JP2020162503A - CpGアイランドにおけるメチル化判別方法及びメチル化判別キット - Google Patents

CpGアイランドにおけるメチル化判別方法及びメチル化判別キット Download PDF

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伊智郎 永田
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【課題】CpGアイランドにおけるメチル化を簡便且つ高精度に判定する方法の提供。【解決手段】検体から調整したゲノムDNAを亜硫酸水素塩で処理する工程と、処理されたゲノムDNAを鋳型としCpGアイランドを含む領域を一対のプライマーにより増幅する工程と、増幅で得られるアンプリコンに含まれる複数のメチル化部位のうち1以上のメチル化部位を含む部分領域に対応するプローブセットであって、上記CpGアイランドがメチル化している場合のアンプリコンに対応するメチル化対応プローブと、メチル化していない場合のアンプリコンに対応する非メチル化対応プローブとからなるプローブセットを用いて上記アンプリコンを検出する工程とを含み、上記アンプリコンと上記メチル化対応プローブとのハイブリダイズ、上記アンプリコンと上記非メチル化対応プローブとのハイブリダイズに基づいて上記CpGアイランドにおけるメチル化を判別する方法。【選択図】図6

Description

本発明は、CpGアイランドに含まれるメチル化を判定し、当該メチル化が関与する疾患等の判定に利用できるCpGアイランドにおけるメチル化判別方法及びメチル化判別キットに関する。
DNAメチル化やヒストン修飾が関与するエピジェネティックスな遺伝子発現調節機構は、がんや代謝疾患、精神疾患、免疫疾患など多くの後天的な疾患に関与することが指摘されている。DNAメチル化とは、5'-CpG-3'配列のシトシンの5位がメチル化修飾を受けることを意味する。また、プロモーター等の遺伝子発現調節領域に5'-CpG-3'配列が高頻度に出現する領域(CpGアイランドと呼称される)があり、当該領域のメチル化が下流遺伝子の発現に大きく関与していることが知られている。
ところで、インプリント異常症に分類される遺伝子疾患として、プラダーウィリー症候群(PWS)及びアンジェルマン症候群(AS)が知られている。いずれの疾患も、人種に関係なく1万人に1人の割合で発症が見られる。これらの疾患は、特異的な顔貌を有することで発覚しやすい。しかし、生後6ヶ月以内ではそれほど特徴が目立たない症例もある。しかし、これらの疾患においては、摂食や発達・運動障害を伴うため、可能な限り早期に生活指導や(対症的であっても)薬物治療を開始した方が良い。したがって、このような事情から、PWS及びASの早期診断技術が求められている。
PWS患者のほぼ全例、AS患者の7割以上で、SNRPN(small nuclear ribonucleoprotein polypeptide N)遺伝子のプロモーター領域におけるCpGアイランドにメチル化異常が生じている。したがって、当該領域に対するメチル化解析によりPWS及びASの大半は確定診断が可能となる。特許文献1には、プラダーウィリー症候群又はアンジェルマン症候群を有する患者から得られた検体の判定方法であって、検体から調整したゲノムDNAを亜硫酸水素塩で処理する工程、亜硫酸水素塩によって処理されたDNAを鋳型としSNRPN遺伝子の上記CpGアイランドを含む領域を増幅し、イオン交換クロマトグラフィーを用いて増幅した断片を解析することにより上記CpGアイランドのメチル化異常を検査している。特許文献1に記載の方法では、上記CpGアイランドがメチル化している場合の増幅断片とメチル化していない場合の増幅断片とを、イオン交換クロマトグラフィーによる保持時間の違いとして検出している。
特許文献2には、SNRPN遺伝子のプロモーター領域におけるCpGアイランドにおけるメチル化をMethylation-specific multiplex ligation-dependent probe amplification(MS-MLPA)法を適用して検出する方法が開示されている。また、特許文献3には、RNA-FISH法により染色体上における所定の遺伝子発現の有無を判定し、この判定結果に基づいて染色体機能異常の判定を行なうことにより、プラダーウィリー症候群(非欠失例)患者及びアンジェルマン症候群(非欠失例)患者並びにX不活化不全症候群患者を診断する方法が開示されている。
WO2016/024634 US2007/0092883 特開2005-124431号公報
上述のように、CpGアイランドにおけるメチル化を検出することで種々の疾患に対する診断が可能となるが、CpGアイランドにおけるメチル化を簡便且つ高精度に検出する技術は知られていなかった。そこで、本発明は、このような実情に鑑み、CpGアイランドにおけるメチル化を簡便且つ高精度に判定し、当該メチル化が関与する疾患等の判定に利用できるCpGアイランドにおけるメチル化判別方法及びメチル化判別キットを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、バイサルファイト処理されたCpGアイランドを含む領域を鋳型とし一対のプライマーにより当該領域を1つのアンプリコンとして増幅し、当該アンプリコンを複数のプローブによって検出することでCpGアイランドにおけるメチル化を判定できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明は以下を包含する。
(1)検体から調整したゲノムDNAを亜硫酸水素塩で処理する工程と、亜硫酸水素塩によって処理されたゲノムDNAを鋳型としCpGアイランドを含む領域を一対のプライマーにより増幅する工程と、増幅で得られるアンプリコンに含まれる複数のメチル化部位のうち1以上のメチル化部位を含む部分領域に対応するプローブセットであって、上記CpGアイランドがメチル化している場合のアンプリコンに対応するメチル化対応プローブと、メチル化していない場合のアンプリコンに対応する非メチル化対応プローブとからなるプローブセットを用いて上記アンプリコンを検出する工程とを含み、上記アンプリコンと上記メチル化対応プローブとのハイブリダイズ、上記アンプリコンと上記非メチル化対応プローブとのハイブリダイズに基づいて上記CpGアイランドにおけるメチル化を判別する方法。
(2)上記部分領域は、2以上7以下のメチル化部位を含むことを特徴とする(1)記載の方法。
(3)上記アンプリコンを検出する工程では、上記アンプリコンに含まれ互いに異なる複数の部分領域に対応する複数のプローブセットを用いることを特徴とする(1)記載の方法。
(4)上記CpGアイランドは、SNRPN(small nuclear ribonucleoprotein polypeptide N)遺伝子のプロモーター領域に含まれることを特徴とする(1)記載の方法。
(5)上記プローブセットを基板に固定したマイクロアレイを使用し、上記アンプリコンを検出することを特徴とする(1)記載の方法。
(6)検体から調整したゲノムDNAを亜硫酸水素塩で処理する工程と、亜硫酸水素塩によって処理されたゲノムDNAを鋳型とし、SNRPN(small nuclear ribonucleoprotein polypeptide N)遺伝子のプロモーター領域に含まれるCpGアイランドを含む領域を一対のプライマーにより増幅する工程と、増幅で得られるアンプリコンに含まれる複数のメチル化部位のうち1以上のメチル化部位を含む部分領域に対応するプローブセットであって、上記CpGアイランドがメチル化している場合のアンプリコンに対応するメチル化対応プローブと、メチル化していない場合のアンプリコンに対応する非メチル化対応プローブとからなるプローブセットを用いて上記アンプリコンを検出する工程と、上記アンプリコンが上記メチル化対応プローブと上記非メチル化対応プローブとのいずれもハイブリダイズする場合に上記検体を健常検体とし、上記アンプリコンが上記非メチル化対応プローブよりも上記メチル化対応プローブとハイブリダイズする場合に上記検体をプラダーウィリー症候群(PWS)検体とし、上記アンプリコンが上記メチル化対応プローブよりも上記非メチル化対応プローブとハイブリダイズする場合に上記検体をアンジェルマン症候群(AS)検体と判断する工程とを含む、プラダーウィリー症候群及び/又はアンジェルマン症候群の診断のためのデータ提供方法。
(7)上記部分領域は、2以上7以下のメチル化部位を含むことを特徴とする(6)記載のデータ提供方法。
(8)上記プローブセットを基板に固定したマイクロアレイを使用し、上記アンプリコンを検出することを特徴とする(6)記載のデータ提供方法。
(9)上記一対のプライマーは、配列番号2の塩基配列からなるプライマーと配列番号3の塩基配列からなるプライマーであることを特徴とする(6)記載のデータ提供方法。
本発明に係るメチル化を判別する方法は、一対のプライマーで増幅した1つのアンプリコンを複数のプローブセットで検出することで、アンプリコンに含まれるメチル化部位を高精度に検出することができる。例えば、所定のゲノム領域におけるメチル化が疾患等に関与する場合、本発明に係るメチル化を検出する方法を適用することで、当該疾患を高精度に診断することができる。
また、本発明に係るプラダーウィリー症候群又はアンジェルマン症候群の診断のためのデータ提供方法は、SNRPN遺伝子のプロモーター領域に含まれるCpGアイランドを含む領域を単一のアンプリコンとして増幅し、当該アンプリコンに含まれるCpGアイランドのメチル化を複数のプローブセットで検出する。これにより、当該CpGアイランドのメチル化を高精度に検出することができ、プラダーウィリー症候群又はアンジェルマン症候群の診断に利用できる高精度なデータを提供することができる。
実施例で増幅したメチル化体アンプリコンの塩基配列及び当該アンプリコンに含まれる3'-CG-5'からなるジヌクレオチドの位置を示した特性図である。 第1領域に対応するプローブセットを用いて判定値を測定した結果を示す特性図である。 第4領域に対応するプローブセットを用いて判定値を測定した結果を示す特性図である。 第5領域に対応するプローブセットを用いて判定値を測定した結果を示す特性図である。 第6領域に対応するプローブセットを用いて判定値を測定した結果を示す特性図である。 第7領域に対応するプローブセットを用いて判定値を測定した結果を示す特性図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係るメチル化を判別する方法は、CpGアイランドのように、所定のゲノム領域にCG配列(3'-CG-5'からなるジヌクレオチド)が高頻度に出現する領域におけるメチル化を高精度に判別する方法である。ここで、所定のゲノム領域において出現する塩基の種類(A、G、C及びT)に偏りが無いとすると、3'-CG-5'からなるジヌクレオチドの出現確率は1/16となる。よって、3'-CG-5'からなるジヌクレオチドが高頻度に出現する領域とは、当該領域に出現する3'-CG-5'からなるジヌクレオチドの出現確率は1/16を超える領域と定義することができる。また、3'-CG-5'からなるジヌクレオチドが高頻度に出現する領域とは、上記の定義に限定されず、当該領域に含まれるGC含量が50%を超え、且つ、存在する3'-CG-5'割合がGC含量から期待される量の60%以上(CpG observed/expected > 0.6)と定義してもよい。
特に、本発明に係るメチル化を判別する方法は、プロモーター等に代表される所定の遺伝子の発現を制御する発現制御領域に含まれるCpGアイランドのメチル化を判別することが好ましい。通常、発現制御領域に含まれるCpGアイランドのシトシンがメチル化されると、下流の遺伝子の発現は抑制される。したがって、本発明に係るメチル化を判別する方法により、発現制御領域に含まれるCpGアイランドのメチル化を判別することで、当該発現制御領域が関与する遺伝子の発現を予測することができる。
さらに、本発明に係るメチル化を判別する方法は、所定の疾患との相関関係が知られている、所定の領域に含まれるCpGアイランドのメチル化を判別することが好ましい。本発明に係るメチル化を判別する方法により、当該領域に含まれるCpGアイランドのメチル化を判別することで、当該領域のメチル化が関与する疾患に関する情報を得ることができる。メチル化が関与する疾患としては、特に限定されないが、CpGアイランドのシトシンがメチル化している場合、罹患していることが疑われる疾患、より重篤と判断される疾患が挙げられる。また、メチル化が関与する疾患としては、特に限定されないが、CpGアイランドのシトシンがメチル化していない場合、罹患していることが疑われる疾患、より重篤と判断される疾患が挙げられる。
所定の領域に含まれるCpGアイランドのメチル化との相関関係が知られている疾患としては、例えば、プラダーウィリー症候群(PWS)及びアンジェルマン症候群(AS)を挙げることができる。プラダーウィリー症候群(PWS)及びアンジェルマン症候群(AS)は、SNRPN(small nuclear ribonucleoprotein polypeptide N)遺伝子のプロモーター領域に含まれるCpGアイランドのメチル化に相関関係を有している。具体的に、当該プロモーター領域に含まれるCpGアイランドが両アリルともメチル化している場合にプラダーウィリー症候群(PWS)が疑われ、当該プロモーター領域に含まれるCpGアイランドが両アリルともメチル化していない場合にアンジェルマン症候群(AS)が疑われる。なお、健常者においては、当該プロモーター領域に含まれるCpGアイランドのうち一方のアリルのみがメチル化している。
また、所定の領域に含まれるCpGアイランドのメチル化との相関関係が知られている疾患としては、上述したプラダーウィリー症候群(PWS)及びアンジェルマン症候群(AS)以外に、例えば、がんや精神疾患等を挙げることができる。CpGアイランドのメチル化とがんや精神疾患との関連については、国際ヒトエピゲノムコンソーシアム(URL: http://crest-ihec.jp/public/epigenome_mal.html)を参照することができる。一例としては、白血病の場合では、正常白血球ではメチル化されていない遺伝子がメチル化されていくことにより、発現が抑制され、その結果、異常白血球へと転化することが知られている。
本発明に係るメチル化を判別する方法では、先ず検体からゲノムDNAを調製する。ここで検体とは、疾患が疑われる患者など検査対象者から得た生体試料を意味する。生体試料としては、特に限定されないが、胎児又は胚由来細胞を含む羊水、へその緒等の胎児由来細胞試料、血液、腹水、唾液等の体液試料、癌組織又は癌の疑いがある組織、口腔粘膜細胞、毛髪、皮膚を挙げることができる。ゲノムDNAの抽出方法は、特に限定されず、従来公知の手法や市販されているゲノムDNA抽出試薬キットを使用する方法を適宜使用することができる。
次に、抽出したゲノムDNAを亜硫酸水素塩で処理する(バイサルファイト処理とも称される)。この亜硫酸水素塩処理によって、ゲノムDNAに含まれる非メチル化シトシン残基はウラシルに変換される。一方、ゲノムDNAに含まれるメチル化シトシン残基は変換されない。すなわち、ゲノムDNAに含まれるCpGアイランドにおいて、3'-CG-5'からなるジヌクレオチドのシトシンがメチル化されていない場合、当該ジヌクレオチドは3'-UG-5'に変換される。また、3'-CG-5'からなるジヌクレオチドのシトシンがメチル化されている場合、当該ジヌクレオチドは3'-CG-5'のままとなる。
ここで、亜硫酸水素塩で処理する際の亜硫酸水素塩の添加濃度は、ゲノムDNA中の非メチル化シトシンを十分に変換できる程度であれば特に限定されないが、例えば、ゲノムDNAを含む溶液中の終濃度として1M以上、好ましくは1〜15M、より好ましくは3〜10Mである。また、亜硫酸水素塩を添加した後のインキュベーションの条件(温度及び時間)は、亜硫酸水素塩の添加量に応じて適宜設定できるが、例えば、亜硫酸水素塩を終濃度6Mで添加した場合、50〜80℃で10分間〜7時間インキュベーションする。
次いで、このように亜硫酸水素塩処理したゲノムDNAを鋳型として、目的とするCpGアイランドを含む領域を一対のプライマーで単一のアンプリコンとして増幅する。このとき、一対のプライマーとしては、CpGアイランドを構成する3'-CG-5'からなるジヌクレオチドを含まない領域にハイブリダイするように設計する。
ここで、アンプリコンの塩基長としては、特に限定されないが、数十〜数千塩基長とすることができ、特に50〜1000塩基長とすることが好ましく、50〜700塩基長とすることがより好ましく、70〜500塩基長とすることが更に好ましい。本発明に係るメチル化を判別する方法では、このような塩基長のアンプリコンに対しても、当該アンプリコンに含まれるCpGアイランドのメチル化を高精度に検出することができる。
また、アンプリコンに含まれるCpGアイランドは、特に限定されないが、3'-CG-5'からなるジヌクレオチドを複数個含んでいる。CpGアイランドに含まれる3'-CG-5'からなるジヌクレオチドの個数は検出対象とする遺伝子によって異なり、特に限定されないが、2〜数百個とすることができる。本発明の実施例で取り上げたSNRPN遺伝子のプロモーター領域の場合では、15〜25個とすることが好ましい。本発明に係るメチル化を判別する方法では、このような個数の3'-CG-5'ジヌクレオチドを有するアンプリコンに対しても、3'-CG-5'ジヌクレオチドのメチル化又は非メチル化を高精度に検出することができる。
このとき、増幅反応としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)、ICAN(Isothermal and Chimeric primer-initiated Amplification of Nucleic acids)法等を適用することができる。増幅反応においては、増幅後のアンプリコンを識別できるように標識を付加することが望ましい。このとき、増幅されたアンプリコンを標識する方法としては、特に限定されないが、例えば増幅反応に使用するプライマーをあらかじめ標識しておく方法を使用してもよいし、増幅反応に標識ヌクレオチドを基質として使用する方法を使用してもよい。標識物質としては、特に限定されないが、放射性同位元素や蛍光色素、あるいはジゴキシゲニン(DIG)やビオチンなどの有機化合物などを使用することができる。
またこの反応系は、核酸増幅・標識に必要な緩衝剤、耐熱性DNAポリメラーゼ、増幅領域に特異的なプライマー、標識ヌクレオチド三リン酸(具体的には蛍光標識等を付加したヌクレオチド三リン酸)、ヌクレオチド三リン酸および塩化マグネシウム等を含む反応系である。
次に、本発明に係るメチル化を判別する方法では、上述のように、増幅したアンプリコンに含まれる3'-CG-5'からなるジヌクレオチド(すなわちメチル化部位)のメチル化又は非メチル化を一対のプローブを用いて検出する。ここで、一対のプローブとは、メチル化部位がメチル化している場合に対応するメチル化対応プローブと、メチル化部位がメチル化していない場合に対応する非メチル化対応プローブを意味する。すなわち、メチル化対応プローブは、3'-CG-5'からなるジヌクレオチドがメチル化している場合に対応し、上述した亜硫酸水素塩処理によっても3'-CG-5'のシトシンが維持されるため、3'-CG-5'からなるジヌクレオチドに対応する配列を有することとなる。一方、非メチル化対応プローブは、3'-CG-5'からなるジヌクレオチドがメチル化していない場合に対応し、上述した亜硫酸水素塩処理によって3'-CG-5'のシトシンがウラシルに変換される、3'-UG-5'からなるジヌクレオチド(アンプリコンとしては3'-TG-5')に対応する配列を有することとなる。なお、以下、メチル化対応プローブ及び非メチル化対応プローブからなる一対のプローブを単にプローブセット又は一対のプローブセットと称する場合もある。これらプローブセットは、検出対象のメチル化部位(3'-CG-5'からなるジヌクレオチドのシトシン)以外は同じ配列を有することが好ましい。
特に、本発明に係るメチル化を判別する方法では、単一のアンプリコンに複数のメチル化部位(3'-CG-5'ジヌクレオチド)が含まれており、これら複数のメチル化部位のうち1以上のメチル化部位を含む部分領域におけるメチル化を一対のプローブセットで検出する。このとき、一対のプローブセットは、アンプリコンに含まれる1つのメチル化部位に対応する配列を有していても良いし、2以上のメチル化部位に対応する配列を有していてもよい。より具体的に一対のプローブセットは、2〜7個のメチル化部位に対応する配列を有することができ、2〜4個のメチル化部位に対応する配列を有することもできる。複数のメチル化部位に対応するプローブセットを使用することにより、プローブの特異性を高めることができる。
上記の部分領域は、同じアンプリコン中の異なるメチル化部位を含むように複数設定することができ、各々の部分領域に対応するプローブセットを用意して、複数のプローブセットでメチル化を検出することもできる。複数のプローブセットを用意することによって、アンプリコンに含まれる全てのメチル化部位を検出対象とすることもできるが、一部のメチル化部位を選択して検出対象とすることもできる。
これらプローブの塩基長としては、特に限定しないが、例えば10〜30塩基長とすることができ、15〜25塩基長とすることが好ましい。また、上述のように設計したプローブは、好ましくは核酸であり、より好ましくはDNAである。DNAには二本鎖も一本鎖も含まれるが、好ましくは一本鎖DNAである。プローブは、例えば、核酸合成装置によって化学的に合成することで取得することができる。核酸合成装置としては、DNAシンセサイザー、全自動核酸合成装置、核酸自動合成装置等と呼ばれる装置を使用することができる。
上述のように設計したプローブは、その5’末端を担体上に固定化することにより、マイクロアレイ(一例としてDNAチップ)の形態で用いるのが好ましい。このとき、マイクロアレイは、上述したアンプリコンに含まれる複数のメチル化部位におけるメチル化又は非メチル化を検出するためのプローブセットを備えている。また互いに異なる部分領域に対応した複数のプローブセットを備えていてもよい。
担体の材料としては、当技術分野で公知のものを使用でき、特に制限されない。例えば、白金、白金黒、金、パラジウム、ロジウム、銀、水銀、タングステンおよびそれらの化合物などの貴金属、およびグラファイト、カ−ボンファイバ−に代表される炭素などの導電体材料;単結晶シリコン、アモルファスシリコン、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素などに代表されるシリコン材料、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)などに代表されるこれらシリコン材料の複合素材;ガラス、石英ガラス、アルミナ、サファイア、セラミクス、フォルステライト、感光性ガラスなどの無機材料;ポリエチレン、エチレン、ポリプロビレン、環状ポリオレフィン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル・ブタジエンスチレン共重合体、ポリフェニレンオキサイドおよびポリスルホンなどの有機材料等が挙げられる。担体の形状も特に制限されないが、好ましくは平板状である。
本発明においては、担体として、好ましくは表面にカーボン層と化学修飾基とを有する担体を用いる。表面にカーボン層と化学修飾基とを有する担体には、基板の表面にカーボン層と化学修飾基とを有するもの、およびカーボン層からなる基板の表面に化学修飾基を有するものが包含される。基板の材料としては、当技術分野で公知のものを使用でき、特に制限されず、上述の担体材料として挙げたものと同様のものを使用できる。
本発明に係るマイクロアレイにおいては、微細な平板状の構造を有する担体が好適に用いられる。形状は、長方形、正方形および丸形など限定されないが、通常、1〜75mm四方のもの、好ましくは1〜10mm四方のもの、より好ましくは3〜5mm四方のものを用いる。微細な平板状の構造の担体を製造しやすいことから、シリコン材料や樹脂材料からなる基板を用いるのが好ましく、特に単結晶シリコンからなる基板の表面にカーボン層および化学修飾基を有する担体がより好ましい。単結晶シリコンには、部分部分でごくわずかに結晶軸の向きが変わっているものや(モザイク結晶と称される場合もある)、原子的尺度での乱れ(格子欠陥)が含まれているものも包含される。
本発明において基板上に形成させるカーボン層としては、特に制限されないが、合成ダイヤモンド、高圧合成ダイヤモンド、天然ダイヤモンド、軟ダイヤモンド(例えば、ダイヤモンドライクカーボン)、アモルファスカーボン、炭素系物質(例えば、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ)のいずれか、それらの混合物、またはそれらを積層させたものを用いることが好ましい。また、炭化ハフニウム、炭化ニオブ、炭化珪素、炭化タンタル、炭化トリウム、炭化チタン、炭化ウラン、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、炭化モリブデン、炭化クロム、炭化バナジウム等の炭化物を用いてもよい。ここで、軟ダイヤモンドとは、いわゆるダイヤモンドライクカーボン(DLC:Diamond Like Carbon)等の、ダイヤモンドとカーボンとの混合体である不完全ダイヤモンド構造体を総称し、その混合割合は、特に限定されない。カーボン層は、化学的安定性に優れておりその後の化学修飾基の導入や分析対象物質との結合における反応に耐えることができる点、分析対象物質と静電結合によって結合するためその結合が柔軟性を持っている点、UV吸収がないため検出系UVに対して透明性である点、およびエレクトロブロッティングの際に通電可能な点において有利である。また、分析対象物質との結合反応において、非特異的吸着が少ない点においても有利である。前記のとおり基板自体がカーボン層からなる担体を用いてもよい。
本発明においてカーボン層の形成は公知の方法で行うことができる。例えば、マイクロ波プラズマCVD(Chemical vapor deposit)法、ECRCVD(Electric cyclotron resonance chemical vapor deposit)法、ICP(Inductive coupled plasma)法、直流スパッタリング法、ECR(Electric cyclotron resonance)スパッタリング法、イオン化蒸着法、アーク式蒸着法、レーザ蒸着法、EB(Electron beam)蒸着法、抵抗加熱蒸着法などが挙げられる。
高周波プラズマCVD法では、高周波によって電極間に生じるグロー放電により原料ガス(メタン)を分解し、基板上にカーボン層を合成する。イオン化蒸着法では、タングステンフィラメントで生成される熱電子を利用して、原料ガス(ベンゼン)を分解・イオン化し、バイアス電圧によって基板上にカーボン層を形成する。水素ガス1〜99体積%と残りメタンガス99〜1体積%からなる混合ガス中で、イオン化蒸着法によりカーボン層を形成してもよい。
アーク式蒸着法では、固体のグラファイト材料(陰極蒸発源)と真空容器(陽極)の間に直流電圧を印加することにより真空中でアーク放電を起こして陰極から炭素原子のプラズマを発生させ蒸発源よりもさらに負のバイアス電圧を基板に印加することにより基板に向かってプラズマ中の炭素イオンを加速しカーボン層を形成することができる。
レーザ蒸着法では、例えばNd:YAGレーザ(パルス発振)光をグラファイトのターゲット板に照射して溶融させ、ガラス基板上に炭素原子を堆積させることによりカーボン層を形成することができる。
基板の表面にカーボン層を形成する場合、カーボン層の厚さは、通常、単分子層〜100μm程度であり、薄すぎると下地基板の表面が局部的に露出する可能性があり、逆に厚くなると生産性が悪くなるので、好ましくは2nm〜1μm、より好ましくは5nm〜500nmである。
カーボン層が形成された基板の表面に化学修飾基を導入することにより、オリゴヌクレオチドプローブを担体に強固に固定化できる。導入する化学修飾基は、当業者であれば適宜選択することができ、特に制限されないが、例えば、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、ホルミル基、ヒドロキシル基および活性エステル基が挙げられる。
アミノ基の導入は、例えば、カーボン層をアンモニアガス中で紫外線照射することによりまたはプラズマ処理することにより実施できる。または、カーボン層を塩素ガス中で紫外線を照射して塩素化し、さらにアンモニアガス中で紫外線照射することにより実施できる。または、メチレンジアミン、エチレンジアミンで等の多価アミン類ガス中を、塩素化したカーボン層と反応させることによって実施することもできる。
カルボキシル基の導入は、例えば、前記のようにアミノ化したカーボン層に適当な化合物を反応させることにより実施できる。カルボキシル基を導入するために用いられる化合物としては、例えば、式:X-R1-COOH(式中、Xはハロゲン原子、R1は炭素数10〜12の2価の炭化水素基を表す)で示されるハロカルボン酸、例えばクロロ酢酸、フルオロ酢酸、ブロモ酢酸、ヨード酢酸、2-クロロプロピオン酸、3-クロロプロピオン酸、3-クロロアクリル酸、4-クロロ安息香酸;式:HOOC-R2-COOH(式中、R2は単結合または炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す)で示されるジカルボン酸、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、トリメリット酸、ブタンテトラカルボン酸などの多価カルボン酸;式:R3-CO-R4-COOH(式中、R3は水素原子または炭素数1〜12の2価の炭化水素基、R4は炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す)で示されるケト酸またはアルデヒド酸;式:X-OC-R5-COOH(式中、Xはハロゲン原子、R5は単結合または炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す。)で示されるジカルボン酸のモノハライド、例えばコハク酸モノクロリド、マロン酸モノクロリド;無水フタル酸、無水コハク酸、無水シュウ酸、無水マレイン酸、無水ブタンテトラカルボン酸などの酸無水物が挙げられる。
エポキシ基の導入は、例えば、前記のようにアミノ化したカーボン層に適当な多価エポキシ化合物を反応させることによって実施できる。あるいは、カーボン層が含有する炭素=炭素2重結合に有機過酸を反応させることにより得ることができる。有機過酸としては、過酢酸、過安息香酸、ジペルオキシフタル酸、過ギ酸、トリフルオロ過酢酸などが挙げられる。
ホルミル基の導入は、例えば、前記のようにアミノ化したカーボン層に、グルタルアルデヒドを反応させることにより実施できる。
ヒドロキシル基の導入は、例えば、前記のように塩素化したカーボン層に、水を反応させることにより実施できる。
活性エステル基は、エステル基のアルコール側に酸性度の高い電子求引性基を有して求核反応を活性化するエステル群、すなわち反応活性の高いエステル基を意味する。エステル基のアルコール側に、電子求引性の基を有し、アルキルエステルよりも活性化されたエステル基である。活性エステル基は、アミノ基、チオール基、水酸基等の基に対する反応性を有する。さらに具体的には、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、シアノメチルエステル、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等がアルキルエステル等に比べてはるかに高い活性を有する活性エステル基として知られている。より具体的には、活性エステル基としては、たとえばp-ニトロフェニル基、N-ヒドロキシスクシンイミド基、コハク酸イミド基、フタル酸イミド基、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド基等が挙げられ、特に、N-ヒドロキシスクシンイミド基が好ましく用いられる。
活性エステル基の導入は、例えば、前記のように導入したカルボキシル基を、シアナミドやカルボジイミド(例えば、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド)などの脱水縮合剤とN-ヒドロキシスクシンイミドなどの化合物で活性エステル化することにより実施できる。この処理により、アミド結合を介して炭化水素基の末端に、N-ヒドロキシスクシンイミド基等の活性エステル基が結合した基を形成することができる(特開2001-139532)。
プローブを、スポッティング用バッファーに溶解してスポッティング用溶液を調製し、これを96穴もしくは384穴プラスチックプレートに分注し、分注した溶液をスポッター装置等によって担体上にスポッティングすることにより、プローブが担体に固定化されたマイクロアレイを製造することができる。または、スポッティング溶液をマイクロピペッターにて手動でスポッティングしてもよい。
スポッティング後、プローブが担体に結合する反応を進行させるため、インキュベーションを行うことが好ましい。インキュベーションは、通常−20〜100℃、好ましくは0〜90℃の温度で、通常0.5〜16時間、好ましくは1〜2時間にわたって行う。インキュベーションは、高湿度の雰囲気下、例えば、湿度50〜90%の条件で行うのが望ましい。インキュベーションに続き、担体に結合していないDNAを除去するため、洗浄液(例えば、50mM TBS/0.05% Tween20、2×SSC/0.2%SDS溶液、超純水など)を用いて洗浄を行うことが好ましい。
上記のようにして得られたアンプリコンと、担体に固定されたプローブ(メチル化対応プローブと非メチル化対応プローブ)とのハイブリダイゼーション反応を行い、これらメチル化対応プローブと非メチル化対応プローブに対するアンプリコンのハイブリダイズを検出することで、アンプリコンに含まれるCpGアイランドのメチル化を評価することができる。すなわち、メチル化対応プローブや非メチル化対応プローブに対してアンプリコンがハイブリダイズしたことを例えば標識を検出することにより測定できる。
標識からのシグナルは、例えば、蛍光標識を用いた場合は、蛍光スキャナを用いて蛍光シグナル検出し、これを画像解析ソフトによって解析することによりシグナル強度を数値化することができる。ハイブリダイゼーション反応は、好ましくはストリンジェントな条件下で実施する。ストリンジェントな条件とは、特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいい、例えば、50℃で16時間ハイブリダイズ反応させた後、2×SSC/0.2% SDS、25℃、10分および2×SSC、25℃、5分の条件で洗浄する条件をさす。或いは、ハイブリダイズする温度としては、塩濃度が0.5×SSCのとき、45〜60℃とすることができ、プローブの鎖長が短い場合にはハイブリダイズ温度をこれより低くすることがより好ましく、鎖長が長い場合にはハイブリダイズ温度をこれより高くとすることがより好ましい。塩濃度が高くなると特異性を有するハイブリダイズ温度は高くなり、逆に塩濃度が低くなると特異性を有するハイブリダイズ温度は低くなることはいうまでもない。
また、上述したアンプリコンに含まれる複数のメチル化部位のうち1以上のメチル化部位を含む部分領域に対応するプローブセットを備えるマイクロアレイを使用した場合、これらのプローブセットからのシグナル強度を用いてメチル化部位に関するメチル化又は非メチル化を判別することができる。具体的には、一対のプローブセットについて、メチル化対応プローブにおけるシグナル強度及び非メチル化対応プローブにおけるシグナル強度をそれぞれ測定し、メチル化対応プローブに由来するシグナル強度を評価するための判定値を算出する。判定値の算出例としては、例えば、式:[メチル化対応プローブ由来のシグナル強度]/([メチル化対応プローブ由来のシグナル強度]+[非メチル化対応プローブ由来シグナル強度])を使用する方法が挙げられる。この判定値では、完全にメチル化された検体を測定した場合の理論値は1となり、全くメチル化されていない(完全に非メチル化の)検体を測定した場合の理論値は0となる。
そして、上記式にて算出される判定値と予め定めた閾値(カットオフ値)とを比較し、判定値が上限の閾値を上回る場合にはアンプリコンに含まれるCpGアイランドがメチル化されていると判断し、判定値が下限の閾値を下回る値の場合にはアンプリコンに含まれるCpGアイランドがメチル化されていないと判断する。また、判定値が予め定めた上下限の閾値の間である場合、アンプリコンに含まれるCpGアイランドの約半分がメチル化されている(一方のアリルがメチル化されている)と判断することができる。なお、単一の閾値を設定し、この閾値を上回った場合はメチル化されていると判断し、下回った場合はメチル化されていないと判断するようにしてもよい。このように判定値を利用することで、上述したアンプリコンに含まれるCpGアイランドのメチル化を判別することができる。
一例として、上述したように、SNRPN(small nuclear ribonucleoprotein polypeptide N)遺伝子のプロモーター領域に含まれるCpGアイランドについて、上述した方法によりそのメチル化を判定することで、検体を健常検体、プラダーウィリー症候群(PWS)検体及びアンジェルマン症候群(AS)検体のいずれかであるか判断することができる。具体的には、上記判定値が上限の閾値(カットオフ値)を上回る場合、供試した検体をプラダーウィリー症候群(PWS)検体と判断し、上記判定値が下限の閾値を下回る場合、供試した検体をアンジェルマン症候群(AS)検体と判断し、上記判定値が上下限の閾値の間である場合、供試した検体を健常検体と判断することができる。
また、上述したアンプリコンに含まれ互いに異なる複数の部分領域に対応する複数のプローブセットを用いる場合、各々のプローブセットで算出した判定値を組み合わせてメチル化の程度を判断することができる。判定値の組み合わせ方法としては、特に限定されないが、例えば、各プローブセットの判定値の平均値を所定の閾値と比較する方法、複数のプローブセットの判定値のうちひとつでも閾値を越えるものがあるかどうかで判断する方法、閾値を越えるプローブセットの数から判断する方法、複数のプローブセットの中の特定のプローブセット(の組み合わせ)の判定値を用いる方法等を挙げることができる。上述した複数のプローブセットを用いる場合、各々のプローブセットで算出した判定値に対してどのような判定方法を採用するかについては、対象とする遺伝子のCpGアイランドにおけるメチル化と疾患の関連性に即して決めることができる。
一方、本発明に係るメチル化を判別する方法の応用例としては、複数の異なる遺伝子のCpGアイランド同時増幅(multi-plex PCR)によりそれぞれ異なるアンプリコンとして取得し、それぞれのアンプリコンを検出対象とすることもできる。この場合、各アンプリコンに対応するプローブセットを備えたマイクロアレイを用いることにより、複数の異なる遺伝子のCpGアイランドメチル化を同時に判別することができる。この応用例によれば、複数の異なる遺伝子のCpGアイランドメチル化が関連する疾患を高精度に診断することができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
本実施例では、SNRPN(small nuclear ribonucleoprotein polypeptide N)遺伝子のプロモーター領域に含まれるCpGアイランドを一対のプライマーを用いて単一のアンプリコン(295 bp)として増幅し、得られたアンプリコンに含まれるCpGアイランドのメチル化を複数対のプローブセットを使用して判別した。
具体的に、増幅したメチル化体アンプリコンの塩基配列を配列番号1に示した。なお、図1には、このアンプリコンの塩基配列及びこれに含まれる22個の3'-CG-5'からなるジヌクレオチドを示した。これら22個の3'-CG-5'からなるジヌクレオチドに含まれるシトシンがメチル化部位であり、図1において記号B〜Wを付している。また、本実施例で使用した一対のプライマーを表1に示した(Forward primer:配列番号2、Reverse primer:配列番号3)。なお、図1には、これらプライマーに相当する領域に矢印を付した。
Figure 2020162503
表1に示した一対のプライマーは、CpGアイランドに含まれ、メチル化される3'-CG-5'からなるジヌクレオチドを含んでいない。一対のプライマーをこのように設計することによって、ゲノムDNAのメチル化/非メチル化に拘わらず、配列番号1に示した塩基配列からなるアンプリコンを安定して増幅することができる。
本実施例において、鋳型としては、プラダーウィリー症候群(PWS)患者から採取した検体及びアンジェルマン症候群(AS)患者から採取した検体及び健常者から採取した検体のそれぞれから抽出したゲノムDNAを使用した。
本実施例において、抽出したゲノムDNAに対する亜硫酸水素塩処理(バイサルファイト処理)は以下の条件で行った。処理には、EpiTect Bisulfite Kit (QIAGEN社製) を用いた。処理条件は、同キットの添付文書に従った。
次に、亜硫酸水素塩処理後のゲノムDNAを鋳型として核酸増幅反応を行った。核酸増幅反応(PCR)には、BIOTaq HS DNA Polymerase (BIOLINE社製) を用いた。鋳型量は25ngとした。サーマルサイクラーは、Applied Biosystems社製のveritiを用いた。反応条件としては、初期ステップ: 95℃、10分間とし、95℃で30秒、60℃で30秒及び72℃で30秒を1サイクルとして40サイクルを実施し、その後、最終ステップ:72℃、7分間とした。
得られたPCR産物に最終濃度にして、0.75×SSC (saline sodium citrate buffer, 11.3 NaCl, 1.13 sodium citrate、単位:mM)及び0.075% SDS (sodium dodecyl sulfate) となるようにそれぞれの試薬を添加して、ハイブリダイズ反応液を作製した。この液中にDNAチップニードルを浸漬して(55℃、1時間)、インキュベートした。インキュベート終了後、チップを0.1% SDS含有0.5×SSC中で振盪して洗浄した。さらに1.0×SSCで洗浄後、同液に浸漬した状態で蛍光を測定した。
本実施例では、DNAチップとして、表2に示すプローブセットを設計した。なお、表2に示した塩基配列において下線はメチル化部位である3'-CG-5'からなるジヌクレオチドを示している。また、検出対象の欄に記載した記号C〜Uは、図1に記載した記号B〜Wと同じ位置を意味している。
Figure 2020162503
Figure 2020162503
また、ハイブリダイゼーション反応の後の蛍光測定には、自動化測定装置を用いた(東洋鋼鈑製)。測定結果から、露光時間4sの励起光で惹起される蛍光強度を自動計算し(推定蛍光強度法)、判定値の算出に用いた。測定された蛍光強度から、下記の数式によりメチル化程度判定値を算出した。
Figure 2020162503
具体的には、表2に示したプローブについて、それぞれのプローブの蛍光強度を測定し、7つの分割領域それぞれにおいてメチル化プローブ、非メチル化プローブの全ての組み合わせの判定値を算出し、その中で各検体の判定値の分離状態が最も理論値に近く、かつ、バラつきの少ないプローブセットを検査プローブとして採用した。特に結果が良好な組み合わせについて表2中のプローブ名に下線を付した。
本実施例では、一対のプライマーで増幅した単一のアンプリコンを、CDEFを含む第1領域、GHIを含む第2領域、JKを含む第3領域、LMを含む第4領域、NOPを含む第5領域、QRを含む第6領域及びSTUを含む第7領域の7つに分割してメチル化対応プローブと非メチル化対応プローブを設計した。
一例として、第1領域に対応するプローブセットを用いて判定値を測定した結果を図2に、第4領域に対応するプローブセットを用いて判定値を測定した結果を図3に、第5領域に対応するプローブセットを用いて判定値を測定した結果を図4に、第6領域に対応するプローブセットを用いて判定値を測定した結果を図5に、第7領域に対応するプローブセットを用いて判定値を測定した結果を図6示した。
図2〜6に示したように、第1領域に対応するプローブセット(CDEF3とMeCDEF5との組み合わせ)、第4領域に対応するプローブセット(LM1とMeLM1との組み合わせ)、第5領域に対応するプローブセット(NOP4とMeNOP1との組み合わせ)、第6領域に対応するプローブセット(QR2とMeQR1との組み合わせ)及び第7領域(STU2とMeSTU2との組み合わせ)に対応するプローブセットの何れを用いた場合でも、プラダーウィリー症候群(PWS)患者から採取した検体及びアンジェルマン症候群(AS)患者から採取した検体及び健常者から採取した検体を明確に区別できることが明らかとなった。これらの結果から、判定値の値が0.6を超える場合にプラダーウィリー症候群(PWS)の可能性が高いと判断し、判定値の値が0.4未満の場合にアンジェルマン症候群(AS)と判断し、判定値の値が0.4以上0.6以下の場合に健常者と判断することができる。
特に、第7領域に対応するプローブセット(STU2(配列番号62)とMeSTU2(配列番号56)との組み合わせ)を使用した場合には、プラダーウィリー症候群(PWS)患者から採取した検体及びアンジェルマン症候群(AS)患者から採取した検体及び健常者から採取した検体を極めて明確に区別できることが明らかとなった(図6)。プラダーウィリー症候群(PWS)またはアンジェルマン症候群(AS)の診断においては第7領域に対応するプローブセットを単独で使用しても判定可能と考えられる。

Claims (9)

  1. 検体から調整したゲノムDNAを亜硫酸水素塩で処理する工程と、亜硫酸水素塩によって処理されたゲノムDNAを鋳型としCpGアイランドを含む領域を一対のプライマーにより増幅する工程と、増幅で得られるアンプリコンに含まれる複数のメチル化部位のうち1以上のメチル化部位を含む部分領域に対応するプローブセットであって、上記CpGアイランドがメチル化している場合のアンプリコンに対応するメチル化対応プローブと、メチル化していない場合のアンプリコンに対応する非メチル化対応プローブとからなるプローブセットを用いて上記アンプリコンを検出する工程とを含み、上記アンプリコンと上記メチル化対応プローブとのハイブリダイズ、上記アンプリコンと上記非メチル化対応プローブとのハイブリダイズに基づいて上記CpGアイランドにおけるメチル化を判別する方法。
  2. 上記部分領域は、2以上7以下のメチル化部位を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 上記アンプリコンを検出する工程では、上記アンプリコンに含まれ互いに異なる複数の部分領域に対応する複数のプローブセットを用いることを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 上記CpGアイランドは、SNRPN(small nuclear ribonucleoprotein polypeptide N)遺伝子のプロモーター領域に含まれることを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 上記プローブセットを基板に固定したマイクロアレイを使用し、上記アンプリコンを検出することを特徴とする請求項1記載の方法。
  6. 検体から調整したゲノムDNAを亜硫酸水素塩で処理する工程と、亜硫酸水素塩によって処理されたゲノムDNAを鋳型とし、SNRPN(small nuclear ribonucleoprotein polypeptide N)遺伝子のプロモーター領域に含まれるCpGアイランドを含む領域を一対のプライマーにより増幅する工程と、増幅で得られるアンプリコンに含まれる複数のメチル化部位のうち1以上のメチル化部位を含む部分領域に対応するプローブセットであって、上記CpGアイランドがメチル化している場合のアンプリコンに対応するメチル化対応プローブと、メチル化していない場合のアンプリコンに対応する非メチル化対応プローブとからなるプローブセットを用いて上記アンプリコンを検出する工程と、上記アンプリコンが上記メチル化対応プローブと上記非メチル化対応プローブとのいずれもハイブリダイズする場合に上記検体を健常検体とし、上記アンプリコンが上記非メチル化対応プローブよりも上記メチル化対応プローブとハイブリダイズする場合に上記検体をプラダーウィリー症候群(PWS)検体とし、上記アンプリコンが上記メチル化対応プローブよりも上記非メチル化対応プローブとハイブリダイズする場合に上記検体をアンジェルマン症候群(AS)検体と判断する工程とを含む、プラダーウィリー症候群及び/又はアンジェルマン症候群の診断のためのデータ提供方法。
  7. 上記部分領域は、2以上7以下のメチル化部位を含むことを特徴とする請求項6記載のデータ提供方法。
  8. 上記プローブセットを基板に固定したマイクロアレイを使用し、上記アンプリコンを検出することを特徴とする請求項6記載のデータ提供方法。
  9. 上記一対のプライマーは、配列番号2の塩基配列からなるプライマーと配列番号3の塩基配列からなるプライマーであることを特徴とする請求項6記載のデータ提供方法。
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