JPH07270423A - 免疫診断薬の製造方法 - Google Patents

免疫診断薬の製造方法

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JPH07270423A
JPH07270423A JP6127794A JP6127794A JPH07270423A JP H07270423 A JPH07270423 A JP H07270423A JP 6127794 A JP6127794 A JP 6127794A JP 6127794 A JP6127794 A JP 6127794A JP H07270423 A JPH07270423 A JP H07270423A
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美枝 松本
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 免疫測定用不溶性担体に、測定しようとする
物質に対応する抗原または抗体を物理吸着させるに当た
り、pH5.0から8.5を示す緩衝液、または、5m
M以上50mM以下のイオン強度を有する緩衝液を用い
て該不溶性担体を懸濁し、懸濁状の担体のゼータ電位を
測定し、得られたゼータ電位値が−20mV以上0mV
未満の範囲にある担体を選択して、上記吸着に用いるこ
とを特徴とする免疫診断薬の製造方法である。 【効果】 ラテックス粒子等の免疫測定用不溶性担体
に、測定しようとする物質に対応する抗原または抗体を
物理吸着させるに当たり、抗体または抗原を効率よく大
量に吸着させうるラテックス粒子を簡便かつ迅速に選定
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血清、尿等の体液中に
存在する抗原あるいは抗体を検出する免疫診断薬の製造
方法に関し、より詳細には、ラテックス粒子等の免疫測
定用不溶性担体に、測定しようとする物質に対応する抗
原または抗体を物理吸着させるに当たり、抗体または抗
原を効率よく大量に吸着させうるラテックス粒子を簡便
かつ迅速に選定する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】血清、尿等の体液中に存在する抗原ある
いは抗体を検出することは、疾患の診断に極めて重要な
手段のひとつである。特に免疫学的方法として、被検体
中に含まれる抗原あるいは抗体を、それらに対応する抗
体あるいは抗原を固定化したラテックス粒子等の不溶性
担体に作用させ、抗原抗体反応の結果生じた凝集塊を、
光学的あるいは肉眼で検出する方法が行われている。
【0003】上記免疫反応を行わせるにあたり、抗原あ
るいは抗体を固定化する不溶性担体としては赤血球や、
または非生物学的材料であるベントナイト、コロジオン
粒子、カオリン、活性炭、ポリスチレンラテックス粒
子、ポリビニルトルエンラテックス粒子、合成ゴムラテ
ックス粒子等がある。
【0004】上記不溶性担体のうち、ポリスチレンラテ
ックス粒子等の合成ラテックス粒子は、合成物質である
ため、保存時の安定性が他の担体よりも優れ、抗原、抗
体等の蛋白質や脂質等の生理活性物質を強く吸着し、さ
らにこうして結合した抗原、抗体の性質を変化なく保持
しうる点でも優れているため、多くの免疫反応試薬に繁
用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のような種々の不
溶性担体の中で、目的とする検出系に最適なものを選択
しようとした場合、通常は粒径、比重、原材料であるモ
ノマー等を一次的な指標としている。しかし、実際に
は、測定対象物質に対応する抗体もしくは抗原をいくつ
かのラテックス粒子に固定化し、測定対象物質を含む検
体と反応させた際の感度、特異性、再現性等の試薬性能
から判断し、ラテックス粒子を決定しているのが実情で
ある。このような選定方法は、キット開発の最終段階で
は必要かつ有効であるが、抗原もしくは抗体の固定化条
件や反応測定条件の至適化がまだ行われていない開発初
期においては、この方法では有望な候補を見逃す恐れが
ある。また、多数のラテックス粒子を評価するために、
高価かつ貴重な標準品や患者血清を多量に使わねばなら
ない等、コスト面でも負担が大きい。このため、簡易で
迅速かつ血清のような生物材料を用いない評価方法が望
まれていた。
【0006】また、上記のような不溶性担体に抗原もし
くは抗体を固定化する方法として、物理吸着法、イオン
結合法、共有結合法、包括法等の方法(たとえば、『固
定化酵素』(千畑一郎編、昭和50年3月20日、
(株)講談社発行、参照)が採用されるが、とりわけ物
理吸着法は簡便である点が望ましい。
【0007】物理吸着法は、上記の様な不溶性担体表面
と、吸着させようとする物質との間に働く疎水性相互作
用を利用した固定化方法である。実際には疎水性相互作
用以外にも、靜電的作用や、分子間力等、複数のメカニ
ズムが働いていると考えられるが、これらの作用の大き
さは数値化することが困難である。このため実際にはラ
テックス単位面積あたりの物質の吸着量をもって、該不
溶性担体の『吸着力の強さ』を定量的に表わすのが一般
的であった。
【0008】本発明者らは、上記の作用の中で数値化お
よび測定が容易な、『ゼータ電位』というパラメーター
に着目した。この『ゼータ電位』は、コロイド粒子表面
近傍の電気二重層のすべり面の電位差を実験的に求めた
値であるが、粒子表面の電荷密度を反映する値として利
用されている。
【0009】ある物質を不溶性担体に吸着させようとし
た場合、その物質の荷電量が最も小さい状態(タンパク
ならば等電点付近)が、分子内の電気的な反発が最も小
さく、物質がコンパクトな分子形態になるため、これを
大量に吸着できると言われている。本発明者らは、同様
に不溶性担体自身の表面も、荷電量が小さい方が、物質
との電気的な反発力が小さくなり、吸着が効果的に行わ
れるのではないかと考えた。つまり、担体のゼータ電位
の大小を測定することにより、物質の吸着量の多さ、ひ
いては不溶性担体側の吸着力の強さを推定しようとし
た。
【0010】ラテックス粒子の懸濁液の場合、その自己
凝集を防ぐために、品質管理上ゼータ電位は−40から
−30mVの範囲にあることが好ましいとされている。
しかし、診断薬の製造や反応系に用いる様な生理的条件
をもつ緩衝液を用いてゼータ電位を測定した場合、重合
開始剤の残存量や懸濁液中のイオン種との相互作用、そ
の他種々の条件によって、それぞれのラテックス粒子が
示すゼータ電位が大きく変動することはあまり知られて
いない。
【0011】本発明の目的は、ラテックス粒子等の免疫
測定用不溶性担体に、測定しようとする物質に対応する
抗原または抗体を物理吸着させるに当たり、抗体または
抗原を効率よく大量に吸着させうるラテックス粒子を簡
便かつ迅速に選定する方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、測定に用
いる緩衝液のpH、イオン強度、イオン種等を鋭意研究
した結果、不溶性担体表面のゼータ電位が−40から−
30mVといった比較困難な狭い範囲の値ではなく、比
較検討が容易な−60から−10mVといった広い範囲
の値を示す測定条件を見い出した。そのような条件下で
複数のラテックス粒子のゼータ電位を測定したところ、
得られたゼータ電位が小さいラテックス粒子ほど、物質
の吸着量が多く、試薬としての感度も高くなることを見
い出した。
【0013】すなわち、ラテックス粒子のゼータ電位を
測定する際の条件は、(1) 使用する緩衝液のイオン強度
は5mM以上50mM以下であること、(2) 使用する緩
衝液のpHは、生理的な条件であるpH5.0〜8.5
の範囲であることである。
【0014】以上の2点のうち少なくとも1つを満たす
条件下で測定し、得られたゼータ電位が、−20mV以
上0mV以下を示すものが、対象としたラテックス粒子
群の中でも比較的良好な結果が期待されることがわかっ
た。
【0015】本発明で評価される不溶性担体は、赤血球
や、または非生物学的材料であるベントナイト、コロジ
オン粒子、カオリン、活性炭、合成ゼラチン粒子、ポリ
スチレンラテックス粒子、ポリビニルトルエンラテック
ス粒子、合成ゴムラテックス粒子等である。好ましくは
ポリスチレンラテックス粒子等の合成ラテックス粒子で
あり、表面にアミド基、カルボキシル基等の官能基を導
入した化学修飾ラテックス粒子も適用できる。また、本
発明はポリスチレンラテックス粒子等の表面にポリアニ
オン(硫酸デキストランナトリウム、ヘパリンナトリウ
ム等)処理を施し、表面に負電荷を導入した表面処理ラ
テックス粒子も適用できる。
【0016】本発明で使用するゼータ電位測定装置は、
市販されている光散乱法を利用した一般的なゼータ電位
測定装置であれば、特に限定されない。好ましくは大塚
電子社製のレーザーゼータ電位計LEZA−600等、
希薄溶液系で測定する検出器が望ましい。
【0017】本発明で担体の懸濁に使用される緩衝液の
イオン種は、リン酸系、酢酸系、トリス等、試薬の製造
および反応系で通常用いる、生理的な条件を示すもので
あれば、とくに限定されない。望ましくは、リン酸ナト
リウム、リン酸カリウム等のリン酸系の緩衝液が用いら
れる。
【0018】使用する緩衝液のイオン強度は、好ましく
は5〜50mM、さらに好ましくは7.5〜30mM、
最も好ましくは10〜20mMである。
【0019】使用する緩衝液のpHは、ラテックス粒子
の変成を引き起こすような強酸、強アルカリ性以外なら
広く適用できる。好ましくは、通常の生理学的条件であ
る、pH5.0〜pH8.5の範囲である。該条件下で
比較可能なゼータ電位が得られなかった場合には、さら
に吸着させようとする物質の等電点付近のpHを有する
緩衝液を用いることが好ましい。この場合、リン脂質の
ように等電点を有しない物質については、逆にリン脂質
自身のゼータ電位を異なるpHを示す緩衝液により測定
し、ゼータ電位が極小となるpHをもって、リン脂質の
等電点とみなしてもよい。
【0020】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳しく説明
する。
【0021】実施例1 緩衝液pH値のゼータ電位に対する影響 (1) ラテックス液 ポリスチレンラテックス懸濁液(積水化学社製、固型分
10%(W/V)、平均粒径0.400μm)およびカ
ルボタイプラテックス懸濁液(積水化学社製、固型分1
0%(W/V)、平均粒径0.330μm)を用いた。
【0022】(2) 緩衝液 以下の緩衝液を調製した。調製はいずれも25℃で超純
水を用いて行った。 (2)-1 50mM 酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液 50mM酢酸(ナカライテスク社製、試薬特級)と50
mM酢酸ナトリウム(ナカライテスク社製、試薬特級)
水溶液を混合し、pHが4.50、5.00、5.50
程度となるように緩衝液を調製した。
【0023】(2)-2 50mM リン酸緩衝液 50mMリン酸二水素ナトリウム(ナカライテスク社
製、試薬特級)水溶液と50mMリン酸水素二ナトリウ
ム(ナカライテスク社製、試薬特級)水溶液を混合し、
pHが5.50、6.00、6.50、7.00、7.
50程度となるように緩衝液を調製した。
【0024】(2)-3 50mM トリス−HCl緩衝液 50mM塩酸(ナカライテスク社製、試薬特級)と50
mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(ナカラ
イテスク社製、試薬特級)水溶液を混合し、pHが8.
00、8.50、9.00程度となるように緩衝液を調
製した。
【0025】実際に得られたpHと緩衝液成分を表1に
まとめて示す。
【0026】
【表1】 (3) ゼータ電位測定装置 大塚電子社製ゼータ電位計『LEZA−600』を用い
た。
【0027】使用方法は機器添付のマニュアルに従って
行った。
【0028】(4) 試料の調製および測定 上記(2) で調製した緩衝液50mlをガラスのサンプル
瓶に入れ、(1) のラテックス液を1μl添加し、これら
を混和転倒にてよく攪拌した。得られた試料を『LEZ
A−600』の試料用セル中に満たし、ゼータ電位の測
定を行った。
【0029】(5) 結果 ポリスチレンラテックス粒子(平均粒径0.400μ
m)およびカルボタイプラテックス粒子(平均粒径0.
330μm)について、それぞれ得られたゼータ電位の
値を表2にまとめて示す。また、それぞれのラテックス
粒子についてpHとゼータ電位とをプロットした。これ
を図1に示す。
【0030】
【表2】 表2および図1から明らかなように、各ラテックス粒子
は、緩衝液のpHに応じて表2および図1に示したよう
な広範なゼータ電位値を示た。pH4.50付近および
pH8.50以上ではゼータ電位が急激に増加あるいは
減少したが、これはラテックス粒子表面が、強酸または
強アルカリ条件下で変成したためと考えられる。
【0031】また、表面にカルボキシル基を有するカル
ボタイプラテックス粒子の方が、ポリスチレンタイプよ
りも全般的に低いゼータ電位を示すことがわかった。
【0032】通常生理的な条件であるpH5.0〜8.
5の範囲では、ポリスチレンタイプは−20〜−10m
V、カルボタイプは−20〜−40mVと、安定した値
を示すことがわかった。
【0033】実施例2 緩衝液イオン強度のゼータ電位に対する影響 (1) ラテックス液 ポリスチレンラテックス懸濁液(積水化学社製、固型分
10%(W/V)、平均粒径0.400μm)を用い
た。
【0034】(2) 緩衝液 以下の緩衝液を調製した。調製はいずれも25℃で超純
水を用いて行った。
【0035】(2)-1 リン酸緩衝液 10、30、50、75、100、150mMリン酸二
水素ナトリウム(ナカライテスク社製、試薬特級)水溶
液と10、30、50、75、100、150mMリン
酸水素二ナトリウム(ナカライテスク社製、試薬特級)
水溶液を混合し、pHが7.40となるような10、3
0、50、75、100、150mMのリン酸緩衝液を
調製した。
【0036】(2)-2 リン酸−NaCl緩衝液 上記の方法で調製した10mMリン酸緩衝液にNaCl
(ナカライテスク社製、試薬特級)水溶液を添加し、イ
オン強度が30、50、75、100、150mMとな
るようにしたリン酸−NaCl緩衝液を調製した。
【0037】(3) ゼータ電位測定装置 実施例1と同様のものを用いた。
【0038】(4) 試料の調製および測定 上記(2) で調製した緩衝液50mlをガラスのサンプル
瓶に入れ、(1) のラテックス液を1μl添加し、これら
を混和転倒にてよく攪拌した。得られた試料のゼータ電
位を実施例1と同様にして測定した。
【0039】(5) 結果 ポリスチレンラテックス粒子(平均粒径0.400μ
m)について、それぞれ得られたゼータ電位の値を表3
にまとめて示す。また、それぞれのラテックス粒子につ
いてpHとゼータ電位とをプロットした。これを図2に
示す。
【0040】
【表3】 表3および図2から明らかなように、ポリスチレンタイ
プラテックス粒子の場合、イオン強度は小さいほどラテ
ックス粒子のゼータ電位は低かった。これより、ゼータ
電位の測定はイオン強度50mM以下、できれば10〜
30mMの範囲で測定するとが望ましいことがわかる。
【0041】実施例3 各種ラテックス粒子のゼータ電位測定とウシ血清アルブ
ミン吸着量の関係 11種類のポリスチレンタイプラテックス粒子につい
て、実施例1および2から得られた好適な条件、すなわ
ちイオン強度50mM以下、pH5.0〜8.5の条件
下で、ゼータ電位を測定した。また、それぞれのラテッ
クス粒子について、ウシ血清アルブミンを吸着させ、単
位面積あたりのウシ血清アルブミンとゼータ電位の関係
を調べた。
【0042】(1) ポリスチレンラテックス液 積水化学社製のポリスチレンタイプラテックス(いずれ
も固型分10%(W/V))11種類(平均0.08
7、0.192、0.206、0.217、0.30
5、0.315、0.313、0.320、0.33
7、0.346、0.400μm)を用いた。
【0043】(2) ゼータ電位測定 ラテックス粒子を懸濁させる緩衝液に50mM酢酸−酢
酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)を用いた以外はすべ
て実施例1と同様にしてゼータ電位を測定した。
【0044】(3) ウシ血清アルブミンの固定化 各ラテックス懸濁液(固型分10%(W/V))0.1
mlをポリスチレンチューブに分注し、スターラーを用
いて攪拌した。1%(W/V)のウシ血清アルブミン
(Miles 社製、Fraction V、試薬特級、以下BSAと
略す)を含む50mM酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液(p
H5.0)(以下1%BSA/酢酸緩衝液と略す)2.
0mlを添加し、25℃で1時間攪拌した。そののち、
高速冷却遠心機にて遠心洗浄を行い、上清中に残存した
BSAの量を、O.D.280nmから求めた。添加し
たBSAの総量から残存したBSA量を減じた値をラテ
ックス粒子表面に固定化されたBSA量とみなした。ま
た、それぞれのラテックス粒子について、単位面積あた
りのBSA吸着量を算出した。
【0045】比較例1 各種ラテックス粒子のゼータ電位測定(従来条件)とウ
シ血清アルブミン吸着量の関係 ラテックス粒子を懸濁する緩衝液として、100mMリ
ン酸緩衝液(pH7.40)を用いた以外はすべて実施
例3と同様の操作を行った。
【0046】結 果 各ラテックス粒子のゼータ電位(実施例3および比較例
1)および単位面積あたりのBSA吸着量を表4にまと
めて示す。
【0047】
【表4】 以上のように、本発明に基づいて測定したゼータ電位
は、BSAの吸着量と良好な相関を示すことがわかっ
た。比較例1で求められたゼータ電位は表3に示したよ
うに、−40〜−30mVの範囲に集束し、BSA吸着
量との関連は把握しにくかった。
【0048】実施例4 梅毒レアギン抗原吸着量とゼータ電位との関係 11種類のポリスチレンタイプラテックス粒子につい
て、実施例1および2から最適な条件と推測される条件
で、ゼータ電位を測定した。また、それぞれのラテック
ス粒子について、梅毒レアギン抗原を吸着させ、単位面
積あたりの抗原とゼータ電位の関係を調べた。
【0049】(1) ポリスチレンラテックス液 積水化学社製のポリスチレンタイプラテックス(いずれ
も固型分10%(W/V))11種類(平均0.08
7、0.192、0.206、0.217、0.30
5、0.315、0.313、0.320、0.33
7、0.346、0.400μm)を用いた。
【0050】(2) ゼータ電位測定 ラテックス粒子を懸濁させる緩衝液に10mMリン酸緩
衝液(pH6.50)を用いた以外はすべて実施例3と
同様にしてゼータ電位を測定した。
【0051】(3) 梅毒レアギン抗原の調製 カルジオライピンのエタノール溶液(シグマ社製、試薬
特級、5mg/ml)2ml、フォスファチジルコリン
(ナカライテスク社製、試薬特級)をエタノール(ナカ
ライテスク社製、試薬特級、99%)に溶解して10m
g/mlのエタノール溶液としてもの10ml、および
コレステロール(ナカライテスク社製、試薬特級)を同
じく10mg/mlのエタノール溶液にしたもの3ml
を合わせ、これらをよく混合して抗原液とした。
【0052】(4) 梅毒レアギン抗原の固定化 各ラテックス懸濁液(固型分10%(W/V))0.1
mlをポリスチレンチューブに分注し、スターラーを用
いて攪拌した。1%(W/V)の梅毒レアギン抗原1.
0mlを添加し、25℃で1時間攪拌した。そののち、
高速冷却遠心機にて遠心洗浄を行い、上清中に残存した
リン脂質の量を、市販のリン脂質定量用キットを用いて
求めた。添加したリン脂質の総量から残存したリン脂質
量を減じた値をラテックス粒子表面に固定化されたリン
脂質量とみなした。また、それぞれのラテックス粒子に
ついて、単位面積あたりのリン脂質吸着量を算出した。
【0053】結 果 各ラテックス粒子のゼータ電位(実施例4および比較例
1)および単位面積あたりのリン脂質吸着量を表5およ
び図4にまとめて示す。
【0054】
【表5】 表5および図4から明らかなように、ゼータ電位が高い
ほどラテックス粒子単位面積あたりのリン脂質吸着量は
大きくなり、両者の間には良好な相関が見られる。実施
例5 各種ゼータ電位と梅毒レアギン抗原測定用試薬の性能と
の関係 実施例4において、ゼータ電位が−20mV以上であっ
た2種類のラテックス粒子(平均粒径0.400μmお
よび0.320μmのもの)を用いて、梅毒レアギン抗
体測定用試薬を調製した。
【0055】(1) 試薬および血清 (a) ポリスチレンラテックス液 実施例4で使用したポリスチレンラテックス(積水化学
社製、固型分10%(W/V)平均粒径0.400μ
m、0.320μm)をそのまま用いた。
【0056】(b) 抗原液 実施例4で用いたものを使用した。
【0057】(c) ブロッキング用緩衝液 100mM リン酸水素二ナトリウム(12水和物)お
よび100mM リン酸二水素ナトリウム(2水和物)
を混合してpHを7.40に調整したリン酸緩衝液(以
下100mMリン酸緩衝液と略す)に、BSAを1%
(W/V)、アジ化ナトリウム(ナカライテスク社製、
試薬特級)を0.1%(W/V)になるように添加した
ものをブロッキング用緩衝液とした。
【0058】(d) ラテックス保存用緩衝液 100mMリン酸緩衝液にBSAを1%(W/V)、ア
ジ化ナトリウムを0.1%(W/V)、EDTA(ナカ
ライテスク社製、試薬特級)を10mM、塩化コリン
(ナカライテスク社製、試薬特級)を500mMになる
ように添加したものをラテックス保存用緩衝液とした。
【0059】(e) 検体希釈用緩衝液 100mMリン酸緩衝液にグルコシルエチルメタクリレ
ートのホモポリマー(日本精化社製、平均分子量27
万、Glucosylethylmethacryrate :以下pGEMAと略
す)を1%(W/V)、BSAを0.25%(W/
V)、アジ化ナトリウムを0.1%(W/V)になるよ
うに添加したものを検体希釈用緩衝液とした。 (f) 梅毒陰性血清 正常家兎より採取された血清で、RPR−カードテスト
法(化学及び血清療法研究所社製)およびセロディアT
PHAキット(富士レビオ社製)の両方により陰性と判
定されたものを用いた。
【0060】(g) 梅毒陽性血清 実験的に梅毒菌を採取し、梅毒にした家兎より採取され
た血清で、RPRカードテスト法(化学及び血清療法研
究所社製)およびセロディアTPHAキット(富士レビ
オ社製)の両方により陽性と判定されたものを用いた。
【0061】(2) 試薬の調製 10%(W/V)ポリスチレンラテックス液0.1ml
をポリカーボネートチューブ中で攪拌させながら、これ
に抗原液1.0mlを一気に添加した。引き続き室温で
1時間攪拌したのち、ブロッキング用緩衝液2.0ml
を一気に添加し、1.5時間、室温で攪拌した。次に、
高速冷却遠心機(日立HR26型)で、19000×
g、10℃で30分遠心洗浄を行った。得られたラテッ
クス粒子の沈渣にラテックス保存用緩衝液5.0mlを
添加し、タッチミキサーにてよく攪拌したのち、高速冷
却遠心機で、19000×g、10℃で30分遠心洗浄
を行った。この洗浄操作を3回繰り返した。
【0062】最終的に得られた沈渣にラテックス保存用
緩衝液2.0mlを添加し、沈渣をタッチミキサーにて
よく攪拌し、超音波破砕機(アトラソン社製、マイクロ
チップ、出力目盛3、50%サイクル)にて氷浴中、1
分間ソニケートし、分散させた。こののち、さらにラテ
ックス保存用緩衝液6.0mlを添加し、タッチミキサ
ーで十分混合させた後、固型分0.125%(W/V)
のラテックス懸濁液として4℃にて保存した。
【0063】(3) 検体の調製 (1) で得られた梅毒家兎血清のうち陽性検体として、R
PR法で8倍を示したものを、生理食塩水(0.9%N
aCl水溶液)にて、2、4、8倍希釈し、4、2、1
倍を示す血清を調製した。また、陰性検体として生理食
塩水および正常家兎血清をそのまま用いた。
【0064】(4) 自動分析装置による検体の測定 以下に、全自動生化学分析装置日立7150型(日立製
作所社製)により、検体中の抗リン脂質抗体を測定する
方法を示す。
【0065】 測定モード ; Original Abs パラメーター; 検体量 20μl ラテックス試薬量 50μl 検体希釈用緩衝液量 350μl 測定波長 ; 570nm 測定時間 ; 検体分注の後、ただちに検体希釈用緩衝液量を添加し混合 したのち、ラテックス試薬を添加し混合した。ラテックス 試薬の添加後80秒後から320秒後の吸光度の変化量を もとめ、これを反応量とした。
【0066】 検 体 ; (3) で調製した梅毒陽性血清の希釈系列および生理食塩水 、梅毒陰性血清をそれぞれn=2で測定した。
【0067】比較例3 各種ラテックス粒子のゼータ電位測定(従来条件)と梅
毒レアギン抗体測定用試薬の性能との関係 実施例4において、ゼータ電位が−20mV以下であっ
た2種類のラテックス粒子(平均粒径0.192μmお
よび0.087μm)を用いて、梅毒レアギン抗体測定
用試薬を調製した。試薬の調製および性能評価はすべて
実施例5と同様に行った。この測定結果を表6および図
5にまとめて示す。
【0068】
【表6】 表6および図5から明らかなように、ゼータ電位が−2
0mV以上のラテックス粒子を用いた試薬は比較例に比
べて高感度であった。
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、ラテックス粒子等の免
疫測定用不溶性担体に、測定しようとする物質に対応す
る抗原または抗体を物理吸着させるに当たり、抗体また
は抗原を効率よく大量に吸着させうるラテックス粒子を
簡便かつ迅速に選定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】pHとゼータ電位の関係を示すグラフである。
【図2】イオン強度とゼータ電位の関係を示すグラフで
ある。
【図3】ゼータ電位とBSA吸着量の関係を示すグラフ
である。
【図4】ゼータ電位とリン脂質吸着量の関係を示すグラ
フである。
【図5】抗リン脂質抗体抗体価と吸光度変化量の関係を
示すグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 免疫測定用不溶性担体に、測定しようと
    する物質に対応する抗原または抗体を物理吸着させるに
    当たり、pH5.0から8.5を示す緩衝液を用いて該
    不溶性担体を懸濁し、懸濁状の担体のゼータ電位を測定
    し、得られたゼータ電位値が−20mV以上0mV未満
    の範囲にある担体を選択して、上記吸着に用いることを
    特徴とする免疫診断薬の製造方法。
  2. 【請求項2】 免疫測定用不溶性担体に、測定しようと
    する物質に対応する抗原または抗体を物理吸着させるに
    当たり、5mM以上50mM以下のイオン強度を有する
    緩衝液を用いて該不溶性担体を懸濁し、懸濁状の担体の
    ゼータ電位を測定し、得られたゼータ電位値が−20m
    V以上0mV未満の範囲にある担体を選択して、上記吸
    着に用いることを特徴とする免疫診断薬の製造方法。
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