JP4228041B2 - 塩基多型の検出方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、核酸配列の変異または多型の検出方法及びそれに用いられるプライマーに関する。本発明は、遺伝病の診断、塩基多型解析等に際して特に有用である。
【0002】
【従来の技術】
本発明において、変異及び塩基多型とは野生型とは異なる塩基配列を有することをいう。一般に頻度が1%未満のものを変異、1%以上のものを多型と呼び分けることがあるが、ここでは厳密な使い分けを意図するものではない。遺伝子の塩基多型は薬物代謝において副作用および治療失敗の発生において個体間変動の原因として重要な役割を果たし、体質として知られる基礎代謝等の個人差の原因としても知られている。その上、これらは多数の疾患の遺伝マーカーとしての働きもする。それゆえ、これら突然変異の解明は臨床的に重要であり、ルーチンの表現型分類が臨床研究における精神医学患者および自発志願者にとって特に推奨される(GramおよびBrsen, European ConsensusConference on Pharmacogenetics. Commission of the European Communities,Luxembourg, 1990, 第87頁; Balantら、 Eur. J. Clin. Pharmacol. 第36巻、第551頁、(1989))。
【0003】
また、原因となる変異型遺伝子の同定に続くそれぞれの遺伝子型の検出用の核酸配列分析法が所望される。また、遺伝子の点突然変異により引き起こされる遺伝病が種々知られており、それらの中には、遺伝子のどの部位がどのように点突然変異することにより遺伝病が引き起こされるかわかっているものも少なくない。
【0004】
しかしながら、点突然変異や一塩基多型の検出は30億塩基対中のわずか一塩基の違いを検出する必要があることから、非常に高い特異性が要求される。また、Alu反復配列に代表されるゲノム上の繰り返し配列や特殊な構造の近傍に存在する場合や、薬剤代謝に重要な役割を有するチトクロームC遺伝子など、偽遺伝子(pseudo gene)の存在が確認されている場合もある。
【0005】
従来の核酸配列分析技術としては、例えば核酸配列決定法(シークエンシング法)、TaqManプローブ法(Genome Res. 第6巻、第986頁(1996))、RFLP(制限酵素切断長多型)法(J. Clin. Invest. 第72巻、第1262頁(1983))、ASP(アレル特異的プライマー)法(WO 01/42498)、ASO(アレル特異的オリゴプローブ)法(Nature 第324巻、第163頁(1986))、一塩基伸長法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 第94巻、第10756頁(1997))、Pyrosequencing法(Analytical Biochemistry 第244巻, 第367頁(1997))、Invader法(Nature Biotech. 第17巻、第292頁(1999))などが知られている。
【0006】
核酸配列決定法、TaqManプローブ法、RFLP法、ASO法、一塩基伸長法、Pyrosequencing法などのあらかじめ変異や多型を含む領域を核酸増幅反応で増幅しておいてから検出する手法においては、特異的な増幅産物の確保は、バックグラウンドを低減させ鮮明なシグナルを得る上で非常に重要である。原理的には増幅反応なしでも変異や多型の検出が可能とされているInvader法においても、実用的には感度が不足とされることも多く、あらかじめ増幅することが必要な際には他法と同様に特異性が重要である。またアレル毎の核酸増幅プライマーの特異性により変異や多型の検出を行うASP法においては増幅反応における特異性の確保が特に重要である。
【0007】
一般に特異性とは陰性を陰性と判定する能力と定義され、核酸増幅反応を利用した変異や多型の解析における特異性の向上とは、非特異的増幅の抑制ととらえることができる。特異性を向上させる手段としては、増幅条件(アニール温度を高める、サイクル数の減少、酵素量の減量、酵素の種類変更、dNTP濃度の減少、Mg濃度の減少、鋳型DNA濃度の減少など)の至適化、プライマーのデザイン変更、抗体やアプタマーを利用したホット・スタート法の利用、特異性が高まるとされる修飾オリゴヌクレオチド(PNAやLNAなど)の利用などが知られている。これらの手段は非特異増幅の抑制に有効な場合もあるものの、効果が十分でなかったり特異的な増幅まで抑制されることが多い。
【0008】
一方、核酸増幅反応のプライマーの5’末端側に必ずしも鋳型核酸とは相補的ではない塩基を付加しても増幅反応に著しい悪影響は与えない場合があることが知られている。例えばプライマーの5’末端に所望の制限酵素認識配列を付加することで増幅産物に制限酵素切断末端を持たせる方法がValletteらにより報告されている(例えば非特許文献1参照)。またmRNAを鋳型とした逆転写反応用のオリゴdTプライマーの5’末にGGCCの4塩基を付加する方法がCooperらにより報告されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0009】
また変異を検出する方法において5’末に配列を付加する方法としては、Sheffieldらが変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法(denaturing gradient gel electrophoresis;DGGE)法において増幅産物の末端部に融解温度(Tm)の高いドメインを持たせるためにGCクランプとよばれるGC含量の非常に高い配列を付加する方法を報告している(例えば、非特許文献3参照)。またGermerらは26塩基対のGC−テイルを付加することで増幅産物のTmを人為的に高くして多型を検出する方法を報告している(例えば、非特許文献4参照)。しかしながらこれらの変異や多型の検出方法における5’末への配列の付加は増幅産物のTm変化を目的としたもので、増幅反応時の核酸増幅プライマーへの配列付加による特異性の向上に言及したものではない。
【0010】
【非特許文献1】
Nucleic Acids Res. 第17巻、第723頁 (1989年)
【非特許文献2】
Biotechniques 第9巻、第60頁(1990)
【非特許文献3】
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 第86巻、第232頁 (1989年)
【非特許文献4】
Genome Research 第9巻、第72頁(1999年)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のような課題を解決して、明確かつ再現性よく核酸配列中の変異や多型を検出するために、増幅反応時の特異性を向上させることができる方法及びそのための試薬を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記事情に鑑み、鋭意研究の結果、変異あるいは多型を解析するための核酸増幅プライマーにおいて、その5’末に染色体又はその断片と完全には相補的でない配列を付加することにより、厳密な反応条件の制御を行わなくとも、非特異的アニールを抑制して特異性を向上させることができることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0013】
5’末に配列の付加されていない従来の核酸増幅プライマーにおいては、プライマーと標的核酸(初期鋳型)とのTm値と、プライマーと増幅産物(中後期鋳型)とのTm値が等しい。したがって、アニール温度を上げることで増幅反応初期の非特異増幅を抑制しようとすると、中後期に渡って特異的な増幅も抑制される。一方低いアニール温度では特異的な増幅反応の抑制を無くすことはできるが、非特異増幅の回避が非常に困難である。
【0014】
これに対して、核酸増幅プライマーの5’末への配列付加することにより、プライマーと鋳型核酸間でアニールする塩基数が増加する。このとき配列付加プライマーと標的核酸(初期鋳型)とのアニール反応においては、付加配列は積極的には関与しないため、Tm値はほとんど変動しない。一方、プライマーと増幅産物(中後期鋳型)とのアニール反応においては付加配列がすべてアニールに関与するためTm値が上昇する。この差を利用し高めのアニール温度を選択することで、特異的な増幅を維持しつつ、非特異的な増幅の排除が可能となる。その結果厳密な反応条件の制御を行わなくとも、容易に増幅反応の特異性を向上させることができる。
【0015】
核酸配列決定法、TaqManプローブ法、RFLP法、ASO法、一塩基伸長法、Pyrosequencing法などのあらかじめ変異や多型を含む領域を核酸増幅反応で増幅しておいてから検出する手法においては、本発明の5’末に染色体又はその断片と完全には相補的でない配列を付加された核酸増幅プライマーを用いることで、後の検出反応に影響を与えることなく特異的な増幅産物を確保することが可能である。アレル毎のプライマーの特異性により変異や多型の検出を行うASP法では本発明の利用は特に有用である。上述の他の検出法であれば特異性が確保できない際に、プライマーのデザイン(増幅配列)変更するという選択肢もあるのに対し、ASP法では変異や多型の位置とプライマーの配列の関係があらかじめ定まっているため、プライマーのデザイン変更における自由度が低い。したがって十分な特異性が確保できなかったプライマーの5’に染色体又はその断片と完全には相補的でない配列を付加することで容易に特異性の向上が図れることにより、より多くの変異や多型をASP法を使用して検出することが可能となる。
【0016】
本発明は以下のような構成からなる。
[1] 核酸試料中に含まれる塩基多型を核酸増幅反応を利用して検出する方法であって、該反応に使用される少なくともひとつのプライマーの5’側に染色体又はその断片と完全には相補的でない配列が付加されていることを特徴とする塩基多型の検出方法。
【0017】
[2] [1]に記載される塩基多型の検出法であって、該付加されている配列の長さが2〜40であることを特徴とする塩基多型の検出方法。
【0018】
[3] [1]に記載される塩基多型の検出法であって、該付加されている配列が、配列表・配列番号7〜16から選択される配列を含むことを特徴とする塩基多型の検出方法。
【0019】
[4] [1] 〜[3]に記載される塩基多型の検出法であって、該付加される配列が相互に相同的ではないことを特徴とする塩基多型の検出方法。
【0020】
[5] 核酸試料中に含まれる塩基多型を核酸増幅反応を利用して検出する方法であって、該方法が、
(a) 試料中に含まれる特定の塩基多型部位を含む染色体又はその断片に、野生型用プライマー及び1種又は2種の変異型用プライマーを同時に又は別々に、DNAポリメラーゼと共に作用させる工程、
(b) 該プライマーが伸長されたか否かによって、その核酸試料中に含まれる塩基多型を検出する工程
を含み、該各プライマーの3’末端より2番目の塩基が塩基多型部位の予想される各ヌクレオチドに対応し、且つ該各プライマーの中の少なくともひとつのプライマーの5’側に染色体又はその断片と完全には相補的でない配列が付加されていることを特徴とする塩基多型の検出方法。
【0021】
[6] 核酸試料中に含まれる塩基多型を核酸増幅反応を利用して検出する方法であって、該方法が、
(a) 試料中に含まれる特定の一塩基多型部位を含む染色体又はその断片に、野生型用プライマー及び1種又は2種の変異型用プライマーを同時に又は別々に、DNAポリメラーゼと共に作用させる工程、
(b) 該プライマーが伸長されたか否かによって、その核酸試料中に含まれる塩基多型を検出する工程
を含み、該各プライマーの3’末端より2番目の塩基が塩基多型部位の予想される各ヌクレオチドに対応し、該各プライマーの3’末端より3番目から5’末端までの少なくとも1つの塩基が、染色体又はその断片中の該プライマーがハイブリダイズする鎖の塩基と相補的でない塩基に置換されており、且つ該各プライマーの中の少なくともひとつのプライマーの5’側に染色体又はその断片と完全には相補的でない配列が付加されていることを特徴とする、[5]に記載の塩基多型の検出方法。
【0022】
[7] 該プライマーの3’末端より3番目の塩基が、染色体又はその断片中の該プライマーがハイブリダイズする鎖の塩基と相補的でない塩基に置換されている[6]に記載の塩基多型の検出方法。
【0023】
[8] 核酸試料中に含まれる塩基多型を核酸増幅反応を利用して検出する方法であって、該方法が、
(a) 試料中に含まれる特定の一塩基多型部位を含む染色体又はその断片に、野生型用プライマー及び1種又は2種の変異型用プライマーを同時に又は別々に、DNAポリメラーゼと共に作用させる工程、
(b) 該プライマーが伸長されたか否かによって、その核酸試料中に含まれる塩基多型を検出する工程
を含み、該各プライマーの3’末端より2番目の塩基が塩基多型部位の予想される各ヌクレオチドに対応し、該各プライマーの3’末端より番目から5’末端までの少なくとも1つの塩基が、染色体又はその断片中の該プライマーがハイブリダイズする鎖の塩基と相補的でない塩基に置換されており、且つ該相補的でない塩基は、各プライマーにおいて異なる塩基であり、且つ該各プライマーの中の少なくともひとつのプライマーの5’側に染色体又はその断片と完全には相補的でない配列が付加されていることを特徴とする、[5]に記載の塩基多型の検出方法。
【0024】
[9] 該プライマーの3’末端より3番目の塩基が、染色体又はその断片中の該プライマーがハイブリダイズする鎖の塩基と相補的でない塩基に置換され、且つ該相補的でない塩基は、各プライマーにおいて異なる塩基とする、[5]に記載の塩基多型の検出方法。
【0025】
[10] 各プライマーの5’側に付加される染色体又はその断片と完全には相補的でない配列が2から40塩基の長さであることを特徴とする、[5]〜[9]のいずれかに記載の塩基多型の検出方法。
【0026】
[11] 各プライマーの5’側に付加される染色体又はその断片と完全には相補的でない配列が、配列表・配列番号7〜16の中から選択される配列を含むことを特徴とする、[5]〜[9]のいずれかに記載の塩基多型の検出方法。
【0027】
[12] 2つ以上のプライマーの5’側に染色体又はその断片と完全には相補的でない配列を付加する際、付加される配列が相互に相同的ではないことを特徴とする、[5]〜[9]のいずれかに記載の塩基多型の検出方法。
【0028】
[13] 核酸を増幅させる方法が、PCR、NASBA、LCR、SDA、RCR、TMA、LAMPおよびICANからなる群から選ばれたいずれかの方法である[1]〜[12]のいずれかに記載の塩基多型の検出方法。
【0029】
[14] 該各プライマーが伸長されたか否かを、野生型用プライマー及び変異型用プライマーからなる群の少なくとも1種から伸長した産物の配列に特異的な検出用プローブを用いてハイブリダイゼーションを行うことによって検出する、[5]〜[13]のいずれかに記載の塩基多型の検出方法。
【0030】
[15] 該各プライマーの少なくとも1つまたは検出用プローブが、予め標識されている[5]〜[14]のいずれかに記載の塩基多型の検出方法。
【0031】
[16] 該各プライマーの少なくとも1つまたは検出用プローブが、酵素、ビオチン、蛍光物質、ハプテン、抗原、抗体、放射性物質および発光団からなる群から選ばれる少なくとも1種によって標識されている[15]に記載の塩基多型の検出方法。
【0032】
[17] (a)工程を単一の容器で行い、該各プライマーが伸長されたか否かを、野生型用プライマー及び変異型用プライマーからなる群の少なくとも1種から伸長した産物配列に特異的な検出用プローブを用いてハイブリダイゼーションを行うことによって検出する、[5]に記載の塩基多型の検出方法。
【0033】
[18] 野生型用プライマー及び1種又は2種の変異型用プライマー、DNAポリメラーゼ及び4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)を含む塩基多型検出用試薬キットであって、該各プライマーの3’末端より2番目の塩基が、塩基多型部位の予想される各ヌクレオチドに対応し、且つ該各プライマーの中の少なくともひとつのプライマーが、その5’側に染色体又はその断片と完全には相補的でない配列が付加されていることを特徴とする、検出用試薬キット。
【0034】
[19] 野生型用プライマー及び1種又は2種の変異型用プライマー、DNAポリメラーゼ及び4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)を含む塩基多型検出用試薬キットであって、該各プライマーの3’末端より2番目の塩基が、塩基多型部位の予想される各ヌクレオチドに対応し、該各プライマーの3’末端より3番目から5’端までの少なくとも1つの塩基が、染色体又はその断片中の塩基と相補的でない塩基に置換され、且つ該各プライマーの中の少なくともひとつのプライマーが、その5’末側に染色体又はその断片と完全には相補的でない配列が付加されている[18]に記載の検出用試薬キット。
【0035】
[20] 該各プライマーの3’末端より3番目の塩基が、染色体又はその断片中の該プライマーがハイブリダイズする鎖の塩基と相補的でない塩基に置換されている、[19]に記載の検出用試薬キット。
【0036】
[21] 野生型用プライマー及び1種又は2種の変異型用プライマー、DNAポリメラーゼ及び4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)を含む塩基多型検出用試薬キットであって、該各プライマーの3’末端より2番目の塩基が、塩基多型部位の予想される各ヌクレオチドに対応し、該各プライマーの3’末端より3番目から5’末端までの少なくとも1つの塩基が、染色体又はその断片中の塩基と相補的でない塩基に置換され、且つ該相補的でない塩基は各プライマーで異なる塩基であり、且つ該各プライマーの中の少なくともひとつのプライマーが、その5’側に染色体又はその断片と完全には相補的でない配列が付加されている[18]に記載の検出用試薬キット。
【0037】
[22] 該各プライマーの3’末端より3番目の塩基が、染色体又はその断片中の該プライマーがハイブリダイズする鎖の塩基と相補的でない塩基に置換されて、且つ該相補的でない塩基は、各プライマーにおいて異なる塩基とした、[21]に記載の検出用試薬キット。
【0038】
[23] 該各プライマーの5’側に付加される染色体又はその断片と完全には相補的でない配列が2から40塩基の長さである、[18]〜[22] のいずれかに記載の検出用試薬キット。
【0039】
[24] 該各プライマーの5’側に付加される染色体又はその断片と完全には相補的でない配列が、配列表・配列番号7〜16の中から選択される配列を含む、[18]〜[22]のいずれかに記載の検出用試薬キット。
【0040】
[25] 該各プライマーの2つ以上の5’側に染色体又はその断片と完全には相補的でない配列を付加する際、付加される配列が相互に相同的ではない、[18]〜[22]のいずれかに記載の検出用試薬キット。
【0041】
[26] 野生型用プライマー及び1種又は2種の変異型用プライマー、DNAポリメラーゼ及び4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)及び検出用プローブを含む塩基多型検出用試薬キットであって、該各プライマーの3’末端より2番目の塩基が、塩基多型部位の予想される各ヌクレオチドに対応し、且つ該各プライマーの中の少なくともひとつのプライマーが、その5’側に染色体又はその断片と完全には相補的でない配列が付加されているキット。
【0042】
[27] 野生型用プライマー及び1種又は2種の変異型用プライマー、DNAポリメラーゼ及び4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)及び検出用プローブを含む塩基多型検出用試薬キットであって、該各プライマーの3’末端より2番目の塩基が、塩基多型部位の予想される各ヌクレオチドに対応し、該各プライマーの3’末端より3番目から5’末端までの少なくとも1つの塩基が、染色体又はその断片中の塩基と相補的でない塩基に置換され、且つ該各プライマーの中の少なくともひとつのプライマーが、その5’側に染色体又はその断片と完全には相補的でない配列が付加されている[26]に記載の検出用試薬キット。
【0043】
[28] 該各プライマーの3’末端より3番目の塩基が、染色体又はその断片中の該プライマーがハイブリダイズする鎖の塩基と相補的でない塩基に置換されている、[27]に記載のキット。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。試料中に含まれる特定の塩基多型部位を含む染色体又はその断片は、目的の遺伝子の情報を担う塩基多型部位を含む標的核酸であれば、特に制限されない。該標的核酸の例としては、Alu配列、蛋白質をコードする遺伝子のエキソンやイントロン、プロモーターなどが例示できる。より具体的には、遺伝病を含む各種疾患、薬物代謝、生活習慣病(高血圧、糖尿病等)に関連する遺伝子が挙げられる。例えば、高血圧としてACE(Angiotensin I Converting Enzyme)遺伝子が挙げられる。
【0045】
本発明において、染色体又はその断片を単に核酸ということがある。変異型核酸とは、野生型核酸のうち少なくとも1つ、好ましくは1つのヌクレオチドが点突然変異して他のヌクレオチドに置換されているものや、野生型核酸の一部に挿入、欠失配列等を含む核酸のことであり、どの部位のヌクレオチドが変異しているかが解明されているものである。このような塩基多型により体質等が異なっていることが解明されてきており、本発明の方法は試料中の核酸がこのような予想される変異を有しているか否かを検査する方法である。
【0046】
核酸を複製する場合、一本鎖に変性した標的核酸にプライマー、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)とDNAポリメラーゼを作用させることで、標的核酸を鋳型としてプライマー伸長反応が起こり核酸配列の相補鎖が合成される。
本発明において、野生型用プライマーとは、通常の表現型を有している塩基多型部位を含む染色体又はその断片に相補的な配列を有するプライマーであって、変異型用プライマーとは、野生型とは異なる配列を有している塩基多型部位を含む染色体又はその断片に相補的な配列を有するプライマーである。
【0047】
本発明において、特定の塩基多型部位を含む染色体又は断片が増幅されたか否かによって、その核酸試料中に含まれる塩基多型を検出する方法とは、特定の塩基多型部位を含む染色体又は断片を含む核酸試料に、野生型用プライマーと及び1種又は2種の変異型用プライマー(フォワードプライマーに相当)を同時にまたはそれぞれ別々に用いて、リバースプライマーと共に増幅反応を行うことにより多型を検出する方法である。
【0048】
本発明におけるプライマーの長さとしては、標的核酸と相補的な配列は好ましくは13〜35塩基であり、より好ましくは16塩基以上であり、また、30塩基以下が好ましい。一方、5’末に付加される染色体又はその断片と完全には相補的でない配列は、2〜40塩基であることが好ましく、より好ましくは30塩基以下、さらに好ましくは20塩基以下、特に好ましくは10塩基以下である。付加される配列中、染色体又はその断片と相補的でない塩基の割合は、10%以上、好ましくは25%以上、さらに好ましくは50%以上である。また付加される配列中の塩基の種類は特に限定されるものではないが、より少ない塩基数の付加で高い特異性向上効果を得るためには、グアニン(G)および/またはシトシン(C)塩基の利用が望ましい。グアニン(G)およびシトシン(C)塩基の合計量は付加される配列中で60%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくはすべてがグアニン(G)および/またはシトシン(C)である。
【0049】
好ましく付加される配列の例としては、配列表・配列番号7〜16から選択される配列を含むことが好ましく、さらには他の配列を含んでいても良い。
また、付加される配列はプライマー毎に異なり、相互に相同的ではない場合であっても良い。付加された配列が相互に相同的な2種以上のプライマーを用いた場合には、同一の反応容器内で核酸増幅反応を行ったときに、付加された配列に他方の伸長または増幅反応物がハイブリダイズしてしまうため、特異性を低下させることがある。
【0050】
本発明において、プライマーと1種又は2種の変異型用プライマーをリバースプライマーと組み合わせた上で、試料に別々、又は同時に作用させる。いずれの場合においても、少なくともひとつのプライマーの5’末に染色体又はその断片と完全には相補的でない配列が付加されていても良いし、反応液中のすべてのプライマーに付加されていても良い。
【0051】
本発明において、プライマーは3’末端より2番目の塩基が塩基多型部位の予想される各ヌクレオチドに対応していることが好ましい。
さらには、上記プライマーの3’末端より3番目から5’末端までの少なくとも1つの塩基が、染色体又はその断片中の該プライマーがハイブリダイズする鎖の塩基と相補的でない塩基に置換されていることが好ましく、さらには相補的でない塩基は3’末端から3〜7番目に有するよう設計されていることが好ましい。
なお、相補的でない塩基は3’末端から3番目に有するよう設計されていることが特に好ましい。
また、より特異性を高めるため、プライマー中の該相補的でない塩基は各プライマーにおいて異なる塩基とすることもできる。
【0052】
本発明において、特定の塩基多型部位を含む染色体又は断片の増幅方法は、基本的には、従来の方法を用いて行うことができる。通常、一本鎖に変性させた特定の塩基多型部位を含む染色体又はその断片に、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)、DNAポリメラーゼ、フォワードプライマーおよびリバースプライマーを作用させ、適当な温度条件で保温することにより増幅される。
ASP法の場合は、野生型用プライマーと、1種又は2種の変異型用プライマーを同時又はそれぞれ別個に用いて作用させることで、標的核酸を鋳型としてフォワードプライマーとリバースプライマーの間で増幅される。
【0053】
核酸増幅方法としては、PCR、NASBA(Nucleic acid sequence−based amplification method: Nature 第350巻、第91頁(1991))、LCR(国際公開89/12696号公報、特開平2−2934号公報)、SDA(Strand Displacement Amplification: Nucleic acids research 第20巻、第1691頁(1992))、RCR(国際公開90/1069号公報)、TMA(Transcription mediated amplification method: J. Clin. Microbiol. 第31巻、第3270頁(1993))などが挙げられる。
【0054】
なかでもPCR法は、試料核酸、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸、一対のプライマー及び耐熱性DNAポリメラーゼの存在下で、変性、アニーリング、伸長の3工程からなるサイクルを繰り返すことにより、上記一対のプライマーで挟まれる試料核酸の領域を指数関数的に増幅させる方法である。すなわち、変性工程で試料の核酸を変性し、続くアニーリング工程において各プライマーと、それぞれに相補的な一本鎖試料核酸上の領域とをハイブリダイズさせ、続く伸長工程で、各プライマーを起点としてDNAポリメラーゼの働きにより鋳型となる各一本鎖試料核酸に相補的なDNA鎖を伸長させ、二本鎖DNAとする。この1サイクルにより、1本の二本鎖DNAが2本の二本鎖DNAに増幅される。従って、このサイクルをn回繰り返せば、理論上上記一対のプライマーで挟まれた試料DNAの領域は2n倍に増幅される。増幅されたDNA領域は大量に存在するので、電気泳動等の方法により容易に検出できる。よって、遺伝子増幅法を用いれば、従来では検出不可能であった、極めて微量(1分子でも可)の試料核酸をも検出することが可能であり、最近非常に広く用いられている技術である。
【0055】
上記のような核酸増幅法を利用した方法では、野生型核酸を増幅できる野生型用プライマーと、変異型核酸を増幅できる変異型用プライマーをそれぞれ別個又は同時に用いて遺伝子増幅法を行う。
【0056】
野生型用プライマーを用いて試料核酸を伸長または増幅反応を行った場合、試料核酸が野生型であれば反応が起きるが、変異型では反応が起きない。逆に、変異型用プライマーを用いて試料核酸を伸長または増幅反応を行った場合、試料核酸が変異型であれば反応が起きるが、野生型であれば反応は起こらない。従って、一つの試料を二つに分け、一方は野生型用プライマーを用いて反応を行い、他方は変異型用プライマーを用いて反応を行い、反応が起ったか否かを調べることにより、試料核酸が野生型であるか変異型であるかを明確に知ることができる。
また、一つの試料に野生型用プライマーと変異型プライマーの両方を添加して用いてどのプライマーの伸張または増幅反応が起こったかを調べることにより、試料核酸が野生型であるか変異型であるかを明確に知ることもできる。
【0057】
特に、ヒトを始め、高等生物は、1種類の遺伝子について、父親由来の遺伝子と母親由来の遺伝子をそれぞれ1つずつ有しているが、この方法によれば、試料遺伝子が野生型のホモか、変異型のホモか、あるいは、両方のヘテロかを区別することもできる。すなわち、ヘテロの場合には、野生型遺伝子と変異型遺伝子が共に存在するから野生型用プライマーを用いた場合も変異型用プライマーを用いた場合も反応が起きる。
【0058】
DNAポリメラーゼ
本発明の伸長反応又は増幅反応に使用されるDNAポリメラーゼとしては、通常該反応に使用されるDNAポリメラーゼが使用できる。好ましい例としては、ピロコッカス・スピーシーズ(Pyrococcus sp.)KOD1株、サーマス・アクエティカス(Thermus aquaticus)、もしくはハイパーサーモフィリック・アーカエバクテリウム(Hyperthermophilic archaebacterium)由来のDNAポリメラーゼ等が挙げられる。
【0059】
本発明のプライマーを使用することにより、伸長又は増幅反応時の温度、濃度等の条件を極めて厳密に制御する必要がなくなり、より緩和な条件で反応を行っても、正確な検出を行うことが可能となる。
例えば、伸長又は増幅反応において、プライマーを標的にアニールさせる温度は、これまでの方法では、±0.1℃の精度で制御する必要がある場合も少なくなかったが、本発明のプライマーを使用した場合±1℃以上の誤差があっても検出結果の正確性には影響を受けない。
また反復配列や偽遺伝子中に存在する変異や多型であってもわずかな差違を利用して明確に検出することが可能となる。
【0060】
検出
上記伸長反応又は増幅反応によって得られた産物から、塩基多型を検出する方法としては、通常使用される検出方法を用いることができる。
例えば、該検出は、該各プライマーを、予め酵素、ビオチン、蛍光物質、ハプテン、抗原、抗体、放射性物質および発光団などによって標識しておき、伸長又は増幅反応後に該標識を検出することによって、行うことができる。または、リバースプライマーを標識しておいてもよい。
【0061】
酵素としてはアルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼなどが挙げられる。
蛍光物質としては、FITC,6−FAM,HEX,TET,TAMRA,テキサスレッド、Cy3、Cy5などが挙げられる。
ハプテンとしては、ビオチン、ジゴキシゲニンなどが挙げられる。
放射性物質としては、32P、35Sなどが挙げられる。
発光団としては、ルテニウムなどが挙げられる。
該標識は、プライマーの伸長反応に影響を与えることがなければプライマーのどの位置に結合させてもよい。好ましくは、5’部位である。
【0062】
検出方法としては、例えば、野生型用プライマー及び変異型用プライマーによって伸長、増幅された産物を特異的に捕捉することができる野生型検出プローブ及び変異型検出プローブを、公知の方法に従い、マイクロタイタープレートなどの固相に結合させる。次に、伸長又は増幅した産物を変性させ、該検出プローブが結合したマイクロタイタープレートに添加する。野生型用プライマーによって伸長、増幅された産物は野生型検出プローブにのみ結合し、変異型検出プローブには結合しない。また、変異型用プライマーによって、伸長、増幅された産物は多型検出プローブにのみ結合し、野生型検出プローブには結合しない。その後、プライマーに結合している標識を検出することによって、試料に含まれている染色体又はDNA断片の塩基多型を検出することができる。本発明の方法では、塩基多型部位に加えて、人為的ミスマッチの部位においても野生型用プライマーと変異型用プライマーで異なっているため、塩基多型部位のみ相違している場合と比較して、より明確にそれぞれの伸長/増幅産物を検出することが可能である。
したがって、試料を野生型用、変異型用の2つに分けることなく両プライマーで同時に増幅反応を行い、特異的に検出プローブで測り分けることも容易である。
野生型用プライマーと変異型用プライマーに異なる標識を用いた場合には、1つのプレートのウエルで行うことができる。
【0063】
また、特開2003−135069号公報に記載されるように、アビジン結合磁性粒子を用いて、未反応のオリゴヌクレオチド量を測定することで、該オリゴヌクレオチドが反応したか否かを検出してもよい。
【0064】
キット
本発明において、キットとしては、野生型用プライマー及び1種又は2種の変異型用プライマー、リバースプライマー、DNAポリメラーゼ、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)及び必要により検出プローブを含む塩基多型検出用試薬キットを含むものであり、少なくともひとつのプライマーの5’末に染色体又はその断片と完全には相補的でない配列が付加されているという特徴を有する。また、好ましくは該各プライマーの3’末端より2番目の塩基が、塩基多型部位の予想される各ヌクレオチドに対応し、さらに加えて、該各プライマーの3’末端の3番目から5’末端までの少なくとも1つの塩基が、染色体又はその断片中の塩基と相補的でない塩基に置換されていることが好ましい。
【0065】
また、該各プライマーまたはプローブは、上述したような酵素、ビオチン、蛍光物質、ハプテン、抗原、抗体、放射性物質および発光団などによって標識されていてもよい。
【0066】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1 APO E (Apolipoprotein E) 遺伝子の塩基多型 (Cys112Arg)の検出
(1)APO E遺伝子のCys112Arg塩基多型を検出するプライマーの合成
配列番号1〜6に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(以下、オリゴ1〜6と示す)の合成をDNA合成受託会社(プロリゴ・ジャパン株式会社)に委託した。オリゴ1、4は野生型(T)増幅用プライマーで3’末端より2番目に野生型(T)のヌクレオチド配列、および3番目に人為的ミスマッチ(G→T)を有し、FITC標識されている。オリゴ2、5は変異型(C)増幅用プライマーで3’末端より2番目に変異型(C)のヌクレオチド配列、および3番目に人為的ミスマッチ(G→T)を有し、テキサスレッド標識されている。オリゴ3, 6は野生型/変異型共通の配列を有するアンチセンス鎖に設定されたリバースプライマーで、オリゴ1〜4と組み合わせて増幅反応のプライマーとして使用され、ビオチン標識されている。
【0067】
(2)PCR法によるAPO E遺伝子多型の解析
a) PCR法による増幅反応
ヒト白血球からフェノール・クロロフォルム法により抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件によりヒトAPO E遺伝子多型を解析した。
【0068】
試薬−1 (オリゴ1、2、3)
以下の試薬を含む25μl溶液を調製した。
Taq DNAポリメラーゼ反応液
オリゴ1 5 pmol
オリゴ2 5 pmol
オリゴ3 5 pmol
×10緩衝液 2.5 μl
2 mM dNTP 2.5 μl
25 mM MgCl2 1.5 μl
Taq DNAポリメラーゼ 1.3 U
抽出DNA溶液 100 ng
【0069】
試薬−2 (オリゴ4、5、6)
以下の試薬を含む25μl溶液を調製した。
Taq DNAポリメラーゼ反応液
オリゴ4 5 pmol
オリゴ5 5 pmol
オリゴ6 5 pmol
×10緩衝液 2.5 μl
2 mM dNTP 2.5 μl
25 mM MgCl2 1.4 μl
Taq DNAポリメラーゼ 1.3 U
抽出DNA溶液 100 ng
【0070】
増幅条件−1 (オリゴ1、2、3)
95℃・5分
95℃・30秒、60℃・30秒、72℃、30秒(35サイクル)
72℃・2分。
【0071】
増幅条件−2 (オリゴ4、5、6)
95℃・5分
95℃・30秒、65℃・30秒、72℃、30秒(40サイクル)
72℃・2分。
【0072】
b) アビジン結合磁性粒子による検出
a)の増幅反応液10 μl を500 mMトリス緩衝液(pH7.5)、2M NaCl、1 mM EDTA、1.25 μg アビジン結合磁性粒子(Genovision製)の溶液40μlに加えて、室温にて15分間反応させた。これによって、増幅されたヒトAPO E遺伝子断片および、ビオチン標識オリゴふくれ落ち度がアビジン結合磁性粒子に捕捉される。次に、磁性粒子を磁石で分離し、未反応蛍光標識オリゴヌクレオチドが含まれる情勢を7.5 mM NaOH 100 μlと混和する。室温で10分間放置後に暗室中で蛍光プレートリーダー(大日本製薬社製)で蛍光強度量を測定した。所要時間は約30分であった。得られた蛍光強度から以下の計算式を用いて試料の蛍光強度量を算出した。
FL(試料の蛍光強度) = FLb−FLs
FLb = Negative Control (抽出DNA溶液が未添加)の蛍光強度
FLs = 各試料の蛍光強度
【0073】
【表1】
Figure 0004228041
【0074】
上記のように、プライマーの5'末に染色体又はその断片と完全には相補的でない配列を付加したオリゴ4、5、6の組合せでは特異的なシグナルを減少させることなく、非特異的なシグナルの抑制することで顕著に特異性を向上させることができ、塩基多型を容易かつ明確に判定することができた。
なお、実施例で反応の温度制御は±0.1℃で行われたが、オリゴ4、5、6の組合せでは非特異的反応はほとんど起こらず、温度制御の正確さが低下した場合であっても十分な検出が行えることが分かった。
【0075】
【発明の効果】
上述したように、本発明により、試料核酸中の塩基多型を容易かつ高い特異性で明確に検出できる方法が提供される。本発明の方法では、偽陽性が生じないので、遺伝子増幅法の条件をそれほど厳密にしなくても再現性良く結果が得られ、機種の違い等によって判定結果が異なることはなくなった。また、本発明の方法によれば、従来法では困難であったホモ接合とヘテロ接合の識別も可能になった。
【配列表】
Figure 0004228041
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Figure 0004228041

Claims (18)

  1. 核酸試料中に含まれる塩基多型を核酸増幅反応を利用して検出する方法であって、該方法が、
    (a) 試料中に含まれる特定の塩基多型部位を含む染色体又はその断片に、野生型用プライマー及び1種又は2種の変異型用プライマーを同時に又は別々に、DNAポリメラーゼと共に作用させる工程、
    (b) 該プライマーが伸長されたか否かによって、その核酸試料中に含まれる塩基多型を検出する工程
    を含み、該各プライマーの3’末端より2番目の塩基が塩基多型部位の予想される各ヌクレオチドに対応し、且つ該各プライマーの中の少なくともひとつのプライマーの5’側に染色体又はその断片と完全には相補的でない配列が付加されており、さらに該各プライマーの3’末端より3番目の塩基が、染色体又はその断片中の該プライマーがハイブリダイズする鎖の塩基と相補的でない塩基に置換されていることを特徴とする塩基多型の検出方法。
  2. 該各プライマーの3’末端より3番目の塩基が、染色体又はその断片中の該プライマーがハイブリダイズする鎖の塩基と相補的でない塩基に置換され、且つ該相補的でない塩基は、各プライマーにおいて異なる塩基とする、請求項に記載の塩基多型の検出方法。
  3. 各プライマーの5’側に付加される染色体又はその断片と完全には相補的でない配列が2から40塩基の長さであることを特徴とする、請求項に記載の塩基多型の検出方法。
  4. 各プライマーの5’側に付加される染色体又はその断片と完全には相補的でない配列が、配列表・配列番号7〜16の中から選択される配列を含むことを特徴とする、請求項に記載の塩基多型の検出方法。
  5. 2つ以上のプライマーの5’側に染色体又はその断片と完全には相補的でない配列を付加する際、付加される配列が相互に相同的ではないことを特徴とする、請求項に記載の塩基多型の検出方法。
  6. 2つ以上のプライマーの5’側に染色体又はその断片と完全には相補的でない配列を付加する際、
    (1)付加される配列が40塩基以下の長さであり、かつ、
    (2)グアニンおよびシトシン塩基の合計量が付加される配列中で60%以上であり、かつ、
    (3)付加される配列が相互に相同的ではない、
    ことを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の塩基多型の検出方法。
  7. 核酸を増幅させる方法が、PCR、NASBA、LCR、SDA、RCR、TMA、LAMPおよびICANからなる群から選ばれたいずれかの方法である請求項1〜のいずれかに記載の塩基多型の検出方法。
  8. 該各プライマーが伸長されたか否かを、野生型用プライマー及び変異型用プライマーからなる群の少なくとも1種から伸長した産物の配列に特異的な検出用プローブを用いてハイブリダイゼーションを行うことによって検出する、請求項1〜のいずれかに記載の塩基多型の検出方法。
  9. 該各プライマーの少なくとも1つまたは検出用プローブが、予め標識されている請求項1〜のいずれかに記載の塩基多型の検出方法。
  10. 該各プライマーの少なくとも1つまたは検出用プローブが、酵素、ビオチン、蛍光物質、ハプテン、抗原、抗体、放射性物質および発光団からなる群から選ばれる少なくとも1種によって標識されている請求項に記載の塩基多型の検出方法。
  11. (a)工程を単一の容器で行い、該各プライマーが伸長されたか否かを、野生型用プライマー及び変異型用プライマーからなる群の少なくとも1種から伸長した産物配列に特異的な検出用プローブを用いてハイブリダイゼーションを行うことによって検出する、請求項1に記載の塩基多型の検出方法。
  12. 野生型用プライマー及び1種又は2種の変異型用プライマー、DNAポリメラーゼ及び4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)を含む塩基多型検出用試薬キットであって、該各プライマーの3’末端より2番目の塩基が、塩基多型部位の予想される各ヌクレオチドに対応し、該各プライマーの3’末端より3番目の塩基が、染色体又はその断片中の該プライマーがハイブリダイズする鎖の塩基と相補的でない塩基に置換されており、且つ該各プライマーの中の少なくともひとつのプライマーが、その5’側に染色体又はその断片と完全には相補的でない配列が付加されていることを特徴とする、検出用試薬キット。
  13. 野生型用プライマー及び1種又は2種の変異型用プライマー、DNAポリメラーゼ及び4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)を含む塩基多型検出用試薬キットであって、該各プライマーの3’末端より2番目の塩基が、塩基多型部位の予想される各ヌクレオチドに対応し、該各プライマーの3’末端より3番目から5’末端までの少なくとも1つの塩基が、染色体又はその断片中の塩基と相補的でない塩基に置換され、且つ該相補的でない塩基は各プライマーで異なる塩基であり、且つ該各プライマーの中の少なくともひとつのプライマーが、その5’側に染色体又はその断片と完全には相補的でない配列が付加されている請求項12に記載の検出用試薬キット。
  14. 該各プライマーの3’末端より3番目の塩基が、染色体又はその断片中の該プライマーがハイブリダイズする鎖の塩基と相補的でない塩基に置換されて、且つ該相補的でない塩基は、各プライマーにおいて異なる塩基とした、請求項13に記載の検出用試薬キット。
  15. 該各プライマーの5’側に付加される染色体又はその断片と完全には相補的でない配列が2から40塩基の長さである、請求項12〜14のいずれかに記載の検出用試薬キット。
  16. 該各プライマーの5’側に付加される染色体又はその断片と完全には相補的でない配列が、配列表・配列番号7〜16の中から選択される配列を含むことを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の検出用試薬キット。
  17. 該各プライマーの2つ以上の5’側に染色体又はその断片と完全には相補的でない配列を付加する際、付加される配列が相互に相同的ではない、請求項12〜14のいずれかに記載の検出用試薬キット。
  18. 野生型用プライマー及び1種又は2種の変異型用プライマー、DNAポリメラーゼ及び4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)及び検出用プローブを含む塩基多型検出用試薬キットであって、該各プライマーの3’末端より2番目の塩基が、塩基多型部位の予想される各ヌクレオチドに対応し、該各プライマーの3’末端より3番目の塩基が、染色体又はその断片中の該プライマーがハイブリダイズする鎖の塩基と相補的でない塩基に置換されており、且つ該各プライマーの中の少なくともひとつのプライマーが、その5’側に染色体又はその断片と完全には相補的でない配列が付加されているキット。
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