができる。
また、本実施形態によれば、外表面に設けられるシリカガラス外層13aが側壁部10Aにおいて厚く形成されていることから、シリコン単結晶引き上げ中の高温下において、側壁部10Aの粘性を高めることができ、側壁部10Aの内倒れ等の変形を防止することができる。
側壁部10Aに設けられたシリカガラス外層13aは、底部10Bに設けられた十分に薄い層ではなく比較的厚い層であることから、ルツボが次第に冷却したときに、表層のみならず側壁部10Aを貫通する亀裂が生じるおそれがある。しかしながら、引き上げ終了後のルツボ内にはシリコン融液がほとんど残っていないことから、たとえそのような亀裂が生じたとしても湯漏れを生じることはない。したがって、湯漏れとルツボの変形の両方を防止しながら、サセプターからの取り出しが容易なシリカガラスルツボを提供することができる。
次に、図3及び図4を参照しながら、シリカガラスルツボ10の製造方法について詳細に説明する。
図3は、シリカガラスルツボ10の製造方法を説明するための模式図である。また、図4は、シリカガラスルツボ10の製造工程を概略的に示すフローチャートである。
シリカガラスルツボ10は回転モールド法によって製造することができる。回転モールド法では、図3に示すように、シリカガラスルツボ10の外形に合わせたキャビティを有するカーボンモールド14を用意し、モールド14を回転させながらシリカ粉を供給し、モールドの内面に沿ったシリカ粉の層を形成する。
本実施形態においては、まずシリカガラス外層13aの原料となる天然シリカ粉(第1の天然シリカ粉16a)がキャビティ内に供給される(ステップS11)。このとき、第1の天然シリカ粉16aの供給量は、最終的なシリカガラス外層13aの厚さが側壁部10Aにおいて3mm以上、底部10Bにおいて0.5〜2mm以上となるように調整される。第1の天然シリカ粉16aの鉱化剤濃度は、例えばアルミナ粉末を原料シリカ粉に含有させることにより調整することができる。
次に、シリカガラス中間層13bの原料となる天然シリカ粉(第2の天然シリカ粉16b)が供給され、さらにシリカガラス内層13cの原料となる天然シリカ粉又は合成シリカ粉(第3のシリカ粉16c)が供給される(ステップS12、S13)。第3のシリカ粉16cの供給量は、最終的なシリカガラス内層13cの厚さが1mm以上の適切な厚さとなるように調整される。また、第2のシリカ粉16bの供給量は、シリカガラス外層13a及びシリカガラス内層13cを含めた最終的なルツボの肉厚が適切な厚さとなるように調整される。カーボンモールド14は一定速度で回転しているので、供給されたシリカ粉は遠心力によって内面に張り付いたまま一定の位置に留まり、その形状が維持される。
その後、キャビティ内にアーク電極15を設置し、モールドの内側からシリカ粉の層全体を1720℃以上に加熱して溶融する。また、この加熱と同時にモールド側から減圧し、モールドに設けた通気孔を通じてシリカ粉層内部の気体を外層側に吸引し、加熱中のシリカ粉層を脱気することにより、ルツボ内表面の気泡を除去し、実質的に気泡を含まない透明シリカガラス層12を形成する(ステップS14)。その後、加熱を続けながら脱気のための減圧を弱めるか又は停止し、気泡を残留させることにより、多数の微小な気泡を内包する不透明シリカガラス層11を形成する(ステップS15)。最後に加熱を停止してルツボを冷却し(ステップS16)、本実施形態によるシリカガラスルツボが完成する。
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能であり、それらも本発明の範囲に包含されるものであることは言うまでもない。
例えば、上述したシリカガラスルツボの製造方法では、シリカガラス外層13aを含むルツボ全体を回転モールド法により形成しているが、ルツボ底部10Bにおけるシリカガラスルツボ外層13aを溶射法により形成してもよい。なお、側壁部10Aにおけるシリカガラス外層13aについてはその厚さをある程度確保する必要があるので、側壁部10Aのシリカガラス外層13aについてはアーク溶融法によって形成したほうがよい。ルツボ底部10Bのシリカガラスルツボ外層13aを溶射法で形成した場合には、0.5〜2mm程度の非常に薄く均一なシリカガラス層を容易に形成することができる。
(実施例1)
図2に示した3層構造を有するシリカガラスルツボを上記回転モールド法によって製造し、各部位のシリカガラス外層13aの厚さが異なるルツボサンプルA1〜A5を用意した。シリカガラスルツボサンプルA1〜A5のサイズは、直径32インチ(口径800mm)、高さ500mmであり、肉厚は直銅部で17mm、湾曲部で25mmm、底部で14mmとした。また、シリカガラス内層13cの厚さは側壁部で1.5mm、底部で1.0mmとした。さらに、シリカガラス外層13aのAl濃度は全サンプルで100ppmとし、シリカガラス中間層13bのAl濃度は全サンプルで50ppmとした。
次いで、これらのシリカガラスルツボサンプルを用いてシリコン単結晶の引き上げを行った。シリコン単結晶の引き上げでは、シリカガラスルツボ内に原料のポリシリコン400kgを充填した後、シリカガラスルツボを単結晶引き上げ装置に装填し、ルツボ内のポリシリコンを炉内で融解し、直径約300mmのシリコン単結晶インゴットの引き上げをいわゆるリチャージ法により行った。そしてシリコン単結晶の引き上げ終了後、約1500℃の炉内を400℃まで12時間かけて冷却した。すなわち、このときのルツボの冷却速度は約92℃/hであった。その後、炉内からルツボを取り出し、室温まで自然冷却させたルツボの状態を観察した。この結果を表1に示す。
表1に示すように、シリカガラスルツボサンプルA2及びA3はルツボの外表面が完全に結晶化し、リチャージ法を用いて3回繰り返して引上げを行っても、ルツボは十分な強度を示したうえ、冷却後はルツボ底部の外表面が細かく破砕して剥離し、ルツボ残を極めて容易に取り出すことができた。ルツボ側壁部については亀裂箇所があったが、内倒れ等の変形は見られなかった。
一方、シリカガラスルツボサンプルA1は、ルツボ底部における結晶層の形成が不十分であり、冷却時に結晶層はほとんど破砕されず、ルツボ残の取り出しが非常に困難であった。また、シリカガラスルツボサンプルA4は、ルツボの底部及び側壁部共に外表面が完全に結晶化したが、リチャージ法を用いて3回繰り返して引上げを行ったとき、ルツボ側壁部には内倒れによる変形が見られた。冷却後はルツボ底部の外表面が細かく破砕して剥離し、ルツボ残を極めて容易に取り出すことができた。またシリカガラスルツボサンプルA5は、ルツボの外表面が完全に結晶化し、リチャージ法を用いて3回繰り返して引上げを行っても、ルツボは十分な強度を示したが、引き上げ終了後の冷却時にルツボ底部に亀裂が生じて湯漏れが発生した。
(実施例2)
図2に示した3層構造を有するシリカガラスルツボを上記回転モールド法によって製造し、シリカガラス外層13aのAl濃度が異なる点を除いて実施例1のサンプルA3と同様の条件を満たすルツボサンプルB1〜B4を用意した。すなわち、シリカガラス外層13aの底部10Bにおける厚さは2mm、側壁部10Aにおける厚さは4mmとした。
次いで、これらのシリカガラスルツボサンプルB1〜B4を用いてシリコン単結晶の引き上げを行った。この結果を表2に示す。
表2に示すように、シリカガラスルツボサンプルB1及びB2はルツボの外表面が完全に結晶化し、リチャージ法を用いて3回繰り返して引上げを行っても、ルツボは十分な強度を示したうえ、冷却後はルツボ外表面が細かく破砕して剥離し、ルツボ残を極めて容易に取り出すことができた。ルツボ側壁部については亀裂箇所があったが、内倒れ等の変形は見られなかった。
一方、シリカガラスルツボサンプルB3及びB4は、通常の冷却速度では途中で破砕し、ルツボの崩壊を防ぐため冷却に長時間を要した。
(実施例3)
図2に示した3層構造を有するシリカガラスルツボを上記回転モールド法によって製造し、鉱化剤として、Alの代わりに、Ba又はCaを用いた点を除いて、実施例1のサンプルA3と同様の条件を満たすルツボサンプルC1〜C2を用意した。
次いで、これらのシリカガラスルツボサンプルC1〜C2を用いてシリコン単結晶の引き上げを行った。この結果を表3に示す。
表3に示すように、シリカガラスルツボサンプルC1及びC2はルツボの外表面が完全に結晶化し、リチャージ法を用いて3回繰り返して引上げを行っても、ルツボは十分な強度を示したうえ、冷却後はルツボ外表面が細かく破砕して剥離し、ルツボ残を極めて容易に取り出すことができた。ルツボ側壁部については亀裂箇所があった。
内倒れは、起こらなかったが、C1〜C2では、沈み込み量がA3よりも少し大きかった。
10 シリカガラスルツボ
10A 側壁部
10B 底部
10C 湾曲部
11 不透明シリカガラス層
12 透明シリカガラス層
13a シリカガラス外層
13b シリカガラス中間層
13c シリカガラス内層
14 カーボンモールド
15 アーク電極
16a 第1のシリカ粉
16b 第2のシリカ粉
16c 第3のシリカ粉

Claims (6)

  1. 側壁部、湾曲部及び底部を有するシリカガラスルツボであって、
    前記ルツボの外表面側に設けられたシリカガラス外層と、
    前記ルツボの内表面側に設けられたシリカガラス内層と、
    前記前記シリカガラス外層と前記シリカガラス内層との間に設けられたシリカガラス中間層とを備え、
    前記シリカガラス外層は100ppm以上の鉱化剤濃度を有し、
    前記シリカガラス中間層及び前記シリカガラス内層は50ppm以下の鉱化剤濃度を有し、
    前記底部における前記シリカガラス外層の厚さは0.5mm以上2.0mm以下であり、
    前記側壁部における前記シリカガラス外層の厚さは、前記ルツボ底部における前記シリカガラス外層よりも厚いことを特徴とするシリカガラスルツボ。
  2. 前記側壁部における前記シリカガラス外層の厚さは3.0mm以上である請求項1に記載のシリカガラスルツボ。
  3. 前記側壁部における前記シリカガラス外層の平均厚さは、前記湾曲部における前記シリカガラス外層の平均厚さよりも厚く、
    前記湾曲部における前記シリカガラス外層の平均厚さは、前記底部における前記シリカガラス外層の平均厚さよりも厚い請求項1に記載のシリカガラスルツボ。
  4. 前記シリカガラス内層は、20ppm以下の鉱化剤濃度を有する請求項1に記載のシリカガラスルツボ。
  5. シリカガラス外層は、前記側壁部においては実質的に一定の厚さを有し、前記湾曲部においては前記底部に向かって厚さが徐々に薄くなる請求項1に記載のシリカガラスルツボ。
  6. 前記鉱化剤は、Alである請求項1に記載のシリカガラスルツボ。
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