JP2001139411A - 歯科用コンポジットレジン - Google Patents

歯科用コンポジットレジン

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JP2001139411A
JP2001139411A JP31954499A JP31954499A JP2001139411A JP 2001139411 A JP2001139411 A JP 2001139411A JP 31954499 A JP31954499 A JP 31954499A JP 31954499 A JP31954499 A JP 31954499A JP 2001139411 A JP2001139411 A JP 2001139411A
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composite resin
dental
dental composite
bis
cavity
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JP31954499A
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Takeshi Sato
猛 佐藤
Hideki Kazama
秀樹 風間
Masanao Hashiguchi
昌尚 橋口
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 臼歯部の初期齲蝕及び補綴物のマージン部に
おける二次齲蝕等の窩洞を殆ど形成しない修復、及び楔
状欠損等による歯頸部及び根面齲蝕による歯根部等の小
さくて浅い窩洞を修復する際、シリンジから窩洞へ直接
充填することができ、且つ仕上げ研磨を行わなくても、
審美性に優れた歯科用コンポジットレジンを提供する。 【解決手段】 平均粒子径が0.05〜1μmの球状無
機フィラー100重量部、重合性単量体25〜100重
量部、及び光重合開始剤0.003〜5重量部を含有す
る組成物であって、該組成物の粘度が10〜1500ポ
イズであり、且つその塑性流動距離が1mmを越え15
mm以下である組成物からなる歯科用コンポジットレジ
ン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯科用修復材料、
特に歯頸部楔状欠損、根面齲蝕及び臼歯部初期齲蝕等の
小さくて浅い窩洞を修復するのに好適な歯科用コンポジ
ットレジンに関する。さらに詳しくはシリンジから窩洞
に直接充填して使用するのに好適な歯科用コンポジット
レジンに関する。
【0002】
【従来の技術】複合修復材は、天然歯牙色と同等の色調
を付与できることや操作が容易なことから、修復材料と
して歯科分野で近年多用されている。その使用方法は、
歯の窩洞に歯科用充填器と呼ばれる専用の充填器等を用
いて充填し、光照射等の重合手段により重合硬化させて
歯の修復を行う方法が一般的であり、通常アクリル系の
重合性単量体と無機フィラーからなるコンポジットレジ
ンと呼ばれる高粘度型の複合材料が用いられる。一般的
に、このコンポジットレジンを用いて修復を行う時の術
式は、清掃後の窩洞を歯科用接着材で処理した後に、コ
ンポジットレジンが充填されているシリンジを専用の歯
科用充填器にセットし、次いでコンポジットレジンを適
量取り窩洞に詰め、その後歯科用充填器等を用いて窩洞
に適合するように付形し、硬化させると言う手順で行わ
れている。
【0003】また、近年、歯頸部や歯根部の小窩洞の修
復、臼歯部の初期齲蝕等の比較的浅い窩洞の修復、及び
深い窩洞を修復する際のコンポジットレジンの重合収縮
による辺縁漏洩を緩和する為に行う積層充填の裏層用材
料として、フロアブルコンポジットレジンと呼ばれる低
粘度型のコンポジットレジンが用いられている。これら
のフロアブルコンポジットレジンは低粘度であるために
窩洞よりも口径の小さなノズルからの吐出が可能であ
り、しかもシリンジから窩洞に流し込むだけで充填操作
が終了するので、付形の必要がなく、治療時間の短縮化
ができると言う特長がある。上記フロアブルコンポジッ
トレジンは一般に平均粒径が3μm以下の微細な不定形
の無機フィラーが用いられており、通常、硬化後その表
面を仕上げ研磨することによって表面滑沢性を出し、こ
れによって審美性を向上させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の高粘度型コンポ
ジットレジンは、その粘度が高いため、窩洞に直接充填
するためシリンジから直接手で押し出すことは難しく、
口径の大きなシリンジからコンポジットレジンを歯科用
充填器等で適量取り出して使用しなければならず、操作
が煩雑であると言う問題があった。
【0005】一方、低粘度型のコンポジットレジンにお
いては、高粘度型のものと比較して重合性単量体成分が
多いため、酸素による重合阻害によって形成される表面
未重合層と呼ばれる未硬化の層が厚くなるという問題が
あった。通常、表面未重合層は拭き取る等の操作により
除去するのであるが、表面未重合層の厚さが厚いと該層
を除去した場合にフィラーが表面に露出しやすく、特に
不定形のフィラーを用いる場合には短時間で表面の滑沢
性が低下してしまい、審美性を低下させるばかりでな
く、コンポジットレジン表面にプラークや着色成分等が
付着しやすくなるという問題があった。
【0006】したがって、これらの問題を解決するに
は、コンポジットレジンを硬化させた後に十分な仕上げ
研磨を必要とするため、治療時間の延長や歯牙の隣接
部、歯肉付近の研磨の場合には健全歯や歯肉を損傷する
という問題があった。
【0007】本発明は、歯科用充填器を用いずにシリン
ジからの直接充填が可能なコンポジットレジンであっ
て、操作性に優れており、しかも硬化後の研磨を短時間
かつ簡単に、場合によっては研磨を行わなくても高い審
美性を長時間にわたって持続可能な歯科用コンポジット
レジンを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
克服すべく鋭意検討を重ねたところ、0.05〜1μm
の球状無機フィラー100重量部、重合性単量体25〜
100重量部、及び光重合開始剤0.003〜5重量部
を含んでなる歯科用コンポジットレジンが、シリンジか
ら直接歯に充填することが可能であり、研磨を行わなく
ても高い審美性を有するという知見を得るに至った。そ
して該知見に基づき更に検討を行った結果、コンポジッ
トレジンが自然に延展して修復する時の操作性に適した
粘弾性特性を見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】即ち、本発明は、平均粒子径が0.05〜
1μmの球状無機フィラー100重量部、重合性単量体
25〜100重量部、及び光重合開始剤0.003〜5
重量部を含有する組成物であって、粘度が10〜150
0ポイズであり、且つ塑性流動距離が1mmを越え15
mm以下である組成物からなることを特徴とする歯科用
コンポジットレジンである。
【0010】上記本発明の歯科用コンポジットレジン
は、シリンジから直接歯に充填して使用するのに好適で
あり、臼歯部の初期齲蝕及び補綴物のマージン部におけ
る二次齲蝕等の窩洞を殆ど形成しない修復、楔状欠損等
による歯頸部及び根面齲蝕による歯根部等の小さくて浅
い窩洞の修復、及びコンポジットレジン積層充填時の裏
層等の、コンポジットレジンを自然に延展させて修復す
る場合に好適である。
【0011】
【発明の実施形態】本発明の歯科用コンポジットレジン
には充填材として平均粒子径が0.05〜1μmの球状
無機フィラーを使用することが重要である。このような
球状無機フィラーを使用した歯科用コンポジットレジン
の光照射により硬化させた硬化物の表面は、酸素の重合
阻害によりできた表面未重合層をふき取った場合、表面
にフィラーが露出しても表面滑沢性が損なわれず、特に
研磨処理を行わなくても光沢があり審美性の高い表面が
得られる。また、上記無機球状フィラーを使用すること
により良好な機械的強度を有する硬化体が得られる。
【0012】無機フィラー形状が球状(略球状)でな
く、平均粒径が1μmを越える場合には上記表面滑沢性
が得られず、平均粒子径が0.05μm未満の場合に
は、歯科用コンポジットレジン中の無機フィラーの充填
率が低くなるために充分な機械的強度の硬化体が得られ
ない。
【0013】本発明に用いられる上記球状無機フィラー
としては公知の無機フィラーが何ら制限なく用いられ
る。具体的に例示すると、非晶質シリカ、シリカ−チタ
ニア、シリカ−ジルコニア、シリカ−チタニア−酸化バ
リウム、石英、アルミナ等の球形状粒子である。さら
に、これら無機酸化物粒子を高温で焼成する際に緻密な
無機酸化物粒子を得やすくする等の目的で、少量の周期
律表第I族の金属酸化物を該無機酸化物粒子中に存在さ
せた複合酸化物の粒子を用いることもできる。歯科用と
してはシリカとジルコニアとを主な構成成分とする複合
酸化物の球状無機フィラーがX線造影性を有し、より耐
摩耗性に優れた複合組成物の硬化体が得られることか
ら、特に好適に用いられる。
【0014】上記無機フィラーは、略球状であればよ
く、必ずしも完全な真球である必要はない。一般には、
走査型電子顕微鏡で無機フィラーの写真を撮り、その単
位視野内に観察される粒子の最大径に直交する方向の粒
子径をその最大径で徐した平均均斉度が0.6以上のも
のであれば充分使用することができる。
【0015】上記無機球状フィラーは、その平均粒子径
が0.05〜1μmであれば、粒子径の分布は特に制限
されないが、本発明の歯科用コンポジットレジンの粘度
及び塑性流動距離を制御するために、該分布の変動係数
を0.3以内にすることが好ましい。
【0016】上記無機球状フィラーは単一の粒子系、及
び平均粒子経が異なる2つあるいはそれ以上の群からな
る混合粒子系で使用することができる。特に、平均粒子
経が0.3〜1μmの大粒径フィラーと平均粒子経が
0.05〜0.1μmの小粒径フィラーからなる混合粒
子を使用することが、フィラーを細密充填することがで
きるため好ましい。なお、本発明の歯科用コンポジット
レジンは、上記特定粒子径の球状無機フィラーを必須成
分とするものであるが、当該球状無機フィラーを含有
し、且つ後述の粘度及び塑性流動特性を満たし、更に本
発明の効果(良好な表面滑沢性等)を損なわない限りに
おいて、0.05〜1μmの非球状フィラー、更には
0、05μm未満の微細フィラー、或いは1μmを越え
るフィラーを若干量含むことを許容する。
【0017】上記無機球状フィラーは、シランカップリ
ング剤に代表される表面処理剤で処理することが、重合
性単量体とのなじみをよくし機械的強度や耐水性を向上
させる上で望ましい。表面処理の方法は公知の方法で行
えばよく、シランカップリング剤としては、メチルトリ
メトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルト
リクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチル
クロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリ
エトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ
アセトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキ
シ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリ
ス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−クロロプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシ
ラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル
トリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が好
適に用いられる。
【0018】本発明に用いられる重合性単量体は特に限
定的でなく、一般に歯科用モノマーとして使用される公
知のものが使用できる。一般に好適に使用される代表的
なものを例示すれば、アクリロイル基及び/またはメタ
クリロイル基を有する重合可能なモノマーである。具体
的に例示すれば次の通りである。
【0019】イ)単官能性ビニルモノマー メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプ
ロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、グリシジ
ルメタクリレート等のメタクリレート、およびこれらの
メタクリレートに対応するアクリレート;あるいはアク
リル酸、メタクリル酸、p−メタクリロイルオキシ安息
香酸、N−2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシ
プロピル−N−フェニルグリシン、4−メタクリロイル
オキシエチルトリメリット酸、及びその無水物、6−メ
タクリロイルオキシヘキサメチレンマロン酸、10−メ
タクリロイルオキシデカメチレンマロン酸、2−メタク
リロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェー
ト、10−メタクリロイルオキシデカメチレンジハイド
ロジェンフォスフェート、2−ヒドロキシエチルハイド
ロジェンフェニルフォスフォネート。
【0020】ロ)ニ官能性ビニルモノマー (1)芳香族化合物系のもの 2,2−ビス(メタクリロイルオキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ)
−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン(以
下、bis−GMAと略記する)、2,2−ビス(4−
メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)
プロパン(以下、D−26Eと略記する)、2,2−ビ
ス(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プ
ロパン)、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシテ
トラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−
メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジプロポ
キシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキ
シジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキ
シジエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロ
イルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロ
イルオキシジトリエトキシフェニル)プロパン、2(4
−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−
(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシプロ
ポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタク
リロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパンおよ
びこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2
−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプ
ロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプ
ロピルメタクリレート等のメタクリレートあるいはこれ
らのメタクリレートに対応するアクリレートのような−
OH基を有するビニルモノマーと、ジイソシアネートメ
チルベンゼン、4,4’−ジフェニルメタンジイソシア
ネートのような芳香族基を有するジイソシアネート化合
物との付加から得られるジアダクト。
【0021】(2)脂肪族化合物系のもの エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリ
コールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメ
タクリレート(以下、3Gと略記する)、ブチレングリ
コールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメ
タクリレート、プロピレングリコールジメタクリレー
ト、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4
−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサン
ジオールジメタクリレートおよびこれらのメタクリレー
トに対応するアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、
3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等
のメタクリレートあるいはこれらのメタクリレートに対
応するアクリレートのような−OH基を有するビニルモ
ノマーと、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチ
ルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネート
メチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネー
ト、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネー
ト)のようなジイソシアネート化合物との付加から得ら
れるジアダクト;無水アクリル酸、無水メタクリル酸、
1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロ
キシプロポキシ)エチル、ジ(2−メタクリロイルオキ
シプロピル)フォスフェート。
【0022】ハ)三官能性ビニルモノマー トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチ
ロールエタントリメタクリレート、ペンタエリスリトー
ルトリメタクリレート、トリメチロールメタントリメタ
クリレート等のメタクリレートおよびこれらのメタクリ
レートに対応するアクリレート。
【0023】ニ)四官能性ビニルモノマー ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエ
リスリトールテトラアクリレート及びジイソシアネート
メチルベンゼン、ジイソシアネートメチルシクロヘキサ
ン、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジ
イソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシア
ネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネ
ート)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、
トリレン−2,4−ジイソシアネートのようなジイソシ
アネート化合物とグリシドールジメタクリレートとの付
加から得られるジアダクト。
【0024】これらの重合性単量体は単独で用いること
もあるが、2種類以上を混合して使用することもでき
る。
【0025】上記重合性単量体の添加量は前記球状無機
フィラー100重量部に対して25〜100重量部、好
ましくは40〜90重量部である。30重量部より少な
いと歯科用硬化性組成物の粘度が上昇するためシリンジ
による直接充填が困難になり、100重量部より多いと
歯科用コンポジットレジンが保存中に分離する恐れがあ
り、機械的強度も低下する。
【0026】次に、本発明に用いる光重合開始剤は特に
限定されず、光照射により上述のラジカル重合性単量体
を重合し得る公知の光ラジカル重合開始剤が制限なく使
用される。
【0027】代表的な光重合開始剤としては、α−ジケ
トン類、アシルフォスフィンオキサイド類、チオキサン
トン類、α−アミノアセトフェノン類、アリールボレー
ト類と光酸発生剤類等の光重合開始剤が挙げられる。
【0028】上記有機過酸化物類を具体的に例示する
と、α−ジケトン類としては、カンファーキノン、ベン
ジル、α−ナフチル、アセトナフテン、ナフトキノン、
p,p’−ジメトキシベンジル、p,p’−ジクロロベ
ンジルアセチル、1,2−フェナントレンキノン、1,
4−フェナントレンキノン、3,4−フェナントレンキ
ノン、9,10−フェナントレンキノン等が好適に使用
できる。
【0029】アシルフォスフィンオキサイド類として
は、ベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィ
ンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニ
ルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイル
ジフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テ
トラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド
等が挙げられる。
【0030】チオキサントン類として2−クロロチオキ
サントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げら
れる。
【0031】α−アミノアセトフェノン類として2−ベ
ンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェ
ニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−ジエチルアミノ
−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、
2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリ
ノフェニル)−プロパノン−1、2−ベンジル−ジエチ
ルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパ
ノン−1、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−
モルフォリノフェニル)−ペンタノン−1、2−ベンジ
ル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニ
ル)−ペンタノン−1等が挙げられる。
【0032】更に硬化体の強度を向上させるために、上
記した光重合開始剤に第三級アミン類を添加する事が好
ましい。具体的に例示すると、N,N−ジメチルアニリ
ン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジ−n−ブチ
ルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、N,N−ジ
メチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トル
イジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、p−ブロ
モ−N,N−ジメチルアニリン、m−クロロ−N,N−
ジメチルアニリン、p−ジメチルアミノベンズアルデヒ
ド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチル
アミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエ
ステル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミルエステル、
N,N−ジメチルアンスラニリックアシッドメチルエス
テル、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、N,N−
ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、p−ジメチルア
ミノフェネチルアルコール、p−ジメチルアミノスチル
ベン、N,N−ジメチル−3,5−キシリジン、4−ジ
メチルアミノピリジン、N,N−ジメチル−α−ナフチ
ルアミン、N,N−ジメチル−β−ナフチルアミン、ト
リブチルアミン、トリプロピルアミン、トリエチルアミ
ン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタ
ノールアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N,
N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルステア
リルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ
ート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、
2,2’−(n−ブチルイミノ)ジエタノール等が挙げ
られる。
【0033】アリールボレート類としてはテトラフェニ
ルホウ素、テトラ(p−フルオロフェニル)ホウ素、テ
トラ(p−クロロフェニル)ホウ素、トリアルキル(p
−フルオロフェニル)ホウ素、トリアルキル(3、5−
ビストリフルオロメチル)フェニルホウ素、ジアルキル
ジフェニルホウ素、ジアルキルジ(p−クロロフェニ
ル)ホウ素、ジアルキルジ(p−フルオロフェニル)ホ
ウ素、ジアルキルジ(3、5−ビストリフルオロメチ
ル)フェニルホウ素、モノアルキルトリフェニルホウ
素、モノアルキルトリ(p−クロロフェニル)ホウ素、
モノアルキルトリ(p−フルオロフェニル)ホウ素、モ
ノアルキルトリ(3、5−ビストリフルオロメチル)フ
ェニルホウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチ
ル基、n−ドデシル基等)のナトリウム塩、リチウム
塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモ
ニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩等が挙げられ
る。
【0034】光酸発生剤としては、2,4,6−トリス
(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−
トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メ
チル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリア
ジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)
−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリ
クロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシ
フェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−
トリアジン、2−(p−メチルチオフェニル)−4,6
−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−
(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメ
チル)−s−トリアジン、2−(2,4−ジクロロフェ
ニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリ
アジン、2−(p−ブロモフェニル)−4,6−ビス
(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ト
リル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリ
アジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス
(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロ
ピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリア
ジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6
−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ス
チリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリ
アジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス
(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(o−メ
トキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)
−s−トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−
4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
2−(3,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス
(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,
4,5−トリメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリ
クロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基置換
−s−トリアジン誘導体類や、ジフェニルヨードニウ
ム、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウム、ジトリ
ルヨードニウム、ビス(p−tert−ブチルフェニ
ル)ヨードニウム、ビス(m−ニトロフェニル)ヨード
ニウム、p−tert−ブチルフェニルフェニルヨード
ニウム、メトキシフェニルフェニルヨードニウム、p−
オクチルオキシフェニルフェニルヨードニウム等のクロ
リド、ブロミド、テトラフルオロボレート、ヘキサフル
オロフォスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘ
キサフルオロアンチモネート、トリフルオロメタンスル
ホネート等のジフェニルヨードニウム塩化合物類が例示
される。
【0035】また、上記光酸発生剤を増感分解させるこ
とができるクマリン系色素類の添加も好ましく、好適に
使用されるクマリン系色素類を具体的に例示すると、3
−チエノイルクマリン、3−(4−メトキシベンゾイ
ル)クマリン、3−ベンゾイルクマリン、3−(4−シ
アノベンゾイル)クマリン、3−チエノイル−7−メト
キシクマリン、7−メトキシ−3−(4−メトキシベン
ゾイル)クマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマ
リン、3−(4−シアノベンゾイル)−7−メトキシク
マリン、5,7−ジメトキシ−3−(4−メトシキベン
ゾイル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキ
シクマリン、3−(4−シアノベンゾイル)−5,7−
ジメトキシクマリン、3−アセチル−7−ジメチルアミ
ノクマリン、7−ジエチルアミノ−3−チエノイルクマ
リン、7−ジエチルアミノ−3−(4−メトキシベンゾ
イル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノ
クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(4−シアノベン
ゾイル)クマリン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジ
メチルアミノベンゾイル)クマリン、3−シンナモイル
−7−ジエチルアミノクマリン、3−(p−ジエチルア
ミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3
−アセチル−7−ジエチルアミノクマリン、3−カルボ
キシ−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−カルボ
キシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,
3’−カルボニルビスクマリン、3,3’−カルボニル
ビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、2,3,6,7
−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−10
−(ベンゾチアゾイル)−11−オキソ−1H,5H,
11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノ
リジン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジメトキ
シ)−3,3’−ビスクマリン、3−(2’−ベンズイ
ミダゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−
(2’−ベンズオキサゾイル)−7−ジエチルアミノク
マリン、3−(5’−フェニルチアジアゾイル−2’)
−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2’−ベンズチ
アゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’カ
ルボニルビス(4−シアノ−7−ジエチルアミノ)クマ
リン等を挙げることができる。
【0036】上記光重合開始剤の中でも生体に対して為
害性の少ない可視光線重合開始剤を用いることが好まし
い。
【0037】上記光重合開始剤の配合量は、前記球状無
機フィラー100重量部に対して0.003〜5重量
部、好ましくは0.01〜1重量部の割合で使用され
る。0.003重量部より少ないと硬化時間が遅延さ
れ、5重量部より多いと歯科用硬化性組成物の保存安定
性が低下し、重合開始剤によって歯科用コンポジットレ
ジンが着色する恐れがある。
【0038】本発明の歯科用コンポジットレジンを、臼
歯部の初期齲蝕及び補綴物のマージン部における二次齲
蝕等の窩洞を殆ど形成しない修復、楔状欠損等による歯
頸部及び根面齲蝕による歯根部等の小さくて浅い窩洞の
修復、及びコンポジットレジン積層充填時の裏層等に用
いる場合、特定の粘弾性特性を有することにより、操作
性を格段に向上させることができる。
【0039】すなわち、本発明の歯科用コンポジットレ
ジンは、その粘度が10〜1500ポイズ、より好まし
くは30〜500ポイズであって、且つその塑性流動距
離が1〜15mm、より好ましくは1〜10mmである
組成物からなる。この様な粘弾性特性を有することによ
り、シリンジから直接歯(窩洞)に充填した場合に窩洞
に沿って歯科用コンポジットレジンが自然に薄く広が
り、良好な修復が可能となる。
【0040】上記のような用途に於いては、歯科用コン
ポジットレジンを構成する組成物の粘度が10ポイズよ
り低いとシリンジから吐出する際に必要以上にペースト
が流出しやすくなり、1500ポイズより高いと、小さ
な窩洞を修復するのに適した小さな口径のシリンジを用
いた場合に、歯科用コンポジットレジンが吐出しない、
もしくは吐出するのに相当の力を用する。また、塑性流
動距離が1mm以下だと窩洞に沿って流れにくく、15
mm以上だと充填操作中に、歯科用コンポジットレジン
が歯肉部に流れ出てしまう恐れがある。
【0041】なお、本発明で言う塑性流動距離とは、水
平で平滑なガラス平面に該歯科用硬化性組成物約0.0
3gを直径が10mm以内となるように載せ5秒間自然
展開させた後に該ガラス平面を鉛直にして静置したとき
に、該ガラス平面に展開した歯科用硬化性組成物の最下
端の位置が該ガラス平面を鉛直にした直後から3分間で
移動した距離を意味する。
【0042】本発明の歯科用コンポジットレジンの粘度
及び塑性流動距離は球状無機フィラーの粒径、重合性単
量体の組み合わせ、球状無機フィラーの充填率によって
制御することができる。
【0043】一般に平均粒径が大きな球状無機フィラー
を用いると塑性流動性が発生する傾向にあり、平均粒径
が小さいフィラーを用いると歯科用硬化性組成物の塑性
流動性は低下し、粘度が上昇する傾向がある。また、フ
ィラー充填率が高くなるほど粘度が上昇する。
【0044】本発明の歯科用硬化性組成物は、その性能
を低下させない範囲で、必要に応じてハイドキノン、ハ
イドロキノンモノメチルエーテル、ブチルヒドロキシト
ルエン等の重合禁止剤や公知の紫外線吸収剤、顔料等を
添加することも可能である。
【0045】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものでは
ない。なお、歯科用コンポジットレジンの硬化物の機械
的強度は3点曲げ強度により評価を行った。また、実施
例、比較例に示したフィラーの平均粒子径、変動係数、
及び平均斉度の測定、歯科用コンポジットレジンの調
製、並びに物性の測定方法は以下の方法に従った。
【0046】(1) フィラー粒子径および粒子径の変
動係数 走査型電子顕微鏡(日本電子社製、T−330A)で粉
体の写真を撮り、その写真の単位視野内に観察される粒
子の数および粒子径を測定し、測定値に基づき下記式に
より平均粒子径および変動係数を算出した。
【0047】
【数1】
【0048】(2) 球状無機フィラーの平均斉度 走査型電子顕微鏡で粉体の写真を撮り、その写真の単位
視野内に観察される粒子について、その数(n)、粒子
の最大径を長径(Li)、該長径に直交する方向の径を
短径(Bi)を求め、下記式により算出した。
【0049】
【数2】
【0050】(3) 歯科用コンポジットレジンの調製
方法 重合性単量体に対し所定割合の光重合開始剤を加えマト
リックスモノマーを調製した。次に、フィラーとマトリ
ックスモノマーをメノウ乳鉢に入れ、暗所にて十分に混
練し均一なペーストとし、歯科用コンポジットレジンを
調製した。
【0051】(4) 粘度測定 粘度測定装置(ITS社製、CSレオメーター)に調製
した歯科用コンポジットレジン0.1gを載せ、23℃
で保持しながら粘度の測定を開始し、測定開始から30
秒後の粘度を該歯科用コンポジットレジンの粘度とし
た。尚、粘度測定装置の測定条件はコーン直径が2c
m、コーンの傾斜角度が1℃、測定ギャップ27.2μ
mとした。
【0052】(5) 塑性流動距離 ガラスプレート上に歯科用コンポジットレジン約0.0
3gを直径が5mm以内となるように載せ5秒間自然展
開させた後に該ガラス平面を鉛直にして静置したとき
に、該ガラス平面に展開した歯科用硬化性組成物の最下
端の位置が該ガラス平面を鉛直にした直後から3分間で
移動した距離を測定し塑性流動距離とした。
【0053】(6) シリンジ操作性 吐出部(ノズル)の内径が0.8mmである歯科用シリ
ンジに歯科用コンポジットレジンを充填し、手でコンポ
ジットレジンをシリンジより吐出させた。コンポジット
レジンを吐出させるのにほとんど力を必要としないもの
を○、粘度が低すぎてわずかな力で大量に吐出するため
必要量を採取しにくいものを△、吐出に相当の力を有す
るものを▽、及び吐出できないものを×とした。
【0054】(7) 硬化体の光沢及び表面粗さ 6mmΦ×1.5mmの孔を有するテフロン製のモール
ドに歯科用コンポジットレジンを表面が平らになるよう
に充填し、可視光線照射器(トクヤマ製、パワーライト
にて30秒間光照射し試験片を作製した。試験片をモー
ルドから取り出し、光照射面を水洗した後に、試験片表
面に付いている表面未重合層をふき取った。光照射面を
目視により光沢性を観察し、光沢のあるものを○、光沢
がないものを×とした。また、光照射面を表面粗さ計
(東京精密社製、サーフコム)にて表面粗さを測定し
た。
【0055】(8) 硬化体表面への付着物の付着性 6mmΦ×1.5mmの孔を有するテフロン製のモール
ドに歯科用コンポジットレジンを表面が平らになるよう
に充填し、可視光線照射器(トクヤマ製、パワーライト
にて30秒間光照射し試験片を作製した。試験片をモー
ルドから取り出し、光照射面を水洗した後に、試験片表
面に付いている表面未重合層をふき取った。試験片を8
0℃、7.4%のコーヒー(ネスレ日本製、ネスカフェ
エクセラ)水溶液に24時間浸漬した。試験片を歯ブラ
シで軽くこすりながら水洗し、コーヒー付着物の有無を
目視により観察し、付着物が残っていないものを○、付
着物が残っているものを×とした。
【0056】(9) 3点曲げ強度試験 歯科用コンポジットレジンを2×2×25mmの角柱状
の穴を有するテフロン製のモールドに充填し上部をポリ
プロピレンフィルムにて気泡が入らぬように注意しなが
ら圧接した。可視光線照射器(トクヤマ製、パワーライ
ト)にてモールドの両端部及び中心部の3ヶ所にそれぞ
れ30秒間づつ光照射を行い試験片を作製した。試料片
を試験機(島津製作所製、オートグラフ5000D)に
装着し、クロスヘッドスピード0.5mm/分で3点曲
げ破壊強度を測定した。
【0057】(10)臼歯初期齲蝕治療モデル試験 歯科用コンポジットレジンをシリンジ操作性測定で使用
したシリンジに充填し、教育用全顎模型(ニッシン社
製)の下顎臼歯咬合面の小窩裂溝に沿って直接充填し
た。自然に咬合面に延展し、綺麗な修復を行うことが出
来るものを○、操作が困難なものを×として評価した。
【0058】(11)歯頸部治療モデル試験 歯科用コンポジットレジンをシリンジ操作性測定で使用
したシリンジに充填し、直径約2mm、深さ約1mmの
窩洞を形成した教育用全顎模型の下顎前歯の歯頸部に、
直接充填した。自然に窩洞内に延展し、形態修正の必要
なく綺麗な修復を行うことが出来るものを○、操作が困
難なもの及び形態修正を必要とするものを×として評価
した。
【0059】また、実施例及び比較例に用いたフィラ
ー、重合性単量体、重合開始剤、及び微粒子フィラーの
略称及び構造を以下に示す。
【0060】(1) フィラー 0.5Si−Zr:主成分;球状シリカ−ジルコニア、
γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン
表面処理物 平均粒径;0.54μm 変動係数;0.11 平均斉度;0.95 0.2Si−Zr:主成分;球状シリカ−ジルコニア、
γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン
表面処理物 平均粒径;0.20μm 変動係数;0.06 平均斉度;0.98 0.2Si:主成分;球状シリカ、γ−メタクリロイル
オキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物 平均粒径;0.19μm 変動係数;0.05 平均斉度;0.96 0.06Si:主成分;球状シリカ−ジルコニア、γ−
メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面
処理物 平均粒径;0.06μm 変動係数;0.02 平均斉度;0.98 0.7Cry:主成分;不定形石英ガラス 平均粒径;0.68μm 変動係数;0.25。
【0061】(2) 重合性単量体: bis−GMA:2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシ
−3−メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル)プ
ロパン D−2.6E:2,2−ビス(4−(メタクリロキソエ
トキシ)フェニル)プロパン 3G:トリエチレングリコールジメタクリレート UDMA:1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカル
ボニルアミノ)2,2,4−トリメチルヘキサン。
【0062】(3) 重合開始剤 CQ:カンファーキノン BDPA:ベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイ
ド DMBE:4−ジメチルアミノ安息香酸エチル DMBA:ジメチルアミノベンズアルデヒド。
【0063】実施例1 フィラーとして0.5Si−Zr 100重量部、重合
性単量体としてbisGMA 40重量部、及び3G
27重量部、重合開始剤としてCQ 0.2重量部、D
MBE 0.2重量部を用い、前記調製方法に従い歯科
用コンポジットレジンを調製した。
【0064】上記歯科用コンポジットレジンについて各
物性を測定したところ、その結果は次の通りであった。
【0065】粘度・・52ポイズ 塑性流動距離・・8mm シリンジ操作性・・○ 硬化体表面粗さ・・0.07μm(滑沢性良好) 硬化体光沢・・○ 硬化体表面への付着物付着性・・○ 硬化体曲げ強度・・118MPa(一般的なコンポジッ
トレジンと同等の強度)。
【0066】このことから、本実施例の歯科用コンポジ
ットレジンはシリンジから窩洞へ直接充填ができ、仕上
げ研磨を行わなくても優れた表面滑沢性を持つため、簡
便な操作による充填修復が可能であることが分かる。
【0067】また、初期齲蝕治療モデル試験及び歯頸部
齲蝕モデル試験の結果は何れも○であり、自然に咬合面
または、小さな窩洞に延展し、綺麗な修復を行うことが
出来る。
【0068】実施例2〜9実施例1と同様に表1に示す
組成で歯科用硬化性組成物を調製し、物性を測定した。
調整した歯科用コンポジットレジンの粘度及び塑性流動
距離を表1に示す。
【0069】
【表1】 その他の物性の測定結果を表2に示す。
【0070】
【表2】
【0071】いずれの組成の歯科用コンポジットレジン
もシリンジから窩洞へ直接充填ができ、仕上げ研磨を行
わなくても優れた表面滑沢性を持つため、簡便な操作に
よるな充填修復が可能であり、初期齲蝕及び歯頸部の小
窩洞の修復に対して綺麗な修復を行うことが出来る。
【0072】比較例1 実施例1と同様に表1に示す組成で歯科用コンポジット
レジンを調製し、物性を測定した。調整した歯科用コン
ポジットレジンの粘度及び塑性流動距離を表1に、その
他の物性の測定結果を表2に示す。比較例1は、無機フ
ィラーとして非球状の不定形石英ガラスを使用した例で
あり、表面粗さが大きく滑沢性が低いため、光沢性及び
表面付着物が×であった。このため、審美性を得るため
には仕上げ研磨を必要とすることが分かる。
【0073】比較例2〜6 実施例1と同様に表1に示す組成で歯科用硬化性組成物
を調製し、物性を測定した。調整した歯科用コンポジッ
トレジンの粘度及び塑性流動距離を表1に、その他の物
性の測定結果を表2に示す。
【0074】比較例2は、重合性単量体を無機球状フィ
ラーに対し規定量以上配合して粘度及び塑性流動距離が
本発明の規定をはずれた例であり、シリンジ操作性が△
であり、曲げ強度が低くなっている。また、比較例3
は、各成分の配合割合は本発明の規定を満たすものの、
重合性単量体と球状無機フィラーの組み合わせが悪かっ
たために粘度が本発明の規定を外れた例であり、シリン
ジ操作性が▽となっている。また、比較例4は、重合性
単量体の配合量が少なすぎるため粘度が測定限界を越え
る高粘度となり、シリンジ操作性が×であった。このよ
うに、比較例2〜4の歯科用コンポジットレジンを用い
た場合には、何れもシリンジによる直接充填が困難であ
った。
【0075】また、比較例5〜6の歯科用コンポジット
レジンを用いて、実施例1と同様にして初期齲蝕治療及
び歯頸部齲蝕治療のモデル試験を行ったところ、比較例
5では、各成分の配合割合は本発明の規定を満たすもの
の、重合性単量体と球状無機フィラーの組み合わせが悪
かったために塑性流動距離が本発明の規定の範囲を越え
てしまい、歯科用コンポジットレジンを歯頸部に充填後
歯肉付近へ歯科用コンポジットレジンが流れ出してしま
った。また、比較例6では、各成分の配合割合は本発明
の規定を満たすものの、重合性単量体と球状無機フィラ
ーの組み合わせが悪かったために塑性流動距離が本発明
の規定の範囲に達しなくなり、臼歯部の咬合面に自然に
延展せず、裂溝部を完全に封鎖し、且つ薄く均一のとれ
た修復をすることが困難であった。この様に、比較例5
〜6の歯科用コンポジットレジンを用いた場合には、何
れも充填操作性が実施例より劣っていた。
【0076】
【発明の効果】本発明の歯科用コンポジットレジンは、
臼歯部の初期齲蝕及び補綴物のマージン部における二次
齲蝕等の窩洞を殆ど形成しない修復、及び楔状欠損等に
よる歯頸部及び根面齲蝕による歯根部等の小さくて浅い
窩洞を修復する際に、シリンジから直接窩洞に充填する
事ができ、且つ、仕上げ研磨作業を行わなくても硬化後
の表面滑沢性に優れる為に、簡便な作業で修復ができ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒子径が0.05〜1μmの球状無
    機フィラー100重量部、重合性単量体25〜100重
    量部、及び光重合開始剤0.003〜5重量部を含有す
    る組成物であって、粘度が10〜1500ポイズであ
    り、且つ塑性流動距離が1mmを越え15mm以下であ
    る組成物からなることを特徴とする歯科用コンポジット
    レジン。
  2. 【請求項2】 シリンジから直接歯に充填して使用する
    歯科用コンポジットレジンである請求項1記載の歯科用
    コンポジットレジン。
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