JPH10503655A - ミコバクテリアの検出 - Google Patents

ミコバクテリアの検出

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JPH10503655A JP8506560A JP50656095A JPH10503655A JP H10503655 A JPH10503655 A JP H10503655A JP 8506560 A JP8506560 A JP 8506560A JP 50656095 A JP50656095 A JP 50656095A JP H10503655 A JPH10503655 A JP H10503655A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、サンプル中のミコバクテリアを検出するために有用な方法、組成物およびキットを提供する。本方法は、ミコバクテリア特異的核酸プローブをサンプルにハイブリダイズさせる前に、サンプルをホルムアルデヒド溶液、有機溶媒および蛋白分解剤と接触させることを含む。本発明は、ヒトの疾患を引き起こすミコバクテリア(例えばヒト型結核菌)の検出および感受性スクリーニングに特に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】 ミコバクテリアの検出 発明の背景 結核は、世界中に広がる治療可能な感染による死亡原因の主要なものである。 根絶を目指した数十年来の公衆衛生の努力にもかかわらず、結核の復活は198 5年以来米国で認められている。結核の原因物質はヒト型結核菌(Mycobacteriu m tuberculosis 、MTb)である。驚くべきことには、最近ヒト型結核菌多剤耐 性株(MDRTb)が出現し、健康に対する新しい重大な脅威となっている。さ らに、ミコバクテリウムの別の群、鳥型結核菌群(Mycobacterium avium complex ,MAC)による感染は健康に対する急激に高まる最近の脅威である。MACは、 HIV−1感染者および他の免疫機能低下者において臨床的に重篤な疾患を惹起 することが分かった。MAC感染の伝播は、エイズ患者の17−28%に存在す ると概算(Youngら、Rev.Infec.Dis.,8:1024-1033(1986))されるが、エイズ患 者の47−53%から解剖時にMACが検出されたので、これは過少な概算であ ろうと考えられる(Wallanceら、Chest.,93:926-932(1988))。 肺結核(Tb)の診断は、慣用的には病歴によって引き出される症状の付置を 基にし、さらに特殊な身体検査、胸部X線、陽性ツベルクリン皮膚検査反応、患 者から得た標本でのミコバクテリアの観察、抗ミコバクテリウム治療に対する臨 床的反応、および/または培養によるヒト型結核菌の回収によって支持される。 対照的に、MACの臨床症状は非特異的であるために、MAC感染の診断は臨床 検査室で患者から得た標本の培養からMACを回収できるか否かに左右される。 過去においては、検査室による患者から得た広範囲の標本中のミコバクテリア の検出は、i)直接検出またはii)細菌学的培養による回収のいずれかに限ら れていた。種々の抗酸染色を用いた直接検出(すなわち、キニヨン染色、改変キ ニヨン染色、ファイト、オーラミン−ローダミン等)は多くの欠点を有する。第 一に、直接検出の感度の概算は、培養物からミコバクテリアを回収する能力と比 較したときわずかに30%−70%である。第二に、検出できるか否かは、観察 者の経験および染色調製物の検査に費やされる時間の長さに大きく左右される。 第三に、もし桿菌が抗酸染色で検出された場合、種の同定は可能ではない。 直接検出法と対照的に、ミコバクテリアの回収のために培養系を最適にするに ついて過去十年間において大きな進歩があった。放射能測定培養系の利用は、ミ コバクテリアを回収するために必要な時間の長さを、(放射能非測定培養系の2 −6週間と比べた場合)最低7日間まで劇的に短縮させた。放射能測定培養系で は、抗菌感受性パターンの決定に(旧式のミコバクテリア抗菌感受性検査で必要 な2−6週間と比較して)さらに、たった7日間必要とされるだけである。市販 の種特異的DNA用の化学発光プローブ(MTb固有16S rRNAを基にす る)は、一旦ミコバクテリアが培養から回収されると、種の型分けに必要な時間 を4時間まで劇的に短縮させた。このような進歩にもかかわらず、培養による方 法は、結果を得るまでになお相当な時間(すなわち培養からミコバクテリアを回 収するための最初の7日間)を必要とする。 最近、直接検出法の感度を高め、その主観性を減少させるためにさらに新しい 技術が用いられている。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、呼吸系標本中のミ コバクテリアの直接検出法として熱心に研究されている。残念ながら、PCRを 実施するための技術、経験、物理的環境の要請および試薬の経費は、現時点では 抗酸染色塗抹標本の実施と解釈に必要なそれらのものをはるかに越えている。さ らに、開発の現段階では、PCR検査は、ミコバクテリアを欠く標本について許 容不能な高率の偽陽性結果を生じる(Noordhoekら、New Engl.J.Med.329:2036 (1993)およびNoordhoekら、J.Clin.Microbiol.32:277-284(1994))。 したがって、ミコバクテリアの検出のための現存の方法は、信頼性の欠如、技 術的困難性、感受性の欠如または培養に必要な長期に及ぶ時間という不利を有す る。Tbの復活並びにMDRTbおよびMACの出現は、迅速で正確でさらに便 利な検出、種の同定およびミコバクテリアの感受性検査を可能にする方法の必要 性を高めた。 発明の要旨 本発明は、非包埋動物細胞または非包埋細菌を含むサンプル中のミコバクテリ アを検出する方法を提供する。この方法は以下の工程を含む:ホルムアルデヒド 溶液でサンプルを処理し、このサンプルを有機溶媒と接触させ、このサンプルを プロテアーゼまたは他の蛋白分解剤と接触させ、当該サンプルに、ミコバクテリ ウムの核酸と特異的にハイブリダイズする核酸プローブをハイブリダイズさせ、 ハイブリダイズしたプローブを検出する。ハイブリダイゼーションシグナルの存 在は、サンプル中のミコバクテリアの存在を示す。さらに、この方法は、蛋白分 解剤で処理する前に還元剤でサンプルを処理することを含む。 本発明は、ミコバクテリアによる感染の診断に特に使用される。本発明はまた 、抗ミコバクテリア薬剤の有効性の判定と、ミコバクテリア単離物および単離株 の感受性スクリーニングとに有用である。好ましいミコバクテリアの種には、ヒ ト型結核菌および、鳥型結核菌群が含まれる。この方法は、細胞内および細胞外 ミコバクテリアの検出に有用である。 好ましい具体例では、サンプルは喀痰、血液、血液細胞、組織の生検サンプル または胸膜液を含み、最も好ましくは胸膜液、血液または喀痰を含む。一具体例 では、動物細胞は哺乳類細胞で、より好ましくはヒト細胞であり、さらに好まし くはミコバクテリウム感染可能な細胞、マクロファージまたはマクロファージ型 細胞である。動物細胞は培養で成育させてもよい。特に好ましい培養細胞にはマ クロファージ(例えばU937細胞)およびネズミJ細胞が含まれる。 好ましいホルムアルデヒド含有溶液は一般に中性緩衝ホルマリンである。好ま しい有機溶媒は、キシレン、ベンゼンまたはヘキサンを含み、キシレンまたはヘ キサンが特に好ましい。好ましい蛋白分解剤は酸またはプロテアーゼ、特に例え ばペプシン、プロナーゼ、リゾチーム、トリプシン、キモトリプシンまたはプロ テイナーゼKのようなプロテアーゼを含む。好ましい具体例では、サンプルは先 ず、約0℃から10℃の間でプロテアーゼで処理され、続いて約15℃から60 ℃の間でプロテアーゼで処理される。還元剤を用いる場合は、好ましい還元剤に はチオシアン酸ナトリウムまたはチオシアン酸グアニジンが含まれる。核酸プロ ーブは長さが約15から100塩基で、より好ましくは約20から40塩基とす ることができる。プローブがRNAまたはゲノムもしくはcDNAから作製され る場合は長さが約100−600塩基であるが、約2000塩基までの範囲が可 能である。最も好ましくは、プローブはミコバクテリウムの全ゲノムDNAを含 む。核酸プローブのための標識には、酵素、放射性同位元素、ビオチン、ジゴキ シゲニンまたは発蛍光団が含まれ、発蛍光団が最も好ましい。特に好ましい発蛍 光団(蛍光標識)は、フルオレセイン、テキサスレッド、ローダミン、テトラメ チルローダミン、スペクトラムオレンジ(Imagenetics,ナパビル、イリノイ)、 Cy3およびCy5を含む。発蛍光団は蛍光顕微鏡を用いて容易に検出される。ハ イブリダイズされるミコバクテリアの核酸はRNAでもDNAでもよく、好まし い具体例ではハイブリダイズされるミコバクテリアの核酸はDNAである。 特に好ましい具体例では、ホルムアルデヒド溶液は中性緩衝ホルマリンで、有 機溶媒はキシレンで、蛋白分解剤はペプシンで、プローブは蛍光標識したヒト型 結核菌の全ゲノムDNAである。蛋白分解剤に曝す前に、チオシアン酸ナトリウ ムに曝してもよい。 本発明はまた、特異的にミコバクテリアの核酸にハイブリダイズすることがで きる単離された核酸プローブを提供する。好ましい具体例では、当該ブローブは ミコバクテリウムの全ゲノムDNAを含む。全ヒト型結核菌のゲノムDNAが特 に好ましい。このプローブは標識されているが、好ましい標識は、酵素、放射性 同位元素、ビオチン、ジゴキシゲニンおよび発蛍光団を含む。特に好ましい発蛍 光団(蛍光標識)には、フルオレセイン、テキサスレッド、ローダミン、テトラ メチルローダミン、スペクトルオレンジ(Spectrum Orange)(Imagenetics、ナパ ビル、イリノイ)、Cy3およびCy5が含まれる。 本発明はまた、本発明の方法を用いるミコバクテリアの臨床検出用キットを、 本方法のコントロールとして有用なテストサンプルとともに提供する。そのよう なテストサンプルまたはコントロールは細胞内ミコバクテリアを含む非包埋動物 細胞から成り、この場合、該細胞はホルムアルデヒドを含む溶液で固定され、該 ミコバクテリアの核酸は標識核酸プローブとハイブリダイズされる。好ましい具 体例では、該ミコバクテリアはヒト型結核菌種または鳥型結核菌群である。該プ ローブは発蛍光団で直接標識されていることが好ましいが、間接的に、例えばジ ゴキシゲニンを介して間接的に標識されていてもよい。 一具体例では、このキットは、非包埋動物細胞または非包埋細菌を含むサンプ ル中のミコバクテリアを検出する方法を記載した指示書を含む。本方法は以下の 工程を含む:サンプルをホルムアルデヒド溶液で処理し、該サンプルを有機溶媒 と接触させ、該サンプルをプロテアーゼまたは他の蛋白分解剤と接触させ、ミコ バクテリア核酸と特異的にハイブリダイズする核酸プローブをサンプルとハイブ リダイズさせ、このハイブリダイズしたプローブを検出する。ハイブリダイゼー ションシグナルの存在は、サンプル中のミコバクテリアの存在を示す。本キット はさらに、細胞内ミコバクテリアを有する非包埋動物細胞を含むテストサンプル を含み、この場合、この細胞はホルムアルデヒドを含有する溶液で固定されてお り、また、ミコバクテリアの核酸は標識核酸プローブとハイブリダイズする。キ ットはまた、標識核酸プローブ、ホルムアルデヒドを含む溶液、有機溶媒、還元 剤またはプロテアーゼを含む容器を含み得る。好ましくは、該容器は核酸プロー ブを含み、より好ましくは該核酸プローブは、ミコバクテリウムの全ゲノムDN Aを含む。 このキットによって提供される方法は、好ましくは中性の緩衝ホルマリンを必 要とする。好ましい有機溶媒には、キシレン、ベンゼンまたはヘキサンが含まれ るが、キシレンまたはヘキサンが特に好ましい。好ましい蛋白分解剤には酸また はプロテアーゼが含まれ、特にペプシン、プロナーゼ、リゾチーム、トリプシン 、キモトリプシンまたはプロテイナーゼKのようなプロテアーゼが含まれる。好 ましい具体例では、本キットによって提供される方法は、先ず約0℃から10℃ の間でサンプルをプロテアーゼで処理し、続いて約15℃から60℃の間でプロ テアーゼで処理することを必要とする。還元剤を用いる場合には、好ましい還元 剤はチオシアン酸ナトリウムまたはチオシアン酸グアニジンを含む。この核酸プ ローブは長さが約15から100塩基で、より好ましくは長さが約20から40 塩基であろう。プローブがRNA、ゲノムDNAまたはcDNAから作製される 場合は、長さは好ましくは約100−600塩基であるが、約2000塩基の範 囲の長さまで可能であろう。最も好ましくは、このプローブは、ミコバクテリウ ムの全ゲノムDNAを含む。核酸プローブ用標識は、酵素、放射性同位元素、ビ オチン、ジゴキシゲニンまたは発蛍光団を含み、発蛍光団が最も好ましい。特に 好ましい発蛍光団(蛍光標識)には、フルオレセイン、テキサスレッド、ローダ ミ ン、テトラメチルローダミン、スペクトルオレンジ(Imagenetics,ナパビル、イ リノイ)、Cy3およびCy5が含まれる。これら成分のいずれもキットとして 提供できる。定義 別に規定されない限り、本明細書で用いられる全ての技術的および科学的用語 は、本発明が属する分野で通常の技術を有する者が一般に理解する意味と同じ意 味を有する。本明細書に記載されている方法および材料と同様または同等なもの も本発明の実施または検査で用いることができるが、好ましい方法および材料を 記載する。本発明の目的のために、以下の用語は以下のように定義される。 本明細書で用いられるように、“ミコバクテリア”という用語は、ミコバクテ リウム(Mycobacterium)属(ミコバクテリウム科、放線菌目)の一切の細菌を指 し、ヒト型結核菌、鳥型結核菌群、ミコバクテリウム・カンザシー(Mycobacter ium kansasii )、ミコバクテリウム・スクロフラセウム(Mycobacterium scrofu laceum )、ウシ型結核菌およびらい菌を含む。これらの種および群並びに他のも のは、「医学微生物学」(S.Baron編、“Medical Microbiology”第3版、(19 91)Churchill Livingstone、ニューヨーク)に記載されており、これは援用し て本明細書の一部とする。 “包埋”という用語は、機械的な支えを提供し、それによって例えば切片作製 (顕微鏡を用いた観察のために薄層切片を調製すること)のような過程でサンプ ルの変形を減少させるために、物質を浸潤させたサンプルを指す。包埋物質には 、ワックス例えばパラフィンワックス、エポキシ、ゼラチン、メタクリレート、 ニトロセルロース、種々のポリマーなどが含まれる。 “非包埋”という用語は、包埋されておらず、さらに以前にも包埋されたこと がないサンプルを指す。 “有機溶媒”という用語は、脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素を含み、こ れにはキシレン、トルエン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、アセトン、アセト ニトリルおよびその全ての異性体(例えばオルト、メタ、パラ)が含まれる。 “蛋白分解剤”という用語は蛋白中のペプチド結合を加水分解する薬剤を指す 。 好ましい蛋白分解剤は、例えばペプシン、トリプシン、キモトリプシン、プロナ ーゼ、リゾチーム、プロテイナーゼKなどのようなプロテアーゼを含む。蛋白分 解剤には、ペプチド結合を加水分解する例えば臭化シアン(CNBr)および酸 (例えば塩酸)などの化合物もまた含まれる。 “サンプル”という用語は細菌が付随している物質を指す。サンプルは、しば しば患者から得られる“臨床サンプル”であろう。そのようなサンプルには、喀 痰、血液、血液細胞(例えば白血球)、組織もしくは極細注射針による生検サン プル、尿、腹腔液および胸膜液またはそれらからの細胞が含まれるが、これらに 限られるものではない。“サンプル”という用語はまた、細胞培養物からの上清 (これは遊離細菌を含む可能性がある)、細胞培養もしくは組織培養からの細胞 、およびミコバクテリアの検出が所望される他の媒体(例えば食物および水)を 含むことは理解されよう。 “感受性スクリーニング”という用語は、細菌を抗生物質処理に曝し、細菌の 成育または生活性に対する当該処理の影響を決定することによって、抗生物質に 対する細菌の感受性を決定する過程を指す。 “ミコバクテリア感染可能細胞”という用語は、ミコバクテリアが感染するこ とができる細胞を指す。ミコバクテリア感染可能細胞には、マクロファージ、マ クロファージ型細胞および他の細胞が含まれるが、このような細胞は、健常状態 または病的状態下のいずれかにおいて、ミコバクテリアを貧食しまたミコバクテ リアが侵入し、それによって感染する。 “マクロファージ型細胞”という用語は、ミコバクテリアを貧食することがで きるか、またはミコバクテリウムが侵入することができる血液単球に由来する細 胞を指し、マクロファージ、クッパー細胞、組織球、小神経膠細胞、肺胞マクロ ファージ、マクロファージ由来細胞株が含まれるが、またマクロファージの特徴 的な性状もしくはマーカーを有する初代細胞培養物または細胞株も含まれる。本 明細書で用いられるように、“マクロファージ型細胞”にはマクロファージも含 まれる。 ミコバクテリアを指して用いられる“細胞内”という用語は、真核細胞膜内ま たは細胞中の小胞内に包まれた細菌を指す。細胞内に存在しないミコバクテリア は“細胞外”に存在する。 “還元剤”という用語は、シスチン架橋(すなわち2つのシステインアミノ酸 または残基間のジスルフィド共有結合)を還元して、2つのシステインチオ側鎖 にすることができる化合物を指す。 “核酸”という用語は、一本鎖または二本鎖型のデオキシリボヌクレオチドま たはリボヌクレオチドを指し、特に限定されなければ、天然のヌクレオチドと同 様な態様で機能することができる天然のヌクレオチドの既知の類似体も包含する であろう。 “プローブ”または“核酸プローブ”という用語は、核酸の特定配列またはサ ブ配列に結合する分子を指す。プローブは好ましくは、標的核酸の完全な配列ま たはサブ配列と相補的な塩基対形成によって結合する核酸である。プローブはハ イブリダイゼーション条件の厳格度(stringency)に依存してプローブ配列に対 して完全な相補性を欠く標的配列とも結合することができることは当業者には理 解されよう。このプローブは好ましくは、同位元素、発色団、発光団、色素原で 直接的に、または例えばビオチン(それにストレプトアビジン複合体を後で結合 させることができる)で間接的に標識される。プローブの有無をアッセーするこ とによって、選択した配列またはサブ配列の有無を検出することができる。 “標識”とは、分光光度計的、光化学的、生化学的、免疫化学的、または化学 的手段によって検出できる組成物である。例えば、有用な標識には、32P、蛍光 染料、高電子密度試薬、酵素(ELISAで通常用いられる)、ビオチン、ジゴ キシゲニン、または抗血清もしくは単クローン性抗体が利用できるハプテンおよ び蛋白が含まれる。 “標識核酸プローブ”とは、共有結合によるか、リンカーを介するか、または イオン“結合”、ファンデルワールス“結合”もしくは水素“結合”の何れかに よって標識に結合させられる核酸プローブで、その結果、プローブに結合した標 識の存在を検出することによってプローブの存在が検出できる。 “単離(された)”または“生物学的に純性の”とは、天然の状態である物質 が通常伴う成分を実質的または本質的に含まない場合を指す。本発明の単離され た核酸プローブは、それが本来存在する場所(in situ)の環境では通常付随する 物質、特に核、細胞質もしくは膜結合蛋白、または核酸プローブ自体を包含する 核酸以外の核酸を含まない。 “SSC”という用語は、クエン酸塩−食塩水溶液(0.15M塩化ナトリウ ムおよび20mMクエン酸ナトリウム)を指す。溶液はこの濃度の倍数または分 数としてしばしば表現される。例えば、6×SSCは、この量の6倍の濃度の塩 化ナトリウムおよびクエン酸ナトリウムを含む溶液、または0.9Mの塩化ナト リウムおよび120mMのクエン酸ナトリウムを含む溶液を指す。同様に、0. 2×SSCは、0.2倍のSSC濃度の溶液、または0.03Mの塩化ナトリウ ムおよび4mMのクエン酸ナトリウムを指す。 “特異的にハイブリダイズする”という用語は、塩基対相補性を介してミコバ クテリアのヌクレオチド配列とプローブとのハイブリダイゼーションを示すため に用いられるが、厳しいハイブリダイゼーションおよび洗浄条件下で特定の与え られたサンプルに存在する他の生物(他の細菌、ウイルスおよび真核細胞を含む )のヌクレオチド配列(例えば哺乳類マクロファージヌクレオチド配列)とのハ イブリダイゼーションには用いられない。厳しい条件は、プローブの長さおよび 性状(すなわちRNA対DNA)、並びに該ハイブリダイゼーションがin situ ハイブリダイゼーションであるか、またはサザン(もしくは同様な)ハイブリダ イゼーションであるかによって異なるであろう。典型的には、生体外(ex vivo) ハイブリダイゼーション(例えばサザンハイブリダイゼーション)では、洗浄お よびハイブリダイゼーションの両工程が、特に強い厳格度の決定要素となる洗浄 工程とともに“厳格度”に影響を与える。対照的に、in situ ハイブリダイゼー ションでは、ハイブリダイゼーション条件自体が効果的な“厳格度”を決定し、 ハイブリダイゼーション後洗浄には、厳格度に影響を与えない広い許容範囲が存 在する(「核酸プローブとのハイブリダイゼーション」(Hybridization with Nu cleic Acid Probes)(Tijssen編、Elsevier,アムステルダム(1993))の第11章 を参照のこと)。以下の厳しいハイブリダイゼーション条件および洗浄条件は、 in situ ハイブリダイゼーションにおいて特異的なプローブを特異的でないプロ ーブから区別するために適切であろう:変性プローブ、50%ホルムアミド、2 ×SSCおよび10%(w/v)硫酸デキストラン硫酸を含む溶液中で37℃で 1 2時間プローブをサンプルとともにインキュベートし、続いて1×SSCで70 ℃5分、2×SSCで37℃5分、2×SSCで室温で5分、さらにH2Oで室 温で5分洗浄すること。以下の厳しいハイブリダイゼーション条件および洗浄条 件は、サザンハイブリダイゼーションにおいて特異的なプローブ(標識されてい る場合)を特異的でないプローブから区別するために適切であろう:変性プロー ブおよび5×SSCを含む溶液中で65℃で8−24時間ハイブリダイゼーショ ンして、続いて0.1×SSC、0.1%のSDS(ドデシル硫酸ナトリウム) 中で50−65℃でそれぞれ30分ずつ、3回洗浄する。 詳細な説明 本発明は生物学的サンプル中のミコバクテリアを検出する方法を提供する。上 記に記載したように、ミコバクテリアは、ヒト並びに動物の結核、らいおよびそ の他の疾患の原因体である。この新規な検出方法は、部分的には非包埋動物細胞 のin situ ハイブリダイゼーションのためのプロトコルによって、比較的低いバ ックグラウンドシグナルでミコバクテリアが高度に特異的に標識されるという発 見に基づく。このプロトコルは、ホルムアルデヒド処理、有機溶媒および蛋白分 解剤への曝露を用いる。本発明の方法が、高レベルのミコバクテリア特異的標識 を提供するという発見は予期されなかった。ミコバクテリアは、ミコール酸、複 合ワックスおよび固有の糖脂質を含む複雑な細胞壁によって特徴付けられる。こ の壁は、脱水作用、酸およびアルカリに対する強力な耐性をミコバクテリアに与 える。さらに、それは核酸プローブによる侵入を防止し、それによって、in sit u ハイブリダイゼーションを困難にさせるようである。一般に、長さが30塩基 対よりも大きいプローブによるハイブリダイゼーションは成功していない。より 短いプローブでさえ、特異的標識はしばしば低い(結果として、シグナル/ノイ ズ(バックグラウンド)比は低い)か、またはしばしば存在しない。 固定にホルムアルデヒドを含む試薬を用いたとき、極めて高いシグナル/ノイ ズ比が標識ミコバクテリアで得られたが、当技術分野で既知の固定方法を用いた ときはそうではないということは、特に驚くべき発見であった。ホルマリンに曝 すことによって誘発される蛋白架橋は、核酸プローブの侵入に対して細菌を一層 抵抗性にするであろうと以前は考えられた。例えば、「核酸プローブとのハイブ リダイゼーション」(Hybridization with Nucleic Acid Probes)(Tijssen編、El sevier,アムステルダム(1993))の507ページを参照されたい。ここでは、固 定沈殿物が一般に細胞性DNAの検出に用いられることが記載されており、ホル ムアルデヒドは“可能なかぎり避けるべき”であると示唆されている。 バックグラウンドに対するこの高いシグナル比は、ミコバクテリアが低頻度で 生じるサンプルでのミコバクテリアの検出を容易にし、したがって初期段階の感 染の検出または少数杆菌性疾患での感染の検出を促進する。同様に、高いシグナ ル強度はさらに低いエラー率に通じ、自動検出法になじみやすい。さらに、本発 明の方法は実施が簡単で、再現性が高く、臨床組織検査室で一般的に見出される 試薬を利用する。当該方法は、慣用的な方法よりもはるかに迅速なスクリーニン グをもたらし、さらに、例えばPCRよりも少ない装置および訓練を必要とし、 通常の自動組織処理装置の使用に容易に対応できる。 ミコバクテリアに特徴的な病状の診断として使用する他、本発明の方法は、ミ コバクテリアの抗生物質耐性スクリーニングにも用いることができ、したがって 適切な抗生物質処置スケジュールを特定することができることは理解されよう。 多数のミコバクテリアが様々な程度の抗生物質耐性を示すこと周知である。結果 として、ミコバクテリア感染の治療には、ミコバクテリアの特定の株が感受性を 有する抗生物質を特定することが必要である。これは、培養ミコバクテリア感染 細胞を種々の処理(例えば抗生物質)に曝し、続いて本発明の方法を用いてミコ バクテリアの存在の有無を検出することによって日常的に達成できる。これによ ってミコバクテリアの薬剤感受性が決定される。この決定は感受性スクリーニン グと呼ばれる。このサンプル(感受性検査で用いられるサンプルを含む)には、 ミコバクテリアを培養するために用いた細胞株の細胞を含むことができる。最も 典型的にはマクロファージまたはマクロファージ型細胞株が用いられる。 明確にするために、ミコバクテリアが存在するサンプルについて下記で本発明 の方法を詳述する。本方法は、ミコバクテリアがサンプル中に存在することを確 認するためにもまた用いられることは明白であろう。例えば、患者から得たサン プル中にミコバクテリアが存在しないということは、当該患者はミコバクテリア に感染していないか、または、例えば薬剤処置に反応して患者は感染を一掃した ことを示す。同様に、抗生物質または抗生物質と推定されるものにインビトロ培 養で曝された細胞にミコバクテリアが存在しないということは、検査されたミコ バクテリアは当該使用薬剤に感受性があるということを示唆する。サンプル組織および細胞 本発明の方法は臨床的設定で特に有用である。なぜならば、本方法は、ミコバ クテリアの存在について迅速で都合のよいサンプル、例えば患者から得られた標 本のスクリーニングを可能にするからである。用いられるサンプルは、その環境 および医師の判定に左右されるが、典型的には喀痰、血液、血液細胞(例えば白 血球)、組織もしくは極細注射針生検サンプル、尿、腹腔液、胸膜液またはその 細胞であろう。そのような材料は新鮮(すなわち新しく得られたもの)であるか 、または凍結もしくは他の方法で保存されていてもよい。動物細胞およびミコバ クテリア(存在するとして)の他に、当該サンプルは他の生物学的または非生物 学的成分(例えば粘液または細胞外物質)を含んでいることは明らかである。例 えば、喀痰はまた、他の微生物(特に細菌または真菌)、連鎖球菌(Streptococc us) 種(好気性および嫌気性)、ぶどう球菌(Staphyloccus)種、インフルエン ザ菌(Hemophilus inf.,)、シュードモナス(Pseudomonas)菌種、大腸菌、セラチ ア(Serratia)、プロテウス(Proteus)菌種、カンジダ(Candida)および他のもの を含む。 細胞培養もしくは組織培養中の真核動物細胞または培養中の細菌細胞は、ミコ バクテリアについてスクリーニングすることができるその他のサンプルの例であ る。細胞および組織“培養”とは、単離された真核細胞のインビトロ成長を指す 当技術分野の用語で、一方、細菌培養は、真核(例えばホスト)細胞の存在下ま たは非存在下での液体培地もしくは固形培地中におけるインビトロでの細菌成長 を指す。好ましい細胞にはミコバクテリア感染細胞、特に気管支肺胞洗浄で得ら れる肺胞マクロファージまたは末梢血マクロファージが含まれる。これらの細胞 は患者から直接採取し、さらに培養することができる。 本明細書で用いられるように、“ミコバクテリア感染可能細胞”という用語は ミコバクテリアが感染することができる細胞を指し、マクロファージおよびマク ロファージ型細胞が含まれる。ミコバクテリア感染可能細胞は、ミコバクテリア が感染できるであろうと推定される細胞をミコバクテリアに曝し、続いて本発明 の方法を利用して細胞内ミコバクテリアの存在を検出することによって容易に特 定できる。好ましいミコバクテリア感染可能細胞は“マクロファージ型”細胞株 で、これには、ヒトU937細胞およびネズミJ細胞が含まれる。ミコバクテリ アに感染させることができる他の細胞株は、私的および商業的に、例えばアメリ カン・タイプ・カルチャー・コレクション(“細胞株およびハイブリドーマカタ ログ(Catalogue of Cell Lines and Hybridomas)”、第6版(1988)、ロックビル 、メリーランド、アメリカ);国立医科学研究所(National Institute of Gene ral Medical Sciences,NIGMS)1990/1991 ヒト遺伝的変異細胞収集所カタログ( Catalog of Cell Lines Human Genetic Mutant Cell Repository)、カムデン、 ニュージャージー;ASHI収集所、Bingham and Women's Hospital,75 Franc is Street,ボストン、マサチューセッツ州、02115)から入手できる。 細菌および細胞の培養方法は当業者には周知である。例えば、マクロファージ は5%新生児ウシ血清を補充したDMEで日常的に培養できる。マクロファージ の培養方法はフレッシュニーにより詳述されている(Freshney“動物細胞培養: 基本的技術の手引(Culture of Animal Cells:A Mamual of Basic Techniques)” Alan R.Lis,ニューヨーク(1983))。同様に、ミコバクテリアの培養方法は当業 者に周知であり、例えば次の文献に記載されている(Goodら、Clin.Chest Med .10:315-322(1984)、Heifets Ann.Rev.Respir.Dis.,137:1217-1222(1988) およびSommersら、“診断のための微生物学テキストとカラー図版(Color Atlas and Textbook of Diagnostic Microbiology)”、第3版、J.B.Lippincott Co., フィラデルフィア、ペンシルバニア(1988)、これらの文献を援用して本明細書の 一部とする)。 ミコバクテリアは典型的には侵襲性、すなわちホストの真核細胞内部で生存し 増殖することが可能であるが、一方、それらはまた細胞外の環境、例えば喀痰で 生存することもできる。例えば上記(Medical Microbiology)の139-142ページ を参照のこと。したがって、本発明を実施するについて適切なまた別の例は、細 胞外ミコバクテリアを含むサンプル(例えば喀痰、血液、胸膜液、培養から単離 された細菌など)である。 好ましい具体例では本発明は非包埋サンプルを用いて実施されるが、本方法は 、また下記に詳細に記載するように本発明の実施に適した態様で固定され、さら に、蝋(例えばパラフィン)に、または該包埋物質をその後除去する場合には、 切片作製用組織を調製するために用いられるその他の物質中に包埋された生物学 的サンプルを用いて実施する場合にも適している。本発明の方法にしたがってこ れらのサンプルを使用することは、患者から得た古いサンプル(すなわち組織検 査のために採集し処理したサンプル)を後にスクリーニングする場合に有用であ ろう。組織化学的調製 本発明の方法は以下の工程を含む:a)ホルムアルデヒドを含む溶液にサンプ ルを接触させ、b)該サンプルを有機溶媒に接触させ、c)該サンプルを蛋白分 解剤に接触させ、d)該サンプルを、標識核酸プローブとハイブリダイズさせ、 ここでこのプローブはミコバクテリウム核酸と特異的にハイブリダイズするもの であり、さらにe)当該ハイブリダイズしたプローブを検出する。これらの工程 の各々はさらに詳細に下記で考察する。 A.ホルムアルデヒドを含む溶液にサンプルを接触させる 本方法を実施する際の一工程は、ホルムアルデヒドを含む溶液にサンプルを曝 すことである。このように曝すことによって、サンプル中の生物学的物質は固定 される。下記実施例で述べるように、本発明の一構成要素は、ホルムアルデヒド を固定に用いたとき、ミコバクテリアはin situハイブリダイゼーションを用い て容易に検出できるが、当該技術分野で既知の他の固定方法を用いたときは検出 できないという驚くべき発見である。 本明細書で用いられるように、“ホルムアルデヒド溶液”という用語はホルム アルデヒドを含む水溶液を指す。ホルムアルデヒド(HCHO)は、通常37% w/w(40%w/vに匹敵する)の水溶液(通常ホルマリンと呼ばれる)とし て市販されている無色の気体である。本明細書で用いられるように、ホルムアル デヒドの希釈物は市販品の関係で示される。したがって、例えば10%溶液は、 90容の水に対して濃縮ホルマリン(37%ホルムアルデヒド飽和水)10容で ある。ホルムアルデヒド溶液はまた、パラホルムアルデヒド(固体のホルムアル デヒドポリマー)を、例えば4g/100mlで蒸留水に溶かし、さらに80℃ から90℃で約24時間加熱して解重合させても調製できる。ホルムアルデヒド の1M溶液は、ホルマリンであれパラホルムアルデヒドであれ、100mlにつ き3gのホルムアルデヒド(HCHO)を必要とする。 組織学および病理学検査室で最も普通に見出されるホルムアルデヒド含有溶液 は、ホルムアルデヒドの重合化を減少させるためにさらにメタノール(典型的に は8%から15%)を含有する。ホルマリンは、蛋白と反応する際には隣接する 蛋白鎖間に連結を形成するようである。不可逆的に結合させられる蛋白量は、溶 液のpHが10より上昇するとき急に低下する。このために、ホルマリンは、p H7.5−8.0の中性点周辺で緩衝液として極めて効果的に作用する。1リッ トルにつき、酸性リン酸ナトリウム一水化物(または無水酸性リン酸カリウム) 4gおよび無水リン酸二ナトリウム6.5gを添加することによっておよそpH 7となり、この2つのナトリウム塩の合計塩濃度は乾燥重量で1%となる。好ま しい具体例では、該ホルムアルデヒド溶液は、約15%から47%ホルマリン( 6%から20%のホルムアルデヒド)、より好ましくは約18%から28%ホル マリン(8%から12%のホルムアルデヒド)を含む、pH約6.0からpH9 .0、より好ましくはpH6.8からpH7.2で緩衝された溶液を含む。 ある具体例では、該ホルムアルデヒド溶液は、中性pHに緩衝(すなわち中性 緩衝)される。本発明の好ましい具体例は中性緩衝ホルマリン(すなわち約中性 のpHで緩衝されたホルマリン)を使用するが、最も好ましい具体例では、10 %の中性緩衝ホルマリン(約3.7%ホルムアルデヒド)を含む。 サンプルは、他の溶液(例えば洗浄液、溶媒など)と同様に多くの方法を用い てホルムアルデヒド溶液に曝すことができる。該サンプルは、支持材(例えばス ライド)に付着させる前または後にホルムアルデヒド溶液に浸すことができる。 もっとも頻繁には、ホルムアルデヒド溶液にサンプルを曝した後でガラスまたは プラスチックスライドに付着させ次の溶液に浸す。あるいは、この溶液はサンプ ルの上から注ぐか、またはピペットで注ぐことができる。細胞が溶液と接触でき るかぎり、いずれの簡便な方法も許容される。さらにまた、ガラススライドは必 須ではない。サンプルを溶液に曝すために他の様々な方法も適切である。例えば 、 処理工程の全ては非付着細胞を用いて実施してもよく、また別には、細胞をペト リ皿または培養プレートなどのウェルに付着させてもよい。 サンプルは、当業者に周知の多くの方法を用いてガラススライドまたは他の支 持体に付着させることができる。例えば、好ましい具体例では、ゼラチン付加ス ライド上で細胞を単純に乾燥させることによって細胞をスライドに粘着させる。 典型的には、ガラススライドは、酸洗浄により、またはKOHエタノール(10 %水酸化カリウム)に浸し二回蒸留水で洗い流すことによって清浄にする。乾燥 後(例えば風乾)、清浄スライドをゼラチン溶液(70℃で0.1%ゼラチン、 0.01%硫酸カリウムクロム)に浸し、さらに垂直にして乾燥させることがで きる。付着させる細胞を続いて適切な濃度に希釈し、スライド上に広げ乾燥(例 えば風乾)させる。細胞および細菌は剥き出しのガラススライドに直接付着させ てもよい。これは、迅速に蒸発する溶媒にサンプルをスライド上で懸濁させ、さ らに溶液を迅速に蒸発させ、それによってガラス上にサンプルを静置させること によって達成できる。また別に、サンプルは加熱固定によって付着させてもよい 。この場合サンプルを含むスライドをヒーターまたは炎の上に短時間かざす。サ ンプルをスライド上に付着させる他の方法は当業者に周知で、いずれの組織化学 の書物でも見出すことができる。 ホルマリン固定工程は、約4℃から約70℃の範囲の種々の温度で実施するこ とができる。例えば、固定は約55℃で実施できるが、好ましくは約37℃で、 最も好ましくは約24℃(室温)である。生物学的サンプル(例えば細胞)を固 形支持体に付着させる場合は、該固定工程は細胞を付着させる前または後で実施 できるということは理解されよう。 固定工程の時間はまた様々である。10%中性緩衝ホルマリンを室温で用いる 場合は、固定工程は少なくとも15分より長くするべきである。いったんサンプ ルをホルムアルデヒド溶液に曝したら、他の工程で処理することができるまでサ ンプルを当該溶液または他の溶液に一定の時間保存することができる。 好ましい具体例では本発明は非包埋サンプルで実施されるが、一方、本発明の 方法はまた、ホルムアルデヒド溶液を用いて固定され包埋されたサンプルでミコ バクテリアを検出するためにも有用である。本明細書で用いられるように、“包 埋”という用語は、サンプル(例えば組織サンプル)を蝋(例えばパラフィン) のような物質で浸潤させることを指す。包埋は、典型的には組織学的切片作製用 サンプルを調製するために実施される。除去することができる物質で包埋された サンプルは本方法のために用いることができる。パラフィンは、サンプルを有機 溶媒(例えばキシレン)に曝す過程で容易に除去される。異なる化合物を用いて 包埋されたサンプルは、この物質を除去するために異なる処理を必要とするかも しれない。 B.サンプルを有機溶媒に接触させる サンプルをホルムアルデヒドに曝した後、続いて該サンプルを有機溶媒に接触 させる。特定機構に限定されないが、有機溶媒はミコバクテリアの細胞壁の疎水 性構成物を除去し、それによりハイブリダイゼーションプローブによる浸入能力 を高めると一般に考えられる。本発明の有機溶媒には、脂肪族または芳香族炭化 水素溶液(キシレン、トルエン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、アセトン、ア セトニトリルおよびそれらの全ての異性体(例えばオルト、メタ、パラ)を含む )が含まれる。キシレン、ヘキサンおよびベンゼンが好ましい溶媒で、ヘキサン およびキシレンが最も好ましい。サンプルは溶媒に24℃で少なくとも40分( 好ましくは10分の洗浄および30分の洗浄)接触させるのが好ましいが、延長 処理(例えば>12時間)も可能である。好ましさは低下するが、サンプルは高 い温度(例えば55℃)で溶媒と接触させ、接触時間を少なくすることができる 。 典型的には、工程の間でサンプルは“洗浄”される。“洗浄”は、前の工程で 導入された化合物を除去または希釈するためにサンプルを溶液と接触させること を指す。洗浄溶液は、典型的には、前の工程で導入された化合物の幾らかまたは 全てを可溶化しおよび/または洗い流す化合物である。当業者には種々の洗浄溶 液が知られており、水、アルコール、種々の緩衝液および有機溶媒が含まれるが 、これらに限定されない。好ましい具体例では、洗浄溶液は、ホルムアミド含む かもしくは含まないSSC、水またはアルコールである。 サンプルはまた工程の間で脱水することができる。“脱水”とは、サンプルか ら水を除去することを指す。典型的には、脱水は、サンプル中の水と置換される 化合物(例えばエタノール)の濃度が高くなっていく一連の溶液にサンプルを接 触させることによって達成される。好ましい具体例では、濃度が高くなっていく (例えば70、80、95および100%エタノール)溶液がサンプルから水を 除去するために用いられる。洗浄および脱水工程には多数の変形例が可能である ことは当業者には理解されよう。ある具体例では、固定工程と有機溶媒の添加と の間で、70%、80%、95%および100%エタノール(水溶液)中に連続 的にそれぞれ約2分間浸すことによってサンプルは脱水および洗浄される。 C.サンプルを蛋白分解剤に接触させる ホルムアルデヒド溶液に曝した後、本方法ではサンプルはまた蛋白分解剤に曝 される。好ましい蛋白分解剤はプロテアーゼである。非特異的プロテアーゼが最 も好ましい。有用なプロテアーゼには、トリプシン、キモトリプシン、ペプシン 、プロナーゼ、リゾチームおよびプロテイナーゼKが含まれるが、これらに限定 されない。 ある具体例では、サンプルを先ず低温(その温度ではプロテアーゼの活性は低 い)でプロテアーゼに接触させ、続いてプロテアーゼの活性がより高くなるよう に温める。特定機構に限定されないが、この過程は、より効果的な蛋白分解を可 能にすると考えられる。低温でのプロテアーゼの添加は、比較的不活性形のプロ テアーゼがサンプルの構成物質を突き抜けることを可能にし、その結果、加温に 際して蛋白分解がより均一にサンプル全体に生じると一般に考えられる。したが って、好ましい具体例では、サンプルは先ず約0℃から10℃の間でプロテアー ゼで処理され、続いて約15℃から60℃の間でプロテアーゼで処理される。最 も好ましい具体例では、ペプシンをサンプルに4℃で添加し、5分間インキュベ ート、続いてサンプルとプロテアーゼを一緒に37℃で約5分間インキュベート する。 還元剤とともに処理することによって、蛋白分解工程の時間を短くし、消化効 率を高めることができる。特定理論に限定されないが、還元剤の機能はサンプル の蛋白中のシステイン結合を還元することであると考えられている。蛋白中で活 性な還元剤は当業者に周知で、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸グアニジ ンおよびβ−メルカプトエタノールが含まれるがこれらに限定されない。 プロテアーゼの使用に代えて、当業者に周知の他の蛋白分解剤を用いてもよい 。 例えば、酸(例えば0.2MのHCl)、臭化シアン、ヒドロキシルアミンまた はN−ブロモスクシンイミド(NBS)を蛋白分解剤として用いてもよい。効果 的な蛋白分解の手段は当業者には周知で、クロフトによって詳述されている(Cr oft,“蛋白配列分析の紹介(Introduction to Protein Sequence Analysis)”( 第2章)、John Wiley & Sons,ニューヨーク(1980)(この文献を援用して本明細 書の一部とする))。 D.標識核酸プローブを用いたハイブリダイゼーション 上記に述べた工程にしたがってサンプルを調製した後、サンプル中に存在する ミコバクテリアは、核酸プローブが当該細菌の核酸に特異的にハイブリダイズす る条件下でサンプルを該プローブに曝すことによって検出される。 該核酸プローブは、RNAもしくはDNAポリヌクレオチドもしくはオリゴヌ クレオチドまたはその類似体である。プローブは一本鎖ヌクレオチド配列でもま たは二本鎖ヌクレオチド配列でもよい。本発明のプローブは、当業者に周知の方 法を用いて酵素的に(例えば、ニックトランスレーション反応、プライマー伸長 反応、逆転写反応、ポリメラーゼ連鎖反応およびその他(Celedaら、Bio/Techni ques,12:98-102(1992);Feinbergら、Analyt.Biochem.,132:6-13(1983); およ びWachterら、Exp.Cell.Res.,184:61-71(1983)、これらの文献は参照によっ て本明細書に含まれる)、または化学的に(例えば、ビューケージとカルーサが 記載したホスホルアミダイト法(Beaucage & Carruthers,Tetrahedron Lett.2 2:1859-1862(1981)またはトリエステル法(Matteucciら、J.Am.Chem.Soc.,10 3:3185(1981)、両文献は参照によって本明細書に含まれる)合成できる。 プローブは、サンプル中のミコバクテリア核酸と安定した二重体を形成するこ とができるように十分な長さ、すなわち少なくとも約15ヌクレオチドでなけれ ばならないが、もっと長くてもよい(例えば、長さが少なくとも約50または1 00塩基)。しばしばプローブは約100塩基よりも長い。例えば、プローブを 標識ヌクレオチドの存在下でミコバクテリアDNAのニックトランスレーション によって調製する場合、プローブの平均の長さは約100−600塩基であるが 、さらに約2000塩基の長さまで可能で、なお良好に機能する。 上記で述べたように、このプローブはミコバクテリア核酸と特異的にハイブリ ダイズすることができる。そのような“特異的ハイブリダイゼーション”は、サ ンプル中に存在する他の核酸(例えば動物細胞または他の細菌核酸)と該プロー ブがハイブリダイズしない条件下で検出可能なシグナルによって証明されるよう に、該プローブがミコバクテリアの核酸とハイブリダイズしたときに生じる。プ ローブの長さおよび塩基組成、プローブ及び標的核酸間の塩基のミスマッチの程 度、塩および有機溶媒の存在、プローブ濃度並びに温度を含む種々の因子が、ハ イブリダイゼーションに影響を与え、最適なハイブリダイゼーションの条件はし ばしば経験的に決定しなければならない。核酸プローブのデザインおよびアニー リングの条件の考察のためには、例えば上記のサンブルックの文献などを参照さ れたい(Sambrook,分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecul ar Biology),F.Ausubelら編、Greene Publishing & Wiley-Interscience,ニ ューヨーク(1987)〔以下ではサンブルックと呼ぶ〕、Methods in Enzymology 15 2巻、S.Berger & A.Kimmel編、Academic Press,ニューヨーク(1987)またはTi jssen,核酸プローブとのハイブリダイゼーション(J.Hybridization with Nucle ic Acid Probs),495-524ページ、Elsevier,アムステルダム(1993)、これらの 文献を全て援用して本明細書の一部とする)。 通常は、プローブの少なくとも一部は標的(すなわちミコバクテリア)核酸と 顕著な配列同一性を有するであろう。特異的なハイブリダイゼーションに必要な 配列同一性の程度はプローブの長さとハイブリダイゼーション条件に依存するが 、通常ではプローブはミコバクテリア核酸に対して少なくとも70%同一性、よ り普通は少なくとも80%同一性、さらにより普通には少なくとも90%同一性 、そして最も普通には少なくとも95%同一性を有する。 プローブがハイブリダイズするミコバクテリア核酸は典型的にはDNAである が、またRNA(例えばリボゾームRNAまたはメッセンジャーRNA)でもよ い。 プローブは、本発明のプロトコルにしたがって処理したサンプル(ミコバクテ リアおよび動物細胞(例えばマクロファージ)および/または他の細菌を含む) にプローブをハイブリダイズさせることによって、ミコバクテリア核酸と特異的 にハイブリダイズする能力を確認することができる。プローブの特徴的なシグナ ルがサンプル中のミコバクテリアに付随し、さらに概ねサンプル中の動物細胞や ミコバクテリア以外の細菌や非生物学的物質(例えば基質)には付随していない 場合にはプローブは特異的である。 以下の厳しいin situ ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は、特異的なプ ローブ(例えば蛍光標識DNAプローブ)を特異的でないプローブと区別するた めに適切である:変性プローブ、50%ホルムアミド、2×SSCおよび10% (w/v)硫酸デキストランを含む溶液中で37℃12時間、サンプルとプロー ブをインキュベートし、続いて1×SSCで70℃5分、2×SSCで37℃5 分、2×SSCで室温で5分、H2Oで室温で5分洗浄する。核酸のハイブリダ イゼーション(すなわち in situ、サザンまたはその他)では、洗剤(デタージ ェント)(例えばドデシル硫酸ナトリウム)、キレート剤(例えばEDTA)ま たは他の試薬(例えば緩衝液、デンハルト溶液、硫酸デキストラン)をハイブリ ダイゼーション溶液または洗浄溶液に添加することはしばしば有益であることに 当業者は気付いているであろう。 ミコバクテリアの種特異的プローブの特異性を検査するために、1つの細菌種 (例えばMAC)を含む細胞(例えばマクロファージまたはJ細胞)においてプ ローブを調べ、別の種の細菌(例えばMTb)を含む細胞から得た結果と比較す ることができる。同様に、細胞外ミコバクテリアの1つの種とのハイブリダイゼ ーションを細胞外ミコバクテリアの別の種とのハイブリダイゼーションと比較し てもよい。いずれの場合でも、もしハイブリダイゼーションがミコバクテリアの 1つの種でのみ観察されたならば、該プローブはこの2つの種間を特異的に識別 することが確認されるであろう。 プローブがミコバクテリア核酸に対して特異的であるか否かを決定する第二の 便利な方法は、1つ以上の種のミコバクテリアから調製したDNAを用いるサザ ンブロット(またはドットブロット)の利用であることは当業者には明白であろ う。簡単に言えば、ミコバクテリアに特異的なプローブを特定するために、ミコ バクテリア(例えば下記実施例1で述べるように)および第二の供給源(例えば ヒト細胞および/または他の細菌、上記のサンブルック参照のこと)からDNA を単離する。DNAを制限酵素(例えばEcoRI)で消化し、アガロースゲル で電気泳動することによってサイズ分画し、固形マトリックス(例えば帯電ナイ ロン)に移す。変性および/または当技術分野で既知のプレハイブリダイゼーシ ョン工程に続いて、プローブを固定DNAと厳しい条件下でハイブリダイズさせ る。厳しいハイブリダイゼーション条件は用いられたプローブに依存し、ハイブ リダイズされるプローブの算定Tm(溶融温度)から概算できる(Tmの算定につ いては例えばサンブルック参照)。放射能標識DNAまたはRNAプローブに対 して、厳しいハイブリダイゼーション条件は、変性プローブおよび5×SSCを 含む溶液中での65℃で8−24時間のハイブリダイゼーションとそれに続く5 0−65℃での0.1×SSC、0.1×SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)中 での洗浄である。一般に、温度および塩濃度は、ハイブリダイゼーション後洗浄 が、ハイブリッドのTmより約5℃低い温度で行われるように選択される。した がって、特定の塩濃度に対して、TMより約5℃低い温度を選択するか、または 逆に特定の温度に対して塩濃度は、ハイブリッドに対して洗浄温度より5℃高い TMを提供するように選択される。厳しいハイブリダイゼーションおよび洗浄の 後で、ミコバクテリアDNAとハイブリダイズするが、ミコバクテリア以外のD NAとはハイブリダイズしない(ミコバクテリアに付随するシグナルの存在およ びミコバクテリア以外の核酸からシグナルは得られないことによって証明される )プローブは、ミコバクテリアに特異的であると確認される。 同様に、2つの種のミコバクテリア(例えばヒト型結核菌およびらい菌)から 単離されたDNAを用いて上記に述べたサザンブロットを実施し、プローブとハ イブリダイズさせることによって、プローブがミコバクテリアの1つの種に特異 的であると確認できる。ヒト型結核菌のDNAにハイブリダイズするが、らい菌 のDNAにはハイブリダイズしないプローブは、したがってヒト型結核菌に特異 的である。 プローブ特異性を決定し、ミコバクテリアを検出する本発明の方法を利用する に際して、一定量のバックグラウンドシグナルは当然であり、当業者は特異的シ グナル(下記のプローブの“検出”の考察を参照のこと)と容易に区別できるこ とは理解されよう。 特異性を決定する他の方法は当業者には明白であろう。例えば、核酸配列情報 (例えばGenBankのようなコンピューターデータベースで入手可能または別の方 法で決定される)は、ミコバクテリア特異的配列を確認するために役立つであろ う。さらに、ミコバクテリア特異的プローブは他の研究者によって記載された( 例えばWO88/03957号、およびEdwardsら、Nucleic Acid.Res.,17:7843-7853(19 89))。 ある具体例では、プローブはミコバクテリアの全ゲノムDNAまたはそのサブ 配列とハイブリダイズすることができる。第二の具体例では、プローブはミコバ クテリアrRNA(またはrDNA)配列とハイブリダイズする。特に好ましい プローブは、ミコバクテリアの全ゲノムDNAを含む。ミコバクテリウムの全ゲ ノムDNAが、他の原核細胞または真核細胞からのヌクレオチド配列との交差反 応性を殆どまたは全く示さずにミコバクテリアと特異的にハイブリダイズすると いうことは驚くべき発見であった(実施例6参照)。全てのミコバクテリア種か らのゲノムDNAも適切であるが、一方、検出したいミコバクテリアの種から単 離されたDNAをプローブとして用いることが特に好ましい。したがって、MA Cを検出したい場合は、鳥型結核菌からのDNAが好ましい。同様に、ヒト型結 核菌を検出したい場合には、ヒト型結核菌由来のプローブが好ましい。ミコバク テリア培養物は、当業者に周知の機関(例えばアメリカン・タイプ・カルチャー 、12301 Parklawn Drive,Rockville,Maryland,20852 USA)から入手できる。 全ゲノムDNAの単離は、当業者に既知の日常的な方法を用いて達成できる(例 えば上記サンブルックおよび実施例1で述べるヴァン・スーリンガーらの方法(v an Soolingerら、J.Clin.Microbiol.29:2578-2586(1991)を参照のこと)。 細胞を含むサンプルとのハイブリダイゼーション(すなわちin situハイブリ ダイゼーション)のために用いられる工程の種々の変形例は当技術分野で既知で あり(Albertson,Genetics 1:211-219(1993)およびTijssen,J.Hybridization with Nucleic Acid Probes,495-524ページ、Elsevier,アムステルダム(1993) を例えば参照のこと、これら文献を援用して本明細書の一部とする)、本方法に 用いることができる。典型的には、本発明のハイブリダイゼーションは3つの工 程を含む:サンプル中のミコバクテリア核酸の変性、サンプルに対するプローブ のハイブリダイゼーションおよびハイブリダイズしなかったプローブの洗い流し ( すなわち洗浄)。 変性:プローブハイブリダイゼーションの標的がミコバクテリアのDNAであ る場合、ハイブリダイゼーション前にDNAを変性させるのが普通である(標的 がミコバクテリアのRNAである場合は、この工程はしばしば省略できる)。典 型的には、変性は、二本鎖DNAを変性させるに足る熱に曝すことによって達成 される(例えば100℃で5分)。変性はまた、ある種の有機化合物によっても 達成できる(例えばホルムアミド、塩化テトラメチルアンモニウム)。したがっ て、70%ホルムアミドおよび2×SSCの存在下では、72℃5分が十分であ る。サンプル中の核酸の変性に加えて、プローブが二本鎖DNAの場合はそれも また変性させなければならない。 ハイブリダイゼーション:ハイブリダイゼーション温度は、典型的には37℃ から42℃であるが、約30℃から50℃の間で変えることができる。ある具体 例では、ハイブリダイゼーションは、変性プローブ、50%ホルムアミドおよび 2×SSCを含む溶液中で37℃で実施される。第二の具体例では、10%(w /v)の硫酸デキストランがハイブリダイゼーションの速度を高めるために添加 される。特定理論に限定されないが、デキストランは、プローブの有効濃度が高 められるように、すなわちハイブリダイゼーションの速度(キネティクス)が高 められるように容積を占領すると一般に考えられている。 過剰未結合物質の洗い流し:ハイブリダイゼーションに続いて、アニールしな かったプローブを洗い流す。この洗浄工程は、5分から1時間またはそれ以上変 え得る。生体外(ex vivo)ハイブリダイゼーション、例えばサザンまたはドット ブロットでは、厳格度を決定し、ミスマッチした二重体の解離を促進するのは典 型的には洗浄工程であることは、当業者には理解されよう。ある具体例では、ア ニールしなかったプローブは、1×SSCで70℃5分、2×SSCで37℃5 分、2×SSCで室温5分、さらにH2Oで室温5分の洗浄によって除去される 。他の具体例では、この洗浄溶液は、例えばホルムアミド、緩衝液または洗剤の ような他の成分を含むであろう。 E.ハイブリダイズしたプローブの検出 ハイブリダイズしたプローブの検出方法は、用いられる標識に依存するという ことは理解されよう。本発明にしたがえば、プローブは、サンプルをハイブリダ イズさせたとき検出できるように標識されなければならない。核酸を標識する方 法は当技術分野で周知であるが、直接検出方法(例えば検出することができる部 分を核酸が含んでいるか、または当該部分に該核酸が共有結合されている)およ び間接(すなわち二次的)検出方法(例えば核酸が、検出可能な成分と順次特異 的に結合できる部分と共有結合されている)が含まれる。検出方法は、放射能同 位元素、直接共役発蛍光団、化学発光剤(例えばルシフェリン、2,3−ジヒド ロフタラジンジオン(例えばルミノール)、酵素(例えばアルカリフォスファタ ーゼまたはセイヨウワサビペルオキシダーゼ)、酵素基質および発色団を含む。 上記に記載したように、検出方法にはまた、リガンド−アンチリガンド複合体( 例えば、核酸プローブがビオチンに共役されているとき、それが順次標識アビジ ンもしくはストレプトアビジンと結合していくように、またはプローブがジゴキ シゲニンと共役されているとき標識抗ジゴキシゲニン抗体と結合するように)を 介する検出も含まれる。標識実施に用いられる方法は当技術分野で周知であり、 上記のサンブルックおよびケスラーの文献(C.Kessler,“非アイソトープ性D NAプローブ技術(Nonisotopic DNA Probe Techniques)”(L.Kricka編)の“核 酸の非放射性標識方法(Nonradioactive labeling Methods for Nucleic Acids) 、29-92ページ、Academic Press,サンディエゴ(1992)、これら文献を援用して 本明細書の一部とする)に記載された方法が含まれる。 本発明の好ましい具体例は蛍光標識核酸プローブの使用である。サンプルに対 する蛍光標識核酸プローブのハイブリダイゼーション(すなわちin situハイブ リダイゼーションでの蛍光(FISH))はいくつかの利点を有する。例えば、 蛍光によるハイブリダイゼーションの検出は、観察者が細胞学的または組織学的 な観点からハイブリダイゼーションシグナルを見ることを可能にする。核を対比 染色することが可能で、細胞学的および/または組織学的特徴を理解することが できる。さらに、蛍光標識核酸プローブは安定で比較的毒性がなく、さらに臨床 検査室で一般的である蛍光顕微鏡を用いてミコバクテリアを検出できる。 蛍光化合物には、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘 導体、ダンシル、ウムベリフェロン、テキサスレッド、テトラメチルローダミン 、 Cy3、Cy5およびその他が含まれる。核酸は、上記に記載したように種々の 方法によって蛍光化合物で酵素的に、または化学的に標識できる。ある具体例で は、MTbゲノムDNAは例えばフルオレセイン−12−dUTPの存在下てニ ックトランスレートされる。第二の具体例では、ビオチン付加核酸プローブを用 い、ハイブリッドはフルオレセイン−アビジン結合によって検出される。第三の 好ましい具体例では、DNAプローブは発蛍光団で直接標識される。例えば、赤 色/橙色放出スペクトル“スペクトラムオレンジ(Spectrum Orange)TM”を用い て、イマジネティクス(Imagenetics,ナパビル、イリノイ)の方法にしたがっ て精製全MTbゲノムDNAを直接標識した。本発明の予期せぬ発見は、フルオ レセイン標識二次検出系を用いた場合、通常遭遇するバックグラウンドシグナル の減少をもたらすということである。したがって、本発明の実施について直接標 識は必須ではないが、直接標識が好ましい。しかしながら、間接標識は光量の少 ない環境下でより短時間の調製時間を必要とするだけで、したがって一層便利で ある。 好ましい具体例では、蛍光標識プローブが用いられ蛍光顕微鏡がサンプルを調 べるために用いられる。当技術分野では蛍光顕微鏡の使用は周知である。適切な 場合には、顕微鏡には蛍光(励起)光源および適切なフィルター(例えば対比染 色を強化するため、またはバックグラウンドもしくは自家蛍光を減少させるため )が備え付けられる。 プローブ特異性を決定する際、および本発明のミコバクテリア検出方法を利用 する際、一定量のバックグラウンドシグナルは普通であり、当業者には特異的シ グナルと容易に区別することができる(下記“検出”の中の考察を参照のこと) 。例えば、蛍光標識プローブが用いられる場合、一般のバックグラウンドよりも 実質的に明るく(2倍明るいかまたは強い)、さらに下記に述べるように典型的 な形態で生じる限界の明瞭な光源として、このシグナルは(蛍光顕微鏡を用いて )容易に目で見ることができる。シグナルの詳細な評価は、サンプルの細胞学的 な評価と比較して実施することができる。 DNA対比染色(例えばヨウ化プロピジウム)は標本の細胞学的評価を可能に する。これによって、宿主からの真核細胞核および微生物は、その出現頻度およ び形態について評価することができる。細菌は球菌または杆状体のいずれかとし て識別でき、さらにこれらは、より大型で異なる形態をもつ真菌とは区別できる 。同様に、真菌は真核細胞核とは区別できる。 標本の細胞学的外観はDNA対比染色によって評価されるが、一方、陽性ハイ ブリダイゼーションは二重パスフィルターを用いて第二の色で検出できる。した がって、ハイブリダイゼーションシグナルは、DNA対比染色で区別された形態 的に適正な(ミコバクテリアについてはこん棒形)杆状体と同じ位置に存在する ので、ハイブリダイゼーション陽性杆状体はバックグラウンドシグナルとは区別 できる。例えば、フルオレセイン標識DNAプローブ(緑色)およびヨウ化プロ ピジウム対比染色が用いられる場合、赤色の対比染色と一致しない緑色シグナル はバックグラウンドシグナルとして差し引くことができる。さらに、ハイブリダ イゼーションシグナルはまた、実際の有機体と同じ大きさおよび形態を有する。 したがって、ミコバクテリアについては、このシグナルはまた長さが約0.2か ら0.5μmのこん棒形を有する。最後に、殆どのヒト型結核菌はマクロファー ジの細胞質内に存在するので、陽性シグナルは真核細胞の核と密接に付随する凝 集塊として見出される。これらの凝集塊を取り巻く残りの細胞質の縁もまたしば しば存在する。バックグラウンドシグナルはこのパターンでは認められない。 組織学的評価を実施する場合は、ある種の人工産物(アーティファクト)は日 常的に無視できることは当業者には理解されよう。例えば、自家蛍光、サンプル のひずみおよび明るい人工産物は組織切片の周縁で生じる傾向がある。したがっ て、この領域のシグナルと推定されるものは典型的にはノイズとして無視される 。同様に、顕微鏡の焦点視野の外側のシグナルもまた無視される。さらに、ハイ ブリダイゼーションがDNAに対して実施される場合は、核/DNA面から外れ たバックグラウンドシグナルもまた無視される。 本方法の工程は典型的には手動で実施されるが、本発明はまた1つまたは2つ 以上の工程が自動化された方法を使用するためにも提供される。特に、装置は、 サンプルの固定、洗浄、脱水およびその他の処理のために臨床組織学検査室で広 く用いられている。本発明の方法は高いシグナル対ノイズ比を提供するので、検 出方法はまた容易に自動化できる。例えば、蛍光標識プローブが用いられる場合 には、コンピュータ制御データ入力系に連結したビデオカメラを蛍光顕微鏡に搭 載できる。画像強化および特徴検出を提供する多数のプログラムが入手可能であ る(例えばシグマスキャン(SigmaScanTM,Jandel Scientific,サウサリートー 、カリフォルニア)。そのような系は、本発明の方法にしたがって処理されたサ ンプルの迅速なスクリーニングと分析を提供するであろう。ミコバクテリアの検出用キット 本発明はまた、ミコバクテリアを検出する方法を実施するために使用されるキ ットを提供する。このキットは、本方法を説明しキットの他の成分の使用を指示 する説明書を含む。このキットはまた以下の成分の少なくとも1つを含む:ミコ バクテリア核酸と特異的にハイブリダイズすることができる標識核酸プローブ、 ホルムアルデヒドを含む溶液、有機溶媒、還元剤およびプロテアーゼ。さらにま たこのキットは、ホルムアルデヒドを含む溶液で固定された細胞内ミコバクテリ アを有する非包埋動物細胞を含む“テストサンプル”を包含することができる。 このテストサンプルはこの方法の陽性コントロールとして有用であろう。該キッ トはまた、本発明の方法にしたがって処理された細胞内ミコバクテリアを有する 非包埋動物細胞を含む“第二のテストサンプル”を包含することができるが、こ の場合ミコバクテリアの核酸は標識核酸プローブとハイブリダイズされる。第二 のテストサンプルはまたミコバクテリアの検出のための陽性コントロールとして 用いることができる。したがって、本発明はまた細胞内ミコバクテリアを有する 非包埋動物細胞を含む組成物を提供するが、この場合、細胞はホルムアルデヒド を含む溶液で固定され、さらに該ミコバクテリウムの核酸は標識核酸プローブと ハイブリダイズされているか、またはハイブリダイズされていない。 実施例 本発明は以下の実施例によって詳述される。これらの実施例は、限定としてで はなく説明として提供される。 実施例1 ヒト喀痰中のミコバクテリウムの検出 A.標識核酸プローブの調製 ミコバクテリアの全ゲノムDNAを、発表された方法(van Soolingenら、J.C lin.Microbiol.29:2578-2586(1991))にしたがってMTb(H37Rv株、A TCC27294)から単離した。簡単に記せば、100mlの定常培養を10 %OAD(0.06%の鹸化オレイン酸、5%ウシアルブミン分画V、2%デキ ストロース)および0.1%トゥイーン80を補充したミドルブルック(Middle brook)7H9中で3週間成育させた。採集24時間前に、培養物を1mg/m lのd−シクロセリンおよび0.1mg/mlのアンピシリンとなるよう調整し た。75℃で20分のインキュベーションにより培養物を熱不活化させ、細胞を 沈澱させ、さらにこの細胞沈殿塊を500μlのTE(10mMトリス、1mM EDTA、pH8.0)に再懸濁した。リゾチームを最終濃度1mg/mlとな るよう添加した。標本を37℃で1時間インキュベートし、10%SDSを70 μlおよび10mg/mlのプロテアーゼKを6μl添加し、続いてさらに10 分65℃でインキュベートして、10%臭化N−セチル−N,N,N,−トリメ チルアンモニウムを80μl添加した。この溶液をボルテックスミキサーで簡単 に撹拌し、続いて65℃10分インキュベートした。等容量のクロロホルム−イ ソアミルアルコール(24:1v/v)を加え、溶液をボルテックスミキサーで 10秒攪拌し、続いて室温で遠心沈殿(10000×g)させた。上部水層を取 り出し、0.6容のイソプロパノールを加え、さらにサンプルを−20℃で30 分インキュベートした。続いてDNAを遠心沈殿(10000×g、15分、4 ℃)によってペレットとした。このDNAペレットを70%エタノールで1度洗 浄し、風乾してTEに再溶解させた。標準的0.8%アガロースゲル電気泳動に よる精製DNAの分析によって、このDNAはサイズが23kbより大きいこと が示された。 DNAは標準化蛍光測定器を用いて決定し、プローブは、フルオレセイン−1 2−dUTPで(Boehringer annheim orp.,インディアナポリス、インディアナ )ビオニック標識系(Bionick Labeling System(Gibco BRL,ゲイザースバーグ、 メリーランド))を用いてニックトランスレーションによって標識した。dNT P混合物は、ビオチン標識ヌクレオチドを含まないビオニックキット中のものま たは未標識dTTPと置き換えるために作製した。精製した完全なMTbゲ ノムDNA1μgを15℃で90分インキュベートし、続いて75℃10分加熱 して反応を停止させる。取り込まれなかったヌクレオチドをセファデックスTMカ ラムを用いて排除し、プローブのサイズは1%アガロースゲルで確認した。殆ど のDNAプローブは、長さが300−600塩基対の範囲であった。B.ミコバクテリウム核酸のハイブリダイゼーションと検出 ヒト型結核菌感染と診断された患者の3つの喀痰サンプルをサンフランシスコ ・ゼネラル・ホスピタルから入手した。サンプルは、ガラススライド上に作製さ れ、熱固定された喀痰塗抹であった。各サンプルを別々に10%中性緩衝ホルマ リン(2400mlの37%ホルムアルデヒド、80gのNaOH、353gの NaPO4を溶解させ、6400mlの容量に希釈)で6時間室温で固定した。 サンプルを、70−、85−および100%エタノール(EtOH)で各々10 分間脱水し、続いてキシレン(シグマ、セントルイス、ミズーリー)に10分浸 した。1×SSCで2回(初めは10分、続いて一晩)すすいでキシレンを除去 した後、サンプルを100%EtOHで5分、2回洗浄して一晩風乾した。 サンプルを1MのNaSCN(シグマ)で80℃で10分処理し、5分ずつ水 で2回洗浄し、加熱して乾燥させた。ペプシン(0.2MのHClに4mg/m l)を4℃で添加し、さらに5分4℃インキュベートし、続いて37℃5分イン キュベートした。その後70%ホルムアミド(ウルトラピュア、Gibco BRL,ガイ ザースバーグ、メリーランド)、0.1%(w/w)トゥイーン20(ポリオキ シエチレンソルビタンモノラウレート、シグマ)、2×SSC中で室温で9時間 サンプルをインキュベートした。続いてサンプルの上に変性溶液(70%ホルム アミド、2×SSC)を重層し、さらに72℃で5分インキュベートした。プロ ーブを添加する前にスライドにブロットして、乾燥させた。 12μlのH2O、42μlのマスターミックス#1(5mlのホルムアミド 、1mlの2×SSC、1gの硫酸デキストランおよび全容量を7mlとするた めにXmlのdddH2O、pHは7.0に調整)および6μlのMTb−FI TCプローブ(上記)を72℃に5分間加熱し、サンプルに重層した。カバース リップをサンプル上に静置しラバーセメントで封入した。このスライドを湿潤箱 のプラスチックバッグに入れ、37℃で一晩(約16時間)湿潤な環境でインキ ュ ベートした。 一晩のインキュベーションの後、カバースリップを取り除き、スライドを洗浄 し以下のように脱水した:1×SSCで70℃5分;2×SSCで37℃5分; 2×SSCで室温5分;H2Oで室温5分;70−、85−および100%Et OHに室温で各々2分。スライドを37℃で乾燥させた。20μlのアンチフェ ード(1%p−フェニレンジアミンヒドロクロリド(シグマ)、PBSに90% グリセロール、pH7.0)を加え、スライドをカバースリップで覆い、透明な マニキュア液で封入した。 二重バンドパスフィルター(Chroma Technology,ブラットルボロ、コネチカッ ト)および63X NA 1.3油浸対物レンズを備えたツァイス・アキソフォ ト(Zeiss Axiophot)蛍光顕微鏡を用いてこのスライドを調べた。これによって 、フルオレセイン(緑色)およびヨウ化プロピジウム(赤色)を同時に視覚化す ることが可能となった。このヨウ化プロピジウム対比染色(赤色)は、スライド 上のDNA含有物質の全ての形態を確認し評価するために用いられた。 杆状体および球菌は3枚のスライドの各々に分散して存在した。標本中に存在 するヒト細胞の核、真菌、細菌はヨウ化プロピジウムで見ることができた。陽性 ハイブリダイゼーションは、同時に赤く染まるこん棒形の有機体上で緑色の蛍光 によって確認された。3枚のスライドは全て、時に単独および凝集塊となった陽 性の緑色シグナルを含んでいた。この凝集塊はヒトの核に付随し、これらの有機 体は肺のマクロファージの細胞内に存在することを示唆している。単独で存在す る数の少ないこん棒形陽性生物は3つの標本全ての細胞内または細胞外で確認さ れた。バックグラウンドの緑色蛍光は極めて少なく、ハイブリダイゼーションシ グナルとは常に容易に区別できたが、これはバックグラウンドシグナルはこん棒 形には存在しないか、または赤色のヨウ化プロピジウムの同時染色と付随してい なかったからである。 実施例2 グルタルアルデヒド固定はミコバクテリア検出を可能にしない マクロファージ中で培養された抗酸桿菌(AFB)を標準的な手段で調製した 。簡単に記せば、マクロファージ(J774)細胞を5%新生児ウシ血清を補充 し たDME中で1×105細胞/mlの濃度まで成育させた。細胞を含む0.5m lの培養液をラブテック(LabTek)スライドの各ウェルに加えた。続いて、各ウ ェルに1週間培養ヒト型結核菌(〜1マクファーランド(McFarland)または〜2 ×107細菌/ml)0.05mlを接種した。ラブテックスライドを一晩37 ℃で5%CO2下でインキュベートした。古い培養液を取り除き、スライドを0 .5mlのハンクスBSSで洗浄した。フード内の紫外光下でスライドを風乾さ せた。スライドからチャンバーおよびガスケットを取り除き、スライドに火炎を 約3秒当てて細胞を熱固定した。 続いて以下の(a)または(b)でサンプルを固定した:(a)2.5%緩衝 グルタルアルデヒド(カコジル酸ナトリウムでpH7.2に緩衝させた2.5% グルタルアルデヒド)で6時間、または(b)10%中性緩衝ホルマリンで0も しくは5分、または1、3もしくは6時間、いずれも室温。その後、ホルムアミ ド/トゥイーン20を用いたインキュベーションを1時間にした以外は、スライ ドを実施例1のように処理した。実施例1のようにハイブリダイゼーションを実 施した。ハイブリダイゼーション、洗浄および脱水の後、ヨウ化プロピジウム含 有アンチフェードをサンプルに加えたが、用いた濃度では視覚化を阻害すること が判明したので洗い流した(100%EtOHで10分1回、さらに1時間1回 、ともに20℃)。 実施例1で述べたようにスライドを調べた。ホルマリンで固定された標本は全 て同様な外観を有し、グルタルアルデヒドで固定された同じ標本とは顕著に異な っていた。全てのグルタルアルデヒド固定標本のマクロファージの核は顕著な自 家蛍光を示した。特に細胞質においてはその後のプロテアーゼ消化によっても全 く除かれないようであった。極めてわずかのこん棒形有機体を認めることができ た。細胞質内には認められず、稀に細胞外に認められた。目に見えた少しの桿菌 には陽性ハイブリダイゼーションは検出されなかった。したがって、後のハイブ リダイゼーションが可能なホルマリン固定と比較して、グルタルアルデヒド固定 はハイブリダイゼーションを許容しないようである。明らかに、マクロファージ はペプシン処理で消化されず、このためにミコバクテリア桿菌の大半へのアクセ スが困難になった。しかしながら細胞外桿菌もまたハイブリダイゼーションを示 さなかったので、実際のミコバクテリア壁もまた透過性にすることはできなかっ たようである。 実施例3 熱固定およびアセトン固定はミコバクテリア検出を可能にしない ヒト型結核菌塗抹、ヒト型結核菌感染J細胞および非感染J細胞を含むスライ ドはサンフランシスコ・ゼネラル・ホスピタルから入手し、これらは全て熱また はアセトン固定された。ホルムアルデヒド溶液に曝すことを除外した点を除き、 スライドは実施例1のように調製した。ハイブリダイゼーションは、ミコバクテ リウム特異的16SリボソームRNA特異的プローブを用いて実施例5で述べる ように実施した。ハイブリダイゼーションは実施例1で述べたように実施したが 、洗浄は、50%ホルムアルデヒド、2×SSC、0.1%トゥイーン20(4 2℃で15分3回)、続いて2×SSC(42℃で10分2回)、さらに0.1 ×SSC(42℃で10分1回)、その後PN(0.05%NP40、100m Mのリン酸緩衝液、pH8.0)で実施し、続いて液体を排出し、アンチフェー ド中のDAPIで対比染色した。 こん棒形ミコバクテリアおよびマクロファージJ細胞の核はDAPI(青色) DNA対比染色で視覚化されたが、陽性(赤色)ハイブリダイゼーションは認め られなかった。したがって、熱固定されたミコバクテリアもアセトン固定された ミコバクテリアもともにキシレン処理の延長では膜の透過性は得られない。この 処理は、ホルマリン固定しパラフィン包埋した組織(この場合ハイブリダイゼー ションは成功した(実施例5参照))の切片で実施された処理と同一であった。 このことは、ホルマリン処理はDNAプローブに対してミコバクテリア壁を透過 性にすることを示唆する。 実施例4 培養ミコバクテリアの検出 付着性ミコバクテリアまたは細胞内ミコバクテリアを含む付着性マクロファー ジを用いてグラススライドを調製した。簡単に記せば、スライドをミコバクテリ ア培養懸濁液(MACまたはMTb)または細胞内ミコバクテリアを含むマクロ ファージ(MACまたはMTbのいずれか、ミコバクテリア対J細胞の比を5: 1としてDME/5%仔ウシ血清中で5%CO2含有湿潤大気中で30℃で一晩 培養)のいずれかの調製物で被覆した。古い培養液を除去し、サンプルを0.5 mlのHandsBSSで洗浄し、さらに続いて紫外光の下でスライドを風乾さ せた。約3秒間火炎を当てることによってサンプルを固定した。続いて中性緩衝 ホルマリン中で約6時間室温でサンプルを固定した。その後、連続弁別エタノー ル槽(70%、80%、95%、100%(v/v)エタノール)中にそれぞれ 20分サンプルをインキュベートし、さらに100%キシレン中に室温で20分 、次に新しい100%キシレン槽に3時間、新しい100%キシレン槽に12時 間55℃で静置した。スライドを2回、各回5分100%エタノールで洗浄し、 60−70℃で熱乾燥させ、1MのNaSCN中で10分80℃でインキュベー トし、脱イオン蒸留水で2回(各回5分)室温で洗浄し、60−70℃で乾燥さ せ4℃に冷却した。0.2MHCl中の4mg/mlペプシン溶液をスライドに 重層し、4℃で5分インキュベートし、37℃に温めさらにもう5分インキュベ ートし、続いて70%ホルマリン/0.1%トゥイーン20中に室温で1時間静 置した。 スライドの水分を排出し70℃に温め、さらに70%ホルマリン/2×SSC (pH7)中で72℃で5分インキュベートしてDNAを変性させた。続いてス ライドを37℃に温度を下げ、乾燥させて染みを形成させた。標識プローブを含 むハイブリダイゼーション溶液を30μl/スライドの容量で加えた。カバース リップでスライドを覆い、カバースリップの端をラバーセメントで封入し、37 ℃で一晩インキュベートした。次の日、ラバーセメントを取り除き、室温で1× SSC中でカバースリップを浮かして取り除いた。続いてスライドを60−70 ℃に温め、1×SSCで72℃で5分、2×SSCで37℃で5分、2×SSC で室温で5分、脱イオン蒸留水で室温で5分洗浄した。連続エタノール層(70 %、85%、100%(v/v)エタノール)で各槽2分スライドを保持し、3 7℃で完全に乾燥させた。続いて、ヨウ化プロピジウム(PI)/アンチフェー ド(1%p−フェニレンジアミンヒドロクロリド(シグマ、セントルイス、ミズ ーリ)、0.1μg/mlヨウ化プロピジウムを含むリン酸緩衝食塩水(pH7 .0)中の90%グリセロール)でスライドを対比染色し、カバースリップで覆 い、カバースリップの端をラバーセメントで封じ、蛍光顕微鏡で視覚化した。塗 布ミコバクテリアも培養ミコバクテリアも両方とも高レベルのハイブリダイゼー ション(シグナル)を示した。明瞭なこん棒形を見ることができた。桿菌の濃度 が高い場所ではより良好なハイブリダイゼーションが認められたが、同様に杆状 体も個々に明瞭に認めることができた。ミコバクテリアは培養マクロファージの 中で詳細に観察することができた。 実施例5 包埋材料でのミコバクテリアの検出 A.属特異的プローブ ミコバクテリア属特異的プローブ(各々は固有または共有ミコバクテリア16 S rRNA配列と共通するオリゴヌクレオチドで、原物はジェンプローブ(Gen -Probe)から入手)は直接蛍光標識され、イマジネティクス(Imagenetics)から供 給された。このミコバクテリア属特異的プローブは、長さが34塩基対(5'-ATCG CCCGCACGCTCACAGTTAAGCCGTGAGATTC-3')で、鳥型結核菌16S rRNAの59 5−628ヌクレオチド位およびMTb16S rRNAの559−592位に 広がる。B.ハイブリダイゼーション ミコバクテリアの存在について、種々の材料から得た12の緩衝ホルマリン固 定パラフィン包埋組織標本パネルを本発明の方法によりスクリーニングした。標 本のうち7つは、HIV−1の危険性があるかまたは既に感染した個々人から得 られた。切片を以下のようにスライドに静置し処理した:スライドを傾けて60 −65℃で加熱し、100%キシレンに室温で5分置き、100%キシレンに5 6℃で15分置き、100%エタノールに室温で5分置き、さらに60−65℃ の加熱プレートーに1−2分置いて残余のエタノールを蒸発させ、組織をスライ ドに焼き付けた。続いてスライドを1MのNaSCNに80℃で10分浸し、脱 イオン蒸留水で5分間2回(1回の洗浄につき5分)室温で水洗し、70−80 ℃で乾燥させた。組織をペプシン(0.2MのHCl中の4mg/ml)で消化 し(3−5分、37℃)、脱イオン蒸留水で5分間室温で水洗し、ブロットして キムワイプ(Kimwipe)で乾燥させた。 スライドを73℃で70%ホルムアミド/2×SSCに3分置くことによって DNAを変性させ、スライドの水分を排出し、キムワイプで乾燥させ、さらにハ イブリダイゼーション溶液を添加するまで37℃に維持した。プローブを含むハ イブリダイゼーション溶液をこの組織に適用し(その周辺にラバーセメントで縁 を作った)、湿潤箱のプラスチックバッグにスライドを静置して37℃で一晩イ ンキュベートした。スライドを3回15分、各回42℃で50%ホルムアミド/ 2×SSC(pH7)を用いて洗浄し、続いて2回10分、各回42℃で2×S SCを用いて洗浄し、さらに0.05%のNP40/100mMのリン酸緩衝液 (pH8)(NP緩衝液)で10分室温で洗浄した。さらに、弁別エタノール脱 水槽(すなわち70%/80%/100%エタノール)で各濃度10分インキュ ベートした。残余のエタノールは37℃スライド加温器に静置して蒸発させ、0 .4μMのDAP1を含むアンチフェードを添加し、スライドをカバースリップ で覆い、さらに透明なマニキュア液で封入した。 ハイブリダイズさせた標本を何枚かの単一および二重バンドパスフィルターを 備えたツァイス・アキソスコープで調べた。青色(DAP1対比染色)および赤 色(スペクトラムオレンジミコバクテリウム種特異的プローブシグナル)放出ス ペクトルの視覚化を可能にする二重バンドパスフィルターはイマジネティクスか ら入手し、スライドの評価に用いた。このフィルターは、赤色スペクトル自家蛍 光を顕著に減少させ、さらにスペクトラムオレンジシグナルを増大させた。この 場合には最低倍率の対物レンズしか利用できないので、スライドを10×接眼レ ンズと40×対物レンズ(倍率400×)を用いてスキャンし、さらに陽性ハイ ブリダイゼーションは63×または100×の対物レンズ(倍率630×または 1000×)を用いて確認した。 明るい蛍光シグナル(FISH)は400×倍率による調査で2分以内に認め られた。陽性シグナルはさらに1000×倍率で調べた。ハイブリダイズしたプ ローブはマクロファージの細胞質に局在しているようで、ここでは多数の球形構 造物(直径が約1μm)が認められた。さらに顕微鏡による調査はこの組織切片 中の同様な外観をもつまた別のマクロファージを示した。 慣用的な抗酸染色と培養結果(これが利用できる場合)と比較しつつ、ミコバ クテリア属特異的プローブを用いたこの結果を表Iに示す。 2つの標本(#11および12)は、組織切片面外または組織切片面内のいず れかに、ただし辺縁に局在するFISH陽性シグナルを極めて大量に含むという 点について著名である。これらは、“浮遊物”すなわちパラフィンブロックから 切片を作製するために用いた水槽に存在する交差夾雑ミコバクテリアを示してい る。これらのミコバクテリアは、大量のミコバクテリアを含む組織ブロックから 切片作製過程で遊離し、次に処理される組織ブロックの交差夾雑をもたらしたか もしれない。 FISH陽性結果は4つの標本(#1−4)について得られ、それらについて はミコバクテリアは微生物学的培養によって回収された。これら4つの標本のう ち3例のみ(すなわち#1、3、4)が抗酸染色による検査でAFBが検出され た。ただ1つの標本(#5)がAFB染色または微生物学的培養が実施されてい ない孤立したFISH陽性結果を有していた。この場合偽陽性FISHの可能性 は排除できない。このHIV−1感染患者でミコバクテリア感染は最終的には成 立するであろうが、しかしながらこの陽性FISH結果は真の陽性結果である可 能性もまた存在する。重要なことには、ミコバクテリア属特異的プローブとこの 標本に豊富に存在するクリプトコッカスとの交差ハイブリダイゼーションは認め られなかった。 FISH陰性結果は7つの標本(#6−12)について認められた。重要なこ とには、ミコバクテリア属特異的FISHプローブの交差ハイブリダイゼーショ ン(即ち偽陽性)は、これら7つの標本について認められなかった。これらの標 本では細菌(すなわち、標本#6および#10ではグラム陽性球菌およびグラム 陰性桿菌が直接検出され、1つの化膿性肉芽種と炎症虫垂にはおそらく細菌が存 在し(#7および#8)、さらに消化管から得られた生検から成る2つの標本に はおそらく多数の細菌が存在する(標本#9および#11))または真菌(すな わち標本#12のヒストプラスマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)) が存在した。このデータは、ミコバクテリア属特異的プローブは、スタフィロコ ッカス・サブスペシーズ(Staphylococcus sp.)(標本#8に存在)、腸内細菌科 (Enterobacteriaceae)(標本#8に恐らく存在)またはクリプトコッカスおよび ヒストプラスマ・スペシーズ(標本#5および#12)と明瞭な交差活性を示さ ないという証拠を提供する。 FISHを実施した後全てのスライドを保存した。ハイブリダイゼーション後 3−6ヶ月してFISH+スライドを蛍光顕微鏡で調べたとき蛍光シグナルの減 退は殆どないことが示された。この実験は、慣用的なAFB染色と比較したとき 、ミコバクテリア属特異的FISHプローブは増強された感受性および匹敵する 特異性を有することを示した。 実施例6 全ゲノムDNAプローブはミコバクテリア特異的である 以下の微生物を含む培養プレートをサンフランシスコ・ゼネラル・ホスピタル の臨床微生物検査室から入手した:黄色ブドウ球菌、連鎖球菌A群、肺炎連鎖球 菌、α型溶血連鎖球菌、霊菌、プロテウス・ブルガーリス(Proteus vulgaris)、 大腸菌、緑膿菌。全ての細菌は臨床サンプルから単離され、確実に同定された。 細菌は培養プレートからこすりとり、10mlのリン酸緩衝食塩水(PBS)に 懸濁し、溶液が濁り均質となるまでボルテックスミキサーで攪拌した。次に、0 .3mlのこの溶液を取り出し、無水エタノール:氷酢酸(3:1)の0.7m lと混合し、これを直ちに混合し4℃で7日間保存した。続いて細菌をスライド に滴下し、室温で10時間乾燥させた。ヒト型結核菌感染J細胞の熱固定コント ロ ールスライドをこの実験に陽性コントロールとして加えた。 中性緩衝ホルマリンで室温で6時間このスライドを固定し、連続弁別エタノー ル槽(70%、80%、95%、100%(v/v)エタノール)にそれぞれ2 0分ずつインキュベートし、さらに100%キシレン室温で20分、100%キ シレンの新しい槽に3時間、100%キシレンの新しい槽に12時間55℃で静 置した。スライドを100%エタノールで2回、それぞれ5分間洗浄し、60− 70℃で熱乾燥させ、1MのNaSCN中で80℃で10分間インキュベートし 、脱イオン蒸留水で2回それぞれ5分間室温で洗浄し、60−70℃で乾燥させ 、4℃に冷却した。スライドに0.2MのHCl中の4mg/mlペプシンの溶 液を重層し、4℃で5分インキュベートし、37℃に温め、さらに5分間インキ ュベートし、続いて70%ホルマリン/0.1%トゥイーン20中に室温で1時 間静置した。ハイブリダイゼーションおよび洗浄工程は実施例4のように実施し た。 コントロールスライドはミコバクテリアの陽性緑色のハイブリダイゼーション を細胞内および細胞外で示した。対照的に、陽性のハイブリダイゼーションは検 査した8つの非ミコバクテリアサンプルの何れでも確認されなかった。幾つかの スライドは他方のスライドより高濃度の細菌を含んでおり、一方各々は評価のた めに十分な有機体を含む領域を含んでいた。この実験は、ヒト型結核菌のゲノム 全体から作製したDNAプローブは高い特異性、特にここで検査した8種の有機 体(これらは喀痰の臨床サンプルで最も普遍的な好気性細菌の代表である)に対 して特異性を有する。 上記の実施例は本発明を限定するためではなく詳述するために提供される。本 発明の他の変形例は当業者には極めて明白で、添付の請求の範囲に包含される。 本明細書に引用した全ての出版物、特許および特許出願は、援用されて本明細書 の一部とされる。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 非包埋動物細胞または非包埋細菌を含むサンプル中のミコバクテリアを 検出する方法であって: a)前記サンプルをホルムアルデヒドを含む溶液と接触させ、 b)前記サンプルを有機溶媒と接触させ、 c)前記サンプルを蛋白分解剤と接触させ、 d)ミコバクテリウム核酸と特異的にハイブリダイズする標識核酸プローブ を前記サンプルとハイブリダイズさせ、 e)サンプル中のミコバクテリアの存在を表示するハイブリダイズしたプロ ーブを検出する、 各工程を含む当該検出方法。 2. 前記サンプルが、喀痰、血液、血液細胞、組織生検サンプルおよび胸膜 液から成る群から選ばれる請求の範囲第1項に記載の方法。 3. 前記サンプルが喀痰である請求の範囲第2項に記載の方法。 4. 前記動物細胞が哺乳類細胞である請求の範囲第1項に記載の方法。 5. 前記哺乳類細胞がヒトの細胞である請求の範囲第4項に記載の方法。 6. 前記哺乳類細胞がマクロファージまたはマクロファージ型細胞である請 求の範囲第5項に記載の方法。 7. 前記動物細胞が、U937細胞およびネズミJ細胞から成る群から選ば れる請求の範囲第6項に記載の方法。 8. 前記ミコバクテリアがヒト型結核菌または鳥型結核菌群である請求の範 囲第1項に記載の方法。 9. 前記ミコバクテリアが細胞内のものである請求の範囲第1項に記載の方 法。 10. 前記ホルムアルデヒドを含む溶液が中性緩衝ホルマリンである請求の 範囲第1項に記載の方法。 11. 前記有機溶媒が、キシレン、ベンゼンおよびヘキサンから成る群から 選ばれる請求の範囲第1項に記載の方法。 12. 前記蛋白分解剤がプロテアーゼである請求の範囲第1項に記載の方法 。 13. 前記蛋白分解剤が、ペプシン、プロナーゼ、リゾチーム、トリプシン 、キモトリプシンおよびプロテイナーゼKから成る群から選ばれる請求の範囲第 12項に記載の方法。 14. 前記サンプルが、まず約0℃と約10℃の間でプロテアーゼで処理さ れ、続いて約15℃と約60℃の間でプロテアーゼで処理される請求の範囲第1 2項に記載の方法。 15. 前記サンプルがプロテアーゼ処理前に還元剤で処理される請求の範囲 第12項に記載の方法。 16. 前記還元剤がチオシアン酸ナトリウムまたはチオシアン酸グアニジン である請求の範囲第15項に記載の方法。 17. 前記核酸プローブが100塩基の長さより大きい請求の範囲第1項に 記載の方法。 18. 前記核酸プローブがミコバクテリウムの全ゲノムDNAを含む請求の 範囲第17項に記載の方法。 19. 前記核酸プローブが、酵素、放射性同位元素、ビオチン、ジゴキシゲ ニンおよび発蛍光団から成る群から選ばれる標識で標識される請求の範囲第1項 に記載の方法。 20. 前記核酸プローブが発蛍光団で標識される請求の範囲第19項に記載 の方法。 21. 前記核酸プローブが蛍光顕微鏡を用いて検出される請求の範囲第1項 に記載の方法。 22. 前記ミコバクテリウム核酸がDNAである請求の範囲第1項に記載の 方法。 23. ミコバクテリアの核酸と特異的にハイブリダイズ可能な単離核酸プロ ーブを含む組成物であって、前記プローブがミコバクテリウムの全ゲノムDNA を含む当該組成物。 24. 前記全ゲノムDNAがヒト型結核菌の全ゲノムDNAである請求の範 囲第23項に記載の組成物。 25. 酵素、放射性同位元素、ビオチン、ジゴキシゲニンおよび発蛍光団か ら成る群から選ばれる標識をさらに含む請求の範囲第23項に記載の組成物。 26. 前記標識が発蛍光団である請求の範囲第25項に記載の組成物。 27. 細胞内ミコバクテリウムを有する非包埋動物細胞を含む組成物であり 、この場合、当該細胞がホルムアルデヒドを含む溶液で固定され、前記ミコバク テリウムの核酸が標識核酸プローブとハイブリダイズされる当該組成物。 28. 前記ミコバクテリウムがヒト型結核菌または鳥型結核菌群の種である 請求の範囲第27項に記載の組成物。 29. 前記標識核酸プローブが発蛍光団で標識される請求の範囲第27項に 記載の組成物。 30. 非包埋動物細胞または非包埋細菌を含むサンプル中でミコバクテリア を検出する方法を記載した指示書を含む動物細胞中のミコバクテリアを臨床検出 するためのキットであって、 前記方法が、 a)前記サンプルをホルムアルデヒドを含む溶液と接触させ、 b)前記サンプルを有機溶媒と接触させ、 c)前記サンプルを蛋白分解剤と接触させ、 d)ミコバクテリウム核酸と特異的にハイブリダイズする標識核酸プローブ を前記サンプルとハイブリダイズさせ、 e)サンプル中のミコバクテリアの存在を表示するハイブリダイズしたプロ ーブを検出すること、 を含み、 ここで、前記キットがミコバクテリアの核酸と特異的にハイブリダイズするこ とができる標識核酸プローブを入れた容器をさらに含む当該キット。 31. 細胞内ミコバクテリウムを有する非包埋動物細胞を含むテストサンプ ルをさらに含み、この場合、当該細胞がホルムアルデヒドを含有する溶液で固定 されてあり、また、ミコバクテリウムの核酸が標識核酸プローブとハイブリダイ ズされる請求の範囲第30項に記載のキット。 32. 標識核酸プローブ、ホルムアルデヒドを含む溶液、有機溶媒、還元剤 およびプロテアーゼから成る群から選ばれる成分を含む少なくとも1つの容器を さらに含む請求の範囲第30項に記載のキット。 33. 前記容器が核酸プローブを含む請求の範囲第32項に記載のキット。 34. 前記核酸プローブがミコバクテリウムの全ゲノムDNAを含む請求の 範囲第33項に記載のキット。
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