JP2007068429A - Il−10多型検出による消化器系疾患罹患の判定方法およびそのキット - Google Patents

Il−10多型検出による消化器系疾患罹患の判定方法およびそのキット Download PDF

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Abstract

【課題】消化器系疾患の予防医学的診断のため、胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃ポリープ、胃癌等の胃・十二指腸の炎症を伴う疾患などの診断に優れた遺伝子多型の検出方法を提供すること。
【解決手段】被験体に消化器系疾患の発生素因があるかを判定する方法であって、該被験体のIL-10遺伝子のプロモータ領域に存在する多型を検出することを特徴とする、消化器系疾患罹患可能性の判定方法およびキット。
【選択図】なし

Description

本発明は、消化器系疾患の予防医学的診断に関する。更に詳しくは、消化器系疾患の中でも特に、胃癌、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の予防医学的診断に関する。
消化器系疾患、特に、胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃ポリープ、胃癌等の胃・十二指腸の炎症を伴う疾患は特に罹患率も高く、その疾患の素因の解明は医療経済的な効果が極めて大きいものとされている。現在の検査方法は、検診あるいは被験者よりの訴えに基づき、問診、内視鏡検査、X線検査によって慢性胃炎、胃潰瘍、胃癌等の診断を行っている。
予防医学的な観点からは、ある一つの特定の疾患にかかる素因の早期検出方法は、非常に望ましいものである。遺伝学的要素のある疾患に関しては、この検出には遺伝子スクリーニングの技術が含まれる。早期の遺伝子スクリーニングによって、その異常が臨床上検出可能になる前に、監視及び早期介入を行え、患者の予後を向上させることができる。同じような徴候を持つ患者を処置しても成果がまちまちであるような場合、洗練された遺伝子スクリーニングによって、微妙な、又は、検出不能な違いを持つ個々の患者を差異化でき、より適した個別の処置を行うことができる。将来的には、早期の介入に遺伝子治療など
の方法が含まれるであろうと予測できる。
遺伝性疾患をスクリーニングするための方法は、異常な遺伝子産物に依存してきた。簡単かつ安価な遺伝子スクリーニング法の開発により、その疾患が多遺伝子性起源のものでも、疾患の発生の性向を示す多型を特定することができる。分子生物学的方法によってスクリーニングすることのできる疾患の数は、多因子性障害の遺伝的基礎が解明されていくにつれ、増え続ける。
遺伝子タイピングは、広い意味では、疾患状態を起こすか、又は、疾患状態に「連鎖」している、のいずれかである多型(又は対立遺伝子 又は多型 )を、ある患者が有しているかどうかを調べるテストであると定義できる。連鎖とは、ゲノム中で相互に近接した位置にあるDNA配列が一緒に受け継がれる傾向を有する現象を言う。二つの配列が、何らかの選択的利点のために連鎖していることがある。しかしながら、より一般的には、二つの多型配列が連鎖しているのは、二つの多型の間にある領域で組み換えが起きる相対的低頻度のためである。連鎖した遺伝子は互いに対して連鎖不均衡にあると言われるが、それはなぜなら、任意のヒト集団中では、それらはその集団の特定の人員中で一緒に起きるか、又は全く起きない傾向にあるからである。実際、ある染色体領域中で多数の多型が相互に連鎖不均衡で見られる場合、それらは準安定な遺伝子「ハプロタイプ」を定義する。対照的に、二つの多型座位の間で組換え事象が起きると、それらは別個の相同染色体に別れる。二つの物理的につながった多型の間で減数分裂性組換えが充分な頻度で起きると、この二つの多型は個々に分離しているように見えることになり、これらは連鎖均衡にあると言われる。よって、疾患を起こす突然変異的変化を含む、又はそれに連鎖したヒトハプロタイプの特定法は、疾患を起こす多型をその個人が受け継いだ可能性を予測する手段として役立つ。
重要なことに、このような予後的又は診断的手法は、実際に疾患を起こす病変を特定及び分離する必要なく、利用することができる。ある疾患と、ある多型との間にある統計学的な相関関係は、必ずしも、その多型を有することがその疾患を直接引き起こすことを示唆するわけではないが、特定の疾患に関する診断的及び予後的アッセイの目的のために、その疾患に関連した多型対立遺伝子の検出を、利用することができる。
しかし、消化器系疾患、特に胃癌、胃潰瘍や十二指腸潰瘍においては、前炎症性サイトカイン遺伝子がその疾患の進行に関与しているかどうか、また、これら疾患の罹患率については、サイトカイン遺伝子の遺伝的多型が影響しているかどうかは不明であった。また、多数存在するサイトカイン遺伝子の、どの遺伝的多型サイトが疾患と関連しているかは不明であった。
IL-10遺伝子 (IL-10)は、1番染色体の長腕(1q31-q32)にある分子量35-40kDの同型二重体(homodimer)の糖蛋白である。ヒトでは主として2型ヘルパーT細胞(Th2細胞)から産生され、他にも単球、活性化B細胞、角化細胞など様々な種類の細胞より産生される。IL-10は抑制性活性が中心であるが、これ以外にも多彩な生物活性を有する多機能性サイトカインである。
多方面での研究によりIL-10座位の多型 が、種々の炎症性疾患の病理発生又は臨床上の症状発現に関与している可能性がある。特にIL-10のプロモータ領域に存在する多型およびハプロタイプと疾患との関係について多数の報告があり、HCV患者のインターフェロンαの応答性(非特許文献1参照)やアルツハイマー病(非特許文献2参照)、肝細胞ガン(非特許文献3参照)最近の報告では移植片対宿主病(GVHD)(非特許文献4参照)、喘息(非特許文献5参照)、大腸がん(非特許文献6参照)、及びアトピー性皮膚炎(非特許文献7参照)などの関係について研究がなされそれらについて関連があることが示唆されてきた。しかしながら、胃および十二指腸の消化器系疾患との関連について報告はされていなかった。
Catherine et al.(1999) Hepatology 30:526-30. Lio et al. (2003)Genes Immun. 4:234-8 Shin et al. (2003) Hum Mol Genet. 12:901-6 Kim et al. (2005) Transplantation 79:1615-22 Chatterjee et al. (2005) Clin Exp Allergy. 35:914-9 Macarthur et al. (2005) Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 14:1613-8 Shin et al. (2005) Allergy. 60:1146-51
従来技術では、消化器系疾患の予防医学的診断はできなかったという問題がある。従って、本発明の目的は、消化器系疾患の予防医学的診断にあり、特に、胃癌、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの予防医学的診断に優れたIL-10プロモータの多型検出方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示すような手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は消化器系疾患の予防医学的診断に関する。
1. 被験体が消化器系疾患の発生素因があるかを判定する方法であって、該被験体のIL-10遺伝子のプロモータ領域に存在する多型を検出することを特徴とする消化器系疾患罹患可能性の判定方法。
2. 被験体が消化器系疾患の発生素因があるかを判定する方法であって、該被験体のIL-10遺伝子からの転写産物量及び/又はIL-10の発現量を測定することを特徴とする消化器系疾患罹患可能性の判定方法。
3. 消化器系疾患が、胃癌、胃潰瘍および十二指腸潰瘍からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の判定方法。
4. 検出される多型箇所がIL-10遺伝子のプロモータ領域に存在する、-592、-819及び/又は-1082番目であることを特徴とする請求項1記載の判定方法。
5. IL-10遺伝子のプロモータ領域に存在する多型を検出する方法が、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、電気泳動サイズ分析、シークエンス法、5’端ヌクレアーゼ消化、一本鎖コンホメーション多型、プライマー特異的伸長法、オリゴヌクレオチド連結アッセイ、Cleavageを用いたアッセイ、熱溶出クロマトグラフ、融解曲線分析法、Taqmanアッセイ法及び遺伝子増幅法より選ばれることを特徴とする請求項1又は4に記載の判定方法。
6. 遺伝子増幅法が、PCR、NASBA、LCR、SDA、RCRおよびTMAよりなる群から選ばれることを特徴とする請求項5に記載の判定方法。
7. 遺伝子増幅法がPCRであり、該PCRに用いられるDNAポリメラーゼが3’エキソヌクレアーゼ活性を有することを特徴とする請求項6に記載の判定方法。
8. 3’末端より1番目の塩基が多型の予想されるヌクレオチドに対応するプライマーを遺伝子増幅法に用いることを特徴とする請求項5,6又は7に記載の判定方法。
9. 3’末端より2番目の塩基が多型の予想されるヌクレオチドに対応するプライマーを遺伝子増幅法に用いることを特徴とする請求項5,6又は7に記載の判定方法。
10. プライマーの3’末端より3から5番目の少なくとも1種の塩基が相補的でない塩基に置換されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の判定方法。
11. 被験体が消化器系疾患の発生素因があるかを判定する方法であって、該被験体のIL-10遺伝子のプロモータ領域に存在する、-592、-819及び/又は-1082番目の多型を、配列番号1〜8に示される配列またはこれに相補的な配列のうち連続した少なくとも15塩基を含んだ少なくとも一つを、プライマーまたはプローブとして用いることを特徴とする判定方法。
12. 配列番号1、4に示される配列またはこれに相補的な配列のうち、連続した少なくとも15塩基を含んだ少なくとも一つをIL-10遺伝子のプロモータ領域の野生型および変異型の共通のプライマー(フォワードプライマー)として用いることを特徴とする請求項11に記載の判定方法。
13. 配列番号2、5及び7に示される配列またはこれに相補的な配列のうち、連続した少なくとも15塩基を含んだ少なくとも一つを、IL-10遺伝子のプロモータ領域の野生型のプライマー(リバースプライマー)もしくはプローブとして用いることを特徴とする請求項11に記載の判定方法。
14. 配列番号3、6、8に示される配列またはこれに相補的な配列のうち、連続した少なくとも15塩基を含んだ少なくとも一つを、IL-10遺伝子のプロモータ領域の多型のプライマー(変異型のリバースプライマー)もしくはプローブとして用いることを特徴とする請求項11に記載の判定方法。
15. プライマーの3’末端から2番目のヌクレオチドが、TNF-α遺伝子のプロモータ領域の多型部位に対応するように設計されていることを特徴とする請求項13または14に記載の判定方法。
16. プライマーの3’末端のヌクレオチドが、IL-10遺伝子のプロモータ領域の多型部位に対応するように設計されていることを特徴とする請求項13又は14に記載の判定方法。
17. プライマーの3’末端より3から5番目の少なくとも1種の塩基が相補的でない塩基に置換されていることを特徴とする請求項13又は14に記載の判定方法。
18. 被験体が消化器系疾患の発生素因があるかを判定するキットであって、IL-10のプロモータ領域の多型を検出することを特徴とする消化器系疾患罹患判定用キット。
19. 検出されるIL-10 のプロモータ領域の多型が-592、-819、-1082番目である、請求項18に記載のキット。
20. 被験体が消化器系疾患の発生素因があるかを判定するキットであって、配列表・配列番号1〜8に示される配列またはこれに相補的な配列のうち連続した少なくとも15塩基を含んだ少なくとも一つのオリゴヌクレオチド配列をプライマー又はプローブとして含むことを特徴とするキット。
21. 消化器系疾患が、胃癌、胃潰瘍および十二指腸潰瘍からなる群から選択されることを特徴とする、請求項18〜20のいずれかに記載のキット。
本発明によりIL-10プロモータの多型検出を行うことで、消化器系疾患の中でも特に、胃癌、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の予防医学的診断ができる。
本発明によれば、被験体から核酸試料を得、前記試料中で、IL-10遺伝子のプロモータ領域に存在する多型を検出することによって、被験体が消化器系疾患を有するか又は発生素因があるかを判定することができる。特に、胃癌、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の予防医学的診断ができる。
アッセイのための試料は、患者の血液、組織から採取し、鋳型として用いるDNAは既知の方法により抽出すればよい。代表的なものとして、フェノール/クロロホルム抽出法(Biochimica et Biophysica acta 第72巻、第619〜629頁、1963年)、アルカリSDS法(Nucleic Acid Research 第7巻、第1513〜1523頁、1979年)等の液相で行う方法がある。また、核酸の単離に核酸結合用担体を用いる系としては、ガラス粒子とヨウ化ナトリウム溶液を使用する方法(Proc. Natl. Acad. USA 第76−2巻、第615〜619頁、1979年)、ハイドロキシアパタイトを用いる方法(特開昭63−263093号公報)等がある。その他の方法としてはシリカ粒子とカオトロピックイオンを用いた方法(J. Clinical Microbiology 第28−3巻、第495〜503頁、1990年、特開平2−289596号公報)が挙げられる。
本明細書において、消化器系疾患としては、胃・十二指腸潰瘍の炎症を伴う疾患が挙げられ、具体的には、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃ポリープ、胃癌が挙げられ、特に胃癌、胃潰瘍、十二指腸潰瘍が挙げられる。
本明細書において、「消化器系疾患の発生素因」としては、消化器系疾患への罹患のしやすさを意味する。例えばIL-10のプロモーター領域の-592、-819、-1082番目に多型があれば、消化器系疾患に罹患し易いため、「消化器系疾患の発生素因」を有することになる。また、IL-10遺伝子の転写産物(mRNA)量またはIL-10(蛋白質)の発現量が顕著に低い場合にも、「消化器系疾患の発生素因」を有すると考えられる。
本発明において、「消化器系疾患罹患の可能性を判定する」とは、例えばIL-10のプロモーター領域に多型が1つ以上あれば、多型のない野生型の被験体と比較して消化器系疾患罹患の可能性が高くなることを意味し、多型部位が、2箇所または3箇所と増大して行くにつれて、消化器系疾患罹患の可能性が高いと判定される。特に、IL-10のプロモーター領域の-592、-819、-1082番目において、多型箇所が、1箇所から、2箇所、3箇所に増えるにつれて、消化器系疾患罹患の可能性は高まることになる。
「消化器系疾患罹患の可能性の判定」は、IL-10遺伝子の転写産物(mRNA)量またはIL-10(蛋白質)の発現量を測定することにより、判定することができる。
本発明において「消化器系疾患罹患の可能性の判定」とは例えば、IL-10遺伝子の転写産物量またはIL-10(蛋白質)の発現量について健常な(例えばIL-10のプロモーター領域に多型のない)被験者のレベルを予め測定しておき、その健常レベルよりも低いレベル(例えば健常者よりも10%以上、或いは20%以上、特には30%以上)にあれば「消化器系疾患罹患の可能性」が高いと判定され、そのレベルが低いほど消化器系疾患罹患の可能性が高くなると考えられる。
各部位の多型と特に罹患し易い消化器疾患の関係を、以下の表1に示す。
Figure 2007068429
上記のように-592、-819及び/又は-1082番目において、野生型は消化器系疾患に罹患しにくく、変異型は罹患しやすい。特に、胃癌では罹患率が高くなる。
また、-1082/-819/-592の塩基の組み合わせが、ACC、GCC、の場合、胃潰瘍及び胃癌に対する罹患率が高く、特にACCでは罹患率が特に高い。
本発明によれば、消化器系疾患の予防医学的診断をおこなうために、IL-10遺伝子のプロモータ領域に存在する、-592、-819及び/又は-1082番目の遺伝子多型を検出すればよい。この、DNA配列の番号付けは、GenBankの ACCESSION Z30175に登録された配列の番号付けに基づいて説明するならば、mRNAの開始位置である1274番目を0番目として、逆算する値を示している。すなわち、本発明記載の-592番目の位置は、ACCESSION Z30175に登録された配列において、682番目を示す。同様に、-819番目は455番目、-1082番目は192番目を示す。変異を核酸レベルで解析する方法として、プローブを用いる方法、核酸配列を複製または増幅する方法が利用できる。あるいは、これらの方法を組み合わせた方法も利用できる。核酸の多型を分析する方法は既に報告されているものであれば特に限定されるものではないが、例えば、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、電気泳動サイズ分析、シークエンス法、5’端ヌクレアーゼ消化、一本鎖コンホメーション多型、プライマー特異的伸長法、オリゴヌクレオチド連結アッセイ、Cleavageを用いたアッセイ、熱溶出クロマトグラフ、融解曲線分析法、Taqmanアッセイ法、遺伝子増幅法などを用いても良い。
IL-10遺伝子のプロモータ領域の多型を、プローブを用いて検出してもよい。例えば、多型部分にプローブを作成し、該プローブと測定したい核酸配列を含む溶液とを混合しプローブと核酸配列のハイブリダイズの様子を解析することで判定できる。好ましくは、 配列表・配列番号3、6、8からなる群より選ばれた連続する少なくとも15塩基を含んだ1種以上の配列を多型用プローブ、配列表・配列番号2、5及び7からなる群より選ばれた連続する少なくとも15塩基を含んだ1種以上の配列を野生用プローブとし、例えば、TaqManプローブ法(Genome Res. 第6巻、第986頁(1996))などを用いて解析を実施してもよい。なお、プローブの配列には、多型部位が含まれるのが好ましい。
IL-10遺伝子のプロモータ領域の多型を、核酸配列を複製または増幅する方法を用いて検出してもよい。この場合の核酸増幅方法としては、PCR、NASBA(Nucleic acid sequence−based amplification method;Nature 第350巻、第91頁(1991))、LCR(国際公開89/12696号公報、特開平2−2934号公報)、SDA(Strand Displacement Amplification:Nucleic acid research 第20巻、第1691頁(1992))、RCR(国際公開90/1069号公報)、TMA(Transcription mediated amplification method;Journal of Clinical Microbiology 第31巻、第3270頁(1993))などが挙げられる。
なかでもPCR法は、試料核酸、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸、一対のプライマー及び耐熱性DNAポリメラーゼの存在下で、変性、アニーリング、伸長の3工程からなるサイクルを繰り返すことにより、上記一対のプライマーで挟まれる試料核酸の領域を指数関数的に増幅させる方法である。すなわち、変性工程で試料の核酸を変性し、続くアニーリング工程において各プライマーと、それぞれに相補的な一本鎖試料核酸上の領域とをハイブリダイズさせ、続く伸長工程で、各プライマーを起点としてDNAポリメラーゼの働きにより鋳型となる各一本鎖試料核酸に相補的なDNA鎖を伸長させ、二本鎖DN
Aとする。この1サイクルにより、1本の二本鎖DNAが2本の二本鎖DNAに増幅される。従って、このサイクルをn回繰り返せば、理論上上記一対のプライマーで挟まれた試料DNAの領域は2n倍に増幅される。増幅されたDNA領域は大量に存在するので、電気泳動等の方法により容易に検出できる。よって、遺伝子増幅法を用いれば、従来では検出不可能であった、極めて微量(1分子でも可)の試料核酸をも検出することが可能であり、最近非常に広く用いられている技術である。
上記のような核酸増幅法を利用した方法では、野生型核酸を増幅できる野生型プライマーと、多型核酸を増幅できる多型プライマーをそれぞれ別個に用いて遺伝子増幅法を行う。ここで、多型核酸とは、野生型核酸のうちの1つのヌクレオチドのみが点変異して他のヌクレオチドに置換されているものや野生核酸配列の一部に挿入、欠失配列等を含む核酸配列のことである。
野生型プライマーを用いて試料核酸を伸長または増幅反応を行った場合、試料核酸が野生型であれば反応が起きるが、多型では反応が起きない。逆に、多型プライマーを用いて試料核酸を伸長または増幅反応を行った場合、試料核酸が多型であれば反応が起きるが、野生型であれば反応は起こらない。従って、一つの試料を二つに分け、一方は野生型プライマーを用いて反応を行い、他方は多型プライマーを用いて反応を行い、反応が起ったか否かを調べることにより、試料核酸が野生型であるか多型であるかを明確に知ることができる。
これまで説明したことは従来法とも共通するものであるが、上述のように、従来法では、野生型プライマー/多型核酸及び多型プライマー/野生型核酸の組合せにおいて、プライマーの3’末端のみが鋳型核酸と非相補的(ミスマッチ)になっている(すなわち、プライマーの3’末端が試料核酸の予想される多型部位に対応する)ので、これらの組合せにおいても反応が起こる場合がある。このような場合には、試料核酸が野生型か多型かを判別することが困難になる。
これは増幅反応によく用いられるサーマス・アクエティカス(Thermus aquaticus)由来のDNAポリメラーゼ等は3’エキソヌクレアーゼ活性を持たないため、増幅反応を行った場合、正確に鋳型配列の相補鎖を合成できなかった時もそのまま増幅反応を続けるため、増幅核酸断片に多型を含有する事がある。つまり3’末端にミスマッチがあっても反応が進んでしまう事になり、このような問題が起こると考えられている。
一方、伸長反応の正確性が優れているピロコッカス・エスピー(Pyrococcussp.)KOD1株もしくはハイパーサーモフィリック・アーカエバクテリウム(Hyperthermophilic archaebacterium)由来のDNAポリメラーゼは、3’エキソヌクレアーゼ活性を有するため3’末端にミスマッチがあった場合、そのヌクレアーゼ活性によりミスマッチ部分を切除した後伸長反応を続けるためこのような問題が起こると考えられる。
本発明では、このような問題を解決するための方法も提供する。本発明に従えば、上記組合せにおいてプライマーの3’末端から2番目のヌクレオチドが多型配列のヌクレオチドと対応するように設計してもよい。このように設計した場合野生型プライマー/野生核酸及び多型プライマー/多型核酸の組合せにおいて、プライマーは完全に一致する為反応は起こるが、野生型プライマー/多型核酸及び多型プライマー/野生型核酸の組合せにおいてはプライマーの3’末端より2番目の塩基がミスマッチしているため、特に3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼはミスマッチを認識するが、3’末端は相補的な為、エキソヌクレアーゼも働かず、またDNAポリメラーゼ反応も起こらない事が確認された。
さらに、ダブルミスマッチを利用した野生型プライマー及び多型プライマーを設計してもよい。すなわち3’末端から2番目の塩基は多型が予想されるヌクレオチドに対応する塩基配列であり、また3番目から5’末端までの塩基に相補的でないヌクレオチドを含むプライマーを用いることも可能である。これは3番目にミスマッチを用いた場合ミスマッチの認識が更に強くなり、また他の部分に用いた場合はプライマーの結合を妨げる効果が考えられる。
本発明に従って、IL-10遺伝子のプロモータ領域の多型を検出するための野生型プライマーと多型プライマーを設定することにより、被験体が消化器系疾患を有するか又は発生素因があるかを判定することができる。好ましくは、配列表・配列番号3、6、8及び10からなる群より選ばれた連続する少なくとも15塩基を含んだ1種以上の配列を多型用プライマー、配列表・配列番号2、5及び7からなる群より選ばれた連続する少なくとも15塩基を含んだ1種以上の配列を野生用プライマー、配列表・配列番号1、4からなる群より選ばれた連続する少なくとも15塩基を含んだ1種以上の配列を野生型および変異型の共通のプライマーとして利用してよい。このとき、プライマーの配列には、多型部位が含まれるのがよい。さらに好ましくは、配列表・配列番号1〜8の全配列に従ったプライマーを作製するのがよい。なお、プライマーが予め標識されているものであってもよい。該標識としては、ビオチン、蛍光物質、ハプテン、抗原、放射線物質、発光団などが挙げられる。
本発明によって、IL-10遺伝子のプロモータ領域の多型と疾患との関連が明確になり、IL-10遺伝子のプロモータ領域に存在する多型を検出することで消化器系疾患を有するか又は発生素因があるかを判定することが容易となった。プロモータ領域の多型は、mRNAの発現量に影響を及ぼすことは容易に考えられるので、IL-10遺伝子からの転写産物量及び/又はIL-10の発現量を測定しても消化器系疾患を有するか又は発生素因があるかを判定できる。
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1) Interleukin 10 (IL-10) -592遺伝子多型の検出
(1)IL-10遺伝子 -592の多型を検出するオリゴヌクレオチドの合成
パーキンエルマー社製DNAシンセサイザー392型を用いて、ホスホアミダイト法にて、配列番号1〜3に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド(以下、オリゴ1〜3と示す)を合成した。合成はマニュアルに従い、各種オリゴヌクレオチドの脱保護はアンモニア水で55℃、一夜実施した。オリゴヌクレオチドの精製はパーキンエルマー社OPCカラムにて実施した。もしくはDNA合成受託会社((株)日本バイオサービス、プロリゴ・ジャパン(株)、オペロン バイオテクノロジー(株)等)に依頼した。
オリゴ1 5’-GGA GAT GGT GTA CAG TAG GGT G-3’
オリゴ2 5’-CAG AGA CTG GCT TCC TAC AAT A -3’
オリゴ3 5’-AGA GAC TGG CTT CCT ACA TGA-3’
オリゴ1はIL-10遺伝子の-592番目の多型を検出するためのものである。このオリゴは野生型、多型何れも増幅することが可能なオリゴである。なお、オリゴは必要により標識して使用される。
オリゴ2および3はIL-10遺伝子の-592番目の多型を検出するためのものである。オリゴ2は野生型(A)を検出するためのオリゴヌクレオチドで3’末端から2番目に野生型(A)のヌクレオチド配列、および3番目に人為的ミスマッチを有し、オリゴ3は多型(C)を検出するためのオリゴヌクレオチドで3’末端から2番目に多型(C)のヌクレオチド配列、および3番目に人為的ミスマッチを有し、これらはオリゴ1と組み合わせて増幅反応のオリゴヌクレオチドとして使用される。なお、これらのオリゴは必要により標識して使用される。
また、本実施例での、オリゴ2および3の各オリゴヌクレオチドは3’末端から3番目に人為的ミスマッチを導入したが、ミスマッチの位置はこれに限定されるものではない。さらにはこれ以外に数カ所(1〜5箇所程度でプライマーの全体長による(特に5’末端))のミスマッチが導入されていても良い。
さらに、オリゴ1からオリゴ3の各オリゴヌクレオチドは伸長反応の有無を検出するのに適当な長さ等を基準に決めたものであって、対象となる遺伝子の適当な部分に対応するものであれば、本実施例の配列に限定されるものではない。
(2)Interleukin 10 (IL-10) -592遺伝子多型の解析
<1>PCR法による増幅反応
ヒト白血球からフェノール・クロロフォルム法により抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件によりIL-10-592遺伝子多型を解析した。なお、反応は反応液a、bとも同じ条件で同時に行った。

試薬
以下の試薬を含む25μl溶液を2種類調製した。
Taq DNAポリメラーゼ反応液a
オリゴ1 5 pmol
オリゴ2 5 pmol
×10緩衝液 2.5 μl
2mM dNTP 2.5 μl
25 mM MgCl3.8 μl
Taq DNAポリメラーゼ 1.25 U
抽出DNA溶液 20 ng
Taq DNAポリメラーゼ反応液b
オリゴ1 5 pmol
オリゴ3 5 pmol
×10緩衝液 2.5 μl
2mM dNTP 2.5 μl
25 mM MgCl 3.5 μl
Taq DNAポリメラーゼ 1.25 U
抽出DNA溶液 20 ng

増幅条件(aおよびb)
95℃・5分
95℃・30秒、67℃・30秒、72℃、30秒(35サイクル)
72℃・2分。
<2>ポリアクリルアミドゲル電気泳動による検出
<1>のa,bそれぞれの増幅反応液5μlを5%ポリアクリルアミドゲルにアプライしATTO社電気泳動装置で150V-30分間電気泳動を行った。結果は図1に示す。
<3>核酸特異的結合物質による検出
<1>のa,bそれぞれの増幅反応液3μlを30000倍に希釈されたSYBR(登録商標)GreenI(Invitrogen社製)の溶液100μlに加えて、室温にて攪拌後に暗室中で蛍光プレートリーダー(大日本製薬社製)で蛍光強度量を測定した。所要時間は約15分であった。
得られた蛍光強度から、以下の計算式を用いて試料の蛍光強度量を算出した。算出した値より良好な型分け性能が得られていることが確認できた。以上によりオリゴ1〜3を用いることで容易且つ迅速にIL-10遺伝子-592の多型を判定することが出来た。
FL(試料の蛍光強度)=FLs-FLb (式1)
FLb:Negative Control (試料が未添加)の蛍光強度
FLs:各試料の蛍光強度
Figure 2007068429
(実施例2) Interleukin 10 (IL-10) -819遺伝子多型の検出
(1)IL-10遺伝子 -819の多型を検出するオリゴヌクレオチドの合成
パーキンエルマー社製DNAシンセサイザー392型を用いて、ホスホアミダイト法にて、配列番号4〜6に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド(以下、オリゴ4〜6と示す)を合成した。合成はマニュアルに従い、各種オリゴヌクレオチドの脱保護はアンモニア水で55℃、一夜実施した。オリゴヌクレオチドの精製はパーキンエルマー社OPCカラムにて実施した。もしくはDNA合成受託会社((株)日本バイオサービス、プロリゴ・ジャパン(株)、オペロン バイオテクノロジー(株)等)に依頼した。
オリゴ4 5’-GCT CCT TTA CCC CGA TTT CAT TA -3’
オリゴ5 5’-GTG TAC CCT TGT ACA GGT GAT GTA TTA -3’
オリゴ6 5’-TAC CCT TGT ACA GGT GAT GTA GCA -3’
オリゴ4はIL-10遺伝子の-819番目の多型を検出するためのものである。このオリゴは野生型、多型何れも増幅することが可能なオリゴである。なお、オリゴは必要により標識して使用される。
オリゴ5および6はIL-10遺伝子の-819番目の多型を検出するためのものである。オリゴ5は野生型(T)を検出するためのオリゴヌクレオチドで3’末端から2番目に野生型(T)のヌクレオチド配列、および3番目に人為的ミスマッチを有し、オリゴ6は多型(C)を検出するためのオリゴヌクレオチドで3’末端から2番目に多型(C)のヌクレオチド配列、および3番目に人為的ミスマッチを有し、これらはオリゴ4と組み合わせて増幅反応のオリゴヌクレオチドとして使用される。なお、これらのオリゴは必要により標識して使用される。
また、本実施例での、オリゴ5および6の各オリゴヌクレオチドは3’末端から3番目に人為的ミスマッチを導入したが、ミスマッチ位置はこれに限定されるものではない。さらにはこれ以外に数カ所(1〜5箇所程度でプライマーの全体長による(特に5’末端))のミスマッチが導入されていても良い。
さらに、オリゴ4からオリゴ6の各オリゴヌクレオチドは伸長反応の有無を検出するのに適当な長さ等を基準に決めたものであって、対象となる遺伝子の適当な部分に対応するものであれば、本実施例の配列に限定されるものではない。
(2)Interleukin 10 (IL-10) -819遺伝子多型の解析
<1>PCR法による増幅反応
ヒト白血球からフェノール・クロロフォルム法により抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件によりIL-10-819遺伝子多型を解析した。なお、反応は反応液c、dとも同じ条件で同時に行った。
試薬
以下の試薬を含む25μl溶液を2種類調製した。
Taq DNAポリメラーゼ反応液c
オリゴ4 5 pmol
オリゴ5 5 pmol
×10緩衝液 2.5 μl
2mM dNTP 2.5 μl
25 mM MgCl 3.0 μl
Taq DNAポリメラーゼ 1.25 U
抽出DNA溶液 20 ng
Taq DNAポリメラーゼ反応液d
オリゴ4 5 pmol
オリゴ6 5 pmol
×10緩衝液 2.5 μl
2mM dNTP 2.5 μl
25 mM MgCl 3.3μl
Taq DNAポリメラーゼ 1.25 U
抽出DNA溶液 20 ng
増幅条件(cおよびd)
95℃・5分
95℃・30秒、67℃・30秒、72℃、30秒(35サイクル)
72℃・2分。
<2>ポリアクリルアミドゲル電気泳動による検出
<1>のc,dそれぞれの増幅反応液5μlを5%ポリアクリルアミドゲルにアプライしATTO社電気泳動装置で150V-30分間電気泳動を行った。結果は図2に示す。
<3>核酸特異的結合物質による検出
<1>のc,dそれぞれの増幅反応液3μlを30000倍に希釈されたSYBR(登録商標)GreenI(Invitrogen社製)の溶液100μlに加えて、室温にて攪拌後に暗室中で蛍光プレートリーダー(大日本製薬社製)で蛍光強度量を測定した。所要時間は約15分であった。
得られた蛍光強度から、以下の計算式を用いて試料の蛍光強度量を算出した。算出した値より良好な型分け性能が得られていることが確認できた。以上によりオリゴ4〜6を用いることで容易且つ迅速にIL-10遺伝子-819の多型を判定することが出来た。
FL(試料の蛍光強度)=FLs-FLb (式1)
FLb:Negative Control (試料が未添加)の蛍光強度
FLs:各試料の蛍光強度
Figure 2007068429
(実施例3) Interleukin 10 (IL-10) -1082遺伝子多型の検出
(1)IL-10遺伝子-1082の多型を検出するオリゴヌクレオチドの合成
パーキンエルマー社製DNAシンセサイザー392型を用いて、ホスホアミダイト法にて、配列番号4および7,8に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド(以下、オリゴ1および7,8と示す)を合成した。合成はマニュアルに従い、各種オリゴヌクレオチドの脱保護はアンモニア水で55℃、一夜実施した。オリゴヌクレオチドの精製はパーキンエルマー社OPCカラムにて実施した。もしくはDNA合成受託会社((株)日本バイオサービス、プロリゴ・ジャパン(株)、オペロン バイオテクノロジー(株)等)に依頼した。
オリゴ4 5’- GCT CCT TTA CCC CGA TTT CAT TA -3’
オリゴ7 5’- CTA CTA AGG CTT CTT TGG GCA G -3’
オリゴ8 5’- CTA CTA AGG CTT CTT TGG GTG G -3’
オリゴ4はIL-10遺伝子の-1082番目の多型を検出するためのものである。このオリゴは野生型、多型何れも増幅することが可能なオリゴである。なお、オリゴは必要により標識して使用される。
オリゴ7、8はIL-10遺伝子の-1082番目の多型を検出するためのものである。オリゴ7は野生型(A)を検出するためのオリゴヌクレオチドで3’末端から2番目に野生型(A)のヌクレオチド配列、および3番目に人為的ミスマッチを有し、オリゴ8は多型(G)を検出するためのオリゴヌクレオチドで3’末端から2番目に多型(G)のヌクレオチド配列、および3番目に人為的ミスマッチを有し、これらはオリゴ4と組み合わせて増幅反応のオリゴヌクレオチドとして使用される。なお、これらのオリゴは必要により標識して使用される。
また、本実施例での、オリゴ7、8の各オリゴヌクレオチドは3’末端から3番目に人為的ミスマッチを導入したが、ミスマッチの位置はこれに限定されるものではない。さらにはこれ以外に数カ所(1〜5箇所程度でプライマーの全体長による(特に5’末端))のミスマッチが導入されていても良い。
さらに、オリゴ4および7、8の各オリゴヌクレオチドは伸長反応の有無を検出するのに適当な長さ等を基準に決めたものであって、対象となる遺伝子の適当な部分に対応するものであれば、本実施例の配列に限定されるものではない。
(2)Interleukin 10 (IL-10) -1082遺伝子多型の解析
<1>PCR法による増幅反応
ヒト白血球からフェノール・クロロフォルム法により抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件によりIL-10-1082遺伝子多型を解析した。なお、反応は反応液e、fとも同じ条件で同時に行った。
試薬
以下の試薬を含む25μl溶液を4種類調製した。なお、組み合わせはe,fとした。
Taq DNAポリメラーゼ反応液e
オリゴ4 5.0 pmol
オリゴ7 5.0 pmol
×10緩衝液 2.5 μl
2mM dNTP 2.5 μl
25 mM MgCl 3.5 μl
Taq DNAポリメラーゼ 1.25 U
抽出DNA溶液 20 ng
Taq DNAポリメラーゼ反応液f
オリゴ4 5.0 pmol
オリゴ8 5.0 pmol
×10緩衝液 2.5 μl
2mM dNTP 2.5 μl
25 mM MgCl 3.3μl
Taq DNAポリメラーゼ 1.25 U
抽出DNA溶液 20 ng
増幅条件(e、f)
95℃・5分
95℃・30秒、67℃・30秒、72℃、30秒(35サイクル)
72℃・2分。
<2>ポリアクリルアミドゲル電気泳動による検出
<1>のe、fの増幅反応液5μlを5%ポリアクリルアミドゲルにアプライしATTO社電気泳動装置で150V-30分間電気泳動を行った。結果は図3に示す。
<3>核酸特異的結合物質による検出
<1>のe、fそれぞれの増幅反応液3μlを30000倍に希釈されたSYBR (登録商標)GreenI(Invitrogen社製)の溶液100μlに加えて、室温にて攪拌後に暗室中で蛍光プレートリーダー(大日本製薬社製)で蛍光強度量を測定した。所要時間は約15分であった。得られた蛍光強度から、以下の計算式を用いて試料の蛍光強度量を算出した。算出した値より良好な型分け性能が得られていることが確認できた。以上によりオリゴ4,7,8を用いることで容易且つ迅速にIL-10遺伝子-1082の多型を判定することが出来た。
FL(試料の蛍光強度)=FLs-FLb (式1)
FLs:各試料の蛍光強度
FLb:Negative Control (試料が未添加)の蛍光強度
Figure 2007068429
(実施例4) Interleukin 10 (IL-10)プロモータ領域の遺伝子多型と疾患との関連
予めインフォームドコンセントによって同意を得た患者(胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌)より得られたDNA試料と健常者より得られたDNA試料(164例)を用いてIL-10プロモータ領域の遺伝的多型(-592、-819, -1082)の検出を行なった。
結果を以下の表5〜8に示す。
表5は胃潰瘍患者についての結果を示す。
表6は十二指腸潰瘍患者についての結果を示す。
表7は胃癌患者についての結果を示す。
表8は複数のハプロタイプについてのオッズ比(OR)を示す。
Figure 2007068429
Figure 2007068429
Figure 2007068429
Figure 2007068429
上記表の結果から、1つ以上の多型を同時に有する場合、胃癌の危険度は上昇することが確認された。
本発明により、被験体から核酸試料を得、前記試料中で、IL-10遺伝子のプロモータ領域に存在する多型を検出することによって、被験体が消化器系疾患を有するか又は発生素因があるかを判定することができる。特に、胃癌の予防医学的診断ができることからも、産業界に大きく寄与することが期待される。
実施例1の増幅反応液のポリアクリルアミドゲル電気泳動結果。 実施例2の増幅反応液のポリアクリルアミドゲル電気泳動結果。 実施例3の増幅反応液のポリアクリルアミドゲル電気泳動結果。

Claims (21)

  1. 被験体が消化器系疾患の発生素因があるかを判定する方法であって、該被験体のIL-10遺伝子のプロモータ領域に存在する多型を検出することを特徴とする消化器系疾患罹患可能性の判定方法。
  2. 被験体が消化器系疾患の発生素因があるかを判定する方法であって、該被験体のIL-10遺伝子からの転写産物量及び/又はIL-10の発現量を測定することを特徴とする消化器系疾患罹患可能性の判定方法。
  3. 消化器系疾患が、胃癌、胃潰瘍および十二指腸潰瘍からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の判定方法。
  4. 検出される多型箇所がIL-10遺伝子のプロモータ領域に存在する、-592、-819及び/又は-1082番目であることを特徴とする請求項1記載の判定方法。
  5. IL-10遺伝子のプロモータ領域に存在する多型を検出する方法が、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、電気泳動サイズ分析、シークエンス法、5’端ヌクレアーゼ消化、一本鎖コンホメーション多型、プライマー特異的伸長法、オリゴヌクレオチド連結アッセイ、Cleavageを用いたアッセイ、熱溶出クロマトグラフ、融解曲線分析法、Taqmanアッセイ法及び遺伝子増幅法より選ばれることを特徴とする請求項1又は4に記載の判定方法。
  6. 遺伝子増幅法が、PCR、NASBA、LCR、SDA、RCRおよびTMAよりなる群から選ばれることを特徴とする請求項5に記載の判定方法。
  7. 遺伝子増幅法がPCRであり、該PCRに用いられるDNAポリメラーゼが3’エキソヌクレアーゼ活性を有することを特徴とする請求項6に記載の判定方法。
  8. 3’末端より1番目の塩基が多型の予想されるヌクレオチドに対応するプライマーを遺伝子増幅法に用いることを特徴とする請求項5,6又は7に記載の判定方法。
  9. 3’末端より2番目の塩基が多型の予想されるヌクレオチドに対応するプライマーを遺伝子増幅法に用いることを特徴とする請求項5,6又は7に記載の判定方法。
  10. プライマーの3’末端より3から5番目の少なくとも1種の塩基が相補的でない塩基に置換されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の判定方法。
  11. 被験体が消化器系疾患の発生素因があるかを判定する方法であって、該被験体のIL-10遺伝子のプロモータ領域に存在する、-592、-819及び/又は-1082番目の多型を、配列番号1〜8に示される配列またはこれに相補的な配列のうち連続した少なくとも15塩基を含んだ少なくとも一つを、プライマーまたはプローブとして用いることを特徴とする判定方法
  12. 配列番号1、4に示される配列またはこれに相補的な配列のうち、連続した少なくとも15塩基を含んだ少なくとも一つをIL-10遺伝子のプロモータ領域の野生型および変異型の共通のプライマー(フォワードプライマー)として用いることを特徴とする請求項11に記載の判定方法。
  13. 配列番号2、5及び7に示される配列またはこれに相補的な配列のうち、連続した少なくとも15塩基を含んだ少なくとも一つを、IL-10遺伝子のプロモータ領域の野生型のプライマー(リバースプライマー)もしくはプローブとして用いることを特徴とする請求項11に記載の判定方法。
  14. 配列番号3、6、8に示される配列またはこれに相補的な配列のうち、連続した少なくとも15塩基を含んだ少なくとも一つを、IL-10遺伝子のプロモータ領域の多型のプライマー(変異型のリバースプライマー)もしくはプローブとして用いることを特徴とする請求項11に記載の判定方法。
  15. プライマーの3’末端から2番目のヌクレオチドが、IL-10遺伝子のプロモータ領域の多型部位に対応するように設計されていることを特徴とする請求項13または14に記載の判定方法。
  16. プライマーの3’末端のヌクレオチドが、IL-10遺伝子のプロモータ領域の多型部位に対応するように設計されていることを特徴とする請求項13又は14に記載の判定方法。
  17. プライマーの3’末端より3から5番目の少なくとも1種の塩基が相補的でない塩基に置換されていることを特徴とする請求項13又は14に記載の判定方法。
  18. 被験体が消化器系疾患の発生素因があるかを判定するキットであって、IL-10のプロモータ領域の多型を検出することを特徴とする消化器系疾患罹患判定用キット。
  19. 検出されるIL-10 のプロモータ領域の多型が-592、-819、-1082番目である、請求項18に記載のキット。
  20. 被験体が消化器系疾患の発生素因があるかを判定するキットであって、配列表・配列番号1〜8に示される配列またはこれに相補的な配列のうち連続した少なくとも15塩基を含んだ少なくとも一つのオリゴヌクレオチド配列をプライマー又はプローブとして含むことを特徴とするキット。
  21. 消化器系疾患が、胃癌、胃潰瘍および十二指腸潰瘍からなる群から選択されることを特徴とする、請求項18〜20のいずれかに記載のキット。
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