JP6262136B2 - 歯科用充填修復材料 - Google Patents

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Description

本発明は、歯科用充填修復材料に関し、より詳しくは、臼歯部(Posterior tooth)に形成される深い窩洞を修復するために使用される歯科充填修復材料に関する。
歯科用充填修復材料は、天然歯牙と同等の色調を付与できることや、治療が容易であることから、近年急速に普及し、現在では前歯の治療の大部分に適用されている。また、高い咬合圧のかかる臼歯部の修復にも使用できる、機械的強度に優れたものも開発されている。
このような充填修復材料としては、重合性単量体に、多量の無機充填材と光重合開始剤とを配合した光硬化性組成物が有利に使用されている。例えば、修復すべき歯牙の窩洞に歯科用接着材を施した後、充填修復材料(光硬化性組成物)を充填して歯牙の形に成形した後に、専用の光照射器を用いて活性光を照射して重合硬化が行われ、形成された重合硬化物によって歯が修復されることとなる。
また、歯科技工所において、光硬化性の充填修復材料を石膏模型上で修復すべき歯牙の形に築盛し、これを光照射により重合硬化させ、続いて歯科医院において、得られた充填修復材料の硬化体を歯科用セメントによって歯質に接着させて、歯を修復することも行われている。なお、歯科充填修復材料の場合、上記光硬化は人体への安全性の面から可視光が使用され、そのため、光重合開始剤は通常、可視光重合開始剤が使用される。
近年における歯の修復において特に重要視されているのは、Minimal Interventionの概念、つまり極力歯の切削量を少なくすることで、天然歯の寿命をできるだけ長くするという考え方である。このような概念が一般化してきた背景には、歯科用接着材の歯牙への接着性が向上し、歯牙の過剰削除を伴わなくとも治療できるようになったことが第一に挙げられる。このような背景の中で、歯科充填修復材料(コンポジットレジンと呼ばれている)の臨床現場における有用性はますます高まっている。
コンポジットレジンの使用範囲が広くなるに従って、術者並びに患者の負担軽減や、術者によるテクニックセンシティビティ低減の観点から、操作の簡略化について更なる関心が払われている。例えば歯科用接着材において、歯面への処理ステップ数が単純化されたシステムが開発されているのはその一例である。
ところで、コンポジットレジンを用いての大きな窩洞(例えば臼歯部に形成されるような3〜6mmの深さを有する窩洞)の修復に際しては、通常、コンポジットレジンとなる光硬化性組成物を1〜2mm程度の厚みで窩洞内に施し、光照射による重合硬化を行うという操作を、繰り返し行うという手法が採用されている。大きな窩洞内に光硬化性組成物を一挙に充填して光照射による重合を行うという手段では、重合収縮や重合不良により底部やマージンでの剥離を生じ易く、マージン着色や二次齲蝕等の予後の不良を招くおそれがあるからである。
しかるに、光硬化性組成物を少しずつ窩洞内に施し、その都度重合硬化を行うという手法では、手間がかかるばかりではなく、始めに重合硬化された層と次に重合硬化された層との間に気泡を噛み込んでしまう恐れがある。このような気泡の噛み込みが生じると、重合硬化物(コンポジットレジン)の強度低下等による寿命の低下のみならず、二次齲蝕なども生じ易くなる。
上記のような問題の解決のため、特許文献1〜4には、重合収縮(収縮率および収縮応力)を低減した光硬化性組成物が提案されている。このような低重合収縮性の光硬化性組成物は、臼歯部に形成される深い窩洞内に一回で充填し、一度の光照射により、底部や辺縁まで間隙なく硬化させることが可能となる。
また、特許文献5では、無機酸化物(無機充填材)の屈折率(nF)が、重合性単量体の屈折率(nM)より0.005高い値と、該重合性単量体を重合して得られる重合体の屈折率(nP)より0.005低い値との間にあるという条件を満足するように無機充填材が選択された光硬化性組成物が提案されている。この光硬化性組成物は、硬化深度が深いという性質を示し、従って、このような光硬化性組成物を、臼歯に形成された深い窩洞の修復に使用した場合、例えば1回の充填及び光硬化により、修復作業を行うことができる。
しかしながら、上述した従来公知の光硬化性組成物では、窩洞の修復作業性は改善されているものの、窩洞を修復している硬化物(コンポジットレジン)の外観が、歯牙と調和していないという問題があった。
特表2009−540107号公報 特表2008−502697号公報 特表2004−527602号公報 特開2004−149587号公報 特開昭62−86003号公報
従って、本発明の目的は、硬化深度が深く、窩洞の修復作業性が良好であり、臼歯に形成されるような深い窩洞に対しても一括或いは少ない回数で充填しての可視光照射によって底部まで効果的に重合硬化することが可能であると共に、形成される硬化物の外観が天然歯牙と調和している歯科用充填修復材料を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った。その結果、屈折率が重合性単量体に近い範囲にあると同時に、この重合性単量体から得られる重合体に対して適度に離れた屈折率を有している無機充填材を組み合わせることにより、上記課題を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、重合性単量体成分(A)、平均粒径が0.07〜5μmの複合酸化物もしくはその表面処理物からなる無機充填材成分(B)及び光重合開始剤(C)を含む光硬化性組成物からなり、
前記無機充填材成分(B)を、前記重合性単量体成分(A)100質量部当り、100〜1500質量部の量で含み、
前記重合性単量体成分(A)と無機充填材成分(B)とは、下記式(1a)及び(1b);
nF−0.005<nM<nF+0.005 (1a)
nF+0.020<nP<nF+0.040 (1b)
上記式中、
nMは、重合性単量体成分(A)の25℃における屈折率を表し、
nPは、重合性単量体成分(A)を重合して得られる重合体の25℃における屈折
率を表し、
nFは、無機充填材成分(B)の25℃における屈折率を表す、
で示される条件(X1)を満足するように選択されていることを特徴とする歯科用充填修復材料が提供される。
本発明の歯科用充填修復材料(以下、単に「歯科充填修復材料」と呼ぶことがある)においては、
(1)前記重合性単量体成分(A)と無機充填材成分(B)とは、式(2a)及び(2b);
nF−0.005<nM<nF+0.003 (2a)
nF+0.025<nP<nF+0.035 (2b)
上記式中、
nM、nP及びnFは、前述のとおりの意味である、
で示される条件(X2)を満足するように選択されていること、
(2)前記重合性単量体成分(A)が複数種の多官能(メタ)アクリル化合物を含み、その屈折率(25℃)が1.48〜1.55の範囲にあること、
(3)前記複数種の多官能(メタ)アクリル化合物が、多官能芳香族(メタ)アクリレートと多官能脂肪族(メタ)アクリレートとの組み合わせからなること、
(4)前記多官能芳香族(メタ)アクリレートが、2,2−ビス[(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]プロパン及び/または2,2−ビス[(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパンであり、前記多官能脂肪族(メタ)アクリレートが、トリエチレングリコールジメタクリレート及び/または1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチルヘキサンであること、
(5)
光量500mW/cmのハロゲン型歯科用照射器を用いて30秒間光照射を行うことによって測定される硬化深度が6mm以上であること、
(6)さらに着色剤(D)を含み、厚さ1mmの未硬化の状態で測定されるコントラスト比が0.30以下であり、厚さ1mmの硬化物の状態で測定されるコントラスト比が0.55以下であること、
(7)臼歯部に形成された窩洞の修復に使用されること、
が好適である。
尚、本発明において、重合性単量体成分(A)を重合して得られる重合体の屈折率とは、後述する実施例に示されているように、重合性単量体成分(A)を所定の条件(窩洞内での重合条件とほぼ同等)で注型重合して得られる厚さ0.5mmの重合体について、アッベの屈折計を用いて測定される値を意味する。即ち、重合性単量体成分(A)が1種である場合には、該重合性単量体の単独重合体の屈折率であり、重合性単量体成分(A)が複数種の場合には、これら複数種の重合性単量体のランダム共重合体の屈折率である。また、重合条件は、歯牙に形成された窩洞の充填修復を行う場合と同等に設定されている。
また、屈折率は、特記しない限りにおいて、25℃での値を意味する。
本発明の歯科充填修復材料(光硬化性組成物)は、無機充填材の充填率が高く、重合収縮低減効果に優れている。
また、この歯科充填修復材料は、可視光領域での光の透過性に優れ、そのため硬化深度が大きい。従って、臼歯部の深い窩洞に対しても、一度の充填及び光重合により、或いは少ない回数での充填及び光重合の繰り返しにより、臼歯部に形成された大きな窩洞の修復を行うことができる。
しかも、この歯科充填修復材料(光硬化性組成物)の硬化体は天然歯牙に近い半透明性を有しており、その外観は天然歯牙の外観と調和しており、従って、審美性を損なうことなく、臼歯部に形成された窩洞を修復することができる。
歯科充填修復材料として使用される本発明の光硬化性組成物は、齲蝕等により歯牙に形成された窩洞に充填され、これを光硬化することにより歯牙の修復を行うものである。この光硬化性組成物は、重合性単量体成分(A)、無機充填材成分(B)及び光重合開始剤(C)を必須成分として含み、かかる必須成分に加え、着色剤(D)及びその他の成分が適宜含有されており、重合性単量体成分(A)と無機充填材成分(B)とが特定の条件を満足するように選択されている。
以下、夫々の成分について詳細に説明する。
<重合性単量体成分(A)>
本発明の歯科充填修復材料(光硬化性組成物)において、この成分として使用し得る重合性単量体は、重合性基を有し、光重合開始剤によって重合することができる有機化合物であり、特に、得られる重合体の透明性が高く、全光線透過率が85%以上、より好適には90%以上の重合体を製造し得るものである。
このような重合性単量体には、カチオン重合性単量体やラジカル重合性単量体などが代表的である。
カチオン重合性単量体としては、ビニルエーテル化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、環状エーテル化合物、双環状オルトエステル化合物、環状アセタール化合物、双環状アセタール化合物、環状カーボネート化合物などが代表的である。
また、ラジカル重合性単量体としては、(メタ)アクリル系化合物が代表的である。
本発明においては、特に生体毒性の低さや重合活性の高さの観点から(メタ)アクリル系化合物が重合性単量体成分(A)として最適である。
本発明において、上記の(メタ)アクリル化合物は、単官能及び2官能以上の多官能のもの(例えば、2官能、3官能、4官能のもの)に区分でき、その適当な例は、以下のとおりである。
(A1)単官能(メタ)アクリル化合物;
単官能のメタアクリル化合物は、酸性基も水酸基も有していないもの、酸性基を有するもの、水酸基を有しているものに分けられる。
(1)酸性基も水酸基も有していない単官能(メタ)アクリル化合物の例
メチル(メタ)アクリレート
エチル(メタ)アクリレート
n−ブチル(メタ)アクリレート
2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート
n−ラウリル(メタ)アクリレート
n−ステアリル(メタ)アクリレート
テトラフルフリル(メタ)アクリレート
グリシジル(メタ)アクリレート
メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート
メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート
メトキシートリエチレングリコール(メタ)アクリレート
メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート
エトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート
エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート
エトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート
エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート
フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート
フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート
フェノキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート
フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート
シクロヘキシル(メタ)アクリレート
ベンジル(メタ)アクリレート
イソボロニル(メタ)アクリレート
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート
(2)酸性基を有している単官能(メタ)アクリル化合物の例
(メタ)アクリル酸
N−(メタ)アクリロイルグリシン
N−(メタ)アクリロイルアスパラギン酸
N−(メタ)アクリロイル−5−アミノサリチル酸
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンマレート
6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,2,6−トリ
カルボン酸
O−(メタ)アクリロイルチロシン
N−(メタ)アクリロイルチロシン
N−(メタ)アクリロイルフェニルアラニン
N−(メタ)アクリロイル−p−アミノ安息香酸
N−(メタ)アクリロイル−o−アミノ安息香酸
p−ビニル安息香酸
2−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸
3−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸
4−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸
N−(メタ)アクリロイル−5−アミノサリチル酸
N−(メタ)アクリロイル−4−アミノサリチル酸
上記したカルボキシル基含有化合物に対応する酸無水物
11−(メタ)アクリロイルオキシウンデカン−1,1−ジカルボン酸
10−(メタ)アクリロイルオキシデカン−1,1−ジカルボン酸
12−(メタ)アクリロイルオキシドデカン−1,1−ジカルボン酸
6−(メタ)アクリロイルオキシヘキサン−1,1−ジカルボン酸
2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3’−メタクリロイルオキシ
−2’−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピルサクシネー

4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)トリメリテートアンハ
イドライド
4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)トリメリテート
4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリテート
4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリテート
4−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルトリメリテート
4−(メタ)アクリロイルオキシデシルトリメリテート
4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリテート
6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,2,6−トリ
カルボン酸無水物
6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−2,3,6−トリ
カルボン酸無水物
4−(メタ)アクリロイルオキシエチルカルボニルプロピオノイル−1
,8−ナフタル酸無水物
4−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,8−トリカル
ボン酸無水物
9−(メタ)アクリロイルオキシノナン−1,1−ジカルボン酸
13−(メタ)アクリロイルオキシトリデカン−1,1−ジカルボン酸
11−(メタ)アクリルアミドウンデカン−1,1−ジカルボン酸
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェー

2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンフォス
フェート
10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンフォスフェ
ート
6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンフォスフェ
ート
2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ブロモエチルハイドロジ
ェンフォスフェート
2−(メタ)アクリルアミドエチルジハイドロジェンフォスフェート
2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸
10−スルホデシル(メタ)アクリレート
3−(メタ)アクリロキシプロピル−3−ホスホノプロピオネート
3−(メタ)アクリロキシプロピルホスホノアセテート
4−(メタ)アクリロキシブチル−3−ホスホノプロピオネート
4−(メタ)アクリロキシブチルホスホノアセテート
5−(メタ)アクリロキシペンチル−3−ホスホノプロピオネート
5−(メタ)アクリロキシペンチルホスホノアセテート
6−(メタ)アクリロキシヘキシル−3−ホスホノプロピオネート
6−(メタ)アクリロキシヘキシルホスホノアセテート
10−(メタ)アクリロキシデシル−3−ホスホノプロピオネート
10−(メタ)アクリロキシデシルホスホノアセテート
2−(メタ)アクリロキシエチル−フェニルホスホネート
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホン酸
10−(メタ)アクリロイルオキシデシルホスホン酸
N−(メタ)アクリロイル−ω−アミノプロピルホスホン酸
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフ
ェート
2−(メタ)アクリロイルオキシエチル2’−ブロモエチルハイドロジ
ェンホスフェート
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスホネート
(3)水酸基を有する単官能(メタ)アクリル化合物の例
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート
3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート
4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート
6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート
10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート
プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート
グリセロールモノ(メタ)アクリレート
エリスリトールモノ(メタ)アクリレート
N−メチロール(メタ)アクリルアミド
N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド
N、N−(ジヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド
(A2)二官能(メタ)アクリル化合物;
二官能の(メタ)アクリル化合物は、芳香族基を有するものと芳香族基を有していない脂肪族系のものとに大きく分けられる。
(1)芳香族系二官能(メタ)アクリル化合物の例
2,2−ビス(メタクリロイルオキシフェニル)プロパン
2,2−ビス(メタクリロイルエトキシフェニル)プロパン
2,2−ビス[4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプ
ロポキシフェニル]プロパン
2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)プロパン
2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロ
パン
2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパ

2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プ
ロパン
2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プ
ロパン
2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロ
パン
2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタク
リロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン
2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタク
リロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン
2(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−メ
タクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン
2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパ

2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プ
ロパン
上記の各種メタクリル化合物に対応するアクリル化合物
OH基を有するメタクリレート若しくはアクリレートを、芳香族基を有
するジイソシアネート化合物に付加して得られるジアダクト
尚、OH基を有するメタクリレートとしては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレートが代表的であり、ジイソシアネートとしては、ジイソシアネートメチルベンゼン、4,4’−ジフェノルメタンジイソシアネートが代表的である。
(2)脂肪族系二官能(メタ)アクリル化合物の例
エチレングリコールジメタクリレート
ジエチレングリコールジメタクリレート
トリエチレングリコールジメタクリレート
テトラエチレングリコールジメタクリレート
ネオペンチルグリコールジメタクリレート
1,3−ブタンジオールジメタクリレート
1,4−ブタンジオールジメタクリレート
1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート
1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ
)エチル
1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチル
ヘキサン
上記の各種メタクリレートに対応するアクリレート
OH基を有するメタクリレート若しくはアクリレートを脂肪族ジイソシ
アネート化合物に付加して得られるジアダクト
尚、脂肪族ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)等が代表的であり、OH基を有するメタクリレートとしては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレートを例示することができる。
また、脂肪族系二官能(メタ)アクリル化合物には、酸性基を含むもののあり、このような酸性基を含むものの例としては、以下のものを例示することができる。
無水アクリル酸
無水メタクリル酸
1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ
)エチル
ジ(2−メタクリロイルオキシプロピル)フォスフェート
ジ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ハイドロジェンホスフェ
ート
ジ〔4−(メタ)アクリロイルオキシブチル〕ハイドロジェンホスフェ
ート
ジ〔6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル〕ハイドロジェンホスフ
ェート
ジ〔8−(メタ)アクリロイルオキシオクチル〕ハイドロジェンホスフ
ェート
ジ〔9−(メタ)アクリロイルオキシノニル〕ハイドロジェンホスフェ
ート
ジ〔10−(メタ)アクリロイルオキシデシル〕ハイドロジェンホスフ
ェート
1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2−ジハイドロジェ
ンホスフェート
(A3)三官能(メタ)アクリル化合物;
トリメチロールプロパーントリ(メタ)アクリレート
トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート
ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート
エトキシ化トリメチロールプロパーントリ(メタ)アクリレート
プロポキシ化トリメチロールプロパーントリ(メタ)アクリレート
トリス(2−(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート)
(A4)四官能(メタ)アクリル化合物;
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート
エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート
プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート
エトキシ化ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート
本発明においては、後述する条件(X1)、好ましくは条件(X2)を満足し得るように、上述した各種の重合性単量体の少なくとも1種を選択し、重合性単量体成分(A)として使用するのであるが、この場合、重合性基を少なくとも2以上含む多官能の重合性単量体(例えば前述した多官能(メタ)アクリル化合物)の複数種を使用することが、形成される硬化体の機械的特性(例えば、強度や耐水性など)や歯質に対する接着性等を向上させるという点で好適である。即ち、後述する条件(X1)或いは条件(X2)を満足するように重合性単量体を選択したとしても、使用される重合性単量体が単官能のもののみである場合には、形成される硬化体の機械的強度が低く、修復材としての性能が不満足となってしまうからである。
一般に、上記の多官能の重合性単量体は、重合性単量体成分(A)の60質量%以上、特に70質量%以上の割合で使用するのがよい。
尚、本発明においては、上述した各種の重合性単量体以外にも、例えば特表2009−540107、やWO2007/146239に開示されているような光開裂性を有する重合性単量体、あるいは特表2008−502697に開示されているような重合性大環状オリゴマーも使用することができる。このような重合性単量体は、特に、重合収縮を抑制する効果が大きい。
<無機充填材成分(B)>
無機充填材成分(B)としては、後述する条件(X1)好ましくは条件(X2)を満足し得るように選択される限りにおいて、歯科用硬化性組成物の分野で公知の各種無機充填材を使用することができるが、その平均粒径は、0.07μm以上であることが必要である。平均粒径が0.07μm未満のものは、その粒径が可視光の波長よりも小さいため、屈折率に限らず透明となり、目的とする外観が天然歯牙に調和した硬化体を得ることができなくなってしまうからである。
また、硬化性組成物中に均一に分散され、得られる硬化体が高い表面滑沢性を示し、審美性を確保するという観点から、その平均粒径は、5μm以下の範囲とすべきである。
さらに、得られる硬化体の機械的物性を確保するという観点からは、無機充填材の平均粒径は、0.1μm以上であるのが望ましい。
尚、無機充填材の平均粒径は、レーザー回折散乱法等の原理による粒度分布計を用いて測定された体積分率で表示したメジアン径の値を言う。
上記のような無機充填材として代表的なものは、周期律第I、II、III、IV族元素、遷移金属もしくはそれらの酸化物、ハロゲン化物、硫酸塩、複塩などであり、これらの混合物を無機充填材として使用することもできる。好適には、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、スズ等の金属の酸化物や複合酸化物が使用される。これら金属の複合酸化物としては、さらにナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属を含むものであってもよい。
また、無機充填材の粒子形状は、特に制限されるものではないが、球状のものが、硬化体の表面滑沢性が高く、審美性を確保する上で好ましい。
本発明において、特に好適に使用される無機充填材は、シリカ、ケイ素を構成元素として含む複合酸化物若しくは粘土鉱物、各種ケイ酸塩(以下、これらをシリカ系フィラーと呼ぶ)である。これらシリカ系フィラーは、化学的安定性に優れており、シランカップリング剤等で表面処理が容易であるからである。
このようなシリカ系フィラーの具体例は、次のとおりである。
シリカとして、石英、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、ゾルゲルシリカ
等;
複合酸化物として、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア、シリカ−
バリウムオキサイド、シリカ−ランタニア、シリカ−アルミナ、シリカ−
カルシア、シリカ−ストロンチウムオキサイド、シリカ−マグネシア、シ
リカ−チタニア−ナトリウムオキサイド、シリカ−チタニア−カリウムオ
キサイド、シリカ−ジルコニア−ナトリウムオキサイド、シリカ−ジルコ
ニア−カリウムオキサイド、シリカ−アルミナ−ナトリウムオキサイド、
シリカ−アルミナ−カリウムオキサイド等;
粘土鉱物或いはケイ酸塩類として、タルク、モンモリロナイト、ゼオラ
イト、ケイ酸カルシウム等。
また、X線造影性が良好であるという点で、ランタノイドやイットリウムなどの酸化物やフッ化物、例えば酸化イッテルビウム、フッ化イッテルビウム、フッ化イットリウム等も好適に使用することができる。
さらに、ケイ酸塩ガラス、フルオロアルミノシリケートガラス等のカチオン溶出性無機充填材も使用することができる。
本発明においては、特に、X線造影性に優れているばかりか、シリカ分の含有量に応じて屈折率を調整でき、特定の条件を満足させることが容易であるという点で、シリカ−ジルコニア及びシリカ−チタニアに代表されるシリカ複合酸化物が、無機充填材成分(B)として最も好適である。
さらに、上述した無機充填材成分(B)は、シランカップリング剤等の表面処理剤で表面処理することにより、重合性単量体とのなじみを良くし、得られる硬化体の機械的強度や耐水性を向上させることができる。このようなシランカップリング剤としては、以下のものを例示することができる。
メチルトリメトキシシラン
メチルトリエトキシシラン
メチルトリクロロシラン
ジメチルジクロロシラン
トリメチルクロロシラン
ビニルトリクロロシラン
ビニルトリエトキシシラン
ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン
γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン
γ−クロロプロピルトリメトキシシラン
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
ヘキサメチルジシラザン
このような無機充填材成分(B)は、光硬化性組成物の粘度を窩洞への充填作業に適した範囲とし且つ硬化時の重合収縮を抑制し、さらには得られる硬化体の機械的特性を良好なものとするために、前述した重合性単量体成分(A)100質量部当り100〜1500質量部、好ましくは150〜1000質量部、最も好ましくは170〜600質量部の量で使用される。即ち、無機充填材成分(B)の使用量が少な過ぎると、硬化時の重合収縮が大きくなり、また硬化体の機械的特性も低いものとなってしまう。さらに、無機充填材成分(B)の使用量が多すぎると、光硬化性組成物の粘度が高くなり過ぎて、窩洞への充填作業が困難となってしまう。
<重合性単量体成分(A)と無機充填材成分(B)との選択>
本発明においては、前述した重合性単量体成分(A)と無機充填材成分(B)とを、下記式(1a)及び(1b);
nF−0.005<nM<nF+0.005 (1a)
nF+0.020<nP<nF+0.040 (1b)
上記式中、
nMは、重合性単量体成分(A)の25℃における屈折率を表し、
nPは、重合性単量体成分(A)を重合して得られる重合体の25℃
における屈折率を表し、
nFは、無機充填材成分(B)の25℃における屈折率を表す、
で示される条件(X1)を満足するように、さらに好ましくは、下記式(2a)及び(2b);
nF−0.005<nM<nF+0.003 (2a)
nF+0.025<nP<nF+0.035 (2b)
上記式中、nM、nP及びnFは、前述したとおりである、
で示される条件(X2)を満足するように選択することが必要である。
即ち、重合性単量体の屈折率は、これを重合することにより一般に大きくなる。本発明では、これを利用し、無機充填材成分(B)の屈折率が、重合性単量体成分(A)の屈折率(nM)に極めて近い領域(前記式(1a)或いは(2a))にあり、該重合性単量体成分(A)を所定の条件で重合して得られる重合体の屈折率から適度に離れた領域(前記式(1b)或いは(2b))にあるように、該無機充填材成分(B)を選択することにより、充填修復作業性を確保すると同時に、窩洞内に形成される硬化体の外観を天然歯牙に近い状態とし、天然歯牙との調和性を保ち、窩洞の修復による審美性の低下を防止することに成功したものである。
例えば、上記の条件(X1)における式(1a)或いは条件(X2)における式(2a)は、書き換えると、下記式(1a’)或いは(2a’)で表される。
−0.005<nM−nF<0.005 (1a’)
−0.005<nM−nF<0.003 (2a’)
このことから理解されるように、式(1a)或いは式(2a)は、用いる充填材成分(B)の屈折率が、重合性単量体成分(A)の屈折率に極めて近い範囲内にあることを示している。このため、このような重合性単量体成分(A)及び無機充填材成分(B)を含む光硬化性組成物では、重合性単量体成分(A)と無機充填材成分(B)との界面での光の拡散反射や散乱が極めて小さくなり、その結果、光の透過性が大きく、大きな硬化深度を実現できる。即ち、この硬化深度は、後述する実施例に詳細に説明されているように、光量500mW/cmのハロゲン型歯科用照射器を用いて30秒間光照射を行うことによって測定されるものであり、本発明では、このようにして測定される硬化深度を6mm以上、特に8mm以上、さらには10mm以上とすることができ、例えば臼歯部に形成される深い窩洞であっても、その充填修復作業を短時間で容易に行うことができる。つまり、窩洞内への光硬化性組成物の充填及び充填毎に行われる光照射による硬化作業を、1回或いは少ない回数で完了させることができるわけである。
例えば、無機充填材成分(B)の屈折率が上記の式(1a)(或いは2(a))の範囲外であると、硬化深度が小さくなってしまい、臼歯部の深い窩洞に対して何回も充填と光照射による硬化作業を繰り返さなければ、該窩洞を埋めることができず、充填修復作業の効率が極めて低くなってしまう。
また、上記の条件(X1)における式(1b)或いは条件(X2)における式(2b)は、書き換えると、下記式(1b’)或いは(2b’)で表される。
0.020<nP−nF<0.040 (1b’)
0.025<nP−nF<0.035 (2b’)
このことから理解されるように、式(1b)或いは式(2b)は、用いる充填材成分(B)の屈折率が、重合性単量体成分(A)の重合体の屈折率から適度に離れた領域にあることを示している。即ち、重合性単量体成分(A)から得られる重合体自体は、先にも述べたように光透過性の高いものであるが、かかる重合体の屈折率と無機充填材成分(B)の屈折率とが適度に離れているため、この光硬化性組成物から得られる硬化体では、両者の界面での拡散反射や散乱の程度が大きくなり、この結果、該硬化体が半透明となり、その外観が天然歯牙と調和するようになる。
例えば、前述した式(1b)(或いは2b)で示される条件を満足していない場合には、得られる硬化体が透明性の高いものとなり、その外観が天然歯牙と調和せず、審美性を確保することができなくなってしまうか、硬化体の半透明性を確保できたとしても、前述した式(1a)(或いは2a)の条件を満足させることができず、硬化深度が小さくなり、充填修復作業性が損なわれてしまう。
ところで、上述した重合性単量体成分(A)としては、通常、複数種のものが使用され、その組み合わせにより、得られる硬化体の機械的特性(強度や耐水性など)や歯質に対する接着性が望ましい範囲に調整される。例えば、先にも述べたように、成分(A)の60質量%以上、特に70質量%以上として、多官能重合性単量体が使用され、多官能重合性単量体としても複数種が使用され、脂肪族基を有するもの、芳香族基を有するもの、酸性基を有するものなどが併用されるのが一般的である。
このように、複数種の重合性単量体を成分(A)として用いたとき、成分(A)の屈折率nMについては、後述する実施例で説明している方法に従って実際に混合した重合性単量体成分を測定して求めるが、加成性が成立し、各重合性単量体の屈折率を量比に応じて加算することにより、成分(A)の屈折率nMを求めることができる。
また、複数種の重合性単量体を成分(A)として用いたとき、この成分(A)から得られる重合体(即ち共重合体)の屈折率nPは、厳密には、後述する実施例で説明している方法にしたがって実際に重合を行って測定して求めなければならない。しかしながら、この屈折率nPの測定のための重合体を得るための重合条件は、光硬化性組成物を歯牙に形成された窩洞内に充填し、硬化せしめるときの重合条件とほぼ同じであり、かかる重合体には、各単量体は十分に重合して硬化体中に組み込まれている。従って、この重合体(共重合体)の屈折率nPについてもある程度の加成性が成立し、各単量体について測定された重合体の屈折率を量比に応じて加算することにより、成分(A)から得られる重合体としての屈折率nPのおおよその値を算出できるので、これを利用して配合設計をすることができる。
尚、無機充填材成分(B)も複数種のものを使用することができ、この場合の屈折率にも加成性が成立するので、各無機充填材の屈折率を量比に応じて加算することにより、無機充填材成分(B)としての屈折率nFを算出することができる。
ところで、複数種の無機充填材を使用する場合、無機充填材間の屈折率差が過度に大きいと、無機充填材成分(B)全体で前記条件(X1)或いは(X2)を満足していたとしても、硬化されていない硬化性組成物が不透明となってしまい、硬化深度が小さくなってしまうことがある。このような不都合を確実に回避するため、複数種の無機充填材を用いる場合には、少なくとも70質量%以上、特に80質量%以上、最も好ましくは、全ての無機充填材が、それぞれ、重合性単量体成分(A)の屈折率nM及び重合体の屈折率nPを基準として、前述した条件(X1)、さらには条件(X2)を満足しているのがよい。
また、前述した各種の無機充填材の屈折率は、一般に、1.4〜1.7の範囲にあるが、かかる屈折率は、シランカップリング剤などを用いての表面処理によって多少変動するため、屈折率が既知の無機充填材を用いた場合においても、これを表面処理して使用した場合には、実際に屈折率を測定しておかなければならない。
さらに、無機充填材として、前述したカチオン放出性フィラーを用いる場合、屈折率は、該フィラー中に含まれるカチオンが全て放出された状態で測定する必要がある。即ち、このフィラーは、カルボン酸基やリン酸基などの酸性基含有重合性単量体などの酸成分と併用され、放出されるカチオンによって形成されるイオン架橋の存在下で重合を行うことにより、硬化体の機械的特性を向上させるという性質を有している。このイオンの放出により屈折率は変動し、しかも、重合開始時には、該フィラーからカチオンが放出された状態にある。従って、このようなカチオン放出性フィラーを用いる場合には、その屈折率は、カチオンが放出された状態で測定することが必要である。
本発明において、重合性単量体成分(A)としては、硬化体の物性(機械的特性や歯質に対する接着性)調整のため、一般に、複数種の重合性単量体が使用されるが、この際、成分(A)の屈折率nMが、好ましくは1.46〜1.60、より好ましくは1.48〜1.55の範囲となるように、重合性単量体の種類及び量を設定することが望ましい。即ち、屈折率nMが1.48〜1.55の範囲に設定することにより、重合性単量体成分(A)から得られる重合体の屈折率nPを、おおよそ1.52〜1.57の範囲に設定できる。しかるに、前述した無機充填材成分(B)の内、シリカ系フィラー、特にシリカ系複合酸化物の屈折率は、シリカ分の含有量に応じて1.46〜1.56程度の範囲となる。即ち、重合性単量体成分(A)の屈折率を上記範囲に設定しておくことにより、前述した条件(X1)或いは条件(X2)を満足するように、無機充填材成分(B)を容易に選択することができるわけである。即ち、適当な量のシリカ分を含むシリカ系複合酸化物(例えばシリカチタニア或いはシリカジルコニアなど)を使用すればよい。
さらに、複数種の重合性単量体を用いて屈折率nMを上記範囲に調整するには、一般に、複数種の全てを二官能(メタ)アクリル化合物の中から選択することが、前述した条件(X1)或いは(X2)を満足させると同時に、硬化体の機械的性質等を歯科充填修復材料として望ましいものにするために好適である。例えば、三官能以上のものの重合性単量体は、硬化体の強度を高めることができるものの、二官能の重合性単量体に比べ硬化深度が低下する。詳細は定かではないが、照射面近くで一気に架橋が進み、底部に光が届きにくくなるためと推測される。さらに、単官能の重合性単量体は、硬化体の強度低下を招きやすい。
また、複数種の二官能(メタ)アクリル化合物を選択する場合、特に芳香族系二官能(メタ)アクリル化合物と脂肪族系二官能(メタ)アクリル化合物を組み合わせることが望ましい。芳香族系二官能(メタ)アクリル化合物の使用は、硬化体の強度を高める上で有利であるが比較的粘度が高く、脂肪族系二官能(メタ)アクリル化合物は、比較的粘度が低い。そのため、両者を組み合わせることで、重合性単量体成分の粘度を調整することができ、良好な充填操作性を有する光硬化性組成物を得ることができる。さらに、酸性基等の官能基を有する二官能(メタ)アクリル化合物は、歯質等に対する接着性を高める上で有利であり、かかる化合物を上記の芳香族系と脂肪族系との組み合わせに加えることも好適である。
尚、芳香族系二官能(メタ)アクリル化合物と脂肪族系二官能(メタ)アクリル化合物を組み合わせるに際しては、一般に、芳香族系二官能(メタ)アクリル化合物のnM及びnPは高く、脂肪族系二官能(メタ)アクリル化合物のnM及びnPは低い。従って、これを利用して、これらの化合物の配合量を設定し、屈折率nMが前述した範囲となるように設定することができる。
本発明において、重合性単量体成分(A)として使用する二官能(メタ)アクリル化合物として特に好ましいものとしては、以下のものを例示することができる。
芳香族系二官能(メタ)アクリル化合物;
2,2−ビス[(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル
オキシ)フェニル]プロパン
nM:1.552
nP:1.570
2,2−ビス[(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プ
ロパン
nM:1.540
nP:1.567
脂肪族系二官能(メタ)アクリル化合物;
トリエチレングリコールジメタクリレート
nM:1.460
nP:1.510
1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチル
ヘキサン
nM:1.483
nP:1.509
上述した芳香族系二官能(メタ)アクリル化合物と脂肪族系二官能(メタ)アクリル化合物とを組み合わせた重合性単量体成分(A)の代表的な処方例を以下に示す。
<処方例1>
処方物(重合性単量体成分(A))の屈折率;
nM=1.488〜1.515
nP=1.528〜1.540
処方;
(A−1)
2,2−ビス[(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル
オキシ)フェニル]プロパン
二官能芳香族 nM:1.552、nP:1.570
30〜50質量%
(A−2)
トリエチレングリコールジメタクリレート
二官能脂肪族、nM:1.460、nP:1.510
10〜30質量%
(A−3)
1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチル
ヘキサン
二官能脂肪族、nM;1.483、nP:1.509
20〜60質量%
このように(A−1)〜(A−3)の3種の二官能(メタ)アクリル化合物を用いた処方例1の重合性単量体成分(A)に対しては、例えばシリカ含有量が85〜95質量%、チタニア含有量が5〜15質量%のシリカチタニア複合酸化物(nF:1.490〜1.520)を使用することにより、前述した条件(X1)、好ましくは条件(X2)を満足させることができる。
<処方例2>
処方物(重合性単量体成分(A))の屈折率;
nM=1.501〜1.543
nP=1.537〜1.564
処方;
(A−1)
2,2−ビス[(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル
オキシ)フェニル]プロパン
二官能芳香族、nM:1.552、nP:1.570
45〜90質量%
(A−2)
トリエチレングリコールジメタクリレート
二官能脂肪族、nM:1.460、nP:1.510
10〜55質量%
このように(A−1)及び(A−2)の2種の二官能(メタ)アクリル化合物を用いた処方例2の重合性単量体成分(A)に対しては、例えばシリカ含有量が70〜95質量%、ジルコニア含有量が5〜30質量%のシリカジルコニア複合酸化物(nF:1.500〜1.545)を使用することにより、前述した条件(X1)、好ましくは条件(X2)を満足させることができる。
<処方例3>
処方物(重合性単量体成分(A))の屈折率;
nM=1.516〜1.524
nP=1.550〜1.556
処方;
(A−1)
2,2−ビス[(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プ
ロパン
二官能芳香族、nM:1.540、nP:1.567
70〜80質量%
(A−2)
トリエチレングリコールジメタクリレート
二官能脂肪族、nM:1.460、nP:1.510
20〜30質量%
この2種の二官能(メタ)アクリル化合物の組み合わせを用いた処方例3の重合性単量体成分(A)に対しては、例えばシリカ含有量が75〜85質量%、ジルコニア含有量が15〜25質量%のシリカジルコニア複合酸化物(nF:1.510〜1.530)を使用することにより、前述した条件(X1)、好ましくは条件(X2)を満足させることができる。
<処方例4>
処方物(重合性単量体成分(A))の屈折率;
nM=1.520〜1.540
nP=1.551〜1.563
処方;
(A−1)
2,2−ビス[(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル
オキシ)フェニル]プロパン
二官能芳香族、nM:1.540、nP:1.567
(A−2)
2,2−ビス[(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プ
ロパン
二官能芳香族、nM:1.540、nP:1.567
(A−3)
トリエチレングリコールジメタクリレート
二官能脂肪族、nM:1.460、nP:1.510
このような3種の二官能(メタ)アクリル化合物の組み合わせを用いた処方例4の重合性単量体成分(A)に対しては、例えばシリカ含有量が70〜80質量%、ジルコニア含有量が20〜30質量%のシリカジルコニア複合酸化物(nF:1.520〜1.545)を使用することにより、前述した条件(X1)、好ましくは条件(X2)を満足させることができる。
尚、上記の処方例1〜4においても、条件(X1)好ましくは条件(X2)が満足されることを条件として、他の重合性単量体(例えば、単官能化合物や3官能以上の化合物、或いは酸性基等の極性基を有する重合性単量体)を少量使用し(例えば40質量%以下)、硬化体の物性等を調整することもできる。
<(C)光重合開始剤>
本発明の歯科用充填修復材料(光硬化性組成物)において、光重合開始剤(C)は、前述した重合性単量体成分(A)を光照射によって重合硬化させるために配合される成分である。この重合硬化のために照射される光の波長は、通常は、人体への安全性の面から可視光領域であり、従って、当該光重合開始剤としては、380〜500nm(好ましくは400〜500nm)の可視光領域に励起吸収波長域、特に励起極大吸収波長域を有するものが使用される。
こうした光重合開始剤としては、使用する重合性単量体成分(A)の重合機構に応じてそれ自体公知のものが選択され、例えば前述した(メタ)アクリル化合物の如きラジカル重合性単量体には、光ラジカル発生剤が使用される。また、カチオン重合性のものに対しては、公知の光酸発生剤が使用される。
上記の光ラジカル発生剤の具体例としては、以下のものを例示することができる。
α−ジケトン類;
カンファーキノン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン等。
ビスアシルホスフィンオキサイド類;
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオ
キサイド、
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド
等。
α−アミノアルキルフェノン類;
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル
)−ブタノン−1、
2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロ
パン−1−オン等。
チタノセン類;
ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)
−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェ
ニル)チタニウムなどのチタノセン化合物
本発明においては、上記の光ラジカル発生剤の中でも、重合活性の良さ、生体への為害性の少なさなどの観点から、α−ジケトン類やビスアシルホスフィンオキサイド類が好ましく、カンファーキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドがより好ましい。因みに、カンファーキノンの励起極大吸収波長は470nmであり、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドの励起極大吸収波長は380nmである。
重合開始剤として使用されるこれらの光ラジカル発生剤は、それぞれ単独で使用することもできるし、必要に応じて複数の種類を組み合わせて使用することもできる。
このような光重合開始剤の添加量は、所謂有効量でよく、具体的には、重合性単量体成分(A)100質量部当り、0.01〜30質量部、特に0.1〜5質量部の割合で使用される。さらに、重合開始剤自身による光透過阻害の影響を小さくし、大きな硬化深度を確保し、しかも重合開始剤自身の色味による硬化体の着色による審美性低下を回避するという観点からは、重合性単量体成分(A)100質量部当り、0.1〜1質量部の割合で光重合開始剤を使用することが最も好ましい。
また、上記光重合開始剤に加えて、重合促進のために、還元性化合物を組み合わせて用いることもできる。
このような還元性化合物としては、芳香族第三級アミンが代表的であり、その具体例は、これに限定されるものではないが、次のとおりである。
4−ジメチルアミノ安息香酸、
4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、
4−ジメチルアミノ安息香酸ラウリル、
3−ジメチルアミノ安息香酸、
3−ジメチルアミノ安息香酸エチル、
ジメチルアミノ−p−トルイジン、
ジエチルアミノ−p−トルイジン、
p−トリルジエタノールアミン。
これらの芳香族第三級アミンの中でも、4−ジメチルアミノ安息香酸、及び4−ジメチルアミノ安息香酸エステルが好適である。
このような還元性化合物の添加量は、組み合わせる重合性単量体成分(A)やその他の成分の種類によっても異なるが、通常は、前記光重合開始剤1モル当り、0.001〜20モル、特に0.005〜10モルの範囲である。
さらに、光重合開始剤として使用される光酸発生剤としては、ジアリールヨードニウム塩化合物、スルホニウム塩化合物、スルホン酸エステル化合物、ハロメチル置換−S−トリアジン誘導体、ピリジニウム塩系化合物等が挙げられ、特にジアリールヨードニウム塩化合物、ハロメチル置換−S−トリアジン誘導体が好適である。
尚、このような光酸発生剤を上述した光ラジカル発生剤と併用することもでき、例えば、光ラジカル発生剤1モル当り、0.001〜20モル、特に0.005〜10モルの量で光酸発生剤を使用することができる。
<(D)着色剤>
本発明の歯科充填修復材料(光硬化性組成物)には、求める硬化体の色調に合わせて着色剤(D)を配合することができる。即ち、窩洞内に埋め込まれて形成される硬化体を所望の外観(例えば、自然な天然歯の色調やホワイトニングを行った歯のような真白な色調)に見えるように調色するために、着色剤(D)が適宜使用される。
こうした着色剤は、顔料であってもよく、染料であってもよく、何れも硬化体を所望の色調に調整するために、適宜、色の異なるものを併用することができる。
顔料としては、無機顔料が代表的であり、このような無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、硫酸バリウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、カーボンブラック、酸化鉄、銅クロマイトブラック、酸化クロムグリーン、クロムグリーン、バイオレット、クロムイエロー、クロム酸鉛、モリブデン酸鉛、チタン酸カドミウム、ニッケルチタンイエロー、ウルトラマリーンブルー、コバルトブルー、ビスマスバナデート、カドミウムイエロー、カドミウムレッド等を例示することができる。
また、モノアゾ顔料、ジアゾ顔料、ジアゾ縮合顔料、ペリレン顔料、アントラキノン顔料等の有機顔料も使用することができる。
また、染料としては、KAYASET RED G(日本化薬)、KAYASET RED B(日本化薬)等の赤色染料;KAYASET Yellow 2G、KAYASET Yellow GN等の黄色染料;KAYASET Blue N、KAYASET Blue G、KAYASET Blue B等の青色染料;などを挙げることができる。口腔内での色調安定性を考慮すると、水溶性の染料よりも不水溶性の顔料を使用することが好ましい。
ところで、上記着色剤は、光を遮蔽するものであり、当然、光硬化性組成物の硬化深度に影響を与える。特に、深い窩洞の修復において修復部が暗くなり審美性が低下するため、白色顔料(酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、硫酸バリウム、ケイ酸アルミニウム等)が着色剤として使用されることが多いが、これらの白色顔料は、特に光遮蔽性が高く、硬化深度をより小さくしてしまう。
しかるに、本発明の光硬化性組成物は、前述した条件(X1)、好ましくは条件(X2)を満足しているため、高い硬化深度を示し、従って、着色剤の使用による硬化深度の低下の影響が小さい。即ち、着色剤を配合したとしても、硬化体の色調の調整程度の少ない使用量であれば、十分に大きな硬化深度を維持しており、深い窩洞の修復に際しても、その充填修復作業性は良好である。即ち、本発明では、着色剤が配合された場合においても、大きな窩洞への光硬化性組成物の充填及び光照射による硬化作業を1回或いは少ない回数で行うことができ、充填修復作業性の低下を有効に回避することができる。
さらに、付け加えると、本発明の光硬化性組成物は、前述した条件(X1)、好ましくは条件(X2)を満足しているため、その硬化体は適度な半透明性を有している。このため、例えば白色顔料を使用しなくとも(或いはその使用量が少なくても)、この半透明性により該硬化体と天然歯牙との調和性が確保され、優れた審美性を示す。即ち、白色顔料の使用量をゼロ或いは少なくできることも、着色剤による硬化深度の低下の抑制に寄与している。
このように、本発明では着色剤の使用による硬化深度の低下を抑制できるが、その抑制の程度にも限界がある。このため、着色剤の配合量は、一定量以下とすべきであり、通常、臼歯部に形成された深い窩洞の充填修復に適した硬化深度を確保するためには、この光硬化性組成物について厚さ1mmで測定したコントラスト比が0.30以下、特に0.27以下となる程度の量に、着色剤の配合量が抑えられる。
このコントラスト比とは、色差計によって得られる刺激値Yから求められる透明性の尺度であり、黒背景でのY値(Yb)と白背景でのY値(Yw)との比(Yb/Yw)で表される。即ち、このコントラスト比が上記範囲よりも大きい場合には、着色剤の配合量が多く、この光硬化性組成物の硬化深度が小さくなってしまい、充填修復作業性が低下してしまう。
また、この光硬化性組成物について厚さ1mmの硬化物の状態で測定されるコントラスト比が、0.55以下、特に0.35〜0.53の範囲となる程度に、着色剤の配合量が調整されていることが好ましい。即ち、標準的な天然歯牙(前歯唇側のエナメル質部分)の該コントラスト比は0.45程度と言われている(Didier Dietschi, DMD,PhD, A new shading concept based on natural tooth color applied to direct composite restorations, Quintessence Int. 2006;37:91-102)。光硬化性組成物の硬化体のコントラスト比が、天然歯牙のコントラスト比に近い値を示すほど、天然歯牙の外観との調和を図ることができる。例えば、光硬化性組成物の硬化体のコントラスト比が上記範囲よりも高いと、窩洞内(歯牙の修復箇所)に埋め込まれている硬化体の不透明度が高すぎ、周囲の天然歯牙から白く浮いて見えるようになってしまう恐れがある。一方、該硬化体のコントラスト比が低すぎると、周囲の天然歯牙が白く、該硬化体は暗くなり、周囲との外観の調和が崩れてしまうおそれがある。
このように、本発明において、着色剤は、光硬化性組成物(未硬化物)のコントラスト比及び該組成物のコントラスト比の何れも一定の範囲内となるような量で配合されることが好ましく、このようなコントラスト比の範囲を満足させる着色剤の配合量は、一般に、該光硬化性組成物当り、0.001〜80ppm、特に0.01〜60ppm、最適には0.05〜40ppmの範囲である。
尚、本発明において、着色剤として顔料を使用する場合、顔料の平均粒度は、通常、約1μm以下である。必要であれば、市販の顔料を微粉砕により小さい粒径に調整することができる。また、他の成分との混合を容易にするため、顔料を分散体の形態で配合物に加えることができる。例えば、顔料を反応性希釈剤のような低粘性液体に分散させたり、無機粒子のような粉体に分散させたりしたマスターバッチとして用いることができる。
<その他の成分>
歯科充填修復材料として使用される本発明の光硬化性組成物には、硬化深度や審美性等を阻害しない範囲で、上記(A)〜(D)成分の他、公知の他の添加剤を配合することができる。
例えば、重合禁止剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤等を必要に応じて配合することができる。
これらを配合する際には、光硬化性組成物についての厚さ1mmの硬化物のコントラスト比が、0.55以下、特に0.35〜0.53の範囲となる程度に、配合量を調整することが好ましい。
尚、粘度調整剤としては、例えば粒径が0.07μm未満、特に0.005〜0.05μmの範囲の微細フィラーが使用されることがある。このような微細フィラーの配合量は、前述した無機充填材成分(B)により得られる外観特性が損なわれないように、無機充填材成分(B)100質量部当り10質量部以下、特に5質量部以下とすることが望ましい。
上述した光硬化性組成物からなる本発明の歯科充填修復材料は、一般に、前記各必須成分及び必要に応じて各任意成分を所定量とって十分に混練し、得られたペーストを、必要に応じて減圧下脱泡に供して気泡を除去することによって得られる。
本発明の歯科充填修復材料は、如何なる歯牙の修復にも使用することが可能ではあるが、特に、臼歯部に形成された窩洞の修復のために好適に使用され、従来公知の充填用コンポジットレジンの一般的使用方法と同様に使用される。
例えば、修復すべき臼歯の窩洞を適切な前処理材や接着材で処理した後に、本発明の充填修復材料(光硬化性組成物)を充填し、歯牙の形に形成した後に専用の光照射器にて強力な光を照射して重合硬化させることができる。即ち、臼歯部に形成される窩洞が大きい場合においても、1回あるいは1回に近い少ない数での充填硬化により修復作業を行うことができ、特にI級やII級の深い窩洞の修復に適している。さらには、3〜6mmの深さの深窩洞の修復に用いるのが最適である。これらの深い窩洞に対して、一度に重合、または少ない充填と光重合の繰り返し回数で修復を完了することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
尚、以下の実施例及び比較例において、重合性単量体(或いは複数種の重合性単量体からなる重合性単量体成分(A)の25℃での屈折率nM及び該重合性単量体(或いは重合性単量体成分(A))を重合して得られる重合体の25℃での屈折率nP、並びに無機充填材の25℃での屈折率nFは、以下のようにして測定した。
<重合性単量体の屈折率nM>
用いた重合性単量体(或いは重合性単量体の混合物)の屈折率は、アッベ屈折率計(アタゴ社製)を用いて25℃の恒温室にて測定した。
<重合体の屈折率nP>
用いた重合性単量体(或いは重合性単量体の混合物)の重合体の屈折率は、窩洞内での重合条件とほぼ同じ条件で重合した重合体を、アッベ屈折率計(アタゴ社製)を用いて25℃の恒温室にて測定した。
即ち、CQ 0.2質量%、DMBE 0.3質量%、HQME 0.15質量%を混合した均一な重合性単量体(或いは重合性単量体の混合物)を、φ7mm×0.5mmの孔を有する型に入れ、両面にポリエステルフィルムを圧接した。その後、光量500mW/cmのハロゲン型歯科用光照射器(Demetron LC、サイブロン社製)を用いて30秒間光照射し硬化させた後、型から取り出して、重合性単量体の硬化体を作製した。アッベ屈折率計(アタゴ社製)に硬化体をセットする際に、硬化体と測定面を密着させる目的で、試料を溶解せず、かつ試料よりも屈折率の高い溶媒(ブロモナフタレン)を試料に滴下し測定した。
<無機充填材の屈折率nF>
用いた無機充填材(或いは無機充填材の混合物)の屈折率は、アッベ屈折率計(アタゴ社製)を用いて液浸法によって測定した。
即ち、25℃の恒温室において、100mlサンプルビン中、無機充填材(或いは無機充填材混合物)若しくはその表面処理物1gを無水トルエン50ml中に分散させる。この分散液をスターラーで攪拌しながら1−ブロモトルエンを少しずつ滴下し、分散液が最も透明になった時点の分散液の屈折率を測定し、得られた値を無機充填材の屈折率とした。
また、本発明の実施例及び比較例で用いた重合性単量体、重合開始剤、および各種添加剤は以下のとおりである。尚、重合性単量体については、その屈折率nM及び該重合性単量体を上記のように重合して得られる重合体の屈折率nPを併せて示す。
[重合性単量体]
bis−GMA;
2,2−ビス[(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピ
ルオキシ)フェニル]プロパン
nM:1.552
nP:1.570
3G;
トリエチレングリコールジメタクリレート
nM:1.460
nP:1.510
D−2.6E;
2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プ
ロパン
nM:1.540
nP:1.567
UDMA;
1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチ
ルヘキサン
nM:1.483
nP:1.509
[光重合開始剤]
CQ;
カンファーキノン
[還元性化合物(重合促進剤)]
DMBE;
N,N−ジメチルp−安息香酸エチル
[重合禁止剤]
HQME;
ヒドロキノンモノメチルエーテル
[着色剤]
酸化チタン(白色顔料)
ピグメントイエロー95(黄色顔料)
ピグメントレッド166(赤色顔料)
ピグメントブルー60(青色顔料)
[有機樹脂マトリックスの調整]
上述した重合性単量体を、表1に示す質量比で混合し、実施例および比較例で使用する重合性単量体成分(A)M−1〜M−9を調製した。
表1には、前述した方法で測定されるこの重合性単量体成分(A)の25℃での屈折率及び該単量体成分(A)から得られる重合体の25℃での屈折率nPの値を併せて示した。
Figure 0006262136
[無機充填材]
実施例及び比較例に用いる無機充填材F−1〜F−10について、その組成、粒子形状、平均粒径及び25℃での屈折率nFを表2に示した。
尚、F−7のフッ化イッテルビウム以外の各無機充填材は、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシシランで表面処理されており、屈折率は、表面処理された状態での測定値が示されている。
Figure 0006262136
また、実施例及び比較例で調製された光硬化性組成物(歯科充填修復材)の測定方法は、それぞれ以下のとおりである。
透明性(コントラスト比);
実施例及び比較例で調製された光硬化性組成物のペーストを、7mmφ×1mmの孔を有する型にいれ、両面にポリエステルフィルムを圧接した。
色差計(東京電色製、「TC−1800MKII」)を用いて、背景色黒および白で測定を行い、三刺激値のY値(Yb及びYw)を、背景色黒及び白で測定し、下記式により未硬化でのコントラスト比を算出した。
また、光量500mW/cmのハロゲン型歯科用光照射器(Demetron LC、サイブロン社製)で両面を30秒ずつ光照射し硬化させた後、型から取り出して、同様に測定した。下記式に基づいてコントラスト比を計算し、透明性の指標とした。
尚、コントラスト比は1に近づくほど不透明であることを示す透明性の指標である。
コントラスト比=背景色黒の場合のYb値/背景色白の場合のYw値
硬化深度;
実施例及び比較例で調製されたペースト状の光硬化性組成物(歯科充填修復材料)を、φ4mm×10mm厚のSUS製の金型に流し込み、50μmのPETフィルムで上から覆って、余剰ペーストを押出した。
その後、光量500mW/cmのハロゲン型歯科用光照射器(Demetron LC、サイブロン社製)を用いて30秒間光照射を行い、ペーストを硬化させた。硬化体を取り出し、未重合ペーストをプラスチックスパチュラで除去した後、硬化した部分の厚みをマイクロメータで測定し、硬化深度とした。
臨床上、臼歯部の深い窩底部でも十分な硬化性を得るためには、上記硬化深度は、臨床で充填する深さの2倍の硬化深度が必要と考えられる。具体的には、3mm以上の厚さで充填するためには6mm以上の硬化深度が求められる。より好ましくは、4mm以上の厚さで充填するために8mm以上の硬化深度が得られることが良い。
色調適合性評価;
実施例及び比較例で調製されたペースト状の光硬化性組成物(歯科充填修復材料)を、模擬窩洞(4mmφ×4mm)を有する人工臼歯に充填し、光量500mW/cmのハロゲン型歯科用光照射器(Demetron LC、サイブロン社製)を用いて30秒間光照射を行い、ペーストを硬化させた。
得られた硬化物を含む試料を研磨材(ソフレックス スーパーファイン 3MESPE社製)で研磨を行い、下記基準に則して目視で色調適合性を評価した。
◎:歯面と硬化物(充填修復材料)との境界が特に分かりにくく、色
調適合性が高い。
○:歯面と硬化物(充填修復材料)との境界が分かりにくく、色調適
合性が高い。
×:歯面と硬化物(充填修復材料)との境界が分かり、修復部がわか
る(修復部が暗い、あるいは白く浮く)。
<実施例1>
マトリックスM−1に対して、
CQ(光重合開始剤):0.2質量%
DMBE(還元性化合物):0.3質量%
HQME(重合禁止剤):0.15質量%
を加えて混合し、均一な重合性単量体成分(A)を調製した。
次に、乳鉢に、成分(B)として無機充填材F−1を200質量部計りとり、上記重合性単量体成分(A)100質量部を、赤色光下にて徐々に加えていき、暗所にて十分に混練し均一なペーストを得、このペーストを減圧下脱泡して気泡を除去し、光硬化性組成物(歯科充填修復材料)を得た。
得られた光硬化性組成物について、前述した方法に基づいて各物性を評価した。光硬化性組成物の組成及び評価結果を表3に示した。
表3には、重合性単量体成分(A)の屈折率nMと無機充填材(B)の屈折率nFとの屈折率差(nM−nF)並びに重合性単量体成分(A)から得られる重合体の屈折率nPと無機充填材(B)の屈折率nFとの屈折率差(nP−nF)を併せて示した。
<実施例2〜11>
重合性単量体成分(A)及び成分(B)の無機充填材を表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様に光硬化性組成物を調製し、各種物性の評価を行った。得られた光硬化性組成物の組成及び評価結果、並びに屈折率差(nM−nF)、(nP−nF)を表3に示した。
<実施例12〜14>
重合性単量体成分(A)及び成分(B)の無機充填材の種類、並びに無機充填材の量を表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様に光硬化性組成物を調製し、各種物性の評価を行った。得られた光硬化性組成物の組成及び評価結果、並びに屈折率差(nM−nF)、(nP−nF)を表3に示した。
Figure 0006262136
実施例1〜14の結果から理解されるように、屈折率nM,nP及びnFの関係が本発明で規定する条件(X1)、さらには条件(X2)を満足していると、光硬化性組成物の透明性が高く、大きい硬化深度を得ることができ、さらに、得られる硬化体が適度な半透明性を有しており、歯牙との色調適合性が良好である。特に重合前のコントラスト比が0.27以下である実施例1〜2、4〜5、7、9〜14は8mm以上の特に大きい硬化深度が得られ、また、いずれも良好な色調適合性を示した。
<比較例1〜6>
重合性単量体成分(A)及び成分(B)の無機充填材を表4に示すように変更した以外は、実施例1と同様に光硬化性組成物を調製し、各種物性の評価を行った。得られた光硬化性組成物の組成及び評価結果、並びに屈折率差(nM−nF)、(nP−nF)を表4に示した。
Figure 0006262136
比較例1〜6から理解されるように、屈折率nM,nP及びnFの関係が本発明で規定する条件(X1)を満足していないと、重合前のコントラスト比が0.3以上となり、硬化深度が小さいものとなった。
<実施例15〜18、参考例1,2>
実施例2及び実施例4で得られた光硬化性組成物のペーストに対して、表5に示した着色剤を加えて、暗所にて十分に混練した。着色したペーストを減圧下脱泡して気泡を除去し、着色剤を含む光硬化性組成物を得た。
得られた光硬化性組成物について、前述した方法に基づいて各物性を評価し、その組成及び評価を表5に併せて示した。
Figure 0006262136
実施例15〜18の結果から理解されるように、着色剤が配合されている光硬化性組成物であっても、重合前のコントラスト比が0.3以下であれば、十分な硬化深度が得られた。また、色調適合性も良好なものであった。
一方、参考例1,2の結果から理解されるように、白色顔料を本発明の範囲以上に含有すると重合前のコントラスト比が0.3より大きく、硬化深度も小さいものであった。また、硬化体のコントラスト比も大きく、色調適合性が低いものであった。

Claims (8)

  1. 重合性単量体成分(A)、平均粒径が0.07〜5μmの複合酸化物もしくはその表面処理物からなる無機充填材成分(B)及び光重合開始剤(C)を含む光硬化性組成物からなり、
    前記無機充填材成分(B)を、前記重合性単量体成分(A)100質量部当り、100〜1500質量部の量で含み、
    前記重合性単量体成分(A)及び充填材成分(B)は、下記式(1a)及び(1b);
    nF−0.005<nM<nF+0.005 (1a)
    nF+0.020<nP<nF+0.040 (1b)
    上記式中、
    nMは、重合性単量体成分(A)の25℃における屈折率を表し、
    nPは、重合性単量体成分(A)を重合して得られる重合体の25℃における屈折
    率を表し、
    nFは、無機充填材成分(B)の25℃における屈折率を表す、
    で示される条件(X1)を満足するように選択されていることを特徴とする歯科用充填修復材料。
  2. 前記重合性単量体成分(A)と無機充填材成分(B)は、下記式(2a)及び(2b);
    nF−0.005<nM<nF+0.003 (2a)
    nF+0.025<nP<nF+0.035 (2b)
    上記式中、
    nM、nP及びnFは、前述のとおりの意味である、
    で示される条件(X2)を満足するように選択されている請求項1に記載の歯科用充填修復材料。
  3. 前記重合性単量体成分(A)として複数種の多官能(メタ)アクリル化合物を含み、その屈折率(25℃)が1.48〜1.55の範囲にある請求項1に記載の歯科用充填修復材料。
  4. 前記複数種の多官能(メタ)アクリル化合物が、多官能芳香族(メタ)アクリレートと多官能脂肪族(メタ)アクリレートとの組み合わせからなる請求項3に記載の歯科用充填修復材料。
  5. 前記多官能芳香族(メタ)アクリレートが、2,2−ビス[(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]プロパン及び/または2,2−ビス[(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパンであり、前記多官能脂肪族(メタ)アクリレートが、トリエチレングリコールジメタクリレート及び/または1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチルヘキサンである請求項4に記載の歯科用充填修復材料。
  6. 光量500mW/cmのハロゲン型歯科用照射器を用いて30秒間光照射を行うことによって測定される硬化深度が6mm以上である請求項1に記載の歯科用充填修復材料。
  7. さらに着色剤(D)を含み、厚さ1mmの未硬化の状態で測定されるコントラスト比が0.30以下であり、厚さ1mmの硬化物の状態で測定されるコントラスト比が0.55以下である請求項1に記載の歯科用充填修復材料。
  8. 臼歯部に形成された窩洞の修復に使用される請求項1に記載の歯科用充填修復材料。
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