JPWO2009031237A1 - 貨幣収納カセット及び貨幣処理装置 - Google Patents

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Abstract

貨幣収納カセット4は、投入口41及び取出口42を有し、当該投入口41を通じて投入された貨幣を、その内部に収納する本体部、及び、本体部に取り付けられた表示部9、を備える。表示部9は、少なくとも第1及び第2の表示態様を含む複数の表示態様を切り替えて外部から視認可能に表示する。表示部9の表示態様は、本体部の状態に応じて自動的に切り替わる。

Description

本発明は、貨幣収納カセット及び貨幣収納カセットを備えた貨幣処理装置に関する。
例えばスーパーマーケット等の小売店舗に設置されかつ、そこでの売上金の入金処理を実行する貨幣処理装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この貨幣処理装置は、貨幣収納カセット(カセット金庫)を備えており、その貨幣収納カセットは、貨幣処理装置の筐体から引き出し可能に設けられた引き出しユニット内に着脱自在に装着される。貨幣処理装置は、入金処理として、貨幣の真偽や正損(つまり流通させることができる正券か、破れや汚損等によって流通させるべきでない損券か)等を識別した上で、入金可能な貨幣のみを貨幣収納カセット内に投入する処理を実行する。
貨幣が収納されたカセットは、予め契約している警送会社の担当者によって貨幣処理装置から取り外されて、当該警送会社の現金センタに搬送される(カセットの回収作業)。現金センタでは、カセットから貨幣が取り出されて計数されると共に、その計数結果と、例えばジャーナルによって現金センタに別途提供される入金データと、を照合する精算処理が行われる。
貨幣が取り出された後の空のカセットは、警送会社によって搬送されて前記の貨幣処理装置に再び装着される。尚、実際は、貨幣処理装置からカセットを取り外したときに、そのカセットと交換で、空のカセットが貨幣処理装置に装着されることになる。
例えば特許文献2には、貨幣処理装置からカセットを取り外すときに、そのカセットに貨幣が収納されているか、又は、空であるか、を外観上、区別可能にした貨幣処理装置が開示されている。この貨幣処理装置では、引き出しユニットを引き出したときに、貨幣を収納しているカセットは、その投入口がシャッタによって閉じられた状態になる一方、空のカセットは、その投入口が開けられた状態になるよう構成されている。この構成によって、この貨幣処理装置では、空のカセットを回収することがなくなり、回収作業が効率化する。
また、貨幣収納カセットの一例として、特許文献3には、内部に収納している紙幣の金種を表示するための表示板を備えたカセットが開示されている。
ところで、前記現金センタには、各所に設置された貨幣処理装置から回収された貨幣収納カセットが、多数集められる。このときに、貨幣を取り出す前である未精算状態のカセットと、貨幣を取り出した後である精算済み状態のカセットと、は見分けがつかない。このため、例えば精算済み状態のカセットを、未精算状態のカセットと取り違えることで、空のカセットであるにも拘わらず、そのカセットの取出口を開けて中から貨幣を取り出そうとすることが起こり得る。つまり、無駄な作業を行う虞があり、精算処理の作業効率が低下してしまう。
逆に、未精算状態のカセットを、精算済み状態のカセットと取り違えると、入金データと現金在高とが一致しない現金事故につながる。また、内部に貨幣を収納したままのカセットを現金センタから小売店舗に搬送して、そこの貨幣処理装置に装着してしまうことも起こり得る。
特許第3340176号公報 特許第3247275号公報 特開平7−259434号公報
このように従来の貨幣収納カセットは、外観上、未精算/精算済みの区別をすることができず、それらを混同したり、取り違えたりすることがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、貨幣収納カセットが精算済み状態であるか未精算状態であるかを、外観から区別可能にすることにある。
本発明の一側面によると、貨幣収納カセットは、投入口及び取出口を有し、当該投入口を通じて投入された貨幣を、その内部に収納する本体部、及び、前記本体部に取り付けられかつ、少なくとも第1及び第2の表示態様を含む複数の表示態様を切り替えて外部から視認可能に表示する表示部、を備え、前記表示部の表示態様は、前記本体部の状態に応じて自動的に切り替わる。
この構成の貨幣収納カセットは、表示部を備えている。表示部は、第1及び第2の表示態様を含む複数の表示態様を、本体部の状態に応じて自動的に切り替えて表示する。このため、表示部の表示内容を見ることによって、当該本体部の状態を認識することが可能になる。尚、ここでいう「自動的」とは、表示部の表示態様を、手動によって直接切り替えるのではないことを意味する。例えば本体部から貨幣を手で取り出す、といった貨幣収納カセットの通常の取り扱いをすることによって、表示部に触れることなくその表示態様が切り替わることは「自動的」である。
前記第1の表示態様は、前記本体部が、前記取出口を通じて貨幣が取り出されることにより、その内部に貨幣を収納していない精算済み状態であることを示し、前記第2の表示態様は、前記本体部が、その内部に貨幣を収納している未精算状態であることを示す、としてもよい。つまり、前記「本体部の状態」には、精算済みであるか未精算であるかの状態が含まれ、この場合は、表示部によって、精算済み状態の貨幣収納カセットと、未精算状態の貨幣収納カセットと、を外観上で判別することができる。
これとは異なり、前記第1の表示態様は、前記本体部の内部に貨幣が収納されていないことを示し、前記第2の表示態様は、前記本体部の内部に貨幣が収納されていることを示す、としてもよい。つまり、前記「本体部の状態」には、貨幣を収納しているか収納していないかの状態が含まれ、この場合は、表示部によって、貨幣を収納している貨幣収納カセットと、空である貨幣収納カセットと、を外観上で判別することができる。
また、前記「本体部の状態」には、例えば金種や通貨等の、本体部に、どのような種類の貨幣を収納しているかの状態も含まれる。
前記本体部は、貨幣処理装置の装着部に対して着脱可能に装着されると共に、その装着状態において前記投入口を通じてその内部に貨幣が投入され、前記表示部は、前記本体部を前記装着部に装着した後、前記本体部を当該装着部から取り外すまでの間において、その表示態様が前記第1の表示態様から第2の表示態様に切り替わる、ことが好ましい。
前記表示部は、前記本体部を前記装着部に装着するときの、当該本体部の動きに連動して、その表示態様が前記第1の表示態様から第2の表示態様に切り替わる、としてもよい。
この構成によると、表示部の表示態様は、担当者が本体部を装着部に装着する作業に連動して自動的に切り替わる。従って、本体部を装着部から取り外すときには、表示部は、第2の表示形態になる。このため、第1の表示態様が精算済み状態であることを示し、第2の表示態様が未精算状態であることを示す場合や、第1の表示態様が本体部の内部に貨幣が収納されていないことを示し、第2の表示態様が前記本体部の内部に貨幣が収納されていることを示す場合には、表示部の表示態様は適切なタイミングで切り替わると共に、その表示態様は、カセットの状態を正確に示すことになる。
前記表示部は、前記本体部を前記装着部に装着しているときには、前記貨幣処理装置からの制御を受けて、その表示態様が前記第1の表示態様から第2の表示態様に切り替わる、としてもよい。
この構成によると、本体部が装着部に装着されているときは、表示部の表示態様は任意のタイミングで切り替えられる。従って、本体部を装着部から取り外すときには、表示部は、第2の表示形態になる。
前記表示部は、前記貨幣を収納している本体部を前記装着部から取り外した後、当該本体部内の貨幣を前記取出口を通じて取り出すときに、その表示態様が前記第2の表示形態から第1の表示態様に切り替わる、とすることが好ましい。
前記本体部に設けられかつ、前記本体部内に収納された貨幣を前記取出口を通じて取り出すために手動で動かされる操作機構部をさらに備え、前記表示部は、前記操作機構部の動きに連動して、その表示態様が前記第2の表示形態から第1の表示態様に切り替わる、としてもよい。
この構成によると、表示部の表示態様は、担当者が本体部内に収納された貨幣を、取出口を通じて取り出す作業、つまり精算処理に含まれる一作業を実行することに連動して、第2の表示形態から第1の表示形態に自動的に切り替わる。従って、第1の表示態様が精算済み状態であることを示し、第2の表示態様が未精算状態であることを示す場合や、第1の表示態様が本体部の内部に貨幣が収納されていないことを示し、第2の表示態様が前記本体部の内部に貨幣が収納されていることを示す場合には、表示部の表示態様は適切なタイミングで切り替わると共に、その表示態様は、カセットの状態を正確に示すことになる。
前記表示部は、前記操作機構部の動きに機械的に連動することによって、その表示態様が前記第2の表示形態から第1の表示態様に切り替わる、としてもよい。
前記本体部は紙幣を収納し、前記操作機構部は、前記本体部内で、前記投入口を通じて紙幣が投入される方向に往復移動可能に配設されると共に、前記紙幣を重ねた状態で保持するステージであり、前記ステージは、そこに保持している紙幣を取り出すときには、前記投入口から離れた所定の取出位置まで手動で移動され、前記表示部は、前記ステージを前記取出位置に移動させたときに当該ステージと係合することによって、その表示態様が前記第2の表示形態から第1の表示態様に切り替わる、としてもよい。
本発明の別の側面によると、貨幣処理装置は、投入口及び取出口を有すると共に、その内部に貨幣を収納する貨幣収納カセット、前記貨幣収納カセットが着脱自在に装着される装着部、前記装着部に装着されている貨幣収納カセットに対し、前記投入口を通じて貨幣を投入する処理部、前記貨幣収納カセットに取り付けられかつ、少なくとも第1及び第2の表示態様を含む複数の表示態様を切り替えて外部から視認可能に表示する表示部、及び、前記表示部の表示態様を前記貨幣収納カセットの状態に応じて切り替える切替手段、を備える。
本発明によれば、貨幣収納カセットが表示部を備えるため、当該貨幣収納カセットが精算済み状態であるか、未精算状態であるかを外観上で区別することができる。このことにより、精算済み状態のカセットと未精算状態のカセットとを混同したり、取り違えたりすることがなくなる。
図1は、貨幣処理装置の全体を示す斜視図である。 図2は、貨幣処理装置の制御に関連する構成を示すブロック図である。 図3は、紙幣処理部の構成を示す模式図である。 図4は、硬貨処理部の構成を示す模式図である。 図5は、貨幣処理装置を含む、売上金入金システムの全体を示す説明図である。 図6は、POSサーバにおける照合結果を表示する画面の一例である。 図7は、紙幣収納カセットの斜視図である。 図8は、紙幣収納カセットの斜視図である。 図9は、紙幣収納カセットの一部破断の側面図である。 図10は、紙幣収納カセットの一部破断の平面図である。 図11は、表示部の斜視図である。 図12は、精算処理に関連する、紙幣収納カセットに対する処理の流れと、その紙幣収納カセットにおける表示態様の切り替わりとを示すフロー図である。 図13は、表示部の表示内容が、未精算状態から精算済み状態へと変化する様子を示す側面図及び平面図である。 図14は、表示部の表示内容が、精算済み状態から未精算状態へと変化する様子を示す側面図及び平面図である。 図15は、図7とは異なる構成の表示部を備えた紙幣収納カセットの斜視図である。 図16は、図15に示す表示部の構成及び、その表示内容の切り替え動作を説明する説明図である。 図17は、紙幣収納カセットと硬貨収納カセットとの係合形態を説明する模式図である。 図18は、紙幣収納カセット及び硬貨収納カセットの、図17とは異なる係合形態を示す模式図である。 図19は、正券収納部と損券収納部とを備えた紙幣収納カセットの斜視図である。 図20は、正券収納部と損券収納部とを備えた紙幣収納カセットの斜視図である。 図21は、貨幣処理装置における損券収納部への損券投入構造を示す模式図である。 図22は、図21とは異なる構成の損券投入構造を示す模式図である。 図23は、紙幣処理部の、別の構成を示す模式図である。
符号の説明
1 貨幣処理装置
2 処理部
311 装着部
4 紙幣収納カセット
41 投入口
42 取出口
46 ステージ
5 硬貨収納カセット
7 紙幣収納カセット
77 取出口
9 表示部
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(貨幣処理装置の全体構成)
図1は、実施形態に係る貨幣処理装置1の斜視図を示す。この貨幣処理装置1は、図5に示すように、例えばスーパーマーケット等の小売店舗に設置された、いわゆる入金機である。貨幣処理装置1は、少なくとも、貨幣の計数を行う計数処理、計数した貨幣を貨幣収納カセット4,5に収納し、店舗側から予め契約している警送会社に引き渡す引渡処理を行う。警送会社は、貨幣を収納している貨幣収納カセット4,5を、空の貨幣収納カセット4,5に交換して回収する回収作業を行う。
貨幣処理装置1は、処理部2と金庫部3とを含んでいる。処理部2と金庫部3とは、処理部2を上側に、金庫部3を下側にして上下に重ねられている。尚、この場合は、処理部2は小売店舗によって管理され、金庫部3は警送会社によって管理される。小売店舗側はこの金庫部3内には手を触れることができない。
処理部2は、図2に示すように、紙幣を処理する紙幣処理部21と、硬貨を処理する硬貨処理部22と、後述する通信回線64を介したデータの送受を行う通信部23と、各種の情報を表示するディスプレイ24と、貨幣処理装置1において前述した各種処理を実行するためにユーザによって操作される操作部25と、後述するジャーナル等を印字するプリンタ26と、貨幣処理装置1における各種処理を実行するユーザ権限を確認するための認証処理を行うカードリーダ27と、これらの制御を行う制御部28と、を含んで構成されている。
紙幣処理部21は、貨幣処理装置1の筐体における右側の部分(その正面に向かって右側の部分)に配設されている。紙幣処理部21は、図1〜3に示すように、紙幣が投入される紙幣投入口210を有する紙幣投入部211と、紙幣投入部211に投入された紙幣の識別を行う紙幣識別部212と、識別後の紙幣を一時的に保留する紙幣一時保留部213と、紙幣識別部212における識別結果に基づいて紙幣の返却を行う紙幣リジェクト部214と、紙幣投入部211、紙幣識別部212、紙幣一時保留部213及び紙幣リジェクト部214を相互に連結する搬送路を含み、その搬送路に沿って紙幣を短手搬送する紙幣搬送部215と、貨幣処理装置1に対して着脱可能に装着される紙幣収納カセット4と、を含んでいる。尚、「短手搬送」とは、長辺及び短辺を含む長方形状の紙幣を、その短辺が搬送方向となるようにして搬送することである。
紙幣投入口210は、複数枚の紙幣が重ねた状態で投入される口である。紙幣投入口210は、貨幣処理装置1の筐体前面における上端位置において、前方の上方に向かって、横長に開口している。尚、図1では、紙幣投入口210が開閉扉によって閉じられた状態を示している。
紙幣投入部211は、図示は省略するが、紙幣投入口210に投入された複数枚の紙幣を、一枚ずつ紙幣識別部212に繰り出す繰り出し機構を有している。
紙幣識別部212は、紙幣投入部211から繰り出された紙幣の一枚一枚について、少なくともその真偽、金種、及び正損を識別する。この実施形態では特に貨幣処理装置1は、複数国の通貨の処理が可能に構成されている。このため、紙幣識別部212は、その通貨の種類も識別する。
紙幣一時保留部213は、紙幣識別部212における識別後の紙幣が搬送され、その紙幣を一時的に保留する部分である。紙幣一時保留部213は、貨幣処理装置1の筐体内において、紙幣収納カセット4の上方位置に配設されている。紙幣一時保留部213はまた、筐体前面における上下方向の略中間位置で、前方に向かって開口する紙幣返却口216を有している。尚、図1においては、この紙幣返却口216が開閉扉によって閉塞された状態を示している。この開閉扉は、制御部28によって、そのロック・アンロックが制御される。
紙幣一時保留部213に保留されている紙幣は、貨幣処理装置1が実行する処理内容に応じて、ユーザに返却される場合と、紙幣収納カセット4に投入される場合と、に切り替わる。つまり、貨幣処理装置1が例えば計数処理を実行するときには、その計数完了後に紙幣一時保留部213の開閉扉がアンロックになって、紙幣一時保留部213に保留されている紙幣がユーザに返却される。一方、貨幣処理装置1が例えば引渡処理を実行するときには、紙幣一時保留部213に保留されている紙幣は、紙幣収納カセット4の上面に開口している投入口41を通じて、紙幣収納カセット4内に投入される。尚、紙幣一時保留部213から紙幣収納カセット4へ紙幣を投入する機構についての詳細は後述する。
紙幣リジェクト部214は、紙幣識別部212において入金不可と識別された紙幣、例えば損券が搬送され、その損券等をユーザに返却する部分である。紙幣リジェクト部214は、筐体前面における紙幣投入口210と紙幣返却口216との間位置で、前方に向かって開口している紙幣リジェクト口218を有している。紙幣リジェクト部214は、紙幣識別部212と紙幣一時保留部213とを連結する搬送路から分岐した搬送路に接続されている。紙幣搬送部215が、紙幣識別部212における識別結果に基づいて紙幣の搬送経路を切り替えることにより、損券は紙幣リジェクト部214に搬送されることになる。
硬貨処理部22は、貨幣処理装置1の筐体における左側の部分(図1における左奥側の部分)に配設されている。硬貨処理部22は、図1,2,4に示すように、貨幣処理装置1の筐体上面に形成されて、上方に向かって開口する硬貨投入口220と、硬貨投入口220に連通して硬貨が投入される貯留ホッパ部221と、貯留ホッパ部221から繰り出された硬貨の識別を行う硬貨識別部222と、識別後の硬貨を一時的に保留する硬貨一時保留部223と、硬貨識別部222における識別結果に基づいて硬貨の返却を行う硬貨リジェクト部224と、貯留ホッパ部221、硬貨識別部222、硬貨一時保留部223及び硬貨リジェクト部224を相互に連結する搬送路を含み、その搬送路に沿って硬貨を搬送する硬貨搬送部225と、貨幣処理装置1に対して着脱可能に装着される硬貨収納カセット5と、を含んでいる。尚、図1では硬貨投入口220が開閉扉によって閉じられた状態を示している。
貯留ホッパ部221は、硬貨投入口220を通じて投入された硬貨を貯留すると共に、その硬貨を一枚ずつ硬貨識別部222に向かって繰り出す部分である。
硬貨識別部222は、貯留ホッパ部221から繰り出された硬貨の一枚一枚について、少なくともその真偽、金種、及び正損、並びに通貨の種類を識別する。
硬貨一時保留部223は、硬貨識別部222における識別後の硬貨が搬送され、その硬貨を一時的に保留する部分である。硬貨一時保留部223は、硬貨識別部222と硬貨リジェクト部224とを連結する搬送路から分岐したシュート226に接続されている。硬貨識別部222における識別結果に基づいてシュート226の分岐接続位置に設けたゲート227が開閉することによって、入金可能な硬貨が硬貨一時保留部223に搬送される。硬貨一時保留部223は、筐体内において前方又は後方に移動可能に構成されている。硬貨一時保留部223が前方に移動したときには、返却ボックス228の上方位置に位置する一方、後方に移動したときには、硬貨収納カセット5の上方位置に位置する。返却ボックス228は、筐体前面における上下方向の略中間位置で、手前側に引き出し可能に取り付けられている。
硬貨一時保留部223に保留されている硬貨は、貨幣処理装置1の処理内容に応じて、ユーザに返却される場合と、硬貨収納カセット5に投入される場合と、に切り替わる。つまり、貨幣処理装置1が例えば計数処理を実行するときには、その計数完了後に、硬貨一時保留部223が前方に移動して、そこに保留されている硬貨が返却ボックス228に投入される。一方、貨幣処理装置1が例えば引渡処理を実行するときには、その計数完了後に、硬貨一時保留部223が後方に移動して、そこに保留されている硬貨が硬貨収納カセット5の上面に開口している投入口51を通じて、硬貨収納カセット5内に投入される。
硬貨リジェクト部224は、硬貨識別部222において、例えば他国通貨等の、受付対象でない硬貨であるといった理由により、入金不可と識別された硬貨が搬送され、その硬貨をユーザに返却する部分である。硬貨リジェクト部224は、筐体前面における前記返却ボックス228の上方位置で、前方に向かって開口している硬貨リジェクト口229を有している。
ディスプレイ24は、例えば液晶パネルからなる。ディスプレイ24は、筐体の上面において紙幣投入口210の後側位置に、上向きに配設されている。
操作部25は、少なくとも複数の、押しボタン式の操作キーを含む。操作部25は、筐体の上面においてディスプレイ24の側方位置に配設されている。
プリンタ26は、例えばサーマル式プリンタである。プリンタ26は、筐体の上面において、硬貨投入口220の後側位置に配設されている。
カードリーダ27は、上下方向に延びるスリットを有する磁気カードリーダである。カードリーダ27は、筐体の前面において、紙幣投入口210及び紙幣リジェクト口218の右側位置に配設されている。
金庫部3は、図1に示すように、筐体に対し、手前に引き出し可能に設けられた引出ユニット31を備えている。引出ユニット31は通常時はロックされた状態にある一方、後述する回収処理を行うときにアンロックされて、引き出すことが可能にされる。引出ユニット31内の所定の位置には、それぞれ上向きに開口する2つの装着部311,312が設けられている(図3,4参照)。紙幣収納カセット4及び硬貨収納カセット5(以下、これらを総称して、単にカセットとも言う)はそれぞれ、装着部311,312に対して下向きに挿入されることによって装着されると共に、装着部311,312から上向きに引き出されることで取り外される。すなわち、各カセット4,5は、引出ユニット31に対して着脱自在に装着される。
硬貨収納カセット5は、その詳細な図示は省略するが、略矩形の箱状であって、その内部に硬貨を収納する収納空間を備えている。硬貨収納カセット5にはまた、硬貨一時保留部223から硬貨が投入される投入口51と、引出ユニット31から取り外された後に、その内部に収納している硬貨を取り出すための取出口と、が形成されている。また詳しくは後述するが、硬貨収納カセット5の側面には、図17に示すように、紙幣収納カセット4と係合するための係合凹部52が、上下方向に延びて形成されている。
紙幣収納カセット4は、図7,8に示すように、略矩形の箱状であって、その内部に紙幣を収納する収納空間を有している。尚、図8では理解容易のために、取っ手の図示を省略している。紙幣収納カセット4の上面には、紙幣が通過可能な程度の大きさの、矩形状の投入口41が形成されていると共に、その前面(図7に示す右手前方向を向いた面)には、開閉扉43によって開閉自在とされた取出口42が形成されている。尚、以下において、前記前面とは反対側の面を後面、図7に示す左手前方向を向いた面を左側面、それとは反対側の面を右側面とそれぞれ呼ぶ。
投入口41は、紙幣収納カセット4を引出ユニット31に装着した状態において、紙幣一時保留部213からの紙幣が通過する口である。投入口41にはシャッタ44が取り付けられており、投入口41は、このシャッタ44によって開閉自在とされる。シャッタ44は、紙幣収納カセット4が引出ユニット31に装着されているときには、貨幣処理装置1の制御部28によって駆動制御されて、投入口41を開けた状態にする。一方、紙幣収納カセット4を引出ユニット31から取り外すときには、制御部28によって駆動制御されて、投入口41を閉めてロックした状態にする。また、シャッタ44は、紙幣収納カセット4を引出ユニット31から取り外した後も、投入口41を閉めてロックした状態を維持する。尚、図7においては、シャッタ44によって投入口41を閉めた状態を、図8においては、シャッタ44を開けて投入口41を開放した状態をそれぞれ示している。
取出口42は、紙幣収納カセット4を引出ユニット31から取り外した状態において、紙幣収納カセット4内の紙幣を取り出すための口である。紙幣収納カセット4の前面にヒンジ結合された開閉扉43には、図示省略の鍵が挿入される鍵穴を有する錠47が取り付けられている。この錠47によって開閉扉43はロックされる。尚、錠47は、後述する現金センタ66においてロック、アンロックされる。
紙幣収納カセット4の後面には、係合凸部45が上下方向に延びて形成されている。この係合凸部45は、詳しくは後述するが、図17に示すように硬貨収納カセット5の係合凹部52と係合する部分であり、係合凹部52に係合可能な形状を有している。
次に、図3,4を参照しながら、貨幣処理装置1における引渡処理時の動作について説明する。引渡処理を行う場合は、先ず操作部25において「引渡」の操作キーを操作すると共に、カードリーダ27に磁気カードを通すことによって認証を行う。
紙幣投入口210には紙幣を投入すると共に、硬貨投入口220には硬貨を投入した状態で、操作部25の「スタート」の操作キーを操作する。これによって、紙幣処理部21においては、紙幣投入部211の繰り出し機構によって一枚ずつ紙幣が繰り出され、紙幣識別部212において識別が行われると共に、計数が行われる。また、硬貨処理部22においては、貯留ホッパ部221から一枚ずつ硬貨が繰り出されて、硬貨識別部222において識別が行われると共に、計数が行われる。
紙幣識別部212を通過した紙幣は、その紙幣識別部212における識別結果に従って、入金可能な紙幣は紙幣一時保留部213に搬送される一方、入金不可の紙幣は紙幣リジェクト部214に搬送される。同様に、硬貨識別部222を通過した硬貨は、その硬貨識別部222における識別結果に従い、入金可能な硬貨一時保留部223に搬送される一方、入金不可の硬貨は硬貨リジェクト部224に搬送される。
紙幣投入口210及び硬貨投入口220に投入された全ての紙幣及び硬貨の計数が完了したときには、ディスプレイ24にその計数結果が表示される。その計数結果を確認した上で、操作部25において「確定」の操作キーを操作したときには、紙幣一時保留部213の紙幣が紙幣収納カセット4に収納されると共に、硬貨一時保留部223の硬貨が硬貨収納カセット5に収納されることになる。つまり、引渡処理が完了することになる。引渡処理に関係するデータ、例えば計数結果等は、貨幣処理装置1において記憶される。計数データは、後述するように、通信部23によってPOSサーバ63に送信されたり、カセット4,5の回収の際に、プリンタ26によってジャーナル261として印字されたりする。
一方、ディスプレイ24に表示された計数結果が正しくない等の理由によって、操作部25において「取消」の操作キーを操作したときには、紙幣一時保留部213の開閉扉がアンロックされて紙幣がユーザに返却されると共に、硬貨一時保留部223の硬貨が返却ボックス228に投入されて硬貨がユーザに返却される。この場合は、返却された紙幣及び硬貨を紙幣及び硬貨投入口210,220に投入して、引渡処理を再度行うようにしてもよい。
また、引渡処理において、紙幣及び硬貨リジェクト口218,229に紙幣や硬貨が返却されたときには、その紙幣等を紙幣又は硬貨投入口210,220にもう一度投入して「スタート」の操作キーを操作することにより、前記の処理を再度行うことが可能である。尚、最終的に返却された紙幣等は、損券として別途管理される。この損券は、後述するように、通常はカセット4,5の回収に来た警送会社の担当者に手渡しされることになる。
以上のようにして、貨幣処理装置1の処理部2によって、紙幣は紙幣収納カセット4に、硬貨は硬貨収納カセット5に、それぞれ収納されることになる。
(売上金入金システムの構成)
図5は、貨幣処理装置1を含む、売上金入金システム6の全体構成を示している。前述したように、貨幣処理装置1は小売店舗内に設置されている。この小売店舗内又は小売店舗を含むチェーンストア内には、POS(Point Of Sales)システム61が構築されている。POSシステム61は、第1〜第nPOSレジスタ621〜62n、POSサーバ63、これら各POSレジスタ62とPOSサーバ63とを互いに接続する、有線又は無線による通信回線64を含む。貨幣処理装置1は通信回線64に接続されている。通信回線64にはまた、POSサーバ63とは別の端末の一例として、集計端末65が接続されている。
前述したように貨幣処理装置1は、複数種類の通貨の処理が可能に構成されており、この貨幣処理装置1を含むPOSシステム61もまた、自国通貨と、他国通貨とを含む、複数種類の通貨を取り扱い可能に構成されている。ここでは具体例として、POSシステム61は、自国通貨としての米ドルと他国通貨としてのカナダドルとの双方を取り扱い可能にされているとする。つまり、各POSレジスタ62においては、米ドル及びカナダドルのいずれでも支払いが可能に構成されている。尚、釣銭は米ドルのみとする。
各POSレジスタ62は、それの売上データを通信回線64を介してPOSサーバ63に送信する機能を有している。ここで、各POSレジスタ62が送信する売上データは、米ドル単位に換算した売上データであってもよいし、米ドル単位の売上と、カナダドル単位の売上とに区分したデータであってもよい。
各POSレジスタ62から回収された売上金は、前述したように、貨幣処理装置1において引渡処理される。このときの引渡処理は、POSレジスタ62毎に行われる。貨幣処理装置1は、POSレジスタ62毎の計数データを通信回線64を介してPOSサーバ63に送信する。このときに、貨幣処理装置1は、米ドル単位の計数データと、カナダドル単位の計数データとに区分したデータを送信する。
POSサーバ63は、米ドルとカナダドルとの間の換算レート設定機能を有している。そうして、貨幣処理装置1からの計数データを、米ドル単位に換算する。また、必要であればPOSレジスタ62からの売上データも、米ドル単位に換算する。そうして、POSサーバ63は、各POSレジスタ62毎に、売上データと、計数データとの照合を行って、米ドル単位でその違算額を算出する。照合結果は、例えば図6に示すような形態で、POSサーバ63のディスプレイに表示してもよい。また、図示は省略するが、POSレジスタ62の照合結果を一覧表示すると共に、違算額が予め設定した許容範囲を超えているレジスタと、許容範囲内のレジスタと、を区別して表示するようにしてもよい。こうすることで、複数種類の通貨を取り扱い可能にしたPOSシステム61において、特定の通貨単位で違算額を算出することができるため、違算額を明確に把握することができる。
尚、ここでは、POSサーバ63が売上データと計数データとの照合を行っている。しなしながらこれに限定されない。例えば貨幣処理装置1が換算レート設定機能を有するとしてもよい。この場合、POSサーバ63から貨幣処理装置1に各POSレジスタ62の売上データを提供して、この貨幣処理装置1において、売上データと計数データとの照合を行ってもよい。また、通信回線64に接続されているその他の端末、例えば集計端末65が、売上データと計数データとの照合を行うようにしてもよい。
貨幣処理装置1において引渡処理が行われて、それぞれ紙幣及び硬貨を収納している紙幣収納カセット4及び硬貨収納カセット5は、図5に示すように、警送会社によって回収され、その警送会社の現金センタ66に搬送される。
ここで、貨幣処理装置1における回収処理について簡単に説明する。先ず、操作部25において「回収」の操作キーを操作すると共に、磁気カードによる認証処理を実行する。このことによって、プリンタ26において、紙幣及び硬貨収納カセット4,5内の在高に関するジャーナル261が印字される。また、金庫部3の引出ユニット31のロックが解除されて、当該ユニット31が引き出し可能になる。これによって、引出ユニット31に装着されている紙幣収納カセット4及び硬貨収納カセット5を取り外すことができる。引出ユニット31の装着部311,312には、空の紙幣収納カセット4及び硬貨収納カセット5がそれぞれ装着される。引出ユニット31を筐体に入れてロックすることによって、貨幣処理装置1における回収処理が完了する。ここで、前述したように損券があるときには、その損券が、警送会社の担当者に手渡しされる。
警送会社の担当者は、カセット4,5と、印字されたジャーナル261と、存在するときには損券と、を現金センタ66に搬送する。
現金センタ66においては、紙幣収納カセット4及び硬貨収納カセット5のそれぞれから紙幣及び硬貨が取り出され、再度、計数処理が行われる。そうして、その計数結果と、ジャーナル261の計数データとの照合が行われる。その照合結果に従って、警送会社から、契約者の銀行口座に入金されることになる。尚、その入金と共に、前記POSシステム61に対して入金金額の情報を送信するようにしてもよい。
現金センタ66において紙幣及び硬貨が取り出された後の、空の紙幣収納カセット4及び硬貨収納カセット5は、次回のカセット回収作業の際に搬送されて貨幣処理装置1に装着されることになる。尚、各小売店舗等から回収されたカセット4,5を、現金センタ66ではなく、銀行に搬送するようにしてもよい。
(未精算/精算済みを区別するために好適なカセットの構成)
ここで、現金センタ66には、各所から回収された多数のカセット4,5が集められる。このため、現金センタ66における精算処理の作業効率の観点からは、カセット4,5が、貨幣を取り出した後の精算済みのカセットであるか、貨幣を取り出す前の未精算のカセットであるか、を見分けることができることが望ましい。
そこで、この紙幣収納カセット4には、図7〜11に示すように、表示部9が取り付けられている。この表示部9は、紙幣収納カセット4から紙幣が取り出される前の未精算状態であることと、紙幣が取り出された後の精算済み状態であることと、を区別して表示する。表示部9は、現金センタ66における担当者が、紙幣収納カセット4から貨幣を取り出す作業を行うことに伴い自動的に、その表示内容を未精算状態から精算済み状態に切り替える。また、空の紙幣収納カセット4を貨幣処理装置1に装着した後、その貨幣処理装置1から紙幣収納カセット4を回収するまでの間において自動的に、その表示内容を精算済み状態から未精算状態に切り替える。未精算状態から精算済み状態への表示内容の切り替えは、紙幣収納カセット4内に設けられているステージ46の動きに起因する。一方、精算済み状態から未精算状態への表示内容の切り替えは、紙幣収納カセット4を貨幣処理装置1に装着するときの、紙幣収納カセット4の動きに起因する。
ステージ46は、紙幣収納カセット4内で紙幣を重ねた状態で保持する機能を有する。ステージ46は、紙幣収納カセット4内で上下方向に往復移動可能に設けられている。ステージ46は、基台461と、紙幣が載置される載置台462と、基台461と載置台462との間に介設されたパンタグラフ機構463と、を含んで構成されている。ステージ46の基本的な構成は公知である。このため、ここではステージ46の構成について簡単に説明する。
基台461には、その左右の両側部に外方に突出するガイド部464が取り付けられている。このガイド部464は、紙幣収納カセット4内の左右の側壁に、上下方向に延びて取り付けられたガイドレール465に係合する。これにより基台461は、ガイドレール465に案内されて上下方向に往復移動する。基台461にはまた、図示は省略するが、紙幣収納カセット4内で上下方向に延びて配設されたプーリ・ベルト機構におけるベルトが固定されている。プーリ・ベルト機構は、紙幣収納カセット4を貨幣処理装置1に装着している状態では、その貨幣処理装置1の制御部28によって駆動制御される。この駆動制御によってステージ46は、図8に実線で示す、投入口41よりも上方の位置(最上位置)から、同図に一点鎖線で示す、紙幣収納カセット4内の底面の位置(最下位置)まで、紙幣収納カセット4内で上下方向に往復移動する。
また、紙幣収納カセット4を貨幣処理装置1から取り外している状態では、プーリ・ベルト機構にロックがかかることにより、ステージ46は上下方向への移動ができなくなる。プーリ・ベルト機構のロックは、紙幣収納カセット4内に設けているロック解除レバー(図示省略)の解除操作を行うことによって解除され、その解除によって、ステージ46を手動で上下方向に移動させることができるようにされている。プーリ・ベルト機構のロック解除は、後述するように、紙幣収納カセット4内から紙幣を取り出すときに、ステージ46を最下位置まで降ろすために行われる。
この紙幣収納カセット4において、ステージ46に関し特徴的な点の一つとして、基台461にその左側部から外側方に向かって延びる係合横棒466が固定されている点を挙げることができる。この係合横棒466は、後述するように、表示切替部92と係合するためのものである。
載置台462は、その上面が紙幣が載置される載置面とされた、紙幣の大きさと同じか、それよりも大きい略矩形板状の部材である。
パンタグラフ機構463は、前面視でX字状となるように、2つの部材を互いに枢支結合することによって構成されている。このパンタグラフ機構463によって、載置台462は、基台461に対し上下方向に相対移動可能に支持されている。パンタグラフ機構463はまた、図示は省略するばね部材を有している。そのばね部材のばね力によって載置台462は、基台461から離れる側、すなわち上側に付勢されている。
紙幣収納カセット4にはまた、図8,10にのみ示すように、載置台462の上に載置される紙幣束の上面を押さえる、計4つの爪部467,468を備えている。4つの爪部467,468の内の2つは、略矩形の載置台462に対して左右の側部それぞれに配設されている一方、残りの2つは、載置台462に対して後側の側部に、左右方向に所定の間隔を開けて配設されている。尚、各爪部467,468は、カセット4が貨幣処理装置1に装着され、紙幣の収納を行うときには、投入口41よりも上方に位置付けられる一方、収納終了時やカセット4が貨幣処理装置1から取り外されるとき等、シャッタ44が閉じられるときには、カセット4内に収納される。
各爪部467,468は、載置台462の外側位置から、その内方に向かって延びており、各爪部467,468の先端部は、平面視で載置台462と重なっている(図10参照)。各爪部467,468は、その基端部が、載置台462の後側を取り囲むように配置された支持部材469に対して、回動可能に取付支持されていると共に、図示は省略する付勢手段の付勢力によって水平方向に延びる姿勢となるように付勢されている。これにより各爪部467,468は、図8に矢印で示すように、水平方向に延びる姿勢と、その姿勢から下向きに回転して略鉛直方向に延びる姿勢と、に切り換え可能にされている。
そうして、紙幣収納カセット4が貨幣処理装置1に装着されているときには、紙幣一時保留部213から載置台462に向かって下向きに紙幣の束が押し出されることにより、その紙幣束が載置台462の上に載置されるようになる。このときに、各爪部467,468は、下向きに移動する紙幣束によって下向きに押されて回転することになり、紙幣束の通過を許容する。紙幣束が爪部467,468を通過した後は、各爪部467,468は、前記の付勢力によって水平方向に延びる姿勢に戻る。一方、前述したように、載置台462は、パンタグラフ機構463によって上向きに付勢されているため、載置台462の上に載置される紙幣束は、その載置台462と各爪部467,468とによって上下方向に挟持されることになる。
また載置台462の上に載置されている紙幣束の量に応じて、制御部28により、プーリ・ベルト機構が適宜駆動されて基台461が下降する。そのようにして載置台462の上には、紙幣が順次積み重ねられることになる。
表示部9は、紙幣収納カセット4の左側面の下部に形成された表示窓91と、紙幣収納カセット4内において、この表示窓91に対向して配設された表示切替部92と、を含んで構成されている。
表示窓91は、紙幣収納カセット4の左側壁に嵌め込まれた透明性材料によって構成されていて、上下方向に延びる帯状に形成されている。尚、表示窓91は、左側壁をその厚み方向に貫通して形成された貫通孔によって構成してもよい。
表示切替部92は、上下方向に延びる軸を中心として時計回り及び反時計回りの双方に、ここでは90°だけ回転可能に、紙幣収納カセット4に取り付けられている。表示部9は、この表示切替部92が回転することによって、表示窓91を通じて外部に示す表示内容を切り替える。
表示切替部92は、図11等に示すように、その上端及び下端のそれぞれにおいて、上方及び下方に突出すると共に、紙幣収納カセット4に設けられた軸受けに回転可能に支持される回転軸921,922と、2つの回転軸921,922の間で上下方向に延びて配設された表示面923と、上下方向に対して傾斜すると共にステージ46の係合横棒466が係合する傾斜係合部924と、後述する貨幣処理装置1の装着部311に立設された係合板313が係合する係合片925と、を有している。係合板313は、詳しくは後述するが、紙幣収納カセット4を引出ユニット31の装着部311に装着するときに、そのカセット4の底壁に形成している貫通孔48を通じてカセット内に突出する。
表示切替部92にはまた、図9,10に示すように、引張りばね926の一端が取り付けられており、この引張りばね926の他端は、紙幣収納カセット4の所定位置に取付固定されている。
図13の左図、及び図14の右図に示す状態、換言すれば、表示面923が表示窓91に対向していない状態では、引張りばね926は、回転軸921,922を挟んだ一方の側(紙幣収納カセット4の左側壁に近い側)に位置している。このため、表示切替部92は反時計回り方向に付勢される。つまり、表示面923が表示窓91に対向していない状態が維持される。
一方、表示切替部92が90°だけ時計回り方向に回転して、図13の右図、及び図14の左図に示す状態、換言すれば、表示面923が表示窓91に対向している状態では、引張りばね926は、回転軸921,922を挟んだ他方の側(紙幣収納カセット4の左側壁から遠い側)に位置するようになる。このため、表示切替部92は時計回り方向に付勢される。つまり、表示面923が表示窓91に対向している状態が維持される。
以上説明したように、表示部9は、表示切替部92が回転することによって、表示面923が表示窓91に対向していて紙幣収納カセット4の外側から表示窓91を通じて表示面923が視認できる状態と、表示面923が表示窓91に対向しておらず紙幣収納カセット4の外側から表示窓91を通じて表示面923が視認できない状態と、に切り替わる。すなわち、後述するように、表示面923が視認できない状態は、未精算状態の表示内容に対応し、表示面923が視認できる状態は、精算済み状態の表示内容に対応する。
次に、図12〜14を参照しながら、紙幣収納カセット4の回収処理及び精算処理の流れと、その流れに対応した表示部9の表示内容の切り替わり動作について、図12〜14を参照しながら説明する。
先ず、カセット4を回収するために、貨幣処理装置1の引出ユニット31を引き出したときには、紙幣収納カセット4のシャッタ44が閉まって投入口41が閉塞される。これによって、紙幣収納カセット4内に紙幣束10が収納された状態とされる。また、表示切替部92は、その表示面923が表示窓91と対向しない向きにされており、それによって表示部9は未精算状態を示している。表示部9が未精算状態を示したまま、紙幣収納カセット4は現金センタ66に搬送される(図12のP1参照)。
現金センタ66において精算処理を行うときには、前述したように、所定の鍵によって開閉扉43の錠47のロックが解除されてその開閉扉43が開けられると共に、図示省略のロック解除レバーの解除操作によってステージ46が最下位置まで降ろされる。このときステージ46は、図示省略のロック機構によってその最下位置で固定される。そうして、ステージ46に保持されていた紙幣束が、紙幣収納カセット4内から取り出される。
ここで、ステージ46を最下位置まで降ろすときには、図13の左図に示すように、ステージ46の基台461に取り付けられた係合横棒466が、表示切替部92の傾斜係合部924と当接する。係合横棒466がさらに下降するに伴い、傾斜係合部924は横方向に押され、表示切替部92は回転軸921,922を中心として時計回り方向に回動する(同図の矢印参照)。そうして、図13の右図に示すように、表示切替部92はその表示面923が表示窓91と対向するような向きになる。つまり、表示窓91を通じて表示面923が外部から視認可能な状態になるため、表示部9は、精算済み状態を示すことになる(図12のP2参照)。
その後、開閉扉43が閉められて、紙幣収納カセット4の内部が見えない状態となった後も、表示部9は精算済み状態の表示を保ち続ける。従って、当該紙幣収納カセット4が精算済みであることが、外から見て分かる。すなわち、図12のP1に示す未精算の紙幣収納カセット4と、図12のP2,P3に示す精算済みの紙幣収納カセット4とは、表示部9の表示内容が異なるため、現金センタ66において、両者を取り違えることが防止される。その結果、精算処理の作業の効率化を図ることができる。
現金センタ66での精算処理が終了した、空の紙幣収納カセット4は、前述したように、小売店舗に搬送されて貨幣処理装置1に再び装着される。この搬送時や装着時にも、図12のP3に示すように、表示部9は精算済みの表示内容を維持している。このため、例えば引出ユニット31を引き出して、紙幣収納カセット4をそこの装着部311に装着する直前に、当該紙幣収納カセット4が空であることを外から見て再度確認することが可能である。それにより、紙幣を収納している紙幣収納カセット4を貨幣処理装置1に誤って装着してしまうことが防止される。
紙幣収納カセット4を貨幣処理装置1に装着すべく、紙幣収納カセット4を引出ユニット31の装着部311に対して上から下向きに挿入したときには、図14の左図に示すように、装着部311に設けた係合板313が、紙幣収納カセット4に対して相対的に上方に移動する。このことで、係合板313は、紙幣収納カセット4の底壁に形成した貫通孔48を通ってその内部に突出する。この係合板313は、上下方向に対して傾斜した傾斜面を有しており、この傾斜面が表示切替部92の係合片925と係合する。このことにより、表示切替部92は、回転軸921,922を中心として反時計回りに回動する(同図の矢印参照)。それによって、図14の右図に示すように、表示切替部92はその表示面923が表示窓91と対向しない向きになる。つまり、表示窓91を通じて表示面923が見えない状態になるため、表示部9は未精算状態を示すことになる。尚、紙幣収納カセット4を貨幣処理装置1に装着した後は、貨幣処理装置1の制御部28によって、紙幣収納カセット4のシャッタ44が開けられると共に、ステージ46が最上位置に移動されることによって、紙幣の投入が可能な状態にされる(図12のP4参照)。
そうして前述したように、紙幣収納カセット4が貨幣処理装置1から取り外され、その後、現金センタ66においてステージ46が最下位置に降ろされるまで、表示部9は未精算状態の表示を維持し続けることになる。
このように、紙幣収納カセット4は、未精算状態であるか、精算済み状態であるか、を区別して視認することが可能である。このため、現金センタ66において、未精算状態の紙幣収納カセット4と、精算済み状態の紙幣収納カセット4と、を取り違えることが防止される。その結果、例えば空の紙幣収納カセット4の開閉扉43を開けて中から紙幣を取り出そうとする無駄な作業を回避することができる。従って、精算処理の作業の効率化が図られる。
また、紙幣を収納したままの紙幣収納カセット4を、小売店舗等に運んでしまい、そこの貨幣処理装置1に装着してしまうことが未然に防止される。従って、そうした誤りに起因する現金事故の発生を防止することができる。
また、紙幣収納カセット4は、ステージ46を最下位置に下降させるという、精算処理の際に、特に紙幣収納カセット4から紙幣束を取り出す作業の際に担当者が行う動作に連動して、表示部9の表示内容が未精算状態から精算済み状態へと切り替わる。また、紙幣収納カセット4を貨幣処理装置1に装着する動作に連動して、表示部9の表示内容が精算済み状態から未精算状態へと切り替わる。すなわち、表示部9の表示内容は自動的に切り替わる。このため、表示部9の表示内容と、紙幣収納カセット4の状態とが、正確に一致する。従って、前述した精算処理の作業効率の向上と、現金事故の発生の防止とが、より確実に達成される。
尚、前記係合板313を装着部311に対して上下方向に進退自在に取り付け、貨幣処理装置1の制御部28によって、その係合板313の進退を制御するようにしてもよい。こうすることによって、所望のタイミングで係合板313を上方に突出させて、表示切替部92の係合片925と係合させることが可能になる。つまり、精算済み状態を示している表示部9の表示内容を、任意のタイミングで、未精算状態を示すように切り替えることができる。
表示部9の構成は図7,9等に示す構成には限定されない。例えば表示部9の別の構成として、図15,16に示す構成を例示することができる。
この構成においては、紙幣収納カセット4に形成される表示窓93が、複数のスリット931を上下方向に所定の等間隔を開けて配置することにより構成される。尚、各スリット931の高さと、スリット931同士の間隔とは略同じに設定されている。
これに対し表示切替部94は、上下方向にスライド移動するように、紙幣収納カセット4に取り付けられている。具体的に、表示切替部94は帯板状であって、その上端部と下端部との双方に、上下方向に延びる案内溝941,942が形成されている。各案内溝941,942には、紙幣収納カセット4の側壁に取り付けられた案内ピン49が内挿される。この構成によって、表示切替部94は、相対的に上方である上位置と、相対的に下方である下位置と、の間を上下方向に移動可能にされている。
表示切替部94における上下方向の中央部分は、表示窓91に対向して配置される表示面943とされている。表示面943には、ここでは、有色部分944と無色部分945とが上下方向に交互に並んだ縞模様が形成されている。
表示切替部94における右側部分には、表示切替部94を上位置(図16における左図参照)と下位置(図16における右図参照)とのそれぞれに位置付けるための保持機構95が設けられている。保持機構95は、紙幣収納カセット4に設けられかつ、2つの凹部951,952が上下に並んで形成された保持凹部953と、表示切替部94に取り付けられた板ばね954と、によって構成されている。板ばね954は、保持凹部953の2つの凹部951,952それぞれと係合する凸部を有しており、その凸部は、図16に実線及び仮想線で示すように、板ばね954の弾性力によって、凹部951,952に対し係合した状態と、そこから外れた状態と、に切り換わる。凸部が、保持凹部953の2つの凹部951,952それぞれと係合することによって、表示切替部94は、上位置と下位置とのそれぞれに位置付けられることになる。尚、保持機構95における保持凹部953と板ばね954の凸部とは、前記とは逆に、保持凹部、つまり2つの凹部を表示切替部94の側部に形成する一方、その凹部に係合する凸部を有する板ばねを紙幣収納カセット4に取り付けてもよい。
表示切替部94における左側部分には、外方に突出する突出片946が一体に形成されている。この突出片946は、前記ステージ46に取り付けた係合横棒466が、ステージ46を最下位置に下降する際に係合する部分である。つまり、下降する係合横棒466が突出片946に係合することによって、上位置に位置付けられている表示切替部94が、板ばね954の弾性変形を伴いながら下位置に移動する。また、前記突出片946は、前記貨幣処理装置1に設けた係合板313が係合する部分でもある。つまり、紙幣収納カセット4に対して相対的に上昇する係合板313が突出片946に係合することによって、下位置に位置付けられている表示切替部94が、板ばね954の弾性変形を伴いながら上位置に移動する。
表示切替部94が上位置に位置付けられているときには、表示面943の縞模様における各有色部分944が、表示窓93の各スリット931と対向する。従って、有色部分944がスリット931を通じて、外から視認できる状態となる。これにより、表示部9は未精算状態を示すことになる(図16の左図参照)。一方、表示切替部94が下位置に位置付けられているときには、表示面943の縞模様における各無色部分945が表示窓93の各スリット931と対向する。従って、無色部分945がスリット931を通じて、外から視認できる状態となる。これにより、表示部9は精算済み状態を示すことになる(図16の右図参照)。
この構成の表示部9も、ステージ46を最下位置に下降させる動作に連動して表示部9の表示内容が、未精算状態から精算済み状態へと自動的に切り替わると共に、紙幣収納カセット4を貨幣処理装置1に装着する動作に連動して、表示部9の表示内容が、精算済み状態から未精算状態へと自動的に切り替わる。従って、未精算状態の紙幣収納カセット4と、精算済み状態の紙幣収納カセット4と、を取り違えることが、確実に防止される。
尚、表示部9の表示内容を未精算状態から精算状態へと切り替える機構は、ステージ46の移動に連動した機構とすることに限定されない。紙幣収納カセット4から紙幣を取り出す作業において、担当者が動かす箇所に連動した機構であればよい。
例えば紙幣収納カセット4の開閉扉43の錠47を開ける動作、開閉扉43を開く動作、ロック解除レバーの解除操作、開閉扉43を閉める動作、及び、開閉扉43の錠47を閉める動作のいずれか、又はそれらの組み合わせに連動して、未精算状態から精算済み状態へと表示内容を切り替えるようにしてもよい。
また、表示部9の表示内容を精算済み状態から未精算状態へと切り替える機構も、紙幣収納カセット4を貨幣処理装置1に装着する動きに連動した機構とすることに限定されない。例えばカセット4を貨幣処理装置1に装着後にステージ46が上昇する動作や、カセット4内に紙幣が投入される動作に連動して、精算済み状態から未精算状態へと表示内容を切り替えるようにしてもよい。
また、表示部9の表示内容の切り替えを、各種の機構と機械的に連動させるのではなく、例えば電気的に連動させたり、磁気的に連動させたりしてもよい。電気的な連動や磁気的な連動をさせる場合は、表示部9の表示内容の切り替えタイミング、特に紙幣収納カセット4を装着部311に装着している間における切り替えタイミングを、任意に設定することが容易になる。
さらに、表示部9の表示内容の切り替えは、各種の機構と必ずしも連動させなくてもよい。例えば表示部9の表示内容を手動で切り替えるようにしてもよい。但し、表示内容の切り替えを手動で行う構成は、その切り替えを忘れてしまったり、間違えてしまったりすることが起こり得る。このため、表示内容が自動的に切り替わる構成の方が、情報の正確性の観点から、より好ましい。
さらに、硬貨収納カセット5に、未精算状態であるか精算済み状態であるかを区別して、外部から視認可能に表示する表示部を取り付けてもよい。
加えて、表示部9は、精算済み状態と、未精算状態とを区別して表示することのみに限るものではない。表示部が表示する情報には、種々の情報が含まれ得る。例えばカセット内に紙幣を収納しているか否かを表示してもよい。また、カセット内に収納している紙幣の種類(金種や通貨)を表示してもよい。例えば貨幣処理装置1が、紙幣を、金種毎に異なるカセットに収納する構成であるときには、カセット内に収納する金種に応じて、各カセットの表示部の表示内容を切り替えればよい。その場合に、カセットを貨幣処理装置1に装着するときの、その装着位置に応じて、表示部の表示内容を自動的に切り替えるようにしてもよい。
表示部の表示態様の切り替え例としては、表示/非表示の切り替えや、色の変更の以外にも、表示する文字や記号を変更したり、ランプの点灯、点滅、消灯を切り替えたり、ランプの点滅間隔を変更したりすることが挙げられる。
また、表示部9は2つの表示態様を切り替えることのみに限るものではない。表示部9が表示する情報の種類に応じて、3以上の表示態様を切り替えるようにしてもよい。
(搬送中等における取り扱いが容易になる上で好適なカセットの構成)
前述したように、紙幣収納カセット4及び硬貨収納カセット5にはそれぞれ、係合凸部45及び係合凹部52が形成されている。このことによって、カセット4,5を搬送車によって搬送している最中の車内や、現金センタ66において、図17に示すように、紙幣収納カセット4と硬貨収納カセット5とを互いに係合させた状態で並べることが可能になる。これは、例えば荷崩れを防止する上で有効である。
尚、紙幣収納カセット4と硬貨収納カセット5とを一対にして係合凸部及び係合凹部を形成するのではなく、例えば図示は省略するが、貨幣処理装置1が複数の紙幣収納カセット4を備える構成であれば、その複数の紙幣収納カセット4同士を互いに係合させるようにしてもよい。同様に、貨幣処理装置1が複数の硬貨収納カセット5を備える構成であれば、その複数の硬貨収納カセット5同士を互いに係合させるようにしてもよい。
また、警送会社による回収作業は、搬送車によって複数の小売店舗を巡回し、各々の小売店舗から紙幣収納カセット4及び硬貨収納カセット5を回収する。このため、搬送車内には、複数の紙幣収納カセット4と複数の硬貨収納カセット5とがそれぞれ存在することになる。そこで、例えば図18に示すように、紙幣収納カセット4同士を互いに係合させると共に、硬貨収納カセット5同士を互いに係合させるようにしてもよい。この場合に、紙幣収納カセット4に形成する係合凹部及び係合凸部の形状と、硬貨収納カセット5に形成する係合凹部及び係合凸部の形状と、は互いに異ならせてもよい。
尚、カセット4,5を水平方向に並べて互いに係合させるのではなく、上下方向に重ねて互いに係合させるようにしてもよい。つまり、カセット4,5において係合凸部及び係合凹部を設ける位置は、特に限定されるものではない。
(損券処理の効率化の上で有効なカセットの構成)
前述したように、貨幣処理装置1においてリジェクトされた損券は別途管理されて、カセット4,5の回収時に警送会社の担当者に手渡しされる。このため、カセット4,5の回収の際には、小売店舗側の人が立ち会う必要がある。これは煩雑である上に、業務効率が悪い。
そこで、カセット内に、正券を収納する正券収納部と、損券を収納する損券収納部とを分けて設けることによって、一つのカセットを回収することだけで正券と損券との双方を同時に回収することを可能にしてもよい。こうすることで、カセットの回収の際には、小売店舗側の人が立ち会う必要がなくなる。
図19〜21に示す紙幣収納カセット7は、その内部に仕切板71が取り付けられており、この仕切板71によって、カセット内部は上下に2つの空間に分割されている。この紙幣収納カセット7では、上側の空間が正券収納部72、下部の空間が損券収納部73とされている。尚、図20では、理解容易のために取っ手の図示を省略している。
紙幣収納カセット7の上面には、投入口74が開口しており、正券は、前述したように、この投入口74を通じて正券収納部72内に投入される。正券収納部72内にはまた、前述したステージ46が配設されている。このステージ46は正券収納部72内を上下方向に往復移動するよう構成されている。また、カセット7の左側壁には、表示部9の表示窓91が形成されている。
紙幣収納カセット7の後面には、正券収納部72及び損券収納部73に跨って開口する取出口77が形成されており、この取出口77は、カセット後面にヒンジ結合された開閉扉78によって開閉自在にされている。
紙幣収納カセット7の前面の下部には、損券収納部73内に損券を投入するための投入口であるスリット75が形成されている。このスリット75は、紙幣が通貨可能な程度の横幅でかつ、人の指が入らない程度の高さとすることが望ましい。
紙幣収納カセット7の内部には、図21にも示すように、ローラ対76が配設されている。このローラ対76は、スリット75の直後に配置されている。ローラ対76は、スリット75を通過する損券を上下に挟み込んで回転駆動することにより、その損券を損券収納部73内に引き込む。尚、ローラ対76は、貨幣処理装置1の制御部28によって駆動制御される。
図21に模式的に示すように、引出ユニット31における前面パネル314には、損券用の投入口315が形成されている。投入口315とカセット7のスリット75との間には、ローラ対を含む搬送機構316が配設されている。搬送機構316は、投入口315から投入された損券をスリット75まで搬送して、その損券をカセット7の損券収納部73内に投入するよう駆動制御される。
この紙幣収納カセット7は、図21に示すように、正券収納部72への紙幣投入口74が、カセット上面に形成されているため、前述したように、紙幣一時保留部213に保留されている正券は、その投入口74を介して、正券収納部72内に収納される。
一方、紙幣リジェクト口218に排出された損券は、前面パネル314の投入口315に投入することによって、搬送機構316及びローラ対76を介して損券収納部73に収納される。尚、損券を投入したときには、貨幣処理装置1の操作部25において、所定の操作を行うことによって損券収納部73に投入した損券のデータ、具体的にはその金種及び枚数を入力しておく。貨幣処理装置1は、正券に係る計数データを記憶すると共に、損券のデータも記憶しておく。
そうしてカセット7の回収時には、貨幣処理装置1は、プリンタ26によって印字されるジャーナル261に、正券の計数データと損券のデータとがそれぞれ印字する。ジャーナル261は、例えばスリット75を通じて損券収納部73に投入しておいてもよい。
こうすることで、一つのカセット7を回収するだけで正券及び損券の双方を回収することができる。また、現金センタ66においては、一つの開閉扉78を開けるだけで、正券収納部72内に収納された正券、損券収納部73内に収納された損券、及び投入されているときにはジャーナル261を全て取り出すことができる。これは、精算処理の作業効率を向上させる上で有利である。
尚、損券を損券収納部73に投入する機構としては、搬送機構316を設けなくても、例えば図22に示すような簡易な搬送路79を設けるようにしてもよい。この搬送路79は、引出ユニット31の前面パネル314に形成した投入口315と、カセット7のスリット75とを互いに連結する。尚、損券の投入をスムースにする上では、搬送路79の先端をスリット75に内挿することが好ましい。こうした構成を採用した場合、カセット7を装着部311から引き上げて取り外すときには、その搬送路79の先端をスリット75内から後退させる必要がある。そのため、例えば引出ユニット31の引き出し動作に伴い搬送路79の先端がスリット75から後退する機構を設けることが好ましい。
またこの構成においては、カセット7内にローラ対を設ける代わりに、スリット75を開閉するシャッタ710を設けることが好ましい。
図22に示す構成は、搬送路79が簡略化するという利点があるが、損券を投入する投入口315の位置を、カセット7のスリット75の位置と略同じ高さ位置に設定しなければならず、その位置が比較的低くなってしまう。このため、損券を投入し難くなる。
これに対し図21に示す構成は、投入口315の位置を、比較的自由に設定することできるという利点がある。つまり、投入口315を、損券を投入し易い比較的高い位置に設定することができる。
(貨幣処理装置の別の構成)
尚、貨幣処理装置、特に紙幣処理部の構成は図3に示す構成に限らない。例えば図23に示すように、貨幣処理装置は、紙幣一時保留部213の代わりに、金庫部3に複数のテープ式スタッカ81を備えた構成にしてもよい。
このテープ式スタッカ81の構成は公知であるため、その詳細な図示は省略するが、テープ式スタッカ81は、そこに送り込まれた紙幣を、2枚のテープで挟んだ状態で巻き取る回転ドラム811を備えている。このテープ式スタッカ81は、複数枚の紙幣を、その順番を変えることなく、受け入れたり、繰り出したりすることが可能である。
この貨幣処理装置8では、紙幣識別部212と出金部(図2に示す紙幣リジェクト部214及び返却口の双方機能を併せ持つ)82とを繋ぐ搬送路と、紙幣識別部212と各テープ式スタッカ81とを繋ぐ搬送路と、各テープ式スタッカ81と出金部82とを繋ぐ搬送路と、各テープ式スタッカ81と紙幣収納カセット4とを繋ぐ搬送路と、が設けられている。尚、これらの搬送路は、その一部分が互いに共通化されている。
この構成の貨幣処理装置8は、以下の利点が得られる。つまり、テープ式スタッカ81を紙幣一時保留部として機能させることができる。詳細には、識別後の紙幣を一旦、テープ式スタッカ81に保留すると共に、操作部25の操作に応じてテープ式スタッカ81から出金部82に紙幣を搬送することによって、その紙幣をユーザに返却することができる一方で、テープ式スタッカ81から紙幣収納カセット4に紙幣を搬送することによって、紙幣を紙幣収納カセット4に収納する、つまり入金することができる。
また、テープ式スタッカ81が金庫部3に設けられているため、紙幣収納カセット4が満杯になったときには、このテープ式スタッカ81に紙幣を貯めておくことができる。これは、金庫部3の容量が増大することと等価である。従って、カセットの回収頻度を減らすことができる。
また、複数のテープ式スタッカ81を、金種別の紙幣一時保留部として運用することによって、例えば釣銭用としての所望の金種を、出金させることができる。つまり、貨幣処理装置8を入出金機として機能させることができる。
尚、貨幣処理装置は入金機又は入出金機に限らない。貨幣処理装置は、着脱可能なカセットが装着される貨幣処理装置であれば、どのようなものであってもよい。
以上説明したように、本発明は、貨幣収納カセット及びそれを備えた貨幣処理装置として有用である。

Claims (11)

  1. 貨幣を収納する貨幣収納カセットにおいて、
    投入口及び取出口を有し、当該投入口を通じて投入された貨幣を、その内部に収納する本体部、及び、
    前記本体部に取り付けられかつ、少なくとも第1及び第2の表示態様を含む複数の表示態様を切り替えて外部から視認可能に表示する表示部、を備え、
    前記表示部の表示態様は、前記本体部の状態に応じて自動的に切り替わる貨幣収納カセット。
  2. 前記本体部は、貨幣処理装置の装着部に対して着脱可能に装着されると共に、その装着状態において前記投入口を通じてその内部に貨幣が投入され、
    前記表示部は、前記本体部を前記装着部に装着した後、前記本体部を当該装着部から取り外すまでの間において、その表示態様が前記第1の表示態様から第2の表示態様に切り替わる請求項1に記載の貨幣収納カセット。
  3. 前記表示部は、前記本体部を前記装着部に装着するときの、当該本体部の動きに連動して、その表示態様が前記第1の表示態様から第2の表示態様に切り替わる請求項2に記載の貨幣収納カセット。
  4. 前記表示部は、前記本体部を前記装着部に装着しているときには、前記貨幣処理装置からの制御を受けて、その表示態様が前記第1の表示態様から第2の表示態様に切り替わる請求項2に記載の貨幣収納カセット。
  5. 前記本体部は、貨幣処理装置の装着部に対して着脱可能に装着されると共に、その装着状態において前記投入口を通じてその内部に貨幣が投入され、
    前記表示部は、前記貨幣を収納している本体部を前記装着部から取り外した後、当該本体部内の貨幣を前記取出口を通じて取り出すときに、その表示態様が前記第2の表示形態から第1の表示態様に切り替わる請求項1に記載の貨幣収納カセット。
  6. 前記本体部に設けられかつ、前記本体部内に収納された貨幣を前記取出口を通じて取り出すために手動で動かされる操作機構部をさらに備え、
    前記表示部は、前記操作機構部の動きに連動して、その表示態様が前記第2の表示形態から第1の表示態様に切り替わる請求項5に記載の貨幣収納カセット。
  7. 前記表示部は、前記操作機構部の動きに機械的に連動することによって、その表示態様が前記第2の表示形態から第1の表示態様に切り替わる請求項6に記載の貨幣収納カセット。
  8. 前記本体部は紙幣を収納し、
    前記操作機構部は、前記本体部内で、前記投入口を通じて紙幣が投入される方向に往復移動可能に配設されると共に、前記紙幣を重ねた状態で保持するステージであり、
    前記ステージは、そこに保持している紙幣を取り出すときには、前記投入口から離れた所定の取出位置まで手動で移動され、
    前記表示部は、前記ステージを前記取出位置に移動させたときに当該ステージと係合することによって、その表示態様が前記第2の表示形態から第1の表示態様に切り替わる請求項7に記載の貨幣収納カセット。
  9. 前記第1の表示態様は、前記本体部が、前記取出口を通じて貨幣が取り出されることにより、その内部に貨幣を収納していない精算済み状態であることを示し、
    前記第2の表示態様は、前記本体部が、その内部に貨幣を収納している未精算状態であることを示す請求項1に記載の貨幣収納カセット。
  10. 前記第1の表示態様は、前記本体部の内部に貨幣が収納されていないことを示し、
    前記第2の表示態様は、前記本体部の内部に貨幣が収納されていることを示す請求項1に記載の貨幣収納カセット。
  11. 貨幣を処理する貨幣処理装置において、
    投入口及び取出口を有すると共に、その内部に貨幣を収納する貨幣収納カセット、
    前記貨幣収納カセットが着脱自在に装着される装着部、
    前記装着部に装着されている貨幣収納カセットに対し、前記投入口を通じて貨幣を投入する処理部、
    前記貨幣収納カセットに取り付けられかつ、少なくとも第1及び第2の表示態様を含む複数の表示態様を切り替えて外部から視認可能に表示する表示部、及び、
    前記表示部の表示態様を前記貨幣収納カセットの状態に応じて切り替える切替手段、を備える貨幣処理装置。
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