JPWO2009050945A1 - スピンバルブ素子 - Google Patents

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Abstract

スピンバルブ素子に流せる電力を増大するために、絶縁体層24または非磁性層51が強磁性体層23,25によって挟持されて、微細孔を複数有する多孔質層10(10´)を一方の強磁性体層に接するように、または、その強磁性体層との間に他の層を置いて配置する。これにより、広い領域の単一の磁区の磁性多層膜を用いなくても、例えば、スピンパブル素子によってマイクロ波を発振させる際にマイクロ波の電力を大きくすることができる。

Description

本発明は、スピンバルブ素子に関する。より具体的には、本発明は、トンネル磁気抵抗効果(TMR)または巨大磁気抵抗効果(GMR)を応用したスピンバルブ素子に関する。
近年、ナノエレクトロニクスの進展に伴い、微小サイズの磁性材料固有の物理現象を応用した製品の開発が進められている。それらのうち、特に、磁性材料の自由電子が持つスピンを利用するスピンエレクトロニクス分野が急速に発展している。
スピンエレクトロニクス分野の中で、現在最も実用可能性が高いと見られているのは、強磁性層、絶縁層、強磁性層の順に積層配置された磁性多層膜において生じるトンネル磁気抵抗(TMR:Tunnel Magneto−Resistance)効果、または強磁性層、非磁性層(導電層)、強磁性層の積層構造において生じる巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magneto−Resistance)効果を応用したスピンバルブ素子である。
図3及び図4は、従来のスピンバルブ素子の構成を示す断面図である。このうち図3にはTMRを利用したスピンバルブ素子の基本構成部分を示す。これは、1層の絶縁体層24と該絶縁体層を挟む強磁性層23(固定層)と25(フリー層)が基板5の上に構成された構成を有しており、必要に応じて、電極層21、27、反強磁性層(ピン止め層)22、キャッピング層26などがさらに付加される。固定層23の磁化は反強磁性層22との磁気結合などによりその向きが固定されている。この素子に固定層23からフリー層25に向かって電子を流すと、フリー層25のスピンには固定層23の磁化に対して平行となろうとするトルクが働く。また、また逆にフリー層25から固定層23に向かって電子を流すと、フリー層25のスピンには固定層23の磁化に対して反平行になろうとするトルクが働く。この作用により、フリー層25の電流の向きによりフリー層25の磁化方向を制御することが可能となる(スピン注入磁化反転)。なお、絶縁体層24を挟む強磁性層23(固定層)と25(フリー層)の膜端部からの漏洩磁界による交換結合を抑制するため、絶縁体層24より上側の部分は基板側よりも充分小さくし、その周囲に絶縁膜30を形成するのが一般的である。これらの構造を形成するには幾つかの方法があるが、例えば基板から電極27までの積層膜を形成後、ネガレジスト塗布とフォトリゾグラフ手法による露光処理後、イオンミリングにより絶縁体層24の上の部分を切り出し、その後、SiO2被覆等により絶縁層30を形成し、リフトオフ後に配線31を施す。後述する理由から、従来の構造ではこの面内の方向の大きさは超微小サイズ(〜150nm以下)にする必要があり電子ビーム露光など、高額の設備が用いられている。
また図4にはGMRを利用したスピンバルブ素子の基本構成部分を示す。図3のTMRを利用した素子との違いは絶縁体層24を非磁性層51に置き換えたことであり、それ以外の機能は基本的に同じである。
これらの技術の応用としては、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM:Magnetic Random Access Memory)が最も注目を浴びており、従来のDRAM(Dynamic Random Access Memory)やSDRAM(Synchronous DRAM)の代替として注目されている。
また、これらのスピンバルブ素子に電流と外部磁場を同時に印加すると、マイクロ波の発振が生じることが知られている(例えば、非特許文献1)。この例としては、電流の向きについては、フリー層25のスピンに対して働くトルクが固定層23の磁化と反平行となるように電流を流すこととし、外部磁場については、フリー層25のスピンに対して働くトルクが固定層23の磁化と平行となるようにする。この場合、両者のトルクが拮抗する条件において、マイクロ波領域の高周波を発振させることができる。
加えて、2つの素子を隣接して形成し、これらに適当な電流と外部磁場を印加すると、両者の発振周波数と位相が揃って周波数幅が狭まり、さらに、その際のマイクロ波の出力も増大することが報告されている(例えば、非特許文献2)。この現象は位相ロッキング現象と呼ばれ、メカニズムは未だ明確ではないが、各素子で発生する高周波磁場の相互作用に起因すると推定されており、出力増大の手段として注目されている。
なお、ハードディスク装置の磁気記録媒体としてパターンを形成して記録密度を高めるための技術として、特許文献1(特開2006−75942号公報)には、金属ナノピラーを用いることが開示されている。また、非特許文献3には、アルミニウム膜からポーラスアルミナの膜を作製する際にポーラス孔のサイズ、ピッチおよび深さを外部条件の操作により制御することが開示されている。そして、非特許文献4には、ハードディスクの所謂ビットパターンドメディアへの適用を目指して開発が進められている。
特開2006−75942号公報 S. I. Kiselev, et al, "Microwave oscillations of a nanomagnet driven by a spin-polarized current", Nature, Vol.425, p. 380 (2003) S. Kaka, et al, "Mutual phase-locking of microwave spin torque nano-oscillators", Nature, Vol.437, p. 389 (2005) 益田秀樹、「陽極酸化アルミナにもとづく高規則性メタルナノホールアレー」固体物理、第31巻、第5号、p.493、1996年 X. M. Yang, et al, "Nanoscopictemplates using self-assembled cylindrical diblockco-polymers for patterned media", J. Vac. Sci. Technol. B, Vol.22, p. 3331 (2004)
しかしながら、上記マイクロ波発振素子の発振出力は、多くの報告例ではTMRを用いた場合で0.16μW程度、GMRを用いた場合で10pW程度にとどまっており、実用とするには微小である。出力を増大させる最も簡便な手段は素子を大面積化することであるが、これは以下の理由により困難である。即ち、スピンバルブ素子において、スピン注入磁化反転に必要なスピンの一斉回転を容易にするには、磁性膜の磁区が単一であることが必要である。例えば、図3および4における左右の絶縁膜30の間によって周囲が規定される磁性膜において単一の磁区が得られるように、左右の絶縁膜30により規定される大きさを小さくする必要がある。このように、素子の大きさは磁壁が存在しない大きさ以下とすることが求められるが、この大きさは、材料や形状により変わるものの、おおよそ150nm程度である。従来の1個のスピンバルブ素子の大きさはこの寸法より大きくすることが出来ない。
1個のスピンバルブ素子の大きさに上限があることから、大きな出力を得るには、多数の微小素子を集積化する必要がある。集積化の手段としてはフォトリソグラフィー法が最も一般的であり、かつ高精度であるが、超微小サイズ(〜150nm以下)の磁性体の作製には電子ビーム露光など、高額の設備投資が必要であり、製品が高コストになるという問題があった。
本発明は上記事情に鑑み、多数のスピンバルブ素子を集積化し、大出力のマイクロ波発振素子を低コストで提供することを目的とする。
本発明のある形態においては、絶縁体層と該絶縁体層を挟持する第1および第2の強磁性層との少なくとも3層を含む磁性多層膜と、該第1の強磁性層に接してまたは該第1の強磁性層との間に他の層を間において配置され、複数の微細孔を有する多孔質層とを備えてなる磁性素子であって、前記磁性多層膜の前記第1の強磁性層に対する電気的な接続が前記多孔質層の前記微細孔を介してなされ、前記第2の強磁性層に対してもう一つの電気的な接続が設けられる、磁性素子が提供される。
さらに本発明の他の形態においては、非磁性体層と該非磁性体層を挟持する第1および第2の強磁性層との少なくとも3層を含む磁性多層膜と、該第1の強磁性層に接してまたは該第1の強磁性層との間に他の層を間において配置され、複数の微細孔を有する多孔質層とを備えてなる磁性素子であって、前記磁性多層膜の前記第1の強磁性層に対する電気的な接続が前記多孔質層の前記微細孔を介してなされ、前記第2の強磁性層に対してもう一つの電気的な接続が設けられる、磁性素子が提供される。
また、本発明では、前記多孔質層が、陽極酸化により作製されたポーラスアルミナ層であるとすることができる。さらに、本発明では、前記多孔質層において互いに隣接している微細孔のそれぞれの中心間の距離を1000nm以下とすること、あるいは、多孔質層の微細孔の直径(相当径)を100nm以下とすることができる。加えて、本発明では、多孔質層をナノインプリント法を利用して形成されることができる。
本発明によれば、多数のスピンバルブ素子を集積化することができる。これにより、例えば、大出力のマイクロ波発振素子を低コストで提供することができる。
本発明における第1の実施形態のスピンバルブ素子の縦断面図。 本発明における第1の実施形態のスピンバルブ素子の横断面図(図1のA−A’断面)。 従来のTMRを利用したスピンバルブ素子の基本構成部分を示す縦断面図。 従来のGMRを利用したスピンバルブ素子の基本構成部分を示す縦断面図。 本発明における第2の実施形態のスピンバルブ素子の縦断面図。 本発明における第3の実施形態のスピンバルブ素子の縦断面図。
符号の説明
5 基板
10 ポーラスアルミナ層
10´ ポーラスポリマー層
11 電極層
110 電極層
12 微細孔
13 耐熱性をもつ電極
21 電極層
22 反強磁性層(ピン止め層)
23 強磁性層(固定層)
24 絶縁体層
25 強磁性層(自由層)
26 キャッピング層
27 電極層
30 絶縁層
31 配線
40 微細孔間隔
41 微細孔直径
51 非磁性層
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1、2は本発明のスピンバルブ素子における第1の実施形態の基本構成を示すものであり、それぞれ基板に垂直な面において切断した縦断面図と平行な面において切断した横断面図である。
[第1実施形態]
第1の実施形態のスピンバルブ素子は、基板5上に、電極層21、反強磁性層(ピン止め層)22、強磁性層23(固定層)、絶縁体層24、強磁性層25(フリー層)、キャッピング層26、電極層27が順次積層されてなるTMR層に、例えば陽極酸化により作製され複数の微細孔12を有するポーラスアルミナ層10と、ポーラスアルミナ層10上と微細孔12内に形成された電極層11からなる。
TMRを用いるスピンバルブ素子を構成する材料を例示すれば、基板5としてシリコン基板、ガラス基板を用いることができ、電極層21、27、11としてタンタル(Ta)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)を用いることができ、反強磁性層22として、IrMn、PtMnを用いることができ、強磁性層23(固定層)としてCo、CoFe、CoFeBを用いることができ、絶縁体層24としてAl23、MgOを用いることができ、強磁性層25(フリー層)としてCo、CoFe、CoFeB、NiFeを用いることができ、そして、キャッッピング層26としてCu、Pdを用いることができる。しかしながら、基板や各層の材料がこれに限定されるものではない。これらを積層後、各層の結晶性や固定層の磁気異方性を調整するため、磁場中アニールを施すことが有効である。また必要に応じて、強磁性層23(固定層)や強磁性層25(フリー層)を、例えばCoFeB/Ru/CoFeBなど反強磁性結合膜とすることも可能である。ここで、斜線(/)によって区切った材質の記載は、各材質の膜をこの順に積層して構成される積層体であることを意図している。
アルミニウム膜に陽極酸化処理を施してポーラスアルミナ層を得る技術は既に工業化されている技術であるが、本発明に必要なナノオーダーサイズの微細孔を作製する技術は、近年、ハードディスクの記録ドット形成技術として開発が進められている段階で未だ実用化はされていない。この技術では、基本的にはポーラス孔のサイズ、ピッチおよび深さを外部条件の操作により制御する(例えば、非特許文献3)。この方法によれば、ナノサイズの微細孔を図2に示すように2次元的に稠密に形成することが出来る。とりわけ、ポーラスアルミナ層は高い耐熱性を持つので、後述するようなスピンバルブ構造に必要なアニール工程に対しても充分な耐久性があり、プロセス上好適である。
多孔質層の微細孔の間隔は任意に選択が可能であるが、スピンバルブ間の位相ロッキングにより出力の増大効果を得るには1000nm以下、望ましくは500nm以下であることが望ましい。また、多孔質層の微細孔の直径(相当径)は、微細孔の大きさが100nm以下、望ましくは50nm以下であることが望ましい。これらの数値の原理的根拠は未だ不明確であるが、本願発明者らは、微細孔の間隔についてはスピンバルブ素子間の相互作用距離、微細孔の直径については個々のスピンバルブ素子での単磁区形成の容易さに関連するものと推測している。また、多孔質層の微細孔の深さは直径の3倍以下であることが望ましい。これは、特に電極層11を真空蒸着法等、比較的指向性の高い成膜法で形成する際、孔深部での成膜性を確保するためである。
なお、上述の相当径とは、ある形状を近似する円の直径に相当する長さのことであり、形状の大きさの比較などの目的のために用いられる。相当径としては、投影面積円相当径、投影周長円相当径、外接および内接円相当径などを含む。ある形状に対して互いに異なる複数の相当径が得られる場合には、それらのうちの最小のものを、本発明の好ましい態様における微細孔の相当径として選ぶ。また、図1、5、6には、反強磁性層22が明示されるが、これを用いず、固定相の膜厚をフリー層の膜厚より大きくして、固定相の保持力をフリー層より大きくすることによっても本実施の形態のスピンバルブ素子を実施することができる。
ポーラスアルミナ層10の作製方法としては、まずアルミニウム膜をスパッタ法などにより形成する。この際、必要に応じて不活性ガス、もしくは真空中で400〜500℃での熱処理を施すと結晶粒が粗大化され、結晶粒界が少なくなり、ポーラスアルミナ層の微細孔の配列に高い秩序が生じ得る。その後、H3PO4、H2SO4の水溶液(燐酸、硝酸)などを用いて電解研磨を行って表面を平坦化する。陽極酸化処理を行う。この処理では、例えば電解液(化成液)としてシュウ酸を用い、化成電圧を30〜60V程度の定電圧下で行うことにより、微細な穴が規則的に配列して高密度に形成されるようになる。この微細な穴の配列の規則化は、陽極酸化時間の経過に伴って進行するので、長時間陽極酸化処理することにより、高度に規則化して高密度に配置された微細な穴を形成することができる。
陽極酸化処理により形成される微細孔の間隔は、印加電圧で制御することが可能であり、電圧あたりの間隔はおよそ2.8nm/Vとなる。即ち、化成電圧を40Vとした場合は112nm程度の間隔となる。また、微細孔の間隔と直径の比率は、電解液と処理温度に依存するが、おおよそ1.5〜5程度の範囲で得ることが出来る。電解液としてシュウ酸を用いた場合は4.9程度であり、従って化成電圧を40Vとした場合は23nm程度の直径となる。
以上のようにして得られるポーラスアルミナ層10においては、多数の微細な穴が規則的に配列するように形成され、穴はポーラスアルミナ層10の表面に対して垂直に形成される。その段階では穴の底部が閉じられており、穴は円柱状の空間となっている。図1に示すようにこの穴を貫通させるには、陽極酸化処理の後に、H3PO4への浸漬処理などを施す必要がある。その後、ポーラスアルミナ層10の複数の微細孔12内に電気メッキ等の方法により金属材料を充填して電極11を形成する。
[第2実施形態]
第2の実施形態のGMRを利用するスピンバルブ素子の構造を図5に示す。第2の実施形態のスピンバルブ素子は、絶縁体層24の代わりに該非磁性層51を用いた以外は第1の実施形態と同様の構成とし、巨大磁気抵抗効果を示すGMRを利用した以外は第1の実施形態と同様のものである。
[第3実施形態]
第3の実施形態のスピンバルブ素子の構造を図6に示す。本実施形態は、基板5上に電極11とポーラスアルミナ層10を先に形成した後、その上にGMR素子構造を作製するものである。即ち、第3の実施形態のスピンバルブ素子は、基板5の上に電極11を形成した後、ポーラスアルミナ層10の複数の微細孔12内に電極110を電気メッキ等の方法により充填し、必要に応じて表面を化学研磨などにより平坦化した後、第2の実施形態と同様のGMR層を上下逆向きに形成する。なお、図6では電極27を省いた構造を示している。また、図1、5、6には、反強磁性層22が明示されるが、これを用いず、固定相の膜厚をフリー層の膜厚より大きくして、固定相の保持力をフリー層より大きくすることによっても本実施の形態のスピンバルブ素子を実施することができる。
以上の第1〜第3の実施形態においては、陽極酸化法により作製されたポーラスアルミナを用い、その微細孔に電極を形成することにより、多数のスピンバルブ素子を容易に集積化することが出来る。
次に、多孔質層としてポーラスポリマー層を用いる本発明の第4〜7の実施形態について説明する。説明のための図面は、上述の第1〜3の実施形態の説明に用いた図1、2、5、6を用いる。
[第4の実施形態]
図1、2は、第4の実施形態のスピンバルブ素子の構造も示している。この実施形態においては、基板5上に、電極層21、反強磁性層(ピン止め層)22、強磁性層23(固定層)、絶縁体層24、強磁性層25(フリー層)、キャッピング層26、電極層27が順次積層されてなるTMR層に、複数の微細孔12を有するポーラスポリマー層10と、ポーラスポリマー層10上と微細孔12内に形成された電極層11からなる。
TMRを用いるスピンバルブ素子を構成する材料は、第1の実施形態に示したものと同様である。追加として、電極21、26、11といてアルミニウムを用いることができる。
樹脂自己組織化を利用してポーラスポリマー層を作成する技術は、近年、ハードディスクの所謂ビットパターンドメディアへの適用を目指して開発が進められている(例えば非特許文献4)。この技術は、基本的には2種類以上の相溶しないポリマーの溶液を基板上に塗布し、熱処理によりポリマーを相分離させた後、一方のポリマーを化学的手段などにより除去することで微細孔構造を得るものである。通常、この方法により、数10nm径の微細孔を数10nmピッチで得ることが出来る。
第4の実施形態においては、第1の実施形態と同様に、多孔質層の微細孔の間隔を選択することができる。この際、スピンバルブ間の位相ロッキングにより出力の増大効果が得られるため、この間隔(隣接する微細孔の中心間の距離)は、1000nm以下、望ましくは500nm以下であることが望ましい。また、多孔質層の微細孔の直径(相当径)は、100nm以下、望ましくは50nm以下であることも位相ロッキングによる出力の増大効果を得るために望ましい。なお、第4の実施形態の位相ロッキングの現象において、これらの数値が望ましくなる原理的根拠は未だ不明確であるが、本願発明者らは、微細孔の間隔についてはスピンバルブ素子間の相互作用距離、微細孔の直径については個々のスピンバルブ素子での単磁区形成の容易さに関連するものと推測している。
第4の実施形態においては、第1の実施形態と同様に、多孔質層の微細孔の深さは直径の3倍以下であることが望ましい。
樹脂の自己組織化を利用したポーラスポリマー層10´の作製方法をより詳細に示せば、例えばポリスチレン−メチルメタクレート−コポリマー(PS−PMMA co−polymer)をトルエン等の溶剤に溶解させ、これをスピンコートなどの方法で基板上に塗布する。ここで、コポリマーの成分はPS:PMMA=70:30程度とするのが多孔質構造を得るには好適である。スピンコート条件や溶液濃度は目的とするポーラスポリマー層10´の膜厚によって適宜調整することが出来るが、例えば40〜50nmの厚さを得るには、スピンコート回転数1800〜2400rpm、固形分濃度1〜3重量%が望ましい。その後、真空中、170℃で数時間のアニールを行うと、ポリスチレン(PS)とポリメチルメタクレート(PMMA)が相分離する。一方のポリマー(上記材料ではPMMA)を選択的に除去することにより多孔質構造を得る。上記組成の場合は、紫外光を照射してPMMAを劣化させた後、氷酢酸と水で洗浄して除去することで、直径20nmの孔をおよそ40nmピッチで得ることが出来る。
なお、アスペクト比の高い微細孔を基板に垂直に形成するには、予め基板を自己組織化膜などで処理して基板の表面エネルギーを調整しておくことも行われる。その後、ポーラスポリマー層10´の複数の微細孔12内に電気メッキ等の方法により金属材料を充填して電極11を形成する。もしくは、前記の方法でポーラスポリマー層10´を形成した後、微細孔内に金属材料を充填し、その後に残存したポリマーを除去することで金属の微細柱構造を形成し、さらにそれをSiO2等の無機絶縁材料で被覆した後、表面を研磨して金属を露出させることにより、耐熱性を持つ電極13として使用することも可能である。この方法に用いるポリマーとしては、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクレート(PMMA)、ポリイソプレン、ポリラクチドなどが用いられるが、それに限定されるものでは無い。
上記方法により形成される微細孔の間隔は、主としてコポリマーの成分比で制御することが可能である。また、微細孔の直径は、相分離時のポリマー材料の表面エネルギー比により決定され、コポリマー材料、溶剤、アニール温度などにより制御される。
[第5実施形態]
第5の実施形態のスピンバルブ素子を図5に示す。第5の実施形態のスピンバルブ素子は、絶縁体層24の代わりに該非磁性層51を用いた以外は第1の実施形態と同様の構成とし、巨大磁気抵抗効果を示すGMRを利用した以外は第4の実施形態と同様のものである。
[第6実施形態]
第6の実施形態のスピンバルブ素子を図6に示す。本実施形態は、基板上に耐熱性を持つ電極13を先に形成した後、その上にGMR素子構造を作製するものである。即ち、第6の実施形態のスピンバルブ素子は、基板5の上に電極11を形成した後、その上にポーラスポリマー層10´を形成する。その後、ポーラスポリマー層10´の複数の微細孔12内に電極110を電気メッキ等の方法により充填し、その後に残存したポリマーを除去することで金属の微細柱構造を形成し、さらにそれをSiO2等の無機絶縁材料で被覆した後、表面を化学研磨などにより研磨して金属を露出させて、耐熱性を持つ電極13を形成する。その上に、第5の実施形態と同様のGMR層を上下逆向きに形成する。なお、図6では電極27を省いた構造を示している。このように、樹脂の自己組織化を利用したポーラスポリマー層10´を用い、その微細孔に電極を形成することにより、スピンバルブ素子を容易に集積化することが出来る。
以上の第4〜第6の実施形態においては、樹脂自己組織化により作製されたポーラスポリマー層を用いるものであったが、同様の微細孔は以下に示すナノインプリンティング法によっても得ることが出来る。
ナノインプリンティング法においては、電子ビームなどにより加工された数十から数百nmサイズの凸構造パターンを有するスタンパを平坦な基板上に形成した樹脂薄膜に押し付けてから引き離すことで、凹凸構造パターンを転写する。さらに、樹脂薄膜の凹部を反応性イオンエッチングなどにより除去して、この樹脂層をマスクとして基板をエッチングすることで、元のスタンパと相対する凹凸を有するナノメートルサイズの構造体を形成することもできる。微細孔直径の制御は、ナノインプリントに用いる凸構造のスタンパのサイズにより制御することが可能である。また、ナノインプリントで形成された凹凸構造の凹部(微細孔)は非貫通孔であるが、イオンエッチングによって底部を除去して貫通孔とすることが出来る。
ナノインプリントを利用したポーラスポリマー層10´の作製方法としては、例えばポリメチルメタクレートなどの熱可塑性樹脂を基板に塗布した後、当該熱可塑性樹脂のガラス転移点よりも高い温度に加熱することで熱可塑性樹脂を軟化させ、その後にスタンパを押し付けることで、スタンパの凹凸を転写する。その後、基板を冷却することで、基板上に所定の微細孔構造をもつポーラスポリマー層10´を得ることが出来る。スタンパの材質としてはシリコン、石英、炭化珪素、タンタルなどが一般的であるが、本発明の用途には、微細加工が可能なシリコンが特に好適である。スタンパとポリマー層の離型性を改善するために、スタンパの表面にフッ素系ポリマーや界面活性剤を塗布することも一般に行われている。また、ポーラスポリマー層10´の材料として紫外線硬化樹脂を用い、スタンパを押し付け後に光硬化させることで、基板の加熱冷却工程を省くことも可能である。この方法に用いるポリマーとしては、ポリメチルメタクレート、ポリスチレン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートや、ビスヒドロキシエチル−ビスフェノールA−ジメチルアクレート等があるが、それに限定されるものでは無い。
この方法によれば、スタンパの加工精度が得られる範囲であれば、その凹凸を正確に転写することが可能である。製造コストとしては、スタンパを作製する必要があり、樹脂自己組織化に比して若干高くなるが、個々の素子を電子線リゾグラフなどにより加工するのに比べれば、はるかに安価である。
なお、本発明における積層磁性膜の大きさ、すなわち、図1、2、5,6における左右の絶縁層30の間の大きさは、図3に示した従来のもののように磁壁が存在しない大きさ(150nm程度)に制限されるということはない。これは、個別の素子の大きさが実効的に多孔質層の微細孔の大きさによって決定されるためである。したがって、絶縁層30の間の大きさは磁区にあわせて微細化する必要はない。なお、仮に一部の微細孔相当部分の積層磁性膜に磁壁が存在したとしても、集積化した素子全体から見ればごく一部にとどまり、集積化した素子全体の性能には大きな影響を与えない。
このため、素子のパターニングには高価な設備は不必要になり、例えば図1,5,6に示した絶縁層24、もしくは非磁性層51より上の部分を数μm程度の寸法で作製しても支障はなく、安価なフォトリゾグラフ設備を用いることが出来る。
このように、TMR層、もしくはGMR層を含む磁性多層膜に、多孔質層の微細孔を介して電気的接続をすることにより、多数のスピンバルブ素子を集積化して、大出力のマイクロ波発振素子を得ることができる。
第1の実施形態の構造を用い、まずTMR層を以下の手順で作製した。シリコン基板5の上に、スパッタにより電極層21としてAu(5nm)/Ta(5nm)を用い、反強磁性層22としてNi80Fe20(5nm)/IrMn(8nm)を用い、強磁性層23としてCo70Fe30(2nm)/Ru(0.8nm)/Co40Fe4020(6nm)を用い、絶縁体層24としてMgO(0.8nm)を用い、強磁性層25としてCo40Fe4020(2nm)/Ta(5nm)/Ru(5nm)を用い、キャッピング層26としてCu(2nm)/Pd(3.5nm)を用い、電極層27としてAu(2nm)を用いて、これらの各層を第1の実施形態のように順次積層し、その後、4kOe程度の磁場中、350℃でアニールを行った。なお、上記の材質の記載において、複数の材質を斜線(/)によって区切った記載は、その前後に記載したそれぞれの材質からなりその順に積層した積層体を各層に用いることを示している。また、括弧内には各層の膜厚を記載している。
その上に、Al膜(150nm)をスパッタにより形成し、真空中400℃で熱処理した後、H3PO4、H2SO4水溶液で電解研磨して表面を平坦化した。陽極酸化処理は、電解液としてシュウ酸を用い、50V程度の定電圧下で行った。これにより間隔約140nmで、直径約30nmの微細孔が規則的に配列したポーラスアルミナ層10を得た。その後、微細孔の貫通のためH3PO4水溶液に数分浸漬した。これにより微細孔の直径は32nm程度に拡大した。その後、ポーラスアルミナ層10の微細孔12内に電気メッキ等の方法によりCuを充填して電極11を形成した。
以上の手順で作製した基板から、ネガレジスト塗布と通常の可視光を用いたフォトリゾグラフ手法による露光処理後、イオンミリングにより絶縁体層24の上の部分を3μmφの領域に切り出し、その後、CVDによりSiO2被覆により絶縁層30を形成し、リフトオフ後にスパッタによりAl膜配線31を施して実施例1の試料とした。この素子には約340個の微細孔が存在することになる。
第2の実施形態の構造を用い、まずGMR層を以下の手順で作製した。即ち、シリコン基板5の上に、スパッタにより電極層21としてCu(25nm)、強磁性層23としてCo70Fe30(20nm)、非磁性層51としてCu層(6nm)、強磁性層25としてNiFe(4.5nm)、キャッピング層26としてCu(2nm)/Pd(3.5nm)、電極層27としてAu(2nm)を順次積層し、その後、4kOe程度の磁場中、250℃でアニールを行った。その後、第1の実施例と同様の方法でポーラスアルミナ層を形成し、電極11を形成した後、3μmφの領域に配線を施して実施例2の試料とした。
第3の実施形態の構造を用い、まずシリコン基板5の上に、電極層11としてCr(10nm)/Au(50nm)をスパッタにより積層したあと、第1の実施例と同様の方法でポーラスアルミナ層を形成し、電気メッキにより電極110としてCuを微細孔12内に充填した。化学研磨により平坦化した後、スパッタにより、キャッピング層26としてCu(2nm)、強磁性層25としてNiFe(4.5nm)、非磁性層51としてCu層(6nm)、強磁性層23としてCo70Fe30(20nm)、電極層21としてCu(25nm)/Pd(3.5nm)を順次積層し、第1の実施例と同様の方法で3μmφの領域に配線を施して、実施例3の試料とした。なお、実施例3では、図6に示した反強磁性層22は用いていない。
実施例1〜3の試料の基板に対し固定層の磁界と平行方向に1Tの直流磁場を印加し、フリー層から固定層へ電子が流れ込む方向に直流電流を流すことにより、マイクロ波の発振が得られた。測定条件と測定結果を表1に示す。
Figure 2009050945
表1に示すように、本発明によりTMRを用いた実施例1で0.41mW、GMRを用いた実施例2,3でそれぞれ2.6nW、2.1nWの出力が得られている。これは従来の単一素子の出力(TMRを用いた場合で0.16μW、GMRを用いた場合で10pW程度)に比して大きな改善である。また、注目すべきことは、本発明における各微細孔の素子の平均出力は実施例1、2、3においてそれぞれ1.2μW、15pW、21pWが得られており、単一素子としても大きな改善が得られていることである。この原因は未だ明確ではないが、前述の2つの素子を隣接して形成した場合に観測されている位相ロッキング現象に起因しているものと推定される。
第4の実施形態の構造を用い、まずTMR層を以下の手順で作製した。即ち、シリコン基板5の上に、スパッタにより電極層21としてAu(5nm)/Ta(5nm)、反強磁性層22としてNi80Fe20(5nm)/IrMn(8nm)、強磁性層23としてCo70Fe30(2nm)、Ru(0.8nm)/Co40Fe4020(6nm)、絶縁体層24としてMgO(0.8nm)、強磁性層25としてCo40Fe4020(2nm)、Ta(5nm)/Ru(5nm)、キャッピング層26としてCu(2nm)/Pd(3.5nm)、電極層27としてCu(30nm)を順次積層し、その後、4kOe程度の磁場中、350℃でアニールを行った。
その上を、OTS(octadecyltrichlorosilane)の自己組織化膜で処理した後、ポリスチレン−メチルメタクレート−コポリマー(PS−PMMA co−polymer)薄膜をスピンコートにより塗布した。即ち、ポリスチレン−メチルメタクレート−コポリマー(Polymer Science Inc.社製、PS:PMMA=70:30)のトルエン溶液(固形分濃度2重量%)を、スピンコート回転数2400rpmで塗布して、膜厚40nmの薄膜を得た。更に、真空中、170℃で3時間のアニールを行うことにより、ポリスチレン(PS)とポリメチルメタクレート(PMMA)が相分離させた。その後、紫外光を照射してポリメチルメタクレート(PMMA)を劣化させた後、氷酢酸と水で洗浄して選択的に除去することで、微細孔がハニカム状に規則的に配列した多孔質構造を得た。微細孔は基板に垂直な円筒状で直径は約20nm、ピッチは約40nmであった。その後、ポーラスポリマー層10の微細孔12内に電気メッキ等の方法によりCuを充填して電極11を形成した。
以上の手順で作製した基板から、ネガレジスト塗布と通常の可視光を用いたフォトリゾグラフ手法による露光処理後、イオンミリングにより絶縁体層24の上の部分を2.5μmφの領域に切り出し、その後、CVDによりSiO2被覆により絶縁層30を形成し、リフトオフ後にスパッタによりAl膜配線31を施して実施例4の試料とした。この素子領域には約2930個の微細孔が存在することになる。
第5の実施形態の構造を用い、まずGMR層を以下の手順で作製した。即ち、シリコン基板5の上に、スパッタにより電極層21としてCu(25nm)、強磁性層23としてCo70Fe30(20nm)、非磁性層51としてCu層(6nm)、強磁性層25としてNiFe(4.5nm)、キャッピング層26としてCu(2nm)/Pd(3.5nm)、電極層27としてCu(30nm)を順次積層し、その後、4kOe程度の磁場中、250℃でアニールを行った。その後、実施例4と同様の方法でポーラスポリマー層を形成し、電極11を形成した後、2.5μmφの領域に配線を施して実施例5の試料とした。
第4の実施形態の構造を用い、まずTMR層を、絶縁体層24のMgOの厚さが1.0nmであること以外は実施例4と同様の手順で作製した。その後ポリメチルメタクレートのトルエン溶液(固形分濃度3%)をスピンコート法によりTMR層の上に塗布し乾燥させてポリメチルメタクレート薄膜(厚さ70nm)を得た。更に、これを約120℃に加熱し、シリコン製のスタンパを押し付けることにより、直径30nm、ピッチ100nmで微細孔パターンを転写し、更に、イオンエッチングによって底部を除去して貫通孔とした。その後、実施例4と同様の方法で電極11を形成し、6μmφの領域に配線を施して実施例6の試料とした。この素子領域には約2700個の微細孔が存在することになる。
第6の実施形態の構造を用い、ポーラスアルミナ層の代わりにポーラスポリマー層を作製した以外は実施例3の場合と同様にして、まずシリコン基板5の上に、電極層11を積層したあと、実施例4と同様の方法でポーラスポリマー層を形成し、電気メッキにより電極110としてCuを微細孔12内に充填した。以下、実施例4の場合と同様に、その後に残存したポリマーを酸素プラズマ処理により除去することでCuの微細柱構造を形成し、さらにそれをCVD法によりSiO2で被覆した後、表面を研磨して微細柱構造となっているCuを露出させることにより、耐熱性を持つ電極13を形成した。その後、スパッタによるキャッピング層26としてCu(2nm)、強磁性層25としてNiFe(4.5nm)、非磁性層51としてCu層(6nm)、強磁性層23としてCo70Fe30(20nm)、電極層21としてCu(25nm)/Pd(3.5nm)を順次積層した。実施例4と同様の方法で8μmφの領域に配線を施して、実施例7の試料とした。
実施例4〜7の試料の基板に対し固定層の磁界と平行方向に1Tの直流磁場を印加し、フリー層から固定層へ電子が流れ込む方向に直流電流を流すことにより、マイクロ波の発振が得られた。測定条件と測定結果を表2に示す。
Figure 2009050945
表1に示すように、本発明によりTMRを用いた実施例4,6でそれぞれ6.7mW、4.1mW、GMRを用いた実施例5,7でそれぞれ53nW、70nWの出力が得られている。これは従来の単一素子の出力(TMRを用いた場合で0.16μW、GMRを用いた場合で10pW程度)に比して大きな改善である。また、注目すべきことは、本発明における各微細孔の素子の平均出力は実施例4〜7のそれぞれにおいて、2.3μW、18pW、1.5μW、24pWが得られており、単一素子としても改善が得られていることである。この原因は未だ明確ではないが、前述の2つの素子を隣接して形成した場合に観測されている位相ロッキング現象に起因しているものと推定される。
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形、変更および組合わせが可能である。

Claims (9)

  1. 絶縁体層と該絶縁体層を挟持する第1および第2の強磁性層との少なくとも3層を含む磁性多層膜と、
    該第1の強磁性層に接してまたは該第1の強磁性層との間に他の層を間において配置され、複数の微細孔を有する多孔質層と
    を備えてなる磁性素子であって、前記磁性多層膜の前記第1の強磁性層に対する電気的な接続が前記多孔質層の前記微細孔を介してなされ、前記第2の強磁性層に対してもう一つの電気的な接続が設けられる、磁性素子。
  2. 非磁性体層と該非磁性体層を挟持する第1および第2の強磁性層との少なくとも3層を含む磁性多層膜と、
    該第1の強磁性層に接してまたは該第1の強磁性層との間に他の層を間において配置され、複数の微細孔を有する多孔質層と
    を備えてなる磁性素子であって、前記磁性多層膜の前記第1の強磁性層に対する電気的な接続が前記多孔質層の前記微細孔を介してなされ、前記第2の強磁性層に対してもう一つの電気的な接続が設けられる、磁性素子。
  3. 前記多孔質層が陽極酸化法により作製されたポーラスアルミナ層であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁性素子。
  4. 前記多孔質層において互いに隣接している微細孔のそれぞれの中心の間の距離が1000nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁性素子。
  5. 前記多孔質層において互いに隣接している微細孔のそれぞれの中心の間の距離が1000nm以下であることを特徴とする請求項3に記載の磁性素子。
  6. 前記微細孔の相当径が100nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁性素子。
  7. 前記微細孔の相当径が100nm以下であることを特徴とする請求項3に記載の磁性素子。
  8. 前記多孔質層がナノインプリント法により形成されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の磁性素子。
  9. 前記多孔質層が樹脂の自己組織化を利用して形成されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の磁性素子。
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