JP2004525626A - insituハイブリダイゼーションにより歯周病原性細菌を検出するためのオリゴヌクレオチド・プローブ - Google Patents
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Abstract
本発明は、in situハイブリダイゼーションによる歯周病原性細菌の種特異的な同定に使用するためのオリゴヌクレオチド・プローブに関する。さらに本発明は、前記歯周病原性細菌を同定するために使用するオリゴヌクレオチド・プローブ組成物、口腔領域からのヒト・サンプル中の歯周病原性細菌を信頼性をもって同定する方法、および前記方法を行うためのキットに関する。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、in situハイブリダイゼーションによる歯周病原性細菌の種特異的な検出用のオリゴヌクレオチド・プローブ、このような歯周病原性細菌を検出するためのオリゴヌクレオチド・プローブ組成物、口腔領域からのヒト・サンプル中の歯周病原性細菌を信頼性をもって検出する方法、およびこのような方法を行うためのキットに関する。
【背景技術】
【0002】
口腔衛生の改善および新しい治療手順にもかかわらず、歯周症としても知られる歯周炎は、依然として広く蔓延している疾患である。口腔健康に関する1999年のドイツの研究(Deutsche Mundgesundheitsstudie)によると、35才と44才の間の人々の14.1%が重度の歯周病と診断される可能性がある。65才と74才の間の人々の4人に1人もが重度の歯周炎を示す。
【0003】
歯周組織の進行的な破壊は、歯またはその根元の領域における、細菌の堆積、いわゆるデンタル・プラークによって引き起こされる。治療しないと、これによって冒された歯の損失がもたらされることは避けられない。一般に細菌プラークが増大することは歯周炎が生じる原因であると以前は仮定されていたが(非特異的プラーク仮説)、一連の充分に実証された研究から、口腔中に局在する500種類をゆうに超える細菌種のうちわずか数種のみが歯周炎の発症に関与することが一方では知られている。Porphyromonas gingivalis、Prevotella intermediaおよびBacteroides forsythusが、この疾患の発症に非常に強く関与している(スロッツ、ジェー.、エム.ティング(Slotz,J.,M.Ting)、Periodontol.第20巻、82−121ページ、2000年;ソクランスキー、エス.エス.、エー.ディー.ハファジー、エル.エー.キシメンツ−フィヴィー、エム.フェレス、ディー.メジャー(Socransky、S.S.,A.D.Haffajee,L.A.Ximenez−Fyvie,M.Feres,D.Mager)、Periodontol.第20巻、341−62ページ、2000年;カルロス、ジェー.ピー.、エム.ディー.ウルフ、ジェー.ジェー.ツァンボン、エー.キングマン(Carlos,J.P.,M.D.Wolfe,J.J.Zambon,A.Kingman)、J.Dent.Res.第67巻、1510−4ページ、1988年;レイ、シー.エイチ.、エム.エー.リストガルテン、エム.シラカワ、ジェー.スロッツ(Lai,C.H.,M.A.Listgarten,M.Shirakawa,J.Slotz)、Oral Microbiol.Immunol.第2巻、152−7ページ、1987年;ガーナー、アール.、ジェー.アール.シュトルブ、ビー.グーゲンハイム(Grnur,R.,J.R.Strub,B.Guggenheim)、J.Periodontal.Res.第24巻、113−20ページ、1989年)。他の極めて重要な歯周病原性細菌は、歯周炎の悪性の臨床過程と主に関連がある、Actinobacillus actinomycetemcomitansである(スロッツ、ジェー.、エム.ティング(Slotz,J.,M.Ting)、Periodontol.第20巻、82−121ページ、2000年)。
【0004】
これらの細菌は健康な個人にも少数存在するが、一定の閾値を超えたときにこの疾患が進行する。言い換えれば歯周炎は、適切な素因を有する宿主において、微生物叢全体の中の歯周病原性細菌の割合が一定の値に達するときにのみ発症する。
【0005】
現在、関連微生物を検出するために利用可能な一連の可能性が存在する。人工的な培養用培地を用いた培養物中のこれらの細菌を検出することは、標準的な方法であると考えられる。この方法によって、歯周サンプル中の培養可能な微生物叢中の関連細菌の割合を定量化および決定することが可能である。しかしながら歯周病原性細菌は非常に特異的な培養条件を要する嫌気性および微好気性微生物であるので、特異的な手順および装置、具体的には嫌気性技法を、サンプルを採取し、材料を処理し、これらの微生物を培養するために使用しなければならない。培養によって歯周の指標である細菌をこのようにして検出することは、多大な労力と人員を必要とし、非常に時間もかかり、平均10〜14日かかる。
【0006】
免疫学的方法の使用も、歯周病原性細菌を検出するのに原則的に適している(ボンタ、ワイ.、ジェー.ジェー.ツァンボン、アール.ジェー.ゲンコ、エム.イー.ナイダース(Bonta,Y.,J.J.Zambon,R.J.Genco,M.E.Neiders)、J Dent Res.第64巻、793−8ページ、1985年)。しかしながら交差反応性の出現により、本方法において偽陽性がもたらされることが多い。
【0007】
原則的に、分子生物学的技法を使用する2つの可能な方法が存在する。すなわちこれらの技法は、第1に歯周病原性細菌の核酸を直接検出するハイブリダイゼーション技法、および第2に、歯周の指標である細菌の遺伝情報の明確な部分を特異的に増幅させる、増幅技法(ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または転写媒介増幅技法(TMA)など)(チェン、シー.、ジェー.スロッツ(Chen,C.,J.Slotz)、Periodontol.第20巻、53−64ページ、2000年)である。
【0008】
増幅技法によって、細菌の高感度で特異的な検出が可能である。しかしながら、これらの方法はいずれも酵素依存性増幅に基づくものであり、実際にこれらを行うことの妨げとなる1連の欠点を示す。すなわち、
a)ヘモグロビンのヘム基などの、サンプル中に存在する阻害物質が増幅を妨げる、またはさらに増幅を阻止する可能性がある。
【0009】
b)遺伝物質は数百万倍に増幅されるので、交差汚染の危険が高い。このことを避けるためには、大変な労力を要する安全対策が必要である。
c)人員および機器に関する相当な出費がある。
【0010】
d)一般に増幅技法は、定性的にのみ述べることができ、定量的に述べることができない。
e)細胞と結合していない遊離DNAも検出される。言い換えれば、検出する生物が死んでいるときでさえも、検出が陽性となる。
【0011】
ハイブリダイゼーション技法は、この場合の日常的な研究により適しているようである。なぜなら、これらの技法は、確実かつ簡潔な実用性を特異的で感度の高い検出と組み合わせるからである。しかしながら、歯周病原性細菌に関するハイブリダイゼーション技法の主な問題は、信頼性のある細菌の定量化が困難を伴ってのみ可能であることである。
【0012】
この点における1つの例外は、rRNAを対象とするin situハイブリダイゼーションである。異なる複数のプローブをこの技法において特異的に使用する場合、培養条件とは無関係に、特定の微生物の数だけでなく、叢全体の中のそれらの割合を決定することが可能である。これは有意義な微生物診断の根本となるものである。なぜなら、歯周炎を誘発するためには、ある閾値が必要とされるからである。
【0013】
さらに、蛍光によるin situハイブリダイゼーションの検出によって、シグナルの強度に基づいて、細菌の生理学的状態に関する情報が与えられる。したがってこれは、口腔の他の部分に由来する潜在的な混入菌などの不活性な細菌を、生理学的に活性な歯肉下の微生物叢から区別するために役立つ。
【0014】
この技法の他の利点は、細菌をin situで検出することが可能なことである。細菌同士の空間的関係、および免疫細胞を伴う細菌の局在化から、歯周炎の病因に対する重要な洞察が与えられる。
【0015】
この方法は簡単であり、迅速に行うことが可能であり、このことによってこの技法は、診断検査室において、あるいは歯科診療そのものにおいて、日常的に使用されることになる。歯周病原性微生物の診断に関するin situハイブリダイゼーションの、初期の実験結果が公開されている。すなわち、ゲルスドルフら(Gersdorf et al.)(FEMS Immunol.Med.Microbiol.第6巻、109−14ページ、1993年)は、蛍光標識したプローブを用いて、P.gingivalisおよびB.forsythusを検出することを既に可能にしている。モーターら(Moter et al.)(J.Clin.Microbiol.第36巻、1399−403ページ、1998年)は、この技法を使用して、培養するのが困難あるいは不可能であるスピロヘータを検出している。しかしながら、in situハイブリダイゼーションによってP.gingivalisおよびB.forsythusを特異的に検出するための既知のプローブは、比較的感度が低い。
【0016】
さらに、in situハイブリダイゼーションに関する現況技術に従って開示されているプローブ系は不完全である。したがって、重要な歯周病原性微生物であるA.actinomycetemcomitansおよびP.intermediaの特異的な検出は可能ではない。A.actinomycetemcomitansおよびP.intermedia用の既知の特異的なプローブは、その一次構造に基づけば使用可能であると思われるが、in situハイブリダイゼーション技法には部分的に不適である。なぜなら、天然のリボソームRNAへの該プローブの結合は、結合部位をふさぐリボソーム・タンパク質により、または結合を阻止するように作用するrRNAの二次構造により妨げられるからである。
【0017】
さらに、1種のみのハイブリダイゼーション・プローブに基づく既知の系は、比較的低い感度を示す。したがって、少数のリボソームを含む歯周病原性の指標細菌は、現況技術に記載のオリゴヌクレオチド・プローブを用いて検出することは不可能であるか、可能であっても困難を伴う。さらに、菌株間の配列の変異が存在する場合、1種のみのハイブリダイゼーション・プローブに基づく系を使用することによって、非常にさまざまなプローブの標的領域で誤った対合をもたらす可能性がある。これによって、偽陰性の結果が生じる。
【0018】
現況技術の歯周病原性細菌を検出するためのin situハイブリダイゼーションの他の欠点は、その感度が低いために、高価な蛍光顕微鏡を用いてのみ評価を実施可能であることである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって本発明の目的は、現況技術の欠点を克服し、歯周炎の形成と関連がある細菌に関する、特異性が高く感度が高いin situでの検出に適している、オリゴヌクレオチド・プローブを提供することである。本発明の他の目的は、口腔からのヒト・サンプル中の歯周の指標細菌を信頼性をもって検出するための、迅速で高価でない技法を提供することである。
【0020】
他の目的は、本発明の以下の記載から引き出すことが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明に従って、独立請求項の特徴によって前述の目的を解決することが可能である。他の実施形態は、従属請求項の特徴から生じる。
本発明に従って、種Actinobacillus actinomycetemcomitans、Porphyromonas gingivalis、Bacteroides forsythusおよびPrevotella intermediaの歯周病原性細菌の種特異的な検出に適した、オリゴヌクレオチド・プローブが提供される。本発明のオリゴヌクレオチドの配列を、配列番号1〜17の配列に関する添付の配列表中に示す。これは以下のものに相当する:
配列番号1、2=AACT1、AACT2
配列番号3〜配列番号5=PGIN1〜PGIN3
配列番号6〜配列番号11=BFOR1〜BFOR6
配列番号12〜配列番号17=PINT1〜PINT6
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
具体的には、in situハイブリダイゼーションによりActinobacillus actinomycetemcomitans種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するための、本発明のオリゴヌクレオチド・プローブが提供される。このオリゴヌクレオチド・プローブはActinobacillus actinomycetemcomitansのrRNAに相補的であり、
a)5’−CAT−CAG−CGT−CAG−TAC−ATC−C−3’
5’−AGT−ACT−CCA−GAC−CCC−CAG−3’
またはそれらの一部分を含むDNA配列と、
b)a)の核酸配列の相補鎖とハイブリダイズする核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列と、
c)b)の核酸配列に縮重する核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列とからなる群から選択される。
【0023】
さらに、in situハイブリダイゼーションによりPorphyromonas gingivalis種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するための、本発明のオリゴヌクレオチド・プローブが提供される。このオリゴヌクレオチド・プローブはPorphyromonas gingivalisのrRNAに相補的であり、
a)5’−CCT−CTG−TAA−GGC−AAG−TTG−C−3’
5’−GCG−CTC−AGG−TTT−CAC−CGC−3’
5’−CGG−TTA−CGC−CCT−TCA−GGT−3’
またはその一部分を含むDNA配列と、
b)a)の核酸配列の相補鎖とハイブリダイズする核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列と、
c)b)の核酸配列に縮重する核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列とからなる群から選択される。
【0024】
さらに、in situハイブリダイゼーションによりBacteroides forsythus種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するための、本発明のオリゴヌクレオチド・プローブが提供される。このオリゴヌクレオチド・プローブはBacteroides forsythusのrRNAと相補的であり、
a)5’−GCT−ACC−ATC−GCT−GCC−CCT−3’
5’−CCA−TGC−GGA−ACC−CCT−GTT−3’
5’−CCG−CGG−ACT−TAA−CAG−CCC−ACC−T−3’
5’−CGA−CAA−ACT−TTC−ACC−GCG−G−3’
5’−TGA−CAG−TCA−GGG−TTG−CGC−3’
5’−TCA−CAG−CTT−ACG−CCG−GC−3’
またはその一部分を含むDNA配列と、
b)a)の核酸配列の相補鎖とハイブリダイズする核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列と、
c)b)の核酸配列に縮重する核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列とからなる群から選択される。
【0025】
最後に、in situハイブリダイゼーションによりPrevotella intermedia種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するための、本発明のオリゴヌクレオチド・プローブが提供される。このオリゴヌクレオチド・プローブはPrevotella intermediaのrRNAと相補的であり、
a)5’−TTG−GTC−CAC−GTC−AGA−TGC−3’
5’−TGC−GTG−CAC−TCA−AGT−CCG−3’
5’−TGT−ATC−CTG−CGT−CTG−CAA−TT−3’
5’−CCC−GCT−TTA−CTC−CCC−AAC−3’
5’−CAT−CCC−CAT−CCT−CCA−CCG−3’
5’−TCC−CCA−TCC−TCC−ACC−GAT−GA−3’
またはその一部分を含むDNA配列と、
b)a)の核酸配列の相補鎖とハイブリダイズする核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列と、
c)b)の核酸配列に縮重する核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列とからなる群から選択される。
【0026】
蛍光in situハイブリダイゼーションの方法(FISH;アマン、アール.アイ.、ダブリュー.ルードビッヒおよびケー.エイチ.シュライファー(Amann,R.I.,W.Ludwig and K.−H.Schleifer)、1995年、「培養を伴わない個々の微生物細胞の系統学的同定とin situ検出(Phylogenetic identification and in situ detection of individual microbial cells without cultivation.)」、 Microbial.Rev.第59巻、S.143−169ページ)により、抗体法を使用するときと同様に、PCRなどの分子生物学的方法の特異性と細菌の視覚化の可能性とを組み合わせるための特有の手法が与えられる。これによって、細菌の種、属および群の、非常に特異的な同定と視覚化とが可能になる。
【0027】
FISHの技法は、生命にとって重要な機能を有しており、したがって進化の過程でほとんど突然変異を経ていないある種の分子、16Sおよび23Sリボソーム・リボ核酸(rRNA)が細菌細胞中に存在するという事実に基づくものである。これらはいずれもタンパク質生合成の場であるリボソームの成分であり、その偏在的分布、その大きさならびにその構造的および機能的安定性ゆえに特異的なマーカーとして働くことが可能である(ウース、シー.アール.(Woese,C.R.)、1987年、「細菌の進化(Bacterial evolution.)」、Microbiol.Rev.第51巻、S.221−271ページ)。比較配列分析を使用して、そのデータのみに基づいて系統発生の関係を構築することが可能である。この目的のために、配列データをアラインメントにしなければならない。このアラインメントは、これらの高分子の2次構造および3次構造の知識に基づくものであり、リボソーム核酸の互いに相同な位置を揃えて配列する。
【0028】
系統発生学的な計算は、これらのデータに基づいて行うことが可能である。最新のコンピュータ技術を使用することにより、さらに大規模な計算を迅速かつ効果的に実施し、16S‐rRNAおよび23S‐rRNAのアラインメント配列を含む大きなデータ・ベースを構築することが可能である。これらのデータへの迅速なアクセスによって、得られたばかりの配列の短時間での系統発生学的分析が可能である。これらのrRNAデータ・ベースを使用して、種および属特異的な遺伝子プローブを構築することが可能である。利用可能なrRNA配列すべてを、この目的のために互いに比較し、1つの細菌種、細菌属または細菌群に特異的な配列用のプローブを開発する。
【0029】
FISH(蛍光in situハイブリダイゼーション)技法では、リボソーム標的配列上の特定の領域に相補的なこれらの遺伝子プローブを、細胞内に移行させる。遺伝子プローブは一般に小さく、16〜28塩基の長さの、デオキシリボ核酸の一本鎖片であり、細菌種または細菌群に特有な標的領域を対象とする。蛍光標識された遺伝子プローブが細菌細胞中でその標的配列を発見すると、同プローブはその標的配列に結合し、その蛍光によって蛍光顕微鏡で細胞を検出することが可能である。
【0030】
FISH分析は一般に顕微鏡のスライド上で行われ、これにより細菌の評価中に、細菌を視覚化、または高エネルギーの光を照射することによって目に見えるものにする。あるいは、マイクロタイター・プレート上で分析を行うことも可能である。
【0031】
一般に、本出願に記載の歯周病原性細菌を特異的に検出する方法は、
サンプル中に含まれる細菌を固定する工程、
ハイブリダイゼーションを行わせるべく、固定した細菌を本発明の核酸プローブ分子と共にインキュベートする工程、
ハイブリダイズしなかった核酸プローブ分子を除去またはすすぎ落とす工程、および
核酸プローブ分子とハイブリダイズした細菌を検出する工程
を含んで実施される。
【0032】
核酸プローブはここでは、検出する微生物の染色体またはエピソームDNA、あるいはmRNAまたはrRNAと相補的であってよい。検出する微生物中に2つ以上のコピーとして存在する領域に相補的な核酸プローブを選択することが有利である。検出する配列は、細胞1個当たり500〜100,000個のコピーとして存在することが好ましく、1,000〜50,000個のコピーとして存在することが特に好ましい。この理由から、好ましい標的部位としてrRNAを使用する。なぜなら、タンパク質生合成の場である数千のリボソームは、全ての活動細胞中に存在するからである。本発明に関しては、本発明のオリゴヌクレオチド・プローブが、検出する歯周病原性細菌の16S rRNAを対象とすることが特に好ましい。
【0033】
本発明の意味での核酸プローブはDNAまたはRNAプローブであってよく、同プローブは12〜1000個のヌクレオチド、好ましくは12個と500個の間、より好ましくは12個と200個の間および12個と100個の間、特に好ましくは12個と50個の間および14個と40個の間および15個と30個の間、しかし最も好ましくは17個と25個の間のヌクレオチドを通常は含むであろう。核酸プローブの選択は、相補的な配列が検出する微生物中に存在するかどうかという基準に従って行う。相補的な核酸プローブの標的部位として選択される領域は、標的群(たとえば1つの種のすべての菌株)中に存在するが、他の微生物中には存在しない領域である。15個のヌクレオチドからなるプローブに関しては、100%の配列が相補的でなければならない。ヌクレオチドが15個より多いオリゴヌクレオチドに関しては、1個または数個のミスマッチが許容される。
【0034】
本発明の主題は、前述のオリゴヌクレオチド配列の改変物も含む。これらのオリゴヌクレオチド配列は、配列および/または長さがさまざまであるにもかかわらず、関連細菌の標的核酸配列との特異的なハイブリダイゼーションを示し、したがって本発明の方法で使用するのに適している。これらは特に以下のものを含む。
【0035】
a)核酸分子であって、(i)塩基の少なくとも60%、65%、好ましくは少なくとも70%、75%、より好ましくは少なくとも80%、84%、87%、特に好ましくは少なくとも90%、94%、96%が、任意の前述のオリゴヌクレオチド配列(配列番号1〜配列番号17)と同一であり、前記の任意のオリゴヌクレオチド(配列番号1〜配列番号17)の配列領域に対応する核酸分子の配列領域が考えられ、前記の任意のオリゴヌクレオチド(配列番号1〜配列番号17)と比較して、1個または複数個の塩基分だけ配列が長い可能性がある核酸分子の全体の配列は考えられないか、あるいは(ii)前述のオリゴヌクレオチド配列(配列番号1〜配列番号17)と1個または数個の欠失および/または付加の分だけ異なっており、種Actinobacillus actinomycetemcomitans、Porphyromonas gingivalis、Bacteroides forsythusおよびPrevotella intermediaの細菌の核酸配列との特異的なハイブリダイゼーションが可能である核酸分子。本明細書において「特異的なハイブリダイゼーション」とは、本明細書に記載のハイブリダイゼーション条件下で、あるいはin situハイブリダイゼーション技法において当業者に知られている条件下で、標的生物のリボソームRNAのみがオリゴヌクレオチドに結合し、非標的生物のrRNAは結合しないことを意味する。
【0036】
b)核酸分子であって、a)で挙げた任意の核酸分子と相補的な配列、または配列番号1〜配列番号17中で同定される任意のプローブに相補的な配列と厳密な条件下でハイブリダイズする核酸分子。
【0037】
c)配列番号1〜配列番号17由来のオリゴヌクレオチド配列を含むか、またはa)もしくはb)の核酸分子の配列を含む核酸分子であり、かつ前記配列またはa)もしくはb)に記載のそれらの改変物以外に少なくとも1つのさらなるヌクレオチドを有し、標的生物の核酸配列との特異的なハイブリダイゼーションが可能である核酸分子。
【0038】
核酸分子と配列番号1〜配列番号17のプローブとの配列同一性の程度は、通常のアルゴリズムによって調べることが可能である。この点において、たとえば、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST の下でアクセス可能な(このサイトには、たとえばリンク「Standard nucleotide-nucleotide BLAST[blastn]」が存在する)、配列同一性を決定するためのプログラムがここでは適切である。
【0039】
本発明の核酸プローブ分子は、検出法に関してさまざまなハイブリダイゼーション溶液と共に使用することが可能である。核酸プローブの結合は、厳密または穏やかなハイブリダイゼーション条件のどちらを選択するかに応じて、100%相補的な標的部位または1個もしくは数個のミスマッチを有する標的部位に結合する。
【0040】
この目的のために、0〜80%の濃度のさまざまな有機溶媒を使用することが可能である。本発明の意味での穏やかな条件は、たとえば実施例1に記載するように、ハイブリダイゼーション緩衝液にホルムアミドが0%であることである。本発明の意味での厳密な条件は、たとえばハイブリダイゼーション緩衝液に20〜80%のホルムアミドを含むことである。
【0041】
本明細書中の本発明に関しての核酸配列の一部または誘導体とは、欠失および/または付加および/または突然変異によって本発明の前述のDNA配列と異なっている可能性があり、あるいはこれらのDNA配列の部分的な領域のみを含むオリゴヌクレオチド・プローブであって、同プローブが上記に列挙された細菌の特定のrRNAにハイブリダイズする能力を保持していることを意味する。
【0042】
本発明の他の態様では、歯周病原性細菌を検出するためのオリゴヌクレオチド・プローブ組成物が提供され、該オリゴヌクレオチド・プローブ組成物は、
i)Actinobacillus actinomycetemcomitans種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するための、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のオリゴヌクレオチド・プローブであって、
a)5’−CAT−CAG−CGT−CAG−TAC−ATC−C−3’
5’−AGT−ACT−CCA−GAC−CCC−CAG−3’
またはその一部分を含むDNA配列、
b)a)の核酸配列の相補鎖とハイブリダイズする核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列、
c)b)の核酸配列に縮重する核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列、からなる群から選択されるオリゴヌクレオチド・プローブ、
ii)Porphyromonas gingivalis種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するための、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のオリゴヌクレオチド・プローブであって、
a)5’−CCT−CTG−TAA−GGC−AAG−TTG−C−3’
5’−GCG−CTC−AGG−TTT−CAC−CGC−3’
5’−CGG−TTA−CGC−CCT−TCA−GGT−3’
またはその一部分を含むDNA配列、
b)a)の核酸配列の相補鎖とハイブリダイズする核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列、
c)b)の核酸配列に縮重する核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列、からなる群から選択されるオリゴヌクレオチド・プローブ、
iii)Bacteroides forsythus種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するための、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のオリゴヌクレオチド・プローブであって、
a)5’−GCT−ACC−ATC−GCT−GCC−CCT−3’
5’−CCA−TGC−GGA−ACC−CCT−GTT−3’
5’−CCG−CGG−ACT−TAA−CAG−CCC−ACC−T−3’
5’−CGA−CAA−ACT−TTC−ACC−GCG−G−3’
5’−TGA−CAG−TCA−GGG−TTG−CGC−3’
5’−TCA−CAG−CTT−ACG−CCG−GC−3’
またはその一部分を含むDNA配列、
b)a)の核酸配列の相補鎖とハイブリダイズする核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列、
c)b)の核酸配列に縮重する核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列、からなる群から選択されるオリゴヌクレオチド・プローブ、および
iv)Prevotella intermedia種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するための、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のオリゴヌクレオチド・プローブであって、
a)5’−TTG−GTC−CAC−GTC−AGA−TGC−3’
5’−TGC−GTG−CAC−TCA−AGT−CCG−3’
5’−TGT−ATC−CTG−CGT−CTG−CAA−TT−3’
5’−CCC−GCT−TTA−CTC−CCC−AAC−3’
5’−CAT−CCC−CAT−CCT−CCA−CCG−3’
5’−TCC−CCA−TCC−TCC−ACC−GAT−GA−3’
またはその一部分を含むDNA配列、
b)a)の核酸配列の相補鎖とハイブリダイズする核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列、
c)b)の核酸配列に縮重する核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列、からなる群から選択されるオリゴヌクレオチド・プローブのうち少なくともいずれかを含んでなる組成物である。
【0043】
特に好ましい実施形態では、歯周病原性細菌を検出するためのオリゴヌクレオチド・プローブ組成物は、
i)Actinobacillus actinomycetemcomitans種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するためのオリゴヌクレオチド・プローブであって、
a)5’−CAT−CAG−CGT−CAG−TAC−ATC−C−3’
5’−AGT−ACT−CCA−GAC−CCC−CAG−3’
を含むDNA配列からなる群由来の全てのオリゴヌクレオチド・プローブ、
ii)Porphyromonas gingivalis種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するためのオリゴヌクレオチド・プローブであって、
5’−CCT−CTG−TAA−GGC−AAG−TTG−C−3’
5’−GCG−CTC−AGG−TTT−CAC−CGC−3’
5’−CGG−TTA−CGC−CCT−TCA−GGT−3’
からなる群由来の全てのオリゴヌクレオチド・プローブ、
iii)Bacteroides forsythus種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するためのオリゴヌクレオチド・プローブであって、
5’−GCT−ACC−ATC−GCT−GCC−CCT−3’
5’−CCA−TGC−GGA−ACC−CCT−GTT−3’
5’−CCG−CGG−ACT−TAA−CAG−CCC−ACC−T−3’
5’−CGA−CAA−ACT−TTC−ACC−GCG−G−3’
5’−TGA−CAG−TCA−GGG−TTG−CGC−3’
5’−TCA−CAG−CTT−ACG−CCG−GC−3’
からなる群由来の全てのオリゴヌクレオチド・プローブ、および
iv)Prevotella intermedia種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するためのオリゴヌクレオチド・プローブであって、
5’−TTG−GTC−CAC−GTC−AGA−TGC−3’
5’−TGC−GTG−CAC−TCA−AGT−CCG−3’
5’−TGT−ATC−CTG−CGT−CTG−CAA−TT−3’
5’−CCC−GCT−TTA−CTC−CCC−AAC−3’
5’−CAT−CCC−CAT−CCT−CCA−CCG−3’
5’−TCC−CCA−TCC−TCC−ACC−GAT−GA−3’
からなる群由来の全てのオリゴヌクレオチド・プローブ、
のうち少なくともいずれかを含む。
【0044】
本発明の他の好ましい実施形態では、歯周病原性細菌を特異的に検出するための本発明のオリゴヌクレオチド・プローブの組成物は、上記の配列番号1〜17の本発明のオリゴヌクレオチド・プローブ全てを含む。
【0045】
本発明のオリゴヌクレオチド・プローブ組成物を使用することによって、歯周の指標病原菌がごくわずかのリボソームしか含まないときでさえ、該病原菌の高感度の検出が可能である。このようにして、病原体が低活性の状態であるときに、歯周サンプル中の該当する病原体を検出することさえ可能であることが保証される。したがって本発明のプローブ組成物によって、歯周病原性細菌中のリボソームの数(単純な蛍光標識プローブによって検出可能)が閾値数未満である場合においても、歯肉下サンプル中の歯周病原性細菌を定量的に検出することが初めて可能となる。
【0046】
さらに、現況技術において知られている他のすべてのプローブに関する状況と対照的に、前に記載したプローブは、細菌叢全体中の特異的な病原性細菌の割合を迅速に決定するために、たとえば細菌を染色する染料と組み合わせて使用することが可能である。これは診断上非常に重要である。なぜなら、臨界値を超えると疾患がもたらされる可能性があるからである。培養技法とは異なり、培養可能な細菌だけでなく、サンプル中に存在するすべての細菌が検出される。本発明のオリゴヌクレオチド・プローブ組成物を用いる検出は、個々の非常にさまざまなrRNA断片に関してその菌株タイプとは通常異なる菌株の変種が存在する場合も成功する。本発明のプローブを用いる首尾の良い検出は迅速であるだけでなく、確実で特異性が高い。
【0047】
本発明のさらなる主題は、in situハイブリダイゼーションによって歯周病原性細菌を検出する方法であって、
a)サンプル中に含まれる細菌を固定する工程、
b)前に記載した本発明の少なくとも1つのオリゴヌクレオチド・プローブ、好ましくは前に記載した本発明の1つのオリゴヌクレオチド・プローブ組成物と共に、固定した細菌をインキュベーションする工程、
c)ハイブリダイズした細菌細胞を検出し、任意選択で定量化する工程、
からなる方法である。
【0048】
固定の後に、乾燥または濾過によって顕微鏡用スライド上に細菌を固定化することが特に好ましい。
固定は、たとえばエタノール、アセトンおよびエタノール‐酢酸混合物からなる群から選択される変性試薬、および/または、たとえばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドおよびグルタルアルデヒドからなる群から選択される架橋試薬によって実施することが好ましい。別例として、熱を使用して固定を実施する。
【0049】
本発明については、細菌の「固定」は一般に、核酸プローブの取り込み用に細菌細胞のエンベロープを透過化する(透過性にする)処理を意味する。通常はエタノールが固定用に使用される。これらの処理後に核酸プローブが細胞壁を通過しない場合、同じ結果をもたらす他の技法を、当業者は充分に知っている。これらはたとえば、メタノール、アルコールの混合物、わずかなパーセンテージのパラホルムアルデヒドの溶液、または希釈されたホルムアルデヒド溶液、酵素処理剤などを含む。
【0050】
さらに、オリゴヌクレオチド・プローブが検出可能なマーカーに共有結合されるときは、それが好ましい。検出可能なマーカーは、
a)蛍光マーカー;
b)化学発光マーカー;
c)放射性マーカー;
d)酵素活性を有する基;
e)ハプテン;
f)ハイブリダイゼーションによって検出可能な核酸;
からなる群から選択されることが好ましい。
【0051】
酵素マーカーは、ペルオキシダーゼ、好ましくはホースラディシュペルオキシダーゼ、およびホスファターゼ、好ましくはアルカリホスファターゼからなる群から選択されることが好ましい。この特殊な実施形態における本発明の方法による検出および定量化は、単純な光学顕微鏡を用いて行うことも可能である。この目的のために、歯周病原性細菌をin situで検出するべく初めてペルオキシダーゼ標識オリゴヌクレオチド・プローブを使用する。
【0052】
この実施形態によって、従来使用されてきた技法と比較して、一連の利点が与えられる。第1に、酵素反応に基づく検出系によって、光学顕微鏡により細菌を検出することが可能であり、これによって分析機器に関する購入コストが大幅に低下する。さらに、対比染色用の適切な試薬を使用することによって、この検出系の信頼性をさらに高めることが可能である。従来のヘマトキシリン‐エオシン染色を、ペルオキシダーゼ標識オリゴヌクレオチドを用いたin situハイブリダイゼーションの後に行う場合、これによって、特異的な細菌の数および割合を決定することだけではなく、関連する免疫細胞の数および特定の群の細菌との間に考えられる空間的関係を決定することも可能である。さらに、検出系の自動化に関するさらに優れた可能性がそこから明らかに生じ、したがって顕微鏡に依存しない検出が可能である。この種の検出系は、例えば、市販の発色性ペルオキシダーゼ基質を用いてマイクロタイター・プレート上で実施可能であると思われる。
【0053】
記載した技法によって、専門の調査研究室および開業歯科医にとって微生物診断が明らかに容易になるだけでなく、この感染症の研究において最新の発見をももたらすはずである。
【0054】
さらに、固定した細胞をインキュベーション前に透過化する(透過性にする)ことが有利である可能性がある。本発明の意味での透過化の際に、細胞壁に穴が形成されるが、細胞壁は溶解の場合のように破壊されることはない。細胞の形態的な無欠性は保たれる。DNA、RNAおよびリボソームなどの巨大分子は、細胞内に保たれる。たとえば、蛍光染料と比較して大きい酵素分子で標識されたプローブの細胞内への効率の良い浸透、およびその後のリボソームへの結合を保証するために、透過化が必要である可能性がある。透過化は、特にプロテイナーゼK、プロナーゼ、リゾチームおよびミュータノリシン(Mutanolysin)からなる群から選択される細胞壁溶解酵素による、部分的な分解によって行うことが可能であることが好ましい。
【0055】
本発明のさらなる主題は、少なくとも1つのハイブリダイゼーション緩衝液と、少なくとも1つの本発明のオリゴヌクレオチド・プローブ、好ましくは本発明のオリゴヌクレオチド・プローブ組成物とを含む、前に記載した本発明の方法を行うためのキットである。
【0056】
前に記載した本発明の方法は、リボソームRNAを検出することに基づくin situハイブリダイゼーション法である。以下に記載した本発明の特定の実施形態では、
1)サンプル採取、
2)サンプルの固定、
3)場合によっては、運搬、
4)場合によっては、濃縮、
5)担体上へのサンプルの固定化、
6)サンプル中に含まれる細菌細胞の透過化、
7)サンプルのハイブリダイゼーション、
8)サンプルの洗浄、
9)ハイブリダイズしたプローブの検出、
の工程を実施する。
【0057】
開業医の臨床上の経験は、患者または歯の冒された領域を選択する際に決定的である。1998年の歯周病学会およびドイツ歯科、口腔、顎科学会(Deutsche Gesellschaft fuer Zahn-, Mund- und Kieferheilkunde )の、周辺歯周炎の微生物診断についての解説を、ガイドラインとして使用可能である。個々の歯周ポケットまたはいくつかの歯肉下部位からの「プールしたサンプル」のいずれかから、サンプルを採取することが可能である。あるいは、記載の技法を使用して、歯肉上部位または口腔−咽頭領域からの他のサンプル(たとえば唾液サンプル)を調べることも可能である。歯肉下部位からのサンプルは、好ましくはアルフレッド・ベヒト社(Firma Alfred Becht)(ドイツ国オッフェンブルグ(Offenburg)所在)または他の製造者のISO45規格の、特殊な歯科器具(たとえばキューレット、スケーラーなど)または特殊なペーパー・チップのいずれかを用いて採取される。
【0058】
異なる方法によってサンプル採取した細菌を、次に、細菌を殺傷しリボソームRNAの分解を妨げるべく適切な固定媒質に移す。原則として、エタノール、アセトンおよびエタノール−酢酸混合物などの変性試薬、または、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドもしくはグルタルアルデヒドなどの架橋試薬のいずれかを使用することが可能である。固定剤の両群からの混合物(たとえばエタノールとホルムアルデヒド)を使用することも可能である。
【0059】
抽出した細菌を、顕微鏡用スライド上に存在する1滴の水中に直接溶出させることも可能である。次いで細菌を、ブンゼン・バーナーなどの直火またはたとえば80℃に温度調節されたインキュベータ内での加熱によって固定し、同時に顕微鏡のスライド上に固定化する。固定されたサンプルは、それ以上の特殊な予防措置または機器なしで保存することが可能であり、おそらく運搬可能である。
【0060】
熱による固定を行わなかった場合、固定されたサンプルを次に乾燥によって顕微鏡のスライド上に固定化する。あるいは、固定化用の濾過手順を使用することが可能である。膜フィルタを使用して、さらに大容量のサンプルをフィルタにアプライすることが可能である。ポリカーボネート膜を使用することが好ましく、ポリカーボネート膜は次いで顕微鏡のスライド上に固定化されたサンプルと類似の方式でハイブリダイズされる。
【0061】
場合によっては、固定化後にエタノール濃度を漸増させる処理(たとえば50%、80%および96%エタノールを各3分間)をすることが可能である。
大きなマーカー分子(たとえばホースラディシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなど)を使用する場合、細菌細胞中への標識プローブ分子の効果的な拡散を保証するために、細菌の細胞壁をさらに透過化することが有利である可能性がある。さまざまな細胞壁溶解酵素、たとえばプロテイナーゼK、プロナーゼ、リゾチームおよびミュータノリシンなどを使用することが可能である。歯周病原性細菌A.actinomycetemcomitans、P.gingivalis、B.forsythusおよびP.intermediaを検出するための本発明の方法では、実施例3に示す形態の酵素プロテイナーゼKおよびリゾチームが、細胞壁の透過化に最適である。しかしながら、さまざまな化学試薬(たとえば1NのHClまたは界面活性剤)を、個々の細菌細胞の透過化用に使用することも可能である。酵素反応を停止させるために、さらに一連のエタノール濃度の漸増を使用する。
【0062】
本発明に従って、核酸プローブを前述の意味で固定した微生物と共にインキュベートして、核酸プローブ分子を微生物内へ浸透させ、核酸プローブ分子を微生物の核酸とハイブリダイズさせることが可能である。次いでハイブリダイズしなかった核酸プローブ分子を通常の洗浄工程によって除去する。
【0063】
次いで特異的にハイブリダイズした核酸プローブ分子を、対応する細胞中で検出することが可能である。このための必要条件は、たとえば核酸プローブ分子がマーカーに共有結合していることなど、核酸プローブ分子が検出可能であることである。使用され当業者によく知られている検出可能なマーカーには、たとえばCY2[アマシャムライフサイエンス社(Amersham Life Sciences,Inc.)、米国アーリントンハイツ(Arlington Heights)所在、から入手可能]、CY3(これもアマシャムライフサイエンスから入手可能)、CY5(これもアマシャムライフサイエンスから入手可能)、FITC[モレキュラープローブ社(Molecular Probes Inc.)、米国ユージーン(Eugene)所在]、FLUOS[ロシュダイアグノスティク社(Roche Diagnostics GmbH)、ドイツ国マンハイム(Mannheim)所在、から入手可能]、TRITC[モレキュラープローブ社(Molecular Probes Inc.)、米国ユージーン(Eugene)所在、から入手可能]、6−FAMまたはFLUOS−PRIMEなどの蛍光基がある。化学マーカー、放射性マーカー、またはホースラディシュペルオキシダーゼ、酸性ホスファターゼ、アルカリホスファターゼおよびペルオキシダーゼなどの酵素マーカーを使用することも可能である。これらの各酵素に関する一連の色素原が知られており、これらを天然基質の代わりに反応させ、着色または蛍光生成物を形成させることが可能である。このような色素原の例を、以下の表に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
最後に、ハイブリダイゼーションにも適した5’または3’端のさらなる核酸配列が存在するように、核酸プローブ分子を作製することも可能である。したがって核酸配列は約15〜1000個、好ましくは15〜50個のヌクレオチドを含む。次いでこの第2の核酸領域を、前述の任意の物質により検出可能なオリゴヌクレオチド・プローブによって認識することが可能である。
【0066】
別の可能性は、検出可能な核酸プローブ分子のハプテンへのカップリングである。核酸プローブ分子が標的核酸から切り離された後に、単離した核酸プローブ分子を、ハプテン
を認識する抗体と接触させることが可能である。このようなハプテンの一例は、ジゴキシゲニンまたはその誘導体である。所与の例以外に、当業者はさらに他の例にも非常に精通している。
【0067】
標準的なハイブリダイゼーション法は、顕微鏡用スライド上、フィルタ上、マイクロタイター・プレート上、あるいは反応容器内で行われる。分析は使用するプローブの標識のタイプに依存し、光学顕微鏡、エピ蛍光顕微鏡、化学照度計、蛍光計、フロー・サイトメータなどを使用して行うことが可能である。
【0068】
本発明のキットは、歯周病原体を検出するための以下の特異的なプローブ、すなわち
種Actinobacillus actinomycetemcomitansの菌株を検出するプローブ:
AACT1:5’−CAT−CAG−CGT−CAG−TAC−ATC−C−3’
AACT2:5’−AGT−ACT−CCA−GAC−CCC−CAG−3’
種Porphyromonas gingivalisの菌株を検出するプローブ:
PGIN1:5’−CCT−CTG−TAA−GGC−AAG−TTG−C−3’
PGIN2:5’−GCG−CTC−AGG−TTT−CAC−CGC−3’
PGIN3:5’−CGG−TTA−CGC−CCT−TCA−GGT−3’
種Bacteroides forsythusの菌株を検出するプローブ:
BFOR1:5’−GCT−ACC−ATC−GCT−GCC−CCT−3’
BFOR2:5’−CCA−TGC−GGA−ACC−CCT−GTT−3’
BFOR3:5’−CCG−CGG−ACT−TAA−CAG−CCC−ACC−T−3’
BFOR4:5’−CGA−CAA−ACT−TTC−ACC−GCG−G−3’
BFOR5:5’−TGA−CAG−TCA−GGG−TTG−CGC−3’
BFOR6:5’−TCA−CAG−CTT−ACG−CCG−GC−3’
種Prevotella intermediaの菌株を検出するプローブ:
PINT1:5’−TTG−GTC−CAC−GTC−AGA−TGC−3’
PINT2:5’−TGC−GTG−CAC−TCA−AGT−CCG−3’
PINT3:5’−TGT−ATC−CTG−CGT−CTG−CAA−TT−3’
PINT4:5’−CCC−GCT−TTA−CTC−CCC−AAC−3’
PINT5:5’−CAT−CCC−CAT−CCT−CCA−CCG−3’
PINT6:5’−TCC−CCA−TCC−TCC−ACC−GAT−GA−3’
を含むことが特に好ましい。
【0069】
本発明のプローブ分子は、さまざまなハイブリダイゼーション溶液を用いる検出法の範囲内で使用することが可能である。0%〜80%の濃度の種々の有機溶媒を使用することが可能である。たとえばホルムアミドは、ハイブリダイゼーション緩衝液中に好ましくは20%〜60%の濃度、特に好ましくは20%の濃度で使用する。さらに、ハイブリダイゼーション緩衝液は塩、好ましくは塩化ナトリウムを、0.1mol/l〜1.5mol/l、好ましくは0.5mol/l〜1.0mol/l、より好ましくは0.7mol/l〜0.9mol/l、最も好ましくは0.9mol/lの濃度で含む。ハイブリダイゼーション緩衝液は、tris/HCl、クエン酸ナトリウム、PIPESまたはHEPES緩衝液などの、さまざまな化合物を用いて緩衝することが可能であり、これらは0.01mol/l〜0.1mol/l、好ましくは0.01mol/l〜0.08mol/l、特に好ましくは0.02mol/lの濃度範囲で使用される。pHは通常6.0と9.0の間、好ましくは7.0と8.0の間である。ハイブリダイゼーション緩衝液は、pH8.0で0.02mol/lのtris/HClを含むことが好ましい。
【0070】
さらに、TritonXまたはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などの界面活性剤が
、0.001%〜0.2%、好ましくは0.005%〜0.1%の濃度で存在する。ここで特に好ましいハイブリダイゼーション緩衝液は、0.01%のSDSを含む。
【0071】
非標識核酸断片(たとえば断片化されたサケの精子のDNA、非標識オリゴヌクレオチド、およびその他)、または反応体積の減少によってハイブリダイゼーション反応を加速させることが可能である分子(ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、硫酸デキストラン、およびその他)などの他の添加剤を、さまざまな実験上の問題点に備えて使用することが可能である。これらの添加剤は当業者によって、既知の従来の濃度でハイブリダイゼーション緩衝液に加えられる。
【0072】
当業者は、ハイブリダイゼーション反応の必要な厳密度が得られるような方法で、ハイブリダイゼーション緩衝液の成分の所与の濃度を選択しうることは理解されるべきである。特に好ましい実施形態は、厳密な(ストリンジェントな)ハイブリダイゼーション条件から特に厳密なハイブリダイゼーション条件を示している。これらの厳密な条件を使用して、当業者は、所与の核酸分子によって歯周病原性細菌の核酸配列の種特異的な検出が可能となり、したがって本発明について信頼して使用することが可能であるかどうかを決定することが可能である。
【0073】
当業者によって、ハイブリダイゼーション反応の必要な厳密度が得られるような方法で、ハイブリダイゼーション緩衝液の成分の所与の濃度を選択することが可能であることは明白である。特に好ましい実施形態は、厳密なハイブリダイゼーション条件から特に厳密なハイブリダイゼーション条件を示している。これらの厳密な条件を使用して、当業者は、所与の核酸分子によって標的生物の核酸配列の種特異的な検出が可能となり、したがって本発明について信頼して使用することが可能であるかどうかを確定することが可能である。必要であれば、当業者は、プローブおよび標的生物に応じて、ハイブリダイゼーション緩衝液のパラメータを変えることによって厳密度を低下または増大させうる立場にある。
【0074】
ハイブリダイゼーション緩衝液中の核酸プローブの濃度は、標識のタイプおよび標的構造体の数に依存する。迅速かつ有効なハイブリダイゼーションを可能にするために、核酸プローブ分子の数は、標的構造体の数より数桁多くなければならない。他方では、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)に関して作業するとき、過剰に高レベルの蛍光標識された核酸プローブ分子によって、バックグランドの蛍光の増大がもたらされることを考慮する必要がある。したがって核酸プローブ分子の濃度は、0.5〜500ng/μl、好ましくは1.0〜100ng/μlの間、特に好ましくは1.0〜50ng/μlの間の範囲内でなければならない。
【0075】
本発明の方法に関して、好ましい濃度は、ハイブリダイゼーション溶液1μl当たり使用する各核酸プローブ分子が1〜10ngである。使用するハイブリダイゼーション溶液の体積は8μlと100mlの間でなければならず、本発明の方法の特に好ましい実施形態では、それは30μlである。
【0076】
ハイブリダイゼーションの時間は、通常、10分と12時間の間である。ハイブリダイゼーションは、約1.5時間行うことが好ましい。ハイブリダイゼーション温度は、好ましくは44℃と48℃の間、特に好ましくは46℃であり、ハイブリダイゼーション温度、およびハイブリダイゼーション溶液中の塩および界面活性剤の濃度のパラメータは、核酸プローブ、特にその長さおよび検出する細胞中の標的配列との相補性の度合いに基づいて最適化することが可能である。当業者は、適用可能な計算法に精通している。
【0077】
ハイブリダイゼーションが終了した後、ハイブリダイズしなかった過剰の核酸プローブ
分子を除去するかあるいはすすぎ落とさなければならず、通常これは従来の洗浄溶液によって行われる。望むならば、この洗浄溶液は0.001〜0.1%、好ましくは0.005〜0.05%、特に好ましくは0.01%のSDSなどの界面活性剤、および0.001〜0.1mol/l、好ましくは0.01〜0.05mol/l、特に好ましくは0.02mol/lの濃度のtris/HClを含むことが可能であり、tris/HClのpHは6.0〜9.0、好ましくは7.0〜8.0の範囲内にあり、特に好ましくは8.0である。界面活性剤が含まれてよいが、それが絶対に必要なわけではない。洗浄溶液は通常、必要な厳密度に応じて、0.003mol/l〜0.9mol/l、好ましくは0.01mol/l〜0.9mol/lの濃度でNaClも含む。NaCl濃度は、約0.215mol/lであることが特に好ましい。
【0078】
さらに洗浄溶液は、好ましい濃度0〜0.005mol/lのEDTAを含んでもよい。洗浄溶液は、当業者が使い慣れた量の一般に知られた防腐剤をさらに含むことが可能である。
【0079】
一般に、緩衝溶液は洗浄工程で使用され、緩衝溶液は原則としてハイブリダイゼーション緩衝液(緩衝塩化ナトリウム溶液)に非常に類似したものであってよいが、ただし通常洗浄工程は、より低い塩濃度または高温の緩衝液中で行われる。ハイブリダイゼーション条件を理論的に概算するために、以下の式を使用することが可能である:
Td=81.5+16.61g[Na+]+0.4×(%GC)−820/n−0.5×(%FA)
Td=解離温度(℃)
[Na+]=ナトリウムイオンのモル濃度
%GC=塩基の総数に対する、グアニンおよびシトシン・ヌクレオチドの割合
n=ハイブリッド長
%FA=ホルムアミド含量
この式を使用して、たとえば洗浄緩衝液中のホルムアミドの割合(ホルムアミドの毒性のためにこれは可能な限り低く保たなければならない)を、対応するより低含量の塩化ナトリウムに置き換えることが可能である。しかしながら当業者は、in situハイブリダイゼーション法に関する広範囲の文献に基づいて、これらの成分をどのように変えることが可能であるかが分かっている。ハイブリダイゼーション条件に関して前述したすべてのことが、ハイブリダイゼーション条件の厳密度にも当てはまる。
【0080】
非結合核酸プローブ分子の「洗浄」は通常、44℃〜52℃、好ましくは44℃〜50℃の範囲、特に好ましくは46℃の温度で、10〜40分間、好ましくは15分間行われる。
【0081】
本発明の方法の他の実施形態では、所与の標的生物を特異的に検出するための、いわゆるFast−FISH法において本発明の核酸分子を使用する。Fast−FISH法は当業者に知られており、たとえばドイツ国特許出願第199 36 875号明細書および国際公開第99/18234号に記載されている。これらに記載された検出法を行うために、これらの文書中の開示を本明細書に詳細に援用する。
【0082】
さらに、対応する方法を行うための本発明のキットが利用可能である。これらのキット中に含まれるハイブリダイゼーション装置は、たとえばドイツ国特許出願第100 61
655.0号明細書に記載されている。これに記載されたin situハイブリダイゼーション装置の開示に関して、同明細書を本明細書に詳細に援用する。
【0083】
記載のハイブリダイゼーション装置(VIT反応容器と呼ばれる)以外に、キットの最も重要な構成物は、前に記載したような検出する微生物用の特異的な核酸プローブ分子を
含む代表的なハイブリダイゼーション溶液(いわゆるVIT溶液)である。このキットは常に、対応するハイブリダイゼーション緩衝液(プローブ分子を含まないハイブリダイゼーション溶液に相当する)、および対応する洗浄溶液の濃縮物も含む。このキットは、必要な場合は固定溶液(50%エタノール、無水エタノール)、および必要な場合は包埋溶液(仕上げ剤)も含んでよい。仕上げ剤は市販されており、その作用は蛍光顕微鏡下での蛍光プローブの迅速な退色の保護も含む。場合によっては、陽性対照と陰性対照を並行して行うための溶液も含んでよい。
【0084】
以下の実施例は、本発明を説明することを意図するものであるが、本発明を制限するものではない。
【実施例1】
【0085】
A.actinomycetemcomitans、P.gingivalis、B.forsythusおよびP.intermediaの特異的な検出
本発明のサンプルの特異性を証明するために、複数の基準(参照用)生物を公的にアクセス可能な細菌保存機関に注文し、同保存機関奨励の培地で培養した。コロニーが培地上で目に見えるようになった直後に、接種用ループを用いてプレートからコロニーを拾い上げ、固定溶液(1×PBS中に4%ホルムアルデヒドを溶かしたもの)に懸濁させた。同細菌懸濁液の最適な光学濃度は、600nmの波長で測定して、0.2である。細菌を固定溶液中に1時間〜24時間の間放置し、次いで8,000rpmで5分間かけて沈降させた(Rotina35、ロータータイプ1714、トゥトリゲン(Tuttlingen)所在のヘットリッヒ(Hettich))。その上澄みを捨て、ペレットを1×PBS(最初の体積)中で洗浄した。さらなる遠心分離工程(前述のものと同じ条件)の後、細胞をEtOH/PBSの1:1混合物中に含め、使用するまで−20℃で保存した。
【0086】
この懸濁液から5μlを採取し、テフロン(登録商標)で被覆された顕微鏡用スライドのウエルに供し、空気乾燥させ、エタノール濃度を連続して漸増(50%、80%および100%を各3分間)させて処理した。次いで固定化したサンプルを空気乾燥させ、10μlのハイブリダイゼーション緩衝液(0.9mol/lのNaCl、0.02mol/lのtris/HCl、pH8.0、0.01%のSDS、20%のホルムアミド、それぞれ5ngのハイブリダイゼーション・プローブAACT1およびAACT2、PGIN1−3、BFOR1−6、PINT1−6)を加えた。対応する基準細胞がこの方法によって検出されるのに充分なrRNAを含んでいるどうかを試験するために、Cy3標識した特異的プローブだけでなく、FLUOS標識した共通プローブもハイブリダイゼーションに含めた。
【0087】
ハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーション緩衝液を用いて平衡状態にした恒湿器中で実施した。ハイブリダイゼーションの時間は少なくとも90分であった。この後に、ハイブリダイズ処理した顕微鏡用スライドを洗浄緩衝液(0.215mol/lのNaCl、0.02mol/l、pH8.0のtris/HCl、0.01%のSDS)を含む50mlのチューブ内に置き、48℃で15分間インキュベートすることによって、非結合プローブを除去した。
【0088】
ハイブリダイズした顕微鏡用スライドを適切な包埋媒質で被覆し、次いで蛍光顕微鏡によって分析した。
表2は使用した基準菌株、および本発明のプローブを用いて得られた結果を示す。
【0089】
【表2】
【0090】
【表3】
【0091】
【表4】
【0092】
【表5】
【実施例2】
【0093】
歯周炎を有する患者からのサンプル中の歯周病原性細菌の検出
歯周サンプルを、スケーラーを用いて、または特にこの目的用に作製した滅菌ペーパー・チップを用いて採取した。スケーラーを使用した場合、細菌プラークを歯肉ポケットから除去した後に、スケーラーを固定溶液(1×PBS中に4%ホルムアルデヒドを溶かしたもの)中で、それに付着した細菌の堆積物(プラーク)が200μlの固定溶液に完全に懸濁するまで充分長く攪拌した。滅菌したペーパー・チップをサンプル採取用に使用した場合、パッケージから同チップを無菌的に取り出し、患者を予備処理(対応する部位を乾燥させ、歯肉上プラークを除去)した後に、サンプルを採取する歯周ポケットに導入した。ペーパー・チップをそこに10〜20秒間放置し、取り出し、200μlの固定溶液を含む試験管に移した。この状態で、ペーパー・チップを試験する研究室に送った。次いで10分の1容量のTriton X−100の1%溶液を固定溶液に混合し、2×30秒間充分に攪拌して、ペーパー・チップから細菌を溶出させた。
【0094】
この後、遠心分離を8,000rpmで5分間行って、ペレットを実施例1に記載したように洗浄し、最後に細菌をエタノールとPBSの1:1混合物60μl中に移した。サンプル中の細菌は、この溶液中に少なくとも3カ月間−20℃で保存可能である。
【0095】
実施例1で詳細に示したように、5μlのこの懸濁液を顕微鏡用スライドに供し、本発明のプローブとハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーション後、DNAに非特異的に結合するDAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドールジヒドロクロリド;シグマ(Sigma)、ドイツ国ダイゼンホフェン(Deisenhofen)所在)でサンプルを染色した。サンプルを1μg/mlのDAPIを含むPBS溶液で覆い、暗所において室温で5〜15分間インキュベートした。1×PBSを用いたさらなる洗浄工程の後、蛍光顕微鏡を使用して、適切な包埋媒質(Citifluor(登録商標)AF1、英国ロンドン所在のシィティフルアー(Citifluor)社、;Vectashild,米国バーリンゲーム(Burlingame)所在のベクターラボラトリーズ(Vector Laboratories))中でサンプルを分析することが可能であった。
【0096】
顕微鏡製造者(ドイツ国オーバーコッヘン(Oberkochen)所在のツァイス(Zeiss)社)の教示書に従って、計測用接眼レンズを介して定量評価を行った。表3は、3つの異なる患者サンプルの定量評価を示す。
【0097】
【表6】
【実施例3】
【0098】
ホースラディシュペルオキシダーゼで標識したオリゴヌクレオチド・プローブを用いた歯周病原性細菌の検出
実施例2に記載したように、歯周サンプルを採取し、固定し、顕微鏡用スライド上に固定化した。この後、サンプル中に存在する細胞を、10μg/mlのプロテイナーゼK溶液中、または250μg/mlのリゾチーム溶液中で15分間インキュベートすることにより透過化させた。酵素反応を、濃度を漸増させた(50%、80%および100%を各3分間)一連のエタノールを加えることによって停止させた。
【0099】
実施例1に記載したようにハイブリダイゼーションを行ったが、20%のホルムアミドではなく40%のホルムアミドを含む緩衝液を使用した。さらに、ハイブリダイゼーションは35℃で行った。90分後、顕微鏡用スライドを恒湿器から取り出し、洗浄緩衝液−POD(0.056mol/lのNaCl、0.05mol/lのEDTA、0.02mol/lのtris/HCl、pH8.0、0.01%のSDS)中で37℃で15分間インキュベートした。次いでハイブリダイズしたサンプルを、ジアミノベンジジンを含む基質溶液で10分間覆った。この溶液は、ジアミノベンジジンを含む錠剤と、SIGMA FAST DAB Tablet Sets(D4168)からのH2O2を含む錠剤とを1mlの基質用緩衝液(0.15mol/lのNaCl、0.1mol/lのtris/HCl、pH8.0)に溶かすことによって調製した。これらの錠剤が基質用緩衝液中に完全に溶けた後に、10μlのこの用意された基質溶液をハイブリダイズしたサンプルに施し、10分間室温でインキュベートした。次いでサンプルを1×PBSですすぎ、直ちに、あるいは適切な対比染色の後に顕微鏡下で調べた。
【0100】
HE染色液は対比染色に適しており、これを以下の方式で調製した。湿気を含んだハイブリダイズ済の顕微鏡用スライドを、ヘマラン(Haemalaun)(ドイツ国所在のメルク(Merck)社、製品番号1.09249.0500)を満たしたガラス・キュベット中に浸した。3〜5分後、顕微鏡用スライドを蒸留水で短時間すすぎ、次いで冷たい水道の流水に10分間曝して青色を発色させた。次いで顕微鏡用スライドを、エオシンを含むキュベットに3〜5分間浸した。次に顕微鏡用スライドを90%エタノール中で、次いで無水エタノール中で短時間すすいだ。最後に顕微鏡用スライドを、キシレン溶液が透明になるまで、3つの異なるキシレン槽に浸した。
【0001】
本発明は、in situハイブリダイゼーションによる歯周病原性細菌の種特異的な検出用のオリゴヌクレオチド・プローブ、このような歯周病原性細菌を検出するためのオリゴヌクレオチド・プローブ組成物、口腔領域からのヒト・サンプル中の歯周病原性細菌を信頼性をもって検出する方法、およびこのような方法を行うためのキットに関する。
【背景技術】
【0002】
口腔衛生の改善および新しい治療手順にもかかわらず、歯周症としても知られる歯周炎は、依然として広く蔓延している疾患である。口腔健康に関する1999年のドイツの研究(Deutsche Mundgesundheitsstudie)によると、35才と44才の間の人々の14.1%が重度の歯周病と診断される可能性がある。65才と74才の間の人々の4人に1人もが重度の歯周炎を示す。
【0003】
歯周組織の進行的な破壊は、歯またはその根元の領域における、細菌の堆積、いわゆるデンタル・プラークによって引き起こされる。治療しないと、これによって冒された歯の損失がもたらされることは避けられない。一般に細菌プラークが増大することは歯周炎が生じる原因であると以前は仮定されていたが(非特異的プラーク仮説)、一連の充分に実証された研究から、口腔中に局在する500種類をゆうに超える細菌種のうちわずか数種のみが歯周炎の発症に関与することが一方では知られている。Porphyromonas gingivalis、Prevotella intermediaおよびBacteroides forsythusが、この疾患の発症に非常に強く関与している(スロッツ、ジェー.、エム.ティング(Slotz,J.,M.Ting)、Periodontol.第20巻、82−121ページ、2000年;ソクランスキー、エス.エス.、エー.ディー.ハファジー、エル.エー.キシメンツ−フィヴィー、エム.フェレス、ディー.メジャー(Socransky、S.S.,A.D.Haffajee,L.A.Ximenez−Fyvie,M.Feres,D.Mager)、Periodontol.第20巻、341−62ページ、2000年;カルロス、ジェー.ピー.、エム.ディー.ウルフ、ジェー.ジェー.ツァンボン、エー.キングマン(Carlos,J.P.,M.D.Wolfe,J.J.Zambon,A.Kingman)、J.Dent.Res.第67巻、1510−4ページ、1988年;レイ、シー.エイチ.、エム.エー.リストガルテン、エム.シラカワ、ジェー.スロッツ(Lai,C.H.,M.A.Listgarten,M.Shirakawa,J.Slotz)、Oral Microbiol.Immunol.第2巻、152−7ページ、1987年;ガーナー、アール.、ジェー.アール.シュトルブ、ビー.グーゲンハイム(Grnur,R.,J.R.Strub,B.Guggenheim)、J.Periodontal.Res.第24巻、113−20ページ、1989年)。他の極めて重要な歯周病原性細菌は、歯周炎の悪性の臨床過程と主に関連がある、Actinobacillus actinomycetemcomitansである(スロッツ、ジェー.、エム.ティング(Slotz,J.,M.Ting)、Periodontol.第20巻、82−121ページ、2000年)。
【0004】
これらの細菌は健康な個人にも少数存在するが、一定の閾値を超えたときにこの疾患が進行する。言い換えれば歯周炎は、適切な素因を有する宿主において、微生物叢全体の中の歯周病原性細菌の割合が一定の値に達するときにのみ発症する。
【0005】
現在、関連微生物を検出するために利用可能な一連の可能性が存在する。人工的な培養用培地を用いた培養物中のこれらの細菌を検出することは、標準的な方法であると考えられる。この方法によって、歯周サンプル中の培養可能な微生物叢中の関連細菌の割合を定量化および決定することが可能である。しかしながら歯周病原性細菌は非常に特異的な培養条件を要する嫌気性および微好気性微生物であるので、特異的な手順および装置、具体的には嫌気性技法を、サンプルを採取し、材料を処理し、これらの微生物を培養するために使用しなければならない。培養によって歯周の指標である細菌をこのようにして検出することは、多大な労力と人員を必要とし、非常に時間もかかり、平均10〜14日かかる。
【0006】
免疫学的方法の使用も、歯周病原性細菌を検出するのに原則的に適している(ボンタ、ワイ.、ジェー.ジェー.ツァンボン、アール.ジェー.ゲンコ、エム.イー.ナイダース(Bonta,Y.,J.J.Zambon,R.J.Genco,M.E.Neiders)、J Dent Res.第64巻、793−8ページ、1985年)。しかしながら交差反応性の出現により、本方法において偽陽性がもたらされることが多い。
【0007】
原則的に、分子生物学的技法を使用する2つの可能な方法が存在する。すなわちこれらの技法は、第1に歯周病原性細菌の核酸を直接検出するハイブリダイゼーション技法、および第2に、歯周の指標である細菌の遺伝情報の明確な部分を特異的に増幅させる、増幅技法(ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または転写媒介増幅技法(TMA)など)(チェン、シー.、ジェー.スロッツ(Chen,C.,J.Slotz)、Periodontol.第20巻、53−64ページ、2000年)である。
【0008】
増幅技法によって、細菌の高感度で特異的な検出が可能である。しかしながら、これらの方法はいずれも酵素依存性増幅に基づくものであり、実際にこれらを行うことの妨げとなる1連の欠点を示す。すなわち、
a)ヘモグロビンのヘム基などの、サンプル中に存在する阻害物質が増幅を妨げる、またはさらに増幅を阻止する可能性がある。
【0009】
b)遺伝物質は数百万倍に増幅されるので、交差汚染の危険が高い。このことを避けるためには、大変な労力を要する安全対策が必要である。
c)人員および機器に関する相当な出費がある。
【0010】
d)一般に増幅技法は、定性的にのみ述べることができ、定量的に述べることができない。
e)細胞と結合していない遊離DNAも検出される。言い換えれば、検出する生物が死んでいるときでさえも、検出が陽性となる。
【0011】
ハイブリダイゼーション技法は、この場合の日常的な研究により適しているようである。なぜなら、これらの技法は、確実かつ簡潔な実用性を特異的で感度の高い検出と組み合わせるからである。しかしながら、歯周病原性細菌に関するハイブリダイゼーション技法の主な問題は、信頼性のある細菌の定量化が困難を伴ってのみ可能であることである。
【0012】
この点における1つの例外は、rRNAを対象とするin situハイブリダイゼーションである。異なる複数のプローブをこの技法において特異的に使用する場合、培養条件とは無関係に、特定の微生物の数だけでなく、叢全体の中のそれらの割合を決定することが可能である。これは有意義な微生物診断の根本となるものである。なぜなら、歯周炎を誘発するためには、ある閾値が必要とされるからである。
【0013】
さらに、蛍光によるin situハイブリダイゼーションの検出によって、シグナルの強度に基づいて、細菌の生理学的状態に関する情報が与えられる。したがってこれは、口腔の他の部分に由来する潜在的な混入菌などの不活性な細菌を、生理学的に活性な歯肉下の微生物叢から区別するために役立つ。
【0014】
この技法の他の利点は、細菌をin situで検出することが可能なことである。細菌同士の空間的関係、および免疫細胞を伴う細菌の局在化から、歯周炎の病因に対する重要な洞察が与えられる。
【0015】
この方法は簡単であり、迅速に行うことが可能であり、このことによってこの技法は、診断検査室において、あるいは歯科診療そのものにおいて、日常的に使用されることになる。歯周病原性微生物の診断に関するin situハイブリダイゼーションの、初期の実験結果が公開されている。すなわち、ゲルスドルフら(Gersdorf et al.)(FEMS Immunol.Med.Microbiol.第6巻、109−14ページ、1993年)は、蛍光標識したプローブを用いて、P.gingivalisおよびB.forsythusを検出することを既に可能にしている。モーターら(Moter et al.)(J.Clin.Microbiol.第36巻、1399−403ページ、1998年)は、この技法を使用して、培養するのが困難あるいは不可能であるスピロヘータを検出している。しかしながら、in situハイブリダイゼーションによってP.gingivalisおよびB.forsythusを特異的に検出するための既知のプローブは、比較的感度が低い。
【0016】
さらに、in situハイブリダイゼーションに関する現況技術に従って開示されているプローブ系は不完全である。したがって、重要な歯周病原性微生物であるA.actinomycetemcomitansおよびP.intermediaの特異的な検出は可能ではない。A.actinomycetemcomitansおよびP.intermedia用の既知の特異的なプローブは、その一次構造に基づけば使用可能であると思われるが、in situハイブリダイゼーション技法には部分的に不適である。なぜなら、天然のリボソームRNAへの該プローブの結合は、結合部位をふさぐリボソーム・タンパク質により、または結合を阻止するように作用するrRNAの二次構造により妨げられるからである。
【0017】
さらに、1種のみのハイブリダイゼーション・プローブに基づく既知の系は、比較的低い感度を示す。したがって、少数のリボソームを含む歯周病原性の指標細菌は、現況技術に記載のオリゴヌクレオチド・プローブを用いて検出することは不可能であるか、可能であっても困難を伴う。さらに、菌株間の配列の変異が存在する場合、1種のみのハイブリダイゼーション・プローブに基づく系を使用することによって、非常にさまざまなプローブの標的領域で誤った対合をもたらす可能性がある。これによって、偽陰性の結果が生じる。
【0018】
現況技術の歯周病原性細菌を検出するためのin situハイブリダイゼーションの他の欠点は、その感度が低いために、高価な蛍光顕微鏡を用いてのみ評価を実施可能であることである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって本発明の目的は、現況技術の欠点を克服し、歯周炎の形成と関連がある細菌に関する、特異性が高く感度が高いin situでの検出に適している、オリゴヌクレオチド・プローブを提供することである。本発明の他の目的は、口腔からのヒト・サンプル中の歯周の指標細菌を信頼性をもって検出するための、迅速で高価でない技法を提供することである。
【0020】
他の目的は、本発明の以下の記載から引き出すことが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明に従って、独立請求項の特徴によって前述の目的を解決することが可能である。他の実施形態は、従属請求項の特徴から生じる。
本発明に従って、種Actinobacillus actinomycetemcomitans、Porphyromonas gingivalis、Bacteroides forsythusおよびPrevotella intermediaの歯周病原性細菌の種特異的な検出に適した、オリゴヌクレオチド・プローブが提供される。本発明のオリゴヌクレオチドの配列を、配列番号1〜17の配列に関する添付の配列表中に示す。これは以下のものに相当する:
配列番号1、2=AACT1、AACT2
配列番号3〜配列番号5=PGIN1〜PGIN3
配列番号6〜配列番号11=BFOR1〜BFOR6
配列番号12〜配列番号17=PINT1〜PINT6
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
具体的には、in situハイブリダイゼーションによりActinobacillus actinomycetemcomitans種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するための、本発明のオリゴヌクレオチド・プローブが提供される。このオリゴヌクレオチド・プローブはActinobacillus actinomycetemcomitansのrRNAに相補的であり、
a)5’−CAT−CAG−CGT−CAG−TAC−ATC−C−3’
5’−AGT−ACT−CCA−GAC−CCC−CAG−3’
またはそれらの一部分を含むDNA配列と、
b)a)の核酸配列の相補鎖とハイブリダイズする核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列と、
c)b)の核酸配列に縮重する核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列とからなる群から選択される。
【0023】
さらに、in situハイブリダイゼーションによりPorphyromonas gingivalis種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するための、本発明のオリゴヌクレオチド・プローブが提供される。このオリゴヌクレオチド・プローブはPorphyromonas gingivalisのrRNAに相補的であり、
a)5’−CCT−CTG−TAA−GGC−AAG−TTG−C−3’
5’−GCG−CTC−AGG−TTT−CAC−CGC−3’
5’−CGG−TTA−CGC−CCT−TCA−GGT−3’
またはその一部分を含むDNA配列と、
b)a)の核酸配列の相補鎖とハイブリダイズする核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列と、
c)b)の核酸配列に縮重する核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列とからなる群から選択される。
【0024】
さらに、in situハイブリダイゼーションによりBacteroides forsythus種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するための、本発明のオリゴヌクレオチド・プローブが提供される。このオリゴヌクレオチド・プローブはBacteroides forsythusのrRNAと相補的であり、
a)5’−GCT−ACC−ATC−GCT−GCC−CCT−3’
5’−CCA−TGC−GGA−ACC−CCT−GTT−3’
5’−CCG−CGG−ACT−TAA−CAG−CCC−ACC−T−3’
5’−CGA−CAA−ACT−TTC−ACC−GCG−G−3’
5’−TGA−CAG−TCA−GGG−TTG−CGC−3’
5’−TCA−CAG−CTT−ACG−CCG−GC−3’
またはその一部分を含むDNA配列と、
b)a)の核酸配列の相補鎖とハイブリダイズする核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列と、
c)b)の核酸配列に縮重する核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列とからなる群から選択される。
【0025】
最後に、in situハイブリダイゼーションによりPrevotella intermedia種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するための、本発明のオリゴヌクレオチド・プローブが提供される。このオリゴヌクレオチド・プローブはPrevotella intermediaのrRNAと相補的であり、
a)5’−TTG−GTC−CAC−GTC−AGA−TGC−3’
5’−TGC−GTG−CAC−TCA−AGT−CCG−3’
5’−TGT−ATC−CTG−CGT−CTG−CAA−TT−3’
5’−CCC−GCT−TTA−CTC−CCC−AAC−3’
5’−CAT−CCC−CAT−CCT−CCA−CCG−3’
5’−TCC−CCA−TCC−TCC−ACC−GAT−GA−3’
またはその一部分を含むDNA配列と、
b)a)の核酸配列の相補鎖とハイブリダイズする核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列と、
c)b)の核酸配列に縮重する核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列とからなる群から選択される。
【0026】
蛍光in situハイブリダイゼーションの方法(FISH;アマン、アール.アイ.、ダブリュー.ルードビッヒおよびケー.エイチ.シュライファー(Amann,R.I.,W.Ludwig and K.−H.Schleifer)、1995年、「培養を伴わない個々の微生物細胞の系統学的同定とin situ検出(Phylogenetic identification and in situ detection of individual microbial cells without cultivation.)」、 Microbial.Rev.第59巻、S.143−169ページ)により、抗体法を使用するときと同様に、PCRなどの分子生物学的方法の特異性と細菌の視覚化の可能性とを組み合わせるための特有の手法が与えられる。これによって、細菌の種、属および群の、非常に特異的な同定と視覚化とが可能になる。
【0027】
FISHの技法は、生命にとって重要な機能を有しており、したがって進化の過程でほとんど突然変異を経ていないある種の分子、16Sおよび23Sリボソーム・リボ核酸(rRNA)が細菌細胞中に存在するという事実に基づくものである。これらはいずれもタンパク質生合成の場であるリボソームの成分であり、その偏在的分布、その大きさならびにその構造的および機能的安定性ゆえに特異的なマーカーとして働くことが可能である(ウース、シー.アール.(Woese,C.R.)、1987年、「細菌の進化(Bacterial evolution.)」、Microbiol.Rev.第51巻、S.221−271ページ)。比較配列分析を使用して、そのデータのみに基づいて系統発生の関係を構築することが可能である。この目的のために、配列データをアラインメントにしなければならない。このアラインメントは、これらの高分子の2次構造および3次構造の知識に基づくものであり、リボソーム核酸の互いに相同な位置を揃えて配列する。
【0028】
系統発生学的な計算は、これらのデータに基づいて行うことが可能である。最新のコンピュータ技術を使用することにより、さらに大規模な計算を迅速かつ効果的に実施し、16S‐rRNAおよび23S‐rRNAのアラインメント配列を含む大きなデータ・ベースを構築することが可能である。これらのデータへの迅速なアクセスによって、得られたばかりの配列の短時間での系統発生学的分析が可能である。これらのrRNAデータ・ベースを使用して、種および属特異的な遺伝子プローブを構築することが可能である。利用可能なrRNA配列すべてを、この目的のために互いに比較し、1つの細菌種、細菌属または細菌群に特異的な配列用のプローブを開発する。
【0029】
FISH(蛍光in situハイブリダイゼーション)技法では、リボソーム標的配列上の特定の領域に相補的なこれらの遺伝子プローブを、細胞内に移行させる。遺伝子プローブは一般に小さく、16〜28塩基の長さの、デオキシリボ核酸の一本鎖片であり、細菌種または細菌群に特有な標的領域を対象とする。蛍光標識された遺伝子プローブが細菌細胞中でその標的配列を発見すると、同プローブはその標的配列に結合し、その蛍光によって蛍光顕微鏡で細胞を検出することが可能である。
【0030】
FISH分析は一般に顕微鏡のスライド上で行われ、これにより細菌の評価中に、細菌を視覚化、または高エネルギーの光を照射することによって目に見えるものにする。あるいは、マイクロタイター・プレート上で分析を行うことも可能である。
【0031】
一般に、本出願に記載の歯周病原性細菌を特異的に検出する方法は、
サンプル中に含まれる細菌を固定する工程、
ハイブリダイゼーションを行わせるべく、固定した細菌を本発明の核酸プローブ分子と共にインキュベートする工程、
ハイブリダイズしなかった核酸プローブ分子を除去またはすすぎ落とす工程、および
核酸プローブ分子とハイブリダイズした細菌を検出する工程
を含んで実施される。
【0032】
核酸プローブはここでは、検出する微生物の染色体またはエピソームDNA、あるいはmRNAまたはrRNAと相補的であってよい。検出する微生物中に2つ以上のコピーとして存在する領域に相補的な核酸プローブを選択することが有利である。検出する配列は、細胞1個当たり500〜100,000個のコピーとして存在することが好ましく、1,000〜50,000個のコピーとして存在することが特に好ましい。この理由から、好ましい標的部位としてrRNAを使用する。なぜなら、タンパク質生合成の場である数千のリボソームは、全ての活動細胞中に存在するからである。本発明に関しては、本発明のオリゴヌクレオチド・プローブが、検出する歯周病原性細菌の16S rRNAを対象とすることが特に好ましい。
【0033】
本発明の意味での核酸プローブはDNAまたはRNAプローブであってよく、同プローブは12〜1000個のヌクレオチド、好ましくは12個と500個の間、より好ましくは12個と200個の間および12個と100個の間、特に好ましくは12個と50個の間および14個と40個の間および15個と30個の間、しかし最も好ましくは17個と25個の間のヌクレオチドを通常は含むであろう。核酸プローブの選択は、相補的な配列が検出する微生物中に存在するかどうかという基準に従って行う。相補的な核酸プローブの標的部位として選択される領域は、標的群(たとえば1つの種のすべての菌株)中に存在するが、他の微生物中には存在しない領域である。15個のヌクレオチドからなるプローブに関しては、100%の配列が相補的でなければならない。ヌクレオチドが15個より多いオリゴヌクレオチドに関しては、1個または数個のミスマッチが許容される。
【0034】
本発明の主題は、前述のオリゴヌクレオチド配列の改変物も含む。これらのオリゴヌクレオチド配列は、配列および/または長さがさまざまであるにもかかわらず、関連細菌の標的核酸配列との特異的なハイブリダイゼーションを示し、したがって本発明の方法で使用するのに適している。これらは特に以下のものを含む。
【0035】
a)核酸分子であって、(i)塩基の少なくとも60%、65%、好ましくは少なくとも70%、75%、より好ましくは少なくとも80%、84%、87%、特に好ましくは少なくとも90%、94%、96%が、任意の前述のオリゴヌクレオチド配列(配列番号1〜配列番号17)と同一であり、前記の任意のオリゴヌクレオチド(配列番号1〜配列番号17)の配列領域に対応する核酸分子の配列領域が考えられ、前記の任意のオリゴヌクレオチド(配列番号1〜配列番号17)と比較して、1個または複数個の塩基分だけ配列が長い可能性がある核酸分子の全体の配列は考えられないか、あるいは(ii)前述のオリゴヌクレオチド配列(配列番号1〜配列番号17)と1個または数個の欠失および/または付加の分だけ異なっており、種Actinobacillus actinomycetemcomitans、Porphyromonas gingivalis、Bacteroides forsythusおよびPrevotella intermediaの細菌の核酸配列との特異的なハイブリダイゼーションが可能である核酸分子。本明細書において「特異的なハイブリダイゼーション」とは、本明細書に記載のハイブリダイゼーション条件下で、あるいはin situハイブリダイゼーション技法において当業者に知られている条件下で、標的生物のリボソームRNAのみがオリゴヌクレオチドに結合し、非標的生物のrRNAは結合しないことを意味する。
【0036】
b)核酸分子であって、a)で挙げた任意の核酸分子と相補的な配列、または配列番号1〜配列番号17中で同定される任意のプローブに相補的な配列と厳密な条件下でハイブリダイズする核酸分子。
【0037】
c)配列番号1〜配列番号17由来のオリゴヌクレオチド配列を含むか、またはa)もしくはb)の核酸分子の配列を含む核酸分子であり、かつ前記配列またはa)もしくはb)に記載のそれらの改変物以外に少なくとも1つのさらなるヌクレオチドを有し、標的生物の核酸配列との特異的なハイブリダイゼーションが可能である核酸分子。
【0038】
核酸分子と配列番号1〜配列番号17のプローブとの配列同一性の程度は、通常のアルゴリズムによって調べることが可能である。この点において、たとえば、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST の下でアクセス可能な(このサイトには、たとえばリンク「Standard nucleotide-nucleotide BLAST[blastn]」が存在する)、配列同一性を決定するためのプログラムがここでは適切である。
【0039】
本発明の核酸プローブ分子は、検出法に関してさまざまなハイブリダイゼーション溶液と共に使用することが可能である。核酸プローブの結合は、厳密または穏やかなハイブリダイゼーション条件のどちらを選択するかに応じて、100%相補的な標的部位または1個もしくは数個のミスマッチを有する標的部位に結合する。
【0040】
この目的のために、0〜80%の濃度のさまざまな有機溶媒を使用することが可能である。本発明の意味での穏やかな条件は、たとえば実施例1に記載するように、ハイブリダイゼーション緩衝液にホルムアミドが0%であることである。本発明の意味での厳密な条件は、たとえばハイブリダイゼーション緩衝液に20〜80%のホルムアミドを含むことである。
【0041】
本明細書中の本発明に関しての核酸配列の一部または誘導体とは、欠失および/または付加および/または突然変異によって本発明の前述のDNA配列と異なっている可能性があり、あるいはこれらのDNA配列の部分的な領域のみを含むオリゴヌクレオチド・プローブであって、同プローブが上記に列挙された細菌の特定のrRNAにハイブリダイズする能力を保持していることを意味する。
【0042】
本発明の他の態様では、歯周病原性細菌を検出するためのオリゴヌクレオチド・プローブ組成物が提供され、該オリゴヌクレオチド・プローブ組成物は、
i)Actinobacillus actinomycetemcomitans種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するための、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のオリゴヌクレオチド・プローブであって、
a)5’−CAT−CAG−CGT−CAG−TAC−ATC−C−3’
5’−AGT−ACT−CCA−GAC−CCC−CAG−3’
またはその一部分を含むDNA配列、
b)a)の核酸配列の相補鎖とハイブリダイズする核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列、
c)b)の核酸配列に縮重する核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列、からなる群から選択されるオリゴヌクレオチド・プローブ、
ii)Porphyromonas gingivalis種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するための、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のオリゴヌクレオチド・プローブであって、
a)5’−CCT−CTG−TAA−GGC−AAG−TTG−C−3’
5’−GCG−CTC−AGG−TTT−CAC−CGC−3’
5’−CGG−TTA−CGC−CCT−TCA−GGT−3’
またはその一部分を含むDNA配列、
b)a)の核酸配列の相補鎖とハイブリダイズする核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列、
c)b)の核酸配列に縮重する核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列、からなる群から選択されるオリゴヌクレオチド・プローブ、
iii)Bacteroides forsythus種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するための、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のオリゴヌクレオチド・プローブであって、
a)5’−GCT−ACC−ATC−GCT−GCC−CCT−3’
5’−CCA−TGC−GGA−ACC−CCT−GTT−3’
5’−CCG−CGG−ACT−TAA−CAG−CCC−ACC−T−3’
5’−CGA−CAA−ACT−TTC−ACC−GCG−G−3’
5’−TGA−CAG−TCA−GGG−TTG−CGC−3’
5’−TCA−CAG−CTT−ACG−CCG−GC−3’
またはその一部分を含むDNA配列、
b)a)の核酸配列の相補鎖とハイブリダイズする核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列、
c)b)の核酸配列に縮重する核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列、からなる群から選択されるオリゴヌクレオチド・プローブ、および
iv)Prevotella intermedia種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するための、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のオリゴヌクレオチド・プローブであって、
a)5’−TTG−GTC−CAC−GTC−AGA−TGC−3’
5’−TGC−GTG−CAC−TCA−AGT−CCG−3’
5’−TGT−ATC−CTG−CGT−CTG−CAA−TT−3’
5’−CCC−GCT−TTA−CTC−CCC−AAC−3’
5’−CAT−CCC−CAT−CCT−CCA−CCG−3’
5’−TCC−CCA−TCC−TCC−ACC−GAT−GA−3’
またはその一部分を含むDNA配列、
b)a)の核酸配列の相補鎖とハイブリダイズする核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列、
c)b)の核酸配列に縮重する核酸配列または同核酸配列の一部分を含むDNA配列、からなる群から選択されるオリゴヌクレオチド・プローブのうち少なくともいずれかを含んでなる組成物である。
【0043】
特に好ましい実施形態では、歯周病原性細菌を検出するためのオリゴヌクレオチド・プローブ組成物は、
i)Actinobacillus actinomycetemcomitans種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するためのオリゴヌクレオチド・プローブであって、
a)5’−CAT−CAG−CGT−CAG−TAC−ATC−C−3’
5’−AGT−ACT−CCA−GAC−CCC−CAG−3’
を含むDNA配列からなる群由来の全てのオリゴヌクレオチド・プローブ、
ii)Porphyromonas gingivalis種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するためのオリゴヌクレオチド・プローブであって、
5’−CCT−CTG−TAA−GGC−AAG−TTG−C−3’
5’−GCG−CTC−AGG−TTT−CAC−CGC−3’
5’−CGG−TTA−CGC−CCT−TCA−GGT−3’
からなる群由来の全てのオリゴヌクレオチド・プローブ、
iii)Bacteroides forsythus種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するためのオリゴヌクレオチド・プローブであって、
5’−GCT−ACC−ATC−GCT−GCC−CCT−3’
5’−CCA−TGC−GGA−ACC−CCT−GTT−3’
5’−CCG−CGG−ACT−TAA−CAG−CCC−ACC−T−3’
5’−CGA−CAA−ACT−TTC−ACC−GCG−G−3’
5’−TGA−CAG−TCA−GGG−TTG−CGC−3’
5’−TCA−CAG−CTT−ACG−CCG−GC−3’
からなる群由来の全てのオリゴヌクレオチド・プローブ、および
iv)Prevotella intermedia種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するためのオリゴヌクレオチド・プローブであって、
5’−TTG−GTC−CAC−GTC−AGA−TGC−3’
5’−TGC−GTG−CAC−TCA−AGT−CCG−3’
5’−TGT−ATC−CTG−CGT−CTG−CAA−TT−3’
5’−CCC−GCT−TTA−CTC−CCC−AAC−3’
5’−CAT−CCC−CAT−CCT−CCA−CCG−3’
5’−TCC−CCA−TCC−TCC−ACC−GAT−GA−3’
からなる群由来の全てのオリゴヌクレオチド・プローブ、
のうち少なくともいずれかを含む。
【0044】
本発明の他の好ましい実施形態では、歯周病原性細菌を特異的に検出するための本発明のオリゴヌクレオチド・プローブの組成物は、上記の配列番号1〜17の本発明のオリゴヌクレオチド・プローブ全てを含む。
【0045】
本発明のオリゴヌクレオチド・プローブ組成物を使用することによって、歯周の指標病原菌がごくわずかのリボソームしか含まないときでさえ、該病原菌の高感度の検出が可能である。このようにして、病原体が低活性の状態であるときに、歯周サンプル中の該当する病原体を検出することさえ可能であることが保証される。したがって本発明のプローブ組成物によって、歯周病原性細菌中のリボソームの数(単純な蛍光標識プローブによって検出可能)が閾値数未満である場合においても、歯肉下サンプル中の歯周病原性細菌を定量的に検出することが初めて可能となる。
【0046】
さらに、現況技術において知られている他のすべてのプローブに関する状況と対照的に、前に記載したプローブは、細菌叢全体中の特異的な病原性細菌の割合を迅速に決定するために、たとえば細菌を染色する染料と組み合わせて使用することが可能である。これは診断上非常に重要である。なぜなら、臨界値を超えると疾患がもたらされる可能性があるからである。培養技法とは異なり、培養可能な細菌だけでなく、サンプル中に存在するすべての細菌が検出される。本発明のオリゴヌクレオチド・プローブ組成物を用いる検出は、個々の非常にさまざまなrRNA断片に関してその菌株タイプとは通常異なる菌株の変種が存在する場合も成功する。本発明のプローブを用いる首尾の良い検出は迅速であるだけでなく、確実で特異性が高い。
【0047】
本発明のさらなる主題は、in situハイブリダイゼーションによって歯周病原性細菌を検出する方法であって、
a)サンプル中に含まれる細菌を固定する工程、
b)前に記載した本発明の少なくとも1つのオリゴヌクレオチド・プローブ、好ましくは前に記載した本発明の1つのオリゴヌクレオチド・プローブ組成物と共に、固定した細菌をインキュベーションする工程、
c)ハイブリダイズした細菌細胞を検出し、任意選択で定量化する工程、
からなる方法である。
【0048】
固定の後に、乾燥または濾過によって顕微鏡用スライド上に細菌を固定化することが特に好ましい。
固定は、たとえばエタノール、アセトンおよびエタノール‐酢酸混合物からなる群から選択される変性試薬、および/または、たとえばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドおよびグルタルアルデヒドからなる群から選択される架橋試薬によって実施することが好ましい。別例として、熱を使用して固定を実施する。
【0049】
本発明については、細菌の「固定」は一般に、核酸プローブの取り込み用に細菌細胞のエンベロープを透過化する(透過性にする)処理を意味する。通常はエタノールが固定用に使用される。これらの処理後に核酸プローブが細胞壁を通過しない場合、同じ結果をもたらす他の技法を、当業者は充分に知っている。これらはたとえば、メタノール、アルコールの混合物、わずかなパーセンテージのパラホルムアルデヒドの溶液、または希釈されたホルムアルデヒド溶液、酵素処理剤などを含む。
【0050】
さらに、オリゴヌクレオチド・プローブが検出可能なマーカーに共有結合されるときは、それが好ましい。検出可能なマーカーは、
a)蛍光マーカー;
b)化学発光マーカー;
c)放射性マーカー;
d)酵素活性を有する基;
e)ハプテン;
f)ハイブリダイゼーションによって検出可能な核酸;
からなる群から選択されることが好ましい。
【0051】
酵素マーカーは、ペルオキシダーゼ、好ましくはホースラディシュペルオキシダーゼ、およびホスファターゼ、好ましくはアルカリホスファターゼからなる群から選択されることが好ましい。この特殊な実施形態における本発明の方法による検出および定量化は、単純な光学顕微鏡を用いて行うことも可能である。この目的のために、歯周病原性細菌をin situで検出するべく初めてペルオキシダーゼ標識オリゴヌクレオチド・プローブを使用する。
【0052】
この実施形態によって、従来使用されてきた技法と比較して、一連の利点が与えられる。第1に、酵素反応に基づく検出系によって、光学顕微鏡により細菌を検出することが可能であり、これによって分析機器に関する購入コストが大幅に低下する。さらに、対比染色用の適切な試薬を使用することによって、この検出系の信頼性をさらに高めることが可能である。従来のヘマトキシリン‐エオシン染色を、ペルオキシダーゼ標識オリゴヌクレオチドを用いたin situハイブリダイゼーションの後に行う場合、これによって、特異的な細菌の数および割合を決定することだけではなく、関連する免疫細胞の数および特定の群の細菌との間に考えられる空間的関係を決定することも可能である。さらに、検出系の自動化に関するさらに優れた可能性がそこから明らかに生じ、したがって顕微鏡に依存しない検出が可能である。この種の検出系は、例えば、市販の発色性ペルオキシダーゼ基質を用いてマイクロタイター・プレート上で実施可能であると思われる。
【0053】
記載した技法によって、専門の調査研究室および開業歯科医にとって微生物診断が明らかに容易になるだけでなく、この感染症の研究において最新の発見をももたらすはずである。
【0054】
さらに、固定した細胞をインキュベーション前に透過化する(透過性にする)ことが有利である可能性がある。本発明の意味での透過化の際に、細胞壁に穴が形成されるが、細胞壁は溶解の場合のように破壊されることはない。細胞の形態的な無欠性は保たれる。DNA、RNAおよびリボソームなどの巨大分子は、細胞内に保たれる。たとえば、蛍光染料と比較して大きい酵素分子で標識されたプローブの細胞内への効率の良い浸透、およびその後のリボソームへの結合を保証するために、透過化が必要である可能性がある。透過化は、特にプロテイナーゼK、プロナーゼ、リゾチームおよびミュータノリシン(Mutanolysin)からなる群から選択される細胞壁溶解酵素による、部分的な分解によって行うことが可能であることが好ましい。
【0055】
本発明のさらなる主題は、少なくとも1つのハイブリダイゼーション緩衝液と、少なくとも1つの本発明のオリゴヌクレオチド・プローブ、好ましくは本発明のオリゴヌクレオチド・プローブ組成物とを含む、前に記載した本発明の方法を行うためのキットである。
【0056】
前に記載した本発明の方法は、リボソームRNAを検出することに基づくin situハイブリダイゼーション法である。以下に記載した本発明の特定の実施形態では、
1)サンプル採取、
2)サンプルの固定、
3)場合によっては、運搬、
4)場合によっては、濃縮、
5)担体上へのサンプルの固定化、
6)サンプル中に含まれる細菌細胞の透過化、
7)サンプルのハイブリダイゼーション、
8)サンプルの洗浄、
9)ハイブリダイズしたプローブの検出、
の工程を実施する。
【0057】
開業医の臨床上の経験は、患者または歯の冒された領域を選択する際に決定的である。1998年の歯周病学会およびドイツ歯科、口腔、顎科学会(Deutsche Gesellschaft fuer Zahn-, Mund- und Kieferheilkunde )の、周辺歯周炎の微生物診断についての解説を、ガイドラインとして使用可能である。個々の歯周ポケットまたはいくつかの歯肉下部位からの「プールしたサンプル」のいずれかから、サンプルを採取することが可能である。あるいは、記載の技法を使用して、歯肉上部位または口腔−咽頭領域からの他のサンプル(たとえば唾液サンプル)を調べることも可能である。歯肉下部位からのサンプルは、好ましくはアルフレッド・ベヒト社(Firma Alfred Becht)(ドイツ国オッフェンブルグ(Offenburg)所在)または他の製造者のISO45規格の、特殊な歯科器具(たとえばキューレット、スケーラーなど)または特殊なペーパー・チップのいずれかを用いて採取される。
【0058】
異なる方法によってサンプル採取した細菌を、次に、細菌を殺傷しリボソームRNAの分解を妨げるべく適切な固定媒質に移す。原則として、エタノール、アセトンおよびエタノール−酢酸混合物などの変性試薬、または、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドもしくはグルタルアルデヒドなどの架橋試薬のいずれかを使用することが可能である。固定剤の両群からの混合物(たとえばエタノールとホルムアルデヒド)を使用することも可能である。
【0059】
抽出した細菌を、顕微鏡用スライド上に存在する1滴の水中に直接溶出させることも可能である。次いで細菌を、ブンゼン・バーナーなどの直火またはたとえば80℃に温度調節されたインキュベータ内での加熱によって固定し、同時に顕微鏡のスライド上に固定化する。固定されたサンプルは、それ以上の特殊な予防措置または機器なしで保存することが可能であり、おそらく運搬可能である。
【0060】
熱による固定を行わなかった場合、固定されたサンプルを次に乾燥によって顕微鏡のスライド上に固定化する。あるいは、固定化用の濾過手順を使用することが可能である。膜フィルタを使用して、さらに大容量のサンプルをフィルタにアプライすることが可能である。ポリカーボネート膜を使用することが好ましく、ポリカーボネート膜は次いで顕微鏡のスライド上に固定化されたサンプルと類似の方式でハイブリダイズされる。
【0061】
場合によっては、固定化後にエタノール濃度を漸増させる処理(たとえば50%、80%および96%エタノールを各3分間)をすることが可能である。
大きなマーカー分子(たとえばホースラディシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなど)を使用する場合、細菌細胞中への標識プローブ分子の効果的な拡散を保証するために、細菌の細胞壁をさらに透過化することが有利である可能性がある。さまざまな細胞壁溶解酵素、たとえばプロテイナーゼK、プロナーゼ、リゾチームおよびミュータノリシンなどを使用することが可能である。歯周病原性細菌A.actinomycetemcomitans、P.gingivalis、B.forsythusおよびP.intermediaを検出するための本発明の方法では、実施例3に示す形態の酵素プロテイナーゼKおよびリゾチームが、細胞壁の透過化に最適である。しかしながら、さまざまな化学試薬(たとえば1NのHClまたは界面活性剤)を、個々の細菌細胞の透過化用に使用することも可能である。酵素反応を停止させるために、さらに一連のエタノール濃度の漸増を使用する。
【0062】
本発明に従って、核酸プローブを前述の意味で固定した微生物と共にインキュベートして、核酸プローブ分子を微生物内へ浸透させ、核酸プローブ分子を微生物の核酸とハイブリダイズさせることが可能である。次いでハイブリダイズしなかった核酸プローブ分子を通常の洗浄工程によって除去する。
【0063】
次いで特異的にハイブリダイズした核酸プローブ分子を、対応する細胞中で検出することが可能である。このための必要条件は、たとえば核酸プローブ分子がマーカーに共有結合していることなど、核酸プローブ分子が検出可能であることである。使用され当業者によく知られている検出可能なマーカーには、たとえばCY2[アマシャムライフサイエンス社(Amersham Life Sciences,Inc.)、米国アーリントンハイツ(Arlington Heights)所在、から入手可能]、CY3(これもアマシャムライフサイエンスから入手可能)、CY5(これもアマシャムライフサイエンスから入手可能)、FITC[モレキュラープローブ社(Molecular Probes Inc.)、米国ユージーン(Eugene)所在]、FLUOS[ロシュダイアグノスティク社(Roche Diagnostics GmbH)、ドイツ国マンハイム(Mannheim)所在、から入手可能]、TRITC[モレキュラープローブ社(Molecular Probes Inc.)、米国ユージーン(Eugene)所在、から入手可能]、6−FAMまたはFLUOS−PRIMEなどの蛍光基がある。化学マーカー、放射性マーカー、またはホースラディシュペルオキシダーゼ、酸性ホスファターゼ、アルカリホスファターゼおよびペルオキシダーゼなどの酵素マーカーを使用することも可能である。これらの各酵素に関する一連の色素原が知られており、これらを天然基質の代わりに反応させ、着色または蛍光生成物を形成させることが可能である。このような色素原の例を、以下の表に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
最後に、ハイブリダイゼーションにも適した5’または3’端のさらなる核酸配列が存在するように、核酸プローブ分子を作製することも可能である。したがって核酸配列は約15〜1000個、好ましくは15〜50個のヌクレオチドを含む。次いでこの第2の核酸領域を、前述の任意の物質により検出可能なオリゴヌクレオチド・プローブによって認識することが可能である。
【0066】
別の可能性は、検出可能な核酸プローブ分子のハプテンへのカップリングである。核酸プローブ分子が標的核酸から切り離された後に、単離した核酸プローブ分子を、ハプテン
を認識する抗体と接触させることが可能である。このようなハプテンの一例は、ジゴキシゲニンまたはその誘導体である。所与の例以外に、当業者はさらに他の例にも非常に精通している。
【0067】
標準的なハイブリダイゼーション法は、顕微鏡用スライド上、フィルタ上、マイクロタイター・プレート上、あるいは反応容器内で行われる。分析は使用するプローブの標識のタイプに依存し、光学顕微鏡、エピ蛍光顕微鏡、化学照度計、蛍光計、フロー・サイトメータなどを使用して行うことが可能である。
【0068】
本発明のキットは、歯周病原体を検出するための以下の特異的なプローブ、すなわち
種Actinobacillus actinomycetemcomitansの菌株を検出するプローブ:
AACT1:5’−CAT−CAG−CGT−CAG−TAC−ATC−C−3’
AACT2:5’−AGT−ACT−CCA−GAC−CCC−CAG−3’
種Porphyromonas gingivalisの菌株を検出するプローブ:
PGIN1:5’−CCT−CTG−TAA−GGC−AAG−TTG−C−3’
PGIN2:5’−GCG−CTC−AGG−TTT−CAC−CGC−3’
PGIN3:5’−CGG−TTA−CGC−CCT−TCA−GGT−3’
種Bacteroides forsythusの菌株を検出するプローブ:
BFOR1:5’−GCT−ACC−ATC−GCT−GCC−CCT−3’
BFOR2:5’−CCA−TGC−GGA−ACC−CCT−GTT−3’
BFOR3:5’−CCG−CGG−ACT−TAA−CAG−CCC−ACC−T−3’
BFOR4:5’−CGA−CAA−ACT−TTC−ACC−GCG−G−3’
BFOR5:5’−TGA−CAG−TCA−GGG−TTG−CGC−3’
BFOR6:5’−TCA−CAG−CTT−ACG−CCG−GC−3’
種Prevotella intermediaの菌株を検出するプローブ:
PINT1:5’−TTG−GTC−CAC−GTC−AGA−TGC−3’
PINT2:5’−TGC−GTG−CAC−TCA−AGT−CCG−3’
PINT3:5’−TGT−ATC−CTG−CGT−CTG−CAA−TT−3’
PINT4:5’−CCC−GCT−TTA−CTC−CCC−AAC−3’
PINT5:5’−CAT−CCC−CAT−CCT−CCA−CCG−3’
PINT6:5’−TCC−CCA−TCC−TCC−ACC−GAT−GA−3’
を含むことが特に好ましい。
【0069】
本発明のプローブ分子は、さまざまなハイブリダイゼーション溶液を用いる検出法の範囲内で使用することが可能である。0%〜80%の濃度の種々の有機溶媒を使用することが可能である。たとえばホルムアミドは、ハイブリダイゼーション緩衝液中に好ましくは20%〜60%の濃度、特に好ましくは20%の濃度で使用する。さらに、ハイブリダイゼーション緩衝液は塩、好ましくは塩化ナトリウムを、0.1mol/l〜1.5mol/l、好ましくは0.5mol/l〜1.0mol/l、より好ましくは0.7mol/l〜0.9mol/l、最も好ましくは0.9mol/lの濃度で含む。ハイブリダイゼーション緩衝液は、tris/HCl、クエン酸ナトリウム、PIPESまたはHEPES緩衝液などの、さまざまな化合物を用いて緩衝することが可能であり、これらは0.01mol/l〜0.1mol/l、好ましくは0.01mol/l〜0.08mol/l、特に好ましくは0.02mol/lの濃度範囲で使用される。pHは通常6.0と9.0の間、好ましくは7.0と8.0の間である。ハイブリダイゼーション緩衝液は、pH8.0で0.02mol/lのtris/HClを含むことが好ましい。
【0070】
さらに、TritonXまたはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などの界面活性剤が
、0.001%〜0.2%、好ましくは0.005%〜0.1%の濃度で存在する。ここで特に好ましいハイブリダイゼーション緩衝液は、0.01%のSDSを含む。
【0071】
非標識核酸断片(たとえば断片化されたサケの精子のDNA、非標識オリゴヌクレオチド、およびその他)、または反応体積の減少によってハイブリダイゼーション反応を加速させることが可能である分子(ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、硫酸デキストラン、およびその他)などの他の添加剤を、さまざまな実験上の問題点に備えて使用することが可能である。これらの添加剤は当業者によって、既知の従来の濃度でハイブリダイゼーション緩衝液に加えられる。
【0072】
当業者は、ハイブリダイゼーション反応の必要な厳密度が得られるような方法で、ハイブリダイゼーション緩衝液の成分の所与の濃度を選択しうることは理解されるべきである。特に好ましい実施形態は、厳密な(ストリンジェントな)ハイブリダイゼーション条件から特に厳密なハイブリダイゼーション条件を示している。これらの厳密な条件を使用して、当業者は、所与の核酸分子によって歯周病原性細菌の核酸配列の種特異的な検出が可能となり、したがって本発明について信頼して使用することが可能であるかどうかを決定することが可能である。
【0073】
当業者によって、ハイブリダイゼーション反応の必要な厳密度が得られるような方法で、ハイブリダイゼーション緩衝液の成分の所与の濃度を選択することが可能であることは明白である。特に好ましい実施形態は、厳密なハイブリダイゼーション条件から特に厳密なハイブリダイゼーション条件を示している。これらの厳密な条件を使用して、当業者は、所与の核酸分子によって標的生物の核酸配列の種特異的な検出が可能となり、したがって本発明について信頼して使用することが可能であるかどうかを確定することが可能である。必要であれば、当業者は、プローブおよび標的生物に応じて、ハイブリダイゼーション緩衝液のパラメータを変えることによって厳密度を低下または増大させうる立場にある。
【0074】
ハイブリダイゼーション緩衝液中の核酸プローブの濃度は、標識のタイプおよび標的構造体の数に依存する。迅速かつ有効なハイブリダイゼーションを可能にするために、核酸プローブ分子の数は、標的構造体の数より数桁多くなければならない。他方では、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)に関して作業するとき、過剰に高レベルの蛍光標識された核酸プローブ分子によって、バックグランドの蛍光の増大がもたらされることを考慮する必要がある。したがって核酸プローブ分子の濃度は、0.5〜500ng/μl、好ましくは1.0〜100ng/μlの間、特に好ましくは1.0〜50ng/μlの間の範囲内でなければならない。
【0075】
本発明の方法に関して、好ましい濃度は、ハイブリダイゼーション溶液1μl当たり使用する各核酸プローブ分子が1〜10ngである。使用するハイブリダイゼーション溶液の体積は8μlと100mlの間でなければならず、本発明の方法の特に好ましい実施形態では、それは30μlである。
【0076】
ハイブリダイゼーションの時間は、通常、10分と12時間の間である。ハイブリダイゼーションは、約1.5時間行うことが好ましい。ハイブリダイゼーション温度は、好ましくは44℃と48℃の間、特に好ましくは46℃であり、ハイブリダイゼーション温度、およびハイブリダイゼーション溶液中の塩および界面活性剤の濃度のパラメータは、核酸プローブ、特にその長さおよび検出する細胞中の標的配列との相補性の度合いに基づいて最適化することが可能である。当業者は、適用可能な計算法に精通している。
【0077】
ハイブリダイゼーションが終了した後、ハイブリダイズしなかった過剰の核酸プローブ
分子を除去するかあるいはすすぎ落とさなければならず、通常これは従来の洗浄溶液によって行われる。望むならば、この洗浄溶液は0.001〜0.1%、好ましくは0.005〜0.05%、特に好ましくは0.01%のSDSなどの界面活性剤、および0.001〜0.1mol/l、好ましくは0.01〜0.05mol/l、特に好ましくは0.02mol/lの濃度のtris/HClを含むことが可能であり、tris/HClのpHは6.0〜9.0、好ましくは7.0〜8.0の範囲内にあり、特に好ましくは8.0である。界面活性剤が含まれてよいが、それが絶対に必要なわけではない。洗浄溶液は通常、必要な厳密度に応じて、0.003mol/l〜0.9mol/l、好ましくは0.01mol/l〜0.9mol/lの濃度でNaClも含む。NaCl濃度は、約0.215mol/lであることが特に好ましい。
【0078】
さらに洗浄溶液は、好ましい濃度0〜0.005mol/lのEDTAを含んでもよい。洗浄溶液は、当業者が使い慣れた量の一般に知られた防腐剤をさらに含むことが可能である。
【0079】
一般に、緩衝溶液は洗浄工程で使用され、緩衝溶液は原則としてハイブリダイゼーション緩衝液(緩衝塩化ナトリウム溶液)に非常に類似したものであってよいが、ただし通常洗浄工程は、より低い塩濃度または高温の緩衝液中で行われる。ハイブリダイゼーション条件を理論的に概算するために、以下の式を使用することが可能である:
Td=81.5+16.61g[Na+]+0.4×(%GC)−820/n−0.5×(%FA)
Td=解離温度(℃)
[Na+]=ナトリウムイオンのモル濃度
%GC=塩基の総数に対する、グアニンおよびシトシン・ヌクレオチドの割合
n=ハイブリッド長
%FA=ホルムアミド含量
この式を使用して、たとえば洗浄緩衝液中のホルムアミドの割合(ホルムアミドの毒性のためにこれは可能な限り低く保たなければならない)を、対応するより低含量の塩化ナトリウムに置き換えることが可能である。しかしながら当業者は、in situハイブリダイゼーション法に関する広範囲の文献に基づいて、これらの成分をどのように変えることが可能であるかが分かっている。ハイブリダイゼーション条件に関して前述したすべてのことが、ハイブリダイゼーション条件の厳密度にも当てはまる。
【0080】
非結合核酸プローブ分子の「洗浄」は通常、44℃〜52℃、好ましくは44℃〜50℃の範囲、特に好ましくは46℃の温度で、10〜40分間、好ましくは15分間行われる。
【0081】
本発明の方法の他の実施形態では、所与の標的生物を特異的に検出するための、いわゆるFast−FISH法において本発明の核酸分子を使用する。Fast−FISH法は当業者に知られており、たとえばドイツ国特許出願第199 36 875号明細書および国際公開第99/18234号に記載されている。これらに記載された検出法を行うために、これらの文書中の開示を本明細書に詳細に援用する。
【0082】
さらに、対応する方法を行うための本発明のキットが利用可能である。これらのキット中に含まれるハイブリダイゼーション装置は、たとえばドイツ国特許出願第100 61
655.0号明細書に記載されている。これに記載されたin situハイブリダイゼーション装置の開示に関して、同明細書を本明細書に詳細に援用する。
【0083】
記載のハイブリダイゼーション装置(VIT反応容器と呼ばれる)以外に、キットの最も重要な構成物は、前に記載したような検出する微生物用の特異的な核酸プローブ分子を
含む代表的なハイブリダイゼーション溶液(いわゆるVIT溶液)である。このキットは常に、対応するハイブリダイゼーション緩衝液(プローブ分子を含まないハイブリダイゼーション溶液に相当する)、および対応する洗浄溶液の濃縮物も含む。このキットは、必要な場合は固定溶液(50%エタノール、無水エタノール)、および必要な場合は包埋溶液(仕上げ剤)も含んでよい。仕上げ剤は市販されており、その作用は蛍光顕微鏡下での蛍光プローブの迅速な退色の保護も含む。場合によっては、陽性対照と陰性対照を並行して行うための溶液も含んでよい。
【0084】
以下の実施例は、本発明を説明することを意図するものであるが、本発明を制限するものではない。
【実施例1】
【0085】
A.actinomycetemcomitans、P.gingivalis、B.forsythusおよびP.intermediaの特異的な検出
本発明のサンプルの特異性を証明するために、複数の基準(参照用)生物を公的にアクセス可能な細菌保存機関に注文し、同保存機関奨励の培地で培養した。コロニーが培地上で目に見えるようになった直後に、接種用ループを用いてプレートからコロニーを拾い上げ、固定溶液(1×PBS中に4%ホルムアルデヒドを溶かしたもの)に懸濁させた。同細菌懸濁液の最適な光学濃度は、600nmの波長で測定して、0.2である。細菌を固定溶液中に1時間〜24時間の間放置し、次いで8,000rpmで5分間かけて沈降させた(Rotina35、ロータータイプ1714、トゥトリゲン(Tuttlingen)所在のヘットリッヒ(Hettich))。その上澄みを捨て、ペレットを1×PBS(最初の体積)中で洗浄した。さらなる遠心分離工程(前述のものと同じ条件)の後、細胞をEtOH/PBSの1:1混合物中に含め、使用するまで−20℃で保存した。
【0086】
この懸濁液から5μlを採取し、テフロン(登録商標)で被覆された顕微鏡用スライドのウエルに供し、空気乾燥させ、エタノール濃度を連続して漸増(50%、80%および100%を各3分間)させて処理した。次いで固定化したサンプルを空気乾燥させ、10μlのハイブリダイゼーション緩衝液(0.9mol/lのNaCl、0.02mol/lのtris/HCl、pH8.0、0.01%のSDS、20%のホルムアミド、それぞれ5ngのハイブリダイゼーション・プローブAACT1およびAACT2、PGIN1−3、BFOR1−6、PINT1−6)を加えた。対応する基準細胞がこの方法によって検出されるのに充分なrRNAを含んでいるどうかを試験するために、Cy3標識した特異的プローブだけでなく、FLUOS標識した共通プローブもハイブリダイゼーションに含めた。
【0087】
ハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーション緩衝液を用いて平衡状態にした恒湿器中で実施した。ハイブリダイゼーションの時間は少なくとも90分であった。この後に、ハイブリダイズ処理した顕微鏡用スライドを洗浄緩衝液(0.215mol/lのNaCl、0.02mol/l、pH8.0のtris/HCl、0.01%のSDS)を含む50mlのチューブ内に置き、48℃で15分間インキュベートすることによって、非結合プローブを除去した。
【0088】
ハイブリダイズした顕微鏡用スライドを適切な包埋媒質で被覆し、次いで蛍光顕微鏡によって分析した。
表2は使用した基準菌株、および本発明のプローブを用いて得られた結果を示す。
【0089】
【表2】
【0090】
【表3】
【0091】
【表4】
【0092】
【表5】
【実施例2】
【0093】
歯周炎を有する患者からのサンプル中の歯周病原性細菌の検出
歯周サンプルを、スケーラーを用いて、または特にこの目的用に作製した滅菌ペーパー・チップを用いて採取した。スケーラーを使用した場合、細菌プラークを歯肉ポケットから除去した後に、スケーラーを固定溶液(1×PBS中に4%ホルムアルデヒドを溶かしたもの)中で、それに付着した細菌の堆積物(プラーク)が200μlの固定溶液に完全に懸濁するまで充分長く攪拌した。滅菌したペーパー・チップをサンプル採取用に使用した場合、パッケージから同チップを無菌的に取り出し、患者を予備処理(対応する部位を乾燥させ、歯肉上プラークを除去)した後に、サンプルを採取する歯周ポケットに導入した。ペーパー・チップをそこに10〜20秒間放置し、取り出し、200μlの固定溶液を含む試験管に移した。この状態で、ペーパー・チップを試験する研究室に送った。次いで10分の1容量のTriton X−100の1%溶液を固定溶液に混合し、2×30秒間充分に攪拌して、ペーパー・チップから細菌を溶出させた。
【0094】
この後、遠心分離を8,000rpmで5分間行って、ペレットを実施例1に記載したように洗浄し、最後に細菌をエタノールとPBSの1:1混合物60μl中に移した。サンプル中の細菌は、この溶液中に少なくとも3カ月間−20℃で保存可能である。
【0095】
実施例1で詳細に示したように、5μlのこの懸濁液を顕微鏡用スライドに供し、本発明のプローブとハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーション後、DNAに非特異的に結合するDAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドールジヒドロクロリド;シグマ(Sigma)、ドイツ国ダイゼンホフェン(Deisenhofen)所在)でサンプルを染色した。サンプルを1μg/mlのDAPIを含むPBS溶液で覆い、暗所において室温で5〜15分間インキュベートした。1×PBSを用いたさらなる洗浄工程の後、蛍光顕微鏡を使用して、適切な包埋媒質(Citifluor(登録商標)AF1、英国ロンドン所在のシィティフルアー(Citifluor)社、;Vectashild,米国バーリンゲーム(Burlingame)所在のベクターラボラトリーズ(Vector Laboratories))中でサンプルを分析することが可能であった。
【0096】
顕微鏡製造者(ドイツ国オーバーコッヘン(Oberkochen)所在のツァイス(Zeiss)社)の教示書に従って、計測用接眼レンズを介して定量評価を行った。表3は、3つの異なる患者サンプルの定量評価を示す。
【0097】
【表6】
【実施例3】
【0098】
ホースラディシュペルオキシダーゼで標識したオリゴヌクレオチド・プローブを用いた歯周病原性細菌の検出
実施例2に記載したように、歯周サンプルを採取し、固定し、顕微鏡用スライド上に固定化した。この後、サンプル中に存在する細胞を、10μg/mlのプロテイナーゼK溶液中、または250μg/mlのリゾチーム溶液中で15分間インキュベートすることにより透過化させた。酵素反応を、濃度を漸増させた(50%、80%および100%を各3分間)一連のエタノールを加えることによって停止させた。
【0099】
実施例1に記載したようにハイブリダイゼーションを行ったが、20%のホルムアミドではなく40%のホルムアミドを含む緩衝液を使用した。さらに、ハイブリダイゼーションは35℃で行った。90分後、顕微鏡用スライドを恒湿器から取り出し、洗浄緩衝液−POD(0.056mol/lのNaCl、0.05mol/lのEDTA、0.02mol/lのtris/HCl、pH8.0、0.01%のSDS)中で37℃で15分間インキュベートした。次いでハイブリダイズしたサンプルを、ジアミノベンジジンを含む基質溶液で10分間覆った。この溶液は、ジアミノベンジジンを含む錠剤と、SIGMA FAST DAB Tablet Sets(D4168)からのH2O2を含む錠剤とを1mlの基質用緩衝液(0.15mol/lのNaCl、0.1mol/lのtris/HCl、pH8.0)に溶かすことによって調製した。これらの錠剤が基質用緩衝液中に完全に溶けた後に、10μlのこの用意された基質溶液をハイブリダイズしたサンプルに施し、10分間室温でインキュベートした。次いでサンプルを1×PBSですすぎ、直ちに、あるいは適切な対比染色の後に顕微鏡下で調べた。
【0100】
HE染色液は対比染色に適しており、これを以下の方式で調製した。湿気を含んだハイブリダイズ済の顕微鏡用スライドを、ヘマラン(Haemalaun)(ドイツ国所在のメルク(Merck)社、製品番号1.09249.0500)を満たしたガラス・キュベット中に浸した。3〜5分後、顕微鏡用スライドを蒸留水で短時間すすぎ、次いで冷たい水道の流水に10分間曝して青色を発色させた。次いで顕微鏡用スライドを、エオシンを含むキュベットに3〜5分間浸した。次に顕微鏡用スライドを90%エタノール中で、次いで無水エタノール中で短時間すすいだ。最後に顕微鏡用スライドを、キシレン溶液が透明になるまで、3つの異なるキシレン槽に浸した。
Claims (23)
- in situハイブリダイゼーションによって歯周病原性細菌を種特異的に検出するためのオリゴヌクレオチド・プローブであって、
i)
5’−CAT−CAG−CGT−CAG−TAC−ATC−C−3’
5’−AGT−ACT−CCA−GAC−CCC−CAG−3’
5’−CCT−CTG−TAA−GGC−AAG−TTG−C−3’
5’−GCG−CTC−AGG−TTT−CAC−CGC−3’
5’−CGG−TTA−CGC−CCT−TCA−GGT−3’
5’−GCT−ACC−ATC−GCT−GCC−CCT−3’
5’−CCA−TGC−GGA−ACC−CCT−GTT−3’
5’−CCG−CGC−ACT−TAA−CAG−CCC−ACC−T−3’
5’−CGA−CAA−ACT−TTC−ACC−GCG−G−3’
5’−TGA−CAG−TCA−GGG−TTG−CGC−3’
5’−TCA−CAG−CTT−ACG−CCG−GC−3’
5’−TTG−GTC−CAC−GTC−AGA−TGC−3’
5’−TGC−GTG−CAC−TCA−AGT−CCG−3’
5’−TGT−ATC−CTG−CGT−CTG−CAA−TT−3’
5’−CCC−GCT−TTA−CTC−CCC−AAC−3’
5’−CAT−CCC−CAT−CCT−CCA−CCG−3’
5’−TCC−CCA−TCC−TCC−ACC−GAT−GA−3’、
ii)i)由来の任意のオリゴヌクレオチドと、少なくとも80%、特に好ましくは少なくとも90%、92%、94%、96%の塩基が同一であり、種Actinobacillus actinomycetemcomitans、Porphyromonas gingivalis、Bacteroides forsythusおよびPrevotella intermediaのうち少なくともいずれかの歯周病原性細菌の核酸配列との特異的なハイブリダイゼーションが可能であるオリゴヌクレオチド、
iii)少なくとも1ヌクレオチド長いという点において、i)およびii)由来の任意のオリゴヌクレオチドと異なるオリゴヌクレオチド、
iv)i)、ii)およびiii)由来の任意のオリゴヌクレオチドに相補的な配列と厳密な条件下でハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、
からなる群から選択されるオリゴヌクレオチド・プローブ。 - in situハイブリダイゼーションによって歯周病原性細菌を検出するためのオリゴヌクレオチド・プローブ組成物であって、
i)Actinobacillus actinomycetemcomitans種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するための、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のオリゴヌクレオチド・プローブであって、
a)
5’−CAT−CAG−CGT−CAG−TAC−ATC−C−3’
5’−AGT−ACT−CCA−GAC−CCC−CAG−3’
またはこれらの一部分からなるDNA配列、
b)a)の核酸配列の相補鎖と厳密な条件下でハイブリダイズする核酸配列または該核酸配列の一部分からなるDNA配列、
からなる群から選択されるオリゴヌクレオチド・プローブ、
ii)Porphyromonas gingivalis種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するための、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のオリゴヌクレオチド・プローブであって、
a)
5’−CCT−CTG−TAA−GGC−AAG−TTG−C−3’
5’−GCG−CTC−AGG−TTT−CAC−CGC−3’
5’−CGG−TTA−CGC−CCT−TCA−GGT−3’
またはこれらの一部分からなるDNA配列、
b)a)の核酸配列の相補鎖とハイブリダイズする核酸配列または該核酸配列の一部分からなるDNA配列、
からなる群から選択されるオリゴヌクレオチド・プローブ、
iii)Bacteroides forsythus種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するための、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のオリゴヌクレオチド・プローブであって、
a)
5’−GCT−ACC−ATC−GCT−GCC−CCT−3’
5’−CCA−TGC−GGA−ACC−CCT−GTT−3’
5’−CCG−CGG−ACT−TAA−CAG−CCC−ACC−T−3’
5’−CGA−CAA−ACT−TTC−ACC−GCG−G−3’
5’−TGA−CAG−TCA−GGG−TTG−CGC−3’
5’−TCA−CAG−CTT−ACG−CCG−GC−3’
またはこれらの一部分からなるDNA配列、
b)a)の核酸配列の相補鎖とハイブリダイズする核酸配列または該核酸配列の一部分からなるDNA配列、
からなる群から選択されるオリゴヌクレオチド・プローブ、および、
iv)Prevotella intermedia種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するための、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のオリゴヌクレオチド・プローブであって、
a)
5’−TTG−GTC−CAC−GTC−AGA−TGC−3’
5’−TGC−GTG−CAC−TCA−AGT−CCG−3’
5’−TGT−ATC−CTG−CGT−CTG−CAA−TT−3’
5’−CCC−GCT−TTA−CTC−CCC−AAC−3’
5’−CAT−CCC−CAT−CCT−CCA−CCG−3’
5’−TCC−CCA−TCC−TCC−ACC−GAT−GA−3’
またはこれらの一部分からなるDNA配列、
b)a)の核酸配列の相補鎖とハイブリダイズする核酸配列または該核酸配列の一部分からなるDNA配列、
からなる群から選択されるオリゴヌクレオチド・プローブ
のうち少なくともいずれかを含む、in situハイブリダイゼーションによって歯周病原性細菌を検出するためのオリゴヌクレオチド・プローブ組成物。 - i)Actinobacillus actinomycetemcomitans種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するためのオリゴヌクレオチド・プローブであって、a)5’−CAT−CAG−CGT−CAG−TAC−ATC−C−3’
5’−AGT−ACT−CCA−GAC−CCC−CAG−3’
からなるDNA配列からなる群由来の全てのオリゴヌクレオチド・プローブ、
ii)Porphyromonas gingivalis種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するためのオリゴヌクレオチド・プローブであって、
5’−CCT−CTG−TAA−GGC−AAG−TTG−C−3’
5’−GCG−CTC−AGG−TTT−CAC−CGC−3’
5’−CGG−TTA−CGC−CCT−TCA−GGT−3’
からなる群由来の全てのオリゴヌクレオチド・プローブ、
iii)Bacteroides forsythus種の歯周病原性細菌を種特異的
に検出するためのオリゴヌクレオチド・プローブであって、
5’−GCT−ACC−ATC−GCT−GCC−CCT−3’
5’−CCA−TGC−GGA−ACC−CCT−GTT−3’
5’−CCG−CGG−ACT−TAA−CAG−CCC−ACC−T−3’
5’−CGA−CAA−ACT−TTC−ACC−GCG−G−3’
5’−TGA−CAG−TCA−GGG−TTG−CGC−3’
5’−TCA−CAG−CTT−ACG−CCG−GC−3’
からなる群由来の全てのオリゴヌクレオチド・プローブ、および
iv)Prevotella intermedia種の歯周病原性細菌を種特異的に検出するためのオリゴヌクレオチド・プローブであって、
5’−TTG−GTC−CAC−GTC−AGA−TGC−3’
5’−TGC−GTG−CAC−TCA−AGT−CCG−3’
5’−TGT−ATC−CTG−CGT−CTG−CAA−TT−3’
5’−CCC−GCT−TTA−CTC−CCC−AAC−3’
5’−CAT−CCC−CAT−CCT−CCA−CCG−3’
5’−TCC−CCA−TCC−TCC−ACC−GAT−GA−3’
からなる群由来の全てのオリゴヌクレオチド・プローブ、
のうち少なくともいずれかを含む、請求項2に記載のオリゴヌクレオチド・プローブ組成物。 - 配列番号1〜17の全てのオリゴヌクレオチド・プローブを含む、請求項2または3に記載のオリゴヌクレオチド・プローブ組成物。
- in situハイブリダイゼーションによってサンプル中の歯周病原性細菌を検出する方法であって、
a)サンプル中に含まれる歯周病原性細菌を固定する工程と、
b)固定した細菌を、少なくとも1つの請求項1に記載のオリゴヌクレオチド・プローブ、好ましくは請求項2〜4のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド・プローブ組成物と共にインキュベートして、ハイブリダイゼーションを行わせる工程と、
c)ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチド・プローブを用いて、歯周病原性細菌細胞を検出、および場合によっては定量化する工程とからなる方法。 - 固定後に細菌を支持体上に固定化する、請求項5に記載の方法。
- 乾燥または濾過によって固定化を行う、請求項6に記載の方法。
- 好ましくはエタノール、アセトンおよびエタノール‐酢酸混合物からなる群から選択される変性試薬によって固定を行う、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
- 好ましくはホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドおよびグルタルアルデヒドからなる群から選択される架橋試薬によって固定を行う、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
- 熱固定によって固定を行う、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
- オリゴヌクレオチド・プローブが検出可能なマーカーに共有結合される、請求項5〜10のいずれか一項に記載の方法。
- 検出可能なマーカーを、
a)蛍光マーカー、
b)化学発光マーカー、
c)放射性マーカー、
d)酵素活性を有する基、
e)ハプテン、
f)ハイブリダイゼーションによって検出可能な核酸、
からなる群から選択する、請求項11に記載の方法。 - 酵素マーカーをペルオキシダーゼ、好ましくはホースラディシュペルオキシダーゼ、およびホスファターゼ、好ましくはアルカリホスファターゼからなる群から選択する、請求項12に記載の方法。
- 固定した細胞を透過化してからインキュベートする、請求項5〜13のいずれか一項に記載の方法。
- 細胞壁溶解酵素による部分的な分解によって透過化を行う、請求項14に記載の方法。
- 細胞壁溶解酵素をプロテイナーゼK、プロナーゼ、リゾチームおよびミュータノリシンからなる群から選択する、請求項15に記載の方法。
- 歯周病原性細菌が種Actinobacillus actinomycetemcomitans、Porphyromonas gingivalis、Bacteroides forsythusおよびPrevotella intermediaのうち少なくともいずれかの細菌である、請求項5〜16のいずれか一項に記載の方法。
- オリゴヌクレオチドを、
5’−CAT−CAG−CGT−CAG−TAC−ATC−C−3’
5’−AGT−ACT−CCA−GAC−CCC−CAG−3’
からなる群から選択する、Actinobacillus actinomycetemcomitans種の細菌を種特異的に検出するための、請求項5〜17のいずれか一項に記載の方法。 - オリゴヌクレオチドを、
5’−CCT−CTG−TAA−GGC−AAG−TTG−C−3’
5’−GCG−CTC−AGG−TTT−CAC−CGC−3’
5’−CGG−TTA−CGC−CCT−TCA−GGT−3’
からなる群から選択する、Porphyromonas gingivalis種の細菌を種特異的に検出するための、請求項5〜17のいずれか一項に記載の方法。 - オリゴヌクレオチドを、
5’−GCT−ACC−ATC−GCT−GCC−CCT−3’
5’−CCA−TGC−GGA−ACC−CCT−GTT−3’
5’−CCG−CGG−ACT−TAA−CAG−CCC−ACC−T−3’
5’−CGA−CAA−ACT−TTC−ACC−GCG−G−3’
5’−TGA−CAG−TCA−GGG−TTG−CGC−3’
5’−TCA−CAG−CTT−ACG−CCG−GC−3’
からなる群から選択する、Bacteroides forsythus種の細菌を種特異的に検出するための、請求項5〜17のいずれか一項に記載の方法。 - オリゴヌクレオチドを、
5’−TTG−GTC−CAC−GTC−AGA−TGC−3’
5’−TGC−GTG−CAC−TCA−AGT−CCG−3’
5’−TGT−ATC−CTG−CGT−CTG−CAA−TT−3’
5’−CCC−GCT−TTA−CTC−CCC−AAC−3’
5’−CAT−CCC−CAT−CCT−CCA−CCG−3’
5’−TCC−CCA−TCC−TCC−ACC−GAT−GA−3’
からなる群から選択する、Prevotella intermedia種の細菌を種特異的に検出するための、請求項5〜17のいずれか一項に記載の方法。 - 少なくとも1つの請求項1に記載のオリゴヌクレオチド・プローブ、好ましくは請求項2〜4のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド・プローブ組成物を含む、請求項5〜21のいずれか一項に記載の方法を行うためのキット。
- 少なくとも1つのハイブリダイゼーション溶液をさらに含み、オリゴヌクレオチド・プローブが該ハイブリダイゼーション溶液中に含まれうる、請求項22に記載のキット。
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