JP4706223B2 - 塩基多型の同定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、核酸配列の変異または多型の同定方法に関する。本発明は、遺伝病の診断、塩基多型解析、薬理ゲノム研究等に際して特に有用である。
本発明において、塩基多型とは野生型とは異なる塩基配列を有することをいう。遺伝子の塩基多型は薬物代謝において副作用および治療失敗の発生において個体間変動の原因として重要な役割を果たし、体質として知られる基礎代謝等の個人差の原因としても知られている。その上、これらは多数の疾患の遺伝マーカーとしての働きもする。それゆえ、これら突然変異の解明は臨床的に重要であり、ルーチンの表現型分類が臨床研究における精神医学患者および自発志願者にとって特に推奨される(GramおよびBrsen, European Consensus Conference on Pharmacogenetics. Commission of the European Communities, Luxembourg, 1990, 第87〜96頁; Balantら、 Eur. J. Clin. Pharmacol. 第36巻、第551〜554頁、(1989))。また、原因となる変異型遺伝子の同定に続くそれぞれの遺伝子型の検出用の核酸配列分析法が所望される。
従来の核酸配列分析技術としては、例えば核酸配列決定法(シークエンシング法)がある。核酸配列決定法は核酸配列中に含まれる塩基多型を検出、同定することができるが、鋳型核酸の調製、DNAポリメラーゼ反応、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、核酸配列の解析等を行うため多大な労力と時間が必要である。また近年の自動シークエンサーを用いることで省力化は行うことができるが、高価な装置が必要であるという問題がある。
一方、遺伝子の点突然変異により引き起こされる遺伝病が種々知られており、それらの中には、遺伝子のどの部位がどのように点突然変異することにより遺伝病が引き起こされるかわかっているものも少なくない。
このような予想される点突然変異を検出する方法として、従来より、PCR(polymerase chain reaction)法(例えば特許文献1、および特許文献2参照)などの遺伝子増幅法を利用した遺伝子の点突然変異の検出方法が知られている。この方法では、遺伝子増幅法に用いる一対のオリゴヌクレオチドのうちの一方のオリゴヌクレオチドとして、野生型遺伝子の増幅領域の端部領域に完全に相補的な野生型用オリゴヌクレオチドと、変異型遺伝子の増幅領域の端部領域に完全に相補的な変異型用オリゴヌクレオチドとを用いる。変異型のオリゴヌクレオチドは、その3’末端が予想される点突然変異を起こしたヌクレオチドに相補的なヌクレオチドになっている。このような野生型及び変異型用オリゴヌクレオチドをそれぞれ別個に用いて試料遺伝子を遺伝子増幅法に供する。
また、3’末端から2番目に、予想される点突然変異を起こしたヌクレオチドに相補的なヌクレオチドになるオリゴヌクレオチドを用いる方法も知られている(例えば特許文献3)。
試料遺伝子が野生型であれば、野生型用オリゴヌクレオチドを用いた場合には核酸の増幅が起きるが、変異型用オリゴヌクレオチドを用いた場合には、オリゴヌクレオチドの3’末端が試料遺伝子の対応ヌクレオチドと相補的ではない(ミスマッチ)ので伸長反応が起きず、核酸の増幅は起きない。一方、試料遺伝子が変異型であれば、逆に、野生型用オリゴヌクレオチドを用いた場合には増幅が起きず、変異型用オリゴヌクレオチドを用いた場合に増幅が起きる。従って、各オリゴヌクレオチドを用いた場合に増幅が起きるか否かを調べることにより、試料遺伝子が野生型か変異型かを判別することができ、それによって試料遺伝子中の点突然変異を同定することができる。
この時、増幅がおきたか否かを調べる方法として、増幅産物をアガロースゲル電気泳動した後、エチジウムブロマイド等の核酸特異的結合蛍光試薬を用いて染色の後、UV照射して増幅核酸の有無を検出できる。またほかの様式として、ナイロン膜上に増幅核酸を固定し、標識プローブを用いて検出するサザンブロット法、個体担体上に固定した補足プローブで捕捉した後検出プローブを作用させて検出するサンドイッチハイブリダイゼーション法などが開発されてきた。
また、プローブのハイブリッド形成の検出に蛍光強度を直接検出するのではなく、蛍光共鳴エネルギー移動(Fluorescence Resonance Energy Transfer; FRET)の方法を利用していた方法も開発されている。蛍光共鳴エネルギー移動は、ドナー蛍光体と消光剤色素(蛍光体でも、蛍光体でなくてもよい。)の間で発生し、一方(消光剤)の吸収スペクトルがもう一方(ドナー)の発光スペクトルとオーバーラップし、この2つの色素が近接したときに発生する。これらの特性を有する色素は、ドナー/消光剤色素対またはエネルギー移動色素対と呼ばれる。
ドナー蛍光体の励起状態エネルギーは、共鳴双極子により引き起こされる双極子相互作用により、近くの消光剤に移動される。その結果、ドナー蛍光体の消光が起こる。場合によっては、消光剤も蛍光体の場合、その蛍光強度が増強されることもある。エネルギー移動効率は、ドナーと消光剤の距離に高度に依存しており、これらの関係を予測する式がForster(1948. Ann. Phys.2, 55-75)により開発されている。エネルギー移動効率が50%であるドナーと消光剤色素の距離はForster距離(Ro)と呼ばれる。蛍光消光の機序として他に、例えば、電荷移動消光および衝突消光等がある。
近接する2つの色素の相互作用により消光を引き起こすことに基づくエネルギー移動とその他の機序は、均一方式で実施できるため、ヌクレオチド配列を検出または同定する魅力的な手段である。均一分析方式は、1つの蛍光体標識の蛍光の検出に基づく従来のプローブハイブリッド形成分析法よりも簡単である。なぜならば、一般に、不均一分析はハイブリッド形成していない遊離標識からハイブリッド形成した標識を分離する更なるステップを必要とするからである。
典型的には、FRETおよび関連方法は、2つの相補的オリゴヌクレオチドがハイブリッド形成により結合された時に、一方または両方の色素標識の蛍光特性の変化を監視することに基づくものである。この方式において、蛍光特性の変化は、エネルギー移動量の変化として、あるいは蛍光消光量の変化として測定され、典型的には、一方の色素の蛍光強度の増加として示される。
この方法においては、ハイブリッド形成しないオリゴヌクレオチドとハイブリッド形成したオリゴヌクレオチドを分離せずに、目的のヌクレオチド配列を検出することが可能である。一方はドナー蛍光体で、もう一方は消光剤で標識された2つの別々の相補的オリゴヌクレオチドの間でハイブリッド形成を生じることができる。この時一方のオリゴヌクレオチドを塩基多型特異的配列を有する場合多型特異的にFRETシグナルが得られることで塩基多型の同定が可能となる。
FRETハイブリッド形成分析法に関する幾つかの方式が、Nonisotopic DNA Probe Techniques(1992. Academic Press, Inc., pags. 311-352)に概説されている。あるいは、オリゴヌクレオチドがハイブリッド形成していない場合と、相補的配列とハイブリッド形成した場合とで、一方または両方の蛍光特性に検出可能な差が生じるように、ドナーと消光剤を1つのオリゴヌクレオチドに結合させることができる。
この方式においては、典型的には、オリゴヌクレオチドがハイブリッド形成するとドナー蛍光は増加し、エネルギー移動/消光は減少する。例えば、両端に標識された自己相補的オリゴヌクレオチドがヘアピン構造を形成すると、これによって2つの蛍光体(即ち、5’末端と3’末端)が近接し、エネルギー移動と消光が起こる。自己相補的オリゴヌクレオチドと第二のオリゴヌクレオチドの中の相補的配列がハイブリッド形成すると、ヘアピン構造は破壊され、2つの色素間距離が拡大するため消光は減少する。
ヘアピン構造の欠点は、安定性が非常に高く、非消光ハイブリッド形成型への変換がしばしば遅く、僅かにそちらに偏るだけで、一般的に性能は低い。
TyagiおよびKramer(1996.Nature Biotech.14, 303-308)は、ステムを形成するヘアピン構造の自己相補的アームの間のループ中に検出配列を含む上記の様に標識されたヘアピン構造を報告している。塩基対合したステムは、検出配列が標的とハイブリッド形成し、消光の減少を引き起こすためには融解しなくてはならない。「二重ヘアピン」プローブとそれを利用する方法が、B. Bagwell, et al. (1994. Nucl. Acids Res. 22, 2424-2425;米国特許No.5,607,834)に報告されている。これらの構造はヘアピン構造内に標的結合配列を含んでおり、従って、標的とヘアピン構造の自己相補的配列との間に競合的ハイブリッド形成が関与している。Bagwellは、ミスマッチによりヘアピン構造を不安定化させることにより、不利なハイブリッド形成速度論の問題を解決している。
標的結合配列に塩基多型特異的配列を選択することでこの方法を用いて塩基多型の同定が可能であるが、一般的に1塩基の違いをオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション法により見分けるためには厳密なハイブリダイゼーション条件の設定が必要となる。
核酸増幅を検出するためにエネルギー移動またはその他の蛍光消光の機序を利用する均一方法も報告されている。L. G. Lee, et al. (1993. Nuc. Acids Res.21, 3761-3766)は、PCR中に標的増幅に特異的に二重標識検出プローブが切断されるリアルタイム検出方法を開示している。検出プローブが増幅プライマーの下流でハイブリッド形成されると、Taqポリメラーゼの5’−3’エキソヌクレアーゼ活性が検出プローブを消化し、エネルギー移動対を形成する2つの蛍光色素を分離する。
この方法においても二重標識検出プローブを塩基多型特異的プローブとすることで塩基多型の同定が可能である。
上記のような方法により増幅核酸を検出し、容易に多型を同定が行えるように思われるが、実際には、従来の方法では操作は煩雑であり、検出値を数値化することが困難であり、その為に野生型シグナルと多型シグナルの比をとると言った解析が困難となり、正確な多型を同定するには多大な作業が必要であった。
たとえば電気泳動法によれば野生型及び多型を別々に検出する必要がありまた泳動像から核酸量を正確に数値化することは困難である。またサザンブロット法やサンドイッチハイブリダイゼーション法ではプローブとのハイブリダイゼーション反応が必要であり、その条件を厳密に整える必要がある。更には過剰なプローブを除去する工程が必要であり、操作は非常に煩雑である。
またFRETを用いた方法は均一分析が可能であり過剰なプローブの除去等が不必要で検出が容易になっているが、各多型特異的に、異なる標識を付与した2本のオリゴヌクレオチドプローブが必要であったり、2重標識プローブが必要である。
特公平4−67960号公報 特公平4−67957号公報 国際公開WO01/042498パンフレット
本発明の目的は、上記のような課題を解決して、明確にかつ再現性よく核酸配列中の多型を検出することができる方法及びそのための試薬を提供することである。
本発明者らは、上記事情に鑑み、鋭意研究の結果、3’末端から5番目までの塩基のうち、少なくとも一つの塩基がDNA型塩基またはRNA型塩基と相互作用のない置換基に置換されていることを特徴とする野生型検出用オリゴヌクレオチド及び1種又は2種の変異型検出用オリゴヌクレオチドを同時に又は別々に反応させることにより煩雑な検出操作や高価な標識プローブを多数必要とせず、オリゴヌクレオチドの設計も容易であり、また容易に数値化したデータが得られ、したがって明確な多型同定が可能となる方法を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のような構成からなる。
(1) 試料中に含まれる特定の塩基多型部位を含む核酸配列に対し、3’末端から5番目までの塩基のうち、少なくとも一つの塩基がDNA型塩基またはRNA型塩基と相互作用のない置換基に置換されていることを特徴とする野生型検出用オリゴヌクレオチド及び1種又は2種の変異型検出用オリゴヌクレオチドを同時に又は別々に反応させることにより塩基多型を同定する方法。
(2) 試料中に含まれる特定の塩基多型部位を含む核酸配列に対し、3’末端から5番目までの塩基のうち、少なくとも一つの塩基がDNA型塩基またはRNA型塩基と相互作用のない置換基に置換されていることを特徴とする野生型検出用オリゴヌクレオチド及び1種又は2種の変異型検出用オリゴヌクレオチドを同時に又は別々に反応させ、多型特異的伸長反応を行うことを特徴とする(1)記載の塩基多型を同定する方法
(3) DNA型塩基またはRNA型塩基と相互作用のない置換基に置換された部位が塩基多型部位に隣接していることを特徴とする(1)または(2)記載の塩基多型を同定する方法。
(4) オリゴヌクレオチドの3’末端から5番目までの塩基が多型部位の塩基と相補的であることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の塩基多型を同定する方法。
(5) オリゴヌクレオチドが予め標識されていることを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載の塩基多型を同定する方法。
(6) 標識が抗原、抗体、蛍光物質、発光団および酵素よりなる群から選ばれたいずれかである(5)記載の塩基多型を同定する方法。
(7) 塩基多型部位を含む核酸配列が予め増幅されていることを特徴とする(1)〜(6)いずれかに記載の塩基多型を同定する方法。
(8) 増幅反応がPCR、NASBA、LCR、SDA、RCRおよびTMAよりなる群から選ばれたいずれかの方法であることを特徴とする(7)記載の方法。
(9) 野生型検出用オリゴヌクレオチド及び1種又は2種の変異型検出用オリゴヌクレオチドをプライマーとして同時に又は別々に作用させ、多型特異的に伸長反応を行った後、伸長生成物に核酸特異的標識を作用させ、多型特異的伸長産物を検出することを特徴とする(1)〜(4)記載の塩基多型を同定する方法。
(10) 核酸特異標識が2本鎖核酸特異的であることを特徴とする(8)記載の塩基多型の同定方法。
(11) 核酸特異標識が蛍光色素であることを特徴とする(9)又は(10)記載の塩基多型の同定方法。
(12) 少なくとも1つが標識された野生型検出用オリゴヌクレオチド及び1種又は2種の変異型検出用オリゴヌクレオチドをプライマーとして同時に又は別々に作用させ、多型特異的に伸長反応を行った後、伸長生成物に核酸特異的標識を作用させ、核酸特異的標識と標識オリゴヌクレオチドとの相互作用によって多型特異的伸長産物を検出することを特徴とする(1)〜(6)記載の塩基多型を同定する方法。
(13) 相互作用が蛍光共鳴エネルギー移動であることを特徴とする(12)に記載の塩基多型を同定する方法。
(14) 少なくとも一つが標識されている野生型用オリゴヌクレオチド及び1種又は2種の変異型用オリゴヌクレオチドを用いて多型特異的増幅反応を行い、増幅反応中及びまたは反応後に測定することを特徴とする(12)〜(13)のいずれかに記載の方法。
(15) 3’末端から5番目までの塩基のうち、少なくとも一つの塩基がDNA型塩基またはRNA型塩基と相互作用のない置換基に置換されていることを特徴とする野生型検出用オリゴヌクレオチド及び1種又は2種の変異型検出用オリゴヌクレオチド、ポリメラーゼ、核酸特異標識を含む、塩基多型を同定するキット。
一定量のオリゴヌクレオチドを用いて、塩基特異的増幅反応を行い、増幅反応物質に核酸特異的標識を作用させることによって、煩雑な操作を経ることなく、容易にかつ迅速に標的核酸遺伝子多型を明確に判定することができる。また、プライマーの設計の自由度が広がり、さらには増幅条件を幅広くとることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。試料中に含まれる特定の塩基多型部位を含む染色体又はその断片は、目的の遺伝子の情報を担う塩基多型部位を含む標的核酸であれば、特に制限されない。該標的核酸の例としては、Alu配列、蛋白質をコードする遺伝子のエキソンやイントロン、プロモーターなどが例示できる。より具体的には、遺伝病を含む各種疾患、薬物代謝、生活習慣病(高血圧、糖尿病等)に関連する遺伝子が挙げられる。例えば、高血圧としてACE(Angiotensin I Converting Enzyme)遺伝子が挙げられる。
本発明において、核酸配列を単に核酸ということがある。変異型核酸とは、野生型核酸のうち少なくとも1つ、好ましくは1つのヌクレオチドが点突然変異して他のヌクレオチドに置換されているものや、野生型核酸の一部に挿入、欠失配列等を含む核酸のことであり、どの部位のヌクレオチドが変異しているかが解明されているものである。このような塩基多型により体質等が異なっていることが解明されてきており、本発明の方法は試料中の核酸がこのような予想される変異を有しているか否かを検査する方法である。
本発明において、野生型オリゴヌクレオチドと変異型オリゴヌクレオチドを作用させる反応とは一般的に、一本鎖に変性した標的核酸にオリゴヌクレオチド、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)とDNAポリメラーゼを作用させることで、標的核酸を鋳型とするオリゴヌクレオチド伸長反応が起こり核酸配列の相補鎖が合成される反応を含む。
本発明において、野生型用オリゴヌクレオチドとは、通常の表現型を有している塩基多型部位を含む染色体又はその断片に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドであって、変異型用オリゴヌクレオチドとは、野生型とは異なる配列を有している塩基多型部位を含む染色体又はその断片に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドである。
本発明に用いられる上記オリゴヌクレオチドは、野生型または変異型用オリゴヌクレオチドの3’末端もしくは3‘末端から5番目までのヌクレオチドが野生型配列または変異型配列のヌクレオチドと対応するように設計され、変異箇所に隣接した塩基が非DNA型塩基または非RNA型塩基に置換されている。このように設計した場合野生型用オリゴヌクレオチド/野生型核酸及び変異型用オリゴヌクレオチド/変異型核酸の組合せにおいて、伸長反応は生じる。一方、野生型用オリゴヌクレオチド/変異型核酸及び変異型用オリゴヌクレオチド/野生型核酸の組合せにおいては伸長反応が生じない。
本発明におけるオリゴヌクレオチドの長さとしては、13〜35塩基、好ましくは、16〜30塩基であり、上記一塩基変異部位は、該オリゴヌクレオチド中に少なくとも1つ存在する。また、その位置は、3’末端から5番目までのいずれかであれば、特に限定されないが、好ましくは、3’末端から2番目までの位置、より好ましくは、3’末端から2番目が好ましい。また導入される非DNA型塩基または非RNA型塩基はオリゴヌクレオチドの3’末端から5番目までのいずれかであれば、特に限定されないが、好ましくは、3’末端から3番目までの位置、より好ましくは、3’末端から3番目が好ましい。
3‘末端から3番目にDNA型塩基またはRNA型塩基と相互作用のない置換基を用いた場合、伸長反応を期待しない核酸配列を鋳型とした時には、塩基多型部位と併せて2塩基のミスマッチとなり、伸長反応が強く阻害される。
本発明で言うDNA型塩基またはRNA型塩基と相互作用のない置換基とは、自然界のDNAまたはRNAの構成単位であるアデニン(A)、シトシン(C)、チミン(T)、グアニン(G)のいずれとも相補鎖を構成しない置換基である。DNA型塩基またはRNA型塩基と相互作用のない置換基は、A,C,T,Gのいずれとも相互作用がないものであれば特に限定されるものではなく、糖の1’位にアルキル基やアリール基、各ヘテロ環化合物残基を導入することができ、これらの誘導体であっても良い。これらは、アミノ基をなくしたり、その立体的な位置を変える、含窒素環の場合はその窒素原子を炭素や他の複素原子に変えたり、その立体的な位置を変える、さらには、窒素原子部分がアルキル基やハロゲン等で置換するなどの思想の元に、特に制限なく各種のものを採用することができる。但し、隣接のオリゴヌクレオチドの相補鎖の構成を妨げない程度の大きさの置換基(たとえば分子量40〜300程度、特には50〜250程度)であることが好ましい。
DNA型塩基またはRNA型塩基と相互作用のない置換基は、合成の容易性等を考慮すると、非DNA型塩基または非RNA型塩基であることが好ましい。非DNA型塩基または非RNA型塩基自然界のDNAまたはRNAの構成単位であるアデニン、シトシン、チミン、グアニン、ウラシル以外の塩基であることを意味する。
非DNA型塩基または非RNA型塩基はアデニン、シトシン、チミン、グアニン、ウラシル以外の塩基であれば特に限定されず、また、アデニン、シトシン、チミン、グアニン、ウラシルのアミノ基部分にアルキル基やハロゲン等が置換されたものであったり、アミノ基が水素やヒドロキシル基、カルボキシル基、アルキル基等に変えられていても良く、さらには、複素環の窒素原子部分が炭素や他の複素原子に変えられているものであっても良い。中でもプリン塩基またはピリミジン塩基であることが好ましい。好適にはイノシン、ニトロインドール、dU、BrdU、BrdA、BrdG、IdU、IdC、FdU、EthenodA、PropynedC/dU、5-MethyldA/dC、6-Methyl dG/dA/dT、OxodG、7-deazadG/dA、ddCなどを用いることができる。
なお、イノシンは糖の部分も含んだものであり、本発明でいう置換基部分は正式には6−ヒドロキシプリン−9−イルであるが、ここでは、分かりやすいよう、この置換基をイノシンと表現する。上記の他の標記も糖やリン酸部を含むものも含有する場合もあるが、同様である。
非DNA型塩基または非RNA型塩基を含有するオリゴヌクレオチドは、通常のオリゴヌクレオチドの製造時に、非DNA型塩基または非RNA型塩基を含有するゴヌクレオチドを用いることで、得ることができる。
本発明においては、上記野生型用オリゴヌクレオチドと1種又は2種の変異型用オリゴヌクレオチドを、試料に別々、又は同時に作用させる。
本発明において、オリゴヌクレオチドの伸長方法は、基本的には、従来の方法を用いて行うことができる。通常、一本鎖に変性させた特定の塩基多型部位を含む染色体又はその断片に、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)及びDNAポリメラーゼと共に、野生型用オリゴヌクレオチドと、1種又は2種の変異型用オリゴヌクレオチドを同時又はそれぞれ別個に用いて作用させることで、標的核酸を鋳型としてオリゴヌクレオチドが伸長する。
該伸長反応は、Molecular Cloning, A Laboratory Manual (Sambrookら、1989)に記載の方法に従って行うことができる。また、該オリゴヌクレオチドが伸長されたか否かによって塩基多型を検出する方法において、標的核酸が検出するのに十分な量が含まれていない場合、予め前記多型配列を含む核酸断片を以下に示す増幅反応によって、増幅しておくことも可能である。
本発明において、特定の塩基多型部位を含む染色体又は断片の増幅方法も、基本的には、従来の方法を用いて行うことができ、通常、一本鎖に変性させた特定の塩基多型部位を含む染色体又はその断片に、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)及びDNAポリメラーゼ及びリバースプライマーと共に、野生型用オリゴヌクレオチドと、1種又は2種の変異型用オリゴヌクレオチド(フォーワードプライマーに相当)を同時又はそれぞれ別個に用いて作用させることで、標的核酸を鋳型としてファワードオリゴヌクレオチドとリバースオリゴヌクレオチドの間で増幅される。
核酸増幅方法としては、PCR、NASBA(Nucleic acid sequence-based amplification method;Nature 第350巻、第91頁(1991))、LCR(国際公開89/12696号公報、特開平2−2934号公報)、SDA(Strand Displacement Amplification:Nucleic acid research 第20巻、第1691頁(1992))、RCR(国際公開90/1069号公報)、TMA(Transcription mediated amplification method;J.Clin.Microbiol. 第31巻、第3270頁(1993))などが挙げられる。
なかでもPCR法は、試料核酸、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸、一対のオリゴヌクレオチド及び耐熱性DNAポリメラーゼの存在下で、変性、アニーリング、伸長の3工程からなるサイクルを繰り返すことにより、上記一対のオリゴヌクレオチドで挟まれる試料核酸の領域を指数関数的に増幅させる方法である。すなわち、変性工程で試料の核酸を変性し、続くアニーリング工程において各オリゴヌクレオチドと、それぞれに相補的な一本鎖試料核酸上の領域とをハイブリダイズさせ、続く伸長工程で、各オリゴヌクレオチドを起点としてDNAポリメラーゼの働きにより鋳型となる各一本鎖試料核酸に相補的なDNA鎖を伸長させ、二本鎖DNAとする。この1サイクルにより、1本の二本鎖DNAが2本の二本鎖DNAに増幅される。従って、このサイクルをn回繰り返せば、理論上上記一対のオリゴヌクレオチドで挟まれた試料DNAの領域は2倍に増幅される。増幅されたDNA領域は大量に存在するので、電気泳動等の方法により容易に検出できる。よって、遺伝子増幅法を用いれば、従来では検出不可能であった、極めて微量(1分子でも可)の試料核酸をも検出することが可能であり、最近非常に広く用いられている技術である。
上記のような核酸増幅法を利用した方法では、野生型核酸を増幅できる野生型検出用オリゴヌクレオチドと、変異型核酸を増幅できる変異型検出用オリゴヌクレオチドをそれぞれ別個又は同時にに用いて遺伝子増幅法を行う。
野生型検出用オリゴヌクレオチドを用いて試料核酸を伸長または増幅反応を行った場合、試料核酸が野生型であれば反応が起きるが、変異型では反応が起きない。逆に、変異型検出用オリゴヌクレオチドを用いて試料核酸を伸長または増幅反応を行った場合、試料核酸が変異型であれば反応が起きるが、野生型であれば反応は起こらない。従って、一つの試料を二つに分け、一方は野生型検出用オリゴヌクレオチドを用いて反応を行い、他方は変異型検出用オリゴヌクレオチドを用いて反応を行い、反応が起ったか否かを調べることにより、試料核酸が野生型であるか変異型であるかを明確に知ることができる。特に、ヒトを始め、高等生物は、1種類の遺伝子について、父親由来の遺伝子と母親由来の遺伝子をそれぞれ1つずつ有しているが、この方法によれば、試料遺伝子が野生型のホモか、変異型のホモか、あるいは、両方のヘテロかを区別することもできる。すなわち、ヘテロの場合には、野生型遺伝子と変異型遺伝子が共に存在するから野生型検出用オリゴヌクレオチドを用いた場合も変異型検出用オリゴヌクレオチドを用いた場合も反応が起きる。
本発明においては、標識オリゴヌクレオチドを用いるハイブリダイゼーション法にも利用できる。すなわち、標的核酸に対し、変異型特異的及び野生型特異的オリゴヌクレオチドを用意して、各オリゴヌクレオチドを同時及びまたは別々に作用させて、各オリゴヌクレオチドの標識と核酸特異的標識との相互作用を検出することで、塩基多型の同定が可能である。更には上記多型特異的オリゴヌクレオチドがハイブリダイゼーションを行う外側の配列をプライマーとして用いてPCR等の核酸増幅反応を行いながらもしくはその後に上記多型特異プローブを作用させることで塩基多型の同定が可能である。
本発明において、オリゴヌクレオチドの標識は核酸特異標識と相互作用を起こす標識であれば何でもよく、FITC,6−FAM,HEX,TET,TAMRA,テキサスレッド、Cy3、Cy5、ローダミン等があるがこの限りではない。
本発明において核酸特異標識物質は標識オリゴヌクレオチドの増幅反応によって得られた核酸に特異的に結合し、該オリゴヌクレオチドの標識と相互作用すれば何でもよく、好ましくは2本鎖核酸に特異的な標識が好ましい。2本鎖特異標識としては2本鎖にインターカーレートするサイバーグリーンI、エチジウムブロマイド、アクリジンオレンジ、チアゾールオレンジ、オキサゾールイエロー、ローダミン等があるがこの限りではない。
酵素としては、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼなどが挙げられる。 蛍光物質としては、FITC,6−FAM,HEX,TET,TAMRA,テキサスレッド、Cy3、Cy5などが挙げられる。
ハプテンとしては、ビオチン、ジゴキシゲニンなどが挙げられる。
放射性物質としては、32P、35Sなどが挙げられる。 発光団としては、ルテニウムなどが挙げられる。
該標識は、オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション及び伸長反応に影響を与えることがなければオリゴヌクレオチドのどの位置に結合させてもよい。好ましくは、5’ 部位である。
野生型用オリゴヌクレオチドと変異型用オリゴヌクレオチドに異なる標識を用いた場合には、1回で検出が可能である。
キット
本発明において、キットとしては、野生型検出用オリゴヌクレオチド及び1種又は2種の変異型検出用オリゴヌクレオチド、DNAポリメラーゼ、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)を含む塩基多型検出用試薬キットを含むものである。
増幅によって検出する場合には、更に、リバースオリゴヌクレオチドを含んでいてもよい。
また、該各オリゴヌクレオチドは、予め上述したような酵素、ビオチン、蛍光物質、ハプテン、抗原、抗体、放射性物質および発光団などによって標識されていてもよい。
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1 β3 adrenergic receptor遺伝子の塩基多型 (Trp64Arg)の検出
(1)β3 adrenergic receptor遺伝子の190番目の多型を検出するオリゴヌクレオチドの合成
パーキンエルマー社製DNAシンセサイザー392型を用いて、ホスホアミダイト法にて、配列番号1〜3に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(以下、オリゴ1〜3と示す)を合成した。合成はマニュアルに従い、各種オリゴヌクレオチドの脱保護はアンモニア水で55℃、一夜実施した。オリゴヌクレオチドの精製はパーキンエルマー社OPCカラムにて実施した。もしくはDNA合成受託会社((株)日本バイオサービス、(株)サワディー、GENSET KK、アマシャムファルマシア バイオテク(株)等)に依頼した。
オリゴ1は3’末端から2番目に野生型(T)のヌクレオチド配列、および3番目に人為的ミスマッチ(C→I)を有し、オリゴ2は3’末端から2番目に変異型(C)のヌクレオチド配列、および3番目に人為的ミスマッチ(C→I)を有し、オリゴ3がアンチセンス鎖であり、オリゴ1、2と組み合わせて増幅反応のオリゴヌクレオチドとして使用される。なお、オリゴ1、2、3は必要により標識して使用される。
オリゴ1 gtcatcgtgg ccatcgcitg
オリゴ2 gtcatcgtgg ccatcgcicg
オリゴ3 acgaacacgt tggtcatggt
(2)PCR法によるβ3 adrenergic receptor遺伝子多型の解析
<1> PCR法による増幅反応
ヒト白血球からフェノール・クロロフォルム法により抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件によりヒトβ3 adrenergic receptor遺伝子の塩基多型 (Trp64Arg)を解析した。
試薬
以下の試薬を含む25μl溶液を調製した。
Taq DNAポリメラーゼ反応液
オリゴ1および/または2 5 pmol
オリゴ3 (未標識) 5 pmol
×10緩衝液 2.5 μl
2mM dNTP 2.5 μl
25 mM MgCl 1.5 μl
Taq DNAポリメラーゼ 1.3 U
抽出DNA溶液 100 ng
増幅条件
95℃・5分
95℃・30秒、62.5℃・30秒、72℃、30秒(35サイクル)
72℃・2分。
<2>SYBR GreenIによる検出
上記<1>の増幅反応液5μlを SYBR GreenI(Molecular probes社)の溶液100μlに加えて、室温にて10分間反応させた。これによって、増幅されたヒトβ3 adrenergic receptor 遺伝子断片中にSyber Green Iが取り込まれる。
次に、暗室中で蛍光プレートリーダー(大日本製薬社)で蛍光強度量を測定した。
所要時間は数分であった。
得られた蛍光強度から、以下の計算式を用いて試料の蛍光強度量を算出した。
結果を表1に示す、また、判定結果を図1に示す。
[式1]
FL1(野生型検出用オリゴヌクレオチドを用いて得られた試料の蛍光強度)
=FLs1-FLb1
FLb1:Negative Control (試料が未添加)の励起波長:355/蛍光波長538
における蛍光強度
FLs1:各試料の励起波長:355/蛍光波長538における蛍光強度

[式2]
FL2(変異型検出用オリゴヌクレオチドを用いて得られた試料の蛍光強度)
=FLs2-FLb2
FLb2:Negative Control (試料が未添加)の励起波長:355/蛍光波長538
における蛍光強度
FLs2:各試料の励起波長:355/蛍光波長538における蛍光強度
Figure 0004706223
実施例2
N-アセチルトランスフェラーゼ2遺伝子の塩基多型(G857A)の検出
(1)N-アセチルトランスフェラーゼ2遺伝子の857番目の多型を検出するオリゴヌクレオチドの合成
パーキンエルマー社製DNAシンセサイザー392型を用いて、ホスホアミダイト法にて、
配列番号4〜6に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(以下オリゴ4〜6)を
合成した。合成はマニュアルに従い、各種オリゴヌクレオチドの脱保護はアンモニア水で55℃、一夜実施した。オリゴヌクレオチドの精製はパーキンエルマー社のOPCカラムにて実施した。これらのオリゴヌクレオチドはDNA合成受託会社((株)日本バイオサービス、(株)サワディー、プロリゴ、シグマジェノシス)へ委託合成することも可能である。
オリゴ4は3´末端から2番目に野生型(G)に相補なヌクレオチド配列および3番目にイノシンを有し、オリゴ5は3´末端から2番目に変異型(A)に相補なヌクレオチド配列および3番目にイノシンを有し、オリゴ6がセンス鎖であり、オリゴ4、5と組み合わせて増幅反応のオリゴヌクレオチドとして使用される。なおオリゴ4、5、6は必要により標識して使用される。
(2)PCR法によるN−アセチルトランスフェラーゼ2遺伝子多型の解析
<1>PCR法による増幅反応
ヒト白血球からフェノール・クロロホルム法により抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件によりN-アセチルトランスフェラーゼ2遺伝子の塩基多型(G857A)を解析した。
試薬
以下の試薬を含む25μl溶液を調製した。
オリゴ4および/または5 5pmol
オリゴ6 5pmol
×10緩衝液 2.5μl
2mM dNTPs 2.5μl
25mM MgCl2 2.5μl
Taq DNAポリメラーゼ(東洋紡績社製)1.3u
抽出DNA 100ng
増幅条件
95℃・5min
95℃・30sec.、65℃・30sec.、72℃・30sec.(35サイクル)
72℃・2min.
<2>SYBR GreenIによる検出
<2>の増幅反応液5μlをSYBR GreenI(Molecular probes社)の溶液100μlに加えて、室温にて10分間反応させた。これによって増幅されたN−アセチルトランスフェラーゼ2遺伝子断片中にSYBR GreenIが取り込まれる。
次に、暗室中で蛍光プレートリーダー(大日本製薬社製)で蛍光強度を測定した。所要時間は数分であった。
得られた蛍光強度から、前述の計算式を用いて試料の蛍光強度量を算出した。結果を表2に示す。
Figure 0004706223
実施例3
Helicobacter pyloriの23srRNA遺伝子塩基多型(A2142G)の検出
(1)Helicobacter pyloriの23srRNA遺伝子の2142番目の多型を検出するオリゴヌクレオチドの合成
パーキンエルマー社製DNAシンセサイザー392型を用いて、ホスホアミダイト法にて、
配列番号7〜9に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(以下オリゴ7〜9)を
合成した。合成はマニュアルに従い、各種オリゴヌクレオチドの脱保護はアンモニア水で55℃、一夜実施した。オリゴヌクレオチドの精製はパーキンエルマー社のOPCカラムにて実施した。これらのオリゴヌクレオチドはDNA合成受託会社((株)日本バイオサービス、(株)サワディー、プロリゴ、シグマジェノシス)へ委託合成することも可能である。
オリゴ7は3´末端から2番目に野生型(A)に相補なヌクレオチド配列および3番目にイノシンを有し、オリゴ8は3´末端から2番目に変異型(G)に相補なヌクレオチド配列および3番目にイノシンを有し、オリゴ9がセンス鎖であり、オリゴ7、8と組み合わせて増幅反応のオリゴヌクレオチドとして使用される。なおオリゴ7、8、9は必要により標識して使用される。
(2)PCR法によるHelicobacter pyloriの23srRNA遺伝子多型の解析
<1>PCR法による増幅反応
胃生検材料からフェノール・クロロホルム法により抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件によりHelicobacter pyloriの23srRNA遺伝子の2142番目の多型を解析した。
試薬
以下の試薬を含む25μl溶液を調製した。
オリゴ7および/または8 5pmol
オリゴ9 5pmol
×10緩衝液 2.5μl
2mM dNTPs 2.5μl
25mM MgCl2 2.5μl
Taq DNAポリメラーゼ(東洋紡績社製)1.3u
抽出DNA 100ng
増幅条件
95℃・5min
95℃・30sec.、65℃・30sec.、72℃・30sec.(35サイクル)
72℃・2min.
<2>SYBR GreenIによる検出
<1>の増幅反応液5μlをSYBR GreenI(Molecular probes社)の溶液100μlに加えて、室温にて10分間反応させた。これによって増幅されたHelicobacter pyloriの23srRNA遺伝子断片中にSYBR GreenIが取り込まれる。
次に、暗室中で蛍光プレートリーダー(大日本製薬社製)で蛍光強度を測定した。所要時間は数分であった。
得られた蛍光強度から、前述の計算式を用いて試料の蛍光強度量を算出した。結果を表3に示す。
Figure 0004706223
実施例4
Helicobacter pyloriの23srRNA遺伝子塩基多型(A2143G)の検出
(1)Helicobacter pyloriの23srRNA遺伝子の2143番目の多型を検出するオリゴヌクレオチドの合成
パーキンエルマー社製DNAシンセサイザー392型を用いて、ホスホアミダイト法にて、
配列番号10〜12に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(以下オリゴ10〜12)を合成した。合成はマニュアルに従い、各種オリゴヌクレオチドの脱保護はアンモニア水で55℃、一夜実施した。オリゴヌクレオチドの精製はパーキンエルマー社のOPCカラムにて実施した。これらのオリゴヌクレオチドはDNA合成受託会社((株)日本バイオサービス、(株)サワディー、プロリゴ、シグマジェノシス)へ委託合成することも可能である。
オリゴ10は3´末端から2番目に野生型(A)に対応するヌクレオチド配列および3番目にイノシンを有し、オリゴ11は3´末端から2番目に変異型(G)に対応するヌクレオチド配列および3番目にイノシンを有し、オリゴ12がアンチセンス鎖であり、オリゴ10、11と組み合わせて増幅反応のオリゴヌクレオチドとして使用される。なおオリゴ10、11、12は必要により標識して使用される。
(2)PCR法によるHelicobacter pyloriの23srRNA遺伝子多型の解析
<1>PCR法による増幅反応
胃生検材料からフェノール・クロロホルム法により抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件によりHelicobacter pyloriの23srRNA遺伝子の2143番目の多型を解析した。
試薬
以下の試薬を含む25μl溶液を調製した。
オリゴ10および/または11 5pmol
オリゴ12 5pmol
×10緩衝液 2.5μl
2mM dNTPs 2.5μl
25mM MgCl2 2.5μl
Taq DNAポリメラーゼ(東洋紡績社製)1.3u
抽出DNA 100ng
増幅条件
95℃・5min
95℃・30sec.、65℃・30sec.、72℃・30sec.(35サイクル)
72℃・2min.
<1>SYBR GreenIによる検出
<2>の増幅反応液5μlをSYBR GreenI(Molecular probes社)の溶液100μlに加えて、室温にて10分間反応させた。これによって増幅されたHelicobacter pyloriの23srRNA遺伝子断片中にSYBR GreenIが取り込まれる。
次に、暗室中で蛍光プレートリーダー(大日本製薬社製)で蛍光強度を測定した。所要時間は数分であった。
得られた蛍光強度から、前述の計算式を用いて試料の蛍光強度量を算出した。結果を表4に示す。
Figure 0004706223
実施例5
シトクロムP4502D6*2遺伝子の塩基多型(C2850T)の検出
(1)シトクロムP4502D6遺伝子の2850番目の多型を検出するオリゴヌクレオチドの合成
パーキンエルマー社製DNAシンセサイザー392型を用いて、ホスホアミダイト法にて、
配列番号13〜15に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(以下オリゴ13〜15)を合成した。合成はマニュアルに従い、各種オリゴヌクレオチドの脱保護はアンモニア水で55℃、一夜実施した。オリゴヌクレオチドの精製はパーキンエルマー社のOPCカラムにて実施した。これらのオリゴヌクレオチドはDNA合成受託会社((株)日本バイオサービス、(株)サワディー、プロリゴ、シグマジェノシス)へ委託合成することも可能である。
オリゴ13は3´末端から2番目に野生型(C)に対応するヌクレオチド配列および3番目にイノシンを有し、オリゴ14は3´末端から2番目に変異型(T)に対応するヌクレオチド配列および3番目にイノシンを有し、オリゴ15がアンチセンス鎖であり、オリゴ13、14と組み合わせて増幅反応のオリゴヌクレオチドとして使用される。なおオリゴ13、14、15は必要により標識して使用される。
(2)PCR法によるシトクロムP4502D6遺伝子多型の解析
<1>PCR法による増幅反応
ヒト白血球からフェノール・クロロホルム法により抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件によりシトクロムP4502D6遺伝子の塩基多型(C2850T)を解析した。
試薬
以下の試薬を含む25μl溶液を調製した。
オリゴ13および/または14 5pmol
オリゴ15 5pmol
×10緩衝液 2.5μl
2mM dNTPs 2.5μl
25mM MgCl2 1.5μl
Taq DNAポリメラーゼ(東洋紡績社製)1.3u
抽出DNA 100ng
増幅条件
95℃・5min
95℃・30sec.、65℃・30sec.、72℃・30sec.(35サイクル)
72℃・2min.
<2>SYBR GreenIによる検出
<1>の増幅反応液5μlをSYBR GreenI(Molecular probes社)の溶液100μlに加えて、室温にて10分間反応させた。これによって増幅されたシトクロムP4502D6遺伝子断片中にSYBR GreenIが取り込まれる。
次に、暗室中で蛍光プレートリーダー(大日本製薬社製)で蛍光強度を測定した。所要時間は数分であった。
得られた蛍光強度から、前述の計算式を用いて試料の蛍光強度量を算出した。結果を表5に示す。
Figure 0004706223
上記のように、一定量のオリゴヌクレオチドを用いて、塩基特異的増幅反応を行い、増幅反応物質に核酸特異的標識を作用させることによって、煩雑な操作を経ることなく、容易にかつ迅速に標的核酸遺伝子多型を明確に判定することができた。
本発明の方法によれば、一定量のオリゴヌクレオチドを用いて、塩基特異的増幅反応を行い、増幅反応物質に核酸特異的標識を作用させることによって、煩雑な操作を経ることなく、容易にかつ迅速に標的核酸遺伝子多型を明確に判定することができる。また、人為的ミスマッチ部を非DNA型塩基または非RNA塩基にすることにより、オリゴヌクレオチド設計の自由度が広がり、ひいては増幅反応条件をより広く設定することができる。よって産業界に貢献すること大である。
実施例1の判定結果グラフ

Claims (13)

  1. 試料中に含まれる特定の塩基多型部位を含む核酸配列に対し、多型を含む塩基配列に相補的なオリゴヌクレオチドであって、3'末端から2番目に多型に対応する塩基を配し、3'末端から3番目の塩基がイノシンに置換されていることを特徴とする野生型検出用オリゴヌクレオチド及び1種又は2種の変異型検出用オリゴヌクレオチドを同時に又は別々にプライマーとして用いて伸長反応を行うことにより塩基多型を同定する方法。
  2. 試料中に含まれる特定の塩基多型部位を含む核酸配列に対し、多型を含む塩基配列に相補的なオリゴヌクレオチドであって、3'末端から2番目に多型に対応する塩基を配し、3'末端から3番目の塩基がイノシンに置換されていることを特徴とする野生型検出用オリゴヌクレオチド及び1種又は2種の変異型検出用オリゴヌクレオチドを同時に又は別々にアニールさせ、多型特異的伸長反応を行うことを特徴とする請求項1記載の塩基多型を同定する方法
  3. オリゴヌクレオチドが予め標識されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の塩基多型を同定する方法。
  4. 標識が抗原、抗体、蛍光物質、発光団および酵素よりなる群から選ばれたいずれかである請求項記載の塩基多型を同定する方法。
  5. 塩基多型部位を含む核酸配列が予め増幅されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の塩基多型を同定する方法。
  6. 増幅反応がPCR(polymerase chain reaction)、NASBA(Nucleic Acid Sequence−Based Amplification)、LCR(ligase chain reaction)、SDA(Strand Displacement Amplification)、RCR(修復連鎖反応)およびTMA(Transcription Mediated Amplification)よりなる群から選ばれたいずれかの方法であることを特徴とする請求項記載の方法。
  7. 野生型検出用オリゴヌクレオチド及び1種又は2種の変異型検出用オリゴヌクレオチドをプライマーとして同時に又は別々にアニールさせ、多型特異的に伸長反応を行った後、伸長生成物に核酸特異的標識を作用させ、多型特異的伸長産物を検出することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の塩基多型を同定する方法。
  8. 核酸特異標識が2本鎖核酸特異的であることを特徴とする請求項記載の塩基多型の同定方法。
  9. 核酸特異標識が蛍光色素であることを特徴とする請求項及びのいずれかに記載の塩基多型の同定方法。
  10. 少なくとも1つが標識された野生型検出用オリゴヌクレオチド及び1種又は2種の変異型検出用オリゴヌクレオチドをプライマーとして同時に又は別々にアニールさせ、多型特異的に伸長反応を行った後、伸長生成物に核酸特異的標識を作用させ、核酸特異的標識と標識オリゴヌクレオチドとの相互作用によって多型特異的伸長産物を検出することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の塩基多型を同定する方法。
  11. 相互作用が蛍光共鳴エネルギー移動であることを特徴とする請求項10に記載の塩基多
    型を同定する方法。
  12. 少なくとも一つが標識されている野生型用オリゴヌクレオチド及び1種又は2種の変異型用オリゴヌクレオチドを用いて多型特異的増幅反応を行い、増幅反応中及びまたは反応後に測定することを特徴とする請求項10〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 試料中に含まれる特定の塩基多型部位を含む核酸配列に対し、多型を含む塩基配列に相補的なオリゴヌクレオチドであって、3'末端から2番目に多型に対応する塩基を配し、3'末端から3番目の塩基がイノシンに置換されていることを特徴とする野生型検出用オリゴヌクレオチド及び1種又は2種の変異型検出用オリゴヌクレオチド、ポリメラーゼ、核酸特異標識を含む、塩基多型を同定するキット。
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