JP5649704B1 - 磁気記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】書き込みの際に強い振動磁場を印加することができる磁気記録装置を提供する。【解決手段】一実施形態に係る磁気記録装置は、スピントルク発振素子、記録媒体ユニット、書き込み磁場源、及び制御部を備える。スピントルク発振素子は、第1の振動磁場を発生する。記録媒体ユニットは、記録媒体と、前記記録媒体に対向して設けられ、第2の振動磁場を発生する複数のスピン波線路と、を含む記録媒体層が1以上積層している。書き込み磁場源は、書き込み磁場を発生する。制御部は、前記書き込み磁場、前記第1の振動磁場、及び前記第2の振動磁場を、情報を記録する対象となる前記記録媒体の媒体磁化に同時に印加するように、前記スピントルク発振素子、前記複数のスピン波線路、及び前記書き込み磁場源を制御する。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、マイクロ波アシスト記録方式の磁気記録装置に関する。
大容量のコンテンツの普及に伴い、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記録装置の大容量化が望まれている。現行の垂直磁気記録方式では大容量化に限界があるため、さらなる大容量化を実現する記録方式が模索されている。その背景のもと、磁性体が特定の周波数に対して共鳴を起こす磁気共鳴現象を利用するマイクロ波アシスト記録方式と呼ばれる記録方式の研究開発が行われている。また、記録媒体を多層化することで磁気記録装置の大容量化を図る多層記録技術が提案されている。
磁気記録装置では、熱揺らぎによる媒体磁化の反転を防止するために、大きな磁気異方性定数Kuを有する垂直磁気記録媒体が用いられる。このような磁気異方性定数Kuが大きい垂直磁気記録媒体の媒体磁化を反転させるには、通常大きな書き込み磁場を印加する必要がある。マイクロ波アシスト記録方式は、磁気記録媒体の共鳴周波数近傍の振動磁場(マイクロ波磁場)を印加することで磁気記録媒体を共鳴させ、磁気記録媒体内の所望の媒体磁化を反転しやすい状態にして磁気記録を行う。そのため、書き込み磁場の大きさを低減することができる。
マイクロ波アシスト記録技術の研究開発では、マイクロ波磁場を発生するマイクロ波源としてスピントルク発振素子を用いるものが注目を集めている。スピントルク発振素子は、GMR(giant magnetoresistance effect)素子やTMR(tunnel magnetoresistance effect)素子などに類似した磁性多層膜により形成され、具体的には、磁化が運動できる発振層、磁化が固着したピンド層、発振層とピンド層の間に設けられたスペーサ層を基本構造として含む。スピントルク発振素子では、発振層とピンド層の間のスピントランスファ効果によって発振層内の磁化が定常的に振動する。スピントルク発振素子の近傍には、この磁化の振動に由来した数GHzから数十GHzの振動磁場が発生する。マイクロ波アシスト記録技術に適合した大振幅の振動磁場をスピントルク発振素子から取り出すためには、スピントルク発振素子の発振層の膜厚を大きくする必要がある。しかしながら、スピントランスファ効果は膜厚方向に対して均一でないため、膜厚が大きい発振層を一様に発振させることは困難とされる。
特開2005−025831号公報 国際公開第2011/030449号
C. Thirion et al., Nature Materials 2, 524 (2003)
マイクロ波アシスト記録方式の磁気記録装置においては、マイクロ波アシスト効果を高めるために、書き込みの際に強い振動磁場を印加できることが求められている。
本発明が解決しようとする課題は、書き込みの際に強い振動磁場を印加することができる磁気記録装置を提供することである。
一実施形態に係る磁気記録装置は、スピントルク発振素子、記録媒体ユニット、書き込み磁場源、及び制御部を備える。スピントルク発振素子は、第1の振動磁場を発生する。記録媒体ユニットは、記録媒体と、前記記録媒体に対向して設けられ、第2の振動磁場を発生する複数のスピン波線路と、を含む記録媒体層が1以上積層している。書き込み磁場源は、書き込み磁場を発生する。制御部は、前記書き込み磁場、前記第1の振動磁場、及び前記第2の振動磁場を、情報を記録する対象となる前記記録媒体の媒体磁化に同時に印加するように、前記スピントルク発振素子、前記複数のスピン波線路、及び前記書き込み磁場源を制御する。
第1の実施形態に係る磁気記録装置を概略的に示す断面図。 第1の実施形態に係る磁気記録装置を概略的に示す斜視図。 第2の実施形態に係る磁気記録装置を概略的に示す斜視図。 図3に示したスピントルク発振素子部の一例を概略的に示す断面図。 図3に示したスピントルク発振素子部の他の例を概略的に示す断面図。 第3の実施形態に係る磁気記録装置の一部を概略的に示す斜視図。 第4の実施形態に係る磁気記録装置の一部を概略的に示す斜視図。 第5の実施形態に係る磁気記録装置の一例を概略的に示す斜視図。 第5の実施形態に係る磁気記録装置の他の例を概略的に示す斜視図。 第6の実施形態に係る磁気記録装置を概略的に示す断面図。 図9に示した極性可変マグネットの一例を概略的に示す断面図。 図9に示した極性可変マグネットの他の例を概略的に示す断面図。 図9に示した極性可変マグネットのさらに他の例を概略的に示す斜視図。 書き込み磁場源の例を概略的に示す断面図。 第7の実施形態に係る磁気記録装置を概略的に示す斜視図。 図1に示した磁気記録装置において情報を再生する動作の一例を説明する図。 図1に示した磁気記録装置において情報を再生する動作の他の例を説明する図。
以下、図面を参照しながら種々の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態では、同一の番号を付した部分については同様の動作を行うものとして、重ねての説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る磁気記録装置100を概略的に示す断面図であり、図2は、磁気記録装置100を部分的に示す斜視図である。図1に示すように、磁気記録装置100は、スピントルク発振素子110及び記録媒体ユニット120を備えている。
スピントルク発振素子110は、第1磁性層111、第1磁性層111に積層されたスペーサ層112、及びスペーサ層112に積層された第2磁性層113を含む磁性多層膜115を備える。一例として、第1磁性層111は、磁化が運動できるフリー層(発振層とも称される。)であり、第2磁性層113は、磁化が固着したピンド層である。第1磁性層111及び第2磁性層113は、金属強磁性体で形成され、面内磁化膜である。金属強磁性体としては、例えば、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)、Fe(鉄)、及びNi、Co、Feの少なくとも1つを含む合金(例えば、FeNi(パーマロイ)、CoFe、CoFeB)などがある。スペーサ層112は、Cu(銅)、Ag(銀)、Ru(ルテニウム)などの非磁性金属で形成されていてもよく、MgO(酸化マグネシウム)、AlO(酸化アルミニウム)などの絶縁体で形成されていてもよい。
なお、スピントルク発振素子110は、上述した例に限定されず、いかなる形態のスピントルク発振素子であってもよい。例えば、第1磁性層111及び第2磁性層113の両方がフリー層であってもよい。また、第1磁性層111及び第2磁性層113の一方又は両方が垂直磁化膜であってもよい。第1磁性層111及び第2磁性層113は、強磁性層を含む磁性多層膜で形成されていてもよい。
さらに、スピントルク発振素子110は、例えば磁性多層膜115の膜面に垂直な方向に、磁性多層膜115に電流を流すための一対の電極(図示せず)を備えている。ここでは、第1磁性層111、スペーサ層112、第2磁性層113が積層されている方向に垂直な面を膜面と呼ぶ。所定の直流電流を磁性多層膜115に通電すると、スピントルク発振素子110は振動磁場117を発生する。所定の直流電流とは、閾値電流密度より大きい電流密度を有する直流電流を指す。
スピントルク発振素子110に直流電流を通電すると、第1磁性層111と第2磁性層113との間のスピントランスファ効果によって、第1磁性層111内の磁化114が定常的に振動する。より具体的には、直流電流が第2磁性層113内の磁化によってスピン偏極され、スピン偏極した直流電流が第1磁性層111内の磁化114に作用し、それにより、磁化114の歳差運動が誘起される。第2磁性層113は、直流電流をスピン偏極させることから、ポーラライザ層とも称される。
スピントルク発振素子110の発振周波数は、第1磁性層111内の磁化114の振動数に対応し、例えば、第1磁性層111の材料、サイズ、及び膜厚、並びに、磁化114に作用する外部磁場の大きさ、磁性多層膜115に印加する直流電流の大きさなどに依存する。これらを適宜調整することにより、スピントルク発振素子110の発振周波数を数GHzから数十GHzの任意の値に設定することが可能である。スピントルク発振素子110の近傍には、磁化114の振動に伴って、スピントルク発振素子110の発振周波数に対応した周波数(数GHzから数十GHz)を有する振動磁場117が発生する。振動磁場は、高周波磁場、マイクロ波磁場とも称される。
磁気記録装置100は、スピントルク発振素子110を動作させるためのスピントルク発振素子ドライバ140をさらに備える。スピントルク発振素子ドライバ140は、例えば、振動磁場117を発生させるためにスピントルク発振素子110に通電する電流を制御する。さらに、スピントルク発振素子ドライバ140は、スピントルク発振素子110の位置を制御することができる。スピントルク発振素子ドライバ140は、磁気記録に係る処理を制御する記録制御部の一部として機能する。記録制御部は、スピントルク発振素子ドライバ140とともに、スピン波線路123を動作させるためのドライバ(例えば、図3に示すスピン波線路ドライバ/シンカー303、図5に示すスピン波発生用線路ドライバ/シンカー501など)、書き込み磁場源を動作させるためのドライバ(例えば、図8に示すスピン波線路ドライバ/シンカー802、図9に示すコントローラなど)を含む。
記録媒体ユニット120は、1以上の記録媒体層121を備える。図1に示す例では、3つの記録媒体層121A、121B、及び121Cが積層されている。記録媒体層121A、121B、及び121Cは同様の構造を有するので、以下の説明では、個々の記録媒体層を区別する場合を除いて、参照数字に付した文字(A、B、C)を省略する。図2では、1つの記録媒体層121(例えば、記録媒体層121A)が示され、残りの記録媒体層121(例えば、記録媒体層121B及び121C)は省略されている。
図2に示すように、記録媒体層121は、記録媒体122、及び記録媒体122に対向して並列に配置されている複数のスピン波線路123を含む。本実施形態では、複数のスピン波線路123は平行に等間隔に設けられている。ここで、スピントルク発振素子110側を上、記録媒体ユニット120側を下として、記録媒体層121A、121B、及び121Cが積層されている積層方向に沿って上下方向を規定する。積層方向は記録媒体122の磁性膜に垂直な方向に対応する。スピン波線路123は、図2に示すような記録媒体122の下面に対向して配置されている例に限らず、記録媒体122の上面に対向して配置されていてもよい。
スピン波線路123は、図1及び図2には図示されていないスピン波発生用要素によって動作されると振動磁場127を発生する。具体的には、スピン波発生用要素によってスピン波線路123にスピン波が励起され、励起されたスピン波の近傍に、スピン波の周波数に対応した周波数を有する振動磁場127が発生する。スピン波線路123にスピン波を励起する方法については第2から第4の実施形態において具体的に説明する。
記録媒体122は、複数の記録ビットを含む。一例では、複数のトラックが複数のスピン波線路123それぞれに対応して記録媒体122に形成され、各トラックでは記録ビットが等間隔に配列されている。本実施形態の記録媒体122は、磁化が磁性膜に垂直な方向を向いている垂直磁気記録媒体である。記録ビットの磁化の向きは、その記録ビットに記録されている情報に対応する。一例として、情報“0”を保持する記録ビットの磁化は上方向に向き、情報“1”を保持する記録ビットの磁化は下方向に向いている。以下では、記録ビットの磁化を媒体磁化とも称する。なお、記録媒体122は、垂直磁気記録媒体に限らず、磁化が磁性膜に水平な方向を向いている面内磁気記録媒体であってもよい。
記録媒体122A、122B、及び122Cはそれぞれ固有の磁気共鳴周波数f、f、fを有する。一例として、磁気共鳴周波数は、スピントルク発振素子110に近い記録媒体122ほど小さくなるように、すなわち、f<f<fに設定される。
なお、記録媒体122の形状は、図2に示すような矩形状の例に限らず、いかなる形状であってもよい。例えば、従来型のHDDのように、記録媒体122を円盤形状とすることも可能である。この場合、記録媒体122の中心から半径方向に沿って円環状の複数のトラックが記録媒体122に形成され、円環状の複数のスピン波線路が記録媒体122に対向して設けられる。
磁気記録装置100において、記録媒体122に情報を書き込む場合には、書き込み磁場(記録磁場とも称する。)130を記録媒体122に印加するとともに、スピントルク発振素子110及びスピン波線路123を動作させる。スピントルク発振素子110を動作させるとは、スピントルク発振素子110に直流電流を通電してスピントルク発振素子110を発振させることを意味する。スピントルク発振素子110を動作させると、スピントルク発振素子110から振動磁場117が発生する。また、スピン波線路123を動作させるとは、スピン波線路123にスピン波を励起させることを意味する。スピン波線路123を動作させると、スピン波線路123から振動磁場127が発生する。
記録媒体122において、振動磁場117と振動磁場127とが重なる部分132に対してマイクロ波アシスト記録技術が適用される。すなわち、振動磁場117と振動磁場127とが重なる部分132では、それ以外の部分に比べて強い振動磁場が印加され、書き込み磁場130による媒体磁化の反転がこれらの振動磁場117及び127によってアシストされる。
本実施形態では、2つの振動磁場117及び127の重なり部分132に位置する媒体磁化が局所的に反転するように、媒体磁化は書き込み磁場130のみでは反転しない保磁力を有している。さらに、スピントルク発振素子110からの振動磁場117及びスピン波線路123からの振動磁場127の一方のみではマイクロ波アシスト効果が現れない。本実施形態の磁気記録装置100は、スピントルク発振素子110及びスピン波線路123という2種類の振動磁場源(アシスト源とも称する。)を備え、これらの振動磁場源からの振動磁場を同時に(重畳的に)印加することにより、強い振動磁場を所望の媒体磁化に印加することができる。これにより、高いマイクロ波アシスト効果が得られる。
次に、具体例として、図1に示される記録媒体層121Bの記録ビット125Bに情報を書き込む場合について説明する。情報を書き込む対象となる記録ビット(ここでは記録ビット125B)を対象記録ビットと呼ぶ。書き込みの際には、書き込み磁場130を対象記録ビット125Bに印加するとともに、スピントルク発振素子110と記録媒体122Bに対応する複数のスピン波線路123Bのうちの少なくとも1つのスピン波線路123Bとを動作させる。スピントルク発振素子110は、対象記録ビット125Bがスピントルク発振素子110からの振動磁場117とスピン波線路123Bからの振動磁場127とが重なる部分132に位置するように、記録媒体ユニット120に対して相対的に移動する。具体的には、スピントルク発振素子110は、対象記録ビット125Bの上方に位置するように移動する。このようにして、対象記録ビット125Bには、書き込み磁場130、スピントルク発振素子110からの振動磁場117、及びスピン波線路123Bからの振動磁場127が印加される。これにより、対象記録ビット125Bの磁化を選択的に反転させることができる。書き込み磁場130の向きは、書き込む情報に応じて決定される。例えば、書き込み磁場130の向きは、情報“0”を書き込む場合には上向きに設定され、情報“1”を書き込む場合には下向きに設定される。
マイクロ波アシスト効果を効率的に活用するために、振動磁場117及び127の周波数を、情報を書き込む対象となる記録媒体122の磁気共鳴周波数近傍に設定することが望ましい。例えば、振動磁場117及び127の周波数が記録媒体122Bの磁気共鳴周波数f近傍に設定される場合、振動磁場117及び127と対象記録ビット125Bとの間に磁気共鳴が起こり、それにより、対象記録ビット125Bの磁化を反転させることがより容易になる。
以上のように、第1の実施形態に係る磁気記録装置では、スピントルク発振素子からの振動磁場と少なくとも1つのスピン波線路からの振動磁場とを印加し、これらの振動磁場が重なる部分に位置する媒体磁化を磁気共鳴させることにより、媒体磁化を局所的に反転しやすくする。これらの振動磁場とともに書き込み磁場を印加することで、磁化媒体に情報を書き込むことができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、スピン波線路にスピン波を励起する方法の一例を説明する。
図3は、第2の実施形態に係る磁気記録装置300を概略的に示している。図3に示される磁気記録装置300は、スピントルク発振素子110、及び1以上の記録媒体層121が積層した記録媒体ユニット120を備えている。図3では、簡単にするために、1つの記録媒体層121が示されている。各記録媒体層121は、記録媒体122及び複数の(図3の例では3つの)スピン波線路123を備え、複数のスピン波線路123は記録媒体122の下面に対向して並列に配置されている。
本実施形態では、スピン波線路123は、Ni、Co、Fe、及びNi、Co、Feの少なくとも1つを含む合金などの金属強磁性体で形成されている。スピン波線路123それぞれの一部には、スピン波発生用スピントルク発振素子部301が設けられている。スピン波線路123は、スピントルク発振素子部301を介して伝送線路302に電気的に接続されている。
さらに、スピン波線路123は、トランジスタT1、T2、T3を介してスピン波線路ドライバ/シンカー303に接続されている。ドライバ/シンカー303は、スピン波線路123に通電する電流Iを制御する。ドライバ/シンカー303は記録制御部の一部として機能する。書き込み時には、これらのトランジスタの動作によってスピン波線路123の選択がなされる。本実施形態では、記録媒体層121は、記録媒体122、スピン波線路123、スピントルク発振素子部301、伝送線路302、トランジスタT1、T2、T3を含む。
図4Aは、スピントルク発振素子部301の第1の構造例を示す断面図である。図4Aに示されるスピントルク発振素子部301は、スピン波線路123の一部、スペーサ層402、及びポーラライザ層401によって形成される。ポーラライザ層401には伝送線路302が結合されている。あるスピン波線路123のトランジスタをONにすると、このスピン波線路123のスピントルク発振素子部301に直流電流Iが通電する。図3の例では、トランジスタT1がONされている。具体的には、直流電流Iは、スピン波線路123、スピントルク発振素子部301、伝送線路302を経由して流れる。直流電流Iは、ポーラライザ層401を通過することにより、スピン偏極する。その結果、スピン波線路123内の主にスペーサ層402直下の部分に、スピントルクによる磁化ダイナミクスが励起され、スピン波線路123内にスピン波が伝搬する。書き込みの際には、このようにして励起されたスピン波からの振動磁場127とスピントルク発振素子110からの振動磁場117とが重なる部分132にマイクロ波アシスト効果が現れ、記録媒体122内の媒体磁化に対して局所的に書き込みがなされる。トランジスタによって、何層目の記録媒体層121内のどのスピン波線路123を動作させるかが選択され、スピントルク発振素子110によって、記録媒体122のどの部分に書き込みを行うかが選択される。換言すると、対象記録ビットは、ONにするトランジスタとスピントルク発振素子110の位置によって決定される。
図4Bは、スピントルク発振素子部301の第2の構造例を示す断面図である。図4Bに示されるスピントルク発振素子部301は、スピン波線路123の一部分に積層された発振層403、発振層403に積層されたスペーサ層402、及びスペーサ層402に積層されたポーラライザ層401によって形成されている。ポーラライザ層401には伝送線路302が結合されている。あるスピン波線路123のトランジスタ(図3の例ではトランジスタT1)をONにすると、このスピン波線路123のスピントルク発振素子部301に直流電流Iが通電する。直流電流Iは、ポーラライザ層401を通過することにより、スピン偏極する。その結果、発振層403とポーラライザ層401との間のスピントランスファ効果によって、発振層403内の磁化が振動する。発振層403内の磁化の振動に伴って振動磁場404が発生し、発振層403からの振動磁場404がスピン波線路123に作用する。この振動磁場404によってスピン波線路123内の主に発振層403直下の部分にスピン波が励起され、このスピン波がスピン波線路123内を伝搬する。書き込みの際には、このようにして励起されたスピン波からの振動磁場127とスピントルク発振素子110からの振動磁場117とが重なる部分132にマイクロ波アシスト効果が現れ、記録媒体122内の媒体磁化に対して局所的に書き込みがなされる。トランジスタによって、何層目の記録媒体層121内のどのスピン波線路123を動作させるかが選択され、スピントルク発振素子110によって、記録媒体122のどの部分に書き込みを行うかが選択される。
以上のように、第2の実施形態に係る磁気記録装置では、金属強磁性体で形成されているスピン波線路の一部にスピントルク発振素子部を設けることにより、スピン波線路内にスピン波を励起することができ、スピン波線路から振動磁場を発生させることができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、スピン波線路にスピン波を励起する方法の他の例を説明する。
図5は、第3の実施形態に係る磁気記録装置500を概略的に示している。磁気記録装置500は、図5に示すように、スピントルク発振素子110、及び1以上の記録媒体層121が積層している記録媒体ユニット120を備える。図5では、簡単にするために、1つの記録媒体層121が示されている。各記録媒体層121は、記録媒体122及び複数のスピン波線路123を備え、複数のスピン波線路123は記録媒体122の下面に対向して配置されている。
本実施形態では、スピン波線路123は、Ni、Co、Fe、及びこれらの少なくとも1つを含む合金などの金属強磁性体で形成されている。スピン波線路123の一部には、絶縁層503を介してスピン波発生用線路502が設けられている。図5は、スピン波発生用線路502がスピン波の伝搬に関する学術的な実験でしばしば用いられる非対称コプレナウェーブガイド形状の線路である例を示している。スピン波発生用線路502は、トランジスタTを介してスピン波発生用線路ドライバ/シンカー501に接続されている。ドライバ/シンカー501は、スピン波発生用線路502に通電する電流を制御する。ドライバ/シンカー501は記録制御部の一部として機能する。本実施形態では、記録媒体122、スピン波線路123、絶縁層503、スピン波発生用線路502、トランジスタTによって記録媒体層121が形成される。
書き込みの際には、トランジスタTをONすることでスピン波発生用線路502に電流が流れ、それにより、スピン波発生用線路502からON継続時間に応じたパルス磁場504が発生する。このパルス磁場504により、スピン波発生用線路502に絶縁層503を介して接続されている全てのスピン波線路123内にスピン波が励起され伝搬する。このようにして励起されたスピン波からの振動磁場127とスピントルク発振素子110からの振動磁場117とが重なる部分132にマイクロ波アシスト効果が現れ、記録媒体122内の媒体磁化に対して局所的に書き込みがなされる。トランジスタによって、何層目の記録媒体層121に含まれるスピン波線路123を動作させるかが選択され、スピントルク発振素子110によって、記録媒体122のどの部分に書き込みを行うかが選択される。
以上のように、第3の実施形態に係る磁気記録装置では、金属強磁性体で形成されているスピン波線路の一部に絶縁層を介して伝送線路(スピン波発生用線路)が設けられている。伝送線路への通電時には伝送線路から磁場が発生し、この磁場によってスピン波線路内にスピン波が励起される。それにより、スピン波線路から振動磁場を発生させることができる。複数のスピン波線路に対して共通のスピン波発生用線路が設けられているため、スピン波発生のためのスイッチ(トランジスタ)の数を低減できる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、スピン波線路にスピン波を励起する方法のさらに他の例を説明する。
図6は、第4の実施形態に係る磁気記録装置600を概略的に示している。この磁気記録装置600は、図6に示すように、スピントルク発振素子110、及び1以上の記録媒体層121が積層している記録媒体ユニット120を備えている。図6では、簡単にするために、1つの記録媒体層121が示されている。各記録媒体層121では、複数のスピン波線路123が記録媒体122の下面に対向して並列に配置されている。
本実施形態では、スピン波線路123は、YIG(Yttrium Iron Garnet;イットリウム鉄ガーネット)などのRIG(Rare-earth Iron Garnet;希土類鉄ガーネット)に代表される磁性絶縁体で形成されている。スピン波線路123の一部には、スピン波発生用電極602が設けられている。スピン波発生用電極602は、トランジスタTを介してスピン波発生用電極ドライバ/シンカー601に接続されている。ドライバ/シンカー601は、スピン波発生用電極602に通電する電流を制御する。ドライバ/シンカー601は記録制御部の一部として機能する。本実施形態では、記録媒体122、スピン波線路123、スピン波発生用電極602、トランジスタTによって記録媒体層121が形成される。なお、スピン波発生用電極602は、図6に示されるような直線状の電極である例に限らず、他の形状、例えば、非対称コプレナウェーブガイド形状の電極であってもよい。
書き込みの際には、トランジスタTをONすることで、スピン波発生用電極602からON継続時間に応じたパルス磁場が発生する。このパルス磁場により、スピン波発生用電極602に接触している全てのスピン波線路123内にスピン波が励起され伝搬する。スピン波発生用電極602の材料としてPt(白金)のようなスピン軌道相互作用の大きな金属を用いる場合には、通電によりスピンホール効果が生じ、電極602内に純スピン流が電流に垂直に生じる。この純スピン流がスピン波線路123にスピントランスファ効果を通じて磁化の歳差運動を誘起する。その結果、スピン波線路123内にスピン波が励起され伝搬する。このようにして励起されたスピン波からの振動磁場127とスピントルク発振素子110からの振動磁場117とが重なる部分132にマイクロ波アシスト効果が現れ、記録媒体122内の媒体磁化に対して局所的に書き込みがなされる。トランジスタによって、何層目の記録媒体層121に含まれるスピン波線路123を動作させるかが選択され、スピントルク発振素子110によって、選択されたスピン波線路123のどの部分に書き込みを行うかが選択される。
以上のように、第4の実施形態に係る磁気記録装置では、磁性絶縁体で形成されているスピン波線路の一部に電極が設けられている。この電極に通電することにより、スピン波線路内にスピン波が励起される。それにより、スピン波線路から振動磁場を発生させることができる。スピン波線路が絶縁体で形成されているため、記録媒体とスピン波線路を電気的に分離するための絶縁体が必ずしも必要ではなくなり、記録媒体層の層構造を単純化することが可能となる。
(第5の実施形態)
第5及び第6の実施形態では、書き込み磁場を発生する書き込み磁場源について説明する。第5の実施形態では、スピン波線路が振動磁場源と書き込み磁場源とを兼ねる例について説明する。
図7は、第5の実施形態の第1例に係る磁気記録装置700を概略的に示している。図7に示す磁気記録装置700は第2の実施形態で説明した磁気記録装置300(図3)と同様の構成を有するので、第2の実施形態の説明と重複する説明を適宜省略する。
磁気記録装置700のスピン波線路123は、Ni、Co、Fe、及びこれらの少なくとも1つを含む合金などの金属強磁性体で形成されている。各スピン波線路123に直流電流Iを通電した場合には、ビオサバールの法則に従った電流磁場701がスピン波線路123の周囲に生じる。生じた電流磁場701は記録媒体122に作用する。磁気記録装置700では、電流磁場701を書き込み磁場(図1などに示される書き込み磁場130)として利用する。電流磁場701の向きは、直流電流Iの向きによって制御することができる。
書き込みの際には、あるスピン波線路123のトランジスタをONにする。図7はトランジスタT1をONにした状態を示している。これにより、このスピン波線路123のスピントルク発振素子部301に直流電流Iが通電し、前述したようにスピン波線路123内にスピン波が励起される。さらに、直流電流Iは電流磁場701を生成し、この電流磁場701は書き込み磁場として記録媒体122に作用する。すなわち、記録媒体122には、スピン波線路123からの振動磁場127及び電流磁場701が作用する。この状態で、スピントルク発振素子110からの振動磁場117が記録媒体122に作用すると、振動磁場117及び127が重なる部分132が生じ、この部分132に局所的にマイクロ波アシスト効果が現れ、記録媒体122内の記録ビットに情報が書き込まれる。
図8は、第5の実施形態の第2例に係る磁気記録装置800を概略的に示している。図8において、図5に示した符号と同様の符号を同一部分、同一箇所に付してその説明を省略する。
図8に示す磁気記録装置800では、スピン波線路123の端部には、電流Iを通電するための電源及びスイッチが設けられている。電流Iの大きさはスピン波線路ドライバ/シンカー802によって制御される。ドライバ/シンカー802は記録制御部の一部として機能する。トランジスタ(例えばトランジスタT1)をONにすることにより、対応するスピン波線路123に電流Iが流れ、ビオサバールの法則に従った電流磁場801がスピン波線路123の周囲に生じる。この電流磁場801は、記録媒体122に作用する。磁気記録装置800では、電流磁場801を書き込み磁場として利用する。
書き込みの際には、スピントルク発振素子110及びスピン波線路123を動作させるとともに、対象記録ビットに対応するスピン波線路123のトランジスタ(例えばトランジスタT1)を動作させ、すなわち、ONにする。これにより、記録媒体122の一部分132に、スピントルク発振素子110からの振動磁場117と、スピン波線路123からの振動磁場127と、書き込み磁場としての電流磁場701が同時に作用し、この部分132に位置する記録ビットに局所的にマイクロ波アシスト記録がなされる。
以上のように、第5の実施形態に係る磁気記録装置では、スピン波線路に電流を通電し、それにより発生する電流磁場を書き込み磁場として利用することができる。そのため、書き込み磁場源を別途設ける必要がなくなる。
(第6の実施形態)
第6の実施形態では、書き込み磁場源が個別の要素として用意される例について説明する。
図9は、第6の実施形態に係る磁気記録装置900を概略的に示している。磁気記録装置900は、図9に示すように、スピントルク発振素子110、記録媒体ユニット120、書き込み磁場源としての極性可変マグネット901、及びマグネット901の極性を制御するコントローラ902を備える。コントローラ902は記録制御部の一部として機能する。記録媒体ユニット120は1以上の記録媒体層121を備え、各記録媒体層121は記録媒体122及びこの記録媒体122の下面に対向して配置されている複数のスピン波配線123を含む。スピントルク発振素子110及び記録媒体ユニット120を含む構造体は、マグネット901が発生する磁場903下に設置されている。すなわち、マグネット901からの磁場903は記録媒体122の全体に作用する。磁場903は書き込み磁場として利用される。
コントローラ902は、マグネット901が書き込む情報に応じた向きの磁場903を発生するように、マグネット901の極性を制御する。本実施形態の記録媒体122は垂直磁気記録媒体である。媒体磁化を下向きから上向きに反転させる(例えば、情報“0”を書き込む)場合、コントローラ902は、磁場903の向きが上向きになるように、マグネット901の極性を制御する。これとは逆に、媒体磁化を上向きから下向きに反転させる(例えば、情報“1”を書き込む)場合、コントローラ902は、磁場903の向きが下向きになるように、マグネット901の極性を制御する。コントローラ902の動作は、スピントルク発振素子110を動作させるためのドライバ(例えば、図1のスピントルク発振素子ドライバ140)及びスピン波線路123を動作させるためのドライバ(例えば、図3のスピン波線路ドライバ/シンカー303)と同期がとられている。
磁気記録装置900では、記録媒体122(例えば記録媒体122B)に情報を書き込む場合、マグネット901で発生する磁場903を印加しつつ、スピントルク発振素子110及び対応するスピン波線路123(例えばスピン波線路123B)を動作させる。スピントルク発振素子110を動作させると、スピントルク発振素子110の近傍に振動磁場117が発生する。スピン波線路123Bを動作させると、スピン波線路123Bの近傍に振動磁場127が発生する。記録媒体122において、振動磁場117と振動磁場127とが重なる部分132に位置する媒体磁化に対してマイクロ波アシスト記録技術が適用される。振動磁場117と振動磁場127とが重なる部分132では、それ以外の部分に比べて強い振動磁場が印加され、磁場903による媒体磁化の反転がこれらの振動磁場117及び127によってアシストされる。
なお、マグネット901からの磁場903が記録媒体122に対して大域的に作用するという点を利用して、マグネット901からの磁場903を記録の大域的消去に使用する設計も可能である。この場合、マグネット901から発せられる磁場903の大きさとして、レベル1及びレベル2という2つのレベルを用意する。ここで、レベル1は磁場903を書き込み磁場として使用する場合の磁場の大きさを示し、レベル2は磁場903を大域的消去に使用する場合の磁場の大きさを示し、レベル1はレベル2より小さい。すなわち、レベル1の磁場の大きさは、マイクロ波アシスト効果がないと記録媒体122内の媒体磁化の反転が生じないような磁場の大きさであり、レベル2の磁場の大きさは、マイクロ波アシスト効果がなくとも記録媒体122内の媒体磁化の反転が生じるような磁場の大きさである。
次に、図9に示した極性可変マグネット901についての具体例を説明する。
図10は、第6の実施形態の第1例に係る磁気記録装置1000を概略的に示している。磁気記録装置1000は、図10に示すように、スピントルク発振素子110、記録媒体ユニット120、マルチフェロイクス物質膜1001、一対の電場発生膜1002、軟磁性体膜1003、及び電場コントローラ1004を備える。第1例では、マルチフェロイクス物質膜1001、一対の電場発生膜1002、及び軟磁性体膜1003によって極性可変マグネットが実現される。
マルチフェロイクス物質膜1001は一対の電場発生膜1002間に設けられ、一対の電場発生膜1002はマルチフェロイクス物質膜1001に印加する電場を発生する。電場コントローラ1004は、マルチフェロイクス物質膜1001に印加する電場を制御する。スピントルク発振素子110及び記録媒体ユニット120を含む構造体は、マルチフェロイクス物質膜1001と軟磁性体膜1003との間に配置されている。
マルチフェロイクス物質は、強磁性と強誘電性を併せ持つ物質である。例えば、絶縁性酸化物磁石であるジスプロシウム・テルビウム・フェライトは電場を印加することで磁石の極性を変化することができることが知られている。マルチフェロイクス物質膜1001は、このようなマルチフェロイクス物質で形成されている。マルチフェロイクス物質膜1001に電場を印加すると、マルチフェロイクス物質膜1001の磁気モーメントMが変化する。軟磁性体膜1003は、パーマロイのような透磁率の大きな材料で形成され、HDDの垂直磁気記録方式で採用されているSUL(soft magnetic under layer)と同様の機能を果たす。ここでは、軟磁性体膜1003は、マルチフェロイクス物質膜1001の磁気モーメントMによる磁力線を強く引き込むように機能し、それにより、スピントルク発振素子110及び記録媒体ユニット120を含む構造体に磁場1005が印加されやすくなる。
図10の例では、記録媒体122は垂直磁気記録媒体である。媒体磁化を下向きから上向きに反転させる場合、マルチフェロイクス物質膜1001の磁気モーメントMが上向き(従って、磁気モーメントMによる磁場1005が上向き)になるように、電場コントローラ1004は電場発生膜1002が発生する電場を制御する。また、媒体磁化を上向きから下向きに反転させる場合、マルチフェロイクス物質膜1001の磁気モーメントMが下向き(従って、磁気モーメントMによる磁場1005が下向き)になるように、電場コントローラ1004は電場発生膜1002が発生する電場を制御する。電場コントローラ1004の動作は、スピントルク発振素子110を動作させるためのドライバ及びスピン波線路123を動作させるためのドライバと同期がとられている。
図11は、本実施形態の第2例に係る磁気記録装置1100を概略的に示している。磁気記録装置1100は、図11に示すように、スピントルク発振素子110、記録媒体ユニット120、複数の磁性粒子1101が媒質中を流動するパッケージ1104、一対の電極1103、及び電場コントローラ1102を備える。第2例では、複数の磁性粒子1101が媒質中を流動するパッケージ1104及び一対の電極1103によって極性可変マグネットが実現される。
スピントルク発振素子110及び記録媒体ユニット120を含む構造体はパッケージ1104間に配置されている。電場コントローラ1102は、一対の電極1103に印加する電圧を制御する。一対の電極1103は、平行平板コンデンサとして機能し、電極1103間に挟まれた空間に電場を印加する。磁性粒子1101は、磁気モーメントM及び電気分極Pを有し、一対の電極1103からの電場の向きに従って流動する。それにより、複数の磁性粒子1101の磁気モーメントの向きが揃えられ、磁気モーメントの向きが揃った複数の磁性粒子1101から発生した磁場1005がスピントルク発振素子110及び記録媒体ユニット120を含む構造体に作用する。磁場1005の向きは、電極1103が発生する電場の向きによって変更することができる。
電場コントローラ1102の動作は、スピントルク発振素子110を動作させるためのドライバ及びスピン波線路123を動作させるためのドライバと同期がとられている。それにより、書き込みの際に、マイクロ波アシスト効果が記録媒体122に局所的に作用する。
図12は、第6の実施形態の第3例に係る磁気記録装置1200を概略的に示している。磁気記録装置1200は、図12に示すように、スピントルク発振素子110、記録媒体ユニット120、及び一対の半円筒マグネット1201を備える。第3例では、一対の半円筒マグネット1201によって極性可変マグネットが実現される。
半円筒マグネット1201は、図示しない回転機構によって図12に示す矢印Rの方向に回転される。この回転機構は図示しない回転ドライバによって駆動される。半円筒マグネット1201の回転によって、スピントルク発振素子110及び記録媒体ユニット120を含む構造体に作用する磁場1202の向きが変更される。
図12の例では記録媒体122は垂直磁気記録媒体である。媒体磁化を上向きから下向きに反転させる場合、書き込みが行われるタイミングで、半円筒マグネット1201の配置が図12に示すように書き込み磁場1202が下向きになる配置となるように回転ドライバを動作させる。媒体磁化を下向きから上向きに反転させる場合、書き込みが行われるタイミングで、書き込み磁場1202が上向きに作用するように、半円筒マグネット1201が図12に示す配置から180°回転させた配置となるように回転ドライバを動作させる。
回転ドライバの動作は、スピントルク発振素子110を動作させるためのドライバ及びスピン波線路123を動作させるためのドライバと同期がとられている。それにより、書き込みの際に、マイクロ波アシスト効果が記録媒体122に局所的に作用する。
以上のように、第6の実施形態に係る磁気記録装置は、書き込み磁場源として極性可変マグネットを備え、極性可変マグネットからの磁場下にスピントルク発振素子及び記録媒体ユニットを含む構造体が配置されている。これにより、書き込み磁場を記録媒体に印加することができる。
なお、書き込み磁場源が個別の要素として用意される例は、図9〜12を参照して上述した形態に限定されない。いわゆるスピントルク発振素子を用いたHDDマイクロ波アシスト記録技術において開発されているような記録ヘッドも書き込み磁場源として当然用いることができる。
図13は、マイクロ波アシスト記録技術を利用する磁気記録装置に搭載される記録ヘッド1300を概略的に示している。記録ヘッド1300は、図13に示すように、主磁極1301、還流磁極1302、及び主磁極1301に併置されたスピントルク発振素子110を備える。記録ヘッド1300は、記録媒体ユニット120に対向して設置される。主磁極1301は、記録媒体ユニット120に対し書き込み磁場を発生する。還流磁極1302は、記録媒体ユニット120から還流する書き込み磁場を主磁極1301に還流させる。
スピントルク発振素子110は、第1磁性層111、スペーサ層112、及び第2磁性層113を含む磁性多層膜115、並びに、磁性多層膜115に電流を通電するための1対の電極1311、1312を含む。上述したように、電極1311、1312を介して磁性多層膜115に所定の直流電流を通電することにより、スピントルク発振素子110は振動磁場を発生する。スピントルク発振素子110は、主磁極1301と還流磁極1302との間に設けられる。図13の例では、スピントルク発振素子110は、磁性多層膜115の膜面が主磁極1301から還流磁極1302に向かう方向に対して垂直となるように、配置されている。
主磁極1301の一部と還流磁極1302の一部とは磁気的に接合されている。主磁極1301と還流磁極1302との磁気的接合部の近傍にはコイル1303が形成されており、コイル1303に電流Iを流すことで、主磁極1301から書き込み磁場が発生する。このように、書き込み磁場源は、記録ヘッドに搭載される形態で実施されてもよい。
(第7の実施形態)
第7の実施形態では、振動磁場源としてのスピントルク発振素子が複数設けられる例について説明する。
図14は、第7の実施形態に係る磁気記録装置1400を概略的に示している。磁気記録装置1400は、図14に示すように、複数のスピントルク発振素子110及び記録媒体ユニット120を備え、複数のスピントルク発振素子110は記録媒体ユニット120に対向してアレイ状に配置されている。記録媒体ユニット120は、積層された1以上の記録媒体層121を含む。記録媒体層121の各々では、複数のスピン波線路123が記録媒体122の下面に対向して並列に配置されている。図14の例では、記録媒体ユニット120は4つの記録媒体層121A、121B、121C、121Dを含む。記録媒体層121Aは記録媒体122A及びスピン波線路123A−W1〜W3を含み、記録媒体層121Bは記録媒体122B及びスピン波線路123B−W1〜W3を含み、記録媒体層121Cは記録媒体122C及びスピン波線路123C−W1〜W3を含み、記録媒体層121Dは記録媒体122D及びスピン波線路123D−W1〜W3を含む。
各スピントルク発振素子110は、第1磁性層111、スペーサ層112、及び第2磁性層113により形成されている。第1磁性層111は、スピントルク発振素子110それぞれに固有のものであってもよく、スピントルク発振素子110によって共有されるものであってもよい。スピントルク発振素子の形状は、前者の場合にはピラー型と呼ばれるものに相当し、後者の場合にはハーフパターンド型と呼ばれるものに相当する。図14の例では、第1磁性層111は複数のスピントルク発振素子110に共有されている。
図14の例では、15個のスピントルク発振素子110が3行5列で配置されている。この場合、行方向に延在する3つの電極119(例えば電極119−W1〜W3)が設けられ、行方向に垂直な列方向に延在する5つの電極118(例えば電極118−B1〜B5)が設けられ、電極118と電極119との間にスピントルク発振素子110が配置されている。電極119−W1〜W3はワード線W1〜W3を介してワード線ドライバ/シンカー1402に接続されている。電極118−B1〜B3はビット線B1〜B3を介してビット線ドライバ/シンカー1401に接続されている。ドライバ/シンカー1401及び1402は各スピントルク発振素子110に流す電流を制御する。ドライバ/シンカー1401及び1402は記録制御部の一部として機能する。ここでは、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM:Magnetic Random Access Memory)技術で用いられる用語に倣って「ワード」、「ビット」という用語をラベルの目的で使用している。
1つのスピントルク発振素子110を動作させる場合、このスピントルク発振素子に対応する1つのビット線及び1つのワード線を選択し、選択したビット線及びワード線を通じてスピントルク発振素子に電流を流す。図14は、ビット線B4及びワード線W1を通じてスピントルク発振素子110に電流を流した例を示している。この例では、ビット線B4、電極118−B4、第1磁性層111、スペーサ層112、第2磁性層113、電極119−W1、ワード線W1の経路で電流が流れる。通電により第1磁性層111が発振すると、スピントルク発振素子110から記録媒体122に対して振動磁場117が照射される。書き込みの際には、スピントルク発振素子110とともにスピン波線路123(例えばスピン波線路123B−W1)を動作させる。それにより、スピントルク発振素子110からの振動磁場117とスピン波線路123からの振動磁場127とが重なる部分132に位置する媒体磁化が書き込み磁場130によって反転される。
本実施形態においてスピン波線路123を動作させる方法としては、第2、第3、及び第4の実施形態において説明した方法と同様の方法を用いることができる。以下に、スピン波線路123を動作させる方法例を簡単に説明する。詳細な説明は第2、第3、及び第4の実施形態の記載を参照されたい。
一例では、図3に示されるように、スピン波線路123それぞれの一部にスピン波発生用スピントルク発振素子部301が設けられる。この場合、スピン波線路123は金属強磁性体で形成される。スピン波線路123及びスピン波発生用スピントルク発振素子部301に直流電流を通電することでスピン波線路123にスピン波が発生し、それにより、スピン波線路123から振動磁場127が発生する。スピン波発生用スピントルク発生素子部301の構成は、図4A及び図4Bに示した構造とすることができる。
他の例では、図5に示されるように、記録媒体層121の各々において、スピン波線路123の一部に絶縁層503を介してスピン波発生用線路502が設けられる。この場合、スピン波線路123は金属強磁性体で形成される。スピン波発生用線路502に電流を通電することで、スピン波発生用線路502から通電時間に応じたパルス磁場が発生し、そのパルス磁場によりスピン波発生用線路502に絶縁層503を介して接続されている全てのスピン波線路123にスピン波が励起される。その結果、スピン波線路123から振動磁場127が発生する。
さらに他の例では、図6に示されるように、記録媒体層121の各々において、スピン波線路123の一部にスピン波発生用電極602が設けられる。この場合、スピン波線路123は磁性絶縁体で形成される。スピン波発生用電極602に電流を通電することでスピン波発生用電極602から通電時間に応じたパルス磁場が発生し、そのパルス磁場によりスピン波発生用電極602に接続されている全てのスピン波線路123にスピン波が励起される。その結果、スピン波線路123から振動磁場127が発生する。
また、書き込み磁場130を印加する方法は、第5及び第6の実施形態において説明した方法と同様の方法を用いることができる。以下に、書き込み磁場130を印加する方法を簡単に説明する。詳細な説明は第5及び第6の実施形態の記載を参照されたい。
一例では、スピン波線路123が書き込み磁場源として機能する。この場合、スピン波線路123は金属強磁性体で形成される。スピン波線路123に直流電流を通電した場合、ビオサバールの法則に従った電流磁場がそのスピン波線路123の周囲に生じる。この電流磁場が書き込み磁場として利用される。電流磁場の向きは、直流電流の向きによって制御することができる。
他の例では、図9に示されるように、書き込み磁場源は極性可変マグネット901により実現される。この場合、スピントルク発振素子110及び記録媒体ユニット120を含む構造体は、マグネット901が発生する磁場下に設置される。この場合、マグネット901からの磁場は記録媒体122の全体に作用する。マグネット901からの磁場が書き込み磁場として利用される。
さらに他の例では、書き込み磁場源は、図13に示されるように、スピントルク発振素子を用いたHDDマイクロ波アシスト記録技術に係る記録ヘッドに搭載される主磁極1301により実現される。記録ヘッドでは、主磁極1301は、スピントルク発振素子110に併置される。
本実施形態においては、スピン波線路123の選択によって、何層目の記録媒体に書き込みを行うかが決定され、ワード線及びビット線の選択によって、記録媒体のどの位置に書き込みを行うのかが決定される。本実施形態では、スピントルク発振素子を複数設けることにより、従来型のHDDにおけるアクチュエータのような可動部分が必要なくなり、耐衝撃性の高い、ソリッドステート型の磁気記録装置となる。
(第8の実施形態)
第8の実施形態では、記録媒体から情報を再生する方法について具体例を挙げて説明する。
図15を参照して第1の再生方法を説明する。第1の再生方法は、磁気共鳴現象を利用するものであり、スピントルク発振素子110を磁気センサとして用いて、記録媒体122の記録ビット1501に記録されている磁気情報を読み取る。記録媒体122は記録媒体層121ごとに異なる磁気共鳴周波数を有する。例えば、記録媒体122A内の記録ビット1501Aの磁化は磁気共鳴周波数fを有し、記録媒体122B内の記録ビット1501Bの磁化は磁気共鳴周波数fを有し、記録媒体122C内の記録ビット1501Cの磁化は磁気共鳴周波数fを有する。一例では、磁気共鳴周波数は、スピントルク発振素子110に近い記録媒体122ほど小さくなるように設定される。すなわち、f<f<fである。
ここでは、図15に示すように、記録媒体122Bの記録ビット1501Bに記録されている磁気情報を読み取る場合について説明する。磁気情報の再生の際には、スピントルク発振素子110に電流を流し、第1磁性層111の磁化114を発振させる。記録ビット1501Bの情報を再生する場合、スピントルク発振素子110が発生する振動磁場117の周波数をfにするために、スピントルク発振素子110の発振周波数をfに設定する。スピントルク発振素子110の発振周波数は、例えば電流の大きさによって制御する。スピントルク発振素子110の発振周波数の設定により、何層目の記録媒体122に記録されている情報を再生するかが選択される。
スピントルク発振素子110から周波数fの振動磁場117が照射されると、記録ビット1501Bの磁化が共鳴励起する。これにより、スピントルク発振素子110から記録ビット1501Bに対してエネルギーが一部転送される。具体的には、磁気共鳴時には、記録ビット1501Bの磁化は振動磁場117のエネルギーを吸収し、スピントルク発振素子110は記録ビット1501Bの共鳴吸収によりエネルギーを損失する。その結果、スピントルク発振素子110の発振振幅(出力電圧)が変化する。この発振振幅の変化を検出することにより、磁気情報の再生が行われる。スピントルク発振素子110からの振動磁場117は偏向を有しているため、記録ビット1501Bに記録されている情報が“0”であるか“1”であるかに応じて共鳴励起の大きさが異なる。記録ビット1501Bの磁化の向きが違うと、その磁化にとっての偏向は程度の差はあれ、一般に異なるためである。ビットの“0”、“1”に応じた共鳴励起の大きさの違いは、スピントルク発振素子110の発振振幅の変化となって現れる。その変化を検出することで、“0”であるか“1”であるかが再生される。
なお、媒体磁化の向きの違いによる共鳴吸収の大きさの違いを大きくするために、第5及び第6の実施形態において説明した書き込み磁場源を動作させて、再生の際に、ビットの磁気共鳴周波数をずらすための磁場を記録媒体ユニット120に印加してもよい。例えば、大きさHの上向き磁場下においては、上向き媒体磁化の共鳴周波数と下向き媒体磁化の共鳴周波数には、単純には、(γ/2π)×2Hだけの周波数の違いが現れる。ここで、γは磁気回転比である。周波数の違いが大きいほど、ビットの“0”、“1”を区別しやくすなり、再生時のSN比が大きくなる。このビットの磁気共鳴周波数をずらす方法をうまく活かすには、各記録媒体122の各ビットの磁場下での磁気共鳴周波数の干渉を避けるために、記録媒体層121間に有意な漏れ磁場が作用していないことが望ましい。例えば、媒体膜122を[CoPt]n/Ru/[CoPt]mのような反強磁性結合膜として、2つの強磁性層([CoPt]n,m)からの漏れ磁場が打ち消しあうようにすることで、有意な漏れ磁場が記録媒体層121間に作用しないようにすることができる。或いは、記録媒体材料の材料固有の磁気共鳴周波数を考慮して、干渉を避けることができるような適切な大きさの磁場を設定することが望ましい。
次に、図16を参照して第2の再生方法を説明する。第2の再生方法は、スピントルク発振素子110を用いて記録媒体122からの漏れ磁場1602を検出することで、磁気情報を読み取る。
スピントルク発振素子110には、記録媒体ユニット120内の記録媒体122からの漏れ磁場1602が作用する。漏れ磁場1602は、スピントルク発振素子110の直下に位置する記録ビット1601A、1601B、1601Cからの磁場を主に含む。記録ビット1601A、1601B、1601Cはそれぞれ記録媒体122A、122B、122Cの記録ビットである。漏れ磁場1502の大きさは、記録ビット1601A、1601B、及び1601Cの磁化の向きの組み合わせに応じて異なる。図15の例では、記録ビット1601A、1601B、1601Cの磁化の向きはそれぞれ、下向き、上向き、上向きである。記録媒体層121の数をNとすると、媒体磁化の向きの組み合わせは2通りになる。ここで、Nは自然数である。
スピントルク発振素子110を動作させると、第1磁性層111の磁化と第2磁性層113の磁化との間の磁気抵抗効果により、磁性多層膜115に電流を流すための一対の電極間に高周波電圧が発生する。高周波電圧の周波数は、スピントルク発振素子110の発振周波数(数GHzから数十GHz)に対応する。この高周波電圧は、発振出力として出力される。発振出力は、振幅及び位相で特徴づけられる。発振出力は、スピントルク発振素子110が存在する磁場環境に応じて変化する。すなわち、発振出力は、記録媒体ユニット120からの漏れ磁場1602の大きさにも依存する。従って、発振出力(振幅及び位相の少なくとも一方)を検出することで、漏れ磁場1602の大きさを測定することができる。所望の記録ビット(例えば記録ビット1601C)の磁化の向きは、測定された漏れ磁場1602の大きさに基づいて特定することができる。それにより、所望の記録ビットに記録されている情報を再生することができる。記録媒体層121の数をNとすると、発振出力を区別するレベルを2段にする場合、単純には、記録媒体ユニット120の記録資源を最も有効に利用することができる。
図16を参照して第3の再生方法を説明する。第3の再生方法は、第2の再生方法と同様に、スピントルク発振素子110を用いて記録媒体122からの漏れ磁場1602を検出することで、磁気情報を読み取る。第3の再生方法は、スピントルク発振素子110を磁気抵抗効果素子として機能させる点で第2の再生方法と異なる。
第3の再生方法では、スピントルク発振素子110を発振させるための閾値電流密度以下の電流密度を有する電流をスピントルク発振素子110に通電する。この場合、スピントルク発振素子110の動作は、GMR素子又はTMR素子などの磁気抵抗効果素子と同一である。スピントルク発振素子110の抵抗は、記録媒体122からの漏れ磁場1602に応じて変化する。従って、スピントルク発振素子110の磁気抵抗効果素子としての抵抗変化を検出することで、記録媒体122からの漏れ磁場1602を測定することができる。所望の記録ビット(例えば記録ビット1601C)の磁化の向きは、測定された漏れ磁場1602の大きさに基づいて特定することができる。それにより、所望の記録ビットに記録されている情報を再生することができる。記録媒体層121の数をNとすると、抵抗値を区別するレベルを2段にする場合、単純には、記録媒体ユニット120の記録資源を最も有効に利用することができる。
以上のように、第8の実施形態によれば、書き込み時にアシスト源として使用されるスピントルク発振素子を磁気情報の再生に利用することもできる。
以上述べた少なくとも1つの実施形態に係る磁気記録装置によれば、スピントルク発振素子110及びスピン波線路123という2種類の振動磁場源を設けることにより、マイクロ波アシスト効果が得られるような強い振動磁場を所望の媒体磁化に印加することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
100…磁気記録装置、110…スピントルク発振素子、111…第1磁性層、112…スペーサ層、113…第2磁性層、114…磁化、115…磁性多層膜、117…振動磁場、118,119…電極、120…記録媒体ユニット、121…記録媒体層、122…記録媒体、123…スピン波配線、127…振動磁場、130…書き込み磁場、140…スピントルク発振素子ドライバ、300…磁気記録装置、301…スピントルク発振素子部、302…伝送線路、303…スピン波線路ドライバ/シンカー、400…磁気記録装置、401…ポーラライザ層、402…スペーサ層、403…発振層、404…振動磁場、500…磁気記録装置、501…スピン波発生用線路ドライバ/シンカー、502…伝送線路、503…絶縁層、504…パルス磁場、600…磁気記録装置、601…スピン波発生用電極ドライバ/シンカー、602…電極、700…磁気記録装置、701…電流磁場、800…磁気記録装置、801…電流磁場、802…スピン波線路ドライバ/シンカー、900…磁気記録装置、901…極性可変マグネット、902…コントローラ、903…磁場、1000…磁気記録装置、1001…マルチフェロイクス物質膜、1002…電場発生膜、1003…軟磁性体膜、1004…電場コントローラ、1100…磁気記録装置、1101…磁性粒子、1102…電場コントローラ、1103…電極、1104…パッケージ、1105…電場、1200…磁気記録装置、1201…半円筒マグネット、1202…磁場、1300…記録ヘッド、1301…主磁極、1302…還流磁極、1303…コイル、1311,1312…電極、1400…磁気記録装置、1401…ビット線ドライバ/シンカー、1402…ワード線ドライバ/シンカー、1501,1601…記録ビット、1602…漏れ磁場。

Claims (11)

  1. 第1の振動磁場を発生するスピントルク発振素子と、
    記録媒体と、前記記録媒体に対向して設けられ、第2の振動磁場を発生する複数のスピン波線路と、を含む記録媒体層が1以上積層した記録媒体ユニットと、
    書き込み磁場を発生する書き込み磁場源と、
    情報を記録する対象となる前記記録媒体の媒体磁化を前記書き込み磁場によって選択的に反転させるために、前記第1の振動磁場前記第2の振動磁場とを前記媒体磁化に同時に印加するように、前記スピントルク発振素子前記複数のスピン波線路のうちの少なくとも1つのスピン波線路とを動作させる制御部と、
    を具備する磁気記録装置。
  2. 前記複数のスピン波線路は金属強磁性体で形成され、スピン波を励起するスピントルク発振素子部が前記複数のスピン波線路それぞれの一部に設けられている、請求項1に記載の磁気記録装置。
  3. 前記複数のスピン波線路は金属強磁性体で形成され、通電によって磁場を発生する伝送線路が前記複数のスピン波線路の一部に絶縁体を介して設けられている、請求項1に記載の磁気記録装置。
  4. 前記複数のスピン波線路は磁性絶縁体で形成され、通電によって磁場を発生する電極が前記複数のスピン波線路の一部に設けられている、請求項1に記載の磁気記録装置。
  5. 前記書き込み磁場源は、前記複数のスピン波線路を含み、前記書き込み磁場は、スピン波線路に電流を流すことにより発生する電流磁場である、請求項2又は3に記載の磁気記録装置。
  6. 前記書き込み磁場源は、極性可変マグネットを含み、前記スピントルク発振素子及び前記記録媒体ユニットを含む構造体が前記書き込み磁場下に設置されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の磁気記録装置。
  7. 前記書き込み磁場源は、前記スピントルク発振素子に併置され、前記書き込み磁場を発生する主磁極を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の磁気記録装置。
  8. 前記スピントルク発振素子は複数であり、複数の前記スピントルク発振素子は、前記記録媒体ユニットに対向してアレイ状に配置されている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の磁気記録装置。
  9. 前記記録媒体は前記記録媒体層ごとに異なる磁気共鳴周波数を有し、前記記録媒体ユニットに記録されている情報は、前記第1の振動磁場によって記録媒体を選択的に共鳴させることにより再生される、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の磁気記録装置。
  10. 前記記録媒体ユニットに記録されている情報は、前記スピントルク発振素子を発振させた状態で、前記記録媒体からの漏れ磁場を前記スピントルク発振素子で検出することによって、再生される、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の磁気記録装置。
  11. 前記記録媒体ユニットに記録されている情報は、前記スピントルク発振素子を発振させずに磁気抵抗効果素子として使用して、前記記録媒体からの漏れ磁場を前記スピントルク発振素子で検出することによって、再生される、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の磁気記録装置。
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