以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る紙葉類処理装置が適用された紙幣処理装置2Aを含む貨幣処理システム1を、前側から見た斜視図である。
貨幣処理システム1は、銀行等の金融機関に設置される。貨幣処理システム1は、貨幣処理装置2と、操作端末3と、プリンタ4とを含む。貨幣処理システム1の利用者は、たとえば金融機関の係員である。
貨幣処理装置2は、紙葉類の一例としての紙幣を処理する紙幣処理装置(紙葉類処理装置)2Aと、硬貨の入金処理および出金処理を行う硬貨入出金機2Bとを含む。紙幣処理装置2A、硬貨入出金機2B、操作端末3およびプリンタ4は、互いに通信可能に接続されている。
紙幣処理装置2Aは、紙幣の入金処理および出金処理を行うための装置である。紙幣処理装置2Aは、たとえば縦長のボックス状の装置本体10を含む。装置本体10において利用者に臨む前面部10Aの略上半分には、紙幣束払出口11と、入金口12と、取出口13とが、上側からこの順に配置されている。紙幣束払出口11からは、たとえば100枚といった所定数毎に帯封された紙幣によって構成された紙幣束が、払い出される。装置本体10には、紙幣束払出口11を開閉するためのシャッタ16が設けられている。シャッタ16は、モータ等の駆動部(図示しない)の駆動力を受けて紙幣束払出口11を開閉する。
入金口12に関連して、装置本体10には、入金口12から装置本体10内へ窪んだ凹状の入金部14が設けられている。入金処理の際に、入金用のバラ紙幣が利用者によって入金口12から入金部14に入金される。入金口12および入金部14は、図1の例では、常に機外に露出されているが、入金口12を開閉するシャッタを設けても構わない。
取出口13に関連して、装置本体10には、取出口13から装置本体10内へ窪んだ凹状の出金部15が設けられている。装置本体10には、モータ等の駆動部(図示しない)の駆動力を受けて取出口13を開閉する開閉部の一例としてのシャッタ17が設けられている。出金処理の際には、出金用のバラ紙幣が装置本体10内から出金部15に出金され、かつシャッタ17が開かれる。これにより、利用者は、出金部15の紙幣を取出口13から取り出すことができる。出金部15の直下には、出金リジェクト部5が配置されている。
出金リジェクト部5は、出金処理においてリジェクトされた紙幣を集積するためのリジェクト払出空間(収容空間)6と、リジェクトされた紙幣を払い出すためのリジェクト払出口(払出口)7(図2等参照)と、リジェクト払出口7を開閉する扉体としての回収扉9とを含む。
操作端末3には、タッチパネルディスプレイ等によって構成された操作表示部3Aが設けられている。操作表示部3Aには、貨幣処理装置2の動作に関する様々な情報が表示されるとともに、操作を受け付ける。
プリンタ4は、貨幣処理装置2において実行された処理の内容を記したレシートを発行する。なお、操作端末3およびプリンタ4を、貨幣処理装置2とは別に設ける構成に限られず、貨幣処理装置2の一部として装置本体の外壁の内側に配置されていてもよい。
図2は、紙幣処理装置2Aを右側から見た模式的な縦断面図である。図2を参照して、装置本体10内には、バラ紙幣処理部20と、バラ紙幣処理部20の上側に位置する紙幣束処理部21とが設けられている。
バラ紙幣処理部20は、前述した入金部14、出金部15、シャッタ17、出金リジェクト部5および回収扉9の他に、収納部25、環状搬送路26、取込搬送路27、取出搬送路28、識別部29、反転部30および供給路31を含む。
収納部25は、箱状に形成され、複数(ここでは5つ)存在し、前後(図2では左右)に並んで配置されている。これらの収納部25は、扉18と共にスライドすることによって、装置本体10から前側(図2では左側)へ引き出し可能である。5つ並んだ収納部25のうち、前後に隣り合う3つの収納部25は、バラ紙幣が金種毎に積層状態にて収納される金種別収納部25Aである。別の1つの収納部25は、複数金種のバラ紙幣が混合状態にて一括収納されたり、他の収納部25に収納しきれないオーバーフロー紙幣が収納されたりする一括収納部25Bであり、残りの1つの収納部25は、入金されたバラ紙幣を一時的に収納する一時保留部25Cである。金種別収納部25A、一括収納部25Bおよび一時保留部25Cは、後側(図2では右側)からこの順番にて並んでいる。各収納部25内には、水平な板状のステージ34が配置され、積層状態にて収納されたバラ紙幣は、ステージ34上に配置される。ステージ34は、モータ等の駆動部(図示しない)の駆動力を受けて昇降する。また、各収納部25の出入口には繰出機構47が設けられ、分岐路35〜39において対応する分岐路からのバラ紙幣を収納部25内に取り込んだり、収納部25内のバラ紙幣を当該分岐路へ送り出したりする。
環状搬送路26は、上下に扁平なループ状をなしている。環状搬送路26内のバラ紙幣は、5つの収納部25の上方において、図2における時計回りおよび反時計回りのいずれかに循環するように搬送される。環状搬送路26の下側部分には、分岐路35、36、37、38、39および40の各一端が、環状搬送路26内におけるバラ紙幣の搬送方向に沿って、この順番にて接続されている。分岐路35、36および37の各他端は、3つの金種別収納部25Aのそれぞれに1つずつ上側からつながっている。分岐路38の他端は、一括収納部25Bに上側からつながっている。分岐路39の他端は、一時保留部25Cに上側からつながっている。分岐路40の他端は、出金リジェクト部5につながっている。取込搬送路27は、入金部14に入金されたバラ紙幣を1枚ずつ取り込み、環状搬送路26へ送るための搬送路である。取出搬送路28は、環状搬送路26内のバラ紙幣を出金部15に送るための搬送路である。
識別部29は、環状搬送路26の上側部分の途中領域、より詳しくは、環状搬送路26において取込搬送路27に接続された部分と分岐路35に接続された部分との間の領域に配置されている。識別部29は、環状搬送路26において搬送されるバラ紙幣の金種、正損、真偽、表裏等を識別する一般的なセンサである。損傷のあるバラ紙幣や偽のバラ紙幣(すなわち、異常のある紙幣)は、リジェクト紙幣であると識別部29によって識別される。また、識別部29は、バラ紙幣を1枚ずつ識別することによって計数することもできる。
反転部30は、反転路45と分岐爪46とを含む。反転路45は、略V字に折れ曲がっていて、環状搬送路26から一旦分岐した後に環状搬送路26に合流するように環状搬送路26に対して並列的に接続されている。詳しくは、反転路45は、環状搬送路26において識別部29が設けられた部分と分岐路35に接続された部分との間の領域に対して接続されている。分岐爪46は、反転路45において環状搬送路26から分岐した分岐位置45Aに設けられている。分岐爪46の向きは、ソレノイド等の駆動部(図示しない)の作動に応じて切り換わる。これによって、環状搬送路26内において分岐位置45Aに到達したバラ紙幣を、引き続き環状搬送路26内において搬送したり、反転路45へ搬送したりすることができる。表裏が逆であると識別部29によって識別されたバラ紙幣は、反転路45においてスイッチバックされて表裏が直されてから、環状搬送路26に合流する。供給路31は、環状搬送路26において反転路45が接続された部分と分岐路35に接続された部分との間の領域から分岐して紙幣束処理部21まで延びている。
環状搬送路26、取込搬送路27、取出搬送路28、供給路31、分岐路35、36、37、38、39および40ならびに反転路45といった搬送路には、バラ紙幣を搬送するために回転する搬送ローラ(図示しない)や、周回移動する搬送ベルト(図示しない)が設けられている。モータ等の駆動部(図示しない)の駆動力を受けて、搬送ローラが回転したり搬送ベルトが周回移動したりする。
環状搬送路26と分岐路35〜40のそれぞれとの接続位置には、前述した分岐爪46と同様の分岐爪(図示しない)が設けられており、各分岐爪の向きは、ソレノイド等の駆動部(図示しない)の作動に応じて切り換わる。これによって、環状搬送路26内の紙幣を分岐路35〜40へ搬送することができる。この分岐爪は、取出搬送路28および供給路31のそれぞれと環状搬送路26との接続位置にも設けられていて、この分岐爪の向きが切り換わることによって、環状搬送路26内の紙幣を取出搬送路28や供給路31へ搬送することができる。
紙幣束処理部21は、前述したシャッタ16の他に、整理一時保留部(紙幣集積部)50と、結束機構51と、縦搬送路52と、リフト53と、横搬送路54と、搬送機構55と、収納部56とを含む。整理一時保留部50は、箱状に形成され、複数(ここでは2つ)存在し、上下に並んで配置されている。上側の整理一時保留部50を第1の整理一時保留部50Aと呼び、下側の整理一時保留部50を第2の整理一時保留部50Bと呼ぶ。環状搬送路26から分岐した供給路31は、各整理一時保留部50A,50Bに接続されている。
結束機構51は、供給路31を経由してバラ紙幣処理部20から整理一時保留部50A,50Bまで搬送されてきたバラ紙幣のまとまりを受け取って結束(帯封)することによって紙幣束を作成するための機構である。結束機構51として、特開2014−164349号公報に記載の紙幣帯封ユニット200等の、公知の構成を用いることができる。縦搬送路52は、結束機構51から上側へ垂直に延びる空間であって、前述した紙幣束払出口11が縦搬送路52に前側から連通している。リフト53は、水平な板状に形成されて縦搬送路52内に配置されていて、モータ等の駆動部(図示しない)の駆動力を受けて昇降する。
横搬送路54は、縦搬送路52の上端から後側へ水平に延びる空間である。搬送機構55は、上下に扁平な無端状のベルト57と、ベルト57を周回移動させるモータ等の駆動部(図示しない)とを含む。ベルト57は、図2における時計回りおよび反時計回りのどちらにも周回移動できる。ベルト57の外周面には、複数の突部57Aが設けられている。複数の突部57Aは、ベルト57の周回移動方向において等間隔にて配置されている。
収納部56は、箱状に形成され、複数(ここでは4つ)存在し、ベルト57の下側において前後に並んで配置されている。各収納部56の上面には、出入口56Aが形成されていると共に、シャッタ58が設けられている。シャッタ58は、モータ等の駆動部(図示しない)の駆動力を受けて出入口56Aを開閉する。各収納部56には、紙幣束が金種毎に積層状態にて収納される。各収納部56内には、水平な板状のステージ59が配置され、積層状態にて収納された紙幣束は、ステージ59上に配置される。ステージ59は、モータ等の駆動部(図示しない)の駆動力を受けて昇降する。これらの収納部56の上面とベルト57とによって上下から挟まれた空間が、横搬送路54である。
この実施形態では、2つの整理一時保留部50と、結束機構51と、縦搬送路52のうち下側の領域と、リフト53とがユニット化されており、装置本体10に対して前方に引き出し可能に設けられている。前面部10Aのうち、これらの部材の前方を覆う中段カバー8もこのユニットにユニット化されている。以下、このユニットを中段ユニット(収容ユニット)10Bと呼ぶことがある。
図3は、出金リジェクト部5を図4の切断面線III−IIIから見た模式的な縦断面図である。図3では、参考のため分岐路40も併せて示している。図4は、出金リジェクト部5の平面図である。図4では、出金リジェクト部5のうち上面板61を除く構成を示している。
本発明の第1の実施形態は、出金リジェクト部5(リジェクト払出空間6)においてリジェクト紙幣の残留検知を行うことを特徴としており、かかる特徴に関連する点について以下説明する。
出金リジェクト部5は、リジェクト払出空間6と、リジェクト払出口7と、回収扉9と、閉姿勢をなしている回収扉9を施解錠する施解錠機構92(図7参照)とを含む。施解錠機構92は、たとえば電磁ロックを用いて構成されている。
リジェクト払出空間6は、複数枚の紙幣(リジェクト紙幣)Bを集積可能に設けられている。リジェクト払出空間6では、左右方向に紙幣Bの長手が位置するような横置き姿勢で紙幣Bが上下に集積される。図4では、リジェクト紙幣Bの正常な集積状態を二点鎖線で示している。図3に示すように、リジェクト払出空間6は、前方および上方が開放された箱状の集積ベース60と、集積ベース60に対し上方から対向する上面板61とによって区画されている。集積ベース60は、底板部62と、底板部62の後縁から上方に立ち上がった後板部63と、底板部62の左右側縁からそれぞれ上方に立ち上がった一対の側板部64とを一体に含む。上面板61は、底板部62と所定間隔を空けて、底板部62の前半分の上方に対向配置されている。
底板部62は、水平に延びた略平板状であり、リジェクト払出空間6に集積される紙幣Bよりも一回り大きいサイズの長方形をなしている。底板部62の前側(図3の左側)寄りの位置には、左右方向に沿って直線状に延びる断面V字状の窪み65が形成されている。窪み65は、前側からこの順で設けられた第1の傾斜面65Aおよび第2の傾斜面65Bによって区画されている。第1の傾斜面65Aおよび第2の傾斜面65Bには、互いに逆向きの傾斜が付されている。第2の傾斜面65Bの傾斜角度は、後述する第3および第4の光軸83,84の水平面に対する傾斜角度に一致するか、当該傾斜角度よりも小さく設定されている。そのため、第3および第4の光軸83,84の通過が第2の傾斜面65Bによって妨げられることを防ぐことができ、第3および第4の光軸83,84を、第1の傾斜面65Aに広く当てることができる。これにより、第1の傾斜面65A上に位置する紙幣Bを良好に検知できる。
後板部63の上縁部は、左右方向に水平に延びている。後板部63の上縁部の直上には、分岐路40の搬送出口40Aが横向きに配置されている。
出金リジェクト部5は、リジェクト払出空間6に集積されている紙幣Bと接触して当該紙幣Bを底板部62側に押さえる札押さえ66と、札押さえ66を支持する札押さえ支持部とをさらに含む。札押さえ66は、弾性を有する材料を用いて形成され、板状をなしている。図4においては見易さの観点から、札押さえ66の輪郭を太線で示している。札押さえ66の前端部には、後述する縦リブ86との干渉を回避するための、第1の切り欠き67Aおよび第2の切り欠き67Bが、それぞれ左右一対形成されている。
札押さえ支持部は、出金リジェクト部5の外壁に固定された左右一対の板支持部材68を含む。板支持部材68は、札押さえ66を、揺動軸69(図3参照)まわりに揺動自在に支持している。札押さえ66は自重によって、上姿勢(図3に示す位置)から手前側下方(図3の反時計回り)に揺動し、リジェクト払出空間6に集積されている紙幣Bと接触して当該紙幣Bを底板部62側に押さえる。札押さえ66の姿勢は、集積ベース60上に載置される紙幣Bのうち最上位の紙幣Bの高さ位置(すなわちリジェクト払出空間6に集積されている紙幣Bの枚数)に応じて変化する。
出金リジェクト部5は、リジェクト払出空間6における紙幣Bの残留を検知する検知手段をさらに含む。この第1の実施形態では、検知手段は、1つまたは複数(この実施形態ではたとえば4つ)の有無センサ(第1〜第4の有無センサ71〜74)を含む。各有無センサ71〜74は、発光素子および受光素子の対を含む光学センサである。
第1の有無センサ71は、発光素子(受光素子)71Aおよび受光素子(発光素子)71Bを含む。発光素子(受光素子)71Aは札押さえ66の上方に配置され、受光素子(発光素子)71Bは底板部62の下方に配置されている。発光素子からの光は、底板部に設けられた穴(図示しない)、および札押さえ66の後端縁に設けられた切欠き76を通って受光素子に入る。第1の有無センサ71の光軸(以下、「第1の光軸」という)81は、リジェクト払出空間6の内部を鉛直方向に延びている。第1の光軸81は、リジェクト払出空間6における紙幣Bの集積領域(図4に二点鎖線で示す領域)の、前後方向中央部の左寄り部分を通る。紙幣Bによって第1の光軸81が遮られることにより、第1の有無センサ71は、リジェクト払出空間6における紙幣Bの残留を検知する。
第2の有無センサ72は、発光素子(受光素子)72Aおよび受光素子(発光素子)72Bを含む。発光素子(受光素子)72Aは札押さえ66の上方に配置され、受光素子(発光素子)72Bは底板部62の下方に配置されている。発光素子からの光は、底板部に設けられた穴(図示しない)、および札押さえ66に設けられた穴77を通って受光素子に入る。第2の有無センサ72の光軸(以下、「第2の光軸」という)82は、リジェクト払出空間6の内部を鉛直方向に延びている。第2の光軸82は、リジェクト払出空間6における紙幣Bの集積領域(図4に二点鎖線で示す領域)の、前後方向中央部の右寄り部分を通る。第2の光軸82は前後方向に関し、第1の光軸81よりもやや前寄りに配置されている。紙幣Bによって第2の光軸82が遮られることにより、第2の有無センサ72は、リジェクト払出空間6における紙幣Bの残留を検知する。
第3の有無センサ73は、発光素子(受光素子)73Aおよび受光素子(発光素子)73Bを含む。発光素子(受光素子)73Aは後板部63の左端部の後方に配置され、受光素子(発光素子)73Bは、底板部62の左手前部分の下方に配置されている。発光素子からの光は、底板部62の左前部に設けられた穴78、および後板部63の左端部に設けられた穴(図示しない)を通って受光素子に入る。第3の有無センサ73の光軸(以下、「第3の光軸」という)83は、リジェクト払出空間6の内部を、前後方向にかつ水平に対し後ろ上がりに傾斜するように延びている。第3の光軸83は、リジェクト払出空間6における紙幣Bの集積領域(図4に二点鎖線で示す領域)の、左端部の前後方向中央部を通る。リジェクト払出空間6に集積される紙幣Bのうち少なくとも最下位の紙幣Bによって第3の光軸83が遮られることにより、第3の有無センサ73は、リジェクト払出空間6における紙幣Bの残留を検知する。
第4の有無センサ74は、発光素子(受光素子)74Aおよび受光素子(発光素子)74Bを含む。発光素子(受光素子)74Aは後板部63の右端部の後方に配置され、受光素子(発光素子)74Bは、底板部62の右手前部分の下方に配置されている。発光素子(受光素子)からの光は、底板部62の右前部に設けられた穴79、および後板部63の右端部に設けられた穴(図示しない)を通って受光素子(発光素子)に入る。第4の有無センサ74の光軸(以下、「第4の光軸」という)84は、リジェクト払出空間6の内部を、前後方向にかつ水平に対し後ろ上がりに傾斜するように延びている。第4の光軸84は、リジェクト払出空間6における紙幣Bの集積領域(図4に二点鎖線で示す領域)の、右端部の前後方向中央部を通る。リジェクト払出空間6に集積される紙幣Bのうち少なくとも最下位の紙幣Bによって第4の光軸84が遮られることにより、第4の有無センサ74は、リジェクト払出空間6における紙幣Bの残留を検知する。第4の光軸84は、図3に示す断面図において示されないが、側面視で第3の光軸83と重複しているため、「84」の参照符号を図3に括弧書きにて記載している(図5および図6においても同様)。
リジェクト払出口7は、リジェクト払出空間6の前端部に開口している。リジェクト払出口7は、正面視で横長矩形をなしている。
回収扉9は、リジェクト払出口7と整合する横長矩形をなしている。回収扉9は、左右に延びる回動軸85周りに回動可能であり、リジェクト払出口7を閉鎖する閉姿勢と、閉姿勢から手前側に引き倒された(たとえば約80度回動された)開姿勢との間で姿勢変更可能に設けられている。
回収扉9は、ロックが解除されると自重で開放されてリジェクト払出口7を開放し、手動で閉じるとロックが掛かる。図3では、回収扉9の閉姿勢を破線で表し、回収扉9の開姿勢を実線で表す。
回収扉9には、回収扉9の後面から後方に向けて突出する複数(図3の例では6つ)の縦リブ86と、回収扉9の後面から後方に向けて突出する複数(図3の例では2つ)の突起(第1の連動手段)88とが設けられている。以下、回収扉9の閉姿勢における上下方向および左右方向を基準として、縦リブ86および突起88について説明する。
複数の縦リブ86は、左右方向に間隔を隔てて配置されている。複数の縦リブ86の諸元は互いに共通している。各縦リブ86は、回収扉9の上端から下端まで延びている。各縦リブ86の後端縁87は鉛直である。
突起88は、回収扉9の基端部近傍に設けられている。突起88の後端89は、縦リブ86の後端縁87よりも後方に位置している。この実施形態では、突起88を、左右方向に間隔を隔てて左右一対設けられているが、突起88の個数は2つに限られず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
リジェクト払出口7の閉鎖状態(回収扉9の閉姿勢)において、分岐路40を通ってきた紙幣Bが、搬送出口40Aからリジェクト払出空間6に、横向き姿勢で払い出される。リジェクト払出空間6に払い出される紙幣Bは、縦リブ86の後端縁87に当たり、前端位置が規制されながら、集積ベース60の底板部62上に載置される。そして、この紙幣Bを、札押さえ66がその自重により上方から押さえ付ける。その後、搬送出口40Aからリジェクト払出空間6に新たな紙幣Bが払い出されると、新たな紙幣Bが札押さえを上方へと押し退けながら、既に集積されている紙幣Bの上に載置される。これにより、リジェクト払出空間6に紙幣Bが集積される。
図5は、回収扉9の開姿勢において、リジェクト払出空間6のリジェクト払出口7の近傍において紙幣Bが2つ折り姿勢で残留している状態を示す縦断面図である。
第1〜第4の有無センサ71〜74は、リジェクト払出空間6に残留する紙幣Bを第1〜第4の光軸81〜84によって漏れなく検知できるように、その設置位置や向き等が設定されている。しかしながら、図5に示すように、リジェクト払出口7の近傍において、紙幣Bが、長手方向に沿って上方に凸の2つ折り姿勢(すなわち立位姿勢)で集積ベース60の底板部62と札押さえ66との間に上下に挟まれることがある。この状態にある紙幣Bは4本の光軸81〜84のいずれも遮らない。すなわち、この状態にある紙幣Bは、第1〜第4の有無センサ71〜74によって検知できない領域(非検知領域)に配置されている。リジェクト払出空間6において紙幣Bが未検知のまま残留することは、在高異常やジャムの原因となるおそれがあり、好ましくない。
図6は、図5に示す状態から回収扉9を閉姿勢に移動した状態を示す縦断面図である。
回収扉9の閉鎖動作(開姿勢から閉姿勢への回収扉9の姿勢変更)に伴って突起88が後方に向けて移動する。このとき、突起88の後端89はリジェクト払出空間6に進入し、底板部62の前端部の直上領域を通過する。これにより、突起88の後端89は、リジェクト払出口7の近傍に位置している紙幣Bに接触してこの紙幣Bを後方へと押動させる。後方へと移動させられた紙幣Bの後端部BEは、第1の傾斜面65Aに沿って窪み65に案内され、この窪み65に嵌る。この状態で、第3および第4の光軸83,84を紙幣Bが遮るようになる。すなわち、回収扉9の閉鎖動作に伴う突起88の後方への移動により、リジェクト払出口7の近傍に位置している紙幣Bが、第3および第4の有無センサ73,74によって検知可能な領域(検知領域)まで押し出される。これにより、リジェクト払出空間6における紙幣Bの残留を確実に検知できる。なお、回収扉9が閉姿勢をとると、突起88はリジェクト払出空間6の外方へ退避する為、送り込まれる紙幣の集積動作には影響を与えない。
図7は、貨幣処理システム1の電気的構成を示すブロック図である。図7を参照して、紙幣処理装置2Aの電気的構成について説明する。図7では、とくに、リジェクト紙幣の残留検知に必要な構成を中心に記載している。
紙幣処理装置2Aは、制御装置95と、通信I/F部96と、記憶装置97とを含む。制御装置95は、たとえばマイクロコンピュータによって構成されている。制御装置95には、通信I/F部96および記憶装置97のそれぞれと、バラ紙幣処理部20と、施解錠機構(非ロック手段)92とが電気的に接続されている。また、制御装置95には、第1〜第4の有無センサ71〜74の検出出力および開閉センサ93の検出出力が与えられるようになっている。
制御装置95は、通信I/F部96を介して、硬貨入出金機2B、操作端末3およびプリンタ4や他の外部機器と通信することができる。そのため、制御装置95は、利用者による操作端末3の操作表示部3A(図1参照)の操作を受け付けたり、操作表示部3Aの表示を制御したりする。また、制御装置95は、プリンタ4によってレシートを発行する。
図7を参照して、記憶装置97は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスによって構成されていて、紙幣処理装置2Aに関する様々な情報を記憶している。
制御装置95は、バラ紙幣処理部20における前述した駆動部(図示しない)を制御する。これにより、図2を参照して、制御装置95は、各収納部25と、入金部14、出金部15、出金リジェクト部5および整理一時保留部50のそれぞれとの間においてバラ紙幣を移動させたり、収納部25同士の間においてバラ紙幣を移動させたり、シャッタ17を開閉させたり、反転部30においてバラ紙幣の表裏を反転させたりする。識別部29による紙幣の識別結果は、制御装置95に入力される。制御装置95は、識別部29によるバラ紙幣の計数結果に基いて各収納部25におけるバラ紙幣の金種および収納枚数を把握する。
制御装置95は、利用者による操作端末3の操作表示部3Aの操作によって、出金処理の指示を受け付ける。次に、制御装置95は、出金対象のバラ紙幣を収納した金種別収納部25Aから必要枚数のバラ紙幣を取り出して、環状搬送路26において図2の反時計回りに搬送し、取出搬送路28から出金部15に出金する。なお、制御装置95は、環状搬送路26内において搬送されるバラ紙幣のうち、リジェクト紙幣であると識別部29によって識別されたもの(2枚送り紙幣や金種間違い紙幣等も含む)を、分岐路40から出金リジェクト部5にリジェクトする。出金リジェクト部5に払い出されたリジェクト紙幣は、たとえば金融機関の営業時間後に回収される。次に、出金リジェクト部5からリジェクト紙幣を回収する処理(以下、単に「リジェクト紙幣回収処理」)について説明する。
図8は、貨幣処理装置2で実行されるリジェクト紙幣回収処理の流れを説明するためのフローチャートである。図9は、リジェクト紙幣回収処理の開始前の待機中における操作表示部3Aの表示内容を示す図である。図10〜図15は、リジェクト紙幣回収処理における操作表示部3Aの表示内容の一例を示す図である。以下、リジェクト紙幣回収処理について、主として図1、図2、図7および図8を参照しながら説明する。図9〜図15は適宜参照する。
制御装置95は、図9に示す待機画面101を初期画面として操作表示部3Aに表示している(図8のステップS1)。待機画面101には、貨幣処理装置2の在高情報が表示されている。具体的には、待機画面101には、紙幣処理装置2A内に収容されている紙幣の枚数が、バラ紙幣、紙幣束および新券の別に、金種毎に表示されている。併せて、待機画面101には、硬貨入出金機2B内に収容されている硬貨の枚数が、バラ硬貨および包装硬貨の別に、金種毎に表示されている。
待機画面101は、待機中の紙幣処理装置2Aの操作表示部3Aにおいて常に表示されていてもよいし、たとえば紙幣処理装置2Aに利用者が接近した場合にのみ操作表示部3Aに表示されるようになってもよい。待機画面101は、操作表示部3Aにタッチするように促すメッセージ111を含む。メッセージだけでなく待機画面101に画像を併せて表示することにより、操作表示部3Aへのタッチ操作を促すようにしてもよい。
貨幣処理装置2に対し貨幣の入金取引や貨幣の出金取引を行う場合、取引を行おうとする利用者は、貨幣処理装置2にログインしなければならない。貨幣処理装置2に対しリジェクト紙幣回収処理を行う場合にも、利用者は、貨幣処理装置2にログインしなければならない。
操作表示部3Aに待機画面101が表示されている状態で、操作表示部3Aにタッチ操作が行われると、制御装置95は、図10に示す操作者ID入力画面102を操作表示部3Aに表示する。操作者ID入力画面102には、担当者番号が空欄にされた担当者番号表示112と、テンキー113とが表示される。利用者は、テンキー113の操作により、自身に割り当てられた担当者番号を入力する。これにより、制御装置95は、利用者の担当者番号を取得できる。入力された担当者番号は、担当者番号表示112に表示される。
利用者の担当者番号は、利用者の名前や権限等と紐付け(対応付け)られて記憶装置97に記憶されており、制御装置95は、入力された担当者番号と、記憶装置97に記憶されている担当者番号とを照合して、本人認証を行う。本人認証が済めば、ログインが成功したことになる(図8のステップS2)。なお、本人認証の際にパスワード(事前に決まっている)の入力をさらに要求するようにしてもよい。ログインが成功すると、制御装置95は、操作表示部3Aに、図11に示す第1のメニュー画面103を表示させる。
また、ログインは、テンキー113を用いたものに限られず、カードを用いて行うようにしてもよい。具体的には、利用者に割り当たられたIDカードから、たとえば非接触カードリーダや磁気リーダ等の読み取り装置(図示しない)によって利用者の担当者番号を読み取り、このように読み取った担当者番号に基づいて、本人認証を行うようにしてもよい。
図11に示すように、第1のメニュー画面103には、種々の取引操作に対応する取引操作ボタン114が複数(図11の例では14つ)表示されている。出金リジェクト部5からリジェクト紙幣を利用者が回収する際には、利用者は、複数の取引操作ボタン114のうち管理業務選択ボタン115(図11の「管理業務」)を選択操作する(図8のS3:メニュー選択)。管理業務選択ボタン115が選択操作されると、制御装置95は、図12に示す第2のメニュー画面104を操作表示部3Aに表示させる。なお、利用者が管理業務を行う権限を有していない場合は、ログインしても第1のメニュー画面103に管理業務選択ボタン115は表示されず、以降の操作を実行できない。
図12に示すように、第2のメニュー画面104には、種々の管理業務操作に対応する管理操作ボタン116が複数(図12の例では11個)表示されている。出金リジェクト部5からリジェクト紙幣を利用者が回収する際には、利用者は、複数の管理操作ボタン116のうちリジェクト現金戻しボタン117(図12の「リジェクト現金戻し」)を選択操作する(図8のS3:メニュー選択)。リジェクト現金戻しボタン117が選択操作されると、制御装置95は、図13に示す第3のメニュー画面105を操作表示部3Aに表示させる。
図13に示すように、第3のメニュー画面105には、出金リジェクト部5からリジェクト紙幣を回収するために操作されるリジェクト紙幣戻しボタン118と、硬貨入出金機2Bの出金硬貨リジェクト部(図示しない)からリジェクト硬貨を回収するために操作されるリジェクト硬貨戻しボタン119とが表示されている。出金リジェクト部5からリジェクト紙幣を回収する際には、利用者は、リジェクト紙幣戻しボタン118(図13の「リジェクト紙幣戻し」)を選択操作する。リジェクト紙幣戻しボタン118が選択操作されると(図8のステップS4でYES)、制御装置95は、図14に示す第1の操作案内画面106を操作表示部3Aに表示させる(図8のステップS5)。
図14に示すように、第1の操作案内画面106には、出金リジェクト部5からリジェクト紙幣を回収(抜き取り)する旨のイラストと、リジェクト紙幣の抜き取り後に回収扉9を閉じる旨のガイダンスとが表示されている。このとき、回収扉9の施解錠機構92が解除されて、自重で回収扉9が開放される(図8のステップS6でYES)。利用者は、第1の操作案内画面106の案内に従って、出金リジェクト部5からリジェクト紙幣を回収し、その後回収扉9を手動で閉じる(図8のステップS7)。
リジェクト払出口7の近傍に紙幣が位置している場合には、回収扉9の閉鎖動作に伴って、リジェクト払出口7の近傍に位置している紙幣Bが、第3および第4の有無センサ73,74によって検知可能な領域(検知領域)まで押し出される。これにより、リジェクト払出空間6における紙幣Bの残留を確実に検知できる。
回収扉9の閉鎖は、開閉センサ93の検出出力に基づいて制御装置95によって把握される。回収扉9が閉じられた後(図8のステップS7でYES)、制御装置95は、第1〜第4の有無センサ71〜74の検出出力を調べて、リジェクト払出空間6に紙幣が残留しているか否かを調べる(図8のステップS8)。
リジェクト払出空間6において紙幣の残留が検知されなかった場合(図8のステップS8でNO)には、制御装置95は、閉鎖姿勢にある回収扉9を施解錠機構92によってロック(施錠)させ、かつ図15に示す第2の操作案内画面107を操作表示部3Aに表示させる(図8のステップS9)。
図15に示すように、第2の操作案内画面107には、出金リジェクト部5から回収したリジェクト紙幣を入金部14に投入する旨のイラストが表示されている。
利用者は、第2の操作案内画面107の案内に従って、出金リジェクト部5から回収したリジェクト紙幣を入金部14に投入する。入金部14に投入された紙幣は、環状搬送路26を介して、一時保留部25Cへと送られた後、対応する金種の金種別収納部25Aと送られ、その金種別収納部25Aで収納される(図8のS10:紙幣戻し処理)。その後、リジェクト紙幣回収処理は終了する。
一方、リジェクト払出空間6において紙幣の残留が検知された場合(図8のステップS8でYES)には、制御装置95は、閉鎖状態にある回収扉9をロック(施錠)せず(図8のステップS11)、回収扉9は開姿勢をとる。操作表示部3Aにおける、第1の操作案内画面106から第2の操作案内画面107の切り換えは、回収扉9が閉鎖状態にロックされることが前提条件となっている。そのため、制御装置95は、操作表示部3Aに第1の操作案内画面106を表示させ続け、第2の操作案内画面107には移行させない。すなわち、回収扉9にロックが掛からないために、表示内容が次の処理に移行しない上、回収扉9が開姿勢をとっており、次の処理に移行できず、これにより、利用者は、リジェクト払出空間6からの紙幣の取り残しに気づく。これにより、リジェクト払出空間6における紙幣の残留を、利用者に確実に知らせることができる。
紙幣の残留が検知された場合には、利用者は、出金リジェクト部5(リジェクト払出空間6)に残っているリジェクト紙幣を抜き取る(回収する)。その後、回収扉9が閉じられ、リジェクト払出空間6において紙幣の残留が検知されなくなると、制御装置95は、図15に示す第2の操作案内画面107を操作表示部3Aに表示させる。その後、リジェクト紙幣回収処理は終了する。
また、第1のメニュー画面103(図11参照)において管理業務選択ボタン115を除く取引操作ボタン114が選択操作された場合(図8のステップS12でYES)、第2のメニュー画面104(図12参照)においてリジェクト現金戻しボタン117を除く管理操作ボタン116が選択操作された場合(図8のステップS12でYES)、または第3のメニュー画面105(図13参照)においてリジェクト硬貨戻しボタン119が選択操作された場合(図8のステップS4でNO)には、その選択操作されたボタンに対応する所定の処理(他の処理)が実行される。
以上によりこの実施形態によれば、回収扉9の閉鎖動作に連動して、回収扉9から後方に突出する突起88が、リジェクト払出口7の近傍(第1〜第4の有無センサ71〜74によって検知されない領域(非検知領域))に位置している紙幣を、第3および第4の有無センサ73,74によって検知可能な領域(検知領域)まで押動させる。これにより、リジェクト払出空間6における紙幣の残留を確実に検知できる。
また、回収扉9の閉鎖動作に関連して有無センサ73,74が紙幣の残留を検知した場合に、制御装置95は、回収扉9を閉鎖状態にロックしない。回収扉9にロックが掛からないために、次の処理に移行できず、これにより、利用者は、紙幣の残留に気づく。これにより、リジェクト払出空間6における紙幣の残留を、利用者に確実に知らせることができる。
以上、この発明の第1の実施形態について説明したが、この第1の実施形態について次に述べるような変形を施すことができる。
たとえば、回収扉9の施解錠機構92(図7参照)は、電磁ロックに限られず、たとえば、機械的な係合/係合解除により施解錠操作を行う機械式の施解錠機構であってもよい。また、回収扉9をモータ等の駆動手段によって開閉させるようにしてもよい。
また、リジェクト払出空間6の閉鎖動作に関連して有無センサ71〜74が紙幣の残留を検知した場合に、紙幣の残留を報知するようにしてもよい。この残留の報知は、操作表示部3A等の表示手段に、リジェクト払出空間6に紙幣が残留している旨を示すイラストやガイダンスを表示することによって行ってもよい。この場合、操作表示部3Aおよび制御装置95が、表示報知手段に相当する。また、リジェクト払出空間6に紙幣が残留している旨を示すガイダンスをスピーカ(図示しない)等から発報させることにより、残留の報知を行ってもよい。この場合、スピーカおよび制御装置95が、音声報知手段に相当する。これらにより、リジェクト払出空間6における紙幣の残留を、利用者に確実に知らせることができる。
また、紙幣を押動する手段(第1の連動手段)は、回収扉9に設けられた突起88に限られない。たとえば、紙幣を押動する手段(第1の連動手段)は、図16Aに示すように、回収扉9とは別に設けられた押動部材201と、回収扉9と押動部材201とを連結するリンク機構202とを含んでいてもよい。押動部材201は、前後に長い長尺状をなしている。押動部材201は、集積ベース60の底板部62の前端部において左右に延びて配置された回動軸203まわりに回動自在に設けられている。リンク機構202は、押動部材201の下端部と回収扉9の基端部とをつなぐリングレバーである。
この場合、図16Bに示すように、回収扉9の閉鎖動作に伴って、押動部材201が回動軸203周りの一方向(図16Bの時計回り)に回動し、押動部材201の上端部が後方に移動する。このとき、押動部材201の上端部は底板部62の前端部の直上領域を通過する。これにより、押動部材201の上端部は、リジェクト払出口7の近傍に位置している紙幣Bに接触してこの紙幣Bを後方へと押動させる。後方へと移動させられた紙幣Bが、第3および第4の光軸83,84を遮るようになる。これにより、リジェクト払出空間6における紙幣Bの残留を確実に検知できる。
また、本発明の適用は、リジェクト払出口7を回収扉9で開閉するタイプの出金リジェクト部5に限られない。たとえば、リジェクト払出空間(収容空間)301を手前に引き出き出すタイプの出金リジェクト部302に本発明が適用されてもよい。
図17Aおよび図17Bに示すように、出金リジェクト部302は、装置本体10の前面に形成されたリジェクト払出口(払出口)305を含む。装置本体10の前面には、リジェクト払出口305から装置本体10内へ窪んだ凹状(方体状)の収納空間310が形成されている。
出金リジェクト部302は、さらに、収納空間310に収納されるリジェクト払出容器(収容容器)303を含む。リジェクト払出容器303の内部には、リジェクト払出空間6と同等のリジェクト払出空間301が区画されている。リジェクト払出容器303は、収納空間310に全て収納される収納位置(図17B参照)と、収納位置(図17B参照)よりも前方に設定された引出位置(図17A参照)との間でスライド以降可能に設けられている。リジェクト払出容器303が収納位置(図17B参照)に配置された状態で、リジェクト払出容器303の前端部が払出口305を閉鎖している。このとき、リジェクト払出空間301は閉鎖されており、この状態で、リジェクト払出空間301が搬送路からのリジェクト紙幣を受けることができる。また、リジェクト払出容器303が引出位置(図17A参照)に配置された状態で、リジェクト払出空間301の全てが開放し、この状態において、リジェクト払出空間301に集積されているリジェクト紙幣を利用者が回収することができる。
リジェクト払出容器303は、前述の集積ベース60と、集積ベース60の前面を構成する回収扉304と、前後動可能なたとえば板状のスライダ307と、集積ベース60とスライダ307とを互いに同伴して前後可能に連結させる連結機構(図示しない)とを含む。回収扉304は、集積ベース60に同伴して前後動する。連結機構は、リジェクト払出容器303が収納位置(図17B参照)から前方に引き出されている状態では、集積ベース60とスライダ307とが同伴前後動するように連結する。また、連結機構は、リジェクト払出容器303が収納空間310にある状態で、集積ベース60とスライダ307との相対前後動を許容する。そのため、引出位置(図17A参照)から収納位置(図17B参照)に向けてリジェクト払出容器303を移動させると、リジェクト払出容器303が収納位置(図17B参照)に達する直前でスライダ307の後端が、装置本体10内に固定的に配置された当て部308に当接して停止し、集積ベース60のみが後方に相対移動する。これにより、押動部材306が回動軸309周りの一方向(図17Bの時計回り)に回動する。
すなわち、収納位置(図17B参照)へのリジェクト払出容器303の戻し動作に伴って、押動部材306が回動軸308周りの一方向(図17Bの時計回り)に回動し、押動部材306の上端部が後方に移動する。このとき、押動部材306の上端部は、リジェクト払出容器303の底板部62の前端部の直上領域を通過する。これにより、押動部材306の上端部は、リジェクト払出空間301の前端部に位置している紙幣Bに接触してこの紙幣Bを後方へと押動させる。後方へと移動させられた紙幣Bが、第3および第4の光軸83,84を遮るようになる。これにより、リジェクト払出空間301における紙幣Bの残留を確実に検知できる。図17Aおよび図17Bの構成では、押動部材306、スライダ307および当て部308によって第2の連動手段が構成されている。
また、装置本体10の前面ではなく、装置本体10の前面から内方に配置された出金リジェクト部に、本発明が適用されていてもよい。このような出金リジェクト部として、たとえば特許第5602357号公報に開示されている出金リジェクト部26と同等の構成を採用することができる。出金リジェクト部からの紙幣の回収時には、出金リジェクト部が収容されたユニット(内部ユニット)を前方へと引き出して、出金リジェクト部を露出させ、その状態で、出金リジェクト部の前面に設けられた回収扉を開放させる。
また、紙幣を押動する部材(第1および第2の連動手段)は、紙幣を後方へ向けて移動させるものに限られず、非検知領域から検知領域へ紙幣を押動させるものであれば、その移動方向は問わない。すなわち、紙幣を押動する部材(第1および第2の連動手段)は、紙幣を前方へ向けて押動させるものであってもよいし、紙幣を左右側方から内方へ向けて押動させるものでもかまわない。
また、紙幣を押動する部材(第1および第2の連動手段)は、回収扉9の閉鎖動作に連動して、リジェクト払出空間6,301の下部領域を通過するものに限られず、それ以外の領域を通過するものであってもよい。
また、第1の実施形態では、検知領域に紙幣が達したか否かを検知手段(第1〜第4の有無センサ71〜74)によって直接検出する構成を例に挙げて説明したが、検知手段は、紙幣の動きに連動する連動部材(たとえばレバー)を間接的に検出する構成であってもよい。
また、前述の説明では、出金リジェクト部5に着目して貨幣処理装置2について説明したが、本発明は出金部15にも適用できる。この場合、出金部15の払出空間における非検知領域に位置している紙幣を、出金部15の払出空間の閉鎖動作に連動して、検知領域へと移動させ、これにより、その紙幣の残留を検知させる。
次に、この発明の第2の実施形態について説明する。
本発明の第2の実施形態は、整理一時保留部50(図2参照。第1および第2の整理一時保留部50A,50B)において紙幣の残留検知を行うことを特徴としており、かかる特徴に関連する点について以下説明する。紙幣処理装置2Aには、本発明の第1の実施形態だけでなく、本発明の第2の実施形態も適用されており、そのため、本発明の第2の実施形態についても、紙幣処理装置2Aを用いて説明する。
まず、整理一時保留部50について説明する。上側の第1の整理一時保留部50Aおよび下側の第2の整理一時保留部50Bは、鉛直方向に沿って並んでいる。整理一時保留部50に含まれる第1および第2の整理一時保留部50A,50Bは、互いに同等の構成である。そのため、以下では、第1の整理一時保留部50Aについてのみ説明し、第2の整理一時保留部50Bについての説明は省略する。
図18は、第1の整理一時保留部50Aの構成を説明するための模式的な側面図である。図19は、第1の整理一時保留部50Aの構成を説明するための模式的な平面図である。図20は、第1の整理一時保留部50Aの構成を説明するための模式的な正面図である。この図20では、図18を矢視XXから見ている。
第1の整理一時保留部50Aは、バラ紙幣処理部20(図2参照)から送られたバラ紙幣Bを集積する集積ステージ401と、集積ステージ401の上に集積されているバラ紙幣Bの前端をそれぞれ規制する上ストッパ402および下ストッパ403と、上ストッパ402および下ストッパ403に対し後方に間隔を空けて対向する後壁404とを含む。集積ステージ401と、上ストッパ402と、下ストッパ403と、後壁404とによって、バラ紙幣Bを集積するための整理一保収容空間405(収容空間)が区画されている。
集積ステージ401には、集積対象のバラ紙幣Bが積層状態で載置される。集積ステージ401は、平坦かつ水平な載置面406を上面として有している。集積ステージ401には、ステージ駆動ユニット(図示しない)が結合されている。ステージ駆動ユニットは、集積ステージ401を昇降させる。集積ステージ401の前端部は、櫛歯形状である。具体的には、集積ステージ401の前端部には、後述する第1のアーム機構431(図22参照。とくに下ハンド434(図22参照))を通過させるための切り欠き407が左右方向に並んで形成されている。そのため、第1のアーム機構431を、集積ステージ401を通過させて移動させることができる。
上ストッパ402は、略板状の板材であり、鉛直姿勢をしている。上ストッパ402の下端部は、櫛歯形状である。具体的には、上ストッパ402の下端部には、第1のアーム機構(進入部材)431(図22参照)の上ハンド433(図22参照)を通過させるための切り欠き408が左右方向に並んで形成されている。上ストッパ402は、その左端縁が、鉛直方向に延びる回動軸418まわりに回動自在に設けられている。上ストッパ402は、左右方向に沿う閉姿勢(図19に実線で図示)と、閉姿勢に対し、右側が手前側に引き出された開姿勢(図19に破線で図示)との間で姿勢変更可能に設けられている。上ストッパ402には、弾性部材(図示しない)が結合されている。弾性部材は、上ストッパ402を、閉姿勢と開姿勢との間の中間姿勢(図19に一点鎖線で図示)に向けて弾性押圧する。
第1の整理一時保留部50Aは、閉姿勢をなしている上ストッパ402を施解錠するロック機構409をさらに含む。ロック機構409は、たとえば電磁ロックを用いて構成されている。
下ストッパ403は、たとえば左右方向に並ぶ複数の爪部材410と、中心軸線回りに回動可能な回動軸であって、複数の爪部材410が共通して固定された回動軸411とを含む。回動軸411の回動により、複数の爪部材410は回動軸411の中心軸線回りに揺動する。回動軸411および複数の爪部材410は、複数の爪部材410が鉛直な鉛直姿勢と、複数の爪部材410が水平な水平姿勢との間で姿勢変更可能に設けられている。下ストッパ403は、回動軸411および複数の爪部材410を、鉛直姿勢に向けて弾性押圧する弾性部材をさらに含む。
図18に示すように、第1の整理一時保留部50Aは、バラ紙幣処理部20から供給路31を経由して送られてくるバラ紙幣Bを集積ステージ401上に集積させるべく、当該バラ紙幣Bの後端部を叩くための札叩き用羽根車412と、集積ステージ401上に載置されているバラ紙幣Bのうち最上位のバラ紙幣の高さ位置を検出する位置センサ413(図18のみ図示)とをさらに含む。札叩き用羽根車412は、ゴム等の弾性材料を用いて形成されており、回転軸414を中心として回転方向Rに向けて回転している。位置センサ413は、集積ステージ401上に、その上面との所定の上下間隔を隔てて配置されている。位置センサ413によって検知される最上位のバラ紙幣の高さ位置が所定高さ未満になると、ステージ駆動ユニットは、図18に二点鎖線で示すように、集積ステージ401を下降させ、バラ紙幣Bの集積領域を確保させる。
図21は、第5〜第7の有無センサ215〜217の構成を説明するための図である。図19および図21を参照しながら、整理一保収容空間405におけるバラ紙幣Bの残留検知について説明する。
各整理一時保留部50A,50Bは、整理一保収容空間405におけるバラ紙幣Bの残留を検知する検知手段をさらに含む。この第2の実施形態では、検知手段は、複数(この実施形態ではたとえば3つ)の有無センサ(第5〜第7の有無センサ415〜417)を含む。
第5の有無センサ415は、バラ紙幣Bによって光軸415aまたは光軸415bが遮られることにより、整理一保収容空間405におけるバラ紙幣Bの残留を検知する。光軸415a,415bは、整理一保収容空間405におけるバラ紙幣Bの集積領域(集積ステージ401の上方領域)の、左端部における、前端部分および中央より後寄り部分をそれぞれ通る。
この実施形態では、第5の有無センサ415は、一組の発光素子421および受光素子422と、発光素子421の光軸(光軸415aおよび光軸415bの一方。たとえば光軸415a)と受光素子422の光軸(光軸415aおよび光軸415bの他方。たとえば光軸415b)とを接続するプリズム423とを含む。発光素子421から発せられた光が発光素子421の光軸を通ってプリズム423の2つの傾斜面423a,423bで反射させられた後、受光素子422の光軸を通って受光素子422により受けられる。
第6の有無センサ416は、バラ紙幣Bによって光軸416aまたは光軸416bが遮られることにより、整理一保収容空間405におけるバラ紙幣Bの残留を検知する。光軸416a,416bは、整理一保収容空間405におけるバラ紙幣Bの集積領域(集積ステージ401の上方領域)の、中央より左寄り部分における、前端部分および中央より後寄り部分をそれぞれ通る。第6の有無センサ416は、第5の有無センサ415と同様、一組の発光素子421および受光素子422と、発光素子421の光軸(光軸416aおよび光軸416bの一方。たとえば光軸416a)と受光素子422の光軸(光軸416aおよび光軸416bの他方。たとえば光軸416b)とを接続するプリズム423とを含む。
第7の有無センサ417は、バラ紙幣Bによって光軸417aまたは光軸417bが遮られることにより、整理一保収容空間405におけるバラ紙幣Bの残留を検知する。光軸417a,417bは、整理一保収容空間405におけるバラ紙幣Bの集積領域(集積ステージ401の上方領域)の、後端部分における、左右方向中央部分および右寄り部分をそれぞれ通る。第7の有無センサ417は、第5の有無センサ415と同様、一組の発光素子421および受光素子422と、発光素子421の光軸(光軸417aおよび光軸417bの一方。たとえば光軸417a)と受光素子422の光軸(光軸417aおよび光軸417bの他方。たとえば光軸417b)とを接続するプリズム423とを含む。
図22は、整理一時保留部50および結束機構51の構成を説明するための模式的な側面図である。図22を参照しながら、結束機構51の構成について説明する。結束機構51は、第1および第2の整理一時保留部50A,50Bに集積されているバラ紙幣Bのまとまり(たとえば100枚のバラ紙幣)を取り出し、取り出されたバラ紙幣Bのまとまりを結束し、かつ結束された紙幣束を縦搬送路52(図24等参照)に搬送する。
結束機構51は、整理一時保留部50に集積されているバラ紙幣Bのまとまりを、上下に挟むことによって掴む第1のアーム機構431と、第1のアーム機構431に保持されているバラ紙幣Bを結束する結束部(図示しない)と、結束後の紙幣束を、第1のアーム機構431から受け取って、縦搬送路52に引き渡す第2のアーム機構(図示しない)とを含む。
第1のアーム機構431は、アーム本体432と、アーム本体432に取り付けられた上ハンド433および下ハンド434と、アーム本体432を昇降させるアーム昇降ユニット435と、アーム本体432を前後方向に移動させるアーム前後動ユニット436と、上ハンド433および下ハンド434との間隔を調整するための間隔調整ユニット437とを含む。第1のアーム機構431は、整理一時保留部50に集積されているバラ紙幣Bのまとまりを、上ハンド433および下ハンド434によって上下から挟むことで掴み、これにより、掴んだバラ紙幣Bのまとまりを整理一時保留部50から取り出す。
アーム昇降ユニット435は、アーム本体432を、第1の整理一時保留部50Aの前側に対向する上位置(図22に破線で示す)と、第2の整理一時保留部50Bの前側に対向する下位置(図22に実線等で示す)との間で昇降させる。また、アーム前後動ユニット436は、アーム本体432を、上位置および下位置の双方において、整理一時保留部50A,50Bに接近する接近位置(図22に一点鎖線で示す)と、整理一時保留部50A,50Bから離反する離反位置(図22に二点鎖線で示す)との間で移動させる。この実施形態では、アーム本体432は、接近位置と、離反位置と、接近位置と離反位置との間に設定された待機位置(図22に実線で示す)との間で移動可能に設けられている。間隔調整ユニット437は、上ハンド433および下ハンド434の間隔を任意の間隔に調整する。
次に、第1のアーム機構431による第1および第2の整理一時保留部50A,50Bの整理一保収容空間405からのバラ紙幣のまとまりの取り出し動作(以下、「アーム取り出し動作」という)について説明する。
図22に示すように、第1のアーム機構431によって、第1の整理一時保留部50Aに集積されているバラ紙幣Bのまとまりを取り出す際には、アーム昇降ユニット435がアーム本体432を上位置に配置する。また、間隔調整ユニット437は、上下のハンド433,434の間隔を、取り出し対象のバラ紙幣Bのまとまりの厚み(たとえば約1cm)よりも十分に大きい第1の間隔W1に調整する。間隔W1はたとえば約5cmである。この状態で、アーム前後動ユニット436が、アーム本体432を、それまでの待機位置から接近位置に向けて移動させる。これにより、上下のハンド433,434が後方に向けて進出し、第1の整理一時保留部50Aの整理一保収容空間405に進入する。上下のハンド433,434の最大の進出状態を保ちながら、間隔調整ユニット437は、上下のハンド433,434の間隔を最小限まで狭める。これにより、バラ紙幣Bのまとまりが、上下のハンド433,434によって挟持される(掴まれる)。その後、上下のハンド433,434の狭状態が保たれながら、アーム前後動ユニット436が、第1のアーム機構431を待機位置に向けて移動させる。これにより、上下のハンド433,434が、第1の整理一時保留部50Aの整理一保収容空間405から退避し、これに併せて、上下のハンド433,434に挟持されているバラ紙幣Bのまとまりも、整理一保収容空間405外に引き出される。このとき、バラ紙幣Bのまとまりに押されて、下ストッパ403が、鉛直姿勢から水平姿勢へと姿勢変更させられる。整理一保収容空間405から取り出されたバラ紙幣Bのまとまりは、第1のアーム機構431によって掴まれた状態のまま結束部(図示しない)に搬送させられ、掴んだ状態のまま結束される。このようにして作成された紙幣束は、第1のアーム機構431から第2のアーム機構(図示しない)に受け渡される。
また、第1のアーム機構431によって、第2の整理一時保留部50Bに集積されているバラ紙幣Bのまとまりを取り出す際には、アーム昇降ユニット435がアーム本体432を下位置に配置する。また、間隔調整ユニット437は、上下のハンド433,434の間隔を第1の間隔W1に調整する。この状態で、アーム前後動ユニット436が、アーム本体432を、それまでの待機位置から接近位置に向けて移動させる。これにより、上下のハンド433,434が後方に向けて進出し、第2の整理一時保留部50Bの整理一保収容空間405に進入する。上下のハンド433,434の最大の進出状態を保ちながら、間隔調整ユニット437は、上下のハンド433,434の間隔を最小限まで狭める。これにより、バラ紙幣のまとまりが、上下のハンド433,434によって挟持される(掴まれる)。上下のハンド433,434の狭状態が保たれながら、アーム前後動ユニット436が、第1のアーム機構431を待機位置に向けて移動させる。これにより、上下のハンド433,434が、第2の整理一時保留部50Bの整理一保収容空間405から退避し、これに併せて、上下のハンド433,434に挟持されているバラ紙幣Bのまとまりも、整理一保収容空間405外に引き出される。このとき、バラ紙幣Bのまとまりに押されて、下ストッパ403が、鉛直姿勢から水平姿勢へと姿勢変更させられる。整理一保収容空間405から取り出されたバラ紙幣Bのまとまりは、第1のアーム機構431によって掴まれた状態のまま結束部(図示しない)に搬送させられ、掴んだ状態のまま結束される。このようにして作成された紙幣束は、第1のアーム機構431から第2のアーム機構(図示しない)に受け渡される。
また、第1のアーム機構431の近傍には、当該第1のアーム機構431の上下のハンド433,434によって支持されているバラ紙幣のまとまりや紙幣帯をガイドするためのガイド部438が設けられている。ガイド部438は、バラ紙幣のまとまりの左端部や紙幣帯の左端部を下方からガイドする水平なガイド片439を備えている。ガイド片439によるガイドによって、バラ紙幣のまとまりや紙幣帯が自重により下方へ垂れ下がることを抑制または防止している。ガイド部438には、ガイド片439を昇降させるためのガイド昇降ユニット440が結合されている。
図23は、貨幣処理システム1の電気的構成を示すブロック図である。図23を参照して、紙幣処理装置2Aの電気的構成について説明する。図23では、とくに、整理一時保留部50における紙幣の残留検知に必要な構成を中心に記載している。
なお、図23に記載の部分につき、図7に示された各部に対応する部分については、詳細な説明を省略する。
制御装置95は、結束機構51のアーム昇降ユニット435、結束機構51の間隔調整ユニット437および結束機構51のガイド昇降ユニット440の動作や、紙幣束処理部21における他の駆動部(図示しない)の動作を制御する。また、制御装置95には、各整理一時保留部50A,50Bの第5〜第7の有無センサ415〜417からの検出出力や、中段ユニット10B(図2参照)が後方に押し込まれた押し込み状態にあることを検知するためのユニット閉センサ442からの検出出力が入力されるようになっている。
図24は、紙幣処理装置2Aの内部構成の概要を示す模式図である。紙幣処理装置2Aにおいて、前述のように結束機構51がバラ紙幣を結束して紙幣束を形成する。結束対象のバラ紙幣は、金種別収納部25Aに収容されているバラ紙幣であってもよいし、入金口12から入金部14に入金されたバラ紙幣であってもよい。
金種別収納部25Aに収容されているバラ紙幣を結束して紙幣束を形成する場合、制御装置95は、紙幣束の形成対象の金種の金種別収納部25Aから必要枚数のバラ紙幣を取り出して、環状搬送路26において図24の時計回りに搬送し(図24の実線の矢印Y1を参照)、供給路31を経由して整理一時保留部50A,50Bに集積させる。整理一時保留部50A,50Bに所定枚数(たとえば100枚)のバラ紙幣が集積されると、制御装置95は、結束機構51を制御して、第1のアーム機構431を整理一時保留部50A,50Bに進入させ、整理一時保留部50A,50Bに集積されているバラ紙幣を第1のアーム機構431で掴んで取り出す。そして、制御装置95は、取り出したバラ紙幣を、整理一時保留部50A,50Bよりも前方に配置された結束部(図示しない)で結束して紙幣束を形成する。結束後の紙幣束は、第2のアーム機構(図示しない)に受け渡され、第2のアーム機構によって1つずつリフト53上に載置される。
一方、入金部14に入金されたバラ紙幣を結束して紙幣束を形成する場合、制御装置95は、利用者によって入金部14に入金されたバラ紙幣を環状搬送路26において図24の時計回りに搬送し(図24の実線の矢印Y1を参照)する。制御装置95は、環状搬送路26内において搬送されるバラ紙幣のうち、リジェクト紙幣であると識別部29によって識別されたもの(2枚送り紙幣や識別不能紙幣等も含む)を、取出搬送路28から出金部15にリジェクトし、リジェクト紙幣以外の紙幣つまり入金対象のバラ紙幣を、供給路31を経由して整理一時保留部50A,50Bに集積させる。
整理一時保留部50A,50Bに所定枚数(たとえば100枚)のバラ紙幣が集積されると、制御装置95は、結束機構51を制御して、第1のアーム機構431を整理一時保留部50A,50Bに進入させ、整理一時保留部50A,50Bに集積されているバラ紙幣を第1のアーム機構431で掴んで取り出す。そして、制御装置95は、取り出したバラ紙幣を、整理一時保留部50A,50Bよりも前方に配置された結束部(図示しない)で結束して紙幣束を形成する。結束後の紙幣束は、第2のアーム機構(図示しない)に受け渡され、第2のアーム機構によって1つずつリフト53上に載置される。
第1の整理一時保留部50Aに対するバラ紙幣のまとまりの取り出し処理、および取り出したバラ紙幣のまとまりに対する結束処理と、第2の整理一時保留部50Bに対するバラ紙幣のまとまりの取り出し処理、および取り出したバラ紙幣のまとまりに対する結束処理とは交互に行われる。具体的には、第1のアーム機構431が、第1および第2の整理一時保留部50A,50Bの一方に集積されているバラ紙幣に対して、取り出し処理や結束処理を行っている間に、第1および第2の整理一時保留部50A,50Bの他方に後続の紙幣が送り込まれる。そして、第1および第2の整理一時保留部50A,50Bの他方に集積されたバラ紙幣のまとまりに対して、取り出し処理や結束処理を行っている間に、さらに後続の紙幣が、第1および第2の整理一時保留部50A,50Bの前記一方に送り込まれる。これにより、紙幣処理装置2Aにおける紙幣束の形成速度を速めることができる。
その後、リフト53の上昇に伴って、縦搬送路52内を紙幣束が上昇(揚送)させられる。結束後の紙幣束Tは、図24で実線の矢印Y2で示すように、縦搬送路52の上端に達した後に横搬送路54内を水平移動させられ、対応する金種の収納部56に収納されてもよい。また、結束後の紙幣束Tは、図24で破線の矢印Y3で示すように、その後直ちに、縦搬送路52の途中部に連通する紙幣束払出口11から出金されてもよい。
ところで、入金部14に入金されたバラ紙幣を結束して紙幣束を形成する場合、入金部14に入金されるバラ紙幣が、一つの紙幣束に含まれるきっちりの枚数(たとえば100枚)であれば問題ないが、入金されたバラ紙幣に端数がある場合、その端数のバラ紙幣は結束されずに第1または第2の整理一時保留部50A,50Bの内部に残留することになる。この場合、整理一時保留部50A,50B内から端数のバラ紙幣を抜き取る必要がある。
具体的には、端数のバラ紙幣の抜き取り作業は、以下の手順で行う。以下、図2、図18〜図23を参照しながら説明する。
まず、利用者は、操作表示部3A(図1等参照)を操作して(所定枚数のバラ紙幣を結束する)整理処理の完了操作を行う。これにより、第1のアーム機構431が、離反位置(図22に二点鎖線で示す位置)へ退避させられる。第1のアーム機構431の退避に伴い、第1および第2の整理一時保留部50A,50Bの前面が露出するようになる。また、ガイド部438が、最上位に設定された退避位置(図示しない)に退避させられる。
その後、上ストッパ402のロック機構409(図示しない)が解除させられる。ロック機構409のロックが解除されると、上ストッパ402はポップアップし、中間姿勢(図19に一点鎖線で図示)まで開かれる。
これら一連の動作の終了後、中段ユニット10B(図2参照)のロック機構(図示しない)が解除される。ロックの解除に伴って中段ユニット10Bはポップアップし、手動で手前側に引出し可能となる。
その後、利用者は、中段ユニット10Bを手前側に引き出すことにより整理一時保留部50および結束機構51を露出させる。この状態で、第1および第2の整理一時保留部50A,50Bの前面が露出しているので、第1および第2の整理一時保留部50A,50Bの前面の周囲の状態を目視確認することができる。
次いで、利用者は、第1および/または第2の整理一時保留部50A,50Bの上ストッパ402を、回動軸418まわりに手前側に大きく引き出し、第1および/または第2の整理一時保留部50A,50Bの内部を開放する。上ストッパ402を大きく引き出した状態を図19に破線にて示す。その後、利用者は、第1および第2の整理一時保留部50A,50Bの整理一保収容空間405に手を差し込んで、整理一保収容空間405に収容されている端数のバラ紙幣を抜き出す。上ストッパ402の開放端が左端(利用者側の端部)であるので、上ストッパ402の開放状態において、利用者が整理一保収容空間405の内部を目視し易い。そのため、この抜き取り作業においてバラ紙幣Bの取り忘れが生じにくい。
また、上ストッパ402が閉姿勢と開姿勢との間の中間姿勢に向けて弾性押圧されているので、中段ユニット10Bの引き出し状態において既に上ストッパ402が中間姿勢にある。そのため、引き出し状態の直後から、整理一時保留部50A,50Bの整理一保収容空間405を目視することができる。
また、別の観点から見れば、上ストッパ402の開放量が規制されている。そのため、引出し衝撃に起因する端数のバラ紙幣Bの落下を防止することができる。
このような端数のバラ紙幣Bの抜き取り作業においては、利用者(たとえば銀行の係員)は、整理一保収容空間405に残っている全ての紙幣を抜き取る。抜き取り作業の終了後、中段ユニット10Bを後方へ押し込んで押し込み状態とする。中段ユニット10Bの押し込み動作に連動して、結束機構51の後端に配置された押し込みローラ(図示しない)が、中間姿勢をなす上ストッパ402に当たって当該上ストッパ402を閉姿勢に姿勢変更する。その後、閉姿勢になった上ストッパ402は、ロック機構409(図示しない)によって閉姿勢に保持される。
しかしながら、抜き取り作業においてバラ紙幣の抜き忘れが生じる場合がある。そして、抜き忘れられたバラ紙幣Bが、図20に太字の破線で示すように、整理一保収容空間405の出口405a(図18参照)付近で立位姿勢をなしていることがある。
前述の第5〜第7の有無センサ415〜417による光軸の配置位置等は、整理一保収容空間405に積層状態で収容されているバラ紙幣Bを、光軸415a,415b,416a,416b,417a,417bによって漏れなく検知できるように設定されている。しかしながら、出口405a付近で立位姿勢をなしている紙幣Bは、これらの光軸415a,415b,416a,416b,417a,417bのいずれも遮らない。すなわち、この状態にある紙幣Bは、第5〜第7の有無センサ415〜417によって検知できない領域(非検知領域)に配置されている。整理一保収容空間405において紙幣Bが未検知のまま残留することは、在高異常やジャムの原因となるおそれがあり、好ましくない。
そのため、この実施形態では、所定タイミングにおいて、整理一保収容空間405において紙幣Bが未検知のまま残留していないか否かを検知するための残留検知漏れチェック処理が実行される。この残留検知漏れチェック処理は、中段ユニット10Bの押し込み動作の完了時、電源オン時、またはリセット時に行われる。
図25は、紙幣処理装置2Aにおいて実行される残留検知漏れチェック処理の流れを説明するためのフローチャートである。図26および図27は、紙幣処理装置2Aにおいて実行される残留検知漏れチェック処理の流れを説明するための模式的な側面図である。図28は、操作表示部3Aの表示内容の一例を示す図である。残留検知漏れチェック処理について、以下、図2、図18〜図28を参照しながら説明する。
制御装置95は、ユニット閉センサ442からの検出出力を参照し、中段ユニット10Bの押し込み動作の完了があるか否かを監視している(図25のステップS11)。また、制御装置95は、制御装置95に入力される電源信号やリセット信号を参照している。
制御装置95は、中段ユニット10Bの押し込み動作の完了があったと判断すると(図25のステップS11でYES)、第1のアーム機構431を整理一保収容空間405に進入させるアーム進入動作を実行する(図25のステップS12)。このアーム進入動作は、整理一保収容空間405における非検知領域(出口405a付近)に位置しているバラ紙幣を、第5〜第7の有無センサ415〜417によって検知可能な領域(検知領域)へと押動させるために行われる。
以下、S12のアーム進入動作について具体的に説明する。
制御装置95は、まず、第2の整理一時保留部50Bの整理一保収容空間405に対し、アーム進入動作を実行する。具体的には、制御装置95は、アーム昇降ユニット435を制御してアーム本体432を下位置に配置する。また、間隔調整ユニット437は、上下のハンド433,434の間隔を、前記の第1の間隔W1よりもやや狭い第2の間隔W2に調整する。第2の間隔W2はたとえば約2cmである。この状態で、制御装置95は、アーム前後動ユニット436を制御して、アーム本体432を、それまでの待機位置(図22に実線で図示)から接近位置(図22に一点鎖線で図示)に向けて移動させる。これにより、上下のハンド433,434が後方に向けて進出し、第2の整理一時保留部50Bの整理一保収容空間405に進入する。上下のハンド433,434が所定の進入位置(図27に示す位置)まで進入されると、その後、制御装置95は、アーム前後動ユニット436を制御して、アーム本体432を待機位置に向けて移動させる。これにより、上下のハンド433,434が、第2の整理一時保留部50Bの整理一保収容空間405から前方に退避する。
このアーム進出動作の態様は、上下のハンド433,434の間隔W2に調整し、かつハンド433,434の前後動のみしか行わない、というものである。これに対し、前述のアーム取り出し動作の態様は、当初上下のハンド433,434の間隔W1に調整し、かつハンド433,434の進入後にハンド433,434の間隔をそれまでよりも狭めるという動作である。すなわち、アーム進出動作の態様は、アーム取り出し動作の態様と異なっている。
図26に示すように、第2の整理一時保留部50Bの整理一保収容空間405における非検知領域(出口405a付近)にバラ紙幣Bが立位姿勢で存在している場合を考える。この場合、アーム進入動作に伴って、上下のハンド433,434が所定の進入位置まで進入される。このハンド433,434に押されて、出口405a付近に立位姿勢で存在するバラ紙幣Bが、図27に示すように集積ステージ401上に倒れる。この状態では、バラ紙幣Bは、第5〜第7の有無センサ415〜417によって検知可能である。図27の例では、第6および第7の有無センサ416,417によって検知される。これにより、第1の整理一時保留部50Aの整理一保収容空間405におけるバラ紙幣Bの残留を確実に検知できる。
次いで、制御装置95は、第1の整理一時保留部50Aの整理一保収容空間405に対し、アーム進入動作を実行する。アーム昇降ユニット435を制御してアーム本体432(すなわち、第1のアーム機構431)を上位置に配置する。また、間隔調整ユニット437は、上下のハンド433,434の間隔を第2の間隔W2に調整する。この状態で、制御装置95は、アーム前後動ユニット436を制御して、アーム本体432を、それまでの待機位置から接近位置に向けて移動させる。これにより、上下のハンド433,434が後方に向けて進出し、第1の整理一時保留部50Aの整理一保収容空間405に進入する。上下のハンド433,434が進入位置まで進入されると、制御装置95は、アーム前後動ユニット436を制御して、アーム本体432を待機位置に向けて移動させる。これにより、上下のハンド433,434が、第2の整理一時保留部50Bの整理一保収容空間405から前方に退避する。第1の整理一時保留部50Aの整理一保収容空間405における出口405a付近にバラ紙幣Bが立位姿勢で存在している場合には、アーム進入動作に伴って、バラ紙幣Bが集積ステージ401上に倒れ、第6および第7の有無センサ416,417によって検知される。これにより、第1の整理一時保留部50Aの整理一保収容空間405におけるバラ紙幣Bの残留を確実に検知できる。
そして、第2の整理一時保留部50Bの整理一保収容空間405または第1の整理一時保留部50Aの整理一保収容空間405のいずれかにおいて、バラ紙幣の残留が検知された場合には(図25のステップS13でYES)、制御装置95は、残留報知として、図28に示すような残留報知画面を、操作表示部3Aに表示する(図25のステップS14)。また、制御装置95が中段ユニット10Bのロック機構(図示しない)を解除する。これにより、中段ユニット10Bがポップアップされる(図25のステップS15)。このポップアップにより、整理一時保留部50B内または整理一時保留部50A内にバラ紙幣が残留していることを、利用者に報知できる。
その後、利用者は、前述のような端数のバラ紙幣の抜き取り作業を行う。抜き取り作業の終了後、利用者は、中段ユニット10Bを後方へ押し込む。中段ユニット10Bの押し込み動作完了後には、制御装置95は、図25のS13に戻り、第1または第2の整理一時保留部50A,50B内にバラ紙幣が残留しているか否かを判断する(図25のS13)。
一方、いずれの整理一保収容空間405においても、バラ紙幣の残留が検知されなかった場合には(図25のステップS13でNO)、その後、図25に示す残留検知漏れチェック処理がそのままリターンされる。
また、図25のS11において、電源オンがされて電源オンの旨を示す電源信号が制御装置95に入力されたり、リセット処理が行われてリセット信号が制御装置95に入力されたりすると(ステップS11でNOかつ図25のステップS17でYES)、第1のアーム機構431を整理一保収容空間405に進入させるアーム進入動作を実行する(図25のステップS18)。S18のアーム進入動作は、S12のアーム進入動作と同等であり、そのため、説明を省略する。
そして第2の整理一時保留部50Bの整理一保収容空間405または第1の整理一時保留部50Aの整理一保収容空間405のいずれかにおいて、バラ紙幣の残留が検知された場合には(図25のステップS19でYES)、その後、紙幣処理装置2Aは、エラーダウンする(図25のステップS20)。その後、図25に示す残留検知漏れチェック処理はリターンされる。エラーダウン後の紙幣処理装置2Aは、整理一保収容空間405に残留しているバラ紙幣が取り出されることで、待機状態に復帰する。
一方、いずれの整理一保収容空間405においても、バラ紙幣の残留が検知されなかった場合には(図25のステップS19でNO)、その後、図25に示す残留検知漏れチェック処理がそのまま終了する。
以上により第2の実施形態によれば、所定タイミングにおいて実行される残留検知漏れチェック処理において、第1のアーム機構431を整理一保収容空間405に進入させるアーム進入動作が実行される。これにより、整理一保収容空間405の出口405a付近(非検知領域)に位置する紙幣が、第1のアーム機構431によって、第5〜第7の有無センサ415〜417によって検知可能な領域(検知領域)まで押動させる。これにより、整理一保収容空間405における紙幣の残留を確実検知できる。
また、中段ユニット10Bの押し込み動作後の残留検知漏れチェック処理においてバラ紙幣の残留が検知された場合に、操作表示部3Aに残留報知画面450が表示されることにより、整理一保収容空間405におけるバラ紙幣の残留を、利用者に確実に知らせることができる。
また、有無センサ415〜417が、発光素子と受光素子との間にプリズムを介装させる構成でなく、1つの光軸毎に発光素子および受光素子を設ける構成であってもよい。
以上、この発明の第2の実施形態について説明したが、この第2の実施形態について次に述べるような変形を施すことができる。
たとえば、中段ユニット10Bの押し込み動作後の残留検知漏れチェック処理において、操作表示部3Aへの表示に加えて/代えて、残留報知の旨が出納係の保持する携帯端末(図示しない)に通知されるようになっていてもよい。
さらに、アーム進出動作の態様が、アーム取り出し動作の態様と異なっているとして説明したが、アーム進出動作の態様がアーム取り出し動作の態様と共通していてもよい。
以上、この発明の2つの実施形態について説明したが、本発明はさらに他の形態で実施することもできる。
たとえば、検知手段として光学式センサを用いる場合を例に挙げて説明したが、その他のセンサ(たとえば磁気センサや機械式センサ)を検知手段として設けることもできる。
また、紙幣処理装置2Aは、貨幣処理システム1の一部に含まれるものとして説明したが、貨幣処理システム1から独立して設けられてもよい。
また、紙幣処理装置2Aは、収容空間に紙幣を払い出すものに限られず、紙幣以外の商品券や小切手等の紙葉類を収容空間に払い出すものであってもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。