JP5321851B2 - 磁気発振素子及びスピン波装置 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、磁気発振素子及びスピン波装置に関する。
マイクロ波帯やミリ波帯の電波は、無線通信機器や車載用のレーダーシステムなどの広い分野で利用されている。半導体を用いた高周波数発振器は、構成が複雑である。一方、100ナノメートル(nm)程度以下のサイズの磁性積層膜におけるスピントランスファ現象を用いた磁気発振素子は、単純な素子構造を持つ。磁気発振素子において、高い周波数を得ることが望まれている。
W. H. Rippard, M. R. Pufall, S. Kaka, S. E. Russek, and T. J. Silva, "Direct-Current Induced Dynamics in Co90Fe10/Ni80Fe20 Point Contacts", Physical Review Letters 92, 027201 (2004)
本発明の実施形態は、高周波数の発振が得られる磁気発振素子及びスピン波装置を提供する。
本発明の実施形態によれば、第1電極と、第2電極と、第1磁性層と、第2磁性層と、第1スペーサ層と、を備えた磁気発振素子が提供される。前記第1磁性層は、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、磁化方向が可変である。前記第2磁性層は、前記第1電極と前記第1磁性層との間に設けられ、磁化方向が固定されている。前記第1スペーサ層は、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ、非磁性である。前記第1電極と前記第2電極とを結ぶ第1方向における前記第1磁性層の厚さは、前記第1磁性層のスピン侵入長の2倍よりも厚い。前記第1磁性層の厚さは、前記第2電極の前記第1磁性層の側の第1面の最大幅よりも薄い。前記第1磁性層は、前記第1方向に沿ってみたときに前記第1面の外側に設けられた第1縁部を有する。前記第1面の縁の接線に対して垂直な方向における前記第1縁部の幅は、前記第1磁性層の交換長以上である。前記第1電極と前記第2電極の間に電流が流されたときに、前記第1磁性層の磁化は発振する。前記第1磁性層は、前記第1磁性層のうちで前記第1電極の側の第1部分と、前記第1磁性層のうちで前記第2電極の側の第2部分と、を有する。前記第1部分における前記磁化の前記発振の位相は、前記第2部分における前記磁化の前記発振の位相とは異なる。
本発明の別の実施形態によれば、第1電極と、第2電極と、第1磁性層と、第2磁性層と、第1スペーサ層と、を備えた磁気発振素子が提供される。前記第1磁性層は、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ磁化方向が可変である。前記第2磁性層は、前記第2電極と前記第1磁性層との間に設けられ磁化方向が固定されている。前記第1スペーサ層は、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ非磁性である。前記第1電極と前記第2電極とを結ぶ第1方向における前記第1磁性層の厚さは、前記第1磁性層のスピン侵入長の2倍よりも厚く、前記第1磁性層の厚さは、前記第2電極の前記第2磁性層の側の第1面の最大幅よりも薄く、前記第1磁性層は、前記第1方向に沿ってみたときに前記第1面の外側に設けられた第1縁部を有し、前記第1面の縁の接線に対して垂直な方向における前記第1縁部の幅は、前記第1磁性層の交換長以上である。前記第1方向に対して交差する方向において前記第2電極と並置された第3電極と、前記第3電極と前記第1磁性層との間に設けられ磁化方向が固定された第3磁性層と、前記第1磁性層と前記第3磁性層との間に設けられた第2スペーサ層と、をさらに備える。前記第1磁性層の厚さは、前記第3電極の前記第3磁性層の側の第2面の最大幅よりも薄い。前記第1磁性層は、前記第1方向に沿ってみたときに前記第2面の外側に設けられた第2縁部を有する。前記第2面の縁の接線に対して垂直な方向における前記第2縁部の幅は、前記第1磁性層の交換長以上である。
本発明の別の実施形態によれば、第1電極と、第2電極と、第1磁性層と、第2磁性層と、第1スペーサ層と、を備えた磁気発振素子が提供される。前記第1磁性層は、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ磁化方向が可変である。前記第2磁性層は、前記第2電極と前記第1磁性層との間に設けられ磁化方向が固定されている。前記第1スペーサ層は、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ非磁性である。前記第1電極と前記第2電極とを結ぶ第1方向における前記第1磁性層の厚さは、前記第1磁性層のスピン侵入長の2倍よりも厚く、前記第1磁性層の厚さは、前記第2電極の前記第2磁性層の側の第1面の最大幅よりも薄く、前記第1磁性層は、前記第1方向に沿ってみたときに前記第1面の外側に設けられた第1縁部を有し、前記第1面の縁の接線に対して垂直な方向における前記第1縁部の幅は、前記第1磁性層の交換長以上である。前記第1電極と前記第2電極の間に電流が流されたときに、前記第1磁性層の磁化は発振する。前記第1磁性層は、前記第1磁性層のうちで前記第1電極の側の第1部分と、前記第1磁性層のうちで前記第2電極の側の第2部分と、を有する。前記第1部分における前記磁化の前記発振の位相は、前記第2部分における前記磁化の前記発振の位相とは異なる。
本発明の別の実施形態によれば、第1電極と、第2電極と、第1磁性層と、第2磁性層と、第1スペーサ層と、を備えた磁気発振素子が提供される。前記第1磁性層は、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ磁化方向が可変である。前記第2磁性層は、前記第1電極と前記第1磁性層との間に設けられ磁化方向が固定されている。前記第1スペーサ層は、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ非磁性である。前記第1電極と前記第2電極とを結ぶ第1方向における前記第1磁性層の厚さの最小値は、前記第1磁性層のスピン侵入長の2倍よりも厚い。前記第1磁性層の厚さの最大値は、前記第2電極の前記第1磁性層の側の第1面の最大幅よりも薄い。前記第1磁性層は、前記第1方向に沿ってみたときに前記第1面の外側に設けられた第1縁部を有し、前記第1面の縁の接線に対して垂直な方向における前記第1縁部の幅は、前記第1磁性層の交換長以上である。 本発明の別の実施形態によれば、第1電極と、第2電極と、第1磁性層と、第2磁性層と、第1スペーサ層と、を備えた磁気発振素子が提供される。前記第1磁性層は、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ磁化方向が可変である。前記第2磁性層は、前記第2電極と前記第1磁性層との間に設けられ磁化方向が固定されている。前記第1スペーサ層は、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ非磁性である。前記第1電極と前記第2電極とを結ぶ第1方向における前記第1磁性層の厚さの最小値は、前記第1磁性層のスピン侵入長の2倍よりも厚い。前記第1磁性層の厚さの最大値は、前記第2電極の前記第2磁性層の側の第1面の最大幅よりも薄い。前記第1磁性層は、前記第1方向に沿ってみたときに前記第1面の外側に設けられた第1縁部を有し、前記第1面の縁の接線に対して垂直な方向における前記第1縁部の幅は、前記第1磁性層の交換長以上である。 本発明の別の実施形態によれば、第1電極と、第2電極と、第1磁性層と、第2磁性層と、第1スペーサ層と、キャップ層と、を備えた磁気発振素子が提供される。前記第1磁性層は、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ磁化方向が可変である。前記第2磁性層は、前記第1電極と前記第1磁性層との間に設けられ磁化方向が固定されている。前記第1スペーサ層は、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ非磁性である。前記キャップ層は、前記第1磁性層と前記第2電極との間に設けられ5ナノメートル以下の厚さを有し非磁性である。前記第1電極と前記第2電極とを結ぶ第1方向における前記第1磁性層の厚さの最小値は、前記第1磁性層のスピン侵入長の2倍よりも厚い。前記第1磁性層の厚さの最大値は、前記第2電極の前記第1磁性層の側の第1面の最大幅よりも薄い。前記第1磁性層は、前記第1方向に沿ってみたときに前記第1面の外側に設けられた第1縁部を有し、前記第1面の縁の接線に対して垂直な方向における前記第1縁部の幅は、前記第1磁性層の交換長以上である。
本発明の別の実施形態によれば、第1電極と、第2電極と、第1磁性層と、第2磁性層と、第1スペーサ層と、を備えた磁気発振素子が提供される。前記第1磁性層は、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ磁化方向が可変である。前記第2磁性層は、前記第1電極と前記第1磁性層との間に設けられ磁化方向が固定されている。前記第1スペーサ層は、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ非磁性である。前記第1磁性層は、強磁性の第4磁性層と、前記第4磁性層と前記第1スペーサ層との間において前記第1スペーサ層に接し、前記第4磁性層の材料とは異なる材料の強磁性の第5磁性層と、を含む。前記第1電極と前記第2電極とを結ぶ第1方向における前記第1磁性層の厚さの最小値は、前記第5磁性層の前記第1方向における厚さの2倍よりも厚い。前記第1磁性層の厚さの最大値は、前記第2電極の前記第1磁性層の側の第1面の最大幅よりも薄い。前記第1磁性層は、前記第1方向に沿ってみたときに前記第1面の外側に設けられた第1縁部を有し、前記第1面の縁の接線に対して垂直な方向における前記第1縁部の幅は、前記第5磁性層の交換長以上である。
本発明の別の実施形態によれば、第1電極と、第2電極と、第1磁性層と、第2磁性層と、第1スペーサ層と、キャップ層と、を備えた磁気発振素子が提供される。前記第1磁性層は、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ磁化方向が可変である。前記第2磁性層は、前記第1電極と前記第1磁性層との間に設けられ磁化方向が固定されている。前記第1スペーサ層は、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ非磁性である。前記キャップ層は、前記第1磁性層と前記第2電極との間に設けられ5ナノメートル以下の厚さを有し非磁性である。前記第1磁性層は、強磁性の第4磁性層と、前記第4磁性層と前記第1スペーサ層との間において前記第1スペーサ層に接し、前記第4磁性層の材料とは異なる材料の強磁性の第5磁性層と、を含む。前記第1電極と前記第2電極とを結ぶ第1方向における前記第1磁性層の厚さの最小値は、前記第5磁性層の前記第1方向における厚さの2倍よりも厚い。前記第1磁性層の厚さの最大値は、前記第2電極の前記第1磁性層の側の第1面の最大幅よりも薄い。前記第1磁性層は、前記第1方向に沿ってみたときに前記第1面の外側に設けられた第1縁部を有し、前記第1面の縁の接線に対して垂直な方向における前記第1縁部の幅は、前記第5磁性層の交換長以上である。
本発明の別の実施形態によれば、第1電極と、第2電極と、第3電極と、第1磁性層と、第2磁性層と、第1スペーサ層と、第3磁性層と、第2スペーサ層と、を備えたスピン波装置が提供される。前記第3電極は、前記第1電極と前記第2電極とを結ぶ第1方向に対して交差する方向において前記第2電極と並置されている。前記第1磁性層は、前記第1電極と前記第2電極との間、及び、前記第1電極と前記第3電極との間に設けられ磁化方向が可変である。前記第2磁性層は、前記第1磁性層と前記第2電極との間に設けられ磁化方向が固着されている。前記第1スペーサ層は、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ非磁性である。前記第3磁性層は、前記第1磁性層と前記第3電極との間に設けられ磁化方向が固着されている。前記第2スペーサ層は、前記第1磁性層と前記第3磁性層との間に設けられ非磁性である。前記第1方向における前記第1磁性層の厚さは、前記第1磁性層のスピン侵入長の2倍よりも厚い。前記第1磁性層の厚さは、前記第2電極の前記第2磁性層の側の第1面の最大幅よりも薄い。前記第1磁性層は、前記第1方向に沿ってみたときに前記第1面の外側に設けられた第1縁部を有し、前記第1面の縁の接線に対して垂直な方向における前記第1縁部の幅は、前記第1磁性層の交換長以上である。
図1(a)〜図1(c)は、実施形態に係る磁気発振素子を示す模式図である。 実施形態に係る磁気発振素子の動作を示すグラフ図である。 磁気発振素子の動作を示すグラフ図である。 図4(a)〜図4(j)は、磁気発振素子の動作を示す模式図である。 図5(a)及び図5(b)は、実施形態に係る磁気発振素子の一部を示す模式的断面図である。 実施形態に係る別の磁気発振素子の一部を示す模式的断面図である。 図7(a)〜図7(d)は、実施形態に係る別の磁気発振素子を示す模式的断面図である。 図8(a)及び図8(b)は、実施形態に係る別の磁気発振素子を例す模式的断面図である。 図9(a)及び図9(b)は、実施形態に係る別の磁気発振素子を示す模式的断面図である。
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1の実施の形態)
図1(a)〜図1(c)は、実施形態に係る磁気発振素子の構成を例示する模式図である。
図1(a)は、斜視図である。図1(b)は、図1(a)のA1−A2線断面図である。図1(c)は、第1磁性層10と第2電極52との界面を含む平面図である。
図1(a)〜図1(c)に表したように、実施形態に係る磁気発振素子110は、第1電極51と、第2電極52と、積層膜10sと、を備える。積層膜10sは、第1電極51と第2電極52との間に設けられる。
第1電極51と第2電極52とを結ぶ軸(方向)をZ軸(Z軸方向、すなわち、第1方向)とする。例えば、第1電極51から第2電極52に向かう方向がZ軸方向となる。Z軸方向に対して垂直な1つの方向を、X軸方向(第2方向)とする。Z軸方向とX軸方向とに対して垂直な方向を、Y軸方向(第3方向)とする。Z軸方向に対して垂直な平面が、X−Y平面となる。
積層膜10sは、第1磁性層10と、第2磁性層20と、第1スペーサ層25と、を含む。第1磁性層10においては、磁化方向(第1磁性層10の磁化方向)が可変である。第1磁性層10は、例えば磁化発振層である。
第2磁性層20は、Z軸方向に沿って第1磁性層10と積層される。
本願明細書において、「積層」は、直接重ねられる状態の他に、間に別の要素が挿入されて重ねられる状態も含む。
第2磁性層20においては、磁化方向(第2磁性層20の磁化方向)が、固定されている。
第1スペーサ層25は、第1磁性層10と第2磁性層20との間に設けられる。第1スペーサ層25は、非磁性である。
磁気発振素子110においては、第1磁性層10は、第2磁性層20と第2電極52との間に配置される。すなわち、第1電極51の上に第2磁性層20が設けられる。第2磁性層20の上に第1スペーサ層25が設けられる。第1スペーサ層25の上に第1磁性層10が設けられる。第1磁性層10の上に第2電極52が設けられる。磁気発振素子110においては、第2電極52は、第1磁性層10と接する。
第2電極52は、積層膜10sと接する第1面52aを有する(図1(c))。この例では、第2電極52は第1磁性層10と接しており、第1面52aにおいて、第2電極52は第1磁性層10と接する。
第1磁性層10のZ軸方向に沿った厚さ(第1磁性層厚t1)は、第1磁性層10におけるスピン侵入長Lspの2倍よりも厚い(図1(b)及び図1(c)。スピン侵入長Lspについては、後述する。
第1磁性層10の厚さ(第1磁性層厚t1)は、第2電極52の第1面52aの最大幅(第1面幅d1)よりも薄い。第1面幅d1は、例えば、第1面52aの重心を通り、第1面52aの周囲の2点間を結ぶ距離である。第1面幅d1は、第1面52aのX−Y平面内における長さである。第1面幅d1は、例えば、第1面52aのX軸方向に沿った長さである。第1面幅d1は、例えば、第1面52aのY軸方向に沿った長さでも良い。
平面視において、第1磁性層10は、第1面52aよりも外側に突出している第1縁部10pを有する。平面視において、第1縁部10pは、第1磁性層10のうちで、第1面52aの外側に設けられた部分である。すなわち、第1磁性層10は、Z軸方向に沿ってみたときに第1面52aの外側に設けられた第1縁部10pを有する。Z軸方向に沿ってみたときの第1縁部10pの幅dpは、第1磁性層10の交換長Lex以上である。第1縁部10pの幅dpは、第1面52aの縁の接線に対して垂直な方向における第1縁部10pの長さである。交換長Lexについては、後述する。第1縁部10pは、第1磁性層10のうちの一部であって、X−Y平面内において第1面52aよりも外側に突出した部分である。
すなわち、第1磁性層10の幅(第1磁性層幅D、すなわち、X−Y平面内における長さ)は、第2電極52の第1面52aの第1面幅d1よりも大きい。
例えば、第2電極52の第1面52aの重心が、Z軸方向に沿ってみたときの第1磁性層10の形状の重心に配置される。このとき、(D−d1)=2・dpとなる。dp>Lexであるため、d1<(D−2・Lex)となる。
上記の構成により、高周波数の発振が得られる。
なお、図1(a)〜図1(c)に示した例では、第1磁性層10のZ軸方向に沿ってみたときの形状(平面形状)は、実質的に円形であるが、第1磁性層10の平面形状は任意である。第1磁性層10は、多角形または扁平円形などの任意の平面形状を有することができる。また、第2電極52をZ軸方向に沿ってみたときの形状(平面形状)は、実質的に円形であるが、第2電極52の平面形状は任意である。
例えば、図示しない基板上に第1電極51が設けられる。基板の上に、図示しない非磁性の下地層を設け、この下地層の上に第1電極51を設けても良い。
例えば、後述するように、第1電極51と第2磁性層20との間に、図示しない反強磁性層が設けられる。これにより、第2磁性層20の磁化方向が固定される。また、第2磁性層20の厚さを十分に厚くすることで、第2磁性層20の磁化方向が固定される。この場合、上記の反磁性層を設けなくても良い。第2磁性層20は、例えば、磁化固定層である。
一方、第1磁性層10には、このような固定機構を設けない。これにより、第1磁性層10の磁化方向は可変となる。
第1電極51と第2電極52との間に、電流を流すことが可能である。この電流によって、第1磁性層10内の磁化には、磁化方向を変化させるトルクと、磁性体内部に働く磁化変化を抑制する力と、の双方が働く。磁化方向を変化させるトルクは、例えば、スピントランスファトルクである。磁性体内部に働く磁化変化を抑制する力は、例えば、交換相互作用である。このように、競合する作用が共存する結果、第1磁性層10の磁化は、平衡状態に緩和することなく、電流を流している間において、定常的な才差運動を行う。第1磁性層10は、例えば磁化発振層である。
第1電極51と第2電極52の間に電流を流すと、磁気発振素子110中にはスピン偏極した電子流が流れる。電子流が磁性体中を通過することにより、電子流におけるスピン偏極方向は、磁性体の磁化方向に対して平行な方向に揃うようになる。磁性体から放出される電子流においては、磁性体と非磁性体の界面において、磁性体の磁化方向にスピン偏極している。しかし、界面から距離が離れるに従って、一定の緩和長で、電子流におけるスピン偏極成分が失われる。
磁気発振素子110において、第2磁性層20(磁化固定層)の磁化方向に対して平行な方向にスピン偏極した電子の流れが磁化発振層に流入する。第1磁性層10(磁化発振層)の磁化に、スピントランスファトルクが与えられる。
第1磁性層10内を流れる電流密度は空間的に非一様である。このため、スピントランスファトルクの作用は空間的に非一様である。従って、磁化方向の変化にも非一様性が生じる。
一般に、磁性体においては、磁気モーメント間に交換相互作用が働き、磁気モーメントが相互に平行な方向を取ろうとする性質がある。このため、このような磁化方向の非一様性が抑制される方向に、力が働く。すなわち、スピントランスファにより生じた磁化変化は、交換相互作用が復元力となって抑制される。
磁気発振素子110においては、第1磁性層10(磁化発振層)における磁化の才差運動は、スピントルクと交換相互作用とのつりあいに起因する。このように、自励的な現象が利用される。このため、導入する電流は、交流である必要はない。特に、直流、または、十分長い時間幅を持つパルス電流を用いることが望ましい。これにより、時間的に一定のスピントルクが働くため、定常的な発振が得られる。パルス電流を用いる場合、パルス電流の時間幅は、発振周波数の逆数以上とされる。
なお、磁気発振素子110において、電流の向きは任意である。すなわち、第1磁性層10から第2磁性層20に向かって流れる電流(第2磁性層20から第1磁性層10に向かって流れる電子流)を用いて、発振を得ることができる。この場合、第1磁性層10の電流非通電時の磁化方向は、第2磁性層20の磁化方向に対して反平行であることが望ましい。これにより、例えば、安定した発振が得られる。また、第2磁性層20から第1磁性層10に向かって流れる電流(第1磁性層10から第2磁性層20に向かって流れる電子流)を用いて発振を得ることができる。この場合、第1磁性層10の電流非通電時の磁化方向は、第2磁性層20の磁化方向に対して平行であることが望ましい。これにより、例えば、安定した発振が得られる。
第1磁性層10から第2磁性層20に向かって流れる電流(第2磁性層20から第1磁性層10に向かって流れる電子流)を用いることがより望ましい。この構成により、例えば、電流あたりのスピントルクが大きくなる。これにより、例えば、第2磁性層20から第1磁性層10に向かって流れる電流を用いた場合よりも小さい電流で、発振させることが可能になる。
実施形態においては、第1電極51と第2電極52との間に電流(一定の電流またはパルス電流)を流しつつ、これらの電極間の電圧を出力として取り出すことができる。
第1磁性層10(磁化発振層)、スペーサ層25及び第2磁性層20(磁化固定層)を含む積層膜10sにおいては、磁気抵抗効果が生じる。磁気抵抗効果において、第1磁性層10(磁化発振層)の磁化と、第2磁性層20(磁化固定層)の磁化と、の相対角度に応じて電気抵抗値が変わる。実施形態においては、この効果が利用される。すなわち、積層膜10sに電流を流し、第1磁性層10(磁化発振層)の磁化を発振させつつ、電圧を取りだす。このとき、第1磁性層10(磁化発振層)の磁化の振動に伴う抵抗変化が生じる。そして、磁化の振動周波数に等しい周波数を持つ交流電圧を取りだすことができる。
図2は、実施形態に係る磁気発振素子の動作を例示するグラフ図である。
図2の横軸は時間tである。縦軸は、素子の出力Voutである。
図2に表したように、出力Voutは振動する。このような振動する出力Voutを利用することができる。
発明者は、積層膜10s及び電極(第1電極51及び第2電極52)の構成を適切に設定したときに、特異的な発振特性が得られることを見出した。以下、磁気発振素子の構成を変えて、素子の発振特性をシミュレーションした結果について説明する。
このシミュレーションにおいては、磁化のダイナミクスを記述するモデルであるLandau-Lifshitz-Gilbert方程式を数値的に解く方法が実施された。これにより、磁気発振素子の発振周波数を求めることができる。本シミュレーションにおいては、第2電極52の幅(第1面幅d1)を40ナノメートル(nm)とし、第1磁性層10におけるスピン侵入長Lspを4nmとした。また、第1磁性層10は、飽和磁化の大きさが800emu/cmで、異方性エネルギーが0erg/cmで、交換スティフネスが1.4×10−6erg/cmの面内磁化膜とした。また、100Oeの外部磁界が印加されているとした。そして、第1磁性層10の第1磁性層厚t1を4nm〜24nmの範囲で変化させ、発振周波数を算出した。
図3は、磁気発振素子の動作を例示するグラフ図である。
図3は、このシミュレーション結果を例示している。横軸は、第1磁性層厚t1である。縦軸は、発振周波数foである。発振周波数foは、生じる発振の周波数のピーク値である。
図3に表したように、第1磁性層厚t1に関して8nm(スピン侵入長Lspの2倍)を境として、発振周波数foの特性が大きく変化する。すなわち、第1磁性層厚t1が8nmよりも薄いときは、発振周波数foは約15GHz程度である。これに対し、第1磁性層厚t1が8nmよりも厚いときは、発振周波数foは、50GHz〜170GHz程度と非常に高くなる。特に、第1磁性層厚t1が8nmよりも厚く16nm以下においては、発振周波数foが特に高い。第1磁性層厚t1が8nmよりも厚く12nm(スピン侵入長Lspの3倍)以下においては、さらに高い発振周波数foが得られる。
このように、第1磁性層厚t1がスピン侵入長Lspの2倍よりも薄い場合と、第1磁性層厚t1がスピン侵入長Lspの2倍よりも厚い場合とで、発振周波数foの特性が大きく変化することが見出された。
このように、スピン侵入長Lspの2倍の値を境にして、発振周波数foの特性が大きく変化することは、従来知られていない。
実施形態の構成は、このシミュレーションにより初めて見出された現象に基づいて構築されている。すなわち、第1磁性層10の第1磁性層厚t1が、スピン侵入長Lspの2倍よりも厚く設定される。これにより、高周波数の発振が得られる。
さらに、このシミュレーションにおいて、第1磁性層厚t1が8nmよりも薄いときは、発振のQ値(fo/Δfoに相当)は、10程度であった。これに対して、第1磁性層厚t1が8nmよりも厚いときは、発振のQ値は、10以上であった。このように、第1磁性層厚t1が8nmよりも厚いときは、第1磁性層厚t1が8nmよりも薄いときにおけるQ値の10倍以上の高いQ値が得られる。
図4(a)〜図4(j)は、磁気発振素子の動作を例示する模式図である。
これらの図は、第1磁性層10の磁化の挙動をシミュレーションした結果を例示している。図4(a)〜図4(e)は、第1磁性層厚t1が8nm(スピン侵入長Lspの2倍)よりも厚いときの磁化の挙動を例示している。図4(a)〜図4(e)の順に時間が経過したときの磁化の状態をそれぞれ例示している。図4(f)〜図4(j)は、第1磁性層厚t1が8nm(スピン侵入長Lspの2倍)よりも薄いときの磁化の挙動を例示している。図4(f)〜図4(j)の順に時間が経過したときの磁化の状態を例示している。これらの図において、第1磁性層10内の厚さ方向の磁化(Z軸方向に沿った異なる位置の磁化11)が示されている。
図4(f)〜図4(j)に表したように、第1磁性層厚t1がスピン侵入長Lspの2倍よりも薄いときは、磁化11は、Z軸方向(厚さ方向)において、一斉に振動するモードが見られた。
一方、図4(a)〜図4(e)に表したように、第1磁性層厚t1がスピン侵入長Lspの2倍よりも厚いときは、磁化11の向きは、Z軸方向において変化する。例えば、厚さ方向の一端の部分の位相が、厚さ方向の他端の部分の位相と逆である逆位相モードの振動モードが見られた。この磁化方向の振動モードの波長は、厚さの2倍である。このような逆位相モードの発生が、ミリ波帯に相当する高い周波数が得られる原因になっていると考えられる。
このように、実施形態においては、第1電極51と第2電極52との間に電流が流されたときに、第1磁性層10の磁化11は発振する。第1磁性層10が、第1部分と、第2部分と、を有するとする。第2部分は、第1部分とZ軸方向に沿って並んでいる。例えば、第1部分は、第1磁性層10のうちの第1電極51の側の部分であり、第2部分は、第1磁性層10のうちの第2電極52の側の部分である。なお、第1部分が第2電極52の側の部分で、第2部分が第1電極51の側の部分でも良い。第1部分における磁化11の発振の位相は、第2部分における磁化の発振の位相とは異なる。例えば、第1部分における磁化11の位相は、第2部分における磁化の位相に対して逆位相である。
このように、厚さ方向に沿って磁化11の発振の位相が変化する振動モードが生じることが見出された。
第1磁性層厚t1が薄い(スピン侵入長Lspの2倍未満)場合には、磁化変化の平面方向の波長が分散関係を通じて周波数と結びついていると考えられる。これに対し、第1磁性層厚t1がスピン侵入長Lspの2倍よりも厚いときは、磁化変化の厚さ方向の波長が周波数を決めていると考えられる。
膜厚の変化に伴う発振周波数の大きな変化が、上述のように、発振モードの変化と対応づけられることは、磁化の発振周波数fと波数kの関係(分散関係)からも説明される。
第1磁性層10が面内磁化膜の場合、分散関係は、以下の第1式で表される。

ここで、γは磁気回転比、Mは飽和磁化、Hは外部磁界と異方性磁界の和、Aは交換スティフネスである。
また、波数kは、磁化変化の平面方向の波長λと、厚さ方向の波長λと、を用いて、以下の第2式で表される。

厚さ方向に一様な発振モードにおいては、厚さ方向の波長λが無限大となる。このため、第1式から、発振周波数fは、厚さに依存せず、平面方向の波長λによって決まる。
平面方向の波長λは、第2電極52の幅d1の約2倍(80nm)になるため、第1式より求められる発振周波数は、14.8GHzとなる。この値は、第1磁性層厚t1が薄い(スピン侵入長Lspの2倍未満)場合のシミュレーション結果とほぼ一致する。すなわち、第1磁性層厚t1が薄い(スピン侵入長Lspの2倍未満)場合には、厚さ方向に変化しない発振モードが生じていることを裏付けている。
これに対し、厚さ方向に変化する発振モードの周波数は、厚さ方向の波長λに強く依存することが、第1式から分かる。例えば、厚さが12nmのときに周波数は86.5GHzとなり、厚さが16nmのときに周波数は56.5GHzとなる。これらの値は、平面方向の波長として、第2電極52の幅d1の約2倍(80nm)、厚さ方向の波長λとして、第1磁性層厚t1の2倍(24nm、32nm)とすることにより求められる。この値は、図3に例示したシミュレーション結果とほぼ一致する。すなわち、第1磁性層厚t1がスピン侵入長Lspの2倍よりも厚いときは、厚さ方向に変化する発振モードが発生することを裏付けている。
また、第1磁性層厚t1がスピン侵入長Lspの2倍よりも厚い場合に周波数が第1磁性層厚t1と強く関係付けられる条件を得るために、第1式より、厚さ方向の波長λが平面方向の波長λよりも短く設定される。実施形態に係る磁気発振素子においては、第1磁性層厚t1が第2電極52の幅d1よりも小さいため、この条件が満たされている。
この現象は、厚さ方向に沿った磁化の変化は磁性層と非磁性層との界面における境界条件に支配され、波長が離散化されて周波数が確定されることを反映していると考えられる。これに対し、第1磁性層厚t1が薄い場合には、このような周波数を確定する機構が存在しないと考えられる。このような機構の違いにより、上記の発振周波数foの特性の違いが生じると考えられる。
第1磁性層厚t1が、8nm(スピン侵入長Lspの2倍)のときは、積層膜10sに電流を流した初期の段階においては、図4(a)及び図4(b)に例示した逆位相モードであったが、才差運動の途中で、図4(c)及び図4(d)に例示した同位相モードに変化した。
このように、スピン侵入長Lspの2倍の値を境にして、発振周波数foの特性が大きく変化し、Q値も大きく変化する。そして、磁化の挙動も、同位相モードと逆位相モードとに大きく変化する。
なお、第2電極52の幅d1は、上記の条件を満たす範囲内で、小さくすることにより、電流磁界に影響されない、高周波数の磁化発振が安定的に得られる。第2電極52を通じて、電流密度J=10A/cmの電流を流したときに発生する電流磁界の大きさは、第1面52aの境界線上で最大値をとる。例えば、第1面52aが円形状を有するとき、この電流磁界の値(Oe)は、0.03×J(A/cm)×d1(ナノメートル)である。他の形状の場合も同程度である。したがって、第2電極52の幅d1が100nm以下であれば、例えば、電流密度が10A/cmの電流を流した場合でも、電流磁界の最大値は300Oe以下となり、電流磁界の影響が小さく抑えられる。第2電極52の幅d1が50nm以下であれば、電流磁界の最大値は150Oe以下となり、電流磁界の大きさは、異方性磁界の大きさと比較しても同程度以下にまで抑えられる。したがって、この場合、例えば、第1磁性層10内の磁化状態が、電流磁界の影響を受けて、還流磁区になるのを抑制することができ、高い発振周波数を持つ磁化発振が安定的に得られるため好ましい。
第1磁性層10の幅(第1磁性層幅D)よりも第2電極52の幅(第1面幅d1)を小さくするポイントコンタクト型の構成がある。しかしながら、スピン侵入長Lspの2倍の値を境にして発振特性が変質する特異的な現象に関しては知られていない。
すなわち、第1磁性層10の第1磁性層厚t1を、スピン侵入長Lspの2倍よりも大きく設定することは、従来の発想の延長上における単なる設計条件の選択ではない。第1磁性層10の第1磁性層厚t1を、スピン侵入長Lspの2倍よりも大きく設定することで、図3及び図4に関して説明したような臨界的に生じる特性が得られる。
このように、実施形態においては、スピントランスファ現象を用いた従来の磁気発振素子とは質的に異なる磁化運動状態を持つモードを励起することが可能である。これにより、従来の素子と比べて発振周波数を著しく高くすることができる。
従来の磁気発振素子の振動モードは空間的に一様な磁化発振であるか、または、平面方向にのみ磁化の空間変化の許された振動モードである。
これに対し、実施形態においては、厚さ方向に空間変化する振動モードが励起される。これにより、発振周波数の著しい増大が引き起こされる。
上記のように、実施形態においては、第1磁性層厚t1がスピン侵入長Lspの2倍よりも大きく設定される。磁気素子に電流を流すと第1磁性層10の磁化11にスピントルクが作用する。この現象は、微視的に解釈すると、スピン偏極した電子流と、第1磁性層10の磁化11を担う電子と、が交換相互作用した結果によりが生じている。
電流のスピン偏極について着目すると、電子流が第1磁性層10を通過することにより、電子流のスピン偏極方向のうちで、第1磁性層10の磁化方向に垂直な成分(横成分)は、ある減衰長λで失われる。
この減衰長λは、スピン侵入長Lspと呼ばれている。スピン侵入長Lspは、例えば、以下の第3式で表される。

λ = (2hD/πJ)1/2 (3)

ここで、h(eV・秒、eV・s)は、プランク定数である。D(平方メートル/秒、m/s)は、電子の拡散係数である。J(エレクトロンボルト、eV)は、s−d相互作用の係数である。πは円周率である。
Doは、例えば10−3/sである。Jは、例えば、0.1eV〜0.4eVである。これらの値を用いると、λは、1.8nm〜3.6nmとなる。
一方、強磁性共鳴(FMR)の周波数ピークの線幅からスピン侵入長を見積もる方法がある。この方法を用いて、第1磁性層10として用いることができる材料のスピン侵入長を見積もると、例えば以下となる。パーマロイ(Py)、コバルト鉄(CoFe)及び、CoFeBのそれぞれのスピン侵入長は、それぞれ、3.7nm、2.5nm及び12.0nmとなる。従って、第1磁性層10として、パーマロイ、コバルト鉄及びCoFeBのそれぞれを用いた場合には、第1磁性層厚t1は、7.4nm、5.0nm及び24.0nmのそれぞれよりも厚い値に設定される。
なお、スピン侵入長Lspは、いわゆるスピン拡散長とは異なる。スピン拡散長λsdlは、伝導電子のスピン偏極の磁化方向に対して平行な成分(縦成分)が減衰する特徴的な長さを意味している。磁化方向に対して垂直成分(横成分)の減衰距離を表すスピン侵入長Lspは、一般的に、スピン拡散長よりも短い。
実施形態においては、第1磁性層厚t1が、第2電極52の積層膜10sと接する第1面52aの幅(第1面幅d1)よりも短く設定される。これにより、磁化の厚さ方向の空間変化と、磁化の平面方向の空間変化と、の両方を有するモードが実現された場合に、厚さ方向の空間変化が平面方向の空間変化よりも小さくなる。発振周波数foは、厚さ方向の空間変化、すなわち、厚さ方向の波長に強く依存する状態になる。
実施形態において、第1磁性層10は、Z軸方向に沿ってみたときに第1面52aの外側に設けられた第1縁部10pを有する。Z軸方向に沿ってみたときの第1縁部10pの、第1面52aの縁の接線に対して垂直な方向における幅dpは、第1磁性層10の交換長Lex以上に設定される。例えば、第2電極52の第1面52aの重心が、Z軸方向に沿ってみたときの第1磁性層10の形状の重心に配置される場合、d1<(D−2・Lex)とされる。すなわち、第1面52aの第1面幅d1が、第1磁性層10の幅(第1磁性層幅D)よりも小さく、第1面52aの第1面幅d1と第1磁性層幅Dとの差の絶対値が交換長Lexの2倍よりも大きく設定される。
これにより、スピントルクによる磁化角度変化と、交換相互作用による復元力と、が共存する状態がつくり出される。したがって、第1縁部の幅を第1磁性層10の交換長以上とすることで、高周波数の発振が安定的に得られる。
交換長Lexは、以下の第4式で表される。

Lex = (2A/HM)1/2 (4)

ここで、A(エルグ/センチメートル、erg/cm)は、交換スティフネスである。M(emu/立方センチメートル、emu/cm、erg/cc)は、飽和磁化である。H(エルステッド、Oe)は、外部磁界と異方性磁界との和である。Aは、例えば、1.0×10−6erg/cm〜1.5×10−6erg/cmである。飽和磁化Mは、例えば、300emu/cm〜1500emu/cmである。
例えば、異方性磁界が150Oeの材料において、交換スティフネスが1.4×10−6erg/cmで、飽和磁化が1400Oeであるならば、外部磁界が印加されていないときの交換長Lexは、37nmとなる。
また、パーマロイのような異方性エネルギーの小さな材料を第1磁性層10(磁化発振層)として用いる場合、100Oe程度以上の外部磁界を与えることによって電流非通電時の磁化方向が規定される。パーマロイの交換長Lexは、例えば、外部磁界が100Oe及び1kOeのとき、それぞれ、50nm及び16nmである。
飽和磁化が800Oe〜1400Oeで、交換スティフネスが1×10−6erg/cm程度の磁性材料において、外部磁界と異方性磁界との和が100Oe以上、1kOe以下の場合、交換長Lexは、10nm以上50nm以下の範囲にある。
例えば、第1面52aの第1面幅d1が、第1磁性層10の幅(第1磁性層幅D)よりも小さく、第1面52aの第1面幅d1と第1磁性層幅Dとの差の絶対値が10nmよりも大きく設定される。これにより、交換相互作用による復元力が得られる。
これにより、高周波数の発振が安定して得られる。
一般に、スピントランスファ現象を用いた従来の磁気発振素子においてミリ波帯に対応する高い周波数を得ようとすると、例えば、10kOeを越える大きな磁場を印加する必要がある。これに対し、実施形態においては、例えば100Oe以下の小さい磁場を用いて、あるいは、外部磁場を用いずに、このような高い周波数の発振を得ることができる。
図1(a)〜図1(c)に例示したように、第1面52aの周縁から第1磁性層10の周縁までは、ある程度幅を有していることが望ましい。これにより、第1磁性層10の周縁に沿った領域において、交換相互作用による十分な復元力が効果的に得られる。ただし、実施形態はこれに限らない。例えば、第1磁性層10の周縁の一部において、第1縁部10pの幅dpが交換長Lex未満の部分が存在していても良い。例えば、第1縁部10pの幅dpが交換長Lex未満の領域の周縁に沿った長さが十分に短い場合は、交換相互作用による復元力が作用し、発振が持続的に得られる。
実施形態において、第2磁性層20は、垂直磁気異方性を有することができる、または、第2磁性層20は、面内磁気異方性を有することができる。
本願明細書において、垂直磁気異方性は、磁化の垂直成分(厚さ方向に対して平行方向の磁化の成分)が、磁化の面内成分(厚さ方向に対して垂直方向の磁化の成分)よりも大きいことを言う。すなわち、垂直磁気異方性を有する第2磁性層20においては、Z軸に沿った磁化が、X軸に沿った磁化よりも大きく、Y軸に沿った磁化よりも大きい。
本願明細書において、面内磁気異方性は、磁化の垂直成分が、磁化の面内成分よりも小さいことを言う。すなわち、面内磁気異方性を有する第2磁性層20においては、Z軸に沿った磁化が、X軸に沿った磁化、及び、Y軸に沿った磁化の少なくともいずれかよりも小さい。
図5(a)及び図5(b)は、実施形態に係る磁気発振素子の一部の構成を例示する模式的断面図である。
図5(a)に表したように、実施形態に係る一例の磁気発振素子110aにおいては、第1磁性層10は、複数の層による積層構造を有している。この例では、第1磁性層10は、第4磁性層10aと、第5磁性層10bと、を含む。第5磁性層10bは、第4磁性層10aと第1スペーサ層25との間に設けられる。具体的には、第5磁性層10bは、第4磁性層10aと第1スペーサ層25との間において、第1スペーサ層25に接する。第4磁性層10a及び第5磁性層10bは、強磁性である。
第1磁性層10がこのような積層構造を有する場合には、隣接する磁性層間の界面において、電子流のスピン偏極成分が失われるため、第1磁性層10の実質的なスピン侵入長は、上記磁性層(第4磁性層10a及び第5磁性層10b)のうちでスペーサ層に最も近い磁性層(第5磁性層10b)の膜厚に等しくなる。したがって、この場合は、第1磁性層10の全体の厚さを、第1磁性層10に含まれる磁性層のうちで第1スペーサ層25に最も近い磁性層(第5磁性層10b)の厚さの2倍以上とすることで、高い発振周波数が得られる。第1磁性層10がこのような積層構造を有する場合において、上記の磁性層(第5磁性層10b)の厚さを第1磁性層10の厚さの2分の1以下に設定することが望ましい。これにより、例えば、第1磁性層10の厚さを薄くしても、厚さ方向に沿って磁化11の位相が異なるモード(例えば、図4(a)及び図4(b)に関して説明した逆位相モード)が生じる。
一例として、第1磁性層10が、2nmのFeCoの第5磁性層10bと、2.5nmのFeCoBの第4磁性層10aと、の積層構造を有する場合、全体として4.5nmの厚さを持つ第1磁性層10において、高い周波数の磁化発振が得られる。すなわち、この構成においては、第1磁性層10の厚さが薄くても、第1磁性層10がFeCoの単層である場合よりも高い周波数の磁化発振が得られる。
第1磁性層10の厚さが薄くなれば、例えば、発振に必要な電流値が小さくなるため、望ましい。この構成においても、第2電極52の幅等に関する条件は、上記の実施形態と同様である。すなわち、第2電極52の第1面52aの幅は、第1磁性層10の厚さよりも大きい。第1磁性層10の第1縁部10pの、第1面52aの縁の接線に対して垂直な方向における幅は、第1磁性層10の交換長以上である。ここで、第1磁性層10の交換長とは、第1磁性層10に含まれる磁性層のうちでスペーサ層に最も近い磁性層(第5磁性層10b)の交換長を意味する。また、この例においても、第2電極52の幅は、100nm以下、さらに望ましくは50nm以下であることが望ましい。これにより、電流磁界により還流磁区になることを抑制することができ、高周波数の磁化発振が安定的に得られる。
図5(b)に表したように、実施形態に係る別の例の磁気発振素子110bにおいては、第1磁性層10は、第4磁性層10a及び第5磁性層10bに加え、第6磁性層10cをさらに含む。第6磁性層10cは、第4磁性層10aと第5磁性層10bとの間に設けられる。第6磁性層10cは、強磁性である。この場合にも、第1磁性層10の厚さが薄くても、高い周波数の磁化発振が得られる。第1磁性層10が含む磁性層の数は、任意である。
図6は、実施形態に係る別の磁気発振素子の一部の構成を例示する模式的断面図である。
図6に表したように、実施形態に係るさらに別の例の磁気発振素子110cにおいては、第2磁性層20は、複数の層の積層構造を有している。この例では、第2磁性層20は、第7磁性層20aと、第8磁性層20bと、非磁性層20cと、を含む。第8磁性層20bは、第7磁性層20aと第1スペーサ層25との間に設けられる。非磁性層20は、第7磁性層20aと第8磁性層20bとの間に設けられる。非磁性層20cは、第7磁性層20aと第8磁性層20bとの間に設けられる。第7磁性層20a及び第8磁性層20bは、強磁性層である。
このように、第2磁性層20は、複数の強磁性層と、複数の強磁性層の間に設けられた非磁性層と、を含むことができる。
この例において、非磁性層の数は任意である。すなわち、第2磁性層20は、交互に積層された複数の強磁性層と複数の非磁性層とを含むことができる。
第2磁性層20に含まれる強磁性層(例えば第7磁性層20a及び第8磁性層20bなど)の保磁力は、第1磁性層10の保磁力よりも大きい。
例えば、第1磁性層10が複数の層の積層構造を有し、第2磁性層20が複数の層の積層構造を有する場合において、第2磁性層20に含まれる強磁性層(例えば第7磁性層20a及び第8磁性層20bなど)の保磁力は、第1磁性層10に含まれる磁性層(例えば、第4磁性層10a、第5磁性層10b及び第6磁性層10cなど)の保磁力よりも大きい。
第1磁性層10及び第2磁性層20には、各種の磁性材料を用いることができる。第1磁性層10の材料は、第2磁性層20の材料と異なっていても良い。
第1磁性層10及び第2磁性層20の少なくともいずれかには、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)及びクロム(Cr)よりなる群から選択された少なくとも1つの元素を含む磁性合金を用いることができる。
第1磁性層10及び第2磁性層20の少なくともいずれかには、例えば、パーマロイ(FeNi合金)、CoFe合金などを用いることができる。
第1磁性層10及び第2磁性層20には、例えば、一軸異方性定数Kuが大きく、垂直磁気異方性を示す磁性材料を用いることができる。
一軸異方性定数Kuが大きい材料においては、Hk=2Ku/Mで定義される異方性磁界が大きくなり、従って交換長Lexが短い。そのため、磁性層幅と電極幅との差を小さくすることができる。このような材料の例として、Fe、Co、Ni、Mn及びCrよりなる群から選択された少なくとも1つの元素と、Pt、Pd、Ir、Ru及びRhよりなる群から選択された少なくとも1つの元素と、の組み合わせによる合金がある。
一軸異方性定数の値は、磁性層として用いられる磁性材料の組成、及び、熱処理による結晶規則性などによっても調整できる。
第1磁性層10及び第2磁性層20の少なくともいずれかには、例えば、hcp構造(最密六方構造)の結晶構造を持ち、垂直磁気異方性を示す磁性材料を用いることもできる。このような磁性材料としては、例えば、Coを主成分とする金属を含むものがある。第1磁性層10及び第2磁性層20の少なくともいずれかには、これ以外のhcp構造を有する金属を用いることもできる。
第1磁性層10及び第2磁性層20の少なくともいずれかには、例えば、希土類元素と鉄族遷移元素との合金で、垂直磁気異方性を示す材料を用いることもできる。第1磁性層10及び第2磁性層20には、例えば、GdFe、GdCo、GdFeCo、TbFe、TbCo、TbFeCo、GdTbFe、GdTbCo、DyFe、DyCo及びDyFeCoなどの少なくともいずれかを用いることができる。
第2磁性層20が、複数の強磁性層と、複数の強磁性層の間に設けられた非磁性層と、を含む構成において、複数の強磁性層(例えば、第7磁性層20a及び第8磁性層20bなど)には、例えば、Co、CoCr及びCoFeの少なくともいずれかを用いることができる。非磁性層20cには、PtまたはPdを用いることができる。
例えば、第1磁性層10は、Coの磁性層と、Ptの非磁性層と、を交互に繰り返して積層した構成を有することができる。繰り返しの数は、例えば3から6である。
第1磁性層10及び第2磁性層20の少なくともいずれかが積層構造を有する場合において、第1スペーサ層25に接する磁性層(例えば第5磁性層10b、または、例えば第8磁性層20bなど)には、Fe、Co及びNiよりなる群から選択されたすくなくともいずれか、または、Fe、Co、Ni、Mn及びCrよりなる群から選択された少なくともいずれかを含む合金を用いることができる。このような合金として、例えば、CoNbZr、FeTaC、CoTaZr、FeAlSi、FeB及びCoFeBなどのような軟磁性材料がある。
第1磁性層10及び第2磁性層20の少なくともいずれかが積層構造を有する場合において、第1スペーサ層25に接する磁性層(例えば第5磁性層10b、または、例えば第8磁性層20bなど)に、スピン分極率が高い材料を用いると、スピントランスファによる磁化発振の効率が高くなる。これにより、磁化発振に必要な電流閾値を下がる。さらに、磁気抵抗比が大きくなり読み出しが容易になる。
第1磁性層10及び第2磁性層20の少なくともいずれかが積層構造を有する場合において、第1スペーサ層25に接する磁性層(例えば第5磁性層10b、または、例えば第8磁性層20bなど)に、ハーフメタルと呼ばれる高スピン分極率材料を用いることが望ましい。ハーフメタルの例として、ホイスラー系合金、ルチル型酸化物、スピネル型酸化物、ペロブスカイト型酸化物、二重ペロブスカイト型酸化物、閃亜鉛鉱型クロム化合物、閃亜鉛鉱型マンガン化合物、パイライト型マンガン化合物、センダスト合金及び磁性半導体がある。ハーフメタルの具体例として、例えば、CoMnSi、CrO、Fe、及び、La1−xSrMnOなどがある。
第1磁性層10及び第2磁性層20の少なくともいずれかに用いられる磁性体は、Ag、Cu、Au、Al、Mg、Si、Bi、Ta、B、C、O、N、Pd、Pt、Zr、Ir、W、Mo、Nb及びHから選択された少なくともいずれかの非磁性元素を含むことができる。これにより、磁気特性が調節できる。また、結晶性、機械的特性及び化学的特性などの各種の物性を調節することができる。
第2磁性層20が多層構造を有する場合、多層構造に含まれる非磁性層20cには、Cu、Au、Ag、Ru、Ir及びOsよりなる群から選択された少なくともいずれか、または、この群から選択された2つ以上を含む合金を用いることができる。
第2磁性層20の磁化の固定のために用いる反強磁性層には、Fe−Mn、Pt−Mn、Pt−Cr−Mn、Ni−Mn、Pd−Mn、Pd−Pt−Mn、Ir−Mn、Pt−Ir−Mn、NiO、Fe、及び、磁性半導体などを用いることが望ましい。
第1スペーサ層25には、非磁性金属の薄膜、または、絶縁性の薄膜を用いることができる。非磁性金属に、Au、Cu、Cr、Zn、Ga、Nb、Mo、Ru、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Pt及びBiからなる群から選択された少なくともいずれか、または、この群から選択された少なくともいずれかを含む合金を用いることができる。
第1スペーサ層25の厚さは、第1磁性層10と第2磁性層20と静磁結合が十分小さく、かつ、第1スペーサ層25のスピン拡散長よりも小さくなるように設定される。第1スペーサ層25の厚さは、例えば、0.2nm以上20nm以下とすることが望ましい。
第1スペーサ層25に絶縁性材料を用い、第1スペーサ層25をトンネルバリア層として機能させることができる。これにより、磁気抵抗効果を大きくすることができる。
この場合において、第1スペーサ層25には、例えば、Al、SiO、MgO、AlN、Bi、MgF、CaF、SrTiO、AlLaO、Al−N−O、Si−N−O、及び、非磁性半導体などを用いることができる。この非磁性半導体には、例えば、ZnO、InMn、GaN、GaAs、TiO、Zn及びTeよりなる群から選択された少なくともいずれか、または、その群から選択された少なくともいずれかに遷移金属をドープしたもの、などを用いることができる。これらの化合物は、化学量論的にみて完全に正確な組成でなくても良い。これらの化合物において、酸素、窒素、フッ素などの欠損、または、過不足が存在していても良い。
第1スペーサ層25に絶縁性材料を用い場合において、第1スペーサ層25の厚さは、例えば、0.2nm以上5nm以下とすることが望ましい。これにより、トンネルバリア層として機能が効果的に得られる。
第1スペーサ層25が、絶縁性である場合、第1スペーサ層25の内部にピンホールが存在しても良い。この場合、ピンホールは、第1磁性層10及び第2磁性層20の少なくともいずれかの材料により埋め込まれる。
第1磁性層10と第2磁性層20とがピンホールを介して互いに接続されていると、いわゆる「磁性ポイントコンタクト」による「BMR効果(ballistic magnetoresistance effect)」が発現する。これにより、極めて大きい磁気抵抗効果が得られる。その結果、出力電圧の振幅が大きくなる。
ピンホールの開口径は、約20nm以下であることが望ましい。また、ピンホールは、円錐状、円柱状、球状、多角錘状または多角柱状などの各種の形状を有することができる。また、ピンホールの数は、1個でも複数でも良い。
図7(a)〜図7(d)、及び、図8(a)及び図8(b)は、実施形態に係る別の磁気発振素子の構成を例示する模式的断面図である。
なお、図8(a)及び図8(b)は、後述するスピン波装置125及び126の構成も例示している。
図7(a)に表したように実施形態に係る磁気発振素子111において、積層膜10sは、反強磁性層21をさらに含む。第1磁性層10は、第2磁性層20と第2電極52との間に配置される。反強磁性層21は、第2磁性層20と第1電極51との間に配置される。既に説明したように、反強磁性層21により、第2磁性層20の磁化方向が固定される。
図7(b)に表したように実施形態に係る磁気発振素子112においては、第1磁性層10は、第2磁性層20と第1電極51との間に配置される。この構成においては、第2電極の積層膜10sと接する第1面52aは、第2電極52が第2磁性層20と接する面である。
磁気発振素子112においては、第2磁性層20のZ軸方向に対して垂直な方向(例えばX軸方向)に沿った幅は、第1磁性層10のその方向(例えばX軸方向)に沿った幅よりも小さい。この例では、Z軸方向において第2磁性層20の外縁は、第2電極52の外縁と重なる。すなわち、Z軸方向に垂直な軸において、第2磁性層20の幅は、第2電極52の幅と同じである。
磁気発振素子112においては、磁気発振素子110及び111に比べて第1磁性層10と第2電極52との間の距離が遠い。このとき、上記のように、第2磁性層20の幅を第1磁性層10の幅(第1磁性層幅D)よりも小さくすることで、第1磁性層10を流れる電流の幅が小さく維持できる。これにより、上記で説明した機構に基づく高い周波数の発振が得られる。
例えば、第2電極52と第2磁性層20とが同じマスクで加工されるときは、製造工程が簡単になる。
図7(c)に表したように実施形態に係る磁気発振素子113においては、磁気発振素子112の構成において、第1スペーサ層25の幅が縮小されている。すなわち、第1スペーサ層25のZ軸方向に対して垂直な方向(例えばX軸方向)に沿った幅は、第1磁性層10のその方向(例えばX軸方向)に沿った幅よりも小さい。この例では、Z軸方向において第1スペーサ層25の外縁は、第2磁性層20の外縁と重なる。
磁気発振素子113においても、第2磁性層20及び第1スペーサ層25の幅を第1磁性層10の幅(第1磁性層幅D)よりも小さくすることで、第1磁性層10を流れる電流の幅が小さく維持できる。これにより、上記で説明した機構に基づく高い周波数の周波数が得られる。
例えば、第1スペーサ層25と第2電極52とが同じマスクで加工されるときは、製造工程が簡単になる。さらに、第2磁性層20がそのマスクで加工されるときは、さらに製造工程が簡単になる。
図7(d)に表したように実施形態に係る磁気発振素子114においては、積層膜10sは、第3磁性層30と、第2スペーサ層35と、をさらに含む。第3磁性層30は、第1磁性層10とZ軸方向に沿って積層される。第3磁性層30においては、第3磁性層30の磁化方向が固定されている。第2スペーサ層35は、第1磁性層10と第3磁性層30との間に設けられ、非磁性である。第2磁性層20と第3磁性層30との間に第1磁性層10が配置される。
第3磁性層30の磁化方向は、第2磁性層20の磁化方向と平行である。第3磁性層30の磁化の向きは、第2磁性層20の磁化の向きと同じである。
第2磁性層20及び第3磁性層30の少なくともいずれかは、複数の強磁性層(例えば第7磁性層20a及び第8磁性層20b)と、複数の強磁性層の間に設けられた非磁性層20cと、を含む積層構造を有していても良い。この非磁性層20cの厚さは、5nm以下である。
第2磁性層20が、積層された複数の強磁性層を有する場合、第2磁性層20の磁化方向は、第2磁性層20に含まれる複数の強磁性層(例えば第7磁性層20a及び第8磁性層20bなど)のうちで第1スペーサ層25に最も近い強磁性層(例えば第8磁性層20b)における磁化方向を指すものとする。
第3磁性層30が、積層された複数の強磁性層を有する場合、第3磁性層30の磁化方向は、第3磁性層30に含まれる複数の強磁性層のうちで第2スペーサ層35に最も近い強磁性層における磁化方向を指すものとする。
例えば、第2磁性層20に含まれる複数の強磁性層のうちで第1スペーサ層25に最も近い強磁性層における磁化方向は、第3磁性層30に含まれる複数の強磁性層のうちで第2スペーサ層35に最も近い強磁性層における磁化方向と平行である。
第2磁性層20の磁化方向が第3磁性層30の磁化方向に対して平行であるため、電極間に電流を通電することにより第1スペーサ層25を介して第1磁性層10に働くトルクは、第2スペーサを介して第2磁性層20に働くトルクに対して逆方向となる。従って、第1磁性層10において、厚さ方向に変化する磁化発振モードが生じ易い。これにより、小さな電流によっても磁化発振が起こる。
磁気発振素子111〜114においても、第1磁性層10の第1磁性層厚t1は、第1磁性層10におけるスピン侵入長Lspの2倍よりも厚い。第1磁性層厚t1は、第2電極52の第1面52aの第1面幅d1よりも薄い。Z軸方向に沿ってみたときに、第1磁性層10は、第1面52aの外側に設けられたの第1縁部10pを有し、第1縁部10pの幅dpは、第1磁性層10の交換長Lex以上である。これにより、高周波数の発振が得られる。さらに、Q値も向上する。
図8(a)に表したように実施形態に係る磁気発振素子115においては、第3電極53をさらに備える。第3電極53は、積層膜10sに接続される。第3電極53は、Z軸方向に対して交差する方向において第2電極52と並置される。例えば、第3電極53は、X−Y平面内において第2電極52と並置される。
第1磁性層10は、第2磁性層20と第1電極51との間に配置される。
積層膜10sは、第3磁性層30と、第2スペーサ層35と、をさらに含む。第3磁性層30は、第1電極51と第3電極53との間に設けられる。第3磁性層30においては、磁化方向が固定されている。第2スペーサ層35は、第1磁性層10と第3磁性層30との間に設けられる。
すなわち、第1電極51の上に第1磁性層10が設けられ、第1磁性層10の一部の上に第1スペーサ層25が設けられる。第1スペーサ層25の上に、第2磁性層20が設けられる。第2磁性層20の上に第2電極52が設けられる。第1磁性層10の別の一部の上に第2スペーサ層35が設けられる。第2スペーサ層25の上に第3磁性層30が設けられる。第3磁性層30の上に第3電極53が設けられる。
このように、1つの第1磁性層10に対して、複数のスペーサ層を設けることができる。そして、複数のスペーサ層のそれぞれに磁化固定層(第2磁性層20及び第3磁性層30など)を設けることができる。複数の磁化固定層のそれぞれに電極(第2電極52及び第3電極53など)を設けることができる。
図8(b)に表したように実施形態に係る磁気発振素子116においては、第2スペーサ層35が、第1スペーサ層25と連続している。または、第1スペーサ層25が、第1磁性層10と第3磁性層30との間に延在すると見なしても良い。この他の構成は、磁気発振素子115と同様である。
第3電極53には、例えば、第2電極52に関して説明した構成及び材料が適用できる。第3磁性層30には、例えば、第2磁性層20に関して説明した構成及び材料が適用できる。第2スペーサ層35には、例えば、第1スペーサ層25に関して説明した構成及び材料が適用できる。
磁気発振素子115及び116においても、第1磁性層10の第1磁性層厚t1は、第1磁性層10におけるスピン侵入長Lspの2倍よりも厚い。第1磁性層厚t1は、第2電極52の第1面52aの第1面幅d1よりも薄い。Z軸方向に沿ってみたときに、第1磁性層10は、第1面52aの外側に設けられたの第1縁部10pを有し、第1縁部10pの幅dpは、第1磁性層10の交換長Lex以上である。
さらに、第1磁性層10の厚さ(第1磁性層厚t1)は、第3電極53の積層膜10sと接する第2面53aの最大幅(第2面幅d2)よりも薄い。第1磁性層10は、X軸方向に沿ってみたときに第2面53aの外側に設けられた第2縁部10qを有する。Z軸方向に沿ってみたときの第2縁部10qの、第2面53aの縁の接線に対して垂直な方向における幅dqは、第1磁性層10の交換長Lex以上である。
これにより、高周波数の発振が得られる。さらに、Q値も向上する。
磁気発振素子115及び116においては、1つの第1磁性層10に対して複数の磁化固定層(第2磁性層20及び第3磁性層30など)が設けられている。これにより、例えば、発振特性が安定する。例えば、発振周波数のQ値が向上する。
磁気発振素子115及び116において、例えば、第2電極52を積層膜10sへの電流注入のために用いつつ、第3電極53を出力電圧取り出しに用いることができる。
実施形態に係る磁気発振素子の構成の具体例として、磁気発振素子111の例について説明する。第1磁性層10の平面サイズ(Z軸に沿ってみたときのサイズ)は、例えば、120nm×150nmである。第2電極52の平面サイズは、例えば、40nm×40nmである。
第1電極51には、例えばCu層が用いられる。反強磁性層21には、例えば、厚さが15nmのInMn層が用いられる。第2磁性層20には、例えば厚さが20nmのFeCo層が用いられる。第1スペーサ層25には、例えば、0.9nmのMgO層が用いられる。第1磁性層10には、厚さが10nmのパーマロイ層が用いられる。第2電極52には、例えばCu層が用いられる。
磁気発振素子111は、例えば、スパッタリング技術及びリソグラフィ技術を用いて作製される。例えば磁気発振素子111の製造方法の例について説明する。
ウェーハの上に第1電極51を形成する。第1電極51の上に、例えば、超高真空スパッタ装置を使って、反強磁性層21となる膜、第2磁性層20となる膜、第1スペーサ層25となる膜、及び、第1磁性層10となる膜を、この順で積層する。この上に、保護膜をさらに積層する。このウェーハに、磁界中真空炉にて、例えば、270℃で10時間の磁界中アニールを施す。これにより、第2磁性層20となる膜に一方向異方性が付与される。この後、保護膜上にレジストを塗布し、EB(Electron Beam)露光により、素子の平面形状に応じたマスクを形成される。例えば、イオンミリングにより、マスクに被覆されない領域の上記の膜をエッチングする。これにより、複数の素子が形成される。エッチング後、マスクを剥離する。さらに、超高真空スパッタを用いて、複数の素子どうしの間にSiO膜を形成する。その後、表面をイオンミリングによって平滑化し、素子の表面を露出させる。素子のそれぞれの上に、第2電極52となる膜を形成する。これにより、磁気発振素子111が形成される。
図9(a)及び図9(b)は、実施形態に係る別の磁気発振素子の構成を例示する模式的断面図である。
図9(a)に表したように、実施形態に係る磁気発振素子117も、第1電極51と、第2電極52と、積層膜10sと、を備える。積層膜10sは、第1電極51と第2電極52との間に設けられる。
磁気発振素子117においては、積層膜10sは、第1磁性層10、第2磁性層20及び第2スペーサ層25を含む。第2磁性層20は、第1磁性層10と第2電極52との間に設けられている。
積層膜10sは、これらに加え、キャップ層12をさらに含む。キャップ層12は、第1磁性層10と第2電極52との間に設けられる。キャップ層12の厚さ(Z軸方向に沿った長さ)は、10nm以下である。キャップ層12は非磁性である。
この場合も、第1磁性層10の第1磁性層厚t1は、第1磁性層10におけるスピン侵入長Lspの2倍よりも厚い。第1磁性層厚t1は、第2電極52の第1面52aの第1面幅d1よりも薄い。Z軸方向に沿ってみたときに、第1磁性層10は、第1面52aの外側に設けられた第1縁部10pを有し、第1縁部10pの幅dpは、第1磁性層10の交換長Lex以上である。
キャップ層12は、例えば、第1磁性層10の第2電極52の側の面を覆う。キャップ層12は、第1磁性層10を保護する機能を有する。キャップ層12には、例えば、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru)及び銅(Cu)などを用いることができる。このように、キャップ層12は導電性を有することができる。
第1磁性層10には、キャップ層12を介して電流が流れる。第1磁性層10に流れる電流の幅が広がらないように、キャップ層12の厚さは十分に薄くされる。キャップ層12の厚さが5nmよりも厚いと、第1磁性層10に流れる電流の幅が過度に広がり、高周波の発振が安定して得られない。キャップ層12の厚さを5nm以下にすることで、電流経路の広がりが抑制できる。
図9(b)に表したように、実施形態に係る磁気発振素子118においても、積層膜10sにキャップ層13が設けられる。この場合のキャップ層13には絶縁性の材料が用いられる。キャップ層13の厚さが十分薄くすることで、例えばトンネル効果により、第1磁性層10にキャップ層13を介して電流が流れる。
本実施形態に係る磁気発振素子は、例えば、マイクロ波・ミリ波帯の無線通信装置、および、レーダー装置などに用いられる。ただし、実施形態はこれに限らず、磁気発振素子の用途は任意である。
本実施形態においても第1磁性層10及び第2磁性層20は、複数の層による積層構造を有していても良い。たとえば、第1磁性層10がこのような積層構造を有する場合には、隣接する磁性層間の界面において、電子流のスピン偏極成分が失われるため、第1磁性層10の実質的なスピン侵入長は、上記磁性層のうちでスペーサ層に最も近い磁性層の層厚に等しくなる。したがって、この場合、第1磁性層10の厚さを、複数の磁性層のうちでスペーサ層(第1スペーサ層25)に最も近い磁性層の厚さの2倍以上とすることで、高い発振周波数が得られる。そのため、例えば、この磁性層の厚さを薄くすることで、第1磁性層10の厚さを薄くしても、厚さ方向に沿って磁化11の位相が異なるモード(例えば、図4(a)及び図4(b)に関して説明した逆位相モード)が生じるため、望ましい。
一例として、第1磁性層10が、2nmのFeCoの磁性層と、2.2nmのパーマロイの磁性層と、の積層構造を有する場合、全体として4.2nmの厚さを持つ第1磁性層10において、高い周波数の磁化発振が得られる。これは、第1磁性層10がFeCoの単層である場合よりも薄い層厚でも高い周波数の磁化発振が得られることを意味する。第1磁性層10の厚さが薄くなれば、例えば、発振に必要な電流値が小さくなるため、望ましい。この構成においても、第2電極52の幅等に関する条件は上記の実施形態と同様である。すなわち、第2電極52の第1面52aの最大幅は、第1磁性層10の厚さよりも大きい。第1磁性層10の第1縁部10pの幅は、第1磁性層10の交換長以上である。ここで、第1磁性層10の交換長とは、第1磁性層10に含まれる磁性層のうちでスペーサ層に最も近い磁性層の交換長を意味する。また、この例においても、第2電極52の幅は、100nm以下、さらに望ましくは50nm以下とすれば、電流磁界により還流磁区になることを抑制することができるため、高周波数の磁化発振が安定的に得られる。
(第2の実施の形態)
第2の実施形態は、スピン波装置である。実施形態に係るスピン波装置には、例えば、図8(a)及び図8(b)に関して説明した磁気発振素子の構成を適用できる。
すなわち、図8(a)に表したように、実施形態に係るスピン波装置125は、第1電極51と、第2電極52と、第3電極53と、積層膜10sと、を備える。
第3電極53は、第2電極52と並置される。積層膜10sは、第1電極51と第2電極52との間、及び、第1電極51と第3電極53との間に設けられる。
積層膜10sは、第1磁性層10と、第2磁性層20と、第1スペーサ層25と、第3磁性層30と、第2スペーサ層35と、を含む。第1磁性層10においては、磁化方向が可変である。第2磁性層20は、第1磁性層10と第2電極52との間に設けられ、磁化方向が固定されている。第1スペーサ層25は、第1磁性層10と第2磁性層20との間に設けられ、非磁性である。第3磁性層30は、第1磁性層10と第3電極53との間に設けられ、磁化方向が固定されている。第2スペーサ層25は、第1磁性層10と第3磁性層30との間に設けられ、非磁性である。
この場合も、第1電極51と第2電極52とを結ぶZ軸方向に沿った第1磁性層10の厚さ(第1磁性層厚t1)は、第1磁性層10におけるスピン侵入長Lspの2倍よりも厚い。第1磁性層厚t1は、第2電極52の積層膜10sと接する第1面52aの最大幅(第1面幅d1)よりも薄い。第1磁性層10は、Z軸方向に沿ってみたときに第1面52aの外側に設けられた第1縁部10pを有し、Z軸方向に沿ってみたときの第1縁部10pの、第1面52aの縁の接線に対して垂直な方向における幅dpは、第1磁性層10の交換長Lex以上である。
また、図8(b)に表したスピン波装置126のように、実施形態においては、第2スペーサ層35が第1スペーサ層25と連続していても良い。
本実施形態に係るスピン波装置(例えばスピン波装置125及び126並びにそれらの変形)においては、例えば、第2電極52を積層膜10sへの電流注入のために用いつつ、第3電極53を出力電圧の取り出しに用いることができる。例えば、第1電極51と第3電極53との間における電圧を取り出す際、GMR効果またはTMR効果などに基づく抵抗の変化を取り出すことができる。
さらに、例えば、第2電極52及び第3電極53をそれぞれ複数設けても良い。
実施形態に係るスピン波装置125及び126並びにそれらの変形のスピン波装置は、例えば加算器などに応用できる。実施形態によれば、高周波数の発振が得られ、高速動作が可能である。さらに、多数入力の一括演算に対応できる。
本実施形態において、第2磁性層20のX軸方向に沿った幅は、第1磁性層10のX軸方向に沿った幅よりも小さい。特に、第2磁性層20のZ軸方向に沿ってみたときの外縁は、第2電極52のZ軸方向に沿ってみたときの外縁と、Z軸方向に沿ってみたときに重なることが望ましい。
スピン波装置126においては、第1スペーサ層25のX軸方向に沿った幅は、第1磁性層10のX軸方向に沿った幅よりも小さい。特に、第1スペーサ層25のZ軸方向に沿ってみたときの外縁が、第2磁性層20のZ軸方向に沿ってみたときの外縁と、Z軸方向に沿ってみたときに重なることが望ましい。
例えば、第1磁性層10の第1磁性層厚t1は、第3電極53の積層膜10sと接する第2面53aの幅(第2面幅d2)も薄い。第1磁性層10は、Z軸方向に沿ってみたときに第2面53aの外側に設けられた第2縁部10qを有し、Z軸方向に沿ってみたときの第2縁部10qの、第2面53aの縁の接線に対して垂直な方向における幅dqは、第1磁性層10の交換長Lex以上である。
上記の実施形態において、第1磁性層10、第2磁性層20、第1スペーサ層25のそれぞれについて、互いに同じ形状、または、同じサイズとする必要はなく、互いに異なる形状、サイズでも良い。
製造プロセスの観点から、第1磁性層10の平面形状としては、縦横比で1:1から1:4までの範囲内にあることが望ましい。ただし、その平面形状は、正方形、長方形、多角形(例えば、六角形)、円形、楕円形、菱形、または、平行四辺形など、任意の形状を有することができる。
実施形態に係る磁気発振素子及びスピン波装置に含まれる反強磁性層、スペーサ層、絶縁層などの構成要素は、それぞれ、単層でも良く、2つ以上の層を積層した構造を有しても良い。
実施形態に係る磁気発振素子及びスピン波装置の構造における上下関係は、任意である。構造における上下関係は、本願明細書に添付した図面中における上下関係と一致していても良く、一致していなくても良い。
実施形態によれば、高周波数の発振が得られる磁気発振素子及びスピン波装置が提供される。
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、磁気発振素子及びスピン波装置に含まれる電極、積層膜、磁性層、スペーサ層、反強磁性層及びキャップ層などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
その他、本発明の実施の形態として上述した磁気発振素子及びスピン波装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての磁気発振素子及びスピン波装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…第1磁性層、 10a…第4磁性層、 10b…第5磁性層、 10c…第6磁性層、 10p…第1縁部、 10q…第2縁部、 11…磁化、 12、13…キャップ層、 20…第2磁性層、 20a…第7磁性層、 20b…第8磁性層、 20c…非磁性層、 21…反強磁性層、 25…第1スペーサ層、 30…第3磁性層、 35…第2スペーサ層、 51…第1電極、 52…第2電極、 52a…第1面、 53…第3電極、 53a…第2面、 110〜118…磁気発振素子、 125、126…スピン波装置、 D…第1磁性層幅、 Lex…交換長、 Lsp…スピン侵入長、 Vout…出力、 d1、d2…第1、第2面幅、 dp、dq…幅、 fo…発振周波数、 t…時間、 t1…第1磁性層厚

Claims (16)

  1. 第1電極と、
    第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ磁化方向が可変の第1磁性層と、
    前記第1電極と前記第1磁性層との間に設けられ磁化方向が固定された第2磁性層と、
    前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ非磁性の第1スペーサ層と、
    を備え、
    前記第1電極と前記第2電極とを結ぶ第1方向における前記第1磁性層の厚さは、前記第1磁性層のスピン侵入長の2倍よりも厚く、
    前記第1磁性層の厚さは、前記第2電極の前記第1磁性層の側の第1面の最大幅よりも薄く、
    前記第1磁性層は、前記第1方向に沿ってみたときに前記第1面の外側に設けられた第1縁部を有し、前記第1面の縁の接線に対して垂直な方向における前記第1縁部の幅は、前記第1磁性層の交換長以上であり、
    前記第1電極と前記第2電極の間に電流が流されたときに、前記第1磁性層の磁化は発振し、
    前記第1磁性層は、前記第1磁性層のうちで前記第1電極の側の第1部分と、前記第1磁性層のうちで前記第2電極の側の第2部分と、を有し、
    前記第1部分における前記磁化の前記発振の位相は、前記第2部分における前記磁化の前記発振の位相とは異なることを特徴とする磁気発振素子。
  2. 第1電極と、
    第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ磁化方向が可変の第1磁性層と、
    前記第2電極と前記第1磁性層との間に設けられ磁化方向が固定された第2磁性層と、
    前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ非磁性の第1スペーサ層と、
    を備え、
    前記第1電極と前記第2電極とを結ぶ第1方向における前記第1磁性層の厚さは、前記第1磁性層のスピン侵入長の2倍よりも厚く、
    前記第1磁性層の厚さは、前記第2電極の前記第2磁性層の側の第1面の最大幅よりも薄く、
    前記第1磁性層は、前記第1方向に沿ってみたときに前記第1面の外側に設けられた第1縁部を有し、前記第1面の縁の接線に対して垂直な方向における前記第1縁部の幅は、前記第1磁性層の交換長以上であり、
    前記第1方向に対して交差する方向において前記第2電極と並置された第3電極と、
    前記第3電極と前記第1磁性層との間に設けられ磁化方向が固定された第3磁性層と、
    前記第1磁性層と前記第3磁性層との間に設けられた第2スペーサ層と、
    をさらに備え、
    前記第1磁性層の厚さは、前記第3電極の前記第3磁性層の側の第2面の最大幅よりも薄く、
    前記第1磁性層は、前記第1方向に沿ってみたときに前記第2面の外側に設けられた第2縁部を有し、前記第2面の縁の接線に対して垂直な方向における前記第2縁部の幅は、前記第1磁性層の交換長以上であることを特徴とする磁気発振素子。
  3. 第1電極と、
    第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ磁化方向が可変の第1磁性層と、
    前記第2電極と前記第1磁性層との間に設けられ磁化方向が固定された第2磁性層と、
    前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ非磁性の第1スペーサ層と、
    を備え、
    前記第1電極と前記第2電極とを結ぶ第1方向における前記第1磁性層の厚さは、前記第1磁性層のスピン侵入長の2倍よりも厚く、
    前記第1磁性層の厚さは、前記第2電極の前記第2磁性層の側の第1面の最大幅よりも薄く、
    前記第1磁性層は、前記第1方向に沿ってみたときに前記第1面の外側に設けられた第1縁部を有し、前記第1面の縁の接線に対して垂直な方向における前記第1縁部の幅は、前記第1磁性層の交換長以上であり、
    前記第1電極と前記第2電極の間に電流が流されたときに、前記第1磁性層の磁化は発振し、
    前記第1磁性層は、前記第1磁性層のうちで前記第1電極の側の第1部分と、前記第1磁性層のうちで前記第2電極の側の第2部分と、を有し、
    前記第1部分における前記磁化の前記発振の位相は、前記第2部分における前記磁化の前記発振の位相とは異なることを特徴とする磁気発振素子。
  4. 第1電極と、
    第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ磁化方向が可変の第1磁性層と、
    前記第1電極と前記第1磁性層との間に設けられ磁化方向が固定された第2磁性層と、
    前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ非磁性の第1スペーサ層と、
    を備え、
    前記第1電極と前記第2電極とを結ぶ第1方向における前記第1磁性層の厚さの最小値は、前記第1磁性層のスピン侵入長の2倍よりも厚く、
    前記第1磁性層の厚さの最大値は、前記第2電極の前記第1磁性層の側の第1面の最大幅よりも薄く、
    前記第1磁性層は、前記第1方向に沿ってみたときに前記第1面の外側に設けられた第1縁部を有し、前記第1面の縁の接線に対して垂直な方向における前記第1縁部の幅は、前記第1磁性層の交換長以上であることを特徴とする磁気発振素子。
  5. 前記第2磁性層と前記第1電極との間に設けられた反強磁性層をさらに備えたことを特徴とする請求項記載の磁気発振素子。
  6. 前記第1磁性層と前記第2電極との間に設けられ、前記第2磁性層の前記磁化方向と平行な方向に磁化方向が固定された第3磁性層と、
    前記第1磁性層と前記第3磁性層との間に設けられ非磁性の第2スペーサ層と、
    をさらに備えたことを特徴とする請求項またはに記載の磁気発振素子。
  7. 第1電極と、
    第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ磁化方向が可変の第1磁性層と、
    前記第2電極と前記第1磁性層との間に設けられ磁化方向が固定された第2磁性層と、
    前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ非磁性の第1スペーサ層と、
    を備え、
    前記第1電極と前記第2電極とを結ぶ第1方向における前記第1磁性層の厚さの最小値は、前記第1磁性層のスピン侵入長の2倍よりも厚く、
    前記第1磁性層の厚さの最大値は、前記第2電極の前記第2磁性層の側の第1面の最大幅よりも薄く、
    前記第1磁性層は、前記第1方向に沿ってみたときに前記第1面の外側に設けられた第1縁部を有し、前記第1面の縁の接線に対して垂直な方向における前記第1縁部の幅は、前記第1磁性層の交換長以上であることを特徴とする磁気発振素子。
  8. 前記第1方向に対して垂直な第2方向における前記第2磁性層の幅は、前記第2方向における前記第1磁性層の幅よりも小さいことを特徴とする請求項記載の磁気発振素子。
  9. 前記第1方向に対して交差する方向において前記第2電極と並置された第3電極と、
    前記第3電極と前記第1磁性層との間に設けられ磁化方向が固定された第3磁性層と、
    前記第1磁性層と前記第3磁性層との間に設けられた第2スペーサ層と、
    をさらに備え、
    前記第1磁性層の厚さの最大値は、前記第3電極の前記第3磁性層の側の第2面の最大幅よりも薄く、
    前記第1磁性層は、前記第1方向に沿ってみたときに前記第2面の外側に設けられた第2縁部を有し、前記第2面の縁の接線に対して垂直な方向における前記第2縁部の幅は、前記第1磁性層の交換長以上であることを特徴とする請求項またはに記載の磁気発振素子。
  10. 前記第1電極と前記第2電極の間に電流が流されたときに、前記第1磁性層の磁化は発振し、
    前記第1磁性層は、前記第1磁性層のうちで前記第1電極の側の第1部分と、前記第1磁性層のうちで前記第2電極の側の第2部分と、を有し、
    前記第1部分における前記磁化の前記発振の位相は、前記第2部分における前記磁化の前記発振の位相とは異なることを特徴とする請求項のいずれか1つに記載の磁気発振素子。
  11. 第1電極と、
    第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ磁化方向が可変の第1磁性層と、
    前記第1電極と前記第1磁性層との間に設けられ磁化方向が固定された第2磁性層と、
    前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ非磁性の第1スペーサ層と、
    前記第1磁性層と前記第2電極との間に設けられ5ナノメートル以下の厚さを有し非磁性のキャップ層と、
    を備え、
    前記第1電極と前記第2電極とを結ぶ第1方向における前記第1磁性層の厚さの最小値は、前記第1磁性層のスピン侵入長の2倍よりも厚く、
    前記第1磁性層の厚さの最大値は、前記第2電極の前記第1磁性層の側の第1面の最大幅よりも薄く、
    前記第1磁性層は、前記第1方向に沿ってみたときに前記第1面の外側に設けられた第1縁部を有し、前記第1面の縁の接線に対して垂直な方向における前記第1縁部の幅は、前記第1磁性層の交換長以上であることを特徴とする磁気発振素子。
  12. 前記第1電極及び前記第2電極を介して前記第1磁性層から前記第2磁性層に向かって電流が通電されることを特徴とする請求項11のいずれか1つに記載の磁気発振素子。
  13. 第1電極と、
    第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ磁化方向が可変の第1磁性層と、
    前記第1電極と前記第1磁性層との間に設けられ磁化方向が固定された第2磁性層と、
    前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ非磁性の第1スペーサ層と、
    を備え、
    前記第1磁性層は、
    強磁性の第4磁性層と、
    前記第4磁性層と前記第1スペーサ層との間において前記第1スペーサ層に接し、前記第4磁性層との材料とは異なる材料の強磁性の第5磁性層と、
    を含み、
    前記第1電極と前記第2電極とを結ぶ第1方向における前記第1磁性層の厚さの最小値は、前記第5磁性層の前記第1方向における厚さの2倍よりも厚く、
    前記第1磁性層の厚さの最大値は、前記第2電極の前記第1磁性層の側の第1面の最大幅よりも薄く、
    前記第1磁性層は、前記第1方向に沿ってみたときに前記第1面の外側に設けられた第1縁部を有し、前記第1面の縁の接線に対して垂直な方向における前記第1縁部の幅は、前記第5磁性層の交換長以上であることを特徴とする磁気発振素子。
  14. 第1電極と、
    第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ磁化方向が可変の第1磁性層と、
    前記第1電極と前記第1磁性層との間に設けられ磁化方向が固定された第2磁性層と、
    前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ非磁性の第1スペーサ層と、
    前記第1磁性層と前記第2電極との間に設けられ5ナノメートル以下の厚さを有し非磁性のキャップ層と、
    を備え、
    前記第1磁性層は、
    強磁性の第4磁性層と、
    前記第4磁性層と前記第1スペーサ層との間において前記第1スペーサ層に接し、前記第4磁性層の材料とは異なる材料の強磁性の第5磁性層と、
    を含み、
    前記第1電極と前記第2電極とを結ぶ第1方向における前記第1磁性層の厚さの最小値は、前記第5磁性層の前記第1方向における厚さの2倍よりも厚く、
    前記第1磁性層の厚さの最大値は、前記第2電極の前記第1磁性層の側の第1面の最大幅よりも薄く、
    前記第1磁性層は、前記第1方向に沿ってみたときに前記第1面の外側に設けられた第1縁部を有し、前記第1面の縁の接線に対して垂直な方向における前記第1縁部の幅は、前記第5磁性層の交換長以上であることを特徴とする磁気発振素子。
  15. 前記第1面の最大幅は100ナノメートル以下であることを特徴とする請求項10または14に記載の磁気発振素子。
  16. 第1電極と、
    第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極とを結ぶ第1方向に対して交差する方向において前記第2電極と並置された第3電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間、及び、前記第1電極と前記第3電極との間に設けられ磁化方向が可変の第1磁性層と、
    前記第1磁性層と前記第2電極との間に設けられ磁化方向が固着された第2磁性層と、
    前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられ非磁性の第1スペーサ層と、
    前記第1磁性層と前記第3電極との間に設けられ磁化方向が固着された第3磁性層と、
    前記第1磁性層と前記第3磁性層との間に設けられ非磁性の第2スペーサ層と、
    を備え、
    前記第1方向における前記第1磁性層の厚さは、前記第1磁性層のスピン侵入長の2倍よりも厚く、
    前記第1磁性層の厚さは、前記第2電極の前記第2磁性層の側の第1面の最大幅よりも薄く、
    前記第1磁性層は、前記第1方向に沿ってみたときに前記第1面の外側に設けられた第1縁部を有し、前記第1面の縁の接線に対して垂直な方向における前記第1縁部の幅は、前記第1磁性層の交換長以上であることを特徴とするスピン波装置。
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