JPWO2009128511A1 - 有機物被覆合成雲母粉体、その製造方法及びそれを用いた化粧料 - Google Patents

有機物被覆合成雲母粉体、その製造方法及びそれを用いた化粧料 Download PDF

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Abstract

本発明は、合成雲母粉体表面に有機表面処理剤による有機物被覆層が化学的に強固に結合し、使用感と撥水性に優れる有機物被覆合成雲母粉体、さらには、Si−H基を有する有機シリコーンを有機表面処理剤として用いた場合には、Si−H基残存による水素発生もほとんどない有機物被覆合成雲母粉体を提供する。該有機物被覆合成雲母粉体は、合成雲母粉体とアンモニウムイオンとを水中で接触させた後、固液分離により液相を除去し、固相を200℃以下で乾燥してNH3を揮散させる前処理工程と、前処理された合成雲母粉体の表面に有機表面処理剤を付着させた後、焼付け処理して、合成雲母粉体表面に有機物被覆層を形成する被覆工程と、を備える製造方法により得ることができる。

Description

関連出願
本出願は、2008年4月17日付け出願の日本国特許出願2008−107888号の優先権を主張しており、ここに折り込まれるものである。
本発明は有機表面処理剤を合成雲母粉体表面に焼付けて該合成雲母粉体表面に化学的に強固に結合した有機物被覆層を形成した有機物被覆合成雲母粉体及びその製造方法、特に、有機物被覆合成雲母粉体の使用感及び撥水性の改良、さらには、Si−H基を有する有機表面処理剤を用いた場合の残存Si−H基の低減に関する。
雲母粉体は板状粒子であるため、肌上での伸びが良く密着性が高いことから体質顔料の一つとしてファンデーションなどのメーキャップ化粧料に多量配合されている。
現在、雲母は人工的に合成することが可能となっている。天然雲母の結晶構造と同じようにOHを含む合成雲母は加圧下で原料混合物を溶融することが必要であるが、天然雲母結晶中のOHをフッ素で置き換えたフッ素雲母は常圧下で溶融して合成できるので、工業的に合成されている雲母はほとんどがフッ素雲母であり、合成雲母とは通常このようなフッ素雲母を指す。例えば、合成雲母の中でも化粧品によく配合される合成カリウム金雲母[理論式:KMg(AlSi10)F]は、天然金雲母[理論式:KMg(AlSi10)(OH)]のOHがFに置き換えられた構造を有する合成フッ素金雲母である。
合成雲母は天然雲母に比べて不純物を含まないので、天然雲母と比較して白色度が高く色くすみしにくいという特徴を持つ。化粧料分野で使用されている合成雲母においては、現在、溶出フッ素イオンによる安全性や、組成物の品質に対する影響を懸念して、100℃、1時間の熱水溶出試験におけるフッ素イオン溶出量が20ppm以下であることが使用基準とされている。このため、化粧料用途で使用される場合は合成雲母のフッ素イオンの溶出を抑えるために、600〜1350℃にて加熱することが行われる(特許文献1)。
しかしながら、合成雲母粉体をこのように高温加熱してフッ素イオン溶出量を低減すると、表面活性も低下する。これは、合成雲母表面の再結晶化もしくは非晶質化が起こり、その表面に吸着していたOH基が減少することが一つの原因として考えられる。このため、合成雲母粉体は天然雲母に比して有機表面処理剤との反応性が低く、十分な撥水性を付与することが困難であった。
例えば、顔料などの粉体をファンデーションなどのメーキャップ化粧料に配合する場合、皮脂や汗に対してのぬれ防止、すなわち化粧崩れしにくいように、粉体表面に有機シリコーンやシランカップリング剤などの疎水性の有機表面処理剤を付着させ、これを焼付けて有機表面処理剤の架橋重合と粉体表面への結合を行い、撥水性を付与することが行われている。
しかしながら、このような有機表面処理剤による被覆処理を上記のような表面活性が低い合成雲母粉体に行った場合には、有機表面処理剤が粉体表面と結合反応しにくく、十分な撥水性が得られない。また、焼付け温度を上げたり、あるいは焼付け時間を長くしたりして合成雲母粉体表面と有機表面処理剤との結合反応を進めようとしても、有機表面処理剤同士の架橋重合反応が促進されて被覆層中の有機鎖が減少し、その結果、使用感が低下するだけで、十分な撥水性は得られなかった。
有機表面処理剤として代表的なものとして、Si−H基を有する有機シリコーン(オルガノハイドロジェンポリシロキサン)がある。Si−H基を有する有機シリコーンを焼付けると、Si−H基が無機粉体表面に吸着しているOH基と反応して化学結合により強固に固定され、また、Si−H基同士やSi−H基とSi−CH基などの有機シリル基との反応、さらにはSi−CH基同士の反応により有機シリコーン同士が架橋重合し、最終的に粉体表面に化学的に結合した有機物被覆層が形成されると考えられている。
Si−H基を有する有機シリコーンを用いた場合、上記のような合成雲母粉体に対しても撥水性を付与できる場合がある。
しかしながら、撥水性が付与できたとしても、被覆層中にSi−H基が残存するため、経時的に水素ガスを発生して製品容器の膨張や製品の変質など、製品安定性において問題を生じた。そして、Si−H基の残存を低減しようと高温及び/又は長時間の焼付け処理を行うと、被覆層中の有機鎖が減少し、使用感や撥水性が低下してしまうという問題があった。
特許文献2では、空気中、加熱温度が200℃程度ではSi−H基が完全になくならず、500℃以上の加熱ではシリコーン燃焼によりシリカに変換されて疎水性が低下することから、260〜500℃で加熱することが提案されている。そして、このような温度範囲で焼付け処理することで、水素発生量が0.1ml/g未満、水に対する接触角が110度以上のシリコーン被覆されたマイカあるいは金雲母が得られている。しかしながら、特許文献2には、シリコーン被覆された合成雲母の実施例は記載されていない。
合成雲母粉体は上記のように天然雲母よりも表面活性が低いため、例えば特許文献2のように260〜500℃で焼付け処理しても水素発生量を0.1ml/g以下にまで抑制することが困難であったり、例え抑制できたとしても過剰な焼付けによる架橋重合反応の促進によって被覆層中の有機鎖が減少してカサついた硬い使用感になり、撥水性も不十分になったりするという問題があった。また、製造コストの点からは、できるだけ低温・短時間での焼付けが望まれる。
一方、特許文献3には、活性化された無機粉体基剤に撥水撥油剤と反応性助剤とからなる被覆層を焼付けてなる被覆粉体が記載され、無機粉体の表面活性化が100〜1000℃の加熱により可能であることが記載されている。
しかしながら、上記のように、合成雲母粉体では加熱処理により活性化することはできず、かえって表面活性が低下する。
また、特許文献3には、加熱によって活性化した無機粉体基剤に対し、必要に応じてアルカリ又は酸でエッチング又は官能基導入することによって、撥水撥油剤や反応性助剤との反応を更に起こしやすくすることが可能であるとも記載されている。
しかしながら、本発明者等の検討によれば、合成雲母粉体をKOHなどのアルカリで処理した場合には、有機表面処理剤を焼付けた後の使用感や撥水性が著しく低下し、クエン酸などの酸で処理した場合には、合成雲母粉体のフッ素イオン溶出性が著しく増大して合成雲母粉体の品質が損なわれてしまうことが明らかとなった。
特公平7−115858号公報 特開2001−262004号公報 特許第2597492号明細書
本発明は前記背景技術に鑑みなされたものであり、その目的は、合成雲母粉体表面に有機表面処理剤による有機物被覆層が化学的に強固に結合し、使用感と撥水性に優れる有機物被覆合成雲母粉体を提供することであり、さらには、Si−H基を有する有機シリコーンを有機表面処理剤として用いた場合には、Si−H基残存による水素発生がほとんどなく、しかも使用感及び撥水性にも優れる有機物被覆合成雲母粉体を提供することである。
前記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討を行った結果、アンモニウムイオンを用いて合成雲母粉体表面を前処理すると表面活性が向上し、比較的低温で容易に有機表面処理剤と反応して、柔らかで非常に良好な使用感と高い撥水性とを兼ね備える有機物被覆合成雲母粉体が得られることを見出した。また、Si−H基を有する有機シリコーンを用いた場合には、柔らかで非常に良好な使用感と高い撥水性とを兼ね備えるとともに、水素発生の懸念もない有機物被覆合成雲母粉体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる有機物被覆合成雲母粉体の製造方法は、
合成雲母粉体とアンモニウムイオンとを水中で接触させた後、固液分離により液相を除去し、固相を200℃以下で乾燥してNHを揮散させる前処理工程と、
前処理された合成雲母粉体の表面に有機表面処理剤を付着させた後、焼付け処理して、合成雲母粉体表面に有機物被覆層を形成する被覆工程と、
を備えることを特徴とする。
また、本発明は、前記方法において、アンモニウムイオン供給源が、NH又は水溶性アンモニウム塩であることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体の製造方法を提供する。
また、本発明は、前記何れかに記載の方法において、合成雲母粉体に対しアンモニウムイオンを窒素換算で1〜30質量%用いることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体の製造方法を提供する。
また、本発明は、前記何れかに記載の方法において、有機表面処理剤が、有機シリコーン、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、又はパーフルオロアルキルアルコキシシランであることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体の製造方法を提供する。
また、本発明は、前記何れかに記載の方法において、焼付け温度が100〜260℃であることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体の製造方法を提供する。
また、本発明は前記何れかに記載の方法において、有機表面処理剤が有機シリコーンであり、焼付け温度が170〜260℃であることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体の製造方法を提供する。
また、本発明は、前記何れかに記載の方法において、有機表面処理剤がSi−H基を有する有機シリコーンを含むことを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体の製造方法を提供する。
また、本発明は、前記何れかに記載の方法において、有機表面処理剤中における[Si(R)O]単位:[SiH(R)O]単位(Rはそれぞれ同一又は異なる一価炭化水素基)のモル比が1:0.05〜1:0.30の範囲にあることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体の製造方法を提供する。
また、本発明は前記方法において、Rがメチル基であることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体の製造方法を提供する。
また、本発明は、前記何れかに記載の方法において、
前処理される合成雲母粉体が、100℃、1時間の熱水溶出試験におけるフッ素イオン溶出量が20ppm以下で、250℃でのt−ブタノール分解率が20%未満であり、
前処理された合成雲母粉体が、100℃、1時間の熱水溶出試験におけるフッ素イオン溶出量が20ppm以下で、250℃でのt−ブタノール分解率が20%以上であることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体の製造方法を提供する。
また、本発明は前記何れかに記載の方法において、前処理工程において合成雲母粉体表面の層間陽イオンの20%以上を除去することを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体の製造方法を提供する。
本発明は、前記何れかに記載の方法で得られた有機物被覆合成雲母粉体であって、該有機物被覆合成雲母粉体中の炭素量が、焼付け前の有機表面処理剤付着合成雲母粉体中の炭素量の40〜60質量%であることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体を提供する。
また、本発明は、前記有機物被覆合成雲母粉体において、有機表面処理剤としてSi−H基を有する有機シリコーンを用い、且つ有機物被覆合成雲母粉体の水素発生量が0.1ml/g未満である有機物被覆合成雲母粉体を提供する。
本発明は、有機表面処理剤を合成雲母粉体表面に付着させた後で焼付けることにより得られた有機物被覆合成雲母粉体であって、
有機物被覆合成雲母粉体中の炭素量が、焼付け前の有機表面処理剤付着合成雲母粉体中の炭素量の40〜60質量%であることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体を提供する。
また、本発明は、前記有機物被覆合成雲母粉体において、有機表面処理剤が、有機シリコーン、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、パーフルオロアルキルアルコキシシランであることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体を提供する。
また、本発明は、前記何れかに記載の有機物被覆合成雲母粉体において、有機表面処理剤がSi−H基を有する有機シリコーンを含み、且つ有機物被覆合成雲母粉体の水素発生量が0.1ml/g未満である有機物被覆合成雲母粉体を提供する。
また、本発明は、前記有機物被覆合成雲母粉体において、有機表面処理剤中における[Si(R)O]単位:[SiH(R)O]単位(Rはそれぞれ同一又は異なる一価炭化水素基)のモル比が1:0.05〜1:0.30の範囲にあることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体を提供する。
また、本発明は、前記有機物被覆合成雲母粉体において、Rがメチル基であることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体を提供する。
また、本発明は、前記何れかに記載の有機物被覆合成雲母粉体において、100℃、1時間の熱水溶出試験におけるフッ素イオン溶出量が20ppm以下であることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体を提供する。
本発明にかかる化粧料組成物は、前記何れかに記載の有機物被覆合成雲母粉体を用いたことを特徴とする。
本発明にかかる有機表面処理剤被覆処理用合成雲母粉体は、100℃、1時間の熱水溶出試験におけるフッ素イオン溶出量が20ppm以下であり、且つ250℃でのt−ブタノール分解率が20%以上であることを特徴とする。
また、本発明は、前記有機表面処理剤被覆処理用合成雲母粉体において、合成雲母粉体表面の層間陽イオンの20%以上が除去されていることを特徴とする有機表面処理剤被覆処理用合成雲母粉体を提供する。
本発明によれば、合成雲母粉体をアンモニウムイオンで前処理して合成雲母粉体表面を活性化させるので、比較的低温で容易に有機表面処理剤が反応する。このため、過剰な焼付けをせずとも被覆層が粉体表面に強固に結合するとともに、被覆層中には有機鎖が比較的多く残存する。その結果、柔らかで非常に良好な使用感と高い撥水性とを有する有機物被覆合成雲母粉体を得ることができる。また、有機表面処理剤がSi−H基を有する有機シリコーンの場合には、Si−H基残存による水素発生量を0.1ml/g未満にまで低減しながら、有機鎖が比較的多く残存した被覆層が強固に形成されるので、Si−H基残存による経時的な水素発生の問題がなく、柔らかで非常に良好な使用感と高い撥水性とを有する有機物被覆合成雲母粉体が得られる。また、本発明の前処理や被覆処理によってフッ素イオン溶出量が増大することもないので、フッ素イオン溶出量が20ppm以下の有機表面処理剤被覆処理用合成雲母粉体を得ることができる。よって、本発明の有機シリコーン被覆合成雲母粉体は、化粧料組成物に特に好適に使用できる。
アンモニア又はKOHで前処理した合成雲母粉体、あるいは前処理なしの合成雲母粉体にSi−H基を有する有機表面処理剤を焼付け処理した場合の、焼付け時間と(a)水素発生量、ならびに(b)C量残存率との関係を示す図である。 炭酸アンモニウムで前処理した合成雲母粉体にSi−H基を有する有機表面処理剤を焼付け処理した場合の、焼付け温度、焼付け時間と(a)水素発生量、ならびに(b)C量残存率との関係を示す図である。
合成雲母粉体のアンモニアによる前処理における、乾燥温度と得られた有機物被覆合成雲母粉体のC量残存率との関係を示す図である。 天然無機粉体に対してアンモニアによる前処理を行った場合のC量残存率、水素発生量への影響を示す図である。 前処理工程において固液分離による液相の除去を行わなかった場合のC量残存率、水素発生量を示す図である。
本発明にかかる有機物被覆合成雲母粉体は、合成雲母粉体表面に、有機表面処理剤を焼付けて、有機物被覆層を形成したものであり、有機物被覆層が合成雲母粉体表面に化学的に強固に結合し、しかも被覆層中に有機鎖が比較的多く残存しているため、カサつきのない柔らかな使用感と高い撥水性とを兼ね備えている。
このような有機物被覆合成雲母粉体は、後述のように、合成雲母粉体をアンモニウムイオンで前処理した後、有機表面処理剤で被覆処理することにより得ることができる。
本発明にかかる有機物被覆合成雲母粉体中の炭素量は、焼付け前の有機表面処理剤付着合成雲母粉体中の炭素量の40〜60質量%、さらには45〜60質量%が好適である。
炭素量が40%未満になると粉体のカサつきが感じられるようになり、撥水性も低下する。また60%より多い場合は、アンモニウムイオンで前処理したものでも、合成雲母と有機表面処理剤の結合が不十分で撥水性に劣る場合がある。
また、有機表面処理剤がSi−H基を有する有機シリコーンである場合、次のような特徴を有することが好適である。
(a)有機物被覆合成雲母粉体中の炭素量が、焼付け前の有機表面処理剤付着合成雲母粉体中の炭素量の40〜60質量%、さらには45〜60質量%である。
(b)有機物被覆合成雲母粉体の水素発生量が0.1ml/g未満である。
炭素量が40%未満になると粉体のカサつきが感じられるようになり、撥水性も低下する。また60%より多い場合は、アンモニウムイオンで前処理したものでも、水素発生量が0.1ml/g以上となってしまうことがある。
本発明にかかる有機物被覆合成雲母粉体は、次のように合成雲母粉体をアンモニウムイオンで前処理した後、有機表面処理剤で被覆処理することにより得ることができる。
<前処理工程>
合成雲母粉体をアンモニウムイオンと水中で接触させた後、固液分離により液相を除去し、得られた固相を200℃以下で乾燥してNHを揮散させる。
このような前処理工程により、合成雲母粉体の表面活性が向上する。例えば、t−ブタノール分解率を表面活性の指標とした場合、化粧品原料として通常用いられている合成雲母粉体のt−ブタノール分解率は通常5%以下、多くても10%であるのに対し、これをアンモニウムイオンで前処理した場合にはt−ブタノール分解率を20%以上、さらには35%以上とすることができる。
代表例を挙げて説明すると、まず合成雲母粉体を水中に投入してスラリーを調製する。スラリー中の合成雲母粉体濃度は特に制限されないが、通常1〜30質量%とすることが好適である。
その後、スラリーにアンモニウムイオン供給源を投入する。アンモニウムイオン供給源としては、200℃以下で粉体表面から揮散可能なものが好ましく、例えば、アンモニアの他に、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、蟻酸アンモニウム、酢酸アンモニウムなどの水溶性アンモニウム塩が挙げられるが、好ましくはアンモニア、炭酸アンモニウム又は炭酸水素アンモニウムである。本発明においては、アンモニウムイオン供給源の1種類以上を用いることができる。
アンモニウムイオン供給源は、合成雲母粉体に対して窒素換算で1〜30質量%、さらには1〜20質量%使用することが好ましい。少なすぎる場合には、本発明の効果が十分に得られず、一方、過剰に配合してもそれに見合った効果の向上は期待できず、アンモニウム塩の揮散に長時間を要することがある。
なお、アンモニウムイオン供給源は予め水溶液としてから投入してもよい。また、合成雲母粉体とアンモニウムイオンとの接触は、アンモニウムイオン供給源の水溶液に合成雲母粉体を添加してスラリーとすることによっても行うこともできる。
合成雲母粉体とアンモニウムイオンとの接触は、通常、室温で1〜10分間程度行えば十分である。アンモニウムイオンとの接触により、合成雲母粉体表面の層間陽イオンの少なくとも一部がアンモニウムイオンで置換されるものと考えられる。
その後、固液分離して液相を除去し、得られた固相を200℃以下で乾燥する。固液分離の方法は、特に制限されず、ろ過や遠心分離など、公知の方法を採用できる。液相の除去により、アンモニウムイオンによって置換された層間陽イオンや過剰なアンモニウムイオンが系外に除去される。このとき、反応性向上の点から、合成雲母粉体表面の層間陽イオンの20%以上が除去されることが好ましい。
また、乾燥により、合成雲母粉体表面で置換・吸着していたアンモニウムイオンはアンモニアとして除去され、合成雲母粉体の表面に反応点(OH基)が生成する。このとき、乾燥温度が高すぎると合成雲母表面に生成した反応点が消失してしまい、本発明の効果が得られない。よって、乾燥温度は200℃以下、さらには180℃以下が好ましい。なお、乾燥方法として、減圧乾燥、凍結乾燥などを行うこともできる。
また、合成雲母表面にアンモニウムイオンが残存すると、有機表面処理剤を焼付けした際に有機表面処理剤同士の架橋重合反応が促進され、C量残存率が低下し、撥水性や使用感が不十分となる。よって、前処理工程において、合成雲母表面のアンモニウムイオンを完全に除去しておくことが重要である。
本発明において原料となる合成雲母粉体としては公知のものを用いることができ、溶融法、水熱法、固体間反応法など何れの製法で得られたものでも使用できる。通常、良質の結晶の合成雲母粉体は、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、フッ素等を含有する化合物を一定の割合で混合し、これを溶融、晶出、冷却後、機械的粉砕を行い、熱処理、水洗、乾燥することにより得られる。
合成雲母は下記一般式で示すことができる。
1/3〜12〜3(Z10)F
(式中XはNa、K、Li、Ca2+、Rb、Sr2+からなる群より選ばれる1種以上のイオンを表わし、YはMg2+、Fe2+、Ni2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Li、からなる群より選ばれる1種以上のイオンを表し、ZはAl3+、Si4+、Ge4+、Fe3+、B3+からなる群より選ばれる1種以上のイオンを表す。)
具体的には、例えば次のようなものが挙げられる。
KMg(AlSi10)F カリウム金雲母
KMg2 1/2(Si10)F カリ四ケイ素雲母
KMgLi(Si10)F カリウムテニオライト
2/3Mg2 1/3Li2/3(Si10)F
NaMg(AlSi10)F ナトリウム金雲母
NaMgLi(Si10)F ナトリウムテニオライト
NaMg2 1/2(Si10)F ナトリウム四ケイ素雲母
Na1/3Mg2 2/3Li1/3(Si10)F ナトリウムヘクトライト
合成雲母粉体の一般的製造方法は、溶融合成法によって得られる数mm〜数cmの層状結晶体を乾式の粉砕機、例えばジョークラッシャー、ハンマークラッシャーで粗粉砕後、さらに微粉砕機で粉砕したものである。例えば合成フッ素金雲母の場合、無水ケイ酸約40部、酸化マグネシウム約30部、酸化アルミニウム約13部及びケイフッ化カリウム約17部を混合した後1,400〜1,500℃で溶融し、更に1,300〜1,400℃で晶出して合成フッ素金雲母を得る。得られた合成フッ素金雲母の鉱塊を粉砕し、必要とすれば分級して合成雲母粉体が得られる。
また、化粧料用途においては、100℃、1時間の熱水溶出試験におけるフッ素イオン溶出量が20ppm以下の合成雲母粉体を使用する。フッ素イオン溶出量を20ppm以下に低減する方法としては公知の技術を利用することができる。例えば、好適な方法の一つとして、前記特許文献1のように600〜1350℃の高温で加熱処理する方法が挙げられる。
本発明の前処理工程、ならびに後述する被覆処理工程はフッ素イオン溶出量に影響を及ぼさず、原料合成雲母粉体のフッ素イオン溶出量が維持される。
本発明に用いる合成雲母粉体の粒径は特に制限されず適宜選択可能であるが、一般的には平均粒子径が5〜50μm、アスペクト比2〜300のものが好適に用いられる。
<被覆処理工程>
被覆処理工程においては、上記のように前処理した合成雲母粉体表面に、有機表面処理剤を付着させた後、加熱により焼付け処理し、有機物被覆合成雲母粉体を得る。
有機表面処理剤を合成雲母粉体表面に付着させる方法としては特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、合成雲母粉体に有機表面処理剤を混合、噴霧、あるいは浸漬する方法が挙げられる。あるいは、有機表面処理剤を揮発性溶媒に溶解し、これを合成雲母粉体と混合、噴霧、あるいは浸漬した後、揮発性溶媒を揮散させてもよい。また、付着を均一とするために、適当な機械的混合手段(例えば、ニーダーやボールミルなど)を用いて攪拌を行うこともできる。付着は、通常室温で行えばよい。
有機表面処理剤としては、撥水処理剤として公知のものを用いることができる。例えば、有機シリコーン、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、パーフルオロアルキルアルコキシシランなどが挙げられる。また、有機表面処理剤は2種以上の化合物からなる混合物であってもよい。
具体例を挙げると、有機シリコーンとしてはジメチコン、メチコン、(ジメチコン/メチコン)コポリマー、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン、(アクリレーツ/アクリル酸トリデシル/メタクリル酸トリエトキシシリルプロピル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマーやPEG−11メチルエーテルジメチコン、ポリグリセリル−3ジシロキサンジメチコン、(ステアロキシメチコン/ジメチコン)コポリマー、PEG/PPG−10/3オレイルエーテルジメチコン等の変性シリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、メチルフェニルシリコーン、ジメチコンクロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマー等のアクリルシリコーン、(アミノエチルアミノプロピルメチコン/ジメチコン)コポリマー等のアミノ変性シリコーンが挙げられる。
シランカップリング剤としてはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、トリエトキシカプリリルシラン等が挙げられる。
チタネートカップリング剤としてはイソプロポキシチタニウムトリステアレート、トリイソプロポキシチタニウムイソステアレート、イソプロポキシチタニウムトリパルミチレート、イソプロポキシチタニウムトリミリスチレート等が挙げられる。
アルミネートカップリング剤としてはアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
パーフルオロアルキルアルコキシシランとしてはトリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
このような有機表面処理剤を従来の合成雲母粉体に被覆した場合、合成雲母表面の反応性が低いため撥水性が十分得られず、有機表面処理剤の反応を進めよう長時間及び/又は高温の焼付けを行っても、有機物被覆層中の有機鎖が減少して使用感が低下するだけで、十分な撥水性を得ることが困難であった。
本発明の特定の方法で前処理された合成雲母粉体では表面の反応性が高められているため、このような有機表面処理剤でも比較的低温で短時間に反応し、有機鎖の残存率が比較的高く維持された被覆層が強固に形成されるので、柔らかな使用感と撥水性とを有する有機物被覆合成雲母粉体を得ることができる。
焼付け温度は、通常100℃〜260℃の範囲で設定することができるが、有機表面処理剤としてシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、パーフルオロアルキルアルコキシシランを用いる場合は焼付け温度としては、100℃〜170℃が好ましい。低すぎると有機表面処理剤が十分反応せず撥水性が得られないことがある。一方、高すぎると有機表面処理剤同士の架橋重合反応が過剰に進行してC量残存率が低下し、その結果使用感がカサついて硬くなり、撥水性も低下する。
有機表面処理剤が有機シリコーンである場合、焼付け温度は170〜260℃が好ましい。低すぎると有機表面処理剤が十分反応せず撥水性が得られないことがある。あるいは、Si−H基を有する有機シリコーンの場合には、焼付け温度が低すぎるとSi−H基が十分に低減できず、0.1ml/g未満にすることができない。一方、高すぎると有機シリコーン同士の架橋重合反応が過剰に進行してC量残存率が低下し、その結果使用感がカサついて硬くなり、また撥水性も低下する。
Si−H基を有する有機シリコーンとしては、公知のものを用いることができ、2種以上のシリコーン化合物からなる混合物であってもよい。好適な例としては有機シリコーン中における[Si(R)O]単位:[SiH(R)O]単位のモル比が1:0.05〜1:0.30の範囲にあるものが挙げられる。Rは、オルガノハイドロジェンポリシロキサンに通常使用される一価炭化水素基であり、例えば炭素数1〜6の炭化水素基が挙げられ、代表的にはメチル基、フェニル基などが挙げられる。本発明においては、特にメチル基であることが好適である。
このような有機シリコーンコーティング剤として、例えば、下記式(1)で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
Figure 2009128511
(式中、m+n=20〜30であり、m:n比が1:0.05〜1:0.30である。)
また、有機シリコーンとして、Si−H基を1個以上有する重合度30以下のメチルハイドロジェンポリシロキサンと、Si−H基を有していないジメチルポリシロキサンとの混合物であって、混合物全体として[Si(CHO]単位:[SiH(CH)O]単位のモル比が1:0.05〜1:0.30の範囲にあるものも使用できる。
このような有機シリコーンは有機鎖含有率は高いものの、Si−H基含有率は小さいために比較的反応性が低い。そのため、従来の合成雲母粉体に被覆した場合、Si−H基が残存しやすく、水素発生量を低減しようとすれば長時間及び/又は高温の焼付けが必要となり、その結果、被覆層中の有機鎖が減少して良好な使用感や十分な撥水性を得ることが困難であった。
本発明の方法で前処理された合成雲母粉体では表面の反応性が高められているため、このような有機シリコーンであっても比較的低温で短時間にSi−H基が反応して消費され、有機鎖の残存率が比較的高く維持された有機物被覆層が粉体表面に強固に形成されるので、柔らかな使用感と撥水性とを有する有機物被覆合成雲母粉体を得ることができる。
有機表面処理剤の使用量は特に制限されないが、合成雲母表面全体を被覆し得る量を用いることが好ましい。通常は、原料合成雲母粉体100質量%に対して有機表面処理剤を0.5〜10質量%、好ましくは1〜5質量%用いる。使用量が少なすぎると、撥水性が不十分となることがある。一方、過剰に用いても効果の増大は期待できず、かえって合成雲母粉体に付着させる際に合成雲母粉体粒子の凝集を引き起こして、得られた有機物被覆合成雲母粉体の感触が損なわれることがある。また、Si−H基を有する有機シリコーンの場合には過剰に用いると0.1ml/g以下にすることが困難なことがある。
以上のようにして得られた本発明の有機物被覆合成雲母粉体では、有機物被覆層が粉体表面に強固に結合して剥離せず、しかも有機物被覆層中の有機鎖の残存率が比較的高い。よって、カサつきや硬さのない柔らかな使用感を有し、撥水性にも優れる。また、Si−H基を有する有機シリコーンを用いたとしても、Si−H基がほどんど残存しないので、経時的な水素発生もない。
また、フッ素イオン溶出量が20ppm以下の合成雲母粉体を出発原料として用いれば、前処理や被覆処理によるフッ素イオン溶出量の増大がないので、フッ素イオン溶出量が20ppm以下に維持できる。
従って、本発明の有機シリコーン被覆合成雲母粉体は化粧料用途に好適に使用でき、特に、ファンデーションやフェイスパウダーなどのメークアップ化粧料において有用である。
以下、具体例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本発明で用いた試験方法は次の通りである。
試験方法
(表面活性)
内径4mmのパイレックス(登録商標)ガラス管に粉体20mgを石英ウールで固定し、250℃でt-ブタノールを0.3μl通し、その分解率を測定した。なお分析には島津製作所製ガスクロマトグラフGC−14Bを用いて、カラムPEG−20M(3mm×2m)、カラム温度80℃、流速30ml/分にて窒素をキャリアーガスとした。表面活性の評価は、t−ブタノール分解率で示した。分解率の値が大きければ表面活性が高く、値が小さければ表面活性が低いことを意味する。
(水素発生量)
常温、大気圧下にて、容器に有機シリコーン被覆合成雲母粉体10gを入れ、ベンゼンを5ml添加し、その後、閉鎖系にて26質量%水酸化カリウム・エタノール溶液を滴下することで水素ガスを発生させ、該被覆粉体の単位質量当たりの水素ガス発生量(ml/g)を算出した。
(C量残存率)
有機表面処理剤被覆合成雲母粉体0.1gをニッケルカプセルに封入し、セラミック坩堝にタングステン助燃剤とともにいれ、堀場製作所製高周波誘導加熱炉方式炭素・硫黄分析装置EMIA-520にて粉体中の炭素量を測定した。使用した有機表面処理剤の量から算出した焼付け前の炭素量に対し、C量残存率(質量%)を算出した。
(フッ素イオン溶出量)
医薬部外品原料規格2006の溶出フッ素量の測定に準じ、被験粉体5gをフラスコにとり、水100mlを加えて1時間加熱還流し、ろ過液にランタン・アリザリンコンプレクソン試薬およびアセトン、水を加え調整した後、吸光度を測定し、ブランクと比較することで被験粉体質量に対するフッ素イオン溶出量(ppm)を算出した。
(使用感)
肌上での使用感を次の基準で評価した。
○:良好(カサつきや硬さがなく、柔らかさに優れる)
△:やや不良(カサつきや硬さがやや感じられ、柔らかさに劣る)
×:不良(カサつきや硬さが感じられ、柔らかさがない)
(撥水性)
密封可能な蓋つき試験管にイオン交換水10mlを入れ、その中に粉体試料0.1gを添加する。手振盪し、静置した後、1日後のにごり具合を撥水性とし評価する。評価基準は以下のとおり。
○:良好(気液界面に粉体が集合し、水相が透明である。)
△:やや不良(水相がやや濁っている。一部粉体が沈降している場合もある)
×:不良(水相が濁っている。一部粉体が水相に浮遊しているが大部分が沈降している、もしくは全粉体が沈降している)
また、各試験で行った前処理、被覆処理は、次の方法に準じて行ったものである。
(1)前処理
合成フッ素金雲母粉体(トピー工業(株)製PDM−10S、平均粒子径:12μm、フッ素溶出量:14ppm)100gと水900gとを混合し、攪拌してスラリーを調製した。これに、前処理剤を添加して、室温で10分間攪拌した。その後、ろ過により固液分離して液相を除去し、得られた固相を150℃で3時間乾燥し、水分ならびにNHを揮散させた。
(2)被覆処理
有機表面処理剤3gを溶媒3gに溶解し、合成雲母乾燥粉体97gに添加して混合し、粉体に均一に付着させた。これを230℃で焼付け処理して、有機物被覆合成雲母粉体を得た。
試験例1 前処理なしの場合
表1は、前処理を行わずに被覆処理を行って得られた有機物被覆合成雲母粉体のC量残存率、水素発生量、使用感、撥水性である。
なお、有機表面処理剤として、メチルハイドロジェンポリシロキサン(信越化学工業(株)製 KF−9901、重合度:20〜30(規格値))0.55gとジメチルポリシロキサン(信越化学工業(株)製 KF−96A−30cs、重合度:約20)2.45gとの混合物([Si(R)O]単位:[SiH(R)O]単位=1:0.11(モル比))を用い、溶媒としてイソプロピルアルコールを用いた。
Figure 2009128511
表1のように、通常の合成雲母粉体をSi−H基を有する有機シリコーンで被覆処理すると使用感や撥水性が良好なものを得ることができたとしても水素発生量が多い。また、水素発生量を0.1ml/g未満にしようとすると、有機表面処理剤同士の架橋重合反応により被覆層中の有機鎖が減少し、使用感、撥水性が低下してしまう。
そこで、合成雲母粉体の前処理について検討を行った。
試験例2 前処理剤の影響
表2に、各種前処理剤で処理して得られた合成雲母粉体のt−ブタノール分解率とフッ素イオン溶出量を評価した結果を示す。用いた前処理剤と使用量は次の通りである。
25%アンモニア水:合成雲母に対して窒素換算で0.5、1、10、30質量%
炭酸水素アンモニウム:合成雲母に対して窒素換算で10質量%
炭酸アンモニウム:合成雲母に対して窒素換算で10質量%
水酸化カリウム:合成雲母に対して10質量%
クエン酸:合成雲母に対して10質量%
Figure 2009128511
試験例2−10のように、前処理剤を用いなかった場合には、表面活性はほとんど認められない。
これに対し、試験例2−1〜試験例2−7のようにアンモニウムイオンで前処理をしたものは、前処理剤の種類によらず表面活性が向上し、特に合成雲母に対し窒素換算で1〜30質量%のアンモニウムで前処理した場合には、表面活性が顕著に向上した。また、前処理によるフッ素イオン溶出量の増大は認められなかった。
また、試験例2−8のように前処理剤に水酸化カリウムを用いたものも、アンモニウムイオンを用いたものと同様に、フッ素イオン溶出量の増大なしに表面活性の向上効果が認められた。
一方、試験例2−9のように前処理剤としてクエン酸を用いたものは表面活性の向上効果は見られず、フッ素イオン溶出量が大幅に増大してしまった。
次に、前処理して得られた合成雲母乾燥粉体を被覆用粉体として用い、前記試験例1と同様に被覆処理を行って、有機物被覆合成雲母粉体を得た。表3に230℃で1時間焼付けた結果を示す。
Figure 2009128511
表3のように、前処理剤を用いなかった場合、230℃1時間の焼付け処理では、使用感や撥水性は良好であったものの、水素発生量が多い(試験例2−10a)。
これに対して、アンモニア、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウムで前処理した合成雲母粉体を用いた場合には、230℃1時間の焼付け処理で、使用感や撥水性が良好で、しかも水素発生量が0.1ml/g未満と極めて低い有機物被覆合成雲母粉体が得られた(試験例2−3a、試験例2−5a〜2−7a)。
一方、KOHで前処理した合成雲母粉体を用いた場合には、水素発生量が0.1ml/g未満の有機物被覆合成雲母粉体が得られたものの、その感触は硬く、カサカサしており、また撥水性がなくなってしまった(試験例2−8a)。
このように、アンモニウムイオンで合成雲母粉体を前処理して表面を活性化することにより、使用感と撥水性が非常に良好で、しかも水素発生のない有機物被覆合成雲母粉体を容易に得ることができることが明らかとなった。
試験例3 水素発生量とC量残存率
図1は、試験例2において焼き付け時間を変えて、得られた有機物被覆合成雲母粉体の(a)水素発生量、及び(b)C量残存率について調べた結果である。
図1からもわかるように、前処理なしの場合(試験例2−10a)、焼付け時間を長くすると水素発生量が徐々に低下し、10時間の焼付けで水素発生量を0.1ml/g未満にまで低減できた。よって、前処理なしでも、焼付け処理を長時間行えば水素発生量を十分に低減できるが、焼付け時間の増大に伴ってC量残存率も徐々に低下してしまい、10時間の焼付けでは40%を下回ってしまった。前記表1に示されるように、C量残存率が40%を下回ると、カサつきや硬さが感じられ、柔らかな感触に劣るようになり、また、撥水性も低下した。
これに対して、アンモニアで前処理した場合(試験例2−3a)には、1時間の焼付けで水素発生量が0.1ml/g未満まで速やかに低下した。このとき、C量残存率は、焼付け前の約50%程度にまで低下したものの、焼付け時間が長くなってもそれ以上は低下せずに一定に保持され、良好な使用感と撥水性が維持された。なお、炭酸水素アンモニウムや炭酸アンモニウムで前処理した場合でもアンモニアで前処理した場合と同様の傾向が認められた。
一方、KOHを用いて前処理を行った場合(試験例2−8a)には、アンモニア処理と同様に1時間の焼付けで水素発生量を0.1ml/g未満にまで低減することができたが、同時に残存C量が焼付け前の約10%にまで著しく低下してしまい、使用感及び撥水性が顕著に低下した。
このような現象を生じる理由については明らかではないが、例えば次のように推察することができる。すなわち、前処理なしの場合、合成雲母粉体表面の反応性が低いため、Si−H基が残存してしまう。そして、Si−H基を低減するためには過剰な焼付けが必要となり、有機シリコーン同士の架橋重合が過剰に進行してC量残存率が低下する。
これに対して、アンモニウムイオンで前処理した場合には、合成雲母粉体表面が活性化されるため、Si−H基は粉体表面で容易に反応して消費され、結果として有機シリコーン同士の過剰な架橋重合が抑制されるので、Si−H基の低減とC量の残存が達成される。
一方、KOHを用いて前処理した場合には、強アルカリであるKOHが粉体表面に残留してしまう。このため、KOHが触媒として機能し、焼付け処理において有機シリコーン同士の架橋重合が著しく促進されるためにC量残存率が著しく低下し、ほとんどシリカに近い組成になってしまったものと考えられる。
試験例4 焼付け温度
図2は、試験例2−7a(前処理剤:炭酸アンモニウム)において、焼付け温度および時間を変えた場合の、水素発生量(a)、及びC量残存率(b)である。
図2からわかるように、焼付け温度が300℃の場合、1時間の焼付けで水素発生量を0.1ml/g未満にまで低減することができたが、同時にC量残存率が焼付け前の約25%にまで著しく低下してしまい、使用感及び撥水性が不十分となった。
一方、焼付け温度が150℃の場合、15時間以上焼き付けても水素発生量を0.1ml/g未満に低減することができなかった。
これに対して、焼付け温度が170〜260℃の場合には、比較的短時間(例えば10時間以内)のうちに、水素発生量を0.1ml/g未満にまで低減でき、且つC量残存率を焼付け前の40%以上に維持でき、良好な使用感及び撥水性が得られた。
よって、有機シリコーンの場合、0.1ml/g未満の水素発生量と、良好な使用感及び撥水性を兼ね備えた有機物被覆合成雲母粉体を得るために、焼付け温度は170〜260℃の範囲が好適である。
また、下記表4のように、C量残存率が低下すると使用感も低下し、C量残存率が40%を下回ると、カサつきや硬さが感じられ、柔らかな感触に劣るようになった。また、C量残存率が低下すると撥水性も低下する。
よって、C量残存率は40%以上、さらには45%以上であることが好適である。
一方、図1〜2からもわかるように、C量残存率を過剰に高く維持しようとすると水素発生量を0.1ml/g未満とすることができなくなるので、C量残存率は60%以下とすることが好ましい。
Figure 2009128511
試験例5 有機表面処理剤
試験例2−3aにおいて、シリコーン混合物の代わりに、[Si(R)O]単位:[SiH(R)O]単位=1:0.11(モル比)、重合度25であるメチルハイドロジェンポリシロキサン単体を用いて、有機物被覆合成雲母粉体(試験例2−3b)を得た。
その結果、表5のように、C量残存率、水素発生量、使用感、撥水性の何れの面においても、メチルハイドロジェンポリシロキサン+ジメチルポリシロキサン混合シリコーンを用いた場合(試験例2−3a)との差は認められなかった。
このように、Si−H基を有する有機シリコーンを有機表面処理剤として用いる場合には、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン混合物でも、メチルハイドロジェンポリシロキサン単体でも、[Si(R)O]単位:[SiH(R)O]単位のモル比をあわせることで同等に使用できる。
Figure 2009128511
また、下記表6は、試験例2−3a(前処理剤:アンモニア)、又は試験例2−10a(前処理剤なし)において、Si−H基を有していない有機シリコーンを用いて230℃で1時間焼付け処理を行った結果である(ただし、有機シリコーンではない有機表面処理剤を用いた試験例2−3f〜2−3g及び試験例2−10f〜2−10gは120℃、1時間)。
表6のように、従来の表面活性が低い合成雲母粉体を用いた場合には、何れの有機表面処理剤で被覆処理しても撥水性の高い有機物被覆合成雲母粉体は得られなかった(試験例2−10c〜試験例2−10g)。そして、表7からもわかるように、焼付け温度を高くしたり、焼付け時間を長くしても、有機鎖が減少して使用感の低下を招くだけで撥水性は向上しなかった。これは、有機表面処理剤の架橋重合のみが促進されて、粉体表面への被覆層の結合は促進されないためと考えられる。
これに対して、本発明の方法で前処理した表面活性の高い合成雲母粉体では、C量残存率が40〜60%で良好な使用感を有し、しかも撥水性にも優れる有機物被覆合成雲母粉体を容易に得ることができた(試験例2−3c〜試験例2−3g)。
また、試験例2−3f〜2−3gのようなシランカップリング剤では、より低い温度で焼付けることも可能であった。
Figure 2009128511
Figure 2009128511
試験例6 前処理における層間陽イオンの除去
前処理が合成雲母表面に対してどのような作用を及ぼしているのかを調べるために、前記試験例2の前処理で除去した液相中の溶存元素を分析した。また、溶存元素濃度は、Siは重量法、その他の元素はICP発光分析法により求めた。結果を表8に示す。
Figure 2009128511
表8のように、アンモニウムイオンによる前処理(NH、炭酸アンモニウム)では、純水で処理した場合と比べて、合成雲母内部の八面体構成元素(Mg、Al)の溶出量はさほど差異がないのに対し、合成雲母表層部の四面体構成元素(Si)や四面体層表面に吸着している層間陽イオン(K)の溶出量が多かった。
一方、クエン酸処理の場合では、内部元素(Mg、Al)、表層部元素(K、Si)の何れも溶出量が多くなっていた。
このことから、酸処理では合成雲母表面[(001)面]だけでなくその端面にも作用してしまうために、端面からフッ素イオンが溶出しやすくなるのに対し、アンモニウムイオン処理では合成雲母表面にのみ作用するために、フッ素イオン溶出にはほとんど影響を及ぼさないものと考えられた。
また、前処理の廃液中(約0.9L)に溶出してきたK原子が、合成雲母表面に存在するK原子数全体に占める割合を算出したところ、表9に示すように、アンモニウムイオン処理では合成雲母表面のK原子の30%以上が除去されていた。これは、粉体表面のKイオンがアンモニウムイオンで置換され、遊離したKイオンが液相除去によって系外に除去されたものと考えられる。
合成雲母粉体表面に吸着している層間陽イオンは、有機表面処理剤が四面体層へ接近する上での障害となる。よって、反応点形成作用に加えて、アンモニウムイオン処理による層間陽イオン除去作用も、合成雲母粉体表面と有機表面処理剤との反応性向上に寄与しているものと推察される。
従って、合成雲母粉体表面の層間イオンの20%以上、さらには30%以上を前処理で除去することが好ましい。
Figure 2009128511
試験例7 前処理における乾燥温度
図3は、前処理における乾燥温度を変えた場合の、C量残存率の変化を示す図である。なお、図3において、前処理で用いたNH濃度は合成雲母粉体に対して2.2質量%又は4.6質量%(N換算で1.8質量%又は3.8質量%)であった。その他の条件は、焼付け時間を5時間としたことを除き、前記試験例2−3aと同様である。
図3からわかるように、スラリーを脱水した後の乾燥温度が高すぎると、得られた有機物被覆合成雲母粉体中のC量残存率が著しく減少した。
これについて明確な理由はわかっていないが、例えば次のように推察することができる。すなわち、アンモニウムイオンとの接触により合成雲母表面に生成した反応点が高温乾燥によって減少し、合成雲母粉体の表面活性が低下する。さらに、前記試験例6のように、アンモニウムイオンによる前処理で合成雲母粉体表面の層間陽イオン(カリウムイオン)は除去されて障害が少なくなっている。このような合成雲母粉体に有機表面処理剤を焼付けた場合には、有機表面処理剤同士で反応しやすくなって、C量残存率が低下するのではないかと考えられる。
以上のことから、本発明の前処理においては低温でNHを揮散させることが重要であり、200℃以下、さらには180℃以下で乾燥することが好適である。
試験例8 天然無機粉体との比較
図4は、試験例2−3aにおいて、合成雲母粉体の代わりに天然の無機粉体(セリサイト、タルク)を用いた場合の結果である。
図4のように、天然無機粉体に対して本発明の前処理を行っても、得られた有機物被覆粉体のC量残存率、水素発生量にはほとんど影響は認められなかった。
試験例9 固液分離の影響
試験例2−3aにおいて、NHによる前処理工程でろ過による固液分離を行わずにそのまま150℃で乾燥した以外は同様にして、有機物被覆合成雲母粉体を得た。
その結果、図5のように、NHで前処理しても固液分離による液相の除去を行わなかった場合(試験例9)、そのC量残存率、水素発生量は、前処理なしの場合(試験例2−10a)と同様の挙動を示し、効果が見られなかった。これは、液相の除去による合成雲母表面のKイオン除去が十分に行われなかったためと推察される。
配合例1 パウダリーファンデーション
上記試験例2−3a、および比較としてC量残存率が低い試験例2−8a、及び試験例2−7aの有機物被覆合成雲母粉体を被験粉体として用い、固型のパウダリーファンデーションを作成した。処方は次の通り。
<処方>
(1)被験粉体 55質量部
(2)酸化チタン 7
(3)白雲母 3
(4)タルク 20
(5)ナイロンパウダー 2
(6)赤色酸化鉄 0.5
(7)黄色酸化鉄 1
(8)黒色酸化鉄 0.1
(9)シリコーンオイル 1
(10)パルチミン酸2−エチルヘキシル 9
(11)セスキオレイン酸ソルビタン 1
(12)防腐剤 0.3
(13)香料 0.1
<製法>
上記成分1〜8をヘンシェルミキサーで混合し、この混合物に加熱溶解混合した成分9〜13を添加混合した後、パルベライザーで粉砕し、これを150kg/cm2の圧力で直径53mmの中皿に成形して、パウダリーファンデーションを得た。
(使用性評価)
上記の処方にて作成したファンデーションについて、それぞれの試料を肌上に塗布したときの柔らかさ及び肌上でののびを15名のパネラーにより、下記1−5の5段階で官能評価を行った。
1・・・悪い
2・・・やや悪い
3・・・普通
4・・・やや良い
5・・・良い
結果は15名の5段階評価の平均値として、下記のようにして評価した。
◎・・・・4.5−5.0
○・・・・3.5−4.4
□・・・・2.5−3.4
△・・・・1.5−2.4
×・・・・1.0−1.4
Figure 2009128511
表10からもわかるように、本発明の有機物被覆合成雲母粉体(試験例2−3a)を用いて作成したファンデーションは、比較例の粉体(試験例2−8a、試験例2−7a)を用いた場合に比して、非常に柔らかくてのびがよく、感触に優れていた。
配合例2 乳化ファンデーション
上記試験例2−3a、および比較として水素発生量の高い試験例2−7a及びC量残存率が低い試験例2−7aの有機物被覆合成雲母粉体を被験粉体として用い、乳化ファンデーションを作成した。被験処方は次の通り。
<処方>
(A) シクロペンタシロキサン 14.38質量部
ジメチルポリシロキサン(10cs) 12.00
スクワラン 4.00
トリオクタノイン 3.00
トコフェロール 適量
ジステアリルジモニウムヘクトライト 0.20
(B) 撥水性処理酸化チタン 7.00
撥水性処理赤色酸化鉄 0.20
撥水性処理黄色酸化鉄 1.00
撥水性処理黒色酸化鉄 0.20
被験粉体 15.00
(C) イオン交換水 31.70
クエン酸三ナトリウム 2.00
1.3−ブチレングリコール 5.00
パラベン 適量
グリセリン 3.00
<製法>
成分(A)を加熱溶解後、成分(B)の粉体を添加しホモミキサーにて分散させた。さらに予め溶解・加熱しておいた成分(C)を添加し、ホモミキサーにて乳化し、室温まで冷却して乳化ファンデーションを作成した。
(使用性評価)
密封容器内で50℃にて1ヶ月保持した上記乳化ファンデーションについて、上記配合例1と同様の評価基準で柔らかさ、化粧持ちの官能評価をおこなった。また、容器の変化についても調べた。
Figure 2009128511
表11からもわかるように、本発明の有機物被覆合成雲母粉体(試験例2−3a)を用いて作成した乳化ファンデーションは、試験例2−7aに比較して、非常に柔らかくて化粧もちもよかった。また、試験例2−7aとは異なり、水素発生が原因である容器の膨張も認められなかった。
有機表面処理剤としては、撥水処理剤として公知有機シリコーン、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、パーフルオロアルキルアルコキシシラン挙げられる。また、有機表面処理剤は2種以上の化合物からなる混合物であってもよい。

Claims (22)

  1. 合成雲母粉体とアンモニウムイオンとを水中で接触させた後、固液分離により液相を除去し、固相を200℃以下で乾燥してNHを揮散させる前処理工程と、
    前処理された合成雲母粉体の表面に有機表面処理剤を付着させた後、焼付け処理して、合成雲母粉体表面に有機物被覆層を形成する被覆工程と、
    を備えることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体の製造方法。
  2. 請求項1記載の方法において、アンモニウムイオン供給源が、NH又は水溶性アンモニウム塩であることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載の方法において、合成雲母粉体に対しアンモニウムイオンを窒素換算で1〜30質量%用いることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体の製造方法。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の方法において、有機表面処理剤が、有機シリコーン、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、又はパーフルオロアルキルアルコキシシランであることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体の製造方法。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の方法において、焼付け温度が100〜260℃であることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体の製造方法。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の方法において、有機表面処理剤が有機シリコーンであり、焼付け温度が170〜260℃であることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体の製造方法。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載の方法において、有機表面処理剤がSi−H基を有する有機シリコーンを含むことを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体の製造方法。
  8. 請求項6又は7記載の方法において、有機表面処理剤中における[Si(R)O]単位:[SiH(R)O]単位(Rはそれぞれ同一又は異なる一価炭化水素基)のモル比が1:0.05〜1:0.30の範囲にあることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体の製造方法。
  9. 請求項8記載の方法において、Rがメチル基であることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体の製造方法。
  10. 請求項1〜9の何れかに記載の方法において、
    前処理される合成雲母粉体が、100℃、1時間の熱水溶出試験におけるフッ素イオン溶出量が20ppm以下で、250℃でのt−ブタノール分解率が20%未満であり、
    前処理された合成雲母粉体が、100℃、1時間の熱水溶出試験におけるフッ素イオン溶出量が20ppm以下で、250℃でのt−ブタノール分解率が20%以上であることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体の製造方法。
  11. 請求項1〜10の何れかに記載の方法において、前処理工程において合成雲母粉体表面の層間陽イオンの20%以上を除去することを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体の製造方法。
  12. 請求項1〜11の何れかに記載の方法で得られた有機物被覆合成雲母粉体であって、該有機物被覆合成雲母粉体中の炭素量が、焼付け前の有機表面処理剤付着合成雲母粉体中の炭素量の40〜60質量%であることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体。
  13. 請求項12記載の有機物被覆合成雲母粉体において、有機表面処理剤としてSi−H基を有する有機シリコーンを用い、且つ有機物被覆合成雲母粉体の水素発生量が0.1ml/g未満である有機物被覆合成雲母粉体。
  14. 有機表面処理剤を合成雲母粉体表面に付着させた後で焼付けることにより得られた有機物被覆合成雲母粉体であって、
    有機物被覆合成雲母粉体中の炭素量が、焼付け前の有機表面処理剤付着合成雲母粉体中の炭素量の40〜60質量%であることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体。
  15. 請求項14記載の有機物被覆合成雲母粉体において、有機表面処理剤が、有機シリコーン、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、パーフルオロアルキルアルコキシシランであることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体。
  16. 請求項14又は15記載の有機物被覆合成雲母粉体において、有機表面処理剤がSi−H基を有する有機シリコーンを含み、且つ有機物被覆合成雲母粉体の水素発生量が0.1ml/g未満である有機物被覆合成雲母粉体。
  17. 請求項16記載の有機物被覆合成雲母粉体において、有機表面処理剤中における[Si(R)O]単位:[SiH(R)O]単位(Rはそれぞれ同一又は異なる一価炭化水素基)のモル比が1:0.05〜1:0.30の範囲にあることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体。
  18. 請求項17記載の有機物被覆合成雲母粉体において、Rがメチル基であることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体。
  19. 請求項12〜18の何れかに記載の有機物被覆合成雲母粉体において、100℃、1時間の熱水溶出試験におけるフッ素イオン溶出量が20ppm以下であることを特徴とする有機物被覆合成雲母粉体。
  20. 請求項12〜19の何れかに記載の有機物被覆合成雲母粉体を用いたことを特徴とする化粧料組成物。
  21. 100℃、1時間の熱水溶出試験におけるフッ素イオン溶出量が20ppm以下であり、且つ250℃でのt−ブタノール分解率が20%以上であることを特徴とする有機表面処理剤被覆処理用合成雲母粉体。
  22. 請求項21記載の粉体において、合成雲母粉体表面の層間陽イオンの20%以上が除去されていることを特徴とする有機表面処理剤被覆処理用合成雲母粉体。
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