JP2001289854A - 高分子球状体、免疫学的測定試薬及び免疫測定法 - Google Patents

高分子球状体、免疫学的測定試薬及び免疫測定法

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JP2001289854A
JP2001289854A JP2000109571A JP2000109571A JP2001289854A JP 2001289854 A JP2001289854 A JP 2001289854A JP 2000109571 A JP2000109571 A JP 2000109571A JP 2000109571 A JP2000109571 A JP 2000109571A JP 2001289854 A JP2001289854 A JP 2001289854A
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Takuya Wada
拓也 和田
Junichiro Shinoda
潤一郎 篠田
Naoko Nishida
尚子 西田
Makoto Takahara
誠 高原
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被測定物質を高感度に測定でき、更に、被測
定物質が多いときにも凝集による光学的変化量が測定可
能域を超えにくい免疫学的測定試薬用担体として有用な
高分子球状体、この高分子球状体に抗原又は抗体を担持
させてなる免疫学的測定試薬、及び、免疫測定法を提供
する。 【解決手段】 フェニル基を有する重合性単量体及び/
又は陰イオン性の重合性単量体の重合体からなる高分子
球状体であって、懸濁液としたときの表面荷電密度が陰
イオンの乖離濃度で0.01〜0.3μmol/m2
あり、かつ、粒子径0.01〜1μm、CV値10%以
内である高分子球状体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、免疫学的測定試薬
用の担体として有用な高分子球状体、この高分子球状体
に抗原又は抗体を担持させてなる免疫学的測定試薬、及
び、免疫測定法に関する。
【0002】
【従来の技術】臨床検査分野において、ラテックス粒子
等の高分子球状体を担体として抗原(又は抗体)を担持
(吸着又は結合)させ、試料中の抗体(又は抗原)と特
異的に起こる抗原抗体反応によりラテックス粒子の凝集
を生じさせ、その結果により被測定物質である抗体(又
は抗原)を測定する方法が普及している。
【0003】従来、ラテックス粒子の表面積1m2 あた
りの親水性官能基(陰イオンの乖離濃度で表される表面
荷電密度)は、0.3〜8μmolであり、この粒子に
抗原又は抗体を吸着させることにより、その抗原又は抗
体に特異的に結合する検体中の被測定物質を測定する試
薬が作製される。この試薬をラテックス凝集法に用いる
と、被測定物質の量に応じてラテックス粒子の凝集が生
じるので、凝集による光学的変化量より被測定物質の量
を求めることができた(特開昭57−168163号公
報、特開昭58−97656号公報等)。しかし近年、
より高感度に被測定物質を測定する方法が望まれてき
た。
【0004】上記のような問題を解決するために、ラテ
ックス粒子の粒径を大きくすることで光学的変化量を大
きくし、被測定物質をより感度よく測定する方法が行わ
れてきた。しかし、この方法では、被測定物質が多いと
きに、ラテックス粒子の凝集による光学的変化量が測定
可能域を超えてしまうことから、高濃度域では被測定物
質の量に応じた光学的変化量が得られないという問題点
があった。
【0005】また、一般に抗原抗体反応は非常に特異的
な反応であるが、非特異的な抗原抗体反応、又は、他の
反応により正しい測定結果を示さない場合がある。この
原因の一つとして、検体が血清である場合、血清中に含
まれている成分は人により変動するので、その変動した
成分が測定に悪影響を与える血清干渉と呼ばれる現象が
ある。この血漿干渉とは、被測定物質である抗原(又は
抗体)が高値で含まれる検体を、生理食塩水(変動成分
がない血清のモデル)で希釈したときの測定値と、同じ
検体を被測定物質である抗原(又は抗体)を含まない血
清で希釈したときの測定値とが乖離するという現象であ
る。
【0006】検体が血清又は血漿である場合は、上述の
ような血清干渉が問題となる。そこで、特異性が高く、
正確かつ精密な測定を行うには、血清干渉を抑制するこ
とが重要となる。また、一般に抗原抗体反応を用いた免
疫測定試薬においては、その感度が高いほど、低値にお
ける測定再現性がよくなる傾向がある。測定感度を上げ
るには、被測定物質である抗原(又は抗体)に対する抗
体(又は抗原)の担持量を多くする方法、種々の増感剤
の添加量を多くする方法、検体量を多くする方法等が考
えられる。
【0007】しかしながら、増感剤の添加量を増やす
と、特異的な反応のみならず、非特異的な反応も促進し
てしまうという問題点がある。また、検体量を多くする
と、上述の血清干渉が起こりやすくなるという問題点が
ある。被測定物質である抗原(又は抗体)に対する抗体
(又は抗原)の担持量を多くすると、コストが高くなる
という問題点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、被測定物質を高感度に測定でき、更に、被測定物質
が多いときにも凝集による光学的変化量が測定可能域を
超えにくい免疫学的測定試薬用担体として有用な高分子
球状体、この高分子球状体に抗原又は抗体を担持させて
なる免疫学的測定試薬、及び、免疫測定法を提供するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、フェニル基を
有する重合性単量体及び/又は陰イオン性の重合性単量
体の重合体からなる高分子球状体であって、懸濁液とし
たときの表面荷電密度が陰イオンの乖離濃度で0.01
〜0.3μmol/m2 であり、かつ、粒子径0.01
〜1μm、CV値10%以内であることを特徴とする高
分子球状体である。以下に、本発明を詳述する。
【0010】本発明の高分子球状体は、フェニル基を有
する重合性単量体及び/又は陰イオン性の重合性単量体
の重合体からなる。上記フェニル基を有する重合性単量
体としては特に限定されず、例えば、スチレン、ジビニ
ルベンゼン、エチルスチレン、α−メチルスチレン、p
−メチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチル
スチレン等が挙げられる。これらは単独で用いられても
よく、2種以上併用されてもよい。
【0011】上記陰イオン性の重合性単量体としては特
に限定されず、例えば、スチレンスルホン酸塩、メタア
クリル酸、ジビニルベンゼンスルホン酸塩、エチルスチ
レンスルホン酸塩、α−メチルスルホン酸塩が挙げられ
る。また、この場合の塩としては特に限定されず、ナト
リウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩等
が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種
以上が併用されてもよい。なかでも、本発明の高分子球
状体に用いられる陰イオン性の重合性単量体としては、
スチレンスルホン酸塩及び/又はメタアクリル酸が好ま
しい。スチレンスルホン酸塩及び/又はメタアクリル酸
を含むことにより、得られる高分子球状体自体が良好な
乳化力を有するものとなる。
【0012】上記陰イオン性の重合性単量体を含むこと
により、得られる高分子球状体は、表面電荷を有するも
のとなるので、乳化剤がなくても溶液中に良好に分散さ
れるものとなる。高分子球状体の懸濁液中に乳化剤が存
在すると、これに抗原又は抗体を担持させて後述の免疫
学的測定試薬とした場合に、乳化剤が特異的な抗原抗体
反応による高分子球状体の凝集を阻害したり、場合によ
っては非特異的な反応に関与する場合があるので、乳化
剤を含まない方が好ましい。
【0013】本発明の高分子球状体において、共重合体
からなる場合、上記フェニル基を有する重合性単量体と
陰イオン性の重合性単量体との含有量としては特に限定
されないが、フェニル基を有する重合性単量体の共重合
成分100重量部に対して、陰イオン性の重合性単量体
の共重合成分が、50重量部以下であることが好まし
い。フェニル基を有する重合性単量体の共重合成分10
0重量部に対して、陰イオン性の重合性単量体の共重合
成分が50重量部を超えると、得られる高分子球状体が
分散しにくくなることがある。より好ましくは、フェニ
ル基を有する重合性単量体の共重合成分100重量部に
対して、陰イオン性の重合性単量体の共重合成分が30
重量部以下である。また、上記フェニル基を有する重合
性単量体のみからなる重合体も、本発明の高分子球状体
として利用できる。
【0014】上記重合体を重合する方法としては特に限
定されず、重合開始剤を用いて、乳化重合、懸濁重合、
シード重合、分散重合等が挙げられる。上記重合開始剤
としては特に限定されず、例えば、過硫酸カリウム等の
過硫酸塩等が挙げられる。
【0015】本発明の高分子球状体は、表面電荷を有す
るものであるが、この表面電荷は、上述の共重合成分で
ある陰イオン性の重合性単量体に基づくものと、重合時
に使用される重合開始剤の切片の陰イオンに基づくもの
とによるものである。上記重合開始剤の切片の陰イオン
に基づくものとは、例えば、過硫酸カリウム等の過硫酸
塩を用いた場合は、切片である硫酸根(−OSO3 -
が共重合粒子表面に存在し、この硫酸根が徐々に加水分
解を受けて、下記式(1)のように変化したものであ
る。 −OSO3 - +H2 O → −OH+HOSO3 - (1)
【0016】本発明の高分子球状体は、懸濁液としたと
きの表面荷電密度が陰イオンの乖離濃度で0.01〜
0.3μmol/m2 である。なお、上記懸濁液の媒体
は、本発明の高分子球状体が使用される免疫学的測定試
験に用いられるものであり、例えば、水、生理食塩水、
血清等が挙げられる。上記荷電密度が陰イオンの乖離濃
度で0.01μmol/m2 未満であると、粒子間の反
発力が弱いので、高分子球状体自体が有する乳化力が損
なわれる。そのため、懸濁液中で安定な分散が得られ
ず、自己凝集を起こし、診断試薬としての実用性が損な
われる。上記荷電密度が陰イオンの乖離濃度で0.3μ
mol/m 2 を超えると、高分子球状体間の電気的反発
力が強くなり、自己凝集は起こさず安定であるが、抗原
抗体反応による凝集も妨げられるので、高感度な測定が
できなくなる。好ましくは、上記高分子球状体は、懸濁
液としたときの表面荷電密度が、陰イオンの乖離濃度で
0.05〜0.3μmol/m2である。上記表面荷電
密度は、例えば、電気伝導度測定により求めることがで
きる。
【0017】また、本発明の高分子球状体は、粒子径
0.01〜1μm、CV値10%以内である。上記高分
子球状体の粒子径が0.01μm未満であると、凝集に
よる光学的変化量が小さすぎて、測定に必要な感度が得
られない。1μmを超えると、高分子球状体自体が経時
的に沈降し、凝集によらない光学的変化を起こす。好ま
しくは、0.04〜0.7μmである。また、CV値が
10%を超えると、試薬の再現性が低下する。好ましく
は、CV値が5%以下であり、より好ましくは、3%以
下である。
【0018】本発明の高分子球状体は、上述のような構
成からなるので、低濃度の被測定物質を測定した際、同
一粒径の従来のラテックスと比較して、凝集による光学
的変化量が大きい。また、高濃度の被測定物質を測定し
た際、従来の大きいラテックスを使用した試薬と比較し
て、凝集により光学的測定可能域を超えるような光学的
変化を起こしにくい。
【0019】本発明の高分子球状体は、免疫学的測定試
薬用の担体として好適に使用される。本発明2は、本発
明1の高分子球状体に、抗原又は抗体を担持させてなる
免疫学的測定試薬である。本発明1の高分子球状体を不
溶性担体として用いることにより、被測定物質である抗
原(又は抗体)に対する抗体(又は抗原)の担持量が少
なくても、感度及び再現性の良好な免疫測定試薬を得る
ことができる。また、血清干渉の低減も図ることができ
る。
【0020】本発明2の免疫学的測定試薬において、高
分子球状体に担持される上記抗原又は抗体とは、被測定
物質である抗原(又は抗体)に対する抗体(又は抗原)
等である。上記抗原としては特に限定されず、一般に抗
原抗体反応を利用して測定し得る生理活性物質及びウィ
ルス、細菌等の病原体等の抗原、抗体の全てを用いるこ
とができる。上記生理活性物質としては、例えば、生体
内に存在する各種生体内レセプター、酵素等が挙げられ
る。上記病原体の抗原及び抗体としては、例えば、梅毒
菌体由来抗原、抗梅毒菌体抗体、HBs抗原、抗HBs
抗体、HCV抗原、HIV抗原、ATLA抗原、クラミ
ジア抗原、ヘルペス抗原、ヘリコバクター・ピロリ抗原
等が挙げられる。これらは、生体成分由来のもの、培養
で得られたもの、化学合成されたもの、遺伝子組み換え
等の技術によって得られたもの、又は、これらの処理物
等のいずれであってもよい。上記抗体としては、免疫グ
ロブリン分子自体の他、例えば、F(ab’)2 のよう
な断片であってもよい。
【0021】本発明2の免疫学的測定試薬において、本
発明1の高分子球状体に、抗原又は抗体を担持させる方
法としては特に限定されず、高分子球状体に、被測定物
質である抗原(又は抗体)に対する抗体(又は抗原)
を、公知の方法により、物理的又は化学結合的に担持さ
せればよい。
【0022】本発明2の免疫学的測定試薬においては、
高分子球状体の非特異的凝集反応を抑制するため、又
は、試薬の安定性を高めるために、アルブミン、カゼイ
ン、ゼラチン等のタンパク質、タンパク質分解物、アミ
ノ酸、界面活性剤等を上記高分子球状体に更に担持させ
てもよい。
【0023】また、本発明2の免疫学的測定試薬は、本
発明1の高分子球状体に、抗原又は抗体を担持させてな
るものであるが、その他に、例えば、上記高分子球状体
を懸濁させるための緩衝液、反応時に使用される緩衝液
等が含まれてもよい。
【0024】更に、本発明2の免疫学的測定試薬には、
測定感度の向上及び抗原抗体反応の促進のために、種々
の増感剤が添加されてもよい。上記増感剤としては、例
えば、特開平2−173567号公報に記載されている
メチルセルロース、エチルセルロース等のアルキル化多
糖類;特開平5−180838号公報に記載されている
プルラン、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。上記
増感剤は、適当な媒体に分散又は溶解させて使用するこ
とが好ましい。この場合において、上記抗原又は抗体を
担持させた高分子球状体と、上記増感剤とを同一の媒体
に分散及び溶解させることにより1液型のラテックス試
薬としてもよく、また、それぞれ別個の媒体に分散及び
溶解させることにより、ラテックス試薬と溶液状試薬と
の2液型試薬として使用してもよい。上記媒体として特
に限定されず、例えば、リン酸緩衝液、グリシン緩衝
液、トリス塩緩衝液、グッド緩衝液等が挙げられる。ま
た、上記媒体のpHは、5.5〜8.5が好ましい。よ
り好ましくは、6.5〜8.0である。
【0025】上記1液型のラテックス試薬中には、更に
牛血清アルブミン、ショ糖、塩濃度調整のために塩化ナ
トリウム等を適宜溶解させてもよい。また、上記ラテッ
クス試薬と溶液状試薬との2液型試薬として使用する場
合にも、それぞれに牛血清アルブミン、ショ糖、塩濃度
調整のために塩化ナトリウム等を適宜溶解させてもよ
い。
【0026】本発明3は、本発明2の免疫学的測定試薬
を用いた免疫測定法である。本発明3の免疫測定法は、
高分子球状体に担持された抗原又は抗体と、試料中の被
測定物質との抗原抗体反応によって生じる上記高分子球
状体の凝集の度合いを検出することにより、上記被測定
物質を測定する。
【0027】本発明3の免疫測定法に用いられる上記試
料としては、例えば、血清、血漿等が挙げられるが、こ
れらのみに限定されるものではなく、各種の生体試料、
非生体試料に適用することも可能である。
【0028】本発明3の免疫測定法において、凝集反応
によって生じた高分子球状体の凝集の度合いは、光学的
に観察又は目視観察することにより検出される。高分子
球状体の凝集の程度を光学的に観察する方法としては特
に限定されず、例えば、散乱強度、吸光度、透過光強度
の増加又は減少を測定すればよい。また、これらの方法
を併用してもよい。
【0029】高分子球状体の凝集の程度を肉眼で判定す
る場合には、通常、検体と上記タンパク質を担持させた
高分子球状体とを含む溶液を判定板上で混合し、1〜5
分間揺り動かした後、凝集の有無を判定する。凝集判定
には、単に肉眼判定以外に、凝集状態をビデオカメラで
撮影し、画像処理を施すことも可能である。
【0030】上記抗原抗体反応の条件としては、通常用
いられている条件と同様でよく、反応媒体としては、被
測定物質の種類に応じた各種緩衝液が適宜選ばれる。上
記緩衝液としては、被測定物質を失活させることがな
く、かつ、抗原抗体反応を阻害しないようなイオン濃度
やpHを有するものであれば特に限定されず、例えば、
リン酸緩衝液、グリシン緩衝液、トリス緩衝液等が挙げ
られる。上記緩衝液のpHは、5〜10が好ましく、6
〜8がより好ましい。反応温度は、0〜50℃が好まし
く、20〜40℃がより好ましい。反応時間は、適宜決
められる。
【0031】また、反応時には、感度を高めるために、
ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロー
ス、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ポリ(グリ
コシルエチルメタクリレート)、プルラン等の水溶性高
分子を反応系に添加してもよい。また、特異性を高める
ために、塩化コリン等の第4級アンモニウム塩、EDT
A、ポリアニオン、Cl- 、I- 、SCN- 等のカオト
ロピックイオン、ゼラチン等を反応系に添加してもよ
い。
【0032】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるも
のではない。
【0033】実施例1 (高分子球状体の作製)反応容器内に水480mLを仕
込み、これにスチレン単量体75gを投与し、撹拌しつ
つ窒素ガスで容器内を置換し、70℃まで昇温させ、重
合開始剤として過硫酸カリウムを加えた。次いで70℃
に24時間保持した後、残存単量体がないことを確認し
た上で、酸素共存下で70℃に保持したまま更に24時
間加熱を続け、過硫酸カリウム切片の硫酸根の加水分解
を充分に行った。これによりスチレン重合体からなる高
分子球状体の懸濁液が得られた。
【0034】得られたスチレン重合体粒子の懸濁液を濾
過し、透過電子顕微鏡による観察を行ったところ、上記
スチレン重合体粒子の平均粒子径は0.46μmであ
り、CV値は3.5%であった。次に塩酸を加え、pH
を一旦2.0まで下げてからイオン交換水で2週間透析
を行った。透析外膜の伝導度が1.0μΩ/cm以下で
あることを確認した上で、電気伝導度滴定を行い、その
変曲点からスチレン重合体粒子の表面荷電密度を測定し
た。懸濁液の濃度と粒子径とから単位面積あたりの表面
荷電量(表面荷電密度)に換算すると、0.155μm
ol/m2 であった。
【0035】(免疫学的測定試薬の作製)タンパク質と
して48mg/mLのCRPポリクロナール抗体を5体
積%含むグリシン緩衝液(pH7.5)に、上記で得ら
れた粒子を1体積%となるように加え、37℃で1時間
反応させて、CRPポリクロナール抗体が結合した高分
子球状体の懸濁液(ラテックス)を得た。
【0036】上記で作製したラテックスに、牛血清アル
ブミン(以下、BSAという)を1重量%含むグリシン
緩衝液(pH7.5)を等量加え、37℃で更に1時間
反応させた後、遠心分離を行った。得られた沈殿物に、
BSAを1重量%含有するリン酸−食塩緩衝液(0.0
5Mリン酸緩衝液(pH7.0)、0.1M NaC
l、以下PBSという)を加えて、所定濃度で分散させ
た。これをR2試薬とした。CRP抗原を検体サンプル
(CRP抗原濃度0、0.02、0.04、0.08、
0.16mg/mL)とし、BSAを1重量%含有する
リン酸−食塩緩衝液(PBS)を検体希釈液(R1)と
した。検体サンプル2μLにR1を132μL加え、撹
拌した後、R2試薬を132μL加え、800nmにお
ける吸光度を測定した。その10分後に再度800nm
の吸光度を測定することで、吸光度の変化量を求めた。
結果を表1に示した。
【0037】比較例1 高分子球状体の懸濁液として、積水化学工業社製N−4
61ラテックス(粒子径:0.46μm、表面荷電量:
0.31μmol/m2 )を使用した以外は、実施例1
と同様に試薬を作製し、検体サンプルを測定した。結果
を表1に示した。
【0038】
【表1】
【0039】表1より、実施例1で作製した高分子球状
体を担体として用いた免疫学的測定試薬の方が、比較例
1の免疫学的測定試薬より凝集による吸光度の変化量が
大きく、高感度であった。
【0040】実施例2 (1)抗HBs抗体担持ラテックスの調製 抗HBs抗体を1mg/mLの濃度で0.1Mリン酸緩
衝液(pH7.5)に溶解した液1mLに、平均粒子径
0.4μmのポリスチレンラテックス(固形分10重量
%、スルホン基量0.28μmol/m2 、積水化学工
業社製)0.5mLを添加し、25℃にて60分間攪拌
した。次いで、この液にBSAを1重量%含有するリン
酸−食塩緩衝液(PBS)を添加し、30℃にて60分
間攪拌後、4℃にて20分間、18,000rpmで遠
心分離することにより洗浄した。洗浄操作は3回行っ
た。得られた沈殿物に0.1Mリン酸緩衝液(pH8.
0)50mLを添加し、懸濁させ、抗HBs抗体担持ラ
テックス液を調製した。
【0041】(2)緩衝液の調製 1重量%濃度でBSAを含有する0.05Mリン酸緩衝
液(pH7.0)に、ポリエチレングリコール(和光純
薬社製、平均分子量:5万)を、2重量%の濃度になる
ように溶解した。
【0042】(3)ヒトHBs抗原測定試薬 ヒトHBs抗原測定試薬として、上記(1)項の抗HB
s抗体担持ラテックス液からなる第1試薬と上記(2)
項の緩衝液からなる第2試薬とから2液系の試薬を作製
した。
【0043】(4)標準HBs抗原液 標準HBs抗原液として、HBs抗原を0、50、10
0、300、500IU/mL濃度で含むヒト血清を使
用した。
【0044】(5)測定用血清 ・再現性評価用検体 精製HBs抗原を、HBs抗原及び抗HBs抗体ともに
陰性の血清を用いて、10IU/mLの濃度となるよう
に調整した。
【0045】・血清干渉評価用検体 HBs抗原を約100IU/mLの濃度で含む標準液
(以下、100IUHBs抗原液という)を、HBs抗
原及びHBs抗体ともに陰性の血清を用いて、以下に示
す希釈率で希釈したものを、血清干渉評価用検体とし
た。 0/5:希釈に用いた陰性血清そのもの 1/5:100IUHBs抗原液/陰性血清=1/4の
比率で希釈 2/5:100IUHBs抗原液/陰性血清=2/3の
比率で希釈 3/5:100IUHBs抗原液/陰性血清=3/2の
比率で希釈 4/5:100IUHBs抗原液/陰性血清=4/1の
比率で希釈 5/5:希釈せず。即ち、100IUHBs抗原液その
もの また、同じ100IUHBs抗原液を生理食塩水で上記
と同様に希釈し、希釈系列を作製して、血清干渉評価用
検体とした。
【0046】(6)標準HBs抗原液の測定及びHBs
抗原検量線の作成 上記(4)の標準HBs抗体液20μLに、上記(2)
項の緩衝液150μLを混合し、37℃で適時保存した
後、上記(1)項の抗HBs抗体担持ラテックス液15
0μLを添加、撹拌した。この後、1分後及び5分後の
波長750nmでの吸光度を測定し、この差を吸光度変
化量(ΔAbs)とした。測定は、日立自動分析装置7
150型を使用した。得られた吸光度変化量と標準HB
s抗原濃度とからHBs抗原の検量線を作成した。
【0047】(7)測定用血清の測定 上記(6)項における標準HBs抗原液の代わりに、上
記(5)項で用意した測定用血清(血清干渉評価用検体
及び再現性評価用検体)を用いたこと以外は、上記
(6)項と同様の操作を行い、吸光度変化量を求めた。
得られたそれぞれの測定用血清の吸光度変化量から、上
記(6)項で作成した検量線を用いて、それぞれの測定
用血清のHBs抗原濃度を求めた。標準HBs抗原液の
測定結果を表2に、再現性評価用検体の測定結果を表3
に、また、血清干渉評価用検体の測定結果を表4及び図
1に示した。
【0048】実施例3 実施例2において(1)項を以下のようにして行ったこ
と以外は、実施例2と同様にしてヒトHBs抗原測定試
薬を作製し、測定を行った。 (1)抗HBs抗体担持ラテックスの調製 抗HBs抗体を1mg/mLの濃度で0.1Mリン酸緩
衝液(pH7.5)に溶解した液0.7mLに、平均粒
子径0.4μmのポリスチレンラテックス(固形分10
重量%、スルホン基量0.12μmol/m2 、積水化
学工業社製)0.5mLを添加し、25℃にて60分間
攪拌した。次いでこの液にBSAを1重量%含有するリ
ン酸−食塩緩衝液(PBS)を添加し、30℃にて60
分間攪拌後、4℃にて20分間、18,000rpmで
遠心分離することにより洗浄した。洗浄操作は3回行っ
た。得られた沈殿物に0.1 Mリン酸緩衝液(pH
8.0)50mLを添加し、懸濁させ、抗HBs抗体担
持ラテックス液を調製した。標準HBs抗原液の測定結
果を表2に、再現性評価用検体の測定結果を表3に、ま
た、血清干渉評価用検体の測定結果を表4及び図2に示
した。
【0049】比較例2 実施例2において(1)項を以下のようにして行ったこ
とを除いては、実施例2と同様にしてヒトHBs抗原測
定試薬を作製し、測定を行った。 (1)抗HBs抗体担持ラテックスの調製 抗HBs抗体を1mg/mLの濃度で0.1Mリン酸緩
衝液(pH7.5)に溶解した液1.0mLに、平均粒
子径0.4μmのポリスチレンラテックス(固形分10
重量%、スルホン基量0.31μmol/m2 、積水化
学工業社製)0.5mLを添加し、25℃にて60分間
攪拌した。次いで、この液にBSAを1重量%含有する
リン酸−食塩緩衝液(PBS)を添加し、30℃にて6
0分間攪拌後、4℃にて20分間、18,000rpm
で遠心分離することにより洗浄した。洗浄操作は3回行
った。得られた沈殿物に、0.1Mリン酸緩衝液(pH
8.0)50mLを添加し、懸濁させ、抗HBs抗体担
持ラテックス液を調製した。標準HBs抗原液の測定結
果を表2に、再現性評価用検体の測定結果を表3に、ま
た、血清干渉評価用検体の測定結果を表4及び図3に示
した。
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】表2より、実施例2及び実施例3のヒトH
Bs抗原測定試薬は、比較例2のヒトHBs抗原測定試
薬より高い検量線感度を有していた。また、表3より、
実施例2及び実施例3のヒトHBs抗原測定試薬では、
較例2のヒトHBs抗原測定試薬より、再現性が良好
であった。表4、図1及び図2より、実施例2及び実施
例3のヒトHBs抗原測定試薬では、HBs抗原を、H
Bs抗原及びHBs抗体ともに陰性の血清及び生理食塩
水のいずれで希釈しても希釈検体の測定値は直線性が保
たれており、また両者の測定値は、ほぼ一致していた。
一方、表2及び図3より、比較例2のヒトHBs抗原測
定試薬では、HBs抗原を生理食塩水で希釈した場合
は、その希釈検体の測定値は直線性が保たれているが、
陰性血清で希釈した場合には、その希釈検体の測定値は
直線性が崩れ、生理食塩水での希釈検体に比べ、負の誤
差を生じていることが分かる。即ち、この測定値の乖離
が血清干渉による誤差ということになる。
【0054】
【発明の効果】本発明の高分子球状体は、上述のような
構成からなるので、低濃度の被測定物質を測定した際、
同一粒子径の従来のラテックスと比較して、凝集による
吸光度変化量が大きく、高感度の測定を行うことができ
る。また、高濃度の被測定物質を測定した際、粒子径が
大きい従来のラテックスを使用した試薬と比較して、凝
集により吸光度測定可能域を超えるような吸光度の変化
を起こしにくい。更に、本発明の高分子球状体を担体と
して使用した免疫学的測定試薬は、検体が血清である場
合でも、血清干渉による誤差がでにくく、より正確な判
定をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の免疫学的測定試薬を用いて血清干渉評
価を行った測定結果である。
【図2】本発明の免疫学的測定試薬を用いて血清干渉評
価を行った測定結果である。
【図3】表面荷電密度が小さい高分子球状体を用いて作
製した免疫学的測定試薬を用いて血清干渉評価を行った
測定結果である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/543 587 G01N 33/543 587 (72)発明者 高原 誠 大阪府三島郡島本町百山2−1 積水化学 工業株式会社内 Fターム(参考) 4J100 AB02P AB03P AB04P AB07P AB08P AB16P AJ02P BA56P CA01 CA04 DA55 EA09 JA53

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェニル基を有する重合性単量体及び/
    又は陰イオン性の重合性単量体の重合体からなる高分子
    球状体であって、懸濁液としたときの表面荷電密度が陰
    イオンの乖離濃度で0.01〜0.3μmol/m2
    あり、かつ、粒子径0.01〜1μm、CV値10%以
    内であることを特徴とする高分子球状体。
  2. 【請求項2】 陰イオン性の重合性単量体は、スチレン
    スルホン酸塩及び/又はメタアクリル酸であることを特
    徴とする請求項1記載の高分子球状体。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の高分子球状体に、
    抗原又は抗体を担持させてなることを特徴とする免疫学
    的測定試薬。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の免疫学的測定試薬を用い
    る免疫測定法であって、高分子球状体に担持された抗原
    又は抗体と、試料中の被測定物質との抗原抗体反応によ
    って生じる前記高分子球状体の凝集の度合いを検出する
    ことにより、前記被測定物質を測定することを特徴とす
    る免疫測定法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004325416A (ja) * 2003-04-28 2004-11-18 Sekisui Chem Co Ltd 測定試薬用担体粒子ラテックス及び測定試薬
JP2006266970A (ja) * 2005-03-25 2006-10-05 Jsr Corp 免疫診断薬用ポリマー粒子

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