JP2004325416A - 測定試薬用担体粒子ラテックス及び測定試薬 - Google Patents

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Abstract

【課題】低濃度領域から高濃度領域にいたる幅広い濃度範囲において、特に高濃度領域において、高い測定感度及び高い測定精度で抗原抗体反応を測定することが可能であり、長期安定性にも優れる測定試薬を得るに適する測定試薬用担体粒子ラテックス、及び、その測定試薬用担体粒子ラテックスを用いた測定試薬を提供する。
【解決手段】フェニル基を有する重合性単量体及びフェニル基とスルホン酸塩とを有する重合性単量体を水系媒体中で共重合して得られる担体粒子ラテックスであって、互いに異なる平均粒子径を有し、担体粒子表面のスルホン酸基量が0.005〜0.1μmol/mである担体粒子から構成される担体粒子ラテックス及び担体粒子表面のスルホン酸基量が0.7〜1.0μmol/mである担体粒子から構成される担体粒子ラテックスを混合して用いる測定試薬用担体粒子ラテックス、及び、上記測定試薬用担体粒子ラテックスを構成する担体粒子に、被測定物質と特異的に結合する物質が担持されてなる測定試薬。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、測定試薬用担体粒子ラテックス及びそれを用いた測定試薬に関し、更に詳しくは、免疫反応物質や核酸などの被測定物質(被検査物質)と特異的に結合する物質(検査物質)の担持用として好適な測定試薬用担体粒子ラテックス及びその測定試薬用担体粒子ラテックスを用いた測定試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、抗原又は抗体などの血清学的活性物質を担体に感作(吸着もしくは結合)させて免疫血清学的凝集反応を行い、対応する抗体又は抗原などの存在を検査する免疫血清学的検査は、簡便且つ鋭敏な方法であるため、広く利用されている。
【0003】
上記免疫血清学的検査に使用される試薬としては、妊娠診断テスト、リウマチ因子を検出するRAテスト、C−反応性タンパクを検出するCRPテスト、B型肝炎表面抗原(HBs抗原)、抗HBs抗体、β2ミクログロブリン抗体、マイコプラズマ抗原、核酸、核タンパク、エストロゲン、抗エストロゲン抗体等のための数多くの検査試薬が開発されている。
【0004】
このような免疫血清学的検査に使用される試薬用の担体としてポリスチレンなどの重合体粒子を用いることは良く知られている。この目的に用いられるポリスチレンラテックスは、一般に平均粒子径が0.05〜1μm程度であって、粒子径分布が狭く粒子径の揃ったものが望ましい。このようなポリスチレンラテックスは、公知の乳化重合法により製造できるとされている(例えば、特許文献1、特許文献2、非特許文献1参照。)。
【0005】
これらの重合体粒子には、抗原又は抗体などの血清学的活性物質を重合体粒子に感作させた状態のラテックス(以下、「感作ラテックス」と記す)中における重合体粒子がコロイド化学的安定性(以下、単に「安定性」と略記する)と免疫血清学的凝集反応性もしくは凝集阻止反応性とに優れていることが要求される。
【0006】
しかし、重合体粒子の安定性を向上させると、免疫血清学的凝集反応性の低下(測定感度の低下)を来し、逆に重合体粒子の免疫血清学的凝集反応性を向上させると、安定性が低下し、非特異的に凝集しやすくなって、実用に供し得ないものとなる。このように、互いに相反する安定性と免疫血清学的凝集反応性とを高いレベルで兼備する重合体粒子を得ることは極めて困難である。
【0007】
近年、免疫血清学的検査の分野においては、抗原又は抗体などの血清学的に活性な微量物質を、定性的のみならず、定量的に測定することが重要となっている。従来は、感作ラテックスをガラス板上で被測定物質と混合して反応させ、感作ラテックス中の重合体粒子の凝集状態を肉眼で観察することによって、被測定物質を定量的に検出していたが、最近では、上記凝集状態の肉眼観察の代わりに、例えば分光光度計、濁度計、光散乱測定装置などの光学的測定装置を用いて被測定物質を定量的に検出することが行われており、例えば、感作ラテックス中の重合体粒子が凝集する現象を利用して、上澄み液の濁度の減少率を測定する方法や、感作ラテックス中の重合体粒子の凝集による吸光度や散乱光強度の変化を測定する方法等が知られている(例えば、特許文献3、非特許文献2参照。)。
【0008】
上記原理を利用した測定装置として、例えば、日立製作所社製の商品名「HITACHI−7070」、「HITACHI−7150」、「HITACHI−7170」、「LPIA−A700」、「LPIA−S500」などのラテックス凝集反応自動分析測定機が多数市販されている。これらのラテックス凝集反応自動分析測定機は、感作ラテックス中の重合体粒子の免疫血清学的凝集反応による反応系の吸光度や散乱光強度などの光学的特性の変化を測定することによって、被測定物質を定量化しようとするものである。
【0009】
上記ラテックス凝集反応自動分析測定機に適用できる担体粒子ラテックスや測定試薬を開発すべく様々な試みがなされており、例えば、スチレンとスチレンに対し10重量%以下のスチレンスルホン酸塩とを乳化剤の不存在下で過硫酸塩を重合開始剤として水中で共重合させ、次いでアルカリ性の条件下で加熱するラテックスの製造方法が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
【0010】
しかし、上記製造方法は、均一な粒子径を有し且つ安定性に優れるラテックスを得られないという問題点がある。スチレンに対する重合開始剤の量を増量すれば、均一な粒子径を有し且つ安定性に優れるラテックスを得ることは可能となるが、このラテックスを用いて測定試薬を調製した場合、測定感度が低くなり、又、非特異的凝集反応を示す確率が高くなって、安定性に優れる測定試薬を得られないという別の問題点が発生する。
【0011】
一方、測定試薬の性能向上のために、少なくとも二つの異なった量の同一抗原又は抗体を負荷された2種の異なったサイズ範囲のラテックス粒子を含有する、抗体及び抗原の検出及び測定のためのラテックス試薬が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。
【0012】
又、平均粒子径の異なる2種類以上のラテックスに抗体もしくは抗原を感作して混合した懸濁液又は平均粒子径の異なる2種類以上のラテックスを混合した後、抗体もしくは抗原を感作した懸濁液と、感作した抗体に対する抗原もしくは感作した抗原に対する抗体とを水溶媒中で反応させ、光を照射し、その吸光度変化を測定して、抗原抗体反応を測定する方法において、平均粒子径が0.05〜0.3μmの範囲にあるラテックスと平均粒子径が0.3〜1.0μmの範囲にあるラテックスとを混合すること、及び、混合したラテックスの平均粒子径の少なくとも2.5倍であり、且つ、0.6〜2.4μmの波長の光を照射する抗原抗体反応の測定法が開示されている(例えば、特許文献6参照。)。
【0013】
又、不溶性担体粒子に固定した抗体を抗原と反応させ、抗原抗体反応によって生じる不溶性担体粒子の凝集を観察することによって抗原を検出又は測定する方法であって、抗体として分析対象抗原に対するポリクローナル抗体とモノクローナル抗体の両方を用いる免疫学的粒子凝集反応方法が開示されている(例えば、特許文献7参照。)。
【0014】
又、特定の抗原に対する異なる2種以上のモノクローナル抗体を不溶性担体に担持させ、水溶媒中で抗原と反応させ、不溶性担体と抗原の結合物を選択的に凝集させるに当たり、不溶性担体として平均粒子径の異なる2種以上の担体を用い、これら不溶性担体に各モノクローナル抗体をそれぞれ担持させる高感度免疫測定法が開示されている(例えば、特許文献8参照。)。
【0015】
更に、大小2種類の担体粒子を用い、平均粒子径の小さい方の担体粒子には反応速度の小さいモノクローナル抗体を感作し、平均粒子径の大きい方の担体粒子には反応速度の大きいモノクローナル抗体を感作した感作粒子混合物を用いて凝集法により免疫測定を行うことが開示されている(例えば、非特許文献3参照。)。
【0016】
しかし、これらの特許文献や非特許文献に開示されているラテックス試薬や測定方法は、いずれも測定可能な濃度範囲が狭く、特に濃度70mg/dL以上の高濃度領域の測定が困難であるという問題点がある。
【0017】
一般に、臨床検査における免疫血清学的検査では、低濃度領域に臨床的な判定を下すための重要なポイントを有するものが多いが、一方ではイムノグロブリンのように高濃度で存在する成分のみならず、低濃度領域から高濃度領域にいたる幅広い濃度範囲で存在する成分も知られている。例えば、炎症マーカーであるC反応性蛋白質(CRP)、血清アミロイドA(SAA)、アレルギー症状などの指標となるIgE等は、低濃度領域から高濃度領域にいたる幅広い濃度範囲で存在する成分の代表的なものである。
【0018】
低濃度領域から高濃度領域にいたる幅広い濃度範囲にわたって抗原抗体反応の測定を可能にするためには、例えば、平均粒子径の異なる2種類以上のラテックスにそれぞれ抗体又は抗原を感作し、一定の比率で混合するラテックス試薬調製方法で得られるラテックス試薬を用いることが有効とされている(例えば、特許文献6参照。)。
【0019】。
上記ラテックス試薬調製方法によるラテックス試薬は、平均粒子径が小さい方のラテックスが有する測定可能な濃度範囲が広いという利点と、平均粒子径が大きい方のラテックスが有する低濃度領域における測定感度が高いという利点とを兼備するものである。
【0020】
しかし、上記ラテックス試薬調製方法によるラテックス試薬は、確かに測定可能な濃度範囲は広くなるものの、測定精度については必ずしも十分ではないという問題点がある。測定精度の向上には測定系の高感度化が有効であるが、従来の技術で測定系の高感度化を図ると、測定可能な濃度範囲が縮小されるという問題点がある。
【0021】
又、ラテックス凝集反応自動分析測定機と測定試薬との両面からアプローチすることにより、測定可能な濃度範囲の拡大や測定精度の向上を図る方法も検討されている(例えば、非特許文献3。)。
【0022】
しかし、上記方法は、高濃度領域における測定が困難であるため、測定可能な濃度範囲は必ずしも広がっていないという問題点がある。
【0023】
【特許文献1】
特開昭51−9716号公報
【特許文献2】
特開昭54−45393号公報
【特許文献3】
特開昭54−109494号公報
【特許文献4】
特公昭58−50645号公報
【特許文献5】
特公昭63−14783号公報
【特許文献6】
特許第2588174号公報
【特許文献7】
特開平10−90268号公報
【特許文献8】
特開平10−123137号公報
【非特許文献1】
「高分子化学」、22巻、481頁(1965)
【非特許文献2】
「Immunochemistry」、12巻、349〜351頁(1975)
【非特許文献3】
「医学と薬学」、42巻、5号、781〜788頁(1999)
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、低濃度領域から高濃度領域にいたる幅広い濃度範囲において、特に高濃度領域において、高い測定感度及び高い測定精度で抗原抗体反応を測定することが可能であり、長期安定性にも優れる測定試薬を得るに適する測定試薬用担体粒子ラテックス、及び、その測定試薬用担体粒子ラテックスを用いた測定試薬を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、測定試薬用担体粒子ラテックスを構成する担体粒子表面を覆っている官能基(スルホン酸基)の表面チャージ量が互いに異なる特定の範囲にあり、且つ、上記担体粒子の平均粒子径が互いに異なる担体粒子からなる2種類の担体粒子ラテックスを用いることにより、低濃度領域から高濃度領域にいたる幅広い濃度範囲にわたって、特に高濃度領域においてプロゾーンの影響を受けず直線性に優れ、高い測定感度及び高い測定精度で抗原抗体反応を測定することが可能であって、長期安定性にも優れる測定試薬を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0026】
即ち、請求項1に記載の発明(本発明)による測定試薬用担体粒子ラテックスは、フェニル基を有する重合性単量体及びフェニル基とスルホン酸塩とを有する重合性単量体を水系媒体中で共重合して得られる担体粒子ラテックスであって、互いに異なる平均粒子径を有し、担体粒子表面のスルホン酸基量が0.005〜0.1μmol/mである担体粒子(a)から構成される担体粒子ラテックス(A)及び担体粒子表面のスルホン酸基量が0.7〜1.0μmol/mである担体粒子(b)から構成される担体粒子ラテックス(B)を混合して用いることを特徴とする。
【0027】
請求項2に記載の発明による測定試薬用担体粒子ラテックスは、上記請求項1に記載の測定試薬用担体粒子ラテックスにおいて、担体粒子(a)及び担体粒子(b)の平均粒子径が、0.01〜1.5μmであり、且つ、互いに異なることを特徴とする。
【0028】
請求項3に記載の発明による測定試薬用担体粒子ラテックスは、上記請求項1又は請求項2に記載の測定試薬用担体粒子ラテックスにおいて、担体粒子ラテックス(A)及び担体粒子ラテックス(B)の混合比率が、固形分換算の重量比で、(A)/(B)=1/10〜10/1であることを特徴とする。
【0029】
請求項4に記載の発明による測定試薬用担体粒子ラテックスは、上記請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の測定試薬用担体粒子ラテックスにおいて、フェニル基を有する重合性単量体がスチレンであることを特徴する。
【0030】
請求項5に記載の発明による測定試薬用担体粒子ラテックスは、上記請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の測定試薬用担体粒子ラテックスにおいて、フェニル基とスルホン酸塩とを有する重合性単量体がスチレンスルホン酸塩であることを特徴とする。
【0031】
請求項6に記載の発明による測定試薬用担体粒子ラテックスは、上記請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の測定試薬用担体粒子ラテックスにおいて、実質的に乳化剤を含有していないことを特徴とする。
【0032】
請求項7に記載の発明(本発明)による測定試薬は、上記請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の測定試薬用担体粒子ラテックスを構成する担体粒子に、被測定物質と特異的に結合する物質が担持されてなることを特徴とする。
【0033】
本発明の測定試薬用担体粒子ラテックス(以下、単に「担体粒子ラテックス」と略記する)は、フェニル基を有する重合性単量体及びフェニル基とスルホン酸塩とを有する重合性単量体を水系媒体中で共重合して得られる担体粒子ラテックスであって、互いに異なる平均粒子径を有し、担体粒子表面のスルホン酸基量が0.005〜0.1μmol/mである担体粒子(a)から構成される担体粒子ラテックス(A)及び担体粒子表面のスルホン酸基量が0.7〜1.0μmol/mである担体粒子(b)から構成される担体粒子ラテックス(B)を混合して用いることにより作製される。尚、本発明で言うスルホン酸基量とは、「Journal of Colloid and Interface Science」、49巻、3号、425頁(1974)に記載の測定方法で測定されたスルホン酸基量を意味する。
【0034】
上記担体粒子ラテックス(A)は、得られる担体粒子ラテックスを用いて調製された測定試薬の特に低濃度領域における測定感度及び測定精度を向上させる機能を有し、又、上記担体粒子ラテックス(B)は、得られる担体粒子ラテックスを用いて調製された測定試薬の特に高濃度領域における測定感度及び測定精度を向上させる機能を有する。
【0035】
従って、上記担体粒子ラテックス(A)及び担体粒子ラテックス(B)を混合して用いることにより、本発明の担体粒子ラテックスは、低濃度領域から高濃度領域にいたる幅広い濃度範囲において、特に高濃度領域において、高い測定感度及び高い測定精度で抗原抗体反応を測定することが可能であり、長期安定性にも優れる測定試薬、特に、例えば分光光度計、濁度計、光散乱測定装置などの光学的測定装置用として好適な測定試薬を得るに適するものとなる。
【0036】
本発明の担体粒子ラテックスに用いられる担体粒子ラテックス(A)は、担体粒子ラテックス(A)を構成する担体粒子(a)表面のスルホン酸基量が0.005〜0.1μmol/mであることが必要である。
【0037】
担体粒子ラテックス(A)を構成する担体粒子(a)表面のスルホン酸基量が0.005μmol/m未満であると、得られる担体粒子ラテックスを用いて調製された測定試薬が非特異的凝集反応を起こしやすくなり、逆に上記担体粒子(a)表面のスルホン酸基量が0.1μmol/mを超えると、得られる担体粒子ラテックスひいては測定試薬の長期安定性が不十分となる。
【0038】
又、本発明の担体粒子ラテックスに用いられる担体粒子ラテックス(B)は、担体粒子ラテックス(B)を構成する担体粒子(b)表面のスルホン酸基量が0.7〜1.0μmol/mであることが必要である。
【0039】
担体粒子ラテックス(B)を構成する担体粒子(b)表面のスルホン酸基量が0.7μmol/m未満であると、得られる担体粒子ラテックスを用いて調製された測定試薬は、特に高濃度領域における免疫血清学的凝集反応性が低下して、測定感度や測定精度が不十分となり、逆に上記担体粒子(b)表面のスルホン酸基量が1.0μmol/mを超えると、得られる担体粒子ラテックスを用いて調製された測定試薬は、低濃度領域から高濃度領域にいたる全ての濃度範囲における免疫血清学的凝集反応性が低下して、測定感度や測定精度が不十分となる。
【0040】
更に、本発明の担体粒子ラテックスに用いられる担体粒子ラテックス(A)を構成する担体粒子(a)及び担体粒子ラテックス(B)を構成する担体粒子(b)は、互いに異なる平均粒子径を有していることが必要である。
【0041】
上記担体粒子(a)及び担体粒子(b)の平均粒子径が同一であると、低濃度領域から高濃度領域にいたる幅広い濃度範囲において、特に高濃度領域において、高い測定感度及び高い測定精度で抗原抗体反応を測定することが可能な測定試薬を得るに適する担体粒子ラテックスを得られなくなる。
【0042】
上記担体粒子(a)及び担体粒子(b)の平均粒子径は、互いに異なる平均粒子径であれば良く、特に限定されるものではないが、0.01〜1.5μmであることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.8μmである。
【0043】
担体粒子(a)及び/又は担体粒子(b)の平均粒子径が0.01〜1.5μmの範囲を逸脱すると、得られる担体粒子ラテックスひいては測定試薬の長期安定性が低下して、測定試薬が非特異的凝集反応を起こしやすくなることがある。
【0044】
本発明の担体粒子ラテックスに用いられる上記担体粒子ラテックス(A)及び上記担体粒子ラテックス(B)の混合比率は、特に限定されるものではないが、固形分換算の重量比で、(A)/(B)=1/10〜10/1であることが好ましい。
【0045】
上記(A)/(B)が固形分換算の重量比で1/10〜10/1の範囲を逸脱すると、低濃度領域から高濃度領域にいたる幅広い濃度範囲において、特に高濃度領域において、高い測定感度及び高い測定精度で抗原抗体反応を測定することが可能な測定試薬を得るに適する担体粒子ラテックスを得られなくなることがある。
【0046】
上記担体粒子ラテックス(A)及び担体粒子ラテックス(B)に用いられるフェニル基を有する重合性単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、スチレン、ジビニルベンゼン、エチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン等が挙げられ、中でも、スチレンが好適に用いられる。これらのフェニル基を有する重合性単量体は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0047】
又、上記担体粒子ラテックス(A)及び担体粒子ラテックス(B)に用いられるフェニル基とスルホン酸塩とを有する重合性単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、スチレンスルホン酸塩、ジビニルベンゼンスルホン酸塩、エチルスチレンスルホン酸塩、α−メチルスルホン酸塩等が挙げられ、中でも、スチレンスルホン酸塩が好適に用いられる。又、上記塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、リチウム塩等が挙げられ、中でも、ナトリウム塩が好適に用いられる。即ち、上記フェニル基とスルホン酸塩とを有する重合性単量体の中でも、スチレンスルホン酸ナトリウムが好適に用いられる。これらのフェニル基とスルホン酸塩とを有する重合性単量体は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0048】
担体粒子ラテックス(A)において、上記フェニル基とスルホン酸塩とを有する重合性単量体の使用量は、特に限定されるものではないが、フェニル基を有する重合性単量体に対して、2重量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.0001〜1.5重量%であり、更に好ましくは0.001〜1.2重量%である。
【0049】
フェニル基を有する重合性単量体に対するフェニル基とスルホン酸塩とを有する重合性単量体の使用量が2重量%を超えると、得られる担体粒子ラテックス(A)を構成する担体粒子(a)表面のスルホン酸基量が0.1μmol/mを超えることがある。又、フェニル基を有する重合性単量体に対するフェニル基とスルホン酸塩とを有する重合性単量体の使用量が0.0001重量%未満であると、得られる担体粒子ラテックス(A)を構成する担体粒子(a)表面のスルホン酸基量が0.005μmol/m未満となることがある。
【0050】
又、担体粒子ラテックス(B)において、上記フェニル基とスルホン酸塩とを有する重合性単量体の使用量は、特に限定されるものではないが、フェニル基を有する重合性単量体に対して、2重量%以上であることが好ましく、より好ましくは2.5〜35重量%であり、更に好ましくは5〜30重量%である。
【0051】
フェニル基を有する重合性単量体に対するフェニル基とスルホン酸塩とを有する重合性単量体の使用量が2重量%未満であると、得られる担体粒子ラテックス(B)を構成する担体粒子(b)表面のスルホン酸基量が0.7μmol/m未満となることがある。又、フェニル基を有する重合性単量体に対するフェニル基とスルホン酸塩とを有する重合性単量体の使用量が35重量%を超えると、共重合時に温度暴走によるクリーム化が生じたり、得られる担体粒子ラテックス(B)を構成する担体粒子(b)表面のスルホン酸基量が1.0μmol/mを超えて、得られる担体粒子ラテックスを用いて調製された測定試薬が、蛋白吸着不足による測定感度の低下を来したり、非特異的凝集の発生を阻止するための添加物使用によるセル汚染を起こしたり、粘度上昇による分散性不良を起こしたり等の不具合が発生することがあると共に、コスト上昇により高価となることもある。
【0052】
本発明の担体粒子ラテックスに用いられる担体粒子ラテックス(A)及び担体粒子ラテックス(B)は、必須成分である上記フェニル基を有する重合性単量体及びフェニル基とスルホン酸塩とを有する重合性単量体に加えて、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、重合性不飽和単量体が併用されてなるものであっても良い。
【0053】
併用されても良い重合性不飽和単量体としては、通常のラジカル重合に使用可能なものであれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アミド、ハロゲン化ビニル、ビニルエステル、(メタ)アクロレイン、マレイン酸誘導体、フマル酸誘導体等が挙げられる。これらの重合性不飽和単量体は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。尚、本発明で言う例えば(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
【0054】
本発明の担体粒子ラテックスに用いられる担体粒子ラテックス(A)は、例えばスチレンなどのフェニル基を有する重合性単量体の所定量と上記フェニル基を有する重合性単量体に対して好ましくは2重量%以下の例えばスチレンスルホン酸ナトリウムなどのフェニル基とスルホン酸塩とを有する重合性単量体と、必要に応じて併用される重合性不飽和単量体の所定量とを、例えば蒸留水、純水、イオン交換水などの水系媒体中で共重合させることにより得られる。
【0055】
又、本発明の担体粒子ラテックスに用いられる担体粒子ラテックス(B)は、例えばスチレンなどのフェニル基を有する重合性単量体の所定量と上記フェニル基を有する重合性単量体に対して好ましくは2重量%以上の例えばスチレンスルホン酸ナトリウムなどのフェニル基とスルホン酸塩とを有する重合性単量体と、必要に応じて併用される重合性不飽和単量体の所定量とを、例えば蒸留水、純水、イオン交換水などの水系媒体中で共重合させることにより得られる。
【0056】
上記担体粒子ラテックス(A)及び/又は担体粒子ラテックス(B)の共重合は、乳化剤の存在(共存)下で行っても良いし、乳化剤の非存在(非共存)下で行っても良いが、得られる担体粒子ラテックス(A)を構成する担体粒子(a)及び/又は得られる担体粒子ラテックス(B)を構成する担体粒子(b)の耐湿性や耐水性がより優れたものとなることから、乳化剤の非存在下で行うことが好ましい。換言すれば、上記担体粒子ラテックス(A)及び担体粒子ラテックス(B)を混合して用いることにより作製される本発明の担体粒子ラテックスは、実質的に乳化剤を含有していないことが好ましい。
【0057】
上記共重合を乳化剤の存在下で行う場合に用いられる乳化剤としては、通常の乳化重合で用いられるもので良く、特に限定されるものではないが、例えば、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型などのノニオン性(非イオン性)界面活性剤、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩などのアニオン性(陰イオン性)界面活性剤、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩などのカチオン性(陽イオン性)界面活性剤、ベタイン型、アミノカルボン酸塩型などの両性界面活性剤等が挙げられる。これらの乳化剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0058】
上記乳化剤を用いた場合には、重合後の後処理工程において、例えば、重合後に透析等を行うことによって、乳化剤を除去することが好ましい。
【0059】
上記乳化剤の使用量は、得られる担体粒子ラテックス(A)を構成する担体粒子(a)表面のスルホン酸基量が0.005〜0.1μmol/mとなる量、及び/又は、得られる担体粒子ラテックス(B)を構成する担体粒子(b)表面のスルホン酸基量が0.7〜1.0μmol/mとなる量であれば良く、特に限定されるものではないが、フェニル基を有する重合性単量体に対して、1重量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5重量%以下であり、更に好ましくは0.01〜0.02重量%である。
【0060】
又、上記担体粒子ラテックス(A)及び/又は担体粒子ラテックス(B)の共重合の際には、必要に応じて、重合開始剤が添加されても良い。上記重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩等が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0061】
上記重合開始剤の使用量は、特に限定されるものではないが、フェニル基を有する重合性単量体及びフェニル基とスルホン酸塩とを有する重合性単量体の合計量に対して、又は、フェニル基を有する重合性単量体、フェニル基とスルホン酸塩とを有する重合性単量体及び必要に応じて併用される重合性不飽和単量体の合計量に対して、0.01〜1重量%であることが好ましい。
【0062】
上記共重合の方法は、特に限定されるものではなく、例えば、乳化剤を含有する水系媒体又は乳化剤を含有しない水系媒体が仕込まれた反応器(重合器)内に、フェニル基を有する重合性単量体、フェニル基とスルホン酸塩とを有する重合性単量体、必要に応じて併用される重合性不飽和単量体及び必要に応じて添加される重合開始剤の各所定量を投入し、例えば窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下及び/又は減圧(真空)下で加熱しながら攪拌して、重合反応を行うことにより、所望の担体粒子ラテックス(A)及び担体粒子ラテックス(B)を得ることができる。上記共重合時の重合反応温度及び重合反応時間は、上記重合性(不飽和)単量体の種類、組成、濃度等や、重合開始剤の種類、組成、濃度等に対応して適宜設定されれば良く、特に限定されるものではないが、通常50〜100℃であることが好ましく、より好ましくは60〜85℃であり、通常5〜50時間であることが好ましい。
【0063】
次に、本発明の測定試薬(ラテックス試薬)は、上述した本発明の担体粒子ラテックスを構成する担体粒子{担体粒子(a)及び担体粒子(b)}に、被測定物質と特異的に結合する物質が担持されてなる。
【0064】
上記被測定物質と特異的に結合する物質としては、特に限定されるものではないが、例えば、免疫血清学的凝集反応に一般的に使用される免疫血清学的検査試薬や、生化学測定法として一般的に使用される生理活性物質等が挙げられ、中でも、抗原抗体反応に利用できる物質が好適に用いられる。これらの被測定物質と特異的に結合する物質は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0065】
上記抗原抗体反応に利用できる物質としては、特に限定されるものではないが、例えば、タンパク、核酸、核タンパク、エストロゲン脂質等が挙げられる。これらの抗原抗体反応に利用できる物質は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0066】
上記抗原としては、特に限定されるものではないが、例えば、各種抗原、レセプター、酵素等が挙げられ、その具体例としては、例えば、β2マイクログロブリン、C−反応性蛋白質(CRP)、ヒトフィブリノーゲン、フェリチン、リウマチ因子(RA)、α−フェトプロテイン(AFP)、マイコプラズマ抗原、HBs抗原等が挙げられる。これらの抗原は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0067】
又、上記抗体としては、特に限定されるものではないが、例えば、各種の毒素や病原菌等に対する各種抗体等が挙げられ、その具体例としては、例えば、抗ストレプトリジンO抗体、抗エストロゲン抗体、β2マイクログロブリン抗体、梅毒トレポネーマ抗体、梅毒脂質抗原に対する抗体、HBs抗体、HBc抗体、HBe抗体等が挙げられる。上記抗体は、免疫グロブリン分子自体の他、例えばF(ab’)2のような断片であっても良い。又、これらの抗体は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0068】
上記被測定物質と特異的に結合する物質の使用量は、用いられる上記物質の種類により異なるため、特に限定されるものではない。
【0069】
本発明の担体粒子ラテックスを構成する担体粒子に、被測定物質と特異的に結合する物質を担持させる方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の物理的方法及び/又は化学的方法により担持させれば良い。
【0070】
本発明の測定試薬は、適当な検体希釈液で希釈されても良く、検体希釈液としては、pHが5.0〜9.0の緩衝液であればどのようなものでも用いることができる。上記緩衝液としては、特に限定されるものではないが、例えば、リン酸緩衝液、グリシン緩衝液、トリス緩衝液、ホウ酸緩衝液、クエン酸緩衝液等が挙げられる。これらの検体希釈液(緩衝液)は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0071】
本発明の測定試薬には、測定感度の向上や例えば抗原抗体反応の促進等のために、増感剤が添加されていても良い。上記増感剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチルセルロース、エチルセルロースなどのアルキル化多糖類や、プルラン、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子が挙げられる。これらの増感剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0072】
又、本発明の測定試薬には、検体中に存在する被測定物質以外の物質により起こる非特異的凝集反応を抑制したり、測定試薬の長期安定性を高めるために、特に限定されるものではないが、例えば、牛血清アルブミン、卵性アルブミンなどのアルブミン、カゼイン、ゼラチンなどのタンパク質、タンパク質分解物、アミノ酸、界面活性剤等の添加剤が添加されていても良い。これらの添加剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0073】
本発明の測定試薬は、検体中の被測定物質とこの被測定物質に特異的に結合する例えば抗原又は抗体等の物質との反応により生じる凝集の度合いを、光学的に測定するか、又は、肉眼で目視観察することにより、検体中の被測定物質の反応量を測定するが、特に光学的に測定することにより検体中の被測定物質の反応量を測定することが好ましい。
【0074】
上記光学的に測定する方法においては、散乱光強度、透過光強度、吸光度等を検出できる光学機器、特に一般の生化学自動分析機のいずれもが好適に使用できる。
【0075】
上記凝集の度合いを光学的に測定する方法としては、公知の方法が用いられ、特に限定されるものではないが、例えば、凝集の形成を濁度の増加としてとらえる比濁法、凝集の形成を粒度分布又は平均粒子径の変化としてとらえる方法、凝集の形成による前方散乱光の変化を積分球を用いて測定し、透過光強度との比を比較する積分球濁度法等が挙げられる。上記測定法においては、異なる時点で少なくとも2つの測定値を得た後、これらの時点間における測定値の増加分、即ち、増加速度に基づき凝集の程度を求める速度試験(レートアッセイ)や、ある時点(通常は反応の終点と考えられる時点)で1つの測定値を得た後、この測定値に基づき凝集の程度を求める終点試験(エンドポイントアッセイ)等を利用できるが、測定の簡便性、迅速性等の点から、比濁法による速度試験を行うことが好ましい。
【0076】
【作用】
本発明の担体粒子ラテックスは、フェニル基を有する重合性単量体及びフェニル基とスルホン酸塩とを有する重合性単量体を水系媒体中で共重合して得られる担体粒子ラテックスであって、互いに異なる平均粒子径を有し、担体粒子表面のスルホン酸基量が0.005〜0.1μmol/mである担体粒子(a)から構成される担体粒子ラテックス(A)及び担体粒子表面のスルホン酸基量が0.7〜1.0μmol/mである担体粒子(b)から構成される担体粒子ラテックス(B)を混合して用いることにより作製されるので、低濃度領域から高濃度領域にいたる幅広い濃度範囲において、特に高濃度領域において、高い測定感度及び高い測定精度で抗原抗体反応を測定することが可能であり、且つ、長期安定性にも優れる測定試薬を得るに適する。
【0077】
又、本発明の担体粒子ラテックスは、上記担体粒子(a)及び担体粒子(b)の平均粒子径を互いに異なる0.01〜1.5μmとしたり、上記担体粒子ラテックス(A)及び担体粒子ラテックス(B)の混合比率を固形分換算の重量比で(A)/(B)=1/10〜10/1としたり、上記担体粒子ラテックス(A)及び担体粒子ラテックス(B)の共重合に際して、フェニル基を有する重合性単量体としてスチレンを用い、及び/又は、フェニル基とスルホン酸塩とを有する重合性単量体としてスチレンスルホン酸塩を用い、乳化剤の非存在下で共重合を行うことにより、上記効果がより確実なものとなる。
【0078】
本発明の測定試薬は、上記本発明の担体粒子ラテックスを構成する担体粒子{担体粒子(a)及び担体粒子(b)}に、被測定物質と特異的に結合する物質が担持されてなるので、低濃度領域から高濃度領域にいたる幅広い濃度範囲において、特に高濃度領域において、高い測定感度及び高い測定精度で抗原抗体反応を測定することが可能であると共に、長期安定性にも優れる。
【0079】
【発明の実施の形態】
本発明を更に詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0080】
[担体粒子ラテックスの作製]
撹拌機、冷却コイル、温度検出器、ジャケットなどを装備したガラス反応器(容量2L)に、表1に示した所定量のスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム及び蒸留水を仕込み、更に蒸留水10gに過硫酸カリウム(重合開始剤)0.5gを溶解した水溶液を添加し、窒素ガスで置換した後、撹拌状態で反応温度を70〜71℃に制御しながら24時間乳化重合を行って、担体粒子ラテックス(A1)、担体粒子ラテックス(A2)、担体粒子ラテックス(B1)、担体粒子ラテックス(B2)、担体粒子ラテックス(C1)、担体粒子ラテックス(C2)及び担体粒子ラテックス(C3)の7種類の担体粒子ラテックスを作製した。
【0081】
上記で得られた各担体粒子ラテックスをペーパー濾紙にて濾過処理した後、それぞれの担体粒子ラテックス中の担体粒子表面のスルホン酸基量を「Journal of Colloid and Interface Science」、49巻、3号、425頁(1974)に記載の測定方法で測定した。又、それぞれの担体粒子の粒子径を測定して、平均粒子径を求めた。上記粒子径の測定は、担体粒子を透過型電子顕微鏡で撮影した後、透過型電子顕微鏡に直接的に接続されている画像解析装置により行った。それらの結果は表1に示すとおりであった。
【0082】
【表1】
Figure 2004325416
【0083】
(実施例1)
1.担体粒子ラテックスの作製
担体粒子ラテックス(A2)及び担体粒子ラテックス(B1)を固形分換算の重量比で(A2)/(B1)=10/1となるように混合して担体粒子ラテックスを作製した。
2.測定試薬の調製
上記で得られた担体粒子ラテックスを用い、蒸留水を添加して固形分を5重量%に調整した後、8mlガラス管に250μmL採取し、抗ヒトCRP山羊血清(蛋白濃度:12mg/mL、DAKO社製)600μLを添加して、37℃で1時間攪拌して吸着させた後、BSA(牛血清アルブミン)を含むグリシン緩衝液(pH:8.5)400μLを添加し、ブロッキング処理として37℃で90分間攪拌処理を行った。次に、ブロッキング処理品を8ml遠心管に分取し、回転速度18000rpmで60分間遠心分離処理をした後、上澄み液を廃棄し、BSA含有グリシン緩衝液(pH:8.5)を用いて再分散させ、余剰抗体処理を2回繰り返し行なった後、BSA含有グリシン緩衝液(pH:8.5)2.5mLを添加し、超音波処理した後、更にBSA含有グリシン緩衝液(pH:8.5)を追加し、最終液量を30mLとして、測定試薬を調製した。
【0084】
3.測定試薬の性能(測定感度)評価
上記で得られた測定試薬の性能(測定感度)を以下の方法で評価した。その結果は図1に示すとおりであった。
[感度の評価方法]
上記で得られた測定試薬を用いて、以下の測定条件で、CRP濃度0.5〜130mg/dLまでの検体測定時の吸光度変化量を測定した。上記吸光度変化量が大きいほど測定感度が優れていることになる。
測定機種:日立7170型自動分析装置(日立製作所社製)
試薬液量:サンプル2μL
希釈液:132μL(希釈液組成:1重量%BSA含有グリシン緩衝液)
測定試薬:132μL
測定波長:800nm
測光ポイント:2ポイント−エンド18−34p
【0085】
(実施例2)
担体粒子ラテックス(A2)及び担体粒子ラテックス(B1)を固形分換算の重量比で(A2)/(B1)=1/10となるように混合して担体粒子ラテックスを作製した。上記で得られた担体粒子ラテックスを用い、担体粒子の表面積当たりの抗体感作量が実施例1の場合と同じになるようにBAS含有グリシン緩衝液(pH:8.5)を調整したこと以外は実施例1の場合と同様にして、測定試薬を調製した。
【0086】
(実施例3)
担体粒子ラテックス(A1)及び担体粒子ラテックス(B2)を固形分換算の重量比で(A1)/(B2)=10/1となるように混合して担体粒子ラテックスを作製した。上記で得られた担体粒子ラテックスを用い、担体粒子の表面積当たりの抗体感作量が実施例1の場合と同じになるようにBAS含有グリシン緩衝液(pH:8.5)を調整したこと以外は実施例1の場合と同様にして、測定試薬を調製した。
【0087】
(実施例4)
担体粒子ラテックス(A1)及び担体粒子ラテックス(B2)を固形分換算の重量比で(A1)/(B2)=1/10となるように混合して担体粒子ラテックスを作製した。上記で得られた担体粒子ラテックスを用い、担体粒子の表面積当たりの抗体感作量が実施例1の場合と同じになるようにBAS含有グリシン緩衝液(pH:8.5)を調整したこと以外は実施例1の場合と同様にして、測定試薬を調製した。
【0088】
実施例2〜実施例4で得られた測定試薬の性能(測定感度)を実施例1の場合と同様にして評価した。その結果は図1に示すとおりであった。
【0089】
(比較例1)
担体粒子ラテックス(B1)及び担体粒子ラテックス(C3)を固形分換算の重量比で(B1)/(C3)=1/10となるように混合して担体粒子ラテックスを作製した。上記で得られた担体粒子ラテックスを用い、担体粒子の表面積当たりの抗体感作量が実施例1の場合と同じになるようにBAS含有グリシン緩衝液(pH:8.5)を調整したこと以外は実施例1の場合と同様にして、測定試薬を調製した。
【0090】
(比較例2)
担体粒子ラテックス(B1)及び担体粒子ラテックス(C3)を固形分換算の重量比で(B1)/(C3)=10/1となるように混合して担体粒子ラテックスを作製した。上記で得られた担体粒子ラテックスを用い、担体粒子の表面積当たりの抗体感作量が実施例1の場合と同じになるようにBAS含有グリシン緩衝液(pH:8.5)を調整したこと以外は実施例1の場合と同様にして、測定試薬を調製した。
【0091】
(比較例3)
担体粒子ラテックス(A2)及び担体粒子ラテックス(C2)を固形分換算の重量比で(A2)/(C2)=1/10となるように混合して担体粒子ラテックスを作製した。上記で得られた担体粒子ラテックスを用い、担体粒子の表面積当たりの抗体感作量が実施例1の場合と同じになるようにBAS含有グリシン緩衝液(pH:8.5)を調整したこと以外は実施例1の場合と同様にして、測定試薬を調製した。
【0092】
(比較例4)
担体粒子ラテックス(A2)及び担体粒子ラテックス(C2)を固形分換算の重量比で(A2)/(C2)=10/1となるように混合して担体粒子ラテックスを作製した。上記で得られた担体粒子ラテックスを用い、担体粒子の表面積当たりの抗体感作量が実施例1の場合と同じになるようにBAS含有グリシン緩衝液(pH:8.5)を調整したこと以外は実施例1の場合と同様にして、測定試薬を調製した。
【0093】
(比較例5)
担体粒子ラテックス(C1)及び担体粒子ラテックス(C3)を固形分換算の重量比で(C1)/(C3)=1/10となるように混合して担体粒子ラテックスを作製した。上記で得られた担体粒子ラテックスを用い、担体粒子の表面積当たりの抗体感作量が実施例1の場合と同じになるようにBAS含有グリシン緩衝液(pH:8.5)を調整したこと以外は実施例1の場合と同様にして、測定試薬を調製した。
【0094】
比較例1〜比較例5で得られた測定試薬の性能(測定感度)を実施例1の場合と同様にして評価した。その結果は図2に示すとおりであった。
【0095】
表1及び図1から明らかなように、本発明による実施例1〜実施例4の担体粒子ラテックスを用いて調製した実施例1〜実施例4の測定試薬は、いずれもCRP濃度0.5〜130mg/dLの幅広い濃度範囲において吸光度変化量が大きく、優れた測定感度を発現した。
【0096】
これに対し、表1及び図2から明らかなように、担体粒子ラテックス(B1)と担体粒子表面のスルホン酸基量が1.0μmol/mを超えていた担体粒子ラテックス(C3)とを混合して作製した比較例1及び比較例2の担体粒子ラテックスを用いて調製した比較例1及び比較例2の測定試薬、担体粒子ラテックスA2)と担体粒子表面のスルホン酸基量が1.0μmol/mを超えていた担体粒子ラテックス(C2)とを混合して作製した比較例3及び比較例4の担体粒子ラテックスを用いて調製した比較例3及び比較例4の測定試薬、及び、担体粒子表面のスルホン酸基量が0.1μmol/mを超え且つ0.7μmol/m未満であった担体粒子ラテックス(C1)と担体粒子表面のスルホン酸基量が1.0μmol/mを超えていた担体粒子ラテックス(C3)とを混合して作製した比較例5の担体粒子ラテックスを用いて調製した比較例5の測定試薬は、いずれもCRP濃度0.5〜130mg/dLの濃度範囲における、特に高濃度領域における吸光度変化量が小さく、測定感度が劣っていた。
【0097】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の測定試薬用担体粒子ラテックスは、低濃度領域から高濃度領域にいたる幅広い濃度範囲において、特に高濃度領域において、高い測定感度及び高い測定精度で抗原抗体反応を測定することが可能であり、長期安定性にも優れる測定試薬を得るに適するものであり、測定試薬作製用として好適に用いられる。
【0098】
又、本発明の測定試薬は、上記本発明の測定試薬用担体粒子ラテックスを用いて作製されるので、低濃度領域から高濃度領域にいたる幅広い濃度範囲において、特に高濃度領域において、高い測定感度及び高い測定精度で抗原抗体反応を測定することが可能であり、長期安定性にも優れるものであり、特に光学的測定法による抗原抗体反応の測定試薬として好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜実施例4の測定試薬の吸光度変化量を示すグラフである。
【図2】比較例1〜比較例5の測定試薬の吸光度変化量を示すグラフである。

Claims (7)

  1. フェニル基を有する重合性単量体及びフェニル基とスルホン酸塩とを有する重合性単量体を水系媒体中で共重合して得られる担体粒子ラテックスであって、互いに異なる平均粒子径を有し、担体粒子表面のスルホン酸基量が0.005〜0.1μmol/mである担体粒子(a)から構成される担体粒子ラテックス(A)及び担体粒子表面のスルホン酸基量が0.7〜1.0μmol/mである担体粒子(b)から構成される担体粒子ラテックス(B)を混合して用いることを特徴とする測定試薬用担体粒子ラテックス。
  2. 担体粒子(a)及び担体粒子(b)の平均粒子径が、0.01〜1.5μmであり、且つ、互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の測定試薬用担体粒子ラテックス。
  3. 担体粒子ラテックス(A)及び担体粒子ラテックス(B)の混合比率が、固形分換算の重量比で、(A)/(B)=1/10〜10/1であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の測定試薬用担体粒子ラテックス。
  4. フェニル基を有する重合性単量体がスチレンであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の測定試薬用担体粒子ラテックス。
  5. フェニル基とスルホン酸塩とを有する重合性単量体がスチレンスルホン酸塩であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の測定試薬用担体粒子ラテックス。
  6. 実質的に乳化剤を含有していないことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の測定試薬用担体粒子ラテックス。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の測定試薬用担体粒子ラテックスを構成する担体粒子に、被測定物質と特異的に結合する物質が担持されてなることを特徴とする測定試薬。
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