JP3438962B2 - 免疫学的凝集反応試薬 - Google Patents
免疫学的凝集反応試薬Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なラテックス粒子
を用いた免疫学的凝集反応試薬に関する。更に詳しく
は、粒子表面の少なくとも一部が、側鎖に糖残基を有す
るビニル重合体で被覆された改質ラテックス粒子を用い
た免疫学的凝集反応試薬に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、臨床検査の分野では、各種疾患の
検査法としてラテックス粒子を用いた免疫学的検査法が
行われてきた。この方法はラテックス粒子を担体とし
て、抗原又は抗体を感作させ、血清中や血漿中の抗体又
は抗原が起こす抗原抗体反応によりラテックス粒子に凝
集反応を生じさせる。その結果得られる凝集の程度を検
出あるいは定量する方法である。例えば、リウマチ因子
(RF)、HBs抗原、HBs抗体、抗ストレプトリジ
ン−O(ASO)、C−反応性タンパク質(CRP)、
α−フェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CE
A)等の検査に使用されている。 【0003】疾患を正確に診断するためには被検体中に
含まれる微量の被測定物質を抗原抗体反応に基づき選択
的に、かつ正確に測定することが求められる。このため
特異性が高く、高感度な免疫学的凝集反応試薬が検査の
うえで必要とされてきた。 【0004】このような特異性が高く、高感度な免疫学
的凝集反応試薬を得ることを目的として、試薬の凝集反
応を促進させる添加物を試薬や反応系に添加して、反応
液中に共存させる方法が種々用いられている。例えば、
特開昭63−45066号公報には、リウマチ因子の測
定において、凝集促進剤としてポリエチレングリコール
又はポリビニルアルコールを用いる方法が記載され、特
開平2−173567号公報には、反応時にアルキル化
多糖類を添加する方法が開示されている。即ち、高分子
ポリマーを反応液中に添加する方法が行われてきた。 【0005】一般的に、免疫学的凝集反応試薬を用いて
被検体となる体液、例えば血液や尿等を測定すると、被
検体中に含まれる多様な夾雑成分や性状のため、目的の
抗原抗体反応とは無関係な非特異的な凝集反応を多々伴
うことが知られている。上記の様な添加物を使用した免
疫学的凝集反応試薬を用いた場合、目的の被測定物質に
対する抗原抗体反応を促進すると共に、非特異的な反応
までも増強してしまう場合が多い。その結果、被検体中
に被測定物質がなくても見かけ上の凝集、即ち、非特異
的な凝集が起こる。微量の被測定物質を測定したい場合
には、この非特異的な反応による凝集が真の抗原抗体反
応による凝集反応のノイズとなるため、ノイズの凝集を
超える凝集を起こす被測定物質量がなければ検出するこ
とができなかった。従って、検出感度が低くなり、かつ
ノイズを上回る凝集を示す多量の被測定物質を含む被検
体のみしか測定できなかった。 【0006】即ち、前記方法では試薬の凝集を強めるこ
とは可能であるが、非特異的な反応も増強されるため、
被検体中の微量な被測定物質を抗原抗体反応により、特
異的に、かつ高感度に測定するには充分な方法とはいえ
ない。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決するためのものであり、抗原抗体反応における非
特異的な凝集反応を抑制すると共に、測定感度が非常に
高い免疫学的凝集反応試薬を提供することを目的とす
る。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究を
行った結果、側鎖に糖残基を有する特定のビニル重合体
で表面を物理的吸着により処理したラテックス粒子に、
抗原又は抗体を感作した免疫学的凝集反応試薬は、非特
異的な凝集反応が抑えられ、かつ測定感度が非常に高く
なることを見出し、更に研究を続けて本発明を完成して
ここに提案するに至った。 【0009】即ち、本発明は、スチレンを構成単位とす
る単独重合体または共重合体からなるラテックス粒子表
面の少なくとも一部に、側鎖に糖残基を有する、主鎖が
スチレン誘導体に由来する構成単位からなるビニル重合
体(以下糖含有ビニル重合体という)を物理的吸着によ
り被覆させた改質ラテックス粒子に、抗原又は抗体を感
作させてなる感作ラテックス粒子を含んでなることを特
徴とする免疫学的凝集反応試薬である。 【0010】本発明で用いる糖含有ビニル重合体とは、
主鎖が4−アミノメチルスチレン等スチレン誘導体の単
重合体又は共重合体であり、その側鎖に糖残基を有する
化合物である。 【0011】ビニル重合体の側鎖の糖残基を構成する糖
としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖、多糖等を挙げる
ことができる。二糖以上の糖には同一構成糖よりなるホ
モオリゴ糖及びホモ多糖と異種の構成糖よりなるヘテロ
オリゴ糖及びヘテロ多糖があり、そのいずれもが使用可
能である。これら糖が主鎖の重合体と、エーテル結合、
エステル結合、アミド結合等の化学結合により結合して
糖残基を形成する。 【0012】糖残基を構成する糖を具体的に例示すれ
ば、リボース、キシロース、グルコース、ガラクトー
ス、マンノース、グルコサミン、グルクロン酸等の単糖
類、マルトース、ラクトース、メリビオース、セロビオ
ース、キシロビオース、イソマルトース等の二糖類、マ
ルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオ
ース、マルトヘプタオース等のオリゴ糖、及びデン粉、
デキストリン、プルラン等の多糖が挙げられるが、これ
らに特に限定されるものではない。また、これらの糖類
は単独で用いることもできるし、複数の糖類を組み合わ
せて混合物として使用することもできる。 【0013】主鎖がスチレン誘導体に由来する構成単位
からなる糖含有ビニル重合体を具体的に例示すれば、側
鎖に糖成分としてラクトース、グルコース、マルトース
あるいはマルトトリオースを有する4−アミノメチルス
チレンの重合体(日本化学会誌、1987年、第3号、
575頁)等が挙げられる。このように主鎖が4−アミ
ノメチルスチレン等のスチレン誘導体よりなる糖含有ビ
ニル重合体を用い、後述のスチレンを構成単位とする単
重合体又は共重合体からなるラテックス粒子を表面処理
することにより、物理的吸着効率を高くすることができ
る。 【0014】本発明に用いる糖含有ビニル重合体の合成
方法は、一般的に主として糖の1位の水酸基にビニル基
を導入したモノマーを公知の方法により合成した後、水
あるいは極性溶媒中でラジカル重合等で高分子化する方
法が用いられる。具体的に糖含有ビニル重合体の一つで
あるP−N−p−ビニルベンジル−D−ラクトンアミド
(以下PVLAと略す)の合成方法を例示すれば、次の
通りである。 【0015】ラクトースを含水メタノールに溶解し、ヨ
ウ素を加えた後、水酸化カリウムを攪拌しながら加え、
生じた沈殿を集めて、再結晶する。結晶を水に溶解し、
イオン交換カラムを用いて遊離の酸とした後、減圧濃縮
する。これと等モルの4−アミノメチルスチレン(p−
ビニルベンジルアミン)とをメタノール中で加熱還流
後、濃縮して、N−p−ビニルベンジルラクトンアミド
を得る。この糖残基を有するスチレンモノマーを水又は
ジメチルスルホキシド等の溶媒中で過硫酸カリウム又は
2,2'アゾビス(イソブチロニトリル)等の重合開始
剤を用いて重合体を得ることができる。得られる重合体
の分子量は、通常絶対粘度表示で0.5〜1.5(25
℃、g/ml、ジメチルスルフォキサイド中)である。 【0016】本発明で用いるラテックス粒子は、スチレ
ンを構成単位とする単独重合体または該構成単位を含む
共重合体からなるものであれば特に限定されず、乳化重
合又は乳化剤を用いない重合方法で合成された種々の上
記構成単位からなる合成樹脂ラテックスが使用でき、具
体例としてポリスチレン、スチレン−メタクリル酸共重
合体、スチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重
合体、スチレン−スチレンスルホン酸塩共重合体、アク
リロニトリルブタジエンスチレン共重合体等が挙げられ
る。これらのスチレンを構成単位とする単重合体及び共
重合体からなるラテックス粒子は、粒子径の均一な粒子
を再現性よく合成しやすいという観点からも好適であ
る。これら重合体粒子は通常、緩衝液や水等の媒体に分
散させ、ラテックス懸濁液として用いられる。ラテック
ス粒子の平均粒子径は、測定対象物質の濃度或は測定機
器等によって、0.01〜1μmのものが適宜選択して
使用される。 【0017】糖含有ビニル重合体によるラテックス粒子
表面の処理は、該糖含有ビニル重合体をラテックス粒子
へ物理的に吸着させることにより行う。この方法は、処
理操作の簡便性から有利である。ラテックス粒子の表面
処理方法を以下代表的な方法で説明する。 【0018】粉末状の糖含有ビニル重合体をラテックス
懸濁液へ攪拌しながら直接添加して粒子表面を処理する
か、又は一旦該糖含有ビニル重合体を緩衝液等に溶解も
しくは懸濁して溶液又は懸濁液とし、これら溶液又は懸
濁液をラテックス懸濁液と攪拌しながら混合して表面処
理を行うことができる。 【0019】ラテックス粒子表面を処理する温度は、特
に限定されないが操作の簡便性の点で室温付近が好適で
ある。処理時間は数分〜数時間であり、普通、1時間以
内で充分である。 【0020】ラテックス粒子の表面処理を行う該糖含有
ビニル重合体の使用量は、免疫学的凝集反応試薬におい
て本発明の効果である非特異的な凝集反応の抑制効果、
感度の向上効果を有する濃度であれば特に限定されるも
のではないが、ラテックス粒子10mg当り、特に5μ
g〜35μgが好適である。 【0021】このようにしてスチレンを構成単位とする
単独重合体または共重合体からなるラテックス粒子表面
の少なくとも一部に、側鎖に糖残基を有する、主鎖がス
チレン誘導体に由来する構成単位からなるビニル重合体
を物理的吸着により被覆させてなる改質ラテックス粒子
を得ることができる。 【0022】ラテックス粒子表面上に吸着又は結合した
該糖含有ビニル重合体の量は、先ず表面処理が行われた
ラテックス懸濁液を遠心分離して改質ラテックス粒子を
沈渣として上清と分離し、沈渣又は上清の糖含量を公知
の糖検出方法で測定すれば定量できる。例えば、上清か
らラテックス粒子表面上の糖含有ビニル重合体の量を知
るためには、フェノール−硫酸法を用いて上清中の糖量
を測定してその糖量から該糖含有ビニル重合体の量を算
出し、表面処理に用いた該糖含有ビニル重合体量から差
し引けばよい。また、ラテックス粒子表面上の該糖含有
ビニル重合体の量を知るための別の方法として、塩酸や
トリフルオロ酢酸等を用いた加水分解によって糖残基を
遊離させた後、公知の糖検出方法で糖の量を測定し、該
糖含有ビニル重合体の量を算出することもできる。 【0023】本発明に用いる抗原又は抗体は公知のもの
が使用可能であり、抗原抗体反応を起こしうる物質であ
れば特に限定されない。 【0024】抗原としてはタンパク質、脂質あるいは糖
等が挙げられる。例えば、各種ウイルスやバクテリアを
構成するタンパク質、血液中に存在する成分等が挙げら
れる。具体的には肝炎ウイルス構成のタンパク質、エイ
ズウイルスの構成タンパク質、溶連菌のストレプトリジ
ン−O、梅毒病原体の構成タンパク質や脂質等が例示さ
れる。 【0025】抗体も特に限定されず、被測定物質と抗原
抗体反応を起こす抗体であれば使用可能である。例え
ば、ヤギ、ウサギあるいはヒツジ等の動物に上記抗原等
を免疫して得られる抗血清から精製した免疫グロブリン
(IgG)等、あるいは細胞工学的に造られた抗体産生
細胞より得られる抗体等が挙げられる。具体的に例示す
れば、ヤギにヒト由来のα−フェトプロテイン(以下と
AFPいう)を免疫して得られた抗血清をイオン交換カ
ラムを用いて精製した抗ヒトAFP抗体(IgG)が挙
げられる。更に例示すれば、抗ヒトフィブリノーゲン抗
体、抗ヒトC−反応性タンパク抗体、抗ヒトフェリチン
抗体、抗HBウイルス抗体、抗HCV抗体、抗HIV抗
体等が挙げられる。また、非特異反応を防ぐために、抗
血清から精製した免疫グロブリン(IgG)を酵素処理
して断片化した抗体(F(ab')2)を使用することも可
能である。 【0026】糖含有ビニル重合体で処理した改質ラテッ
クス粒子への抗原又は抗体の感作方法は、通常のラテッ
クス粒子の場合と同様に公知の方法により、抗原又は抗
体を物理的に吸着させるかあるいは化学的に結合させる
ことにより感作することができる。 【0027】このようにして得られた感作ラテックス粒
子を用いて、公知の方法により免疫学的凝集反応試薬を
調製することが可能である。一般的に得られた感作ラテ
ックス粒子を緩衝液等の分散媒中に分散させ、得られた
感作ラテックス懸濁液を免疫学的凝集反応試薬として用
いる。試薬形態としては、上記感作ラテックス懸濁液を
単独で用いる1試薬系、又は被検体を希釈する緩衝液等
と感作ラテックス懸濁液とを組み合わせて用いる2試薬
系が免疫学的凝集反応試薬として用いられ、特に2試薬
系が好適である。 【0028】具体的に2試薬系の免疫学的凝集反応試薬
を例示すれば、被検体を希釈する第1試薬には1%ポリ
エチレングリコールと0.1M塩化ナトリウムを含むグ
リシルグリシン緩衝液pH8.0等が用いられ、第2試
薬として0.25%の該表面処理を施した感作ラテック
ス粒子を分散した0.1M塩化ナトリウムを含むグリシ
ルグリシン緩衝液pH8.0等を組み合わせた形態で使
用される。 【0029】本発明により得られる免疫学的凝集反応試
薬は各種疾患の検査や診断に利用することが可能であ
る。具体的に例示すれば、リウマチ因子(RF)、抗ス
トレプトリジン−O(ASO)、C−反応性タンパク質
(CRP)、フェリチン、HBs抗原、HBs抗体、H
CV抗体、HTLVI、II、IIIに対する抗体、α−フェ
トプロテイン(以下AFPという)、癌胎児性抗原(C
EA)、ヒトフィブリノーゲン、梅毒トレポネーマ抗
体、梅毒脂質抗原に対する抗体等の検査が挙げられる。 【0030】本発明による該免疫学的凝集反応試薬を用
いて被検体中の被測定物質の定量を行う場合は、被検体
と抗原抗体反応を行い、生じた凝集の度合を観察し、既
知濃度の被測定物質の凝集と比較したり、凝集した粒子
の数と凝集度の分布を調べたりすることが可能であれ
ば、なんら制限されるものではない。これらの測定は目
視でも、光学機器を用いても可能であるが、精度の面で
光学機器が好適に用いられる。 【0031】一般的には、抗原抗体反応により生じた粒
子凝集の度合を光学機器を用いて光学的に検出し、既知
濃度の被測定物質の凝集と比較する方法が好適に用いら
れる。具体的には、まず既知濃度の被測定物質を2濃度
以上、好ましくは被測定物質の濃度ゼロ(ブランク)を
含めて測定し、得られた光学密度変化量と既知濃度の関
係から検量線を作成する。次に被検体を測定し、その光
学密度変化量から検量線を利用して濃度を求め、その値
を被検体中の被測定物質濃度とする。ラテックス粒子の
凝集の度合を光学的に検出する方法における測定は散乱
光強度、吸光度または透過光強度を測定する光学機器で
行われる。測定波長は300〜2400nmの範囲から
適切な波長が選択される。定量方法については公知の方
法に従い、用いるラテックス粒子の大きさや濃度の選
択、反応時間の設定により、散乱光強度、吸光度または
透過光強度の増加もしくは減少を測定することにより行
われる。又これら方法を併用することも可能である。 【0032】本発明における該免疫凝集反応試薬の反応
条件には通常の条件が採用され、反応時の温度は10〜
50℃、特に20〜40℃が好適である。反応時間は適
宜決定すればよい。 【0033】該免疫学的凝集反応試薬には凝集反応の速
度を促進すること等を目的としてポリエチレングリコー
ルやポリビニルピロリドン等を予め配合しておくか、又
は測定時に添加することが可能である。また、測定系の
特異性を向上させるためにエチレンジアミン四酢酸塩や
塩化コリン等を該免疫学的凝集反応試薬に予め配合して
おくか、又は測定時に添加することもできる。 【0034】 【発明の効果】本発明の免疫学的凝集反応試薬は、非特
異的な凝集反応が抑制され、測定感度が非常に高くな
り、従来の試薬に比べてはるかに的確な診断を可能とす
る効果を有する。 【0035】 【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に記載の範囲に限
定されるものではない。 【0036】実施例1 (1)ラテックス粒子の表面処理 平均粒子径0.12μmのポリスチレン粒子を20mM
グリシン緩衝液pH8.6(以下GBと略す)に2%
(w/v)濃度で分散させたラテックス懸濁液を0.5
ml調製した。糖含有ビニル重合体としてPVLA(デ
ナセルPVLA、ナガセ化成工業(株))を5、12.
5、25あるいは35μg含むGB0.5mlを、それ
ぞれ前記ラテックス懸濁液0.5mlと混合し、37℃
で30分間振盪(振幅10cm、40回/分)した。こ
ようにして表面処理濃度の異なる4種類のPVLA処理
された改質ラテックス液を得た。 【0037】(2)改質ラテックスの糖吸着量 同様の操作により、40mgのラテックス粒子を懸濁し
たGB2.0mlと140μgのPVLAを含むGB
2.0mlを混合して、PVLA処理ラテックス懸濁液
4.0mlを得た。次に遠心分離(15000rpm、
30分)によって得た上清3mlを減圧遠心濃縮機で
0.5mlまで濃縮した。その濃縮液中の糖濃度をフェ
ノール−硫酸法で定量し、PVLA量に換算した結果、
検出下限(20μg/ml)以下であった。即ち、前記
遠心上清中のPVLA濃度は、3.3μg/ml以下で
あった。一方、ラテックス粒子を含まないGBを用いた
ブランク試験では、GB中のPVLA濃度は36μg/
mlであった。従って、表面処理に用いたPVLAの大
部分(少なくとも90%以上)がラテックス粒子表面に
吸着することが確認できた。 【0038】(3)免疫学的凝集反応試薬の調製 それぞれのPVLA処理ラテックス懸濁液1mlにヤギ
由来の抗ヒトAFP抗体(IgG精製品)を1mg/m
lで含むGB1mlを加えて混合した。37℃で2時間
振盪した後、10mg/mlのウシ血清アルブミンを含
むGB0.5mlを加えて混合し、さらに2時間、37
℃で振盪した。この混合液を遠心分離によって上清を除
き、PVLA処理された改質ラテックス粒子に抗ヒトA
FP抗体を感作した感作ラテックス粒子を沈渣として得
た。沈渣を4mlの0.1M塩化ナトリウムを含む0.
1Mグリシルグリシン緩衝液pH8.0(以下GBSと
略す)に分散してラテックス試薬(AFP試薬)を調製
した。 【0039】(4)測定法 1%ポリエチエングリコールを含むGBS300μlに
既知濃度の被検体20μlをガラスセル中で加えて攪拌
した後、37℃で約5分間静置した。次いで100μl
のラテックス試薬を添加攪拌し、測定開始後、30秒と
200秒の波長660nmにおける光学密度変化量の差
(ΔOD660)を測定した。測定は東芝TBA−30R
形自動分析装置(東芝メディカル製)を用いて行った。 【0040】以上のようにしてPVLA処理量の異なる
改質ラテックス粒子を用いたAFP試薬を調製した。既
知濃度100、250、500ng/mlのAFPを含
むAFP標準液を測定して、調製した各々の試薬の測定
感度を調べた結果を表1に示す。 【0041】比較例1 実施例1−(1)でPVLAを含まないGBを用いた以
外は実施例1と同様の操作を行った結果を表1に示す。 【0042】比較例2 平均粒子径0.12μmのポリスチレン粒子をGBに2
%(w/v)濃度で分散させたラテックス懸濁液を1m
l調製した。この懸濁液にヤギ由来の抗ヒトAFP抗体
(IgG精製品)を1mg/mlで含むGB1mlを加
えて混合した後、37℃で2時間振盪して抗ヒトAFP
抗体をポリスチレン粒子に感作した。次にPVLA25
μgを含むGB0.5mlを加えて混合し、37℃で3
0分間振盪(振幅10cm、40回/分)した後、10
mg/mlのウシ血清アルブミンを含むGB0.5ml
を加えて混合し、さらに2時間、37℃で振盪した。こ
の混合液を遠心分離によって上清を除き、PVLA処理
を行った抗ヒトAFP抗体を感作した感作ラテックス粒
子を沈渣として得た。沈渣を4mlのGBSに分散して
ラテックス試薬を調製した。 【0043】実施例1と同様にAFP標準液を測定して
調製した試薬の測定感度を調べた結果を表1に併せて示
す。 【0044】 【表1】 【0045】表1の結果から明かな如く、本発明に係る
糖含有ビニル重合体であるPVLAを用いて表面処理を
行った改質ラテックス粒子を使用した試薬は、PVLA
処理濃度の広い範囲にわたって測定感度が著しく向上す
ることが判る。 【0046】実施例2 PVLA25μgを含むGB0.5mlを用いた以外は
実施例1と同様の操作でAFP試薬を調製した。既知濃
度10、30ng/mlのAFPを含む標準液と0.1
5MNaCl、2.5mMCaCl2を含む50mMT
ris・HCl緩衝液pH8.0をAFPゼロ濃度とし
てそれぞれ5回ずつ測定し、測定値の変動幅を調べた。
結果を表2に示す。 【0047】比較例3 比較例1と同様にして調製したAFP試薬を用いて、実
施例2と同様に測定値の変動幅を調べた。結果を表2に
併せて示す。 【0048】 【表2】【0049】表2の結果から明かな如く、本発明に係る
糖含有ビニル重合体であるPVLAを用いて表面処理を
行った改質ラテックス粒子を使用した試薬は非特異的な
凝集反応が抑制され、変動幅が小さくなることが判る。
即ち、凝集反応のノイズが小さくなることによって検出
感度が著しく高くなることが示された。同時に測定感度
が向上することが判る。
を用いた免疫学的凝集反応試薬に関する。更に詳しく
は、粒子表面の少なくとも一部が、側鎖に糖残基を有す
るビニル重合体で被覆された改質ラテックス粒子を用い
た免疫学的凝集反応試薬に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、臨床検査の分野では、各種疾患の
検査法としてラテックス粒子を用いた免疫学的検査法が
行われてきた。この方法はラテックス粒子を担体とし
て、抗原又は抗体を感作させ、血清中や血漿中の抗体又
は抗原が起こす抗原抗体反応によりラテックス粒子に凝
集反応を生じさせる。その結果得られる凝集の程度を検
出あるいは定量する方法である。例えば、リウマチ因子
(RF)、HBs抗原、HBs抗体、抗ストレプトリジ
ン−O(ASO)、C−反応性タンパク質(CRP)、
α−フェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CE
A)等の検査に使用されている。 【0003】疾患を正確に診断するためには被検体中に
含まれる微量の被測定物質を抗原抗体反応に基づき選択
的に、かつ正確に測定することが求められる。このため
特異性が高く、高感度な免疫学的凝集反応試薬が検査の
うえで必要とされてきた。 【0004】このような特異性が高く、高感度な免疫学
的凝集反応試薬を得ることを目的として、試薬の凝集反
応を促進させる添加物を試薬や反応系に添加して、反応
液中に共存させる方法が種々用いられている。例えば、
特開昭63−45066号公報には、リウマチ因子の測
定において、凝集促進剤としてポリエチレングリコール
又はポリビニルアルコールを用いる方法が記載され、特
開平2−173567号公報には、反応時にアルキル化
多糖類を添加する方法が開示されている。即ち、高分子
ポリマーを反応液中に添加する方法が行われてきた。 【0005】一般的に、免疫学的凝集反応試薬を用いて
被検体となる体液、例えば血液や尿等を測定すると、被
検体中に含まれる多様な夾雑成分や性状のため、目的の
抗原抗体反応とは無関係な非特異的な凝集反応を多々伴
うことが知られている。上記の様な添加物を使用した免
疫学的凝集反応試薬を用いた場合、目的の被測定物質に
対する抗原抗体反応を促進すると共に、非特異的な反応
までも増強してしまう場合が多い。その結果、被検体中
に被測定物質がなくても見かけ上の凝集、即ち、非特異
的な凝集が起こる。微量の被測定物質を測定したい場合
には、この非特異的な反応による凝集が真の抗原抗体反
応による凝集反応のノイズとなるため、ノイズの凝集を
超える凝集を起こす被測定物質量がなければ検出するこ
とができなかった。従って、検出感度が低くなり、かつ
ノイズを上回る凝集を示す多量の被測定物質を含む被検
体のみしか測定できなかった。 【0006】即ち、前記方法では試薬の凝集を強めるこ
とは可能であるが、非特異的な反応も増強されるため、
被検体中の微量な被測定物質を抗原抗体反応により、特
異的に、かつ高感度に測定するには充分な方法とはいえ
ない。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決するためのものであり、抗原抗体反応における非
特異的な凝集反応を抑制すると共に、測定感度が非常に
高い免疫学的凝集反応試薬を提供することを目的とす
る。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究を
行った結果、側鎖に糖残基を有する特定のビニル重合体
で表面を物理的吸着により処理したラテックス粒子に、
抗原又は抗体を感作した免疫学的凝集反応試薬は、非特
異的な凝集反応が抑えられ、かつ測定感度が非常に高く
なることを見出し、更に研究を続けて本発明を完成して
ここに提案するに至った。 【0009】即ち、本発明は、スチレンを構成単位とす
る単独重合体または共重合体からなるラテックス粒子表
面の少なくとも一部に、側鎖に糖残基を有する、主鎖が
スチレン誘導体に由来する構成単位からなるビニル重合
体(以下糖含有ビニル重合体という)を物理的吸着によ
り被覆させた改質ラテックス粒子に、抗原又は抗体を感
作させてなる感作ラテックス粒子を含んでなることを特
徴とする免疫学的凝集反応試薬である。 【0010】本発明で用いる糖含有ビニル重合体とは、
主鎖が4−アミノメチルスチレン等スチレン誘導体の単
重合体又は共重合体であり、その側鎖に糖残基を有する
化合物である。 【0011】ビニル重合体の側鎖の糖残基を構成する糖
としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖、多糖等を挙げる
ことができる。二糖以上の糖には同一構成糖よりなるホ
モオリゴ糖及びホモ多糖と異種の構成糖よりなるヘテロ
オリゴ糖及びヘテロ多糖があり、そのいずれもが使用可
能である。これら糖が主鎖の重合体と、エーテル結合、
エステル結合、アミド結合等の化学結合により結合して
糖残基を形成する。 【0012】糖残基を構成する糖を具体的に例示すれ
ば、リボース、キシロース、グルコース、ガラクトー
ス、マンノース、グルコサミン、グルクロン酸等の単糖
類、マルトース、ラクトース、メリビオース、セロビオ
ース、キシロビオース、イソマルトース等の二糖類、マ
ルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオ
ース、マルトヘプタオース等のオリゴ糖、及びデン粉、
デキストリン、プルラン等の多糖が挙げられるが、これ
らに特に限定されるものではない。また、これらの糖類
は単独で用いることもできるし、複数の糖類を組み合わ
せて混合物として使用することもできる。 【0013】主鎖がスチレン誘導体に由来する構成単位
からなる糖含有ビニル重合体を具体的に例示すれば、側
鎖に糖成分としてラクトース、グルコース、マルトース
あるいはマルトトリオースを有する4−アミノメチルス
チレンの重合体(日本化学会誌、1987年、第3号、
575頁)等が挙げられる。このように主鎖が4−アミ
ノメチルスチレン等のスチレン誘導体よりなる糖含有ビ
ニル重合体を用い、後述のスチレンを構成単位とする単
重合体又は共重合体からなるラテックス粒子を表面処理
することにより、物理的吸着効率を高くすることができ
る。 【0014】本発明に用いる糖含有ビニル重合体の合成
方法は、一般的に主として糖の1位の水酸基にビニル基
を導入したモノマーを公知の方法により合成した後、水
あるいは極性溶媒中でラジカル重合等で高分子化する方
法が用いられる。具体的に糖含有ビニル重合体の一つで
あるP−N−p−ビニルベンジル−D−ラクトンアミド
(以下PVLAと略す)の合成方法を例示すれば、次の
通りである。 【0015】ラクトースを含水メタノールに溶解し、ヨ
ウ素を加えた後、水酸化カリウムを攪拌しながら加え、
生じた沈殿を集めて、再結晶する。結晶を水に溶解し、
イオン交換カラムを用いて遊離の酸とした後、減圧濃縮
する。これと等モルの4−アミノメチルスチレン(p−
ビニルベンジルアミン)とをメタノール中で加熱還流
後、濃縮して、N−p−ビニルベンジルラクトンアミド
を得る。この糖残基を有するスチレンモノマーを水又は
ジメチルスルホキシド等の溶媒中で過硫酸カリウム又は
2,2'アゾビス(イソブチロニトリル)等の重合開始
剤を用いて重合体を得ることができる。得られる重合体
の分子量は、通常絶対粘度表示で0.5〜1.5(25
℃、g/ml、ジメチルスルフォキサイド中)である。 【0016】本発明で用いるラテックス粒子は、スチレ
ンを構成単位とする単独重合体または該構成単位を含む
共重合体からなるものであれば特に限定されず、乳化重
合又は乳化剤を用いない重合方法で合成された種々の上
記構成単位からなる合成樹脂ラテックスが使用でき、具
体例としてポリスチレン、スチレン−メタクリル酸共重
合体、スチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重
合体、スチレン−スチレンスルホン酸塩共重合体、アク
リロニトリルブタジエンスチレン共重合体等が挙げられ
る。これらのスチレンを構成単位とする単重合体及び共
重合体からなるラテックス粒子は、粒子径の均一な粒子
を再現性よく合成しやすいという観点からも好適であ
る。これら重合体粒子は通常、緩衝液や水等の媒体に分
散させ、ラテックス懸濁液として用いられる。ラテック
ス粒子の平均粒子径は、測定対象物質の濃度或は測定機
器等によって、0.01〜1μmのものが適宜選択して
使用される。 【0017】糖含有ビニル重合体によるラテックス粒子
表面の処理は、該糖含有ビニル重合体をラテックス粒子
へ物理的に吸着させることにより行う。この方法は、処
理操作の簡便性から有利である。ラテックス粒子の表面
処理方法を以下代表的な方法で説明する。 【0018】粉末状の糖含有ビニル重合体をラテックス
懸濁液へ攪拌しながら直接添加して粒子表面を処理する
か、又は一旦該糖含有ビニル重合体を緩衝液等に溶解も
しくは懸濁して溶液又は懸濁液とし、これら溶液又は懸
濁液をラテックス懸濁液と攪拌しながら混合して表面処
理を行うことができる。 【0019】ラテックス粒子表面を処理する温度は、特
に限定されないが操作の簡便性の点で室温付近が好適で
ある。処理時間は数分〜数時間であり、普通、1時間以
内で充分である。 【0020】ラテックス粒子の表面処理を行う該糖含有
ビニル重合体の使用量は、免疫学的凝集反応試薬におい
て本発明の効果である非特異的な凝集反応の抑制効果、
感度の向上効果を有する濃度であれば特に限定されるも
のではないが、ラテックス粒子10mg当り、特に5μ
g〜35μgが好適である。 【0021】このようにしてスチレンを構成単位とする
単独重合体または共重合体からなるラテックス粒子表面
の少なくとも一部に、側鎖に糖残基を有する、主鎖がス
チレン誘導体に由来する構成単位からなるビニル重合体
を物理的吸着により被覆させてなる改質ラテックス粒子
を得ることができる。 【0022】ラテックス粒子表面上に吸着又は結合した
該糖含有ビニル重合体の量は、先ず表面処理が行われた
ラテックス懸濁液を遠心分離して改質ラテックス粒子を
沈渣として上清と分離し、沈渣又は上清の糖含量を公知
の糖検出方法で測定すれば定量できる。例えば、上清か
らラテックス粒子表面上の糖含有ビニル重合体の量を知
るためには、フェノール−硫酸法を用いて上清中の糖量
を測定してその糖量から該糖含有ビニル重合体の量を算
出し、表面処理に用いた該糖含有ビニル重合体量から差
し引けばよい。また、ラテックス粒子表面上の該糖含有
ビニル重合体の量を知るための別の方法として、塩酸や
トリフルオロ酢酸等を用いた加水分解によって糖残基を
遊離させた後、公知の糖検出方法で糖の量を測定し、該
糖含有ビニル重合体の量を算出することもできる。 【0023】本発明に用いる抗原又は抗体は公知のもの
が使用可能であり、抗原抗体反応を起こしうる物質であ
れば特に限定されない。 【0024】抗原としてはタンパク質、脂質あるいは糖
等が挙げられる。例えば、各種ウイルスやバクテリアを
構成するタンパク質、血液中に存在する成分等が挙げら
れる。具体的には肝炎ウイルス構成のタンパク質、エイ
ズウイルスの構成タンパク質、溶連菌のストレプトリジ
ン−O、梅毒病原体の構成タンパク質や脂質等が例示さ
れる。 【0025】抗体も特に限定されず、被測定物質と抗原
抗体反応を起こす抗体であれば使用可能である。例え
ば、ヤギ、ウサギあるいはヒツジ等の動物に上記抗原等
を免疫して得られる抗血清から精製した免疫グロブリン
(IgG)等、あるいは細胞工学的に造られた抗体産生
細胞より得られる抗体等が挙げられる。具体的に例示す
れば、ヤギにヒト由来のα−フェトプロテイン(以下と
AFPいう)を免疫して得られた抗血清をイオン交換カ
ラムを用いて精製した抗ヒトAFP抗体(IgG)が挙
げられる。更に例示すれば、抗ヒトフィブリノーゲン抗
体、抗ヒトC−反応性タンパク抗体、抗ヒトフェリチン
抗体、抗HBウイルス抗体、抗HCV抗体、抗HIV抗
体等が挙げられる。また、非特異反応を防ぐために、抗
血清から精製した免疫グロブリン(IgG)を酵素処理
して断片化した抗体(F(ab')2)を使用することも可
能である。 【0026】糖含有ビニル重合体で処理した改質ラテッ
クス粒子への抗原又は抗体の感作方法は、通常のラテッ
クス粒子の場合と同様に公知の方法により、抗原又は抗
体を物理的に吸着させるかあるいは化学的に結合させる
ことにより感作することができる。 【0027】このようにして得られた感作ラテックス粒
子を用いて、公知の方法により免疫学的凝集反応試薬を
調製することが可能である。一般的に得られた感作ラテ
ックス粒子を緩衝液等の分散媒中に分散させ、得られた
感作ラテックス懸濁液を免疫学的凝集反応試薬として用
いる。試薬形態としては、上記感作ラテックス懸濁液を
単独で用いる1試薬系、又は被検体を希釈する緩衝液等
と感作ラテックス懸濁液とを組み合わせて用いる2試薬
系が免疫学的凝集反応試薬として用いられ、特に2試薬
系が好適である。 【0028】具体的に2試薬系の免疫学的凝集反応試薬
を例示すれば、被検体を希釈する第1試薬には1%ポリ
エチレングリコールと0.1M塩化ナトリウムを含むグ
リシルグリシン緩衝液pH8.0等が用いられ、第2試
薬として0.25%の該表面処理を施した感作ラテック
ス粒子を分散した0.1M塩化ナトリウムを含むグリシ
ルグリシン緩衝液pH8.0等を組み合わせた形態で使
用される。 【0029】本発明により得られる免疫学的凝集反応試
薬は各種疾患の検査や診断に利用することが可能であ
る。具体的に例示すれば、リウマチ因子(RF)、抗ス
トレプトリジン−O(ASO)、C−反応性タンパク質
(CRP)、フェリチン、HBs抗原、HBs抗体、H
CV抗体、HTLVI、II、IIIに対する抗体、α−フェ
トプロテイン(以下AFPという)、癌胎児性抗原(C
EA)、ヒトフィブリノーゲン、梅毒トレポネーマ抗
体、梅毒脂質抗原に対する抗体等の検査が挙げられる。 【0030】本発明による該免疫学的凝集反応試薬を用
いて被検体中の被測定物質の定量を行う場合は、被検体
と抗原抗体反応を行い、生じた凝集の度合を観察し、既
知濃度の被測定物質の凝集と比較したり、凝集した粒子
の数と凝集度の分布を調べたりすることが可能であれ
ば、なんら制限されるものではない。これらの測定は目
視でも、光学機器を用いても可能であるが、精度の面で
光学機器が好適に用いられる。 【0031】一般的には、抗原抗体反応により生じた粒
子凝集の度合を光学機器を用いて光学的に検出し、既知
濃度の被測定物質の凝集と比較する方法が好適に用いら
れる。具体的には、まず既知濃度の被測定物質を2濃度
以上、好ましくは被測定物質の濃度ゼロ(ブランク)を
含めて測定し、得られた光学密度変化量と既知濃度の関
係から検量線を作成する。次に被検体を測定し、その光
学密度変化量から検量線を利用して濃度を求め、その値
を被検体中の被測定物質濃度とする。ラテックス粒子の
凝集の度合を光学的に検出する方法における測定は散乱
光強度、吸光度または透過光強度を測定する光学機器で
行われる。測定波長は300〜2400nmの範囲から
適切な波長が選択される。定量方法については公知の方
法に従い、用いるラテックス粒子の大きさや濃度の選
択、反応時間の設定により、散乱光強度、吸光度または
透過光強度の増加もしくは減少を測定することにより行
われる。又これら方法を併用することも可能である。 【0032】本発明における該免疫凝集反応試薬の反応
条件には通常の条件が採用され、反応時の温度は10〜
50℃、特に20〜40℃が好適である。反応時間は適
宜決定すればよい。 【0033】該免疫学的凝集反応試薬には凝集反応の速
度を促進すること等を目的としてポリエチレングリコー
ルやポリビニルピロリドン等を予め配合しておくか、又
は測定時に添加することが可能である。また、測定系の
特異性を向上させるためにエチレンジアミン四酢酸塩や
塩化コリン等を該免疫学的凝集反応試薬に予め配合して
おくか、又は測定時に添加することもできる。 【0034】 【発明の効果】本発明の免疫学的凝集反応試薬は、非特
異的な凝集反応が抑制され、測定感度が非常に高くな
り、従来の試薬に比べてはるかに的確な診断を可能とす
る効果を有する。 【0035】 【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に記載の範囲に限
定されるものではない。 【0036】実施例1 (1)ラテックス粒子の表面処理 平均粒子径0.12μmのポリスチレン粒子を20mM
グリシン緩衝液pH8.6(以下GBと略す)に2%
(w/v)濃度で分散させたラテックス懸濁液を0.5
ml調製した。糖含有ビニル重合体としてPVLA(デ
ナセルPVLA、ナガセ化成工業(株))を5、12.
5、25あるいは35μg含むGB0.5mlを、それ
ぞれ前記ラテックス懸濁液0.5mlと混合し、37℃
で30分間振盪(振幅10cm、40回/分)した。こ
ようにして表面処理濃度の異なる4種類のPVLA処理
された改質ラテックス液を得た。 【0037】(2)改質ラテックスの糖吸着量 同様の操作により、40mgのラテックス粒子を懸濁し
たGB2.0mlと140μgのPVLAを含むGB
2.0mlを混合して、PVLA処理ラテックス懸濁液
4.0mlを得た。次に遠心分離(15000rpm、
30分)によって得た上清3mlを減圧遠心濃縮機で
0.5mlまで濃縮した。その濃縮液中の糖濃度をフェ
ノール−硫酸法で定量し、PVLA量に換算した結果、
検出下限(20μg/ml)以下であった。即ち、前記
遠心上清中のPVLA濃度は、3.3μg/ml以下で
あった。一方、ラテックス粒子を含まないGBを用いた
ブランク試験では、GB中のPVLA濃度は36μg/
mlであった。従って、表面処理に用いたPVLAの大
部分(少なくとも90%以上)がラテックス粒子表面に
吸着することが確認できた。 【0038】(3)免疫学的凝集反応試薬の調製 それぞれのPVLA処理ラテックス懸濁液1mlにヤギ
由来の抗ヒトAFP抗体(IgG精製品)を1mg/m
lで含むGB1mlを加えて混合した。37℃で2時間
振盪した後、10mg/mlのウシ血清アルブミンを含
むGB0.5mlを加えて混合し、さらに2時間、37
℃で振盪した。この混合液を遠心分離によって上清を除
き、PVLA処理された改質ラテックス粒子に抗ヒトA
FP抗体を感作した感作ラテックス粒子を沈渣として得
た。沈渣を4mlの0.1M塩化ナトリウムを含む0.
1Mグリシルグリシン緩衝液pH8.0(以下GBSと
略す)に分散してラテックス試薬(AFP試薬)を調製
した。 【0039】(4)測定法 1%ポリエチエングリコールを含むGBS300μlに
既知濃度の被検体20μlをガラスセル中で加えて攪拌
した後、37℃で約5分間静置した。次いで100μl
のラテックス試薬を添加攪拌し、測定開始後、30秒と
200秒の波長660nmにおける光学密度変化量の差
(ΔOD660)を測定した。測定は東芝TBA−30R
形自動分析装置(東芝メディカル製)を用いて行った。 【0040】以上のようにしてPVLA処理量の異なる
改質ラテックス粒子を用いたAFP試薬を調製した。既
知濃度100、250、500ng/mlのAFPを含
むAFP標準液を測定して、調製した各々の試薬の測定
感度を調べた結果を表1に示す。 【0041】比較例1 実施例1−(1)でPVLAを含まないGBを用いた以
外は実施例1と同様の操作を行った結果を表1に示す。 【0042】比較例2 平均粒子径0.12μmのポリスチレン粒子をGBに2
%(w/v)濃度で分散させたラテックス懸濁液を1m
l調製した。この懸濁液にヤギ由来の抗ヒトAFP抗体
(IgG精製品)を1mg/mlで含むGB1mlを加
えて混合した後、37℃で2時間振盪して抗ヒトAFP
抗体をポリスチレン粒子に感作した。次にPVLA25
μgを含むGB0.5mlを加えて混合し、37℃で3
0分間振盪(振幅10cm、40回/分)した後、10
mg/mlのウシ血清アルブミンを含むGB0.5ml
を加えて混合し、さらに2時間、37℃で振盪した。こ
の混合液を遠心分離によって上清を除き、PVLA処理
を行った抗ヒトAFP抗体を感作した感作ラテックス粒
子を沈渣として得た。沈渣を4mlのGBSに分散して
ラテックス試薬を調製した。 【0043】実施例1と同様にAFP標準液を測定して
調製した試薬の測定感度を調べた結果を表1に併せて示
す。 【0044】 【表1】 【0045】表1の結果から明かな如く、本発明に係る
糖含有ビニル重合体であるPVLAを用いて表面処理を
行った改質ラテックス粒子を使用した試薬は、PVLA
処理濃度の広い範囲にわたって測定感度が著しく向上す
ることが判る。 【0046】実施例2 PVLA25μgを含むGB0.5mlを用いた以外は
実施例1と同様の操作でAFP試薬を調製した。既知濃
度10、30ng/mlのAFPを含む標準液と0.1
5MNaCl、2.5mMCaCl2を含む50mMT
ris・HCl緩衝液pH8.0をAFPゼロ濃度とし
てそれぞれ5回ずつ測定し、測定値の変動幅を調べた。
結果を表2に示す。 【0047】比較例3 比較例1と同様にして調製したAFP試薬を用いて、実
施例2と同様に測定値の変動幅を調べた。結果を表2に
併せて示す。 【0048】 【表2】【0049】表2の結果から明かな如く、本発明に係る
糖含有ビニル重合体であるPVLAを用いて表面処理を
行った改質ラテックス粒子を使用した試薬は非特異的な
凝集反応が抑制され、変動幅が小さくなることが判る。
即ち、凝集反応のノイズが小さくなることによって検出
感度が著しく高くなることが示された。同時に測定感度
が向上することが判る。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平7−270417(JP,A)
高分子論文集 第45巻第12号(1988)
p919−924
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
G01N 33/48 - 33/98
CA(STN)
REGISTRY(STN)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 スチレンを構成単位とする単独重合体ま
たは共重合体からなるラテックス粒子表面の少なくとも
一部に、側鎖に糖残基を有する、主鎖がスチレン誘導体
に由来する構成単位からなるビニル重合体を物理的吸着
により被覆させた改質ラテックス粒子に、抗原又は抗体
を感作させてなる感作ラテックス粒子を含んでなること
を特徴とする免疫学的凝集反応試薬。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP24623694A JP3438962B2 (ja) | 1994-10-12 | 1994-10-12 | 免疫学的凝集反応試薬 |
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JP24623694A JP3438962B2 (ja) | 1994-10-12 | 1994-10-12 | 免疫学的凝集反応試薬 |
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ID=17145539
Family Applications (1)
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- 1994-10-12 JP JP24623694A patent/JP3438962B2/ja not_active Expired - Fee Related
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高分子論文集 第45巻第12号(1988) p919−924 |
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