JP3954900B2 - 免疫測定試薬及び免疫測定法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子球状体からなる不溶性担体を用いた免疫測定試薬及び免疫測定法に関し、より詳細には、測定の感度の向上を図り得る免疫測定試薬及び免疫測定法に関する。
【0002】
【従来の技術】
臨床検査分野では、ラテックス粒子などの高分子球状体からなる担体に、抗原または抗体を担持(吸着もしくは結合)させ、試料中の抗体または抗原との間で特異的に生じる抗原抗体反応によりラテックス粒子の凝集を生じさせ、それにより被測定物質である抗体または抗原を測定する方法が広く用いられている。
【0003】
従来、ラテックス粒子の表面積1m2あたりの親水性官能基の量、すなわち陰イオンの乖離濃度で表わされる表面荷電密度は0.3〜8μmol/m2であり、ラテックス粒子に抗原または抗体を担持させることにより、検体中の被測定物質に上記抗原または抗体が特異的に結合する免疫試薬が作製されている。この免疫測定試薬では、被測定物質の量に応じてラテックス粒子が凝集し、凝集による光学的変化量を測定することにより、被測定物質の量を求めることができる(例えば、特開昭57−168163号公報や特開昭58−97656号公報など)。
【0004】
上記のような免疫測定法において、より一層高感度に被測定物質を測定する方法が望まれている。そのため、光学的変化量を増大させることにより、被測定物質をより高感度で測定する方法が種々試みられている。
【0005】
例えば、ラテックスの粒径を増大させる方法が考えられているが、この方法では、光学的変化量は増大されるものの、被測定物質量が多い場合には、ラテックス粒子の凝集による光学的変化量が測定可能域を超えてしまうことになる。そのため、被測定物質の濃度が高い場合には、被測定物質の量に応じた光学的変化量が得られなという問題があった。
【0006】
他方、測定に際しての検体量を多くすることにより光学的変化量を増大させる方法も試みられているが、検体量を多くした場合には、血液中の被測定物質以外の他の成分の影響により測定値への干渉が起こり易くなるという問題があった。
【0007】
他方、確実かつ簡便に光学的変化量を増大させる方法として、各種水溶性高分子などからなる反応促進剤を用いる方法が一般的に用いられている。このような反応促進剤としては、例えばポリエチレングリコールなどが用いられている。また、特許第1777481号では、平均分子量30000〜100000のデキストランを1〜30重量%で含む凝集試験用水性溶媒が提案されている。しかしながら、このような分子量範囲のデキストランでは、免疫測定試薬の感度を十分に高めることはできず、現在要求されている高い測定感度を実現することはできなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、抗原または抗体が高分子球状体に担持された試薬成分と反応促進剤とを含む免疫測定試薬であって、より一層測定感度に優れ、かつ簡便に測定を行うことを可能とする免疫測定試薬及び免疫測定法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、高分子球状体に抗原または抗体を担持させた試薬成分を有する免疫測定試薬につき、さらに鋭意検討した結果、特定の表面荷電密度と粒子径を有する高分子球状体に抗原または抗体が担持されてなる試薬成分と、特定の分子量のデキストランとを組み合わせれば、測定感度が飛躍的に高められることを見出し、本発明をなすに至った。
【0010】
すなわち、本発明に係る免疫測定試薬は、1)フェニル基を有する重合性単量体及び/または陰イオン性重合性単量体の重合体であって、懸濁液とされた際の表面荷電密度が陰イオンの乖離濃度で0.01〜0.3μmol/m2であり、かつ粒子径0.1〜0.7μmである高分子球状体に、被測定対象物に対応した抗原または抗体が担持されている不溶性の試薬主成分と、2)重量平均分子量200000〜1000000のデキストランとを構成成分とすることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る免疫測定試薬のある特定の局面では、上記陰イオン性の重合性単量体は、スチレンスルホン酸塩及び/または(メタ)アクリル酸である。
本発明に係る免疫測定法は、本発明の免疫測定試薬を用いた測定法であって、高分子球状体に担持された抗原または抗体と、試料中の被測定物質の抗原抗体反応により生じる上記試薬主成分の凝集の度合いを検出することにより、被測定物質を測定することを特徴とする。
【0012】
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明において用いられる上記高分子球状体は、フェニル基を有する重合性単量体及び/または陰イオン性の重合性単量体の重合体からなる。上記フェニル基を有する重合性単量体としては特に限定されず、例えば、スチレン、ジビニルベンゼン、エチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。
【0013】
上記陰イオン性の重合性単量体としては特に限定されず、例えば、スチレンスルホン酸塩、(メタ)アクリル酸、ジビニルベンゼンスルホン酸塩、エチルスチレンスルホン酸塩、α−メチルスルホン酸塩が挙げられる。また、この場合の塩としては特に限定されず、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、本発明の高分子球状体に用いられる陰イオン性の重合性単量体としては、スチレンスルホン酸塩及び/または(メタ)アクリル酸が好ましい。スチレンスルホン酸塩及び/または(メタ)アクリル酸を含むことにより、得られる高分子球状体自体が良好な乳化力を有するものとなる。
【0014】
上記陰イオン性の重合性単量体が含まれているため、得られた高分子球状体は、表面電荷を有する。従って、乳化剤を用いずとも、高分子球状体は溶液中に良好に分散される。高分子球状体の懸濁液中に乳化剤が存在している場合には、抗原または抗体を高分子球状体に担持させた試薬成分と、後述のデキストランとを含む免疫測定試薬を構成した場合に、乳化剤が特異的な抗原抗体反応による高分子球状体の凝集を阻害したり、場合によっては非特異的な反応に関与する場合がある。従って、乳化剤が含まれていないことが好ましい。
【0015】
上記高分子球状体が共重合体からなる場合、上記フェニル基を有する重合性単量体と陰イオン性の重合性単量体との含有量は特に限定されないが、フェニル基を有する重合性単量体の共重合成分100重量部に対して、陰イオン性の重合性単量体の共重合成分が50重量部以下であることが好ましい。フェニル基を有する重合性単量体の共重合成分100重量部に対して、陰イオン性の重合性単量体の共重合成分が50重量部を超えると、得られる高分子球状体が分散しにくくなることがある。より好ましくは、フェニル基を有する重合性単量体の共重合成分100重量部に対して、陰イオン性の重合性単量体の共重合成分は30重量部以下である。また、上記フェニル基を有する重合性単量体のみからなる重合体も、本発明の高分子球状体として利用できる。
【0016】
上記重合体を重合する方法としては特に限定されず、重合開始剤を用いて、乳化重合、懸濁重合、シード重合、分散重合等の各種重合方法により重合することができる。上記重合開始剤としては特に限定されず、例えば、過硫酸カリウム等の過硫酸塩等が挙げられる。
【0017】
上記高分子球状体は、表面電荷を有するものであるが、この表面電荷は、上述の共重合成分である陰イオン性の重合性単量体に基づくものと、重合時に使用される重合開始剤の切片の陰イオンに基づくものとによるものである。上記重合開始剤の切片の陰イオンに基づくものとは、例えば、過硫酸カリウム等の過硫酸塩を用いた場合は、切片である硫酸根(−OSO3-)が共重合粒子表面に存在し、この硫酸根が徐々に加水分解を受けて、下記式(1)のように変化したものである。
−OSO3-+H2O → −OH+HOSO3- …(1)
【0018】
本発明に係る上記高分子球状体では、懸濁液とされた際の表面荷電密度が陰イオンの乖離濃度で0.01〜0.3μmol/m2の範囲である。なお、、上記懸濁液の媒体としては、高分子球状体を担体として有する免疫学的測定試験に用いられる適宜の液状媒体が用いられ、例えば、水、生理食塩水または血清などが挙げられる。上記荷電密度が陰イオンの乖離濃度で0.01μmol/m2未満である場合には、粒子間の反発力が弱くなり、高分子球状体自体の有する乳化力が損なわれる。そのため、懸濁液中で安定に分散が起こらず、自己凝集を起こし、診断試薬としての実用性が損なわれる。上記荷電密度が陰イオンの乖離濃度で0.3μmol/m2を超えると、高分子球状体間の電気的反発力が強くなり、自己凝集は起こさずに安定であるものの、抗原抗体反応による凝集も妨げられる。従って、高感度に測定を行うことができなくなる。
【0019】
上記表面荷電密度は、例えば、上記懸濁液の電気伝導度を測定することにより容易に求めることができる。
また、上記高分子球状体の粒子径は0.1〜0.7μmである。上記高分子球状体の粒子径が0.1μm未満であると、凝集による光学的変化量が小さく、測定に必要な高い感度が得られない。0.7μmを超えると、ラテックス粒子の凝集による光学的変化量が測定可能域を超えてしまい、測定範囲が小さくなる。好ましくは、0.2〜0.5μmである。
【0020】
本発明の免疫測定試薬において、高分子球状体に担持される抗原または抗体としては特に限定されず、一般に抗原抗体反応を利用し得る生理活性物質及びウィルス、細菌等の病原体等の抗原、抗体の全てを用いることができる。上記生理活性物質としては、例えば、生体内に存在する各種生体内レセプター、酵素等が挙げられる。上記病原体の抗原及び抗体としては、例えば、梅毒菌体由来抗原、抗梅毒菌体抗体、HBs抗原、抗HBs抗体、HCV抗原、HIV抗原、ATLA抗原、クラミジア抗原、ヘルペス抗原、ヘリコバクター・ピロリ抗原等が挙げられる。これらは、生体成分由来のもの、培養で得られたもの、化学合成されたもの、遺伝子組み換え等の技術によって得られたもの、または、これらの処理物等のいずれであってもよい。上記抗体としては、免疫グロブリン分子自体の他、例えば、F(ab’)2のような断片であってもよい。
【0021】
本発明の免疫測定試薬を得るにあたり、高分子球状体に抗原または抗体を担持させる方法としては特に限定されず、高分子球状体に、被測定物質である抗体または抗原に対する抗原または抗体を、公知の方法により、物理的または化学結合的に担持させればよい。
【0022】
本発明の免疫測定試薬においては、高分子球状体の非特異的凝集反応を抑制するため、または、試薬の安定性を高めるために、アルブミン、カゼイン、ゼラチン等のタンパク質、タンパク質分解物、アミノ酸、界面活性剤等を上記高分子球状体にさらに担持させてもよい。
【0023】
また、本発明の免疫測定試薬は、上記高分子球状体に抗原または抗体を担持させてなる試薬成分を構成成分とするが、該試薬成分に、例えば、上記高分子球状体を懸濁させるための緩衝液や反応時に使用される緩衝液等が添加されてもよい。
【0024】
本発明の免疫測定試薬に用いられるデキストランは反応促進剤として作用するものであり、デキストランの分子量は200000〜1000000であり、好ましくは、300000〜700000である。分子量が200000未満の場合には、目的とする反応促進効果が得られず、1000000を超えると、溶液の粘度上昇により測定時のばらつきが生じ、測定感度が低下する。
【0025】
上記デキストランは、適当な媒体に分散または溶解させた状態で用いられることが好ましい。この場合、上記抗原または抗体を担持させてなる高分子球状体と、デキストランとを同一の媒体に分散及び溶解させることにより、1液系の免疫測定試薬を構成してもよい。また、上記抗原または抗体が担持された高分子球状体と、デキストランとを別個の媒体に分散または溶解させることにより、ラテックス試薬とデキストラン含有試薬との2液系の免疫測定試薬を構成してもよい。
【0026】
上記媒体として特に限定されず、例えば、リン酸緩衝液、グリシン緩衝液、トリス塩緩衝液、グッド緩衝液等が挙げられる。また、上記媒体のpHは、5.5〜8.5が好ましい。より好ましくは、6.5〜8.5である。
【0027】
上記1液系の免疫測定試薬中には、さらに牛血清アルブミン、ショ糖、塩濃度調整のための塩化ナトリウム、界面活性剤等を適宜溶解させてもよい。また、上記ラテックス試薬と溶液状試薬とを有する2液系免疫測定試薬として使用する場合にも、それぞれに牛血清アルブミン、ショ糖、塩濃度調整のための塩化ナトリウム、界面活性剤等を適宜溶解させてもよい。
【0028】
本発明の免疫測定法に用いられる試料としては、例えば、血清、血漿等が挙げられるが、これらのみに限定されるものではなく、各種の生体試料、非生体試料に適用することも可能である。
【0029】
本発明の免疫測定試薬において、凝集反応によって生じた高分子球状体の凝集の度合いは、光学的に測定または目視観察することにより検出される。高分子球状体の凝集の程度を光学的に観察する方法としては特に限定されず、例えば、散乱強度、吸光度、透過光強度の増加または減少を測定すればよい。また、これらの方法を併用してもよい。
【0030】
高分子球状体の凝集の程度を肉眼で判定する場合には、通常、検体と上記タンパク質を担持させた高分子球状体とを含む溶液を判定板上で混合し、1〜5分間揺り動かした後、凝集の有無を判定する。凝集判定は、単に肉眼判定以外に、凝集状態をビデオカメラで撮影し、画像処理を施すことによって行われてもよい。
【0031】
上記抗原体反応の温度条件は、抗原抗体反応が行われる温度であれば特に限定されないが、0〜50℃が好ましく、20〜40℃がより好ましい。反応時間は、適宜決められる。
【0032】
また、反応時には特異性を高めるために、塩化コリン等の第4級アンモニウム塩、EDTA、ポリアニオン、C1-、I-、SCN-等のカオトロピックイオン、ゼラチン等を反応系に添加してもよい。
【0033】
本発明の免疫測定試薬は、上述のような構成からなるので、低濃度の被測定物質を測定した際、従来の試薬と比較して、凝集による光学的変化量が大きい。また、高濃度の被測定物質を測定した際、従来の大きいラテックスを使用した試薬と比較して、凝集により光学的に測定可能域を超えるような光学的変化を起こしにくい。また、被測定物質である抗原または抗体に対する抗体または抗原の担持量が少なくても、感度及び再現性の良好な免疫測定試薬を得ることができる。また、血液成分による干渉の低減も図ることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を説明することにより、本発明をより詳細に説明する。なお、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例では、抗トレポネーマ抗体測定試薬を作製し、評価した。
【0035】
(実施例1)
(1)検体希釈用緩衝液の調製
牛血清アルブミンを1重量%含有するリン酸緩衝液に、デキストラン500000(SIGMA社製、平均分子量500000)を1.3重量%添加し、溶解した。
【0036】
(2)トレポネーマ・パリダム由来抗原感作ラテックスの液の調製
トレポネーマ・パリダム由来抗原を30μg/mlの濃度で0.01Mリン酸緩衝液(pH7.4)に溶解した液0.4mlに、平均粒子径0.400μm、スルホン基量0.11μmol/m2のポリスチレンラテックス(固形分10重量%、積水化学工業社製)を添加し、4℃にて60分間攪拌した。
【0037】
次いでこの液に、牛血清アルブミンを1重量%含有する0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)を0.5ml添加し、4℃にて90分間攪拌した後、15000rpmで15分間遠心分離した。
【0038】
得られた沈殿物に、牛血清アルブミンを1重量%含有するリン酸緩衝液4mlを添加し、ラテックスを再懸濁させ、トレポネーマ・パリダム由来抗原感作ラテックス液を調製した。
【0039】
(3)抗トレポネーマ抗体測定試薬
本実施例の抗トレポネーマ抗体測定試薬は、上記(1)の検体希釈用緩衝液からなる第1試薬と、上記(2)項のトレポネーマ・パリダム由来抗原を感作したラテックス液からなる第2試薬から構成される2液系の試薬である。
【0040】
(4)抗トレポネーマ抗体標準液
梅毒陽性標準血清(積水化学工業社製、5濃度)を各1mlの精製水で溶解して使用した。抗体価は、0、39、121、237及び405T.U.の5種である。
【0041】
なお、T.U.は、抗トレポネーマ抗体測定試薬・メディエースTPLA(積水化学工業社製)で血清を測定した場合の抗トレポネーマ抗体の抗体価を表わす単位である。当該試薬では、本抗体価が10T.U.以上の場合、陽性と判定される。
【0042】
(5)測定用検体
10T.U.の梅毒陽性標準血清を用意した。
【0043】
(6)抗トレポネーマ抗体標準液の測定及び抗トレポネーマ抗体検量線の作成抗トレポネーマ抗体標準液20μlを取り、これに上記(1)項の緩衝液(第1試薬)210μlを混和し、37℃で適時保持した後、上記(2)項の抗トレポネーマ・バリダム由来抗原感作ラテックス液(第2試薬)30μlを添加攪拌し、この後、約80秒から300秒間の波長700nmでの吸光度の変化量を測定し、吸光度変化量(ΔAbs)とした。測定には日立自動分析装置7150形を使用した。得られた吸光度変化量(ΔAbs)と標準抗トレポネーマ抗体価(T.U.)から、抗トレポネーマ抗体価の検量線を作成した。
【0044】
(7)測定用検体の測定
上記(5)項で用意した血清を用い、それぞれ上記(6)項と同様の操作を行い吸光度変化量を求めた。上記(6)項で作成した検量線を用いて、それぞれの検体の吸光度変化量から抗トレポネーマ抗体価を求めた。測定は10回繰り返しにて実施し、平均値、標準偏差(s.d.)、及びばらつき(c.v.)(%)を求め、同時再現性試験とした。
【0045】
(比較例1)
実施例1における(2)トレポネーマ・パリダム由来抗原感作ラテックス液の調製において、ポリスチレンラテックスを平均粒子径0.400μm、スルホン基量0.31μmol/m2のもの(固形分10重量%、積水化学工業社製)に変更した以外は、実施例1と同様に操作し、抗トレポネーマ抗体標準液の吸光度変化量(ΔAbs)評価と同時再現性試験を実施した。
【0046】
(比較例2)
実施例1における(1)検体希釈用緩衝液の調製において、1.3重量%デキストランを0.8重量%のポリグルコシルエチルメタクリレート(GEMA)に変更した以外は、実施例1と同様に操作し、抗トレポネーマ抗体標準液の吸光度変化量(ΔAbs)評価と同時再現性試験を実施した。
【0047】
(比較例3)
実施例1における(1)検体希釈用緩衝液の調製において、1.6重量%デキストラン500000(平均分子量500000)を1.3重量%のデキストラン35000〜45000(平均分子量35000〜45000)1重量%に変更した以外は、実施例1と同様に操作し、抗トレポネーマ抗体標準液の吸光度変化量(ΔAbs)評価を実施した。なお、同時再現性試験については10T.U.付近の吸光度変化量不足のため実施しなかった。
【0048】
実施例1及び比較例1〜3の結果を表1,2に示した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
表1から明らかなように、重量平均分子量500000のデキストラン及び表面荷電密度0.11μmol/m2のラテックスを用いた実施例1では、従来の添加物及びラテックスを用いた比較例1〜3に比べて、光学的変化量が大幅に増大することがわかる。さらに、表2から明らかなように、実施例1では、比較例1,2に比べて測定値のばらつきが小さく、従って測定の再現性も飛躍的に高められ、さらに低濃度の被測定対象物を確実に検出し得ることがわかる。
【0052】
【発明の効果】
本発明に係る免疫測定試薬では、フェニル基を有する重合体及び/または陰イオン性重合性単量体の重合体であって、懸濁液とされた際の表面荷電密度が陰イオンの乖離濃度で上記特定の範囲にあり、かつ粒子径が上記特定の範囲である高分子球状体に被測定対象物に対する抗原または抗体が担持されてなる試薬主成分と、重量平均分子量200000〜1000000の範囲のデキストランを構成成分とするため、免疫測定法における感度を飛躍的に高めることができる。
【0053】
従って、本発明に係る免疫測定試薬を用いた免疫測定法によれば、様々な生体試料中の被測定対象物質を免疫的に高感度に測定することができる。
Claims (3)
- 1)フェニル基を有する重合性単量体及び/または陰イオン性重合性単量体の重合体であって、懸濁液とされた際の表面荷電密度が陰イオンの乖離濃度で0.01〜0.3μmol/m2であり、かつ粒子径0.1〜0.7μmである高分子球状体に、被測定対象物に対応した抗原または抗体が担持されている不溶性の試薬主成分と、2)重量平均分子量200000〜1000000のデキストランとを構成成分とすることを特徴とする免疫測定試薬。
- 前記陰イオン性重合性単量体が、スチレンスルホン酸塩及び/または(メタ)アクリル酸である、請求項1に記載の免疫測定試薬。
- 請求項1または2に記載の免疫測定試薬を用いた免疫測定法であって、高分子球状体に担持された抗原または抗体と、試料中の被測定物質との抗原抗体反応により生じる上記試薬主成分の凝集の度合いを検出することにより、被測定物質を測定することを特徴とする免疫測定法。
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