JPWO2010016601A1 - 磁性キャリア、二成分系現像剤及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
二成分系現像剤を用いた現像方式では、現像器が備える現像剤担持体上に担持された二成分系現像剤が、静電潜像を担持した静電潜像担持体と対向する現像部まで搬送される。そして、現像剤担持体上の二成分系現像剤で形成された磁気ブラシを、静電潜像担持体に接触又は近接させる。そして、現像剤担持体と静電潜像担持体との間(SDギャップ)に印加された所定の現像バイアスによって、トナーが静電潜像担持体上に転移(現像)される。これにより、静電潜像担持体上に静電潜像に応じたトナー像が形成される。この際、トナーを担持して搬送する磁性キャリアの電気的抵抗が低くすぎると、現像剤担持体から磁性キャリアを介して静電潜像に電荷が注入される。その結果、静電潜像が乱され、ハーフトーンがさつきや、磁性キャリアが静電潜像担持体上に転移(キャリア付着)することにより、画像白ポチの如き画像欠陥が発生する場合がある。
また、POD(プリント・オン・デマンド)分野への参入のためには、高解像度での静電潜像の形成が必要になってきている。例えば、2400dpiの場合、1dpiのドット形成幅は約20μmと、極めて微小である。例えば、このような微小な静電潜像の形成がなされる場合は、上述のような現像剤担持体からの磁性キャリアを介した電荷注入は、静電潜像に影響を与える。従ってこのような微小な静電潜像を乱すことなく、現像工程を終了させることが求められている。
電荷注入による静電潜像の乱れやキャリア付着を防ぐためには、磁性キャリアの電気的抵抗を高く設定することが効果的である。もしくは、交番バイアス電圧である現像バイアスのVpp(ピーク間電圧)を小さくして、静電潜像担持体と磁性キャリアとの間の電荷の移動量を抑えることが効果ある。しかしながら、現像バイアスのVppを小さくすると、現像剤担持体からの磁性キャリアを介した電荷注入は低減されるが、二成分系現像剤にかかる電界が弱まる。そのため、磁性キャリアからトナーを引き離す力が低減し、画像濃度が低下することがある。また、磁性キャリアの電気的抵抗が高いと、磁性キャリアに蓄積された電荷(カウンターチャージ)が移動し難くなる。そのため、この磁性キャリアの電荷とトナーの電荷とが引き合って大きな付着力となり、トナーがキャリアから引き離され難くなり、画像濃度が薄くなることがある。
このように、電荷注入による静電潜像の乱れによるハーフトーンがさつきやキャリア付着による画像欠陥を改良することと画像濃度維持の両立は現状困難であり、様々な提案がされている。
特開平9−197720号公報では、磁気ブラシを形成した状態における体積固有抵抗が、103V/cmの電界下で1011Ω・cm以上であり、かつ、104V/cmの電界下で106.2乃至109.8Ω・cmであるキャリアが提案されている。上記キャリアは、キャリア付着もなく、良好な画像を得ることできる。特開平10−148972号公報では、1.0×108Ω・cm以上のインピーダンスを示すキャリアが提案されている。上記キャリアは、3万枚通紙後でもエッジ効果が無く、高精細な画像が得られ、カブリも少なく、機内の汚れも防止できる。
しかし、これらの磁性キャリアは、上述したような静電潜像の乱れによるハーフトーンがさつきやキャリア付着による画像欠陥を改良することと画像濃度維持を両立できていない。そのため、POD印刷市場における高速な印刷において、画質を十分に満足しているとは言えず、更なる画質向上や耐久安定性が要求される。
そこで、更なる画質向上や耐久安定性の改良のために、より低比重化、低磁気力化を進めた、磁性体を樹脂中に分散させた磁性体分散型樹脂キャリアが提案されている。例えば、特開平8−160671号公報には、キャリア抵抗が高く、低磁気力の磁性体分散型樹脂キャリアの提案がなされている。また、特開2006−337579号公報には、空隙率が10乃至60%であり、その空隙に樹脂を充填してなる樹脂充填型フェライトキャリアが提案されている。しかしながら、上記のようなキャリアは、より低比重、低磁気力になると十分な高画質化や高精細化、より耐久性の向上は図れるものの濃度低下等の現像性に劣る場合がある。このような現像性低下の要因は、キャリアが高抵抗化されることによる電極効果が低下するためである。その結果、ハーフトーン部とベタ黒部の境界でハーフトーン部後端のトナーが掻き取られ白いスジとなり、ベタ黒部のエッジが強調される画像欠陥(以下、白抜けと称する)が発生する場合がある。
そこで、現像性を向上させ、画像品質を向上させるために現像間隙(感光体ドラムと現像スリーブ間の距離)を狭くして且つこの現像間隙に高電界を印加する方法が提案されている。しかし、このような構成を取ることで、現像性は十分なものが得られる反面、記録紙上にリング状又はスポット状の模様が生じる現象が発生することが分かった(以下、リングマークと称する)。特開平8−082988号公報には、現像間隙に形成される最大現像電界が2.8×104V/cm以下になるように交番電界を印加するようにして、放電現象に起因するリングマークの改善を図っている。しかし、現像間隙の更なる狭小化やキャリア粒径の小粒径化、或いは、低比重化したフェライトキャリアの場合においては、リングマークを抑制できなかったり、逆に現像性が十分に得られず、これらを両立することが困難な場合がある。
また、本発明の目的は、長期にわたり、現像性に優れ、高品質な画像を得ることが可能な磁性キャリア、二成分系現像剤及び画像形成方法を提供することにある。
具体的には、本発明の目的は、リングマークを発生させないような低電界強度で、効率よく現像でき、また、画像濃度が十分に得られ、長期にわたり画像濃度の変動を抑制できる磁性キャリア、二成分系現像剤及び画像形成方法を提供することにある。また、かぶりやハーフトーンがさつきが少なく、白抜け、キャリア付着が少ない画像を得ることが可能な磁性キャリア、二成分系現像剤及び画像形成方法を提供することにある。
上記目的は、以下に記載の磁性キャリア、二成分系現像剤及び画像形成方法を用いることにより達成できる。
本発明は、磁性コア粒子と樹脂とを少なくとも含有する磁性キャリア粒子を有する磁性キャリアであって、動的インピーダンスを測定することにより得られる、電界強度1.0×103V/cmにおける該磁性キャリアの抵抗率が1.0×106Ω・cm以上1.0×1010Ω・cm以下であり、該磁性キャリアの抵抗率が1.0×109Ω・cmになる電界強度E(109)が2.0×104V/cm以下であり、該磁性キャリアの抵抗率が1.0×108Ω・cmになる電界強度E(108)が5.0×103V/cm以上2.8×104V/cm以下であり、該電界強度E(108)と該電界強度E(109)の比(E(108)/E(109))が1.0以上5.0以下であることを特徴とする磁性キャリアに関する。
また、本発明は、上記磁性キャリアとトナーを少なくとも含有する二成分系現像剤に関する。
更に、本発明は、静電潜像担持体を帯電手段により帯電する帯電工程、該帯電された静電潜像担持体を露光して静電潜像を形成する露光工程、現像剤担持体上に二成分系現像剤で磁気ブラシを形成し、該静電潜像担持体と該現像剤担持体との間に、磁気ブラシを接触させた状態で、該静電潜像担持体と該現像剤担持体の間に現像バイアスを印加して、該静電潜像担持体と該現像剤担持体の間に電界を形成しながら該静電潜像をトナーにより現像して該静電潜像担持体上にトナー像を形成する現像工程、該静電潜像担持体から中間転写体を介して、あるいは介さずに該トナー像を転写材上へ転写する転写工程、該転写材上の該トナー像を熱及び/または圧力により定着する定着工程を有する画像形成方法であって、該二成分系現像剤として、上記二成分系現像剤を用い、該現像バイアスは、直流電界に交番電界を重畳していることを特徴とする画像形成方法に関する。
本発明の磁性キャリア、二成分系現像剤及び画像形成方法を用いることにより、長期にわたり、現像性に優れ、高品質な画像を得ることが可能な磁性キャリア、二成分系現像剤及び画像形成方法を提供することができる。
図2は、本発明で用いた画像形成装置の概略図である。
図3は、本発明で用いた画像形成装置の概略図である。
図4は、インピーダンス測定により得られたCole−Coleプロットを示す図である。
図5は、本発明で用いた磁性コア粒子の比抵抗の測定装置の概略図である。
図6は、本発明で用いた磁性キャリアの抵抗率を示すグラフである。
本発明は、磁性コア粒子と樹脂とを少なくとも含有する磁性キャリア粒子を有する磁性キャリアであって、動的インピーダンスを測定することにより得られる、電界強度1.0×103V/cmにおける該磁性キャリアの抵抗率が、1.0×106Ω・cm以上1.0×1010Ω・cm以下であり、該磁性キャリアの抵抗率が1.0×109Ω・cmになる電界強度E(109)が、2.0×104V/cm以下であり、該磁性キャリアの抵抗率が1.0×108Ω・cmになる電界強度E(108)が、5.0×103V/cm以上2.8×104V/cm以下であり、該電界強度E(108)と該電界強度E(109)の比(E(108)/E(109))が、1.0以上5.0以下であることを特徴とする。
発明者等の検討によると、該動的インピーダンスを測定することにより得られる磁性キャリアの抵抗率が、実際の画像形成装置内で生じている現像剤担持体と静電潜像担持体間での電荷の受け渡しに係る特性(電荷注入性、カウンター電荷減衰性)と相関があることがわかった。
そして、これらの特性は、現像性やキャリア付着に対する影響が大きいため、磁性キャリアの動的インピーダンスを測定することにより得られる磁性キャリアの抵抗率をコントロールすることによって、現像性を改善し、キャリア付着を抑制することが可能となる。
本発明において、電界強度1.0×103V/cmにおける該磁性キャリアの抵抗率が、1.0×106Ω・cm以上1.0×1010Ω・cm以下であり、該磁性キャリアの抵抗率が1.0×109Ω・cmになる電界強度E(109)が、2.0×104V/cm以下であり、該磁性キャリアの抵抗率が1.0×108Ω・cmになる電界強度E(108)が、5.0×103V/cm以上2.8×104V/cm以下であり、該電界強度E(108)と該電界強度E(109)の比(E(108)/E(109))が、1.0以上5.0以下である場合に、低電界強度でも画像濃度が十分に得られ、長期にわたり画像濃度変動が少なく、かぶりやハーフトーンがさつきが少なく、白抜け、キャリア付着が少ない画像を得ることができる。
電界強度1.0×103V/cmにおける磁性キャリアの抵抗率が、1.0×106Ω・cm以上1.0×1010Ω・cm以下の場合、トナー飛散が発生しにくく、白抜けも発生しにくくなる。
また、電界強度1.0×103V/cmでのデータが存在しない場合は、外挿する側2点を直線で結ぶ外挿を行い、外挿した直線と電界強度1.0×103V/cmになる交点を、電界強度1.0×103V/cmにおける磁性キャリアの抵抗率とする。
電界強度1.0×103V/cmにおける磁性キャリアの抵抗率が、1.0×106Ω・cm未満の場合には、磁性キャリア内での電荷移動量が大きくなり過ぎ、静電潜像担持体上への電荷リークが発生したり、現像器でのトナー飛散が発生する。
電界強度1.0×103V/cmにおける磁性キャリアの抵抗率が1.0×1010Ω・cmを超える場合には、現像性の低下により白抜けが発生する。
また、磁性キャリアの抵抗率が1.0×109Ω・cmになる電界強度E(109)は、現像時に磁性キャリア表面に生じるカウンター電荷の減衰性と相関があることが分かった。また、磁性キャリアの抵抗率が1.0×108Ω・cmになる電界強度E(108)は、静電潜像担持体上への電荷注入のし易さと相関があることが分かった。
そこで、本発明では、磁性キャリアの抵抗率が1.0×109Ω・cmになる電界強度E(109)は、2.0×104V/cm以下であることが重要であり、好ましくは1.5×104V/cm以下であり、更に好ましくは1.3×104V/cm以下である。
磁性キャリアの抵抗率が1.0×109Ω・cmになる電界強度E(109)において、測定上データが存在しない場合は、外挿する側2点を直線で結ぶ外挿を行い、外挿した直線と抵抗率が1.0×109Ω・cmになる交点を、電界強度E(109)とする。
磁性キャリアの抵抗率が1.0×109Ω・cmになる電界強度E(109)が、2.0×104V/cm以下である場合、現像時に磁性キャリア表面に生じるカウンター電荷が減衰しやすくなる。そのため、トナーがキャリアから引き離され易くなり、現像性が向上する。また、現像性の向上により、白抜け等の画像欠陥が発生しにくくなる。
磁性キャリアの抵抗率が1.0×109Ω・cmになる電界強度E(109)が、2.0×104V/cmを超える場合、カウンター電荷が減衰されにくくなる。その結果、この磁性キャリアの電荷とトナーの電荷とが引き合って両者の付着力が大きくなる。そのため、トナーがキャリアから引き離され難くなり、トナーが現像されにくくなり、画像濃度が低下する。また、かぶりや白抜けが発生する。
また、本発明では、該磁性キャリアの抵抗率が1.0×108Ω・cmになる電界強度E(108)を、5.0×103V/cm以上、2.8×104V/cm以下にすることが重要である。好ましくは5.5×103V/cm以上2.5×104V/cm以下であり、更に好ましくは6.0×103V/cm以上2.0×104V/cm以下である。
磁性キャリアの抵抗率が1.0×108Ω・cmになる電界強度E(108)において、測定上データが存在しない場合は、外挿する側2点を直線で結ぶ外挿を行い、外挿した直線と抵抗率が1.0×108Ω・cmになる交点を、電界強度E(108)とする。
磁性キャリアの抵抗率が1.0×108Ω・cmになる電界強度E(108)が、5.0×103V/cm以上、2.8×104V/cm以下である場合、静電潜像担持体上への電荷注入がしにくくなる。そのため、ハーフトーンがさつきやキャリア付着等の画像欠陥が発生しにくくなる。
磁性キャリアの抵抗率が1.0×108Ω・cmになる電界強度E(108)が、5.0×103V/cm未満の場合、磁性キャリア内での電荷移動量が大きくなり過ぎ、静電潜像担持体上への電荷リークが発生したり、トナーへの帯電付与能が低下する。また、2.8×104V/cmを超える場合、静電的な付着力は低減するが、静電潜像担持体上への電荷注入が起きやすくなり、静電潜像が乱される。そのため、ハーフトーンががさついた画像(ハーフトーンがさつき)となる。また、キャリア付着が発生しやすくなる。
このように、本発明の課題を改善するためには、現像時に磁性キャリア表面に生じるカウンター電荷の減衰性と、静電潜像担持体上への電荷注入のし易さを、同時にコントロールすることが重要である。該電界強度E(108)と該電界強度E(109)の比(E(108)/E(109))を1.0以上5.0以下にすることにより、初めて上記課題を改善することがわかった。
該電界強度E(108)と該電界強度E(109)の比(E(108)/E(109))は、好ましくは1.2以上4.0以下であり、更に好ましくは1.5以上3.0以下である。
つまり、該電界強度E(108)と該電界強度E(109)の比(E(108)/E(109))を1.0以上5.0以下にすることにより、長期にわたり画像濃度変動が少なく、かぶりやハーフトーンがさつきが少ない画像が得られる。また、白抜け、キャリア付着も少なくすることができる。また、電界強度変化に対して抵抗率変化が大きいため、現像バイアスとして交番電界を印加した場合、高い画像濃度が得やすく、特に低いピーク間電圧の交番バイアスでも高い画像濃度が得られ、長期にわたり画像濃度変動が少ない画像を得ることが可能である。また、ピーク間電圧が低いためリングマークも出にくい。
該電界強度E(108)と該電界強度E(109)の比(E(108)/E(109))が5.0を超える場合は、現像時における磁性キャリア表面に生じるカウンター電荷の減衰性と静電潜像担持体上への電荷注入性の両立が困難である。そのため、画像濃度が変動したり、かぶりやハーフトーンがさつき、白抜け、キャリア付着が発生することがある。
該電界強度E(108)と該電界強度E(109)が本発明の範囲である磁性キャリアを得るためには、磁性コア粒子の比抵抗や磁性キャリア粒子中での磁性成分と樹脂成分の分布状態、磁性キャリア粒子表面の樹脂の存在状態、物性等を変えることにより達成できる。
また、走査型電子顕微鏡により撮影された該磁性キャリア粒子の断面の反射電子像において、該磁性キャリア粒子の断面積に対して、該磁性コア粒子(磁性成分)の面積比率が、50面積%以上95面積%以下であることが好ましい。更に好ましくは55面積%以上93面積%以下であり、特に好ましくは60面積%以上90面積%である。
該磁性コア粒子の面積比率が50面積%以上95面積%以下であることは、磁性キャリアを低比重化、低磁気力化でき、トナースペントを防止して安定した画像を長期にわたり維持できるために好ましい。
また、磁性コア粒子の面積比率が平均値として上記範囲を満たすことが好ましいが、上記範囲を満たす磁性キャリア粒子が、磁性キャリア全体の60個数%以上存在することがより好ましい。更に全体の80個数%以上であることが特に好ましい。
また、該磁性コア粒子は、バルク状であっても多孔質状であってもよく、その他の形状であっても良い。好ましくは、多孔質磁性コア粒子であることが、本発明の磁性キャリアの物性のコントロールのために好ましい。また、磁性コア粒子の表面がある程度の凹凸を有しているのが好ましい。
更に、磁性コア粒子の300V/cmにおける比抵抗が、1.0×106Ω・cm以上5.0×107Ω・cm以下であることが、現像性に優れ、高画質な画像形成を行うことできるという点で好ましい。
磁性コア粒子の材質としては、以下のものが挙げられる。
1)表面が酸化された鉄粉、2)未酸化の鉄粉、3)リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム及び希土類元素の如き金属粒子、4)鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム及び希土類元素の如き金属の合金粒子、又はこれらの元素を含む酸化物粒子、5)マグネタイト粒子又はフェライト粒子。
フェライト粒子とは次式で表される焼結体である。
(M12O)u(M2O)v(M32O3)w(M4O2)x(M52O5)y(Fe2O3)z
(式中、M1は1価、M2は2価、M3は3価、M4は4価、M5は5価の金属であり、u+v+w+x+y+z=1.0とした時に、u、v、w、x及びyは、それぞれ0≦(u,v,w,x,y)≦0.8であり、zは、0.2<z<1.0である。)
また、上記式中において、M1乃至M5としては、Li、Fe、Zn、Ni、Mn、Mg、Co、Cu、Ba、Sr、Ca、Si、V、Bi、In、Ta、Zr、B、Mo、Na、Sn、Ti、Cr、Al、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luからなる群から選ばれる1種類以上の金属元素を表す。中でもLi、Mn、Mg、Sr、Cu、Zn、Ni、Co、Caを用いることが好ましい。
例えば、磁性のLi系フェライト(例えば、(Li2O)a(Fe2O3)b(0.0<a<0.4,0.6≦b<1.0、a+b=1))、Mn系フェライト(例えば、(MnO)a(Fe2O3)b(0.0<a<0.5、0.5≦b<1.0、a+b=1))、Mn−Mg系フェライト(例えば、(MnO)a(MgO)b(Fe2O3)c(0.0<a<0.5、0.0<b<0.5、0.5≦c<1.0、a+b+c=1))、Mn−Mg−Sr系フェライト(例えば、(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe2O3)d(0.0<a<0.5、0.0<b<0.5、0.0<c<0.5、0.5≦d<1.0、a+b+c+d=1)、Cu−Zn系フェライト(例えば、(CuO)a(ZnO)b(Fe2O3)c(0.0<a<0.5、0.0<b<0.5、0.5≦c<1.0、a+b+c=1)がある。なお、上記フェライトは主元素を示し、それ以外の微量金属を含有するものも含んでいる。
本発明では、磁性コア粒子の比抵抗、結晶の成長速度のコントロールの容易性の観点から、Mn元素を含有するフェライトが好ましい。例えば、Mn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Mn−Mg−Sr系フェライトが好ましい。
以下に、フェライト粒子の製造工程を詳細に説明する。
工程1(秤量・混合工程):
フェライトの原料を、秤量し、混合する。
フェライトの原料としては、上記の金属元素の酸化物、水酸化物、シュウ酸塩、炭酸塩を用いることができる。
混合する装置としては、例えば以下のものが挙げられる。ボールミル、遊星ミル、ジェットミル、振動ミル。特にボールミルが混合性の観点から好ましい。
ボールミルを用いる場合には、ボールミル中に、秤量したフェライト原料、ボールを入れ、0.1時間以上20.0時間以下、混合する。
工程2(仮焼成工程):
混合したフェライト原料を、大気中で焼成温度700℃以上1000℃以下の範囲で、0.5時間以上5.0時間以下仮焼成し、原料をフェライト化する。焼成には、例えば以下の炉が用いられる。バーナー式焼成炉、ロータリー式焼成炉、電気炉。
工程3(粉砕工程):
工程2で作製した仮焼フェライトを粉砕機で粉砕し、フェライト仮焼微粉砕品を得る。
粉砕機としては、所望の粒径が得られるものであれば特に限定されない。例えば以下のものがあげられる。クラッシャーやハンマーミル、ボールミル、ビーズミル、遊星ミル、ジェットミル。
ボールミルやビーズミルを用いる場合のボールやビーズの素材としては、所望の粒径が得られれば、特に限定されない。例えば、以下のものがあげられる。ソーダガラス(比重2.5g/cm3)、ソーダレスガラス(比重2.6g/cm3)、高比重ガラス(比重2.7g/cm3)等のガラスや、石英(比重2.2g/cm3)、チタニア(比重3.9g/cm3)、窒化ケイ素(比重3.2g/cm3)、アルミナ(比重3.6g/cm3)、ジルコニア(比重6.0g/cm3)、スチール(比重7.9g/cm3)、ステンレス(比重8.0g/cm3)。中でも、アルミナ、ジルコニア、ステンレスは、耐磨耗性に優れているために好ましい。
ボールやビーズの粒径は、所望の粒径が得られれば、特に限定されない。例えば、ボールとしては、直径(φ)5mm以上60mm未満のものが好適に用いられる。また、ビーズとしては直径(φ)0.03mm以上5mm未満のものが好適に用いられる。
また、ボールミルやビーズミルは、湿式の方が、粉砕品がミルの中で舞い上がることがなく粉砕効率が高いため、好ましい。
工程4(造粒工程):
仮焼フェライト微粉砕品に対し、水、バインダーと、必要に応じて、孔調整剤を加え、スラリーを得る。
バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコールが用いられる。
孔調整剤としては、発泡剤や樹脂微粒子が挙げられる。発泡剤として、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸アンモニウム。樹脂微粒子として、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体の如きスチレン共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂;脂肪族多価アルコール、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジアルコール類及びジフェノール類から選択されるモノマーを構造単位として有するポリエステル樹脂;ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油樹脂、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂の樹脂微粒子。
得られたスラリーを、噴霧乾燥機を用い、100℃以上200℃以下の加温雰囲気下で、乾燥・造粒する。
噴霧乾燥機としては、所望の粒径を有する造粒物が得られるものであれば特に限定されない。例えば、スプレードライヤーが使用できる。
工程5(本焼成工程):
次に、得られた仮焼フェライト造粒品を温度800℃以上1400℃以下で、1時間以上24時間以下焼成し、フェライト粒子を得る。好ましくは、温度1000℃以上1200℃以下である。
焼成温度を上げたり、焼成時間を長くしたりすることで、仮焼フェライト造粒品の焼成が進み、結晶成長が起こる。この工程をコントロールすることにより、磁性コア粒子をバルク状にしたり、多孔質状にすることが可能である。また、焼成する雰囲気をコントロールすることで、比抵抗を好ましい範囲にコントロールすることができる。例えば、酸素濃度を低くしたり、還元雰囲気(水素存在下)にしたりすることで、磁性コアの比抵抗を下げることができる。
工程6(選別工程):
以上の様に焼成したフェライト粒子を解砕した後に、必要に応じて、分級や篩で篩分して粗大粒子や微粒子を除去してもよい。
このようにして得られる磁性コア粒子において、多孔質状の場合、孔の数や大きさによっては物理的強度が低くなり、壊れやすくなる。このため、多孔質磁性コア粒子の孔の少なくとも一部に樹脂を充填させたり、表面を樹脂で被覆したりすることによって、磁性キャリアとしての強度を高めることが好ましい。また、樹脂を充填や被覆することによって、磁性キャリアの抵抗率をコントロールすることもできる。
多孔質磁性コア粒子の孔に樹脂を充填する方法としては、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、及び流動床の如き塗布方法が挙げられる。
多孔質磁性コア粒子の孔に充填する樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のどちらを用いてもかまわないが、多孔質磁性コア粒子に対する親和性が高いものであることが好ましい。
多孔質磁性コア粒子の孔に充填させる樹脂として、熱可塑性樹脂としては、以下のものが挙げられる。ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−アクリル樹脂;スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、パーフルオロカーボン樹脂、ポリビニルピロリドン、石油樹脂、ノボラック樹脂、飽和アルキルポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂。
また、上記熱硬化性樹脂としては、以下のものが挙げられる。フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、無水マレイン酸とテレフタル酸と多価アルコールとの重縮合によって得られる不飽和ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−グアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、グリプタール樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂。
また、これらの樹脂を変性した樹脂を用いても良い。中でもポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、パーフルオロカーボン樹脂又は溶剤可溶性パーフルオロカーボン樹脂等の含フッ素系樹脂、変性シリコーン樹脂あるいはシリコーン樹脂は、多孔質磁性コア粒子に対する親和性が高いため好ましい。
例えば、市販品として、以下のものが挙げられる。シリコーン樹脂では、信越化学社製のKR271、KR255、KR152、東レ・ダウコーニング社製のSR2400、SR2405、SR2410、SR2411。変性シリコーン樹脂では、信越化学社製のKR206(アルキッド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性)、東レ・ダウコーニング社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキッド変性)。
多孔質磁性コア粒子の孔に樹脂が充填された磁性キャリア粒子を得るためには、まず、充填させる樹脂と該樹脂が可溶な溶剤を混合した樹脂溶液を用意する。その後、この樹脂溶液を多孔質磁性コアに添加することより、多孔質磁性コア粒子を樹脂溶液に含浸させ、その後溶剤のみ除去させる方法が好ましい。
ここで用いられる溶剤は、充填する樹脂が可溶であれば、有機性の溶剤でも水でもよい。有機溶剤として、トルエン、キシレン、セルソルブブチルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノールが挙げられる。
該樹脂溶液における樹脂の固形分量は、好ましくは1質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上30質量%以下である。50質量%より樹脂の含有量が多い樹脂溶液を用いると、樹脂溶液自体の粘度が高くなるため、多孔質磁性コア粒子の細孔に樹脂溶液が均一に充填しにくい場合がある。また、1質量%未満であると樹脂量が少なく、多孔質磁性コア粒子への樹脂の付着力が低くなる場合がある。
該樹脂溶液に用いる溶剤はトルエンが好ましく、樹脂の含有量が20質量%トルエン溶液における樹脂溶液の粘度が、1.0×10−6m2/s以上1.0×10−3m2/s以下である場合が、多孔質磁性コア粒子に充填されやすいため好ましい。
本発明の磁性キャリア粒子は、表面が樹脂で被覆されていることが好ましい。
多孔質磁性コア粒子を用いる場合は、孔に樹脂を充填させた後に、更に表面を樹脂で被覆してもよく、また、孔に樹脂を充填させずに表面を樹脂で被覆してもよい。多孔質磁性コア粒子に充填する樹脂と表面を被覆させる樹脂は、同じであっても、異なっていても良く、熱可塑性の樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよい。
表面を被覆させる樹脂は、単独でも使用できるが、混合して使用してもよい。又、熱可塑性樹脂に硬化剤等を混合し硬化させて使用することもできる。特により離型性の高い樹脂を用いることが好適である。
さらに、樹脂中に、導電性を有する粒子や荷電制御性を有する粒子を含有させてもよい。導電性を有する粒子としては、カーボンブラック、マグネタイト、グラファイト、酸化亜鉛、酸化錫が挙げられる。
該荷電制御性を有する粒子としては、有機金属錯体の粒子、有機金属塩の粒子、キレート化合物の粒子、モノアゾ金属錯体の粒子、アセチルアセトン金属錯体の粒子、ヒドロキシカルボン酸金属錯体の粒子、ポリカルボン酸金属錯体の粒子、ポリオール金属錯体の粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂の粒子、ポリスチレン樹脂の粒子、メラミン樹脂の粒子、フェノール樹脂の粒子、ナイロン樹脂の粒子、シリカの粒子、酸化チタンの粒子、アルミナの粒子など挙げられる。該荷電制御性を有する粒子の添加量としては、被覆樹脂100質量部に対し、0.5質量部以上、50.0質量部以下であることが、摩擦帯電量を調節するために好ましい。
磁性キャリア粒子の表面を樹脂で被覆する方法としては、特に限定されないが、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、及び流動床の如き塗布方法により被覆する方法が挙げられる。中でも、浸漬法、または乾式法が好ましい。
磁性キャリア粒子の表面を被覆する樹脂の量としては、処理前粒子100質量部に対し、0.1質量部以上5.0質量部以下であることが、トナーへの摩擦帯電付与性をコントロールするために好ましい。
本発明の磁性キャリアは、体積分布基準50%粒径(D50)が20.0μm以上70.0μm以下であることが、キャリア付着を抑制したり、トナースペントを抑制し、長期間の使用においても安定して用いることができるため好ましい。
本発明の磁性キャリアは、1000/4π(kA/m)における磁化の強さが、40Am2/kg以上65Am2/kg以下であることが、ドットの再現性を向上させ、キャリア付着を防止し、また、トナースペントを防止して安定した画像を得るために好ましい。
本発明の磁性キャリアは、真比重が3.2g/cm3以上5.0g/cm3以下であることが、トナースペントを防止して安定した画像を長期にわたり維持できるために好ましい。より好ましくは、3.4g/cm3以上4.2g/cm3以下であり、キャリア付着を防止し、耐久性により優れる。
本発明の磁性キャリアは、トナーと混合して二成分系現像剤として用いられる。
二成分系現像剤は、初期現像剤として用いられてもよく、また、耐久後に現像器に供給される補給用現像剤として用いられてもよい。
初期現像剤として用いる場合には、トナーと磁性キャリアの混合比率が磁性キャリア100質量部に対してトナーを2質量部以上35質量部以下とすることが好ましく、4質量部以上25質量部以下がより好ましい。上記範囲とすることで、高画像濃度を達成しトナーの飛散を低減することができる。
該補給用現像剤として用いる場合には、現像剤の耐久性を高めるという観点から、磁性キャリア1質量部に対してトナーを2質量部以上50質量部以下の配合割合が好ましい。
尚、補給用現像剤を現像器に補給する装置においては、少なくとも現像器内部で過剰になった磁性キャリアを現像器から適宜排出する構成とすることが好ましい。
該二成分系現像剤に用いられるトナーとしては、画像処理解像度512×512画素(1画素あたり0.37μm×0.37μm)のフロー式粒子像測定装置によって計測された円相当径0.500μm以上1.985μm未満である粒子(以下、「小粒子トナー」とも称す)が30個数%以下であることが好ましい。
小粒子トナーの割合は、より好ましくは20個数%以下であり、更に好ましくは10個数%以下である。小粒子トナーの割合が30個数%以下の場合、現像器内での現像剤とトナーの混合性が良好であり、かつ小粒子トナーの磁性キャリアへの付着を少なくすることができる。そのため、長期にわたりトナーの帯電安定性を保持することが出来る。該小粒子トナーの割合は、トナーの製造方法や分級方法によりコントロールすることができる。
また、トナーは、円相当径1.985μm以上39.69μm未満の粒子の平均円形度C1が、0.940以上1.000以下であることが好ましい。また、円相当径0.500μm以上1.985μm未満の粒子(小粒子トナー)の平均円形度C2が平均円形度C1よりも小さいことが好ましい。
トナーの平均円形度C1が、0.940以上1.000以下であることにより、現像剤担持体上における二成分系現像剤の搬送性が良好となり、また、磁性キャリア粒子からのトナー離れが良好となる。そのため、より優れた現像性が得られるようになる。また、C2<がC1よりも小さいことにより、磁性キャリアへの付着が更に少なくなる。そのため、より安定した帯電付与性を維持することができる。また、トナーの帯電量分布が均一になり、優れた現像性を長期にわたり維持することが出来る。平均円形度を調整するためには、トナーの製造方法や分級方法によりコントロールすることができる。
該フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローセルに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間核でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512の画像処理解像度(一画素あたり0.19μm×0.19μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長L等が計測される。
次に、上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度Cは、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度C=2×(π×S)1/2/L
粒子像が円形の時に円形度は1になり、粒子像の外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とする。
また、トナーの重量平均粒径(D4)は、3.0μm以上8.0μm以下が好ましい。トナーの重量平均粒径(D4)が、該範囲の場合、現像器内での流動性、現像剤担持体上へのコート性を長期にわたり維持することができるため好ましい。
トナー用の結着樹脂として好ましく用いられるものは、スチレン系共重合体、ポリエステル樹脂、ポリエステルユニットとスチレン系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂である。
本発明に用いてもよい結着樹脂としては、トナーの保存性と低温定着性を両立するために、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布のピーク分子量(Mp)が2000以上50000以下、数平均分子量(Mn)が1500以上30000以下、重量平均分子量(Mw)が2000以上1000000以下であり、ガラス転移点(Tg)が40℃以上80℃以下であることが好ましい。
トナーに含有されるワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ベヘン酸ベヘニルエステルワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。
ワックスは、結着樹脂100質量部あたり0.5質量部以上20質量部以下で使用されることが好ましい。また、ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度としては45℃以上140℃以下であることが好ましい。トナーの保存性とホットオフセット性を両立できるため好ましい。
トナーに含有される着色剤としては、公知の着色剤を用いることができる。着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下で使用されることが好ましい。
トナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの摩擦帯電スピードが速く且つ一定の摩擦帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ダイカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩或いはスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩或いはカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。ポジ系荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添しても良いし外添しても良い。荷電制御剤の添加量は結着樹脂100質量部に対し0.2質量部以上10質量部以下が好ましい。
トナーには、流動性向上のため、外添剤が添加されていることが好ましい。外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウムの如き無機微粉体が好ましい。無機微粉体は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
外添剤は、トナー粒子100質量部に対して0.1質量部以上5.0質量部以下使用されることが好ましい。
トナー粒子を製造する方法としては、例えば、結着樹脂及び着色剤を溶融混練し、混練物を冷却後、粉砕及び分級する粉砕法;結着樹脂と着色剤とを溶剤中に溶解または分散させた溶液を水系媒体中に導入し懸濁造粒させ、該溶剤を除去することによってトナー粒子を得る懸濁造粒法;モノマーに着色剤等を均一に溶解または分散したモノマー組成物を分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中に分散し、重合反応を行わせトナー粒子を作成する懸濁重合法;モノマーでは可溶であるが、重合体を形成すると不溶となるモノマーと水系有機溶媒を用いて直接トナー粒子を生成するモノマーには可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナー粒子を生成する分散重合法;水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナー粒子を生成する乳化重合法;少なくとも重合体微粒子及び着色剤微粒子を凝集して微粒子凝集体を形成する工程と該微粒子凝集体中の微粒子間の融着を起こさせる熟成工程を経て得られる乳化凝集法;などがある。
粉砕法でのトナー製造手順について説明する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、例えば、結着樹脂、着色剤及びワックス、必要に応じて荷電制御剤等の他の成分を所定量秤量して配合し、混合する。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中に着色剤等を分散させる。その溶融混練工程では、バッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。
更に、溶融混練することによって得られる着色された樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却される。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、粉砕機で粗粉砕した後、微粉砕機による微粉砕が行われる。
その後、必要に応じて分級機や篩分機を用いて分級し、トナー粒子を得る。
また、必要に応じて、粉砕後に、球形化処理の如きトナー粒子の表面改質処理を行うこともできる。
また、重合法によりトナー粒子を生成する場合には、使用するモノマーとしては、スチレン系共重合体を得る際に用いられる公知のモノマーを用いることができる。
モノマーの重合を行う際に用いられる重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤;過酸化物系重合開始剤が用いられる。
重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが、一般的にはモノマーに対し0.5乃至20質量%添加され用いられる。重合開始剤は、重合方法により若干異なるが、10時間半減期温度を参考に、単独又は混合し利用される。重合度を制御するための公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
トナーの製造方法として懸濁重合を利用する場合には、分散剤を用いてもよい。分散剤としては、公知の無機系酸化物化合物や有機系化合物を用いることができる。
これら分散剤は水相に分散させて使用される。これら分散剤の好ましい配合量は、モノマー100質量部に対して0.2乃至10.0質量部である。
これら分散剤は、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい均一な粒度を有する分散粒子を得るために、分散媒中に、高速撹拌下にて該無機化合物を生成させることも出来る。例えば、リン酸三カルシウムの場合、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を高速撹拌下において混合することで懸濁重合により好ましい分散剤を得ることが出来る。
また、モノマー100質量部に対して0.001乃至0.1質量部の界面活性剤を用いても良い。
次に本発明の画像形成方法について説明する。
本発明の画像形成方法を用いた画像形成装置の一例を図2に示す。図2において、静電潜像担持体である感光体12は図中矢印方向に回転する。感光体12は帯電手段である帯電装置13により帯電され、帯電した感光体12表面には、静電潜像形成手段である露光装置14により露光させ、静電潜像を形成する。現像装置15は、二成分系現像剤を収容する現像容器19を有し、現像剤担持体(現像スリーブ)16は回転可能な状態で配置され、且つ、現像剤担持体16内部に磁界発生手段をしてマグネット17を内包している。マグネットの少なくとも一つは感光体に対して対向する位置に設置されている。二成分系現像剤は、マグネットの磁界により現像剤担持体16上に保持され、規制部材18により、二成分系現像剤量が規制された後、感光体12と対向する現像部に搬送される。現像部においては、マグネット17の発生する磁界により磁気ブラシを形成する。その後、感光体12と現像剤担持体17の間に、直流電界に交番電界を重畳してなる現像バイアスを印加することにより静電潜像はトナー像として可視像化される。感光体12上に形成されたトナー像は、転写帯電器20によって転写材23に静電的に転写される。転写工程においては、感光体12から中間転写体に一旦転写し、その後、転写材23に転写する構成であってもよい。その後、転写材23は、定着器21に搬送され、ここで加熱、加圧されることにより、転写材23上にトナーが定着される。その後、転写材23は、出力画像として装置外へ排出される。尚、転写工程後、感光体12上に残留したトナーは、クリーナー22により除去される。その後、クリーナー22により清掃された感光体12は、前露光24からの光照射により電気的に初期化され、上記画像形成動作が繰り返される。
ここで、本発明の画像形成方法の各工程に関して、説明する。
<帯電工程>
帯電工程に用いられる帯電手段としては、静電潜像担持体の表面に電荷を付与して静電潜像担持体を帯電させる手段であれば特に限定されない。帯電手段には、コロナ帯電手段のように、静電潜像担持体に対して非接触で静電潜像担持体を帯電させる装置や、導電性のローラーやブレードを静電潜像担持体に接触させて静電潜像担持体を帯電させる装置が使用可能である。
<露光工程>
露光工程においては、露光手段として公知の露光装置が使用できる。例えば、光源は半導体レーザーまたは発光ダイオードが用いられ、ポリゴンミラー、レンズ、ミラーから成る走査光学系ユニットを用いることができる。
<現像工程>
現像工程においては、現像剤担持体上に本発明の二成分系現像剤で磁気ブラシを形成し、該静電潜像担持体に磁気ブラシを接触させた状態で、該静電潜像担持体と該現像剤担持体との間(SDギャップ)に直流電界に交番電界を重畳してなる現像バイアスを印加して、該静電潜像をトナーにより現像する。
現像剤担持体内部に設置する磁石は、磁束密度が、60mT以上150mT以下であることが、現像剤担持体表面に該二成分系現像剤で磁気ブラシを形成させるため好ましい。
SDギャップは、50μm以上500μm以下の間隔、通常は300μm程度とすることがトナーの現像性、キャリア付着の観点で好ましい。
交番電界は、ピーク間電圧(Vpp)が0.5kV以上2.0kV以下、周波数が1.0kHz以上3.0kHz以下が、高画質化のために好ましい。Vppは、できる限り下げたほうが好ましいが、下げた場合には、現像性が著しく低下する。Vppを高くした場合には、現像性は十分なものが得られる反面、電界強度が高くなりすぎることによる放電現象が起こり、転写材上にリング状又はスポット状の模様が生じる現象が発生する場合がある(リングマークと称す)。リングマークは、Vppを低下させ、放電現象を回避できると防止可能である。したがって、リングマークが発生しないより低いVppで現像することが好ましい。交番電界のピーク間電圧(Vpp)は、好ましくは1.5kV以下であり、より好ましくは1.3kV以下である。
本発明の磁性キャリアを用いることにより、高い現像性を達成できるため、低Vppでも高濃度を維持できる。また、キャリア付着やリングマークを低減することが可能である。
図3は、本発明の画像形成方法をフルカラー画像形成装置に適用した概略図の一例を示す。
図中のK、Y、C、Mなどの画像形成ユニットの並びや回転方向を示す矢印は何らこれに限定されるものではない。ちなみにKはブラック、Yはイエロー、Cはシアン、Mはマゼンタを意味している。図3において、静電潜像担持体である感光体12K、12Y、12C、12Mは図中矢印方向に回転する。各感光体は帯電手段である帯電装置20K、20Y、20C、20Mにより帯電され、帯電した各電子写真感光体表面には、静電潜像形成手段である露光装置14K、14Y、14C、14Mにより露光し、静電潜像を形成する。その後、現像手段である現像装置15K、15Y、15C、15Mに具備される現像剤担持体16K、16Y、16C、16M上に担持された二成分系現像剤(図示しない)により静電潜像はトナー像として可視像化される。さらに転写手段である転写装置20K、20Y、20C、20Mにより中間転写体9に転写される。さらに転写手段である転写装置10により、転写材23に転写され、転写材23は、定着手段である定着装置21により加熱圧力定着され、画像として出力される。そして11は中間転写体9のクリーニング部材であり、転写残トナーなどを回収する。
上記、磁性キャリア及びトナーの各種物性の測定法について以下に説明する。
<動的インピーダンス測定>
磁性キャリアの抵抗率ρの測定方法について説明する。図1は測定に用いた装置の概要図である。
動的インピーダンス測定において、キヤノン製フルカラー複写機image PRESS C1で用いている現像器を以下のように改造して測定を行った。具体的には、現像スリーブ6上のキャリア量が30mg/cm2になるようにSUS製のブレード8の間隔を調整した。
直径60mmアルミニウム製の円筒体1(以下、Alドラム1)とSUS製の現像スリーブ6を300μmの距離(SDギャップ)をあけて対向させ設置する。そして、Alドラム1を300mm/secの周速で、及び現像スリーブ6を540mm/secの周速で、対向する位置において同方向に回転させる。ここでは、キヤノン製フルカラー複写機image PRESS C1の現像器の改造機を用いて測定を行ったが、上記条件に設定できるものであれば、他の装置であっても良い。また、ブレードや現像スリーブの材質は、アルミニウムであってもよい。その状態で、Alドラム1と現像スリーブ6間に電源5(HVA4321;株式会社エヌエフ回路設計ブロック社製)により、測定するAC電圧(sin波)を印加する。なお、本測定において、動的インピーダンス測定用電源5により出力されるAC電圧を、10kΩの動的インピーダンス測定用保護抵抗3を介して現像スリーブ6に印加する。動的インピーダンス測定用保護抵抗3を配置することにより、動的インピーダンス測定用アルミニウム製の円筒体1と現像スリーブ6との間にリーク電流等の過電流が流れることによる、測定器の破損を防止できる。
このとき、sin波の周波数を1Hzから10kHzまでSweepさせ、実効電圧に対する応答電流を計測する。このようにして、インピーダンスを測定し、得られるデータを解析ソフト解析することにより抵抗率ρを得ることができる。本発明では、AC電圧を100Vから1000Vまで100V刻みでAC電圧を変化させ、電界強度依存性を測定する。
電界強度(V/cm)=実効電圧(V)/SDギャップ(cm)
インピーダンスの測定は、誘電体測定システム2 126096W(英国ソーラトロン社製)により、自動で計測を行った。解析方法について説明する。測定装置の制御及び測定データ解析には、装置付属のSMaRT ver:2.7.0を用いて行った。上記ソフトを用いることにより、所定の周波数のAC電圧と、それに応答する電流から、下式で表される周波数に対する複素インピーダンスZ(ω)を測定することができる。
Z(ω)=Re[Z(ω)]+iIm[Z(ω)]
(式中、Re(Z)はインピーダンスの実数部、Im(Z)インピーダンスの虚数部である。また、ωは各周波数である。)
周波数を1Hzから10kHzまでSweepした際の各測定値(Re(Z)、Im(Z))をプロットしたCole−Coleプロット(図4)より、等価回路を導出する。Cole−Coleプロットが図4のような半円の場合、磁性キャリアの等価回路がRCの並列回路であることを示唆している。装置付属の解析ソフト(ZView ver:2.90)により、RC並列回路でフィッティングすることにより、磁性キャリアの抵抗Rp(Ω)を求めることができる。
上記解析方法により求めた磁性キャリアの抵抗Rp(Ω)と、SDギャップ(cm)、磁性キャリアのAlドラム1に対する接触面積(cm2)から、それぞれ磁性キャリアの抵抗率ρ(Ω・cm)を求めた。
抵抗率ρ(Ω・cm)=抵抗Rp(Ω)×接触面積(cm2)÷SDギャップ(cm)
尚、接触面積は、現像部でのAlドラムへ対しての磁気ブラシの接触距離をビデオマイクロスコープで観察して、測定する。
接触面積(cm2)=磁気ブラシの周方向に対しての接触距離(cm)×磁気ブラシの長手方向に対しての接触距離(cm)
<磁性キャリア粒子の断面の反射電子像>
磁性キャリア粒子の断面加工には、集束イオンビーム加工観察装置(FIB)、FB−2100(日立製作所社製)を用いた。FIB用試料台上にカーボンペーストを塗り、その上に磁性キャリア粒子を1粒子ずつ独立して存在するように少量固着させ、導電膜として白金蒸着することで試料を作製する。試料をFIB装置にセットし、加速電圧40kV、Gaイオン源を用いて、粗加工し(ビーム電流39nA)、続いて仕上げ加工(ビーム電流7nA)を行い、試料断面を削り出す。
尚、試料とする磁性キャリア粒子は、各試料の最大径Dmaxとして、D50×0.9≦Dmax≦D50×1.1である磁性キャリアを対象とする。Dmaxは、磁性キャリア粒子を固着させた試料を固着面に対して垂直方向から観察した際の最大径とする。
さらに、各試料の固着面に対して平行な方向における、最大長を含む平面の位置を、固着面からの距離hとする(例えば、半径rの完全な球体の場合、h=rとなる)。そして固着面からの距離0.9×h以上、1.1×h以下の範囲において、固着面と平行な方向に、断面を削り出す。
断面加工した試料は、そのまま走査型電子顕微鏡(SEM)観察に適用することができる。反射電子の放出量は試料を構成する物質の原子番号に依存することから、磁性キャリア断面粒子の組成画像を得ることができる。本発明の磁性キャリア粒子の断面観察においては、走査型電子顕微鏡(SEM)、S−4800(日立製作所社製)を用いて、加速電圧2.0kVにて行った。
磁性キャリア粒子断面のグレースケールのSEM反射電子画像について、画像解析ソフトImage−ProPlus(Media Cybernetics社製)を用いて以下の手順で計算される。
磁性キャリア粒子の加工断面領域を画像上であらかじめ指定する。指定した断面領域について、256階調のグレースケール画像とする。階調値の下位より0乃至19階調を空隙部の領域、20乃至129階調を樹脂部の領域、130乃至254階調を磁性コア部領域として、3領域に画像上で分割する。255階調目は加工断面領域外の背景部分とする。磁性キャリア粒子の断面における磁性コア部の面積比率の測定方法は、磁性キャリア粒子の加工断面領域を画像上であらかじめ指定し、磁性キャリア粒子の断面面積とする。磁性コア部1が占める面積を磁性キャリア粒子の断面面積で除した値を、「磁性コア部の面積比率(面積%)」とする。本発明においては、無作為に選択した20個の磁性キャリア粒子について同様の測定を行い、その平均値を用いる。
<磁性コア粒子の比抵抗の測定>
磁性コア粒子の比抵抗は、図5に概略される測定装置を用いて測定される。なお、磁性コア粒子の測定には、樹脂を含有していない状態の試料を用いて測定する。
抵抗測定セルAは、断面積2.4cm2の穴の開いた円筒状のPTFE樹脂容器30、下部電極(ステンレス製)31、支持台座(PTFE樹脂製)32、上部電極(ステンレス製)33から構成される。支持台座32上に円筒状のPTFE樹脂容器21を載せ、試料(磁性コア)34を0.5g乃至1.3g程度の範囲で充填し、充填された試料34に上部電極33を載せ、試料の厚みを測定する。試料のないときの厚みをd1(ブランク;図中38)、0.5g乃至1.3g程度の試料を充填したときの厚みをd2(試料;図中40)とすると、実際の試料の厚みd(図中39)は下記式で表せる。
d=d2(試料)−d1(ブランク)
この時、試料の厚みが0.95mm以上1.04mmとなるように試料の量を適宜変えることが重要である。
電極間に電圧を印加し、そのときに流れる電流を測定することによって磁性コア粒子の比抵抗を求めることができる。測定には、エレクトロメーター35(ケスレー6517Aケスレー社製)及び制御用にコンピュータ36を用いる。
制御用コンピュータによる制御は、ナショナルインスツルメンツ社製の制御系と制御ソフトウエア(LabVEIW ナショナルインスツルメンツ社製)を用いて行う。測定条件として、試料と電極との接触面積S=2.4cm2、試料の厚み0.95mm以上1.04mm以下になるように実測した値dを入力する。また、上部電極の荷重120g、最大印加電圧1000Vとする。電圧の印加条件は、制御用コンピュータとエレクトロメーター間の制御にIEEE−488インターフェースを用いて、エレクトロメーターの自動レンジ機能を利用する。具体的には、1V、2V、4V、8V、16V、32V、64V、128V、256V、512V、1000Vの電圧を1秒間ずつ印加するスクリーニングを行う。その際に最大1000V(電界強度としては、約10000V/cm)まで印加可能かどうかをエレクトロメーターが判断し、過電流が流れる場合、「VOLTAGE SOURCE OPARATE」が点滅する。すると印加電圧を下げて、印加可能な電圧をさらにスクリーニングし、印加電圧の最大値を自動的に決める。その後、本測定を行う。その最大電圧値を5分割した電圧を各ステップとして30秒間保持させた後の電流値から抵抗値を測定する。例えば、最大印加電圧が1000Vの場合には、200V、400V、600V、800V、1000V、1000V、800V、600V、400V、200Vと200V刻みで電圧を上げた後下げていくような順で印加し、それぞれのステップで30秒保持後の電流値から抵抗値を測定する。また、例えば、最大印加電圧が66.0Vである場合には、13.2V、26.4V、39.6V、52.8V、66.0V、66.0V、52.8V、39.6V、26.4V、13.2Vの順で印加する。そこで得られる電流値をコンピュータにより処理することで、試料厚み、電極面積から電界強度及び比抵抗を算出して、グラフにプロットする。その場合、最大印加電圧から電圧を下げていく5点をプロットする。なお、各ステップでの測定において、「VOLTAGE SOURCE OPARATE」が点滅し、過電流が流れた場合には、測定上、抵抗値が0と表示される。尚、比抵抗、電界強度は、下記式にて求められる。
比抵抗(Ω・cm)=(印加電圧(V)/測定電流(A))×S(cm2)/d(cm)
電界強度(V/cm)=印加電圧(V)/d(cm)
<樹脂粘度の測定方法>
粘度は、HAAKE社製VP−500を用いて、60秒後の粘度を測定した。
測定装置・条件は下記の通り。
粘度計: 回転式粘度計 ビスコテスターVT550(HAAKE社製)
センサーシステム: NVカップ/NVローター
回転数: 8.3s−1(500rpm)
循環恒温槽: オープンバスサーキュレーターDC5−K20(HAAKE社製)
設定温度: 25℃
<磁性キャリア粒子の体積分布基準50%粒径(D50)の測定方法>
粒度分布測定は、レーザー回折・散乱方式の粒度分布測定装置「マイクロトラックMT3300EX」(日機装社製)にて測定を行った。
仮焼フェライト微粉砕品の体積分布基準の50%粒径(D50)の測定では、湿式用の試料循環器「Sample Delivery Control(SDC)」(日機装社製)を装着して行った。仮焼フェライト(フェライトスラリー)を測定濃度になるように試料循環器に滴下した。流速 70%、超音波出力 40W、超音波時間 60秒とした。
測定条件は下記の通りである。
SetZero時間: 10秒
測定時間: 30秒
測定回数: 10回
溶媒屈性率: 1.33
粒子屈折率: 2.42
粒子形状: 非球形
測定上限: 1408μm
測定下限: 0.243μm
測定環境: 約23℃/50%RH
磁性キャリア粒子の体積分布基準50%粒径(D50)の測定には、乾式測定用の試料供給機「ワンショットドライ型サンプルコンディショナーTurbotrac」(日機装社製)を装着して行った。Turbotracの供給条件として、真空源として集塵機を用い、風量約33リットル/sec、圧力約17kPaとした。制御は、ソフトウエア上で自動的に行う。粒径は体積基準の累積値である50%粒径(D50)を求める。制御及び解析は付属ソフト(バージョン10.3.3−202D)を用いて行う。
測定条件は下記の通りである。
SetZero時間: 10秒
測定時間: 10秒
測定回数: 1回
粒子屈折率: 1.81
粒子形状: 非球形
測定上限: 1408μm
測定下限: 0.243μm
測定環境: 約23℃/50%RH
<磁性キャリアの磁化の強さの測定方法>
磁性キャリアの磁化の強さは、振動磁場型磁気特性測定装置(Vibrating sample magnetometer)や直流磁化特性記録装置(B−Hトレーサー)で求めることが可能である。後述の実施例においては、振動磁場型磁気特性測定装置BHV−30(理研電子(株)製)で以下の手順で測定する。
円筒状のプラスチック容器にキャリアを十分に密に充填したものを試料とする。該容器に充填したキャリアの実際の質量を測定する。その後、瞬間接着剤により磁性キャリア粒子が動かないようにプラスチック容器内の磁性キャリア粒子を接着する。
標準試料を用いて、5000/4π(kA/m)での外部磁場軸及び磁化モーメント軸の校正を行う。
スイープ速度5min/roopとし、1000/4π(kA/m)の外部磁場を印加した磁化モーメントのループから磁化の強さを測定した。これらより、試料重さで除して、キャリアの磁化の強さ(Am2/kg)を求める。
<磁性キャリアの真比重の測定方法>
磁性キャリアの真比重は、乾式自動密度計アキュピック1330(島津製作所社製)を用い測定する。まず、23℃/50%RHの環境に24時間放置したサンプルを5g精秤し、測定用セル(10cm3)に入れ、本体試料室に挿入する。測定は、サンプル質量を本体に入力し測定をスタートさせることにより自動測定できる。
自動測定の測定条件は、20.000psig(2.392×102kPa)で調整されたヘリウムガスを用いる。試料室内に10回パージした後、試料室内の圧力変化が0.005psig/min(3.447×10−2kPa/min)になる状態を平衡状態とし、平衡状態になるまで繰り返しヘリウムガスをパージする。平衡状態の時の本体試料室の圧力を測定する。その平衡状態に達した時の圧力変化によりサンプル体積が算出できる。(ボイルの法則)
サンプル体積が算出できることにより、以下の式でサンプルの真比重が計算できる。
サンプルの真比重(g/cm3)=サンプル質量(g)/サンプル体積(cm3)
この自動測定により5回繰り返し測定した値の平均値を磁性キャリア及び磁性コアの真比重(g/cm3)とする。
<トナー中の小粒子(円相当径0.500μm以上1.985μm未満である粒子)の割合及び平均円形度の測定方法>
トナーの中の小粒子の割合及び平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とする。
ここで、解析粒子径範囲を指定することによりその範囲の粒子の個数割合(%)、平均円形度を求めることができる。
例えば、円相当径0.500μm以上、1.985μm未満の粒子の個数割合(%)、平均円形度を求める場合には、解析粒子径範囲を円相当径0.500μm以上、1.985μm未満に限定する。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径円相当径0.500μm以上、1.985μm未満または1.985μm以上、39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
<トナーの重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行った。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<樹脂またはトナーのピーク分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)の測定方法>
ピーク分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。試料としては、樹脂、または、トナーを用いる。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置 :HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム :Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液 :テトラヒドロフラン(THF)
流速 :1.0ml/min
オーブン温度 :40.0℃
試料注入量 :0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度、結着樹脂またはトナーのガラス転移温度Tg>
ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、ワックスを約10mg精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30℃以上200℃以下の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30℃以上200℃以下の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを、本発明のワックスの最大吸熱ピークとする。
また、結着樹脂またはトナーのガラス転移温度(Tg)は、ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度測定と同様に、結着樹脂またはトナーを約10mg精秤し測定する。すると、温度40℃以上100℃以下の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化前と比熱変化後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、結着樹脂またはトナーのガラス転移温度Tgとする。
<磁性コア粒子製造例1>
工程1(秤量・混合工程):
Fe2O3 60.2質量%
MnCO3 33.9質量%
Mg(OH)2 4.8質量%
SrCO3 1.1質量%
上記構成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径10mmジルコニアのボールを用いた乾式ボールミルで2時間粉砕・混合した。
工程2(仮焼成工程):
粉砕・混合した後、バーナー式焼成炉を用い大気中で温度950℃で2時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。フェライトの組成は、下記の通りであった。
(MnO)0.387(MgO)0.108(SrO)0.010(Fe2O3)0.495
工程3(粉砕工程):
クラッシャーで0.5mm程度に粉砕した後に、直径10mmジルコニアのボールを用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで2時間粉砕した。
そのスラリーを、直径1.0mmジルコニアのビーズを用いた湿式ビーズミルで3時間粉砕し、フェライトスラリーを得た。
工程4(造粒工程):
フェライトスラリーに、バインダーとして仮焼フェライト100質量部に対してポリビニルアルコール2.0質量部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、約36μmの球状粒子に造粒した。
工程5(本焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%以下)で、温度1050℃で4時間焼成した。
工程6(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、磁性コア粒子1を得た。
<磁性コア粒子の製造例2>
多孔質磁性コア粒子製造例1のうち、工程5の焼成温度を温度1150℃から温度1100℃に変更した以外は、磁性コア粒子製造例1と同様にして、磁性コア粒子2を得た。
<磁性コア粒子製造例3>
磁性コア粒子の製造例1のうち、工程3の湿式ビーズミルの粉砕時間を2時間から3時間に変更し、工程5の焼成温度を温度1150℃から温度1050℃に変更した以外は、磁性コア粒子製造例1と同様にして、磁性コア粒子3を得た。
<磁性コア粒子製造例4>
磁性コア粒子の製造例1のうち、工程3の湿式ボールミルのボールをジルコニアから直径10mmステンレスのボールに変更し、2時間粉砕した。工程5の焼成温度を1150℃から1200℃に変更した。
上記以外は、磁性コア粒子製造例1と同様にして、磁性コア粒子4を得た。
<磁性コア粒子製造例5>
磁性コア粒子製造例1のうち、工程3の湿式ボールミルのボールをジルコニアから直径10mmステンレスのボールに変更し、湿式ボールミルの粉砕時間を2時間から6時間に変更した。工程5の焼成温度を1150℃から1200℃に変更した。
上記以外は、磁性コア粒子製造例1と同様にして、磁性コア粒子5を得た。
<磁性コア粒子製造例6>
磁性コア粒子製造例5のうち、工程5の焼成温度を1150℃から1300℃に変更した。
上記以外は、磁性コア粒子製造例5と同様にして、磁性コア粒子6を得た。
<磁性コア粒子製造例7>
磁性コア粒子製造例1のうち、工程1でフェライト原材料の比率を下記の如く変更した。
Fe2O3 62.8質量%
MnCO3 30.1質量%
Mg(OH)2 6.4質量%
SrCO3 0.7質量%
フェライトの組成は、下記の通りであった。
(MnO)0.340(MgO)0.143(SrO)0.006(Fe2O3)0.511
工程3のクラッシャーでの粉砕粒度を0.5mm程度から1.0mm程度に変更し、湿式ボールミルのボールをジルコニアから直径10mmアルミナのボールにし、粉砕時間を2時間から1時間に変更した。湿式ビーズミルのビーズをジルコニアから直径1.0mmアルミナのビーズにし、粉砕時間を2時間から3時間に変更した。
工程4のポリビニルアルコールの添加量を2質量部から5質量部に変更した。
工程5の焼成温度を1150℃から1000℃に変更した。
上記以外は、磁性コア粒子製造例1と同様にして、磁性コア粒子7を得た。
<磁性コア粒子の製造例8>
磁性コア粒子製造例7のうち、工程3のクラッシャーでの粉砕粒度を1.0mm程度から0.3mm程度に変更し、湿式ボールミルのボールをアルミナから直径10mmステンレスのボールに変更した。湿式ビーズミルのビーズをアルミナから直径1.0mmステンレスのビーズ、粉砕時間を3時間から4時間に変更した。
工程4のポリビニルアルコールの添加量を5質量部から2質量部に変更した。
工程5の焼成雰囲気を酸素濃度1.00体積%に変更し、焼成温度を1000℃から1100℃に変更した。
上記以外は、磁性コア粒子製造例7と同様にして、磁性コア粒子8を得た。
<磁性コア粒子の製造例9>
個数平均粒径0.30μm、(10000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さ75Am2/kg)のマグネタイトと、個数平均粒径0.60μmのヘマタイトに対して、それぞれに4.0質量部のシラン化合物(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内にて温度100℃以上で高速混合撹拌し、それぞれの微粒子を処理した。
・フェノール
10質量部
・ホルムアルデヒド溶液
6質量部
(ホルムアルデヒド40質量%、メタノール10質量%、水50質量%)
・上記シラン化合物で処理したマグネタイト
58質量部
・上記シラン化合物で処理したヘマタイト
26質量部
上記材料と、28質量%アンモニア水溶液5質量部、水20質量部をフラスコに入れ、攪拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温・保持し、3時間重合反応させて、生成するフェノール樹脂を硬化させた。その後、硬化したフェノール樹脂を30℃まで冷却し、さらに水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体分散型の球状の磁性コア粒子9を得た。
<磁性コア粒子の製造例10>
磁性コア粒子製造例1のうち、工程3のクラッシャーでの粉砕粒度を0.5mm程度から0.3mm程度に変更し、湿式ボールミルのボールをジルコニアから直径10mmステンレスボールに、粉砕時間を2時間から1時間に変更した。湿式ビーズミルの粉砕時間を2時間から1時間に変更した。
工程5の焼成温度を1150℃から1100℃に変更した。
上記以外は、磁性コア粒子製造例1と同様にして、磁性コア粒子10を得た。
<磁性コア粒子の製造例11>
工程1:
Fe2O3 71.0質量%
CuO 12.5質量%
ZuO 16.5質量%
上記組成比になるように、フェライト原材料を秤量した。その後、ボールミルで粉砕・混合した。
工程2:
粉砕・混合した後、大気中で温度950℃で2時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。
フェライトの組成は、下記の通りであった。
(CuO)0.195(ZnO)0.252(Fe2O3)0.553
工程3:
クラッシャーで0.5mm程度に粉砕した後に、直径10mmステンレスのボールを用い、水を加え、湿式ボールミルで6時間粉砕した。
工程4:
フェライトスラリーに、バインダーとして仮焼フェライト100質量部に対しポリビニルアルコール2質量部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で球状粒子に造粒した。
工程5:
大気中で1300℃で4時間焼成した。
工程6:
凝集した粒子を解砕した後に、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、磁性コア11を得た。
<磁性キャリア製造例1>
ストレートシリコーン樹脂(SR2411 東レダウコーニング)20.0質量%
(20質量%トルエン溶液における動粘度 1.1×10−4m2/sec)
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 0.5質量%
トルエン 79.0質量%
上記材料を上記組成比になるように混合し、樹脂液1を得た。
工程1(樹脂充填工程)
磁性コア粒子1 100質量部をダルトン社製万能攪拌混合機の攪拌容器内に入れ、30℃に温度を保ち、減圧しながら窒素を導入した。続いて、樹脂液1を磁性コア粒子1に対し樹脂成分として10質量部になるように添加し2時間攪拌を続け、その後温度を70℃まで上げて、溶剤を除去した。得られた試料を徳寿工作所社製ジュリアミキサーに移し、窒素雰囲気下に温度200℃で2時間熱処理して、目開き70μmの篩で分級して、充填コア粒子1を得た。
工程2(樹脂コート工程)
充填コア粒子1 100質量部をホソカワミクロン社製ナウターミキサーに投入し、さらに、樹脂液1を樹脂成分として1.0質量部になるようにナウターミキサーに投入した。減圧下で70℃に加熱し、1.7S−1(100rpm)で混合し、4時間かけて溶媒除去及び塗布操作を行った。その後、得られた試料をジュリアミキサーに移し、窒素雰囲気下、温度200℃で2時間熱処理した後、目開き70μmの篩で分級して磁性キャリア1を得た。得られた磁性キャリア1の体積分布基準50%粒径(D50)は、36.5μmであった。
<磁性キャリアの製造例2>
磁性キャリア製造例1のうち、工程1の磁性コア粒子1を磁性コア粒子2に、添加する樹脂量を10質量部から12質量部に変更する以外は同様にして、充填コア粒子2を得た。工程2において充填コア粒子2を用いる以外は同様にして、磁性キャリア2を得た。得られた磁性キャリア2の体積分布基準50%粒径(D50)は、40.1μmであった。
<磁性キャリアの製造例3>
磁性キャリア製造例1のうち、工程1の磁性コア粒子1を磁性コア粒子3に、添加する樹脂量を10質量部から16質量部に変更する以外は同様にして、充填コア粒子3を得た。工程2において充填コア粒子1を充填コア粒子3に変更する以外は同様にして、磁性キャリア3を得た。得られた磁性キャリア3の体積分布基準50%粒径(D50)は、36.3μmであった。
<磁性キャリアの製造例4>
磁性キャリア製造例1のうち、工程1の磁性コア粒子1を磁性コア粒子4に、添加する樹脂量を10質量部から12質量部に変更する以外は同様にして、充填コア粒子4を得た。その後、工程2(樹脂コート工程)は実施せず、充填コア粒子4を磁性キャリア4とした。得られた磁性キャリア4の体積分布基準50%粒径(D50)は、36.5μmであった。
<磁性キャリアの製造例5>
磁性キャリア製造例1のうち、工程1を実施せず、工程2(樹脂コート工程)において、充填コア粒子1を磁性コア粒子4に変更し、樹脂液1を用いて温度80℃に加熱した流動床を用いて撹拌しながら、磁性コア粒子4の100質量部に対して、樹脂被覆固形分が4.0質量部となるように塗布および溶媒除去操作を行った。さらに、その後、得られた試料をジュリアミキサーに移し、窒素雰囲気下、温度200℃で2時間熱処理した後、目開き70μmの篩で分級して磁性キャリア5を得た。得られた磁性キャリア5の体積分布基準50%粒径(D50)は、35.8μmであった。
<磁性キャリアの製造例6>
磁性キャリア製造例1のうち、工程1は実施せず、工程2を下記のように行った。
ポリメチルメタクリレート重合体(Mw=66,000) 10.0質量部
(20質量%トルエン溶液における動粘度 8.4×10−5m2/sec)
ボントロンP51(オリエント化学工業株式会社) 2.0質量部
トルエン 88.0質量部
上記材料をビーズミルで分散混合し、樹脂液2を得た。
磁性コア粒子5 100質量部をナウターミキサーに投入し、さらに、樹脂液2を樹脂成分として2.0質量部になるようにナウターミキサーに投入した。減圧下で温度70℃に加熱し、100rpmで混合し、4時間かけて溶媒除去及び塗布操作を行った。その後、得られた試料をジュリアミキサーに移し、窒素雰囲気下、温度100℃で2時間熱処理した後、目開き70μmの篩で分級して磁性キャリア6を得た。得られた磁性キャリア6の体積分布基準50%粒径(D50)は、41.8μmであった。
<磁性キャリアの製造例7>
磁性キャリア製造例6のうち、工程2において、磁性コア粒子5を磁性コア粒子6に変更し、投入する樹脂成分の量を2.0質量部から0.3質量部に変更する以外は同様にし、磁性キャリア7を得た。得られた磁性キャリア7の体積分布基準50%粒径(D50)は、35.8μmであった。
<磁性キャリアの製造例8>
磁性キャリア製造例1のうち、工程1の磁性コア粒子1を磁性コア粒子7に、添加する樹脂量を10質量部から22質量部に変更する以外は同様にして、充填コア粒子5を得た。そして、工程2を下記のように行った。
ポリメチルメタクリレート重合体(Mw=66,000) 10.0質量部
(20質量%トルエン溶液における動粘度 8.4×10−5m2/sec)
カーボンブラック(個数平均粒径30nm、DBP吸油量50ml/100
g)1.0質量部
ボントロンP51(オリエント化学工業株式会社) 2.0質量部
トルエン 87.0質量部
上記材料をビーズミルで分散混合し、樹脂液3を得た。
充填コア粒子5 100質量部をナウターミキサーに投入し、さらに、樹脂液3を樹脂成分として2.0質量部になるようにナウターミキサーに投入した。減圧下で温度70℃に加熱し、100rpmで混合し、4時間かけて溶媒除去及び塗布操作を行った。その後、得られた試料をジュリアミキサーに移し、窒素雰囲気下、温度100℃で2時間熱処理した後、目開き70μmのメッシュで分級して磁性キャリア8を得た。得られた磁性キャリア8の体積分布基準50%粒径(D50)は、37.6μmであった。
<磁性キャリアの製造例9>
磁性キャリア製造例1のうち、工程1の磁性コア粒子1を磁性コア粒子8に変更する以外は同様にして充填コア粒子6を得た。工程2において充填コア粒子6を用いる以外は同様にして、磁性キャリア9を得た。得られた磁性キャリア9の体積分布基準50%粒径(D50)は、36.5μmであった。
<磁性キャリアの製造例10>
磁性キャリア製造例1のうち、工程1は実施せず、工程2の充填コア粒子1を磁性コア粒子9にし、投入する樹脂成分の量を1.0質量部から0.3質量部に変更する以外は同様にし、磁性キャリア10を得た。得られた磁性キャリア10の体積分布基準50%粒径(D50)は、37.5μmであった。
<磁性キャリアの製造例11>
磁性キャリア製造例1のうち、工程1の磁性コア粒子1を磁性コア粒子10に、添加する樹脂量を10質量部から12質量部に変更する以外は同様にして、充填コア粒子7を得た。
そして、工程2(樹脂コート工程)として、充填コア粒子1を充填コア粒子7に変更し、樹脂液1を用いて80℃に加熱した流動床を用いて撹拌しながら、充填コア粒子7の100質量に対して、樹脂被覆固形分が2質量部となるように塗布および溶媒除去操作を行った。さらに、その後、得られた試料を、室温で24時間乾燥させて、目開き70μmの篩で分級して磁性キャリア11を得た。得られた磁性キャリア11の体積分布基準50%粒径(D50)は、29.5μmであった。
<磁性キャリアの製造例12>
磁性キャリア製造例6のうち、工程2において、磁性コア粒子5を磁性コア粒子11に変更し、投入する樹脂成分の量を2.0質量部から0.3質量部に変更する以外は同様にし、磁性キャリア12を得た。得られた磁性キャリア12の体積分布基準50%粒径(D50)は、38.5μmであった。
得られた磁性キャリア1乃至12の処方、物性を、表1−1、表1−2に示す。また、図6に得られた磁性キャリアの動的インピーダンスを測定することにより得られる抵抗率のグラフを示す。実線は磁性キャリア1乃至8、破線は磁性キャリア9乃至12である。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン71.0質量部、テレフタル酸28.0質量部、無水トリメリット酸1.0質量部及びチタンテトラブトキシド0.5質量部をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応せしめて結着樹脂1−1を得た。この結着樹脂1−1のGPCによる分子量は、重量平均分子量(Mw)80000、数平均分子量(Mn)3500、ピーク分子量(Mp)5700であった。
また、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン70.0質量部、テレフタル酸20.0質量部、イソフタル酸3.0質量部、無水トリメリット酸7.0質量部及びチタンテトラブトキシド0.5質量部をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、220℃の温度で撹拌しつつ、6時間反応せしめて結着樹脂1−2を得た。この結着樹脂1−2のGPCによる分子量は、重量平均分子量(MW)120000,数平均分子量(Mn)4000、ピーク分子量(Mp)7800であった。
上記結着樹脂1−1の50質量部、結着樹脂1−2の50質量部を三井三池化工機社製ヘンシェルミキサーで予備混合し、溶融混練機 池貝鉄工所社製PCM30にて回転数3.3s−1、混練樹脂温度150℃の条件で溶融ブレンドを行い結着樹脂1を得た。
(トナーの製造例1)
・上記結着樹脂1 100質量部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度105℃)
5質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5質量部
・C.I.ピグメンブルー15:3 8質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、二軸混練機(池貝鉄工(株)製PCM−30型))にて回転数3.3s−1、混練樹脂温度130℃の条件で混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(ターボ工業(株)製T−250)にて微粉砕した。さらに回転型分級機(ホソカワミクロン社製200TSP)を用い分級を行い、円相当径0.500μm以上1.985μm未満である粒子(小粒子)が5個数%になるように調整を行い、トナー粒子1を得た。得られたトナー粒子1は、重量平均粒径(D4)が5.8μmであった。
得られたトナー粒子1の100質量部に、イソブチルトリメトキシシラン15質量%で表面処理した一次平均粒子径50nmの酸化チタン微粒子1.0質量部、及びヘキサメチルジシラザン20質量%で表面処理した一次平均粒子径16nmの疎水性シリカ微粒子0.8質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製FM−75型)で混合して、トナー1を得た。
得られたトナー1の平均円形度C1は0.955、平均円形度C2は0.935であった。得られたトナー1の物性を表2に示す。
(トナーの製造例2)
イオン交換水710質量部に、0.12mol/l−Na3PO4水溶液450質量部を投入し、60℃に加温して得られた水溶液を、特殊機化工業製TK式ホモミキサーを用いて250s−1にて撹拌した。これに1.2mol/l−CaCl2水溶液68質量部を徐々に添加し、Ca3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
下記材料
・C.I.ピグメントブルー15:3 10質量部
・スチレン 160質量部
・n−ブチルアクリレート 30質量部
・パラフィンワックス(最大吸熱ピークのピーク温度78℃) 20質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5質量部
ポリエステル樹脂(テレフタル酸とポリオキシプロピレン(2.2)−2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの縮重合体;酸価15mgKOH
/g、ピーク分子量6000) 10質量部
上記材料を温度60℃に加温し、TK式ホモミキサーを用いて166.7s−1にて均一に溶解及び分散させた。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10質量部を溶解させ、モノマー混合物を調製した。
得られたモノマー混合物を、上記の水系媒体中に投入した。得られた混合物を温度60℃、窒素雰囲気下で、TK式ホモミキサーを用いて200s−1(12000rpm)で10分間撹拌して、重合性モノマー組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度80℃に昇温し、10時間反応させた。重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去して除去した。冷却後、塩酸を加えてCa3(PO4)2を溶解させた。得られた溶液をろ過し、濾取物を水洗、乾燥してトナー粒子2を得た。このトナー粒子2の重量平均粒子径(D4)は6.7μmであった。
得られたトナー粒子2の100質量部に、イソブチルトリメトキシシラン15質量%で表面処理した一次平均粒子径50nmの酸化チタン微粒子0.8質量部、及びヘキサメチルジシラザン20質量%で表面処理した一次平均粒子径16nmの疎水性シリカ微粒子0.7質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型)で混合して、トナー2を得た。得られたトナー2の物性を表2に示す。
(トナーの製造例3)
トナー製造例1において、回転型分級機を用いて分級を行い、円相当径0.500μm以上、1.985μm未満である粒子(小粒子)が15個数%になるように調整を行う以外は同様にし、トナー3を得た。得られたトナー3の物性を表2に示す。
(トナーの製造例4)
<分散液A>
・スチレン 350質量部
・n−ブチルアクリレート 100質量部
・アクリル酸 25質量部
・t−ドデシルメルカプタン 10質量部
上記材料を混合及び溶解し、モノマー混合物として準備した。
・固形分濃度30%のパラフィンワックス(最大吸熱ピークのピーク温度7
8℃)分散液 100質量部
・アニオン性界面活性剤 1.2質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・非イオン性界面活性剤 0.5質量部
(三洋化成(株)製:ノニポール400)
・イオン交換水 1530質量部
上記材料をフラスコ中で分散し、窒素置換を行いながら加熱を開始した。液温が70℃となったところで、これに6.56質量部の過硫酸カリウムを350質量部のイオン交換水で溶解した溶液を投入した。液温を70℃に保ちつつ、前記モノマー混合物を投入攪拌し、液温を80℃にあげて6時間そのまま乳化重合を継続し、その後に液温を40℃とした後にフィルターで濾過して分散液Aを得た。重量平均分子量(Mw)が15,000であり、ピーク分子量は12,000であった。
<分散液B>
・C.I.ピグメントブルー15:3 12質量部
・アニオン性界面活性剤 2質量部
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
・イオン交換水 86質量部
以上の組成を混合し、ビーズミル(寿工業(株)社製、ウルトラアペックスミル)を用いて分散し着色剤分散液Bを得た。
前記分散液Aの300質量部及び分散液Bの25質量部を、撹拌装置、冷却管及び温度計を装着した1リットルのセパラブルフラスコに投入し撹拌した。この混合液に凝集剤として、10質量%塩化ナトリウム水溶液 180質量部を滴下し、加熱用オイルバス中でフラスコ内を撹拌しながら54℃まで加熱した。温度48℃で1時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると径が約5μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
その後の融着工程において、ここにアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)3質量部を追加した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて撹拌を継続しながら100℃まで加熱し、3時間保持した。そして、冷却後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥させることにより、トナー粒子4を得た。得られたトナー粒子を分析したところ、結着樹脂を85質量部含有していた。このトナー粒子4の重量平均粒子径(D4)は5.5μmであった。
得られたシアン粒子4 100質量部に、イソブチルトリメトキシシラン10質量%で表面処理した一次平均粒子径40nmの酸化チタン微粒子1.0質量部、ヘキサメチルジシラザン10質量%で表面処理した一次平均粒子径20nmの疎水性シリカ微粒子0.5質量部及びヘキサメチルジシラザン10質量%で表面処理した一次平均粒子径110nmの疎水性シリカ微粒子1.5質量部を添加し、ヘンシェルミキサー)で混合して、トナー4を得た。得られたトナー4の物性を表2に示す。
(トナーの製造例5)
トナーの製造例1において、回転型分級機を、コアンダ効果を利用した多分割分級機に変更し、円相当径0.500μm以上1.985μm未満である粒子(小粒子)が32個数%になるように調整を行う以外は同様にしてトナー5を得た。得られたトナー5の物性を表2に示す。
トナー1 10質量部と磁性キャリア1 90質量部をV型混合機により混合し、二成分系現像剤1を得た。
<現像性評価>
画像形成装置として、キヤノン製フルカラー複写機imagePress C1改造機を用い、上記二成分現像剤1を、シアン位置の現像器に上記現像剤を入れ、評価を行った。
現像条件としては、感光ドラムに対する現像スリーブ周速を2.0倍となるように改造した。そして、現像スリーブには、周波数1.5kHz、ピーク間電圧(Vpp1.0kV)の交流電圧と直流電圧VDCを印加した。常温常湿環境下(温度23℃、湿度50%RH)、常温低湿環境下(温度23℃、湿度5%RH)、高温高湿環境下(温度32.5℃、湿度80%RH)、で耐久画出し評価(A4横、30%印字比率、5万枚)を行った。評価紙は、カラーレーザーコピアペーパー(A4、81.4g/m2)キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。
直流電圧VDCは、上記評価環境において、FFH画像(ベタ部)のトナーの紙上への載り量が0.4mg/cm2となるように調整した。
FFH画像とは、256階調を16進数で表示した値であり、00Hを1階調目(白地部)、FFHを256階調目(ベタ部)とする。
各評価項目の評価基準を以下に示す。また、評価結果を表4−1、表4−2、表4−3に示す。
(1)耐久初期(1枚目)および5万枚後の画像濃度およびカブリ
画像のトナーの載り量を0.4mg/cm2となるように現像電圧を初期調整した。X−Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X−Rite社製)を使用し、画像濃度、カブリを測定した。
i)耐久初期(1枚目)および5万枚後の画像における画像濃度の差を以下の基準で評価とした。
(評価基準)
A:0.05未満 非常に優れている
B:0.05以上0.10未満 優れている
C:0.10以上0.20未満 良好
D:0.20以上 劣る
ii)耐久初期(1枚目)および5万枚後のカブリ)
画出し前の普通紙の平均反射率Dr(%)をリフレクトメータ(東京電色株式会社製の「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」)によって測定した。
一方、耐久初期、5万枚後に、普通紙上にベタ白画像(Vback:150V)を画出しした。画出しされたベタ白画像の反射率Ds(%)を測定した。得られたDr及びDs(耐久初期(1枚目)および5万枚後)より、下記式を用いてカブリ(%)を算出した。得られたカブリを下記の評価基準に従って評価した。
カブリ(%) = Dr(%)−Ds(%)
(評価基準)
A:0.5%未満 非常に優れている
B:0.5%以上、1.0%未満 優れている
C:1.0%以上、2.0%未満 良好
D:2.0%以上 劣る
(2)ドット再現性(耐久初期(1枚目)および5万枚後)
1画素を1ドットで形成するドット画像を作成した。即ち、紙状の1ドットあたりの面積が、20000μm2以上25000μm2以下となるように、上記改造器のレーザービームのスポット径を調整した。デジタルマイクロスコープVHX−500(レンズワイドレンジズームレンズVH−Z100・キーエンス社製)を用い、ドット1000個の面積を測定した。
ドット面積の個数平均(S)とドット面積の標準偏差(σ)を算出し、ドット再現性指数を下記式により算出した。
(式):ドット再現性指数(I)=σ/S×100
(評価基準)
A:4.0未満 非常に優れている
B:4.0以上6.0未満 優れている
C:6.0以上8.0未満 良好
D:8.0以上 劣る
(3)白抜け評価
転写紙の搬送方向に対して、ハーフトーン横帯(30H 幅10mm)とベタ黒横帯(FFH 幅10mm)を交互に並べたチャートを出力する(即ち、感光体の長手方向全域に幅10mmのハーフトーン画像を形成し、次いで、長手方向全域に幅10mmのベタ画像を形成し、それを繰り返して得られる画像。)。その画像をスキャナ(600dpi)で読みとり、二値化処理を行う。二値化画像の搬送方向における輝度分布(256階調)を測定する。得られた輝度分布において、ハーフトーン(30H)の輝度よりも白い領域(00Hから30Hの領域)の面積(ドット数)を、白抜け度とし、以下の基準に基づき評価した。
A:50未満 非常に優れている
B:50以上200未満 優れている
C:200以上400未満 良好
D:400以上 劣る
(4)キャリア付着(耐久初期および5万枚後)
紙上にハーフトーン画像(30H)を形成し、そのハーフトーン画像上1cm2の領域内において、光学顕微鏡で、キャリアの存在個数をカウントする。
A:5個未満 非常に優れている
B:5個以上10個未満 優れている
C:10個以上20個以上 良好
D:21個以上 劣る
<実施例2乃至10、及び比較例1乃至5>
実施例1において、下記表3に示す二成分系現像剤に変更し、それ以外は同様にして評価を行った。表4−1、表4−2、表4−3に評価結果を示す。
Claims (9)
- 磁性コア粒子と樹脂とを少なくとも含有する磁性キャリア粒子を有する磁性キャリアであって、
動的インピーダンスを測定することにより得られる、電界強度1.0×103V/cmにおける該磁性キャリアの抵抗率が1.0×106Ω・cm以上1.0×1010Ω・cm以下であり、該磁性キャリアの抵抗率が1.0×109Ω・cmになる電界強度E(109)が2.0×104V/cm以下であり、該磁性キャリアの抵抗率が1.0×108Ω・cmになる電界強度E(108)が5.0×103V/cm以上2.8×104V/cm以下であり、該電界強度E(108)と該電界強度E(109)の比(E(108)/E(109))が1.0以上5.0以下であることを特徴とする磁性キャリア。 - 走査型電子顕微鏡により撮影された該磁性キャリア粒子の断面の反射電子像において、該磁性キャリア粒子の断面積に対して、該磁性コア粒子の面積比率が、50面積%以上95面積%以下であることを特徴とする請求項1に記載の磁性キャリア。
- 該磁性コア粒子が、多孔質磁性コア粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁性キャリア。
- 該磁性キャリア粒子は、該多孔質磁性コア粒子の孔に、樹脂が充填された磁性キャリア粒子であることを特徴とする請求項3に記載の磁性キャリア。
- 該磁性キャリア粒子は、表面が樹脂で被覆されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁性キャリア。
- 磁性キャリアとトナーを少なくとも含有する二成分系現像剤であり、該磁性キャリアは、請求項1乃至5のいずれかに記載の磁性キャリアであることを特徴とする二成分系現像剤。
- 該トナーは、画像処理解像度512×512画素(1画素あたり0.37μm×0.37μm)のフロー式粒子像測定装置によって計測された円相当径0.500μm以上、1.985μm未満である粒子が30個数%以下であることを特徴とする請求項6に記載の二成分系現像剤。
- 該トナーは、フロー式粒子像測定装置によって計測される円相当径1.985μm以上39.69μm未満の粒子の平均円形度C1が0.940以上1.000以下であり、円相当径0.500μm以上1.985μm未満の粒子の平均円形度C2が、C2<C1であることを特徴とする請求項7に記載の二成分系現像剤。
- 静電潜像担持体を帯電手段により帯電する帯電工程、該帯電された静電潜像担持体を露光して静電潜像を形成する露光工程、現像剤担持体上に二成分系現像剤で磁気ブラシを形成し、該静電潜像担持体と該現像剤担持体との間に、磁気ブラシを接触させた状態で、該静電潜像担持体と該現像剤担持体の間に現像バイアスを印加して、該静電潜像担持体と該現像剤担持体の間に電界を形成しながら該静電潜像をトナーにより現像して該静電潜像担持体上にトナー像を形成する現像工程、該静電潜像担持体から中間転写体を介して、あるいは介さずに該トナー像を転写材上へ転写する転写工程、該転写材上の該トナー像を熱及び/または圧力により定着する定着工程を有する画像形成方法であり、該二成分系現像剤は、請求項6乃至8のいずれかに記載の二成分系現像剤であり、該現像バイアスは、直流電界に交番電界が重畳されていることを特徴とする画像形成方法。
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