JP2004254525A - クリプトスポリジウムの種識別的検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、クリプトスポリジウムの高精度かつ高感度な検出および種の識別に利用することができるプローブ、およびそれらを用いることによる迅速、高精度かつ高感度なクリプトスポリジウムの検出および種識別方法を提供する。
【解決手段】クリプトスポリジウムの18Sリボソーム遺伝子の塩基配列の相同性検索の結果、複数の種特異的な一塩基変異を見出し、かかる一塩基変異を利用したクリプトスポリジウムの検出および種識別方法の構築を求めて、更に鋭意研究を行った結果、一の一塩基変異につき4つの変異部位を有するべく構成された4種のプローブを組合わせることで、種特異的かつ高精度なクリプトスポリジウムの検出が可能であることを見出すと共に、更に、オーシストからDNAの抽出に際して、グリココール酸もしくはデオキシコール酸処理の後、プロテアーゼ処理を行うことにより効率よくDNAを抽出することが出来ることを見出した。
【選択図】 図4
【解決手段】クリプトスポリジウムの18Sリボソーム遺伝子の塩基配列の相同性検索の結果、複数の種特異的な一塩基変異を見出し、かかる一塩基変異を利用したクリプトスポリジウムの検出および種識別方法の構築を求めて、更に鋭意研究を行った結果、一の一塩基変異につき4つの変異部位を有するべく構成された4種のプローブを組合わせることで、種特異的かつ高精度なクリプトスポリジウムの検出が可能であることを見出すと共に、更に、オーシストからDNAの抽出に際して、グリココール酸もしくはデオキシコール酸処理の後、プロテアーゼ処理を行うことにより効率よくDNAを抽出することが出来ることを見出した。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はクリプトスポリジウムを検出するための、および種を識別するためのプローブセット、および、該プローブセットを利用したクリプトスポリジウムの検出および種を識別する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)は、胞子虫類のコクシジウム(Coccidium)目に属する、ヒト、ウシやブタ等の家畜、イヌ、ネズミ等の哺乳動物の消化管に寄生する寄生性原虫であり、本原虫にヒトが感染すると、腹痛を伴う水様性もしくは粘液性便を主徴とする症状が3日〜1週間程度持続し、時として、嘔吐や発熱を伴うこともある。一般健常者がクリプトスポリジウムに感染した場合、患者の免疫機構が正常に働き、体内の血清抗体価が上昇すると、クリプトスポリジウムが増殖できなくなるため自然治癒するが、免疫能の低い乳幼児、高齢者、免疫不全患者、免疫機能の低下するAIDS患者や免疫抑制治療中もしくは術後の患者等が感染した場合では、症状が重篤化し、激しい脱水により死亡する例も少なくない。感染しても症状が出ない場合もあるが、いずれの場合も感染者の糞便からは、感染後、数週間オーシストの排出が続くことが知られている。
【0003】
本原虫に感染した患者、感染動物から糞便とともに排出される莫大な数のオーシストは、新たな固体への感染源となるため、クリプトスポリジウムの伝播経路は多岐にわたる。オーシストの経口摂取が感染原因となるが、たとえば、放牧地、畜舎周辺土壌、有機肥料栽培農地等の汚染された土壌との直接接触を介した感染、感染した患者、家畜の糞便との直接接触を介した感染、汚染水、汚染食品を介した感染、等が挙げられる。特に懸念されるのは、環境中に放出されたクリプトスポリジウムのオーシストが下水等を介して、直接河川、湖沼等に流入すると、これらを水源とする水道原水は容易に汚染される事態を招く。水中に存在するクリプトスポリジウムのオーシストは、塩素抵抗性を示し、浄水処理における塩素消毒は無効であるため、通常の浄水処理で完全に除去することは困難であり、水道水を介した大規模集団感染が生じることとなる。
【0004】
近年、水道水を介したクリプトスポリジウム集団感染が世界的に相次いで報告され、わが国においても、1994年神奈川県平塚市の雑居ビルの関係者450人余が感染した例と、1996年埼玉県越生町の小学生ら町民約9,000人が感染した事例が大規模集団感染例として報告されており、適切な水管理体制を整備するべく、クリプトスポリジウムの環境汚染実態を把握する必要があり、クリプトスポリジウムの検出方法の確立が急務となっている。
【0005】
以上の状況を鑑み、クリプトスポリジウムの検出方法として、種々の方法が検討、報告されている。例を挙げて説明すると、クリプトスポリジウムのオーシストに特異的なモノクローナル抗体を作製し、この抗体を多分子蛍光標識することにより、直接的免疫学手法により検出する方法が報告されている(例えば、特許文献1を参照。)。実際の同定に際しては、熟練した観察者が、蛍光顕微鏡で、色、形、大きさを基準に数を計数して判定している。
【0006】
また、polymerase chain reaction(以下、PCRと略する。)を用いてクリプトスポリジウムに特異的に見いだされる塩基配列を含むDNAを増幅し、クリプトスポリジウムの検出を行う方法が報告されている(例えば、特許文献2、特許文献3を参照。)。これらの方法は、クリプトスポリジウムのオーシストを凍結融解等の脱嚢処理等を施すことによりオーシストから染色体DNAを調製し、これを鋳型として、特異的な遺伝子断片を増幅し、ゲル電気泳動により断片を検出する方法である。更に、増幅結果から鋳型DNAのPCR増幅を定量的に評価する定量的PCR法により、クリプトスポリジウムを定量的に検出する方法が報告されている(例えば、特許文献4、特許文献5を参照。)。
【0007】
また、クリプトスポリジウム属には多くの種が知られているが、これまで、ヒトへの感染はCryptosporidium parvum一種のみであるとの認識が通説であったが、最近の研究により、新しい感染の報告例として、Cryptosporidiummuris、Cryptosporidium baileyi、Cryptosporidium serpentis、 Cryptosporidium felisといったCryptosporidium parvum以外の種が、免疫能の低い乳幼児、高齢者、免疫不全患者、免疫機能の低下するAIDS患者や免疫抑制治療中もしくは術後の患者等に、容易に感染することが判明したことから、更に多くの種のヒトへの感染の可能性が危惧されている。したがって、適切な感染予防対策を構築する上で、環境中に存在しているクリプトスポリジウムを種レベルで把握することが不可欠であり、クリプトスポリジウム属に属する広範の種を網羅的、かつ、種識別的に検出することができるクリプトスポリジウムの検出方法の確立の必要性が高まっている。
【0008】
しかしながら、現在、臨床検査、浄水場等における水質検査を含む環境検査においては、Cryptosporidium parvum のみを原因微生物として、計数、同定が行われているのが現状である。また、上述した蛍光顕微鏡観察方法は、手軽にできる方法ではあるが、水中に存在する微生物には、検出対象であるクリプトスポリジウムと色、形の似た藻類が混在しているため、精度に欠け、また、顕微鏡観察は検査官の高度の知識と熟練を要するため、検出精度が、検査官の熟練度に左右されるという問題点がある。更に、種識別に関しては、クリプトスポリジウムはその種間でその形態学的に非常に類似しているため、形態学的手法により分類することは不可能であり、顕微鏡観察よりも遺伝子、タンパク質レベルで客観的な判定ができる検出方法が望まれている。
【0009】
一方、PCRは客観性のある優れた技術ではあるが、上述した方法は、Cryptosporidiumparvumのみの検出を対象として開発された技術であるので、種識別的な検出を期待することはできない。更に、一度の検出おいて一つの検出部位しか対象としないため、検出精度の点で問題がある。また、定量的PCR法にしても同様であり、現在報告されているいずれの方法もが、クリプトスポリジウム属に属する広範の種の網羅的、かつ、種識別的な検出および、高精度な検出という観点からは、十分に満足できるものではない。
【0010】
また、PCRを利用する等、遺伝子レベルでクリプトスポリジウムを検出するためには、クリプトスポリジウムの染色体DNAを調製する必要がある。DNA調製は、オーシストを脱嚢させ、オーシストから出たスポロゾイトを溶解することにより行われる。しかし、現在報告されている方法は、凍結融解、超音波処理などを繰り返すことで脱嚢させた後、プロテアーゼでスポロゾイトを溶解させることにより、もしくは、フェノール抽出/エタノール沈殿等の公知のDNA精製処理により、行うのが一般的であるが、オーシストの脱嚢には、長時間を要するという問題点があった。更に、PCRなどの核酸の増幅反応を利用する場合、ほとんどが、DNA精製処理を行った後、PCR反応に供しているが、DNA精製処理過程においては、必ず、DNAの損失を生じるがため、最終的なDNAの回収率が低下することから、検出感度の低下を招くという問題点もあった。また、特許文献5においては、タウロコール酸とトリプシンで脱嚢させ、プロテアーゼ処理を行った後、DNA精製を行う方法が開示されているが、この方法もDNA抽出に時間を要し、DNA損失に起因する検出感度の低下という問題点が依然と解決されておらず、遺伝子レベルでのクリプトスポリジウムを高感度かつ迅速に検出するためには、DNA抽出手法に更なる改善を施す必要があった。
【0011】
【特許文献1】
特開平11−18767号公報
【特許文献2】
特開平11−243953号公報
【特許文献3】
特開2001−112480号公報
【特許文献4】
特開2000−157281号公報
【特許文献5】
特開平2001−252099号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上記したようなクリプトスポリジウムの検出に係る実状に鑑みてなされてものであり、クリプトスポリジウムの高精度かつ高感度な検出および種の識別に利用することができるプローブ、およびそれらを用いることによる迅速、高精度かつ高感度なクリプトスポリジウムの検出および種を識別する方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、クリプトスポリジウム由来18Sリボソーム遺伝子の塩基配列の相同性検索の結果、複数の種特異的な一塩基変異を見出し、かかる一塩基変異を利用したクリプトスポリジウムの検出および種識別方法の構築を求めて、更に鋭意研究を行った結果、一塩基変異として特定された部位が異なる4つの塩基(変異部位)を有するべく構成された4種のプローブを組合わせることで、種特異的かつ高精度なクリプトスポリジウムの検出が可能であることを見出すと共に、更に、オーシストからDNAの抽出に際して、グリココール酸もしくはデオキシコール酸処理の後、プロテアーゼ処理を行うことにより効率よくDNAを抽出することが出来ることを見出し、これらの知見を基礎として本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明を概説すれば、本発明の第1の発明は、下記の(a)〜(j)のプローブセット;
(a)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号5に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される16番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ16番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
(b)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号10に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される12番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ12番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
(c)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号15に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される13番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ13番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
(d)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号20に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される10番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ10番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
(e)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号25に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される11番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ11番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
(f)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号30に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される10番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ10番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
(g)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号35に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される11番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ11番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
(h)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号40に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される9番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ9番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
(i)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号45に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される10番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ10番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
(j)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号50に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される10番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ10番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
から選択される一以上のプローブセットからなるプローブセット群に関する。
【0015】
また、好ましくは、本発明のプローブセット群は、下記の(a)〜(j)のプローブセット;
(a)配列認識番号6からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号7からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号8からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号9からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(b)配列認識番号11からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号12からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号13からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号14からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(c)配列認識番号16からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号17からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号18からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号19からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(d)配列認識番号21からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号22からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号23からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号24からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(e)配列認識番号26からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号27からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号28からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号29からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(f)配列認識番号31からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号32からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号33からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号34からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(g)配列認識番号36からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号37からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号38からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号39からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(h)配列認識番号41からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号42からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号43からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号44からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(i)配列認識番号46からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号47からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号48からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号49からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(j)配列認識番号51からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号52からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号53からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号54からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
から選択される1以上のプローブセットからなり、特に、好ましくは、上記(a)〜(j)のプローブセットの全てを含むものである。更に、上記プローブセット群を構成する少なくとも1のプローブに関する。
【0016】
更に、本発明の第2の発明は、以下(a)〜(d)の工程を有するクリプトスポリジウムの種識別的検出方法に関する。
(a)被検試料から核酸試料を調製する工程、
(b)(a)で調製した核酸試料を、本発明の第1の発明のプローブセット群を構成する各プローブとハイブリダイズさせる工程、
(c)各プローブとハイブリダイズした核酸を標識を指標として検出する工程、
(d)検出結果を解析する工程
【0017】
好ましくは、被検試料から核酸試料を調製する工程が、グリココール酸もしくは、デオキシコール酸処理の後、プロテアーゼで処理することにより行うことを特徴とするものであり、また、好ましくは、検出結果を解析する工程が、プローブセットを構成する4種のプローブの中から核酸試料と相補的な配列を特定することにより行うことを特徴とするものである。
【0018】
更に、好ましくは、プローブが予め担体に固相化され、該固相化プローブと標識された核酸試料をハイブリダイズさせ、固相に結合された標識を測定することを特徴とするものであり、特に好ましくは、担体がマイクロアレイとして構成されているものを例示することができる。
【0019】
また、好ましくは、標識が、蛍光色素、酵素、放射線同位体、ビオチン、ジゴケシゲニンのいずれかであることを特徴とするものである。
【0020】
そして、本発明の第3の発明は、本発明の第1の発明におけるプローブセット群を構成する各プローブが固定化された担体と、ハイブリダイゼーションに必要な試薬、標識物質を検出するための試薬を包含する、クリプトスポリジウムの種識別的検出用キットに関するものである。
【0021】
更に、本発明の第4の発明は、本発明のプローブセット群を構成する各プローブが固定化されたクリプトスポリジウム検出用マイクロアレイに関するものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の一の態様において、クリプトスポリジウムの種識別的検出方法を提供する。本方法は、被検試料から核酸試料を調製する工程と、調製された核酸試料を、クリプトスポリジウム属に属する種の種間における一塩基変異を特定することにより設計されたプローブとハイブリダイズさせる工程と、前記DNAと前記各プローブとの間に生じるハイブリダイゼーションを標識を指標として検出する工程と、その検出結果を解析する工程を有する。更に、被検試料から核酸試料を調製する工程において、グリココール酸もしくはデヒドロコール酸処理を行った後、プロテアーゼ処理を行うことにより、核酸抽出効率の向上と抽出に要する時間の短縮化を図り、更なる検出感度の向上と迅速な検出を達成するものである。ここで、種識別的検出とは、クリプトスポリジウムを検出すると同時に、クリプトスポリジウムの種をも識別することを意味し、種の識別とは、クリプトスポリジウム属に属する他の種と実質的に区別して、ある種に属する群であること同定することを意味するものとする。
【0023】
ここで、検出の対象となるクリプトスポリジウムとは、クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)属に属する微生物を指し、クリプトスポリジウムには具体的には、Cryptosporidium parvum種(以下、C. parvum と略する。)、Cryptosporidium muris種(以下、C. murisと略する。)、Cryptosporidium baileyi種(以下、C. baileyiと略する。)、 Cryptosporidium serpentis種(以下、C. serpentisと略する。)、Cryptosporidium meleagridis種(以下、C. meleagridisと略する。)、Cryptosporidium felis種(以下C. ferisと略する。)等が含まれ、本発明の方法はこれらの種を種識別的に検出できるものである。
【0024】
ここで使われる被検試料は、環境もしくは生体中に存在するクリプトスポリジウム汚染が疑われる試料の何れをも含む概念である。水道原水、河川水、湖沼水、井戸水、地下水、下水、廃水、プールの水、公園の水等の環境中に存在する水試料、または、牧場土、農地土、湖沼土、河川土等の環境中に存在する土壌試料等の環境試料、ヒト、家畜、ペット等の糞便等の生体試料、飲料食品、生野菜、果物等の食品試料等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
被検試料から核酸試料の調製する工程は、被検試料からクリプトスポリジウムのオーシストを回収し、回収されたオーシストから染色体DNAを抽出することにより行われるものである。被検試料からオーシストの回収は公知の何れの方法を用いて行うことができる。糞便試料の場合は、例えば、糞便をジエチルエーテル抽出後、ショ糖密度勾配遠心によって精製する方法が例示され、水試料の場合は、例えば、河川水20lを金属メッシュに通して1cm以上の侠雑物を除いた後、セルロース混合エステル製メンブレンフィルター(孔径1.2μmミリポア社製)直径90または142mmのものを使用して最終的に500μl〜2mlにし、そのうちの10〜50μlを分取して直接、本発明の方法に使用することができる。
【0026】
オーシストから染色体DNAの抽出は、グリココール酸もしくは、デオキシコール酸で処理した後、プロテアーゼで処理することが好ましく、特に、グリココール酸で処理した後、プロテイナーゼKで処理することが好ましい。本発明において使用される上記試薬の濃度は、グリココール酸を使用する場合は、好ましくは、0.01〜70mMであり、特に好ましくは、1mMであり、デオキシコール酸を使用する場合は、好ましくは、0.01〜1mMであり、特に好ましくは、0.1mMであり、グリココール酸/デオキシコール酸処理の条件は、好ましくは、24〜40℃にて5〜240分であり、特に好ましくは37℃にて15分間である。また、また、デオキシコール酸/グリココール酸処理後の、プロテイナーゼK処理は、好ましくは、1〜50mMのEDTAの存在下で、好ましくは、10mMで行うものとし、処理条件は、37〜75℃にて5〜60分が好ましく、特に好ましくは70℃にて10分間インキュベートを行った後、更に、94℃で10分間インキュベートである。また、グリココール酸/デオキシコール酸は、タウロコール酸のようなPCR反応を阻害する物質ではないため、本発明の方法により処理を行ったサンプルは、抽出されたDNAの精製過程を経ることなく、そのまま後の増幅反応に供することができ、各処理時間が従来報告されているタウロコール酸とトリプシンの混合液での処理(上記特許文献5参照。)に比べ各処理時間が大幅に短縮されることと相俟って、抽出工程に要する時間の短縮化を図ることが可能となる。また、通常、DNA精製の過程においては必然的に核酸の損失が生じ、精製後のDNAの回収率は高くても80%程度であるが、本発明によれば、DNA精製によるDNAの損失を最小限に抑えることができるため、ほぼ100%のDNA抽出効率を保つことが可能となり、最終的な検出効率の向上を達成することが可能となる。
【0027】
オーシストから抽出された核酸試料は、検出感度の向上のため、増幅しておくことが好ましい。DNAの増幅はPCRにより行うことが一般的であるが、これに限定されるものではないが、以下、PCRを用いる増幅に関して詳細に説明する。
【0028】
PCRは上記で得られたDNAを鋳型として公知のPCR法に従って行うことができ、2段階で行うことが好ましく、2回目のPCRは、1回目のPCRで得られた増幅反応で得られた増幅産物を鋳型として行うことが好ましい。2回目のPCRに際しては、増幅対象配列の標識化反応を組み込むことが特に好ましく、標識に関しては、後で詳細に説明する。また、PCRに用いるプライマーは、標的とされる塩基配列(標的配列もしくは標的核酸という表現をも使用する場合がある。)、本発明の方法においては、クリプトスポリジウムの塩基配列に基づいて設計されるものであり、そのような塩基配列は、クリプトスポリジウムの遺伝子の塩基配列が登録されている、例えば、DNA Databank of Japan(DDBJ)、GenBank、European Molecular Biology Laboratory(EMBL)などの遺伝子データベースの検索により入手することができる。PCRの増幅効率や特異性はプライマーの設定位置やプライマーの配列に依存するものであるのでクリプトスポリジウムの遺伝子の塩基配列を効率よく増幅することができる配列であり、かつ、クリプトスポリジウムのあらゆる種を増幅することが好ましいのでクリプトスポリジウム属の種間で共通して保存性の高い配列に基づいて設計することが好ましい。また、2段階でPCRを行う場合、2回目のPCRを、非特異的増幅産物を排除すべく、1回目のPCRにおいて増幅される標的配列の内側にプライマーを設定し、nested PCRにて行うことができる。本発明の方法に用いられるプライマーとしては、1回目のPCRにおいては、センスプライマーとして5’−GGAACCTGGTTGATCCTGCCAG−3’;配列認識番号1が、アンチセンスプライマーとして5’−GGTCGATCCCCTAACTTTCGTT−3’;配列認識番号2が好ましく例示され、また、2回目のPCRにおいては、センスプライマーとして5’−TCAAAGATTAAGCCATGCATGTCT−3’;配列認識番号3が、アンチセンスプライマーとして5’−GATTAATGAAAACATCCTTGGCAAA−3’配列認識番号4)が好ましく例示されるが、これらに限定されるものではない。PCR増幅後の増幅産物は、好ましくは、ゲル濾過等の公知の手段により精製した後、DNase、超音波処理、Mg2+イオン処理等により断片化し、後で説明するハイブリダイゼーション実験に供する。
【0029】
上記オリゴヌクレオチドプライマーは化学的に合成することが可能である。例えば、公知のホスホルアミダイト(phosphoramidite)法(Nucleic Acids Research, 17, 7059−7081 1989)を用いて固相合成により化学合成することができ、市販されている自動核酸合成装置により所望の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを自動的に合成することも可能である。合成後のオリゴヌクレオチドは、必要に応じてHPLC等の公知の方法により精製される。
【0030】
本発明の検出方法は、種間で生じる一塩基変異に基づいて、クリプトスポリジウムを種識別的に検出するものであるため、本発明で用いられるプローブセット群は、DDBJ、GenBank、EMBL等の公知の遺伝子データベース等を利用してクリプトスポリジウム属に属する種の各18Sリボソーム遺伝子の塩基配列を検索し、それぞれの相同性解析から種特異的な一塩基変異を特定し、特定された一塩基変異に基づいて設計されたものであり、かかる種特異的な一塩基変異が生じている部位を種識別的検出の検知部位として、一塩基変異を示すと特定された部位の塩基が4種の異なる変異(a、g、c、t)を有するべく構成された4種類のプローブを1セットとして、少なくとも1以上のセットを含むものとして構成されるものである。かかるプローブセット群および該プローブセット群を構成するプローブも本発明の一態様として本発明に包含される。つまり、本発明は、このように設計されたプローブセット群を構成する各プローブと標的核酸とを接触させ、一塩基が変異した4種のプローブからなる1のプローブセットの中でどの変異塩基を有するプローブと最もよく結合するか検出することにより、種識別的にクリプトスポリジウムを検出するものである。
【0031】
本発明において特に好ましく利用可能なプローブセット群を表1にまとめるがこれらに限定されるものではない。また、これらのプローブセット群のうち、一部のプローブセットを有するものとして構成することができ、検出目的等に応じて適宜選択することができる。これらの配列中、小文字で示された塩基が一塩基変異を示す塩基である。
【0032】
また、本発明によるプローブセット群を構成するプローブは、必ずしも表1に記載の配列又はその相補配列の全てをプローブとして設計する必要はなく、Tm値などを選択して適当な領域を選択して適当な長さで使用すればよい。しかし、本発明のプローブは種特異的一塩基変異に基づき種を識別するものであるので、一塩基変異を特異性をもって検出する必要があることから、表1に記載の配列又はその相補配列中の、一塩基変異を示す塩基とその隣接する5‘側の3塩基および3’側の3塩基からなる塩基配列を包含する少なくとも連続する10塩基以上、更に好ましくは、18塩基以上の長さを有する必要がある。したがって、かかる条件を満たす限り、配列表の配列から適当な長さの配列を選択して作成すればよく、表1に記載の塩基配列以外の塩基配列を付加することも可能である。この場合は、種特異的な領域以外にハイブリダイゼーションが起こりえないような配列を選択して付加することが必要である。プローブの長さは、標的核酸とのハイブリッドの安定性および取り扱いの簡便性の観点から、好ましくは、10〜70bpであり、特に好ましくは、10〜40bpとするものとする。また、種特異的な一塩基変異を示す塩基がプロ−ブを構成するオリゴヌクレオチドの中央部に位置するように設計されることが好ましい。このような観点から、本発明のプローブセット群が設計される。
【0033】
【表1】
【0034】
ここで、この明細書におけるプローブとは、標的核酸とハイブリダイズする領域を意味し、実際にプローブとして用いる核酸分子には、更にヌクレオチド以外の他の化学構造が付加されていてもよい。例えば、プローブ固相担体上に固定化したマイクロアレイを作製して検出を行う等、プローブを固相化して検出を行う場合には、固相化のための官能基がそのプローブの3‘末端や5’末端の水酸基部分、更には塩基部分やリン酸ジエステル部分などに導入された形態等を例示することができる。
【0035】
本発明で用いられるプローブは化学的に合成することが可能である。例えば、公知のホスホルアミダイト(phosphoramidite)法(Nucleic Acids Research, 17, 7059−7081 1989)を用いて固相合成により化学合成することができ、市販されている自動核酸合成装置により所望の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを自動的に合成することも可能である。合成後のオリゴヌクレオチドは、必要に応じてHPLC等の公知の方法により精製される。
【0036】
検出対象となる標的核酸もしくは、プローブのいずれか一方が標識されるものであり、核酸の標識化の方法は公知であり、標識の種類に応じて好適な方法により、標識されるものとする。後で説明するように、検出対象となる標的核酸を標識することが好ましい。標識として、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、Cy3、Cy5等の蛍光色素、35P、131I、35S等の放射線同位体、アルカリフォスファダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ等の酵素等、核酸の標識に用いることが可能な何れの標識をも使用することができる。また、ジゴキシゲニンやビオチンなどの有機化合物での標識も、好ましく例示することができ、アルカリフォスファターゼ等により標識されたジゴキシゲニン抗体と免疫的に結合させることで抗体を介して酵素が核酸に結合し、ニトロテトラゾリウムブルーなどの発色基質を添加して発色させ検出を行うことができ、また、ビオチンの場合はストレプトアビジンとの相互反応を利用して同様に行うことができる。
【0037】
標識化は、好ましくは、増幅反応の際に、増幅産物に標識を導入することにより行われる。核酸増幅時に標識を導入する方法としては、特に好ましくは、Cy3−dCTP等の蛍光標識ヌクレオチドを用いて増幅反応を行い、標識を増幅産物に取り込ませることにより、内部がランダムに標識された増幅産物を作成する方法を用いることができる。
【0038】
上記のように調製した標的核酸を、本発明のプローブセット群を構成するプローブとハイブリダイズさせる工程は、リバースドットブロット法、ドットブロット法等、公知の全てのハイブリダイゼーション技術に従って行うことができる。好ましくは標的核酸もしくはプローブのいずれか一方が固相担体上に公知の方法を用いて固定化されている。固定に用いる担体としては、マイクロウェル、ビーズ、スライドガラス、メンブラン等の公知の担体の何れもが利用でき、マイクロアレイとして構成することが好ましく例示される。検出対象となる標的核酸を固相化して標識プローブを用いてハイブリダイズさせることも可能であるが、プローブを固相化して標識した標的核酸を接触させ、ハイブリダイズさせる方法が、操作の簡便性の観点から好ましい。環境診断、臨床検査のように多数の検体を処理する必要がある場合においては、各検出において共通の固相化したプローブを使用することができ、これらプローブを固相化したキット、好ましくはマイクロアレイを大量に生産しておくことにより、簡便に検査が可能となる点で、特に好ましい。
【0039】
ハイブリダイゼーション条件、洗浄の条件は、ハイブリダイズされる配列の長さ、GCヌクレオチド配列の含有量に応じて経験的に適宜選択して設定されるものであり、プローブと相同性の高い塩基配列とが、特異的にハイブリダイズし、十分な検出感度、特異性を示す条件を適宜選択することができる。当該分野において、そのようなハイブリダイゼーション条件のバリエーションのための十分に確立された公式は周知であり、例えば、Sambrook et al, “Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, 第2版、p.9.47−9.51, Cold Spring Harbor, New York: Cold Spring Harbor Laboratory (1989)等を参照することができる。特に本発明は一塩基レベルでの変異に基づき、それらの変異に基づくハイブリダイゼーション強度の相違を検出することにより種識別を行う検出方法であるので、そのような一塩基レベルでの変異の検出に適合するように条件を設定する必要がある。具体的なハイブリダイゼーション条件、および、洗浄条件として実施例1に記載の条件が例示されるが、これに限定されるものではない。
【0040】
プローブにハイブリダイズした核酸の検出は、本発明のプローブを核酸試料とハイブリダイズさせ、未結合核酸を除去した後、各プローブにハイブリダイズした核酸を標識を指標として検出することにより行なわれ、標識の検出は標識の種類に応じた公知の方法を用いて、放射線、発色、蛍光、発光を測定することにより行うことができる。
【0041】
検出結果を解析する工程は、種特異的な一塩基変異を示す塩基部位を4種類の異なる変異(a、g、c、t)を有するべく構成された4種のプローブを1のプローブセットして構成していることから、4種のプロ−ブのうち、いずれか1つとクリプトスポリジウム由来のDNAは強く結合することとなり、これを利用して行われる。ここで、1のプローブセット中、最も強く結合するプローブが標的核酸と相補的な配列であると定義することとする。検出のために用いられたプローブはクリプトスポリジウムの種特異的な一の一塩基変異につき4つの変異部位を有するように設定されたものであり、これを種識別の検知部位とするものであるので、相補的な配列は種毎に相違することとなり、相補的な配列を検出することにより、クリプトスポリジウムの種識別が可能となる。したがって、検知部位が多くなるほど、検出感度、検出精度が向上することとなる。本発明において、特に好ましく利用可能であるとして表1に例示したプローブセット群は、クリプトスポリジウムの1種につき最低でも2箇所以上の検知部位が設定された10のプローブセットからなるものであるため、特に好ましく、高精度かつ、高感度に種識別的な検出が可能となる。また、検出される標識は定量化することが好ましく、プローブセットとして構成される4種のプローブと標的核酸との各ハイブリダイゼーションで観察される各蛍光強度等の標識強度の和を100%としてプローブ毎の相対標識強度を算出して、評価を行うことが好ましく、以下で示す実施例1においては、相対標識強度が60%以上となるプローブを相補的配列とするとして、評価を行っている。
【0042】
また、観察される標識量を定量することにより、被検試料中に含まれるクリプトスポリジウムの定量が可能となる。したがって、この明細書における検出とは、定量的な検出をも包含するものとする。
【0043】
そして、クリプトスポリジウムの各種毎の標品を検出対象試料と同様の手段で本発明のプローブとハイブリダイズさせ、観察されるハイブリダイゼーションパターンもしくは、相補的配列の比較を行うことにより、検出および種の識別を行ってもよいし、また、種毎のハイブリダイゼーションパターンもしくは相補配列の情報をデーターベース化し、自動的に検出および種の識別を行うように構成してもよい。
【0044】
また、検出は適切なポジティブコントロールプローブ、ネガティブコントロールプローブを加えて行うことが好ましい。ネガティブコントロールプローブはクリプトスポリジウムのいずれの種とも相補的でないように設計されたオリゴヌクレオチド配列であることが必要であり、例えば、大腸菌特有の遺伝子配列に基づいて設計されたのものを用いることができ、具体的には、大腸菌16Sリボソーム遺伝子の配列から作製した5’−AGAGTTTGATCCTGGCTCAG−3’(配列識別番号55)を例示することができる。また、ポジティブコントロールプローブはクリプトスポリジウムのいずれの種とも相補的であるように設計されたオリゴヌクレオチド配列であることが必要であり、例えば、クリプトスポリジウムのすべての種に保存されたコンセンサス配列に基づいて設計されたものを用いることができ、具体的には、クリプトスポリジウムの18Sリボソーム遺伝子のコンセンサス配列に基づいて作製された5’−GGAACCTGGTTGATCCTGCCAG−3’(配列識別番号56)を例示することができる。
【0045】
以下、本発明の一好適態様として、本発明のクリプトスポリジウムの種識別的検出方法をマイクロアレイを用いて実施する方法について詳細に説明する。
【0046】
本発明のマイクロアレイは、本発明のプローブ群が固相担体上に適切に配置し、固定されている。特に解析の容易化の観点から、プローブセットを構成する一の一塩基変異につき4種類の変異部位を有するべく構成された4種のプローブを一列に配置することが好ましい。また、適切なポジティブプローブ、ネガティブプローブを配置することも可能である。マイクロアレイの担体としては、ガラス板、石英板、シリコンウェファーなどが好ましく例示されるが、従来用いられる何れの公知の材料をも用いることができる。
【0047】
担体上にプローブを固定する方法は、公知の何れの方法を利用することができ、プローブの種類や担体の種類に応じて、適宜最適な方法が選択される。具体的方法としては、DNAの荷電を利用してポリリジン、ポリエチレンイミン等のポリ陽イオンで担体表面に静電結合させる方法、アミノ基、アルデヒド基、エポキシ基等を有する各種シランカップリング剤で表面処理された担体に、末端に官能基としてアミノ基、アルデヒド基、SH基、ビオチン等が導入されたDNAとを共有結合させる方法等を好ましく例示することができる。その後、必要に応じて、紫外線照射によるクロスリンク形成、表面のブロッキング、洗浄等の処理を行うものとする。また、マイクロアレイは業者に委託することにより作製することもできる。
【0048】
上記で調製されたマイクロアレイを用いたクリプトスポリジウムの検出方法は、上記のようにして調製した核酸試料をマイクロアレイに作用させ、担体上に固定されたプローブと核酸試料に含まれるDNAとをハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーションの条件に関しては、上記で既に述べた。
【0049】
ハイブリダイゼーション後、マイクロアレイ上のプローブとハイブリダイズしたDNAを標識物質を指標として検出する。蛍光標識した場合は、蛍光イメージスキャナーで、また、放射性同位体標識をした場合には、RIイメージスキャナーで画像化し、コンピュータ解析により標識量を測定する。例えば、蛍光レーザ顕微鏡とCCDカメラにより蛍光を検出し、コンピュータにより蛍光強度を解析することにより測定でき、また、これらを連結した装置により自動的に簡便に測定することができ、蛍光強度を算出し、評価を行う。
【0050】
本発明の別の態様において、上記した本発明のプローブセット群を構成する各プローブを固相化したキットも本発明に包含する。該キットには、ハイブリダイゼーションに必要な試薬、検出に必要な試薬等を含ませることができ、好ましくはマイクロアレイの形態である。
【0051】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[検討例1]クリプトスポリジウムオーシストからDNAの抽出方法の検討
グリココール酸/デオキシコール酸処理とそれに続くプロテアーゼ処理を組合わせて(以下、グリココール酸/デオキシコール酸処理・プロテアーゼ処理と略する。)オーシストからDNAを抽出した場合のDNAの抽出効率と、従来のDNA精製法に基いてDNAを抽出した場合のDNA抽出効率との比較を行った。
【0052】
グリココール酸/デオキシコール酸処理・プロテアーゼ処理は、2500個オーシスト/μlのオーシスト懸濁PBS Buffer 10μlに、デオキシコール酸を終濃度0.1mM、またはグリココール酸を終濃度1mMとなるように添加し、37℃で15分間インキュベートを行った後、プロテイナーゼK (600mAU/ml, QIAGEN社製)および、EDTA(終濃度10mM)を添加し、70℃で10分間インキュベートの後、更に、94℃で10分間インキュベートすることで行った。従来のDNA精製法に基づくDNA抽出は、供給者の指示に従い、QIAGEN genomic DNA kit(QIAGEN)を用いて、上記オーシスト懸濁PBS Buffer 50μlからDNAを抽出した。
【0053】
次に、グリココール酸/デオキシコール酸処理・プロテアーゼ処理、従来のDNA精製法により抽出された各DNAサンプルから、それぞれ2.2μl、2μl分取し、同様の条件でPCR反応(全量25μl)を行い、ゲル電気泳動により抽出されたDNA量を目認した結果を図1に示す。レーン1が従来のDNA精製法に基づく処理方法により調製されたDNAサンプル由来のバンドであり、レーン2がグリココール酸/デオキシコール酸処理・プロテアーゼ処理に基づく処理方法により調製されたDNAサンプル由来のバンドを示している。この結果から、グリココール酸/デオキシコール酸処理・プロテアーゼ処理は、従来のDNA精製法に比べて、DNA抽出の効率が高く、オーシストから染色体DNAを抽出するのに有用な手段であることが判明した。
【0054】
また、ここでは図示しないが、上記したグリココール酸/デオキシコール酸処理・プロテアーゼ処理における脱嚢過程を顕微鏡で観察すると、グリココール酸はオーシストの破壊だけでなく、そこから出てきたスポロゾイトも破壊していることが確認された。したがって、プロテアーゼ処理の効果も相俟って、完全に微細な細胞構造が破壊されることから、DNA抽出効率が高くなるものと推定される。
【0055】
[検討例2]タウロコール酸、グリココール酸、デオキシコール酸のPCR反応への影響の検討
オーシストをタウロコール酸、グリココール酸、デオキシコール酸の各胆汁酸成分で処理することによりクリプトスポリジウムのオーシストからDNAを抽出した場合において、これらの胆汁酸成分のPCRによる増幅反応に与える影響を検討した。検討は、DNA精製によってこれらの胆汁酸成分を除去したサンプルと、これらの成分を除去しないサンプルとを、クリプトスポリジウムの18S リボソーム遺伝子の塩基配列の異なる部位の約100baseを増幅するよう設定された2のプライマー対(18F 5’−TGTCACTACCTCCCTGTATTAGGATTG−3’;配列識別番号57と95R 5’−CCTGAGAAACGGCTACCACATC−3’;配列識別番号58、96F 5’−CTCCCTCTCCGGAATCGAA−3’配列識別番号59と174R 5’−CAGCTTTAGACGGTAGGGTATTGG−3’;配列識別番号60)を用いて増幅反応を行い、ゲル電気泳動により増幅産物を目認する事により行った。2500個オーシスト/μlのオーシスト懸濁液10μlを、それぞれ70mMのグリココール酸、デオキシコール酸、タウロコール酸各溶液10μlで37℃にて30分間処理した。これに20μlの50% Triton X−100, 10mM EDTAを加えて室温で5分間反応させ、そのうちの5μlをPCRに供し未精製試料のPCR産物とした。また、別の20μlをGFX DNA purification kit (ファルマシア社製)を用いて精製し、等量の20μlの精製DNA溶液を得た。そのうちの5μlをPCRに供して精製試料のPCR産物とした。その結果を、図2に示す。100bp(18F−95R)が配列認識番号57と58のプライマー対での未精製試料由来の増幅産物であり、Purified(18F−95R)が配列認識番号57と58のプライマー対での精製試料由来の増幅産物であり、100bp(96F−174R)が配列認識番号59と60のプライマー対での未精製試料由来の増幅産物であり、Purified(96F−174R)が配列認識番号59と60のプライマー対での精製試料由来の増幅産物である。
【0056】
その結果、いずれの部位の増幅においても、デオキシコール酸、グリココール酸での処理の場合は、DNA精製過程を経ないサンプル由来の増幅産物量の方が多かったのに対して、タウロコール酸処理の場合は、DNA精製を経ないサンプル由来の増幅産物はほとんど確認されなかった。かかる結果から、タウロコール酸はDNA増幅の阻害物質であることが、示唆された。
【0057】
次に、クリプトスポリジウムオーシストから精製したDNAサンプルを用いて、このDNAサンプルにタウロコール酸、グリココール酸、デオキシコール酸の各胆汁酸成分を添加した後、通常のPCR反応を行うことにより、各胆汁酸成分のPCR増幅に与える影響を検討した。クリプトスポリジウムオーシストからのDNAの抽出、精製は、供給者の指示に従ってQIAGEN genomic DNA Kit(QIAGEN)を用いて行い、この精製DNAサンプルに、各70mMのタウロコール酸、グリココール酸、デオキシコール酸をx1、x1/2、x1/10、x1/100、x1/1000に希釈して(終濃度がそれぞれ、10、5、1、0.1、0.01mMに対応)添加した後、同様の条件でPCR反応(プライマー対 5’−GGAACCTGGTTGATCCTGCCAG−3’;配列認識番号1および5’−GGTCGATCCCCTAACTTTCGTT−3’;配列認識番号2)を行った後、増幅産物をゲル電気泳動に目認することにより比較した。その結果を図3に示す。
【0058】
タウロコール酸濃度が増大すると、増幅産物量の著しい減少が確認されたことから、タウロコール酸はPCR増幅(DNAポリメラーゼ)の強い阻害物質であることが判明した。一方、グリココール酸濃度による増幅産物量の変化は確認されなかった。また、デオキシコール酸濃度が増大すると、増幅産物量の減少が確認されたが、タウロコール酸による増幅産物の減少ほど顕著なものではなかった。
【0059】
以上、検討した通り、タウロコール酸はPCR反応の強い阻害剤であることから、タウロコール酸を用いてオーシストの脱嚢を行った場合は、増幅反応の際には、従来のDNA精製手法に基づいてタウロコール酸をあらかじめ除去しておく必要がある。しかしながら、検討例1で検討した通り、従来のDNA精製方法は、DNA抽出効率の低下に起因する検出感度の低下を招くことから、クリプトスポリジウムのオーシストからのDNA抽出に際して採用することは好ましいことではない。したがって、オーシストから染色体DNAの抽出方法としては、DNA精製過程を経ず、脱嚢後、直接、PCR増幅に付すことが可能であり、かつ、オーシストからの高いDNA抽出効率を達成できるグリココール酸/デオキシコール酸処理・プロテアーゼ処理を使用することが最適であることが判明した。以下の実施例1のオーシストからの染色体DNAの抽出方法は、この方法により行った。
【0060】
[実施例1]
クリプトスポリジウムの種識別的検出を以下のようにして行った。検出検体としては、Waterborne 社(USA)から購入した C. parvumおよびC. murisのオーシストを使用し、各クリプトスポリジウムのオーシスト20個を、PBS Bufferに懸濁し、全量10μlの環境試料を調製し、以下の実験に供した。PBS Bufferは、x10 PBS Buffer(11.5g Na2HPO4、2g KH2PO4、80g NaCl、2g KCl/1l)として調製していたものを、使用時に希釈して使用した。
【0061】
(1)染色体DNAの調製
各環境試料に、4μlのデオキシコール酸(終濃度0.1mM)、またはグリココール酸(終濃度1mM)を添加し、37℃で15分間インキュベートをした。続いて、0.5μlのプロテイナーゼK (600mAU/ml, QIAGEN社製)および、3.5μlのEDTA(終濃度10mM)を添加し、70℃で10分間インキュベートの後、更に、94℃で10分間インキュベートすることで、オーシストから抽出された染色体DNAを含有する核酸試料を得た。
【0062】
(2)DNAの増幅
上記で調製した核酸試料を室温まで冷却し、そのうち2μlを分取し、これを鋳型として、センスプライマーprimer1(5’−GGAACCTGGTTGATCCTGCCAG−3’;配列認識番号1)、アンチセンスプライマーprimer2(5’−GGTCGATCCCCTAACTTTCGTT−3’;配列認識番号2)をプライマーセットとして用いて、PCRを行い、クリプトスポリジウムの遺伝子を含む増幅断片を得た。PCR反応液は、x10 Reaction Buffer(Ex Taq Buffer、TAKARA社製)を5μl、2.5mMの dNTPsを5μl、20pM/μl のプライマー(Primer1、primer2)を各1μl、5U/μlのEx Taq(Takara社製)を0.5ml、上記(1)で調製した核酸試料を2μl、H2Oを36μlを加えて、全量50μlとして調製した。反応は、94℃で60秒での変性の後、94℃で30秒の変性、55℃で30秒のアニーリング、72℃で60秒の伸長を1サイクルとし、40サイクル行った後、72℃で240秒の最終伸長反応で、反応を終了させた。
【0063】
(3)増幅産物の標識化
上記(2)で得られた増幅産物から1μlを分取し、これを鋳型として、標識物質としてCy3標識ヌクレオチドを、また、センスプライマー18Sf60nest(5’−TCAAAGATTAAGCCATGCATGTCT−3’;配列認識番号3)、アンチセンスプライマー18Sr925nest (5’−GATTAATGAAAACATCCTTGGCAAA−3’;配列認識番号4)をプライマーセットとして用いて、2回目のPCRを行い、クリプトスポリジウムの遺伝子を含む標識化増幅産物を得た。PCR反応液は、X10 Reaction Buffer(Ex Taq Buffer、TAKARA社製)を5μl、2.5mM のdNTPsを5μl、Cy3‐dCTP(ファルマシア社製)を2μl、20pM/μlのプライマー(18Sf60nest、18Sr925nest)を各1μl、5U/μlのEX Taq(Takara社製)を0.5ml、上記(2)で調製した増幅産物を1μl、H2Oを81μlを加えて、全量100μlとして調製した。反応は、94℃で60秒での変性の後、94℃で30秒の変性、55℃で30秒のアニーリング、72℃で60秒の伸長を1サイクルとし、25サイクル行った後、72℃で240秒の最終伸長反応で、反応を終了させた。
【0064】
(4)増幅産物の断片化
上記(3)で得られた標識化増幅産物100μlをMicroSpin(登録商標)S−200 HR(ファルマシア社製)を用いて、ゲル濾過精製した後に、DNase I(Promega社製)で断片化し、標識化DNA断片を得た。DNase処理は以下のように行った。ゲル濾過精製後の標識化増幅産物から36μlを分取し、x10 Reaction Buffer(400mM Tris−HCl(pH 8.0)、100mM MgS04、10mM CaCl2) を4μl、DNase Iを0.5μl添加して、37℃で5分間インキュベートした後、x10 Stop Buffer(20mM EDTA(pH 8.0))を4μl加え、65℃で10分間インキュベートし、DNaseIを失活させた。ここで、得られた標識化DNA断片を後のハイブリダイゼーション実験に供した。
【0065】
(5)マイクロアレイの調製
マイクロアレイの基板として、Poly−L−lysinコーティングスライドガラス(Sigma, USA)を使用した。表1に示したプローブ各20pmolを、それぞれ1.5M Betain、3X SSC溶液中に混和後、スライドグラスにスポットし、120mJの強度で紫外線を照射することでプローブを基板に固定した。その後スライドグラスをコハク酸溶液(Succinic anhydride 6 g、 1−Methyl−2−pyrrolidinone 325 ml、Sodium borate (1M, pH 8.0) 15 ml)中で、室温にて10分間処理をしてブロッキングを行った。ブロッキング後、100%エタノールで1分間脱水した後、蒸留水ですすいで乾燥させることにより、プローブが固定されたマイクロアレイを作製した。また、ポジティブコントロールとして、クリプトスポリジウムのすべての種に保存された18Sリボソーム遺伝子のコンセンサス配列を有するポジティブコントロールプローブ(配列認識番号55)を、ネガティブコントロールとして大腸菌16Sリボソーム遺伝子の配列から作製したネガティブコントロールプローブ(配列識別番号56)を上記と同様にマイクロアレイ上に固定した。
【0066】
(6)ハイブリダイゼーション
上記(4)で調製した標識化DNA断片3μlを分取し、6μlのハイブリダイゼーションBuffer(12xSSPE、2%formamide)および3μlのH2Oを添加し、混和後、上記(5)で調製したプローブをスライドグラスに固定化したマイクロアレイに滴下した。45℃で3時間インキュベートすることにより、ハイブリダイゼーションを行い、室温でスライドグラスを洗浄する。洗浄は、2xSSC, 0.1%SDS溶液中で10分間インキュベート、および、0.2xSSC中で4−5回リンスしたのち遠心分離または窒素ガスにて完全に乾燥させることによって行った。スライドガラス乾燥後、DNAマイクロアレイ専用スキャナーにて蛍光強度を吸光波長550nm、励起波長570nmにて測定、画像処理を行い、画像または蛍光強度の定量値をもって評価を行った。画像処理図を図4に示す。図中のA、G、C、Tは一塩基変異部位において設定された塩基をしめす。ここで使用したSSPEおよび、SSCは、20xSSPE(3.6 M NaCl, 0.2M NaH2PO4, 20 mM EDTA; 210.4g NaCl、24.0g NaH2PO4、7.4g EDTA/1l)、20xSSC(3 M NaCl、0.3M sodium citrate;88.3g sodium citrate、175.4g NaCl/1l)を作製し、使用時に希釈して使用した。
【0067】
(7)結果の解析
評価は一塩基変異につき4種類の変異を有するべく構成された4種類のプローブに対応する4つのスポットの蛍光強度の和を100%として、各スポットの相対蛍光強度を算出することにより行い、相対蛍光強度が60%以上となるものを標的遺伝子の相補配列を有するプローブであるとして評価を行った。図4で示されるC.parvumの画像処理図をもとに相補的配列を特定した結果を図5に示す。
【0068】
第5レーンにおいては、C. parvumは、5−Aのスポットにおいて、また、C.murisは、5−Tのスポットにおいて、80%以上の相対蛍光強度が観察され、第8レーンにおいては、C. parvumは、8−Tのスポットにおいて、また、C.murisは、8−Aのスポットにおいて、80%以上の相対蛍光強度が観察され、第10レーンにおいては、C. parvumは、10−Tのスポットにおいて、また、C.murisは、10−Cのスポットにおいて、80%以上の相対蛍光強度が観察された。これらのスポットに対応するプローブが各C. parvum、C.murisそれぞれに対する相補的な配列を有するものであり、両者間において相補的な配列は明らかに相違するものとして検出されたことから、C.parvum、C. murisを蛍光パターンから正確に識別可能であること確認された。本発明において多数の種特異的な一塩基変異を特定し、その一塩基変異につき4種の変異部位を有するプローブを開示しているので、本実施例において、具体的に示したC.parvum、C. muris以外の種の同定にも、同様の手順により行うことができることを当業者は理解できるであろう。
【0069】
また、標的は、ネガティブコントロールのプローブとは全く反応せず、ポジティブコントロールのプローブのスポットは強い蛍光が観察された。以上の結果から、クリプトスポリジウムの属から種のレベルまで検出するのに有効な方法であることが判明した。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、クリプトスポリジウム属に属する広範の種を網羅的に、かつ、種識別的に、高精度、高感度かつ迅速に検出することが可能となる。特に、ヒトに感染の可能性のある種の正確な分類が可能となることから、クリプトスポリジウムの環境汚染実態の的確な把握が可能となり、水質管理を含めた適切な環境管理体制構築に大きく貢献する。引いては、ヒトへのクリプトスポリジウム感染を未然に確実に防止することが可能となることからその有用性は大きい。
更に、診断分野における臨床的応用、食品衛生分野における応用も期待される。
【0071】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のDNA抽出方法と従来法を比較した検討例1の結果を示す電気泳図
【図2】タウロコール酸、デオキシコール酸および、グリココール酸のPCR増幅に与える影響を検討した検討例2の結果を示す電気泳動図
【図3】タウロコール酸、デオキシコール酸および、グリココール酸のPCR増幅に与える影響を検討した検討例2の結果を示す電気泳動図
【図4】本発明の方法により、C. parvum、C. murisの種識別的検出を行った結果を示す蛍光強度の画像処理図
【図5】図4のC. parvumの画像処理図をもとに相補的配列を特定した結果を示す図
【発明の属する技術分野】
本発明はクリプトスポリジウムを検出するための、および種を識別するためのプローブセット、および、該プローブセットを利用したクリプトスポリジウムの検出および種を識別する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)は、胞子虫類のコクシジウム(Coccidium)目に属する、ヒト、ウシやブタ等の家畜、イヌ、ネズミ等の哺乳動物の消化管に寄生する寄生性原虫であり、本原虫にヒトが感染すると、腹痛を伴う水様性もしくは粘液性便を主徴とする症状が3日〜1週間程度持続し、時として、嘔吐や発熱を伴うこともある。一般健常者がクリプトスポリジウムに感染した場合、患者の免疫機構が正常に働き、体内の血清抗体価が上昇すると、クリプトスポリジウムが増殖できなくなるため自然治癒するが、免疫能の低い乳幼児、高齢者、免疫不全患者、免疫機能の低下するAIDS患者や免疫抑制治療中もしくは術後の患者等が感染した場合では、症状が重篤化し、激しい脱水により死亡する例も少なくない。感染しても症状が出ない場合もあるが、いずれの場合も感染者の糞便からは、感染後、数週間オーシストの排出が続くことが知られている。
【0003】
本原虫に感染した患者、感染動物から糞便とともに排出される莫大な数のオーシストは、新たな固体への感染源となるため、クリプトスポリジウムの伝播経路は多岐にわたる。オーシストの経口摂取が感染原因となるが、たとえば、放牧地、畜舎周辺土壌、有機肥料栽培農地等の汚染された土壌との直接接触を介した感染、感染した患者、家畜の糞便との直接接触を介した感染、汚染水、汚染食品を介した感染、等が挙げられる。特に懸念されるのは、環境中に放出されたクリプトスポリジウムのオーシストが下水等を介して、直接河川、湖沼等に流入すると、これらを水源とする水道原水は容易に汚染される事態を招く。水中に存在するクリプトスポリジウムのオーシストは、塩素抵抗性を示し、浄水処理における塩素消毒は無効であるため、通常の浄水処理で完全に除去することは困難であり、水道水を介した大規模集団感染が生じることとなる。
【0004】
近年、水道水を介したクリプトスポリジウム集団感染が世界的に相次いで報告され、わが国においても、1994年神奈川県平塚市の雑居ビルの関係者450人余が感染した例と、1996年埼玉県越生町の小学生ら町民約9,000人が感染した事例が大規模集団感染例として報告されており、適切な水管理体制を整備するべく、クリプトスポリジウムの環境汚染実態を把握する必要があり、クリプトスポリジウムの検出方法の確立が急務となっている。
【0005】
以上の状況を鑑み、クリプトスポリジウムの検出方法として、種々の方法が検討、報告されている。例を挙げて説明すると、クリプトスポリジウムのオーシストに特異的なモノクローナル抗体を作製し、この抗体を多分子蛍光標識することにより、直接的免疫学手法により検出する方法が報告されている(例えば、特許文献1を参照。)。実際の同定に際しては、熟練した観察者が、蛍光顕微鏡で、色、形、大きさを基準に数を計数して判定している。
【0006】
また、polymerase chain reaction(以下、PCRと略する。)を用いてクリプトスポリジウムに特異的に見いだされる塩基配列を含むDNAを増幅し、クリプトスポリジウムの検出を行う方法が報告されている(例えば、特許文献2、特許文献3を参照。)。これらの方法は、クリプトスポリジウムのオーシストを凍結融解等の脱嚢処理等を施すことによりオーシストから染色体DNAを調製し、これを鋳型として、特異的な遺伝子断片を増幅し、ゲル電気泳動により断片を検出する方法である。更に、増幅結果から鋳型DNAのPCR増幅を定量的に評価する定量的PCR法により、クリプトスポリジウムを定量的に検出する方法が報告されている(例えば、特許文献4、特許文献5を参照。)。
【0007】
また、クリプトスポリジウム属には多くの種が知られているが、これまで、ヒトへの感染はCryptosporidium parvum一種のみであるとの認識が通説であったが、最近の研究により、新しい感染の報告例として、Cryptosporidiummuris、Cryptosporidium baileyi、Cryptosporidium serpentis、 Cryptosporidium felisといったCryptosporidium parvum以外の種が、免疫能の低い乳幼児、高齢者、免疫不全患者、免疫機能の低下するAIDS患者や免疫抑制治療中もしくは術後の患者等に、容易に感染することが判明したことから、更に多くの種のヒトへの感染の可能性が危惧されている。したがって、適切な感染予防対策を構築する上で、環境中に存在しているクリプトスポリジウムを種レベルで把握することが不可欠であり、クリプトスポリジウム属に属する広範の種を網羅的、かつ、種識別的に検出することができるクリプトスポリジウムの検出方法の確立の必要性が高まっている。
【0008】
しかしながら、現在、臨床検査、浄水場等における水質検査を含む環境検査においては、Cryptosporidium parvum のみを原因微生物として、計数、同定が行われているのが現状である。また、上述した蛍光顕微鏡観察方法は、手軽にできる方法ではあるが、水中に存在する微生物には、検出対象であるクリプトスポリジウムと色、形の似た藻類が混在しているため、精度に欠け、また、顕微鏡観察は検査官の高度の知識と熟練を要するため、検出精度が、検査官の熟練度に左右されるという問題点がある。更に、種識別に関しては、クリプトスポリジウムはその種間でその形態学的に非常に類似しているため、形態学的手法により分類することは不可能であり、顕微鏡観察よりも遺伝子、タンパク質レベルで客観的な判定ができる検出方法が望まれている。
【0009】
一方、PCRは客観性のある優れた技術ではあるが、上述した方法は、Cryptosporidiumparvumのみの検出を対象として開発された技術であるので、種識別的な検出を期待することはできない。更に、一度の検出おいて一つの検出部位しか対象としないため、検出精度の点で問題がある。また、定量的PCR法にしても同様であり、現在報告されているいずれの方法もが、クリプトスポリジウム属に属する広範の種の網羅的、かつ、種識別的な検出および、高精度な検出という観点からは、十分に満足できるものではない。
【0010】
また、PCRを利用する等、遺伝子レベルでクリプトスポリジウムを検出するためには、クリプトスポリジウムの染色体DNAを調製する必要がある。DNA調製は、オーシストを脱嚢させ、オーシストから出たスポロゾイトを溶解することにより行われる。しかし、現在報告されている方法は、凍結融解、超音波処理などを繰り返すことで脱嚢させた後、プロテアーゼでスポロゾイトを溶解させることにより、もしくは、フェノール抽出/エタノール沈殿等の公知のDNA精製処理により、行うのが一般的であるが、オーシストの脱嚢には、長時間を要するという問題点があった。更に、PCRなどの核酸の増幅反応を利用する場合、ほとんどが、DNA精製処理を行った後、PCR反応に供しているが、DNA精製処理過程においては、必ず、DNAの損失を生じるがため、最終的なDNAの回収率が低下することから、検出感度の低下を招くという問題点もあった。また、特許文献5においては、タウロコール酸とトリプシンで脱嚢させ、プロテアーゼ処理を行った後、DNA精製を行う方法が開示されているが、この方法もDNA抽出に時間を要し、DNA損失に起因する検出感度の低下という問題点が依然と解決されておらず、遺伝子レベルでのクリプトスポリジウムを高感度かつ迅速に検出するためには、DNA抽出手法に更なる改善を施す必要があった。
【0011】
【特許文献1】
特開平11−18767号公報
【特許文献2】
特開平11−243953号公報
【特許文献3】
特開2001−112480号公報
【特許文献4】
特開2000−157281号公報
【特許文献5】
特開平2001−252099号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上記したようなクリプトスポリジウムの検出に係る実状に鑑みてなされてものであり、クリプトスポリジウムの高精度かつ高感度な検出および種の識別に利用することができるプローブ、およびそれらを用いることによる迅速、高精度かつ高感度なクリプトスポリジウムの検出および種を識別する方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、クリプトスポリジウム由来18Sリボソーム遺伝子の塩基配列の相同性検索の結果、複数の種特異的な一塩基変異を見出し、かかる一塩基変異を利用したクリプトスポリジウムの検出および種識別方法の構築を求めて、更に鋭意研究を行った結果、一塩基変異として特定された部位が異なる4つの塩基(変異部位)を有するべく構成された4種のプローブを組合わせることで、種特異的かつ高精度なクリプトスポリジウムの検出が可能であることを見出すと共に、更に、オーシストからDNAの抽出に際して、グリココール酸もしくはデオキシコール酸処理の後、プロテアーゼ処理を行うことにより効率よくDNAを抽出することが出来ることを見出し、これらの知見を基礎として本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明を概説すれば、本発明の第1の発明は、下記の(a)〜(j)のプローブセット;
(a)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号5に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される16番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ16番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
(b)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号10に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される12番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ12番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
(c)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号15に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される13番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ13番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
(d)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号20に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される10番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ10番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
(e)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号25に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される11番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ11番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
(f)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号30に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される10番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ10番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
(g)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号35に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される11番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ11番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
(h)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号40に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される9番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ9番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
(i)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号45に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される10番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ10番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
(j)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号50に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される10番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ10番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
から選択される一以上のプローブセットからなるプローブセット群に関する。
【0015】
また、好ましくは、本発明のプローブセット群は、下記の(a)〜(j)のプローブセット;
(a)配列認識番号6からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号7からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号8からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号9からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(b)配列認識番号11からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号12からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号13からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号14からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(c)配列認識番号16からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号17からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号18からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号19からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(d)配列認識番号21からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号22からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号23からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号24からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(e)配列認識番号26からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号27からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号28からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号29からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(f)配列認識番号31からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号32からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号33からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号34からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(g)配列認識番号36からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号37からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号38からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号39からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(h)配列認識番号41からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号42からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号43からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号44からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(i)配列認識番号46からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号47からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号48からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号49からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(j)配列認識番号51からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号52からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号53からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号54からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
から選択される1以上のプローブセットからなり、特に、好ましくは、上記(a)〜(j)のプローブセットの全てを含むものである。更に、上記プローブセット群を構成する少なくとも1のプローブに関する。
【0016】
更に、本発明の第2の発明は、以下(a)〜(d)の工程を有するクリプトスポリジウムの種識別的検出方法に関する。
(a)被検試料から核酸試料を調製する工程、
(b)(a)で調製した核酸試料を、本発明の第1の発明のプローブセット群を構成する各プローブとハイブリダイズさせる工程、
(c)各プローブとハイブリダイズした核酸を標識を指標として検出する工程、
(d)検出結果を解析する工程
【0017】
好ましくは、被検試料から核酸試料を調製する工程が、グリココール酸もしくは、デオキシコール酸処理の後、プロテアーゼで処理することにより行うことを特徴とするものであり、また、好ましくは、検出結果を解析する工程が、プローブセットを構成する4種のプローブの中から核酸試料と相補的な配列を特定することにより行うことを特徴とするものである。
【0018】
更に、好ましくは、プローブが予め担体に固相化され、該固相化プローブと標識された核酸試料をハイブリダイズさせ、固相に結合された標識を測定することを特徴とするものであり、特に好ましくは、担体がマイクロアレイとして構成されているものを例示することができる。
【0019】
また、好ましくは、標識が、蛍光色素、酵素、放射線同位体、ビオチン、ジゴケシゲニンのいずれかであることを特徴とするものである。
【0020】
そして、本発明の第3の発明は、本発明の第1の発明におけるプローブセット群を構成する各プローブが固定化された担体と、ハイブリダイゼーションに必要な試薬、標識物質を検出するための試薬を包含する、クリプトスポリジウムの種識別的検出用キットに関するものである。
【0021】
更に、本発明の第4の発明は、本発明のプローブセット群を構成する各プローブが固定化されたクリプトスポリジウム検出用マイクロアレイに関するものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の一の態様において、クリプトスポリジウムの種識別的検出方法を提供する。本方法は、被検試料から核酸試料を調製する工程と、調製された核酸試料を、クリプトスポリジウム属に属する種の種間における一塩基変異を特定することにより設計されたプローブとハイブリダイズさせる工程と、前記DNAと前記各プローブとの間に生じるハイブリダイゼーションを標識を指標として検出する工程と、その検出結果を解析する工程を有する。更に、被検試料から核酸試料を調製する工程において、グリココール酸もしくはデヒドロコール酸処理を行った後、プロテアーゼ処理を行うことにより、核酸抽出効率の向上と抽出に要する時間の短縮化を図り、更なる検出感度の向上と迅速な検出を達成するものである。ここで、種識別的検出とは、クリプトスポリジウムを検出すると同時に、クリプトスポリジウムの種をも識別することを意味し、種の識別とは、クリプトスポリジウム属に属する他の種と実質的に区別して、ある種に属する群であること同定することを意味するものとする。
【0023】
ここで、検出の対象となるクリプトスポリジウムとは、クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)属に属する微生物を指し、クリプトスポリジウムには具体的には、Cryptosporidium parvum種(以下、C. parvum と略する。)、Cryptosporidium muris種(以下、C. murisと略する。)、Cryptosporidium baileyi種(以下、C. baileyiと略する。)、 Cryptosporidium serpentis種(以下、C. serpentisと略する。)、Cryptosporidium meleagridis種(以下、C. meleagridisと略する。)、Cryptosporidium felis種(以下C. ferisと略する。)等が含まれ、本発明の方法はこれらの種を種識別的に検出できるものである。
【0024】
ここで使われる被検試料は、環境もしくは生体中に存在するクリプトスポリジウム汚染が疑われる試料の何れをも含む概念である。水道原水、河川水、湖沼水、井戸水、地下水、下水、廃水、プールの水、公園の水等の環境中に存在する水試料、または、牧場土、農地土、湖沼土、河川土等の環境中に存在する土壌試料等の環境試料、ヒト、家畜、ペット等の糞便等の生体試料、飲料食品、生野菜、果物等の食品試料等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
被検試料から核酸試料の調製する工程は、被検試料からクリプトスポリジウムのオーシストを回収し、回収されたオーシストから染色体DNAを抽出することにより行われるものである。被検試料からオーシストの回収は公知の何れの方法を用いて行うことができる。糞便試料の場合は、例えば、糞便をジエチルエーテル抽出後、ショ糖密度勾配遠心によって精製する方法が例示され、水試料の場合は、例えば、河川水20lを金属メッシュに通して1cm以上の侠雑物を除いた後、セルロース混合エステル製メンブレンフィルター(孔径1.2μmミリポア社製)直径90または142mmのものを使用して最終的に500μl〜2mlにし、そのうちの10〜50μlを分取して直接、本発明の方法に使用することができる。
【0026】
オーシストから染色体DNAの抽出は、グリココール酸もしくは、デオキシコール酸で処理した後、プロテアーゼで処理することが好ましく、特に、グリココール酸で処理した後、プロテイナーゼKで処理することが好ましい。本発明において使用される上記試薬の濃度は、グリココール酸を使用する場合は、好ましくは、0.01〜70mMであり、特に好ましくは、1mMであり、デオキシコール酸を使用する場合は、好ましくは、0.01〜1mMであり、特に好ましくは、0.1mMであり、グリココール酸/デオキシコール酸処理の条件は、好ましくは、24〜40℃にて5〜240分であり、特に好ましくは37℃にて15分間である。また、また、デオキシコール酸/グリココール酸処理後の、プロテイナーゼK処理は、好ましくは、1〜50mMのEDTAの存在下で、好ましくは、10mMで行うものとし、処理条件は、37〜75℃にて5〜60分が好ましく、特に好ましくは70℃にて10分間インキュベートを行った後、更に、94℃で10分間インキュベートである。また、グリココール酸/デオキシコール酸は、タウロコール酸のようなPCR反応を阻害する物質ではないため、本発明の方法により処理を行ったサンプルは、抽出されたDNAの精製過程を経ることなく、そのまま後の増幅反応に供することができ、各処理時間が従来報告されているタウロコール酸とトリプシンの混合液での処理(上記特許文献5参照。)に比べ各処理時間が大幅に短縮されることと相俟って、抽出工程に要する時間の短縮化を図ることが可能となる。また、通常、DNA精製の過程においては必然的に核酸の損失が生じ、精製後のDNAの回収率は高くても80%程度であるが、本発明によれば、DNA精製によるDNAの損失を最小限に抑えることができるため、ほぼ100%のDNA抽出効率を保つことが可能となり、最終的な検出効率の向上を達成することが可能となる。
【0027】
オーシストから抽出された核酸試料は、検出感度の向上のため、増幅しておくことが好ましい。DNAの増幅はPCRにより行うことが一般的であるが、これに限定されるものではないが、以下、PCRを用いる増幅に関して詳細に説明する。
【0028】
PCRは上記で得られたDNAを鋳型として公知のPCR法に従って行うことができ、2段階で行うことが好ましく、2回目のPCRは、1回目のPCRで得られた増幅反応で得られた増幅産物を鋳型として行うことが好ましい。2回目のPCRに際しては、増幅対象配列の標識化反応を組み込むことが特に好ましく、標識に関しては、後で詳細に説明する。また、PCRに用いるプライマーは、標的とされる塩基配列(標的配列もしくは標的核酸という表現をも使用する場合がある。)、本発明の方法においては、クリプトスポリジウムの塩基配列に基づいて設計されるものであり、そのような塩基配列は、クリプトスポリジウムの遺伝子の塩基配列が登録されている、例えば、DNA Databank of Japan(DDBJ)、GenBank、European Molecular Biology Laboratory(EMBL)などの遺伝子データベースの検索により入手することができる。PCRの増幅効率や特異性はプライマーの設定位置やプライマーの配列に依存するものであるのでクリプトスポリジウムの遺伝子の塩基配列を効率よく増幅することができる配列であり、かつ、クリプトスポリジウムのあらゆる種を増幅することが好ましいのでクリプトスポリジウム属の種間で共通して保存性の高い配列に基づいて設計することが好ましい。また、2段階でPCRを行う場合、2回目のPCRを、非特異的増幅産物を排除すべく、1回目のPCRにおいて増幅される標的配列の内側にプライマーを設定し、nested PCRにて行うことができる。本発明の方法に用いられるプライマーとしては、1回目のPCRにおいては、センスプライマーとして5’−GGAACCTGGTTGATCCTGCCAG−3’;配列認識番号1が、アンチセンスプライマーとして5’−GGTCGATCCCCTAACTTTCGTT−3’;配列認識番号2が好ましく例示され、また、2回目のPCRにおいては、センスプライマーとして5’−TCAAAGATTAAGCCATGCATGTCT−3’;配列認識番号3が、アンチセンスプライマーとして5’−GATTAATGAAAACATCCTTGGCAAA−3’配列認識番号4)が好ましく例示されるが、これらに限定されるものではない。PCR増幅後の増幅産物は、好ましくは、ゲル濾過等の公知の手段により精製した後、DNase、超音波処理、Mg2+イオン処理等により断片化し、後で説明するハイブリダイゼーション実験に供する。
【0029】
上記オリゴヌクレオチドプライマーは化学的に合成することが可能である。例えば、公知のホスホルアミダイト(phosphoramidite)法(Nucleic Acids Research, 17, 7059−7081 1989)を用いて固相合成により化学合成することができ、市販されている自動核酸合成装置により所望の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを自動的に合成することも可能である。合成後のオリゴヌクレオチドは、必要に応じてHPLC等の公知の方法により精製される。
【0030】
本発明の検出方法は、種間で生じる一塩基変異に基づいて、クリプトスポリジウムを種識別的に検出するものであるため、本発明で用いられるプローブセット群は、DDBJ、GenBank、EMBL等の公知の遺伝子データベース等を利用してクリプトスポリジウム属に属する種の各18Sリボソーム遺伝子の塩基配列を検索し、それぞれの相同性解析から種特異的な一塩基変異を特定し、特定された一塩基変異に基づいて設計されたものであり、かかる種特異的な一塩基変異が生じている部位を種識別的検出の検知部位として、一塩基変異を示すと特定された部位の塩基が4種の異なる変異(a、g、c、t)を有するべく構成された4種類のプローブを1セットとして、少なくとも1以上のセットを含むものとして構成されるものである。かかるプローブセット群および該プローブセット群を構成するプローブも本発明の一態様として本発明に包含される。つまり、本発明は、このように設計されたプローブセット群を構成する各プローブと標的核酸とを接触させ、一塩基が変異した4種のプローブからなる1のプローブセットの中でどの変異塩基を有するプローブと最もよく結合するか検出することにより、種識別的にクリプトスポリジウムを検出するものである。
【0031】
本発明において特に好ましく利用可能なプローブセット群を表1にまとめるがこれらに限定されるものではない。また、これらのプローブセット群のうち、一部のプローブセットを有するものとして構成することができ、検出目的等に応じて適宜選択することができる。これらの配列中、小文字で示された塩基が一塩基変異を示す塩基である。
【0032】
また、本発明によるプローブセット群を構成するプローブは、必ずしも表1に記載の配列又はその相補配列の全てをプローブとして設計する必要はなく、Tm値などを選択して適当な領域を選択して適当な長さで使用すればよい。しかし、本発明のプローブは種特異的一塩基変異に基づき種を識別するものであるので、一塩基変異を特異性をもって検出する必要があることから、表1に記載の配列又はその相補配列中の、一塩基変異を示す塩基とその隣接する5‘側の3塩基および3’側の3塩基からなる塩基配列を包含する少なくとも連続する10塩基以上、更に好ましくは、18塩基以上の長さを有する必要がある。したがって、かかる条件を満たす限り、配列表の配列から適当な長さの配列を選択して作成すればよく、表1に記載の塩基配列以外の塩基配列を付加することも可能である。この場合は、種特異的な領域以外にハイブリダイゼーションが起こりえないような配列を選択して付加することが必要である。プローブの長さは、標的核酸とのハイブリッドの安定性および取り扱いの簡便性の観点から、好ましくは、10〜70bpであり、特に好ましくは、10〜40bpとするものとする。また、種特異的な一塩基変異を示す塩基がプロ−ブを構成するオリゴヌクレオチドの中央部に位置するように設計されることが好ましい。このような観点から、本発明のプローブセット群が設計される。
【0033】
【表1】
【0034】
ここで、この明細書におけるプローブとは、標的核酸とハイブリダイズする領域を意味し、実際にプローブとして用いる核酸分子には、更にヌクレオチド以外の他の化学構造が付加されていてもよい。例えば、プローブ固相担体上に固定化したマイクロアレイを作製して検出を行う等、プローブを固相化して検出を行う場合には、固相化のための官能基がそのプローブの3‘末端や5’末端の水酸基部分、更には塩基部分やリン酸ジエステル部分などに導入された形態等を例示することができる。
【0035】
本発明で用いられるプローブは化学的に合成することが可能である。例えば、公知のホスホルアミダイト(phosphoramidite)法(Nucleic Acids Research, 17, 7059−7081 1989)を用いて固相合成により化学合成することができ、市販されている自動核酸合成装置により所望の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを自動的に合成することも可能である。合成後のオリゴヌクレオチドは、必要に応じてHPLC等の公知の方法により精製される。
【0036】
検出対象となる標的核酸もしくは、プローブのいずれか一方が標識されるものであり、核酸の標識化の方法は公知であり、標識の種類に応じて好適な方法により、標識されるものとする。後で説明するように、検出対象となる標的核酸を標識することが好ましい。標識として、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、Cy3、Cy5等の蛍光色素、35P、131I、35S等の放射線同位体、アルカリフォスファダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ等の酵素等、核酸の標識に用いることが可能な何れの標識をも使用することができる。また、ジゴキシゲニンやビオチンなどの有機化合物での標識も、好ましく例示することができ、アルカリフォスファターゼ等により標識されたジゴキシゲニン抗体と免疫的に結合させることで抗体を介して酵素が核酸に結合し、ニトロテトラゾリウムブルーなどの発色基質を添加して発色させ検出を行うことができ、また、ビオチンの場合はストレプトアビジンとの相互反応を利用して同様に行うことができる。
【0037】
標識化は、好ましくは、増幅反応の際に、増幅産物に標識を導入することにより行われる。核酸増幅時に標識を導入する方法としては、特に好ましくは、Cy3−dCTP等の蛍光標識ヌクレオチドを用いて増幅反応を行い、標識を増幅産物に取り込ませることにより、内部がランダムに標識された増幅産物を作成する方法を用いることができる。
【0038】
上記のように調製した標的核酸を、本発明のプローブセット群を構成するプローブとハイブリダイズさせる工程は、リバースドットブロット法、ドットブロット法等、公知の全てのハイブリダイゼーション技術に従って行うことができる。好ましくは標的核酸もしくはプローブのいずれか一方が固相担体上に公知の方法を用いて固定化されている。固定に用いる担体としては、マイクロウェル、ビーズ、スライドガラス、メンブラン等の公知の担体の何れもが利用でき、マイクロアレイとして構成することが好ましく例示される。検出対象となる標的核酸を固相化して標識プローブを用いてハイブリダイズさせることも可能であるが、プローブを固相化して標識した標的核酸を接触させ、ハイブリダイズさせる方法が、操作の簡便性の観点から好ましい。環境診断、臨床検査のように多数の検体を処理する必要がある場合においては、各検出において共通の固相化したプローブを使用することができ、これらプローブを固相化したキット、好ましくはマイクロアレイを大量に生産しておくことにより、簡便に検査が可能となる点で、特に好ましい。
【0039】
ハイブリダイゼーション条件、洗浄の条件は、ハイブリダイズされる配列の長さ、GCヌクレオチド配列の含有量に応じて経験的に適宜選択して設定されるものであり、プローブと相同性の高い塩基配列とが、特異的にハイブリダイズし、十分な検出感度、特異性を示す条件を適宜選択することができる。当該分野において、そのようなハイブリダイゼーション条件のバリエーションのための十分に確立された公式は周知であり、例えば、Sambrook et al, “Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, 第2版、p.9.47−9.51, Cold Spring Harbor, New York: Cold Spring Harbor Laboratory (1989)等を参照することができる。特に本発明は一塩基レベルでの変異に基づき、それらの変異に基づくハイブリダイゼーション強度の相違を検出することにより種識別を行う検出方法であるので、そのような一塩基レベルでの変異の検出に適合するように条件を設定する必要がある。具体的なハイブリダイゼーション条件、および、洗浄条件として実施例1に記載の条件が例示されるが、これに限定されるものではない。
【0040】
プローブにハイブリダイズした核酸の検出は、本発明のプローブを核酸試料とハイブリダイズさせ、未結合核酸を除去した後、各プローブにハイブリダイズした核酸を標識を指標として検出することにより行なわれ、標識の検出は標識の種類に応じた公知の方法を用いて、放射線、発色、蛍光、発光を測定することにより行うことができる。
【0041】
検出結果を解析する工程は、種特異的な一塩基変異を示す塩基部位を4種類の異なる変異(a、g、c、t)を有するべく構成された4種のプローブを1のプローブセットして構成していることから、4種のプロ−ブのうち、いずれか1つとクリプトスポリジウム由来のDNAは強く結合することとなり、これを利用して行われる。ここで、1のプローブセット中、最も強く結合するプローブが標的核酸と相補的な配列であると定義することとする。検出のために用いられたプローブはクリプトスポリジウムの種特異的な一の一塩基変異につき4つの変異部位を有するように設定されたものであり、これを種識別の検知部位とするものであるので、相補的な配列は種毎に相違することとなり、相補的な配列を検出することにより、クリプトスポリジウムの種識別が可能となる。したがって、検知部位が多くなるほど、検出感度、検出精度が向上することとなる。本発明において、特に好ましく利用可能であるとして表1に例示したプローブセット群は、クリプトスポリジウムの1種につき最低でも2箇所以上の検知部位が設定された10のプローブセットからなるものであるため、特に好ましく、高精度かつ、高感度に種識別的な検出が可能となる。また、検出される標識は定量化することが好ましく、プローブセットとして構成される4種のプローブと標的核酸との各ハイブリダイゼーションで観察される各蛍光強度等の標識強度の和を100%としてプローブ毎の相対標識強度を算出して、評価を行うことが好ましく、以下で示す実施例1においては、相対標識強度が60%以上となるプローブを相補的配列とするとして、評価を行っている。
【0042】
また、観察される標識量を定量することにより、被検試料中に含まれるクリプトスポリジウムの定量が可能となる。したがって、この明細書における検出とは、定量的な検出をも包含するものとする。
【0043】
そして、クリプトスポリジウムの各種毎の標品を検出対象試料と同様の手段で本発明のプローブとハイブリダイズさせ、観察されるハイブリダイゼーションパターンもしくは、相補的配列の比較を行うことにより、検出および種の識別を行ってもよいし、また、種毎のハイブリダイゼーションパターンもしくは相補配列の情報をデーターベース化し、自動的に検出および種の識別を行うように構成してもよい。
【0044】
また、検出は適切なポジティブコントロールプローブ、ネガティブコントロールプローブを加えて行うことが好ましい。ネガティブコントロールプローブはクリプトスポリジウムのいずれの種とも相補的でないように設計されたオリゴヌクレオチド配列であることが必要であり、例えば、大腸菌特有の遺伝子配列に基づいて設計されたのものを用いることができ、具体的には、大腸菌16Sリボソーム遺伝子の配列から作製した5’−AGAGTTTGATCCTGGCTCAG−3’(配列識別番号55)を例示することができる。また、ポジティブコントロールプローブはクリプトスポリジウムのいずれの種とも相補的であるように設計されたオリゴヌクレオチド配列であることが必要であり、例えば、クリプトスポリジウムのすべての種に保存されたコンセンサス配列に基づいて設計されたものを用いることができ、具体的には、クリプトスポリジウムの18Sリボソーム遺伝子のコンセンサス配列に基づいて作製された5’−GGAACCTGGTTGATCCTGCCAG−3’(配列識別番号56)を例示することができる。
【0045】
以下、本発明の一好適態様として、本発明のクリプトスポリジウムの種識別的検出方法をマイクロアレイを用いて実施する方法について詳細に説明する。
【0046】
本発明のマイクロアレイは、本発明のプローブ群が固相担体上に適切に配置し、固定されている。特に解析の容易化の観点から、プローブセットを構成する一の一塩基変異につき4種類の変異部位を有するべく構成された4種のプローブを一列に配置することが好ましい。また、適切なポジティブプローブ、ネガティブプローブを配置することも可能である。マイクロアレイの担体としては、ガラス板、石英板、シリコンウェファーなどが好ましく例示されるが、従来用いられる何れの公知の材料をも用いることができる。
【0047】
担体上にプローブを固定する方法は、公知の何れの方法を利用することができ、プローブの種類や担体の種類に応じて、適宜最適な方法が選択される。具体的方法としては、DNAの荷電を利用してポリリジン、ポリエチレンイミン等のポリ陽イオンで担体表面に静電結合させる方法、アミノ基、アルデヒド基、エポキシ基等を有する各種シランカップリング剤で表面処理された担体に、末端に官能基としてアミノ基、アルデヒド基、SH基、ビオチン等が導入されたDNAとを共有結合させる方法等を好ましく例示することができる。その後、必要に応じて、紫外線照射によるクロスリンク形成、表面のブロッキング、洗浄等の処理を行うものとする。また、マイクロアレイは業者に委託することにより作製することもできる。
【0048】
上記で調製されたマイクロアレイを用いたクリプトスポリジウムの検出方法は、上記のようにして調製した核酸試料をマイクロアレイに作用させ、担体上に固定されたプローブと核酸試料に含まれるDNAとをハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーションの条件に関しては、上記で既に述べた。
【0049】
ハイブリダイゼーション後、マイクロアレイ上のプローブとハイブリダイズしたDNAを標識物質を指標として検出する。蛍光標識した場合は、蛍光イメージスキャナーで、また、放射性同位体標識をした場合には、RIイメージスキャナーで画像化し、コンピュータ解析により標識量を測定する。例えば、蛍光レーザ顕微鏡とCCDカメラにより蛍光を検出し、コンピュータにより蛍光強度を解析することにより測定でき、また、これらを連結した装置により自動的に簡便に測定することができ、蛍光強度を算出し、評価を行う。
【0050】
本発明の別の態様において、上記した本発明のプローブセット群を構成する各プローブを固相化したキットも本発明に包含する。該キットには、ハイブリダイゼーションに必要な試薬、検出に必要な試薬等を含ませることができ、好ましくはマイクロアレイの形態である。
【0051】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[検討例1]クリプトスポリジウムオーシストからDNAの抽出方法の検討
グリココール酸/デオキシコール酸処理とそれに続くプロテアーゼ処理を組合わせて(以下、グリココール酸/デオキシコール酸処理・プロテアーゼ処理と略する。)オーシストからDNAを抽出した場合のDNAの抽出効率と、従来のDNA精製法に基いてDNAを抽出した場合のDNA抽出効率との比較を行った。
【0052】
グリココール酸/デオキシコール酸処理・プロテアーゼ処理は、2500個オーシスト/μlのオーシスト懸濁PBS Buffer 10μlに、デオキシコール酸を終濃度0.1mM、またはグリココール酸を終濃度1mMとなるように添加し、37℃で15分間インキュベートを行った後、プロテイナーゼK (600mAU/ml, QIAGEN社製)および、EDTA(終濃度10mM)を添加し、70℃で10分間インキュベートの後、更に、94℃で10分間インキュベートすることで行った。従来のDNA精製法に基づくDNA抽出は、供給者の指示に従い、QIAGEN genomic DNA kit(QIAGEN)を用いて、上記オーシスト懸濁PBS Buffer 50μlからDNAを抽出した。
【0053】
次に、グリココール酸/デオキシコール酸処理・プロテアーゼ処理、従来のDNA精製法により抽出された各DNAサンプルから、それぞれ2.2μl、2μl分取し、同様の条件でPCR反応(全量25μl)を行い、ゲル電気泳動により抽出されたDNA量を目認した結果を図1に示す。レーン1が従来のDNA精製法に基づく処理方法により調製されたDNAサンプル由来のバンドであり、レーン2がグリココール酸/デオキシコール酸処理・プロテアーゼ処理に基づく処理方法により調製されたDNAサンプル由来のバンドを示している。この結果から、グリココール酸/デオキシコール酸処理・プロテアーゼ処理は、従来のDNA精製法に比べて、DNA抽出の効率が高く、オーシストから染色体DNAを抽出するのに有用な手段であることが判明した。
【0054】
また、ここでは図示しないが、上記したグリココール酸/デオキシコール酸処理・プロテアーゼ処理における脱嚢過程を顕微鏡で観察すると、グリココール酸はオーシストの破壊だけでなく、そこから出てきたスポロゾイトも破壊していることが確認された。したがって、プロテアーゼ処理の効果も相俟って、完全に微細な細胞構造が破壊されることから、DNA抽出効率が高くなるものと推定される。
【0055】
[検討例2]タウロコール酸、グリココール酸、デオキシコール酸のPCR反応への影響の検討
オーシストをタウロコール酸、グリココール酸、デオキシコール酸の各胆汁酸成分で処理することによりクリプトスポリジウムのオーシストからDNAを抽出した場合において、これらの胆汁酸成分のPCRによる増幅反応に与える影響を検討した。検討は、DNA精製によってこれらの胆汁酸成分を除去したサンプルと、これらの成分を除去しないサンプルとを、クリプトスポリジウムの18S リボソーム遺伝子の塩基配列の異なる部位の約100baseを増幅するよう設定された2のプライマー対(18F 5’−TGTCACTACCTCCCTGTATTAGGATTG−3’;配列識別番号57と95R 5’−CCTGAGAAACGGCTACCACATC−3’;配列識別番号58、96F 5’−CTCCCTCTCCGGAATCGAA−3’配列識別番号59と174R 5’−CAGCTTTAGACGGTAGGGTATTGG−3’;配列識別番号60)を用いて増幅反応を行い、ゲル電気泳動により増幅産物を目認する事により行った。2500個オーシスト/μlのオーシスト懸濁液10μlを、それぞれ70mMのグリココール酸、デオキシコール酸、タウロコール酸各溶液10μlで37℃にて30分間処理した。これに20μlの50% Triton X−100, 10mM EDTAを加えて室温で5分間反応させ、そのうちの5μlをPCRに供し未精製試料のPCR産物とした。また、別の20μlをGFX DNA purification kit (ファルマシア社製)を用いて精製し、等量の20μlの精製DNA溶液を得た。そのうちの5μlをPCRに供して精製試料のPCR産物とした。その結果を、図2に示す。100bp(18F−95R)が配列認識番号57と58のプライマー対での未精製試料由来の増幅産物であり、Purified(18F−95R)が配列認識番号57と58のプライマー対での精製試料由来の増幅産物であり、100bp(96F−174R)が配列認識番号59と60のプライマー対での未精製試料由来の増幅産物であり、Purified(96F−174R)が配列認識番号59と60のプライマー対での精製試料由来の増幅産物である。
【0056】
その結果、いずれの部位の増幅においても、デオキシコール酸、グリココール酸での処理の場合は、DNA精製過程を経ないサンプル由来の増幅産物量の方が多かったのに対して、タウロコール酸処理の場合は、DNA精製を経ないサンプル由来の増幅産物はほとんど確認されなかった。かかる結果から、タウロコール酸はDNA増幅の阻害物質であることが、示唆された。
【0057】
次に、クリプトスポリジウムオーシストから精製したDNAサンプルを用いて、このDNAサンプルにタウロコール酸、グリココール酸、デオキシコール酸の各胆汁酸成分を添加した後、通常のPCR反応を行うことにより、各胆汁酸成分のPCR増幅に与える影響を検討した。クリプトスポリジウムオーシストからのDNAの抽出、精製は、供給者の指示に従ってQIAGEN genomic DNA Kit(QIAGEN)を用いて行い、この精製DNAサンプルに、各70mMのタウロコール酸、グリココール酸、デオキシコール酸をx1、x1/2、x1/10、x1/100、x1/1000に希釈して(終濃度がそれぞれ、10、5、1、0.1、0.01mMに対応)添加した後、同様の条件でPCR反応(プライマー対 5’−GGAACCTGGTTGATCCTGCCAG−3’;配列認識番号1および5’−GGTCGATCCCCTAACTTTCGTT−3’;配列認識番号2)を行った後、増幅産物をゲル電気泳動に目認することにより比較した。その結果を図3に示す。
【0058】
タウロコール酸濃度が増大すると、増幅産物量の著しい減少が確認されたことから、タウロコール酸はPCR増幅(DNAポリメラーゼ)の強い阻害物質であることが判明した。一方、グリココール酸濃度による増幅産物量の変化は確認されなかった。また、デオキシコール酸濃度が増大すると、増幅産物量の減少が確認されたが、タウロコール酸による増幅産物の減少ほど顕著なものではなかった。
【0059】
以上、検討した通り、タウロコール酸はPCR反応の強い阻害剤であることから、タウロコール酸を用いてオーシストの脱嚢を行った場合は、増幅反応の際には、従来のDNA精製手法に基づいてタウロコール酸をあらかじめ除去しておく必要がある。しかしながら、検討例1で検討した通り、従来のDNA精製方法は、DNA抽出効率の低下に起因する検出感度の低下を招くことから、クリプトスポリジウムのオーシストからのDNA抽出に際して採用することは好ましいことではない。したがって、オーシストから染色体DNAの抽出方法としては、DNA精製過程を経ず、脱嚢後、直接、PCR増幅に付すことが可能であり、かつ、オーシストからの高いDNA抽出効率を達成できるグリココール酸/デオキシコール酸処理・プロテアーゼ処理を使用することが最適であることが判明した。以下の実施例1のオーシストからの染色体DNAの抽出方法は、この方法により行った。
【0060】
[実施例1]
クリプトスポリジウムの種識別的検出を以下のようにして行った。検出検体としては、Waterborne 社(USA)から購入した C. parvumおよびC. murisのオーシストを使用し、各クリプトスポリジウムのオーシスト20個を、PBS Bufferに懸濁し、全量10μlの環境試料を調製し、以下の実験に供した。PBS Bufferは、x10 PBS Buffer(11.5g Na2HPO4、2g KH2PO4、80g NaCl、2g KCl/1l)として調製していたものを、使用時に希釈して使用した。
【0061】
(1)染色体DNAの調製
各環境試料に、4μlのデオキシコール酸(終濃度0.1mM)、またはグリココール酸(終濃度1mM)を添加し、37℃で15分間インキュベートをした。続いて、0.5μlのプロテイナーゼK (600mAU/ml, QIAGEN社製)および、3.5μlのEDTA(終濃度10mM)を添加し、70℃で10分間インキュベートの後、更に、94℃で10分間インキュベートすることで、オーシストから抽出された染色体DNAを含有する核酸試料を得た。
【0062】
(2)DNAの増幅
上記で調製した核酸試料を室温まで冷却し、そのうち2μlを分取し、これを鋳型として、センスプライマーprimer1(5’−GGAACCTGGTTGATCCTGCCAG−3’;配列認識番号1)、アンチセンスプライマーprimer2(5’−GGTCGATCCCCTAACTTTCGTT−3’;配列認識番号2)をプライマーセットとして用いて、PCRを行い、クリプトスポリジウムの遺伝子を含む増幅断片を得た。PCR反応液は、x10 Reaction Buffer(Ex Taq Buffer、TAKARA社製)を5μl、2.5mMの dNTPsを5μl、20pM/μl のプライマー(Primer1、primer2)を各1μl、5U/μlのEx Taq(Takara社製)を0.5ml、上記(1)で調製した核酸試料を2μl、H2Oを36μlを加えて、全量50μlとして調製した。反応は、94℃で60秒での変性の後、94℃で30秒の変性、55℃で30秒のアニーリング、72℃で60秒の伸長を1サイクルとし、40サイクル行った後、72℃で240秒の最終伸長反応で、反応を終了させた。
【0063】
(3)増幅産物の標識化
上記(2)で得られた増幅産物から1μlを分取し、これを鋳型として、標識物質としてCy3標識ヌクレオチドを、また、センスプライマー18Sf60nest(5’−TCAAAGATTAAGCCATGCATGTCT−3’;配列認識番号3)、アンチセンスプライマー18Sr925nest (5’−GATTAATGAAAACATCCTTGGCAAA−3’;配列認識番号4)をプライマーセットとして用いて、2回目のPCRを行い、クリプトスポリジウムの遺伝子を含む標識化増幅産物を得た。PCR反応液は、X10 Reaction Buffer(Ex Taq Buffer、TAKARA社製)を5μl、2.5mM のdNTPsを5μl、Cy3‐dCTP(ファルマシア社製)を2μl、20pM/μlのプライマー(18Sf60nest、18Sr925nest)を各1μl、5U/μlのEX Taq(Takara社製)を0.5ml、上記(2)で調製した増幅産物を1μl、H2Oを81μlを加えて、全量100μlとして調製した。反応は、94℃で60秒での変性の後、94℃で30秒の変性、55℃で30秒のアニーリング、72℃で60秒の伸長を1サイクルとし、25サイクル行った後、72℃で240秒の最終伸長反応で、反応を終了させた。
【0064】
(4)増幅産物の断片化
上記(3)で得られた標識化増幅産物100μlをMicroSpin(登録商標)S−200 HR(ファルマシア社製)を用いて、ゲル濾過精製した後に、DNase I(Promega社製)で断片化し、標識化DNA断片を得た。DNase処理は以下のように行った。ゲル濾過精製後の標識化増幅産物から36μlを分取し、x10 Reaction Buffer(400mM Tris−HCl(pH 8.0)、100mM MgS04、10mM CaCl2) を4μl、DNase Iを0.5μl添加して、37℃で5分間インキュベートした後、x10 Stop Buffer(20mM EDTA(pH 8.0))を4μl加え、65℃で10分間インキュベートし、DNaseIを失活させた。ここで、得られた標識化DNA断片を後のハイブリダイゼーション実験に供した。
【0065】
(5)マイクロアレイの調製
マイクロアレイの基板として、Poly−L−lysinコーティングスライドガラス(Sigma, USA)を使用した。表1に示したプローブ各20pmolを、それぞれ1.5M Betain、3X SSC溶液中に混和後、スライドグラスにスポットし、120mJの強度で紫外線を照射することでプローブを基板に固定した。その後スライドグラスをコハク酸溶液(Succinic anhydride 6 g、 1−Methyl−2−pyrrolidinone 325 ml、Sodium borate (1M, pH 8.0) 15 ml)中で、室温にて10分間処理をしてブロッキングを行った。ブロッキング後、100%エタノールで1分間脱水した後、蒸留水ですすいで乾燥させることにより、プローブが固定されたマイクロアレイを作製した。また、ポジティブコントロールとして、クリプトスポリジウムのすべての種に保存された18Sリボソーム遺伝子のコンセンサス配列を有するポジティブコントロールプローブ(配列認識番号55)を、ネガティブコントロールとして大腸菌16Sリボソーム遺伝子の配列から作製したネガティブコントロールプローブ(配列識別番号56)を上記と同様にマイクロアレイ上に固定した。
【0066】
(6)ハイブリダイゼーション
上記(4)で調製した標識化DNA断片3μlを分取し、6μlのハイブリダイゼーションBuffer(12xSSPE、2%formamide)および3μlのH2Oを添加し、混和後、上記(5)で調製したプローブをスライドグラスに固定化したマイクロアレイに滴下した。45℃で3時間インキュベートすることにより、ハイブリダイゼーションを行い、室温でスライドグラスを洗浄する。洗浄は、2xSSC, 0.1%SDS溶液中で10分間インキュベート、および、0.2xSSC中で4−5回リンスしたのち遠心分離または窒素ガスにて完全に乾燥させることによって行った。スライドガラス乾燥後、DNAマイクロアレイ専用スキャナーにて蛍光強度を吸光波長550nm、励起波長570nmにて測定、画像処理を行い、画像または蛍光強度の定量値をもって評価を行った。画像処理図を図4に示す。図中のA、G、C、Tは一塩基変異部位において設定された塩基をしめす。ここで使用したSSPEおよび、SSCは、20xSSPE(3.6 M NaCl, 0.2M NaH2PO4, 20 mM EDTA; 210.4g NaCl、24.0g NaH2PO4、7.4g EDTA/1l)、20xSSC(3 M NaCl、0.3M sodium citrate;88.3g sodium citrate、175.4g NaCl/1l)を作製し、使用時に希釈して使用した。
【0067】
(7)結果の解析
評価は一塩基変異につき4種類の変異を有するべく構成された4種類のプローブに対応する4つのスポットの蛍光強度の和を100%として、各スポットの相対蛍光強度を算出することにより行い、相対蛍光強度が60%以上となるものを標的遺伝子の相補配列を有するプローブであるとして評価を行った。図4で示されるC.parvumの画像処理図をもとに相補的配列を特定した結果を図5に示す。
【0068】
第5レーンにおいては、C. parvumは、5−Aのスポットにおいて、また、C.murisは、5−Tのスポットにおいて、80%以上の相対蛍光強度が観察され、第8レーンにおいては、C. parvumは、8−Tのスポットにおいて、また、C.murisは、8−Aのスポットにおいて、80%以上の相対蛍光強度が観察され、第10レーンにおいては、C. parvumは、10−Tのスポットにおいて、また、C.murisは、10−Cのスポットにおいて、80%以上の相対蛍光強度が観察された。これらのスポットに対応するプローブが各C. parvum、C.murisそれぞれに対する相補的な配列を有するものであり、両者間において相補的な配列は明らかに相違するものとして検出されたことから、C.parvum、C. murisを蛍光パターンから正確に識別可能であること確認された。本発明において多数の種特異的な一塩基変異を特定し、その一塩基変異につき4種の変異部位を有するプローブを開示しているので、本実施例において、具体的に示したC.parvum、C. muris以外の種の同定にも、同様の手順により行うことができることを当業者は理解できるであろう。
【0069】
また、標的は、ネガティブコントロールのプローブとは全く反応せず、ポジティブコントロールのプローブのスポットは強い蛍光が観察された。以上の結果から、クリプトスポリジウムの属から種のレベルまで検出するのに有効な方法であることが判明した。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、クリプトスポリジウム属に属する広範の種を網羅的に、かつ、種識別的に、高精度、高感度かつ迅速に検出することが可能となる。特に、ヒトに感染の可能性のある種の正確な分類が可能となることから、クリプトスポリジウムの環境汚染実態の的確な把握が可能となり、水質管理を含めた適切な環境管理体制構築に大きく貢献する。引いては、ヒトへのクリプトスポリジウム感染を未然に確実に防止することが可能となることからその有用性は大きい。
更に、診断分野における臨床的応用、食品衛生分野における応用も期待される。
【0071】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のDNA抽出方法と従来法を比較した検討例1の結果を示す電気泳図
【図2】タウロコール酸、デオキシコール酸および、グリココール酸のPCR増幅に与える影響を検討した検討例2の結果を示す電気泳動図
【図3】タウロコール酸、デオキシコール酸および、グリココール酸のPCR増幅に与える影響を検討した検討例2の結果を示す電気泳動図
【図4】本発明の方法により、C. parvum、C. murisの種識別的検出を行った結果を示す蛍光強度の画像処理図
【図5】図4のC. parvumの画像処理図をもとに相補的配列を特定した結果を示す図
Claims (12)
- 下記の(a)〜(j)のプローブセット;
(a)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号5に示される塩基配列もしくはその相補配列中、一塩基変異として定義される16番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ16番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
(b)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号10に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される12番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ12番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
(c)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号15に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される13番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ13番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
(d)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号20に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される10番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ10番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
(e)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号25に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される11番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ11番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
(f)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号30に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される10番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ10番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
(g)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号35に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される11番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ11番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
(h)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号40に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される9番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ9番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
(i)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号45に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される10番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ10番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
(j)4種類のプローブからなるプローブセットであって、各プローブが配列認識番号50に示される塩基配列もしくは相補配列中、一塩基変異として定義される10番目の塩基とそれに隣接する5´側の3塩基および3´側の3塩基を有する塩基配列を含む連続する少なくとも10塩基ないし18塩基を有し、かつ、それぞれ10番目の塩基nが、n=aであるプローブ、n=cであるプローブ、n=gであるプローブ、n=tであるプローブである;
から選択される一以上のプローブセットからなるプローブセット群。 - 下記の(a)〜(j)のプローブセット;
(a)配列認識番号6からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号7からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号8からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号9からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(b)配列認識番号11からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号12からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号13からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号14からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(c)配列認識番号16からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号17からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号18からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号19からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(d)配列認識番号21からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号22からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号23からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号24からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(e)配列認識番号26からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号27からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号28からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号29からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(f)配列認識番号31からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号32からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号33からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号34からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(g)配列認識番号36からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号37からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号38からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号39からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(h)配列認識番号41からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号42からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号43からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号44からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(i)配列認識番号46からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号47からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号48からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号49からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(j)配列認識番号51からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号52からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号53からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号54からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
から選択される1以上のプローブセットからなる請求項1に記載のプローブセット群。 - 下記の(a)〜(j)のプローブセット;
(a)配列認識番号6からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号7からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号8からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号9からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(b)配列認識番号11からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号12からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号13からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号14からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(c)配列認識番号16からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号17からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号18からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号19からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(d)配列認識番号21からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号22からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号23からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号24からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(e)配列認識番号26からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号27からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号28からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号29からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(f)配列認識番号31からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号32からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号33からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号34からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(g)配列認識番号36からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号37からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号38からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号39からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(h)配列認識番号41からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号42からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号43からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号44からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(i)配列認識番号46からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号47からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号48からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号49からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
(j)配列認識番号51からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号52からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号53からなる塩基配列を有するプローブ、配列認識番号54からなる塩基配列を有するプローブの、4種類のプローブからなるプローブセット;
からなる請求項2記載のプローブセット群。 - 請求項1〜3のいずれかに記載のプローブセット群を構成する少なくとも1のプローブ。
- 以下(a)〜(d)の工程を有するクリプトスポリジウムの種識別的検出方法。
(a)被検試料から核酸試料を調製する工程、
(b)(a)で調製した核酸試料を、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプローブセットを構成する各プローブとハイブリダイズさせる工程、
(c)各プローブとハイブリダイズした核酸を標識を指標として検出する工程、
(d)検出結果を解析する工程 - 被検試料から核酸試料を調製する工程が、グリココール酸もしくは、デオキシコール酸処理の後、プロテアーゼで処理することにより行うことを特徴とする、請求項5に記載のクリプトスポリジウムの種識別的検出方法。
- 検出結果を解析する工程が、プローブセットを構成する4種のプローブの中から核酸試料と相補的な配列を特定することにより行うことを特徴とする、請求項5又は6に記載のクリプトスポリジウムの種識別的検出方法。
- プローブが予め担体に固相化され、該固相化プローブと標識された核酸試料をハイブリダイズさせ、固相に結合された標識を測定することを特徴とする、請求項5−7のいずれかに記載のクリプトスポリジウムの種識別的検出方法。
- 担体がマイクロアレイとして構成されていることを特徴とする、請求項8に記載のクリプトスポリジウムの種識別的検出方法。
- 標識が、蛍光色素、酵素、放射線同位体、ビオチン、ジゴケシゲニンのいずれかであることを特徴とする請求項5〜9いずれか1項に記載のクリプトスポリジウムの種識別的検出方法。
- 請求項1〜3のいずれかの1項に記載のプローブセット群を構成する各プローブが固定化された担体と、ハイブリダイゼーションに必要な試薬、標識物質を検出するための試薬を包含する、クリプトスポリジウムの種識別的検出用キット。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のプローブセット群を構成する各プローブが固定化されたクリプトスポリジウム検出用マイクロアレイ。
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