JP5155907B2 - 磁性膜を用いた信号処理デバイスおよび信号処理方法 - Google Patents

磁性膜を用いた信号処理デバイスおよび信号処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、磁性膜を用いた信号処理デバイスおよび信号処理方法に関する。
CMOSデバイスの微細化は、信号処理デバイスの性能向上を牽引し、論理処理装置として様々な市場の高機能化、高性能化に貢献してきた。しかしながら、これまで幾多もの製造的課題を解決することで推進されてきた微細化は、いずれは物理的限界に達すると予想されている。またさらに、微細化とともに顕在化してきた大きな課題が消費電力である。微細化に伴い増加するダイナミックパワーの抑制の結果、スタティックパワーが増大し、微細化に伴い、消費電力はうなぎ登りに増大する。
このような状況下で、さらなる性能向上に向けたブレークスルーとして、様々なアプローチが進められている。その一つに、非ブール代数論理に基づき,特別な処理に特化した信号処理デバイス創成が挙げられる。特に、Morcphicアーキテクチャと呼ばれる処理手法は、ニューロコンピューティングあるいはセルラーノンリニアネットワークなどを網羅し、学習、パターン認識などのCMOSが苦手とする信号処理を得意とする。それらの基本演算単位は、多入力1出力の信号処理であり、多入力の加算処理が基礎となる。このため、それらのデバイス構造は、これまでの汎用論理操作を目的とした順次ブール代数操作に適した信号ON/OFF機能をもつMOSFET構造とは大きく異なると予想される。
一方、材料サイドからは、光、スピン、またはバイオ等、従来から活用された電荷自由度とは異なる自由度を利用する情報処理の検討も進められている。スピンを使った情報処理デバイスとして、スピンMOSFETや、Datt−Das型スピントランジスタ、スピンゲイントランジスタ等が提案されている。それらの多くは何れもFETのトランジスタ構造を有し、ブール代数演算に適する。また、原理的に小さなエネルギーで励起が可能なことから低消費電力化が期待されるスピン波を用いたトランジスタが提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。しかしながら、それらのデバイスは、スピン波励起を伝送線路構造による磁界で行なうため、励起に要する電力は大きくなることが避けられない。また、伝送線路は大きな面積が必要となることから多入力の電極として使用するに適した構造ではない。
米国特許公開第2007/0296516号明細書
Appl.Phys. Lett., 87(2005)153501
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであって、低消費電力で、多入力信号の加算処理に優れた信号処理デバイスおよび信号処理方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様による信号処理デバイスは、少なくとも1層以上の磁性層を含む連続膜と、前記連続膜上に、前記連続膜に直接に接触するかまたは絶縁層を介して接触するように設けられ、接触面はドット形状を有し、入力信号を受けることにより、前記連続膜との接触面直下の、前記連続膜の磁性層の領域にスピン波を発生させる複数のスピン波発生部と、前記連続膜上に設けられ、前記スピン波発生部によって発生されられて前記連続膜を伝播するスピン波を電気信号として検出する少なくとも1個の信号検出部と、を備えていることを特徴とする。
また、本発明の第2の態様による信号処理方法は、前記信号検出部は前記連続膜の膜面上に設けられ、前記信号検出部の前記連続膜との接触面積が、各スピン波発生部の連続膜との接触面積以上である第1の態様の信号処理デバイスの信号処理方法において、各スピン波発生部への入力信号として入力する電流もしくは電圧の極性を前記入力信号の0もしくは1に対応させ、前記信号検出部によって検出される検出信号の大きさを信号出力とすることを特徴とする。
また、本発明の第3の態様による信号処理方法は、前記信号検出部は前記連続膜の膜面上に設けられ、前記信号検出部の前記連続膜との接触面積が、各スピン波発生部の連続膜との接触面積以上である第1の態様の信号処理デバイスの信号処理方法において、各スピン波発生部への入力信号として入力する電圧の有無を前記入力信号の0もしくは1に対応させ、前記信号検出部によって検出される検出信号の大きさを信号出力とすることを特徴とする。
本発明によれば、スピン波励起のための電力が低く、多入力信号の加算処理に優れた信号処理デバイスおよび信号処理方法を提供することができる。
第1実施形態による信号処理デバイスを示す模式図。 第1実施形態における連続膜とスピン波発生部との組み合わせの具体例を示す断面図。 第1実施形態における連続膜とスピン波発生部との組み合わせの具体例を示す断面図。 第1実施形態における連続膜とスピン波発生部との組み合わせの具体例を示す断面図。 第1実施形態における連続膜とスピン波発生部との組み合わせの具体例を示す断面図。 第1実施形態における連続膜と信号検出電極との組み合わせの具体例を示す断面図。 第1実施形態における連続膜と信号検出電極との組み合わせの具体例を示す断面図。 第1実施形態における連続膜と信号検出電極との組み合わせの具体例を示す断面図。 第1実施形態における連続膜と信号検出電極との組み合わせの具体例を示す断面図。 第1実施形態におけるスピン波発生部と、信号検出電極との配置の一例を示す図。 第2実施形態による信号処理デバイスを示す模式図。 第2実施形態におけるスピン波発生部と、信号検出電極との配置の一例を示す図。 第1実施例による信号処理デバイスの断面図。 第1実施例による各テストサンプルにおける入力信号の組み合わせと、検出信号強度との関係を示す図。 第3実施例による信号処理デバイスの断面図。 第3実施例による信号処理デバイスの上面図。 第3実施例の比較例による信号処理デバイスの上面図。 第4実施例による信号処理デバイスにおける、スピン波発生部と信号検出電極との配置を示す図。 第4実施例による信号処理デバイスの効果を説明する図。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による信号処理デバイスの基本構造を図1に示す。この信号処理デバイス1は、基板(図示しない)の上に設けられて、室温にて強磁性を示す磁性層を少なくとも1層含む連続膜10と、連続膜10上に接触面を介して設けられた複数のスピン波発生部20,・・・,20と、少なくとも1個の信号検出電極(信号検出部)30と、を備えている。
各スピン波発生部20(i=1,・・・,n)は、連続膜10上にドット形状の接触面を介して設けられ、このスピン波発生部20を介して上記ドット形状の接触面に略垂直の方向に電圧を印加する、もしくは電流を流すことにより、連続膜10を構成する磁性層の接触面直下の領域にスピン波を発生させる機能を有する。本明細書では、「ドット形状」とは、円形、楕円形、四角形、多角形等を意味する。なお、各スピン波発生部20(i=1,・・・,n)には、図示しない電極および信号源が接続され、そこから電圧もしくは電流の形態の入力Input−iが供給される。
スピン波は、各スピン波発生部20(i=1,・・・,n)に引加される電圧、あるいは電流により引き起こされるスピントルクもしくは磁気異方性へ導入される歪により、連続膜10中の磁性層に発生される。すなわち、スピン波発生部20,・・・,20とは、スピントルクもしくは歪により連続膜10中の磁性層にスピン波を発生させるための部位を差す。ただし、各スピン波発生部20(i=1,・・・,n)のドット状の接触面の最大直径が500nmを越えて大きい場合には、複雑な多磁区の磁化構造が、スピン波発生部20に励起されるため、スピン波制御が困難となり望ましくない。ここで、「最大直径」とは、ドット形状が楕円形の場合は長軸の長さを意味し、四角形または多角形の場合は対角線の最大長さを意味する。さらに、スピン波発生部を複数個設けて、多入力化する上でも望ましくない。よって、接触面は最大直径が500nm以下の円形もしくは楕円、多角形であることが望ましく、その範囲であれば、取り扱いが容易で制御性に優れ、多入力化のための部位設定が容易となる。
次に、連続膜10について説明する。連続膜10の基本構造として2通り挙げられる。一つは図1に示すような磁性層12/スペーサ層14/磁性層16からなる積層構造を有している。なお、図1においては、磁性層12/スペーサ層14/磁性層16/反強磁性層18の積層構造となっている。この反強磁性層18は、磁性層16の磁化方向を固定する機能を有している。また、この連続膜10の積層順序は、反強磁性層18、磁性層16、スペーサ層14、磁性層12の順に積層される。なお、スペーサ層14は、トンネルバリアとなる材料または非磁性金属材料のいずれかが用いられる。
一般にスピントルクを生成させる膜構造として、第1磁性層/スペーサ層/第2磁性層からなる積層構造が知られている。ただし、それらの目的は磁化反転や高周波発振を目的とするため、第1および第2磁性層の磁化配置が平行あるいは反平行である、あるいは、垂直方向を向くスピンを持つ電子を、面内磁化を有する磁性層(第1および第2磁性層の少なくとも一方の磁性層)に注入する構造である。なお、「面内磁化」とは、膜面に略平行な磁化を意味し、「膜面」とは、各層の上面を意味する。
これに対し、本実施形態では、エネルギーが小さなスピン波を励起する構造とするために、そして後述するように検出感度を上げるために、2つの磁性層の磁化方向は略垂直配置とする。この構造により、面内のある方向を向くスピンを持つ電子を、この電子のスピンの方向と略直交関係にある面内の別の方向を向く磁化を有し、スピンを伝播するスピン波伝播層へ注入する、もしくは、面内のある方向を向くスピンを持つ電子を、この電子のスピンの方向と略直交関係にある面に垂直方向を向く磁化を有し、スピンを伝播するスピン波伝播層へ注入する。この連続膜の具体例を図2(a)乃至図5(b)を参照して説明する。
図2(a)に示す連続膜10の第1具体例は、2つの磁性層膜が面内磁化膜で構成される場合を示す。この具体例の連続膜10は、膜面に略平行な磁化を有する磁性層12a/スペーサ層14/膜面に略平行でかつ磁性層12aの磁化に略垂直な磁化を有する磁性層16a/反強磁性層18の積層構造を有し、連続膜10の上面、すなわち磁性層12aの上面に接するようにスピン波発生部20が設けられている構成となっている。スピン波発生部20を用いて、磁性層16aの磁化と同じ方向のスピンを有する電子を磁性層12aに注入することで、スピントルクを磁性層12aに発生させて、スピン波を励起する。
図2(b)に示す連続膜10の第2具体例は、励起されて伝播するスピン波を主に担う磁性層が垂直磁化層で、もう1つの磁性層が面内磁化層の場合である。この具体例の連続膜10は、膜面に略垂直な磁化を有する磁性層12b/スペーサ層14/膜面に略平行な磁化を有する磁性層16a/反強磁性層18の積層構造を有し、連続膜10の上面、すなわち磁性層12bの上面に接するようにスピン波発生部20が設けられている構成となっている。スピン波発生部20を用いて、磁性層16aの磁化と同じ方向のスピンを有する電子を磁性層12aに注入することで、スピントルクを磁性層12aに印加し、スピン波を励起する。この図2(b)に示す具体例のように、スピン波伝播方向に対するスピン波の特性の依存性を防ぎたい場合には、スピン波伝播部分(磁性層12b)を垂直磁化層とすることが望ましい。図2(a)乃至図2(b)に示す何れの場合も、磁性層16aには図示するように、反強磁性層18を設けることが、磁性層16aの磁化制御上、望ましい。
これらの構造において、スピン波発生部20は非磁性の導電性材料からなる。また、連続膜10の最上層として図示しない保護層が形成されることが望ましい。保護層は導電性であり、厚さ100nm以下が、スピン波励起上望ましい。また、連続膜の保護層とスピン波発生部20との間にトンネルバリア層が設けられていてもよい。
図3(a)に示す連続膜10の第3具体例は、含まれる磁性層が単層の場合である。この連続膜10は、膜面に略平行な磁化を有する磁性層16a/反強磁性層18の積層構造を有し、連続膜10の上面、すなわち磁性層16aの上面に接するようにスピン波発生部20が設けられている構成となっている。この具体例においても、スピン波発生部20は非磁性の導電性材料からなる。スピン波発生部20により局所的に磁気異方性が異なり、これによりスピントルクが発生し、スピン波が励起される。この場合にも磁性層16aにはスピン波発生部20と反対の面に反強磁性層18が設けられることが望ましいが、設けなくともよい。この連続膜10の上にはキャップ層として図示しない導電性の保護膜を形成してもよい。さらに、磁性層16aとスピン波発生部20との間には図3(b)に示す第4具体例のように絶縁層11を設けてもよい。
図4(a)、4(b)に連続膜10の第5および第6具体例を示す。この第5および第6具体例の連続膜10は、それぞれ図3(a)、3(b)に示す第3および第4具体例の連続膜において、膜面に略平行な磁化を有する磁性層16aを、膜面に略垂直な磁化を有する磁性層16bに置き換えるとともに、反強磁性層18を反強磁性層18aに置き換えた構成となっている。磁性層16bは、磁化方向が膜面に略垂直であるので、スピン波伝播方向に対するスピン波の特性の依存性を防ぐことができる。一方、第3および第4具体例の連続膜10のように、磁化方向が膜面に略平行な場合は、製造が容易といった利点がある。なお、第5および第6具体例において、磁性層16bの材料を適切に選択すれば(例えば、垂直磁化材料を用いれば)、反強磁性層18aは、設けなくともよい。
図5(a)、5(b)に連続膜10の第7および第8具体例を示す。この第7および第8具体例の連続膜10は、含まれる磁性層が単層であるが、スピン波発生部自身も導電性の磁性体からなる場合である。図5(a)に示す第7具体例の連続膜10は、反強磁性層18上に、磁化方向が膜面に略平行な磁性層16aが設けられ、この磁性層16a上にスペーサ層14が設けられ、スペーサ層14上に、スペーサ層14の上面に接するように、膜面に略垂直な磁化を有するスピン波発生部20aが設けられた構成となっている。図5(b)に示す第8具体例の連続膜10は、反強磁性層18上に、磁化方向が膜面に略垂直な磁性層16bが設けられ、この磁性層16b上にスペーサ層14が設けられ、スペーサ層14上に、スペーサ層14の上面に接するように、膜面に略平行な磁化を有するスピン波発生部20bが設けられた構成となっている。この第7および第8具体例のように、スピン波発生部の磁化方向と磁性層の磁化方向とは略直交方向であることが、スピン波励起をより低エネルギーで行う上でも望ましい。
信号検出電極30は連続膜10の上に接触面を介して設けられ、各スピン波発生部20(i=1,・・・,n)下で発生し、連続膜10を伝播するスピン波を、合成信号として検出する。信号検出の際、信号検出電極30自身からのスピン波励起による検出信号の複雑化を防ぐ目的には、その接触面はスピン波発生部20〜20のそれぞれの接触面より大きいことが望ましい。信号検出電極30の接触面が各スピン波発生部20(i=1,・・・,n)より大きなドット形状である場合には、連続膜10のサンドイッチ構造にて発現するTMR効果もしくはGMR効果を用いてスピン波を検出することができる。その場合、信号検出電極30には、ドット形状の接触面に略垂直の方向に電圧を印加する、もしくは電流を流すことで、信号を検出する。ここで、スピン波による信号変化は小さいため、2つの磁性層の積層構造を連続膜に用いる場合には、2つの磁性層の磁化配置を略直交配置とすると、検出感度を上げることができて、望ましい。また、検出信号の複雑化が無視できる場合には、信号検出電極30の接触面サイズをスピン波発生部20〜20と同じにすると、電極形成されたあとで入力と出力の変更が可能となり、望ましい。
次に、本実施形態の信号処理デバイスにおける連続膜10と信号検出電極30の組合せの具体例を図6(a)乃至図9(b)を参照して説明する。図6(a)乃至図9(b)に示す連続膜10はそれぞれ、図2(a)乃至図5(b)に示す第1乃至第8具体例の場合に対応している。したがって、図6(a)乃至8(b)に示す信号検出電極30は、非磁性導電性材料から形成され、図9(a)に示す信号検出電極30aおよび図9(b)に示す信号検出電極30bはそれぞれ、磁化方向が膜面に略平行および略垂直な磁性材料からなっている。
次に、スピン波発生部と信号検出電極との関係について説明する。複数のスピン波発生部20〜20へそれぞれ信号を入力して多入力信号処理を行うに当たり、スピン波発生部20〜20(1<m≦n)は連続膜10上で次のように配置する。図10(a)、図10(b)に示すように、スピン波発生部20(i=1,・・・,m)の重心位置と少なくとも1つの信号検出電極30までの距離(最短距離)をd、スピン波発生部20から信号検出電極30へ向かうスピン波の波数をki、上記スピン波の振動数をω、スピン波発生部20への信号入力時刻をt、上記信号検出電極30における信号検出時刻をtとし、j≠i(j=1,・・・,m)とするとき、

|cos(kd(t-t)) - cos(kd(t-ti))|< 2 (1)

なる関係を持つように配置する。ここで、波数と振動数は、振幅が最も大きな基本波となるスピン波に関する。振動数は、実際にはオシロスコープで検出することができる。重心位置とは、スピン波発生部位の重心を連続膜面内へ投影した位置である。上記(1)式は、スピン波発生部20と、スピン波発生部20(i≠l)とにおいて、同一の信号が入力(例えば入力信号が1,0の場合には1を入力)されてから、連続膜10を伝播するスピン波が信号検出電極30に到達したときに、それぞれのスピン波の山と谷が重ならないような条件を表している。この条件は、複数のスピン波発生部の内、少なくとも2つのスピン波発生部と信号検出電極との間で満たす必要がある。信号検出電極30において、それぞれのスピン波の山と谷が重なると、信号検出電極30における合成信号の振幅が非常に小さくなり、信号検出が困難となるからである。なお、図10(a)は、信号検出電極30の周りにスピン発生部20(i=1,・・・,n)を格子状に配置した構成となっており、図10(b)は、信号検出電極30を中心としてスピン発生部20(i=1,・・・,n)を同一円周上に配置した構成となっている。
各スピン波発生部20(i=1,・・・,n)に入力される入力信号Input−iは、スピン波発生部20に流す電流もしくは電圧の極性を入力信号0、1に対応させる、あるいはスピン波発生部20に印加する電圧の有無を入力信号の0、1に対応させて入力する。このようにして励起されたスピン波が伝播し、信号検出電極30下で合成されたスピン波の検出信号の大きさを出力とする。すなわち、スピン波発生部と連続膜とによって発生されて伝播するスピン波を信号検出電極30によりTMR信号もしくはGMR信号として出力する。
このような配置にすると、入力信号に対し動作不良を防いで加算処理することができる。一方、上記(1)式の関係を満たす任意の2つのスピン発生部が存在しない場合には、2つの入力信号に対する信号の合成は全くできず、信号処理は不可能となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、連続膜の中に複数のスピン波を励起させて合成波を検出することで、低電力で2つ以上の入力による信号処理が可能となる。
次に、本実施形態の信号処理デバイスを構成する各要素について詳述する。
連続膜を構成する磁性層には、磁化が膜面に対して略垂直方向に向いた磁性層と、磁化が膜面に対して略平行方向に向いた磁性層と、を適宜特性要求に応じて使い分けることができる。なお、ここで磁性層とは、磁化が一体化して運動する単位を指す。磁化が膜面に対して略垂直方向を向いた磁性層をスピン波伝播の媒体とすると、伝播方向によらずにスピン波の特性(周波数、伝播速度)を揃えることができ、スピン波発生部の設置における設計マージンがとれる。一方、伝播状態に異方性を持たせたい場合には、磁化が面内を向いた磁性層をスピン波伝播の媒体とすることが望ましい。
磁化が膜面に対して略垂直方向に向いた磁性層材料としては、FeVPd、FeCrPd、CoFePt等を用いることができる。すなわち、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)よりなる群から選択された少なくともひとつの元素と、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)よりなる群から選択された少なくとも一つの元素と、の組み合わせによる合金を用いることができる。これらは、構成する磁性材料の組成や熱処理により特性を調整することができる。また、TbFeCo、GdFeCoなどの希土類−遷移金属のアモルファス合金、またはCo/Pt、Co/Pd、Co/Niの積層構造なども望ましい。
磁化容易軸(磁化方向)が膜面に対して略平行となる磁性層は、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)よりなる群から選択された少なくとも一つの元素を含む磁性金属からなる。
以上の磁性体を磁性層に用いる場合、磁気異方性と飽和磁化を調整することで磁性層から発生する高周波磁場の周波数をチューニングすることができる。また、ハーフメタルのようにフェルミ面の状態密度を小さくすることでスピン波の減衰率を下げることができる。
さらに、磁性連続膜として、イットリウム鉄ガーネットや、マンガンフェライト、あるいはγ―酸化鉄のようなフェライト系酸化物を用いると、スピン波の損失を少なくすることができる。
本実施形態では、磁性層とは磁化が一体化して運動する単位を扱う。よって、反強磁性層間結合したCoFe/Ru/Coなどの積層フェリ構造もしくは積層反強磁性構造とした積層膜や、強磁性結合した積層膜を単一の磁性層として扱うこともできる。反強磁性層間結合した磁性膜は、特に反強磁性層に接した所謂固着層とよばれる層(図1では磁性層16)として用いると、制御性に優れたスピン波を得ることができる。
スペーサ層としては、トンネルバリア材料を用いる場合と、非磁性金属材料を用いる場合とがあり、適宜特性要求に応じて使い分けることができる。スペーサ層としてトンネルバリア材料を用いると、読み出し時に大きな再生信号出力を得ることが可能となる。具体的には、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)よりなる群から選択された少なくとも一つの元素を含む酸化物、窒化物、フッ化物、酸窒化物などをトンネルバリア材に用いることができる。あるいは、GaAlAsなどの大きなエネルギーギャップを有する半導体からなることが好ましい。トンネルバリア材がスペーサ層として用いられた場合、その厚さを約0.2nm〜2.0nm程度の範囲内の値とすることが、大きな再生信号出力を得るに当たっては好ましい。
スペーサ層に非磁性金属材料を用いると、スピントルクを発生させるための電流注入が容易な構造となる。具体的材料として、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、またはこれら銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)よりなる群から選択された少なくとも一つの元素を含む合金を挙げることができる。この場合の層厚は1.5nm以上、20nm以下であると、例えば図1において磁性層12と磁性層16とが層間結合せず、かつ、伝導電子のスピン偏極状態はスペーサ14を通過する際に失わせないで済む。
スピン波発生部および信号検出電極には導電性の磁性材料もしくは非磁性材料を用いる。磁性材料の具体的例として、磁性層材料と同様の材料を挙げることができる。また、非磁性材料の場合には、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、またはこれら銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)よりなる群から選択された少なくとも一つの元素を含む合金を挙げることができる。さらに非磁性導電性材料として、カーボンナノチューブやカーボンナノワイヤ、グラフェン等の材料を用いることができる。 また、導電性保護膜としては、Ta,Ru、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、または銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)よりなる群から選択された少なくとも一つの元素を含む合金、グラフェンなどの材料を用いることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態による信号処理デバイスを図11に示す。本実施形態の信号処理デバイス1Aは、図1に示す第1実施形態の信号処理デバイス1において、信号検出電極30を信号検出電極30Aに置き換えた構成となっている。この信号検出電極30Aは、連続膜10との接触面が細長いライン形状となっており、導電性材料から形成されている。このため、連続膜10の磁性層が金属材料からなる場合には、信号検出電極30Aと連続膜10との磁性層との間に図示しない絶縁層を有する。図11では、信号検出電極30Aは1本からなるが、グランド線を隣に設けて、所謂コプラナー型の伝導線路としてもよい。
本実施形態の信号処理デバイス1Aにおいては、信号検出電極30Aにスピン波が到達すると信号検出電極30Aに誘導起電力が発生するので、その起電力を検出することで信号検出を行う。
各スピン波発生部20(i=1,・・・,m、)(1<m≦n)と、信号検出電極30Aとの関係は、図12(a)、12(b)に示すように、スピン波発生部20の重心と、信号検出電極30までの距離(最短距離)をd、スピン波発生部20から信号検出電極30Aへ向かうスピン波の波数をk、上記スピン波の振動数をω、スピン波発生部20への信号入力時刻をt、信号検出電極30Aにおけるにおける信号検出時刻をtとし、j≠i(j=1,・・・,n)とするとき、

|cos(kd(t-t)) - cos(kidii(t-ti))| < 2 (2)

となる関係を持つように配置する。例えば、図12(a)は、各スピン波発生部20(i=1,・・・,n)は、信号検出電極30Aによって分けられる2つの領域のうちの一方の領域に配置された構成であり、図12(b)は、信号検出電極30Aによって分けられる2つの領域にほぼ均等に配置した構成となっている。このような配置とすることで、第1実施形態と同様に、入力信号に対し動作不良を防いで加算処理することができる。
各スピン波発生部20(i=1,・・・,n)に入力される入力信号Input−iは、スピン波発生部20に流す電流もしくは電圧の極性を入力信号0、1に対応させる、あるいはスピン波発生部20に印加する電圧の有無を入力信号の0、1に対応させて入力する。このようにして励起されたスピン波が伝播し、信号検出電極30a下で合成されたスピン波の検出信号の大きさを出力とする。
このような配置にすると、入力信号に対し動作不良を防いで加算処理することができる。一方、上記(2)式の関係を満たす任意の2つのスピン発生部が存在しない場合には、2つの入力信号に対する信号の合成は全くできず、信号処理は不可能となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、連続膜の中に複数のスピン波を励起させて合成波を検出することで、低電力で2つ以上の入力による信号処理が可能となる。
(第1実施例)
次に、本発明の第1実施例について図13を参照して説明する。この実施例は、図13に示すように、連続膜10上に2つのスピン波発生部20、20が設けられ、中央に信号検出電極30が設けられた第1実施形態または第2実施形態の信号処理デバイスにおける、スピン波発生部20、20と信号検出電極30との位置関係についての実験結果を説明する。ここで、スピン波発生部20、20および信号検出電極30の連続膜とのそれぞれの接触面は円形で、それぞれ直径が50nmφおよび300nmφとし、2つのスピン波発生部20、20の接触面における重心位置から信号検出電極30の接触面における重心までの距離d、dを下記の表1に示すように6通りに変えたテストサンプルS1乃至S6を考える。
Figure 0005155907
連続膜10として、面内磁化層と垂直磁化層とをスペーサ層を挟んで積層した積層膜であるCoFe/CoFeB/MgO/CoFeB/FePdを用い、この積層膜の下部磁性層(CoFe/CoFeB)はIrMnからなる反強磁性層により紙面の左から右へ向かうように磁化を固着する。一方、上部の磁性層(CoFeB/FePd)は外部に設置したハードマグネットを用いて、紙面の下から上方向へ磁化を向ける。このようにすることで、2つのスピン波発生部20、20で同じ条件にて励起された2つのスピン波に同じ周波数と同じ波数を持たすことができる。
これらのテストサンプルは次のように作製する。まず、ウェーハ上に下部電極(図示せず)を形成した後、そのウェーハを超高真空スパッタ装置内に配置する。次に、下部電極上に、連続膜(ここでは、IrMn層、CoFe/CoFeB層、MgO層、CoFeB/FePd層および、その上にRuからなるキャップ層)をこの順に積層させる。そして、磁場中でのアニールによりCoFe/CoFeB層の磁化を固着させた。
次に、上記キャップ層上にEB(electron beam:電子線)レジストを塗布してEB露光を行い、スピン波発生部および信号検出電極に対応した開口をEBレジストに形成する。そして、スピン波発生部および信号検出電極に対応した開口をCuで埋め込み成膜し、EBレジストを除去することにより、スピン波発生部20、20および信号検出電極30を形成する。
次に、連続膜10、スピン波発生部20、20、および信号検出電極30を完全に覆うようにSiO膜を成膜する。その後、SiO膜の表面をイオンミリングにより平坦化することでスピン波発生部20、20および信号検出電極30の上面を露出させる。
次に、スピン波発生部20、20および信号検出電極30のそれぞれに接続される接続電極60、62の形成を行う。この接続電極60、62の形成は、全面にレジストを塗布し、このレジストを、KrFステッパ露光装置を用いてパターニングし、レジスト中にスピン波発生部20、20および信号検出電極30にそれぞれ接続する開口を形成する。そして、この開口をCuで埋め込み成膜した後、レジストを除去し、第1段目の接続電極60、62を形成する。続いて、全面を覆うようにSiO膜を成膜する。その後、SiO膜の表面をイオンミリングにより平坦化することで上記電極の上面を露出させる。
このKrFステッパ露光装置を用いた工程を複数回繰り返すことで、スピン波発生部20、20および信号検出電極30に対して複数段の接続電極60、62が、連続膜10に対して垂直になるように設定する。最後に、接続電極60、62にそれぞれ接続する上部電極64、66を形成する。なお、予め、スピン波発生部20、20には、半値幅100psのパルス状電流を流し、距離が異なる信号検出電極にて時間分解検出を行い、伝播するスピン波の中心周波数は約12.2GHz,中心波数は0.3μm−1であることを確認した。
次に、各テストサンプルの2つのスピン波発生部20、20に、値が「1」となる第1入力信号に対しては半値幅が100psの正のパルス状電流を、値が「0」となる第2入力信号に対しては半値幅が100psの負のパルス状電流を流し、信号入力から1.5ns後の出力信号を、10μAの電流を用いて合成信号を信号検出電極30にて検出した。
各テストサンプルについての、入力信号の組合せに対する出力信号の強度を図14にまとめた。テストサンプルS1、S2、S4、S5、S6では信号入力の組合せに対して、概ね線形に推移し、極性の逆転はあるものの加算演算を実行しているが、テストサンプルS3については、加算演算は出来ていない。テストサンプルS3は式(1)の条件を満たさない例であり、この場合には加算演算が出来ないことが示された。
(第2実施例)
次に、本発明の第2実施例として、連続膜10の2つの磁性層の磁化配置が反平行な場合と直交配置とした場合について説明する。
第1実施例と同様の方法にて、IrMn/CoFe/CoFeB/MgO/CoFeB/CoFe/Ruからなる面内磁化を有する積層膜を連続膜として形成し、この連続膜を備えた信号処理デバイスのテストサンプルを作製する。入力信号は変えずに、信号検出の際に外部に設置したハードマグネットを用いて、上記連続膜の上部の磁性層(CoFeB/CoFe)の磁化の向きを、下部の磁性層(CoFe/CoFeB)に対して180度となるようにした場合(ケース1)と、90度となるようにした場合(ケース2)に設定し、信号検出電極30には10μVの電圧を引加し、ケース1に対するケース2の出力信号比を求めた。その結果、出力信号比(=ケース2の信号強度/ケース1の信号強度)は42.5となって、ケース2のほうが大きくなり、2つの磁性層の磁化配置を直交配置とすることにより、信号強度が増大する傾向が得られた。
(第3実施例)
次に、本発明の第3実施例について、図15、図16を参照して説明する。図15は、第3実施例の信号処理デバイスの断面図を示し、図16は、上面図を示す。この第3実施例は、図15、図16に示すように、連続膜10と、この連続膜10上に設けられたスピン波発生部20と、グランド線31が隣接して設けられコプラナー型の信号検出電極30Aとを備えている。スピン発生部20は接続電極60を通して上部電極64に接続されている。また、信号検出電極30およびグランド線31は、連続膜10上に形成された絶縁膜50上に設けられる。この第3実施例の信号処理デバイスは、第1実施例で説明した方法により製造される。
この第3実施例の比較例として、図17に示すように、信号入力にもコプラナー伝送線路70を用いて、磁界によりスピン波励起を行なう信号処理デバイスを作製する。ここで、第3実施例および比較例における連続膜10としては、IrMn/CoFe/Cu/CoFe/Cu/Taからなり、CoFeからなる2つの磁性層に挟まれたCu層はスペーサ層である。
このような2つの信号処理デバイスにおいて、連続膜10の上部磁性層(CoFe(保磁力は200Oe))の磁化を局所的に10度傾けてスピン波発生させるための条件を考える。図17に示す比較例のように、伝送線路70から発生される磁場を用いる場合には、35Oeの磁界発生が必要であるので、伝送線路には3mAのパルス電流を流す必要が生じる。
一方、第3実施例のように、スピン波発生部20を用いてスピントルクにより局所的に10度傾けるためには、70μAのパルス電流を流すことが必要である。これらから、第3実施例のように、スピン波発生部20を用いたスピン波励起は、空間的に複数の電極の形成が容易となるばかりでなく、低電力化に優れることが分かる。
(第4実施例)
次に、本発明の第4実施例による信号処理デバイスについて、図18を参照して説明する。
本実施例の信号処理デバイスは、図18に示すように、図示しない連続膜上にそれぞれ設けられた、第1および第2スピン波発生部20、20と、第1および第2信号検出電極30、30とを有する。スピン波媒体となる連続膜に垂直磁化膜を用い、第1および第2スピン波発生部20、20と、第1および第2信号検出電極30、30の接触面はそれぞれ円形で、ともに直径100nmφとした。ここで、第1スピン波発生部20と、第1信号検出電極30との間の距離、さらに第1スピン波発生部20と第2信号検出電極30との間の距離、第2スピン波発生部20と第1信号検出電極30との間の距離は、全て励起スピン波の波長20μmと同様の長さに設定した。一方、第2スピン波発生部20と第2信号検出電極30との間の距離は、励起スピン波の波長20μmの1.5倍である30μmとした。
本実施例において、値が「0」、「1」の入力信号をスピン波発生部に印加する電圧の無,有に対応させる。すると、第1信号検出電極30および第2信号検出電極30において検出される信号の相対的強度は、図19(a)、19(b)に示すようになる。この検出電極において、検出の閾値を0.5に設定すると、第1信号検出電極30では論理演算における論理和(OR)を、第2信号検出電極30では排他的論理和(XOR)の否定が実行されることが分かる。このようにして、複数の信号検出電極を設けることで、異なる演算を実行することが可能となる。
以上説明したように、本発明の各実施形態の信号処理デバイスによれば、低消費電力で駆動し、多入力信号の加算処理に適した情報処理デバイスを提供することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
また、前述した各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
1 信号処理デバイス
1A 信号処理デバイス
10 連続膜
11 絶縁層
12 磁性層
12a 磁性層
14 スペーサ層
16 磁性層
16a 磁性層
16b 磁性層
18 反強磁性層
18a 反強磁性層
20 スピン波発生部
20〜20 スピン波発生部
30 信号検出電極
30〜30 信号検出電極

Claims (15)

  1. 少なくとも1層以上の磁性層を含む連続膜と、
    前記連続膜上に、前記連続膜に直接に接触するかまたは絶縁層を介して接触するように非磁性の導電性材料で形成され、前記連続膜との接触面の形状はドット形状であり、入力信号を受けることにより、前記連続膜との接触面直下の、前記連続膜の磁性層の領域にスピン波を発生させる複数のスピン波発生部と、
    前記連続膜上に設けられ、複数の前記スピン波発生部によって発生されられて前記連続膜を伝播するスピン波の重ね合わせを電気信号として検出する少なくとも1個の信号検出部と、
    を備えていることを特徴とする信号処理デバイス。
  2. 前記複数のスピン波発生部のうちの第1のスピン波発生部の重心位置から前記信号検出部までの最短距離をd、前記第1のスピン波発生部から前記信号検出部へ向かうスピン波の波数をk、前記第1のスピン波発生部から発生される前記スピン波の振動数をω、前記第1のスピン波発生部への信号入力時刻をtとし、前記複数のスピン波発生部のうちの第2のスピン波発生部の重心から前記信号検出部までの最短距離をd(i≠j)、前記第2のスピン波発生部から前記信号検出部へ向かうスピン波の波数をk、前記第2のスピン波発生部から発生されるスピン波の振動数をω、前記第2のスピン波発生部への信号入力時刻をtとし、前記信号検出部における信号検出時刻をtとするとき、前記第1および第2のスピン波発生部と前記信号検出部とが、
    |cos(kd(t-t)) - cos(kd(t-ti))|< 2
    なる関係を満たすように配置されることを特徴とする請求項1記載の信号処理デバイス。
  3. 前記入力信号は、各スピン波発生部と、前記連続膜との間の接触面を通して流れる電流か、または前記スピン波発生部のそれぞれに印加される電圧のいずれかであることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の信号処理デバイス。
  4. 各スピン波発生部と前記連続膜との接触面は、最大直径が500nm以下であることを特徴とする請求項1乃至3記載の信号処理デバイス。
  5. 各スピン波発生部は非磁性金属からなり、前記連続膜は第1磁性層/非磁性スペーサ層/第2磁性層の積層構造を有しており、前記第1および第2磁性層の磁化方向は、略直交していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の信号処理デバイス。
  6. 前記非磁性スペーサ層はトンネルバリア材料からなることを特徴とする請求項5記載の信号処理デバイス。
  7. 前記連続膜は、反強磁性層、磁化の方向が膜面に略平行な第1磁性層、非磁性スペーサ層、および磁化の方向が膜面に略垂直な第2磁性層がこの順序で積層された積層構造を有することを特徴とする請求項5または6記載の信号処理デバイス。
  8. 前記連続膜は、反強磁性層、磁化の方向が膜面に略平行な第1磁性層、非磁性スペーサ層、および磁化の方向が膜面に略平行な第2磁性層がこの順序で積層された積層構造を有することを特徴とする請求項5または6記載の信号処理デバイス。
  9. 各スピン波発生部は非磁性金属からなり、前記連続膜は単層の磁性層からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の信号処理デバイス。
  10. 前記連続膜は各スピン波発生部との接触する面と反対側の面に反強磁性層が設けられていることを特徴とする請求項9記載の信号処理デバイス。
  11. 各スピン波発生部は磁性金属からなり、前記連続膜は各スピン波発生部との反対側の面に反強磁性層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の信号処理デバイス。
  12. 前記信号検出部は、前記連続膜に接触するように形成され、前記連続膜との接触面の形状はドット形状であり、前記接触面を通して電流を流すかまたは前記接触面に略垂直な方向に電圧を印加することにより、前記スピン波を検出することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の信号処理デバイス。
  13. 前記信号検出部は前記連続膜上に絶縁層を介して形成され、前記連続膜とのオーバーラップ形状は、ライン形状であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の信号処理デバイス。
  14. 前記信号検出部は前記連続膜の膜面上に設けられ、前記信号検出部の前記連続膜との接触面積が、各スピン波発生部の連続膜との接触面積以上である請求項1乃至13のいずれかに記載の信号処理デバイスの信号処理方法において、
    各スピン波発生部への入力信号として入力する電流もしくは電圧の極性を前記入力信号の0もしくは1に対応させ、前記信号検出部によって検出される検出信号の大きさを信号出力とすることを特徴とする信号処理方法。
  15. 前記信号検出部は前記連続膜の膜面上に設けられ、前記信号検出部の前記連続膜との接触面積が、各スピン波発生部の連続膜との接触面積以上である請求項1乃至13のいずれかに記載の信号処理デバイスの信号処理方法において、
    各スピン波発生部への入力信号として入力する電圧の有無を前記入力信号の0もしくは1に対応させ、前記信号検出部によって検出される検出信号の大きさを信号出力とすることを特徴とする信号処理方法。
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