JPH0743383B2 - 診断試薬用担体ラテツクス - Google Patents

診断試薬用担体ラテツクス

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JPH0743383B2
JPH0743383B2 JP61210547A JP21054786A JPH0743383B2 JP H0743383 B2 JPH0743383 B2 JP H0743383B2 JP 61210547 A JP61210547 A JP 61210547A JP 21054786 A JP21054786 A JP 21054786A JP H0743383 B2 JPH0743383 B2 JP H0743383B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、抗原−抗体反応を利用した免疫血清学的診断
ラテツクスに用いることにより、非特異的凝集反応を著
しく低減させることのできる診断試薬用の担体ラテツク
スに関する。
〔従来の技術〕
抗原又は抗体などの血清学的活性物質を担体に感作さ
せ、血清中の抗体又は抗原を、ラテツクスの凝集反応と
して検出する免疫血清学的診断法は、その簡便性と迅速
性の故に、臨床検査の分野において多くの種類の抗原又
は抗体の検出試薬に適用されている。
この種の試薬において、抗原又は抗体を感作させる担体
としては例えばポリスチレン、スチレン−ブタジエン共
重合体ラテツクスなどの樹脂ラテツクスが一般に使用さ
れている。これらの樹脂ラテツクスに要求される性能と
しては、安定なエマルジヨンを形成すること、抗原又は
抗体を感作させる段階でラテツクスが凝集しないこと、
感作させた抗原又は抗体に対応する抗体又は抗原を反応
させ、ラテツクスの凝集を観察する際に陰性血清と接触
しても凝集しないこと、即ち非特異的凝集が起こらない
こと等が必須の条件とされる。
近年、免疫血清学的検査の分野において抗原又は抗体な
どの微量物質を定性的だけではなく定量的に測定するこ
とが重要な課題となつている。従来は感作ラテツクスを
ガラス板上で検体と混合し反応させ、その粒子の凝集状
態を肉眼で観察することによつて検査目的物質を定性的
に検出していたが、この凝集状態を肉眼で観察すること
の代りに、光学的測定装置、例えば分光光度計、濁度
計、準弾性光散乱測定装置などを用いて測定することに
よつて定量的に検出しようとする試みが多くなされてい
る。例えば感作ラテツクス中の粒子が凝集する現象を利
用して上澄液の濁度の減少率を測定する方法及び感作ラ
テツクス中の粒子の凝集による吸光度や散乱光の変化を
測定する方法などが知られている(CROATICA CHEMICAAC
TA,42,457(1970),Immunochemistry,12,349(1975),
特開昭53−24015号公報、同54−109494号公報など)。
これらの方法は感作ラテツクス中の粒子の免疫血清学的
凝集反応による反応系の吸光度、散乱光強度などの光学
的特性の変化を測定することによつて定量化しようとす
るものであるが、いずれの方法も凝集反応による反応系
の光学的特性の変化が小さいために精度、再現性などに
問題があつた。また、感作ラテツクスの光学的特性の経
時変化がしばしば起こり、実用上支障を生じるという問
題もあつた。
ラテツクスに抗原又は抗体を感作する方法には、物理的
な吸着によるものと化学的な結合によるものがある。一
般に用いられる物理的な吸着による方法では、ラテツク
スと抗原又は抗体との間に吸着解離平衡があるために、
測定中又は保存中に感作された抗原又は抗体がラテツク
スから解離するという欠点がある。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明者らは、従来から知られている診断試薬用担体ラ
テツクスに前述の解決すべき問題点があることを認識
し、抗原−抗体反応を利用した免疫血清学的ラテツクス
診断試験に用いる非特異的凝集反応の少ない診断試薬用
担体ラテツクスを提供することを目的とし、さらには特
に吸光度や散乱光強度などの光学的測定法に適した担体
ラテツクスを提供することを目的として鋭意検討したと
ころ、芳香族ビニル化合物がグラフト結合した、エチレ
ンとα,β−エチレン性不飽和カルボン酸との共重合体
および/またはその塩からなり、カルボキシル基を表面
に有する粒子の懸濁液からなるラテツクスがかかる目的
を達成することを見出し、本発明に到達した。
〔問題点を解決しようとする手段〕および〔作用〕 本発明の要旨とするところは、芳香族ビニル化合物がグ
ラフト結合した、エチレンとα,β−エチレン性不飽和
カルボン酸との共重合体および/またはその塩からな
り、カルボキシル基を表面に有する粒子の懸濁液からな
る診断試薬用担体ラテツクスにある。
次に、本発明の診断試薬用担体ラテツクスについて更に
詳細に説明する。
本発明の診断試薬用担体ラテツクスは、芳香族ビニル化
合物がグラフト結合した、エチレンとα,β−エチレン
性不飽和カルボン酸との共重合体および/またはその塩
からなり、カルボキシル基を表面に有する粒子の懸濁液
であり、さらに具体的にはエチレンとα,β−エチレン
性不飽和カルボン酸との共重合体および/またはその塩
の懸濁粒子に芳香族ビニル化合物をグラフト結合させる
ことによつて得られる。ここで、エチレンとα,β−エ
チレン性不飽和カルボン酸との共重合体またはその塩は
エチレン65ないし98重量%、好ましくは80ないし98重量
%とα,β−エチレン性不飽和カルボン酸および/また
はその塩2ないし35重量%、好ましくは2ないし20重量
%との共重合体である。α,β−エチレン性不飽和カル
ボン酸またはその塩としては、α,β−エチレン性不飽
和カルボン酸、その塩あるいはそれらの混合成分からな
るものであり、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタ
コン酸、マレイン酸、フマル酸などのα,β−エチレン
性不飽和カルボン酸、これらのナトリウム塩、カリウム
塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、亜鉛
塩などの金属塩などを例示することができるが、メタク
リル酸またはその塩が好ましい。本発明において、エチ
レンとα,β−エチレン性不飽和カルボン酸との共重合
体および/またはその塩は、エチレンとα,β−エチレ
ン性不飽和カルボン酸との共重合体の中和物または部分
中和物であつてもよい。また、該共重合体のメルトフロ
ーレート(190℃、2.16kgの荷重で測定)は通常50ない
し700g/10min、好ましくは100ないし600g/10minの範囲
である。また、芳香族ビニル化合物がグラフト結合させ
る前のエチレンとα,β−エチレン性不飽和カルボン酸
との共重合体および/またはその塩からなる粒子の懸濁
液中の該共重合体の粒子の平均粒子径は通常0.03ないし
1μm、好ましくは0.04ないし0.8μmの範囲である。
また、本発明の診断試薬用担体ラテツクスの懸濁液中の
粒子は、エチレンとα,β−エチレン性不飽和カルボン
酸との共重合体および/またはその塩に、さらに、芳香
族ビニル化合物がグラフト結合されたものからなるもの
である。この芳香族ビニル化合物がグラフト結合され
た、エチレンとα,β−エチレン性不飽和カルボン酸と
の共重合体および/またはその塩において、芳香族ビニ
ル化合物のグラフト割合は、エチレンとα,β−エチレ
ン性不飽和カルボン酸との共重合体および/またはその
塩100重量部に対して通常100ないし900重量部、好まし
くは200ないし800重量部の範囲である。芳香族ビニル化
合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、
ビニルトルエン、エチルスチレンなどを挙げることがで
きる。
また、本発明の診断試薬用担体ラテツクスの懸濁粒子の
平均粒子径は通常0.05〜1μm、好ましくは0.1ないし
0.3μmであり、その粒子径分布が狭いものが好まし
い。また、該診断試薬用担体ラテツクスの固形分含有率
は通常5ないし45重量%、好ましくは10ないし35重量%
の範囲である。また、該担体ラテツクスは一般にその後
の感作操作あるいは感作ラテツクスの分離に遠心分離操
作を行うことが多いため、該担体ラテツクスの懸濁粒子
の比重は通常1以上、好ましくは1.0ないし1.1の範囲で
ある。
本発明の診断試薬用担体ラテツクスの懸濁粒子は抗原又
は抗体などの免疫血清学的活性物質を化学的に結合し得
るカルボキシル基を表面に有しており、その量は該懸濁
粒子表面のカルボキシル基が通常0.01ないし0.3meq/g
(粒子)、好ましくは0.02ないし0.1meq/g(粒子)の範
囲である。カルボキシル基含有量が少なくなると非特異
的凝集を起こし易くなり、カルボキシル基の含有率が多
くなると、凝集反応性が低下し感度が低下するという傾
向がある。なお、該担体ラテツクスの懸濁液粒子表面に
存在するカルボキシル基の含有量はジヨンヘンによつて
開発された測定方法によつて求めることができる〔Jour
nal of Colloid and Interface Science,49,425(197
4)〕。
次に、本発明の診断試薬用担体ラテツクスの製法につい
て説明する。例えば、エチレンとα,β−エチレン性不
飽和カルボン酸との共重合体および/またはその塩の懸
濁液と該懸濁液中の固形分100重量部に対して100〜900
重量部の範囲の芳香族ビニル化合物を含む50〜100℃の
水中に、過硫酸塩水溶液を加え、1〜6時間で反応させ
て、エチレンとα,β−エチレン性不飽和カルボン酸と
の共重合体および/またはその塩に芳香族ビニル化合物
をグラフト重合させる方法を挙げることができる。過硫
酸塩としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸ナト
リウム、過硫酸カリウムを挙げることができ、その使用
量は芳香族ビニル化合物に対して、0.1〜5重量%が好
ましい。重合温度は50〜100℃が好ましく、特に70〜90
℃が好ましい。重合終了後に必要に応じて脱単量体のた
めの減圧蒸留もしくは濃度調整のための希釈又は濃縮を
行うことができる。
本発明の診断試薬用担体ラテツクスに抗原又は抗体など
の免疫血清学的活性物質を化学的に結合(感作)させる
方法としては従来から知られている方法を採用すること
ができる。
〔実施例〕 以下に実施例により、具体的に説明するが、本発明は、
下記実施例に限定されるものではない。なお、ラテツク
スに抗体を感作させる方法及び感作ラテツクスの凝集感
度の測定は以下の方法により行つた。
(1) ラテツクス感作法 抗AFPラテツクス試薬の調製 樹脂ラテツクスをリン酸緩衝液に懸濁させ、固形分濃度
5%の懸濁液を0.25ml調製する。この懸濁液に抗AFPウ
サギ血清より調製したIgG分画1mg、水溶性カルボジイミ
ド5mgを加え、pH5にし、氷冷下1時間撹拌し、1gGをラ
テツクス表面に化学結合させる。次に、グリシンを加
え、pH8にし、遠心分離処理(20,000rpm、30分間)後、
上澄液をとり、ヒト血清アルブミン3重量%を含むグリ
シン緩衝液(pH8.2)に再分散させ、固形分濃度0.1%の
感作ラテツクスとする。
(2) 凝集感度の測定法 上記感作ラテツクス50μをウシ血清アルブミン1重量
%を含むグリシン緩衝液(pH8.2)150μで希釈し、所
定の濃度のAFPを含む試料10μを加え撹拌混合したの
ち、室温で30分間反応させる。光散乱測定装置でこの混
合液の散乱強度を測定し、AFP濃度と散乱強度との関係
を得た。
実施例 1 エチレンとメタクリル酸との共重合体のナトリウム塩の
デイスパージヨンの製造 メタクリル酸10重量%を含むエチレン−メタクリル酸共
重合体100gをトルエン330g及びイソプロピルアルコール
220gからなる混合物中で75℃に加熱することにより溶解
した。この溶液をホモミキサー中で水酸化ナトリウム0.
78gを含む蒸留水250gに加え、10〜20分間撹拌を行い、
エチレン−メタクリル酸共重合体のナトリウム塩からな
る粒子を含む懸濁液を調製した。この懸濁液から減圧下
トルエン及びイソプロピルアルコールを除去し、固形分
濃度を30%に調整した。第1表に示すように、油層の重
合体濃度及びトルエンとイソプロピルアルコールの重量
比を変えることにより、粒子径の異なるデイスパージヨ
ンを得た。
エチレンとメタクリル酸との共重合体のナトリウム塩
と、スチレンとのグラフト重合 第2表に示した組成の前記に調製したエチレンとメタク
リル酸との共重合体のナトリウム塩を含むデイスパージ
ヨン、スチレン、蒸留水からなる混合物を80℃に加熱
し、過硫酸カリウムを含む蒸留水50gを加え、80℃で2
時間撹拌しグラフト重合を行い、エチレンとメタクリル
酸との共重合体のナトリウム塩に、スチレンをグラフト
結合してなる重合体からなる粒子を含む懸濁液(以下、
「重合体粒子ラテツクス」という)を得た。得られた重
合体粒子ラテツクスから減圧蒸留で未反応スチレンを除
去した。得られた重合体粒子の平均粒子径及び表面カル
ボキシル基の量を第2表に示す。
比較例 1 スチレンとメタクリル酸との共重合体からなる粒子のラ
テツクスの製造 蒸留水150gを撹拌しながら80℃にした。次にスチレン98
g及びメタクリル酸2gからなる混合物及び過硫酸カリウ
ム0.5gを含む蒸留水50gを同時に10時間かけて連続的に
添加した。添加終了後、さらに2時間撹拌しながら重合
反応を行つて、スチレンとメタクリル酸との共重合体か
らなる粒子を含む懸濁液からなるラテツクスを得た。得
られたラテツクスから減圧蒸留によって未反応単量体を
除去して担体ラテツクスを調製した。得られた担体ラテ
ツクス中のスチレンとメタクリル酸との共重合体からな
る粒子の平均粒子径は0.20μm、表面のカルボキシル基
の量は0.06meq/gであつた。
実施例1及び比較例1で得られた担体ラテツクスに所定
の方法に従つて抗AFP抗体を感作させ、感作ラテツクス
を得、所定の方法で凝集感度を測定した。結果を第1図
に示す。
第1図から実施例1の試料番号1〜5で得たラテツクス
を使用した感作ラテツクスはAFP濃度によつて散乱光強
度が大きく変化していることがわかる。これに対して比
較例1のラテツクスを使用した感作ラテツクスはAFP濃
度による散乱光強度の変化が小さいことがわかる。
〔発明の効果〕
本発明の診断試薬用担体ラテツクスを用いて調製された
診断試薬用担体ラテツクス、即ち感作ラテツクスは非特
異的凝集が少なくかつ特異的凝集の感度が高く、特に光
学的測定法による診断システムに最適である。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1の試料番号1〜5及び比較例1で得た
担体ラテツクスに抗AFP抗体を感作させた感作ラテツク
スの凝集反応に対する抗原濃度と散乱光強度との関係を
示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ビニル化合物がグラフト結合した、
    エチレンとα,β−エチレン性不飽和カルボン酸との共
    重合体および/またはその塩からなり、カルボキシル基
    を表面に有する粒子の懸濁液からなる診断試薬用担体ラ
    テックス。
JP61210547A 1986-09-09 1986-09-09 診断試薬用担体ラテツクス Expired - Lifetime JPH0743383B2 (ja)

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