JP3623657B2 - 非特異反応抑制剤、免疫測定試薬及び免疫測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、不溶性担体を使用し、抗原抗体反応を利用する免疫反応に基づいて被測定物質を測定するために用いられ、高い検出感度を有し、かつ、非特異反応の少ない非特異反応抑制剤、免疫測定試薬、及び、免疫測定法に関する。
【0002】
【従来の技術】
血液、尿等に含まれる微量物質の測定に免疫測定方法が使われている。免疫測定方法は、抗原抗体反応の特異的な強い結合に基づいており、種々の物質が潜在する試料からでも、目的物質を特異的に感度良く測定することが可能である。
【0003】
しかし、このような測定法においては、血清等の検体と反応させたとき、被測定物質である抗原を含む陽性検体のみならず、これら抗原を含まない陰性検体に対しても反応を起こすことがある。このような非特異反応が起こる理由は明らかではないが、一つには血清中に含まれる補体等の因子によるものと考えられている。
【0004】
また、例えば、不溶性担体に測定物質に対する抗原を固定化した場合、固定化時に変成した抗体のFc部分に、被検液中のリウマチ因子が反応し、非特異凝集を惹起することもある。更に、不溶性担体を懸濁させる緩衝液に、不活性なタンパク質(ウシ血清アルブミン等)を安定剤として添加する場合があるが、使用する試薬のグレードによって、不純物が多く含まれていたり、ある種のタンパク質分解酵素が含まれていた場合には、正・負の誤差を含めて、正確な測定ができない場合が多かった。
【0005】
上述のような非特異反応を減少することを目的として、検体をグリシン等の緩衝液で希釈したり、又は、血清中の補体を失活させる非動化処理が従来から行われている。しかし、このような処理によっては、非特異反応を充分に抑制することが困難であり、また、手間がかかるという問題がある。また、動物の変成グロブリンを添加したり、タンパク質分解酵素阻害剤を添加する方法も報告されているが、これらはいずれも、変成条件の設定が微妙で安定した変成グロプリンの製造が困難であったり、コストが高くつく等の問題があり、いずれも非特異反応の抑制という点では不充分であった。
【0006】
このような問題を解決するため、従来より、抗原抗体反応にゼラチン、アルブミン等のタンパク質や、ポリアニオン類等を添加する方法が知られている。また、N,N−ジアルキルアミドや低級アルキルスルホキシド(特開昭55−6085号公報)、アルキルセルロース(特開平2−173567号公報)、カルボキシアルキルセルロース(特開平2−238360号公報)等を添加する方法が開示されているが、より優れた方法の開発が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、血清の非動化等の煩雑な処理を行うことなく、非特異反応が抑制され、かつ、検出感度が高い非特異反応抑制剤、免疫測定試薬、及び、免疫測定方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、被測定物質に対する抗体又は抗原を固定化した担体を用いる免疫測定方法において用いられ、上記被測定物質に対して免疫学的に反応しない抗体若しくはその断片、又は、免疫学的に反応しない抗原を固定化した不溶性担体からなる非特異反応抑制剤である。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
本発明の非特異反応抑制剤は、被測定物質に対して免疫学的に反応しない抗体若しくはその断片、又は、免疫学的に反応しない抗原を固定化した不溶性担体からなる。
【0010】
上記不溶性担体に固定化する抗体は、被測定物質である抗原に特異的な反応性を持たない抗体である。上記抗体としては、例えば、ヒト由来の血液や尿等の検体を対象に免疫測定を行う場合であれば、ヒト以外の正常動物血清由来の抗体等が挙げられる。
上記抗体と、被測定物質である抗原に特異的な反応性を持つ抗体(以下、「特異抗体」ともいう)とは、動物種、抗体クラスが同一の方が非特異抑制効果が高いので好ましい。
【0011】
上記抗体は、正常動物血清から一般的に用いられている方法で精製される。上記精製方法としては例えば、塩析法、電気泳動法、ゲルろ過法、疎水性クロマトグラフィー法、アフィニティークロマトグラフィー法等が挙げられる。
【0012】
上記精製法については、数種の精製法を組み合わせて用いる場合もあるが、好ましくは各精製段階の中で、特異抗体と部分的に同じ方法を取り得る段階があれば、特異抗体と同様の方法を行ったほうが望ましい。
【0013】
上記抗体は、一般的に用いられている方法で断片化されてもよい。上記断片化の方法としては、通常、各種酵素により抗体分子を分解する方法が挙げられ、例えば、パパイン等による分解ではFab断片が得られ、またペプシン等による分解ではF(ab′)2 断片が得られる。
上記抗体と特異抗体とは、同じ酵素による断片化を受けたものが好ましい。
【0014】
上記特異抗体として、例えば、被測定物質に特異的反応性をもつ、家兎由来のサブクラスIgG抗体をペプシン処理によって断片化し、カラムクロマトグラフィー(ゲルろ過)及びアフィニティークロマトグラフィーによって精製したF(ab′)2 断片を用いる場合、本発明の非特異反応抑制剤に用いる抗体としては、被測定物質に特異的反応性をもたない、家兎由来のサブクラスIgGの抗体をペプシン処理によって断片化し、カラムクロマトグラフィー(ゲルろ過)によって精製したF(ab′)2 断片が使用できる。
【0015】
上記免疫学的に反応しない抗原としては、被測定物質である抗原又は抗体に特異的な活性を示すものでなければ特に限定されず、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン、カザミノ酸等が挙げられる。上記免疫学的に反応しない抗原としては、また、被測定物質に対する抗体又は抗原(以下、「特異抗体又は特異抗原」ともいう)を固定化した担体に使用するブロッキング剤や、免疫測定試薬に安定化剤として用いられているものと同一でも異なるものであってもよい。
【0016】
上記免疫学的に反応しない抗原としては、担体に固定化した免疫学的に反応しない物質と同じ物質が好ましい。上記担体に固定化した免疫学的に反応しない物質とは、通常、免疫測定法において使用されるブロッキング剤をいう。上記ブロッキングは、特異抗体又は特異抗原を担体に固定化した後、試料中のタンパク質等が担体へ非特異的に吸着するのを防止するために、特異抗体又は特異抗原に対して免疫学的に反応しないタンパク質等を更に結合させることである。
【0017】
上記担体に固定化した免疫学的に反応しない物質としては、例えば、通常の免疫測定法において使用されているウシ血清アルブミン、オボアルブミン、ラクトアルブミン、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。
【0018】
上記不溶性担体としては、従来より免疫化学的凝集反応及び凝集阻止反応において一般的に用いられている微粒子の担体等が挙げられ、工業的に大量生産が可能な有機系微粒子が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0019】
上記工業的に大量生産が可能な有機系微粒子としては、例えば、スチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のビニル系モノマーを重合させてなる単一重合体及び共重合体(ポリスチレン、スチレン−スチレンスルホン酸塩共重合体、メタクリル酸重合体、アクリル酸重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体等)の微粒子;スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等のブタジエン系共重合体の微粒子;不溶性アガロース、セルロース、不溶性デキストラン等の有機系高分子;官能基としてカルボキシル基、1級アミノ基、カルバモイル基(−CONH2 )、水酸基、アルデヒド基等を有し、かつ、基体が上記有機系微粒子からなる反応性有機系微粒子等が挙げられる。
【0020】
上記不溶性担体としては、そのほか、動物の赤血球や細菌の細胞等の生物学的粒子;ベントナイト、コロジオン、コレステロール結晶、シリカ、金、チタン、鉄、ニッケル、カオリン、炭素末等の非生物学的粒子等が挙げられる。
上記不溶性担体の形状としては、球状粒子、粉末、片状等が挙げられる。
【0021】
上記不溶性担体の種類、材質、形状は、使用される測定原理、測定方法によって、その非特異反応抑制効果、特異抗体又は特異抗原を固定化した不溶性担体と被測定物質との反応に対する妨害の有無、調製のしやすさ、使用簡便性等の観点から選択される。
【0022】
上記不溶性担体の材質は、特異抗体又は特異抗原を固定化する担体の材質と同じものが好ましい。上記不溶性担体の形状は、その調製のしやすさや使用簡便性から球状粒子が好ましい。
【0023】
本発明においては、抗体の吸着性に優れており、かつ、生物学的活性を長期間安定に保持できる等の理由から、ラテックスからなる不溶性担体が好ましく、ポリスチレン系のラテックス粒子がより好ましい。
【0024】
上記不溶性担体の大きさ(球状粒子の場合は平均粒径)は、特異抗体又は特異抗原を固定化した担体の形状、大きさ、検出方法、測定機器等によって、0.005μm〜10mmのものが適宜選択される。
【0025】
上記不溶性担体への固定化方法は、一般に使用されている方法を採用することができ、例えば、不溶性担体表面に物理的に吸着させる手法や、官能基を有する不溶性担体表面に、既知の方法である化学結合法や共有結合法により、効率的に結合する手法が挙げられる。好ましくは.特異抗体又は特異抗原の担体への固定化方法と同じ方法、条件で固定化する方法である。
【0026】
上記不溶性担体への固定化量は、特異抗体又は特異抗原の不溶性担体への固定化量、使用される測定原理、測定方法によって、その非特異反応抑制効果、特異抗体又は特異抗原を固定化した担体と被測定物質との反応への妨害の有無、調製のしやすさ等の観点から選択される。
【0027】
上記不溶性担体に被測定物質に対して免疫学的に反応しない抗体又はその断片を固定化する場合、その抗体の固定化量(不溶性担体の単位表面積当たりの固定化量)が、特異抗体の固定化量(担体の単位表面積当たりの固定化量)の20%〜500%であることが望ましい。上記の場合、不溶性担体には、更にブロッキング処理を施してもよい。上記ブロッキング剤としては、上述したものを使用することができ、ブロッキング剤の固定化方法は、一般に使用されている物理吸着又は化学結合が採用できる。好ましくは、特異抗体を固定化した担体に用いられているブロッキング剤と同一の物質を用い、同一の固定化方法を実施することである。
【0028】
上記不溶性担体に免疫学的に反応しない抗原を固定化する場合には、好ましくは、特異抗体又は特異抗原を固定化した担体に免疫学的に不活性な物質をブロッキングする際の処理量の0.05〜50倍であることが好ましい。なお、処理量とは、担体1体積当たりの総表面積に対する免疫学的に不活性な物質の重量である。
【0029】
上記被測定物質に対して免疫学的に反応しない抗体若しくはその断片、又は、免疫学的に反応しない抗原を固定化した不溶性担体は、通常懸濁液の状態で調製され、非特異反応抑制剤として使用される。
【0030】
上記懸濁用媒体としては、被測定物質の種類、使用される測定原理、測定方法に応じた各種緩衝液が用いられる。上記緩衝液としては、測定物質を失活させることがなく、かつ、抗原抗体反応を阻害しないようなイオン濃度やpHを有するものであればよく、例えば、リン酸緩衝液、トリス−塩酸緩衝液、グリシン緩衝液等が挙げられる。好ましくは、グッド緩衝液群に属するものであり、例えば、トリス(ヒドロキシ)アミノメタン及びスルホン酸基を有するものである。より好ましくは、2−ヒドロキシ−N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPSO)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノプロパンスルホン酸(TES)等である。
【0031】
上記pHは、好ましくは7.0〜8.5、より好ましくは7.5〜8.0である。上記緩衝液には、特異性を高めるための塩化コリン等の第4級アンモニウム塩;反応促進剤;アルブミン、ショ糖等の安定化剤;感度を高める効果が期待されるポリエチレングリコール、デキストラン等の水溶性多糖類;防腐剤としてアジ化ナトリウム;塩濃度調整のための塩化ナトリウム等を適宜添加することもできる。上記添加物は、被測定物質を失活させることなく、かつ、抗原抗体反応を阻害しないものであればいずれも利用できる。
【0032】
本発明においては、上記の非特異反応抑制剤を用いることによって、免疫反応における非特異反応を抑制するものである。即ち、特異抗体の精製処理、その酵素による断片化処理、及び、特異抗体を不溶性担体に固定化する際に、試薬のpHやイオン強度等により特異抗体が何らかの変性を受けてしまっている場合や、これらの処理の際に、目的とする抗体又はその断片以外の物質が混入したり生成する場合がある。これらの変性を受けたり副反応生成物等が混入することが原因で、検体中の非特異反応誘起物質と反応が起こってしまう場合がある。本発明は、被測定物質に対して免疫学的に反応しない抗体又はその断片を不溶性担体に固定化して非特異反応抑制剤として用いることによって、検体中の非特異反応誘起物質が本発明の非特異反応抑制剤と反応を起こすために、特異抗体を固定化した担体と非特異反応誘起物質との反応が阻害(抑制)され、非特異反応を抑制できると考えられる。
【0033】
上記ブロッキング剤として用いられる物質は、また、免疫学的に不活性であり、被測定物質である抗原又は抗体と特異的な反応性をもたないが、血清中の非特異反応誘起物質と反応が起こる場合がある。また、不溶性担体との相互作用や結合反応の副反応によって、何らかの変性を受けている場合があり、このような変性が原因で、血清中の非特異反応誘起物質と反応が起こってしまう場合がある。本発明の非特異反応抑制剤は、また、免疫学的に反応しない抗原、特に、ブロッキング剤として使用した物質と同じ物質を固定化した不溶性担体を使用することにより、それが血清中の非特異反応誘起物質と反応を起こすために、非特異反応が阻害(抑制)されると考えられる。
【0039】
本発明3は、被測定物質に対する抗体又は抗原を固定化した担体を用いる免疫測定方法において用いられ、不溶性担体からなる非特異反応抑制剤である。
上記不溶性担体としては、本発明1において挙げたものが使用できる。
上記不溶性担体は、何も固定化されていないものを使用し、通常懸濁液の状態で調製され、非特異反応抑制剤として使用される。上記懸濁用媒体としては、本発明1で挙げたものが使用できる。
【0040】
本発明の非特異反応抑制剤は、被測定物質に対する抗体又は抗原(特異抗体又は特異抗原)を固定化した担体を用いる免疫測定方法において用いられるものである。
【0041】
上記被測定物質としては、生体試料中に含まれる生理活性物質であり、抗原抗体反応を利用して測定し得る物質であれば特に限定されず、例えば、タンパク質、糖タンパク質、脂質タンパク質、レセプター、酵素、ウイルス抗原・抗体等が挙げられ、具体的には、CRP、ヒトフィブリノーゲン、リウマチ因子、アルファーフェトプロティン(AFP)、HBs抗原、フェリチン、抗ストレプトリジンO抗体、梅毒トレポネーマ抗体、梅毒脂質抗原に対する抗体、HBs抗体、HBc抗体、HBe抗体等が挙げられる。
【0042】
上記被測定物質としては、また、臨床検査上重要な項目であり、従来までラテックス凝集法では検出感度が不足であるとされていた項目についても特に有用であり、例えば、癌検診のスクリーニングにおいて測定される、CEA、CA19−9等の1ng/mLまで検出感度が要求される項目等が挙げられる。
【0043】
上記免疫測定方法において使用される特異抗体としては、モノクローナル抗体であってもよいし、免疫源を通常のウサギ、マウス、馬、ヤギ等の動物に接種することによって得られるポリクローナル抗体であってもよい。
上記モノクローナル抗体は、細胞融合技術分野において、それ自体公知の手法を適宜に選択し、またそれらを組み合わせてモノクローナル抗体産生融合細胞株を形成し、該細胞株を利用して産生、取得できる(「単クローン抗体・ハイブリドーマとELISA」岩崎辰夫ら著、講談社)。
【0045】
上記免疫測定方法において使用される担体としてラテックスからなる不溶性担体を使用する場合、その平均粒径は、担体上の特異抗体又は特異抗原と被測定物質との抗原抗体反応により惹起される凝集反応の結果生じた凝集塊が、肉眼又は光学的に検出できるに充分な大きさを呈するものであればよく、平均粒径0.05〜0.5μmのものである。
上記担体の表面に特異抗体又は特異抗原を感作させる手法としては、上述した不溶性担体への固定化方法が採用できる。
【0046】
本発明4は、本発明1又は本発明3の非特異反応抑制剤を含有する免疫測定試薬である。
上記本発明1又は本発明3の非特異反応抑制剤は、その添加方法によって、非特異反応抑制効果、使用簡便性等の観点からその剤型を選択し、免疫測定試薬として使用される。上記免疫測定試薬は、例えば、上記非特異反応抑制剤を含み、特異抗体若しくは特異抗原を固定化した担体を含まない液状試薬(懸濁液)として、又は、上記固定化された不溶性担体及び特異抗体若しくは特異抗原を固定化した担体を含む液状試薬(懸濁液)として調製できる。
【0047】
本発明5は、被測定物質を含む試料を本発明の非特異反応抑制剤によって予め処理した後免疫反応させるか、又は、本発明の非特異反応抑制剤の存在下で被測定物質を含む試料を免疫反応させる免疫測定方法である。
本発明5の免疫測定方法においては、被測定物質を含む試料を本発明の非特異反応抑制剤で処理することからなるものである。
【0048】
上記非特異反応抑制剤の処理方法としては、例えば、(第1法)非特異反応抑制剤を含む液を被測定物質を含む試料に予め添加し、試料中の非特異反応誘起物質を吸収させ、非特異反応抑制剤を添加したまま、非特異反応抑制剤と試料の混合物を、特異抗体又は特異抗原を固定化した担体に接触させ、被測定物質である抗原又は抗体との特異的反応を起こす方法、(第2法)非特異反応抑制剤を含む液を被測定物質を含む試料に予め添加し、試料中の非特異反応誘起物質を吸収させ、その後、非特異反応抑制剤である不溶性担体を取り除き、その残液を、特異抗体又は特異抗原を固定化した不溶性担体に接触させ、被測定物質である抗原又は抗体との特異的反応を起こす方法、並びに、(第3法)非特異反応抑制剤及び特異抗体を固定化した不溶性担体とを含む反応系に、被測定物質を含む試料を添加し、試料中の非特異反応誘起物質を吸収させる反応と、特異抗体と被測定物質である抗原との特異的反応を同時に起こす方法が挙げられる。
【0049】
上記非特異反応抑制剤の処理方法としては、被測定物質の種類、使用される測定原理、測定方法によって、その非特異反応抑制効果、使用簡便性等の視点から上記(第1法)、(第2法)又は(第3法)のなかから選択できる。
【0050】
上記処理方法として(第1法)又は(第3法)を採用する場合、非特異反応抑制剤に使用される不溶性担体は、0.01〜20μmの平均粒径のものが好ましい。0.01μm未満であると、非特異反応抑制剤として調製する際、非常に手間がかかる場合がある。20μmを超えると、不溶性担体の単位重量当たりの表面積が小さくなり、担体数を多くしないと非特異反応の抑制効果が充分でなかったり、その不溶性担体が示すシグナルに対して、被測定物質である抗原又は抗体と特異抗体又は特異抗原を固定化した不溶性担体との特異的反応を示すシグナルが小さくなり、結果として検出感度が悪化することがある。
【0051】
上記処理方法として(第2法)を採用する場合は、非特異反応抑制剤に使用される不溶性担体は、0.01〜10μmの平均粒径のものが好ましい。0.01μm未満であると、非特異反応抑制剤として調製する際、非常に手間がかかる場合がある。20μmを超えると、不溶性担体の単位重量当たりの表面積が小さくなり、担体数を多くしないと非特異反応の抑制効果が充分でない場合がある。
【0052】
本発明5の免疫測定方法において、非特異抑制剤の添加濃度としては、その不溶性担体に固定化された非特異抑制用物質の量、不溶性担体の大きさ、種類及び平均粒径、特異抗体又は特異抗原を固定化した担体の濃度、種類及び平均粒径、検出方法、並びに、測定機器によって、その非特異反応抑制効果、特異抗体又は特異抗原を固定化した担体と抗原との反応への妨害の有無、使用簡便性等の観点から適宜選ばれる。
【0053】
具体的には、上記非特異反応抑制剤の処理方法として(第1法)又は(第3法)を採用する場合、不溶性担体の濃度は、好ましくは、抗原抗体反応液に対して、0.001〜5重量%を添加する。0.001重量%未満であると、非特異反応の抑制効果が充分でない場合がある。5重量%を超えると、不溶性担体が示すシグナルに対して、被測定物質である抗原又は抗体と特異抗体又は特異抗原を固定化した不溶性担体との特異的反応を示すシグナルが小さくなり、結果として検出感度が悪くなることがある。
【0054】
上記非特異反応抑制剤の処理方法として(第2法)を採用する場合、不溶性担体の濃度は、抗原抗体反応液に対して、好ましくは、0.001〜10重量%を添加する。0.001重量%未満であると、非特異反応の抑制効果が充分でない場合がある。10重量%を超えると、これを検体に添加した際、検体中の被測定物質である抗原又は抗体が不溶性担体に非特異的に吸着し、抗原と特異抗体を固定化した不溶性担体との特異的反応を示すシグナルが小さくなり、結果として検出感度が悪くなることがある。但し、この方法では、抗原抗体反応の反応系には非特異反応抑制剤は存在せず、前もって取り除かれた状態にあるので、非特異反応抑制剤の添加量は、仮に非特異反応抑制剤を取り除かなかった場合の濃度を表わすものとする。
【0055】
上記特異抗体又は特異抗原を固定化した担体としてラテックス粒子を使用する場合には、上記非特異抑制剤の不溶性担体の濃度は、後に抗原抗体反応を行う際に添加されるそのラテックス液の濃度と併せて、検出系の測定上限を越えない範囲であれば、特に限定されない。例えば、分光光度計による検出を行う際には、反応終了後の吸光度が3.0を超えない範囲であればよい。プレート上で肉眼判定する場合では特に限定されない。
【0056】
上記特異抗体又は特異抗原を担持させた担体と、被測定物質である抗原又は抗体を含む試料との反応は抗原抗体反応であり、この反応が起こりうる条件であれば、その条件は特に限定されない。上記反応は恒温で行うのがよく、特に25℃〜37℃で行うのが好ましい。上記反応時間についても特に限定されないが、5秒から15分が好ましい。
【0057】
上記反応において、最終的に抗原抗体反応を行う反応液中にあって、非特異反応抑制剤以外の緩衝液成分、即ち、検体の希釈用緩衝液等については、一般的に生化学的な用途に用いられているリン酸、グリシン、トリス等特に限定されず、上記不溶性担体の懸濁用媒体として例示したものが挙げられる。
【0058】
本発明5の免疫測定方法は、抗原抗体反応を利用して抗原又は抗体を定量するラテックス凝集法による免疫凝集反応測定法である。
【0059】
上記ラテックス凝集法の場合は、例えば、以下のようにして行うことができる。
上記ラテックス凝集法において使用される試薬としては、検体の希釈及び前処理用液状試薬(抗原抗体反応の特異性、感度等を向上させる目的)である検体希釈液、並びに、特異抗体又は特異抗原を固定化させた担体(ラテックス粒子)を含む液状試薬であるラテックス液からなる。本発明の非特異反応抑制剤を含む場合の試薬の構成としては、非特異反応抑制剤を含むラテックス液のみの1試薬系、非特異反応抑制剤を含む検体希釈液と非特異反応抑制剤を含まないラテックス液との2試薬系、非特異反応抑制剤を含まない検体希釈液と非特異反応抑制剤を含むラテックス液との2試薬系、非特異反応抑制剤を含む検体希釈液と非特異反応抑制剤を含むラテックス液との2試薬系が挙げられる。
【0060】
上記非特異抑制剤による処理方法は、(第1法)〜(第3法)のいずれであってもよい。上記処理方法としては、例えば、まず、検体と非特異反応抑制剤を含む検体希釈液とを混合し、一定時間置く。その後、非特異反応抑制剤を含まないラテックス液を上記混合液に添加し、特異抗体を固定化したラテックス粒子の凝集の度合を観察又は測定する。上記処理方法として他の例を挙げると、まず、検体と非特異反応抑制剤を含まない検体希釈液とを混合し、一定時間置く。その後、非特異反応抑制剤を含むラテックス液を上記混合液に添加し、特異抗体又は特異抗原を固定化したラテックス粒子の凝集の度合を観察又は測定する。
【0061】
上記免疫測定方法がラテックス凝集法の場合、上記非特異反応抑制剤である不溶性担体は、ラテックス粒子であることが好ましく、特異抗体又は特異抗原を固定化したラテックスの粒径に応じて、0.01〜50μmの粒径のものが適宜選択される。上記非特異反応抑制剤である不溶性担体を比較的濃い濃度で使用するときは、特異性抗体を固定化したラテックス粒子の凝集の度合を観察または測定する際、バックグラウンドが大きくなってしまうので、特異抗体又は特異抗原が固定化されたラテックス粒子よりも小さい粒径の粒子を用いるとよい。
【0062】
上記ラテックスの凝集の程度を測定する方法は、特に限定されない。上記凝集を定量的に測定する場合、簡便性及び精度の点からは、例えば光学的に測定することが好ましく、具体的には、上記測定は散乱光、吸光度又は透過光強度を測定する光学機器で行う。上記測定の波長としては、300〜1200nmが使用できる。上記測定方法については公知の方法に従い、用いる不溶性担体の大きさ、その濃度の選択、反応時間の設定により、散乱光強度、吸光度又は過光強度の増加若しくは減少を測定することにより行われる。また、これらの方法を併用することも可能である。
【0063】
上記ラテックス凝集の光学的測定法としては、公知の方法が利用可能であり、例えば、いわゆる比濁法(凝集塊の形成を濁度の増加としてとらえる)、粒度分布による測定法(凝集塊の形成を粒度分布ないし平均粒径の変化としてとらえる)、積分球濁度法(凝集塊の形成による前方散乱光の変化を積分球を用いて測定し、透過光強度との比を比較する)等が挙げられる。
【0064】
上記それぞれの測定法について、速度試験(レートアッセイ;異なる時点で少なくとも2つの測定値を得て、これらの時点間における該測定値の増加分(すなわち増加速度)に基づき凝集の程度を求める)が利用可能である。好ましくは、測定の簡便さ、迅速性の点から、比濁法を用いた速度試験を行うことである。
【0065】
上記ラテックスの凝集反応においては、反応開始後の凝集の度合を、定性的又は半定量的に測定する場合には、既知の試料の濁度の程度との比較から、上記結合物の凝集の程度を目視によって判定することも可能である。
【0066】
上記不溶性担体の凝集の度合を肉眼で判定する試薬においては、通常、試料と感作不溶性担体とを含む溶液を判定板上で混合し、1〜5分間揺り動かした後、凝集の有無を判定する。上記凝集判定には、単に肉眼判定以外に、ビデオカメラで撮影し、画像処理を施すことも可能である。
【0070】
【発明の実施の形態】
(実施例)
以下に本発明の実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0071】
実施例1
(1)非特異反応抑制剤用抗体の調製
正常家兎血清10mLを25℃で攪拌しながら硫酸ナトリウム1.8gを加えた。30分放置した後、25℃、7000Gで10分間遠心した。沈殿を採取し、これを0.03Mリン酸緩衝液(0.1M−NaClを含む、pH6.5、以下「PBS」という)10mLに溶解させた。その後、PBSに対し24時間透析した後、1000Gで10分間遠心した。上清をPBSで平衡化した陽イオン交換樹脂であるDEAE−セルロースカラムに通し、IgG画分液を採取した。得られたIgG画分液を濃縮した。
【0072】
(2)特異抗体の調製
HBs抗原として、サブタイプAd、タンパク質濃度1mg/mL、純度95%以上(ADVANCED BIOTECHNOLOGIES INC.社製)のものを、兎1匹に対して8mg免疫し、免疫注射より3か月後に採血した。HBs抗原を免疫感作した家兎抗血清10mLを25℃で攪拌しながら硫酸ナトリウム1.8gを加えた。30分放置した後、25℃、7000Gで10分間遠心した。沈殿を採取し、これをPBS10mLに溶解させた。PBSに対し24時間透析した後、1000Gで10分間遠心した。上清をPBSで平衡化したDEAE−セルロースカラムに通し、IgG画分液を採取した。その後、得られたIgG画分液を、HBs抗原を固定化したアガロースゲルを充填したカラムに通しアフィニティー精製を行い、HBs抗原に特異性を持つIgG成分のみを含む特異抗体液を得た。その後、得られた特異抗体液を濃縮した。
【0073】
(3)非特異反応抑制剤の懸濁液の作成
非特異反応抑制剤用抗体を1.0mg/mLの濃度でPBSに溶解した液3.75mLに、平均粒径が0.1μmのポリスチレンラテックス(固形分10重量%、積水化学社製)1.0mLとPBSを1.25mL添加し、25℃にて60分間攪拌した。次いで、この液にBSAを2.0重量%含有したPBSを6mL添加し、25℃にて60分間攪拌した後、18,000rpmで遠心分離することにより洗浄した。洗浄操作は3回行った。得られた沈殿物にBSAを0.5重量%含有するPBSを10mL添加し、ラテックスを懸濁させ、非特異反応抑制剤の懸濁液を調製した。
【0074】
実施例2
(1)HBS抗体感作ラテックス液の調製
実施例1(2)の特異抗体を1.0mg/mLの濃度でPBSに溶解した液1.25mLに、平均粒径が0.3μmのポリスチレンラテックス(固形分10重量%、積水化学社製)1.0mLとPBS3.75mL添加し、25℃にて60分間攪拌した。次いで、この液にBSAを2.0重量%含有するPBSを6mL添加し、25℃にて60分間攪拌した後、18,000rpmで遠心分離することにより洗浄した。洗浄操作は3回行った。えられた沈殿物に実施例1(3)の非特異反応抑制剤の懸濁液を1mL、BSAを0.5重量%含有するPBSを99mL添加し、ラテックスを懸濁させ.HBs抗体感作ラテックス液を調製した。
【0075】
(2)検体希釈液の調製
PBSにポリエチレングリコール(和光純薬製、平均分子量;50万)を0.3重量%、及びBSAを0.5重量%の濃度になるように溶解した。
【0076】
(3)HBs抗原測定用試薬
本実施例のHBs抗原測定用試薬は、上記(1)項のHBs抗体感作ラテックス液からなる第1試薬と、上記(2)項の検体希釈液からなる第2試薬とから構成される2試薬系の試薬である。
【0077】
(4)標準HBs抗原液
HBs抗原を0、50、100、300、500IU/mL濃度で含むヒト血清を使用した。
【0078】
(5)HBs抗原陰性検体及びHBs抗原陽性検体
HBS抗原陰性検体(健常人血清)10検体と、HBS抗原陽性検体(B型肝炎感染者血清)5検体を使用した。
【0079】
(6)測定方法
上記(4)の標準HBs抗原液20μLに、上記(2)項の検体希釈液150μLを混合し、37℃で適時保持した後、上記(1)のHBs抗体感作ラテックス液150μLを添加攪拌した。この後、1分後及び5分後の波長750mnでの吸光度を測定し、この間の吸光度の変化量を吸光度変化量(ΔO.D.)とした。測定は日立自動分析装置7150形を使用した.
標準HBS抗原液を測定して、予め検量線を作成しておき.検体の吸光度変化量と上記検量線から検体中のHBs抗原濃度を算出した。
【0080】
実施例3 ラテックス凝集法によるHBs抗原の測定
実施例2における(1)HBS抗体感作ラテックス液の調製及び(2)検体希釈液の調製の項を、次のようにして行ったことを除いては.実施例2と同様にしてHBs抗原測定用試薬を作成した。
(1)HBs抗体感作ラテックス液の調製
実施例1(2)の特異抗体を1.0mg/mLの濃度でPBSに溶解した液1.25mLに、平均粒径が0.3μmのポリスチレンラテックス(固形分10重量%、積水化学社製)1.0mLとPBSを3.75mL添加し、25℃にて60分間攪拌した。次いで、この液にBSAを2.0重量%含有するPBSを6mL添加し、25℃にて60分間攪拌した後、18,000rpmで遠心分離することにより洗浄した。洗浄操作は3回行った。えられた沈殿物にBSAを0.5重量%含有するPBSを100mL添加し、ラテックスを懸濁させ、HBs抗体感作ラテックス液を調製した。
【0081】
(2)検体希釈液の調製
PBSに実施例1の非特異反応抑制剤の懸濁液を1体積%、ポリエチレングリコール(和光純薬製、平均分子量;50万)を0.3重量%、及びBSAを0.5重量%の濃度になるように溶解した。
【0082】
実施例4 ラテックス凝集法によるHBs抗原の測定
実施例2における(1)HBs抗体感作ラテックス液の調製、(4)標準HBs抗原液、及び、(5)検体の項を、次のようにして行ったことを除いては、実施例2と同様にしてHBs抗原測定用試薬を作成した。
(1)HBs抗体感作ラテックス液の調製
実施例1(2)の特異抗体を1.0mg/mLの濃度でPBSに溶解した液1.25mLに、平均粒径が0.3μmのポリスチレンラテックス(固形分10重量%、積水化学杜製)1.0mLとPBS3.75mL添加し、25℃にて60分間攪拌した。次いで、この液にBSAを2.0重量%含有するPBSを6mL添加し、25℃にて60分間攪拌した後、18,000rpmで遠心分離することにより洗浄した。洗浄操作は3回行った。えられた沈殿物にBSAを0.5重量%含有するPBSを100mL添加し、ラテックスを懸濁させ、HBs抗体感作ラテックス液を調製した。
【0083】
(4)標準HBs抗原液
HBs抗原を0、50、100、300、500IU/mL濃度で含むヒト血清1. 6mLに実施例1の非特異反応抑制剤の懸濁液0. 12mLを添加混合して使用した。
【0084】
(5)HBS抗原陰性検体及びHBS抗原陽性検体
HBs抗原陰性検体(健常人血清)10検体と、HBs抗原陽性検体(B型肝炎感染者血清)5検体を1. 6mLに実施例1の非特異反応抑制剤の懸濁液0. 12mLを添加混合して使用した。
【0085】
比較例1 ラテックス凝集法によるHBs抗原の測定
実施例2における(1)HBs抗体感作ラテックス液の調製の項を、次のようにして行ったことを除いては、実施例2と同様にしてHBs抗原測定用試薬を作成した。
【0086】
(1)HBS抗体感作ラテックス液の調製
実施例1(2)の特異抗体を1. 0mg/mLの濃度でPBSに溶解した液1. 25mLに、平均粒径が0. 3μmのポリスチレンラテックス(固形分10重量%、積水化学社製)1. 0mLとPBS3. 75mL添加し、25℃にて60分間攪拌した。次いで、この液にBSAを2. 0重量%含有するPBSを6mL添加し、25℃にて60分間攪拌した後、18,000rpmで遠心分離することにより洗浄した。洗浄操作は3回行った。えられた沈殿物にBSAを0.5重量%含有するPBSを100mL添加し、ラテックスを懸濁させ、HBs抗体感作ラテックス液を調製した。
【0087】
実施例2〜4及び比較例1の結果を表1に示した。
表1は、実施例2〜4及び比較例1の試薬により、HBs抗原陽性検体及びHBs抗原陰性検体を測定したときの測定値(IU/mL)を示したものである。
なお、実施例2〜4及び比較例1におけるカットオフポイントを8IU/mLに設定し、8IU/mL未満の検体を陰性、8IU/mL以上の検体を陽性と判定した。
【0088】
【表1】
【0089】
表1から明らかなように、HBs抗原陰性検体中の数例で実施例2〜4では陰性判定されているにもかかわらず、比較例1では陽性と判定され、非特異凝集反応が起こっていることが示唆される。
【0100】
実施例6 非特異反応抑制剤の懸濁液の作成
BSAを2重量%の濃度でPBSに溶解した液18mLに、平均粒径が0.1μmのポリスチレンラテックス(固形分10重量%、積水化学杜製)1mLを添加し、25℃にて60分間攪拌した後、18,000rpmで遠心分離した。洗浄操作は3回行った。得られた沈殿物にBSAを0.5重量%含有するPBS10mLを添加し、ラテックスを懸濁させ、非特異反応抑制剤の懸濁液を作成した。
【0101】
実施例7 ラテックス凝集法によるHBS抗体の測定
(1)HBs抗原感作ラテックス液の調製
HBs抗原を2.0mg/mLの濃度でPBSに溶解した液1.5mLに、平均粒径が0.3μmのポリスチレンラテックス(固形分10重量%、積水化学社製)1.0mLとPBS3.5mLを添加し、25℃にて60分間攪拌した(この操作を感作と呼ぶ)。次いで、この液にBSA2重量%含有するPBS6mLを添加し、25℃にて60分間攪拌した後、18,000rpmで遠心分離することにより、洗浄した。洗浄操作は3回行った。えられた沈殿物に実施例6の非特異反応抑制剤の懸濁液を1mL、BSAを0.5重量%含有するPBSを99mL添加し、ラテックスを懸濁させ、HBs抗原感作ラテックス液を調製した。
【0102】
(2)検体希釈液の調製
PBSにポリエチレングリコール(和光純薬製、平均分子量;50万)を0.4重量%、及びBSAを1.0重量%の濃度になるように溶解した。
【0103】
(3)HBs抗体測定用試薬
本実施例のHBs抗体測定用試薬は、上記(1)項のHBs抗原感作ラテックス液からなる第1試薬と、上記(2)項の検体希釈液からなる第2試薬とから構成される2試薬系の試薬である。
【0104】
(4)標準HBs抗体液
HBs抗体を0、150、300、600、1200mIU/mL濃度で含むヒト血清を使用した。
【0105】
(5)HBs抗体陰性検体及びHBS抗原陽性検体
HBs抗体陰性検体(健常人血清)10検体と、HBS抗体陽性検体(B型肝炎既往歴がある血清)5検体を使用した。
【0106】
(6)測定方法
上記(4)の標準HBs抗体液20μLに、上記(2)項の検体希釈液120μLを混合し、37℃で適時保持した後、上記(1)のHBs抗原感作ラテックス液120μLを添加攪拌した。この後、1分後及び5分後の波長750nmでの吸光度を測定し、この間の吸光度の変化量を吸光度変化量(△O.D.)とする。測定は日立自動分析装置7150形を使用した。
標準HBs抗体液を測定して、予め検量線を作成しておき、検体の吸光度変化量と上記検量線から検体中のHBs抗体濃度を算出した。
【0107】
実施例8 ラテックス凝集法によるHBS抗体の測定
実施例6における(1)HBs抗原感作ラテックス液の調製及び(2)検体希釈液の調製の項を、次のようにして行ったことを除いては、実施例6と同様にしてHBs抗体測定用試薬を作成した。
【0108】
(1)HBs抗原感作ラテックス液の調製
HBs抗原を2.0mg/mLの濃度でPBSに溶解した液1.5mLに、平均粒径が0.3μmのポリスチレンラテックス(固形分10重量%、積水化学社製)1.0mLとPBS3.5mLを添加し、25℃にて60分間攪拌した(この操作を感作と呼ぶ)。次いで、この液にBSA2重量%含有するPBS6mLを添加し、25℃にて60分間攪拌した後、18,000rpmで遠心分離することにより、洗浄した。洗浄操作は3回行った。えられた沈殿物にBSAを0.5重量%含有するPBSを100mL添加し、ラテックスを懸濁させ.HBs抗原感作ラテックス液を調製した。
【0109】
(2)検体希釈液の調製
PBSに実施例6の非特異反応抑制剤の懸濁液を1体積%、ポリエチレングリコール(和光純薬製、平均分子量;50万)を0.4重量%、及びBSAを1.0重量%の濃度になるように溶解した。
【0110】
実施例9 ラテックス凝集法によるHBs抗体の測定
実施例7における(1)HBs抗原感作ラテックス液の調製、(4)標準HBs抗体液及び(5)検体の項を、次のようにして行ったことを除いては、実施例7と同様にしてHBS抗体測定用試薬を作成した。
【0111】
(1)HBs抗原感作ラテックス液の調製
HBs抗原を2.0mg/mLの濃度でPBSに溶解した液1.5mLに、平均粒径が0.3μmのポリスチレンラテックス(固形分10重量%.積水化学杜製)1.0mLとPBS3.5mLを添加し、25℃にて60分間攪拌した(この操作を感作と呼ぶ)。次いで.この液にBSA2重量%含有するPBS6mLを添加し、25℃にて60分間攪拌した後、18,000rpmで遠心分離することにより、洗浄した。洗浄操作は3回行った。えられた沈殿物にBSAを0.5重量%含有するPBSを100mL添加し、ラテックスを懸濁させ、HBs抗原感作ラテックス液を調製した。
【0112】
(4)標準HBs抗体液
HBs抗体を0、150、300、600、1200mIU/mL濃度で含むヒト血清1.6mLに実施例6の非特異反応抑制剤の懸濁液0.12mLを添加混合して使用した。
【0113】
(5)HBs抗体陰性検体、およびHBs抗体陽性検体 HBs抗体陰性検体(健常人血清)10検体と、HBs抗体陽性検体(B型肝炎既往歴がある血清)5検体1.6mLに実施例6の非特異反応抑制剤の懸濁液0.12mLを添加混合して使用した。
【0114】
比較例3 ラテックス凝集法によるHBs抗体の測定
実施例7における(1)HBs抗原感作ラテックス液の調製の項を、次のようにして行ったことを除いては、実施例7と同様にしてHBs抗体測定用試薬を作成した。
(1)HBs抗原感作ラテックス液の調製
HBs抗原を2.0mg/mLの濃度でPBSに溶解した液1.5mLに、平均粒径が0.3μmのポリスチレンラテックス(固形分10重量%、積水化学社製)1.0mLとPBS3.5mLを添加し、25℃にて60分間攪拌した(この操作を感作と呼ぶ)。次いで、この液にBSA2重量%含有するPBS6mLを添加し、25℃にて60分間攪拌した後、18,000rpmで遠心分離することにより、洗浄した。洗浄操作は3回行った。えられた沈殿物にBSAを0.5重量%含有するPBSを100mL添加し、ラテックスを懸濁させ、HBs抗原感作ラテックス液を調製した。
【0115】
実施例7〜9及び比較例3の結果を表3に示した。
表3は、実施例7〜9及び比較例3の試薬により、HBs抗体陰性検体及びHBs抗体陽性検体を測定したときの測定値(mIU/mL)を示す。
なお、実施例7〜9及び比較例3におけるカットオフポイントを30mIU/mLに設定し、30mIU/mL未満を陰性、30mIU/mL以上を陽性と判定した。
【0116】
【表3】
【0117】
表3から明らかなように、HBs抗体陰性検体中の数例で実施例7〜9では陰性判定されているにもかかわらず、比較例1では陽性と判定され、非特異凝集反応が起こっていることが示唆される。
【0118】
実施例10 非特異反応抑制剤の懸濁液の作成
BSAを2重量%の濃度でPBSに溶解した液10mLに、平均粒径が0.1μmのポリスチレンラテックス(固形分10重量%、積水化学社製)1.0mLとPBS9mLを添加し、25℃にて60分間攪拌した。次いで18,000rpmで遠心分離することにより洗浄した。洗浄操作は3回行った。得られた沈殿物にBSA0.5重量%含有するPBSを10mL添加し、ラテックスを懸濁させ、非特異反応抑制剤の懸濁液を作成した。
【0119】
実施例11 ラテックス凝集法によるHBs抗原の測定
実施例2(1)HBs抗体感作ラテックス液の調製において、実施例1(3)の非特異反応抑制剤の懸濁液の代わりに、実施例10の非特異反応抑制剤の懸濁液を使用し、実施例2(2)検体希釈液の調製において、BSAの濃度を1.0重量%としたこと以外は、実施例2と同様にして、HBs抗原の測定を行った。
【0120】
実施例12 ラテックス凝集法によるHBs抗原の測定
実施例3(2)検体希釈液の調製において、実施例1の非特異反応抑制剤の懸濁液の代わりに、実施例10の非特異反応抑制剤の懸濁液を使用したこと以外は、実施例3と同様にして、HBs抗原の測定を行った。
【0121】
実施例13 ラテックス凝集法によるHBs抗原の測定
実施例4(4)標準HBs抗原液の調製において、実施例1の非特異反応抑制剤の懸濁液の代わりに、実施例10の非特異反応抑制剤の懸濁液を使用したこと以外は、実施例4と同様にして、HBs抗原の測定を行った。
【0122】
比較例4 ラテックス凝集法によるHBs抗原の測定
比較例1の検体希釈液の調製において、BSAの濃度を1.0重量%としたこと以外は、比較例1と同様にして、HBs抗原の測定を行った。
【0123】
実施例11〜13及び比較例4の結果を表4に示した。
表4は、実施例11〜13及び比較例4の試薬により、HBs抗原陰性検体及びHBs抗原陽性検体を測定したときの測定値(IU/mL)を示す。
なお、実施例11〜13及び比較例4におけるカットオフポイントを8IU/mLに設定し、8IU/mL未満を陰性、8IU/mL以上を陽性と判定した。
【0124】
【表4】
【0125】
表4から明らかなように、HBs抗原陰性検体中の数例で実施例11〜13では陰性判定されているにもかかわらず、比較例4では陽性と判定され、非特異凝集反応が起こっていることが示唆される。
【0139】
実施例16
本実施例で使用した試薬及び材料は以下の通りである。
抗ヒトCEAモノクローナル抗体:2種類の抗ヒトCEAモノクローナル抗体(Clone No.CEA 4−G67、IgG−1、及び、Clone No.CEA 4−G11、IgG−1;DAKO社製)を用いた。
ラテックス:0. 40μm、0. 30μmのポリスチレンラテックス(いずれも固形分10%(W/V)、積水化学工業社製)を用いた。
ラテックス懸濁用緩衝液:1mM Hepes(和光純薬社製)水溶液を0.1N NaOHを加えてpHが7. 50になるように調整したものに、ウシ血清アルブミン(Bovine serum albumin、FractionV、Reagent Grade、Miles Corp社製)を1%(W/V)になるように、またNaN3 (試薬特級、ナカライテスク社製)を0. 1%(W/V)になるように添加したものを、ラテックス懸濁用緩衝液として用いた。
ブロッキング用緩衝液:100mM Na2 HPO4 と100mM NaH2 PO4 をpH7. 40になるように混合し、BSAを1%(W/V)になるように、またNaN3 を0. 1%(W/V)になるように添加したものを、プロッキング用緩衝液として用いた。
CEA標準品:CEA標準品(ダイナボット社、CEA・リアビーズキット添付品)の0、5、20、100、500ng/mLをそのまま用いた。
CEA陽性検体:ダイナボット社、CEA・リアビーズキット添付品を用いてCEA濃度を測定したヒト血清20検体を用いた。
【0140】
(1)CEA測定用試薬の調製
平均粒径0. 3μmのポリスチレンラテックス(固形分10%(W/V))1容に、ラテックス懸濁用緩衝液9容を添加希釈し、1. 0%ラテックス液とした。抗CEA抗体(Clone No.CEA 4−G67)は、タンパク濃度が12. 5μg/mLになるように抗体希釈用緩衝液で希釈し、感作抗体液とした。1. 0%(W/V)ラテックス液600μLを25℃のインキュベーター中でマグネチックスターラーで攪拌しながら、抗体感作液1200μLを素早く添加し、25℃にて1時間攪拌した。その後、ブロッキング用緩衝液を3. 0mL添加し、25℃にて続けて2時間攪拌した。その後、15℃、15,000rpmにて15分間遠心分離した。得られた沈殿にラテックス懸濁用緩衝液4. 0mLを添加し、同様に遠心分離することにより、沈殿を洗浄した。洗浄操作は3回行った。この沈殿にブロッキング用緩衝液を1. 8mL添加し、よく攪拌した後、超音波破砕機にて分散処理を行った。これにブロッキング用緩衝液を1. 8mL添加し、固形分0. 17%(W/V)のCEA測定用試薬〔1〕とした。このようにして調製したCEA測定用試薬〔1〕は4℃にて保存した。Clone No.CEA 4−G11についても同様の方法でラテックスに固定化し、固形分0. 17%(W/V)のCEA測定用試薬〔2〕とした。
【0141】
(2)検体希釈用希釈液(R1液)の調製
上記(1)において、抗CEA抗体を固定化する代わりに1%BSA9容を添加したこと以外は、上記(1)と同様の操作によりラテックス懸濁液(固形分0. 17%(W/V))を得、BSAが固定化された非特異反応抑制剤とした。
ブロッキング用緩衝液に、ポリエチレングリコール6000(平均分子量7,500、和光純薬工業社製)を3%(W/V)になるように添加し、更に、上記非特異反応抑制剤を0.0001%になるように懸濁して、検体希釈用希釈液(R1液)として用いた。
【0142】
(3)CEA量の測定
CEA量の測定は、生化学用自動分析装置7150形(日立製作所社製)を用いて行った。上記(1)で得られた固形分0. 17%(W/V)のCEA測定用試薬〔1〕及び〔2〕を等量混合したものをR2液(固形分0. 17%(W/V))とした。測定条件は以下の通りである。
検体容量 20μL
検体希釈液(R1液)180μL
試薬(R2液) 90μL
測定波長 700nm
測定温度 37℃
試薬(R2液)を添加してから約80秒後の吸光度と約320秒後の吸光度の差(△OD570)を測定し、この吸光度の差を10,000倍したものを吸光度変化量とした。既知濃度の上記CEA標準品を用いて、吸光度変化量を測定し、検量線を作成した。CEA標準品の測定結果を、表7に示した。
【0143】
(4)患者血清中のCEA量測定
CEA陽性血清を検体として、上記(3)CEA量の測定に従って吸光度変化量を測定し、上記(3)で得られた検量線を用いてCEA濃度を求めた。これらの測定結果を表8に示した。CEA・リアビーズキット(ダイナボット社)を用いて、RIA法によりCEA陽性血清中のCEA量を測定した結果も合わせて表8に示した。
RIA法により測定したCEA陽性血清中のCEA量測定値と、実施例16により得られたCEA量測定結果の相関関係を示すグラフを図1に示した。
【0144】
実施例17
実施例16の(2)検体希釈用希釈液(R1液)の調製において、1%BSA9容を添加する代わりに1%カゼイン9容を添加して、カゼインが固定化された非特異反応抑制剤を調製したこと以外は、実施例16と同様の操作を行い、CEA量の測定を行った。結果を、表7、表8及び図2に示した。
【0145】
実施例18
実施例16の(2)検体希釈用希釈液(R1液)の調製において、1%BSA9容を添加する代わりに1%カザミノ酸9容を添加して、カザミノ酸が固定化された非特異反応抑制剤を調製したこと以外は、実施例16と同様の操作を行い、CEA量の測定を行った。結果を表7、表8及び図3に示した。
【0146】
実施例19
実施例16中の(2)検体希釈用希釈液(R1液)の調製、及び、(3)CEA量の測定におけるR2液の調製を下記にように行ったこと以外は、実施例16と同様の操作を行い、CEA量の測定を行った。結果を表7、表8及び図4に示した。
【0147】
(2)検体希釈用希釈液(R1液)の調製
ブロッキング用緩衝液に、ポリエチレングリコール6000(平均分子量7,500、和光純薬工業社製)を3%(W/V)になるように添加したものを検体希釈用希釈液(R1液)として用いた。
【0148】
(3)CEA量の測定
実施例16(1)において、抗CEA抗体を固定化する代わりに1%BSAを添加したこと以外は、上記(1)と同様の操作によりラテックス懸濁液(固形分0. 17%(W/V))を得、BSAが固定化された非特異反応抑制剤とした。
実施例16(1)で得られた固形分0. 17%(W/V)のCEA測定用試薬〔1〕及び〔2〕を等量混合し、更に、上記非特異反応抑制剤を0.0001%になるように懸濁させたものをR2液とした。
【0149】
実施例20
実施例19(3)CEA量の測定のR2液の調製において、1%BSAを添加する代わりに1%カゼインを添加して、カゼインが固定化された非特異反応抑制剤を調製したこと以外は、実施例19と同様の操作を行い、CEA量の測定を行った。結果を、表7、表8及び図5に示した。
【0150】
実施例21
実施例19(3)CEA量の測定のR2液の調製において、1%BSAを添加する代わりに1%カザミノ酸を添加して、カザミノ酸が固定化された非特異反応抑制剤を調製したこと以外は、実施例19と同様の操作を行い、CEA量の測定を行った。結果を表7、表8及び図6に示した。
【0151】
比較例6
非特異反応抑制剤を使用せずに、ブロッキング用緩衝液にポリエチレングリコール6000(平均分子量7,500、和光純薬工業社製)を3%(W/V)になるように添加したものを検体希釈用希釈液(R1液)として用いたこと以外は、実施例16と同様の操作を行い、CEA量の測定を行った。結果を表7、表8及び図7に示した。
【0152】
【表7】
【0153】
【表8】
【0154】
実施例22
実施例16(2)検体希釈用希釈液(R1液)の調製を下記のように行ったこと以外は、実施例16と同様の操作を行い、CEA量の測定を行った。結果を表9、表10及び図8に示した。
【0155】
(2)検体希釈用希釈液(R1液)の調製
ブロッキング用緩衝液に、ポリエチレングリコール6000(平均分子量7,500、和光純薬工業社製)を3%(W/V)になるように添加し、更に、平均粒径0.4μmのポリスチレンラテックスを0.0001%になるように懸濁して、検体希釈用希釈液(R1液)として用いた。
【0156】
実施例23
実施例22において、平均粒径0.4μmのポリスチレンラテックスを添加する代わりに、実施例16(1)CEA測定用試薬の調製で得られたCEA測定用試薬〔1〕を添加したこと以外は、実施例22と同様にして、CEA量の測定を行った。結果を表9、表10及び図9に示した。
【0157】
実施例24
実施例22において、平均粒径0.4μmのポリスチレンラテックスを添加する代わりに、実施例16(1)CEA測定用試薬の調製で得られたCEA測定用試薬〔2〕を添加したこと以外は、実施例22と同様にして、CEA量の測定を行った。結果を表9、表10及び図10に示した。
【0158】
【表9】
【0159】
【表10】
【0160】
表7〜表10及び図1〜図10から明らかなように、純度の高い標準品を用いて測定した検量線は、実施例、比較例とも大きな差は見られなかったが、実検体において、比較例では検体中の共存物質に起因すると思われる非特異反応による正誤差が多く見られたのに対し、本発明では、RIA法の結果と良く一致する正確な結果が得られた。
これは、使用する材料や、検体中の共存物質による非特異凝集を、あらかじめ加えておいた非特異反応抑制剤であるラテックス液が吸収し、本来の抗原抗体反応を正確に測定できた結果と推察される。以上の結果から、本発明によるCEA定量法は、従来のラテックス凝集免疫試薬よりも高感度かつ安定で優れた定量法であることが確認された。
【0161】
【発明の効果】
本発明の非特異反応抑制剤、並びに、それを使用した免疫測定試薬及び免疫測定方法は、上述の構成よりなるので、免疫学的反応に基づく被測定物質の測定において、非特異反応が抑制され、かつ、高い検出感度を得ることができる。これにより被検試料中の被測定物質を正確に定量することが可能になり、疾患の発見、病態の把握、治療方法の決定などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒト血清20検体中のCEA濃度を、RIA法及び実施例16における試薬によって測定した結果の相関図である。縦軸は、実施例16における試薬によるCEA濃度測定結果(ng/mL)であり、横軸は、RIA法によるCEA濃度測定結果(ng/mL)である。図中に、RIA法の結果に対する実施例16の結果の一次回帰式及び相関係数を示す。
【図2】ヒト血清20検体中のCEA濃度を、RIA法及び実施例17における試薬によって測定した結果の相関図である。縦軸は、実施例17における試薬によるCEA濃度測定結果(ng/mL)であり、横軸は、RIA法によるCEA濃度測定結果(ng/mL)である。図中に、RIA法の結果に対する実施例17の結果の一次回帰式及び相関係数を示す。
【図3】ヒト血清20検体中のCEA濃度を、RIA法及び実施例18における試薬によって測定した結果の相関図である。縦軸は、実施例18における試薬によるCEA濃度測定結果(ng/mL)であり、横軸は、RIA法によるCEA濃度測定結果(ng/mL)である。図中に、RIA法の結果に対する実施例18の結果の一次回帰式及び相関係数を示す。
【図4】ヒト血清20検体中のCEA濃度を、RIA法及び実施例19における試薬によって測定した結果の相関図である。縦軸は、実施例19における試薬によるCEA濃度測定結果(ng/mL)であり、横軸は、RIA法によるCEA濃度測定結果(ng/mL)である。図中に、RIA法の結果に対する実施例19の結果の一次回帰式及び相関係数を示す。
【図5】ヒト血清20検体中のCEA濃度を、RIA法及び実施例20における試薬によって測定した結果の相関図である。縦軸は、実施例20における試薬によるCEA濃度測定結果(ng/mL)であり、横軸は、RIA法によるCEA濃度測定結果(ng/mL)である。図中に、RIA法の結果に対する実施例20の結果の一次回帰式及び相関係数を示す。
【図6】ヒト血清20検体中のCEA濃度を、RIA法及び実施例21における試薬によって測定した結果の相関図である。縦軸は、実施例21における試薬によるCEA濃度測定結果(ng/mL)であり、横軸は、RIA法によるCEA濃度測定結果(ng/mL)である。図中に、RIA法の結果に対する実施例21の結果の一次回帰式及び相関係数を示す。
【図7】ヒト血清20検体中のCEA濃度を、RIA法及び比較例6における試薬によって測定した結果の相関図である。縦軸は、比較例6における試薬によるCEA濃度測定結果(ng/mL)であり、横軸は、RIA法によるCEA濃度測定結果(ng/mL)である。図中に、RIA法の結果に対する比較例6の結果の一次回帰式及び相関係数を示す。
【図8】ヒト血清20検体中のCEA濃度を、RIA法及び実施例22における試薬によって測定した結果の相関図である。縦軸は、実施例22における試薬によるCEA濃度測定結果(ng/mL)であり、横軸は、RIA法によるCEA濃度測定結果(ng/mL)である。図中に、RIA法の結果に対する実施例22の結果の一次回帰式及び相関係数を示す。
【図9】ヒト血清20検体中のCEA濃度を、RIA法及び実施例23における試薬によって測定した結果の相関図である。縦軸は、実施例23における試薬によるCEA濃度測定結果(ng/mL)であり、横軸は、RIA法によるCEA濃度測定結果(ng/mL)である。図中に、RIA法の結果に対する実施例23の結果の一次回帰式及び相関係数を示す。
【図10】ヒト血清20検体中のCEA濃度を、RIA法及び実施例24における試薬によって測定した結果の相関図である。縦軸は、実施例24における試薬によるCEA濃度測定結果(ng/mL)であり、横軸は、RIA法によるCEA濃度測定結果(ng/mL)である。図中に、RIA法の結果に対する実施例24の結果の一次回帰式及び相関係数を示す。
Claims (5)
- 被測定物質に対する抗体又は抗原を固定化した、ラテックスからなる平均粒径0.05〜0.5μmの担体を用いるラテックス凝集法による免疫測定方法において用いられ、
前記被測定物質に対して免疫学的に反応しない抗体若しくはその断片、又は、免疫学的に反応しない抗原を固定化した不溶性担体からなり、かつ、不溶性担体は上記担体よりも小さい粒径のラテックス粒子であることを特徴とする非特異反応抑制剤。 - 免疫学的に反応しない抗原は、担体に固定化した免疫学的に反応しない物質と同じ物質である請求項1記載の非特異反応抑制剤。
- 被測定物質に対する抗体又は抗原を固定化した、ラテックスからなる平均粒径0.05〜0.5μmの担体を用いるラテックス凝集法による免疫測定方法において用いられ、
不溶性担体からなり、かつ、不溶性担体は上記担体よりも小さい粒径のラテックス粒子であることを特徴とする非特異反応抑制剤。 - 請求項1、2又は3記載の非特異反応抑制剤を含有することを特徴とする免疫測定試薬。
- 被測定物質を含む試料を請求項1、2若しくは3記載の非特異反応抑制剤によって予め処理した後免疫反応させるか、又は、請求項1、2若しくは3記載の非特異反応抑制剤の存在下で被測定物質を含む試料を免疫反応させることを特徴とする免疫測定方法。
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