JPWO2010084623A1 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
アシスト制御部61は、モータ電流imのトルクを発生させる方向と、操舵速度ωxの回転方向とが不一致となる電動モータの発電状態を検出し(S12)、その発電状態が連続的に検出されている期間における発電エネルギー相当量Eを算出する(S15)。発電エネルギー相当量Eが判定基準値E0を超えた場合には(S16:Yes)、タイヤからステアリング機構に大きな逆入力が働いた逆入力状態であると判定する。これにより、ステアリング機構に影響を与えない小さな逆入力状態を除外して、ステアリング機構に影響を与えるおそれのある大きな逆入力状態を精度良く検出できる。
Description
本発明は、電動モータの駆動により運転者の操舵操作をアシストする電動パワーステアリング装置に関する。
従来から、電動パワーステアリング装置は、電動モータの出力トルクをステアリング機構のステアリングシャフトやラックバーなどに伝達することによって、運転者の操舵操作をアシストする装置として知られている。車両の走行中において、例えば、タイヤが縁石に衝突したケースなど、タイヤからステアリング機構に大きな力が入力した場合には、車輪が転舵しラックバーに大きな軸力が働く。これにより、ラックバーが軸方向に移動するとともに、ラックバーに連結されたステアリングシャフトが回転する。このようにタイヤからステアリング機構に逆入力が働いて車輪が転舵されてしまう状態を逆入力状態と呼ぶ。逆入力が大きい場合には、ラックバーの先端に設けたラックエンド部材が、ラックハウジングに形成されたストッパ部に衝突し、ステアリング機構に衝撃力が働く。
そこで、例えば、特開平6−8839号公報に提案された電動パワーステアリング装置においては、電動モータの回転力をクラッチを介してステアリング機構に伝達するように構成し、逆入力状態を検出したときにクラッチを離脱させて、電動モータの慣性トルクがステアリング機構に伝達しないようにしている。この逆入力状態の検出は、操舵速度センサにより検出された操舵速度と予め設定した設定値との比較により行っている。つまり、操舵速度が設定値以上となる場合に、逆入力状態であると判定する。
そこで、例えば、特開平6−8839号公報に提案された電動パワーステアリング装置においては、電動モータの回転力をクラッチを介してステアリング機構に伝達するように構成し、逆入力状態を検出したときにクラッチを離脱させて、電動モータの慣性トルクがステアリング機構に伝達しないようにしている。この逆入力状態の検出は、操舵速度センサにより検出された操舵速度と予め設定した設定値との比較により行っている。つまり、操舵速度が設定値以上となる場合に、逆入力状態であると判定する。
しかしながら、逆入力状態の判定を単に操舵速度に基づいて行うと、例えば、車両が轍などごく浅い溝を通過したときに操舵速度が設定値を超えてしまい、こうしたケースであっても、ステアリング機構に加わる衝撃力を緩和する制御が不必要に行われてしまう。従って、タイヤが縁石に衝突したケースのようにステアリング機構に影響を与えるおそれのある(衝撃緩和の必要のある)大きな逆入力が働いた状態と、ステアリング機構に影響を与えない(衝撃緩和の必要のない)小さな逆入力が働いた状態とを判別することができない。
本発明の目的は、上記問題に対処するためになされたもので、ステアリング機構に影響を与えない小さな逆入力状態を除外して、ステアリング機構に影響を与えるおそれのある大きな逆入力状態を精度良く検出することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、ステアリング機構に設けられた電動モータの駆動により運転者の操舵操作をアシストする電動パワーステアリング装置において、前記電動モータの出力を検出するモータ出力検出手段と、前記ステアリング機構の回転状態を検出する回転状態検出手段と、前記モータ出力検出手段と前記回転状態検出手段との検出結果に基づいて、前記電動モータがトルクを発生させる方向と前記ステアリング機構の回転方向とが不一致となる前記電動モータの発電状態を検出する発電状態検出手段と、前記発電状態が連続的に検出されている期間内における、前記電動モータで発生する発電エネルギー相当量を演算する発電エネルギー演算手段と、前記演算された発電エネルギー相当量が判定基準値よりも大きくなったときに、タイヤから前記ステアリング機構に逆入力が働いている逆入力状態であると判定する逆入力検出手段と、前記逆入力検出手段により逆入力状態を検出したとき、前記逆入力による前記ステアリング機構の回転を抑制する逆入力回転抑制手段とを備えたことにある。
この場合、前記回転状態検出手段は、前記電動モータの回転速度、あるいは、ステアリングシャフトの回転速度を検出するとよい。
本発明においては、モータ出力検出手段が電動モータの出力を検出し、回転状態検出手段がステアリング機構の回転状態を検出する。ステアリング機構の回転状態とは、ステアリング機構に設けられ操舵操作とともに回転する部材の回転状態である。従って、電動モータの回転速度、あるいは、ステアリングシャフトの回転速度を検出することにより、簡単にステアリング機構の回転状態を検出することができる。
タイヤから逆入力が働いて転舵輪が転舵された場合、ステアリング機構(ステアリングシャフト)が急激に回転し、この回転運動エネルギーにより電動モータのロータが回される。このとき、電動モータは、ステアリング機構の回転を抑制する方向にモータコイルに電流が流れて発電状態となる。従って、電動モータがトルクを発生させる方向とステアリング機構の回転方向とは不一致(反対方向)となる。また、タイヤが縁石に衝突したケースのように、大きな逆入力が働いた場合には、電動モータの1回の連続した発電期間中に発生する発電エネルギー量が多い。そこで、本発明においては、発電状態検出手段、発電エネルギー演算手段、逆入力検出手段を備え、こうした事象を捉えることで、ステアリング機構に影響を与えるおそれのある大きな逆入力状態を精度良く判定する。
発電状態検出手段は、モータ出力検出手段と回転状態検出手段との検出結果に基づいて、電動モータがトルクを発生させる方向とステアリング機構の回転方向とが不一致となる電動モータの発電状態を検出する。発電エネルギー演算手段は、発電状態が連続的に検出されている期間内における電動モータで発生する発電エネルギー相当量を演算する。そして、逆入力検出手段は、発電エネルギー演算手段により演算された発電エネルギー相当量が判定基準値よりも大きくなったときに、タイヤからステアリング機構に逆入力が働いている逆入力状態であると判定する。従って、ステアリング機構に影響を与えないような小さな逆入力状態を除外して、ステアリング機構に影響を与えるおそれのある大きな逆入力状態を精度良く検出することができる。
こうして逆入力状態が検出されると、逆入力回転抑制手段は、逆入力によるステアリング機構の回転を抑制する。従って、ステアリング機構に発生する衝撃を緩和することができる。
本発明の他の特徴は、前記モータ出力検出手段は、前記電動モータに流れる電流を検出するモータ電流検出手段であり、前記発電状態検出手段は、前記モータ電流検出手段により検出された電流により前記電動モータがトルクを発生させる方向と、前記回転状態検出手段により検出された前記ステアリング機構の回転方向とが不一致となる前記電動モータの発電状態を検出し、前記発電エネルギー演算手段は、前記発電状態が連続的に検出されている期間内における、前記モータ電流検出手段により検出された電流と前記回転状態検出手段により検出された回転速度との積を時間積分した値を前記発電エネルギー相当量として算出することにある。
本発明においては、モータ電流検出手段により電動モータに流れる電流を検出することで、電動モータがトルクを発生させる方向を判別することができる。従って、電動モータの発電状態を簡単に検出することができる。発電エネルギー演算手段は、発電状態が連続的に検出されている期間内における、モータ電流検出手段により検出された電流と回転速度検出手段により検出された回転速度との積を時間積分した値を発電エネルギー相当量として算出する。従って、発電エネルギー相当量を適切に算出することができる。尚、発電エネルギー相当量は、発電エネルギー量と等しい値にする必要はなく、逆入力状態を判定するための判定基準値と比較する値であるため、発電エネルギー量の増減に伴って増減する値であればよい。
本発明の他の特徴は、前記逆入力回転抑制手段は、前記電動モータの駆動回路を制御して、前記電動モータの相間を短絡し前記電動モータにブレーキを働かせることにある。
これによれば、モータコイルに短絡電流が流れてロータの回転を止めようとする制動力が働くため、ステアリング機構の回転速度を低減することができる。このため、ラックバーがストロークエンド位置に達したとき、つまり、ラックエンド部材がストッパに衝突したときに発生する衝撃を緩和することができる。従って、ステアリング機構、特に、ステアリングシャフトの耐久性を向上させることができる。また、電動モータによる通常の操舵アシスト用の通電を行わないため、ラックエンド部材がストッパに衝突したときに、ハンドル慣性力によりステアリングシャフトのトーションバーが捩られても、それによる衝突方向への操舵アシストトルクを発生させない。これによっても、ステアリングシャフトに働くトルクを低減することができる。
本発明の他の特徴は、車載電源の出力電圧を昇圧して前記電動モータの駆動回路に電源供給する昇圧回路と、前記昇圧回路に対して前記電動モータの駆動回路と並列に接続されて、前記昇圧回路により充電されるとともに、蓄電した電気エネルギーを放電して前記電動モータの駆動回路への電源供給を補助する副電源と、前記電動モータの駆動回路を制御して、前記電動モータで発生した発電エネルギーを前記副電源に吸収させる回生制御手段とを備えたことにある。
本発明においては、車載電源の出力電圧を昇圧して電動モータの駆動回路に電源供給する昇圧回路を備えているため、電動モータを大電力にて駆動することができる。また、昇圧回路には副電源も接続される。副電源は、昇圧回路の出力により充電されるとともに、蓄電した電気エネルギーを放電して電動モータの駆動回路への電源供給を補助する。つまり、電動モータの駆動回路において大電力を消費する場合には、副電源により電源供給を補助できるようになっている。従って、車載電源装置を大容量化しなくても、電動パワーステアリング装置の大出力化を図ることが可能となる。
電動モータで発電した場合、その発電エネルギーを放出する必要がある。特に、電動モータの相間短絡によりブレーキを働かせた場合、発電エネルギーは、電動モータおよび駆動回路内の素子(モータコイル、スイッチング素子など)で熱として消費される。従って、電動モータおよび駆動回路の過熱を防止する必要性から、相間短絡によるブレーキには制限が加わる。そこで、本発明においては、電動モータで発生した発電エネルギーを副電源に吸収させる(回生させる)ことにより発熱を抑える。例えば、逆入力が働いたときに相間短絡によりブレーキを働かせ、その後、電動モータに蓄積された発電エネルギーを副電源に吸収させる。これにより、電動モータおよび駆動回路の過熱を防止しつつ電動モータにブレーキを働かせることが可能となる。また、電動モータで発生した発電エネルギーを車載電源に吸収(回生)させる場合に比べて、昇圧回路に負荷がかからなくてすむ。
本発明の他の特徴は、前記副電源の充電率を上限充電率以下に制限する充電制限手段と、逆入力検出手段により逆入力状態であると判定された場合、前記上限充電率を増大させる上限充電率変更手段とを備えたことにある。
本発明においては、充電制限手段が、副電源の充電率を上限充電率以下に制限して副電源の過充電を防止する。このように上限充電率の制限を加えると、逆入力がステアリング機構に働いたときに、電動モータで発生した発電エネルギーを副電源に十分吸収させることができなくなってしまう。つまり、副電源に吸収させる発電エネルギーが少量に制限されてしまう。そこで、本発明においては、逆入力検出手段により逆入力状態であると判定された場合、上限充電率変更手段が上限充電率を増大させる。従って、副電源で吸収することができる電気容量が増加し、電動モータで発生した発電エネルギーを副電源に十分吸収させることができる。この結果、電動モータに十分なブレーキ力を与えることができる。
本発明の目的は、上記問題に対処するためになされたもので、ステアリング機構に影響を与えない小さな逆入力状態を除外して、ステアリング機構に影響を与えるおそれのある大きな逆入力状態を精度良く検出することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、ステアリング機構に設けられた電動モータの駆動により運転者の操舵操作をアシストする電動パワーステアリング装置において、前記電動モータの出力を検出するモータ出力検出手段と、前記ステアリング機構の回転状態を検出する回転状態検出手段と、前記モータ出力検出手段と前記回転状態検出手段との検出結果に基づいて、前記電動モータがトルクを発生させる方向と前記ステアリング機構の回転方向とが不一致となる前記電動モータの発電状態を検出する発電状態検出手段と、前記発電状態が連続的に検出されている期間内における、前記電動モータで発生する発電エネルギー相当量を演算する発電エネルギー演算手段と、前記演算された発電エネルギー相当量が判定基準値よりも大きくなったときに、タイヤから前記ステアリング機構に逆入力が働いている逆入力状態であると判定する逆入力検出手段と、前記逆入力検出手段により逆入力状態を検出したとき、前記逆入力による前記ステアリング機構の回転を抑制する逆入力回転抑制手段とを備えたことにある。
この場合、前記回転状態検出手段は、前記電動モータの回転速度、あるいは、ステアリングシャフトの回転速度を検出するとよい。
本発明においては、モータ出力検出手段が電動モータの出力を検出し、回転状態検出手段がステアリング機構の回転状態を検出する。ステアリング機構の回転状態とは、ステアリング機構に設けられ操舵操作とともに回転する部材の回転状態である。従って、電動モータの回転速度、あるいは、ステアリングシャフトの回転速度を検出することにより、簡単にステアリング機構の回転状態を検出することができる。
タイヤから逆入力が働いて転舵輪が転舵された場合、ステアリング機構(ステアリングシャフト)が急激に回転し、この回転運動エネルギーにより電動モータのロータが回される。このとき、電動モータは、ステアリング機構の回転を抑制する方向にモータコイルに電流が流れて発電状態となる。従って、電動モータがトルクを発生させる方向とステアリング機構の回転方向とは不一致(反対方向)となる。また、タイヤが縁石に衝突したケースのように、大きな逆入力が働いた場合には、電動モータの1回の連続した発電期間中に発生する発電エネルギー量が多い。そこで、本発明においては、発電状態検出手段、発電エネルギー演算手段、逆入力検出手段を備え、こうした事象を捉えることで、ステアリング機構に影響を与えるおそれのある大きな逆入力状態を精度良く判定する。
発電状態検出手段は、モータ出力検出手段と回転状態検出手段との検出結果に基づいて、電動モータがトルクを発生させる方向とステアリング機構の回転方向とが不一致となる電動モータの発電状態を検出する。発電エネルギー演算手段は、発電状態が連続的に検出されている期間内における電動モータで発生する発電エネルギー相当量を演算する。そして、逆入力検出手段は、発電エネルギー演算手段により演算された発電エネルギー相当量が判定基準値よりも大きくなったときに、タイヤからステアリング機構に逆入力が働いている逆入力状態であると判定する。従って、ステアリング機構に影響を与えないような小さな逆入力状態を除外して、ステアリング機構に影響を与えるおそれのある大きな逆入力状態を精度良く検出することができる。
こうして逆入力状態が検出されると、逆入力回転抑制手段は、逆入力によるステアリング機構の回転を抑制する。従って、ステアリング機構に発生する衝撃を緩和することができる。
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本発明においては、モータ電流検出手段により電動モータに流れる電流を検出することで、電動モータがトルクを発生させる方向を判別することができる。従って、電動モータの発電状態を簡単に検出することができる。発電エネルギー演算手段は、発電状態が連続的に検出されている期間内における、モータ電流検出手段により検出された電流と回転速度検出手段により検出された回転速度との積を時間積分した値を発電エネルギー相当量として算出する。従って、発電エネルギー相当量を適切に算出することができる。尚、発電エネルギー相当量は、発電エネルギー量と等しい値にする必要はなく、逆入力状態を判定するための判定基準値と比較する値であるため、発電エネルギー量の増減に伴って増減する値であればよい。
本発明の他の特徴は、前記逆入力回転抑制手段は、前記電動モータの駆動回路を制御して、前記電動モータの相間を短絡し前記電動モータにブレーキを働かせることにある。
これによれば、モータコイルに短絡電流が流れてロータの回転を止めようとする制動力が働くため、ステアリング機構の回転速度を低減することができる。このため、ラックバーがストロークエンド位置に達したとき、つまり、ラックエンド部材がストッパに衝突したときに発生する衝撃を緩和することができる。従って、ステアリング機構、特に、ステアリングシャフトの耐久性を向上させることができる。また、電動モータによる通常の操舵アシスト用の通電を行わないため、ラックエンド部材がストッパに衝突したときに、ハンドル慣性力によりステアリングシャフトのトーションバーが捩られても、それによる衝突方向への操舵アシストトルクを発生させない。これによっても、ステアリングシャフトに働くトルクを低減することができる。
本発明の他の特徴は、車載電源の出力電圧を昇圧して前記電動モータの駆動回路に電源供給する昇圧回路と、前記昇圧回路に対して前記電動モータの駆動回路と並列に接続されて、前記昇圧回路により充電されるとともに、蓄電した電気エネルギーを放電して前記電動モータの駆動回路への電源供給を補助する副電源と、前記電動モータの駆動回路を制御して、前記電動モータで発生した発電エネルギーを前記副電源に吸収させる回生制御手段とを備えたことにある。
本発明においては、車載電源の出力電圧を昇圧して電動モータの駆動回路に電源供給する昇圧回路を備えているため、電動モータを大電力にて駆動することができる。また、昇圧回路には副電源も接続される。副電源は、昇圧回路の出力により充電されるとともに、蓄電した電気エネルギーを放電して電動モータの駆動回路への電源供給を補助する。つまり、電動モータの駆動回路において大電力を消費する場合には、副電源により電源供給を補助できるようになっている。従って、車載電源装置を大容量化しなくても、電動パワーステアリング装置の大出力化を図ることが可能となる。
電動モータで発電した場合、その発電エネルギーを放出する必要がある。特に、電動モータの相間短絡によりブレーキを働かせた場合、発電エネルギーは、電動モータおよび駆動回路内の素子(モータコイル、スイッチング素子など)で熱として消費される。従って、電動モータおよび駆動回路の過熱を防止する必要性から、相間短絡によるブレーキには制限が加わる。そこで、本発明においては、電動モータで発生した発電エネルギーを副電源に吸収させる(回生させる)ことにより発熱を抑える。例えば、逆入力が働いたときに相間短絡によりブレーキを働かせ、その後、電動モータに蓄積された発電エネルギーを副電源に吸収させる。これにより、電動モータおよび駆動回路の過熱を防止しつつ電動モータにブレーキを働かせることが可能となる。また、電動モータで発生した発電エネルギーを車載電源に吸収(回生)させる場合に比べて、昇圧回路に負荷がかからなくてすむ。
本発明の他の特徴は、前記副電源の充電率を上限充電率以下に制限する充電制限手段と、逆入力検出手段により逆入力状態であると判定された場合、前記上限充電率を増大させる上限充電率変更手段とを備えたことにある。
本発明においては、充電制限手段が、副電源の充電率を上限充電率以下に制限して副電源の過充電を防止する。このように上限充電率の制限を加えると、逆入力がステアリング機構に働いたときに、電動モータで発生した発電エネルギーを副電源に十分吸収させることができなくなってしまう。つまり、副電源に吸収させる発電エネルギーが少量に制限されてしまう。そこで、本発明においては、逆入力検出手段により逆入力状態であると判定された場合、上限充電率変更手段が上限充電率を増大させる。従って、副電源で吸収することができる電気容量が増加し、電動モータで発生した発電エネルギーを副電源に十分吸収させることができる。この結果、電動モータに十分なブレーキ力を与えることができる。
図1は、本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の概略構成図である。
図2は、アシスト制御部の実施するメインルーチンを表すフローチャートである。
図3は、逆入力判定サブルーチンを表すフローチャートである。
図4は、操舵アシスト制御サブルーチンを表すフローチャートである。
図5は、逆入力回転抑制制御サブルーチンを表すフローチャートである。
図6は、電源制御部の実施するメインルーチンを表すフローチャートである。
図7は、通常充放電制御サブルーチンを表すフローチャートである。
図8は、逆入力時充電制御サブルーチンを表すフローチャートである。
図9は、逆入力時におけるシャフトトルク、モータトルク、シャフト回転数の推移を表すグラフである。
図10は、基本アシストトルクテーブルを表す特性図である。
図11は、逆入力時におけるシャフトトルク成分の推移を表すグラフである。
図12は、変形例としての逆入力回転抑制制御サブルーチンを表すフローチャートである。
図2は、アシスト制御部の実施するメインルーチンを表すフローチャートである。
図3は、逆入力判定サブルーチンを表すフローチャートである。
図4は、操舵アシスト制御サブルーチンを表すフローチャートである。
図5は、逆入力回転抑制制御サブルーチンを表すフローチャートである。
図6は、電源制御部の実施するメインルーチンを表すフローチャートである。
図7は、通常充放電制御サブルーチンを表すフローチャートである。
図8は、逆入力時充電制御サブルーチンを表すフローチャートである。
図9は、逆入力時におけるシャフトトルク、モータトルク、シャフト回転数の推移を表すグラフである。
図10は、基本アシストトルクテーブルを表す特性図である。
図11は、逆入力時におけるシャフトトルク成分の推移を表すグラフである。
図12は、変形例としての逆入力回転抑制制御サブルーチンを表すフローチャートである。
以下、本発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置について図面を用いて説明する。図1は、同実施形態に係る車両の電動パワーステアリング装置の概略構成を表している。
この電動パワーステアリング装置は、操舵ハンドル11の操舵操作により操舵輪である左前輪Wflと右前輪Wfrとを転舵するステアリング機構10と、ステアリング機構10に組み付けられ操舵アシストトルクを発生する電動モータ20と、電動モータ20を駆動するためのモータ駆動回路30と、主電源100の出力電圧を昇圧してモータ駆動回路30に電源供給する昇圧回路40と、昇圧回路40とモータ駆動回路30との間の電源供給回路に並列接続される副電源50と、電動モータ20および昇圧回路40の作動を制御する電子制御装置60とを主要部として備えている。
ステアリング機構10は、操舵ハンドル11の回動操作に連動したステアリングシャフト12の軸線周りの回転をラックアンドピニオン機構13によりラックバー14の左右方向のストローク運動に変換して、このラックバー14のストローク運動により操舵輪である左前輪Wflと右前輪Wfrとを操舵するようになっている。ステアリングシャフト12は、操舵ハンドル11を上端に連結したメインシャフト12aと、ラックアンドピニオン機構13と連結されるピニオンシャフト12cと、メインシャフト12aとピニオンシャフト12cとをユニバーサルジョイント12d,12eを介して連結するインターミディエイトシャフト12bとから構成される。
ラックバー14は、ギヤ部14aがラックハウジング15内に収納され、その左右両端がラックハウジング15から露出してタイロッド16と連結される。左右のタイロッド16の他端は、左右前輪Wfl,Wfrに設けられたナックル17に接続される。ラックバー14のタイロッド16との連結部には、ラックエンド部材18が設けられている。一方、ラックハウジング15の両端には、ストッパ部15aが形成されている。ラックバー14は、ラックエンド部材18とストッパ部15aとの当接により、その左右のストローク移動範囲が機械的に制限される。以下、ラックバー14がストッパ部15aにより移動制限される位置をストロークエンドと呼ぶ。また、左前輪Wflと右前輪Wfrとを単に操舵輪Wと呼ぶ。
ステアリングシャフト12(メインシャフト12a)には減速ギヤ19を介して電動モータ20が組み付けられている。電動モータ20は、例えば、三相ブラシレスモータが使用される。電動モータ20は、ロータの回転により減速ギヤ19を介してステアリングシャフト12をその中心軸周りに回転駆動して、操舵ハンドル11の回動操作に対して操舵アシストトルクを付与する。
電動モータ20には、回転角センサ21が設けられる。この回転角センサ21は、電動モータ20内に組み込まれ、電動モータ20のロータの回転角度位置に応じた検出信号を出力する。この回転角センサ21の検出信号は、電動モータ20の回転角および回転角速度の計算に利用される。一方、この電動モータ20の回転角は、操舵ハンドル11の操舵角に比例するものであるので、操舵ハンドル11の操舵角としても共通に用いられる。また、電動モータ20の回転角を時間微分した回転角速度は、操舵ハンドル11の操舵速度に比例するものであるため、操舵ハンドル11の操舵速度としても共通に用いられる。以下、回転角センサ21の出力信号により検出される操舵ハンドル11の操舵角の値を操舵角θxと呼び、その操舵角θxを時間微分して得られる操舵速度の値を操舵速度ωxと呼ぶ。操舵角θxは、正負の値により操舵ハンドル11の中立位置に対する右方向および左方向の舵角をそれぞれ表す。本実施形態においては、操舵ハンドル11の中立位置を「0」とし、中立位置に対する右方向への舵角を正の値で表し、中立位置に対する左方向への舵角を負の値で表す。また、操舵速度ωxは、操舵ハンドル11が右方向に回転しているときの操舵速度を正の値で表し、操舵ハンドル11が左方向に回転しているときの操舵速度を負の値で表す。この操舵速度は、ステアリングシャフト12の回転速度と比例するものであり、本発明におけるステアリング機構の回転速度に相当する。また、操舵角の大きさ、および、操舵速度の大きさは、その絶対値にて表される。
ステアリングシャフト12(メインシャフト12a)には、操舵ハンドル11と減速ギヤ19との間に操舵トルクセンサ22が設けられている。操舵トルクセンサ22は、ステアリングシャフト12(メインシャフト12a)に介装されているトーションバー(図示略)に働いた捩り力を、操舵ハンドル11に付与された操舵トルクTxとして検出する。例えば、トーションバーの軸方向両端にレゾルバを設け、この2つのレゾルバにより検出される回転角度の差に基づいて操舵トルクTxを検出する。
尚、操舵トルクTxは、ステアリングシャフト12に右回転方向に働くトルク(トーションバーの上部が下部に対して相対的に右回転位置となる捩り状態でのトルク)を正の値で、左回転方向に働くトルク(トーションバーの上部が下部に対して相対的に左回転位置となる捩り状態でのトルク)を負の値で表すことにする。また、操舵トルクの大きさは、その絶対値にて表される。
モータ駆動回路30は、MOS−FET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)からなる6個のスイッチング素子SW1〜SW6により3相インバータ回路を構成したものである。具体的には、第1スイッチング素子SW1、第2スイッチング素子SW2,第3スイッチング素子SW3を並列に設けた上アーム回路と、第4スイッチング素子SW4、第5スイッチング素子SW5,第6スイッチング素子SW6を並列に設けた下アーム回路とを直列接続し、上下のアーム回路の間から電動モータ20への電力供給ライン37を引き出した構成を採用している。
モータ駆動回路30には、電動モータ20に流れる電流を検出するモータ電流センサ38が設けられる。このモータ電流センサ38は、各相(U相,V相,W相)ごとに流れる電流をそれぞれ検出し、その検出した電流値に対応した検出信号を電子制御装置60のアシスト制御部61に出力する。以下、モータ電流センサ38により測定される電流をモータ電流imと呼ぶ。モータ電流imは、電動モータ20に右方向の操舵トルクを発生させるように流れる電流を正の値で、電動モータ20に左方向の操舵トルクを発生させるように流れる電流を負の値で表すことにする。また、モータ電流の大きさは、その絶対値にて表される。
モータ駆動回路30の各スイッチング素子SW1〜SW6は、それぞれゲートが電子制御装置60に接続され、電子制御装置60から出力されるPWM制御信号によりデューティ比が制御される。これにより電動モータ20の駆動電圧が目標電圧に調整される。尚、図中に回路記号で示すように、スイッチング素子SW1〜SW6を構成するMOSFETには、構造上ダイオードが寄生している。
次に、電動パワーステアリング装置の電源供給系統について説明する。電動パワーステアリング装置は、車載電源である主電源100から電源供給される。主電源100は、定格出力電圧12Vの一般的な車載バッテリである主バッテリ101と、エンジンの回転により発電する定格出力電圧14Vのオルタネータ102とを並列接続して構成される。主バッテリ101の電源端子(+端子)には、電源供給元ライン103が接続され、グランド端子には接地ライン111が接続される。この電源供給元ライン103と接地ライン111との間にオルタネータ102が接続される。
電源供給元ライン103は、制御系電源ライン104と駆動系電源ライン105とに分岐する。制御系電源ライン104は、電子制御装置60に電源供給するための電源ラインとして機能する。駆動系電源ライン105は、モータ駆動回路30と電子制御装置60との両方に電源供給する電源ラインとして機能する。
制御系電源ライン104には、イグニッションスイッチ106が接続される。駆動系電源ライン105には、主電源リレー107が接続される。この主電源リレー107は、電子制御装置60のアシスト制御部61からのオン信号により接点を閉じて電動モータ20への電力供給回路を形成し、オフ信号により接点を開いて電動モータ20への電力供給回路を遮断するものである。制御系電源ライン104は、電子制御装置60の電源+端子に接続されるが、その途中で、イグニッションスイッチ106よりも負荷側(電子制御装置60側)においてダイオード108を備えている。このダイオード108は、カソードを電子制御装置60側、アノードを主電源100側に向けて設けられ、電源供給方向にのみ通電可能とする逆流防止素子である。
駆動系電源ライン105には、主電源リレー107よりも負荷側において制御系電源ライン104と接続する連結ライン109が分岐して設けられる。この連結ライン109は、制御系電源ライン104におけるダイオード108の接続位置よりも電子制御装置60側に接続される。また、連結ライン109には、ダイオード110が接続される。このダイオード110は、カソードを制御系電源ライン104側に向け、アノードを駆動系電源ライン105側に向けて設けられる。従って、連結ライン109を介して駆動系電源ライン105から制御系電源ライン104には電源供給できるが、制御系電源ライン104から駆動系電源ライン105には電源供給できないような回路構成となっている。駆動系電源ライン105および接地ライン111は、昇圧回路40に接続される。また、接地ライン111は、電子制御装置60の接地端子にも接続される。
昇圧回路40は、駆動系電源ライン105と接地ライン111との間に設けられるコンデンサ41と、コンデンサ41の接続点より負荷側の駆動系電源ライン105に直列に設けられる昇圧用コイル42と、昇圧用コイル42の負荷側の駆動系電源ライン105と接地ライン111との間に設けられる第1昇圧用スイッチング素子43と、第1昇圧用スイッチング素子43の接続点より負荷側の駆動系電源ライン105に直列に設けられる第2昇圧用スイッチング素子44と、第2昇圧用スイッチング素子44の負荷側の駆動系電源ライン105と接地ライン111との間に設けられるコンデンサ45とから構成される。昇圧回路40の二次側には、昇圧電源ライン112が接続される。
本実施形態においては、この昇圧用スイッチング素子43,44としてMOSFETを用いるが,他のスイッチング素子を用いることも可能である。また、図中に回路記号で示すように、昇圧用スイッチング素子43,44を構成するMOSFETには、構造上ダイオードが寄生している。
昇圧回路40は、電子制御装置60の電源制御部62により昇圧制御される。電源制御部62は、第1,第2昇圧用スイッチング素子43,44のゲートに所定周期のパルス信号を出力して両スイッチング素子43,44をオン・オフし、主電源100から供給された電源を昇圧して昇圧電源ライン112に所定の出力電圧を発生させる。この場合、第1,第2昇圧用スイッチング素子43,44は、互いにオン・オフ動作が逆になるように制御される。昇圧回路40は、第1昇圧用スイッチング素子43をオン、第2昇圧用スイッチング素子44をオフにして昇圧用コイル42に短時間だけ電流を流して昇圧用コイル42に電力をため、その直後に、第1昇圧用スイッチング素子43をオフ、第2昇圧用スイッチング素子44をオンにして昇圧用コイル42にたまった電力を出力するように動作する。
第2昇圧用スイッチング素子44の出力電圧は、コンデンサ45により平滑される。従って、安定した昇圧電源が昇圧電源ライン112から出力される。この場合、周波数特性の異なる複数のコンデンサを並列に接続して平滑特性を向上させるようにしてもよい。また、昇圧回路40の入力側に設けたコンデンサ41により、主電源100側へのノイズが除去される。
昇圧回路40の昇圧電圧(出力電圧)は、第1、第2昇圧用スイッチング素子43,44のデューティ比の制御(PWM制御)により調整可能となっており、例えば、20V〜50Vの範囲で昇圧電圧を調整できるように構成される。尚、昇圧回路40として、汎用のDC−DCコンバータを使用することもできる。
昇圧電源ライン112は、昇圧駆動ライン113と充放電ライン114とに分岐する。昇圧駆動ライン113は、モータ駆動回路30の電源入力部に接続される。充放電ライン114は、副電源50のプラス端子に接続される。
副電源50は、昇圧回路40により充電され、モータ駆動回路30で大電力を必要としたときに、主電源100を補助してモータ駆動回路30に電源供給する蓄電装置である。従って、副電源50は、昇圧回路40の昇圧電圧相当の電圧を維持できるように複数の蓄電セルを直列に接続して構成される。副電源50の接地端子は、接地ライン111に接続される。この副電源50として、例えば、キャパシタ(電気二重層コンデンサ)、二次電池などを用いることができる。
昇圧回路40の出力側には、第1電流センサ51と第1電圧センサ52が設けられる。第1電流センサ51は、昇圧電源ライン112に流れる電流値を表す検出信号を電子制御装置60の電源制御部62に出力する。また、第1電圧センサ52は、昇圧回路40の出力電圧を表す検出信号を電源制御部62に出力する。以下、第1電流センサ51により検出される電流を出力電流i1と呼び、第1電圧センサにより検出される電圧を出力電圧v1と呼ぶ。
充放電ライン114には、副電源リレー115が設けられる。この副電源リレー115は、電源制御部62からのオン信号により接点を閉じて副電源50の充放電回路を形成し、オフ信号により接点を開いて副電源50の充放電回路を遮断するものである。さらに、充放電ライン114には、副電源50に流れる電流を検出する第2電流センサ53、および、副電源50の出力電圧(電源電圧)を検出する第2電圧センサ54が設けられる。第2電流センサ53は、電流の向き、つまり、昇圧回路40から副電源50に流れる充電電流と、副電源50からモータ駆動回路30に流れる放電電流とを区別して、それらの大きさを測定し、測定値に応じた検出信号を電源制御部62に出力する。以下、第2電流センサ53により検出される電流を実充放電電流i2と呼び、第2電圧センサ54により検出される電圧を副電源電圧v2と呼ぶ。尚、本実施形態において実充放電電流i2は、充電電流として流れるときには正の値を使い、放電電流として流れるときには負の値を使って表す。
電子制御装置60は、CPU,ROM,RAM等からなるマイクロコンピュータを主要部として構成され、その機能から、アシスト制御部61と電源制御部62とに大別される。アシスト制御部61は、回転角センサ21、操舵トルクセンサ22、モータ電流センサ38、車速センサ23を接続し、操舵角θx、操舵トルクTx、モータ電流im、車速Vxを表すセンサ信号を入力する。
アシスト制御部61は、これらのセンサ信号に基づいて、モータ駆動回路30にPWM制御信号を出力して電動モータ20を駆動制御し、運転者の操舵操作をアシストする。また、アシスト制御部61は、タイヤからステアリング機構10に逆入力が働く逆入力状態が発生していないか常に監視し、逆入力状態を検出したときに、操舵アシストを停止するとともに、電動モータ20の相間短絡によるブレーキを働かせてステアリング機構10の回転を抑制する。尚、ステアリング機構10の回転とは、操舵操作に応じて回転する部材、つまり、ステアリングシャフト12や電動モータ20の回転を意味する。
電源制御部62は、昇圧回路40の昇圧制御を行うことにより副電源50の充電と放電とを制御する。電源制御部62には、第1電流センサ51,第1電圧センサ52,第2電流センサ53,第2電圧センサ54を接続し、出力電流i1,出力電圧v1,実充放電電流i2,副電源電圧v2を表すセンサ信号を入力する。また、電源制御部62は、アシスト制御部61と相互に信号授受できるように構成されている。電源制御部62は、これらセンサ信号、および、アシスト制御部61に入力されたセンサ信号に基づいて、昇圧回路40にPWM制御信号を出力する。昇圧回路40は、入力したPWM制御信号にしたがって第1,第2昇圧用スイッチング素子43,44のデューティ比を制御することにより、その出力電圧である昇圧電圧を変化させる。また、電源制御部62は、アシスト制御部61により逆入力状態が検出されたとき、副電源50の上限充電率を上昇させて電動モータ20で発生した発電エネルギーを副電源50に良好に吸収させるように制御する。
次に、電子制御装置60のアシスト制御部61が行う処理について説明する。図2は、アシスト制御部61により実施されるメイン制御ルーチンを表し、電子制御装置60のROM内に制御プログラムとして記憶される。メイン制御ルーチンは、イグニッションスイッチ106の投入(オン)により起動する。尚、メイン制御ルーチンの起動時においては、主電源リレー107にオン信号が出力され、主電源リレー107の接点が閉じて昇圧回路40に電源供給される。
メインルーチンが起動すると、アシスト制御部61は、ステップS10において、逆入力判定処理を行う。この逆入力判定処理は、図3に示すサブルーチンに従って処理される。この処理については、後述するが、操舵輪Wのタイヤが縁石に衝突したケースのように、ステアリング機構10に影響を与えるおそれのある大きな逆入力を検出する処理であって、ステアリング機構10に影響を与えないような小さな逆入力については検出対象から除外するものである。逆入力判定処理において、逆入力が検出されたときには、判定フラグFが「1」に設定され、逆入力が検出されていないときには、判定フラグFが「0」に設定される。
アシスト制御部61は、ステップS20において、判定フラグFに基づいて、逆入力が検出されたか否かを判断し、逆入力が検出されていない場合(F=0)には、ステップS30において、操舵アシスト制御処理を行い、逆入力が検出された(F=1)場合には、ステップS40において、逆入力回転抑制制御処理を行う。
操舵アシスト制御処理は、図4に示すサブルーチンに従って処理され、逆入力回転抑制制御処理は、図5に示すサブルーチンに従って処理される。アシスト制御部61は、ステップS10の逆入力判定処理により逆入力が検出されていない間は、イグニッションスイッチ106がオフされるまでステップS30の操舵アシスト制御処理を所定の短い周期で繰り返す。一方、ステップS10の逆入力判定処理により逆入力が検出された場合には、ステップS40の逆入力回転抑制制御処理を行ってメインルーチンを終了する。従って、逆入力が検出された場合には、再度、イグニッションスイッチ106がオンされるまでは、操舵アシスト制御処理が停止される。尚、イグニッションスイッチ106が再度オンされても、操舵アシスト制御処理を再開させないようにしてもよい。また、逆入力回転抑制制御処理が終了したら、操舵アシスト制御を再開させるようにしてもよい。
まず、ステップS10の逆入力判定処理について説明する。図3は、ステップS10の処理を逆入力判定サブルーチンとして具体的に表したフローチャートである。逆入力判定サブルーチンが起動すると、アシスト制御部61は、まず、ステップS11において、モータ電流センサ38によって検出されたモータ電流imと、回転角センサ21によって検出された操舵角θxとを読み込む。
続いて、アシスト制御部61は、ステップS12において、モータ電流imと操舵速度ωxとの積(im×ωx)が負の値であるか否かを判定する。操舵速度ωxは、操舵角θxを時間微分して求めたものである。モータ電流imは、電動モータ20に右方向に操舵トルクを発生させるように流れる電流を正の値で、電動モータ20に左方向の操舵トルクを発生させるように流れる電流を負の値で表される。また、操舵速度ωxは、ステアリングシャフト12が右方向に回転する速度を正の値で、ステアリングシャフト12が左方向に回転する速度を負の値で表される。従って、モータ電流imと操舵速度ωxとの積が負の値となる場合は、電動モータ20のロータがステアリングシャフト12の回転により回されて、電動モータ20が発電している状態である。
アシスト制御部61は、ステップS12において「No」、つまり、電動モータ20が発電していない状態であると判定した場合には、ステップS13において、後述する発電エネルギー相当量Eの値をゼロクリアし、ステップS14において、「逆入力無し」と判定して判定フラグFを「0」に設定し、逆入力判定サブルーチンを抜ける。一方、ステップS12において「Yes」、つまり、電動モータ20が発電している状態であると判定した場合には、ステップS15において、発電エネルギー相当量Eを次式により算出する。
E=∫|im×ωx|dt
逆入力判定サブルーチンは所定の短い周期で繰り返されることから、このステップS15においては、所定の周期でモータ電流imと操舵速度ωxとの積の絶対値|im×ωx|を演算し、その演算結果を累積した値を発電エネルギー相当量Eとしている。
続いて、アシスト制御部61は、ステップS16において、算出した発電エネルギー相当量Eが予め設定された判定基準値E0よりも大きいか否かを判断する。発電エネルギー相当量Eが判定基準値E0以下である場合には(S16:No)、ステップS14において、「逆入力無し」と判定して判定フラグFを「0」に設定し、逆入力判定サブルーチンを抜ける。この発電エネルギー相当量Eは、電動モータ20の発電により生じたエネルギー量と等しい値にする必要はなく、逆入力状態を判定するための判定基準値E0と比較する値であるため、実際の電動モータ20で発生する発電エネルギー量の増減に伴って増減する値であればよい。
尚、アシスト制御部61は、逆入力の判定を行った都度、判定フラグFを表す情報を電源制御部62に出力する。
アシスト制御部61は、こうした処理を繰り返し、発電エネルギー相当量Eが判定基準値E0を越えないうちに、電動モータ20の発電が中断されたことを検出した場合(S12:No)には、累積した発電エネルギー相当量Eの値をゼロクリアする(S13)。一方、電動モータ20において発電状態が継続され、発電エネルギー相当量Eが判定基準値E0を越えた場合(S16:Yes)には、ステップS17において、現時点における操舵速度ωxが判定基準値ω0より大きいか否かを判断する。アシスト制御部61は、操舵速度ωxが判定基準値ω0以下であれば、ステップS14において、「逆入力無し」と判定して逆入力判定サブルーチンを抜ける。一方、操舵速度ωxが判定基準値ω0を越えていれば、ステップS18において、「逆入力有り」と判定して判定フラグFを「1」に設定し、逆入力判定サブルーチンを抜ける。
図9は、操舵輪Wのタイヤが縁石に衝突したときのステアリングシャフト12の回転速度(操舵速度ωに相当する。以下、シャフト回転速度と呼ぶ)、モータトルク(モータ電流Imに相当する)、ステアリングシャフト12に働くトルク(以下、シャフトトルクと呼ぶ)の時間的な推移を測定して得たグラフである。時刻t1においてタイヤが縁石に衝突すると、操舵輪Wが転舵されラックバー14が軸方向に移動する。これにより、ラックバー14の軸方向の運動エネルギーがラックアンドピニオン機構13を介してステアリングシャフト12に伝達され、ステアリングシャフト12が回転する。また、ステアリングシャフト12の回転により、電動モータ20のロータが同方向に回されることとなる。そして、時刻t2において、ラックバー14がストロークエンドに達して、ラックバー14の両端に設けたラックエンド部材18の一方が、ラックハウジング15のストッパ部15aに衝突する。以下、この衝突をストロークエンド衝突と呼ぶ。
図中において、モータトルクの発生する回転方向と、ステアリングシャフト12の回転方向とが異なる期間が、電動モータ20で発電エネルギーを発生させている発電期間となる。図中、モータトルク波形を塗りつぶした期間が発電期間である。図示するように、タイヤが縁石に衝突するとステアリングシャフト12が回転し始める。このとき、ステアリングシャフト12は、入力側(操舵ハンドル側)に対して出力側(操舵輪W側)が先行して回転する。従って、操舵トルクセンサ22においては、ステアリングシャフト12の回転方向と反対方向の操舵トルクTxを検出するため、電動モータ20はステアリングシャフト12の回転方向と反対方向に駆動制御される。しかし、シャフト回転速度が非常に速いため電動モータ20の電気角に応じた操舵制御が追従しないこと、および、ステアリングシャフト12の回転エネルギーが大きいことから、電動モータ20のロータはステアリングシャフト12に回されてしまう。従って、電動モータ20は、発電状態となる。
そして、ラックバー14がストロークエンドに達すると、ラックバー14の移動が規制される。このとき、ステアリングシャフト12は、振動しながら(回転方向を左右に反転させながら)停止する。従って、電動モータ20の発電期間は、ラックバー14がストロークエンドに達しときに一旦終了し、その後、断続的に発生する。この場合、逆入力が働いた初期の発電期間において発電エネルギーの発生量が大きい。
電動モータ20が発電するケースは、上記縁石衝突のケース以外にも、運転者の速い操舵操作で電動モータ20のロータを回転させた場合に起こる。例えば、据え切り操作時において切り戻した瞬間や、衝突回避等の緊急操作時に起こる。こうした運転操作に伴って電動モータ20が発生する発電エネルギーは、縁石衝突時に電動モータ20が発生する発電エネルギーに比べてかなり小さい。従って、判定基準値E0を、運転操作で発生すると推定される発電エネルギー相当量(1回の発電期間に発生する発電エネルギー相当量)より大きく、かつ、縁石衝突のような大きな逆入力により発生すると推定される発電エネルギー相当量より小さな値に設定しておくことで、運転操作による発電と、縁石衝突のような大きな逆入力による発電とを判別することができる。これにより、ステアリング機構10に与える影響がない小さな逆入力を、ステアリング機構10に影響を与えるおそれのある逆入力の判定から除外することができる。
また、逆入力判定サブルーチンにおいては、連続した発電期間における発電エネルギー相当量に基づいて逆入力を判別するため、例えば、瞬時的な操舵速度の増大を捉えて、逆入力状態を誤検出してしまうといった不具合もない。
次に、ステップS30の操舵アシスト制御処理について説明する。図4は、ステップS30の処理を操舵アシスト制御サブルーチンとして具体的に表したフローチャートである。操舵アシスト制御サブルーチンが起動すると、アシスト制御部61は、ステップS31において、車速センサ23によって検出された車速Vxと、操舵トルクセンサ22によって検出した操舵トルクTxとを読み込む。
続いて、アシスト制御部61は、ステップS32において、図10に示すアシストトルクテーブルを参照して、入力した車速Vxおよび操舵トルクTxに応じて設定される基本アシストトルクTasを計算する。アシストトルクテーブルは、電子制御装置60のROM内に記憶されるもので、操舵トルクTxの増加にしたがって基本アシストトルクTasも増加し、しかも、車速Vxが低くなるほど大きな値となるように設定される。尚、図10においては、右方向に操舵したときのアシストトルクテーブルを表しているが、左方向に操舵した場合は、基本アシストトルクTasの方向が異なるだけで、その大きさは同じである。
続いて、アシスト制御部61は、ステップS33において、この基本アシストトルクTasに補償トルクを加算して目標指令トルクT*を計算する。この補償トルクは、例えば、操舵角θxに比例して大きくなるステアリングシャフト12の基本位置への復帰力と、操舵速度ωxに比例して大きくなるステアリングシャフト12の回転に対向する抵抗力に対応した戻しトルクとの和として計算する。操舵角θxは、ステップS11にて読み込んだ値が使用され、操舵速度ωxは、操舵角θxを時間微分することに求められる。
続いて、アシスト制御部61は、ステップS34において、目標指令トルクT*に比例した目標電流ias*を計算する。目標電流ias*は、目標指令トルクT*をトルク定数で除算することにより求められる。
続いて、アシスト制御部61は、ステップS35において、電動モータ20に流れたモータ電流imと目標電流ias*との偏差Δiを計算し、この偏差Δiに基づくPI制御(比例積分制御)により目標指令電圧v*を計算する。尚、モータ電流imは、ステップS11にて読み込んだ値が使用される。
続いて、アシスト制御部61は、ステップS36において、目標指令電圧v*に応じたPWM制御信号をモータ駆動回路30に出力して操舵アシスト制御ルーチンを抜ける。操舵アシスト制御サブルーチンは、ステップS10の逆入力判定処理において逆入力が検出されない限り、所定の速い周期で繰り返し実行される。従って、操舵アシスト制御サブルーチンの実行により、モータ駆動回路30のスイッチング素子SW1〜SW6のデューティ比が制御されて、運転者の操舵操作に応じた所望のアシストトルクが得られる。
尚、こうした電動モータ20のフィードバック制御は、電動モータ20の回転方向をq軸とするとともに回転方向と直交する方向をd軸とする2相のd−q軸座標系で表されるベクトル制御によって行われる。そのため、アシスト制御部61は、モータ電流センサ38で検出される3相のモータ電流im(iu,iv,iw)をモータ電気角に基づいてd−q軸座標系に変換する3相/2相座標変換部(図示略)を備え、この3相/2相座標変換部により3相のモータ電流imをd軸電流idとq軸電流iqとに変換する。また、目標電流ias*の設定においても、d−q軸座標系における目標電流(d軸目標電流id*,q軸目標電流iq*)を算出する。この場合、d−q軸座標系におけるq軸電流がトルクを発生する電流成分となる。従って、ステップS34においては、目標電流ias*としてq軸目標電流が目標指令トルクT*に基づいて設定されることになる。また、アシスト制御部61は、偏差(id*−id,iq*−iq)に対応した3相の電圧指令値(指令電圧v*)を算出するために、2相/3相座標変換部(図示略)を備え、この2相/3相座標変換部により3相の指令電圧v*を演算する。
本願明細書においては、本発明がこうしたd−q軸座標系を使った制御に特徴を有するものではないため、d−q軸座標系における目標電流(d軸目標電流id*,q軸目標電流iq*)を単にias*として表現し、d−q軸座標系における実電流(d軸電流id,q軸電流iq)をモータ電流をimと表現して説明している。また、上述した逆入力判定ルーチンに用いるモータ電流imは、d−q軸座標系におけるq軸実電流iqに相当するものである。
次に、ステップS40の逆入力回転抑制制御処理について説明する。図5は、ステップS50の処理を逆入力回転抑制制御サブルーチンとして具体的に表したフローチャートである。逆入力回転抑制制御サブルーチンが起動すると、アシスト制御部61は、まず、ステップS41において、操舵アシスト制御を停止する。つまり、目標電流ias*をゼロ(ias*=0)に設定する。
続いて、アシスト制御部61は、ステップS42において、電動モータ20の相間を短絡、つまり、3相のうち少なくとも2相のモータコイルを短絡するようにモータ駆動回路30にPWM制御信号を出力する。本実施形態においては、モータ駆動回路30におけるU相とW相の上アームのスイッチング素子SW1,SW3を同時にオン状態(デューティ比100%)にし、他のスイッチング素子SW2,SW4,SW5,SW6をオフ状態(デューティ比0%)にする。電動モータ20は、そのロータが逆入力により回されているため、誘導起電力に起因した短絡電流がモータコイル流れて、ロータの回転を止めようとする制動力が働く。また、このとき、モータコイルには発電エネルギーが蓄積される。
続いて、アシスト制御部61は、ステップS43において、予め設定した設定時間経過するまで待機する。相間短絡した場合、発電エネルギーが熱として消費され、モータコイルやモータ駆動回路30が過熱されてしまう。そこで、過熱防止の為に時間制限を設ける。アシスト制御部61は、相間短絡開始から設定時間経過したときに、ステップS44において、モータコイルに蓄積した発電エネルギーを副電源50に放出して副電源50に吸収させるようにモータ駆動回路30にPWM制御信号を出力する。本実施形態においては、モータ駆動回路30におけるU相の上アームのスイッチング素子SW1とW相の下アームのスイッチング素子SW6を同時にオン状態(デューティ比100%)にし、他のスイッチング素子SW2,SW3,SW4,SW5をオフ状態(デューティ比0%)にする。これにより、モータコイルに蓄積した発電エネルギーは、副電源50に吸収され(回生され)て、副電源50が充電される。尚、後述するが、逆入力が検出されたときには、副電源50の充電率の上限値が増加設定されるため、多量の発電エネルギーを副電源50に吸収させることができる。従って、相間短絡による制動を十分に行うことができる。
アシスト制御部61は、モータ駆動回路30を制御して副電源50への充電路を形成した後は、ステップS45において、イグニッションスイッチ106がオフされるまで、その状態を維持し、イグニッションスイッチ106がオフされると、逆入力回転抑制制御サブルーチンを終了する。これによりメインルーチンが終了する。
図11は、逆入力回転抑制制御を行わない場合の、タイヤが縁石に衝突したときのシャフトトルクの時間的な推移を、その成分に分けて表したグラフである。シャフトトルクは、主に、電動モータ20で発生するモータトトルクと、モータ慣性トルクと、ハンドル慣性トルクとの合計として表される。時刻t1において、操舵輪Wのタイヤが縁石に衝突すると、上述したようにラックバー14が軸方向に移動し、これにより、ステアリングシャフト12および電動モータ20が回転する。そして、時刻t2において、ラックバー14がストロークエンドに達して、ラックエンド部材18がストッパ部15aに衝突する(ストロークエンド衝突)。
この場合、ストロークエンド衝突直前までは、ステアリングシャフト12の出力側が先行して回転し、入力側(操舵ハンドル11側)が遅れて回転する。ストロークエンド衝突が起きると、ステアリングシャフト12の出力側の回転はラックバー14の停止により規制されるが、ステアリングシャフト12の入力側は開放されているため、ハンドル慣性トルクとモータ慣性トルクとにより更に回転する。従って、ストロークエンド衝突時を境にして、ステアリングシャフト12のトーションバーが反対方向に捩られる。このとき、操舵トルクセンサ22は、ストロークエンド衝突方向に操舵ハンドル11を回したときと同じ方向となる操舵トルクTxを検出するため、電動モータ20の出力するトルクもストロークエンド衝突方向に働いてしまう。従って、ステアリングシャフト12に働くトルク(捩りトルク)が非常に大きくなる。このため、ステアリングシャフト12の強度、(インターミディエイトシャフト12b、ピニオンシャフト12c、および、それらを連結するユニバーサルジョイント12d,12eの強度)を高くする必要がある。
そこで、本実施形態においては、逆入力を検出した時点で操舵アシスト制御を停止して、ストロークエンド衝突方向に働くモータトルクの発生を防止するとともに、電動モータ20の相間短絡を行って電動モータ20に制動力を働かせてステアリングシャフト12に働くトルクを低減する。この結果、ステアリングシャフト12の強度を下げることが可能となる。
次に、電子制御装置60の電源制御部62が行う処理について説明する。図6は、電源制御部62により実施されるメイン制御ルーチンを表し、電子制御装置60のROM内に制御プログラムとして記憶される。メイン制御ルーチンは、イグニッションスイッチ106の投入(オン)により起動し、上述したアシスト制御部61にて実行するメインルーチンと並行して行われる。
メインルーチンが起動すると、電源制御部62は、ステップS50において、アシスト制御部61が出力する判定フラグFを読み込む。続いて、電源制御部62は、ステップS51において、判定フラグFに基づいて、逆入力が検出されたか否かを判断し、逆入力が検出されていない場合(F=0)には、ステップS60において、通常充放電制御処理を行い、逆入力が検出されている(F=1)場合には、ステップS70において、逆入力時充電制御処理を行う。
通常充放電制御処理は、図7に示すサブルーチンに従って処理され、逆入力時充電制御処理は、図8に示すサブルーチンに従って処理される。アシスト制御部61は、ステップS51において逆入力が検出されていない間は、イグニッションスイッチ106がオフされるまでステップS60の通常充放電制御処理を所定の短い周期で繰り返す。一方、ステップS51において逆入力が検出された場合には、ステップS40の逆入力時充電制御処理を行ってメインルーチンを終了する。
まず、ステップS60の通常充放電制御について説明する。図7は、ステップS60の処理を通常充放電制御サブルーチンとして具体的に表したフローチャートである。通常充放電制御サブルーチンが起動すると、電源制御部62は、ステップS61において、副電源50の実充電率Rxを読み込む。電源制御部62は、通常充放電制御サブルーチンとは別に、充電率検出処理を所定の周期で繰り返し実行しており、ステップS61においては、その充電率検出処理により検出されている副電源50の最新の充電率を実充電率Rxとして読み込む。
充電率(SOC:State of Charge)は、満充電容量に対する残容量の割合を示すものである。電源制御部62は、第2電流センサ53により検出される実充放電電流i2と第2電圧センサ54により検出される副電源電圧v2とに基づいて副電源50の実充電率Rxを検出する。例えば、副電源50の内部抵抗を測定することによって充電率を算出しても良い。内部抵抗は、放電電流と放電電圧とよって算出される。内部抵抗と充電率とは相関関係があることから、内部抵抗に対する充電率の算出テーブルを記憶しておき、この算出テーブルを参照して充電率を算出することができる。
また、副電源50の充放電電流i2をモニターし、充放電電流i2を積算した値(充電電流の積算値から放電電流の積算値を減算した値)を初期充電容量に加算して充電率を算出することもできる。この場合、初期充電容量は、メモリに記憶しておいても良いし、定期的に副電源50に流れる放電電流に対する電圧降下量に基づいて算出してもよい。
また、副電源50としてキャパシタ(電気二重層コンデンサ)を用いた場合には、イグニッションスイッチ106のオフ時に副電源50の電荷を主バッテリ101に放電させて、常に、イグニッションスイッチ106のオン投入時における初期充電容量をゼロに設定すれば、充放電電流i2の積算値を副電源50の充電容量として推定することができる。この場合には、実充電率Rxは、(充放電電流i2の積算値/満充電容量)となる。
通常充放電制御サブルーチンの説明に戻る。電源制御部62は、ステップS62において、実充電率Rxが予め設定した上限充電率R1(例えば、60%)よりも低いか否かを判断する。実充電率Rxが上限充電率R1に達している場合(S62:No)には、それ以上の充電を行わないようにするために、目標充放電電流i2*をゼロ(i2=0)に設定する。一方、実充電率Rxが上限充電率R1に達していない場合(S62:Yes)には、目標充放電電流i2*を以下のように計算により求める。尚、上限充電率R1は、後述する処理からわかるように、実充電率Rxの上限を設定するだけでなく、目標充電率として機能するものである。
i2*=(Wmax−Wx)/v2
ここで、Wmaxは昇圧回路40の出力許容電力、Wxはモータ駆動回路30の消費電力、v2は第1電圧センサ52により検出される出力電圧である。出力許容電力Wmaxは、昇圧回路40の規格に基づいて予め設定されている値である。また、モータ駆動回路30の消費電力Wxは、第1電流センサ51により検出される出力電流i1から第2電流センサ53により検出される実充放電電流i2を減算した値(i1−i2)と、第1電圧センサ52により検出される出力電圧v1との積により算出される。従って、このステップS64における処理は、第1電流センサ51、第2電流センサ53による電流測定値および、第1電圧センサ52による電圧測定値の読み込み処理を含んだものとなっている。尚、モータ駆動回路30の消費電力Wxの算出に当たっては、モータ電流センサ38により検出されるモータ電流imと、第1電圧センサ52により検出される出力電圧v1とに基づいて算出するようにしてもよい。
続いて、電源制御部62は、ステップS65において、目標充放電電流i2*が正の値か否かを判断する。上述したように目標充放電電流i2*は、昇圧回路40の出力許容電力Wmaxからモータ駆動回路30の消費電力Wxを減算し、その減算値を出力電圧v2で除算したものである。従って、電動モータ20の消費電力Wxが昇圧回路40の出力許容電力Wmax範囲内であればi2*>0(S65:YES)となり、逆に、モータ駆動回路30の消費電力Wxが昇圧回路40の出力許容電力Wmax以上となっている場合にはi2*≦0(S65:NO)となる。
目標充放電電流i2*がゼロ以下(i2*≦0)の場合は、ステップS63において、目標充放電電流i2*を新たにゼロ(i2*=0)に設定する。一方、目標充放電電流i2*が正の値(isub*>0)の場合は、その目標充放電電流i2*を変更しない。
電源制御部62は、こうして目標充放電電流i2*を設定すると、その処理をステップS66に進める。ステップS66においては、目標充放電電流i2*と実充放電電流i2との偏差に基づいて昇圧回路40の昇圧電圧をフィードバック制御する。つまり、目標充放電電流i2*と実充放電電流i2との偏差(i2*−i2)がなくなるように昇圧回路40の昇圧電圧を制御する。本実施形態においては、偏差(i2*−i2)に基づいたPID制御を行う。
電源制御部62は、昇圧回路40の第1,第2昇圧用スイッチング素子43,44のゲートに所定周期のパルス信号を出力して両スイッチング素子43,44をオン・オフし、主電源100から供給された電力を昇圧する。この場合、このパルス信号のデューティ比を変更することにより昇圧電圧を制御する。
この通常充放電制御サブルーチンによれば、目標充放電電流i2*が正の値であれば(i2*>0)、副電源50に充電方向に向かって電流が流れるように、また、その大きさが目標充放電電流i2*となるように昇圧制御される。従って、昇圧回路40から出力される昇圧電圧は、副電源50の電源電圧よりも高くなるように制御される。つまり、実充電率Rxが上限充電率R1に満たない状態で、かつ、モータ駆動回路30の消費電力(電動モータ20を駆動するために消費される電力)に対して昇圧回路40の出力に余裕が有る場合には、主電源100の電力が昇圧回路40を介して副電源50に充電される。しかも、モータ駆動回路30への電力供給分を確保した上で、昇圧回路40の電源供給能力をフルに使って充電するように目標充放電電流i2*が設定されるため、副電源50を迅速に充電することができる。
一方、目標充放電電流i2*がゼロに設定されている場合には(i2*=0)、副電源50に充電電流も放電電流も流れないように昇圧回路40の昇圧電圧が制御される。従って、昇圧回路40の昇圧電圧は、副電源50の電源電圧と同じ電圧に制御されることになる。このため、副電源50は充電されない。また、モータ駆動回路30の消費電力が昇圧回路40の出力能力を超えない範囲内では、副電源50から放電電流が流れないように昇圧電圧が維持され、モータ駆動回路30は昇圧回路40の出力電力のみで作動する。そして、モータ駆動回路30の消費電力が昇圧回路40の出力能力限界を超える状態に達すると、昇圧制御にかかわらず副電源50の放電電流をゼロに維持することができず昇圧電圧が低下する。これにより、副電源50から不足電力分がモータ駆動回路30に供給される。つまり、モータ駆動回路30の消費電力が昇圧回路40の出力能力範囲内では副電源50の電力が使われず、出力能力を超える大電力が必要となったときのみ主電源100に加えて副電源50からモータ駆動回路30に電源供給される。
次に、ステップS70の逆入力時充電制御処理について説明する。図8は、ステップS70の処理を逆入力時充電制御サブルーチンとして具体的に表したフローチャートである。逆入力時充電制御サブルーチンは、アシスト制御部61により逆入力が検出されたときに起動する。このとき、アシスト制御部61では、上述したように、逆入力回転抑制制御処理により、電動モータ20の相間短絡を設定時間行ったのち、電動モータ20に蓄積した発電エネルギーを副電源50に吸収させるようにモータ駆動回路30を制御する。
そこで、電源制御部62は、電動モータ20に蓄積された発電エネルギーを良好に吸収できるように以下の処理を実行する。まず、ステップS71において、昇圧回路40による昇圧動作を停止する。つまり、昇圧回路40の第1昇圧用スイッチング素子43と第2昇圧用スイッチング素子44に出力していたパルス信号を停止する。続いて、ステップS72において、実充電率Rxを読み込む。続いて、ステップS73において、実充電率Rxが上限充電率R2以上となっているか否かを判断する。この上限充電率R2は、通常充電制御処理で用いる上限充電率R1よりも大きな値(例えば、95%)に設定されている。実充電率Rxが上限充電率R2未満である場合(S73:No)は、その処理がステップS72に戻される。つまり、実充電率Rxが上限充電率R2に達するまで、実充電率Rxの読み込みと、上限充電率R2との比較判定が継続される。
このとき、アシスト制御部61においては、電動モータ20の相間短絡を設定時間行ったのち、電動モータ20に蓄積した発電エネルギーをモータ駆動回路30を介して副電源50側に送る。このため、発電エネルギーが副電源50に回生され、副電源50の実充電率Rxが上昇していく。この場合、上限充電率R2を通常充電制御処理で用いる上限充電率R1よりも大きな値に切り替えているため、回生量を多くすることができ、電動モータ20での相間短絡による制動力を十分発生させることができる。また、昇圧回路40を介して主バッテリ101に回生する必要がないため、昇圧回路40に負荷をかけることなく回生することができる。
電源制御部62は、ステップS73において、実充電率Rxが上限充電率R2に達するまで待機し、電動モータ20で蓄積した発電エネルギーの回生により実充電率Rxが上限充電率R2に達すると、ステップS74において、副電源リレー115にオフ信号を出力する。これにより、副電源リレー115は、内部の接点を開いて充電路を遮断する。従って、副電源50の充電が停止される。尚、副電源リレー115は、電源制御部62のメインルーチンの開始時においてオン信号により接点を閉じるように制御される。
電源制御部62は、副電源リレー115により副電源50への充電路を遮断した後は、ステップS75において、イグニッションスイッチ106がオフされるまで、その状態を維持する。このとき、電動モータ20に蓄積された発電エネルギーを副電源50で吸収しきれなかった場合には、その残っている発電エネルギーは、主電源100の主バッテリ101の充電と、各回路における発熱として消費される。
電源制御部62は、イグニッションスイッチ106がオフされると、逆入力時充電制御サブルーチンを終了する。これによりメインルーチンが終了する。
以上説明した本実施形態の電動パワーステアリング装置によれば、電動モータ20で発生する発電エネルギー相当量に基づいて逆入力の有無を判定するため、ステアリング機構10に影響を与えない小さな逆入力状態を除外して、ステアリング機構10に影響を与えるおそれのある大きな逆入力状態を精度良く検出することができる。
また、逆入力を検出したときには、電動モータ20を相間短絡してモータコイルに短絡電流を流して発電制動を働かせるため、ステアリングシャフト12の回転を抑制して、ストロークエンド衝突時にステアリングシャフト12に働くトルクを低減する。従って、ステアリングシャフト12を衝撃から保護することができ、ステアリングシャフト12の強度を下げることが可能となり、軽量化、低コスト化を図ることができる。
また、発電制動時に蓄積された発電エネルギーを、主電源100の電源供給を補助する副電源50に回生させるため、この副電源50を有効利用して、電動モータ20やモータ駆動回路30の過熱防止を図ることができる。また、発電エネルギーを副電源50に回生させる場合、副電源50の上限充電率を増大させるため、回生量を多くすることができ、電動モータ20での相間短絡による制動力を十分発生させることができる。
また、主電源100の出力電圧を昇圧してモータ駆動回路30に電源供給する昇圧回路40を備えているため、電動モータ20を大電力にて駆動することができる。また、昇圧回路40に対してモータ駆動回路30と並列に副電源50を接続し、モータ駆動回路30で大電力を必要とするときに、副電源50に蓄電しておいた電気エネルギーでモータ駆動回路30への電源供給を補助するため、主電源100の大容量化を図らなくても電動パワーステアリング装置の高出力化を図ることができる。また、昇圧回路40の昇圧電圧の制御により副電源50の充放電を制御するため、副電源50の充電率Rxを上限充電率に維持することが容易となる。
以上、本実施形態の電動パワーステアリング装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
ここで、逆入力回転抑制制御処理の変形例について説明する。図12は、図5の逆入力回転抑制制御サブルーチンの変形例を表す。変形例の逆入力回転抑制制御サブルーチンが起動すると、アシスト制御部61は、まず、ステップS401において、操舵アシスト制御を停止する。続いて、ステップS402において、変数nを「0」に設定する。続いて、ステップS403において、変数nに応じた短絡相を設定する。例えば、変数nが「0」の場合には、短絡相をU−W相とし、変数nが「1」の場合には、短絡相をW−V相とし、変数nが「2」の場合には、短絡相をV−U相とする。また、変数nの値が3以上の場合には、その値から「3」あるいは「3」の倍数を引いた値に対応する短絡相を設定する。
続いて、ステップS404において、アシスト制御部61は、設定された短絡相を使って電動モータ20のモータコイルを短絡するようにモータ駆動回路30にPWM制御信号を出力する。これにより短絡電流がモータコイルに流れて、電動モータ20に制動力が働く。続いて、アシスト制御部61は、ステップS405において、予め設定した設定時間経過するまで待機する。
設定時間経過すると、アシスト制御部61は、ステップS406において、変数nに応じて設定された短絡相を使って、モータコイルに蓄積した発電エネルギーを副電源50に放出して副電源50に吸収させるようにモータ駆動回路30にPWM制御信号を出力する。例えば、変数nが「0」であれば、U相の上アームのスイッチング素子SW1とW相の下アームのスイッチング素子SW6を同時にオン状態にし、他のスイッチング素子SW2,SW3,SW4,SW5をオフ状態にする。変数nが「1」であれば、W相の上アームのスイッチング素子SW3とV相の下アームのスイッチング素子SW5を同時にオン状態にし、他のスイッチング素子SW1,SW2,SW4,SW6をオフ状態にする。変数nが「2」であれば、V相の上アームのスイッチング素子SW2とU相の下アームのスイッチング素子SW4を同時にオン状態にし、他のスイッチング素子SW1,SW3,SW5,SW6をオフ状態にする。これにより、モータコイルに蓄積した発電エネルギーは、副電源50に吸収され(回生され)て、副電源50が充電される。続いて、アシスト制御部61は、ステップS407において、予め設定した設定時間経過するまで待機する。
設定時間経過すると、アシスト制御部61は、ステップS408において、実充電率Rxが上限充電率R2以上になっているか否かを判断し、実充電率Rxが上限充電率R2以上になっていなければ、ステップS409において、変数nの値を「1」だけインクリメントし、その処理をステップS403に戻す。従って、短絡相が変更されて上述した処理が繰り返される。
こうした処理が繰り返されて、実充電率Rxが上限充電率R2以上に達すると、アシスト制御部61は、ステップS410において、イグニッションスイッチ106がオフされるまで、その状態を維持し、イグニッションスイッチ106がオフされると、逆入力回転抑制制御サブルーチンを終了する。
以上説明した変形例の逆入力回転抑制制御サブルーチンによれば、モータコイルの相間短絡処理と、発電エネルギーの副電源50への放出とを相を切り替えて繰り返すため、電動モータ20およびモータ駆動回路30の特定の相に負荷が加わることがなく、回路を保護することができるという効果を奏する。
また、他の変形例として、例えば、本実施形態においては、昇圧回路40、副電源50を設けた構成であるが、必ずしもそれらを必要とするものではなく、その両方、あるいは、一方を省略した構成であってもよい。
また、本実施形態においては、3相ブラシレスモータをインバータ回路により駆動する構成であるが、単相モータをHブリッジ回路により駆動する構成であってもよい。この場合、逆入力検出時における電動モータのブレーキは、電動モータの電源端子間を短絡すればよい。
また、本実施形態においては、電動モータ20の回転角を検出する回転角センサ21により操舵角θxおよび操舵速度ωxを検出するようにしているが、例えば、ステアリングシャフト12に回転角センサを設けて、ステアリングシャフト12の回転角度および回転角速度により操舵角θxおよび操舵速度ωxを検出する構成でもよい。
この電動パワーステアリング装置は、操舵ハンドル11の操舵操作により操舵輪である左前輪Wflと右前輪Wfrとを転舵するステアリング機構10と、ステアリング機構10に組み付けられ操舵アシストトルクを発生する電動モータ20と、電動モータ20を駆動するためのモータ駆動回路30と、主電源100の出力電圧を昇圧してモータ駆動回路30に電源供給する昇圧回路40と、昇圧回路40とモータ駆動回路30との間の電源供給回路に並列接続される副電源50と、電動モータ20および昇圧回路40の作動を制御する電子制御装置60とを主要部として備えている。
ステアリング機構10は、操舵ハンドル11の回動操作に連動したステアリングシャフト12の軸線周りの回転をラックアンドピニオン機構13によりラックバー14の左右方向のストローク運動に変換して、このラックバー14のストローク運動により操舵輪である左前輪Wflと右前輪Wfrとを操舵するようになっている。ステアリングシャフト12は、操舵ハンドル11を上端に連結したメインシャフト12aと、ラックアンドピニオン機構13と連結されるピニオンシャフト12cと、メインシャフト12aとピニオンシャフト12cとをユニバーサルジョイント12d,12eを介して連結するインターミディエイトシャフト12bとから構成される。
ラックバー14は、ギヤ部14aがラックハウジング15内に収納され、その左右両端がラックハウジング15から露出してタイロッド16と連結される。左右のタイロッド16の他端は、左右前輪Wfl,Wfrに設けられたナックル17に接続される。ラックバー14のタイロッド16との連結部には、ラックエンド部材18が設けられている。一方、ラックハウジング15の両端には、ストッパ部15aが形成されている。ラックバー14は、ラックエンド部材18とストッパ部15aとの当接により、その左右のストローク移動範囲が機械的に制限される。以下、ラックバー14がストッパ部15aにより移動制限される位置をストロークエンドと呼ぶ。また、左前輪Wflと右前輪Wfrとを単に操舵輪Wと呼ぶ。
ステアリングシャフト12(メインシャフト12a)には減速ギヤ19を介して電動モータ20が組み付けられている。電動モータ20は、例えば、三相ブラシレスモータが使用される。電動モータ20は、ロータの回転により減速ギヤ19を介してステアリングシャフト12をその中心軸周りに回転駆動して、操舵ハンドル11の回動操作に対して操舵アシストトルクを付与する。
電動モータ20には、回転角センサ21が設けられる。この回転角センサ21は、電動モータ20内に組み込まれ、電動モータ20のロータの回転角度位置に応じた検出信号を出力する。この回転角センサ21の検出信号は、電動モータ20の回転角および回転角速度の計算に利用される。一方、この電動モータ20の回転角は、操舵ハンドル11の操舵角に比例するものであるので、操舵ハンドル11の操舵角としても共通に用いられる。また、電動モータ20の回転角を時間微分した回転角速度は、操舵ハンドル11の操舵速度に比例するものであるため、操舵ハンドル11の操舵速度としても共通に用いられる。以下、回転角センサ21の出力信号により検出される操舵ハンドル11の操舵角の値を操舵角θxと呼び、その操舵角θxを時間微分して得られる操舵速度の値を操舵速度ωxと呼ぶ。操舵角θxは、正負の値により操舵ハンドル11の中立位置に対する右方向および左方向の舵角をそれぞれ表す。本実施形態においては、操舵ハンドル11の中立位置を「0」とし、中立位置に対する右方向への舵角を正の値で表し、中立位置に対する左方向への舵角を負の値で表す。また、操舵速度ωxは、操舵ハンドル11が右方向に回転しているときの操舵速度を正の値で表し、操舵ハンドル11が左方向に回転しているときの操舵速度を負の値で表す。この操舵速度は、ステアリングシャフト12の回転速度と比例するものであり、本発明におけるステアリング機構の回転速度に相当する。また、操舵角の大きさ、および、操舵速度の大きさは、その絶対値にて表される。
ステアリングシャフト12(メインシャフト12a)には、操舵ハンドル11と減速ギヤ19との間に操舵トルクセンサ22が設けられている。操舵トルクセンサ22は、ステアリングシャフト12(メインシャフト12a)に介装されているトーションバー(図示略)に働いた捩り力を、操舵ハンドル11に付与された操舵トルクTxとして検出する。例えば、トーションバーの軸方向両端にレゾルバを設け、この2つのレゾルバにより検出される回転角度の差に基づいて操舵トルクTxを検出する。
尚、操舵トルクTxは、ステアリングシャフト12に右回転方向に働くトルク(トーションバーの上部が下部に対して相対的に右回転位置となる捩り状態でのトルク)を正の値で、左回転方向に働くトルク(トーションバーの上部が下部に対して相対的に左回転位置となる捩り状態でのトルク)を負の値で表すことにする。また、操舵トルクの大きさは、その絶対値にて表される。
モータ駆動回路30は、MOS−FET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)からなる6個のスイッチング素子SW1〜SW6により3相インバータ回路を構成したものである。具体的には、第1スイッチング素子SW1、第2スイッチング素子SW2,第3スイッチング素子SW3を並列に設けた上アーム回路と、第4スイッチング素子SW4、第5スイッチング素子SW5,第6スイッチング素子SW6を並列に設けた下アーム回路とを直列接続し、上下のアーム回路の間から電動モータ20への電力供給ライン37を引き出した構成を採用している。
モータ駆動回路30には、電動モータ20に流れる電流を検出するモータ電流センサ38が設けられる。このモータ電流センサ38は、各相(U相,V相,W相)ごとに流れる電流をそれぞれ検出し、その検出した電流値に対応した検出信号を電子制御装置60のアシスト制御部61に出力する。以下、モータ電流センサ38により測定される電流をモータ電流imと呼ぶ。モータ電流imは、電動モータ20に右方向の操舵トルクを発生させるように流れる電流を正の値で、電動モータ20に左方向の操舵トルクを発生させるように流れる電流を負の値で表すことにする。また、モータ電流の大きさは、その絶対値にて表される。
モータ駆動回路30の各スイッチング素子SW1〜SW6は、それぞれゲートが電子制御装置60に接続され、電子制御装置60から出力されるPWM制御信号によりデューティ比が制御される。これにより電動モータ20の駆動電圧が目標電圧に調整される。尚、図中に回路記号で示すように、スイッチング素子SW1〜SW6を構成するMOSFETには、構造上ダイオードが寄生している。
次に、電動パワーステアリング装置の電源供給系統について説明する。電動パワーステアリング装置は、車載電源である主電源100から電源供給される。主電源100は、定格出力電圧12Vの一般的な車載バッテリである主バッテリ101と、エンジンの回転により発電する定格出力電圧14Vのオルタネータ102とを並列接続して構成される。主バッテリ101の電源端子(+端子)には、電源供給元ライン103が接続され、グランド端子には接地ライン111が接続される。この電源供給元ライン103と接地ライン111との間にオルタネータ102が接続される。
電源供給元ライン103は、制御系電源ライン104と駆動系電源ライン105とに分岐する。制御系電源ライン104は、電子制御装置60に電源供給するための電源ラインとして機能する。駆動系電源ライン105は、モータ駆動回路30と電子制御装置60との両方に電源供給する電源ラインとして機能する。
制御系電源ライン104には、イグニッションスイッチ106が接続される。駆動系電源ライン105には、主電源リレー107が接続される。この主電源リレー107は、電子制御装置60のアシスト制御部61からのオン信号により接点を閉じて電動モータ20への電力供給回路を形成し、オフ信号により接点を開いて電動モータ20への電力供給回路を遮断するものである。制御系電源ライン104は、電子制御装置60の電源+端子に接続されるが、その途中で、イグニッションスイッチ106よりも負荷側(電子制御装置60側)においてダイオード108を備えている。このダイオード108は、カソードを電子制御装置60側、アノードを主電源100側に向けて設けられ、電源供給方向にのみ通電可能とする逆流防止素子である。
駆動系電源ライン105には、主電源リレー107よりも負荷側において制御系電源ライン104と接続する連結ライン109が分岐して設けられる。この連結ライン109は、制御系電源ライン104におけるダイオード108の接続位置よりも電子制御装置60側に接続される。また、連結ライン109には、ダイオード110が接続される。このダイオード110は、カソードを制御系電源ライン104側に向け、アノードを駆動系電源ライン105側に向けて設けられる。従って、連結ライン109を介して駆動系電源ライン105から制御系電源ライン104には電源供給できるが、制御系電源ライン104から駆動系電源ライン105には電源供給できないような回路構成となっている。駆動系電源ライン105および接地ライン111は、昇圧回路40に接続される。また、接地ライン111は、電子制御装置60の接地端子にも接続される。
昇圧回路40は、駆動系電源ライン105と接地ライン111との間に設けられるコンデンサ41と、コンデンサ41の接続点より負荷側の駆動系電源ライン105に直列に設けられる昇圧用コイル42と、昇圧用コイル42の負荷側の駆動系電源ライン105と接地ライン111との間に設けられる第1昇圧用スイッチング素子43と、第1昇圧用スイッチング素子43の接続点より負荷側の駆動系電源ライン105に直列に設けられる第2昇圧用スイッチング素子44と、第2昇圧用スイッチング素子44の負荷側の駆動系電源ライン105と接地ライン111との間に設けられるコンデンサ45とから構成される。昇圧回路40の二次側には、昇圧電源ライン112が接続される。
本実施形態においては、この昇圧用スイッチング素子43,44としてMOSFETを用いるが,他のスイッチング素子を用いることも可能である。また、図中に回路記号で示すように、昇圧用スイッチング素子43,44を構成するMOSFETには、構造上ダイオードが寄生している。
昇圧回路40は、電子制御装置60の電源制御部62により昇圧制御される。電源制御部62は、第1,第2昇圧用スイッチング素子43,44のゲートに所定周期のパルス信号を出力して両スイッチング素子43,44をオン・オフし、主電源100から供給された電源を昇圧して昇圧電源ライン112に所定の出力電圧を発生させる。この場合、第1,第2昇圧用スイッチング素子43,44は、互いにオン・オフ動作が逆になるように制御される。昇圧回路40は、第1昇圧用スイッチング素子43をオン、第2昇圧用スイッチング素子44をオフにして昇圧用コイル42に短時間だけ電流を流して昇圧用コイル42に電力をため、その直後に、第1昇圧用スイッチング素子43をオフ、第2昇圧用スイッチング素子44をオンにして昇圧用コイル42にたまった電力を出力するように動作する。
第2昇圧用スイッチング素子44の出力電圧は、コンデンサ45により平滑される。従って、安定した昇圧電源が昇圧電源ライン112から出力される。この場合、周波数特性の異なる複数のコンデンサを並列に接続して平滑特性を向上させるようにしてもよい。また、昇圧回路40の入力側に設けたコンデンサ41により、主電源100側へのノイズが除去される。
昇圧回路40の昇圧電圧(出力電圧)は、第1、第2昇圧用スイッチング素子43,44のデューティ比の制御(PWM制御)により調整可能となっており、例えば、20V〜50Vの範囲で昇圧電圧を調整できるように構成される。尚、昇圧回路40として、汎用のDC−DCコンバータを使用することもできる。
昇圧電源ライン112は、昇圧駆動ライン113と充放電ライン114とに分岐する。昇圧駆動ライン113は、モータ駆動回路30の電源入力部に接続される。充放電ライン114は、副電源50のプラス端子に接続される。
副電源50は、昇圧回路40により充電され、モータ駆動回路30で大電力を必要としたときに、主電源100を補助してモータ駆動回路30に電源供給する蓄電装置である。従って、副電源50は、昇圧回路40の昇圧電圧相当の電圧を維持できるように複数の蓄電セルを直列に接続して構成される。副電源50の接地端子は、接地ライン111に接続される。この副電源50として、例えば、キャパシタ(電気二重層コンデンサ)、二次電池などを用いることができる。
昇圧回路40の出力側には、第1電流センサ51と第1電圧センサ52が設けられる。第1電流センサ51は、昇圧電源ライン112に流れる電流値を表す検出信号を電子制御装置60の電源制御部62に出力する。また、第1電圧センサ52は、昇圧回路40の出力電圧を表す検出信号を電源制御部62に出力する。以下、第1電流センサ51により検出される電流を出力電流i1と呼び、第1電圧センサにより検出される電圧を出力電圧v1と呼ぶ。
充放電ライン114には、副電源リレー115が設けられる。この副電源リレー115は、電源制御部62からのオン信号により接点を閉じて副電源50の充放電回路を形成し、オフ信号により接点を開いて副電源50の充放電回路を遮断するものである。さらに、充放電ライン114には、副電源50に流れる電流を検出する第2電流センサ53、および、副電源50の出力電圧(電源電圧)を検出する第2電圧センサ54が設けられる。第2電流センサ53は、電流の向き、つまり、昇圧回路40から副電源50に流れる充電電流と、副電源50からモータ駆動回路30に流れる放電電流とを区別して、それらの大きさを測定し、測定値に応じた検出信号を電源制御部62に出力する。以下、第2電流センサ53により検出される電流を実充放電電流i2と呼び、第2電圧センサ54により検出される電圧を副電源電圧v2と呼ぶ。尚、本実施形態において実充放電電流i2は、充電電流として流れるときには正の値を使い、放電電流として流れるときには負の値を使って表す。
電子制御装置60は、CPU,ROM,RAM等からなるマイクロコンピュータを主要部として構成され、その機能から、アシスト制御部61と電源制御部62とに大別される。アシスト制御部61は、回転角センサ21、操舵トルクセンサ22、モータ電流センサ38、車速センサ23を接続し、操舵角θx、操舵トルクTx、モータ電流im、車速Vxを表すセンサ信号を入力する。
アシスト制御部61は、これらのセンサ信号に基づいて、モータ駆動回路30にPWM制御信号を出力して電動モータ20を駆動制御し、運転者の操舵操作をアシストする。また、アシスト制御部61は、タイヤからステアリング機構10に逆入力が働く逆入力状態が発生していないか常に監視し、逆入力状態を検出したときに、操舵アシストを停止するとともに、電動モータ20の相間短絡によるブレーキを働かせてステアリング機構10の回転を抑制する。尚、ステアリング機構10の回転とは、操舵操作に応じて回転する部材、つまり、ステアリングシャフト12や電動モータ20の回転を意味する。
電源制御部62は、昇圧回路40の昇圧制御を行うことにより副電源50の充電と放電とを制御する。電源制御部62には、第1電流センサ51,第1電圧センサ52,第2電流センサ53,第2電圧センサ54を接続し、出力電流i1,出力電圧v1,実充放電電流i2,副電源電圧v2を表すセンサ信号を入力する。また、電源制御部62は、アシスト制御部61と相互に信号授受できるように構成されている。電源制御部62は、これらセンサ信号、および、アシスト制御部61に入力されたセンサ信号に基づいて、昇圧回路40にPWM制御信号を出力する。昇圧回路40は、入力したPWM制御信号にしたがって第1,第2昇圧用スイッチング素子43,44のデューティ比を制御することにより、その出力電圧である昇圧電圧を変化させる。また、電源制御部62は、アシスト制御部61により逆入力状態が検出されたとき、副電源50の上限充電率を上昇させて電動モータ20で発生した発電エネルギーを副電源50に良好に吸収させるように制御する。
次に、電子制御装置60のアシスト制御部61が行う処理について説明する。図2は、アシスト制御部61により実施されるメイン制御ルーチンを表し、電子制御装置60のROM内に制御プログラムとして記憶される。メイン制御ルーチンは、イグニッションスイッチ106の投入(オン)により起動する。尚、メイン制御ルーチンの起動時においては、主電源リレー107にオン信号が出力され、主電源リレー107の接点が閉じて昇圧回路40に電源供給される。
メインルーチンが起動すると、アシスト制御部61は、ステップS10において、逆入力判定処理を行う。この逆入力判定処理は、図3に示すサブルーチンに従って処理される。この処理については、後述するが、操舵輪Wのタイヤが縁石に衝突したケースのように、ステアリング機構10に影響を与えるおそれのある大きな逆入力を検出する処理であって、ステアリング機構10に影響を与えないような小さな逆入力については検出対象から除外するものである。逆入力判定処理において、逆入力が検出されたときには、判定フラグFが「1」に設定され、逆入力が検出されていないときには、判定フラグFが「0」に設定される。
アシスト制御部61は、ステップS20において、判定フラグFに基づいて、逆入力が検出されたか否かを判断し、逆入力が検出されていない場合(F=0)には、ステップS30において、操舵アシスト制御処理を行い、逆入力が検出された(F=1)場合には、ステップS40において、逆入力回転抑制制御処理を行う。
操舵アシスト制御処理は、図4に示すサブルーチンに従って処理され、逆入力回転抑制制御処理は、図5に示すサブルーチンに従って処理される。アシスト制御部61は、ステップS10の逆入力判定処理により逆入力が検出されていない間は、イグニッションスイッチ106がオフされるまでステップS30の操舵アシスト制御処理を所定の短い周期で繰り返す。一方、ステップS10の逆入力判定処理により逆入力が検出された場合には、ステップS40の逆入力回転抑制制御処理を行ってメインルーチンを終了する。従って、逆入力が検出された場合には、再度、イグニッションスイッチ106がオンされるまでは、操舵アシスト制御処理が停止される。尚、イグニッションスイッチ106が再度オンされても、操舵アシスト制御処理を再開させないようにしてもよい。また、逆入力回転抑制制御処理が終了したら、操舵アシスト制御を再開させるようにしてもよい。
まず、ステップS10の逆入力判定処理について説明する。図3は、ステップS10の処理を逆入力判定サブルーチンとして具体的に表したフローチャートである。逆入力判定サブルーチンが起動すると、アシスト制御部61は、まず、ステップS11において、モータ電流センサ38によって検出されたモータ電流imと、回転角センサ21によって検出された操舵角θxとを読み込む。
続いて、アシスト制御部61は、ステップS12において、モータ電流imと操舵速度ωxとの積(im×ωx)が負の値であるか否かを判定する。操舵速度ωxは、操舵角θxを時間微分して求めたものである。モータ電流imは、電動モータ20に右方向に操舵トルクを発生させるように流れる電流を正の値で、電動モータ20に左方向の操舵トルクを発生させるように流れる電流を負の値で表される。また、操舵速度ωxは、ステアリングシャフト12が右方向に回転する速度を正の値で、ステアリングシャフト12が左方向に回転する速度を負の値で表される。従って、モータ電流imと操舵速度ωxとの積が負の値となる場合は、電動モータ20のロータがステアリングシャフト12の回転により回されて、電動モータ20が発電している状態である。
アシスト制御部61は、ステップS12において「No」、つまり、電動モータ20が発電していない状態であると判定した場合には、ステップS13において、後述する発電エネルギー相当量Eの値をゼロクリアし、ステップS14において、「逆入力無し」と判定して判定フラグFを「0」に設定し、逆入力判定サブルーチンを抜ける。一方、ステップS12において「Yes」、つまり、電動モータ20が発電している状態であると判定した場合には、ステップS15において、発電エネルギー相当量Eを次式により算出する。
E=∫|im×ωx|dt
逆入力判定サブルーチンは所定の短い周期で繰り返されることから、このステップS15においては、所定の周期でモータ電流imと操舵速度ωxとの積の絶対値|im×ωx|を演算し、その演算結果を累積した値を発電エネルギー相当量Eとしている。
続いて、アシスト制御部61は、ステップS16において、算出した発電エネルギー相当量Eが予め設定された判定基準値E0よりも大きいか否かを判断する。発電エネルギー相当量Eが判定基準値E0以下である場合には(S16:No)、ステップS14において、「逆入力無し」と判定して判定フラグFを「0」に設定し、逆入力判定サブルーチンを抜ける。この発電エネルギー相当量Eは、電動モータ20の発電により生じたエネルギー量と等しい値にする必要はなく、逆入力状態を判定するための判定基準値E0と比較する値であるため、実際の電動モータ20で発生する発電エネルギー量の増減に伴って増減する値であればよい。
尚、アシスト制御部61は、逆入力の判定を行った都度、判定フラグFを表す情報を電源制御部62に出力する。
アシスト制御部61は、こうした処理を繰り返し、発電エネルギー相当量Eが判定基準値E0を越えないうちに、電動モータ20の発電が中断されたことを検出した場合(S12:No)には、累積した発電エネルギー相当量Eの値をゼロクリアする(S13)。一方、電動モータ20において発電状態が継続され、発電エネルギー相当量Eが判定基準値E0を越えた場合(S16:Yes)には、ステップS17において、現時点における操舵速度ωxが判定基準値ω0より大きいか否かを判断する。アシスト制御部61は、操舵速度ωxが判定基準値ω0以下であれば、ステップS14において、「逆入力無し」と判定して逆入力判定サブルーチンを抜ける。一方、操舵速度ωxが判定基準値ω0を越えていれば、ステップS18において、「逆入力有り」と判定して判定フラグFを「1」に設定し、逆入力判定サブルーチンを抜ける。
図9は、操舵輪Wのタイヤが縁石に衝突したときのステアリングシャフト12の回転速度(操舵速度ωに相当する。以下、シャフト回転速度と呼ぶ)、モータトルク(モータ電流Imに相当する)、ステアリングシャフト12に働くトルク(以下、シャフトトルクと呼ぶ)の時間的な推移を測定して得たグラフである。時刻t1においてタイヤが縁石に衝突すると、操舵輪Wが転舵されラックバー14が軸方向に移動する。これにより、ラックバー14の軸方向の運動エネルギーがラックアンドピニオン機構13を介してステアリングシャフト12に伝達され、ステアリングシャフト12が回転する。また、ステアリングシャフト12の回転により、電動モータ20のロータが同方向に回されることとなる。そして、時刻t2において、ラックバー14がストロークエンドに達して、ラックバー14の両端に設けたラックエンド部材18の一方が、ラックハウジング15のストッパ部15aに衝突する。以下、この衝突をストロークエンド衝突と呼ぶ。
図中において、モータトルクの発生する回転方向と、ステアリングシャフト12の回転方向とが異なる期間が、電動モータ20で発電エネルギーを発生させている発電期間となる。図中、モータトルク波形を塗りつぶした期間が発電期間である。図示するように、タイヤが縁石に衝突するとステアリングシャフト12が回転し始める。このとき、ステアリングシャフト12は、入力側(操舵ハンドル側)に対して出力側(操舵輪W側)が先行して回転する。従って、操舵トルクセンサ22においては、ステアリングシャフト12の回転方向と反対方向の操舵トルクTxを検出するため、電動モータ20はステアリングシャフト12の回転方向と反対方向に駆動制御される。しかし、シャフト回転速度が非常に速いため電動モータ20の電気角に応じた操舵制御が追従しないこと、および、ステアリングシャフト12の回転エネルギーが大きいことから、電動モータ20のロータはステアリングシャフト12に回されてしまう。従って、電動モータ20は、発電状態となる。
そして、ラックバー14がストロークエンドに達すると、ラックバー14の移動が規制される。このとき、ステアリングシャフト12は、振動しながら(回転方向を左右に反転させながら)停止する。従って、電動モータ20の発電期間は、ラックバー14がストロークエンドに達しときに一旦終了し、その後、断続的に発生する。この場合、逆入力が働いた初期の発電期間において発電エネルギーの発生量が大きい。
電動モータ20が発電するケースは、上記縁石衝突のケース以外にも、運転者の速い操舵操作で電動モータ20のロータを回転させた場合に起こる。例えば、据え切り操作時において切り戻した瞬間や、衝突回避等の緊急操作時に起こる。こうした運転操作に伴って電動モータ20が発生する発電エネルギーは、縁石衝突時に電動モータ20が発生する発電エネルギーに比べてかなり小さい。従って、判定基準値E0を、運転操作で発生すると推定される発電エネルギー相当量(1回の発電期間に発生する発電エネルギー相当量)より大きく、かつ、縁石衝突のような大きな逆入力により発生すると推定される発電エネルギー相当量より小さな値に設定しておくことで、運転操作による発電と、縁石衝突のような大きな逆入力による発電とを判別することができる。これにより、ステアリング機構10に与える影響がない小さな逆入力を、ステアリング機構10に影響を与えるおそれのある逆入力の判定から除外することができる。
また、逆入力判定サブルーチンにおいては、連続した発電期間における発電エネルギー相当量に基づいて逆入力を判別するため、例えば、瞬時的な操舵速度の増大を捉えて、逆入力状態を誤検出してしまうといった不具合もない。
次に、ステップS30の操舵アシスト制御処理について説明する。図4は、ステップS30の処理を操舵アシスト制御サブルーチンとして具体的に表したフローチャートである。操舵アシスト制御サブルーチンが起動すると、アシスト制御部61は、ステップS31において、車速センサ23によって検出された車速Vxと、操舵トルクセンサ22によって検出した操舵トルクTxとを読み込む。
続いて、アシスト制御部61は、ステップS32において、図10に示すアシストトルクテーブルを参照して、入力した車速Vxおよび操舵トルクTxに応じて設定される基本アシストトルクTasを計算する。アシストトルクテーブルは、電子制御装置60のROM内に記憶されるもので、操舵トルクTxの増加にしたがって基本アシストトルクTasも増加し、しかも、車速Vxが低くなるほど大きな値となるように設定される。尚、図10においては、右方向に操舵したときのアシストトルクテーブルを表しているが、左方向に操舵した場合は、基本アシストトルクTasの方向が異なるだけで、その大きさは同じである。
続いて、アシスト制御部61は、ステップS33において、この基本アシストトルクTasに補償トルクを加算して目標指令トルクT*を計算する。この補償トルクは、例えば、操舵角θxに比例して大きくなるステアリングシャフト12の基本位置への復帰力と、操舵速度ωxに比例して大きくなるステアリングシャフト12の回転に対向する抵抗力に対応した戻しトルクとの和として計算する。操舵角θxは、ステップS11にて読み込んだ値が使用され、操舵速度ωxは、操舵角θxを時間微分することに求められる。
続いて、アシスト制御部61は、ステップS34において、目標指令トルクT*に比例した目標電流ias*を計算する。目標電流ias*は、目標指令トルクT*をトルク定数で除算することにより求められる。
続いて、アシスト制御部61は、ステップS35において、電動モータ20に流れたモータ電流imと目標電流ias*との偏差Δiを計算し、この偏差Δiに基づくPI制御(比例積分制御)により目標指令電圧v*を計算する。尚、モータ電流imは、ステップS11にて読み込んだ値が使用される。
続いて、アシスト制御部61は、ステップS36において、目標指令電圧v*に応じたPWM制御信号をモータ駆動回路30に出力して操舵アシスト制御ルーチンを抜ける。操舵アシスト制御サブルーチンは、ステップS10の逆入力判定処理において逆入力が検出されない限り、所定の速い周期で繰り返し実行される。従って、操舵アシスト制御サブルーチンの実行により、モータ駆動回路30のスイッチング素子SW1〜SW6のデューティ比が制御されて、運転者の操舵操作に応じた所望のアシストトルクが得られる。
尚、こうした電動モータ20のフィードバック制御は、電動モータ20の回転方向をq軸とするとともに回転方向と直交する方向をd軸とする2相のd−q軸座標系で表されるベクトル制御によって行われる。そのため、アシスト制御部61は、モータ電流センサ38で検出される3相のモータ電流im(iu,iv,iw)をモータ電気角に基づいてd−q軸座標系に変換する3相/2相座標変換部(図示略)を備え、この3相/2相座標変換部により3相のモータ電流imをd軸電流idとq軸電流iqとに変換する。また、目標電流ias*の設定においても、d−q軸座標系における目標電流(d軸目標電流id*,q軸目標電流iq*)を算出する。この場合、d−q軸座標系におけるq軸電流がトルクを発生する電流成分となる。従って、ステップS34においては、目標電流ias*としてq軸目標電流が目標指令トルクT*に基づいて設定されることになる。また、アシスト制御部61は、偏差(id*−id,iq*−iq)に対応した3相の電圧指令値(指令電圧v*)を算出するために、2相/3相座標変換部(図示略)を備え、この2相/3相座標変換部により3相の指令電圧v*を演算する。
本願明細書においては、本発明がこうしたd−q軸座標系を使った制御に特徴を有するものではないため、d−q軸座標系における目標電流(d軸目標電流id*,q軸目標電流iq*)を単にias*として表現し、d−q軸座標系における実電流(d軸電流id,q軸電流iq)をモータ電流をimと表現して説明している。また、上述した逆入力判定ルーチンに用いるモータ電流imは、d−q軸座標系におけるq軸実電流iqに相当するものである。
次に、ステップS40の逆入力回転抑制制御処理について説明する。図5は、ステップS50の処理を逆入力回転抑制制御サブルーチンとして具体的に表したフローチャートである。逆入力回転抑制制御サブルーチンが起動すると、アシスト制御部61は、まず、ステップS41において、操舵アシスト制御を停止する。つまり、目標電流ias*をゼロ(ias*=0)に設定する。
続いて、アシスト制御部61は、ステップS42において、電動モータ20の相間を短絡、つまり、3相のうち少なくとも2相のモータコイルを短絡するようにモータ駆動回路30にPWM制御信号を出力する。本実施形態においては、モータ駆動回路30におけるU相とW相の上アームのスイッチング素子SW1,SW3を同時にオン状態(デューティ比100%)にし、他のスイッチング素子SW2,SW4,SW5,SW6をオフ状態(デューティ比0%)にする。電動モータ20は、そのロータが逆入力により回されているため、誘導起電力に起因した短絡電流がモータコイル流れて、ロータの回転を止めようとする制動力が働く。また、このとき、モータコイルには発電エネルギーが蓄積される。
続いて、アシスト制御部61は、ステップS43において、予め設定した設定時間経過するまで待機する。相間短絡した場合、発電エネルギーが熱として消費され、モータコイルやモータ駆動回路30が過熱されてしまう。そこで、過熱防止の為に時間制限を設ける。アシスト制御部61は、相間短絡開始から設定時間経過したときに、ステップS44において、モータコイルに蓄積した発電エネルギーを副電源50に放出して副電源50に吸収させるようにモータ駆動回路30にPWM制御信号を出力する。本実施形態においては、モータ駆動回路30におけるU相の上アームのスイッチング素子SW1とW相の下アームのスイッチング素子SW6を同時にオン状態(デューティ比100%)にし、他のスイッチング素子SW2,SW3,SW4,SW5をオフ状態(デューティ比0%)にする。これにより、モータコイルに蓄積した発電エネルギーは、副電源50に吸収され(回生され)て、副電源50が充電される。尚、後述するが、逆入力が検出されたときには、副電源50の充電率の上限値が増加設定されるため、多量の発電エネルギーを副電源50に吸収させることができる。従って、相間短絡による制動を十分に行うことができる。
アシスト制御部61は、モータ駆動回路30を制御して副電源50への充電路を形成した後は、ステップS45において、イグニッションスイッチ106がオフされるまで、その状態を維持し、イグニッションスイッチ106がオフされると、逆入力回転抑制制御サブルーチンを終了する。これによりメインルーチンが終了する。
図11は、逆入力回転抑制制御を行わない場合の、タイヤが縁石に衝突したときのシャフトトルクの時間的な推移を、その成分に分けて表したグラフである。シャフトトルクは、主に、電動モータ20で発生するモータトトルクと、モータ慣性トルクと、ハンドル慣性トルクとの合計として表される。時刻t1において、操舵輪Wのタイヤが縁石に衝突すると、上述したようにラックバー14が軸方向に移動し、これにより、ステアリングシャフト12および電動モータ20が回転する。そして、時刻t2において、ラックバー14がストロークエンドに達して、ラックエンド部材18がストッパ部15aに衝突する(ストロークエンド衝突)。
この場合、ストロークエンド衝突直前までは、ステアリングシャフト12の出力側が先行して回転し、入力側(操舵ハンドル11側)が遅れて回転する。ストロークエンド衝突が起きると、ステアリングシャフト12の出力側の回転はラックバー14の停止により規制されるが、ステアリングシャフト12の入力側は開放されているため、ハンドル慣性トルクとモータ慣性トルクとにより更に回転する。従って、ストロークエンド衝突時を境にして、ステアリングシャフト12のトーションバーが反対方向に捩られる。このとき、操舵トルクセンサ22は、ストロークエンド衝突方向に操舵ハンドル11を回したときと同じ方向となる操舵トルクTxを検出するため、電動モータ20の出力するトルクもストロークエンド衝突方向に働いてしまう。従って、ステアリングシャフト12に働くトルク(捩りトルク)が非常に大きくなる。このため、ステアリングシャフト12の強度、(インターミディエイトシャフト12b、ピニオンシャフト12c、および、それらを連結するユニバーサルジョイント12d,12eの強度)を高くする必要がある。
そこで、本実施形態においては、逆入力を検出した時点で操舵アシスト制御を停止して、ストロークエンド衝突方向に働くモータトルクの発生を防止するとともに、電動モータ20の相間短絡を行って電動モータ20に制動力を働かせてステアリングシャフト12に働くトルクを低減する。この結果、ステアリングシャフト12の強度を下げることが可能となる。
次に、電子制御装置60の電源制御部62が行う処理について説明する。図6は、電源制御部62により実施されるメイン制御ルーチンを表し、電子制御装置60のROM内に制御プログラムとして記憶される。メイン制御ルーチンは、イグニッションスイッチ106の投入(オン)により起動し、上述したアシスト制御部61にて実行するメインルーチンと並行して行われる。
メインルーチンが起動すると、電源制御部62は、ステップS50において、アシスト制御部61が出力する判定フラグFを読み込む。続いて、電源制御部62は、ステップS51において、判定フラグFに基づいて、逆入力が検出されたか否かを判断し、逆入力が検出されていない場合(F=0)には、ステップS60において、通常充放電制御処理を行い、逆入力が検出されている(F=1)場合には、ステップS70において、逆入力時充電制御処理を行う。
通常充放電制御処理は、図7に示すサブルーチンに従って処理され、逆入力時充電制御処理は、図8に示すサブルーチンに従って処理される。アシスト制御部61は、ステップS51において逆入力が検出されていない間は、イグニッションスイッチ106がオフされるまでステップS60の通常充放電制御処理を所定の短い周期で繰り返す。一方、ステップS51において逆入力が検出された場合には、ステップS40の逆入力時充電制御処理を行ってメインルーチンを終了する。
まず、ステップS60の通常充放電制御について説明する。図7は、ステップS60の処理を通常充放電制御サブルーチンとして具体的に表したフローチャートである。通常充放電制御サブルーチンが起動すると、電源制御部62は、ステップS61において、副電源50の実充電率Rxを読み込む。電源制御部62は、通常充放電制御サブルーチンとは別に、充電率検出処理を所定の周期で繰り返し実行しており、ステップS61においては、その充電率検出処理により検出されている副電源50の最新の充電率を実充電率Rxとして読み込む。
充電率(SOC:State of Charge)は、満充電容量に対する残容量の割合を示すものである。電源制御部62は、第2電流センサ53により検出される実充放電電流i2と第2電圧センサ54により検出される副電源電圧v2とに基づいて副電源50の実充電率Rxを検出する。例えば、副電源50の内部抵抗を測定することによって充電率を算出しても良い。内部抵抗は、放電電流と放電電圧とよって算出される。内部抵抗と充電率とは相関関係があることから、内部抵抗に対する充電率の算出テーブルを記憶しておき、この算出テーブルを参照して充電率を算出することができる。
また、副電源50の充放電電流i2をモニターし、充放電電流i2を積算した値(充電電流の積算値から放電電流の積算値を減算した値)を初期充電容量に加算して充電率を算出することもできる。この場合、初期充電容量は、メモリに記憶しておいても良いし、定期的に副電源50に流れる放電電流に対する電圧降下量に基づいて算出してもよい。
また、副電源50としてキャパシタ(電気二重層コンデンサ)を用いた場合には、イグニッションスイッチ106のオフ時に副電源50の電荷を主バッテリ101に放電させて、常に、イグニッションスイッチ106のオン投入時における初期充電容量をゼロに設定すれば、充放電電流i2の積算値を副電源50の充電容量として推定することができる。この場合には、実充電率Rxは、(充放電電流i2の積算値/満充電容量)となる。
通常充放電制御サブルーチンの説明に戻る。電源制御部62は、ステップS62において、実充電率Rxが予め設定した上限充電率R1(例えば、60%)よりも低いか否かを判断する。実充電率Rxが上限充電率R1に達している場合(S62:No)には、それ以上の充電を行わないようにするために、目標充放電電流i2*をゼロ(i2=0)に設定する。一方、実充電率Rxが上限充電率R1に達していない場合(S62:Yes)には、目標充放電電流i2*を以下のように計算により求める。尚、上限充電率R1は、後述する処理からわかるように、実充電率Rxの上限を設定するだけでなく、目標充電率として機能するものである。
i2*=(Wmax−Wx)/v2
ここで、Wmaxは昇圧回路40の出力許容電力、Wxはモータ駆動回路30の消費電力、v2は第1電圧センサ52により検出される出力電圧である。出力許容電力Wmaxは、昇圧回路40の規格に基づいて予め設定されている値である。また、モータ駆動回路30の消費電力Wxは、第1電流センサ51により検出される出力電流i1から第2電流センサ53により検出される実充放電電流i2を減算した値(i1−i2)と、第1電圧センサ52により検出される出力電圧v1との積により算出される。従って、このステップS64における処理は、第1電流センサ51、第2電流センサ53による電流測定値および、第1電圧センサ52による電圧測定値の読み込み処理を含んだものとなっている。尚、モータ駆動回路30の消費電力Wxの算出に当たっては、モータ電流センサ38により検出されるモータ電流imと、第1電圧センサ52により検出される出力電圧v1とに基づいて算出するようにしてもよい。
続いて、電源制御部62は、ステップS65において、目標充放電電流i2*が正の値か否かを判断する。上述したように目標充放電電流i2*は、昇圧回路40の出力許容電力Wmaxからモータ駆動回路30の消費電力Wxを減算し、その減算値を出力電圧v2で除算したものである。従って、電動モータ20の消費電力Wxが昇圧回路40の出力許容電力Wmax範囲内であればi2*>0(S65:YES)となり、逆に、モータ駆動回路30の消費電力Wxが昇圧回路40の出力許容電力Wmax以上となっている場合にはi2*≦0(S65:NO)となる。
目標充放電電流i2*がゼロ以下(i2*≦0)の場合は、ステップS63において、目標充放電電流i2*を新たにゼロ(i2*=0)に設定する。一方、目標充放電電流i2*が正の値(isub*>0)の場合は、その目標充放電電流i2*を変更しない。
電源制御部62は、こうして目標充放電電流i2*を設定すると、その処理をステップS66に進める。ステップS66においては、目標充放電電流i2*と実充放電電流i2との偏差に基づいて昇圧回路40の昇圧電圧をフィードバック制御する。つまり、目標充放電電流i2*と実充放電電流i2との偏差(i2*−i2)がなくなるように昇圧回路40の昇圧電圧を制御する。本実施形態においては、偏差(i2*−i2)に基づいたPID制御を行う。
電源制御部62は、昇圧回路40の第1,第2昇圧用スイッチング素子43,44のゲートに所定周期のパルス信号を出力して両スイッチング素子43,44をオン・オフし、主電源100から供給された電力を昇圧する。この場合、このパルス信号のデューティ比を変更することにより昇圧電圧を制御する。
この通常充放電制御サブルーチンによれば、目標充放電電流i2*が正の値であれば(i2*>0)、副電源50に充電方向に向かって電流が流れるように、また、その大きさが目標充放電電流i2*となるように昇圧制御される。従って、昇圧回路40から出力される昇圧電圧は、副電源50の電源電圧よりも高くなるように制御される。つまり、実充電率Rxが上限充電率R1に満たない状態で、かつ、モータ駆動回路30の消費電力(電動モータ20を駆動するために消費される電力)に対して昇圧回路40の出力に余裕が有る場合には、主電源100の電力が昇圧回路40を介して副電源50に充電される。しかも、モータ駆動回路30への電力供給分を確保した上で、昇圧回路40の電源供給能力をフルに使って充電するように目標充放電電流i2*が設定されるため、副電源50を迅速に充電することができる。
一方、目標充放電電流i2*がゼロに設定されている場合には(i2*=0)、副電源50に充電電流も放電電流も流れないように昇圧回路40の昇圧電圧が制御される。従って、昇圧回路40の昇圧電圧は、副電源50の電源電圧と同じ電圧に制御されることになる。このため、副電源50は充電されない。また、モータ駆動回路30の消費電力が昇圧回路40の出力能力を超えない範囲内では、副電源50から放電電流が流れないように昇圧電圧が維持され、モータ駆動回路30は昇圧回路40の出力電力のみで作動する。そして、モータ駆動回路30の消費電力が昇圧回路40の出力能力限界を超える状態に達すると、昇圧制御にかかわらず副電源50の放電電流をゼロに維持することができず昇圧電圧が低下する。これにより、副電源50から不足電力分がモータ駆動回路30に供給される。つまり、モータ駆動回路30の消費電力が昇圧回路40の出力能力範囲内では副電源50の電力が使われず、出力能力を超える大電力が必要となったときのみ主電源100に加えて副電源50からモータ駆動回路30に電源供給される。
次に、ステップS70の逆入力時充電制御処理について説明する。図8は、ステップS70の処理を逆入力時充電制御サブルーチンとして具体的に表したフローチャートである。逆入力時充電制御サブルーチンは、アシスト制御部61により逆入力が検出されたときに起動する。このとき、アシスト制御部61では、上述したように、逆入力回転抑制制御処理により、電動モータ20の相間短絡を設定時間行ったのち、電動モータ20に蓄積した発電エネルギーを副電源50に吸収させるようにモータ駆動回路30を制御する。
そこで、電源制御部62は、電動モータ20に蓄積された発電エネルギーを良好に吸収できるように以下の処理を実行する。まず、ステップS71において、昇圧回路40による昇圧動作を停止する。つまり、昇圧回路40の第1昇圧用スイッチング素子43と第2昇圧用スイッチング素子44に出力していたパルス信号を停止する。続いて、ステップS72において、実充電率Rxを読み込む。続いて、ステップS73において、実充電率Rxが上限充電率R2以上となっているか否かを判断する。この上限充電率R2は、通常充電制御処理で用いる上限充電率R1よりも大きな値(例えば、95%)に設定されている。実充電率Rxが上限充電率R2未満である場合(S73:No)は、その処理がステップS72に戻される。つまり、実充電率Rxが上限充電率R2に達するまで、実充電率Rxの読み込みと、上限充電率R2との比較判定が継続される。
このとき、アシスト制御部61においては、電動モータ20の相間短絡を設定時間行ったのち、電動モータ20に蓄積した発電エネルギーをモータ駆動回路30を介して副電源50側に送る。このため、発電エネルギーが副電源50に回生され、副電源50の実充電率Rxが上昇していく。この場合、上限充電率R2を通常充電制御処理で用いる上限充電率R1よりも大きな値に切り替えているため、回生量を多くすることができ、電動モータ20での相間短絡による制動力を十分発生させることができる。また、昇圧回路40を介して主バッテリ101に回生する必要がないため、昇圧回路40に負荷をかけることなく回生することができる。
電源制御部62は、ステップS73において、実充電率Rxが上限充電率R2に達するまで待機し、電動モータ20で蓄積した発電エネルギーの回生により実充電率Rxが上限充電率R2に達すると、ステップS74において、副電源リレー115にオフ信号を出力する。これにより、副電源リレー115は、内部の接点を開いて充電路を遮断する。従って、副電源50の充電が停止される。尚、副電源リレー115は、電源制御部62のメインルーチンの開始時においてオン信号により接点を閉じるように制御される。
電源制御部62は、副電源リレー115により副電源50への充電路を遮断した後は、ステップS75において、イグニッションスイッチ106がオフされるまで、その状態を維持する。このとき、電動モータ20に蓄積された発電エネルギーを副電源50で吸収しきれなかった場合には、その残っている発電エネルギーは、主電源100の主バッテリ101の充電と、各回路における発熱として消費される。
電源制御部62は、イグニッションスイッチ106がオフされると、逆入力時充電制御サブルーチンを終了する。これによりメインルーチンが終了する。
以上説明した本実施形態の電動パワーステアリング装置によれば、電動モータ20で発生する発電エネルギー相当量に基づいて逆入力の有無を判定するため、ステアリング機構10に影響を与えない小さな逆入力状態を除外して、ステアリング機構10に影響を与えるおそれのある大きな逆入力状態を精度良く検出することができる。
また、逆入力を検出したときには、電動モータ20を相間短絡してモータコイルに短絡電流を流して発電制動を働かせるため、ステアリングシャフト12の回転を抑制して、ストロークエンド衝突時にステアリングシャフト12に働くトルクを低減する。従って、ステアリングシャフト12を衝撃から保護することができ、ステアリングシャフト12の強度を下げることが可能となり、軽量化、低コスト化を図ることができる。
また、発電制動時に蓄積された発電エネルギーを、主電源100の電源供給を補助する副電源50に回生させるため、この副電源50を有効利用して、電動モータ20やモータ駆動回路30の過熱防止を図ることができる。また、発電エネルギーを副電源50に回生させる場合、副電源50の上限充電率を増大させるため、回生量を多くすることができ、電動モータ20での相間短絡による制動力を十分発生させることができる。
また、主電源100の出力電圧を昇圧してモータ駆動回路30に電源供給する昇圧回路40を備えているため、電動モータ20を大電力にて駆動することができる。また、昇圧回路40に対してモータ駆動回路30と並列に副電源50を接続し、モータ駆動回路30で大電力を必要とするときに、副電源50に蓄電しておいた電気エネルギーでモータ駆動回路30への電源供給を補助するため、主電源100の大容量化を図らなくても電動パワーステアリング装置の高出力化を図ることができる。また、昇圧回路40の昇圧電圧の制御により副電源50の充放電を制御するため、副電源50の充電率Rxを上限充電率に維持することが容易となる。
以上、本実施形態の電動パワーステアリング装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
ここで、逆入力回転抑制制御処理の変形例について説明する。図12は、図5の逆入力回転抑制制御サブルーチンの変形例を表す。変形例の逆入力回転抑制制御サブルーチンが起動すると、アシスト制御部61は、まず、ステップS401において、操舵アシスト制御を停止する。続いて、ステップS402において、変数nを「0」に設定する。続いて、ステップS403において、変数nに応じた短絡相を設定する。例えば、変数nが「0」の場合には、短絡相をU−W相とし、変数nが「1」の場合には、短絡相をW−V相とし、変数nが「2」の場合には、短絡相をV−U相とする。また、変数nの値が3以上の場合には、その値から「3」あるいは「3」の倍数を引いた値に対応する短絡相を設定する。
続いて、ステップS404において、アシスト制御部61は、設定された短絡相を使って電動モータ20のモータコイルを短絡するようにモータ駆動回路30にPWM制御信号を出力する。これにより短絡電流がモータコイルに流れて、電動モータ20に制動力が働く。続いて、アシスト制御部61は、ステップS405において、予め設定した設定時間経過するまで待機する。
設定時間経過すると、アシスト制御部61は、ステップS406において、変数nに応じて設定された短絡相を使って、モータコイルに蓄積した発電エネルギーを副電源50に放出して副電源50に吸収させるようにモータ駆動回路30にPWM制御信号を出力する。例えば、変数nが「0」であれば、U相の上アームのスイッチング素子SW1とW相の下アームのスイッチング素子SW6を同時にオン状態にし、他のスイッチング素子SW2,SW3,SW4,SW5をオフ状態にする。変数nが「1」であれば、W相の上アームのスイッチング素子SW3とV相の下アームのスイッチング素子SW5を同時にオン状態にし、他のスイッチング素子SW1,SW2,SW4,SW6をオフ状態にする。変数nが「2」であれば、V相の上アームのスイッチング素子SW2とU相の下アームのスイッチング素子SW4を同時にオン状態にし、他のスイッチング素子SW1,SW3,SW5,SW6をオフ状態にする。これにより、モータコイルに蓄積した発電エネルギーは、副電源50に吸収され(回生され)て、副電源50が充電される。続いて、アシスト制御部61は、ステップS407において、予め設定した設定時間経過するまで待機する。
設定時間経過すると、アシスト制御部61は、ステップS408において、実充電率Rxが上限充電率R2以上になっているか否かを判断し、実充電率Rxが上限充電率R2以上になっていなければ、ステップS409において、変数nの値を「1」だけインクリメントし、その処理をステップS403に戻す。従って、短絡相が変更されて上述した処理が繰り返される。
こうした処理が繰り返されて、実充電率Rxが上限充電率R2以上に達すると、アシスト制御部61は、ステップS410において、イグニッションスイッチ106がオフされるまで、その状態を維持し、イグニッションスイッチ106がオフされると、逆入力回転抑制制御サブルーチンを終了する。
以上説明した変形例の逆入力回転抑制制御サブルーチンによれば、モータコイルの相間短絡処理と、発電エネルギーの副電源50への放出とを相を切り替えて繰り返すため、電動モータ20およびモータ駆動回路30の特定の相に負荷が加わることがなく、回路を保護することができるという効果を奏する。
また、他の変形例として、例えば、本実施形態においては、昇圧回路40、副電源50を設けた構成であるが、必ずしもそれらを必要とするものではなく、その両方、あるいは、一方を省略した構成であってもよい。
また、本実施形態においては、3相ブラシレスモータをインバータ回路により駆動する構成であるが、単相モータをHブリッジ回路により駆動する構成であってもよい。この場合、逆入力検出時における電動モータのブレーキは、電動モータの電源端子間を短絡すればよい。
また、本実施形態においては、電動モータ20の回転角を検出する回転角センサ21により操舵角θxおよび操舵速度ωxを検出するようにしているが、例えば、ステアリングシャフト12に回転角センサを設けて、ステアリングシャフト12の回転角度および回転角速度により操舵角θxおよび操舵速度ωxを検出する構成でもよい。
Claims (6)
- ステアリング機構に設けられた電動モータの駆動により運転者の操舵操作をアシストする電動パワーステアリング装置において、
前記電動モータの出力を検出するモータ出力検出手段と、
前記ステアリング機構の回転状態を検出する回転状態検出手段と、
前記モータ出力検出手段と前記回転状態検出手段との検出結果に基づいて、前記電動モータがトルクを発生させる方向と前記ステアリング機構の回転方向とが不一致となる前記電動モータの発電状態を検出する発電状態検出手段と、
前記発電状態が連続的に検出されている期間内における、前記電動モータで発生する発電エネルギー相当量を演算する発電エネルギー演算手段と、
前記演算された発電エネルギー相当量が判定基準値よりも大きくなったときに、タイヤから前記ステアリング機構に逆入力が働いている逆入力状態であると判定する逆入力検出手段と、
前記逆入力検出手段により逆入力状態を検出したとき、前記逆入力による前記ステアリング機構の回転を抑制する逆入力回転抑制手段と
を備えたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記回転状態検出手段は、前記電動モータの回転速度、あるいは、ステアリングシャフトの回転速度を検出することを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記モータ出力検出手段は、前記電動モータに流れる電流を検出するモータ電流検出手段であり、
前記発電状態検出手段は、前記モータ電流検出手段により検出された電流により前記電動モータがトルクを発生させる方向と、前記回転速度検出手段により検出された前記ステアリング機構の回転方向とが不一致となる前記電動モータの発電状態を検出し、
前記発電エネルギー演算手段は、前記発電状態が連続的に検出されている期間内における、前記モータ電流検出手段により検出された電流と前記回転状態検出手段により検出された回転速度との積を時間積分した値を前記発電エネルギー相当量として算出することを特徴とする請求項2記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記逆入力回転抑制手段は、前記電動モータの駆動回路を制御して、前記電動モータの相間を短絡し前記電動モータにブレーキを働かせることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか一項記載の電動パワーステアリング装置。
- 車載電源の出力電圧を昇圧して前記電動モータの駆動回路に電源供給する昇圧回路と、
前記昇圧回路に対して前記電動モータの駆動回路と並列に接続されて、前記昇圧回路により充電されるとともに、蓄電した電気エネルギーを放電して前記電動モータの駆動回路への電源供給を補助する副電源と、
前記電動モータの駆動回路を制御して、前記電動モータで発生した発電エネルギーを前記副電源に吸収させる回生制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか一項記載電動パワーステアリング装置。 - 前記副電源の充電率を上限充電率以下に制限する充電制限手段と、
逆入力検出手段により逆入力状態であると判定された場合、前記上限充電率を増大させる上限充電率変更手段と
を備えたことを特徴とする請求項5記載の電動パワーステアリング装置。
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