JPWO2010055883A1 - 抗リン脂質抗体測定試薬に用いる不溶性担体、抗リン脂質抗体測定試薬、及び、抗リン脂質抗体の測定方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明者らは、鋭意検討した結果、親水性部分の少ないリン脂質を不溶性担体に吸着させる場合、同じ粒子径でゼータ電位の異なる不溶性担体を比較すると、ゼータ電位の低い不溶性担体を用いた方が、より反応性の高い、即ち、高感度の抗リン脂質抗体測定試薬が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
具体的には、本発明は、抗リン脂質抗体測定試薬に用いる不溶性担体であって、20mmol/Lのリン酸ナトリウム水溶液(pH7.4)において固形分濃度が0.1%となるように懸濁した場合のゼータ電位が−45mV未満である抗リン脂質抗体測定試薬に用いる不溶性担体である。
また、本発明は、前記不溶性担体を用いた抗リン脂質抗体測定試薬、及び、前記不溶性担体を用いた抗リン脂質抗体の測定方法である。
以下に本発明を詳述する。
上記有機高分子粉末は、天然高分子粉末、合成高分子粉末が挙げられる。
上記合成高分子粉末は特に限定されず、例えば、ポリスチレン、スチレン−スルホン酸(塩)共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
なかでも、合成高分子微粒子が水媒体中に均一に分散されたラテックス粒子であることが好適である。
上記フェニル基を有する重合性単量体と上記フェニル基及びスルホン酸基を有する重合性単量体とを共重合させる方法としては従来公知の方法を用いることができ、例えば、溶媒として水が仕込まれた反応容器内に上記フェニル基を有する重合性単量体、上記フェニル基とスルホン酸基を有する重合性単量体、重合開始剤、及び、必要に応じて乳化剤を添加し、窒素雰囲気下で攪拌する方法等が挙げられる。
なお、上記ラテックス粒子表面のスルホン酸基量は、電気伝導度滴定法(Journal of Colloid and Interface Sciences.49(3)425,1974)により求めることができ、この値を、得られた粒子径から算出される粒子の総表面積で除することにより、単位面積当たりのスルホン酸基量を算出することができる。
上記過硫酸塩類は特に限定されないが、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が好適である。
上記重合開始剤の配合量は特に限定されないが、通常は重合性単量体量に対して0.01〜1重量%の範囲である。
上記乳化剤の配合量は特に限定されないが、重合後の後処理工程により除去することを考慮すれば、フェニル基を有する重合性単量体に対して、好ましい上限は1重量%、より好ましい上限は0.5重量%、更に好ましい上限は0.02重量%である。上記乳化剤の配合量の好ましい下限は0.01重量%である。
なお、本明細書において(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
なお、上記粒子径のCV値(%)は、下記式により算出することができる。
粒子径のCV値(%)=粒子径の標準偏差/平均粒子径×100
上記リン脂質抗原は特に限定されないが、例えば、カルジオリピン、ホスファチジルコリン、及び、コレステロールからなるリン脂質抗原が好ましい。
上記カルジオリピンは、ウシの心臓から精製したものを用いることが好ましいが、化学的に合成されていてもよい。
上記ホスファチジルコリンは、ニワトリの卵黄から精製されたものを用いることが好ましいが、ホスファチジルコリンの含有量が60〜80%であるレシチンを用いてもよい。また、ウシ心臓や大豆等から抽出されたものや、化学的に合成されたものでもよい。
上記コレステロールは、動物由来であってもよいし、化学的に合成されていてもよい。
上記緩衝液は、上記リン脂質抗原を担持したラテックス粒子を分散又は懸濁させる役割を有する。
上記緩衝液は特に限定されず、例えば、リン酸緩衝液、グリシン緩衝液、トリス塩緩衝液、グッド緩衝液等が挙げられる。
上記緩衝液のpHは特に限定されないが、好ましい下限は5.5、好ましい上限は8.5であり、より好ましい下限は6.5である。
上記水溶性高分子は特に限定されず、例えば、プルラン、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
なお、上記測定を行う際の光の波長は、300〜900nmが好適である。
なお、凝集の度合いの観察には、目視による方法以外に、凝集状態をビデオカメラ等で撮影し、画像処理を施す方法を用いることも可能である。
(ラテックス粒子の作製)
攪拌機、還流用冷却器、温度検出器、窒素導入管及びジャケットを備えたガラス製反応容器(容量2L)に、蒸留水1100g、スチレン180g、スチレンスルホン酸ナトリウム0.04g、及び、蒸留水26gに過硫酸カリウム0.8gを溶解した水溶液を仕込み、容器内を窒素ガスで置換した後、70℃で攪拌しながら48時間重合した。
重合終了後、上記溶液をろ紙にてろ過処理し、ラテックス粒子を取り出した。得られたラテックス粒子の粒子径、表面のスルホン酸基量及びゼータ電位を下記の方法により測定した。
透過型電子顕微鏡装置(日本電子社製、「JEM−1010型」)を用いて10000倍の倍率でラテックス粒子を撮影し、最低100個以上の粒子について画像解析することにより粒子径を測定した。得られた平均粒子径は0.4μmであった。
ラテックス粒子をセロファンチューブ透析膜にて48時間、精製水で透析し残存単量体を除去した。この粒子を乾燥重量で10gになるように4ツ口ガラス容器に採取後、蒸留水で150mLになるように希釈しスターラーチップを用い攪拌した。これを溶液Aとした。
次に、電位差電気伝導度滴定処理装置(京都電子工業社製、「AT−310」)の付属装置ATB−310電動ビュレットに、0.01N水酸化ナトリウム(和光純薬工業社製)をセットし、更に導電率電極を溶液Aに浸し、窒素導入管、脱気管及びpH電極を設定した。そして、0.01N水酸化ナトリウムを滴下(0.05mLを150秒〜500秒の範囲で測定するスルホン酸基量により調整)し、電位差電気伝導度滴定処理装置(京都電子工業社製、「AT−310」)を用いた伝導度の変化量から当量点を測定し、目的とするスルホン酸基量を算出した。得られたスルホン酸基量は0.28μmol/m2であった。
ラテックス粒子を20mmol/Lのリン酸ナトリウム水溶液(pH7.4)において固形分濃度が0.1%となるように調整し、これをゼータ電位測定用サンプルとした。
次に、ゼータ電位測定装置(Malvern Instruments Ltd.社製、「Zetasizer Nano ZEN3600」)にて、ゼータ電位測定用キャピラリーセルに測定サンプル750μLを分注し、測定温度37℃でゼータ電位を測定した。得られたゼータ電位は−74mVであった。
スチレンスルホン酸ナトリウムの配合量を0.08gとしたこと以外はLotAと同様にしてラテックス粒子を作製した。LotAと同様の方法で評価を行い、得られたラテックス粒子の平均粒子径は0.3μm、スルホン酸基量は0.23μmol/m2、ゼータ電位は−77mVであった。
蒸留水の配合量を1020g、スチレンスルホン酸ナトリウムの配合量を0.25gとし、蒸留水26gに過硫酸カリウム0.8gを溶解した水溶液の代わりに蒸留水13gに過硫酸カリウム0.4gを溶解した水溶液を用い、更に、0.1mol/Lリン酸水素二カリウム80gを添加したこと以外はLotAと同様にしてラテックス粒子を作製した。LotAと同様の方法で評価を行い、得られたラテックス粒子の平均粒子径は0.3μm、スルホン酸基量は0.16μmol/m2、ゼータ電位は−88mVであった。
蒸留水の配合量を1020g、スチレンスルホン酸ナトリウムの配合量を0.20gとし、蒸留水26gに過硫酸カリウム0.8gを溶解した水溶液の代わりに蒸留水16gに過硫酸カリウム0.6gを溶解した水溶液を用い、更に、0.1mol/Lリン酸水素二カリウム80gを添加したこと以外はLotAと同様にしてラテックス粒子を作製した。LotAと同様の方法で評価を行い、得られたラテックス粒子の平均粒子径は0.4μm、スルホン酸基量は0.18μmol/m2、ゼータ電位は−86mVであった。
スチレンスルホン酸ナトリウムの配合量を0.01gとし、蒸留水26gに過硫酸カリウム0.8gを溶解した水溶液の代わりに蒸留水4gに過硫酸カリウム0.1gを溶解した水溶液を用いたこと以外はLotAと同様にしてラテックス粒子を作製した。LotAと同様の方法で評価を行い、得られたラテックス粒子の平均粒子径は0.4μm、スルホン酸基量は0.06μmol/m2、ゼータ電位は−29mVであった。
(1)緩衝液(第1試薬)の調製
1.2(W/V)%のプルラン(林原社製)、1.0(W/V)%のウシ血清アルブミン(BSA)を含有する25mmol/Lのリン酸緩衝液(pH6.5)100mLに、塩化ナトリウム0.9gとアジ化ナトリウム0.1gを添加し、緩衝液(第1試薬)とした。
カルジオリピンのエタノール溶液(5mg/mL、シグマ社製)2mL、精製レシチン(ナカライテスク社製)のエタノール溶液(10mg/mL)10mL及びコレステロール(ナカライテスク社製)のエタノール溶液(10mg/mL)3mLを混合し、リン脂質抗原液を得た。
ラテックス粒子(LotA)100μLに、得られたリン脂質抗原液250μLを添加し、そのまま37℃で緩やかに2時間攪拌した。次に5(W/V)%濃度でBSAを含む100mmol/Lのリン酸緩衝液(pH6.5)3mLを添加し、更に37℃で1時間攪拌した。15000rpm、4℃で30分間遠心分離し、上澄みを除き、沈殿したラテックス粒子を1(W/V)%濃度でBSAを含む100mmol/Lのリン酸緩衝液(pH6.5)2mLに再び懸濁した。この操作を2回繰り返し、ラテックス粒子を洗浄し、最後にEDTA・4Naを10mmol/L、及び、塩化コリンを500mmol/L含む100mmol/Lのリン酸緩衝液(pH6.5)10mLに懸濁させてリン脂質抗原感作ラテックス試薬(第2試薬)とした。
ラテックス粒子をLotBに変更したこと以外は実施例1と同様にして、緩衝液(第1試薬)、リン脂質抗原感作ラテックス試薬(第2試薬)を調製した。
ラテックス粒子をLotCに変更したこと以外は実施例1と同様にして、緩衝液(第1試薬)、リン脂質抗原感作ラテックス試薬(第2試薬)を調製した。
ラテックス粒子をLotDに変更したこと以外は実施例1と同様にして、緩衝液(第1試薬)、リン脂質抗原感作ラテックス試薬(第2試薬)を調製した。
ラテックス粒子をLotEに変更したこと以外は実施例1と同様にして、緩衝液(第1試薬)、リン脂質抗原感作ラテックス試薬(第2試薬)を調製した。
実施例及び比較例で得られた緩衝液(第1試薬)、リン脂質抗原感作ラテックス試薬(第2試薬)について、以下の方法で評価した。
市販のRPR標準血清8.0R.U.(積水メディカル社製)20μLに、緩衝液(第1試薬)180μLを混合し、37℃で5分間保持した後、リン脂質抗原感作ラテックス試薬(第2試薬)60μLを添加攪拌し、測定波長700nmで添加後1分間及び5分間の吸光度変化を、日立7170形生化学自動分析機を用いて測定した。結果を表1及び図1に示す。
Claims (6)
- 抗リン脂質抗体測定試薬に用いる不溶性担体であって、
20mmol/Lのリン酸ナトリウム水溶液(pH7.4)において固形分濃度が0.1%となるように懸濁した場合のゼータ電位が−45mV未満である
ことを特徴とする抗リン脂質抗体測定試薬に用いる不溶性担体。 - 平均粒子径が、0.2μm〜0.5μmであることを特徴とする請求項1記載の不溶性担体。
- 抗リン脂質抗体測定に用いる抗リン脂質抗体測定試薬であって、
リン脂質抗原を担持した不溶性担体と緩衝液とを含有し、
前記リン脂質抗原を担持する前の不溶性担体は、20mmol/Lのリン酸ナトリウム水溶液(pH7.4)において固形分濃度が0.1%となるように懸濁した場合のゼータ電位が−45mV未満である
ことを特徴とする抗リン脂質抗体測定試薬。 - 不溶性担体の平均粒子径が、0.2μm〜0.5μmであることを特徴とする請求項3記載の抗リン脂質抗体測定試薬。
- リン脂質抗原を担持した不溶性担体と緩衝液とを含有する抗リン脂質抗体測定試薬と検体とを混合し、抗原抗体反応により凝集を生じさせる工程と、前記凝集の度合いを光学的に測定又は目視にて観察することにより、検体中の脂質抗体を測定する工程とを有する抗リン脂質抗体の測定方法であって、
リン脂質抗原を担持させる前の不溶性担体は、20mmol/Lのリン酸ナトリウム水溶液(pH7.4)において固形分濃度が0.1%となるように懸濁した場合のゼータ電位が−45mV未満である
ことを特徴とする抗リン脂質抗体の測定方法。 - 不溶性担体の平均粒子径が、0.2μm〜0.5μmであることを特徴とする請求項5記載の抗リン脂質抗体の測定方法。
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