JP2008053915A - マイクロ波発振素子及びその製造方法、並びに該マイクロ波発振素子を備えたマイクロ波発振装置 - Google Patents

マイクロ波発振素子及びその製造方法、並びに該マイクロ波発振素子を備えたマイクロ波発振装置 Download PDF

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Abstract

【課題】より簡易な加工プロセス、成膜プロセスを用いて、高出力、低コスト、及び、量産性に優れたマイクロ波発振素子及びその製造方法、並びに該マイクロ波発振素子を備えた発振装置を提供する。
【解決手段】本発明のマイクロ波発振素子は、第1の電極と、磁化方向が固定された磁化固定層と、中間層と、磁化方向を変化させることのできる磁化自由層と、第2の電極とが、この順に積層されて構成されるマイクロ波発振素子において、前記磁化自由層もしくは前記第2の電極のどちらか一方がナノ粒子からなっている。これにより、従来と比較してより簡易な加工プロセス、成膜プロセスを用いて、高出力、低コスト、及び、量産性に優れたマイクロ波発振素子を実現することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、マイクロ波発振素子、特にスピントルクを用いたマイクロ波発振素子及びその製造方法、並びに該マイクロ波発振素子を備えたマイクロ波発振装置に関するものである。
近年、携帯電話を代表とする無線ネットワーク通信システム用携帯端末においては、WLAN、Blue tooth、RFID、GPSなど複数の通信機器に対応したものが多く商品化されている。これら多くの通信規格に対応した周波数を扱うためには、それぞれの周波数に対応した複数のRF回路が必要となる。しかしながら、複数のRF回路を一つの機器に取り入れようとすると、機器の大規模化へと繋がる。
小型・薄型な機器を実現するために、これら複数のRF回路を一つにまとめ、一つのRF回路で複数の周波数に対応しようとする技術の開発が精力的に行われている。これらは、チューナブルRF回路と呼ばれている。チューナブルRF回路を実現するための重要な技術の一つに、発振周波数を可変とすることのできるマイクロ波発振素子が挙げられる。
最近、磁性多層膜を用いた素子に直流電流を流すと、スピントルクによりマイクロ波発振する現象が報告された。このスピントルクを用いたマイクロ波発振素子は、外部から印加する磁界および素子に流す電流値により発振周波数を変えることができるため、上記チューナブルRF回路を実現するためのマイクロ波発振素子としての応用が期待される。
ここで、図11を参照して、このマイクロ波発振素子について説明する。図11は、スピントルクを用いたマイクロ波発振素子の原理を説明するための図である。マイクロ波発振素子100は、不図示の基板上に、第1の電極110aと、磁化方向が固定された磁化固定層112と、中間層113と、磁化方向を変化させることのできる磁化自由層114と、第2の電極110bとが、この順に積層されて構成されている。ここで、磁化固定層112と磁化自由層114の磁化方向は同じ方向とする。
この状態で、電極110aと電極110bとの間に電圧を印加し、第1の電極110aから第2の電極110bの方向に直流電流131を流す。このように直流電流131を流すことにより、電子132(電子の流れる方向は電流と逆向きとなる)は、第2の電極110bから第1の電極110aに流れる。
このとき、スピンの持つ磁気モーメントの方向が磁化固定層112及び磁化自由層114の磁化方向と同じ電子132は、磁化自由層114内の電子スピン及び磁化固定層112に接している中間層113と相互作用を及ぼすとことなく、スピンの向きを保ったまま、第1の電極110aに向かって流れることができる。
一方、スピンの磁気モーメントの方向が磁化自由層114の磁化方向と反対の電子132’は、磁化自由層114中の電子のスピンと交換相互作用を起こす。このため、それぞれの電子のスピン間にはスピントルクが働き、磁化自由層114内の電子のスピンは反転しようと歳差運動を始める。発生するスピントルクが十分に大きい場合は、歳差運動が増幅され、磁化自由層114内の電子のスピンは反転(スピン注入磁化反転)する。一方、発生するスピントルクが小さい場合、もしくは、外部磁界、一軸異方性などによりスピントルクが抑制されている場合は、スピンは反転することができず、歳差運動を行うのみである。
このスピントルクを用いたマイクロ波発振素子は、磁化固定層112、中間層113及び磁化自由層114の多層膜に膜面垂直方向に電流を流すことのできる電極を設けた磁気抵抗素子であるともいえる。磁気抵抗素子は、磁化固定層112と磁化自由層114の磁化の相対角度に応じて抵抗の変化する素子である。
従って、磁化自由層114内の電子のスピンがスピントルクによって歳差運動を始めると、磁化自由層114の磁化と磁化固定層112の磁化の相対角度が歳差運動の周波数(マイクロ波の領域)に応じて変化するため、マイクロ波発振素子の抵抗が歳差運動の周波数に応じて変化する。
図11に示すように素子に一定の直流電流を入力し、この抵抗変化を素子に印加されている電圧変化として出力すると、高周波で振動する電圧信号を得ることができる。
このマイクロ波発振素子の特徴としては、素子に流す電流の大きさや、外部より印加する磁界の大きさを変えることにより、スピントルクによる磁化自由層114の歳差運動の周波数を変化させることが可能なため、マイクロ波の発振周波数を連続的に且つ、幅広い周波数範囲で変化させることが可能である。
図12(a)及び(b)に、非特許文献1及び2に記載されているマイクロ波発振素子の構成を示す。
図12(a)に示すマイクロ波発振素子400は、磁化自由層114と第2の電極110bとが、ナノコンタクト118で電気的に接続されている。一方、図12(b)におけるマイクロ波発振素子500は、磁化自由層114と中間層113とが、100nm程度の大きさに加工されており、第2の電極10bとナノスケールで接続されている。すなわち、図12(a)・(b)のマイクロ波発振素子400及び500の両方とも、磁化自由層114に流れる電流の断面積をナノスケールのオーダーで制限している。これは、スピントルクによる磁化自由層114の歳差運動を誘起するために必要となる電流値は、電流の流れる磁化自由層114の体積に比例するためである。従って、断面積を小さくし電流密度を大きくすることは、マイクロ波発振に必要となる電流の低減につながり、素子としての消電力化に貢献する。
しかしながら、図12(a)・(b)に示したマイクロ波発振素子400及び500の出力は1nW程度であり、実用化するためには更に出力を大きくする必要がある。
出力を向上させるためには、図12において示したマイクロ波発振素子を複数並列に接続し、複数のマイクロ波発振素子の出力を合成することによって、高出力化する方法が非特許文献3及び4に述べられている。
図13(a)・(b)には、図12(a)・(b)に示したマイクロ波発振素子400・500を複数並列に接続した、マイクロ波発振素子400B・500Bを示している。このように、マイクロ波発振素子を並列に接続することにより、並列に接続した素子の数だけ出力を向上させることが可能となる。
また、非特許文献3及び4によると、並列接続したマイクロ波発振素子同士を近接させ動作させると、スピンの歳差運動が位相同期し、発生するマイクロ波の出力が接続したマイクロ波発振素子の数以上に大きくなることが述べられている。
Physical Review B vol.70 pp.100406 Nature vol.425 pp.380 Nature vol.437 pp.389 Nature vol.437 pp.393
上述したように、スピントルクを用いたマイクロ波発振素子は、マイクロ波の発振周波数を連続的に且つ、幅広い周波数範囲で変化させることができ、素子を並列に接続することにより高出力で発振させることが可能であるため、チューナブルRF回路を実現するためのマイクロ波発振素子としての応用が期待される。
しかしながら、図13(a)・(b)に示した素子を作製するためには、電極とのナノコンタクト構造、もしくは、微細構造を有する磁化自由層を作製し、並列に素子を接続しなければならない。この様なナノスケールの微細構造を作製するための手段としては、EBリソグラフィなどの微細加工方法が挙げられるが、微細加工を行うためのプロセスが多くなり、コスト、量産性に課題がある。
本発明は上記問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、微細加工を用いることなく、より簡易な加工プロセス、成膜プロセスを用いて、電極とのナノコンタクト構造もしくは、磁化自由層の微細化構造を実現し、且つ、高出力、低コスト、及び、量産性に優れたマイクロ波発振素子及びその製造方法、並びに該マイクロ波発振素子を備えたマイクロ波発振装置を提供することにある。
本発明に係るマイクロ波発振素子は、上述した課題を解決するために、第1の電極と第2の電極との間に、磁化方向が固定された磁化固定層と、非磁性体もしくは絶縁体である中間層と、磁化方向を変化させることができる磁化自由層とを有し、上記中間層が、上記磁化固定層と上記磁化自由層によって挟持された構成であり、第1の電極から、該磁化固定層と中間層と磁化自由層とを介して、第2の電極に電流が流れるように構成されているマイクロ波発振素子において、上記電流の経路中に、上記磁化自由層内における所定領域に流れる上記電流の密度を、該所定領域以外の領域に流れる上記電流の密度よりも高くするためのナノ粒子を複数有していることを特徴としている。
上記の構成によれば、本発明は、高出力、低コスト及び量産性に優れたマイクロ波発振素子を、従来の構成と比較して著しく簡易な手法によって実現することができる。
具体的には、本発明のマイクロ波発振素子は、上記電流の経路中に、上記磁化自由層内の所定領域に流れる上記電流の密度を、該磁化自由層内における該所定領域以外の領域に流れる上記電流の密度よりも高くするためのナノ粒子を用いている。
上記したように、スピントルクによる磁化自由層の歳差運動を誘起するために必要となる電流値は、電流の流れる磁化自由層の体積に比例する。すなわち、磁化自由層に流れる電流の断面積を小さくし電流密度を大きくすることによって、マイクロ波発振に必要となる電流を低減させることができる。そこで、本発明のマイクロ波発振素子では、上記したナノ粒子を用いて、磁化自由層内の所定領域に流れる上記電流の密度を高めている。このように本発明は、従来のように電極とのナノコンタクト構造、もしくは微細構造を有する磁化自由層を作製することによって磁化自由層内の所定領域に流れる上記電流の密度を高める手法と比較して、ナノ粒子を備えるという著しく簡易な手法で、従来の構成と同じ効果を実現することができる。すなわち、上記の構成によれば、従来よりも低コストで、且つ量産性に優れたマイクロ波発振素子を提供することが可能となる。
特に、本発明では複数のナノ粒子を用いているので、高出力化のマイクロ波発振素子を実現でき、且つ複数の微細構造を設けなければならなかった従来構成の高出力対応のマイクロ波発振素子と比較して、格段に簡易な手法でこれを実現することができる。
また、本発明に係るマイクロ波発振素子は、上記ナノ粒子が導電性ナノ粒子であり、上記第2の電極は、電極層と、上記ナノ粒子を絶縁体によって囲んだ接続層とを有しており、上記ナノ粒子が、上記電極層と上記磁化自由層とに接触していることが好ましい。具体的には、上記ナノ粒子は、金属ナノ粒子であることが好ましい。
上記の構成とすれば、第2の電極に構成されているナノ粒子と、磁化自由層との間にナノコンタクトを実現することができる。すなわち、上記の構成を採用することによって、磁化自由層に流れる電流の断面積をナノオーダーで制限することができる。これにより、磁化自由層の歳差運動を誘起するために必要となる電流値を低減することができる。
例えば、本発明に係るマイクロ波発振素子は、上記電極層と上記磁化自由層との上記ナノ粒子の接触面積が、0を超え、4900nm以下であることが好ましい。また、特に、上記接触面積は、0を超え、70nm×70nm以下であることが好ましい。
そして、本発明に係るマイクロ波発振素子は、上記第1の電極と、磁化固定層と、中間層と、磁化自由層と、第2の電極とをこの順で設けることができる。
また、本発明に係るマイクロ波発振素子は、上記ナノ粒子は、磁性ナノ粒子であり、上記磁化自由層は、上記磁性ナノ粒子を絶縁体によって囲んだ構成となっており、上記磁性ナノ粒子が、上記第2の電極と上記中間層とに接触していることが好ましい。
上記の構成とすれば、上記ナノ粒子が磁性ナノ粒子であり、上記磁化自由層は、上記磁性ナノ粒子を絶縁体によって囲んだ構成となっている。これにより、磁化自由層に流れる電流の断面積をナノオーダーで制限することができる。これにより、磁化自由層の歳差運動を誘起するために必要となる電流値を低減することができる。
また、本発明に係るマイクロ波発振素子は、上記ナノ粒子が磁性ナノ粒子であり、上記磁化自由層は、上記磁性ナノ粒子を絶縁体によって囲んだ構成となっており、上記磁化固定層は、互いに磁化方向が逆である第1の磁化固定層と第2の磁化固定層とを備えており、上記磁化自由層は、上記中間層を介して、上記第1の磁化固定層と上記第2の磁化固定層とに挟まれた構成となっており、上記磁性ナノ粒子は、各上記中間層と接触していることが好ましい。
上記のように、磁化方向が逆である第1の磁化固定層と第2の磁化固定層とを備えていることによって、単層の磁化固定層を用いた本発明のマイクロ波発振素子と比較して、より一層小さい電流値でマイクロ波発振することが可能となる。
具体的には、上記の構成を有する本発明に係るマイクロ波発振素子では、第1の磁化固定層と、中間層と、磁化自由層と、中間層と、第2の磁化固定層とがこの順で配置しており、第1の電極と第2の電極とに電圧が印加されると、電子は、一方の磁化固定層(ここで仮に第2の磁化固定層とする)を通過して、中間層と通過し、磁化自由層に向かう。この際、電子は、第2の磁化固定層の磁化と同じ方向の磁気モーメントを有するスピンをもつようになる。このようなスピンを有する電子が磁化自由層中の磁性ナノ粒子内へ流れると、このスピンのもつ角運動量が磁性ナノ粒子へ伝達され、磁性ナノ粒子内の電子のスピンは反転しようと歳差運動を始める。
一方、第1の磁化固定層の磁化方向は、第2の磁化固定層の磁化とは逆向きである。このため、電子の流れが第1の磁化固定層へ入る界面において、第2の磁化固定層の磁化と同方向の磁気モーメントを有するスピンを持つ電子は、第1の磁化固定層に接した中間層で反射される。この反射されたスピンは、やはり磁性ナノ粒子内の磁化に作用する。
すなわち、第2の磁化固定層を通過してきた電子は、中間層で反射された後、磁性ナノ粒子の磁化に再び作用するため、マイクロ波を発生するための電流値を、磁化固定層のみを用いた本発明のマイクロ波発振素子と比較して小さい電流値で実施できることになる。
また、本発明に係るマイクロ波発振素子は、上記磁性ナノ粒子の直径が、0を超えて、100nm以下であることが好ましい。
また、本発明に係るマイクロ波発振素子は、上記第1の電極と、上記磁化固定層との間に、反強磁性体層を有していることが好ましい。もしくは、本発明に係るマイクロ波発振素子は、上記第2の電極と第2の磁化固定層との間、及び、上記第1の磁化固定層と第1の電極との間に、反強磁性体層を有していることが好ましい。
反強磁性体層を有していることにより、磁化固定層の磁化方向を所定の方向に確実に制御することができる。
また、本発明に係るマイクロ波発振装置は、上記した構成を有するマイクロ波発振素子と、外部磁界発生部とを有する周波数可変部を備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、本発明は、高出力、低コスト及び量産性に優れたマイクロ波発振装置を、従来の構成と比較して著しく簡易な手法によって実現することができる。
また、本発明に係るマイクロ波発振素子の製造方法は、上述した課題を解決するために、第1の電極と第2の電極との間に、磁化方向が固定された磁化固定層と、非磁性体もしくは絶縁体である中間層と、磁化方向を変化させることのできる磁化自由層とを有し、上記中間層が、上記磁化固定層と上記磁化自由層によって挟持された構成であり、第1の電極から、該磁化固定層及び磁化自由層を介して、第2の電極に電流が流れるように構成されているマイクロ波発振素子の製造方法であって、電極層を有する第2の電極と、磁化自由層とを隣接させて互いを電気的に導通させる導通工程を含み、上記導通工程は、上記磁化自由層及び上記電極層の何れか一方の層上に、複数の導電性ナノ粒子を形成する粒子形成工程と、粒子形成工程によって形成された上記導電性ナノ粒子の表面の少なくとも一部分を絶縁体で覆う絶縁体形成工程と、上記磁化自由層及び上記電極層のうちの他方の層と、上記導電性ナノ粒子とを電気的に導通させるために、上記絶縁体形成工程で形成された上記絶縁体の一部を除去して該導電性ナノ粒子の表面を露出する露出工程とを含むことを特徴としている。
上記の構成によれば、本発明は、高出力、低コスト及び量産性に優れたマイクロ波発振素子を、従来の構成と比較して著しく簡易な手法によって実現することができる。
上記したように、スピントルクによる磁化自由層の歳差運動を誘起するために必要となる電流値は、電流の流れる磁化自由層の体積に比例する。すなわち、磁化自由層に流れる電流の断面積を小さくし電流密度を大きくすることによって、マイクロ波発振に必要となる電流を低減させることができる。
そこで、本発明の製造方法を用いれば、第2の電極に構成されているナノ粒子と、磁化自由層との間にナノコンタクトを実現することができる。すなわち、上記の構成を採用することによって、磁化自由層に流れる電流の断面積をナノオーダーで制限することができる。これにより、磁化自由層の歳差運動を誘起するために必要となる電流値を低減することができる。このように本発明は、従来のように電極とのナノコンタクト構造、もしくは微細構造を有する磁化自由層を作製することによって、磁化自由層内の所定領域に流れる上記電流の密度を高める手法と比較して、ナノ粒子を備えるという著しく簡易な手法で、低コスト及び量産性に優れたマイクロ波発振素子を実現できる。
特に、本発明では複数の導電性ナノ粒子を形成するので、高出力化のマイクロ波発振素子を実現でき、且つ複数の微細構造を設けなければならなかった従来構成の高出力対応のマイクロ波発振素子と比較して、簡易な手法でこれを実現することができる。
また、本発明に係る他のマイクロ波発振素子の製造方法は、上述した課題を解決するために、第1の電極と第2の電極との間に、磁化方向が固定された磁化固定層と、非磁性体もしくは絶縁体である中間層と、磁化方向を変化させることのできる磁化自由層とを有し、上記中間層が、上記磁化固定層と上記磁化自由層によって挟持された構成であり、第1の電極から、該磁化固定層と中間層と磁化自由層とを介して、第2の電極に電流が流れるように構成されているマイクロ波発振素子の製造方法であって、上記磁化自由層を形成する磁化自由層形成工程を含み、上記磁化自由層形成工程は、上記第2の電極もしくは上記中間層の上に、複数の磁性ナノ粒子を形成する粒子形成工程と、粒子形成工程によって形成された上記磁性ナノ粒子の表面の少なくとも一部分を絶縁体で覆う絶縁体形成工程と、上記絶縁体形成工程で形成された上記絶縁体の一部を除去して該導電性ナノ粒子の表面を露出する露出工程とを含むことを特徴としている。
上記の構成によれば、本発明は、高出力、低コスト及び量産性に優れたマイクロ波発振素子を、従来の構成と比較して著しく簡易な手法によって実現することができる。
上記したように、スピントルクによる磁化自由層の歳差運動を誘起するために必要となる電流値は、電流の流れる磁化自由層の体積に比例する。すなわち、磁化自由層に流れる電流の断面積を小さくし電流密度を大きくすることによって、マイクロ波発振に必要となる電流を低減させることができる。
そこで、本発明の製造方法を用いれば、磁性ナノ粒子を用いて磁化自由層を形成している。すなわち、この構成を採用することによって、磁化自由層に流れる電流の断面積をナノオーダーで制限することができる。これにより、磁化自由層の歳差運動を誘起するために必要となる電流値を低減することができる。このように本発明は、従来のように電極とのナノコンタクト構造、もしくは微細構造を有する磁化自由層を作製することによって、磁化自由層内の所定領域に流れる上記電流の密度を高める手法と比較して、ナノ粒子を備えるという著しく簡易な手法で、低コスト及び量産性に優れたマイクロ波発振素子を実現できる。
特に、本発明では複数の磁性ナノ粒子を形成するので、高出力化のマイクロ波発振素子を実現でき、且つ複数の微細構造を設けなければならなかった従来構成の高出力対応のマイクロ波発振素子と比較して、簡易な手法でこれを実現することができる。
また、本発明に係る他のマイクロ波発振素子の製造方法は、上述した課題を解決するために、第1の電極と第2の電極との間に、磁化方向が固定された磁化固定層と、非磁性体もしくは絶縁体である中間層と、磁化方向を変化させることのできる磁化自由層とを有し、上記中間層が、上記磁化固定層と上記磁化自由層によって挟持された構成であり、第1の電極から、該磁化固定層と中間層と磁化自由層とを介して、第2の電極に電流が流れるように構成されているマイクロ波発振素子の製造方法であって、上記第2の電極もしくは上記磁化固定層の何れか一つの層の上に、絶縁体マトリックスと磁性ナノ粒子の原料とを含む材料を塗布し、該絶縁体マトリックスによって磁性ナノ粒子が上記磁化固定層と離間されるように、該原料から磁性ナノ粒子を形成して、上記中間層および上記磁化自由層を形成する工程と、上記工程によって形成された上記磁性ナノ粒子の表面の少なくとも一部分の上記絶縁体を除去して該導電性ナノ粒子の表面を露出する露出工程とを含むことを特徴としている。
上記の構成とすれば、上記中間層および上記磁化自由層を同時に、すなわち一工程で形成することができることから、上記中間層と上記磁化自由層とを各々の工程で形成する方法に比べて、製造工程を簡素化することが可能となる。
本発明に係るマイクロ波発振素子は、以上のように、上記電流の経路中に、上記磁化自由層内の所定領域に流れる上記電流の密度を、該磁化自由層内における該所定領域以外の領域に流れる上記電流の密度よりも高くするためのナノ粒子を複数有していることを特徴としている。また、本発明に係るマイクロ波発振素子の製造方法は、以上のように、第1の電極と第2の電極との間に、磁化方向が固定された磁化固定層と、磁化方向を変化させることのできる磁化自由層とを有し、第1の電極から、該磁化固定層及び磁化自由層を介して、第2の電極に電流が流れるように構成されているマイクロ波発振素子の製造方法であって、電極層を有する第2の電極と、磁化自由層とを隣接させて互いを電気的に導通させる導通工程を含み、上記導通工程は、上記磁化自由層及び上記電極層の何れか一方の層上に、複数の導電性ナノ粒子を形成する粒子形成工程と、粒子形成工程によって形成された上記導電性ナノ粒子の表面の少なくとも一部分を絶縁体で覆う絶縁体形成工程と、上記磁化自由層及び上記電極層のうちの他方の層と、上記導電性ナノ粒子とを電気的に導通させるために、上記絶縁体形成工程で形成された上記絶縁体の一部を除去して該導電性ナノ粒子の表面を露出する露出工程とを含むことを特徴としている。また、本発明に係る他のマイクロ波発振素子の製造方法は、以上のように、第1の電極と第2の電極との間に、磁化方向が固定された磁化固定層と、非磁性である中間層と、磁化方向を変化させることのできる磁化自由層とを有し、第1の電極から、該磁化固定層と中間層と磁化自由層とを介して、第2の電極に電流が流れるように構成されているマイクロ波発振素子の製造方法であって、上記磁化自由層を形成する磁化自由層形成工程を含み、上記磁化自由層形成工程は、上記第2の電極、上記磁化固定層及び上記中間層の何れか一つの層の上に、複数の磁性ナノ粒子を形成する粒子形成工程と、粒子形成工程によって形成された上記磁性ナノ粒子の表面の少なくとも一部分を絶縁体で覆う絶縁体形成工程と、上記絶縁体形成工程で形成された上記絶縁体の一部を除去して該導電性ナノ粒子の表面を露出する露出工程とを含むことを特徴としている。さらに、本発明に係る他のマイクロ波発振素子の製造方法は、以上のように、第1の電極と第2の電極との間に、磁化方向が固定された磁化固定層と、非磁性体もしくは絶縁体である中間層と、磁化方向を変化させることのできる磁化自由層とを有し、上記中間層が、上記磁化固定層と上記磁化自由層によって挟持された構成であり、第1の電極から、該磁化固定層と中間層と磁化自由層とを介して、第2の電極に電流が流れるように構成されているマイクロ波発振素子の製造方法であって、上記第2の電極もしくは上記磁化固定層の何れか一つの層の上に、絶縁体マトリックスと磁性ナノ粒子の原料とを含む材料を塗布し、該絶縁体マトリックスによって磁性ナノ粒子が上記磁化固定層と離間されるように、該原料から磁性ナノ粒子を形成して、上記中間層および上記磁化自由層を形成する工程と、上記工程によって形成された上記磁性ナノ粒子の表面の少なくとも一部分の上記絶縁体を除去して該導電性ナノ粒子の表面を露出する露出工程とを含むことを特徴としている。
また、本発明に係るマイクロ波発振装置は、以上のように、上記した構成を有するマイクロ波発振素子と、外部磁界発生部とを有する周波数可変部を備えていることを特徴としている。
以上の構成とすれば、本発明は、高出力、低コスト及び量産性に優れたマイクロ波発振素子、もしくはマイクロ波装置を、従来の構成と比較して著しく簡易な手法によって実現することができる。
〔実施の形態1〕
本発明に係るマイクロ波発振素子、及びマイクロ波発振装置についての一実施形態を説明する。なお、以下の説明では、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲が以下の実施形態および図面に限定されるものではない。
まず、図1ないし図3(a)・(b)に基づいて本発明に係るマイクロ波発振素子を説明する。
図1は、本実施形態におけるマイクロ波発振素子の構成を示した断面図である。図1に示すように、本実施の形態にかかるマイクロ波発振素子50aは、第1の電極10aと、反強磁性体層11と、磁化が一方向に固定された磁化固定層12と、中間層13と、磁化方向が可変な磁化自由層14と、第2の電極10bとがこの順で積層されることにより形成されている。
第2の電極10bは、磁化自由層14と接している面に絶縁体層15に囲まれた複数の導電性ナノ粒子16を含んだ層と、電極層17とで構成されている。そして、この導電性ナノ粒子16は、磁化自由層14と電極層17とをナノコンタクト18で接続している。すなわち、磁化自由層14と第2の電極10bとは、導電性ナノ粒子16によって電気的にナノコンタクトしている。
磁化固定層12の磁化は、反強磁性体層11によって一方向に固定されている。
尚、反強磁性体層11によって磁化固定層12の磁化を固定する代わりに、磁化反転が起こりにくい硬磁性材料のみで磁化固定層12を形成してもよい。
図1に示す本実施の形態におけるマイクロ波発振素子50aは、図13(a)で示したマイクロ波発振素子400Bと同様の等価回路を持つ。そのため、図13(a)のマイクロ波発振素子400B同様、図12(a)で示したマイクロ波発振素子400に比べ、大きな出力で発振することが可能となる。このことについて、以下に詳細に述べる。
図1に示したマイクロ波発振素子50aにおいて点線で囲まれた箇所は、図12(a)に示した従来のマイクロ波発振素子400と同様に、導電性ナノ粒子16によって磁化自由層14と第2の電極10bがナノコンタクト18で接続されている。すなわち、点線で囲まれた箇所においては、図12(a)で示した従来のマイクロ波発振素子400と同様な等価回路を持ち、同じようにマイクロ波発振を行うことができる。
更に、本実施の形態におけるマイクロ波発振素子50aは、複数の導電性ナノ粒子16により、磁化自由層14と多数のナノコンタクト18を形成している。従って、マイクロ波発振素子50aは、図13(a)で示したマイクロ波発振素子400Bと同様に、複数の図12(a)で示したマイクロ波発振素子400を並列に接続した構造をとっていることになる。図1のマイクロ波発振素子50aの等価回路は、図13(a)に示したマイクロ波発振素子400Bと同様なものとなり、図12(a)のマイクロ波発振素子400よりも大きな出力を得ることが可能となる。
また、上述のように、導電性ナノ粒子16の間隔を狭くしていくと、並列に接続しているマイクロ波発振素子同士が位相同期して発振する。すなわち、導電性ナノ粒子16の間隔を狭くすると、ナノコンタクト18の直下で誘起される磁化自由層14の電子のスピンの歳差運動は、隣り合うナノコンタクト部分で位相同期する。このことにより、更に大きな出力でマイクロ波を発振させることが可能となる。
次に、本実施の形態におけるマイクロ波発振素子50aの各要素を形成する材料について詳述する。
磁化固定層12及び磁化自由層14の材料としては、以下の(1)〜(3)のうちいずれかを用いることができる。
(1)Fe、Co、Ni、または、Fe、Co、Ni、Mn及びCrよりなる群から選択された少なくともいずれかの元素を含む合金
(2)「パーマロイ」と呼ばれるNiFe系合金、CoNbZr系合金、FeTaC系合金、CoTaZr系合金、FeAlSi系合金、FeB系合金、CoFeB系合金などの軟磁性材料
(3)ホイスラー合金、CrO、Fe、La1―X SrMnOなどのハーフメタル磁性材料
磁化固定層12、磁化自由層14の材料としては、これらのうちから用途に応じた磁気特性を有するものを適宜選択して用いればよい。
また、中間層13の材料としては、以下のものを用いることができる。
(1)Cu、Au、Ag、Ruあるいはこれらのいずれか一種以上を含む合金
(2)Al、Ti、Ta、Co、Ni、Si、Mn及びFeよりなる群から選択された少なくともいずれかの元素を含む酸化物あるいは窒化物
(3)フッ化物からなる絶縁体
尚、中間層13には、酸素等の異種元素が添加されていてもよい。
第1の電極10a、及び第2の電極10bの電極層17の材料としては、従来公知の電極材料を用いることができる。
また、導電性ナノ粒子16の材料としては、導電性を有しているものであれば良く、例えばPt、Au、Cu等を用いることができる。
導電性ナノ粒子16の形状については、磁化自由層14と第2の電極10bとにナノコンタクトできるものであれば特に制限はなく、球状、楕円体であってもよく、多面体であってもよい。
絶縁体層15の材料としては、例えばSiO、Al、SiN等を用いることができる。その中でも、SiO等と比較して、膜中のHOの割合が少ない、外部からのO、HOの侵入を防ぐ効果に優れている点からSiNが好適である。
本実施の形態においては、磁化固定層12の磁化を、反強磁性体層11により固定している。この場合に用いることができる反強磁性体層11の材料としては、FeMn、PtMn、PdMn、PdPtMn、IrMn、PtIrMnなどが望ましい。また、層間結合を使って固着させる際の中間層(磁化固定層12と反強磁性体層11との間に配設)としては、Cu、Au、Ag、Ruあるいはこれらのいずれか2種以上を含む合金が好ましい。
以下に、本実施の形態にかかるマイクロ波発振素子50aの作製方法について述べる。
図2は、本実施の形態にかかるマイクロ波発振素子の作製方法を説明するための図である。
まず、Siなどの基板上に、第1の電極10aとしてCu(膜厚60nm)を成膜する(図2(a))。具体的には、図2(a)’に示した上面図の通り、Cu(膜厚60nm)を成膜した後、レジストを塗布し、パターニングして、イオンミリングを用いて所定の寸法(例えば、2つの電極パット部80μm×80μmの間に、幅30μm×長さ100μmの細線が形成されているもの)に加工する。
次に、第1の電極10aの上に反強磁性体層11としてIrMn合金層(膜厚15nm)を形成する。さらにその上に、磁化固定層12として、飽和磁化Bsが約1Tの軟磁性体であるNiFe合金層(膜厚5nm)を形成する。さらに、AlO層(膜厚1.4nm)を中間層13として形成し、その上に、磁化自由層14として飽和磁束密度2.3Tを有するFeCoNi合金層(膜厚5nm)を形成する。
次に、保護層としてTa層を5nm成膜する。
次に、絶縁体層15に囲まれた導電性ナノ粒子16を含んだ層を形成する。導電性ナノ粒子は、薄膜成長過程の初期に出現するいわゆるSK(Stranski-Krastanov)モード、VW(Volmer-Weber)モード成長を利用する方法を用いる。SKモード、VWモード共に薄膜成長過程においては、結晶核が生成および成長して(島状成長して)一体となることにより薄膜となる。この結晶核の成長過程において薄膜生成を止めると、結晶核が成長してできた無数のナノ粒子を基板表面に得ることができる。また、このナノ粒子の大きさは、多少の分布があるが大きさを揃えて形成することができることが最近の半導体プロセスで証明されている。また、微粒子間隔・位置を制御するためには、基板表面に応力分布や転位などをいれる方法が考案されているが、本実施の形態においては、粒子間距離・位置に関しては特に問題とはならない。これは、粒子間距離・位置にばらつきがあっても、導電性ナノ粒子によって、マイクロ波発振素子は並列に接続されるからである。この方法では、電子線リソグラフィやエッチングなどの微細加工を必要とせず、簡単なプロセスでナノ粒子を形成することができる。SKモードもしくはVWモード成長を利用して、Ptを直径50nm〜100nm程度のナノ粒子状に形成した後、導電性ナノ粒子16を覆うように、絶縁体層15としてSiNを成膜する。SiNの厚さは、数nm程度である。
絶縁体層15に覆われた導電性ナノ粒子16を含んだ層を形成するための他の方法としては、「グラニュラー構造体」と呼ばれる、アモルファスマトリックス中に金属粒子が析出あるいは形成されてなる複合体構造を用いることが挙げられる。「グラニュラー構造体」は、Cu、Ptなどの金属材料とSiO、Alなどの絶縁体をスパッタ法で同時に成膜することで得ることができる。従って、「グラニュラー構造体」を用いてマイクロ波発振素子に必要となる絶縁体層15に覆われた導電性ナノ粒子16を含んだ層を形成する場合は、導電性ナノ粒子16と絶縁体層15を同時に形成することができる。従って、上記で説明したSKモード及びVWモードで導電性ナノ粒子16を作成し、その後絶縁層を形成する方法よりも工程が一つ少なくなる。
次に、第1の電極10aと同様に所定の寸法にイオンミリングを用いて、第1の電極10a上に成膜した反強磁性体層11から絶縁体層15に囲まれた導電性ナノ粒子を含んだ層までを所定の寸法(例えば、50μm×50μm)に加工する(図2(b))。
次に、第2の電極10bとのショートを防ぐため、先に加工した反強磁性体層11から絶縁体層15に囲まれた導電性ナノ粒子16を含んだ層を覆う様に絶縁膜20としてSiNを形成する。
その後、第2の電極10bにおける電極層17と導電性ナノ粒子16とのコンタクトホール21を作成する。コンタクトホール21は、レジストを塗布してパターニングし、フッ酸によるウエットエッチング、もしくは、イオンミリングなどで絶縁膜を取り除くことにより形成する。このとき、導電性ナノ粒子16を覆っている絶縁体層15の表面部分も取り除き、導電性ナノ粒子16の一部を表面に露出させる(図2(c))。ここで、露出した導電性ナノ粒子16の面積がナノコンタクト18の接触面積となる。前述したように、電流パスの断面積を小さくした場合は、電流密度が大きくなるため、マイクロ波発振に必要となる電流の大きさを低減する効果を持つため、接触面積は小さい方が望ましい。
本実施の形態の場合は、ナノコンタクト18から磁化自由層14内の電流分布を考慮に入れてナノコンタクトの接触面積を決定した。一般的にスピントルクを働かせるのに必要な電流密度の値は、10A/cm程度と報告されており、並列に接続されている素子一つに流す電流値を0.5mA程度とすれば、接触面積は70nm×70nmと求められる。これに、上記電流分布、すなわち磁化自由層14内の電流の広がりを考慮すると、少なくとも70nm×70nm以下のナノコンタクトの接合面積が必要となる。上記で述べたように、ナノコンタクト18を形成する導電性ナノ粒子16の直径は、50nm〜100nm程度であるため、絶縁膜20と、導電性ナノ粒子16を覆っている絶縁体層15の表面部分とを取り除くことにより、70nm×70nm以下のサイズを有するナノコンタクトを形成することができる。尚、必要があれば、所望のサイズのナノコンタクトが形成されているか否かをAFM(原子間力顕微鏡)などを用いて粒子形状を見ることにより確認してもよい。
最後に、第2の電極10bにおける電極層17を成膜し、第1の電極10aと同じく、所定の寸法に加工する(図2(d))。
尚、本実施形態において説明した製造方法は、第1の電極10aから第2の電極10bに向けて積層する方法であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2の電極10bから第1の電極10aに向けて積層する方法であってもよい。
以上説明してきたように、本実施の形態におけるマイクロ波発振素子50aは、磁化自由層14と第2の電極10bとは複数の導電性ナノ粒子16によって、電気的に複数のナノコンタクトを形成している。これらは、図12(a)に示すマイクロ波発振素子400を並列に接続した図13(a)に示すマイクロ波発振素子400Bと等価であり、大きな出力を示す。
また、本実施の形態におけるマイクロ波発振素子50aにおいては、複数の導電性ナノ粒子16を用いて、複数のナノコンタクト18を形成するため、ナノスケールの精度を要求される微細加工が不要となり、低コストで量産性の優れた素子を作製することが可能となる。
次に、本実施の形態におけるマイクロ波発振素子を備えた発振装置について述べる。
図3(a)・(b)は、本発明の実施形態のマイクロ波発振素子50aを備えたマイクロ波発振装置である。図3(a)は、本発明のマイクロ波発振素子50aを用いたマイクロ波発振装置60の構成を示している。マイクロ波発振装置60は、電源部51と周波数可変部52と信号増幅部53から構成される。電源部51には、電圧(電流)を任意に制御可能な4つの電源V1、V2、V3およびV4がある。電源V1、V2およびV3は周波数可変部52に接続しており、電源V4は信号増幅部53に接続されている。また、周波数可変部52から信号増幅部53に交流信号54が出力されている。
図3(b)は、図3(a)中の周波数可変部52について、より詳細に示している。周波数可変部52は、図3(b)に示すように本実施の形態におけるマイクロ波発振素子50aを備えており、それ以外に少なくとも外部磁界発生部56(例えばCu細線、又はCu細線で形成されたコイル)を有している。マイクロ波発振素子50aの第1の電極10aには、電源V1が接続されており、このV1を制御することにより、印加電圧の大きさ、すなわち素子電流を制御する。外部磁界発生部56には、電源V2およびV3が接続されており、マイクロ波発振素子50aに印加する外部磁場の大きさおよび印加方向を制御することができる。これら電源V1、V2およびV3を制御することによって、発振周波数を変化させる。この周波数可変部52からの出力は、信号増幅部53によって、所定の信号出力として使用される。基準となる周波数を造るこのような装置としては、VCO(電圧制御発振器)が携帯電話に用いられている。
尚、本発明に係るマイクロ波発振素子及びこれを用いたマイクロ波発振装置は、以下の構成を特徴としていると換言することができる。
すなわち、マイクロ波発振素子及びこれを用いたマイクロ波発振装置は、第1の電極と、磁化方向が固定された磁化固定層と、非磁性である中間層と、磁化方向を変化させることのできる磁化自由層と、第2の電極とが、この順に積層されて構成されるマイクロ波発振素子において、前記第2の電極にナノ粒子を含むことを特徴としていると換言することができる。
また、上記の構成においては、前記第2の電極は、前記磁化自由層と接している面に絶縁体に囲まれた複数の導電性ナノ粒子を有しており、前記磁化自由層と前記第2の電極とが前記導電性ナノ粒子、又は凝集したナノ粒子の塊によって、電気的に複数のナノコンタクトを形成していることが好ましい。
さらに、上記の構成においては、前記ナノコンタクトの接触面積は、70nm×70nm以下であることが好ましい。
また、上記の場合においては、前記導電性ナノ粒子が金属粒子であることが好ましい。
〔実施の形態2〕
本発明にかかる他の実施の形態について、図4ないし図6に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、本実施の形態では、上記実施の形態1との相違点について説明するため、説明の便宜上、実施の形態1で説明した部材と同一の機能を有する部材には同一の部材番号を付し、その説明を省略する。
図4は、本実施の形態にかかるマイクロ波発振素子の構成を示した断面図である。図4に示すように、本実施の形態にかかるマイクロ波発振素子50bは、第1の電極10aと、反強磁性体層11と、磁化が一方向に固定された磁化固定層12と、中間層13と、磁化方向が可変な磁化自由層24と、第2の電極10bとがこの順で積層されることにより形成されている。
また、本実施の形態における磁化自由層24は、絶縁体層25に囲まれた磁性ナノ粒子26で構成されている。磁性ナノ粒子26は、図12(b)及び図13(b)に示しているマイクロ波発振素子500、500Bにおける、ナノスケールに加工された磁化自由層114と同様な役割を持つ。
また、磁化固定層12の磁化は、反強磁性体層11によって一方向に固定されている。尚、反強磁性体層11によって、磁化固定層12の磁化を固定する代わりに、磁化反転が起こりにくい硬磁性材料のみで磁化固定層12を形成してもよい。
図4に示す本実施の形態におけるマイクロ波発振素子50bは、図13(b)で示したマイクロ波発振素子500Bと同様の等価回路を持つ。そのため、図13(b)のマイクロ波発振素子500B同様、図12(b)で示したマイクロ波発振素子500に比べ大きな出力で発振することが可能となる。このことについて、以下に詳細に述べる。
図4に示したマイクロ波発振素子50bにおいて点線で囲まれた箇所では、磁性ナノ粒子26と第2の電極10bとが電気的に接続されている。図12(b)では、ナノスケールに微細加工された磁化自由層と第2の電極がナノスケールで電気的に接続されている。上述したように、本実施の形態では、磁性ナノ粒子26と図12で示す磁化自由層114とは同じものとみなすことができることから、点線で囲まれた箇所においては、図12(b)で示した従来のマイクロ波発振素子500と同様な等価回路を持ち、同じようにマイクロ波発振を行うことができる。
更に、本実施の形態におけるマイクロ波発振素子50bは、複数の磁性ナノ粒子26と第2の電極10bとが電気的に接続している。従って、マイクロ波発振素子50bは、図13(b)で示したマイクロ波発振素子500Bと同様に、複数の図12(b)で示したマイクロ波発振素子500を並列に接続した構造をとっている。図4のマイクロ波発振素子50bの等価回路は、図13(b)に示したマイクロ波発振素子500Bと同様なものとなり、図12で示したマイクロ波発振素子500よりも大きな出力を得ることができる。
また、磁性ナノ粒子26の間隔を狭くしていくと、並列に接続しているマイクロ波発振素子同士が位相同期して発振する。すなわち、磁性ナノ粒子26の間隔を狭くすると、磁化自由層14内の隣り合う磁性ナノ粒子26の電子のスピンの歳差運動は、位相同期する。このことにより、更に大きな出力で発振させることが可能となる。
次に、本実施の形態におけるマイクロ波発振素子50bの各要素を形成する材料について述べる。
磁性ナノ粒子26は、実施の形態1において述べた磁化自由層14と同様の材料からなる。
絶縁体層25も、実施の形態1において述べた絶縁体層15と同様の材料を用いることができる。
また、その他の箇所に用いた材料についても、実施の形態1と同様である。
以下に、本実施の形態にかかるマイクロ波発振素子50bの作製方法について述べる。
図5は、本実施の形態にかかるマイクロ波発振素子50bの作製方法を説明するための図である。
最初に、Siなどの基板19上に、第1の電極10aとしてCu(膜厚60nm)を成膜する(図5(a))。具体的には、図5(a)’に示した上面図のように、Cu(膜厚60nm)を成膜した後、レジストを塗布し、パターニングして、イオンミリングを用いて所定の寸法(例えば、2つの電極パット部80μm×80μmの間に、幅30μm×長さ100μmの細線が形成されているもの)に加工する。
次に、第1の電極10aの上に反強磁性体層11としてIrMn合金層(膜厚15nm)を形成する。さらにその上に、磁化固定層12として、飽和磁化Bsが約1Tの軟磁性体であるNiFe合金層(膜厚5nm)を形成する。さらに、AlOx層(膜厚1.4nm)を中間層13として形成する。
次に、絶縁体層25に囲まれた磁性ナノ粒子26を含んだ層を形成する。
磁性ナノ粒子26は、薄膜成長過程の初期に出現するいわゆるSKモード、VWモード成長を利用する方法を用いる。この方法では、電子線リソグラフィやエッチングなどの微細加工を必要とせず、簡単なプロセスでナノ粒子を形成することができる。SKモードもしくはVWモード成長を利用して、FeCoNiをナノ粒子状に形成した後、この磁性ナノ粒子26を囲むように、絶縁体層25としてのSiNを成膜する。また、ナノ粒子間隔・位置を制御するためには、基板表面に応力分布や転移などをいれる方法が考案されているが、本実施の形態においては、実施の形態1と同様にナノ粒子間距離・位置に関しては特に問題とはならない。これは、粒子間距離・位置にばらつきがあっても、磁性ナノ粒子によって、マイクロ波発振素子は並列に接続されるからである。
絶縁体層25に覆われた磁性ナノ粒子26を含んだ層を形成する他の方法としては、「グラニュラー膜」と呼ばれる、アモルファスマトリックス中に磁性ナノ粒子26が析出あるいは形成されてなる複合体構造を用いることが挙げられる。「グラニュラー膜」は、本実施の形態における磁性ナノ粒子26を構成する強磁性金属とAlをスパッタ法などで同時に成膜することで得ることができる。「グラニュラー膜」を用いた場合は、Alからなる中間層13を形成する必要が無くなる。何故なら、グラニュラー膜中の磁性ナノ粒子26は、Alからなるアモルファスマトリックスに覆われているためである。従って、グラニュラー膜を成膜した時に、磁化固定層12と磁性ナノ粒子26との間にAlが形成されて中間層13の役割を果たす。その為、前もって中間層13としてAlを成膜する必要が無くなる。
図6は、グラニュラー膜を用いたマイクロ波発振素子50b’であり、図5で示したマイクロ波発振素子50bと比較して、中間層13が省略されている。

ここで、磁性ナノ粒子26のサイズについて述べる。上述したように、図12(b)、図13(b)のマイクロ波発振素子500、500Bにおいては、磁化自由層114を微細化し電流パスの断面積を小さくしている。これにより、電流密度が大きくなるため、マイクロ波発振に必要となる電流の大きさを低減する効果を持つ。また、磁化自由層14を微細化する理由として、磁化自由層14の単磁区化と電流分布およびジュール熱による温度分布の均一化が挙げられる。本実施の形態の場合は、磁性ナノ粒子26の寸法が電流パスの断面積を決定することになる。また、磁性ナノ粒子26を単磁区にするための寸法は、直径100nm程度である。従って、磁性ナノ粒子26を単磁区にし、且つ、電流密度を大きくしてマイクロ波発振に必要な電流を低減する為には、磁性ナノ粒子26の直径を100nm以下にする必要がある。
次に、第1の電極10aと同様に所定の寸法にイオンミリングを用いて、反強磁性体層11から絶縁体層15に囲まれた導電性ナノ粒子を含んだ層までを所定の寸法(例えば、50μm×50μm)に加工する。(図5(b))
次に、第2の電極10bとのショートを防ぐため、反強磁性体層11から絶縁体層25に囲まれた磁性ナノ粒子26を含んだ層を覆う様に絶縁膜20としてSiNを形成する。
その後、第2の電極10bにおける電極層17と磁性ナノ粒子26とのコンタクトホール21を作成する。コンタクトホール21は、レジストを塗布してパターニングし、フッ酸によるウエットエッチング、もしくは、イオンミリングなどで絶縁膜を取り除くことにより形成する。このとき、磁性ナノ粒子26を覆っている絶縁体層15の表面部分(磁化自由層14の表面部分)も取り除き、磁性ナノ粒子の一部を表面に露出させる(図5(c))。
最後に、第2の電極10bを成膜し、第1の電極10aと同じく、所定の寸法に加工する(図5(d))。
以上で説明してきたように、本実施の形態におけるマイクロ波発振素子においては、複数の磁性ナノ粒子26と第2の電極10bとが電気的に接続している。これらは、図12(b)に示すマイクロ波発振素子500を並列に接続した図13(b)に示すマイクロ波発振素子500Bと等価であり、大きな出力を示す。
また、本実施の形態におけるマイクロ波発振素子50bにおいては、複数の磁性ナノ粒子26が、図13(b)における微細加工された磁化自由層114と同等の機能を果たすため、ナノスケールの精度を要求される微細加工が不要となり、低コストで量産性の優れた素子を作製することが可能となる。
尚、本発明に係るマイクロ波発振素子及びこれを用いたマイクロ波発振装置は、以下の構成を特徴としていると換言することができる。
すなわち、マイクロ波発振素子及びこれを用いたマイクロ波発振装置は、第1の電極と、磁化方向が固定された磁化固定層と、非磁性である中間層と、磁化方向を変化させることのできる磁化自由層と、第2の電極とが、この順に積層されて構成されるマイクロ波発振素子において、前記磁化自由層にナノ粒子を含むことを特徴としていると換言することができる。
また、上記の構成においては、前記磁化自由層が絶縁体に囲まれた複数の磁性微粒子からなり、前記第2の電極と前記磁性微粒子とが電気的に複数のナノコンタクトを形成していることが好ましい。
〔実施の形態3〕
本発明にかかる他の実施の形態について、図7ないし図10に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、本実施の形態では、上記実施の形態2との相違点について説明するため、説明の便宜上、実施の形態2で説明した部材と同一の機能を有する部材には同一の部材番号を付し、その説明を省略する。
図7は、本実施の形態にかかるマイクロ波発振素子の構成を示した断面図である。本実施の形態のマイクロ波発振素子50cは、実施の形態2の図4において記載したマイクロ波発振素子50bの磁化自由層14と第2の電極10bの間に、中間層22と、第2の反強磁性体層11bと、磁化固定層12bとを形成した構成となっている。
すなわち、本実施の形態にかかるマイクロ波発振素子50cは、図7に示すように、第1の電極10aと、第1の反強磁性体層11aと、磁化が一方向に固定された第1の磁化固定層12aと、中間層22と、磁化方向が可変な磁化自由層24と、中間層22と、第2の磁化固定層12bと、第2の反強磁性体層11bと、第2の電極10bとがこの順で積層されることにより形成されている。
また、本実施の形態における磁化自由層24は、絶縁体層25に囲まれた磁性ナノ粒子26で構成されている。
また、磁化固定層12a及び12bの磁化方向は互いに逆向きになっており、反強磁性体層11a及び11bによって固定されている。尚、反強磁性体層11a及び11bによって、磁化固定層12a及び12bの磁化を固定する代わりに、磁化反転が起こりにくい硬磁性材料のみで磁化固定層12a及び12bを形成してもよい。
第2の磁化固定層12bの材料は、第1の磁化固定層12aと同じ材料からなり、実施の形態1で説明した磁化固定層12の材料を用いることができる。
また、本実施形態では、第1の反強磁性体層11aとしてPtMn合金層、第2の反強磁性体層11bとして、IrMn合金層を用いることができる。
また、中間層22は、実施の形態1で説明した中間層13の材料を用いることができる。
尚、本実施の形態における磁化自由層24は、上述したグラニュラー膜を用いて構成することも可能である。グラニュラー膜を成膜した時に、第1・第2の磁化固定層12a・12bと、磁性ナノ粒子26との間にAlが形成されて中間層22の役割を果たす。その為、前もって中間層22としてAlを成膜する必要が無くなる(図8参照)。
図7に示す本実施の形態におけるマイクロ波発振素子50cは、実施の形態2におけるマイクロ波発振素子50b及び50b’(図4及び図6)と比較して、より小さい電流値においてマイクロ波発振することが可能となる点において優れている。このことについて、以下に詳細に述べる。
図9は、本実施の形態におけるマイクロ波の発生原理を説明するための図である。尚、図9においては、説明を分かりやすくするために、図7におけるマイクロ波発振素子の一部分を拡大して記載し、その他の部分については示していない。
マイクロ波を発生させるためには、電極10aと電極10bとの間に電圧を印加し、電極10aから、反強磁性体層11a、磁化固定層12aを介して磁化自由層24の方向に電流31を流す。このように電流31を流すことにより、磁化固定層12bを通過した電子32(電子の流れる方向は電流と逆向きとなる)は、磁化固定層12bの磁化と同じ方向の磁気モーメントを有するスピン(同図においては左向き)をもつようになる。このようなスピンを有する電子が磁化自由層24中の磁性ナノ粒子26内へ流れると、このスピンのもつ角運動量が磁性ナノ粒子26へ伝達され、磁性ナノ粒子26内の電子のスピンは反転しようと歳差運動を始める。
一方、もう一つの磁化固定層12aの磁化方向は、磁化固定層12bの磁化とは逆向きである。このため、電子の流れが磁化固定層12aへ入る界面において、磁化固定層12bの磁化と同方向の磁気モーメントを有するスピンを持つ電子は、磁化固定層12aに接した中間層で反射される。この反射されたスピンは、やはり磁性ナノ粒子26内の磁化に作用する。
すなわち、磁化固定層12bを通過してきた電子は、中間層22で反射された後、磁性ナノ粒子26の磁化に再び作用するため、マイクロ波を発生するための電流値を、実施の形態2よりも小さい電流値で実施できることになる。
本実施の形態においても、実施の形態2と同様に複数の磁性ナノ粒子26を用いてマイクロ波発振素子を作製している。従って、マイクロ波発振素子が並列接続している構造をとり、大きな出力を示す。また、磁性ナノ粒子26を用いているため、微細加工することなくマイクロ波発振素子を形成することができる。
尚、本実施の形態におけるマイクロ波発振素子50cの各要素を形成する材料のうち上記した以外の構成も、実施の形態2の材料と同様のものを用いることができる。
図10は、本実施の形態に関わるマイクロ波発振素子の作製方法を説明するための図である。以下に、本実施の形態にかかるマイクロ波発振素子50cの作製方法について述べる。
最初に、Siなどの基板19上に、第1の電極10aとしてCu(膜厚60nm)を成膜する(図10(a))。具体的には、図10(a)’に示した上面図のように、Cu(膜厚60nm)を成膜した後、レジストを塗布し、パターニングして、イオンミリングを用いて所定の寸法(例えば、2つの電極パット部80μm×80μmの間に、幅30μm×長さ100μmの細線が形成されているもの)に加工する。
次に、第1の電極10aの上に第1の反強磁性体層11aとしてPtMn合金層(膜厚15nm)を形成する。さらにその上に、第1の磁化固定層12aとして、飽和磁化Bsが約1Tの軟磁性体であるNiFe合金層(膜厚5nm)を形成する。さらに、AlOx層(膜厚1.4nm)を中間層22として形成する。
次に、絶縁体層25に囲まれた磁性ナノ粒子26を含んだ層を形成する。磁性ナノ粒子26は、薄膜成長過程の初期に出現するいわゆるSKモード、VWモード成長を利用する方法を用いる。この方法では、電子線リソグラフィやエッチングなどの微細加工を必要とせず、簡単なプロセスでナノ粒子を形成することができる。SKモードもしくはVWモード成長を利用して、FeCoNiをナノ粒子上に形成した後、この磁性ナノ粒子を覆うように、SiNを成膜する。また、ナノ粒子間隔・位置を制御するためには、基板表面に応力分布や転位などをいれる方法が考案されているが、本実施の形態においては、実施の形態1、2と同様にナノ粒子間距離・位置に関しては特に問題とはならない。これは、粒子間距離・位置にばらつきがあっても、磁性ナノ粒子によって、マイクロ波発振素子は並列に接続されるからである。
尚、上述したように、絶縁体層25に覆われた磁性ナノ粒子26を含んだ層を、グラニュラー膜として形成してもよい。
ここで、磁性ナノ粒子26のサイズについて述べる。
上述したように、図12(b)・図13(b)のマイクロ波発振素子500、500Bにおいては、磁化自由層114を微細化し電流パスの断面積を小さくしている。これにより、電流密度が大きくなるため、マイクロ波発振に必要となる電流の大きさを低減する効果を持つ。また、磁化自由層を微細化する理由として、磁化自由層の単磁区化と電流分布およびジュール熱による温度分布の均一化が挙げられる。本実施の形態の場合は、磁性ナノ粒子26の寸法が電流パスの断面積を決定することになる。また、磁性ナノ粒子26を単磁区にするための寸法は直径100nm程度である。従って、磁性ナノ粒子26を単磁区にし、且つ、電流密度を大きくしてマイクロ波発振に必要な電流を低減する為には、磁性ナノ粒子26の寸法を100nm以下にする必要がある。
次に、AlOx層(膜厚1.4nm)を中間層22として形成する。そして、第2の磁化固定層12bとして、飽和磁化Bsが約1TのNiFe合金層(膜厚5nm)からなる軟磁性体により、第2の磁化固定層12bを形成する。さらに、第2の反強磁性体層11bとして、IrMn合金層(膜厚15nm)を形成する。
次に、基板19面内に外部磁場を印加しながら熱処理を行う。すなわち、図10において右方向に10kOeの外部磁界を印加しながら270℃で10時間の加熱処理を行う。これにより、第1の反強磁性体層(PtMn合金層)11aに隣接した第1の磁化固定層12a(軟磁性体のNiFe合金層)の磁化を、図面右方向に固定することができる。
更に、図10において左方向に外部磁界を印加しながら、200℃で1時間の熱処理を加える。これにより、第2の反強磁性体層(IrMn合金層)11bに隣接した第2の磁化固定層(軟磁性体のNiFe合金層)12bの磁化を、図面左方向に固定することができる。
次に、第1の電極10aと同様に所定の寸法にイオンミリングを用いて、第1の反強磁性体層11aから第2の反強磁性体層11bまでを所定の寸法(例えば、100μm×100μm)に加工する(図10(b))。
次に、先に加工した第1の反強磁性体層11aから第2の反強磁性体層11bを覆う様に、第2の電極10bとのショートを防ぐためSiNを絶縁膜20として形成する。
その後、第2の電極10bと反強磁性体層11bとを繋ぐコンタクトホール21を作成する。コンタクトホール21は、レジストを塗布してパターニングし、フッ酸によるウエットエッチング、もしくは、イオンミリングなどで絶縁膜を取り除くことにより形成する(図10(c))。
最後に、第2の電極10bを成膜し、第1の電極10aと同じく、所定の寸法に加工する(図10(d))。
以上で説明したように、2つの磁化方向が反平行である第1の磁化固定層12a、第2の磁化固定層12bを用いることにより、第1・第2の磁化固定層12a・12bを通過した電子のスピンがもつ角運動量を、磁性ナノ粒子26の磁化に効率的に作用させ、マイクロ波発振に必要となる電流値を低減することができる様な構造においても、磁性ナノ粒子26を用いてマイクロ波発振素子50cを作製しているため、ナノスケールの精度を要求される微細加工が不要となり、低コストで素子を作製することが可能となる。
尚、本発明に係るマイクロ波発振素子は、以下の構成を特徴としていると換言することができる。
すなわち、マイクロ波発振素子は、第1の電極と、磁化方向が固定された磁化固定層と、非磁性である中間層と、磁化方向を変化させることのできる磁化自由層と、第2の電極とが、この順に積層されて構成されるマイクロ波発振素子において、前記磁化自由層にナノ粒子を含み、前記磁化自由層が絶縁体に囲まれた複数の磁性微粒子からなり、前記第2の電極と前記磁化自由層との間に、磁化方向が固定された第2の磁化固定層を配置していることを特徴としていると換言することができる。
また、本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明によれば、マイクロ波の出力を向上させることができ、さらに、低コスト、量産性に優れた方法でマイクロ波発振素子を作製することが可能となる。従って、複数の周波数に対応可能なRF回路に用いるマイクロ波発振素子として、本発明のスピントルクを用いたマイクロ波発振素子が搭載される可能性を向上させることができる。
よって、マイクロ波領域で発振可能であるので、ミリ波レーダー、ミリ波を用いた過熱装置等、ミリ波を用いた各種装置の実用化に寄与できる。
本発明の第1の実施形態にかかるマイクロ波発振素子の構成を示す断面図である。 図1に示したマイクロ波発振素子の製造過程を示す図である。 (a)は、図1に示したマイクロ波発振素子を備えたマイクロ波発振装置の構成を示す図であり、(b)は、(a)に示したマイクロ波発振装置の一部の構成を詳細に示す図である。 本発明の第2の実施形態にかかるマイクロ波発振素子の構成を示す断面図である。 図4に示した第2の実施形態マイクロ波発振素子の製造過程を示す図である。 本発明の第2の実施形態にかかるマイクロ波発振素子の他の構成を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態にかかるマイクロ波発振素子の構成を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態にかかるマイクロ波発振素子の他の構成を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態にかかるマイクロ波発振素子の原理を説明した図である。 図7に示した第3の実施形態のマイクロ波発振素子の製造過程を示す図である。 スピントルクを用いたマイクロ波発振素子の原理を説明するための図である。 (a)・(b)はともに、従来技術のマイクロ波発振素子の構成について示した断面図である。 図12の(a)・(b)に示した従来技術のマイクロ波発振素子を複数用いて、これらを並列に接続した状態を示した断面図である。
符号の説明
1a マイクロ波発振素子
1b・b’ マイクロ波発振素子
1c マイクロ波発振素子
10a 第1の電極
10b 第2の電極
11 反強磁性体層
11a 第1の反強磁性体層
11b 第2の反強磁性体層
12 磁化固定層
12a 第1の磁化固定層
12b 第2の磁化固定層
13 中間層
14 磁化自由層
15 絶縁体層
16 導電性ナノ粒子
17 電極層
18 ナノコンタクト
19 基板
20 絶縁膜
21 コンタクトホール
22 中間層
24 磁化自由層
25 絶縁体層
26 磁性ナノ粒子
31 電流
32 電子
51 電源部
52 周波数可変部
53 信号増幅部
54 交流信号
56 外部磁界発生部
60 マイクロ波発振装置
Bs 飽和磁化
V1〜V4 電源

Claims (15)

  1. 第1の電極と第2の電極との間に、
    磁化方向が固定された磁化固定層と、
    非磁性体もしくは絶縁体である中間層と、
    磁化方向を変化させることができる磁化自由層とを有し、
    上記中間層が、上記磁化固定層と上記磁化自由層によって挟持された構成であり、
    第1の電極から、該磁化固定層と中間層と磁化自由層とを介して、第2の電極に電流が流れるように構成されているマイクロ波発振素子において、
    上記電流の経路中に、上記磁化自由層内における所定領域に流れる上記電流の密度を、該所定領域以外の領域に流れる上記電流の密度よりも高くするためのナノ粒子を複数有していることを特徴とするマイクロ波発振素子。
  2. 上記ナノ粒子は、導電性ナノ粒子であり、
    上記第2の電極は、電極層と、上記ナノ粒子を絶縁体によって囲んだ接続層とを有しており、
    上記ナノ粒子が、上記電極層と上記磁化自由層とに電気的に接触していることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波発振素子。
  3. 上記電極層と上記磁化自由層との上記ナノ粒子の接触面積は、0を超え、4900nm以下であることを特徴とする請求項2に記載のマイクロ波発振素子。
  4. 上記接触面積は、0を超え、70nm×70nm以下であることを特徴とする請求項3に記載のマイクロ波発振素子。
  5. 上記第1の電極と、磁化固定層と、中間層と、磁化自由層と、第2の電極とがこの順で設けられていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のマイクロ波発振素子。
  6. 上記ナノ粒子は、金属ナノ粒子であることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のマイクロ波発振素子。
  7. 上記ナノ粒子は、磁性ナノ粒子であり、
    上記磁化自由層は、上記磁性ナノ粒子を絶縁体によって囲んだ構成となっており、
    上記磁性ナノ粒子が、上記第2の電極と上記中間層とに接触していることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波発振素子。
  8. 上記ナノ粒子は、磁性ナノ粒子であり、
    上記磁化自由層は、上記磁性ナノ粒子を絶縁体によって囲んだ構成となっており、
    上記磁化固定層は、互いに磁化方向が逆である第1の磁化固定層と第2の磁化固定層とを備えており、
    上記磁化自由層は、上記中間層を介して、上記第1の磁化固定層と上記第2の磁化固定層とに挟まれた構成となっており、
    上記磁性ナノ粒子は、各上記中間層と接触していることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波発振素子。
  9. 上記磁性ナノ粒子は、直径が0を超えて、100nm以下であることを特徴とする請求項7または8に記載のマイクロ波発振素子。
  10. 上記第1の電極と、上記磁化固定層との間に、反強磁性体層を有していることを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載のマイクロ波発振素子。
  11. 上記第2の電極と第2の磁化固定層との間、及び、上記第1の磁化固定層と第1の電極との間に、反強磁性体層を有していることを特徴とする請求項9または10に記載のマイクロ波発振素子。
  12. 請求項1から11の何れか1項に記載のマイクロ波発振素子と、外部磁界発生部とを有する周波数可変部を備えていることを特徴とするマイクロ波発振装置。
  13. 第1の電極と第2の電極との間に、磁化方向が固定された磁化固定層と、非磁性体もしくは絶縁体である中間層と、磁化方向を変化させることのできる磁化自由層とを有し、上記中間層が、上記磁化固定層と上記磁化自由層によって挟持された構成であり、第1の電極から、該磁化固定層と中間層と磁化自由層とを介して、第2の電極に電流が流れるように構成されているマイクロ波発振素子の製造方法であって、
    電極層を有する第2の電極と、磁化自由層とを隣接させて互いを電気的に導通させる導通工程を含み、
    上記導通工程は、
    上記磁化自由層及び上記電極層の何れか一方の層上に、複数の導電性ナノ粒子を形成する粒子形成工程と、
    粒子形成工程によって形成された上記導電性ナノ粒子の表面の少なくとも一部分を絶縁体で覆う絶縁体形成工程と、
    上記磁化自由層及び上記電極層のうちの他方の層と、上記導電性ナノ粒子とを電気的に導通させるために、上記絶縁体形成工程で形成された上記絶縁体の一部を除去して該導電性ナノ粒子の表面を露出する露出工程とを含むことを特徴とするマイクロ波発振素子の製造方法。
  14. 第1の電極と第2の電極との間に、磁化方向が固定された磁化固定層と、非磁性体もしくは絶縁体である中間層と、磁化方向を変化させることのできる磁化自由層とを有し、上記中間層が、上記磁化固定層と上記磁化自由層によって挟持された構成であり、第1の電極から、該磁化固定層と中間層と磁化自由層とを介して、第2の電極に電流が流れるように構成されているマイクロ波発振素子の製造方法であって、
    上記磁化自由層を形成する磁化自由層形成工程を含み、
    上記磁化自由層形成工程は、
    上記第2の電極もしくは上記中間層の上に、複数の磁性ナノ粒子を形成する粒子形成工程と、
    粒子形成工程によって形成された上記磁性ナノ粒子の表面の少なくとも一部分を絶縁体で覆う絶縁体形成工程と、
    上記絶縁体形成工程で形成された上記絶縁体の一部を除去して該導電性ナノ粒子の表面を露出する露出工程とを含むことを特徴とするマイクロ波発振素子の製造方法。
  15. 第1の電極と第2の電極との間に、磁化方向が固定された磁化固定層と、非磁性体もしくは絶縁体である中間層と、磁化方向を変化させることのできる磁化自由層とを有し、上記中間層が、上記磁化固定層と上記磁化自由層によって挟持された構成であり、第1の電極から、該磁化固定層と中間層と磁化自由層とを介して、第2の電極に電流が流れるように構成されているマイクロ波発振素子の製造方法であって、
    上記第2の電極もしくは上記磁化固定層の何れか一つの層の上に、絶縁体マトリックスと磁性ナノ粒子の原料とを含む材料を塗布し、該絶縁体マトリックスによって磁性ナノ粒子が上記磁化固定層と離間されるように、該原料から磁性ナノ粒子を形成して、上記中間層および上記磁化自由層を形成する工程と、
    上記工程によって形成された上記磁性ナノ粒子の表面の少なくとも一部分の上記絶縁体を除去して該導電性ナノ粒子の表面を露出する露出工程とを含むことを特徴とするマイクロ波発振素子の製造方法。
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