JP2002526123A - 核酸多形現象の検出 - Google Patents

核酸多形現象の検出

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JP2002526123A JP2000574725A JP2000574725A JP2002526123A JP 2002526123 A JP2002526123 A JP 2002526123A JP 2000574725 A JP2000574725 A JP 2000574725A JP 2000574725 A JP2000574725 A JP 2000574725A JP 2002526123 A JP2002526123 A JP 2002526123A
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アンソニー ジョセフ ブルックス
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ハイベイド リミテッド
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、(a)変異の遺伝子座を含むDNA塩基配列の一本鎖と;(b)上記一本鎖(a)とハイブリッド形成して二本鎖を形成可能で、かつ変異の1つの対立遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチド又はDNA類似体のアナログのプローブと;(c)前記二本鎖で複合体を形成する一本鎖(a)とプローブ(b)との二本鎖構造に特異で、当該二本鎖と複合体を形成し、かつ、二本鎖内で相互作用した場合に独自に反応するマーカーとから構成される複合体の形成または解離を監視することでDNA変異を検出する方法であって、その方法は前記の二本鎖とマーカーとの相互反応を示す出力信号を連続的に測定し、反応の出力信号に変化が生起した条件を記録することを包含する。出力信号の変化は、前記複合体の形成または解離に原因し、従って、一本鎖(a)にプローブ(b)がハイブリッド形成している強さと相関する。動的対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション(Dynamic Allele Specific Hybridization: DASH)と呼ばれるこの方法は、DNA配列におけるヌクレオチドの相違を評価する。複合体の変性あるいはハイブリッド形成から生じる蛍光の変化に追従する蛍光マーカーが、上記のマーカー(c)として好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、核酸配列順序の変異、より詳しくは、天然DNA塩基配列に発生す
る変異体(同質多型および突然変異)の評価に関する。
【0002】 例えばヒトなどの種のゲノムにおいて、任意の2つの等価染色体間におけるヌ
クレオチドの変異は、平均すると10につき1の割合であると推定される。そ
うした変異の大部分は機能的に中立であるが、ほんの少量は、疾病のリスクを含
むヒトの表現型的相違(phenotypic differences)を引き起こす。変異の遺伝子
座を含むDNA分節の染色体部分に対する対立遺伝子の特異プローブにおけるハ
イブリダイゼーションの程度を測定することにより、DNAの変異が調べられる
。この手法では、調査時に個体から採取したDNAサンプルについて、“適合(
プローブと同一のDNAの存在)”および“不適合(プローブと同一でないDN
Aの存在)”を記録することができる。しかし、こうした従来の手法には、適切
な差別的ハイブリダイゼーションを厳格に測定するのが困難であるという問題が
残る。従って、こうした問題点を改善して、信頼性が高く、より簡易な手法を確
立することが求められている。
【0003】 本発明は、 (a)変異の遺伝子座を含むDNA塩基配列の一本鎖と、 (b)上記(a)の一本鎖を交雑して二本鎖を形成し、変異の1つの対立遺伝
子に対して特異的なオリゴヌクレオチド又はDNA類似体のプローブと、 (c)上記の(a)および(b)の二本鎖構造に対して特異的であって、二本
鎖内で相互作用した際に独特に反応するマーカー から成る複合体を形成し、 (d)該複合体を含む変性環境を定常的に高めるながら、マーカーと二本鎖と
の反応程度の出力信号を連続的に測定し、複合体の解離と考えられ、従って、上
記プローブ(b)が上記一本鎖(a)と交雑している強さと相関関係にあるとこ
ろの、反応の出力信号に変化が起こる条件(以下、変性ポイントと称する)を記
録することならDNA変異の検出方法を提供する。
【0004】 上述したアッセイでは、複合体が最初に形成され、次に変性条件を適用して二
本鎖が解離するポイントを測定する。二本鎖の変性方法として加熱を採用する場
合、反応は以下の手順で実行される。初めに供試試料を冷却し、標的DNAにオ
リゴヌクレオチドまたはプローブを交雑させ、次に、制御および監視された状態
で定常的に加熱して変性温度を検出する。しかし、二本鎖DNAの形成は平衡反
応であり、両方向反応であると認められるので、上記の手順を逆にすることも可
能である。反応の全ての成分をまとめて上昇させ、次いで上と同様、制御および
監視された状況でこれらを冷却して、二本鎖(および複合体)が形成される温度
を検出する。この温度は“アニーリング”温度と称される。このアニーリング温
度は、“変性”温度に等しいと考えられるが、複合体が伴う化学作用に原因して
実際は別の値をとる。この等価原理は、本発明の目的のために、加熱以外の変性
/アニーリング条件が採用される場合にも、勿論適用可能である。
【0005】 上記した方法は、所定の複合体が形成される以前に、且つ成分(a)(b)が
交雑しない条件の下で、成分(a)〜(c)を結合させ、その後、二本鎖及び複
合体が形成されるように、成分の環境条件を定常的に調節し、次いで、成分(a
)と(b)のハイブリッド形成が生起したこと(以下、アニーリングポイントと
称す)を示す反応の出力信号を得る方法である。
【0006】 従って、より具体的には、本発明に係るDN変異の検出方法の一つは、 (a)変異の遺伝子座を含むDNA塩基配列の一本鎖と、 (b)変異の一つの対立遺伝子に対して特異的で、かつ、上記の一本鎖(a)
と交雑して二本鎖を形成することができるオリゴヌクレオチド又はDNA類似体
のプローブと、 (c)前記(a)プラス(b)の二本鎖構造に対して特異的であり、その二本
鎖と共に複合体を形成し、且つ、二本鎖内での相互作用に際して独特に反応する
マーカー からなる複合体の形成または解離を監視し、一本鎖(a)とプローブ(b)から
形成される二本鎖に、マーカーが相互作用したことを示す出力信号を連続的に測
定し、複合体の形成または解離の原因と考えられ、従って、上記プローブ(b)
が一本鎖(a)に交雑している強さと相関する反応の出力信号に変化が起きた条
件を記録することからなる。
【0007】 また、本発明に係るDNAの変異検出方法の他の一つは、 (a)変異の遺伝子座を含むDNA塩基配列の一本鎖と、 (b)変異の一つの対立遺伝子に対して特異的で、かつ、上記の一本鎖(a)
を交二本鎖とするために一本鎖(a)と交雑することができるオリゴヌクレオチ
ド又はDNA類似体のプローブと、 (c)前記の成分(a)プラス(b)の二本鎖構造に対して特異的であり、そ
の二本鎖と共に複合体を形成し、且つ、二本鎖内での相互作用に際して独特に反
応するマーカー とを、 (i)成分(a)が成分(b)と交雑し、成分(c)と共に複合体が形成され
る条件、または、 (ii)成分(a)と成分(b)とが交雑せず、成分(c)との複合体も形成
されない条件 の下で結合させ、しかる後、 (i)形成された二本鎖が変性されて複合体が解離するか、あるいは、 (ii)二本鎖が形成されて複合体が形成される ように環境条件を徐々に且つ定常的に調節し、 さらに成分(a)と成分(b)のハイブリダイゼーションの程度および成分(c
)との複合体形成の程度を示す出力信号を継続的に測定し、 そして、(i)複合体の解離または(ii)複合体の形成をそれぞれ示す出力信
号の変化が起こる条件を記録することかなる。
【0008】 DNAの二本鎖は多くの手法で変性可能である。採用される最も一般的な方法
は、pHを上げるか、温度を上昇させることである。従って、定常的に制御され
た温度上昇が、変性“圧力”を二本鎖に付与するのに使用され、適合した二本鎖
および不適合の二本鎖が変性するポイントが調べられる。別法として、定常的に
制御されたpH上昇を用いることもできる。さらに、本発明の原理は、DNAの
“マイクロチップ”フォーマット(平面上にサブmmスケールのアッセイ領域を
有し、電気チップへの取付け用ポテンシャル付き)の使用を許す。この場合、D
NAの鎖(負の電荷も)を表面から押し出すのに、増大する負の電荷(電荷反発
)が利用できる可能性を開く。二本鎖の一方が面結合(surface bound)である
場合、このことはpHおよび温度に関してDNAを変性させる傾向にある。
【0009】 どちらかの信号検出方法を選択するために、プローブと標的DNAの二本鎖の
変性(またはハイブリダイゼーション)を検出するための根拠として、二本鎖D
NAおよび一本鎖DNAに対して異なった信号を与える任意のシステムを利用す
ることができる。二本鎖DNAと一本鎖DNAとの最もよく知られている物理化
学的相違は、これらの分子種によって生じる紫外線吸収スペクトルである。この
パラメータを利用するために装置が考案できる。
【0010】 上述した方法で用いられる好ましいマーカーは、蛍光性に基づくものである。
蛍光マーカーを使用する場合、本発明のDNA変異検出方法は、 (a)変異の遺伝子座を含むDNA塩基配列の一本鎖 (b)変異の1つの対立遺伝子に対して特異的であり、上記一本鎖(a)と交
雑して二本鎖を形成するオリゴヌクレオチドのプローブ (c)上記の一本鎖(a)とプローブ(b)と形成される二本鎖に対して特異
的であり、二本鎖DNAに結びつくか、二本鎖DNA内での相互作用した際に蛍
光を発するマーカー から成る複合体を形成させ、 複合体を含有する環境の温度を定常的に上昇させながら、発生する蛍光を連続的
に測定し、複合体の解離によって生起し、従って、プローブ(b)が一本鎖(a
)に交雑した強さと相関関係を持つところの、蛍光の減少が起きた温度(以下、
融解温度と称す)を記録することからなる。
【0011】 この方法を実行する場合、変異の異なる対立遺伝子に対して特異的なプローブ
をそれぞれ有する2つ又はそれ以上の一連の複合体を形成し、変異の対立遺伝子
がそれぞれ区別でき、好適にはホモ接合状態かヘテロ接合状態かが識別できるよ
うに、それぞれの複合体の転移点を観察するのが通例である。蛍光発光を利用す
る場合、出力信号曲線(蛍光測定)の負又正の第1又は第2微分係数(微分)を
参照して、融解温度は通常決定される。
【0012】 本発明の方法は、支持材に取り付けられた一本鎖DNAにて実施されるのが有
利であって、さらに好ましくは、ビオチン/ストレプタビジン型(biotin/strep
tavidin type)相互作用にて実施される。一本鎖は、標的塩基配列をPCR増幅
した二本鎖DNA生成物から導かれる。培養ウイルス性ゲノム、精製したクロー
ンDNAなどのような複雑性の低い配列は、トレプタビジンなどで末端標識する
ことができ、特別な増幅なしで利用できる。長さで100塩基対以上の、好まし
くは40〜100塩基対のPCR産物を検出の対象とすることが望ましい。複合
体は適当な緩衝液中において、一本鎖にプローブとマーカーを添加することで形
成することができる。
【0013】 上述したように、表面に拘束された標的DNAにてアッセイが実行される。し
かし、本発明は如何なる一形式に限定されるものではない。標的(ターゲット)
とプローブの両方が遊離液中にあっても差し支えない。また、上記の両者をある
割り当て領域に局在させることもできる。本発明の方法は、2つの種の間に二本
鎖を形成することを含むので、両方が局在しない場合、あるいは、いずれか一方
が局在する場合には、分子を結合させる拡散に頼るしかない。しかし、種を相互
に極めて近接して局在させた場合(たとえば、両者を表面に、または、両方を末
端部に接合させる)には、二本鎖の形成効率を向上させることができる。このこ
とはアッセイの基礎に変性を使用せずに、ハイブリダイゼーションを使用する場
合に特に重要である。また、これは変性に基づくフォーマットについて、初期の
ハイブリダイゼーション速度を高める。我々は、これを直接的に連鎖した標的配
列とプローブ配列ついて、すなわち、一方が他方の末端に連結した連鎖について
、両者間の無関係なDNAの“スタッファー”配列と共に、適用して“ヒンジ”
を構成させた。
【0014】 本発明の方法は、単一のオリゴヌクレオチドプローブの使用に限定されるもの
ではない。標的DNA配列に沿って順次アニール化される付加的なプローブを使
用することができる。これらの付加的なプローブは、直接連続して、換言すれば
、隙間なく配置される場合もあるし、そうでない場合もある。連続して配置され
たプローブは、十分確立された現象である“塩基積み上げ(base stacking)”
の化学作用で、相互に安定化する。また、隣接するプローブ間に直接物理結合を
構成することもできる。これらの余剰プローブから生じた余剰の二本鎖DNAは
、アッセイの信号レベルを高める。
【0015】1. 方法の原理 動的対立遺伝子特殊ハイブリダイゼーション(Dynamic Allele Specific Hybr
idization: DASH)と名付けられるた本発明の方法は、DNA塩基配列における
単一ヌクレオチドの相違を検出して評価する技術である。このアッセイでは、二
本鎖DNA(例えば、PCR生成物)の一方の鎖が、固体表面に拘束され、他方
の鎖は除去される。変異の1つのバージョン(対立遺伝子)に対して特異的なオ
リゴヌクレオチドプローブが、拘束された一本鎖に交雑せしめられる。次に、二
本鎖DNA(すなわち、DNAサンプルに交雑せしめられたオリゴヌクレオチド
プローブ)の存在下で特に蛍光を発する挿入染色(intercalating dye)を添加
する。反応物をある温度範囲内において一定速度で加熱し、蛍光を連続的に測定
する。温度が上昇するにつれ、オリゴヌクレオチドプローブが標的DNAから解
離する温度に達するまで、蛍光は徐々に減少する。この温度は融解温度、すなわ
ち、Tmとして知られている。この温度において、蛍光発行が急激に減少する。
【0016】 DNA変異は、2つ又はそれ以上の対立遺伝子を有する。所与のDNAサンプ
ルにどの対立遺伝子が存在するかを決定するために、変異の各バージョン用に対
して特異的なプローブが、DNAサンプルに対して検定(アッセイ)される。2
つのプロービングから得られた蛍光データの第1微分係数を比較することにより
、DNAサンプル中に、一方の又は両方の対立遺伝子が存在するかどうかを決定
することができる。
【0017】2. 方法論 概要として、本方法は以下の工程からなる: 1. テストDNA塩基配列のPCR増幅 2. PCR生成物の一本鎖の面への結合 3. 未結合(unbound)DNAおよびPCR成分の溶出 4. pHの中和 5. 対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドのハイブリッド形成 6. 過剰な対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドの除去 7. 加熱状態での蛍光の検出 (7a. 別の対立遺伝子プローブについての工程4〜7の反復) 8. 蛍光出力の分析
【0018】2.1. PCR増幅 ゲノムDNAを試験するために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて既
知の変異を含むDNAセグメントを増幅させる。理想的な条件には、18〜30
ヌクレオチドの長いプライマーで短いPCRセグメント(40〜100bp)を
増幅させることが含まれる。1個のプライマーは、後の工程で固体表面に拘束で
きるように、5’末端でビオチニル化(biotinylated)されている。タックゴー
ルド(Taq Gold)またはその他の“ホットスタート”型のPCR条件は、可能な
かぎりプライマー2量体のアーチファクトを制限するために使用される。有効な
PCR緩衝条件は次のとおりであって、特定なDNA断片に適したサイクル時間
およびサイクル個数で採用される。 プライマー1(非ビオチニル化) 100ng プライマー2(ビオチニル化) 50ng DMSO 5% ヌクレオチド dNTPにつき5.0ナノモル PCR緩衝 lxまで 酵素(タックゴールドなど) 0.75ユニット 総水量 25μl
【0019】 (固体表面上の結合サイトを競う)組み込まれていないビオチニル化プライマ
ーの量を制限するためには、20ngのビオチニル化プライマーで十分であると
定めた。100ngの非ビオチニル化プライマーにつき20ngのビオチニル化
プライマーの割合で、PCR生成物の形成はなお有効であり、ビオチニル化プラ
イマーの濃度が低下すると、固体表面に結合する時のストレプタビジンサイトに
対する競合が減少する。
【0020】 より長さの長いPCR生成物(100塩基対以上)でも構わないが、斟酌すべ
き事柄がある。長いPCR生成物の場合、末端で運動が低下するので、変異はビ
オチニル化プライマーの方に位置させるべきである。二次構造はプローブの結合
を効果的に阻害するので、これは避けるべきである。さらに、長いPCR生成物
のプレート(plate)への結合効率が減じるが、これはおそらく分子拡散の運動
速度が遅いことだけでなく、二次構造の複雑性と関係しているものと推測される
【0021】 長さの短いPCR生成物(40〜100塩基対)が、いくつかの理由から好ま
しい。プライマー2量体のアーチフェクトは、短いPCR生成物で少なくなる。
加えて、短い生成物を増幅した場合に、PCRの全体効率がしばしば優れたもの
になる。固体表面への結合能力が十分に増加した場合、DASH検定(アッセイ
)への複合PCRの利用が検討できる。短いPCRは、複合PCRの効率だけで
なく、表面への結合にも寄与する。
【0022】2.2. PCR生成物の一本鎖の固体表面への結合 ここで使用した結合面フォーマットは、ストレプタビジン(さまざまな製造業
者から入手可能)でコートされた96ウェルマイクロタイタプレート(96 well m
icrotitre plate)である。室温において、1個のPCRからの全量(25μl
)を、25μlの緩衝液I(緩衝液に関する2.2.1〜2.2.3の項参照)と共
に、ストレプタビジン被膜したプレートのウェル(くぼみ)内に収める。PCR生
成物は、プレートに塗布したストレプタビジンに結合するPCR生成物上のビオ
チン標識を介してプレートに物理的に結合する。これを任意の場所で5分〜24
時間放置して結合を進行させる。結合は、1時間以内に90%完了するので、通
常、30分〜2時間で最大効率に達する。典型的には、最大効率においてPCR
生成物の20%未満がプレートと結合する。結合溶液を取り除いて第2のウェル
に移すことにより、第2のウェルを満たすことができる。
【0023】 この工程においても、またこれに続く工程においても大切なことは、反応チュ
ーブ(マイクロタイタプレートのウェル)内に気泡が存在しないことである。気
泡はマイクロタイタプレート表面と溶液間の反応を阻害するので、各インキュベ
ーションの前に除去すべきである。気泡の除去は、ピペットチップまたはウェル
を指で軽くたたいて行うことができる。さらに、工程と工程の間で、反応チュー
ブからなるべく溶液を除去することも必要である。次の工程に入る前に、ウェル
の底に溶液が視認できなくなることで、反応チューブは“空”の状態になったと
認められる。
【0024】2.2.1 ヘペス緩衝液(緩衝液I) 緩衝液Iは、ヘペス 100mM、NaCl 50mM、EDTA 10mMか
らなり、pHは7である。この緩衝液を選択したことには重大な理由がある。当
該緩衝液は、G+Cの含有量に関係なく、オリゴヌクレオチドの長さに基づいて
Tms(融解温度)を劇的に標定化させ、標準化させるからである。例えば、図
7.1.4.に示すデータを参照されたい。多くのその他の緩衝液も、対立遺伝子
の十分な識別を可能にしているが、観察された絶対的Tmは、G+Cの含有量に
応じて大きく変化する。
【0025】2.2.2. その他の緩衝液およびpH SSPE、SSC、TEN、TES、MESおよびリン酸緩衝液が試され、全
ての実験の完全性を維持した。緩衝液を変えると、オリゴヌクレオチド/標的D
NAの二本鎖で観察されるTmsが変化した。DNA標的に適合したオリゴプロ
ーブのTmと、標的に交雑して不適合のオリゴ体のTmとの関係は、8〜10℃
で一定してほとんど変化がなかった。上記の緩衝液のpHは6.0〜9.8の範囲
に維持した。この範囲のpHによる顕著な影響は見られなかった。pHが6.0
以下では、分析されたDNAは退化の傾向にあり、pHが10およびそれ以上で
は、Tmが室温近くまで低下し、効率的な蛍光測定が妨げられた。
【0026】 2.2.3. 緩衝液/塩化ナトリウム濃度 上記の緩衝液に関し、緩衝液とNaClの濃度(1mM〜400mM)の範囲
を試験した。塩化ナトリウムの濃度が低いと、緩衝液の濃度が増加するにつれ、
観察されたTmは低下した。例えば、NaClが0.0Mで、濃度が1、10、
40、100mMのヘペス緩衝液では、Tm値が1回の実験中それぞれ88℃、
84℃、78℃、72℃と低下した。
【0027】 NaCl濃度が10mMを超えると、緩衝液の濃度よりも、塩化ナトリウムの
濃度が、Tm値に影響を及ぼす主な要因となる。緩衝液の濃度同様、NaCl濃
度が上昇すると、Tm値が低下する傾向がある。NaCl濃度を1mM〜800
mMの範囲で試験した。濃度が200mMを超えると、データの評価が困難にな
る(曲線がランダムな変動を示す)。
【0028】2.2.4. プラスチック製品 採用したマイクロタイタプレートおよびチューブは、蛍光発光しないプラスチ
ック製であることが必要で、これにより検定から付加的なバックグラウンドを排
除することができる。マイクロタイタプレートおよびチューブは、チューブの外
から検出されるいかなる蛍光も排除するために、艶消し加工(frosted)される
。従って、プレートもカップも実質的に実験のバックグラウンド対象ではない。
殆どすべてのバックグラウンド蛍光は、物理的装置(励起/検出装置)によって
斟酌される。
【0029】2.3. PCR生成物の第2の鎖の溶出 ひとたびPCR生成物がプレートに結合すると、非結合PCR試薬は吸引除去
され、50μlのNaOH溶液が添加される。こうしてPCR生成物を変性させ
、ビオチン/ストレプタビジンの相互作用によりプレートに結合された一本鎖D
NAが残る。二本鎖PCR生成物を確かに変性させるのに必要なNaOHの最小
濃度は、0.05Mであるが、0.1Mは濃度の不正確さに対するゆとりであっ
て、爾後の反応を邪魔することはない。0.1MのNaOH中でPCR生成物を
完全変性するには、0.5〜5.0分を要した。これ以上の長時間は有害ではな
いが、不必要である。残余の全てのPCR成分(組み込まれていないプライマー
、ヌクレオチド、酵素など)を、非ビオチニル生成物の鎖と共に除去するために
、溶出液を吸引した。
【0030】2.4. pHの中和 二本鎖DNAに特異な蛍光色素を含む緩衝液Iの溶液を調製する。ここでは“
SYBR グリーンI”色素を用いる。DASHアッセイにおける当該色素の最
適濃度は、1:10,000である。色素濃度の微細な変動は結果に影響しない
。しかし、SYBRグリーンI色素の特性に関し、注意すべきことがある(2.
7.2.、3.1.、3.2.参照)。50μlの緩衝液I/色素溶液を反応チューブ
に添加する。この緩衝液は、残存NaOHを中和すると共に、次の工程でのハイ
ブリッド形成の緩衝に寄与する。供試DNA分子での二次構造の形成を最小限に
するために、次工程に進むまでの時間遅延は最小にすべきである。
【0031】2.5. 対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブのハイブリッド形成 SYBRグリーンI色素は、オリゴヌクレオチドプローブと供試DNAとの相
互作用を安定させるので、最終工程のハイブリッド形成溶液に含有させる。30
pmols(1μl容積中)のオリゴヌクレオチドプローブが、反応チューブに
添加される。、プローブは、中和緩衝液としても加えることができる。当該量の
プローブによりハイブリッド形成が数秒以内に完了し、従って、この工程では実
際上インキュベーション時間を必要としない。加熱工程および冷却工程を実施(
50℃より高温に加熱し、15分以上をかけて室温まで徐々に冷却する)し、非
結合のプローブをウェルから洗い流し、50μlの緩衝液I/色素の溶液を再充
填することにより、最適結果が得られる。プローブの量を少なくすると、インキ
ュベーション期間を長くする必要があるが、高濃度にしてもアニーリングに要す
る時間は短くはならない。プローブの詳細については、2.5.1.を参照された
い。
【0032】2.5.1. プローブの設計と利用 3つの異なる変異座について、13〜25塩基対長さのプローブを試験した。
これらの全ての長さで対立遺伝子の識別が可能であるが、最適なプローブ長さは
、15塩基対である。13merのプローブは室温付近の温度で変性したが、本
技術では理想的でないと判断した。25merのプローブは高輝度の蛍光(蛍光
性は二本鎖DNA長さの関数)を発したが、対立遺伝子の識別は最小であった。
15merのプローブは十分な蛍光輝度を有し、対立遺伝子の間で高い識別性を
示した。
【0033】 ハイブリッド形成したプローブにおける変異の位置も調査された。15mer
のプローブでは、変異位置がプローブの中心から3番目(in the central third
)に位置した時に最良の識別が得られることが分かった。単一の塩基変異におい
ては、変異位置は中央にあるのが最良である。変異位置が中心から2塩基分移動
すると、検定の識別性が低下する。
【0034】 固体サポート上でプローブをDNA標的に素早くハイブリッド形成させるため
には、30pmolsが有効であるが判明した。この場合、蛍光の検出前にプロ
ーブを削除することが必要である。ハイブリッド形成にごく少量のプローブ(1
〜5pmol)を使用し、余剰プローブを除去せずにその後の工程を実施する別
法も試験した。対立遺伝子の識別は可能であったが、蛍光値が低く、結果も大き
くばらついた。プレートへの結合能力がより高い場合、検定に要する工程数を減
らす上でこの方向は有効かもしれない。
【0035】2.6. 余剰プローブの削除 ハイブリッド形成していないプローブ分子を除去するために、バイブリッド形
成溶液は吸引され、50μlの緩衝液I/色素が加えられる。そして、実験は加
熱および蛍光検出段階へと進む。
【0036】2.7. 蛍光検出および加熱方式 マイクロタイタプレートを加熱/検出装置内に設置する。融解温度プロフィー
ルを作成するのに必要とされるような、温度変調と蛍光検出を同時に行える装置
は、幾つか存在する。これらの装置には、対立遺伝子の自動評価を行うために特
に作成されたハイベイド(Hybaid)からの“DASHマシン”と、本明細書に掲
載したデータの作成に使用されたパーキンエルマー7700(タックマン:Taqm
an)装置が含まれる。蛍光を継続的に監視しながら、サンプルプレートを〜25
℃から〜90℃に加熱する。大部分のサンプルは65℃±10℃で変性する。加
熱速度(昇温速度)が少なくとも0.01〜1.0℃/1秒の範囲で変化しても
、対立遺伝子の識別を殆ど損なわない。通常、0.1℃/1秒で検定を行った。
タックマン装置のハードウエアに関する詳細は、2.7.1.を参照されたい。
【0037】2.7.1. パーキンエルマー7700(タックマン)配列検出器 検出装置は、二本鎖DNA特異的蛍光色素が発する発光分光を検出し、かつ、
蛍光のデータポイントが導き出された温度トラックを保持しなければならない。
励起光源周波数は、DASH検定で使用された色素の要求と一致しなければなら
ない。例えば、488nm周波数近くで励起するSYBRグリーンI等の色素で
は、アルゴンレーザまたはハロゲンランプ(488nm周波数が濾波される)は
、色素分子を励起させるのに十分である。タックマン装置には、蛍光分子を励起
させるアルゴンレーザが装備される。フィルターを設けて、アルゴンレーザスペ
クトル中の波長488nm以外の他のずべての波長を除去する。
【0038】 タックマン装置のCCDカメラは、500〜600nmの周波数範囲を検出す
る。蛍光信号は5nmの“ビン”に記録される。そして“ビン1”が500〜5
05nmの蛍光データを収容する。目下の構成では、DASH検定に利用した光
の周波数範囲はビン9(545〜550nm)であるが、このビンだけが有効と
いうわけではない。
【0039】2.7.2. 蛍光色素 採用する色素は、二本鎖DNAの存在下での蛍光が、これを含まない溶液中で
の蛍光に比較して、少なくとも10倍以上であるという特異性を備えることが求
められる。ここでは、特異的な信号の増大が〜1000倍である“SYBRグリ
ーンI”色素が使用されている。
【0040】 SYBRグリーンI色素の最適濃度は、サンプル中に存在するDNAの量に直
接依存する。これを“SYBRグリーン効果”と名付ける。使用される色素の量
が、所与のDNA量に対する最適濃度より低い場合又は高い場合は、検定で観察
される全体としての蛍光が減少する。この検定における色素の最適希釈率は1:
10,000である。
【0041】 別の色素についても試験した結果、ビスタグリーン(アマーシャム:Amersham
)は、SYBRグリーンIとほぼ同一の特性を備え、DASH検定に代替色素と
して利用可能である。アクリジニウムオレンジや臭化エチジウムなどのその他の
色素は、多くの蛍光バックグラウンドを与えるので、DASH検定には適当でな
い。Yo−ProIやTo−ProIなどのその他の色素は、タックマン装置で
の光源とフィルターとの組合せに適当なものがないため、検定していない。
【0042】2.7.3. 検定溶液添加物 様々な添加物の検定への影響を見極めるため、いろいろな添加剤を検査した。
ホルムアミドのような一般的な不安定剤をスクリーニングしたところ、検定には
無益であると認められた。さらに、テトラメチル塩化アンモニウム(TMAC)
、ウシ血清アルブミン(BSA)およびデキストラン硫酸塩のようなハイブリッ
ド形成試薬を検査したところ、これらも検定に不規則性を生じさせることが判明
した。極微量のイオン性界面活性剤でさえ、蛍光信号を完全に破壊する。非イオ
ン性界面活性剤は、反応チューブに気泡を生成させる傾向があることを除いて、
否定的な影響を示さなかった。非イオン性界面活性剤を用いる場合には、DAS
H検定におけるさまざまな工程で、反応チューブに気泡が残らないように細心の
注意を払う必要があった。ジメチルスルホキシドが、唯一の有益な添加剤である
ことが見出され、観察されたTm値を低下させるために、このものは50%また
はそれ以下の割合で添加することができる。
【0043】2.8. 蛍光出力の分析 温度グラフに対する出力蛍光の解釈は、以下のように行うのが便宜的である。
一次データのグラフは、検定がどの程度うまく実行されたか、すなわち、蛍光の
レベルがどの程度であり、どのサンプルが失敗したかに関する一般的情報を得る
のに利用する。対立遺伝子の評価には、一連のサンプル(同一の対立遺伝子特異
的プローブでハイブリッド形成された異なるDNA)の結果を、蛍光値の第1微
分係数の負数に沿ってプロットする。好適には、既知の遺伝子型DNAを一連の
サンプルに含ませる。2個の対立遺伝子について、2つの異なるピークがグラフ
に観察される。これらのピークは、一次データにおける蛍光減少(変性したプロ
ーブおよび標的の二本鎖)の最大比率に対応する。従って、この2つのピークは
、プローブおよび標的の“適合”二本鎖と“不適合”二本鎖のTmに相当する。
【0044】 Tmピークは、少なくとも8℃相違する。Tmピークが高温であることは、所
与のDNAサンプル中に、実験で使用した対立遺伝子特異的プローブに対応する
塩基配列が存在することを示す。対立遺伝子特異的プローブが、供試DNAの分
子と完全に適合するので、これを“適合”と称する。一方、Tmピークが低温で
あることは、“不適合”であること、すなわち、供試DNA中にハイブリッド形
成した配列が存在し、その配列が実験に使用した対立遺伝子特異的プローブに類
似するが、不完全な適合であることを意味する。2つの対立遺伝子系における典
型的なケースでは、この“不適合”は、プローブ配列によって表示されない対立
遺伝子である。しばしば単一のサンプルが両方のピークをもたらすが、これは供
試した2つの対立遺伝子がホモ接合であることを示す。
【0045】 結合DNAサンプルは、第2(または複数の後続する)対立遺伝子配列を含む
プローブを用いて、手順の工程4〜7で再処理することができ、得られたデータ
は上述したように分析される。2セットのデータを比較することで、どちらの対
立遺伝子がDNAサンプルに存在するのかを高い精度で決定できる。DNAサン
プルが対立遺伝子1に特異的なプローブと“適合”し、対立遺伝子2に特異的な
プローブと“不適合”と評価された場合、このDNAサンプルは“ホモ接合対立
遺伝子1”と評価される。一方、DNAサンプルが対立遺伝子1のプローブと“
不適合”で、対立遺伝子2のプローブと“適合”すると評価された場合、このD
NAサンプルは“ホモ接合対立遺伝子2”と評価される。さらに、DNAサンプ
ルが両方の対立遺伝子と“適合”した場合は、当該サンプルは“対立遺伝子1と
2にヘテロ接合”と評価される。一次データ、第1微分係数および第2微分係数
のグラフの例は、7.1を参照されたい。
【0046】3. 新規な発見 3.1. 融解温度(Tm) この検定では、オリゴヌクレオチドのプローブがDNA標的から解離する温度
を、色素、緩衝液および塩化ナトリウム濃度の相互作用によって決定する。SY
BRグリーンI色素は、プローブ/DNA二本鎖構造を安定化させ、色素濃度を
上げることでTmを上昇させる。塩化ナトリウムと緩衝液の濃度を上げると、T
mが低下するのは、恐らく二本鎖DNA構造に結合する(かつ、安定させる)色
素の潜在能力が低下するためと推測される。
【0047】3.2. 色素効果 SYBRグリーンIを二本鎖DNA構造に挿入することによって、適合二本鎖
と不適合二本鎖とのTmの区別性が向上する。完璧に適合したDNA標的と完全
にハイブリッド形成した15merオリゴヌクレオチドプローブと、中心位置で
不適合である標的とハイブリッド形成したプローブとのTmの相違は約8℃であ
る。標準DNA溶液についての計算される融解温度から予想されるこの相違は、
約2〜3℃であった(これは、プローブのDNAヌクレオチド配列によって変わ
る)。従って、ここではDASHフォーマットは、対立遺伝子の識別についてポ
テンシャルを最適化する。
【0048】 SYBRグリーンIは、また、二本鎖DNAの濃度と色素の濃度によって蛍光
が変化する効果を生む。従って、一定のDNA濃度において、SYBRグリーン
色素レベルの滴定は、蛍光信号が最大値に到達するまで行う。これを“SYBR
グリーン効果”と名付けた。本検定で採用した色素の濃度(1:10,000で
希釈)は、典型的なマイクロタイタプレートウェルに結合できる量のDNAに最
適のものである。
【0049】3.3. ヘペス緩衝液 ハイブリダイゼーション緩衝液の基本となるヘペスは、今回の検定で幾つかの
独特な特性を有している。この緩衝液と色素の組合せにおいて、プローブ/標的
DNA複合体のTmは、ほとんどプローブ長さだけと相関関係にある。DNA配
列状況(the DNA sequence context)、あるいは、G+C量の変化は、観察され
たTmを変えることはない。これは、DASH検定にとって極めて重要なことで
ある。
【0050】3.4. ジメチル・スルホキシド(DMSO) 検定の完全性を危うくすることなくオリゴヌクレオチドプローブ/標的DNA
複合体のTmを低下させるために、DMSOはハイブリダイゼーション緩衝液に
加えることができる。唯一及ぼす影響は、両方の対立遺伝子のTmの違いに影響
を与えずに両両者のTmを下げることである。
【0051】3.5. イオン性界面活性剤 ドデシル硫酸ナトリウムなどのイオン性界面活性剤を、濃度0.1%以下で使
用することは、蛍光信号を完全に破壊する。これは、色素との相互作用によるも
のと推測される。
【0052】4. DASHアッセイ(検定)の構成要素 4.1. 色素 モレキュラープローブ社(Molecular Probes)から入手したSYBRグリーン
I色素。4.2. プレート さまざまな供給元から入手したマイクロタイタプレート。パーキンエルマー社
(Perkin Elmer)から入手したマイクロアンプオプティカルプレート、キャップ
、チューブは、蛍光定量測定用に特に考案されている。4.3. オリゴヌクレオチド PCRプライマーと対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブは、インタ
ーアクティバ・バイオテクノロジー社(Interactiva Biotechnologie)から入手
し、全ては最良の質を確保するためHPLC精製した。4.4. 蛍光監視装置 ハイベイドDASHシステム(ハイベイドリミテッド社:Hybaid Limited、英
国)、ABI7700(パーキンエルマー社、本発明のアッセイで使用のもの)
またはその他の検出温度制御装置。4.5. 緩衝液 緩衝液の全ての成分はシグマ社(Sigma)から入手。4.6. ソフトウエア サンプルデータの生データと、一次導関数および二次導関数を分析するために
開発されたソフトウエアは、キン・チュン・ウォン(アップサラ在住)によって
書かれた。
【0053】5. その他のアッセイフォーマット 別のフォーマットでPCR生成物のハイブリッド形成前にオリゴヌクレオチド
プローブをプレートに結合させることが可能であるが、試した結果、この設計で
はいくつかの技術的な問題が生じた。第1は二本鎖PCR生成物を結合プローブ
にハイブリッド形成させる際の問題である。PCR生成物のシンプルな加熱変性
と、それに続くプローブコート検定ウェル中での冷却が不十分となる。これはお
そらく置換反応、すなわち、PCR生成物が二本鎖を修正し、標的配列にハイブ
リッド形成したプローブを置換することによるものと推測される。
【0054】 置換反応によって引起される煩雑さを排除するために、我々はハイブリッド形
成のためにPCR生成物から一本鎖DNAを生成することを試みた。このために
、PCRにおいて不等量の2つのプライマーを用い、理論的にPCR生成物(非
対称PCR)の一本鎖を過剰に生成させた。これは検定をを僅かだが向上させた
。重要なのは、最適PCR条件が、DASHアッセイの確実性に対する妥協の程
度によって変化することである。
【0055】 遊離液中におけるPCR生成物の長さが長いことも問題である。これは反応速
度を遅くし、かつ、潜在的二次構造がハイブリダイゼーション反応を妨げる。さ
らに、ひとたび長い分子が短い固定プローブにハイブリッド形成されると、熱エ
ネルギーが加えられるにつれ、DNA/プローブ複合体の時期尚早な解離が生じ
る。このフォーマットでは、全ての蛍光信号が極めて低温で失われてしまうため
、対立遺伝子間の識別が不可能であることが見出された。これはおそらく、ハイ
ブリッド形成されたPCR断片に、液中に突き出るような非ハイブリッド形成し
ていない長い尾部が存在することに起因する。温度が上昇するにつれ、長い分子
はハイブリッド形成された複合体のTm特性によって変性されるよりも、むしろ
溶液運動によって引抜かれる。
【0056】 プローブ結合フォーマットの最適化は、PCR条件、緩衝液構成要素、アニー
リング戦略およびその他のパラメータを含むさらなる実験を必要とする。ハイブ
リッド形成のための一本鎖DNA分子の生成に係わる問題および運動速度の考慮
は、DNA分子結合フォーマットを利用することで回避できる。非ビオチニル化
(non-biotinylated)鎖は一本鎖DNA生成物のために容易に溶出され、未熟置
換を含む運動制限は観察されない。
【0057】6. DASH分析の実施例:ヒトNDUFB4遺伝子における重対立遺伝子の
単一ヌクレオチド多形性の対立遺伝子バージョンの検出 常染色体上に位置するヒトNDUFB4遺伝子における単一ヌクレオチド多形
性についてDASH実験を行った。これは“DNA配列1”として図1に記載さ
れ、“A”ヌクレオチドと、“G”ヌクレオチドとの重対立性から成る。3つの
ヒトゲノムDNAサンプルであるX、Y,Zが採用され、これらは先の配列分析
から、“A”対立遺伝子がホモ接合、“G”対立遺伝子がホモ接合、それらの対
立遺伝子はヘテロ接合であると各々知られている。
【0058】6.1. ポリメラーゼ連鎖反応(PCR) DNAサンプルX、Y、Zの50ngアリコートについて、“DNA配列2”
および“DNA配列3”として図1に記載されたPCRプライマーを用いてPC
Rが実施された。反応条件を下記に記す:総量25ml中、20ngの“DNA
配列2”プライマーと、100ngの“DNA配列3”プライマーと、0.75
uのアンプリタックゴールド(AmpliTaq-Gold)ポリメラーゼ(パーキンエルマ
ー社)と、10%のジメチルスルホキシドと、1xパーキンエルマーPCR緩衝
液(1.5mMのMgCl含有)と、各0.2mMのdGTPと、dATPと
、dTTPとdCTPとを含む。熱サイクルはタッチダウン(TouchDownTM)温
度サイクル装置(ハイベイド社製)を採用し、以下のサイクル条件とした: 1
×(94℃で10分間、50℃で30秒、72℃で30秒)、17×(94℃で
15秒間、50℃で30秒、72℃で30秒)、18×(94℃で15秒間、5
0℃で30秒、72℃で1分)。これは、48塩基対長さのPCR生成物を産出
し、このものは多形遺伝子座に及び、一本のDNA鎖の5’末端にビオチン部分
を持つた。
【0059】6.2. PCR生成物のマイクロタイタプレートへの結合 PCR反応生成物は、等量の緩衝液I(100mMのヘペス、50mMのNa
Cl、10mMのEDTA、pH7.8)と混合し、ストレプタビジンを塗布し
た薄壁マイクロタイタプレート(ボーリンジャー・マンヘイム:Boehringer Man
nheim)の個別ウェルに移された。これを室温で1時間放置した。
【0060】6.3. 非結合鎖の溶出 全量の溶液(非結合DNAおよびその他の試薬を含む)をマイクロタイタプレ
ートから完全に吸引除去した。その後直ちに、ウェルを50mlの0.1M N
aOHで満たし、5分間室温で放置した。非ビオチニル化DNA鎖(この時、結
合鎖から変性)を含むNaOH溶液が完全に除去された。
【0061】6.4. 反応サンプルの中和 ウェルにSYBRグリーン色素を含む50mlの緩衝液を遅滞なく満たした(
1:10,000で希釈)。
【0062】6.5. 第1の対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブのハイブリッド形
30pmolの“Tプローブ”(図1に記載の“DNA配列4”)を、水1m
lで各ウェルに添加した。光学キャップ(パーキンエルマー社製)を用いて各ウ
ェルを密閉し、プレートとその中身を60℃で加熱し、15分以上かけて室温ま
で徐々に冷却した。これはタッチダウン(TouchDownTM)温度サイクル装置(ハ
イベイド社製)を用いて実施した。
【0063】6.6. 非結合プローブの削除 光学キャップを外し、全量の溶液をマイクロタイタプレートから完全に吸引し
た。次にウェルをSYBRグリーンI色素(1:10,000で希釈)を含む5
0μlの緩衝液Iで満たし、光学キャップを取り替えた。
【0064】6.7. 信号検出手順 マイクロタイタプレートをパーキンエルマー7700(タックマン)装置に設
置し、毎秒0.1℃の定速度で35℃から80℃までにわたる温度範囲を含む加
熱期を適用した。この加熱期中、タックマン装置は反復してサンプルをアルゴン
レーザ光源(488nmで濾波)で励起し、周波数域545〜550nmで放出
される蛍光を収集した。いずれのウェルも7秒間隔でデータポイントを集めた。
【0065】6.8. 第2の対立遺伝子特異的プローブでの再プローブ 工程5で用いた“Tプローブ”を“Cプローブ”(図1の“DNA配列5”)
と交換して上記工程3〜8を繰り返した。
【0066】6.9. データ分析および結果の解釈 全てのウェルおよび両方のプローブについて、一次データを蛍光データ対時間
のグラフにプロットした。このデータは、8個のデータポイントのスライドウイ
ンドウから決定した平均蛍光値をプロットすると滑らかであった。こうして得ら
れた“一次”データを図2aおよび2bに示した。次に、このグラフの負の微分
(導関数)曲線をプロットし、これを図3aおよび3bに示した。そして、負の
第1微分曲線の微分曲線をプロットし、図4aおよび4bに示し第2導関数を得
た。
【0067】 図3aおよび3bにおいて、高温ピーク(H)と低温ピーク(L)は、最大変
性率のポイントを示していると考えられる。これらは、適合したプローブ標的D
NA二本鎖と、一塩基不適合のプローブ標的DNA二本鎖それぞれのDASH信
号を示している。第2導関数曲線(図4)では、これらの点は曲線がX軸と交わ
る点から推理できる。これらは一次データ(図2)にも見られるが、DASHの
結果表示から差異を弁別するのは困難である。
【0068】 サンプルXとYに関しては、一方の負の第1微分グラフに一つの適合(高温)
ピークが、他方の負の第1微分グラフに一つの不適合(低温)ピークが認められ
る。これはXとYがホモ接合サンプルであることを示している。XとYが高温(
適合)ピークを付与する間のプロービングは、これらがどの対立遺伝子を含んで
いるかを示すものである。従って、Xは“Tプローブ”で高温ピークを形成する
ので、これは“A”対立遺伝子ホモ接合体である。一方、Yは“Cプローブ”で
高温ピークを形成するので、“G”対立遺伝子ホモ接合体である。
【0069】 サンプルZは、サンプルXやYとは異なる挙動を示す。サンプルZは、“Cプ
ローブ”で高温ピークと低温ピークの両方を形成し、“Tプローブ”でも高温ピ
ークと低温ピーク(両ピークは隣接により単一の広いピークに統合される)を形
成する。そのため、このDNAサンプルは、その中に存在する両プローブの対立
遺伝子相補的配列を有している。従って、Zは、“A”対立遺伝子と“G”対立
遺伝子の両方を含むヘテロ接合サンプルと推理することができる。
【0070】図1 ヒトNDUFB4遺伝子の多形性の対立遺伝子を評価するDASHアッセイに使
用されるDNA配列 DNA配列1(配列リストSE1) これは、ヒトNDUFB4遺伝子の一部を示す48塩基対のゲノムDNA配列
である。重対立遺伝子の単一ヌクレオチド多形性(GからA)が、配列中央に向
う括弧内に示されている。
【0071】 DNA配列2(配列リストSE2) この配列は、DNA配列1に示される対立遺伝子の多形性を検出するために、
DASH検定で“PCRプライマー1”として使用するために設計された19塩
基対のオリゴヌクレオチド配列である。これは、5’末端に結合したビオチン部
位を備える。
【0072】 DNA配列3(配列リストSE3) この配列は、DNA配列1に示される対立遺伝子の多形性を検出するために、
DASH検定で“PCRプライマー2”として使用するために設計された21塩
基対のオリゴヌクレオチド配列である。
【0073】 DNA配列4(配列リストSE4) この配列は、DNA配列1に示される対立遺伝子の多形性を検出するために、
DASH検定で“Cプローブ”として使用するために設計された15塩基対のオ
リゴヌクレオチド配列である。
【0074】 DNA配列5(配列リストSE5) この配列は、DNA配列1に示される対立遺伝子の多形性を検出するために、
DASH検定で“Tプローブ”として使用するために設計された15塩基対のオ
リゴヌクレオチド配列である。
【0075】図2 NDUFB4遺伝子の多形性に関するDASHアッセイの一次データ (“H”および“L”は、それぞれ、適合および不適合プローブ−標的の複合
体の最大変性率ポイントを示す。X、Y、ZはサンプルDNAである。) (2a)“Cプローブ”の結果
【0076】 (2b)“Tプローブ”の結果
【0077】図3 NDUFB4ゲノム遺伝子の多形性に関する負の一次導関数のDASHアッセイ
データ (“H”および“L”は、それぞれ、適合および不適合プローブ−標的の複合
体の最大変性率ポイントを示す。X、Y、ZはサンプルDNAである。) (3a)“Cプローブ”の結果
【0078】 (3b)“Tプローブ”の結果
【0079】図4 NDUFB4遺伝子の多形性に関する二次導関数のDASHアッセイデータ (“H”および“L”は、それぞれ、適合および不適合プローブ−標的の複合
体の最大変性率ポイントを示す。X、Y、ZはサンプルDNAである。) (4a)“Cプローブ”の結果
【0080】 (4b)“Tプローブ”の結果
【0081】 7.補足説明7.1. グラフの例 7.1.1. 一次データ 上記のグラフは、一つの対立遺伝子特異的プローブにて、3つの異なるDNA
サンプルを検定したデータを示したものである。サンプル“28、29、30”
は、それぞれホモ接合適合サンプル、ホモ接合不適合サンプルおよびヘテロ接合
サンプルの典型的な結果を示している。ヘテロ接合のサンプル30は、適合曲線
および不適合曲線両方の特性を示していることに留意されたい。は不適合プロ
ーブ/標的複合体のTmであり、は適合プローブ/標的複合体のTmである。
【0082】7.1.2. 負の一次導関数 このグラフは、3つのDNAサンプルの負の一次導関数を図示したものである
。これらのDNAサンプルは、一つの対立遺伝子特的プローブで検査された。サ
ンプル28、29、30は、各々、プローブ対立遺伝子について、ホモ接合適合
、ホモ接合不適合およびヘテロ接合である。。は不適合プローブ/標的複合体
のTmであり、は適合プローブ/標的複合体のTmである。
【0083】7.1.3. 二次導関数 このグラフは、3つのDNAサンプルについての二次導関数を図示したもので
ある。サンプル28、29、30は、ホモ接合適合、ホモ接合不適合、およびヘ
テロ接合をそれぞれ示している。は不適合プローブ/標的複合体のTmを、
は適合プローブ/標的複合体部位のTmを示す。
【0084】7.1.4. 3つの異なる変異におけるヘペスによるTmの標準化 上のグラフは、3つの異なる変異について、サンプル25〜27、28〜30
、31〜33から得た一揃いの負の一次導関数データを示す。各セットのデータ
は、評価される個々の変異に相当する15merの対立遺伝子特異的オリゴヌク
レオチドプローブに特異的な遺伝子座で検査された。これらのプローブが含有す
るGとCの割合は、40〜70%で変化した。融解温度理論によれば、プローブ
/標的複合体のTmはこれらの異なる配列によって変化すべきであるが、ヘペス
緩衝液を用いたDASH検定条件は、固定Tm値にデータを標準化させる。は
不適合プローブ/標的複合体のTmを、は適合プローブ/標的複合体のTmで
ある。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】平成13年4月10日(2001.4.10)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 核酸多形現象の検出
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、核酸配列順序の変異、より詳しくは、天然DNA塩基配列に発生す
る変異体(同質多型および突然変異)の評価に関する。
【0002】 例えばヒトなどの種のゲノムにおいて、任意の2つの等価染色体間におけるヌ
クレオチドの変異は、平均すると10につき1の割合であると推定される。そ
うした変異の大部分は機能的に中立であるが、ほんの少量は、疾病のリスクを含
むヒトの表現型的相違(phenotypic differences)を引き起こす。変異の遺伝子
座を含むDNA分節の染色体部分に対する対立遺伝子の特異プローブにおけるハ
イブリダイゼーションの程度を測定することにより、DNAの変異が調べられる
。この手法では、調査時に個体から採取したDNAサンプルについて、“適合(
プローブと同一のDNAの存在)”および“不適合(プローブと同一でないDN
Aの存在)”を記録することができる。しかし、こうした従来の手法には、適切
な差別的ハイブリダイゼーションを厳格に測定するのが困難であるという問題が
残る。従って、こうした問題点を改善して、信頼性が高く、より簡易な手法を確
立することが求められている。
【0003】 本発明は、 (a)変異の遺伝子座を含むDNA塩基配列の一本鎖と、 (b)上記(a)の一本鎖を交雑して二本鎖を形成し、変異の1つの対立遺伝
子に対して特異的なオリゴヌクレオチド又はDNA類似体のプローブと、 (c)上記の(a)および(b)の二本鎖構造に対して特異的であって、二本
鎖内で相互作用した際に独特に反応するマーカー から成る複合体を形成し、 (d)該複合体を含む変性環境を定常的に高めるながら、マーカーと二本鎖と
の反応程度の出力信号を連続的に測定し、複合体の解離と考えられ、従って、上
記プローブ(b)が上記一本鎖(a)と交雑している強さと相関関係にあるとこ
ろの、反応の出力信号に変化が起こる条件(以下、変性ポイントと称する)を記
録することならDNA変異の検出方法を提供する。
【0004】 上述したアッセイでは、複合体が最初に形成され、次に変性条件を適用して二
本鎖が解離するポイントを測定する。二本鎖の変性方法として加熱を採用する場
合、反応は以下の手順で実行される。初めに供試試料を冷却し、標的DNAにオ
リゴヌクレオチドまたはプローブを交雑させ、次に、制御および監視された状態
で定常的に加熱して変性温度を検出する。しかし、二本鎖DNAの形成は平衡反
応であり、両方向反応であると認められるので、上記の手順を逆にすることも可
能である。反応の全ての成分をまとめて上昇させ、次いで上と同様、制御および
監視された状況でこれらを冷却して、二本鎖(および複合体)が形成される温度
を検出する。この温度は“アニーリング”温度と称される。このアニーリング温
度は、“変性”温度に等しいと考えられるが、複合体が伴う化学作用に原因して
実際は別の値をとる。この等価原理は、本発明の目的のために、加熱以外の変性
/アニーリング条件が採用される場合にも、勿論適用可能である。
【0005】 上記した方法は、所定の複合体が形成される以前に、且つ成分(a)(b)が
交雑しない条件の下で、成分(a)〜(c)を結合させ、その後、二本鎖及び複
合体が形成されるように、成分の環境条件を定常的に調節し、次いで、成分(a
)と(b)のハイブリッド形成が生起したこと(以下、アニーリングポイントと
称す)を示す反応の出力信号を得る方法である。
【0006】 従って、より具体的には、本発明に係るDN変異の検出方法の一つは、 (a)変異の遺伝子座を含むDNA塩基配列の一本鎖と、 (b)変異の一つの対立遺伝子に対して特異的で、かつ、上記の一本鎖(a)
と交雑して二本鎖を形成することができるオリゴヌクレオチド又はDNA類似体
のプローブと、 (c)前記(a)プラス(b)の二本鎖構造に対して特異的であり、その二本
鎖と共に複合体を形成し、且つ、二本鎖内での相互作用に際して独特に反応する
マーカー からなる複合体の形成または解離を監視し、一本鎖(a)とプローブ(b)から
形成される二本鎖に、マーカーが相互作用したことを示す出力信号を連続的に測
定し、複合体の形成または解離の原因と考えられ、従って、上記プローブ(b)
が一本鎖(a)に交雑している強さと相関する反応の出力信号に変化が起きた条
件を記録することからなる。
【0007】 また、本発明に係るDNAの変異検出方法の他の一つは、 (a)変異の遺伝子座を含むDNA塩基配列の一本鎖と、 (b)変異の一つの対立遺伝子に対して特異的で、かつ、上記の一本鎖(a)
を交二本鎖とするために一本鎖(a)と交雑することができるオリゴヌクレオチ
ド又はDNA類似体のプローブと、 (c)前記の成分(a)プラス(b)の二本鎖構造に対して特異的であり、そ
の二本鎖と共に複合体を形成し、且つ、二本鎖内での相互作用に際して独特に反
応するマーカー とを、 (i)成分(a)が成分(b)と交雑し、成分(c)と共に複合体が形成され
る条件、または、 (ii)成分(a)と成分(b)とが交雑せず、成分(c)との複合体も形成
されない条件 の下で結合させ、しかる後、 (i)形成された二本鎖が変性されて複合体が解離するか、あるいは、 (ii)二本鎖が形成されて複合体が形成される ように環境条件を徐々に且つ定常的に調節し、 さらに成分(a)と成分(b)のハイブリダイゼーションの程度および成分(c
)との複合体形成の程度を示す出力信号を継続的に測定し、 そして、(i)複合体の解離または(ii)複合体の形成をそれぞれ示す出力信
号の変化が起こる条件を記録することかなる。
【0008】 DNAの二本鎖は多くの手法で変性可能である。採用される最も一般的な方法
は、pHを上げるか、温度を上昇させることである。従って、定常的に制御され
た温度上昇が、変性“圧力”を二本鎖に付与するのに使用され、適合した二本鎖
および不適合の二本鎖が変性するポイントが調べられる。別法として、定常的に
制御されたpH上昇を用いることもできる。さらに、本発明の原理は、DNAの
“マイクロチップ”フォーマット(平面上にサブmmスケールのアッセイ領域を
有し、電気チップへの取付け用ポテンシャル付き)の使用を許す。この場合、D
NAの鎖(負の電荷も)を表面から押し出すのに、増大する負の電荷(電荷反発
)が利用できる可能性を開く。二本鎖の一方が面結合(surface bound)である
場合、このことはpHおよび温度に関してDNAを変性させる傾向にある。
【0009】 どちらかの信号検出方法を選択するために、プローブと標的DNAの二本鎖の
変性(またはハイブリダイゼーション)を検出するための根拠として、二本鎖D
NAおよび一本鎖DNAに対して異なった信号を与える任意のシステムを利用す
ることができる。二本鎖DNAと一本鎖DNAとの最もよく知られている物理化
学的相違は、これらの分子種によって生じる紫外線吸収スペクトルである。この
パラメータを利用するために装置が考案できる。
【0010】 上述した方法で用いられる好ましいマーカーは、蛍光性に基づくものである。
蛍光マーカーを使用する場合、本発明のDNA変異検出方法は、 (a)変異の遺伝子座を含むDNA塩基配列の一本鎖 (b)変異の1つの対立遺伝子に対して特異的であり、上記一本鎖(a)と交
雑して二本鎖を形成するオリゴヌクレオチドのプローブ (c)上記の一本鎖(a)とプローブ(b)と形成される二本鎖に対して特異
的であり、二本鎖DNAに結びつくか、二本鎖DNA内での相互作用した際に蛍
光を発するマーカー から成る複合体を形成させ、 複合体を含有する環境の温度を定常的に上昇させながら、発生する蛍光を連続的
に測定し、複合体の解離によって生起し、従って、プローブ(b)が一本鎖(a
)に交雑した強さと相関関係を持つところの、蛍光の減少が起きた温度(以下、
融解温度と称す)を記録することからなる。
【0011】 この方法を実行する場合、変異の異なる対立遺伝子に対して特異的なプローブ
をそれぞれ有する2つ又はそれ以上の一連の複合体を形成し、変異の対立遺伝子
がそれぞれ区別でき、好適にはホモ接合状態かヘテロ接合状態かが識別できるよ
うに、それぞれの複合体の転移点を観察するのが通例である。蛍光発光を利用す
る場合、出力信号曲線(蛍光測定)の負又正の第1又は第2微分係数(微分)を
参照して、融解温度は通常決定される。
【0012】 本発明の方法は、支持材に取り付けられた一本鎖DNAにて実施されるのが有
利であって、さらに好ましくは、ビオチン/ストレプタビジン型(biotin/strep
tavidin type)相互作用にて実施される。一本鎖は、標的塩基配列をPCR増幅
した二本鎖DNA生成物から導かれる。培養ウイルス性ゲノム、精製したクロー
ンDNAなどのような複雑性の低い配列は、トレプタビジンなどで末端標識する
ことができ、特別な増幅なしで利用できる。長さで100塩基対以上の、好まし
くは40〜100塩基対のPCR産物を検出の対象とすることが望ましい。複合
体は適当な緩衝液中において、一本鎖にプローブとマーカーを添加することで形
成することができる。
【0013】 上述したように、表面に拘束された標的DNAにてアッセイが実行される。し
かし、本発明は如何なる一形式に限定されるものではない。標的(ターゲット)
とプローブの両方が遊離液中にあっても差し支えない。また、上記の両者をある
割り当て領域に局在させることもできる。本発明の方法は、2つの種の間に二本
鎖を形成することを含むので、両方が局在しない場合、あるいは、いずれか一方
が局在する場合には、分子を結合させる拡散に頼るしかない。しかし、種を相互
に極めて近接して局在させた場合(たとえば、両者を表面に、または、両方を末
端部に接合させる)には、二本鎖の形成効率を向上させることができる。このこ
とはアッセイの基礎に変性を使用せずに、ハイブリダイゼーションを使用する場
合に特に重要である。また、これは変性に基づくフォーマットについて、初期の
ハイブリダイゼーション速度を高める。我々は、これを直接的に連鎖した標的配
列とプローブ配列ついて、すなわち、一方が他方の末端に連結した連鎖について
、両者間の無関係なDNAの“スタッファー”配列と共に、適用して“ヒンジ”
を構成させた。
【0014】 本発明の方法は、単一のオリゴヌクレオチドプローブの使用に限定されるもの
ではない。標的DNA配列に沿って順次アニール化される付加的なプローブを使
用することができる。これらの付加的なプローブは、直接連続して、換言すれば
、隙間なく配置される場合もあるし、そうでない場合もある。連続して配置され
たプローブは、十分確立された現象である“塩基積み上げ(base stacking)”
の化学作用で、相互に安定化する。また、隣接するプローブ間に直接物理結合を
構成することもできる。これらの余剰プローブから生じた余剰の二本鎖DNAは
、アッセイの信号レベルを高める。
【0015】1. 方法の原理 動的対立遺伝子特殊ハイブリダイゼーション(Dynamic Allele Specific Hybr
idization: DASH)と名付けられるた本発明の方法は、DNA塩基配列における
単一ヌクレオチドの相違を検出して評価する技術である。このアッセイでは、二
本鎖DNA(例えば、PCR生成物)の一方の鎖が、固体表面に拘束され、他方
の鎖は除去される。変異の1つのバージョン(対立遺伝子)に対して特異的なオ
リゴヌクレオチドプローブが、拘束された一本鎖に交雑せしめられる。次に、二
本鎖DNA(すなわち、DNAサンプルに交雑せしめられたオリゴヌクレオチド
プローブ)の存在下で特に蛍光を発する挿入染色(intercalating dye)を添加
する。反応物をある温度範囲内において一定速度で加熱し、蛍光を連続的に測定
する。温度が上昇するにつれ、オリゴヌクレオチドプローブが標的DNAから解
離する温度に達するまで、蛍光は徐々に減少する。この温度は融解温度、すなわ
ち、Tmとして知られている。この温度において、蛍光発行が急激に減少する。
【0016】 DNA変異は、2つ又はそれ以上の対立遺伝子を有する。所与のDNAサンプ
ルにどの対立遺伝子が存在するかを決定するために、変異の各バージョン用に対
して特異的なプローブが、DNAサンプルに対して検定(アッセイ)される。2
つのプロービングから得られた蛍光データの第1微分係数を比較することにより
、DNAサンプル中に、一方の又は両方の対立遺伝子が存在するかどうかを決定
することができる。
【0017】2. 方法論 概要として、本方法は以下の工程からなる: 1. テストDNA塩基配列のPCR増幅 2. PCR生成物の一本鎖の面への結合 3. 未結合(unbound)DNAおよびPCR成分の溶出 4. pHの中和 5. 対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドのハイブリッド形成 6. 過剰な対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドの除去 7. 加熱状態での蛍光の検出 (7a. 別の対立遺伝子プローブについての工程4〜7の反復) 8. 蛍光出力の分析
【0018】2.1. PCR増幅 ゲノムDNAを試験するために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて既
知の変異を含むDNAセグメントを増幅させる。理想的な条件には、18〜30
ヌクレオチドの長いプライマーで短いPCRセグメント(40〜100bp)を
増幅させることが含まれる。1個のプライマーは、後の工程で固体表面に拘束で
きるように、5’末端でビオチニル化(biotinylated)されている。タックゴー
ルド(Taq Gold)またはその他の“ホットスタート”型のPCR条件は、可能な
かぎりプライマー2量体のアーチファクトを制限するために使用される。有効な
PCR緩衝条件は次のとおりであって、特定なDNA断片に適したサイクル時間
およびサイクル個数で採用される。 プライマー1(非ビオチニル化) 100ng プライマー2(ビオチニル化) 50ng DMSO 5% ヌクレオチド dNTPにつき5.0ナノモル PCR緩衝 lxまで 酵素(タックゴールドなど) 0.75ユニット 総水量 25μl
【0019】 (固体表面上の結合サイトを競う)組み込まれていないビオチニル化プライマ
ーの量を制限するためには、20ngのビオチニル化プライマーで十分であると
定めた。100ngの非ビオチニル化プライマーにつき20ngのビオチニル化
プライマーの割合で、PCR生成物の形成はなお有効であり、ビオチニル化プラ
イマーの濃度が低下すると、固体表面に結合する時のストレプタビジンサイトに
対する競合が減少する。
【0020】 より長さの長いPCR生成物(100塩基対以上)でも構わないが、斟酌すべ
き事柄がある。長いPCR生成物の場合、末端で運動が低下するので、変異はビ
オチニル化プライマーの方に位置させるべきである。二次構造はプローブの結合
を効果的に阻害するので、これは避けるべきである。さらに、長いPCR生成物
のプレート(plate)への結合効率が減じるが、これはおそらく分子拡散の運動
速度が遅いことだけでなく、二次構造の複雑性と関係しているものと推測される
【0021】 長さの短いPCR生成物(40〜100塩基対)が、いくつかの理由から好ま
しい。プライマー2量体のアーチフェクトは、短いPCR生成物で少なくなる。
加えて、短い生成物を増幅した場合に、PCRの全体効率がしばしば優れたもの
になる。固体表面への結合能力が十分に増加した場合、DASH検定(アッセイ
)への複合PCRの利用が検討できる。短いPCRは、複合PCRの効率だけで
なく、表面への結合にも寄与する。
【0022】2.2. PCR生成物の一本鎖の固体表面への結合 ここで使用した結合面フォーマットは、ストレプタビジン(さまざまな製造業
者から入手可能)でコートされた96ウェルマイクロタイタプレート(96 well m
icrotitre plate)である。室温において、1個のPCRからの全量(25μl
)を、25μlの緩衝液I(緩衝液に関する2.2.1〜2.2.3の項参照)と共
に、ストレプタビジン被膜したプレートのウェル(くぼみ)内に収める。PCR生
成物は、プレートに塗布したストレプタビジンに結合するPCR生成物上のビオ
チン標識を介してプレートに物理的に結合する。これを任意の場所で5分〜24
時間放置して結合を進行させる。結合は、1時間以内に90%完了するので、通
常、30分〜2時間で最大効率に達する。典型的には、最大効率においてPCR
生成物の20%未満がプレートと結合する。結合溶液を取り除いて第2のウェル
に移すことにより、第2のウェルを満たすことができる。
【0023】 この工程においても、またこれに続く工程においても大切なことは、反応チュ
ーブ(マイクロタイタプレートのウェル)内に気泡が存在しないことである。気
泡はマイクロタイタプレート表面と溶液間の反応を阻害するので、各インキュベ
ーションの前に除去すべきである。気泡の除去は、ピペットチップまたはウェル
を指で軽くたたいて行うことができる。さらに、工程と工程の間で、反応チュー
ブからなるべく溶液を除去することも必要である。次の工程に入る前に、ウェル
の底に溶液が視認できなくなることで、反応チューブは“空”の状態になったと
認められる。
【0024】2.2.1 ヘペス緩衝液(緩衝液I) 緩衝液Iは、ヘペス 100mM、NaCl 50mM、EDTA 10mMか
らなり、pHは7である。この緩衝液を選択したことには重大な理由がある。当
該緩衝液は、G+Cの含有量に関係なく、オリゴヌクレオチドの長さに基づいて
Tms(融解温度)を劇的に標定化させ、標準化させるからである。例えば、図
7.1.4.に示すデータを参照されたい。多くのその他の緩衝液も、対立遺伝子
の十分な識別を可能にしているが、観察された絶対的Tmは、G+Cの含有量に
応じて大きく変化する。
【0025】2.2.2. その他の緩衝液およびpH SSPE、SSC、TEN、TES、MESおよびリン酸緩衝液が試され、全
ての実験の完全性を維持した。緩衝液を変えると、オリゴヌクレオチド/標的D
NAの二本鎖で観察されるTmsが変化した。DNA標的に適合したオリゴプロ
ーブのTmと、標的に交雑して不適合のオリゴ体のTmとの関係は、8〜10℃
で一定してほとんど変化がなかった。上記の緩衝液のpHは6.0〜9.8の範囲
に維持した。この範囲のpHによる顕著な影響は見られなかった。pHが6.0
以下では、分析されたDNAは退化の傾向にあり、pHが10およびそれ以上で
は、Tmが室温近くまで低下し、効率的な蛍光測定が妨げられた。
【0026】 2.2.3. 緩衝液/塩化ナトリウム濃度 上記の緩衝液に関し、緩衝液とNaClの濃度(1mM〜400mM)の範囲
を試験した。塩化ナトリウムの濃度が低いと、緩衝液の濃度が増加するにつれ、
観察されたTmは低下した。例えば、NaClが0.0Mで、濃度が1、10、
40、100mMのヘペス緩衝液では、Tm値が1回の実験中それぞれ88℃、
84℃、78℃、72℃と低下した。
【0027】 NaCl濃度が10mMを超えると、緩衝液の濃度よりも、塩化ナトリウムの
濃度が、Tm値に影響を及ぼす主な要因となる。緩衝液の濃度同様、NaCl濃
度が上昇すると、Tm値が低下する傾向がある。NaCl濃度を1mM〜800
mMの範囲で試験した。濃度が200mMを超えると、データの評価が困難にな
る(曲線がランダムな変動を示す)。
【0028】2.2.4. プラスチック製品 採用したマイクロタイタプレートおよびチューブは、蛍光発光しないプラスチ
ック製であることが必要で、これにより検定から付加的なバックグラウンドを排
除することができる。マイクロタイタプレートおよびチューブは、チューブの外
から検出されるいかなる蛍光も排除するために、艶消し加工(frosted)される
。従って、プレートもカップも実質的に実験のバックグラウンド対象ではない。
殆どすべてのバックグラウンド蛍光は、物理的装置(励起/検出装置)によって
斟酌される。
【0029】2.3. PCR生成物の第2の鎖の溶出 ひとたびPCR生成物がプレートに結合すると、非結合PCR試薬は吸引除去
され、50μlのNaOH溶液が添加される。こうしてPCR生成物を変性させ
、ビオチン/ストレプタビジンの相互作用によりプレートに結合された一本鎖D
NAが残る。二本鎖PCR生成物を確かに変性させるのに必要なNaOHの最小
濃度は、0.05Mであるが、0.1Mは濃度の不正確さに対するゆとりであっ
て、爾後の反応を邪魔することはない。0.1MのNaOH中でPCR生成物を
完全変性するには、0.5〜5.0分を要した。これ以上の長時間は有害ではな
いが、不必要である。残余の全てのPCR成分(組み込まれていないプライマー
、ヌクレオチド、酵素など)を、非ビオチニル生成物の鎖と共に除去するために
、溶出液を吸引した。
【0030】2.4. pHの中和 二本鎖DNAに特異な蛍光色素を含む緩衝液Iの溶液を調製する。ここでは“
SYBR グリーンI”色素を用いる。DASHアッセイにおける当該色素の最
適濃度は、1:10,000である。色素濃度の微細な変動は結果に影響しない
。しかし、SYBRグリーンI色素の特性に関し、注意すべきことがある(2.
7.2.、3.1.、3.2.参照)。50μlの緩衝液I/色素溶液を反応チューブ
に添加する。この緩衝液は、残存NaOHを中和すると共に、次の工程でのハイ
ブリッド形成の緩衝に寄与する。供試DNA分子での二次構造の形成を最小限に
するために、次工程に進むまでの時間遅延は最小にすべきである。
【0031】2.5. 対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブのハイブリッド形成 SYBRグリーンI色素は、オリゴヌクレオチドプローブと供試DNAとの相
互作用を安定させるので、最終工程のハイブリッド形成溶液に含有させる。30
pmols(1μl容積中)のオリゴヌクレオチドプローブが、反応チューブに
添加される。、プローブは、中和緩衝液としても加えることができる。当該量の
プローブによりハイブリッド形成が数秒以内に完了し、従って、この工程では実
際上インキュベーション時間を必要としない。加熱工程および冷却工程を実施(
50℃より高温に加熱し、15分以上をかけて室温まで徐々に冷却する)し、非
結合のプローブをウェルから洗い流し、50μlの緩衝液I/色素の溶液を再充
填することにより、最適結果が得られる。プローブの量を少なくすると、インキ
ュベーション期間を長くする必要があるが、高濃度にしてもアニーリングに要す
る時間は短くはならない。プローブの詳細については、2.5.1.を参照された
い。
【0032】2.5.1. プローブの設計と利用 3つの異なる変異座について、13〜25塩基対長さのプローブを試験した。
これらの全ての長さで対立遺伝子の識別が可能であるが、最適なプローブ長さは
、15塩基対である。13merのプローブは室温付近の温度で変性したが、本
技術では理想的でないと判断した。25merのプローブは高輝度の蛍光(蛍光
性は二本鎖DNA長さの関数)を発したが、対立遺伝子の識別は最小であった。
15merのプローブは十分な蛍光輝度を有し、対立遺伝子の間で高い識別性を
示した。
【0033】 ハイブリッド形成したプローブにおける変異の位置も調査された。15mer
のプローブでは、変異位置がプローブの中心から3番目(in the central third
)に位置した時に最良の識別が得られることが分かった。単一の塩基変異におい
ては、変異位置は中央にあるのが最良である。変異位置が中心から2塩基分移動
すると、検定の識別性が低下する。
【0034】 固体サポート上でプローブをDNA標的に素早くハイブリッド形成させるため
には、30pmolsが有効であるが判明した。この場合、蛍光の検出前にプロ
ーブを削除することが必要である。ハイブリッド形成にごく少量のプローブ(1
〜5pmol)を使用し、余剰プローブを除去せずにその後の工程を実施する別
法も試験した。対立遺伝子の識別は可能であったが、蛍光値が低く、結果も大き
くばらついた。プレートへの結合能力がより高い場合、検定に要する工程数を減
らす上でこの方向は有効かもしれない。
【0035】2.6. 余剰プローブの削除 ハイブリッド形成していないプローブ分子を除去するために、バイブリッド形
成溶液は吸引され、50μlの緩衝液I/色素が加えられる。そして、実験は加
熱および蛍光検出段階へと進む。
【0036】2.7. 蛍光検出および加熱方式 マイクロタイタプレートを加熱/検出装置内に設置する。融解温度プロフィー
ルを作成するのに必要とされるような、温度変調と蛍光検出を同時に行える装置
は、幾つか存在する。これらの装置には、対立遺伝子の自動評価を行うために特
に作成されたハイベイド(Hybaid)からの“DASHマシン”と、本明細書に掲
載したデータの作成に使用されたパーキンエルマー7700(タックマン:Taqm
an)装置が含まれる。蛍光を継続的に監視しながら、サンプルプレートを〜25
℃から〜90℃に加熱する。大部分のサンプルは65℃±10℃で変性する。加
熱速度(昇温速度)が少なくとも0.01〜1.0℃/1秒の範囲で変化しても
、対立遺伝子の識別を殆ど損なわない。通常、0.1℃/1秒で検定を行った。
タックマン装置のハードウエアに関する詳細は、2.7.1.を参照されたい。
【0037】2.7.1. パーキンエルマー7700(タックマン)配列検出器 検出装置は、二本鎖DNA特異的蛍光色素が発する発光分光を検出し、かつ、
蛍光のデータポイントが導き出された温度トラックを保持しなければならない。
励起光源周波数は、DASH検定で使用された色素の要求と一致しなければなら
ない。例えば、488nm周波数近くで励起するSYBRグリーンI等の色素で
は、アルゴンレーザまたはハロゲンランプ(488nm周波数が濾波される)は
、色素分子を励起させるのに十分である。タックマン装置には、蛍光分子を励起
させるアルゴンレーザが装備される。フィルターを設けて、アルゴンレーザスペ
クトル中の波長488nm以外の他のずべての波長を除去する。
【0038】 タックマン装置のCCDカメラは、500〜600nmの周波数範囲を検出す
る。蛍光信号は5nmの“ビン”に記録される。そして“ビン1”が500〜5
05nmの蛍光データを収容する。目下の構成では、DASH検定に利用した光
の周波数範囲はビン9(545〜550nm)であるが、このビンだけが有効と
いうわけではない。
【0039】2.7.2. 蛍光色素 採用する色素は、二本鎖DNAの存在下での蛍光が、これを含まない溶液中で
の蛍光に比較して、少なくとも10倍以上であるという特異性を備えることが求
められる。ここでは、特異的な信号の増大が〜1000倍である“SYBRグリ
ーンI”色素が使用されている。
【0040】 SYBRグリーンI色素の最適濃度は、サンプル中に存在するDNAの量に直
接依存する。これを“SYBRグリーン効果”と名付ける。使用される色素の量
が、所与のDNA量に対する最適濃度より低い場合又は高い場合は、検定で観察
される全体としての蛍光が減少する。この検定における色素の最適希釈率は1:
10,000である。
【0041】 別の色素についても試験した結果、ビスタグリーン(アマーシャム:Amersham
)は、SYBRグリーンIとほぼ同一の特性を備え、DASH検定に代替色素と
して利用可能である。アクリジニウムオレンジや臭化エチジウムなどのその他の
色素は、多くの蛍光バックグラウンドを与えるので、DASH検定には適当でな
い。Yo−ProIやTo−ProIなどのその他の色素は、タックマン装置で
の光源とフィルターとの組合せに適当なものがないため、検定していない。
【0042】2.7.3. 検定溶液添加物 様々な添加物の検定への影響を見極めるため、いろいろな添加剤を検査した。
ホルムアミドのような一般的な不安定剤をスクリーニングしたところ、検定には
無益であると認められた。さらに、テトラメチル塩化アンモニウム(TMAC)
、ウシ血清アルブミン(BSA)およびデキストラン硫酸塩のようなハイブリッ
ド形成試薬を検査したところ、これらも検定に不規則性を生じさせることが判明
した。極微量のイオン性界面活性剤でさえ、蛍光信号を完全に破壊する。非イオ
ン性界面活性剤は、反応チューブに気泡を生成させる傾向があることを除いて、
否定的な影響を示さなかった。非イオン性界面活性剤を用いる場合には、DAS
H検定におけるさまざまな工程で、反応チューブに気泡が残らないように細心の
注意を払う必要があった。ジメチルスルホキシドが、唯一の有益な添加剤である
ことが見出され、観察されたTm値を低下させるために、このものは50%また
はそれ以下の割合で添加することができる。
【0043】2.8. 蛍光出力の分析 温度グラフに対する出力蛍光の解釈は、以下のように行うのが便宜的である。
一次データのグラフは、検定がどの程度うまく実行されたか、すなわち、蛍光の
レベルがどの程度であり、どのサンプルが失敗したかに関する一般的情報を得る
のに利用する。対立遺伝子の評価には、一連のサンプル(同一の対立遺伝子特異
的プローブでハイブリッド形成された異なるDNA)の結果を、蛍光値の第1微
分係数の負数に沿ってプロットする。好適には、既知の遺伝子型DNAを一連の
サンプルに含ませる。2個の対立遺伝子について、2つの異なるピークがグラフ
に観察される。これらのピークは、一次データにおける蛍光減少(変性したプロ
ーブおよび標的の二本鎖)の最大比率に対応する。従って、この2つのピークは
、プローブおよび標的の“適合”二本鎖と“不適合”二本鎖のTmに相当する。
【0044】 Tmピークは、少なくとも8℃相違する。Tmピークが高温であることは、所
与のDNAサンプル中に、実験で使用した対立遺伝子特異的プローブに対応する
塩基配列が存在することを示す。対立遺伝子特異的プローブが、供試DNAの分
子と完全に適合するので、これを“適合”と称する。一方、Tmピークが低温で
あることは、“不適合”であること、すなわち、供試DNA中にハイブリッド形
成した配列が存在し、その配列が実験に使用した対立遺伝子特異的プローブに類
似するが、不完全な適合であることを意味する。2つの対立遺伝子系における典
型的なケースでは、この“不適合”は、プローブ配列によって表示されない対立
遺伝子である。しばしば単一のサンプルが両方のピークをもたらすが、これは供
試した2つの対立遺伝子がホモ接合であることを示す。
【0045】 結合DNAサンプルは、第2(または複数の後続する)対立遺伝子配列を含む
プローブを用いて、手順の工程4〜7で再処理することができ、得られたデータ
は上述したように分析される。2セットのデータを比較することで、どちらの対
立遺伝子がDNAサンプルに存在するのかを高い精度で決定できる。DNAサン
プルが対立遺伝子1に特異的なプローブと“適合”し、対立遺伝子2に特異的な
プローブと“不適合”と評価された場合、このDNAサンプルは“ホモ接合対立
遺伝子1”と評価される。一方、DNAサンプルが対立遺伝子1のプローブと“
不適合”で、対立遺伝子2のプローブと“適合”すると評価された場合、このD
NAサンプルは“ホモ接合対立遺伝子2”と評価される。さらに、DNAサンプ
ルが両方の対立遺伝子と“適合”した場合は、当該サンプルは“対立遺伝子1と
2にヘテロ接合”と評価される。一次データ、第1微分係数および第2微分係数
のグラフの例は、7.1を参照されたい。
【0046】3. 新規な発見 3.1. 融解温度(Tm) この検定では、オリゴヌクレオチドのプローブがDNA標的から解離する温度
を、色素、緩衝液および塩化ナトリウム濃度の相互作用によって決定する。SY
BRグリーンI色素は、プローブ/DNA二本鎖構造を安定化させ、色素濃度を
上げることでTmを上昇させる。塩化ナトリウムと緩衝液の濃度を上げると、T
mが低下するのは、恐らく二本鎖DNA構造に結合する(かつ、安定させる)色
素の潜在能力が低下するためと推測される。
【0047】3.2. 色素効果 SYBRグリーンIを二本鎖DNA構造に挿入することによって、適合二本鎖
と不適合二本鎖とのTmの区別性が向上する。完璧に適合したDNA標的と完全
にハイブリッド形成した15merオリゴヌクレオチドプローブと、中心位置で
不適合である標的とハイブリッド形成したプローブとのTmの相違は約8℃であ
る。標準DNA溶液についての計算される融解温度から予想されるこの相違は、
約2〜3℃であった(これは、プローブのDNAヌクレオチド配列によって変わ
る)。従って、ここではDASHフォーマットは、対立遺伝子の識別についてポ
テンシャルを最適化する。
【0048】 SYBRグリーンIは、また、二本鎖DNAの濃度と色素の濃度によって蛍光
が変化する効果を生む。従って、一定のDNA濃度において、SYBRグリーン
色素レベルの滴定は、蛍光信号が最大値に到達するまで行う。これを“SYBR
グリーン効果”と名付けた。本検定で採用した色素の濃度(1:10,000で
希釈)は、典型的なマイクロタイタプレートウェルに結合できる量のDNAに最
適のものである。
【0049】3.3. ヘペス緩衝液 ハイブリダイゼーション緩衝液の基本となるヘペスは、今回の検定で幾つかの
独特な特性を有している。この緩衝液と色素の組合せにおいて、プローブ/標的
DNA複合体のTmは、ほとんどプローブ長さだけと相関関係にある。DNA配
列状況(the DNA sequence context)、あるいは、G+C量の変化は、観察され
たTmを変えることはない。これは、DASH検定にとって極めて重要なことで
ある。
【0050】3.4. ジメチル・スルホキシド(DMSO) 検定の完全性を危うくすることなくオリゴヌクレオチドプローブ/標的DNA
複合体のTmを低下させるために、DMSOはハイブリダイゼーション緩衝液に
加えることができる。唯一及ぼす影響は、両方の対立遺伝子のTmの違いに影響
を与えずに両両者のTmを下げることである。
【0051】3.5. イオン性界面活性剤 ドデシル硫酸ナトリウムなどのイオン性界面活性剤を、濃度0.1%以下で使
用することは、蛍光信号を完全に破壊する。これは、色素との相互作用によるも
のと推測される。
【0052】4. DASHアッセイ(検定)の構成要素 4.1. 色素 モレキュラープローブ社(Molecular Probes)から入手したSYBRグリーン
I色素。4.2. プレート さまざまな供給元から入手したマイクロタイタプレート。パーキンエルマー社
(Perkin Elmer)から入手したマイクロアンプオプティカルプレート、キャップ
、チューブは、蛍光定量測定用に特に考案されている。4.3. オリゴヌクレオチド PCRプライマーと対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブは、インタ
ーアクティバ・バイオテクノロジー社(Interactiva Biotechnologie)から入手
し、全ては最良の質を確保するためHPLC精製した。4.4. 蛍光監視装置 ハイベイドDASHシステム(ハイベイドリミテッド社:Hybaid Limited、英
国)、ABI7700(パーキンエルマー社、本発明のアッセイで使用のもの)
またはその他の検出温度制御装置。4.5. 緩衝液 緩衝液の全ての成分はシグマ社(Sigma)から入手。4.6. ソフトウエア サンプルデータの生データと、一次導関数および二次導関数を分析するために
開発されたソフトウエアは、キン・チュン・ウォン(アップサラ在住)によって
書かれた。
【0053】5. その他のアッセイフォーマット 別のフォーマットでPCR生成物のハイブリッド形成前にオリゴヌクレオチド
プローブをプレートに結合させることが可能であるが、試した結果、この設計で
はいくつかの技術的な問題が生じた。第1は二本鎖PCR生成物を結合プローブ
にハイブリッド形成させる際の問題である。PCR生成物のシンプルな加熱変性
と、それに続くプローブコート検定ウェル中での冷却が不十分となる。これはお
そらく置換反応、すなわち、PCR生成物が二本鎖を修正し、標的配列にハイブ
リッド形成したプローブを置換することによるものと推測される。
【0054】 置換反応によって引起される煩雑さを排除するために、我々はハイブリッド形
成のためにPCR生成物から一本鎖DNAを生成することを試みた。このために
、PCRにおいて不等量の2つのプライマーを用い、理論的にPCR生成物(非
対称PCR)の一本鎖を過剰に生成させた。これは検定をを僅かだが向上させた
。重要なのは、最適PCR条件が、DASHアッセイの確実性に対する妥協の程
度によって変化することである。
【0055】 遊離液中におけるPCR生成物の長さが長いことも問題である。これは反応速
度を遅くし、かつ、潜在的二次構造がハイブリダイゼーション反応を妨げる。さ
らに、ひとたび長い分子が短い固定プローブにハイブリッド形成されると、熱エ
ネルギーが加えられるにつれ、DNA/プローブ複合体の時期尚早な解離が生じ
る。このフォーマットでは、全ての蛍光信号が極めて低温で失われてしまうため
、対立遺伝子間の識別が不可能であることが見出された。これはおそらく、ハイ
ブリッド形成されたPCR断片に、液中に突き出るような非ハイブリッド形成し
ていない長い尾部が存在することに起因する。温度が上昇するにつれ、長い分子
はハイブリッド形成された複合体のTm特性によって変性されるよりも、むしろ
溶液運動によって引抜かれる。
【0056】 プローブ結合フォーマットの最適化は、PCR条件、緩衝液構成要素、アニー
リング戦略およびその他のパラメータを含むさらなる実験を必要とする。ハイブ
リッド形成のための一本鎖DNA分子の生成に係わる問題および運動速度の考慮
は、DNA分子結合フォーマットを利用することで回避できる。非ビオチニル化
(non-biotinylated)鎖は一本鎖DNA生成物のために容易に溶出され、未熟置
換を含む運動制限は観察されない。
【0057】6. DASH分析の実施例:ヒトNDUFB4遺伝子における重対立遺伝子の
単一ヌクレオチド多形性の対立遺伝子バージョンの検出 常染色体上に位置するヒトNDUFB4遺伝子における単一ヌクレオチド多形
性についてDASH実験を行った。これは“DNA配列1”として図1に記載さ
れ、“A”ヌクレオチドと、“G”ヌクレオチドとの重対立性から成る。3つの
ヒトゲノムDNAサンプルであるX、Y,Zが採用され、これらは先の配列分析
から、“A”対立遺伝子がホモ接合、“G”対立遺伝子がホモ接合、それらの対
立遺伝子はヘテロ接合であると各々知られている。
【0058】6.1. ポリメラーゼ連鎖反応(PCR) DNAサンプルX、Y、Zの50ngアリコートについて、“DNA配列2”
および“DNA配列3”として図1に記載されたPCRプライマーを用いてPC
Rが実施された。反応条件を下記に記す:総量25ml中、20ngの“DNA
配列2”プライマーと、100ngの“DNA配列3”プライマーと、0.75
uのアンプリタックゴールド(AmpliTaq-Gold)ポリメラーゼ(パーキンエルマ
ー社)と、10%のジメチルスルホキシドと、1xパーキンエルマーPCR緩衝
液(1.5mMのMgCl含有)と、各0.2mMのdGTPと、dATPと
、dTTPとdCTPとを含む。熱サイクルはタッチダウン(TouchDownTM)温
度サイクル装置(ハイベイド社製)を採用し、以下のサイクル条件とした: 1
×(94℃で10分間、50℃で30秒、72℃で30秒)、17×(94℃で
15秒間、50℃で30秒、72℃で30秒)、18×(94℃で15秒間、5
0℃で30秒、72℃で1分)。これは、48塩基対長さのPCR生成物を産出
し、このものは多形遺伝子座に及び、一本のDNA鎖の5’末端にビオチン部分
を持つた。
【0059】6.2. PCR生成物のマイクロタイタプレートへの結合 PCR反応生成物は、等量の緩衝液I(100mMのヘペス、50mMのNa
Cl、10mMのEDTA、pH7.8)と混合し、ストレプタビジンを塗布し
た薄壁マイクロタイタプレート(ボーリンジャー・マンヘイム:Boehringer Man
nheim)の個別ウェルに移された。これを室温で1時間放置した。
【0060】6.3. 非結合鎖の溶出 全量の溶液(非結合DNAおよびその他の試薬を含む)をマイクロタイタプレ
ートから完全に吸引除去した。その後直ちに、ウェルを50mlの0.1M N
aOHで満たし、5分間室温で放置した。非ビオチニル化DNA鎖(この時、結
合鎖から変性)を含むNaOH溶液が完全に除去された。
【0061】6.4. 反応サンプルの中和 ウェルにSYBRグリーン色素を含む50mlの緩衝液を遅滞なく満たした(
1:10,000で希釈)。
【0062】6.5. 第1の対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブのハイブリッド形
30pmolの“Tプローブ”(図1に記載の“DNA配列4”)を、水1m
lで各ウェルに添加した。光学キャップ(パーキンエルマー社製)を用いて各ウ
ェルを密閉し、プレートとその中身を60℃で加熱し、15分以上かけて室温ま
で徐々に冷却した。これはタッチダウン(TouchDownTM)温度サイクル装置(ハ
イベイド社製)を用いて実施した。
【0063】6.6. 非結合プローブの削除 光学キャップを外し、全量の溶液をマイクロタイタプレートから完全に吸引し
た。次にウェルをSYBRグリーンI色素(1:10,000で希釈)を含む5
0μlの緩衝液Iで満たし、光学キャップを取り替えた。
【0064】6.7. 信号検出手順 マイクロタイタプレートをパーキンエルマー7700(タックマン)装置に設
置し、毎秒0.1℃の定速度で35℃から80℃までにわたる温度範囲を含む加
熱期を適用した。この加熱期中、タックマン装置は反復してサンプルをアルゴン
レーザ光源(488nmで濾波)で励起し、周波数域545〜550nmで放出
される蛍光を収集した。いずれのウェルも7秒間隔でデータポイントを集めた。
【0065】6.8. 第2の対立遺伝子特異的プローブでの再プローブ 工程5で用いた“Tプローブ”を“Cプローブ”と交換して上記工程3〜8を
繰り返した(“DNA配列5”として図1に示す)。
【0066】6.9. データ分析および結果の解釈 全てのウェルおよび両方のプローブについて、一次データを蛍光データ対時間
のグラフにプロットした。このデータは、8個のデータポイントのスライドウイ
ンドウから決定した平均蛍光値をプロットすると滑らかであった。こうして得ら
れた“一次”データを図1aおよび1bに示した。次に、このグラフの負の微分
(導関数)曲線をプロットし、これを図2aおよび2bに示した。そして、負の
第1微分曲線の微分曲線をプロットし、図3aおよび3bに示し第2導関数を得
た。
【0067】 図2aおよび2bにおいて、高温ピーク(H)と低温ピーク(L)は、最大変
性率のポイントを示していると考えられる。これらは、適合したプローブ標的D
NA二本鎖と、一塩基不適合のプローブ標的DNA二本鎖それぞれのDASH信
号を示している。第2導関数曲線(図3aおよび3b)では、これらの点は曲線
がX軸と交わる点から推理できる。これらは一次データ(図1aおよび1b)に
も見られるが、DASHの結果表示から差異を弁別するのは困難である。
【0068】 サンプルXとYに関しては、一方の負の第1微分グラフに一つの適合(高温)
ピークが、他方の負の第1微分グラフに一つの不適合(低温)ピークが認められ
る。これはXとYがホモ接合サンプルであることを示している。XとYが高温(
適合)ピークを付与する間のプロービングは、これらがどの対立遺伝子を含んで
いるかを示すものである。従って、Xは“Tプローブ”で高温ピークを形成する
ので、これは“A”対立遺伝子ホモ接合体である。一方、Yは“Cプローブ”で
高温ピークを形成するので、“G”対立遺伝子ホモ接合体である。
【0069】 サンプルZは、サンプルXやYとは異なる挙動を示す。サンプルZは、“Cプ
ローブ”で高温ピークと低温ピークの両方を形成し、“Tプローブ”でも高温ピ
ークと低温ピーク(両ピークは隣接により単一の広いピークに統合される)を形
成する。そのため、このDNAサンプルは、その中に存在する両プローブの対立
遺伝子相補的配列を有している。従って、Zは、“A”対立遺伝子と“G”対立
遺伝子の両方を含むヘテロ接合サンプルと推理することができる。
【0070】ヒトNDUFB4遺伝子の多形性の対立遺伝子を評価するDASHアッセイに使
用されるDNA配列を以下に示す。 DNA配列1(配列リストSE1) これは、ヒトNDUFB4遺伝子の一部を示す48塩基対のゲノムDNA配列
である。重対立遺伝子の単一ヌクレオチド多形性(GからA)が、配列中央に向
う括弧内に示されている。
【0071】 DNA配列2(配列リストSE2) この配列は、DNA配列1に示される対立遺伝子の多形性を検出するために、
DASH検定で“PCRプライマー1”として使用するために設計された19塩
基対のオリゴヌクレオチド配列である。これは、5’末端に結合したビオチン部
位を備える。
【0072】 DNA配列3(配列リストSE3) この配列は、DNA配列1に示される対立遺伝子の多形性を検出するために、
DASH検定で“PCRプライマー2”として使用するために設計された21塩
基対のオリゴヌクレオチド配列である。
【0073】 DNA配列4(配列リストSE4) この配列は、DNA配列1に示される対立遺伝子の多形性を検出するために、
DASH検定で“Cプローブ”として使用するために設計された15塩基対のオ
リゴヌクレオチド配列である。
【0074】 DNA配列5(配列リストSE5) この配列は、DNA配列1に示される対立遺伝子の多形性を検出するために、
DASH検定で“Tプローブ”として使用するために設計された15塩基対のオ
リゴヌクレオチド配列である。
【0075】 図1aおよび1bは、NDUFB4遺伝子の多形性に関するDASHアッセイ
の一次データをそれぞれ示すものであって、“H”および“L”は、それぞれ、
適合および不適合プローブ−標的の二本鎖の最大変性率ポイントを示す。X、Y
、ZはサンプルDNAである。図1aは“Cプローブ”の結果を、図1bは“T
プローブ”の結果をそれぞれ示す。
【0076】 図2aおよび2bは、NDUFB4ゲノム遺伝子の多形性に関する負の一次導
関数のDASHアッセイデータをそれぞれ示すものであって、“H”および“L
”は、それぞれ、適合および不適合プローブ−標的の二本鎖の最大変性率ポイン
トを示す。X、Y、ZはサンプルDNAである。図2aは“Cプローブ”の結果
を、図2bは“Tプローブ”の結果をそれぞれ示す。
【0077】 図3aおよび3bは、NDUFB4遺伝子の多形性に関する二次導関数のDA
SHアッセイデータをそれぞれ示すものであって、“H”および“L”は、それ
ぞれ、適合および不適合プローブ−標的の二本鎖の最大変性率ポイントを示す。
X、Y、ZはサンプルDNAである。図3aは“Cプローブ”の結果を、図3b
は“Tプローブ”の結果をそれぞれ示す。
【0078】7.1. グラフの例 7.1.1. 一次データ 図4は、一つの対立遺伝子特異的プローブにて、3つの異なるDNAサンプル
を検定したデータを示したものである。サンプル“28、29、30”は、それ
ぞれホモ接合適合サンプル、ホモ接合不適合サンプルおよびヘテロ接合サンプル
の典型的な結果を示している。ヘテロ接合のサンプル30は、適合曲線および不
適合曲線両方の特性を示していることに留意されたい。は不適合プローブ/標
二本鎖のTmであり、は適合プローブ/標的二本鎖のTmである。
【0079】7.1.2. 負の一次導関数 3つのDNAサンプルの負の一次導関数を図5に示す。これらのDNAサンプ
ルは、一つの対立遺伝子特的プローブで検査された。サンプル28、29、30
は、各々、プローブ対立遺伝子について、ホモ接合適合、ホモ接合不適合および
ヘテロ接合である。は不適合プローブ/標的二本鎖のTmであり、は適合プ
ローブ/標的二本鎖のTmである。
【0080】7.1.3. 二次導関数 3つのDNAサンプルについての二次導関数を図6に示す。サンプル28、2
9、30は、ホモ接合適合、ホモ接合不適合、およびヘテロ接合をそれぞれ示し
ている。は不適合プローブ/標的二本鎖のTmを、は適合プローブ/標的
本鎖のTmを示す。
【0081】7.1.4. 3つの異なる変異におけるヘペスによるTmの標準化 図7は、3つの異なる変異について、サンプル25〜27、28〜30、31
〜33から得た一揃いの負の一次導関数データを示す。各セットのデータは、評
価される個々の変異に相当する15merの対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチ
ドプローブに特異的な遺伝子座で検査された。これらのプローブが含有するGと
Cの割合は、40〜70%で変化した。融解温度理論によれば、プローブ/標的
複合体のTmはこれらの異なる配列によって変化すべきであるが、ヘペス緩衝液
を用いたDASH検定条件は、固定Tm値にデータを標準化させる。は不適合
プローブ/標的二本鎖のTmを、は適合プローブ/標的二本鎖のTmである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は“Cプローブ”の結果を示すDASHアッセイの一次データグラフで
あり、(b)は“Tプローブ”の結果を示すDASHアッセイの一次データグラ
フである。
【図2】 (a)は“Cプローブ”の結果を示すNDUFB4遺伝子の多形性に関する負
の一次導関数のDASHアッセイのデータグラフでり、(b)は“Tプローブ”
の結果を示すNDUFB4遺伝子の多形性に関する負の一次導関数のDASHア
ッセイのデータグラフである。
【図3】 (a)は“Cプローブ”の結果を示すNDUFB4遺伝子の多形性に関する負
の一次導関数のDASHアッセイのデータグラフであり、(b)は“Tプローブ
”の結果を示すNDUFB4遺伝子の多形性に関する二次導関数のDASHアッ
セイのデータグラフである。
【図4】 一つの対立遺伝子特異的プローブで評価した3個の異なるDNAサンプルのデ
ータを示すグラフである。
【図5】 3個のDNAサンプルの負の一次導関数のグラフである。
【図6】 3個のDNAサンプルの二次導関数のグラフである。
【図7】 複数のDNAサンプルに関する標準化データの一次導関数を示すグラフである
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C U,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD ,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN, IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,L K,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK ,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO, RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,T M,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU ,ZA,ZW Fターム(参考) 4B024 AA11 AA20 CA01 CA09 FA10 HA14 HA20 4B063 QA12 QA17 QQ42 QR32 QR41 QR48 QR56 QR62 QR66 QR82 QS25 QS34 QS36 QX02

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)変異の遺伝子座を含むDNA塩基配列の一本鎖と; (b)上記一本鎖(a)の一本鎖とハイブリッド形成して二本鎖を形成可能で、
    変異の1つの対立遺伝子に対して特異的なオリゴヌクレオチド又はDNA類似体
    のプローブと; (c)前記二本鎖で複合体を形成する一本鎖(a)およびプローブ(b)の二本
    鎖構造に特異的であって、二本鎖と共に複合体を形成し、かつ、二本鎖内で相互
    作用を行った際に独特に反応するマーカー とで構成される複合体の形成または解離を監視することでDNAの変異を検出す
    る方法であって、 一本鎖(a)とプローブ(b)から形成される二本鎖にマーカーが相互作用し
    たことを示す出力信号を連続的に測定し、複合体の形成または解離に原因し、従
    って、一本鎖(a)にプローブ(b)がハイブリッド形成していた強さと相関す
    るところの、反応の出力信号に変化が生じた条件を記録することを包含するDN
    A変異の検出方法。
  2. 【請求項2】 (a)変異の遺伝子座を含むDNA塩基配列の一本鎖と、 (b)変異の一つの対立遺伝子に対して特異的で、かつ、上記の一本鎖(a)と
    ハイブリッド形成して二本鎖を形成するオリゴヌクレオチド又はDNA類似体の
    プローブと、(c)上記(a)および(b)の二本鎖構造に対して特異的で、か
    つ、二本鎖内で相互反応した際に独特に反応するマーカーとを (i)成分(a)と成分(b)がハイブリッド形成し、かつ、成分(c)と複合
    体が形成される条件、または、 (ii)成分(a)と成分(b)とがハイブリッド形成さず、成分(c)との複
    合体も形成されない条件で 合体させた後、 (i)形成された二本鎖が変性して複合体の解離が起こるように、または、 (ii)二本鎖の形成が、従って複合体の形成が起こるように 環境条件を定常的にかつ漸進的に調節し、 (a)と(b)のハイブリダイゼーションの程度および成分(c)との複合体の
    形成の程度を示す出力信号を測定し、 さらに、(i)複合体の解離または(ii)複合体の形成を示すところの、出力
    信号に変化が起こった条件を記録することからなるDNA変異の検出方法。
  3. 【請求項3】 (a)変異の遺伝子座を含むDNA塩基配列の一本鎖と、 (b)上記一本鎖(a)とハイブリッド形成して二本鎖を形成する変異の1つの
    対立遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチド又はDNA類似体のプローブと、 (c)上記(a)と(b)の二本鎖造に特異的で、かつ、二重構造内で相互作用
    した際に独特に反応するマーカー から成る複合体を形成し、 複合体を含む変性環境を定常的に高めながら、マーカおよび二本鎖との反応程度
    の出力信号を連続的に測定し、複合体の解離が原因し、従って、プローブ(b)
    が一本鎖(a)にハイブリッド形成された強さと相関するところの、反応出力信
    号に変化が起きた条件(以下、変性ポイントと称す)を記録することを包含する
    DNA変異の検出方法。
  4. 【請求項4】 (a)変異の遺伝子座を含むDNA塩基配列の一本鎖と、 (b)変異の一つの対立遺伝子に特異的で、かつ、上記の一本鎖(a)とハイブ
    リッド形成して二本鎖を形成するオリゴヌクレオチド又はDNA類似体のプロー
    ブと、 (c)前記(a)および(b)の二本鎖に特異的で、かつ、二本鎖内で相互作用
    する際に独特に反応するマーカーとを、複合体が形成される以前に、かつ(a)
    と(b)がハイブリッド形成しない条件下でされない条件下で合体させ、 二本鎖が形成され、複合体が形成されるように環境条件を定常的に調節し、 (a)と(b)のハイブリッド形成が生起したことを示す出力信号(これをアニ
    ーリングポイントと呼ぶ)を測定することからなるDNA変異の検出方法。
  5. 【請求項5】 各々が変異の異なる対立遺伝子に特異的なプローブを有する
    2つあるいはそれ以上の一連の複合体を形成し、変異の対立遺伝子が識別される
    ように、、場合によっては、ホモ接合状態かヘテロ接合状態かが識別できるよう
    に、個々の変性条件あるいはアニーリング条件(例えば、変性温度またはアニー
    リング温度)を観察することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の方法。
  6. 【請求項6】 マーカーが二本鎖DNAに挿入された場合に蛍光するマーカ
    ーである請求項1〜5の何れかに記載の方法。
  7. 【請求項7】 変性ポイントまたはアニーリングポイントが、蛍光測定曲線
    の一次導関数を参照して決定される請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 変性ポイントまたはアニーリングポイントが、蛍光測定曲線
    の二次導関数を参照して決定される請求項6記載の方法。
  9. 【請求項9】 一本鎖が支持材に付着されている先行前記請求項の何れかに
    記載の方法。
  10. 【請求項10】 上記の付着が、ビオチン/ストレプタビジン型の相互作用
    によってなされている請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 複合体が、適当な緩衝液内においてプローブとマーカを一
    本鎖に添加することによって形成される先行請求項の何れかに記載の方法。
  12. 【請求項12】 緩衝液がヘペス緩衝液である請求項10記載の方法。
  13. 【請求項13】 蛍光挿入色素を用い、このときの色素がSYBRグリーン
    Iである先行請求項の何れかに記載の方法。
  14. 【請求項14】 一本鎖が、標的配列をPCR増幅した二本鎖DNA生成物
    から派生させる先行請求項の何れかに記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記PCR生成物は少なくとも100塩基対の長さである
    請求項14記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記PCR生成物は40〜100塩基対の長さである請求
    項14記載の方法。
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