JP2006153525A - 免疫学的測定試薬及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 弱い陽性を示す生体試料を検体として用いても陰性か陽性かを正確に判定できる免疫学的測定試薬及び方法を提供する
【解決手段】 生体試料中の抗リン脂質抗体を抗原抗体反応に基づいて免疫学的に測定するための試薬において、脂質抗原を感作した担体粒子と多価フェノールとを含有することを特徴とする免疫学的測定試薬を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、生体試料中の抗リン脂質抗体を免疫学的に測定するための試薬及び該試薬を用いた測定方法に関する。
従来から、生体内に病原体などの非自己物質が侵入しているかどうかを診断するための方法の一つに、免疫学的測定方法がある。該方法は、生体内に侵入した非自己物質又は該非自己物質に対する抗体を抗原抗体反応に基づいて測定する方法である。該方法を用いて診断できる感染症の一例として、梅毒を挙げることができる。梅毒は病原体であるトレポネマ・パリダム(Treponema pallidum)というバクテリアが生体内に侵入することによって起こる慢性感染性疾患である。梅毒の診断には、一般的に脂質抗原試験(STS)とトレポネマ抗原試験(TP)とが併用される。STSでは、前記病原体と交叉抗原性を有するカルジオライピンなどの脂質抗原に対する抗体を測定対象成分とし、TPでは、T. pallidum菌体に特異的な抗体を測定対象成分とする。STSは感度が高くスクリーニング法として優れていることや、通常治癒とともに陰性化するため治療経過の観察に有用である反面、非特異反応による生物学的偽陽性を呈しやすい。一方、TPは特異性が高く、ほぼ生涯にわたり長期間陽性となるため、梅毒の既往を知るのに有用であるが、抗体が体内に記憶されるので治癒後も陽性となってしまう。通常はSTS及びTPの両方法において陽性となった場合、梅毒であると診断される。
STSの一つに、ガラス板法がある。ガラス板法とは、脂質抗原を感作した担体粒子を含む試薬と検体である血清をスライドガラス上で混和し、凝集塊の有無を顕微鏡で観察して血清中に抗リン脂質抗体が含まれているかどうかを判定する方法である。凝集塊が観察できない場合はSTS陰性と判定され、凝集塊が観察される場合はSTS陽性と判定される。STS陽性の場合は凝集塊の大きさによって陽性の程度が4段階に分けられる。極めて小さい凝集塊のあるものを1+とし、凝集塊が大きくなるに従って2+、3+、及び4+となる。1+は弱い陽性であることをあらわし、2+、3+、4+となるに従って検体中の抗リン脂質抗体量が多いことを示しており、陽性の強度が強いことをあらわす。
しかしながら、ガラス板法は顕微鏡などによる観察を必要とするため、手間がかかり迅速に大量の検体を処理するのには適していない。
そこで近年、STSによって生体試料中の抗リン脂質抗体を測定するため、抗リン脂質抗体測定試薬(例えば、特許文献1)が用いられている。これによると顕微鏡などによる観察を必要とせず、自動分析装置などを用いることによって生体試料中の抗リン脂質抗体を測定することができる。該試薬は脂質抗原を感作したラテックス粒子を含み、該試薬を検体である血清に添加することによって、ラテックス粒子表面に感作した脂質抗原と血清中の抗リン脂質抗体とが抗原抗体反応を起こし、血清中の抗リン脂質抗体量に応じてラテックス粒子が凝集する。このラテックス粒子の凝集に基づいて抗リン脂質抗体量を測定する。
しかしながら、特許文献1記載の抗リン脂質抗体測定試薬は、例えばガラス板法で1+となるような弱いSTS陽性を示す生体試料に対してSTS陰性を示すことがあった。従って生体試料との反応性がよく、弱いSTS陽性を示す生体試料であっても正確にSTS陽性かSTS陰性かを判定できる免疫学的測定方法及び試薬の開発が望まれていた。
特開2001−242171号公報
本発明の目的は、弱い陽性を示す生体試料を検体として用いても陰性か陽性かを正確に判定できる免疫学的測定試薬及び方法を提供することである。
本発明は、生体試料中の抗リン脂質抗体を抗原抗体反応に基づいて免疫学的に測定するための試薬において、脂質抗原を感作した担体粒子と多価フェノールとを含有することを特徴とする免疫学的測定試薬を提供する。
また、本発明は、生体試料中の抗リン脂質抗体を抗原抗体反応に基づいて免疫学的に測定する方法において、前記生体試料に脂質抗原を感作した担体粒子と多価フェノールとを添加して抗原抗体反応を生じさせ、前記抗原抗体反応に基づいて前記生体試料中の抗リン脂質抗体を測定することを特徴とする免疫学的測定方法を提供する。
本発明によると、多価フェノールを用いることによって、生体試料中の抗リン脂質抗体とラテックス粒子表面に感作した脂質抗原との反応性が良好で、該生体試料が陰性か陽性かを正確に判定できる免疫学的測定試薬及び方法が提供される。
以下、免疫学的測定試薬及び該試薬を用いた免疫学的測定方法について説明する。本発明の実施形態の免疫学的測定試薬は多価フェノールと、脂質抗原を感作した担体粒子とを含む。
本実施形態に用いられる多価フェノールとしては、カテキン、ケルセチン、イソフラボン、タンニン、カテコール、レゾルシノール、オイゲノール、カリクスアレンなどが例示され、これらのうち二種類以上を併用してもよい。上記多価フェノールのうち、カリクスアレンが好適に使用される。カリクスアレンはフェノールを基本骨格とし、フェノールの4〜8分子をメチレン基で環状に重合させた環状オリゴマーである。カリクスアレンの種類としては特に限定されず、具体的にはカリクス(4)アレン、カリクス(6)アレン、カリクス(8)アレン、硫酸カリクス(4)アレン、硫酸カリクス(6)アレン、硫酸カリクス(8)アレン、酢酸カリクス(4)アレン、酢酸カリクス(6)アレン、酢酸カリクス(8)アレン、カルボキシカリクス(4)アレン、カルボキシカリクス(6)アレン、カルボキシカリクス(8)アレン、カリクス(4)アレンアミン、カリクス(6)アレンアミン、カリクス(8)アレンアミンなどが挙げられる。本実施形態においては、上記カリクスアレンから選ばれる一種又は二種以上を用いることができる。生体試料と本実施形態の免疫学的測定試薬とを混合した反応液中のカリクスアレンの濃度は、0.05〜50mMが好ましく、0.1〜20mMがより好ましい。
該試薬に多価フェノールを添加することにより、陰性の検体を陽性と判定することなく、弱陽性の検体を正確に陽性と判定することができるようになり、さらに該試薬が空気と接触することによって生じる担体粒子の自然凝集を抑制でき、保存安定性を向上させることができる。
担体粒子に感作する脂質抗原としては、例えばカルジオライピン、フォスファチジルコリン及びコレステロールが挙げられる。脂質抗原は、本発明の目的を達成するものであればその由来は特に限定されず、市販されているものを用いることができる。また、担体粒子として、ラテックス粒子を用いることが好ましい。凝集した粒子数を計数するためには、ラテックス粒子の粒径が均一であることが好ましく、この点では種々のモノマーを重合又は共重合させることによって得られる合成高分子が好適である。該モノマーとしては、重合性不飽和芳香族類(例えば、スチレン、クロルスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンなど)、重合性不飽和カルボン酸類(例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル賛など)、重合性カルボン酸エステル類(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、エチレングリコール−ジ−(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルなど)、不飽和カルボン酸アミド類(例えば、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクロレイン、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ブタジエン、イソプレン、酢酸ビニル、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニルなど)、重合性不飽和ニトリル類、ハロゲン化ビニル類、共役ジエン類などを例示することができ、これらのうち一種又は二種以上を用いることができる。また、本実施形態では担体粒子としてスチレンを重合させることによって得られるポリスチレンラテックス粒子が好適に用いられる。また担体粒子の粒径は0.05〜10μmが好ましく、0.1〜1μmがより好ましい。
免疫学的測定試薬の調製に際しては、先ずカルジオライピン、フォスファチジルコリン及びコレステロールを有機溶媒に溶解させて抗原液を作成する。使用する有機溶媒は、メタノール、エタノールなどが好適に使用される。使用する各脂質抗原の質量に関しては、フォスファチジルコリンとカルジオライピンとの質量比の値が2〜15、好ましくは2〜10、コレステロールとカルジオライピンとの質量比の値が6以下、好ましくは2〜6である。また、ラテックス粒子と脂質抗原の総量との質量比は、1000:30〜1000:95となるのが好ましい。
上記のように作成された抗原液をスターラーなどで攪拌しながら、担体粒子を添加して混合する。この抗原液と担体粒子との混合液を攪拌しながらさらに有機溶媒を添加する。ここではエタノールやメタノールなどの有機溶媒を用いることができる。また、この有機溶媒には、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、硝酸イオン、臭素イオンや塩素イオンのようなカオトロピックイオンを含有させることもできる。カオトロピックイオンとしては、抗リン脂質抗体との反応性を向上させられるので、チオシアン酸イオンが特に好ましい。免疫学的測定試薬中のカオトロピックイオンの濃度は、30〜500mMの範囲で使用でき、100〜300mMが好ましい。
脂質抗原を含む抗原液と担体粒子と有機溶媒とを混合して調製した抗原混合液を常温下(好ましくは20〜25度)に一定時間静置し,脂質抗原を担体粒子表面に感作する。
次に、抗原混合液を遠心分離して上清を除去した後、ポリビニルアルコール(以下、PVAとする)溶液を添加しブロッキング処理を行うのが好ましい。この場合、抗原混合液にPVA溶液を添加し、超音波処理などを行って担体粒子を分散させる。その後この抗原混合液を常温下(好ましくは20〜25度)において一定時間スターラーなどで攪拌することにより、ブロッキング処理を行う。
ブロッキング処理とは抗原を感作した担体粒子をPVAによって被覆する処理のことである。この処理を行うことにより、感作する抗原以外の物質がラテックス粒子に吸着するのを妨げることができる。
ブロッキング処理に使用するPVAは平均重合度が100〜10000、好ましくは200〜3000、鹸化度は50mol%以上、好ましくは70mol%以上のものが使用できる。
またPVAのPVA溶液中の濃度は、0.01〜20%、好ましくは0.05〜10%に調整される。
ブロッキング処理終了後、抗原混合液を遠心分離して上清を除去し、さらに多価フェノールを添加し、超音波処理などを行って担体粒子を分散させ、本実施形態の免疫学的測定試薬を得ることができる。このとき、さらに分散剤を抗原混合液に添加するのが好ましい。分散剤は試薬中での担体粒子の分散安定性を確保するために用いられ、このような性質を有するものであればその種類は特に限定されず、市販されているものを用いることができる。
なお、本実施形態の免疫学的測定試薬に含まれる担体粒子に、脂質抗原としてカルジオライピン、フォスファチジルコリン、及びコレステロールを感作しているが、担体粒子にコレステロールを感作せず、カルジオライピン及びフォスファチジルコリンのみを感作してもよい。
上記のようにして得られた免疫学的測定試薬を生体試料に添加し、生体試料中の抗リン脂質抗体を測定する。
以下、その測定方法を説明する。
先ず、生体試料と反応緩衝液とを混合させることが好ましい。この操作は必須ではないが、予め生体試料と反応緩衝液を混合させると、後に続く生体試料と免疫学的測定試薬との反応系のpHを適当な範囲に調整することができ、生体試料と免疫学的測定試薬との反応を効率よく行うことができる。反応緩衝液としては、免疫学的測定試薬中のpHが6.5〜8.0となるようにその種類や量を選択することが好ましい。反応緩衝液の種類は特に限定されず、公知の反応緩衝液、例えばリン酸塩緩衝液、グッド緩衝液などを使用することができる。
なお、フォスファチジルコリンを感作した小径粒子(以下、フォスファチジルコリン感作小径粒子とする)を上述の反応緩衝液に含有させてもよい。小径粒子は、例えばラテックス粒子を用いることができる。小径粒子の粒径は、凝集度の測定に影響を及ぼさなければ特に制限されない。後述の免疫学的測定試薬に含まれるラテックス粒子よりも小さい粒径を有する小径粒子が凝集度の測定に影響を与えないため特に好ましい。
フォスファチジルコリンを感作した小径粒子を反応緩衝液に含有させることにより、フォスファチジルコリンと反応して測定を妨害する生体試料中の成分を、免疫学的測定試薬添加前に反応系から除外することができ、フォスファチジルコリン由来の非特異反応を効果的に抑制することができる。
生体試料と反応緩衝液の混合から所定の時間経過した後、さらに本実施形態の免疫学的測定試薬を添加して反応させ、反応混合液を調製する。反応温度は、20〜50℃、反応時間は15秒〜20分の範囲で行うことができる。さらに所定時間反応させた後、反応混合液の凝集度を測定する。
反応混合液の凝集を検出する手段としては、目視で判定する方法、反応混合液の吸光度の変化を測定する方法、カウンティングイムノアッセイ法(以下、CIA法とする)など、公知の測定法を用いることができる。
ここで、CIA法による凝集度測定について説明する。
脂質抗原を感作した担体粒子と抗リン脂質抗体とを反応させると、抗リン脂質抗体の量に応じて担体粒子複数個が凝集する。凝集した担体粒子及び凝集しなかった担体粒子の一つ一つの大きさをフローサイトメータによって弁別し、これらをカウントする。凝集していない担体粒子のカウント数をM(Monomer)、2個以上の担体粒子が凝集したもののカウント数をP(Polymer)、MとPとの和をT(Total)とし、P/Tを凝集度として算出する。
凝集度の測定は次のようにして行うことができる。先ず、生体試料と本実施形態の免疫学的測定試薬とを混合した反応混合液を希釈し、カウントに適切な担体粒子濃度に調整する。ついで、フローセルの中に形成されたシース液の層流中に、希釈された反応混合液を少しずつ押し出すと、担体粒子は一列になって、フローセルの中央を通過する。フローセルを通過する担体粒子に対し、フローセルに垂直な方向からレーザダイオードなどで光を照射する。光を照射された担体粒子から散乱した散乱光がフォトダイオードなどの受光素子によって受光される。
散乱光が受光素子によって受光されると、散乱光の強度に応じた電気パルスが検出される。この電気パルスは光を照射された担体粒子が、凝集せず一個のとき、凝集して二個のとき,或いは凝集して三個のとき,など担体粒子の凝集状態に応じた大きさとなる。
この電気パルスをその大きさで弁別してカウントし、P/Tを求め、これを凝集度とする。
上述のCIA法を用いた一連の操作は、分析装置によって自動的に行うことができる(例えば、免疫凝集測定装置PAMIAシリーズ(シスメックス製)を用いることができる)。
(実施例)
1.反応緩衝液の調製
<フォスファチジルコリン感作小径粒子懸濁液の調整>
反応緩衝液の調製に先立ち、フォスファチジルコリン感作小径粒子懸濁液を調製した。小径粒子は粒径0.1μmのポリスチレンラテックス粒子を用いた。
フォスファチジルコリン100mg/mlのエタノール溶液を150μlとり、ボルテクスミキサで攪拌しながら小径ポリスチレンラテックス懸濁液(濃度10w/v%、粒径0.1μm;積水化学工業社製)1.5mlと混合した。
この混合液をボルテクスミキサで攪拌しながら、300mMチオシアン酸ナトリウム及び0.15w/v%塩化ナトリウムを含む水溶液3.35mlに添加した。引き続き、25℃の恒温水槽中で一時間静置した後、15000gで約1時間遠心分離を行い、上清を除去して小径ポリスチレンラテックス粒子の沈さを得た。ここに、0.067w/v%PVA(重合度500、鹸化度88.0±1.5mol%;クラレ製)、13w/v%硫酸アンモニウム、0.1w/v%3,3−ジメチルグルタル酸、0.08w/v%トリスヒドロキシメチルアミノメタン、及び0.07w/v%2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールを含むPVA溶液(pH8.0)を5ml添加し、超音波処理により小径ポリスチレンラテックス粒子を分散させ、25℃の恒温水槽中に約一時間静置し、これをフォスファチジルコリン感作小径粒子懸濁液とした。
<反応緩衝液の調製>
次に、反応緩衝液を調製した。精製水に0.16w/v%3,3−ジメチルグルタル酸、0.12w/v%トリスヒドロキシメチルアミノメタン、0.10w/v%2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、上述の2w/v%フォスファチジルコリン感作小径ポリスチレンラテックス粒子懸濁液、0.1w/v%アジ化ナトリウム、0.58w/v%塩化ナトリウム、及び1w/v%ウシ血清アルブミンを添加して反応緩衝液を調製した。反応緩衝液のpHは8.0に調整された。
2.対照試薬及びラテックス試薬の調製
多価フェノールを含まない免疫学的測定試薬(対照試薬)及び多価フェノールを含む免疫学的測定試薬(本実施例のラテックス試薬)を調製した。
先ず、対照試薬を調製した。対照試薬にはラテックス粒子として粒径0.7μmのポリスチレンラテックス粒子を用いた。
カルジオライピン(ウシ心筋由来;シグマ社製)1.0mg/mlのエタノール溶液250μl、フォスファチジルコリン(鶏卵由来;シグマ社製)10mg/mlのエタノール溶液250μl、及びコレステロール(ブタ肝臓由来;シグマ社製)6mg/mlのエタノール溶液250μlを混合して抗原液とした。
該抗原液を攪拌しながら,ポリスチレンラテックス粒子を含む懸濁液(10w/v%、粒径0.7μm;積水化学工業製)500μlを添加して混合し、ボルテクスミキサで攪拌しながら、300mMチオシアン酸ナトリウム(ナカライテクス製)及び0.15w/v%塩化ナトリウムを含む水溶液8.75mlに添加した。引き続き、25℃の恒温水槽中で約一時間静置した後、12000g、4℃で約30分間遠心分離を行い、上清を除去して、抗原を感作されたポリスチレンラテックス粒子の沈さを得た。
次に、ブロッキング処理を行った。得られたポリスチレンラテックス粒子の沈さに、0.067w/v%PVA(重合度500、鹸化度88.0±1.5mol%;クラレ製)、13w/v%硫酸アンモニウム、0.1w/v%3,3−ジメチルグルタル酸、0.08w/v%トリスヒドロキシメチルアミノメタン、及び0.07w/v%2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールを含むPVA溶液(pH8.0)10mlを添加し、超音波処理によりラテックス粒子をPVA溶液中に分散させ、25℃の恒温水槽中で約一時間静置した後、12000g、4℃で約30分間遠心分離を行い、上清を除去して、ブロッキングされたポリスチレンラテックス粒子の沈さを得た。ここに分散溶液A(23w/v%グリセリン、0.61w/v%トリスヒドロキシメチルアミノメタン、0.53w/v%2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、0.05w/v%アジ化ナトリウム、及び0.01w/v%PVA)10mlを添加し、超音波処理によりポリスチレンラテックス粒子を分散溶液中に分散させ、これを対照試薬とした。
次に、ラテックス試薬を調製した。該ラテックス試薬は、分散溶液Aではなく、硫酸カリクス(8)アレン5mMをさらに含有する分散溶液Bを用いること以外は、対照試薬と同様にして調製された。
3.抗リン脂質抗体測定
弱いSTS陽性であると考えられる検体に対して、対照試薬を用いて抗リン脂質抗体測定した場合と、ラテックス試薬を用いて抗リン脂質抗体測定した場合との凝集度を比較した。なお、抗リン脂質抗体測定は免疫凝集測定装置PAMIA−50(シスメックス製)で行った。
抗リン脂質抗体測定には、ヒト由来血清を10検体(検体1〜10)用いた。これらの検体は、TPにおいて、ランリームTP及び免疫凝集測定装置PAMIA−50(何れもシスメックス製)を用いて検査した結果、陽性と判定され、さらにガラス板法において、梅毒血清診断用ガラス板抗原(住友製薬製)を用いて検査した結果、ガラス板法で弱い陽性(1+)と判定された検体である。
また、対照実験として、TP及びガラス板法で陰性を示したヒト由来血清10検体(検体11〜20)の抗リン脂質抗体測定も行った。
抗リン脂質抗体測定に際し、先ず検体10μlを反応緩衝液80μlと混合した。約80秒経過後、ラテックス試薬10μlを添加して反応混合液を作成し、凝集反応を開始させた。約30秒後、約19μlの反応混合液を960μlのシース液に加えて約51倍に希釈した。希釈された反応混合液を、PAMIA−50の光学検出部に導入し、凝集度P/T(%)を測定した。
表1には、対照試薬を用いて抗リン脂質抗体測定を行った場合の凝集度の測定値と、ラテックス試薬を用いて抗リン脂質抗体測定を行った場合の凝集度の測定値とを示した。検体1〜20のそれぞれについて、各測定値の後に示される(+)はSTS陽性であることを示し、(−)はSTS陰性であることを示す。なお、STS陰性かSTS陽性かの判定は、検量線に基づいて行われた。該検量線は、ランリームSTS(シスメックス社製)に付属のキャリブレータを用いて凝集度測定し、該凝集度に基づいて作成されたものである。
また、表1のガラス板法の欄には、検体1〜20についてのガラス板法による判定結果を示し、TPの欄には、検体1〜20についてのTPによる判定結果を示す。
Figure 2006153525
表1より、ガラス板法及びTPにより陽性であると判定された検体1〜3について、対照試薬を用いて凝集度測定した場合は何れもSTS陰性と判定されたが、ラテックス試薬を用いて凝集度測定した場合は何れもSTS陽性と判定された。また、検体1〜10の何れの検体についても、対照試薬を用いて測定した凝集度よりもラテックス試薬を用いて測定した凝集度の方が高値を示した。この測定結果より、抗リン脂質抗体測定に硫酸カリクス(8)アレンを添加した試薬(ラテックス試薬)を用いることによって、ポリスチレンラテックス粒子上の脂質抗原と検体中の抗リン脂質抗体との反応性が向上し、弱いSTS陽性である検体をSTS陰性ではなくSTS陽性と判定することができるようになった。
また、上述のように、ポリスチレンラテックス粒子上の脂質抗原と検体中の抗リン脂質抗体との反応性が向上すると、STS陰性である検体でもSTS陽性と判定してしまうこと(偽陽性)が懸念される。しかしながら、ガラス板法及びTPにより陰性であると判定された検体11〜20について、対照試薬を用いて凝集度測定した場合もラテックス試薬を用いて凝集度測定した場合もSTS陰性と判定された。抗原と抗体との反応性は向上したが、STS陰性である検体について偽陽性反応を生じることなくSTS陰性と判定することができた。
即ち、本実施例のラテックス試薬によると、自動分析装置を用いて検体がSTS陰性かSTS陽性かを正確に判定できることが確認された。
(保存安定性に関する実験)
免疫学的測定試薬は、保管中などに長期間空気と接触することによって、抗リン脂質抗体の非存在下でも試薬中の担体粒子が凝集してしまうことがある(自然凝集)。上述の対照試薬及びラテックス試薬を用いて、空気接触による保存安定性について実験を行った。
各試薬をそれぞれ震蕩攪拌し、通常の保管状態より多くの空気を各試薬に接触させて短期間で自然凝集を起こさせた。震蕩攪拌後どの程度ポリスチレンラテックス粒子が自然凝集しているかを確認するため、各試薬を検体と混合することなくPAMIA−50(シスメックス製)を用いて、ポリスチレンラテックス粒子の凝集度を測定した。即ち、該凝集度は各試薬がどの程度自然凝集を起こしているかを示すものである。
対照試薬又はラテックス試薬5mLをそれぞれプラスチック製の容器に収容し、さらに各試薬中にそれぞれポリテトラフルオロエチレン製攪拌子を入れ、攪拌装置(タイテック製)によって震蕩攪拌を行った。震蕩攪拌を始める前(0時間後)、震蕩攪拌を始めてから72時間後、及び震蕩攪拌を始めてから148時間後のポリスチレンラテックス粒子の凝集度をそれぞれ測定した。測定結果を表1に示し、表1をグラフにしたものを図1に示す。
Figure 2006153525
表2及び図1に示される対照試薬及びラテックス試薬の凝集度より、震蕩攪拌を行う前(0時間後)の凝集度はそれぞれ、0.31%及び0.35%であり、この値は各試薬中のポリスチレンラテックス粒子が殆ど自然凝集を起こしていないことを示している。
72時間震蕩攪拌後の対照試薬の凝集度は8.66%であったが、72時間震蕩攪拌後のラテックス試薬の凝集度は1.75%であり、対照試薬の凝集度に比べ、非常に低い値となった。また、148時間震蕩攪拌後の対照試薬の凝集度は53.14%であったが、148時間震蕩攪拌後のラテックス試薬の凝集度は7.14%であり、対照試薬の凝集度に比べ、非常に低い値となった。
以上の結果より、多価フェノールを免疫学的測定試薬に含有させることによって、該免疫学的測定試薬の自然凝集を抑制することができ、免疫学的測定試薬の保存安定性を向上させることができる。
保存安定性の実験における測定結果を示したグラフ。

Claims (7)

  1. 生体試料中の抗リン脂質抗体を抗原抗体反応に基づいて免疫学的に測定するための試薬において、脂質抗原を感作した担体粒子と多価フェノールとを含有することを特徴とする免疫学的測定試薬。
  2. 前記脂質抗原がカルジオライピン及びフォスファチジルコリンを含む請求項1記載の免疫学的測定試薬。
  3. 前記脂質抗原がさらにコレステロールを含む請求項2記載の免疫学的測定試薬。
  4. 前記担体粒子がラテックス粒子である請求項1記載の免疫学的測定試薬
  5. 前記多価フェノールがカリクスアレンである請求項1記載の免疫学的測定試薬。
  6. 生体試料中の抗リン脂質抗体を抗原抗体反応に基づいて免疫学的に測定する方法において、前記生体試料に脂質抗原を感作した担体粒子と多価フェノールとを添加して抗原抗体反応を生じさせ、前記抗原抗体反応に基づいて前記生体試料中の抗リン脂質抗体を測定することを特徴とする免疫学的測定方法。
  7. 抗原抗体反応によって凝集した担体粒子に光を照射することにより得られる光学的情報に基づいて前記生体試料中の抗リン脂質抗体を測定する請求項6記載の免疫学的測定方法。

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