以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)図1は、本発明の第1の実施形態による貨幣処理機を備えた貨幣処理システムの構成を示す。図1に示すように、貨幣処理システムは、貨幣の入金処理を行う貨幣処理機1と、貨幣処理機1とは別に設けられ、当該貨幣処理機1に通信接続された店舗サーバー100と、店舗サーバー100に通信接続された本店サーバー110と、貨幣処理機1とは別に設けられ、当該貨幣処理機1に通信接続された現金センター200とを備えている。貨幣処理機1は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗に設置されており、この貨幣処理機1は、店舗の売上金を識別計数して入金するような入金処理を行うようになっている。
店舗サーバー100は、貨幣処理機1が設置された店舗に設置されており、この店舗サーバー100は貨幣処理機1の上位装置に該当するものである。一方、本店サーバー110は、各店舗とは別の場所(例えば、本店)に設置されており、各店舗からの情報を集約するようになっている。
また、本実施形態の貨幣処理システムでは、警備会社が店舗の警備を契約により担当するようになっている。現金センター200は警備会社の管理権限下にあり、この現金センター200は、貨幣処理機1が設置された店舗とは別の場所に設置されている。そして、警備会社の作業員は、貨幣処理機1に収納された紙幣や有価媒体を定期的に回収するようになっている。貨幣処理機1に収納された紙幣や有価媒体が警備会社の作業員により回収されると、回収された紙幣や有価媒体は警備会社の作業員により現金センター200に搬送される。また、警備会社の管理権限下にある現金センター200は、回収された紙幣および有価媒体の合計金額分の現金に係る情報を現金振り込み情報として銀行300に送信し、当該金額分の現金を店舗の管理権限下の銀行口座に振り込ませるようになっている。このようにして、店舗側としては、警備会社の作業員により貨幣処理機1から回収された紙幣および有価媒体の合計金額分の現金が、当該店舗の管理権限下の銀行口座に振り込まれるようになる。
以下、貨幣処理機1の構成の詳細について図2乃至図5を用いて説明する。
図2は、図1に示す貨幣処理システムにおける貨幣処理機1の構成を示す斜視図であり、図3は、図2に示す貨幣処理機1の側方断面図である。図2および図3に示すように、貨幣処理機1は、筐体1aと、筐体1aに設けられて複数の紙幣Pが載置される載置部20と、載置部20に載置された複数の紙幣Pを1枚ずつ筐体1a内に取り込む受入部25と、受入部25により取り込まれた紙幣Pを搬送する搬送部30と、搬送部30で搬送された紙幣Pを集積(保留)する集積部(保留部)60と、搬送部30に設けられ、当該搬送部30で搬送される紙幣Pの金種や真偽等を識別するとともに計数する識別部40と、集積部60に集積された紙幣Pを受け入れて収納する収納カセット70と、を備える。
このうち、受入部25は、図3に示すように、載置部20に載置された複数の紙幣Pのうち最も下方に位置する紙幣Pに駆動力を与えるキッカローラ26と、紙幣Pの繰出方向においてキッカローラ26の下流側に配置され、キッカローラ26により蹴り出された紙幣Pの筐体1aの内部への繰り出しを行うフィードローラ27aとを有している。また、フィードローラ27aに対向してゲートローラ(逆転ローラ)27bが設けられており、フィードローラ27aとゲートローラ27bとの間にゲート部が形成されている。
また、図3に示すように、搬送部30は、紙幣Pを搬送する搬送ベルト31、搬送ローラ32等で構成されている。また、搬送部30の最下流部で、集積部60近傍には、搬送部30で搬送された紙幣Pを1枚毎に羽根35aの間で受け止めて集積部60に整列集積させる羽根車35が設けられている。
また、図3に示すように、集積部60は、集積紙幣Pを前面側に傾斜させた状態で集積させる形状となっており、搬送部30から送られた紙幣Pを支持部64で支持させることで、前面側に傾斜させた立位状態で紙幣Pを集積するように構成されている。なお、本願で前面側とは、操作者が紙幣Pを載置部20に載置したり、集積部60から紙幣Pを取り出したりする側のことを意味し、図3の右側のことを意味している。他方、本願で後面側とは、前面側と反対側を意味し、図3の左側のことを意味している。
また、図2および図3に示すように、集積部60の前面側には、集積された紙幣Pを外部から取り出すための前面開口を開閉するための前面シャッター部62が設けられている。この前面シャッター部62は、後述する制御部50によって、少なくとも挟持搬送機構10(後述)によって紙幣Pを収納カセット70へ搬送しているときに開放不可能となるように制御されている。
また、図3に示すように、集積部60には、当該集積部60に集積された紙幣Pの表面を挟持し、その表面と平行な方向へ当該紙幣Pを搬送することで収納カセット70へ紙幣Pを収納させる挟持搬送機構10が設けられている。より具体的には、挟持搬送機構10は、集積部60に集積された複数の紙幣Pのうち最も前面側に位置する紙幣Pの表面と最も後面側に位置する紙幣Pの表面を挟持し、当該複数の紙幣Pを一括して収納カセット70へ搬送することができるように構成されている(図3の矢印A1参照)。
また、図3に示すように、収納カセット70には、挟持搬送機構10で搬送される紙幣Pを取り込むためのスリット状のスリット開口部71と、当該スリット開口部71を開閉するためのスリットシャッター部72が設けられている。なお、収納カセット70は図2に示す収納筐体75内に取り出し自在に収納されている。また、図2に示すように、収納カセット70は、扉77を開けて、貨幣処理機1への装填及び取り外しが可能である。
より詳細には、扉77には把手76および電磁キー(図示せず)が設けられており、制御的に電磁キーを解錠し、把手76を回して扉77を開くようになっている。収納カセット70の取り外しは、警備会社の作業員により行われる。
なお、制御的に電磁キーを解錠し、把手76を回して扉77を開くという動作は、警備会社の作業員のみならず店舗の店員が行うことができるように設定されていてもよい。警備会社の作業員により収納筐体75から取り外された収納カセット70は、現金センター200へ移送されるようになっている。
貨幣処理機1に紙幣を投入した場合の紙幣の流れや、外部から投入される有価媒体の流れを簡単に説明する。貨幣処理機1に紙幣を投入する際に、載置部20に複数の紙幣が載置されると、受入部25によって紙幣が1枚ずつ機体内に取り込まれ、識別部40によって識別された後、集積部60やリジェクト部65へ送られる。その後、集積部60に集積された紙幣は収納カセット70に収納される。また、貨幣処理機1に小切手や商品券等の有価媒体を投入する際には、集積部60の前面シャッター部62が開放され、有価媒体が入った封筒を集積部60に直接セットすると、有価媒体が入った封筒は収納カセット70に収納されるようになる。
このように、本実施の形態の貨幣処理機1では、収納カセット70には紙幣Pおよび有価媒体が混合状態で収納されるようになっている。
また、図2に示すように、貨幣処理機1の筐体1aには、所定の情報を表示する機能とデータ入力を可能とする機能を有する表示入力部5が設けられている。このような表示入力部5の具体的構成を図4に示す。図4に示すように、表示入力部5は、紙幣Pの計数結果等を表示するモニタ5aと、操作者が様々な指令を入力するための複数の入力キー5bとから構成されている。
モニタ5aには、例えば、収納カセット70に収納されている貨幣(有価媒体)の合計金額、収納カセット70に収納可能な貨幣の金額(収納上限額)、現在収納されている貨幣の合計金額と上限額との差額等が表示されるようになっている。
図4に示すように、複数の入力キー5bは、メニューキー、交換キー、クリアキー、確定キー、上下左右各方向の矢印キー、シフトキー、モードキー、締めキー、回収キー、スタート/ストップキー等から構成されている。
また、図2に示すように、貨幣処理機1の筐体1aには、紙幣Pの計数結果等を印字するプリンター6や、後述する制御部50に対して操作者が様々な入力を行うためのテンキー7、操作者のID情報を得るために当該操作者が保持するIDカードの読み取りを行うカード読取部8がそれぞれ設けられている。
また、図3に示すように、搬送部30には、異常時に、集積部60に搬送されない紙幣Pが搬送されるリジェクト部65が設けられている。
ここで言う異常とは、識別異常および搬送異常を意味している。識別異常とは、識別部40で識別された情報が制御部50に予め記憶された情報と一致しない場合のことを意味している。そして、このような識別異常としては、例えば、識別された紙幣Pが予定していた種類と異なる種類の紙幣Pであると識別されたときや、そもそも紙幣Pの種類を識別することができなかったときなどを挙げることができる。
また、搬送異常とは、搬送部30によって紙幣Pを搬送する際の異常を意味している。そして、このような搬送異常としては、例えば、紙幣Pが斜めに搬送されている場合(斜行)や、複数の紙幣Pが所定の間隔を隔てないで搬送されている場合(連鎖)、複数の紙幣Pが重なって搬送されている場合(重送)などを挙げることができる。
本実施の形態の貨幣処理機1には、図5に示すような制御部50が設けられており、この制御部50が、貨幣処理機1の各構成要素を制御するようになっている。図5に示すように、制御部50には、受入部25、搬送部30、識別部40、前面シャッター部62、挟持搬送機構10、スリットシャッター部72、表示入力部5、プリンター6、テンキー7、カード読取部8等がそれぞれ接続されている。そして、識別部40により識別計数された紙幣Pの識別計数情報は制御部50に送られるようになっている。また、表示入力部5の各入力キー5bやテンキー7により入力された操作者からの様々な指令は制御部50に送られるようになっている。また、カード読取部8により読み取られた操作者のID情報等も制御部50に送られるようになっている。
また、制御部50は、受入部25、搬送部30、前面シャッター部62、挟持搬送機構10、スリットシャッター部72、表示入力部5、プリンター6等の各構成要素に制御信号を送り、これらの構成要素の制御を行うようになっている。
また、図5に示すように、制御部50には記憶部54が接続されている。記憶部54には、貨幣処理機1を特定する装置IDや同装置を利用可能な操作者ID等の事前に設定される情報や、紙幣Pの計数結果、収納カセット70の収納上限額、現在の収納金額等が記憶されるようになっている。収納カセット70の収納上限額は任意に設定でき、例えば、収納カセット70の回収・搬送時の盗難等のリスクに対して加入する保険の保険料が収納カセット70の収納金額に応じて決定される場合、所望の保険料に対応した収納上限額が設定される。また、この収納上限額は、盗難にあった際の被害額(損失額)を考慮して設定されてもよいし、回収を行う警備会社の作業員の資質、経験、精神的負担等に応じて設定されてもよい。なお、この収納上限額は、貨幣処理機1の設置時や運用状況が変更になった時などに、所定の権限を有する管理者の指示に基づいて設定される。
また、図5に示すように、制御部50にはインターフェース部56が接続されており、このインターフェース部56を介して制御部50は店舗サーバー100や現金センター200等の外部装置と信号の送受信を行うことができるようになっている。
次に、このような構成からなる貨幣処理機1の動作について説明する。まず、貨幣処理機1における入金処理の全体の流れについて図6に示すフローチャートを用いて説明する。まず、制御部50において、計数入金処理を行うか否かの確認が行われる(STEP101)。具体的には、操作者によって、紙幣Pの入金処理を行う旨の指令が表示入力部5によって制御部50に入力されると、後述する計数入金処理が行われるようになる(STEP102)。
また、制御部50において、有価媒体入金処理を行うか否かの確認が行われる(STEP103)。具体的には、操作者によって、紙幣P以外の有価媒体の入金処理を行う旨の指令が表示入力部5によって制御部50に入力されると、後述する有価媒体入金処理が行われるようになる(STEP104)。
そして、計数入金処理や有価媒体入金処理が行われ、取引が終了すると(STEP105の「YES」)、プリンター6によりジャーナル(控)が印字される(STEP106)。その後、入金データが制御部50からインターフェース部56を介して店舗サーバー100や現金センター200に送信されるようになる(STEP107)。
次に、貨幣処理機1に投入された紙幣Pを識別計数するとともに収納カセット70に収納させる動作について図7に示すフローチャートを用いて説明する。なお、以下に示す動作は、明示しない限り制御部50から各部位へ送信される信号に基づいて行われる。
まず、操作者によって、紙幣Pの入金処理を行う旨の指令が表示入力部5を介して制御部50に入力される。より具体的には、操作者は、表示入力部5によって「計数入金」のコマンドを選択する(STEP1)。この際に、表示入力部5またはカード読取部8によって操作者のID情報も制御部50に入力する。そして、このような信号を制御部50が受け取ると、当該制御部50によって、前面シャッター部62は開放不可能となるように制御される。
次に、操作者によって、載置部20に複数の紙幣Pが載置されると(STEP2の「YES」)、受入部25によって、載置部20に載置された複数の紙幣Pが一枚ずつ機内に取り込まれる(STEP3)。このとき、キッカローラ26によって載置部20に載置された複数の紙幣Pのうち最も下方に位置する紙幣Pが蹴り出されるとともに、フィードローラ27aによって繰り出され、ゲートローラ27bの作用により紙幣Pが1枚ずつ繰り出される。
次に、搬送部30によって、受入部25で取り込まれた紙幣Pが搬送される。このとき、搬送部30に設けられた識別部40によって、搬送部30で搬送される紙幣Pが識別計数される(STEP4)。
このように搬送部30で紙幣Pが搬送されているときに識別異常や搬送異常が発生した場合には(STEP5の「YES」)、当該紙幣Pはリジェクト部65へと搬送される(STEP6)。他方、このような識別異常や搬送異常が発生しない場合には(STEP5の「NO」)、搬送されている紙幣Pは集積部60に搬送される(STEP7)。
このように集積部60へ紙幣Pが搬送される際には、当該紙幣Pは、羽根車35の羽根35aの間で受け止められて集積部60に整列集積される。そして、羽根車35によって搬送された紙幣Pは、集積部60内で、前面側に傾斜させた立位状態で集積されることとなる。表示入力部5には、集積部60内に集積された紙幣Pの合計金額が表示されるようになる。また、識別結果(金種別の枚数や合計金額等)が操作者のID情報および処理日時情報と合わせて記憶部54に記憶される。このようにして、載置部20に載置された複数の紙幣Pの全てが集積部60に搬送されて、載置部20に紙幣Pが存在しなくなる。
続いて、集積部60に集積された紙幣Pが収納カセット70に収納されることで、収納カセット70内の収納金額が収納上限額を超えるか否かが判定される(STEP9)。具体的には、既に収納カセット70に収納されている紙幣及び有価媒体の金額(現時点の収納金額)と、集積部60に集積されている紙幣Pの金額との合計金額が、記憶部54に記憶されている収納カセット70の収納上限額を超えるか否かが判定される。
合計金額が収納上限額を超えない場合は(STEP9の「NO」)、集積部60に集積された紙幣Pの金額に対する承認指示を求める表示が表示入力部5に表示される(STEP10)。そして、STEP12の「YES」に示すように、操作者により承認指示が表示入力部5から入力されると(具体的には、操作者が表示入力部5の確定キーを押下すると)、集積部60に集積された複数の紙幣Pが、挟持搬送機構10によって、スリット開口部71を通過して、収納カセット70内に収納される(STEP13)(図3の矢印A1参照)。なおこのとき、スリットシャッター部72が前面側に移動されており、スリット状のスリット開口部71が開状態となっている。他方、紙幣Pが収納カセット70内に収納されるとき以外は、スリットシャッター部72は後面側に移動されており、スリット開口部71は閉状態となっている。また、紙幣Pが収納カセット70内に収納されると、紙幣Pの金額が収納カセット70の収納金額に加算され、収納カセット70の収納額の情報が更新される(STEP14)。
一方、既に収納カセット70に収納されている紙幣及び有価媒体の金額と、集積部60に集積されている紙幣Pの金額との合計金額が収納上限額を超える場合は(STEP9の「YES」)、収納カセット70に紙幣Pを収納できないことが表示入力部5に表示される(STEP11)。例えば、『収納上限を超える為、収納できません。紙幣を取り出して下さい。』といったメッセージが表示される。続いて、前面シャッター部62が開放されて集積紙幣Pが取り出し可能となる(STEP15)(図3の矢印A2参照)。
また、合計金額が収納上限額を超えない場合でも(STEP9の「NO」)、操作者が合計金額について承認できない場合には(STEP12の「NO」)、返却指示が表示入力部5から入力されることにより前面シャッター部62が開放されて集積紙幣Pが取り出し可能となる(STEP15)(図3の矢印A2参照)。
そして、集積部60に集積された紙幣Pが操作者により回収されると(STEP16の「YES」)、前面シャッター部62が閉じられて(STEP17)、処理が終了される。
なお、リジェクト部65に紙幣Pが存在する場合には、操作者が、その紙幣Pを再度、載置部20に載置して、前述と同様の工程が繰り返されて、全ての紙幣Pが集積部60へ搬送されるようにする。しかしながら、何度やってもリジェクト部65に搬送される紙幣Pについては、受付できない紙幣Pとして判断されて収納対象から除かれる。
次に、貨幣処理機1の識別部40で識別できない損券・損貨や、商品券、小切手等の現金以外の有価媒体を、貨幣処理機1の収納カセット70に収納させる動作について図8に示すフローチャートを用いて説明する。なお、以下に示す動作は、明示しない限り制御部50から各部位へ送信される信号に基づいて行われる。
まず、操作者によって、紙幣P以外の有価媒体の入金処理を行う旨の指令を表示入力部5によって制御部50に入力する。より具体的には、操作者は、表示入力部5によって「有価媒体入金(現外入金)」のコマンドを選択する(STEP21)。この際に、表示入力部5によって操作者のID情報も制御部50に入力する。このときに、入力されたデータは、手入力データとして記憶部54に記憶される。
そして、操作者は、表示入力部5により、有価媒体に係る情報、具体的には有価媒体の金額等を制御部50に入力し、確定キーを押下する(STEP22)。
続いて、有価媒体が収納カセット70に収納されることで、収納カセット70内の収納金額が収納上限額を超えるか否かが判定される(STEP23)。具体的には、既に収納カセット70に収納されている紙幣及び有価媒体の金額(現時点の収納金額)と、操作者により入力された有価媒体の金額との合計金額が、記憶部54に記憶されている収納カセット70の収納上限額を超えるか否かが判定される。
合計金額が収納上限額を超えない場合は(STEP23の「NO」)、プリンター6により、操作者によって制御部50に入力された有価媒体に係る情報がジャーナルに印字される(STEP24)。また、このときに、当該制御部50によって、前面シャッター部62が開放され(STEP25)、有価媒体が入った封筒を集積部60に入れることができるようになる。
その後、操作者が、有価媒体が入った封筒と、有価媒体の情報が印字されたジャーナルを集積部60にセットし、確定キーを押下すると(STEP26)、前面シャッター部62が閉止する(STEP27)。そして、集積部60にセットされた、有価媒体が入った封筒およびジャーナルが、挟持搬送機構10によって、スリット開口部71を通過して、収納カセット70内に収納される(STEP28)(図3の矢印A1参照)。また、有価媒体が入った封筒が収納カセット70内に収納されると、有価媒体の金額が収納カセット70の収納金額に加算され、収納カセット70の収納金額の情報が更新される(STEP29)。このようにして、有価媒体を収納カセット70に収納させる動作が終了する。
一方、既に収納カセット70に収納されている紙幣及び有価媒体の金額と、操作者により入力された有価媒体の金額との合計金額が収納上限額を超える場合は(STEP23の「YES」)、収納カセット70に有価媒体を収納できないことが表示入力部5に表示され(STEP30)、操作者から入力された情報がキャンセル(消去)される(STEP31)。有価媒体の収納処理を終える場合は(STEP32の「NO」)、有価媒体が別途保管されて、処理が終了される。また、有価媒体の収納処理を続ける場合は(STEP32の「YES」)、STEP22に戻る。この時、有価媒体の金額を数え直したり、合計金額が収納上限額を超えないように、有価媒体の一部を別途保管し、残りの有価媒体についての情報を入力するようにしたりして、情報の再入力を行ってもよい(STEP33)。
次に、警備会社の作業員によって行われる貨幣処理機1の収納カセット70の回収動作について図9に示すフローチャートを用いて説明する。
作業員のIDカードが貨幣処理機1のカード読取部8によって読み取られると(STEP41)、作業員は、表示入力部5の回収キーを押下する(STEP42)。回収キーが押下されると、制御部50が扉77の電磁キーを解錠する(STEP43)。
そして、作業員は、把手76を回して扉77を開き、収納カセット70を取り外し、交換用の収納カセットを装填する(STEP44)。作業員が扉77を閉めると、電磁キーが施錠される(STEP45)。
その後、プリンター6が、回収された収納カセット70に収納されている紙幣及び有価媒体に関する情報(種類別の枚数や金額、合計金額等)、回収日時、作業員のID情報等の回収処理に係る情報を、ジャーナルに印字して出力する(STEP46)。そして、記憶部54に記憶されている、回収された収納カセット70に収納されている紙幣及び有価媒体についての情報がクリアされる(STEP47)。このようにして、収納カセット70の回収処理が終了する。
本実施形態によれば、収納カセット70内の貨幣(有価媒体)の合計額が、予め設定されている収納上限額を超えないように、貨幣の収納可否が判定される。収納カセット70には収納上限額を超える貨幣及び有価媒体が収納されず、回収・搬送される収納カセット70の収納額は収納上限額以下となる。収納上限額を、加入する保険の保険料に応じた金額に設定することで、保険料が実運用に合ったものとなり、収納カセット70の回収コストを削減することができる。また、収納上限額を設定することで、収納カセット70が盗難にあった際の被害額を抑制できる。また、収納上限額までしか貨幣(有価媒体)が収納されないため、収納カセット70を回収する作業員の精神的負担を軽減することができる。
上記実施形態において、貨幣処理機1に報知部を設け、収納カセット70の収納額が収納上限額に近付いた場合に、金額ニアフルを報知するようにしてもよい。例えば、収納カセット70の収納額と収納上限額との差が所定額以下になった場合、報知部が金額ニアフルを報知する。また、表示入力部5のモニタ5aに収納カセット70の収納額と収納上限額との差を表示するようにしてもよい。
また、上記実施形態において、貨幣処理機1は、収納カセット70の収納額が収納上限額を超えないように貨幣の収納可否を判定していたが、さらに、収納カセット70に収納されている紙幣の枚数が収納上限枚数を超えないように貨幣の収納可否を判定してもよい。これにより、低額紙幣が多く入金される場合であっても、収納カセット70の収納容量以上の紙幣が収納されることを防止することができる。また、この場合、有価媒体が入った封筒については、封筒1つを紙幣複数枚(例えば50枚)と換算してもよい。さらに、収納カセット70の収納枚数が収納上限枚数に近付いた場合、報知部が枚数ニアフルを報知するようにしてもよい。例えば、収納カセット70の収納枚数と収納上限枚数との差が所定枚数以下になった場合、報知部が枚数ニアフルを報知する。また、表示入力部5のモニタ5aに収納カセット70の収納枚数と収納上限枚数との差を表示するようにしてもよい。
また、収納カセット70内の貨幣(有価媒体)の収納状況を検出するセンサを設け、このセンサの検出結果に基づいて、貨幣の収納可否や枚数ニアフルを判定してもよい。具体的には、センサが、収納カセット70に収納されている貨幣の高さ(収納状態の高さ)を検出し、この高さに基づいて貨幣の収納可否や枚数ニアフルを判定する。紙幣は、その状態(新券、旧券、損券等)により収納時の高さが異なり、有価媒体が入った封筒の厚みも一定でない。そのため、センサにより収納カセット70内の貨幣(有価媒体)の収納状況を検出することで、収納カセット70に貨幣を収納できるスペースが残っているか否かを正確に判定することができる。センサにより検出された収納カセット70内の貨幣の収納状況を表示入力部5のモニタ5aに表示して、ユーザが収納状況を把握できるようにしてもよい。例えば、収納されている貨幣の高さが、収納カセット70の貨幣収納領域の何%に達しているかをモニタ5aに表示する。
このように、収納カセット70内の貨幣(有価媒体)の合計額が、予め設定されている収納上限額を超えないように貨幣の収納可否を判定することと、収納カセット70の収納枚数や、センサにより検出された収納カセット70内の貨幣の収納状況(収納状態の高さ)等の物理量が所定値を超えないように貨幣の収納可否を判定することを組み合わせることで、収納カセットの回収コストを削減し、かつ収納カセットに許容容量以上の貨幣が収納されることを防止することができる。
また、上記実施形態において、収納カセット70の収納額や収納枚数が上限値に達している場合、又は上限値との差が所定以下(金額ニアフル、枚数ニアフル)の場合、紙幣の計数機能のみを使用できるようにしてもよい。この場合は、集積部60に集積された計数済み紙幣は収納されることなく、返却される。
(第2の実施形態)上記第1の実施形態では1つの収納カセット70を使用していたが、複数の収納カセット70を交換しながら使用してもよい。複数の収納カセット70にはそれぞれ収納カセット70を特定するカセットIDが付与されており、貨幣処理機1は、装填された収納カセット70のカセットIDを読み取ることができるようになっている。例えば、各収納カセット70にはカセットIDを示すバーコードが貼付されており、貨幣処理機1に設けられたバーコードリーダ(図示せず)が、収納カセット70の装填時にバーコードを読み取ってカセットIDを取得する。
制御部50は、各収納カセット70に収納されている貨幣(有価媒体)の金額を記憶部54に格納する。また、制御部50は、複数の収納カセット70の収納額の合計金額を算出し、記憶部54に格納する。また、記憶部54は、1つの収納カセット70の収納額の上限(個別収納上限額)、及び使用されている複数の収納カセット70の合計収納額の上限(合計収納上限額)を記憶している。
制御部50は、個々の収納カセット70の収納額が個別収納上限額を超えないように貨幣の収納可否を判定してもよいし、複数の収納カセット70の合計収納額が合計収納上限額を超えないように貨幣の収納可否を判定してもよいし、これらを組み合わせてもよい。
個々の収納カセット70の収納額が個別収納上限額を超えないように貨幣の収納可否を判定する方法は、図7、図8のフローチャートに示す方法と同様である。また、複数の収納カセット70の合計収納額が合計収納上限額を超えないように貨幣の収納可否を判定する方法も、図7のSTEP9、図8のSTEP23において、複数の収納カセット70に収納されている紙幣及び有価媒体の合計金額と、集積部60に集積されている紙幣Pの金額又は操作者により入力された有価媒体の金額との合計金額が、記憶部54に記憶されている合計収納上限額を超えるか否かが判定されること以外は、図7、図8のフローチャートに示す方法と同様である。
次に、貨幣処理機1に装填される収納カセット70の交換処理について図10に示すフローチャートを用いて説明する。収納カセット70の交換は店舗の従業員(例えば会計責任者)により行われる。
まず、従業員のIDカードが貨幣処理機1のカード読取部8によって読み取られると(STEP51)、従業員は、表示入力部5の交換キーを押下する(STEP52)。交換キーが押下されると、制御部50が扉77の電磁キーを解錠する(STEP53)。
そして、従業員は、把手76を回して扉77を開き、収納カセット70を取り外し、別の収納カセットを、そのバーコードを貨幣処理機1のバーコード読取部に読み取らせてから装填する(STEP54、STEP55)。作業員が扉77を閉めると、電磁キーが施錠される(STEP56)。このようにして、収納カセット70の交換処理が終了する。なお、収納カセット70の交換処理についての情報(交換を行った従業員、交換日時、交換した収納カセットのカセットID等)は記憶部54に記憶され、ユーザの指示に基づいてジャーナルに印字出力することもできる。
収納カセット70の交換は、例えば、貨幣処理機1に装填されている収納カセット70が金額ニアフルになった時や枚数ニアフルになった時に行われる。また、一旦取り外した収納カセット70を再度装填してもよい。記憶部54には各収納カセット70の収納額が記憶されているため、収納カセット70が再装填されると、当該収納カセット70の収納額に、その後に入金される貨幣の金額が加算されていく。
また、警備会社の作業員により交換済みの収納カセット70や装填中の収納カセット70が回収されたときには、記憶部54に記憶されている各収納カセットの収納額やその合計額がクリアされる。
このように、複数の収納カセットを交換しながら使用することで、1つの収納カセットがフル(金額フル、枚数フル)やニアフル(金額ニアフル、枚数ニアフル)になった場合でも、警備会社による回収を待たずに、別の収納カセットを使って入金を行うことができる。また、個別収納上限額や合計収納上限額を、加入する保険の保険料に応じた金額に設定することで、保険料が実運用に合ったものとなり、複数の収納カセット70の回収コストを削減することができる。また、個別収納上限額や合計収納上限額を設定することで、収納カセット70が盗難にあった際の被害額を抑制できる。また、収納カセット70を回収する作業員は、個別収納上限額又は合計収納上限額までしか貨幣(有価媒体)を回収・運搬しないため、精神的負担が軽減される。
(第3の実施形態)上記第1及び第2の実施形態では装填される収納カセットが1つの貨幣処理機を例に説明を行ったが、装填される収納カセットは2つ以上でもよい。また、上記第1及び第2の実施形態の貨幣処理機は貨幣の出金機能を有していなかったが、貨幣の出金機能が備わっていてもよい。
図11は、収納カセットが2つ装填され、かつ貨幣の出金機能を有する貨幣処理機の斜視図である。図11に示すように、貨幣処理機410は略直方体形状の筐体411を備えており、この筐体411には、貨幣処理機410を前方から見て上部右側に配置された紙幣処理装置420と、貨幣処理機410を前方から見て上部左側に配置された硬貨処理装置430とがそれぞれ設けられている。また、貨幣処理機410の筐体411において、紙幣処理装置420および硬貨処理装置430の下方には、硬貨および紙幣の収納を行う貨幣収納部440が設けられている。
紙幣処理装置420、硬貨処理装置430および貨幣収納部440の各構成要素について説明する。
まず、紙幣処理装置420の構成について図11および図13を用いて説明する。図11および図13に示すように、紙幣処理装置420は、当該紙幣処理装置420内への紙幣の取り込みを行う紙幣投入口421と、紙幣処理装置420内に取り込まれた紙幣のうち偽札や識別不能な紙幣等のリジェクトを行う紙幣リジェクト口422と、紙幣処理装置420内に取り込まれた紙幣のうち貨幣収納部440に収納されない紙幣を紙幣処理装置420の外部に返却する紙幣返却口423とを備えている。また、図13に示すように、紙幣処理装置420の内部には、紙幣投入口421に投入された紙幣を紙幣処理装置420内で搬送する搬送部425が設けられている。
紙幣投入口421は、操作者により1または束状態の複数の紙幣が短手方向に一括して投入されるよう構成されている。図11に示すように、この紙幣投入口421には紙幣ステージ428が配設されている。紙幣ステージ428は、待機時には上昇位置にありこの際には操作者は紙幣投入口421に紙幣を投入することができず、一方、紙幣の処理時には下降して操作者が紙幣投入口421に紙幣を投入することができるように構成されている。また、図13に示すように、紙幣投入口421は搬送部425に接続されており、紙幣投入口421に投入された1または束状態の複数の紙幣は、1枚ずつ搬送部425で搬送されるようになっている。また、紙幣リジェクト口422は、図13に示すように搬送部425に接続されており、紙幣投入口421により紙幣処理装置420内に取り込まれた紙幣のうち後述する識別部426によりリジェクトすべき紙幣であると識別された紙幣や識別部426で識別することができなかった紙幣が搬送部425から送られるようになっている。操作者はこの紙幣リジェクト口422に送られた紙幣を取り出すことができるようになっている。
紙幣返却口423には、図13に示すように、搬送部425に接続された紙幣保留部429が設けられている。この紙幣保留部429には、搬送部425から紙幣が送られるようになっている。また、紙幣返却口423には開閉可能な扉424が設けられている。紙幣保留部429にある紙幣を返却する場合には、紙幣保留部429の装置前面側の壁面が開いて、操作者は扉424から紙幣を取り出すことができるようになっている。扉424は、紙幣の取り出しが可能な状態になれば、自動的に開くようになっている。なお、後述のように、紙幣保留部429内に保留された紙幣は、操作者により紙幣返却口423から取り出される代わりに、貨幣収納部440内に配置された紙幣収納カセット441(後述)に送られる場合もある。
搬送部425は、紙幣処理装置420の内部で紙幣を1枚ずつ順次搬送する機能を有している。具体的には、搬送部425において、紙幣は一対のベルト間に挟まれて搬送路に沿って搬送されるようになっている。また、図13に示すように、搬送部425に設けられた搬送路は様々な箇所で分岐するようになっており、この搬送路が分岐する箇所には分岐部材(図示せず)が設けられている。各分岐部材は例えば分岐爪からなり、これらの分岐部材はそれぞれ図示しない制御部により制御されるようになっている。また、搬送部425には、当該搬送部425で搬送される紙幣の識別を1枚ずつ行う識別部426が介設されている。
この識別部426は、搬送部425で搬送される紙幣の金種、真偽、正損等を識別するようになっている。識別部426による紙幣の識別結果は制御部に送られるようになっている。
紙幣処理装置420の内部には、リサイクル式紙幣収納部427が複数(例えば3つ)並列に設けられている。ここで、複数のリサイクル式紙幣収納部427a〜427cは、概して金種毎に紙幣を一時的に収納するようになっている。図13に示すように、各リサイクル式紙幣収納部427は、正逆両方向に回転可能なドラム427pをそれぞれ有しており、各ドラム427pに一対のテープが巻き取られるようになっている。搬送部425から各リサイクル式紙幣収納部427に送られた紙幣は、この一対のテープの間に挟まれた状態で1枚ずつ順次ドラム427pにより巻き取られて収納される。また、ドラム427pを逆転させると、巻き取られた紙幣が1枚ずつ搬送部425に送られる。なお、各リサイクル式紙幣収納部427は、上述のような、ドラム427pおよび一対のテープからなり紙幣が一対のテープの間に挟まれた状態でこの一対のテープごとドラム427pにより巻き取られるような構成に限定されることはなく、他の構成とすることもできる。例えば、各リサイクル式紙幣収納部427をスタッカ式(積層式)のものとしてもよい。
紙幣保留部429は、前述のように紙幣返却口423に設けられており、図13に示すように搬送部425に接続されている。この紙幣保留部429には、紙幣投入口421に投入された紙幣や、各リサイクル式紙幣収納部427に収納された紙幣が搬送部425により送られるようになっており、搬送部425から送られた紙幣を束状態で複数保留することができるようになっている。図13に示すように、紙幣保留部429には一時保留板429aおよび押さえ部材429bが設けられている。ここで、紙幣保留部429にある紙幣を返却する場合には、前述のように、紙幣保留部429の装置前面側の壁面が開いて、操作者は扉424から紙幣を取り出すことができるようになっている。扉424は、紙幣の取り出しが可能な状態になれば、自動的に開くようになっている。また、紙幣保留部429に紙幣が保留される際に、紙幣は一時保留板429aに載せられるようになっており、紙幣保留部429にある紙幣を紙幣収納カセット441に収納させる際には、この紙幣収納カセット441に設けられたステージ441aが紙幣保留部429の一時保留板429aに載せられた紙幣を迎えにいき、一時保留板429aが図13の矢印方向に退避することにより紙幣をステージ441a上に載せて紙幣保留部429から紙幣収納カセット441へ下降し、そしてステージ441a上の紙幣を上から押さえ部材429bで押さえて紙幣収納カセット441へ収納するようになっている。
次に、硬貨処理装置430の構成について図11および図14を用いて説明する。図11および図14に示すように、硬貨処理装置430は、当該硬貨処理装置430内への硬貨の取り込みを行う硬貨投入口431と、硬貨処理装置430内に取り込まれた硬貨のうち後述する識別部435aにより識別不能な硬貨等のリジェクトを行ったり、硬貨処理装置430内に取り込まれた硬貨のうち貨幣収納部440に収納されない硬貨を硬貨処理装置430の外部に返却したりする硬貨返却口432とを備えている。また、図14に示すように、硬貨処理装置430の内部には、硬貨投入口431に投入された硬貨を硬貨処理装置430内で搬送する搬送部435が設けられている。
硬貨投入口431は、操作者により1または複数の硬貨が一括して投入されるよう構成されている。この硬貨投入口431に投入された硬貨は、硬貨処理装置430の内部に送られるようになっている。硬貨返却口432は、搬送部435の下流側端部に接続されており、この搬送部435から送られた硬貨を貯留するようになっている。操作者はこの硬貨返却口432に貯留された硬貨を取り出すことができるようになっている。ここで、硬貨返却口432には、前述のように、硬貨処理装置430内に取り込まれた硬貨のうち後述する識別部435aにより識別不能な硬貨等が送られるとともに、硬貨処理装置430内に取り込まれた硬貨のうち貨幣収納部440に収納されない硬貨が送られるようになっており、このような硬貨が硬貨返却口432により硬貨処理装置430の外部に返却されるようになっている。
図14に示すように、硬貨処理装置430の内部には硬貨繰出部433が設けられている。
この硬貨繰出部433は硬貨投入口431に連通しており、操作者により硬貨投入口431から投入された硬貨を一時的に貯留するとともに、この貯留された硬貨を後述する搬送部435に繰り出すようになっている。
搬送部435は、硬貨処理装置430の内部で硬貨を1枚ずつ順次搬送する機能を有している。図14に示すように、搬送部435の上流側端部および下流側端部は、硬貨繰出部433および硬貨返却口432にそれぞれ接続されている。また、搬送部435には、当該搬送部435で搬送される硬貨の識別を1枚ずつ行う識別部435aが介設されている。この識別部435aは、搬送部435で搬送される硬貨の金種や真偽等を識別するようになっている。識別部435aによる紙幣の識別結果は図示しない制御部に送られるようになっている。
硬貨処理装置430の内部には、筒状の上入れ上出しタイプのリサイクル式硬貨収納部434が複数(例えば6つ)並列に設けられており、各リサイクル式硬貨収納部434はそれぞれ鉛直方向に延びるようになっている。ここで、複数のリサイクル式硬貨収納部434a〜434fは、概して金種毎に硬貨を積層状態で一時的に収納するようになっている。
図14に示すように、搬送部435の途中部分には、硬貨繰出部433から下流側に向かって順に、間隔をおいて7つの選別孔436が設けられている。ここで、7つの選別孔436のうち最も上流側にある選別孔436(オーバーフロー用の選別孔436)は、搬送部435から後述する横方向搬送部438に直接硬貨を送るために設けられている。具体的には、最も上流側にある選別孔436は、識別部435aによる硬貨の識別結果が所定の条件を満たしたときに(例えば、識別部435aにより識別された硬貨の金種に対応するリサイクル式硬貨収納部434が満杯であったときに)、この硬貨を横方向搬送部438上に送るようになっている。また、上流側から2番目〜7番目の選別孔436は、それぞれ各リサイクル式硬貨収納部434a〜434fに対応するものである。
図14に示すように、鉛直方向にそれぞれ延びる各リサイクル式硬貨収納部434の上部には、硬貨を一時的に保留する金種別硬貨一時保留部439が設けられている。7つの選別孔436のうち最も上流側にある選別孔436以外の各選別孔436を介して搬送部435から落下した硬貨は、まず金種別硬貨一時保留部439により一時的に保留されるようになっている。そして、この金種別硬貨一時保留部439に保留された硬貨が各リサイクル式硬貨収納部434に収納されるようになっている。また、この金種別硬貨一時保留部439は投出部材を有しており、この投出部材により、金種別硬貨一時保留部439に保留された硬貨を後述する横方向搬送部438上に投げ出すこともできるようになっている。一方、各リサイクル式硬貨収納部434内に収納された硬貨がこのリサイクル式硬貨収納部434から取り出される場合には、まずリサイクル式硬貨収納部434の下部に設けられたステージ(図示せず)が上方に持ち上げられ、ステージ上の硬貨が金種別硬貨一時保留部439に送られ、そしてこの硬貨は金種別硬貨一時保留部439の投出部材により横方向搬送部438上に投げ出されるようになっている。
図14に示すように、硬貨処理装置430の内部には硬貨保留部437aが設けられており、この硬貨保留部437aの上部にはシュート437bが設置されている。ここで、後述する横方向搬送部438からシュート437bの上部に送られた硬貨は、当該シュート437b内を通過して硬貨保留部437aに送られるようになっている。硬貨保留部437aに一時的に保留された硬貨は、貨幣収納部440内に配置された硬貨収納カセット442(後述)に送られるようになっている。
図14に示すように、硬貨処理装置430の内部において、鉛直方向にそれぞれ延びる各リサイクル式硬貨収納部434の近傍には、例えば略水平方向に延びる循環ベルト438aを有する横方向搬送部438が設けられている。循環ベルト438aは図14の時計回りおよび反時計回りの両方に循環移動可能となっている。また、横方向搬送部438の一端は硬貨繰出部433内に位置しており、横方向搬送部438の他端はシュート437bの上部の近傍に位置している。ここで、循環ベルト438aが図14における反時計回りに回転したときには、横方向搬送部438上にある硬貨は硬貨繰出部433に送られるようになっている。一方、循環ベルト438aが図における時計回りに回転したときには、横方向搬送部438上にある硬貨はシュート437bに送られ、最終的には硬貨保留部437aで保留されることとなる。
次に、貨幣収納部440の構成について図11および図12を用いて説明する。図11に示すように、貨幣収納部440は、貨幣処理機410の筐体411の下部に設けられている。この貨幣収納部440は、図13および図14に示すように、紙幣を収納する紙幣収納カセット441、および硬貨を収納する硬貨収納カセット442を有している。紙幣収納カセット441には、紙幣処理装置420の紙幣保留部429に保留された紙幣が収納されるようになっている(図13参照)。硬貨収納カセット442には、硬貨処理装置430の硬貨保留部437aに保留された硬貨が収納されるようになっている(図14参照)。そして、図12に示すように、例えば売上金の回収業務を委託された収集業者の収集特定者によって、貨幣収納部440が筐体411の前面側へ引き出され、この収集特定者が各カセット441、442自体を貨幣収納部440から回収するようになっている。
図12に示すように、紙幣収納カセット441の上面にはシャッター441cが設けられている。紙幣収納カセット441が貨幣収納部440に収容された状態でこの貨幣収納部440が筐体411内にセットされた後、特定の処理を行うときに、図示しない駆動装置によって駆動されてシャッター441cは開いた状態となる。具体的には例えば、紙幣の引渡処理が行われるときにはシャッター441cが開いた状態となっており、紙幣保留部429から紙幣収納カセット441に紙幣を送ることができる。引渡処理が終了すると、シャッター441cは閉じた状態となる。一方、貨幣収納部440が筐体411から引き出されるときには、シャッター441cは必ず閉じた状態となる。そして、紙幣収納カセット441は錠を備えた図示しない扉を有し、鍵を持つ特定の権限を有する者でないと開くことができないようになっている。
図13に示すように、貨幣収納部440には貨幣収納部セット検知スイッチSW1が設けられており、この貨幣収納部セット検知スイッチSW1により、貨幣収納部440が筐体411にセットされたか否かが検知されるようになっている。また、貨幣収納部440には紙幣収納カセットセット検知スイッチSW2が設けられており、この紙幣収納カセットセット検知スイッチSW2により、紙幣収納カセット441が貨幣収納部440にセットされたか否かが検知されるようになっている。
また、紙幣収納カセット441のステージ441aの下面には遮光板441bが下方に延びるよう取り付けられている。そして、紙幣収納カセット441の近傍における貨幣収納部440には、ステージ停止センサPS1、紙幣フル検知センサPS2、メカエンドセンサPS3、および残留検知センサPS4が設けられている。これらのセンサPS1、PS2、PS3、PS4は光センサからなる。ここで、紙幣の引渡処理を行う際に、ステージ441a上に紙幣が載置された後、ステージ停止センサPS1がステージ441a上にある紙幣により遮光された状態から透光状態となるまでステージ441aが降下することとなる。ここで、ステージ停止センサPS1が遮光状態から透光状態となると、下方に移動しているステージ441aが停止する。この際に、ステージ441aに取り付けられた遮光板441bにより紙幣フル検知センサPS2が透光状態から遮光状態となった場合には、紙幣収納カセット441において紙幣がフル状態であることが検出される。また、ステージ441aが下降して遮光板441bがメカエンドセンサPS3により検知された場合には、ステージ441aは強制的に停止させられるようになっている。また、ステージ441aが下降して遮光板441bにより紙幣フル検知センサPS2が透光状態から遮光状態となった場合に、残留検知センサPS4が透光状態であるならば、カセットエンプティ(残留紙幣なし)が検出される。なお、ステージ441a上に紙幣が残留している場合は、ステージ441aが下降して遮光板441bにより紙幣フル検知センサPS2が透光状態から遮光状態となった場合に、ステージ441a上の紙幣により残留検知センサPS4が遮光状態となる。
図12に示すように、硬貨収納カセット442の上面にはシャッター442aが設けられている。硬貨収納カセット442が貨幣収納部440に収容された状態でこの貨幣収納部440が筐体411内にセットされたときに、シャッター442aは開いた状態となる。このため、硬貨の引渡処理が行われるときにはシャッター442aが開いた状態となっており、硬貨保留部437aから硬貨収納カセット442に硬貨を送ることができる。一方、貨幣収納部440が筐体411から引き出されたときには、シャッター442aは閉じた状態となる。そして、硬貨収納カセット442は錠を備えた図示しない扉を有し、鍵を持つ特定の権限を有する者でないと開くことができないようになっている。
図13に示すように、貨幣収納部440には硬貨収納カセットセット検知スイッチSW3が設けられており、この硬貨収納カセットセット検知スイッチSW3により、硬貨収納カセット442が貨幣収納部440にセットされたか否かが検知されるようになっている。また、硬貨収納カセット442の近傍における貨幣収納部440には、光センサからなる硬貨フル検知センサPS5が設けられている。ここで、硬貨の引渡処理を行う際に、硬貨収納カセット442に収納される硬貨が満杯となり、硬貨収納カセット442に収納された硬貨によって硬貨フル検知センサPS5が透光状態から遮光状態となった場合には、硬貨収納カセット442において硬貨がフル状態であることが検出される。
また、図11に示すように、貨幣処理機410の筐体411の上面には、操作者が貨幣処理機410の制御部に対して様々な指令を行うための操作部445、および貨幣処理機410における貨幣の処理内容等を表示する表示部444が設けられている。ここで、操作部445は、例えばテンキーや確定キー、スタートキー、取消キーならびにリセットキーを有しており、操作者が各キーを押すことにより貨幣処理機410の制御部に対して様々な指令を行うことができるようになっている。表示部444は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)から構成されている。
また、筐体411の前面には、貨幣処理機410における貨幣の処理内容等を印字するプリンター443、および操作者の操作権限の確認を行うためのカードリーダ446がそれぞれ設けられている。カードリーダ446は、操作者が携帯するIDカードのID情報の読み取りを行うようになっている。
この貨幣処理機410では、紙幣処理装置420の各リサイクル式紙幣収納部427に収納された紙幣を当該紙幣処理装置420の外部に出したり、硬貨処理装置430の各リサイクル式硬貨収納部434に収納された硬貨を当該硬貨処理装置430の外部に出したりすることで、貨幣を出金することができる。
このような貨幣処理機410においても、上記第1及び第2の実施形態と同様に、貨幣収納部440の紙幣収納カセット441及び硬貨収納カセット442に対して、個別収納上限額や合計収納上限額が設定され、これらの上限額を超えないように貨幣の収納可否が判定される。
そのため、紙幣収納カセット441及び硬貨収納カセット442には所定の上限額を超える貨幣が収納されず、回収・搬送される紙幣収納カセット441及び硬貨収納カセット442の収納額は上限額以下となる。収納上限額を、加入する保険の保険料に応じた金額に設定することで、保険料が実運用に合ったものとなり、紙幣収納カセット441及び硬貨収納カセット442の回収コストを削減することができる。また、収納上限額を設定することで、紙幣収納カセット441及び硬貨収納カセット442が盗難にあった際の被害額を抑制できる。また、収納上限額までしか貨幣が収納されないため、紙幣収納カセット441及び硬貨収納カセット442を回収する作業員の精神的負担を軽減することができる。
上記第1及び第2の実施形態で示した貨幣処理機1は紙幣の識別計数機能を有しており、硬貨や商品券等の有価媒体については封筒に入れて、有価媒体の情報を手入力していたが、店頭のレジ等において有価媒体の情報をバーコード化した明細書を発行し、有価媒体が入った封筒の収納時に、貨幣処理機1に設けたバーコードリーダにより明細書のバーコードを読み取って、収納する有価媒体の情報を取得するようにしてもよい。このようなバーコードを用いることで、手入力に伴うデータ誤入力の発生を防止できる。
また、貨幣処理機1に硬貨の識別計数を行う硬貨計数機を通信可能に接続し、収納する硬貨の計数結果を硬貨計数機から貨幣処理機1へ送信するようにしてもよい。貨幣処理機1は、硬貨計数機から受け取った計数結果を用いて、硬貨の収納可否を判定する。硬貨計数機で計数された硬貨は封筒に入れられて、貨幣処理機1の収納カセット70に収納される。
上記第1〜第3の実施形態において、収納カセットの収納上限額は店舗側で設定してもよいし、警備会社が設定してもよい。また、収納上限額を日本円、ドル、ユーロ等の通貨毎に設定できるようにしてもよい。また、1つの基本通貨についての収納上限額及び他通貨との為替レートを設定し、他通貨が収納される場合は為替レートを用いて基本通貨の金額に換算し、収納上限額を超えないように貨幣の収納可否を判定するようにしてもよい。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。