JPWO2009133913A1 - 歯科用組成物及びコンポジットレジン - Google Patents

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Abstract

本発明は、硬化物の光拡散性と透明性とが共に優れつつ機械的強度及び研磨滑沢性にも優れ、かつペーストの操作性が良好な歯科用組成物を提供する。本発明は、重合性単量体(A)、並びにシリカ系微粒子と、該シリカ系微粒子の表面を被覆する、ジルコニウム原子、ケイ素原子及び酸素原子を含有する酸化物とを含む非晶質粉末であって、平均粒子径が1〜20μmである非晶質粉末(B)を含む歯科用組成物であって、該重合性単量体(A)の硬化物の屈折率と該非晶質粉末(B)の屈折率との差が0.005〜0.03である歯科用組成物である。

Description

本発明は、歯科医療の分野において、天然歯の一部分又は全体を代替し得る歯科材料、特に歯科用コンポジットレジンとして好適に使用できる歯科用組成物に関する。
重合性単量体、充填材及び重合開始剤から構成される歯科用複合材料は、コンポジットレジンと呼ばれ、歯の欠損部や虫歯を修復するための材料として今日最も多用される歯科材料となっている。このような歯科用複合材料においては、以下のような特性が要求される。すなわち、重合硬化後の硬化物においては、天然歯と置換可能な十分な機械的強度、硬度、口腔内での噛み合わせに対する耐磨耗性、表面の滑沢性、天然歯との色調適合性、透明性等である。またさらには、重合硬化前のペースト状態では、適度な流動性や付形性がある、歯科用インスツルメントに付着しない、べとつかない等、臨床医や歯科技工士が扱いやすい(操作性が高い)ことが望まれている。
このような歯科用複合材料の特性は、それに用いられる充填材の材質、形状、粒子径、含有量さらには同時に用いられる充填材の組み合わせに大きく影響を受ける。たとえば平均粒子径が1μmより大きい無機充填材を用いた場合には、重合性単量体中への充填率を上げやすく、硬化物の十分な機械的強度と、高いペーストの操作性が得られるものの、仕上げ研磨しても十分な光沢が得られにくく、仮に十分な光沢が得られたとしても光沢が長続きしないという問題がある。一方、平均粒子径が1μm以下の粒径を有する無機超微粒子充填材を用いると、硬化物の研磨滑沢性や口腔内での滑沢性の耐久性は改善されるが、該無機超微粒子充填材を重合性単量体へ混練した際に、ペーストの粘度上昇が著しく、充填材の含有量を上げることが困難となり、硬化物の機械的強度が低くなったり、重合前のペースト状組成物がベトついたりして操作性が悪くなるという問題がある。また、平均粒子径が100nm以下の無機超微粒子を重合性単量体と混合・硬化させた後に粉砕した有機無機複合充填材を用いると、ペーストの操作性は改善されるが、依然、硬化物中の無機充填材含有量が不十分であり、また、有機無機複合充填材表面はマトリックスとの結合が弱く硬化物の機械的強度は不十分である。このような事情により、硬化物の機械的強度、研磨滑沢性、及びペーストの操作性をバランスよく高めることは困難となっている。
その一方で、近年、歯科用複合材料には上記の特性の他に、天然歯との調和、すなわち色調や、透明性や光拡散性といった光学的特性が天然歯に近い材料が求められており、歯科用複合材料にこれらの特性を付与すべく検討がなされてきた。特開平9−169613号公報には、重合性単量体と、硬化後の重合性単量体との屈折率差が0.06以下である第1のフィラーと、硬化後の重合性単量体との屈折率差が0.06より大きく、平均粒子径が1μm以上の第2のフィラーから構成され、下記式(1)で示される拡散度Dの値が0.002〜0.3である歯科用複合修復材料が記載されている。
D=(I20/cos20°+I70/cos70°)/(2I0) (1)
(式中、Iは試料を透過した光の光度を表し、I0、I20及びI70は試料板に垂直な方向(光の入射方向)に対する、零度、20度、70度方向の光度(光の強さ)をそれぞれ表す。)
特開平9−255516号公報には、重合性単量体と、硬化後の重合性単量体との屈折率差が0.06以下であり、平均粒子径が0.01〜1μmの無機フィラーを凝集後、熱処理して得られるフィラーと、硬化後の重合性単量体との屈折率差が0.06より大きく、平均粒子径が1μm以上のフィラーから構成され、上記式(1)で示される拡散度Dの値が0.002〜0.3である歯科用複合材料が記載されている。
特開2002−138008号公報には、重合性単量体と、硬化後の重合性単量体の屈折率との差の絶対値が0.01以上である平均粒子径が1〜20μmの有機無機複合フィラーから構成され、上記式(1)で示される拡散度Dの値が0.01以上である歯科用硬化性組成物が記載されている。
特開平9−169613号公報又は特開平9−255516号公報に記載の歯科用複合修復材料は、屈折率の異なる2種類のフィラーと重合性単量体との組み合わせから硬化物に光拡散性を付与することで天然歯と調和しやすく、また無機フィラーの一次粒子径を1μm以下とすることで硬化物に十分な研磨性を有する歯科用複合材料が得られる。しかしながら、屈折率の異なる2種類の無機フィラーを用いていることから、歯科材料として十分な透明性が得られにくく、改善の余地があった。
特開2002−138008号公報に記載の歯科用硬化性組成物は、硬化後の重合性単量体の屈折率との差が0.01以上である平均粒子径が1〜20μmの有機無機複合フィラーを用いることで、硬化物に研磨滑沢性、光拡散性を付与している。しかしながら、有機無機複合フィラーを用いているため、マトリックスとなる重合性単量体との結合が不十分となり、十分な機械的強度が得られず、改善の余地があった。
特開平9−169613号公報 特開平9−255516号公報 特開2002−138008号公報
本発明は、従来技術が抱える上記の課題を解決すべくなされたものであって、その目的とするところは、硬化物の光拡散性と透明性とが共に優れつつ機械的強度及び研磨滑沢性にも優れ、かつペーストの操作性が良好な歯科用組成物を提供することにある。本発明はまた、硬化物の光拡散性と透明性とが共に優れつつ機械的強度及び研磨滑沢性にも優れ、かつペーストの操作性が良好なコンポジットレジンを提供することを目的とする。
上記課題を解決した本発明は、重合性単量体(A)、並びに
シリカ系微粒子と、該シリカ系微粒子の表面を被覆する、ジルコニウム原子、ケイ素原子及び酸素原子を含有する酸化物とを含む非晶質粉末であって、平均粒子径が1〜20μmである非晶質粉末(B)
を含む歯科用組成物であって、
該重合性単量体(A)の硬化物の屈折率と該非晶質粉末(B)の屈折率との差が0.005〜0.03である歯科用組成物である。
本発明はまた、当該歯科用組成物を用いたコンポジットレジンである。
本発明の歯科用組成物によれば、良好な光拡散性を有し、かつ高い透明性を有する硬化物が得られる。また、硬化物が高い研磨滑沢性と滑沢耐久性を有するため、本発明の歯科用組成物は、審美性に優れたものとなる。また、本発明の歯科用組成物によれば、高い機械的強度を有する硬化物が得られる。また、本発明の歯科用組成物は、ペーストの操作性が良好で適度な流動性や付形性を有し、歯科用インスツルメントへの付着、べとつきが抑制されており、取り扱い性に優れている。本発明の歯科用組成物は、特にコンポジットレジンとして好適に用いることができ、当該コンポジットレジンは、硬化物の光拡散性と透明性とが共に優れつつ機械的強度及び研磨滑沢性にも優れ、かつペーストの操作性が良好なコンポジットレジンとなる。
乾燥工程を経た後の非晶質粉末(B)の一例のSEM写真(×50万)である。 乾燥工程を経た後の非晶質粉末(B)の別の例のSEM写真(×30万)である。
本発明の重合性単量体(A)は、その硬化物の屈折率と非晶質粉末(B)の屈折率との差が0.005〜0.03となる重合性単量体であれば、公知の重合性単量体が何ら制限無く用いられ、後述する非晶質粉末(B)及び無機粒子(C)の屈折率と近似させやすいことから、硬化物の屈折率が1.45〜1.65となるものが好ましく、1.50〜1.60となるものがより好ましく、1.52〜1.58となるものが特に好ましい。重合性単量体(A)において、硬化後に所望の屈折率を得るためには、一般的に重合性単量体よりもその重合体の方が屈折率がわずかに高くなる傾向を考慮に入れつつ、屈折率の異なる数種の重合性単量体を、適当な配合比で混合すればよい。
上記重合性単量体(A)の中でも、ラジカル重合性単量体が好適に用いられる。重合性単量体(A)におけるラジカル重合性単量体の具体例としては、α−シアノアクリル酸、(メタ)アクリル酸、α−ハロゲン化アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、マレイン酸、イタコン酸などのエステル類、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、モノ−N−ビニル誘導体、スチレン誘導体などが挙げられる。これらの中では、(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。なお、本発明において(メタ)アクリルの表記は、メタクリルとアクリルの両者を包含する意味で用いられる。
(メタ)アクリル酸エステル系の重合性単量体の例を以下に示す。
(I)一官能性(メタ)アクリレート
メチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、エリトリトールモノ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(ジヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルピリジニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシデシルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
(II)二官能性(メタ)アクリレート
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート(2,2−ビス[4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]プロパン、通称BisGMA)、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス[4−〔3−((メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]プロパン、1,2−ビス〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕エタン、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレート(通称UDMA)などが挙げられる。
(III)三官能性以上の(メタ)アクリレート
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、N,N’−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレート、1,7−ジアクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラアクリロイルオキシメチル−4−オキシヘプタンなどが挙げられる。
前記重合性単量体は、いずれも、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
なお、歯質、金属、セラミックスなどに対する接着性を向上させる場合、本発明の重合性組成物には、これらの被着体に対する接着性を付与する機能性モノマーを重合性単量体として含有させることが好ましい場合がある。
機能性モノマーとして、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェートなどのリン酸基を有するモノマー、及び11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシカルボニルフタル酸などのカルボン酸基を有するモノマーは、歯質や卑金属に対して優れた接着性を呈するので好ましい。
また、機能性モノマーとして、例えば、10−メルカプトデシル(メタ)アクリレート、6−(4−ビニルベンジル−n−プロピル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオン、特開平10−1473号公報に記載のチオウラシル誘導体や特開平11−92461号公報に記載の硫黄元素を有する化合物は、貴金属に対して優れた接着性を呈するので、好ましい。
さらに、機能性モノマーとして、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤は、セラミックス、陶材、歯科用コンポジットレジンへの接着に効果的である。
本発明においては、シリカ系微粒子と、当該シリカ系微粒子の表面を被覆する、ジルコニウム原子、ケイ素原子及び酸素原子を含有する酸化物とを含む非晶質粉末(B)を用いる。
なお、本発明において「非晶質」とは、無機粉末をX線回折装置(リガク社製RINT−1400、X線回折法)を用いて、下記条件によりX線回折ピークを測定しても、回折ピークが認められないことを意味する。
〔X線回折の測定条件〕
2θ:10〜70°
スキャンスピード:2°/min
管電圧:30kV
管電流:130mA
シリカ系微粒子とは、酸化物換算でSiO2を80モル%以上含有する微粒子のことをいう。SiO2以外の成分は、本発明の効果を阻害しない成分であれば特に制限がなく、例えば、TiO2、ZrO2、Al23、Na2O等が挙げられる。SiO2の含有量は90モル%以上が好ましく、実質的に(すなわち不可避的不純物を除いて)100モル%であることが好ましい。シリカ系微粒子の平均粒子径は、2〜300nmであることが好ましい。平均粒子径が2nm未満では、最終的に歯科用組成物の硬化物の機械的強度が不十分となるおそれがあり、300nmを超えると、歯科用組成物を用いて歯を修復した場合に、研磨滑沢性が不十分となるおそれがある。なお、シリカ系微粒子の平均粒子径は、動的散乱法により求めることができる。例えば、シリカ系微粒子を含む水分散ゾル(固形分含有量20重量%)7.0gを長さ3cm、幅2cm、高さ2cmの透過窓付き円柱状ステンレスセルに入れて、動的散乱法による超微粒子粒度分析装置(Honeywell社製、型式9340-UPA150)を用いて、粒子径分布を測定し、これより平均粒子径を算出することができる。
シリカ系微粒子の表面を被覆する酸化物は、ジルコニウム原子、ケイ素原子及び酸素原子を含有するものである。当該酸化物は、チタン原子、アルミニウム原子等をさらに含んでいてもよい。このような酸化物がシリカ系微粒子の表面を被覆することにより、非晶質粉末(B)の屈折率が重合性単量体の屈折率と近似するため歯科用組成物の透明性及び光拡散性が優れたものとなると共に、歯科用組成物の硬化物の機械的強度が優れたものとなる。
該酸化物の構造の具体例を以下に示す。
Figure 2009133913
Figure 2009133913
Figure 2009133913
非晶質粉末(B)において、酸化物の被覆は、シリカ系微粒子を1個ずつ被覆してもよいし、複数のシリカ系微粒子を被覆していてもよい。好ましい形態では、酸化物の被覆は、複数のシリカ系微粒子を被覆する。このとき、シリカ系微粒子の酸化物の被覆と、当該シリカ系微粒子に近接するシリカ系微粒子の酸化物の被覆とが、互いに連結した構造を非晶質粉末(B)が有するが、シリカ系微粒子の酸化物の被覆、及び当該シリカ系微粒子に近接するシリカ系微粒子の酸化物の被覆が、伸長して互いに連結した構造を非晶質粉末(B)が有することが好ましい。このように、酸化物の被覆によってシリカ系微粒子が連結している場合には、シリカ系微粒子が分子間力により凝集している場合よりも、シリカ系微粒子同士が強く結合した状態にある。従って、このような非晶質粉末(B)を歯科材料に用いると、機械的強度をより高めることができる。さらに、歯科材料が磨耗する際には、酸化物の被覆の連結部が破断することにより、非晶質粉末(B)の一部分のみが脱落するため、研磨滑沢性もより高くなる。ここで、当該連結構造の外形において、酸化物の被覆が連結する部分が、酸化物がシリカ系微粒子を被覆している部分よりも細くなっている、言い換えると、酸化物の被覆が連結する部分の太さが、その太さ方向におけるシリカ系微粒子の最大寸法と2箇所の酸化物の被覆の厚さとの和よりも小さいことが、研磨滑沢性の観点から好ましい。
また、当該非晶質粉末(B)の構造においては、1個のシリカ系微粒子の酸化物の被覆に、当該シリカ系微粒子と近接する複数のシリカ系微粒子の酸化物の被覆が連結していることがさらに好ましい。このとき、非晶質粉末(B)は、1個のシリカ系微粒子が中心となって、複数のシリカ系微粒子が酸化物の被覆を介してそれに連結した、テトラポッド型、星型等の構造を有していてもよく、また、1個のシリカ系微粒子と酸化物の被覆を介して連結したシリカ系微粒子が、さらに別のシリカ系微粒子と連結していくことにより形成されるような、分岐した三次元ネットワーク状の構造を有していてもよい。この三次元ネットワーク状の構造では、分岐の先端部、分岐点にシリカ系微粒子が存在しており、また、分岐の先端部及び分岐点以外にもシリカ系微粒子が存在していてもよい。非晶質粉末(B)は、前記酸化物の被覆を有する複数のシリカ系微粒子が、当該酸化物の被覆において連結して凝集した、多孔質状の粒子構造を有することが特に好ましい。本発明に用いられる非晶質粉末(B)の例として、そのSEM写真を図1及び図2に示す。
酸化物の被覆体の厚さは、上記シリカ系微粒子の粒子径、後述の表面処理層の厚さ、及び後述の非晶質粉末(B)の粒子径を考慮して適宜設定すればよい。
非晶質粉末(B)には、必要に応じて、有機ケイ素化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、及び有機アルミニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機金属化合物による表面処理が施されていてもよい。すなわち、非晶質粉末(B)の酸化物の被覆上に表面処理層が設けられていてもよい。この表面処理により、重合性単量体(A)と非晶質粉末(B)とのなじみが改善されて分散性及び密着性を向上させることができ、その結果硬化物の機械的強度を高めることができる。有機金属化合物を2種以上使用する場合は、2種以上の有機金属化合物の混合物の表面処理層としてもよいし、複数の有機金属化合物層が積層した複層構造の表面処理層としてもよい。
有機ケイ素化合物としては、R1 nSiX4-nで表される化合物が挙げられる(式中、R1は、炭素数1〜12の置換又は無置換の炭化水素基であり、Xは炭素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子又は水素原子を示し、nは、0〜3の整数である。R1及びXが複数ある場合にはそれぞれ、同一でも異なっていてもよい。)。
具体的には、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、トリメチルブロモシラン、ジエチルシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ω−(メタ)アクリロキシアルキルトリメトキシシラン((メタ)アクリロキシ基とケイ素原子との間の炭素数:3〜12、例、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等)、ω−(メタ)アクリロキシアルキルトリエトキシシラン((メタ)アクリロキシ基とケイ素原子との間の炭素数:3〜12、例、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等)等が挙げられる。
この中でも、重合性単量体(A)と共重合し得る官能基を有するカップリング剤、例えばω−(メタ)アクリロキシアルキルトリメトキシシラン((メタ)アクリロキシ基とケイ素原子との間の炭素数:3〜12)、ω−(メタ)アクリロキシアルキルトリエトキシシラン((メタ)アクリロキシ基とケイ素原子との間の炭素数:3〜12)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等が特に好ましく用いられる。
有機チタン化合物としては、例えば、テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラn−ブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート等が挙げられる。
有機ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムイソプロポキシド、ジルコニウムn−ブトキシド、ジルコニウムアセチルアセトネート、ジルコニルアセテート等が挙げられる。
有機アルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウム有機酸塩キレート化合物等が挙げられる。
さらに、本発明の歯科用組成物に含まれる非晶質粉末(B)においては、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム等の金属元素が含まれるため、かかる表面処理剤としては特開平2−28204号公報に示されたような有機リン酸化合物も好ましく用いられることがある。
非晶質粉末(B)の平均粒子径としては、1(より厳密には1.0)〜20μmであり、2〜15μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。平均粒子径が1μm未満では、最終的にペーストにべたつきを生じ操作性が不十分となり、20μmを超えると、ペーストのたれが大きくなり操作性を損なう。非晶質粉末(B)が凝集粒子であった場合には、上記の平均粒子径は、凝集粒子の平均粒子径である。
なお、非晶質粉末(B)の平均粒子径は、レーザー回折散乱法により、求めることができる。具体的に例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2100:島津製作所製)により、0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を分散媒に用いて測定することができる。
非晶質粉末(B)の粒子の全体形状としては特に制限されることなく、不定形又は略球形(もしくは球状)の粉末として用いることができる。不定形の非晶質粉末(B)を用いると、機械的強度及び耐磨耗性に特に優れ、略球形(もしくは球状)の非晶質粉末(B)を用いると、研磨滑沢性及び滑沢耐久性に特に優れる。非晶質粉末(B)の形状は、歯科用組成物の目的に応じて適宜選択すればよい。
非晶質粉末(B)の屈折率としては、前述した重合性単量体(A)の硬化物の屈折率との差が0.005〜0.03であれば、特に制限されることはないが、前述した重合性単量体(A)の硬化物の屈折率、及び後述する無機粒子(C)の屈折率と近似させやすいことから、1.45〜1.65が好ましく、1.50〜1.60がより好ましく、1.52〜1.58が特に好ましい。なお、非晶質粉末(B)の屈折率は、前記酸化物中の金属元素の比率を調整する、酸化物の被覆層の厚さを調整する等によって、制御することができる。
非晶質粉末(B)の配合量としては、重合性単量体(A)100重量部に対して50〜400重量部が好ましく、75〜350重量部がより好ましく、100〜300重量部が特に好ましい。本発明の歯科用組成物においては、非晶質粉末(B)がシリカ系微粒子の表面をジルコニウム原子、ケイ素原子及び酸素原子等を含む酸化物で被覆した構造であるため、重合性単量体(A)との屈折率差が0.005〜0.03と小さくても十分な光拡散性が得られ、また前記特異的な構造を有することからペーストの粘度上昇やべたつきを生じさせることなく、非晶質粉末(B)の配合量を高く設定することができ、それにより、機械的強度をより高めることも可能である。
非晶質粉末(B)の製造方法には特に制限はなく、例えば、非晶質粉末(B)は、次の各工程に処することによって製造することができる。
(1)酸化ジルコニウム水和物を含む水溶液に、アルカリ金属の水酸化物と過酸化水素を添加して攪拌することにより、該酸化ジルコニウム水和物を解膠して溶解させた混合水溶液を調製する工程。
(2)平均粒子径2〜300nmのシリカ系微粒子を水に分散させたシリカゾルに、前記工程(1)で得られた混合水溶液と珪酸液の水溶液を撹拌しながら添加する工程。
(3)前記工程(2)で得られた混合水溶液を陽イオン交換樹脂で処理して脱アルカリする工程。
(4)前記工程(3)で得られた混合水溶液を反応容器中に入れて、100〜350℃の温度で水熱処理して、シリカ系微粒子の表面が少なくともジルコニウム原子、ケイ素原子及び酸素原子を含有する酸化物で被覆された非晶質粉末(B)を含む混合水溶液を調製する工程。
(5)前記工程(4)で得られた混合水溶液中に含まれる前記非晶質粉末(B)を乾燥する工程。
前記工程(1)で使用される酸化ジルコニウム水和物(ZrO2・xH2O)は、ジルコニウム塩を水溶液中で加水分解する、あるいはジルコニウム塩の水溶液中にアルカリ又はアンモニアを添加して中和反応を起こさせる等、従来公知の方法で調製することができる。たとえば、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ硫酸ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、オキシ酢酸ジルコニウム、オキシ炭酸ジルコニウム及びアンモニウムオキシ炭酸ジルコニウムから選ばれた1種又は2種以上のジルコン酸塩の水溶液にアンモニア又はアンモニア水を撹拌下で添加して得られる中和反応物を洗浄したものなどがある。
前記工程(1)で使用されるアルカリ金属水酸化物(M2O)としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどがあるが、中でも水酸化カリウムを使用することが好ましい。
このアルカリ金属水酸化物は、前記酸化ジルコニウム水和物に対して、モル比(M2O/ZrO2・xH2O)が1/1〜10/1となるような割合で添加することが好ましい。
また、前記工程(1)で使用される過酸化水素(H22)は、前記酸化ジルコニウム水和物に対して、モル比(H22/ZrO2・xH2O)が5/1〜30/1となるような割合で添加することが好ましい。
前記工程(2)で使用されるシリカゾルとしては、平均粒子径が2〜300nmのシリカ系微粒子を含むものであれば、市販のもの(例えば、触媒化成工業(株)製SI−30等)を使用することができる。また、前記シリカゾル中に含まれるシリカ系微粒子の濃度は、0.5〜5重量%の範囲にあることが好ましい。
前記工程(2)で使用される珪酸液の水溶液(以下、単に「珪酸液」という場合がある)としては、珪酸ナトリウム(水ガラス)、珪酸カリウム等のアルカリ金属珪酸塩、第4級アンモニウムシリケート等の有機塩基の珪酸塩などの珪酸塩水溶液を陽イオン交換樹脂で処理して脱アルカリしたものがある。
この珪酸液の水溶液の中でも、pHが2〜4の範囲にあり、ケイ素成分の含有量がSiO2換算基準で0.5〜5重量%の範囲にあるものを使用することが好ましい。
前記工程(1)で得られる混合水溶液-(1)及び前記珪酸液は、該混合水溶液-(1)中に含まれるジルコニウム成分をZrO2で表し、前記珪酸液中に含まれるケイ素成分をSiO2-(1)で表したとき、モル比(ZrO2/SiO2-(1))が1/16〜1/1となるようにそれぞれ調整して、前記シリカゾル中に共にゆっくりと添加することが好ましい。
また、前記シリカゾル中へのこれらの添加量は、該シリカゾル中に含まれるシリカ系微粒子上への被覆度合いによっても異なるが、該シリカ系微粒子をSiO2-(2)で表したとき、重量比{(ZrO2/SiO2-(1))/SiO2-(2)}が7/100〜15/10の範囲にあることが好ましい。なお、前記シリカゾルは、これらを添加する前に、あらかじめ70〜95℃の温度に加熱しておくことが好ましい。
このようにして、前記シリカゾル中に前記混合水溶液-(1)及び前記珪酸液の水溶液を撹拌しながら添加すると、この混合水溶液-(2)中で前記ジルコニウム成分と前記ケイ素成分の加水分解反応が起こって、前記シリカゾル中に含まれるシリカ系微粒子の表面が、前記成分の部分加水分解物や加水分解物で被覆される。
強いアルカリ性を呈する前記混合水溶液-(1)の添加に伴い、前記混合水溶液-(2)中のpHは経時的に高まるので、該混合水溶液のpHが11に近づいた段階で、前記混合水溶液-(1)と前記珪酸液の添加を中止することが望ましい。ここで、前記pHが11を超えると、前記シリカゾル中に含まれるシリカ系微粒子がアルカリにより混合水溶液-(2)中に溶解し始めるので、好ましくない。
よって、pHが11になった段階で前記混合水溶液-(2)及び前記珪酸液の添加が完了していない場合は、以下に述べる工程(3)に処して脱アルカリした後、この操作を再度又は繰り返して行うことが好ましい。
前記工程(3)では、前記工程(2)で得られた混合水溶液-(2)を陽イオン交換樹脂で処理して脱アルカリする。ここで使用される陽イオン交換樹脂としては、特に制限されるものではないが、三菱化学(株)製のSK1BH等の陽イオン交換樹脂を使用することが好ましい。
また、この工程では、前記混合水溶液-(2)を該混合水溶液のpHが7.0〜10.0となるように脱アルカリ処理することが好ましい。
前記工程(4)では、前記工程(3)で得られた混合水溶液-(3)を反応容器中に入れて、100℃〜350℃の温度で水熱処理する。ここで、前記反応容器としては、0.5〜16.5MPaの圧力に耐える耐圧・耐熱容器であれば特に制限されるものではないが、ステンレススチール製のオートクレーブを用いることが好ましい。
このようにして、シリカ系微粒子の表面が少なくともジルコニウム原子、ケイ素原子及び酸素原子を含有する酸化物で被覆された非晶質粉末(B)を含有する混合水溶液-(4)が得られる。
前記工程(5)では、前記工程(4)で得られた混合水溶液-(4)中に含まれる非晶質粉末(B)からなる固形分を乾燥する。ここで、前記混合水溶液-(4)中に含まれる固形分は、従来より一般的に用いられている乾燥工程、たとえば該固形分を濾過分離した後、必要に応じて純水又は蒸留水で洗浄してから80〜250℃の温度で熱風乾燥する工程などに供して乾燥することができる。
この熱風乾燥工程から得られる乾燥体は、必要に応じてすり鉢やボールミル等を用いた粉砕工程に供してその粒子径を調整することが望ましい。得られる乾燥体の部分構造は、例えば、図1に示すように、シリカ系微粒子を被覆する酸化物及び近接するシリカ系微粒子を被覆する酸化物が、伸長して互いに連結した構造をとることによって、酸化物の被覆が複数のシリカ系微粒子を被覆している構造を有している。また、得られる乾燥体の全体構造は、例えば、図2に示すように、前記酸化物の被覆を有する複数のシリカ系微粒子が、当該酸化物の被覆において連結して凝集した、多孔質状の粒子構造を有している。
また、前記工程(5)において、混合水溶液-(4)を、(スプレードライヤー等により)噴霧乾燥することで、粒子の全体形状が球状又は略球状である非晶質粉末(B)を得ることもできる。
このようにして、少なくともジルコニウム、ケイ素及び酸素からなる酸化物で被覆されたシリカ系微粒子を含む無機酸化物微粒子群からなる非晶質の乾燥粉体又はその粉砕物が得られる。
本発明に用いられる非晶質粉末(B)としては、上記で得られた非晶質の乾燥粉体又はその粉砕物をそのまま使用してもよいが、機械的強度や耐磨耗性などの観点から、300〜900℃の温度で焼成することが好ましい。焼成の方法としては、公知の方法を何ら制限なく用いることができるが、好ましくは石英坩堝を用いて電気炉中で焼成する方法が好ましい。
このように前記非晶質の乾燥粉体を焼成して、非晶質粉末(B)の焼成体(非晶質の焼成粉体)を容易に得ることができる。焼成体の粒子形状は、その形態収縮が一部見られるものの、前記非晶質の乾燥粉体の形状とほぼ同じである。
従って、非晶質粉末(B)の焼成体も、前記酸化物の被覆を有する複数のシリカ系微粒子が、当該酸化物の被覆において連結して凝集した、多孔質状の粒子構造を有し得る。焼成工程で得られた焼成体は、必要に応じてすり鉢やボールミル等を用いた粉砕工程に供してその粒子径を調整するとよい。
本発明の歯科用組成物においては、重合性単量体(A)の硬化物の屈折率と非晶質粉末(B)の屈折率との差が、絶対値で0.005〜0.03である。ここで、非晶質粉末(B)に上記表面処理層が設けられている場合は、非晶質粉末(B)の屈折率は、この表面処理層を除いて考える。すなわち、表面処理を施す前の非晶質粉末(B)の屈折率を基準とする。
一般に、歯科用組成物の硬化物の透明性が高くなれば、光拡散性が低下する傾向にあり、硬化物の透明性と光拡散性とが両立した歯科用組成物を得ることは困難であった。また、透明性と光拡散性を両立できた場合でも、歯科用組成物として必要な他の特性を損なうなどの問題があった。しかし、本発明者らが鋭意検討した結果、シリカ系微粒子を、ジルコニウム原子、ケイ素原子及び酸素原子を含有する酸化物により被覆した非晶質粉末(B)を用いることにより、歯科用組成物の硬化物の良好な機械的強度、研磨滑沢性、ペースト操作性などを得つつ、充填材成分の屈折率を高めることができ、さらに、この非晶質粉末(B)のような特殊な充填材を、前記屈折率の差が前記範囲内にあるように、重合性単量体(A)と組み合わせた場合に、優れた透明性と光拡散性とを両立できることを見出した。
光拡散性とは、歯科用複合材料のような半透明の材料に光が入射した場合に、光が材料内部の充填材によって屈折反射されて様々な方向へ光が拡散される性質であり、観察される反射拡散光は歯科用複合材料の色調やその背景色を反映した色調を有することになるため、光拡散性が高ければ、修復物の背景色や修復物と天然歯との輪郭をぼかす効果も大きく、従って、天然歯との色調適合性が高くなると考えられる。この光拡散性の指標としては、下記式(1)で定義される拡散度Dが提案されている。
D=(I20/cos20°+I70/cos70°)/(2I0) (1)
(式中、Iは試料を透過した光の光度を表し、I0、I20及びI70は試料板に垂直な方向(光の入射方向)に対する、零度、20度、70度方向の光度(光の強さ)をそれぞれ表す。)
これら光度(光の強さ)の測定は、変角光度計あるいはゴニオフォトメーターを用いて測定することができる。この拡散度Dの値が高いほど硬化物の光拡散性が高いことを意味する。
本発明の歯科用組成物によれば、この拡散度Dが、0.01〜0.5という値を達成することができる。拡散度Dの値は、0.01より小さいと、歯科用組成物の光拡散性が不十分となり、天然歯との調和が得られにくく、0.5より大きいと、光拡散性が強すぎて十分な透明性が得られないものである。従って、本発明の歯科用組成物は、天然歯との調和が得られる高い光拡散性を有しているといえる。この拡散度Dの値としては、天然歯との調和という観点から、0.02〜0.4が好ましく、0.03〜0.3がより好ましい。本発明の歯科用組成物は、前記屈折率差を調整することにより、拡散度Dをこれらの好ましい範囲にすることも可能である。傾向として、屈折率差が小さいほど、拡散度Dが小さくなる。
また、透明性の指標としては、下記式(2)で示される透明度ΔLが提案されている。
ΔL=Lw−Lb (2)
(式中、Lwは標準白板に密着して測定した場合の試料の明度、Lbは標準黒板に密着して測定した場合の試料の明度Lbを意味する。)
透明度ΔLは、分光測色計(ミノルタ社製、CM−3610d)を用いて、C光源測色視野2度で、試験片の背後に標準白板を置いて色度を測定した場合の明度(Lw)と、同じ試験片の背後に標準黒板を置いて色度を測定した場合の明度(Lb)を測定することによって求めることができる。この透明度ΔLの値が大きいほど硬化物の透明度が高いことを意味する。
本発明の歯科用組成物によれば、この透明度ΔLが、30〜50という値を達成することができる。透明度ΔLの値は、30より小さい場合には、十分な透明性が得られず、天然歯と質感が異なり、50より大きい場合には、光拡散性が不十分となり、天然歯との調和が得られにくいものである。従って、本発明の歯科用組成物は、天然歯との調和が得られる高い透明性を有しているといえる。この透明度ΔLの値としては、35〜50がより好ましく、40〜50が特に好ましい。本発明の歯科用組成物は、前記屈折率差を調整することにより、透明度ΔLをこれらの好ましい範囲にすることも可能である。傾向として、屈折率差が小さい程、透明度ΔLが大きくなる。
次に、本発明の歯科用組成物には、さらなる高性能化を目的とし、本発明の効果を阻害しない範囲で、無機粒子(C)、無機超微粒子(D)、重合開始剤(E)等の成分を含有させてもよい。
本発明の歯科用組成物は、硬化物の機械的特性などの向上を目的として、無機粒子(C)を含んでいてもよい。無機粒子(C)としては、歯科用組成物に使用される公知の無機粒子が何ら制限なく使用される。当該無機粒子としては、各種ガラス類〔シリカを主成分とし、必要に応じ、重金属、ホウ素、アルミニウム等の酸化物を含有する。例えば、溶融シリカ、石英、ソーダライムシリカガラス、Eガラス、Cガラス、ボロシリケートガラス(パイレックス(登録商標)ガラス)等の一般的な組成のガラス粉末;バリウムガラス(GM27884、8235、ショット社製、Ray−SorbE2000、Ray−SorbE3000、SpecialtyGlass社製)、ストロンチウム・ボロシリケートガラス(Ray−SorbE4000、SpecialtyGlass社製)、ランタンガラスセラミックス(GM31684、ショット社製)、フルオロアルミノシリケートガラス(GM35429、G018−091、G018−117、ショット社製)などの歯科用ガラス粉末〕、各種セラミック類、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア等の複合酸化物、珪藻土、カオリン、粘土鉱物(モンモリロナイトなど)、活性白土、合成ゼオライト、マイカ、フッ化カルシウム、フッ化イッテルビウム、フッ化イットリウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、ヒドロキシアパタイトなどが挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、シリカを主成分として含むもの(シリカを25重量%以上、好ましくは40重量%以上含むもの)が好適である。
無機粒子(C)の平均粒子径としては、0.1〜1.0μmが好ましく、0.2〜0.9μmがより好ましく、0.4〜0.7μmが特に好ましい。平均粒子径が0.1μm未満では、機械的強度が不十分であったり、ペーストにべたつきを生じ操作性が不十分となるおそれがあり、1.0μmを超えると、硬化物の研磨滑沢性や滑沢耐久性を損なうおそれがある。なお、無機粒子(C)の平均粒子径は、前述した非晶質粉末(B)の平均粒子径の測定方法を同様に用いることができる。
前記無機粒子(C)は、非晶質粉末(B)と同様に、重合性単量体と組み合わせて歯科用組成物に用いることから、該無機充填材と重合性単量体との親和性を改善したり、該無機充填材と重合性単量体との化学結合性を高めて硬化物の機械的強度を向上させるために、予め表面処理剤で表面処理を施しておくことが望ましい。かかる表面処理剤としては非晶質粉末(B)で例示した有機金属化合物を同様に用いることができる。
無機粒子(C)の形状としては特に制限されることなく、不定形もしくは球形の粒子の粉末として用いることができる。不定形の無機粒子(B)を用いると、機械的強度及び耐磨耗性に特に優れ、球形の無機粒子(C)を用いると、研磨滑沢性及び滑沢耐久性に特に優れる。無機粉末(C)の形状は歯科用組成物の目的に応じて適宜選択すればよい。
無機粒子(C)の屈折率としては、特に制限されることはないが、前述した重合性単量体(A)の硬化物、及び非晶質粉末(B)の屈折率と近似させやすいことから、1.45〜1.65が好ましく、1.50〜1.60がより好ましく、1.52〜1.58が特に好ましい。また、重合性単量体(A)の硬化物、及び非晶質粉末(B)との屈折率差が小さいほどよい。
無機粒子(C)の配合量としては、重合性単量体(A)100重量部に対して50〜400重量部が好ましく、100〜350重量部がより好ましく、150〜300重量部が特に好ましい。
本発明の歯科用組成物は、ペースト操作性などの向上を目的として、無機超微粒子(D)を含んでいてもよい。本発明における無機超微粒子(D)としては、歯科用組成物に使用される公知の無機超微粒子が何ら制限なく使用される。好ましくは、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の無機酸化物粒子、又はこれらからなる複合酸化物粒子、燐酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、フッ化イットリウム、フッ化イッテルビウム等が挙げられる。好ましくは、火炎熱分解法で作製されるシリカ、アルミナ、チタニア等の粒子であり、例えば、日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジル、アエロキサイドAluC、アエロキサイドTiO2P25、アエロキサイドTiO2P25S、VP Zirconium Oxide 3−YSZ、VP Zirconium Oxide 3−YSZ PHが挙げられる。
無機超微粒子(D)の平均粒子径としては、5〜50nmが好ましく、10〜40nmがより好ましい。なお、無機超微粒子(D)の平均粒子径は、超微粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、無作為に選択した100個の超微粒子の粒子径の平均値として測定できる。なお、超微粒子が非球状である場合には、粒子径は、超微粒子の最長と最短の長さの算術平均をもって粒子径とし、凝集粒子である場合には、一次粒子の粒子径とする。
前記無機超微粒子(D)は、非晶質粉末(B)と同様に、重合性単量体と組み合わせて歯科用組成物に用いることから、該無機充填材と重合性単量体との親和性を改善したり、該無機充填材と重合性単量体との化学結合性を高めて硬化物の機械的強度を向上させるために、予め表面処理剤で表面処理を施しておくことが望ましい。かかる表面処理剤としては非晶質粉末(B)で例示した有機金属化合物を同様に用いることができる。
無機超微粒子(D)の配合量としては、重合性単量体(A)100重量部に対して10〜50重量部が好ましく、10〜40重量部がより好ましく、15〜30重量部が特に好ましい。
本発明の歯科用組成物は、重合硬化を容易にするために、重合性開始剤(E)を含むことが好ましい。重合開始剤(E)としては、一般工業界で使用されている重合開始剤から選択して使用でき、中でも歯科用途に用いられている重合開始剤が好ましく用いられる。特に、光重合及び化学重合の重合開始剤が、単独で又は2種以上適宜組み合わせて使用される。
光重合開始剤としては、(ビス)アシルホスフィンオキサイド類、水溶性アシルホスフィンオキサイド類、チオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩、ケタール類、α−ジケトン類、ベンゾインアルキルエーテル化合物類、α−アミノケトン系化合物などが挙げられる。
上記光重合開始剤として用いられる(ビス)アシルホスフィンオキサイド類のうち、アシルフォスフィンオキサイド類としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジ−(2,6−ジメチルフェニル)ホスホネートなどが挙げられる。ビスアシルフォスフィンオキサイド類としては、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、(2,5,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
上記光重合開始剤として用いられる水溶性アシルフォスフィンオキサイド類は、アシルフォスフィンオキサイド分子内にアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ピリジニウムイオン又はアンモニウムイオンを有することが好ましい。例えば、水溶性アシルフォスフィンオキサイド類は、欧州特許第0009348号明細書又は特開昭57−197289号公報に開示されている方法により合成することができる。
上記水溶性アシルフォスフィンオキサイド類の具体例としては、モノメチルアセチルフォスフォネート・ナトリウム、モノメチル(1−オキソプロピル)フォスフォネート・ナトリウム、モノメチルベンゾイルフォスフォネート・ナトリウム、モノメチル(1−オキソブチル)フォスフォネート・ナトリウム、モノメチル(2−メチル−1−オキソプロピル)フォスフォネート・ナトリウム、アセチルフォスフォネート・ナトリウム、モノメチルアセチルフォスフォネート・ナトリウム、アセチルメチルフォスフォネート・ナトリウム、メチル4−(ヒドロキシメトキシフォスフィニル)−4−オキソブタノエート・ナトリウム塩、メチル−4−オキソフォスフォノブタノエート・モノナトリウ厶塩、アセチルフェニールフォスフィネート・ナトリウム塩、(1−オキソプロピル)ペンチルフォスフィネート・ナトリウム、メチル−4−(ヒドロキシペンチルフォスフィニル)−4−オキソブタノエート・ナトリウム塩、アセチルペンチルフォスフィネート・ナトリウム、アセチルエチルフォスフィネート・ナトリウム、メチル(1,1−ジメチル)メチルフォスフィネート・ナトリウム、(1,1−ジエトキシエチル)メチルフォスフィネート・ナトリウム、(1,1−ジエトキシエチル)メチルフォスフィネート・ナトリウム、メチル−4−(ヒドロキシメチルフォスフィニル)−4−オキソブタノエート・リチウム塩、4−(ヒドロキシメチルフォスフィニル)−4−オキソブタノイックアシッド・ジリチウム塩、メチル(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチル−1,3−チアゾリディン−2−イル)フォスフォナイト・ナトリウム塩、(2−メチルパーヒドロ−1,3−ディアジン−2−イル)フォスフォナイト・ナトリウム塩、アセチルフォスフィネート・ナトリウム塩、(1,1−ジエトキシエチル)フォスフォナイト・ナトリウム塩、(1,1−ジエトキシエチル)メチルフォスフォナイト・ナトリウム塩、メチル(2−メチルオキサチオラン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2,4,5−トリメチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1,1−プロポキシエチル)フォスフィネート・ナトリウム塩、(1−メトキシビニル)メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、(1−エチルチオビニル)メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチルパーヒドロ−1,3−ジアジン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチルパーヒドロ−1,3−チアジン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチル−1,3−ジアゾリジン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(2−メチル−1,3−チアゾリジン−2−イル)フォスフィネート・ナトリウム塩、(2,2−ジシアノ−1−メチルエチニル)フォスフィネート・ナトリウム塩、アセチルメチルフォスフィネートオキシム・ナトリウ厶塩、アセチルメチルフォスフィネート−O−ベンジルオキシム・ナトリウム塩、1−[(N−エトキシイミノ)エチル]メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1−フェニルイミノエチル)フォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1−フェニルヒドラゾンエチル)フォスフィネート・ナトリウム塩、[1−(2,4−ジニトロフェニルヒドラゾノ)エチル]メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、アセチルメチルフォスフィネートセミカルバゾン・ナトリウム塩、(1−シアノ−1−ヒドロキシエチル)メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、(ジメトキシメチル)メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、フォーミルメチルフォスフィネート・ナトリウム塩、(1,1−ジメトキシプロピル)メチルフォスフィネート・ナトリウム塩、メチル(1−オキソプロピル)フォスフィネート・ナトリウム塩、(1,1−ジメトキシプロピル)メチルフォスフィネート・ドデシルグアニジン塩、(1,1−ジメトキシプロピル)メチルフォスフィネート・イソプロピルアミン塩、アセチルメチルフォスフィネートチオセミカルバゾン・ナトリウム塩、1,3,5−トリブチル−4−メチルアミノ−1,2,4−トリアゾリウム(1,1−ジメトキシエチル)−メチルフォスフィネート、1−ブチル−4−ブチルアミノメチルアミノ−3,5−ジプロピル−1,2,4−トリアゾリウム(1,1−ジメトキシエチル)−メチルフォスフィネート、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィンオキサイドナトリウム塩、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィンオキサイドカリウム塩、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィンオキサイドのアンモニウム塩などが挙げられる。さらに、特開2000−159621号公報に記載されている化合物も挙げられる。
これら(ビス)アシルフォスフィンオキサイド類及び水溶性アシルフォスフィンオキサイド類の中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド及び2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィンオキサイドナトリウム塩が特に好ましい。
上記光重合開始剤として用いられるチオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩としては、例えば、チオキサントン、2−クロルチオキサンセン−9−オン、2−ヒドロキシ−3−(9−オキシ−9H−チオキサンテン−4−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(1−メチル−9−オキシ−9H−チオキサンテン−4−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(1,3,4−トリメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライドなどが使用できる。
これらチオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩の中でも、特に好適なチオキサントン類は、2−クロルチオキサンセン−9−オンであり、特に好適なチオキサントン類の第4級アンモニウ厶塩は、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロライドである。
上記光重合開始剤として用いられるケタール類の例としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等が挙げられる。
上記光重合開始剤として用いられるα−ジケトン類としては、例えば、ジアセチル、ジベンジル、カンファーキノン、2,3−ペンタジオン、2,3−オクタジオン、9,10−フェナンスレンキノン、4,4’−オキシベンジル、アセナフテンキノン等が挙げられる。この中でも、可視光域に極大吸収波長を有している観点から、カンファーキノンが特に好ましい。
上記光重合開始剤として用いられるベンゾインアルキルエーテル類の例としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
上記光重合開始剤として用いられるα−アミノケトン類の例としては、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が挙げられる。
これらの光重合開始剤の中でも、(ビス)アシルフォスフィンオキサイド類及びその塩、並びにα−ジケトン類からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。これにより、可視及び近紫外領域での光硬化性に優れ、ハロゲンランプ、発光ダイオード(LED)、キセノンランプのいずれの光源を用いても十分な光硬化性を示す組成物が得られる。
本発明に用いられる重合開始剤(E)のうち化学重合開始剤としては、有機過酸化物が好ましく用いられる。上記の化学重合開始剤に使用される有機過酸化物は特に限定されず、公知のものを使用することができる。代表的な有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるケトンパーオキサイドとしては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド及びシクロヘキサノンパーオキサイド等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるハイドロパーオキサイドとしては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド及びt−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるジアシルパーオキサイドとしては、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド及びラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるジアルキルパーオキサイドとしては、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるパーオキシケタールとしては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン及び4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレリックアシッド−n−ブチルエステル等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるパーオキシエステルとしては、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,2,4−トリメチルペンチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタラート、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート及びt−ブチルパーオキシマレリックアシッド等が挙げられる。
上記化学重合開始剤として用いられるパーオキシジカーボネートとしては、ジ−3−メトキシパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート及びジアリルパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
これらの有機過酸化物の中でも、安全性、保存安定性及びラジカル生成能力の総合的なバランスから、ジアシルパーオキサイドが好ましく用いられ、その中でもベンゾイルパーオキサイドが特に好ましく用いられる。
本発明に用いられる重合開始剤(E)の配合量は特に限定されないが、得られる組成物の硬化性等の観点からは、重合性単量体(A)100重量部に対して、重合開始剤(E)を0.01〜10重量部含有してなることが好ましく、0.1〜5重量部含有してなることがより好ましい。重合開始剤(E)の配合量が0.01重量部未満の場合、重合が十分に進行せず、機械的強度の低下を招くおそれがあり、より好適には0.1重量部以上である。一方、重合開始剤(E)の配合量が10重量部を超える場合、重合開始剤自体の重合性能が低い場合には、十分な機械的強度が得られなくなるおそれがあり、さらには組成物からの析出を招くおそれがあるため、より好適には5重量部以下である。
好ましい実施態様では、重合促進剤が用いられる。本発明に用いられる重合促進剤としては、アミン類、スルフィン酸及びその塩、アルデヒド類、チオール化合物などが挙げられる。
重合促進剤として用いられるアミン類は、脂肪族アミン及び芳香族アミンに分けられる。脂肪族アミンとしては、例えば、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン等の第1級脂肪族アミン;ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチルエタノールアミン等の第2級脂肪族アミン;N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−ラウリルジエタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、N−メチルジエタノールアミンジメタクリレート、N−エチルジエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミンモノメタクリレート、トリエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミントリメタクリレート、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の第3級脂肪族アミンなどが挙げられる。これらの中でも、組成物の硬化性及び保存安定性の観点から、第3級脂肪族アミンが好ましく、その中でもN−メチルジエタノールアミン及びトリエタノールアミンがより好ましく用いられる。
また、芳香族アミンとしては、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−エチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−4−エチルアニリン、N,N−ジメチル−4−イソプロピルアニリン、N,N−ジメチル−4−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸メチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸2−(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル等が挙げられる。これらの中でも、組成物に優れた硬化性を付与できる観点から、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチルエステル及び4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく用いられる。
重合促進剤として用いられるスルフィン酸及びその塩としては、例えば、p−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸カリウム、p−トルエンスルフィン酸リチウム、p−トルエンスルフィン酸カルシウム、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、ベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カルシウム等が挙げられ、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウムが特に好ましい。
重合促進剤として用いられるアルデヒド類としては、例えば、テレフタルアルデヒドやベンズアルデヒド誘導体などが挙げられる。ベンズアルデヒド誘導体としては、ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−メチルオキシベンズアルデヒド、p−エチルオキシベンズアルデヒド、p−n−オクチルオキシベンズアルデヒドなどが挙げられる。これらの中でも、硬化性の観点から、p−n−オクチルオキシベンズアルデヒドが好ましく用いられる。
重合促進剤として用いられるチオール化合物としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトベンゾオキサゾール、デカンチオール、チオ安息香酸等が挙げられる。
本発明に用いられる重合促進剤の配合量は特に限定されないが、得られる組成物の硬化性等の観点からは、重合性単量体成分(A)100重量部に対して、重合促進剤を、0.001〜10重量部含有してなることが好ましく、0.001〜5重量部含有してなることがより好ましい。重合促進剤の配合量が0.001重量部未満の場合、重合が十分に進行せず、機械的強度の低下を招くおそれがあり、より好適には、0.05重量部以上である。一方、重合促進剤の配合量が10重量部を超える場合には、重合開始剤自体の重合性能が低い場合には、十分な機械的強度が得られなくなるおそれがあり、より好適には5重量部以下である。
本発明の歯科用組成物には、目的に応じて、pH調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、重合禁止剤、着色剤、抗菌剤、X線造影剤、増粘剤、蛍光剤などをさらに添加することも可能である。
例えば、硬化後の表面からフッ素イオン徐放性を期待する場合、フルオロアルミノシリケートガラス、フッ化カルシウム、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウムなどのフッ素イオン徐放性フィラーを添加することもできる。
抗菌性を期待する場合は、例えば、セチルピリジニウムクロライド、12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルピリジニウムブロマイドなどの抗菌活性を有する界面活性剤や光触媒性酸化チタンを添加することができる。
本発明の歯科用組成物によれば、優れた光拡散性と高い透明性を有することから、非常に天然歯との調和に優れた硬化物が得られる。また、硬化物が高い研磨滑沢性を有するため、本発明の歯科用組成物を用いた歯科材料は、審美性に優れたものとなる。さらに、本発明の歯科用組成物は、硬化物の機械的強度が高く、無機粒子(C)を配合することで、機械的強度をさらに高めることも可能である。また、本発明の歯科用組成物は、ペーストの操作性が良好で適度な流動性や付形性を有し、歯科用インスツルメントへの付着、べとつきが抑制されており、取り扱い性に優れている。
本発明の歯科用組成物は、常法に従い、例えば、歯科用複合充填材料、歯冠用材料、合着用材料などの歯科用コンポジットレジン、歯列矯正用接着材、窩洞塗布用接着材及び歯牙裂溝封鎖材などの歯科用接着材、義歯床用材料、義歯床用粘膜調整材、フィッシャーシーラント、歯面や歯科用補綴物へのコーティング材、表面滑沢材、歯科用マニキュアなどの歯科材料として好適に用いることができる。また、本発明の歯科用組成物を重合硬化した硬化物を成型加工して、人工歯、義歯、CAD/CAM用レジンブロック等としても用いることができる。これらの中でも、本発明の歯科用組成物は、歯科用コンポジットレジンとして有利に用いることができ、当該コンポジットレジンは、光拡散性及び透明性が共に高く天然歯との調和に非常に優れ、硬化物の機械的強度、研磨滑沢性、及びペーストの操作性が良好なコンポジットレジンとなる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例において用いられる試験方法、材料等を以下にまとめて示す。
〔粉末の粒子径の測定〕
製造した粉末の粒子径の測定には、レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2100:島津製作所製)を用いた。分散媒には、0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用いた。
〔屈折率〕
製造した粉末の屈折率は、アッベ屈折計を用い、ナトリウムのD線を光源として、イオウの溶解したジヨードメタン、1−ブロモナフタレン、サリチル酸メチル、ジメチルホルムアミド、1−ペンタノール等を液体として液浸法で測定した。なお、各実施例及び比較例で用いた重合性単量体(A)の重合体の屈折率の測定には、重合性単量体(A)100重量部に対して、重合開始剤としてα-カンファーキノン0.5重量部、及び重合促進剤としてN,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル1.0重量部を溶解させて脱泡した後、光重合させて得た硬化物を、5mm×10mm×20mmの直方体に成形したものを試験片として用いた。
〔硬化物の透明性〕
歯科用組成物の硬化物の円盤状試験片(20mmφ×1.0mm)を作製した。分光測色計(ミノルタ社製、CM−3610d)を用いて、C光源測色視野2度で、試験片の背後に標準白板を置いて色度を測定した場合の明度(Lw)と、同じ試験片の背後に標準黒板を置いて色度を測定した場合の明度(Lb)を測定し、両者の差(ΔL=Lw−Lb)を算出して、透明度の指標とした。ΔLの値が大きいほど硬化物の透明度が高いことを意味する。
〔拡散度の測定〕
製造した歯科用組成物をテフロン(登録商標)製の金型(直径30mmx厚さ0.3mm)に充填した。上下面をスライドガラスで圧接し、両面から各1分間光照射して硬化させた。硬化物を金型から取り出したのち、三次元変角光度計(村上色彩技術研究所製GP−200)を用いて、透過光の光度分布を測定した。拡散度は、前述の式(1)に従って計算した。
〔操作性〕
歯科用組成物を4mmφ×4mmの穴に充填し、ペースト性状について充填操作のしやすさの観点から、以下の評価基準に従って操作性を評価した。
<操作性の評価基準>
A:べたつき、ぱさつきがなく充填操作に優れる
B:べたつき、ぱさつきが若干あるものの、充填操作がしやすい
C:べたつき、ぱさつきが強く、充填操作が困難
なお、A、Bが実使用レベルである。
〔硬化物の曲げ強さ〕
製造した歯科用組成物の硬化物の試験片(2mm×2mm×30mm)を作製した。試験片は、37℃の水中に24時間浸漬し、万能試験機(インストロン社製)を用いて、クロスヘッドスピードを1mm/minに設定して、支点間距離20mmで3点曲げ試験法により曲げ強さを測定した。
〔研磨性〕
製造した歯科用組成物をステンレス製の金型(厚さ1mm、直径15mm)に充填した。上下面をスライドガラスで圧接し、両面から各2分間光照射して硬化させた。硬化物を金型から取り出した後、800番の耐水研磨紙で研磨し、この研磨面を、技工用ポリッシングボックス(KAVO社製、EWL80)を用いて3000rpmでバフ研磨を20秒行った。研磨材にはポーセニーハイドン(東京歯材社製)を用いた。この面の光沢を光沢度計(日本電色(株)製VG−107)を用い、鏡を100%としたときの割合で示した。測定の角度は、60度とした。
〔製造例1〕重合性単量体A−1の製造
Bis−GMA70重量部、及びトリエチレングリコールジメタクリレート30重量部に、重合開始剤としてα-カンファーキノン0.5重量部、及び重合促進剤としてN,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル1.0重量部を溶解させて、重合性単量体A−1を調製した。該重合性単量体A−1の硬化物の屈折率は1.554であった。
〔製造例2〕重合性単量体A−2の製造
Bis−GMA75重量部、及びトリエチレングリコールジメタクリレート25重量部を用いた以外は製造例1と同様にして、重合性単量体A−2を調製した。該重合性単量体A−2の硬化物の屈折率は1.559であった。
〔製造例3〕重合性単量体A−3の製造
Bis−GMA25重量部、UDMA40重量部、及びトリエチレングリコールジメタクリレート35重量部を用いた以外は製造例1と同様にして、重合性単量体A−3を調製した。該重合性単量体A−3の硬化物の屈折率は1.523であった。
〔製造例4〕重合性単量体A−4の製造
Bis−GMA30重量部、UDMA40重量部、及びトリエチレングリコールジメタクリレート30重量部を用いた以外は製造例1と同様にして、重合性単量体A−4を調製した。該重合性単量体A−4の硬化物の屈折率は1.530であった。
〔製造例5〕重合性単量体A−5の製造
Bis−GMA65重量部、及びトリエチレングリコールジメタクリレート35重量部を用いた以外は製造例1と同様にして、重合性単量体A−5を調製した。該重合性単量体A−5の硬化物の屈折率は1.549であった。
〔製造例6〕重合性単量体A−6の製造
UDMA70重量部、及びトリエチレングリコールジメタクリレート30重量部を用いた以外は製造例1と同様にして、重合性単量体A−6を調製した。該重合性単量体A−6の硬化物の屈折率は1.513であった。
〔製造例7〕非晶質粉末B−1の製造
オキシ塩化ジルコニウム250kg(ZrOCl2・8H2O、太陽鉱工(株)製)を温度15℃の純水4375kgに加えて攪拌し、オキシ塩化ジルコニウムを溶解させた。
前記オキシ塩化ジルコニウム水溶液に、15重量%濃度のアンモニア水250Lを攪拌下でゆっくりと添加して、15℃の温度条件下で前記オキシ塩化ジルコニウムの中和反応を行い、酸化ジルコニウム水和物の沈殿を含むスラリーを得た。このスラリーのpHは8.5であった。
次いで、このスラリーを濾過し、得られたケーキ状物質を純水で繰り返し洗浄して、前記中和反応での副生物や未反応物などを除去した。その結果、酸化ジルコニウム水和物をZrO2換算基準で10重量%含み、残余物が水分であるケーキ状物質860kgを得た。
次に、前記酸化ジルコニウム水和物を含むケーキ状物質5416gに純水45800gを加え、さらに攪拌しながら純度85%の水酸化カリウム(関東化学(株)製)1024gを添加してアルカリ性にした後、過酸化水素(林純薬工業(株)製)を35重量%含む過酸化水素水10248gを添加した。
さらに、この混合水溶液を攪拌しながら1時間、放置し、前記酸化ジルコニウム水和物を解膠して水溶液中に溶解させた。次いで、純水を冷凍して得られた氷水39991gを加えて、発熱反応によって温度が上昇した前記水溶液を30℃以下の温度に冷却した。これにより、ZrO2換算基準でジルコニウム成分を0.5重量%含み、pHが約11の混合水溶液102400g(以下、調製液1Aという)を得た。
市販の水ガラス10kg(旭硝子エスアイテック(株)製)を純水38kgで希釈した後、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)を用いて脱アルカリして、pHが3で、SiO2濃度が4重量%の珪酸液9kgを調製した。その後、この珪酸液10768gと純水14860gを混合し、2重量%の珪酸液25628gを調製した。
次いで、平均粒子径12nmのシリカ微粒子を30重量%含むシリカゾル3336g(触媒化成工業(株)製 SI−30)に純水47900gを加えて十分に撹拌し、シリカ微粒子濃度2重量%のシリカゾル51236gを得た。
次に、前記シリカゾルを90℃に加熱し、これを撹拌しながら、これに前記調製液1A51200gと前記珪酸液の水溶液12814gとを10時間かけてゆっくりと添加した。これにより、pHが約11の混合水溶液115250g(以下、調製液1B-(1)という)を得た。
次いで、前記調製液1B-(1)を陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製、SK1BH)で処理して脱アルカリした。これにより、pHが約9.5の混合水溶液117250g(以下、調製液1C-(1)という)を得た。
さらに、前記調製液1C-(1)中に、上記の場合と同様に、前記調製液1A51200gと前記珪酸液の水溶液12814gとを10時間かけてゆっくりと添加した。これにより、pHが約11の混合水溶液181264g(以下、調製液1B-(2)という)を得た。
次に、前記調製液1B-(2)を陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製、SK1BH)で処理して脱アルカリした。これにより、pHが約9.5の混合水溶液182264g(以下、調製液1C-(2)という)を得た。
次いで、前記調製液1C-(2)100200gをステンレススチール製のオートクレーブ(耐圧ガラス工業(株)製)の中に入れ、165℃の温度で18時間、水熱処理を行った。これにより、シリカ系微粒子の表面がジルコニウム原子、ケイ素原子及び酸素原子を含有する酸化物で被覆された非晶質粉末を含む混合水溶液99750g(以下、調製液1Dという)を得た。
次いで、前記調製液1Dを90℃の熱風乾燥機中で予備乾燥し、予備乾燥固体1Bを得た。得られた予備乾燥個体1Bを、200℃でさらに1時間乾燥した後、振動ボールミルにて1.5時間粉砕し、屈折率1.528、平均粒子径4.9μmの非晶質乾燥粉末を得た。非晶質粉末100重量部に対して、30重量部のγ−メタクリロキシプロピルトリメトシキシラン(信越化学社製、KBM503)で表面処理し、非晶質粉末B−1を得た。
〔製造例8〕非晶質粉末B−2の製造
製造例7で得られた予備乾燥固体1Bを800℃に設定した電気炉に投入して1時間熱処理し、焼成固体2Bを得た。得られた焼成固体2Bを振動ボールミルにて1.5時間粉砕し、屈折率1.549、平均粒子径6.3μmの非晶質焼成粉末を得た。得られた多孔質粉末100重量部に対して、25重量部のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理し、非晶質粉末B−2を得た。
〔製造例9〕非晶質粉末B−3の製造
製造例8で得られた焼成固体2Bを振動ボールミルにて24時間粉砕し、屈折率1.549、平均粒子径1.9μmの非晶質焼成粉末を得た。得られた非晶質焼成粉末100重量部に対して、40重量部のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理し、非晶質粉末B−3を得た。
〔製造例10〕非晶質粉末B−4の製造
製造例8で得られた焼成固体2Bを振動ボールミルにて1時間粉砕し、屈折率1.549、平均粒子径18.2μmの非晶質焼成粉末を得た。得られた非晶質焼成粉末100重量部に対して、20重量部のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理し、非晶質粉末B−4を得た。
〔製造例11〕非晶質粉末B−5の製造
製造例8で得られた焼成固体2Bを振動ボールミルにて72時間粉砕し、屈折率1.549、平均粒子径0.7μmの非晶質焼成粉末を得た。得られた非晶質焼成粉末100重量部に対して、45重量部のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理し、非晶質粉末B−5を得た。
〔製造例12〕非晶質粉末B−6の製造
製造例8で得られた焼成固体2Bを振動ボールミルにて30分間粉砕し、屈折率1.549、平均粒子径25.4μmの非晶質焼成粉末を得た。得られた非晶質焼成粉末100重量部に対して、20重量部のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理し、非晶質粉末B−6を得た。
〔製造例13〕非晶質粉末B−7の製造
製造例8で得られた焼成固体2Bを振動ボールミルにて1.5時間粉砕し、屈折率1.549、平均粒子径6.3μmの非晶質焼成粉末を得た。得られた多孔質粉末100重量部に対して、25重量部の11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシランで表面処理し、非晶質粉末B−7を得た。
〔製造例14〕シリカジルコニア凝集粉末の製造
酢酸ジルコニウム(アルドリッチ製ジルコニウムアセテート、Zr含有量15〜16%)85gに、市販シリカゾル(触媒化成製カタロイドSI−30、平均粒子径10〜14nm)147gに希硝酸を添加してpH2.5に調整したpH調整シリカゾルを徐々に滴下し、混合ゾルを得た。得られたゾルをステンレスバットに移した後、90℃の熱風乾燥機中で乾燥した。乾燥の終了した固体をアルミナ坩堝に移し、550℃に設定した電気炉に投入して、1時間熱処理を行った後、振動ボールミルにて90分間粉砕して、屈折率1.547、平均粒子径6.4μmの非晶質粉末を得た。得られた非晶質粉末100重量部に対して、30重量部のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理し、シリカジルコニア凝集粉末を得た。
〔製造例15〕無機粒子C−1の製造
バリウムガラス(ショット社製8235UF0.7、平均粒子径0.7μm)100重量部に対して、4重量部のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理し、無機粒子C−1を得た。屈折率は1.550であった。
〔製造例16〕無機粒子C−2の製造
バリウムガラス(ショット社製8235UF0.4)を振動ボールミルにて24時間粉砕し、平均粒子径0.2μmの無機粒子を得た。得られた無機粒子100重量部に対して、10重量部のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理し、無機粒子C−2を得た。屈折率は1.550であった。
〔製造例17〕無機粒子C−3の製造
バリウムガラス(ショット社製、GM27884NanoFine180、平均粒子径0.18μm、粒子径範囲0.05〜0.5μm)100重量部に対して、10重量部のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理し、平均粒子径0.18μmの無機粒子C−3を得た。屈折率は1.530であった。
〔製造例18〕無機超微粒子D−1の製造
平均粒子径が20nmの略球状超微粒子アエロジル130(日本アエロジル社製)100重量部に対して、40重量部のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理し、無機超微粒子D−1を得た。
〔製造例19〕無機超微粒子D−2の製造
平均粒子径が40nmの略球状超微粒子アエロジルOX50(日本アエロジル社製)100重量部に対して、7重量部のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理し、無機超微粒子D−2を得た。
〔製造例20〕無機超微粒子D−3の製造
平均粒子径が20nmの略球状超微粒子アエロキサイドAluC(日本アエロジル社製)100重量部に対して、20重量部のγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランで表面処理し、無機超微粒子D−3を得た。
〔製造例21〕無機超微粒子D−4の製造
平均粒子径が7nmの略球状超微粒子アエロジル380(日本アエロジル社製)100重量部に対して、50重量部のγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランで表面処理し、無機超微粒子D−4を得た。
〔実施例1〜34及び比較例1〜5〕
上記で作製したA−1〜A−6に含まれる重合性単量体(A)100重量部に対して、表1〜表4に示す配合量で、非晶質粉末(B)、無機粒子(C)、無機超微粒子(D)を混合練和して均一にしたものを真空脱泡し、表1〜3に示す実施例1〜34、及び表4に示す比較例1〜5の歯科用組成物を得た。これらの歯科用組成物の特性を前記の方法で評価した。結果を表1〜表4に示す。
Figure 2009133913
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Figure 2009133913
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以上の結果より、重合性単量体、並びにシリカ系微粒子と、該シリカ系微粒子の表面を被覆する、ジルコニウム原子、ケイ素原子及び酸素原子を含有する酸化物とを含む非晶質粉末を含み、重合性単量体の硬化物の屈折率と非晶質粉末の屈折率との差が0.005〜0.03である実施例の歯科用組成物は、比較例の歯科用組成物に比べて天然歯と調和しやすい光学特性、特に光拡散性と透明性を併せ持ち、優れた操作性を有しつつ、機械的強度及び研磨性に優れることがわかる。
より具体的には、実施例1、2、3の比較より、屈折率差が大きい方が拡散度の値が大きく透明性がやや小さくなることがわかる。実施例2、9、10、13の比較より、無機粒子を含む方が機械的強度に優れ、透明性が高い硬化物が得られやすいことがわかる。一方、比較例1、2より屈折率範囲が特定範囲外の場合、特に屈折率差が小さいときには透明性は高いが、光拡散性が不十分であり、屈折率差が大きい場合には、透明性が不十分であることがわかる。また、重合性単量体の硬化物の屈折率と充填材の屈折率との差を0.005〜0.03の範囲内とした比較例3より、本発明の特定構造を有しないシリカジルコニア凝集粉末を用いた場合には、光拡散性と透明性とを両立できず、操作性及び機械的強度においても、特定構造の非晶質粉末を用いた場合に及ばないことがわかる。
このように、本発明の歯科用組成物は、天然歯と調和しやすい光学特性、特に光拡散性と透明性を併せ持ち、優れた操作性を有しつつ、機械的強度及び研磨性に優れることが示唆される。
本発明の歯科用組成物は、歯科医療の分野において、天然歯の一部分又は全体を代替し得るものとして好適に用いられるものである。

Claims (15)

  1. 重合性単量体(A)、並びに
    シリカ系微粒子と、該シリカ系微粒子の表面を被覆する、ジルコニウム原子、ケイ素原子及び酸素原子を含有する酸化物とを含む非晶質粉末であって、平均粒子径が1〜20μmである非晶質粉末(B)
    を含む歯科用組成物であって、
    該重合性単量体(A)の硬化物の屈折率と該非晶質粉末(B)の屈折率との差が0.005〜0.03である歯科用組成物。
  2. 前記重合性単量体(A)100重量部に対して、前記非晶質粉末(B)を50〜400重量部含む、請求項1に記載の歯科用組成物。
  3. さらに平均粒子径が0.1〜1.0μmである無機粒子(C)を含む、請求項1に記載の歯科用組成物。
  4. 前記重合性単量体(A)100重量部に対して、前記無機粒子(C)を50〜400重量部含む、請求項3に記載の歯科用組成物。
  5. 前記無機粒子(C)がシリカを主成分として含む無機粒子である、請求項3に記載の歯科用組成物。
  6. 平均粒子径が5〜50nmである無機超微粒子(D)をさらに含む、請求項1に記載の歯科用組成物。
  7. 前記無機超微粒子(D)が、前記重合性単量体(A)100重量部に対して10〜50重量部含まれる、請求項6に記載の歯科用組成物。
  8. 前記非晶質粉末(B)のシリカ系微粒子が、2〜300nmの平均粒子径を有する、請求項1に記載の歯科用組成物。
  9. 前記非晶質粉末(B)において、前記酸化物の被覆が、複数のシリカ系微粒子を被覆している、請求項1に記載の歯科用組成物。
  10. 前記シリカ系微粒子の酸化物の被覆、及び該シリカ系微粒子に近接するシリカ系微粒子の酸化物の被覆が、伸長して互いに連結した構造を、前記非晶質粉末(B)が有する、請求項9に記載の歯科用組成物。
  11. 前記酸化物の被覆を有する複数のシリカ系微粒子が、当該酸化物の被覆において連結して凝集した、多孔質状の粒子構造を非晶質粉末(B)が有する、請求項9に記載の歯科用組成物。
  12. 前記非晶質粉末(B)が、焼成体である、請求項1に記載の歯科用組成物。
  13. 前記非晶質粉末(B)に、有機ケイ素化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、及び有機アルミニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機金属化合物による表面処理が施されている、請求項1に記載の歯科用組成物。
  14. 重合開始剤(E)を含む、請求項1に記載の歯科用組成物。
  15. 請求項1に記載の歯科用組成物を用いたコンポジットレジン。
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