JPWO2009130797A1 - Abo式血液型を判定するためのプローブセット - Google Patents
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Abstract
ABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子の多型を検出することによりABO式血液型を判定するための簡便かつ効率的な手段を提供することを目的とする。本発明は、ABO式血液型を判定するための、O型判定プローブペア及びB型判定プローブペアを含むプローブセットに関する。
Description
本発明は、ABO式血液型を判定するためのプローブセット、及び該プローブセットを用いてABO式血液型を判定する方法に関する。
ABO式血液型分類は法医学者により実施される最も古い血清学である。Karl Landsteinerは、1901年にABO式血液システムを発見し、血液分類方法を開発した。この方法の基礎は、赤血球及び他の組織に見出されるA、B及びH抗原との抗体反応性である。当該方法では、A、B、O及びAB表現型を区別するために、A型−及びB型−抗原に対するポリクローナル抗体あるいはモノクローナル抗体を利用した凝集アッセイが用いられる。この方法では、AA表現型はAO表現型から区別されず、そしてBB表現型はBO表現型から区別されない。
抗原A及びBは、2種のグリコシルトランスフェラーゼの作用によりH抗原(Hオリゴ糖)から誘導される。血液型Aを有する個人は、N−アセチルガラクトサミンをH抗原に輸送してA抗原を形成するトランスフェラーゼ活性を発現する。血液型Oを有する個人は、機能的グリコシルトランスフェラーゼを欠いており、その結果、細胞表面上に変性されていないH抗原のみを発現する。
ABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子の多型について、Yamamoto et al.,1990,Nature 345(17):229−233では、既知のABO型の個人から単離されたcDNAの配列分析が報告されている。A及びBトランスフェラーゼをコードするcDNAは、1062個の長さの塩基対であり、そして353個のアミノ酸のタンパク質をコードしている。A及びB対立遺伝子配列は、7個のヌクレオチドで互いに異なっており、4個のアミノ酸において異なるタンパク質をコードしており、これはA及びBトランスフェラーゼの異なった特異性を説明するものである。O対立遺伝子は塩基対欠失により、トランスフェラーゼの機能的ドメインを欠いた蛋白質をコードしている。
核酸を用いたABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子型の検出も行われており、例えば、一塩基多型を含む領域をPCRで増幅し、制限酵素で切断後、ゲル電気泳動で一塩基多型を判定するPCR−RFLP(Restriction Fragment Length Polymorphism)法や、ゲノムDNAにおけるABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子の全塩基配列を決定して比較するシークエンス法などが報告されている。
しかし、従来の抗原抗体反応を利用して血球の凝集を目視で観察する判定方法や吸光度を測定する特殊な方法は、専門的な技術や経験が必要であり、また最近市販の抗体の性質上、微量な試料から判定する場合に誤判定を生じる可能性があるなど、多くの問題があった。また、PCR−RFLP法やシークエンス法などを用いた判定方法は、コストや時間がかかる上、少量の試料での検査が困難であった。
抗原A及びBは、2種のグリコシルトランスフェラーゼの作用によりH抗原(Hオリゴ糖)から誘導される。血液型Aを有する個人は、N−アセチルガラクトサミンをH抗原に輸送してA抗原を形成するトランスフェラーゼ活性を発現する。血液型Oを有する個人は、機能的グリコシルトランスフェラーゼを欠いており、その結果、細胞表面上に変性されていないH抗原のみを発現する。
ABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子の多型について、Yamamoto et al.,1990,Nature 345(17):229−233では、既知のABO型の個人から単離されたcDNAの配列分析が報告されている。A及びBトランスフェラーゼをコードするcDNAは、1062個の長さの塩基対であり、そして353個のアミノ酸のタンパク質をコードしている。A及びB対立遺伝子配列は、7個のヌクレオチドで互いに異なっており、4個のアミノ酸において異なるタンパク質をコードしており、これはA及びBトランスフェラーゼの異なった特異性を説明するものである。O対立遺伝子は塩基対欠失により、トランスフェラーゼの機能的ドメインを欠いた蛋白質をコードしている。
核酸を用いたABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子型の検出も行われており、例えば、一塩基多型を含む領域をPCRで増幅し、制限酵素で切断後、ゲル電気泳動で一塩基多型を判定するPCR−RFLP(Restriction Fragment Length Polymorphism)法や、ゲノムDNAにおけるABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子の全塩基配列を決定して比較するシークエンス法などが報告されている。
しかし、従来の抗原抗体反応を利用して血球の凝集を目視で観察する判定方法や吸光度を測定する特殊な方法は、専門的な技術や経験が必要であり、また最近市販の抗体の性質上、微量な試料から判定する場合に誤判定を生じる可能性があるなど、多くの問題があった。また、PCR−RFLP法やシークエンス法などを用いた判定方法は、コストや時間がかかる上、少量の試料での検査が困難であった。
本発明は、ABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子の多型を検出することによりABO式血液型を判定するための簡便かつ効率的な手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、ゲノム上のABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子におけるエキソン6及びエキソン7に存在する一塩基多型を効率的に識別できるプローブを設計することに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を包含する。
(1)ABO式血液型を判定するためのプローブセットであって、O型判定プローブペア及びB型判定プローブペアを含み、
O型判定プローブペアが、以下のプローブO−1及びプローブO−2のペア:
プローブO−1:配列番号1の20136〜20155番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブO−2:配列番号1において20146番目のGが欠失した塩基配列における20136〜20156番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
、及び/又は以下のプローブO−1’及びプローブO−2’のペア:
プローブO−1’:配列番号1の20136〜20155番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブO−2’:配列番号1において20146番目のGが欠失した塩基配列における20136〜20156番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
を含み、
B型判定プローブペアが、以下のプローブB−1及びプローブB−2のペア:
プローブB−1:配列番号1の21857〜21876番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブB−2:配列番号1において21867番目のGがAに置換された塩基配列における21857〜21876番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
、及び/又は以下のプローブB−1’及びプローブB−2’のペア:
プローブB−1’:配列番号1の21857〜21876番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブB−2’:配列番号1において21867番目のGがAに置換された塩基配列における21857〜21876番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
を含む、前記プローブセット。
(2)A2型判定プローブペア、A3型判定プローブペア及びB3型判定プローブペアからなる群から選択される少なくとも1のプローブペアをさらに含み、
A2型判定プローブペアが、以下のプローブA2−1及びプローブA2−2のペア:
プローブA2−1:配列番号1の21394〜21409番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブA2−2:配列番号1において21404番目のCがTに置換された塩基配列における21394〜21409番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
、及び/又は以下のプローブA2−1’及びプローブA2−2’のペア:
プローブA2−1’:配列番号1の21394〜21409番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブA2−2’:配列番号1において21404番目のCがTに置換された塩基配列における21394〜21409番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
を含み、
A3型判定プローブペアが、以下のプローブA3−1及びプローブA3−2のペア:
プローブA3−1:配列番号1の21798〜21817番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブA3−2:配列番号1において21808番目のGがAに置換された塩基配列における21798〜21817番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
、及び/又は以下のプローブA3−1’及びプローブA3−2’のペア:
プローブA3−1’:配列番号1の21798〜21817番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブA3−2’:配列番号1において21808番目のGがAに置換された塩基配列における21798〜21817番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
を含み、
B3型判定プローブペアが、以下のプローブB3−1及びプローブB3−2のペア:
プローブB3−1:配列番号1の21981〜22000番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブB3−2:配列番号1において21991番目のCがTに置換された塩基配列における21981〜22000番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
、及び/又は以下のプローブB3−1’及びプローブB3−2’のペア:
プローブB3−1’:配列番号1の21981〜22000番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブB3−2’:配列番号1において21991番目のCがTに置換された塩基配列における21981〜22000番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
含む、(1)記載のプローブセット。
(3)(1)又は(2)記載のプローブセットが担体上に固定化されてなる、ABO式血液型を判定するためのマイクロアレイ。
(4)担体が、表面にカーボン層と化学修飾基とを有するものである、(3)記載のマイクロアレイ。
(5)被検者のABO式血液型を判定する方法であって、
被検者由来の試料からゲノムDNAを抽出する工程と、
抽出したゲノムDNAを鋳型とし、ABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子におけるエキソン6を含む領域及び/又はエキソン7を含む領域を増幅する工程と、
(1)又は(2)記載のプローブセットと増幅核酸を接触させる工程と、
各プローブペアにおいて、一方のプローブにハイブリダイズした核酸と他方のプローブにハイブリダイズした核酸の比を測定する工程と
を含む、前記方法。
(6)(1)若しくは(2)記載のプローブセット、又は(3)若しくは(4)記載のマイクロアレイを含む、ABO式血液型を判定するためのキット。
本発明者らは、ゲノム上のABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子におけるエキソン6及びエキソン7に存在する一塩基多型を効率的に識別できるプローブを設計することに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を包含する。
(1)ABO式血液型を判定するためのプローブセットであって、O型判定プローブペア及びB型判定プローブペアを含み、
O型判定プローブペアが、以下のプローブO−1及びプローブO−2のペア:
プローブO−1:配列番号1の20136〜20155番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブO−2:配列番号1において20146番目のGが欠失した塩基配列における20136〜20156番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
、及び/又は以下のプローブO−1’及びプローブO−2’のペア:
プローブO−1’:配列番号1の20136〜20155番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブO−2’:配列番号1において20146番目のGが欠失した塩基配列における20136〜20156番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
を含み、
B型判定プローブペアが、以下のプローブB−1及びプローブB−2のペア:
プローブB−1:配列番号1の21857〜21876番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブB−2:配列番号1において21867番目のGがAに置換された塩基配列における21857〜21876番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
、及び/又は以下のプローブB−1’及びプローブB−2’のペア:
プローブB−1’:配列番号1の21857〜21876番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブB−2’:配列番号1において21867番目のGがAに置換された塩基配列における21857〜21876番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
を含む、前記プローブセット。
(2)A2型判定プローブペア、A3型判定プローブペア及びB3型判定プローブペアからなる群から選択される少なくとも1のプローブペアをさらに含み、
A2型判定プローブペアが、以下のプローブA2−1及びプローブA2−2のペア:
プローブA2−1:配列番号1の21394〜21409番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブA2−2:配列番号1において21404番目のCがTに置換された塩基配列における21394〜21409番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
、及び/又は以下のプローブA2−1’及びプローブA2−2’のペア:
プローブA2−1’:配列番号1の21394〜21409番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブA2−2’:配列番号1において21404番目のCがTに置換された塩基配列における21394〜21409番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
を含み、
A3型判定プローブペアが、以下のプローブA3−1及びプローブA3−2のペア:
プローブA3−1:配列番号1の21798〜21817番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブA3−2:配列番号1において21808番目のGがAに置換された塩基配列における21798〜21817番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
、及び/又は以下のプローブA3−1’及びプローブA3−2’のペア:
プローブA3−1’:配列番号1の21798〜21817番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブA3−2’:配列番号1において21808番目のGがAに置換された塩基配列における21798〜21817番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
を含み、
B3型判定プローブペアが、以下のプローブB3−1及びプローブB3−2のペア:
プローブB3−1:配列番号1の21981〜22000番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブB3−2:配列番号1において21991番目のCがTに置換された塩基配列における21981〜22000番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
、及び/又は以下のプローブB3−1’及びプローブB3−2’のペア:
プローブB3−1’:配列番号1の21981〜22000番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブB3−2’:配列番号1において21991番目のCがTに置換された塩基配列における21981〜22000番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
含む、(1)記載のプローブセット。
(3)(1)又は(2)記載のプローブセットが担体上に固定化されてなる、ABO式血液型を判定するためのマイクロアレイ。
(4)担体が、表面にカーボン層と化学修飾基とを有するものである、(3)記載のマイクロアレイ。
(5)被検者のABO式血液型を判定する方法であって、
被検者由来の試料からゲノムDNAを抽出する工程と、
抽出したゲノムDNAを鋳型とし、ABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子におけるエキソン6を含む領域及び/又はエキソン7を含む領域を増幅する工程と、
(1)又は(2)記載のプローブセットと増幅核酸を接触させる工程と、
各プローブペアにおいて、一方のプローブにハイブリダイズした核酸と他方のプローブにハイブリダイズした核酸の比を測定する工程と
を含む、前記方法。
(6)(1)若しくは(2)記載のプローブセット、又は(3)若しくは(4)記載のマイクロアレイを含む、ABO式血液型を判定するためのキット。
図1は、O型の血液型を有する検体由来のゲノムDNAから増幅した核酸を17塩基、20塩基、23塩基又は25塩基の塩基配列からなるO型判定プローブペアにハイブリダイズさせたときの、各プローブペアにハイブリダイズした核酸に由来する蛍光強度及びその比を示す。
図2は、各種血液型を有する検体由来のゲノムDNAから増幅した核酸をO型判定プローブペア及びB型判定プローブペアにハイブリダイズさせたときの、各プローブペアにハイブリダイズした核酸に由来する蛍光強度の比を示す。
図3は、各種血液型を有する44検体由来のゲノムDNAから増幅した核酸をO型判定プローブペア及びB型判定プローブペアにハイブリダイズさせ、O型判定プローブペアにおける蛍光強度比をX軸に、B型判定プローブペアプローブ蛍光強度比Y軸にプロットした結果を示す。
図4は、A2型、A3型、B3型、AO型及びBO型のDNAから増幅した核酸をA2型判定プローブペア、A3型判定プローブペア及びB3型判定プローブペアにハイブリダイズさせたときの、各プローブペアにハイブリダイズした核酸に由来する蛍光強度の比を示す。
図5は、A2型、AO型及びBO型のDNAから増幅した核酸を20塩基、18塩基又は16塩基の塩基配列からなるA2型判定プローブペアにハイブリダイズさせたときの、各プローブペアにハイブリダイズした核酸に由来する蛍光強度の比を示す。
図2は、各種血液型を有する検体由来のゲノムDNAから増幅した核酸をO型判定プローブペア及びB型判定プローブペアにハイブリダイズさせたときの、各プローブペアにハイブリダイズした核酸に由来する蛍光強度の比を示す。
図3は、各種血液型を有する44検体由来のゲノムDNAから増幅した核酸をO型判定プローブペア及びB型判定プローブペアにハイブリダイズさせ、O型判定プローブペアにおける蛍光強度比をX軸に、B型判定プローブペアプローブ蛍光強度比Y軸にプロットした結果を示す。
図4は、A2型、A3型、B3型、AO型及びBO型のDNAから増幅した核酸をA2型判定プローブペア、A3型判定プローブペア及びB3型判定プローブペアにハイブリダイズさせたときの、各プローブペアにハイブリダイズした核酸に由来する蛍光強度の比を示す。
図5は、A2型、AO型及びBO型のDNAから増幅した核酸を20塩基、18塩基又は16塩基の塩基配列からなるA2型判定プローブペアにハイブリダイズさせたときの、各プローブペアにハイブリダイズした核酸に由来する蛍光強度の比を示す。
ゲノム上のABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子は多型を有し、A、B及びO対立遺伝子配列を有する。A及びB対立遺伝子は、異なる特異性を有するA及びBトランスフェラーゼをそれぞれコードする。A対立遺伝子は、N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質をコードし、B対立遺伝子は、ガラクトシルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質をコードする。O対立遺伝子は塩基対欠失により、トランスフェラーゼの機能的ドメインを欠いている蛋白質をコードする。これらの対立遺伝子の組み合わせにより、ABO式血液型には、AA型、BB型、AO型、BO型、AB型及びOO型が存在する。さらに、AA型及びBB型には亜型も存在し、AA型の亜型としては、A2型、A3型が存在し、BB型の亜型としてはB3型が存在する。
A2型、A3型および、B3型はそもそも抗原抗体反応において識別される血液型の亜型であるが、現在では遺伝子配列における点変異の部位が報告されているものである(IMMUNOHEMATOLOGY,20(1)(2004)3−22.)。
ABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子の配列は公知であり、公開されたデータベース(GenBank)に登録されている。例えば、A対立遺伝子の配列は、A101(AF134412)として登録されており、B対立遺伝子の配列は、B101(AF016622,AJ536135)として登録されており、O対立遺伝子の配列は、O01(AF134415,AF134435,AF134436)として登録されている。また、A2遺伝子の配列は、A201(AF134421,AF134422)として登録されており、A3遺伝子の配列は、A301(AF134423,AF134424)として登録されており、B3遺伝子の配列は、B301(AF134431,AF134432)として登録されている。各配列は、例えば、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/から入手できる。
本発明のABO式血液型を判定するためのプローブセットは、O型判定プローブペア、及びB型判定プローブペアを含む。
本発明のプローブセットは、O型判定プローブペアとして、プローブO−1及びプローブO−2のペア、及び/又はプローブO−1’及びプローブO−2’のペアを含む。
プローブO−1は、配列番号1の20136〜20155番目の塩基(配列番号2)を含む連続した22塩基以下の塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブであり、好ましくは配列番号2の塩基配列からなるプローブである。プローブO−2は、配列番号1において20146番目のGが欠失した塩基配列における20136〜20156番目の塩基(配列番号3)を含む連続した22塩基以下の塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブである。好ましくは配列番号3の塩基配列からなるプローブである。
プローブO−1’は、配列番号1の20136〜20155番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブであり、プローブO−2’は、配列番号1において20146番目のGが欠失した塩基配列における20136〜20156番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブである。プローブO−1’とプローブO−2’のペアにおいては、5’末端及び3’末端において同じ欠失を有するペアを用いるのが好ましい。例えば、プローブO−1’が5’末端においてのみ1塩基の欠失を有する場合、プローブO−2’も5’末端においてのみ1塩基の欠失を有することが好ましい。
O型判定プローブペアとして、配列番号2の塩基配列からなるプローブと配列番号3の塩基配列からなるプローブを含むことが好ましい。
本発明のプローブセットは、B型判定プローブペアとして、プローブB−1及びプローブB−2のペア、及び/又はプローブB−1’及びプローブB−2’のペアを含む。
プローブB−1は、配列番号1の21857〜21876番目の塩基(配列番号4)を含む連続した22塩基以下の塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブであり、好ましくは配列番号4の塩基配列からなるプローブである。プローブB−2は、配列番号1において21867番目のGがAに置換された塩基配列における21857〜21876番目の塩基(配列番号5)を含む連続した22塩基以下の塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブである。好ましくは配列番号5の塩基配列からなるプローブである。
プローブB−1’は、配列番号1の21857〜21876番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブであり、プローブB−2’は、配列番号1において21867番目のGがAに置換された塩基配列における21857〜21876番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブである。プローブB−1’とプローブB−2’のペアにおいては、5’末端及び3’末端において同じ欠失を有するペアを用いるのが好ましい。例えば、プローブB−1’が5’末端においてのみ1塩基の欠失を有する場合、プローブB−2’も5’末端においてのみ1塩基の欠失を有することが好ましい。
B型判定プローブペアとして、配列番号4の塩基配列からなるプローブと配列番号5の塩基配列からなるプローブを含むことが好ましい。
本発明のABO式血液型を判定するためのプローブセットは、A2型判定プローブペア、A3型判定プローブペア、及びB3型判定プローブペアからなる群から選択される少なくとも1のプローブペアをさらに含んでいてもよい。
本発明のプローブセットは、A2型判定プローブペアとして、プローブA2−1及びプローブA2−2のペア、及び/又はプローブA2−1’及びプローブA2−2’のペアを含む。
プローブA2−1は、配列番号1の21394〜21409番目の塩基(配列番号6に相補的な配列)を含む連続した22塩基以下、好ましくは17塩基以下の塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブであり、好ましくは配列番号6の塩基配列からなるプローブである。プローブA2−2は、配列番号1において21404番目のCがTに置換された塩基配列における21394〜21409番目の塩基(配列番号7に相補的な配列)を含む連続した22塩基以下、好ましくは17塩基以下の塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブである。好ましくは配列番号7の塩基配列からなるプローブである。
プローブA2−1’は、配列番号1の21394〜21409番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブであり、プローブA2−2’は、配列番号1において21404番目のCがTに置換された塩基配列における21394〜21409番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブである。プローブA2−1’とプローブA2−2’のペアにおいては、5’末端及び3’末端において同じ欠失を有するペアを用いるのが好ましい。例えば、プローブA2−1’が5’末端においてのみ1塩基の欠失を有する場合、プローブA2−2’も5’末端においてのみ1塩基の欠失を有することが好ましい。
A2型判定プローブペアとして、配列番号6の塩基配列からなるプローブと配列番号7の塩基配列からなるプローブを含むことが好ましい。
本発明のプローブセットは、A3型判定プローブペアとして、プローブA3−1及びプローブA3−2のペア、及び/又はプローブA3−1’及びプローブA3−2’のペアを含む。
プローブA3−1は、配列番号1の21798〜21817番目の塩基(配列番号8)を含む連続した22塩基以下の塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブであり、好ましくは配列番号8の塩基配列からなるプローブである。プローブA3−2は、配列番号1において21808番目のGがAに置換された塩基配列における21798〜21817番目の塩基(配列番号9)を含む連続した22塩基以下の塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブである。好ましくは配列番号9の塩基配列からなるプローブである。
プローブA3−1’は、配列番号1の21798〜21817番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブであり、プローブA3−2’は、配列番号1において21808番目のGがAに置換された塩基配列における21798〜21817番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブである。プローブA3−1’とプローブA3−2’のペアにおいては、5’末端及び3’末端において同じ欠失を有するペアを用いるのが好ましい。例えば、プローブA3−1’が5’末端においてのみ1塩基の欠失を有する場合、プローブA3−2’も5’末端においてのみ1塩基の欠失を有することが好ましい。
A3型判定プローブペアとして、配列番号8の塩基配列からなるプローブと配列番号9の塩基配列からなるプローブを含むことが好ましい。
本発明のプローブセットは、B3型判定プローブペアとして、プローブB3−1及びプローブB3−2のペア、及び/又はプローブB3−1’及びプローブB3−2’のペアを含む。
プローブB3−1は、配列番号1の21981〜22000番目の塩基(配列番号10)を含む連続した22塩基以下の塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブであり、好ましくは配列番号10の塩基配列からなるプローブである。プローブB3−2は、配列番号1において21991番目のCがTに置換された塩基配列における21981〜22000番目の塩基(配列番号11)を含む連続した22塩基以下の塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブである。好ましくは配列番号11の塩基配列からなるプローブである。
プローブB3−1’は、配列番号1の21981〜22000番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブであり、プローブB3−2’は、配列番号1において21991番目のCがTに置換された塩基配列における21981〜22000番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブである。プローブB3−1’とプローブB3−2’のペアにおいては、5’末端及び3’末端において同じ欠失を有するペアを用いるのが好ましい。例えば、プローブB3−1’が5’末端においてのみ1塩基の欠失を有する場合、プローブB3−2’も5’末端においてのみ1塩基の欠失を有することが好ましい。
B3型判定プローブペアとして、配列番号10の塩基配列からなるプローブと配列番号11の塩基配列からなるプローブを含むことが好ましい。
本発明はまた、上記プローブセットを用いて被検者のABO式血液型を判定する方法に関する。本発明の方法では、被検者(通常、ヒト被検者をさす)の生体試料由来のゲノムDNAを鋳型とする増幅反応によって得られた増幅核酸と上記プローブセットを接触させるハイブリダイゼーション法において、各プローブペアにおいて一方のプローブにハイブリダイズした核酸と他方のプローブにハイブリダイズした核酸の比(核酸の量の比)を測定することを特徴とする。
本発明において核酸には、DNAおよびRNAが包含され、DNAには一本鎖DNAおよび二本鎖DNAが包含される。プローブは通常核酸をさし、好ましくはDNAである。増幅核酸は、好ましくはDNAである。
被検者の生体試料由来のゲノムDNAを鋳型とする増幅反応によって得られた増幅核酸とは、通常、被検者の生体試料由来のゲノムDNAを鋳型として、ABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子におけるエキソン6を含む領域及び/又はエキソン7を含む領域を増幅することによって得られる増幅核酸をさす。O型判定プローブペア及びB型判定プローブペアの双方についてハイブリダイズした核酸の比を測定する場合は、エキソン6を含む領域及びエキソン7を含む領域の双方を増幅する。A2型判定プローブペア、A3型判定プローブペア又はB3型判定プローブペアについてのみハイブリダイズした核酸の比を測定する場合は、エキソン7を含む領域のみを増幅すれば足りるが、双方の領域を増幅してもよい。
エキソン6を含む領域を増幅するためのプライマー及びエキソン7を含む領域を増幅するためのプライマーは、当業者であれば適宜設計できる。例えば、エキソン6を含む領域を増幅するためのプライマーセットとしては、配列番号18の塩基配列からなるプライマーと配列番号19の塩基配列からなるプライマーのセットが挙げられる。エキソン7を含む領域を増幅するためのプライマーセットとしては、配列番号20の塩基配列からなるプライマーと配列番号21の塩基配列からなるプライマーのセットが挙げられる。
従って、より具体的には、本発明のABO式血液型を判定する方法は、
被検者由来の試料からゲノムDNAを抽出する工程と、
抽出したゲノムDNAを鋳型とし、ABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子におけるエキソン6を含む領域及び/又はエキソン7を含む領域を増幅する工程と、
本発明のプローブセットと増幅核酸を接触させる工程と、
各プローブペアにおいて、一方のプローブにハイブリダイズした核酸と他方のプローブにハイブリダイズした核酸の比を測定する工程と
を含む。
各プローブペアにおいてハイブリダイズした核酸の比を測定する2つのプローブは同じ塩基長のものを用いるのが好ましい。
プローブは、例えば、核酸合成装置によって化学的に合成することで取得することができる。核酸合成装置としては、DNAシンセサイザー、全自動核酸合成装置、核酸自動合成装置等と呼ばれる装置を使用することができる。
各プローブペアにおいて、一方のプローブにハイブリダイズした核酸と他方のプローブにハイブリダイズした核酸の比から、被検者の遺伝子型、すなわちABO式血液型(AA型、AO型、BO型、AB型及びOO型、並びにA2型、A3型及びB3型)を判定することができる。
より具体的には、以下のように判定することができる。
O型判定プローブペアにおいて、プローブO−2にハイブリダイズした核酸/プローブO−1にハイブリダイズした核酸の値(O−2/O−1)に基づき、被検者の血液型がOO型、?O型又は??型(?=A又はB)であるかを判定できる。?O型は、AO型又はBO型を意味し、??型はAA型、AB型又はBB型を意味する。O−2/O−1の値は、OO型>?O型>??型となる。従って、O−2/O−1の値に閾値を設定することにより、OO型、?O型又は??型のいずれであるかを判定できる。例えば、O−2/O−1の値が3.0以上であればOO型と判定し、O−2/O−1の値が1.0以上3.0未満であれば?O型と判定し、O−2/O−1の値が1.0未満であれば??型と判定できる。プローブO−2’にハイブリダイズした核酸/プローブO−1’にハイブリダイズした核酸の値(O−2’/O−1’)についても同様である。
B型判定プローブペアにおいて、プローブB−2にハイブリダイズした核酸/プローブB−1にハイブリダイズした核酸の値(B−2/B−1)に基づき、被検者の血液型がBB型、B?型又は??型(?=A又はO)であるかを判定できる。B?型は、AB型又はBO型を意味し、??型はAA型、AO型又はOO型を意味する。B−2/B−1の値は、BB型>B?型>??型となる。従って、B−2/B−1の値に閾値を設定することにより、BB型、B?型又は??型のいずれであるかを判定できる。例えば、B−2/B−1の値が3.0以上であればBB型と判定し、B−2/B−1の値が1.0以上3.0未満であればB?型と判定し、B−2/B−1の値が1.0未満であれば??型と判定できる。プローブB−2’にハイブリダイズした核酸/プローブB−1’にハイブリダイズした核酸の値(B−2’/B−1’)についても同様である。
上記O−2/O−1の値及びB−2/B−1の値から得られる判定結果を組み合わせることにより、AA型、BB型、AO型、BO型、AB型又はOO型のいずれであるかを判定することができる。
A2型判定プローブペアにおいて、プローブA2−2にハイブリダイズした核酸/プローブA2−1にハイブリダイズした核酸の値(A2−2/A2−1)に基づき、被検者の血液型がA2型であるかどうかを判定できる。A2−2/A2−1の値に閾値を設定することにより、A2型であるかどうかを判定できる。例えば、A2−2/A2−1の値が1.5以上であればA2型と判定できる。プローブA2−2’にハイブリダイズした核酸/プローブA2−1’にハイブリダイズした核酸の値(A2−2’/A2−1’)についても同様である。
A3型判定プローブペアにおいて、プローブA3−2にハイブリダイズした核酸/プローブA3−1にハイブリダイズした核酸の値(A3−2/A3−1)に基づき、被検者の血液型がA3型であるかどうかを判定できる。A3−2/A3−1の値に閾値を設定することにより、A3型であるかどうかを判定できる。例えば、A3−2/A3−1の値が2.0以上であればA3型と判定できる。プローブA3−2’にハイブリダイズした核酸/プローブA3−1’にハイブリダイズした核酸の値(A3−2’/A3−1’)についても同様である。
B3型判定プローブペアにおいて、プローブB3−2にハイブリダイズした核酸/プローブB3−1にハイブリダイズした核酸の値(B3−2/B3−1)に基づき、被検者の血液型がB3型であるかどうかを判定できる。B3−2/B3−1の値に閾値を設定することにより、B3型であるかどうかを判定できる。例えば、B3−2/B3−1の値が2.0以上であればB3型と判定できる。プローブB3−2’にハイブリダイズした核酸/プローブB3−1’にハイブリダイズした核酸の値(B3−2’/B3−1’)についても同様である。
閾値は、実験条件により異なり当業者であれば適宜設定できる。より詳しくは、その遺伝子型が既知である被検者ついて、プローブペアごとに核酸ハイブリダイゼーションを実施し、統計的処理を行ってそれぞれの遺伝子型について上記比の標準値を算出し、遺伝子型が未知の被検者における比と当該標準値とを比較することにより、被検者の遺伝子型を判定することができる。
生体試料は、ゲノムDNAを含むものであれば特に制限されない。例えば、血液およびこれに由来する血液関連試料(血液、血清および血漿など)、リンパ液、汗、涙、唾液、尿、糞便、腹水および髄液等の体液、ならびに細胞、組織または臓器の破砕物および抽出液などが挙げられる。本発明においては、好ましくは、血液関連試料を用いる。
ゲノムDNAを鋳型とした増幅反応により得られる増幅核酸とプローブとのハイブリダイゼーション反応、並びに各プローブペアにおいて一方のプローブにハイブリダイズした核酸と他方のプローブにハイブリダイズした核酸の比の測定は、当技術分野で慣用の方法により実施することができる。具体的には、以下のように実施することができる。
まず、被検者から採取した生体試料からゲノムDNAを抽出する。抽出手段としては、特に限定されないが、前記生体試料から直接的にDNA成分を分離し、精製して回収できる手段であることが好ましい。抽出手段の具体例としては、例えばフェノール/クロロホルム、エタノール、水酸化ナトリウム、CTABなどを用いたDNA抽出法が挙げられる。
次に、得られたゲノムDNAを鋳型として用いて核酸増幅反応を行い、検出対象領域を増幅させる。核酸増幅反応としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、LAMP(Loop−Mediated Isothermal Amplification)等を適用することができる。ここで、検出対象領域とは、被検者のゲノムDNA上のABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子に含まれるエキソン6及び/又はエキソン7における遺伝子多型を判定できる程度に特異性を有する領域である。本発明においては、好ましくはエキソン6を含む領域及び/又はエキソン7を含む領域に対し核酸増幅反応を実施する。
また、検出対象領域を増幅させる際には、増幅後の領域を識別できるように標識を付加することが望ましい。このとき、増幅された核酸を標識する方法としては、特に限定されないが、例えば核酸増幅反応に使用するプライマーをあらかじめ標識しておく方法を使用してもよいし、核酸増幅反応に標識ヌクレオチドを基質として使用する方法を使用してもよい。標識物質としては、特に限定されないが、放射性同位元素や蛍光色素、あるいはジゴキシゲニン(DIG)やビオチンなどの有機化合物などを使用することができる。
またこの反応系は、核酸増幅・標識に必要な緩衝剤、耐熱性DNAポリメラーゼ、検出対象領域特異的プライマー、標識ヌクレオチド三燐酸(具体的には蛍光標識等を付加したヌクレオチド三燐酸)、ヌクレオチド三燐酸および塩化マグネシウム等を含む反応系である。
上記のようにして得られた増幅核酸と本発明のプローブとのハイブリダイゼーション反応を行い、各プローブにハイブリダイズした核酸の量を、例えば標識を検出することにより測定できる。プローブにハイブリダイズした増幅核酸は、例えば、既知量のDNAを含む試料を用いて検量線を作成することにより、定量することができる。
上記ハイブリダイゼーション反応においては、本発明のプローブが担体上に固定化されたマイクロアレイを用い、該マイクロアレイに増幅核酸を適用することが好ましい。その場合、本発明のプローブは、同一の担体に固定化されていてもよいし、異なる担体に固定化されていてもよい。少なくともプローブペア同士は同一の担体に固定化されていることが好ましく、O型判定プローブペアとB型判定プローブペアも同一の担体に固定化されていることが好ましい。各プローブとしては、それぞれの条件を満たす限り、複数種のものが担体上に固定化されていてもよい。
マイクロアレイにおける担体の材料としては、当技術分野で公知のものを使用でき、特に制限されない。例えば、白金、白金黒、金、パラジウム、ロジウム、銀、水銀、タングステンおよびそれらの化合物などの貴金属、およびグラファイト、カーボンファイバーに代表される炭素などの導電体材料;単結晶シリコン、アモルファスシリコン、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素などに代表されるシリコン材料、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)などに代表されるこれらシリコン材料の複合素材;ガラス、石英ガラス、アルミナ、サファイア、セラミクス、フォルステライト、感光性ガラスなどの無機材料;ポリエチレン、エチレン、ポリプロビレン、環状ポリオレフィン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル・ブタジエンスチレン共重合体、ポリフェニレンオキサイドおよびポリスルホンなどの有機材料等が挙げられる。担体の形状も特に制限されないが、好ましくは平板状である。
本発明においては、担体として、好ましくは表面にカーボン層と化学修飾基とを有する担体を用いる。表面にカーボン層と化学修飾基とを有する担体には、基板の表面にカーボン層と化学修飾基とを有するもの、およびカーボン層からなる基板の表面に化学修飾基を有するものが包含される。基板の材料としては、当技術分野で公知のものを使用でき、特に制限されず、上述の担体材料と同様のものを使用できる。
本発明は、微細な平板状の構造を有する担体に対し好適に用いられる。形状は、長方形、正方形および円形など限定されないが、通常、1〜75mm四方のもの、好ましくは1〜10mm四方のもの、より好ましくは3〜5mm四方のものを用いる。微細な平板状の構造の担体を製造しやすいことから、シリコン材料や樹脂材料からなる基板を用いるのが好ましく、特に単結晶シリコンからなる基板の表面にカーボン層および化学修飾基を有する担体がより好ましい。単結晶シリコンには、部分部分でごくわずかに結晶軸の向きが変わっているものや(モザイク結晶と称される場合もある)、原子的尺度での乱れ(格子欠陥)が含まれているものも包含される。
本発明において基板上に形成させるカーボン層としては、特に制限されないが、合成ダイヤモンド、高圧合成ダイヤモンド、天然ダイヤモンド、軟ダイヤモンド(例えば、ダイヤモンドライクカーボン)、アモルファスカーボン、炭素系物質(例えば、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ)のいずれか、それらの混合物、またはそれらを積層させたものを用いることが好ましい。また、炭化ハフニウム、炭化ニオブ、炭化珪素、炭化タンタル、炭化トリウム、炭化チタン、炭化ウラン、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、炭化モリブデン、炭化クロム、炭化バナジウム等の炭化物を用いてもよい。ここで、軟ダイヤモンドとは、いわゆるダイヤモンドライクカーボン(DLC:Diamond Like Carbon)等の、ダイヤモンドとカーボンとの混合体である不完全ダイヤモンド構造体を総称し、その混合割合は、特に限定されない。カーボン層は、化学的安定性に優れておりその後の化学修飾基の導入や分析対象物質との結合における反応に耐えることができる点、分析対象物質と静電結合によって結合するためその結合が柔軟性を持っている点、UV吸収がないため検出系UVに対して透明性である点、およびエレクトロブロッティングの際に通電可能な点において有利である。また、分析対象物質との結合反応において、非特異的吸着が少ない点においても有利である。前記のとおり基板自体がカーボン層からなる担体を用いてもよい。
本発明においてカーボン層の形成は公知の方法で行うことができる。例えば、マイクロ波プラズマCVD(Chemical vapor deposit)法、ECRCVD(Electric cyclotron resonance chemical vapor deposit)法、ICP(Inductive coupled plasma)法、直流スパッタリング法、ECR(Electric cyclotron resonance)スパッタリング法、イオン化蒸着法、アーク式蒸着法、レーザ蒸着法、EB(Electron beam)蒸着法、抵抗加熱蒸着法などが挙げられる。
高周波プラズマCVD法では、高周波によって電極間に生じるグロー放電により原料ガス(メタン)を分解し、基板上にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)層を合成する。イオン化蒸着法では、タングステンフィラメントで生成される熱電子を利用して、原料ガス(ベンゼン)を分解・イオン化し、バイアス電圧によって基板上にカーボン層を形成する。水素ガス1〜99体積%と残りメタンガス99〜1体積%からなる混合ガス中で、イオン化蒸着法によりDLC層を形成してもよい。
アーク式蒸着法では、固体のグラファイト材料(陰極蒸発源)と真空容器(陽極)の間に直流電圧を印加することにより真空中でアーク放電を起こして陰極から炭素原子のプラズマを発生させ蒸発源よりもさらに負のバイアス電圧を基板に印加することにより基板に向かってプラズマ中の炭素イオンを加速しカーボン層を形成することができる。
レーザ蒸着法では、例えばNd:YAGレーザ(パルス発振)光をグラファイトのターゲット板に照射して溶融させ、ガラス基板上に炭素原子を堆積させることによりカーボン層を形成することができる。
基板の表面にカーボン層を形成する場合、カーボン層の厚さは、通常、単分子層〜100μm程度であり、薄すぎると下地基板の表面が局部的に露出する可能性があり、逆に厚くなると生産性が悪くなるので、好ましくは2nm〜1μm、より好ましくは5nm〜500nmである。
カーボン層が形成された基板の表面に化学修飾基を導入することにより、プローブを担体に強固に固定化できる。導入する化学修飾基は、当業者であれば適宜選択することができ、特に制限されないが、例えば、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、ホルミル基、ヒドロキシル基および活性エステル基が挙げられる。
アミノ基の導入は、例えば、カーボン層をアンモニアガス中で紫外線照射することによりまたはプラズマ処理することにより実施できる。または、カーボン層を塩素ガス中で紫外線を照射して塩素化し、さらにアンモニアガス中で紫外線照射することにより実施できる。または、メチレンジアミン、エチレンジアミンで等の多価アミン類ガス中を、塩素化したカーボン層と反応させることによって実施することもできる。
カルボキシル基の導入は、例えば、前記のようにアミノ化したカーボン層に適当な化合物を反応させることにより実施できる。カルボキシル基を導入するために用いられる化合物としては、例えば、式:X−R1−COOH(式中、Xはハロゲン原子、R1は炭素数10〜12の2価の炭化水素基を表す。)で示されるハロカルボン酸、例えばクロロ酢酸、フルオロ酢酸、ブロモ酢酸、ヨード酢酸、2−クロロプロピオン酸、3−クロロプロピオン酸、3−クロロアクリル酸、4−クロロ安息香酸;式:HOOC−R2−COOH(式中、R2は単結合または炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す。)で示されるジカルボン酸、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、トリメリット酸、ブタンテトラカルボン酸などの多価カルボン酸;式:R3−CO−R4−COOH(式中、R3は水素原子または炭素数1〜12の2価の炭化水素基、R4は炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す。)で示されるケト酸またはアルデヒド酸;式:X−OC−R5−COOH(式中、Xはハロゲン原子、R5は単結合または炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す。)で示されるジカルボン酸のモノハライド、例えばコハク酸モノクロリド、マロン酸モノクロリド;無水フタル酸、無水コハク酸、無水シュウ酸、無水マレイン酸、無水ブタンテトラカルボン酸などの酸無水物が挙げられる。
エポキシ基の導入は、例えば、前記のようにアミノ化したカーボン層に適当な多価エポキシ化合物を反応させることによって実施できる。あるいは、カーボン層が含有する炭素=炭素2重結合に有機過酸を反応させることにより得ることができる。有機過酸としては、過酢酸、過安息香酸、ジペルオキシフタル酸、過ギ酸、トリフルオロ過酢酸などが挙げられる。
ホルミル基の導入は、例えば、前記のようにアミノ化したカーボン層に、グルタルアルデヒドを反応させることにより実施できる。
ヒドロキシル基の導入は、例えば、前記のように塩素化したカーボン層に、水を反応させることにより実施できる。
活性エステル基は、エステル基のアルコール側に酸性度の高い電子求引性基を有して求核反応を活性化するエステル群、すなわち反応活性の高いエステル基を意味する。エステル基のアルコール側に、電子求引性の基を有し、アルキルエステルよりも活性化されたエステル基である。活性エステル基は、アミノ基、チオール基、水酸基等の基に対する反応性を有する。さらに具体的には、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、シアノメチルエステル、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等がアルキルエステル等に比べてはるかに高い活性を有する活性エステル基として知られている。より具体的には、活性エステル基としては、たとえばp−ニトロフェニル基、N−ヒドロキシスクシンイミド基、コハク酸イミド基、フタル酸イミド基、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド基等が挙げられ、特に、N−ヒドロキシスクシンイミド基が好ましく用いられる。
活性エステル基の導入は、例えば、前記のように導入したカルボキシル基を、シアナミドやカルボジイミド(例えば、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド)などの脱水縮合剤とN−ヒドロキシスクシンイミドなどの化合物で活性エステル化することにより実施できる。この処理により、アミド結合を介して炭化水素基の末端に、N−ヒドロキシスクシンイミド基等の活性エステル基が結合した基を形成することができる(特開2001−139532)。
本発明のプローブを、スポッティング用バッファーに溶解してスポッティング用溶液を調製し、これを96穴もしくは384穴プラスチックプレートに分注し、分注した溶液をスポッター装置等によって担体上にスポッティングすることにより、プローブが担体に固定化されたマイクロアレイを製造することができる。または、スポッティング溶液をマイクロピペッターにて手動でスポッティングしてもよい。
スポッティング後、プローブが担体に結合する反応を進行させるため、インキュベーションを行うことが好ましい。インキュベーションは、通常−20〜100℃、好ましくは0〜90℃の温度で、通常0.5〜16時間、好ましくは1〜2時間にわたって行う。インキュベーションは、高湿度の雰囲気下、例えば、湿度50〜90%の条件で行うのが望ましい。インキュベーションに続き、担体に結合していない核酸を除去するため、洗浄液(例えば、50mM TBS/0.05% Tween20)を用いて洗浄を行うことが好ましい。
本発明はまた、本発明のプローブセットを含む、ABO式血液型を判定するためのキットに関する。本発明のキットにおいてプローブは、担体上に固定化されたマイクロアレイの形態で提供されてもよい。本発明のキットは、さらに、核酸増幅・標識に必要な緩衝剤、耐熱性DNAポリメラーゼ、検出対象領域特異的プライマー、標識ヌクレオチド三燐酸(具体的には蛍光標識等を付加したヌクレオチド三燐酸)、ヌクレオチド三燐酸および塩化マグネシウム等を含んでいてもよい。検出対象領域特異的プライマーは、好ましくはABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子のエキソン6を含む領域を増幅するためのプライマー及びエキソン7を含む領域を増幅するためのプライマーである。
A2型、A3型および、B3型はそもそも抗原抗体反応において識別される血液型の亜型であるが、現在では遺伝子配列における点変異の部位が報告されているものである(IMMUNOHEMATOLOGY,20(1)(2004)3−22.)。
ABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子の配列は公知であり、公開されたデータベース(GenBank)に登録されている。例えば、A対立遺伝子の配列は、A101(AF134412)として登録されており、B対立遺伝子の配列は、B101(AF016622,AJ536135)として登録されており、O対立遺伝子の配列は、O01(AF134415,AF134435,AF134436)として登録されている。また、A2遺伝子の配列は、A201(AF134421,AF134422)として登録されており、A3遺伝子の配列は、A301(AF134423,AF134424)として登録されており、B3遺伝子の配列は、B301(AF134431,AF134432)として登録されている。各配列は、例えば、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/から入手できる。
本発明のABO式血液型を判定するためのプローブセットは、O型判定プローブペア、及びB型判定プローブペアを含む。
本発明のプローブセットは、O型判定プローブペアとして、プローブO−1及びプローブO−2のペア、及び/又はプローブO−1’及びプローブO−2’のペアを含む。
プローブO−1は、配列番号1の20136〜20155番目の塩基(配列番号2)を含む連続した22塩基以下の塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブであり、好ましくは配列番号2の塩基配列からなるプローブである。プローブO−2は、配列番号1において20146番目のGが欠失した塩基配列における20136〜20156番目の塩基(配列番号3)を含む連続した22塩基以下の塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブである。好ましくは配列番号3の塩基配列からなるプローブである。
プローブO−1’は、配列番号1の20136〜20155番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブであり、プローブO−2’は、配列番号1において20146番目のGが欠失した塩基配列における20136〜20156番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブである。プローブO−1’とプローブO−2’のペアにおいては、5’末端及び3’末端において同じ欠失を有するペアを用いるのが好ましい。例えば、プローブO−1’が5’末端においてのみ1塩基の欠失を有する場合、プローブO−2’も5’末端においてのみ1塩基の欠失を有することが好ましい。
O型判定プローブペアとして、配列番号2の塩基配列からなるプローブと配列番号3の塩基配列からなるプローブを含むことが好ましい。
本発明のプローブセットは、B型判定プローブペアとして、プローブB−1及びプローブB−2のペア、及び/又はプローブB−1’及びプローブB−2’のペアを含む。
プローブB−1は、配列番号1の21857〜21876番目の塩基(配列番号4)を含む連続した22塩基以下の塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブであり、好ましくは配列番号4の塩基配列からなるプローブである。プローブB−2は、配列番号1において21867番目のGがAに置換された塩基配列における21857〜21876番目の塩基(配列番号5)を含む連続した22塩基以下の塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブである。好ましくは配列番号5の塩基配列からなるプローブである。
プローブB−1’は、配列番号1の21857〜21876番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブであり、プローブB−2’は、配列番号1において21867番目のGがAに置換された塩基配列における21857〜21876番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブである。プローブB−1’とプローブB−2’のペアにおいては、5’末端及び3’末端において同じ欠失を有するペアを用いるのが好ましい。例えば、プローブB−1’が5’末端においてのみ1塩基の欠失を有する場合、プローブB−2’も5’末端においてのみ1塩基の欠失を有することが好ましい。
B型判定プローブペアとして、配列番号4の塩基配列からなるプローブと配列番号5の塩基配列からなるプローブを含むことが好ましい。
本発明のABO式血液型を判定するためのプローブセットは、A2型判定プローブペア、A3型判定プローブペア、及びB3型判定プローブペアからなる群から選択される少なくとも1のプローブペアをさらに含んでいてもよい。
本発明のプローブセットは、A2型判定プローブペアとして、プローブA2−1及びプローブA2−2のペア、及び/又はプローブA2−1’及びプローブA2−2’のペアを含む。
プローブA2−1は、配列番号1の21394〜21409番目の塩基(配列番号6に相補的な配列)を含む連続した22塩基以下、好ましくは17塩基以下の塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブであり、好ましくは配列番号6の塩基配列からなるプローブである。プローブA2−2は、配列番号1において21404番目のCがTに置換された塩基配列における21394〜21409番目の塩基(配列番号7に相補的な配列)を含む連続した22塩基以下、好ましくは17塩基以下の塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブである。好ましくは配列番号7の塩基配列からなるプローブである。
プローブA2−1’は、配列番号1の21394〜21409番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブであり、プローブA2−2’は、配列番号1において21404番目のCがTに置換された塩基配列における21394〜21409番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブである。プローブA2−1’とプローブA2−2’のペアにおいては、5’末端及び3’末端において同じ欠失を有するペアを用いるのが好ましい。例えば、プローブA2−1’が5’末端においてのみ1塩基の欠失を有する場合、プローブA2−2’も5’末端においてのみ1塩基の欠失を有することが好ましい。
A2型判定プローブペアとして、配列番号6の塩基配列からなるプローブと配列番号7の塩基配列からなるプローブを含むことが好ましい。
本発明のプローブセットは、A3型判定プローブペアとして、プローブA3−1及びプローブA3−2のペア、及び/又はプローブA3−1’及びプローブA3−2’のペアを含む。
プローブA3−1は、配列番号1の21798〜21817番目の塩基(配列番号8)を含む連続した22塩基以下の塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブであり、好ましくは配列番号8の塩基配列からなるプローブである。プローブA3−2は、配列番号1において21808番目のGがAに置換された塩基配列における21798〜21817番目の塩基(配列番号9)を含む連続した22塩基以下の塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブである。好ましくは配列番号9の塩基配列からなるプローブである。
プローブA3−1’は、配列番号1の21798〜21817番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブであり、プローブA3−2’は、配列番号1において21808番目のGがAに置換された塩基配列における21798〜21817番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブである。プローブA3−1’とプローブA3−2’のペアにおいては、5’末端及び3’末端において同じ欠失を有するペアを用いるのが好ましい。例えば、プローブA3−1’が5’末端においてのみ1塩基の欠失を有する場合、プローブA3−2’も5’末端においてのみ1塩基の欠失を有することが好ましい。
A3型判定プローブペアとして、配列番号8の塩基配列からなるプローブと配列番号9の塩基配列からなるプローブを含むことが好ましい。
本発明のプローブセットは、B3型判定プローブペアとして、プローブB3−1及びプローブB3−2のペア、及び/又はプローブB3−1’及びプローブB3−2’のペアを含む。
プローブB3−1は、配列番号1の21981〜22000番目の塩基(配列番号10)を含む連続した22塩基以下の塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブであり、好ましくは配列番号10の塩基配列からなるプローブである。プローブB3−2は、配列番号1において21991番目のCがTに置換された塩基配列における21981〜22000番目の塩基(配列番号11)を含む連続した22塩基以下の塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブである。好ましくは配列番号11の塩基配列からなるプローブである。
プローブB3−1’は、配列番号1の21981〜22000番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブであり、プローブB3−2’は、配列番号1において21991番目のCがTに置換された塩基配列における21981〜22000番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列又はそれに相補的な配列からなるプローブである。プローブB3−1’とプローブB3−2’のペアにおいては、5’末端及び3’末端において同じ欠失を有するペアを用いるのが好ましい。例えば、プローブB3−1’が5’末端においてのみ1塩基の欠失を有する場合、プローブB3−2’も5’末端においてのみ1塩基の欠失を有することが好ましい。
B3型判定プローブペアとして、配列番号10の塩基配列からなるプローブと配列番号11の塩基配列からなるプローブを含むことが好ましい。
本発明はまた、上記プローブセットを用いて被検者のABO式血液型を判定する方法に関する。本発明の方法では、被検者(通常、ヒト被検者をさす)の生体試料由来のゲノムDNAを鋳型とする増幅反応によって得られた増幅核酸と上記プローブセットを接触させるハイブリダイゼーション法において、各プローブペアにおいて一方のプローブにハイブリダイズした核酸と他方のプローブにハイブリダイズした核酸の比(核酸の量の比)を測定することを特徴とする。
本発明において核酸には、DNAおよびRNAが包含され、DNAには一本鎖DNAおよび二本鎖DNAが包含される。プローブは通常核酸をさし、好ましくはDNAである。増幅核酸は、好ましくはDNAである。
被検者の生体試料由来のゲノムDNAを鋳型とする増幅反応によって得られた増幅核酸とは、通常、被検者の生体試料由来のゲノムDNAを鋳型として、ABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子におけるエキソン6を含む領域及び/又はエキソン7を含む領域を増幅することによって得られる増幅核酸をさす。O型判定プローブペア及びB型判定プローブペアの双方についてハイブリダイズした核酸の比を測定する場合は、エキソン6を含む領域及びエキソン7を含む領域の双方を増幅する。A2型判定プローブペア、A3型判定プローブペア又はB3型判定プローブペアについてのみハイブリダイズした核酸の比を測定する場合は、エキソン7を含む領域のみを増幅すれば足りるが、双方の領域を増幅してもよい。
エキソン6を含む領域を増幅するためのプライマー及びエキソン7を含む領域を増幅するためのプライマーは、当業者であれば適宜設計できる。例えば、エキソン6を含む領域を増幅するためのプライマーセットとしては、配列番号18の塩基配列からなるプライマーと配列番号19の塩基配列からなるプライマーのセットが挙げられる。エキソン7を含む領域を増幅するためのプライマーセットとしては、配列番号20の塩基配列からなるプライマーと配列番号21の塩基配列からなるプライマーのセットが挙げられる。
従って、より具体的には、本発明のABO式血液型を判定する方法は、
被検者由来の試料からゲノムDNAを抽出する工程と、
抽出したゲノムDNAを鋳型とし、ABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子におけるエキソン6を含む領域及び/又はエキソン7を含む領域を増幅する工程と、
本発明のプローブセットと増幅核酸を接触させる工程と、
各プローブペアにおいて、一方のプローブにハイブリダイズした核酸と他方のプローブにハイブリダイズした核酸の比を測定する工程と
を含む。
各プローブペアにおいてハイブリダイズした核酸の比を測定する2つのプローブは同じ塩基長のものを用いるのが好ましい。
プローブは、例えば、核酸合成装置によって化学的に合成することで取得することができる。核酸合成装置としては、DNAシンセサイザー、全自動核酸合成装置、核酸自動合成装置等と呼ばれる装置を使用することができる。
各プローブペアにおいて、一方のプローブにハイブリダイズした核酸と他方のプローブにハイブリダイズした核酸の比から、被検者の遺伝子型、すなわちABO式血液型(AA型、AO型、BO型、AB型及びOO型、並びにA2型、A3型及びB3型)を判定することができる。
より具体的には、以下のように判定することができる。
O型判定プローブペアにおいて、プローブO−2にハイブリダイズした核酸/プローブO−1にハイブリダイズした核酸の値(O−2/O−1)に基づき、被検者の血液型がOO型、?O型又は??型(?=A又はB)であるかを判定できる。?O型は、AO型又はBO型を意味し、??型はAA型、AB型又はBB型を意味する。O−2/O−1の値は、OO型>?O型>??型となる。従って、O−2/O−1の値に閾値を設定することにより、OO型、?O型又は??型のいずれであるかを判定できる。例えば、O−2/O−1の値が3.0以上であればOO型と判定し、O−2/O−1の値が1.0以上3.0未満であれば?O型と判定し、O−2/O−1の値が1.0未満であれば??型と判定できる。プローブO−2’にハイブリダイズした核酸/プローブO−1’にハイブリダイズした核酸の値(O−2’/O−1’)についても同様である。
B型判定プローブペアにおいて、プローブB−2にハイブリダイズした核酸/プローブB−1にハイブリダイズした核酸の値(B−2/B−1)に基づき、被検者の血液型がBB型、B?型又は??型(?=A又はO)であるかを判定できる。B?型は、AB型又はBO型を意味し、??型はAA型、AO型又はOO型を意味する。B−2/B−1の値は、BB型>B?型>??型となる。従って、B−2/B−1の値に閾値を設定することにより、BB型、B?型又は??型のいずれであるかを判定できる。例えば、B−2/B−1の値が3.0以上であればBB型と判定し、B−2/B−1の値が1.0以上3.0未満であればB?型と判定し、B−2/B−1の値が1.0未満であれば??型と判定できる。プローブB−2’にハイブリダイズした核酸/プローブB−1’にハイブリダイズした核酸の値(B−2’/B−1’)についても同様である。
上記O−2/O−1の値及びB−2/B−1の値から得られる判定結果を組み合わせることにより、AA型、BB型、AO型、BO型、AB型又はOO型のいずれであるかを判定することができる。
A2型判定プローブペアにおいて、プローブA2−2にハイブリダイズした核酸/プローブA2−1にハイブリダイズした核酸の値(A2−2/A2−1)に基づき、被検者の血液型がA2型であるかどうかを判定できる。A2−2/A2−1の値に閾値を設定することにより、A2型であるかどうかを判定できる。例えば、A2−2/A2−1の値が1.5以上であればA2型と判定できる。プローブA2−2’にハイブリダイズした核酸/プローブA2−1’にハイブリダイズした核酸の値(A2−2’/A2−1’)についても同様である。
A3型判定プローブペアにおいて、プローブA3−2にハイブリダイズした核酸/プローブA3−1にハイブリダイズした核酸の値(A3−2/A3−1)に基づき、被検者の血液型がA3型であるかどうかを判定できる。A3−2/A3−1の値に閾値を設定することにより、A3型であるかどうかを判定できる。例えば、A3−2/A3−1の値が2.0以上であればA3型と判定できる。プローブA3−2’にハイブリダイズした核酸/プローブA3−1’にハイブリダイズした核酸の値(A3−2’/A3−1’)についても同様である。
B3型判定プローブペアにおいて、プローブB3−2にハイブリダイズした核酸/プローブB3−1にハイブリダイズした核酸の値(B3−2/B3−1)に基づき、被検者の血液型がB3型であるかどうかを判定できる。B3−2/B3−1の値に閾値を設定することにより、B3型であるかどうかを判定できる。例えば、B3−2/B3−1の値が2.0以上であればB3型と判定できる。プローブB3−2’にハイブリダイズした核酸/プローブB3−1’にハイブリダイズした核酸の値(B3−2’/B3−1’)についても同様である。
閾値は、実験条件により異なり当業者であれば適宜設定できる。より詳しくは、その遺伝子型が既知である被検者ついて、プローブペアごとに核酸ハイブリダイゼーションを実施し、統計的処理を行ってそれぞれの遺伝子型について上記比の標準値を算出し、遺伝子型が未知の被検者における比と当該標準値とを比較することにより、被検者の遺伝子型を判定することができる。
生体試料は、ゲノムDNAを含むものであれば特に制限されない。例えば、血液およびこれに由来する血液関連試料(血液、血清および血漿など)、リンパ液、汗、涙、唾液、尿、糞便、腹水および髄液等の体液、ならびに細胞、組織または臓器の破砕物および抽出液などが挙げられる。本発明においては、好ましくは、血液関連試料を用いる。
ゲノムDNAを鋳型とした増幅反応により得られる増幅核酸とプローブとのハイブリダイゼーション反応、並びに各プローブペアにおいて一方のプローブにハイブリダイズした核酸と他方のプローブにハイブリダイズした核酸の比の測定は、当技術分野で慣用の方法により実施することができる。具体的には、以下のように実施することができる。
まず、被検者から採取した生体試料からゲノムDNAを抽出する。抽出手段としては、特に限定されないが、前記生体試料から直接的にDNA成分を分離し、精製して回収できる手段であることが好ましい。抽出手段の具体例としては、例えばフェノール/クロロホルム、エタノール、水酸化ナトリウム、CTABなどを用いたDNA抽出法が挙げられる。
次に、得られたゲノムDNAを鋳型として用いて核酸増幅反応を行い、検出対象領域を増幅させる。核酸増幅反応としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、LAMP(Loop−Mediated Isothermal Amplification)等を適用することができる。ここで、検出対象領域とは、被検者のゲノムDNA上のABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子に含まれるエキソン6及び/又はエキソン7における遺伝子多型を判定できる程度に特異性を有する領域である。本発明においては、好ましくはエキソン6を含む領域及び/又はエキソン7を含む領域に対し核酸増幅反応を実施する。
また、検出対象領域を増幅させる際には、増幅後の領域を識別できるように標識を付加することが望ましい。このとき、増幅された核酸を標識する方法としては、特に限定されないが、例えば核酸増幅反応に使用するプライマーをあらかじめ標識しておく方法を使用してもよいし、核酸増幅反応に標識ヌクレオチドを基質として使用する方法を使用してもよい。標識物質としては、特に限定されないが、放射性同位元素や蛍光色素、あるいはジゴキシゲニン(DIG)やビオチンなどの有機化合物などを使用することができる。
またこの反応系は、核酸増幅・標識に必要な緩衝剤、耐熱性DNAポリメラーゼ、検出対象領域特異的プライマー、標識ヌクレオチド三燐酸(具体的には蛍光標識等を付加したヌクレオチド三燐酸)、ヌクレオチド三燐酸および塩化マグネシウム等を含む反応系である。
上記のようにして得られた増幅核酸と本発明のプローブとのハイブリダイゼーション反応を行い、各プローブにハイブリダイズした核酸の量を、例えば標識を検出することにより測定できる。プローブにハイブリダイズした増幅核酸は、例えば、既知量のDNAを含む試料を用いて検量線を作成することにより、定量することができる。
上記ハイブリダイゼーション反応においては、本発明のプローブが担体上に固定化されたマイクロアレイを用い、該マイクロアレイに増幅核酸を適用することが好ましい。その場合、本発明のプローブは、同一の担体に固定化されていてもよいし、異なる担体に固定化されていてもよい。少なくともプローブペア同士は同一の担体に固定化されていることが好ましく、O型判定プローブペアとB型判定プローブペアも同一の担体に固定化されていることが好ましい。各プローブとしては、それぞれの条件を満たす限り、複数種のものが担体上に固定化されていてもよい。
マイクロアレイにおける担体の材料としては、当技術分野で公知のものを使用でき、特に制限されない。例えば、白金、白金黒、金、パラジウム、ロジウム、銀、水銀、タングステンおよびそれらの化合物などの貴金属、およびグラファイト、カーボンファイバーに代表される炭素などの導電体材料;単結晶シリコン、アモルファスシリコン、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素などに代表されるシリコン材料、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)などに代表されるこれらシリコン材料の複合素材;ガラス、石英ガラス、アルミナ、サファイア、セラミクス、フォルステライト、感光性ガラスなどの無機材料;ポリエチレン、エチレン、ポリプロビレン、環状ポリオレフィン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル・ブタジエンスチレン共重合体、ポリフェニレンオキサイドおよびポリスルホンなどの有機材料等が挙げられる。担体の形状も特に制限されないが、好ましくは平板状である。
本発明においては、担体として、好ましくは表面にカーボン層と化学修飾基とを有する担体を用いる。表面にカーボン層と化学修飾基とを有する担体には、基板の表面にカーボン層と化学修飾基とを有するもの、およびカーボン層からなる基板の表面に化学修飾基を有するものが包含される。基板の材料としては、当技術分野で公知のものを使用でき、特に制限されず、上述の担体材料と同様のものを使用できる。
本発明は、微細な平板状の構造を有する担体に対し好適に用いられる。形状は、長方形、正方形および円形など限定されないが、通常、1〜75mm四方のもの、好ましくは1〜10mm四方のもの、より好ましくは3〜5mm四方のものを用いる。微細な平板状の構造の担体を製造しやすいことから、シリコン材料や樹脂材料からなる基板を用いるのが好ましく、特に単結晶シリコンからなる基板の表面にカーボン層および化学修飾基を有する担体がより好ましい。単結晶シリコンには、部分部分でごくわずかに結晶軸の向きが変わっているものや(モザイク結晶と称される場合もある)、原子的尺度での乱れ(格子欠陥)が含まれているものも包含される。
本発明において基板上に形成させるカーボン層としては、特に制限されないが、合成ダイヤモンド、高圧合成ダイヤモンド、天然ダイヤモンド、軟ダイヤモンド(例えば、ダイヤモンドライクカーボン)、アモルファスカーボン、炭素系物質(例えば、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ)のいずれか、それらの混合物、またはそれらを積層させたものを用いることが好ましい。また、炭化ハフニウム、炭化ニオブ、炭化珪素、炭化タンタル、炭化トリウム、炭化チタン、炭化ウラン、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、炭化モリブデン、炭化クロム、炭化バナジウム等の炭化物を用いてもよい。ここで、軟ダイヤモンドとは、いわゆるダイヤモンドライクカーボン(DLC:Diamond Like Carbon)等の、ダイヤモンドとカーボンとの混合体である不完全ダイヤモンド構造体を総称し、その混合割合は、特に限定されない。カーボン層は、化学的安定性に優れておりその後の化学修飾基の導入や分析対象物質との結合における反応に耐えることができる点、分析対象物質と静電結合によって結合するためその結合が柔軟性を持っている点、UV吸収がないため検出系UVに対して透明性である点、およびエレクトロブロッティングの際に通電可能な点において有利である。また、分析対象物質との結合反応において、非特異的吸着が少ない点においても有利である。前記のとおり基板自体がカーボン層からなる担体を用いてもよい。
本発明においてカーボン層の形成は公知の方法で行うことができる。例えば、マイクロ波プラズマCVD(Chemical vapor deposit)法、ECRCVD(Electric cyclotron resonance chemical vapor deposit)法、ICP(Inductive coupled plasma)法、直流スパッタリング法、ECR(Electric cyclotron resonance)スパッタリング法、イオン化蒸着法、アーク式蒸着法、レーザ蒸着法、EB(Electron beam)蒸着法、抵抗加熱蒸着法などが挙げられる。
高周波プラズマCVD法では、高周波によって電極間に生じるグロー放電により原料ガス(メタン)を分解し、基板上にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)層を合成する。イオン化蒸着法では、タングステンフィラメントで生成される熱電子を利用して、原料ガス(ベンゼン)を分解・イオン化し、バイアス電圧によって基板上にカーボン層を形成する。水素ガス1〜99体積%と残りメタンガス99〜1体積%からなる混合ガス中で、イオン化蒸着法によりDLC層を形成してもよい。
アーク式蒸着法では、固体のグラファイト材料(陰極蒸発源)と真空容器(陽極)の間に直流電圧を印加することにより真空中でアーク放電を起こして陰極から炭素原子のプラズマを発生させ蒸発源よりもさらに負のバイアス電圧を基板に印加することにより基板に向かってプラズマ中の炭素イオンを加速しカーボン層を形成することができる。
レーザ蒸着法では、例えばNd:YAGレーザ(パルス発振)光をグラファイトのターゲット板に照射して溶融させ、ガラス基板上に炭素原子を堆積させることによりカーボン層を形成することができる。
基板の表面にカーボン層を形成する場合、カーボン層の厚さは、通常、単分子層〜100μm程度であり、薄すぎると下地基板の表面が局部的に露出する可能性があり、逆に厚くなると生産性が悪くなるので、好ましくは2nm〜1μm、より好ましくは5nm〜500nmである。
カーボン層が形成された基板の表面に化学修飾基を導入することにより、プローブを担体に強固に固定化できる。導入する化学修飾基は、当業者であれば適宜選択することができ、特に制限されないが、例えば、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、ホルミル基、ヒドロキシル基および活性エステル基が挙げられる。
アミノ基の導入は、例えば、カーボン層をアンモニアガス中で紫外線照射することによりまたはプラズマ処理することにより実施できる。または、カーボン層を塩素ガス中で紫外線を照射して塩素化し、さらにアンモニアガス中で紫外線照射することにより実施できる。または、メチレンジアミン、エチレンジアミンで等の多価アミン類ガス中を、塩素化したカーボン層と反応させることによって実施することもできる。
カルボキシル基の導入は、例えば、前記のようにアミノ化したカーボン層に適当な化合物を反応させることにより実施できる。カルボキシル基を導入するために用いられる化合物としては、例えば、式:X−R1−COOH(式中、Xはハロゲン原子、R1は炭素数10〜12の2価の炭化水素基を表す。)で示されるハロカルボン酸、例えばクロロ酢酸、フルオロ酢酸、ブロモ酢酸、ヨード酢酸、2−クロロプロピオン酸、3−クロロプロピオン酸、3−クロロアクリル酸、4−クロロ安息香酸;式:HOOC−R2−COOH(式中、R2は単結合または炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す。)で示されるジカルボン酸、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、トリメリット酸、ブタンテトラカルボン酸などの多価カルボン酸;式:R3−CO−R4−COOH(式中、R3は水素原子または炭素数1〜12の2価の炭化水素基、R4は炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す。)で示されるケト酸またはアルデヒド酸;式:X−OC−R5−COOH(式中、Xはハロゲン原子、R5は単結合または炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す。)で示されるジカルボン酸のモノハライド、例えばコハク酸モノクロリド、マロン酸モノクロリド;無水フタル酸、無水コハク酸、無水シュウ酸、無水マレイン酸、無水ブタンテトラカルボン酸などの酸無水物が挙げられる。
エポキシ基の導入は、例えば、前記のようにアミノ化したカーボン層に適当な多価エポキシ化合物を反応させることによって実施できる。あるいは、カーボン層が含有する炭素=炭素2重結合に有機過酸を反応させることにより得ることができる。有機過酸としては、過酢酸、過安息香酸、ジペルオキシフタル酸、過ギ酸、トリフルオロ過酢酸などが挙げられる。
ホルミル基の導入は、例えば、前記のようにアミノ化したカーボン層に、グルタルアルデヒドを反応させることにより実施できる。
ヒドロキシル基の導入は、例えば、前記のように塩素化したカーボン層に、水を反応させることにより実施できる。
活性エステル基は、エステル基のアルコール側に酸性度の高い電子求引性基を有して求核反応を活性化するエステル群、すなわち反応活性の高いエステル基を意味する。エステル基のアルコール側に、電子求引性の基を有し、アルキルエステルよりも活性化されたエステル基である。活性エステル基は、アミノ基、チオール基、水酸基等の基に対する反応性を有する。さらに具体的には、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、シアノメチルエステル、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等がアルキルエステル等に比べてはるかに高い活性を有する活性エステル基として知られている。より具体的には、活性エステル基としては、たとえばp−ニトロフェニル基、N−ヒドロキシスクシンイミド基、コハク酸イミド基、フタル酸イミド基、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド基等が挙げられ、特に、N−ヒドロキシスクシンイミド基が好ましく用いられる。
活性エステル基の導入は、例えば、前記のように導入したカルボキシル基を、シアナミドやカルボジイミド(例えば、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド)などの脱水縮合剤とN−ヒドロキシスクシンイミドなどの化合物で活性エステル化することにより実施できる。この処理により、アミド結合を介して炭化水素基の末端に、N−ヒドロキシスクシンイミド基等の活性エステル基が結合した基を形成することができる(特開2001−139532)。
本発明のプローブを、スポッティング用バッファーに溶解してスポッティング用溶液を調製し、これを96穴もしくは384穴プラスチックプレートに分注し、分注した溶液をスポッター装置等によって担体上にスポッティングすることにより、プローブが担体に固定化されたマイクロアレイを製造することができる。または、スポッティング溶液をマイクロピペッターにて手動でスポッティングしてもよい。
スポッティング後、プローブが担体に結合する反応を進行させるため、インキュベーションを行うことが好ましい。インキュベーションは、通常−20〜100℃、好ましくは0〜90℃の温度で、通常0.5〜16時間、好ましくは1〜2時間にわたって行う。インキュベーションは、高湿度の雰囲気下、例えば、湿度50〜90%の条件で行うのが望ましい。インキュベーションに続き、担体に結合していない核酸を除去するため、洗浄液(例えば、50mM TBS/0.05% Tween20)を用いて洗浄を行うことが好ましい。
本発明はまた、本発明のプローブセットを含む、ABO式血液型を判定するためのキットに関する。本発明のキットにおいてプローブは、担体上に固定化されたマイクロアレイの形態で提供されてもよい。本発明のキットは、さらに、核酸増幅・標識に必要な緩衝剤、耐熱性DNAポリメラーゼ、検出対象領域特異的プライマー、標識ヌクレオチド三燐酸(具体的には蛍光標識等を付加したヌクレオチド三燐酸)、ヌクレオチド三燐酸および塩化マグネシウム等を含んでいてもよい。検出対象領域特異的プライマーは、好ましくはABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子のエキソン6を含む領域を増幅するためのプライマー及びエキソン7を含む領域を増幅するためのプライマーである。
実施例1 担体の作製
3mm角のシリコン基板にイオン化蒸着法を用いて、下記の条件で2層のDLC層の製膜を行った。
1層目 2層目
原料ガス CH4 4.75 47.5 (sscm)
H2 0.25 2.5 (sscm)
作動圧力 3.0 8.0 (Pa)
基板バイアス 直流電圧 500 500 (V)
高周波出力 100 − (W)
アノード電圧 50 50 (V)
フィラメント 電圧 7 7 (V)
電流 22 22 (A)
得られた表面にDLC層を有するシリコン基板上に、下記の条件でアンモニアプラズマを用いて、アミノ基を導入した。
原料ガス NH3 30 (sscm)
作動圧力 8.0 (sscm)
基板バイアス 直流電圧 500 (Pa)
高周波出力 − (W)
アノード電圧 50 (V)
フィラメント 電圧 7 (V)
電流 22 (A)
140mM無水コハク酸及び0.1Mホウ酸ナトリウムを含む1−メチル−2−ピロリドン溶液に30分間浸漬し、カルボキシル基を導入した。0.1Mリン酸カリウムバッファー、0.1M 1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド、20mM N−ヒドロキシスクシイミドを含む溶液に30分間浸漬し、活性化を行い、シリコン基板表面にDLC層及び化学修飾基としてのN−ヒドロキシスクシイミド基を有する担体を得た。
実施例2 プローブ長の比較
ABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子のゲノム配列(配列番号1)におけるエキソン6の塩基配列に基づき、17塩基、20塩基、23塩基又は25塩基の塩基配列からなり5’末端をアミノ基で修飾した8種のプローブを合成した。各プローブの塩基配列を下記表1に示す。プローブO−1−17とO−2−17、プローブO−1−20とO−2−20、プローブO−1−23とO−2−23、及びプローブO−1−25とO−2−25がそれぞれO型判定プローブペアに相当する。
表1に示した8種のプローブを10μMとなるようにスポットソリューション(Sol.6)に溶解し、スポッターSPBIO(日立ソフト社製)を用いて実施例1で作製した担体上にスポットした。80℃で1時間ベーキング後、2×SSC/0.2% SDS溶液(室温)で15分間洗浄し、8種のプローブが担体上に固定化されたマイクロアレイ1を得た。
血液型がO型であることがわかっている被検者の頬内側の口腔内細胞を綿棒でかきとり、1mLのPBSに懸濁した。5000rpmで1分遠心し、細胞を回収した。PBSを180μL加えた。フジフイルム社製Quick Gene DNA tissue kit Sを用いてライセートを作成し、さらにフジフイルム社製Quick Gene−800を用いてゲノムDNAを抽出した。
このDNAを鋳型DNAとし、ゲノムにおけるABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子のエキソン6を含む領域(配列番号1の19880〜20410番目の塩基、528bp)及びエキソン7を含む領域(配列番号1の21299〜22084番目の塩基、786bp)を増幅するよう表2に示した組成でPCR反応液を作製した。プライマー1〜4の配列を表3に示す。
調製したPCR反応液に対し、GeneAmp PCR system 9700(ABI)を用い、下記温度サイクルでPCR反応を行った。PCR反応中にCy5−dCTPが取り込まれ、増幅DNAが蛍光標識される。
2μL PCR産物と1μL 3×SSC/0.3% SDSを混合し、マイクロアレイ1に滴下し、カバーを被せた。水を張ったタッパーに入れ、45℃で1時間インキュベートした。室温で2×SSC/0.2% SDSで2回、2×SSCで2回、洗浄を行った。
マイクロアレイ1の周りの余分な洗浄液を拭き取り、カバーガラスを被せた。続いてFLA8000(フジフイルム社製)でスキャンを行い、蛍光画像からArray Gauge(フジフイルム社製)を用いて各プローブのスポットの蛍光強度を数値化した。この蛍光強度がプローブにハイブリダイズした核酸の量を表す。各プローブペアについて、蛍光強度から蛍光強度比を算出した。この蛍光強度比がプローブにハイブリダイズした核酸の量の比を表す。蛍光強度実測値と蛍光強度比(プローブO−2−*における蛍光強度/プローブO−1−*における蛍光強度)の結果を図1に示す。プローブの塩基数が増えるに従って、蛍光強度実測値は増加した。蛍光強度比は20塩基のプローブを用いた場合が最も高かった。このことからプローブの塩基長は20塩基が最適であることがわかった。
実施例3 AA型、AO型、BO型、AB型及びOO型の判定
実施例2と同様に試験を行った。ABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子のゲノム配列(配列番号1)におけるエキソン6及びエキソン7の塩基配列に基づき、20塩基の塩基配列からなり5’末端をアミノ基で修飾した4種のプローブ、すなわち、O型判定プローブペア(プローブO−1及びプローブO−2)及びB型判定プローブペア(プローブB−1及びプローブB−2)を合成した。各プローブの配列を下記表4に示す。
表4に示した4種のプローブを10μMとなるようにスポットソリューション(Sol.6)に溶解し、スポッターSPBIO(日立ソフト社製)を用いて実施例1で作製した担体上にスポットした。80℃で1時間ベーキング後、2×SSC/0.2% SDS溶液(室温)で15分間洗浄し、4種のプローブが担体上に固定化されたマイクロアレイ2を得た。
検体として、血液型がそれぞれAA型、AO型、BO型、AB型及びOO型であることがわかっている6人の被検者の頬内側の口腔内細胞を用い、実施例2と同様にゲノムDNAを抽出し、プライマー1〜4を用いてPCRを実施した。
2μL PCR産物と1μL 3×SSC/0.3% SDSを混合し、マイクロアレイ2に滴下し、カバーを被せた。水を張ったタッパーに入れ、45℃で1時間インキュベートした。室温で2×SSC/0.2% SDSで2回、2×SSCで2回、洗浄を行った。マイクロアレイ2の周りの余分な洗浄液を拭き取り、カバーガラスを被せた。続いてFLA8000(フジフイルム社製)でスキャンを行い、蛍光画像からArray Gauge(フジフイルム社製)を用いて各プローブのスポットの蛍光強度を数値化した。各プローブペアについて、蛍光強度から蛍光強度比を算出した。蛍光強度実測値と蛍光強度比(プローブO−2における蛍光強度/プローブO−1における蛍光強度、及びプローブB−2における蛍光強度/プローブB−1における蛍光強度)の結果を図2に示す。図2の結果から、本発明のO型判定プローブペア(プローブO−1及びプローブO−2)及びB型判定プローブペア(プローブB−1及びプローブB−2)を用いて、AA、AO型、BO型、AB型及びOO型を判定できることが示された。
実施例4 血液型未知の検体の判定
実施例3で作製したマイクロアレイ2を用いて、血液型が未知の44検体を用いて試験を行った。検体として、血液(生体血、死体血、血痕)、大動脈、骨、腎臓、毛髪を用い、実施例2と同様にゲノムDNAを抽出し、プライマー1〜4を用いてPCRを実施した。
2μL PCR産物と1μL 3×SSC/0.3% SDSを混合し、マイクロアレイ2に滴下し、カバーを被せた。水を張ったタッパーに入れ、45℃で1時間インキュベートした。室温で2×SSC/0.2% SDSで2回、2×SSCで2回、洗浄を行った。マイクロアレイ2の周りの余分な洗浄液を拭き取り、カバーガラスを被せた。続いてFLA8000(フジフイルム社製)でスキャンを行い、蛍光画像からArray Gauge(フジフイルム社製)を用いて各スポットの蛍光強度を数値化した。各プローブペアについて、蛍光強度から蛍光強度比を算出した。
44検体について、プローブO−2における蛍光強度/プローブO−1における蛍光強度をX軸に、プローブB−2における蛍光強度/プローブB−1における蛍光強度をY軸にプロットした(図3)。グラフ上の5箇所に偏った分布を示し、これに血液型(遺伝型)を当てはめることができた。以上から、O型判定プローブペア(プローブO−1及びプローブO−2)及びB型判定プローブペア(プローブB−1及びプローブB−2)における蛍光強度比について、それぞれ閾値を設定することで未知の検体の血液型を判定できることが示された。
実施例5 血液型亜型の判定
実施例2と同様に試験を行った。ABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子のゲノム配列(配列番号1)におけるエキソン7の塩基配列に基づき、20塩基の塩基配列からなり5’末端をアミノ基で修飾した4種のプローブ、すなわち、A2型判定プローブペア(プローブA2−1及びプローブA2−2)、A3型判定プローブペア(プローブA3−1及びプローブA3−2)、及びB3型判定プローブペア(プローブB3−1及びプローブB3−2)を合成した。各プローブの配列を下記表5に示す。
表5に示した6種のプローブを10μMとなるようにスポットソリューション(Sol.6)に溶解し、スポッターSPBIO(日立ソフト社製)を用いて実施例1で作製した担体上にスポットした。80℃で1時間ベーキング後、2×SSC/0.2% SDS溶液(室温)で15分間洗浄し、4種のプローブが担体上に固定化されたマイクロアレイ3を得た。
検体として、ABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子のエキソン7を含む領域(配列番号1の21299〜22084番目の塩基に相当、786bp)について、A2型、A3型、B3型、AO型及びBO型に相当する塩基配列からなるDNAを合成しプラスミドpUCに組み込んだプラスミドを鋳型DNAとして用い、実施例2と同様に、プライマー3及び4を用いてPCRを実施した。
2μL PCR産物と1μL 3×SSC/0.3% SDSを混合し、マイクロアレイ2に滴下し、カバーを被せた。水を張ったタッパーに入れ、45℃で1時間インキュベートした。室温で2×SSC/0.2% SDSで2回、2×SSCで2回、洗浄を行った。マイクロアレイ2の周りの余分な洗浄液を拭き取り、カバーガラスを被せた。続いてFLA8000(フジフイルム社製)でスキャンを行い、蛍光画像からArray Gauge(フジフイルム社製)を用いて各プローブのスポットの蛍光強度を数値化した。各プローブペアについて、蛍光強度から蛍光強度比(プローブA2−2における蛍光強度/プローブA2−1における蛍光強度、プローブA3−2における蛍光強度/プローブA3−1における蛍光強度、プローブB3−2における蛍光強度/プローブB3−1における蛍光強度)を算出した。結果を図4に示す。
A2型の検体は、A2型判定プローブペアにおいても蛍光強度比(A2−1/A2−2)はその他の検体と差が小さく、A2型を明確に判定することはできなかった。A3型判定プローブペアにおける蛍光強度比(A3−1/A3−2)は、A3型の検体では約6.3であり、一方その他の検体では約1.0であり、判定可能であった。また検体B3型についても、B3型判定プローブペアにおける蛍光強度比(B3−1/B3−2)は、その他の検体の蛍光強度比が約1.0であるに対して、約2.7となり、判定可能であった。
実施例6 亜型A2判定プローブの塩基長の検討
実施例5で判定できなかった亜型A2型を判定するために、20塩基、18塩基及び16塩基の塩基配列からなり5’末端をアミノ基で修飾した3種のA2型判定プローブペアを合成した。各プローブの配列を下記表6に示す。
検体として、ABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子のエキソン7を含む領域(配列番号1の21299〜22084番目の塩基に相当、786bp)について、A2型、AO型及びBO型に相当する塩基配列からなるDNAを合成しプラスミドpUCに組み込んだプラスミドを鋳型DNAとして用い、実施例2と同様に、プライマー3及び4を用いてPCRを実施した。
2μLPCR産物と1μL 3×SSC/0.3% SDSを混合し、マイクロアレイ2に滴下し、カバーを被せた。水を張ったタッパーに入れ、45℃で1時間インキュベートした。室温で2×SSC/0.2% SDSで2回、2×SSCで2回、洗浄を行った。マイクロアレイ2の周りの余分な洗浄液を拭き取り、カバーガラスを被せた。続いてFLA8000(フジフイルム社製)でスキャンを行い、蛍光画像からArray Gauge(フジフイルム社製)を用いて各プローブのスポットの蛍光強度を数値化した。各プローブペアについて、蛍光強度から蛍光強度比(プローブA2−2−*における蛍光強度/プローブA2−1−*における蛍光強度)を算出した。結果を図5に示す。
20塩基及び18塩基のプローブペアでは、A2型の検体の蛍光強度比(A2−2−*/A2−1−*)は、AO型及びBO型の検体と比べてわずかしか差がなかった。それに対し、16塩基のプローブペアでは蛍光強度比(A2−2−16/A2−1−16)は、A2型が約1.7、AO型が約0.3、BO型が約0.0と差が大きくなった。以上から、A2型の判定には、16塩基のプローブペアが好ましいことが示された。
本明細書中で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書中にとり入れるものとする。
[配列表]
3mm角のシリコン基板にイオン化蒸着法を用いて、下記の条件で2層のDLC層の製膜を行った。
1層目 2層目
原料ガス CH4 4.75 47.5 (sscm)
H2 0.25 2.5 (sscm)
作動圧力 3.0 8.0 (Pa)
基板バイアス 直流電圧 500 500 (V)
高周波出力 100 − (W)
アノード電圧 50 50 (V)
フィラメント 電圧 7 7 (V)
電流 22 22 (A)
得られた表面にDLC層を有するシリコン基板上に、下記の条件でアンモニアプラズマを用いて、アミノ基を導入した。
原料ガス NH3 30 (sscm)
作動圧力 8.0 (sscm)
基板バイアス 直流電圧 500 (Pa)
高周波出力 − (W)
アノード電圧 50 (V)
フィラメント 電圧 7 (V)
電流 22 (A)
140mM無水コハク酸及び0.1Mホウ酸ナトリウムを含む1−メチル−2−ピロリドン溶液に30分間浸漬し、カルボキシル基を導入した。0.1Mリン酸カリウムバッファー、0.1M 1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド、20mM N−ヒドロキシスクシイミドを含む溶液に30分間浸漬し、活性化を行い、シリコン基板表面にDLC層及び化学修飾基としてのN−ヒドロキシスクシイミド基を有する担体を得た。
実施例2 プローブ長の比較
ABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子のゲノム配列(配列番号1)におけるエキソン6の塩基配列に基づき、17塩基、20塩基、23塩基又は25塩基の塩基配列からなり5’末端をアミノ基で修飾した8種のプローブを合成した。各プローブの塩基配列を下記表1に示す。プローブO−1−17とO−2−17、プローブO−1−20とO−2−20、プローブO−1−23とO−2−23、及びプローブO−1−25とO−2−25がそれぞれO型判定プローブペアに相当する。
血液型がO型であることがわかっている被検者の頬内側の口腔内細胞を綿棒でかきとり、1mLのPBSに懸濁した。5000rpmで1分遠心し、細胞を回収した。PBSを180μL加えた。フジフイルム社製Quick Gene DNA tissue kit Sを用いてライセートを作成し、さらにフジフイルム社製Quick Gene−800を用いてゲノムDNAを抽出した。
このDNAを鋳型DNAとし、ゲノムにおけるABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子のエキソン6を含む領域(配列番号1の19880〜20410番目の塩基、528bp)及びエキソン7を含む領域(配列番号1の21299〜22084番目の塩基、786bp)を増幅するよう表2に示した組成でPCR反応液を作製した。プライマー1〜4の配列を表3に示す。
2μL PCR産物と1μL 3×SSC/0.3% SDSを混合し、マイクロアレイ1に滴下し、カバーを被せた。水を張ったタッパーに入れ、45℃で1時間インキュベートした。室温で2×SSC/0.2% SDSで2回、2×SSCで2回、洗浄を行った。
マイクロアレイ1の周りの余分な洗浄液を拭き取り、カバーガラスを被せた。続いてFLA8000(フジフイルム社製)でスキャンを行い、蛍光画像からArray Gauge(フジフイルム社製)を用いて各プローブのスポットの蛍光強度を数値化した。この蛍光強度がプローブにハイブリダイズした核酸の量を表す。各プローブペアについて、蛍光強度から蛍光強度比を算出した。この蛍光強度比がプローブにハイブリダイズした核酸の量の比を表す。蛍光強度実測値と蛍光強度比(プローブO−2−*における蛍光強度/プローブO−1−*における蛍光強度)の結果を図1に示す。プローブの塩基数が増えるに従って、蛍光強度実測値は増加した。蛍光強度比は20塩基のプローブを用いた場合が最も高かった。このことからプローブの塩基長は20塩基が最適であることがわかった。
実施例3 AA型、AO型、BO型、AB型及びOO型の判定
実施例2と同様に試験を行った。ABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子のゲノム配列(配列番号1)におけるエキソン6及びエキソン7の塩基配列に基づき、20塩基の塩基配列からなり5’末端をアミノ基で修飾した4種のプローブ、すなわち、O型判定プローブペア(プローブO−1及びプローブO−2)及びB型判定プローブペア(プローブB−1及びプローブB−2)を合成した。各プローブの配列を下記表4に示す。
検体として、血液型がそれぞれAA型、AO型、BO型、AB型及びOO型であることがわかっている6人の被検者の頬内側の口腔内細胞を用い、実施例2と同様にゲノムDNAを抽出し、プライマー1〜4を用いてPCRを実施した。
2μL PCR産物と1μL 3×SSC/0.3% SDSを混合し、マイクロアレイ2に滴下し、カバーを被せた。水を張ったタッパーに入れ、45℃で1時間インキュベートした。室温で2×SSC/0.2% SDSで2回、2×SSCで2回、洗浄を行った。マイクロアレイ2の周りの余分な洗浄液を拭き取り、カバーガラスを被せた。続いてFLA8000(フジフイルム社製)でスキャンを行い、蛍光画像からArray Gauge(フジフイルム社製)を用いて各プローブのスポットの蛍光強度を数値化した。各プローブペアについて、蛍光強度から蛍光強度比を算出した。蛍光強度実測値と蛍光強度比(プローブO−2における蛍光強度/プローブO−1における蛍光強度、及びプローブB−2における蛍光強度/プローブB−1における蛍光強度)の結果を図2に示す。図2の結果から、本発明のO型判定プローブペア(プローブO−1及びプローブO−2)及びB型判定プローブペア(プローブB−1及びプローブB−2)を用いて、AA、AO型、BO型、AB型及びOO型を判定できることが示された。
実施例4 血液型未知の検体の判定
実施例3で作製したマイクロアレイ2を用いて、血液型が未知の44検体を用いて試験を行った。検体として、血液(生体血、死体血、血痕)、大動脈、骨、腎臓、毛髪を用い、実施例2と同様にゲノムDNAを抽出し、プライマー1〜4を用いてPCRを実施した。
2μL PCR産物と1μL 3×SSC/0.3% SDSを混合し、マイクロアレイ2に滴下し、カバーを被せた。水を張ったタッパーに入れ、45℃で1時間インキュベートした。室温で2×SSC/0.2% SDSで2回、2×SSCで2回、洗浄を行った。マイクロアレイ2の周りの余分な洗浄液を拭き取り、カバーガラスを被せた。続いてFLA8000(フジフイルム社製)でスキャンを行い、蛍光画像からArray Gauge(フジフイルム社製)を用いて各スポットの蛍光強度を数値化した。各プローブペアについて、蛍光強度から蛍光強度比を算出した。
44検体について、プローブO−2における蛍光強度/プローブO−1における蛍光強度をX軸に、プローブB−2における蛍光強度/プローブB−1における蛍光強度をY軸にプロットした(図3)。グラフ上の5箇所に偏った分布を示し、これに血液型(遺伝型)を当てはめることができた。以上から、O型判定プローブペア(プローブO−1及びプローブO−2)及びB型判定プローブペア(プローブB−1及びプローブB−2)における蛍光強度比について、それぞれ閾値を設定することで未知の検体の血液型を判定できることが示された。
実施例5 血液型亜型の判定
実施例2と同様に試験を行った。ABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子のゲノム配列(配列番号1)におけるエキソン7の塩基配列に基づき、20塩基の塩基配列からなり5’末端をアミノ基で修飾した4種のプローブ、すなわち、A2型判定プローブペア(プローブA2−1及びプローブA2−2)、A3型判定プローブペア(プローブA3−1及びプローブA3−2)、及びB3型判定プローブペア(プローブB3−1及びプローブB3−2)を合成した。各プローブの配列を下記表5に示す。
検体として、ABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子のエキソン7を含む領域(配列番号1の21299〜22084番目の塩基に相当、786bp)について、A2型、A3型、B3型、AO型及びBO型に相当する塩基配列からなるDNAを合成しプラスミドpUCに組み込んだプラスミドを鋳型DNAとして用い、実施例2と同様に、プライマー3及び4を用いてPCRを実施した。
2μL PCR産物と1μL 3×SSC/0.3% SDSを混合し、マイクロアレイ2に滴下し、カバーを被せた。水を張ったタッパーに入れ、45℃で1時間インキュベートした。室温で2×SSC/0.2% SDSで2回、2×SSCで2回、洗浄を行った。マイクロアレイ2の周りの余分な洗浄液を拭き取り、カバーガラスを被せた。続いてFLA8000(フジフイルム社製)でスキャンを行い、蛍光画像からArray Gauge(フジフイルム社製)を用いて各プローブのスポットの蛍光強度を数値化した。各プローブペアについて、蛍光強度から蛍光強度比(プローブA2−2における蛍光強度/プローブA2−1における蛍光強度、プローブA3−2における蛍光強度/プローブA3−1における蛍光強度、プローブB3−2における蛍光強度/プローブB3−1における蛍光強度)を算出した。結果を図4に示す。
A2型の検体は、A2型判定プローブペアにおいても蛍光強度比(A2−1/A2−2)はその他の検体と差が小さく、A2型を明確に判定することはできなかった。A3型判定プローブペアにおける蛍光強度比(A3−1/A3−2)は、A3型の検体では約6.3であり、一方その他の検体では約1.0であり、判定可能であった。また検体B3型についても、B3型判定プローブペアにおける蛍光強度比(B3−1/B3−2)は、その他の検体の蛍光強度比が約1.0であるに対して、約2.7となり、判定可能であった。
実施例6 亜型A2判定プローブの塩基長の検討
実施例5で判定できなかった亜型A2型を判定するために、20塩基、18塩基及び16塩基の塩基配列からなり5’末端をアミノ基で修飾した3種のA2型判定プローブペアを合成した。各プローブの配列を下記表6に示す。
2μLPCR産物と1μL 3×SSC/0.3% SDSを混合し、マイクロアレイ2に滴下し、カバーを被せた。水を張ったタッパーに入れ、45℃で1時間インキュベートした。室温で2×SSC/0.2% SDSで2回、2×SSCで2回、洗浄を行った。マイクロアレイ2の周りの余分な洗浄液を拭き取り、カバーガラスを被せた。続いてFLA8000(フジフイルム社製)でスキャンを行い、蛍光画像からArray Gauge(フジフイルム社製)を用いて各プローブのスポットの蛍光強度を数値化した。各プローブペアについて、蛍光強度から蛍光強度比(プローブA2−2−*における蛍光強度/プローブA2−1−*における蛍光強度)を算出した。結果を図5に示す。
20塩基及び18塩基のプローブペアでは、A2型の検体の蛍光強度比(A2−2−*/A2−1−*)は、AO型及びBO型の検体と比べてわずかしか差がなかった。それに対し、16塩基のプローブペアでは蛍光強度比(A2−2−16/A2−1−16)は、A2型が約1.7、AO型が約0.3、BO型が約0.0と差が大きくなった。以上から、A2型の判定には、16塩基のプローブペアが好ましいことが示された。
本明細書中で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書中にとり入れるものとする。
[配列表]
Claims (6)
- ABO式血液型を判定するためのプローブセットあって、O型判定プローブペア及びB型判定プローブペアを含み、
O型判定プローブペアが、以下のプローブO−1及びプローブO−2のペア:
プローブO−1:配列番号1の20136〜20155番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブO−2:配列番号1において20146番目のGが欠失した塩基配列における20136〜20156番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
、及び/又は以下のプローブO−1’及びプローブO−2’のペア:
プローブO−1’:配列番号1の20136〜20155番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブO−2’:配列番号1において20146番目のGが欠失した塩基配列における20136〜20156番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
を含み、
B型判定プローブペアが、以下のプローブB−1及びプローブB−2のペア:
プローブB−1:配列番号1の21857〜21876番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブB−2:配列番号1において21867番目のGがAに置換された塩基配列における21857〜21876番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
、及び/又は以下のプローブB−1’及びプローブB−2’のペア:
プローブB−1’:配列番号1の21857〜21876番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブB−2’:配列番号1において21867番目のGがAに置換された塩基配列における21857〜21876番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
を含む、前記プローブセット。 - A2型判定プローブペア、A3型判定プローブペア及びB3型判定プローブペアからなる群から選択される少なくとも1のプローブペアをさらに含み、
A2型判定プローブペアが、以下のプローブA2−1及びプローブA2−2のペア:
プローブA2−1:配列番号1の21394〜21409番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブA2−2:配列番号1において21404番目のCがTに置換された塩基配列における21394〜21409番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
、及び/又は以下のプローブA2−1’及びプローブA2−2’のペア:
プローブA2−1’:配列番号1の21394〜21409番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブA2−2’:配列番号1において21404番目のCがTに置換された塩基配列における21394〜21409番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
を含み、
A3型判定プローブペアが、以下のプローブA3−1及びプローブA3−2のペア:
プローブA3−1:配列番号1の21798〜21817番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブA3−2:配列番号1において21808番目のGがAに置換された塩基配列における21798〜21817番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
、及び/又は以下のプローブA3−1’及びプローブA3−2’のペア:
プローブA3−1’:配列番号1の21798〜21817番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブA3−2’:配列番号1において21808番目のGがAに置換された塩基配列における21798〜21817番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
を含み、
B3型判定プローブペアが、以下のプローブB3−1及びプローブB3−2のペア:
プローブB3−1:配列番号1の21981〜22000番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブB3−2:配列番号1において21991番目のCがTに置換された塩基配列における21981〜22000番目の塩基を含む連続した22塩基以下の塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
、及び/又は以下のプローブB3−1’及びプローブB3−2’のペア:
プローブB3−1’:配列番号1の21981〜22000番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ、
プローブB3−2’:配列番号1において21991番目のCがTに置換された塩基配列における21981〜22000番目の塩基の5’末端及び/又は3’末端の1塩基が欠失した塩基配列またはそれに相補的な塩基配列からなるプローブ
含む、請求の範囲第1項記載のプローブセット。 - 請求の範囲第1項又は第2項記載のプローブセットが担体上に固定化されてなる、ABO式血液型を判定するためのマイクロアレイ。
- 担体が、表面にカーボン層と化学修飾基とを有するものである、請求の範囲第3項記載のマイクロアレイ。
- 被検者のABO式血液型を判定する方法であって、
被検者由来の試料からゲノムDNAを抽出する工程と、
抽出したゲノムDNAを鋳型とし、ABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子におけるエキソン6を含む領域及び/又はエキソン7を含む領域を増幅する工程と、
請求の範囲第1項又は第2項記載のプローブセットと増幅核酸を接触させる工程と、
各プローブペアにおいて、一方のプローブにハイブリダイズした核酸と他方のプローブにハイブリダイズした核酸の比を測定する工程と
を含む、前記方法。 - 請求の範囲第1項若しくは第2項記載のプローブセット、又は請求の範囲第3項若しくは第4項記載のマイクロアレイを含む、ABO式血液型を判定するためのキット。
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