以下に、添付図面を参照して、本発明に係る紙幣処理装置及び該紙幣処理装置を含む紙幣処理システムについて詳細に説明する。なお、以下では、所定枚数の紙幣を結束帯によって結束したものを結束紙幣、結束されていない紙幣をバラ紙幣と記載する。
図1は、本実施形態に係る紙幣処理装置1の外観を示す斜視図である。紙幣処理装置1の前面側上部には、出金処理時にバラ紙幣及び結束紙幣を出金するための出金部16が設けられ、その下側に、入金処理時にバラ紙幣を入金するための入金部14と、入金処理時に発生したリジェクト紙幣を集積するための入金リジェクト部24と、出金処理時に発生したリジェクト紙幣を集積するための出金リジェクト部26とが設けられている。出金部16が設けられた上部側前面が、入金部14から下方の構成部が設けられた下部側前面から背面側へ後退した位置にあり、バラ紙幣を入金部14内部へ載置する作業を容易に行うことができる。
装置前面の一番下には、左側面側を軸支された回動可能な扉6が設けられている。扉6を開くと、内部にある一時保留部30(図2参照)から紙幣を抜き取ることができる。また、紙幣処理装置1の右側面上部には、脱着可能な結束紙幣回収カセット70が装着されている。結束紙幣回収カセット70には取っ手が設けられている。紙幣処理装置1に装着された結束紙幣回収カセット70は紙幣処理装置1にロックした状態で利用される。所定の権限を有する担当者のみが、このロックを解除して紙幣処理装置1から結束紙幣回収カセット70を抜き取って、内部に収納されている結束紙幣を回収することができる。
図1に示すように、結束紙幣回収カセット70は、取っ手が設けられた略直方体のボックス形状を有している。結束紙幣回収カセット70は、紙幣処理装置1に装着した際に上面となる面に、装置内で結束紙幣を受け入れて収納するための開口部を有し、この開口部にはカセット開閉機構70bが設けられている。カセット開閉機構70bにより、紙幣処理装置1から取り外した状態では開口部を閉鎖して、紙幣処理装置1に装着した状態では開口部を開放するようになっている。また、カセット内で結束紙幣を収納する収納空間は、所定の鍵によって施解錠可能な鍵部70dを有する蓋体70cによって閉鎖されている。所定権限を有する担当者が、鍵部70dの鍵穴に鍵を差して解錠することにより、蓋体70cを開いて収納空間を露出させ、収納空間から結束紙幣を回収したり、紙幣処理装置1に補充する結束紙幣を収納空間に装填したりする作業を容易に行えるようになっている。また、取っ手と反対側の面(図1左側面)、すなわち取っ手を握って結束紙幣回収カセット70をぶら下げたときに底面となる面に、開口が設けられており、この開口内に、結束紙幣回収カセット70を紙幣処理装置1等でロックするための構成部が設けられているが詳細は後述する。
出金部16、入金リジェクト部24及び出金リジェクト部26には、それぞれシャッターが設けられている。出金部16内に出金紙幣を準備した後、出金部16のシャッターが自動的に横方向にスライドして開いて、内部に収納されている出金紙幣を抜き取ることができる。また、入金処理時にリジェクト紙幣が発生すると、入金リジェクト部24へ集積された後、入金リジェクト部のシャッターが自動的に装置前面側に開いて、内部のリジェクト紙幣を抜き取ることができる。ただし、入金リジェクト部24については、シャッターを設けない態様としてもよい。出金リジェクト部26のシャッターは通常はロックされており、所定の権限を有する担当者がロックを解除した場合にのみ、シャッターを装置前面側に開いて、内部に集積されているリジェクト紙幣を抜き取ることができる。
なお、紙幣処理装置1は、操作表示部を備える別の紙幣処理装置や操作端末等の外部装置と接続して利用される。例えば、外部装置の操作表示部で出金処理を開始する操作を行うと、出金紙幣を出金部16内に準備して出金部16のシャッターが自動的に開くようになっている。
図2は、紙幣処理装置1の構成の概略を示す概略構成図である。図2は、右側面側から見た紙幣処理装置1の断面を模式的に示しており、左側が装置前面、右側が装置背面に相当する。
紙幣処理装置1の筐体11の前面には、上から順に、装置内から紙幣を出金するための出金部16と、装置内に紙幣を入金するための入金部14と、入金処理時に入金できないと判定された入金リジェクト紙幣が集積される入金リジェクト部24と、出金処理時に出金できないと判定された出金リジェクト紙幣が集積される出金リジェクト部26とが設けられている。
入金部14には、入金部14内に載置された紙幣を1枚ずつ装置内へ繰り出す紙幣繰出機構14bが設けられている。装置内に1枚ずつ繰り出された紙幣は、第1搬送部81によって搬送される。第1搬送部81は、入金部14、入金リジェクト部24、出金リジェクト部26、一時保留部30、バラ紙幣一括収納部32、3つのバラ紙幣金種別収納部34、紙幣識別部20、表裏反転部22及び2つの整理一時保留部(バラ紙幣集積部)40を接続して、各部の間で1枚ずつバラ紙幣を搬送できるようになっている。
紙幣識別部20は、第1搬送部81を搬送されるバラ紙幣の金種、真偽、表裏、正損、新旧、搬送状態等を識別する機能を有する。表裏反転部22は、バラ紙幣の表裏をそのままの状態で下流側へと導く搬送路と、表裏を反転してから下流側へと導く搬送路とによって形成されており、紙幣識別部20によって識別された紙幣の表裏情報に基づいて、搬送路下流側へ搬送する紙幣の表裏を揃える機能を有する。
一時保留部30は、入金処理時に入金されるバラ紙幣を一時的に収納するために利用される。バラ紙幣金種別収納部34は、入金処理時にバラ紙幣を金種別に収納すると共に、出金処理時には収納しているバラ紙幣を繰り出して出金するために利用される。バラ紙幣金種別収納部34に収納する紙幣の金種は予め設定されている。バラ紙幣一括収納部32は、バラ紙幣金種別収納部34からのバラ紙幣を回収したり、二千円札や損券等、出金処理に利用しない所定の紙幣を収納したりするために利用される。
一時保留部30、バラ紙幣一括収納部32及びバラ紙幣金種別収納部34のそれぞれに、ステージ30a、32a、34aと、紙幣繰出繰入機構30b、32b、34bとが設けられている。上下に移動可能に設けられたステージ30a、32a、34aの位置を上下方向に調整して、第1搬送部81を搬送されたバラ紙幣を紙幣繰出繰入機構30b、32b、34bによって内部に繰り入れて、ステージ30a、32a、34a上に積層状態に集積した状態で収納する。また、一時保留部30及びバラ紙幣金種別収納部34では、ステージ30a、34aの位置を上下方向に調整して、内部に収納されているバラ紙幣を紙幣繰出繰入機構30b、34bによって1枚ずつ第1搬送部81へ繰り出すことができる。
紙幣処理装置1内では、一時保留部30、バラ紙幣一括収納部32及びバラ紙幣金種別収納部34が、図示しない下部ユニット上に設けられており、図1に示す扉6を開いて一番手前にある一時保留部30からバラ紙幣を取り出せるようになっている。また、扉6を開いた状態で下部ユニットを装置前面側から装置外へ引き出せるようになっている。装置外へ引き出した下部ユニットに対してバラ紙幣一括収納部32を脱着できるようになっており、バラ紙幣一括収納部32を利用して、紙幣処理装置1からのバラ紙幣の回収等の作業を行うことができる。
紙幣処理装置1で入金処理を行う場合には、入金部14にバラ紙幣を載置する。入金部14から繰り出されたバラ紙幣は、第1搬送部81によって、紙幣識別部20へ向けて搬送される。そして、紙幣識別部20によって入金可能な紙幣であると判定されたバラ紙幣は、必要に応じて表裏反転部22で表裏を揃えられた後、下方へ折り返して搬送されて、バラ紙幣金種別収納部34及びバラ紙幣一括収納部32の上部を通過して、一時保留部30に収納される。このとき、紙幣識別部20によって入金できないと判定された入金リジェクト紙幣は、一時保留部30の上部を通過して入金リジェクト部24へ向けて搬送される。入金リジェクト紙幣は、入金リジェクト部24に収納された後、シャッターを開いて返却される。入金部14の全てのバラ紙幣を識別した後、紙幣処理装置1に接続された別の紙幣処理装置や操作端末等の外部装置の操作表示部に、紙幣識別部20による識別結果が表示される。識別結果を確認して入金処理を確定する操作がなされると、一時保留部30へ一時的に収納されていた入金紙幣(バラ紙幣)は1枚ずつ順に繰り出されて上方へ搬送された後、下方へ折り返して紙幣識別部20へ搬送される。そして、紙幣識別部20によって金種が確認された後、表裏反転部22を経て下方へ折り返して搬送されて、対応するバラ紙幣金種別収納部34に収納される。
なお、入金処理を確定せずにキャンセルする操作がなされた場合には、筐体11前面下部にある扉6を開いて、一時保留部30内に収納されているすべてのバラ紙幣を手作業で抜き取って回収する。
図2に示すように、整理一時保留部40は、第1搬送部81によって搬送されたバラ紙幣を背面側から受けて内部に積層状態で集積する。整理一時保留部40は、出金処理時に出金するバラ紙幣の集積と、紙幣結束部45によって結束するバラ紙幣の集積とに利用される。具体的には、バラ紙幣を出金する場合には、出金するバラ紙幣がバラ紙幣金種別収納部34から繰り出されて整理一時保留部40に集積される。また、100枚のバラ紙幣を結束して結束紙幣を作成して出金する場合には、結束する100枚のバラ紙幣がバラ紙幣金種別収納部34から繰り出されて整理一時保留部40に集積される。
整理一時保留部40に集積されたバラ紙幣は、装置前面側から第1アーム機構51によって抜き取られて、紙幣結束部45又は第2アーム機構52へ向けて搬送される。第1アーム機構51は、2つの整理一時保留部40と、紙幣結束部45と、第2アーム機構52との間で、バラ紙幣及び結束紙幣を搬送する第2搬送部82として機能する。具体的には、整理一時保留部40から第2アーム機構52へのバラ紙幣の搬送と、整理一時保留部40から紙幣結束部45への所定枚数のバラ紙幣の搬送と、紙幣結束部45で作成された結束紙幣の第2アーム機構52への搬送とが第1アーム機構51によって行われる。
第1アーム機構51からバラ紙幣又は結束紙幣を受けた第2アーム機構52は、装置背面側から前面側へ移動して出金部16へ搬送する。第2アーム機構52は、第1アーム機構51と出金部16との間でバラ紙幣及び結束紙幣を搬送する第3搬送部83として機能する。
第1アーム機構51は、上側把持部51a及び下側把持部51bを有しており、上側把持部51aと下側把持部51bとの間で紙幣を上下面から挟むように掴んで搬送する。第1アーム機構51は、上側把持部51a及び下側把持部51bを、装置前面側から整理一時保留部40の内部に進入させる。第1アーム機構51は、整理一時保留部40内に積層状態で集積されている複数枚のバラ紙幣の下方に下側把持部51bを進入させて、バラ紙幣の上方に上側把持部51aを進入させて、上側把持部51aと下側把持部51bとの間でバラ紙幣を上下面から挟んで掴んだ後、整理一時保留部40から装置前面側へ後退する。
同様に、第2アーム機構52は、上側把持部52a及び下側把持部52bとを有しており、上側把持部52aと下側把持部52bとの間で紙幣を上下面から挟んで掴んだ状態で搬送する。
具体的には、装置前面側からバラ紙幣を掴んだ第1アーム機構51が上昇すると、第2アーム機構52がこれを装置背面側から迎える。第1アーム機構51が第2アーム機構52に向かって装置背面側へ移動した後、第2アーム機構52は、上側把持部52a及び下側把持部52bを制御して、第1アーム機構51が装置前面側から掴んでいるバラ紙幣を背面側から掴む。第2アーム機構52が装置背面側からバラ紙幣を掴んだ後、前面側からバラ紙幣を掴んでいる第1アーム機構51は、上側把持部51a及び下側把持部51bを制御して、掴んでいたバラ紙幣を離す。そして、第1アーム機構51は、装置前面側へ移動して、上昇してきた位置まで戻った後、下降して第2アーム機構52の移動経路から退避する。第1アーム機構51が下方へ退避した後、第2アーム機構52は装置前面側へ移動してバラ紙幣を出金部16へ搬送する。
また、第1アーム機構51は、紙幣結束部45で結束紙幣を作成する際に、結束対象となる100枚のバラ紙幣を整理一時保留部40から抜き取って、紙幣結束部45内に搬送する機能を有する。具体的には、整理一時保留部40に集積された100枚のバラ紙幣を第1アーム機構51によって掴んで抜き取った後、紙幣結束部45へ搬送する。
紙幣結束部45は、図示しない結束帯リールから結束帯を引き出して、この結束帯を、第1アーム機構51によって掴まれたバラ紙幣の周りに巻回して結束する。バラ紙幣に巻回された結束帯は、溶着して固定された後、結束帯リールから切り離される。こうして、第1アーム機構51によって掴まれたバラ紙幣から結束紙幣が作成されると、第1アーム機構51は、作成された結束紙幣を掴んだまま紙幣結束部45から装置背面側へ後退した後、上方へ搬送する。そして、バラ紙幣の場合と同様に、上昇した第1アーム機構51と第2アーム機構52との間で結束紙幣の受け渡しが行われる。第2アーム機構52は、第1アーム機構51から受け取った結束紙幣を出金部16へ搬送する。このように、第1アーム機構51は、整理一時保留部40からバラ紙幣を抜き取って紙幣結束部45へ搬送し、紙幣結束部45によって結束されて結束紙幣となった後、この結束紙幣を第2アーム機構52との間で受け渡すまで、紙幣を掴んだ状態のままで移動する。
出金部16では、バラ紙幣又は結束紙幣を掴んで移動してきた第2アーム機構52の上側把持部52a及び下側把持部52bが出金部16の内部へ進入して、上側把持部52a及び下側把持部52bで掴んでいた紙幣を離す。紙幣を離した第2アーム機構52は、出金部16から後退して背面側へ移動する。
このように、第1アーム機構51及び第2アーム機構52は、上下の把持部によって紙幣を表面側及び裏面側から掴んで搬送するため、1枚のバラ紙幣を搬送することもできるし、束状態の複数枚のバラ紙幣を搬送することもできるし、結束紙幣を搬送することもできる。これにより、紙幣処理装置1では、第1アーム機構51及び第2アーム機構を利用して、バラ紙幣金種別収納部34から繰り出したバラ紙幣を出金することもできるし、バラ紙幣金種別収納部34から繰り出したバラ紙幣から結束紙幣を作成して出金することもできる。
また、紙幣処理装置1内には2つの整理一時保留部40が設けられているため、一方の整理一時保留部40で第1アーム機構51によってバラ紙幣を抜き取りながら、他方の整理一時保留部40へ第1搬送部81によって搬送したバラ紙幣を集積することができる。また、第1アーム機構51と第2アーム機構52との間で紙幣を受け渡した後、第1アーム機構51が整理一時保留部40へと戻る間に、第2アーム機構52が第1アーム機構51から受けた紙幣を出金部16へ搬送することができるので紙幣処理を効率よく進めることができる。
出金部16は、第2アーム機構52によって搬送されたバラ紙幣及び結束紙幣を出金する機能を有する。出金部16の内部には、結束紙幣を上方へ搬送するための結束紙幣搬送ステージ53と、出金する結束紙幣を下方から支持するための結束紙幣支持機構54とが設けられている。結束紙幣を上方へと搬送する結束紙幣搬送ステージ53が、第4搬送部84として機能する。
第2アーム機構52によって搬送された結束紙幣、すなわち紙幣結束部45で作成された結束紙幣を出金部16から出金する際には、結束紙幣搬送ステージ53は、結束紙幣が結束紙幣支持機構54によって支持されるように、結束紙幣を上方へ搬送する。
また、紙幣結束部45で作成した結束紙幣を、装置内上部に設けられた結束紙幣回収カセット70又は結束紙幣金種別収納部72へ搬送して収納する際には、結束紙幣搬送ステージ53は、上部にある結束紙幣搬送路75へ向けて結束紙幣を搬送する。
結束紙幣支持機構54は、結束紙幣を下方から支持する支持位置と、結束紙幣を上方へ搬送する結束紙幣搬送ステージ53が通過する際に、結束紙幣及び結束紙幣搬送ステージ53の通過を妨げないように退避した退避位置とを取るように移動可能に設けられている。
図3は、結束紙幣搬送ステージ53及び結束紙幣支持機構54の動作を説明する模式図である。図3(a)に示すように、結束紙幣支持機構54は、回転軸周りに回動可能に支持された複数の爪部材54によって構成される。爪部材54は、図3(a)に示す退避位置と、同図(b)に示す支持位置との間で回動可能に設けられている。図3(c)は、同図(a)の状態を紙幣の短手側から見た図を示している。図3(d)は、出金する結束紙幣101及びバラ紙幣102を出金部16内に準備した状態を示している。
爪部材54は、図示しないバネ部材によって、図3(b)及び(d)に示すように上面が略水平となる支持位置に付勢されており、この位置より下方へは回動しないようになっている。結束紙幣101を搬送する結束紙幣搬送ステージ53が上方へ通過する際には、図3(c)に示すように、上昇する結束紙幣101によって、バネ部材による付勢に逆らって爪部材54が押し上げられて、同図(a)に示す退避位置へ移動する。そして、結束紙幣101が通過した後、爪部材54は、バネ部材による付勢によって再び図3(b)に示す支持位置へ戻る。
結束紙幣搬送ステージ53には、図3(a)に示すように、各爪部材54に対応する位置に切り欠き53aが形成されており、爪部材54が支持位置にあるときも結束紙幣搬送ステージ53は下方へ移動することができる。このため、結束紙幣搬送ステージ53が、図3(a)に示す退避位置に回動した爪部材54を超える高さまで一旦上昇して下降する際には、爪部材54の上に結束紙幣101を残して結束紙幣搬送ステージ53のみが下降する。この結果、図3(b)及び(d)に示すように、結束紙幣101が爪部材54によって支持された状態となる。
このように、第2アーム機構52によって搬送された結束紙幣101を出金する際には、結束紙幣101を爪部材54によって支持された状態で出金する。また、図3(c)に示すように、結束紙幣101が載置された結束紙幣搬送ステージ53を、先に爪部材54によって支持されている結束紙幣101及び爪部材54を下方から押し上げながら上昇させて下降する動作を繰り返すことにより、爪部材54上に複数の結束紙幣101を積層して出金することもできる。
なお、第2アーム機構52によって搬送されたバラ紙幣102を出金する際には、図3(d)に示すように、結束紙幣搬送ステージ53が上方へ退避した状態で、第2アーム機構52が結束紙幣搬送ステージ53の下側でバラ紙幣102を離す。バラ紙幣は、結束紙幣搬送ステージ53の下側で、出金部16の底面上に載置された状態で出金される。
出金部16では、底面に載置されたバラ紙幣102と、結束紙幣支持機構54によって支持された結束紙幣101との両方を同時に出金することができる。複数枚のバラ紙幣102を出金することが可能であり、複数の結束紙幣101を出金することもできる。結束紙幣101及びバラ紙幣102の両方を出金する際には、図3(d)に示すように、結束紙幣101を結束紙幣支持機構54(爪部材)の上に積層して、結束紙幣支持機構54の下方で結束紙幣搬送ステージ53の下側にバラ紙幣102を積層する。こうして、出金する結束紙幣101及びバラ紙幣102の全てを出金部16内に準備した後、出金部16のシャッターが自動的に開く。シャッターが開いた出金部16では、図3(d)に示す結束紙幣支持機構54より上側の開口部16aから結束紙幣101を取り出し、結束紙幣支持機構54より下側の開口部16bからバラ紙幣102を取り出すことができる。また、シャッターが開いた際には、開口部16a、16bから結束紙幣101及びバラ紙幣102の両方を視認可能であるため、結束紙幣101又はバラ紙幣102の取り忘れを防止することができる。
図2に示すように、紙幣処理装置1の筐体11内上方には、結束紙幣回収カセット70及び結束紙幣金種別収納部72に収納する結束紙幣の最下面の紙幣を撮像して結束紙幣の金種を識別する結束紙幣識別部60と、結束紙幣回収カセット70と、3つの結束紙幣金種別収納部72とが設けられている。なお、結束紙幣回収カセット70は、図1に示したように、装置右側面側から抜き取れるようになっている。
紙幣処理装置1では、紙幣結束部45で結束した結束紙幣を、第1アーム機構51及び第2アーム機構52によって出金部16へ搬送した後、結束紙幣搬送ステージ53に載置して上方へ搬送し、結束紙幣回収カセット70又は結束紙幣金種別収納部72へ収納できるようになっている。
具体的には、結束紙幣搬送ステージ53は、結束紙幣が載置される載置面が、装置上方で結束紙幣を搬送する結束紙幣搬送路75の搬送面と同一平面となる位置まで上昇移動できるようになっており、結束紙幣搬送路75の搬送面まで持ち上げた結束紙幣を結束紙幣搬送機構55によって搬送することができる。結束紙幣搬送路75及び結束紙幣搬送機構55が、結束紙幣を搬送する第5搬送部85(図5参照)として機能する。
結束紙幣搬送機構55は、図2に示すように、一対のプーリ55aと、プーリ55aに掛け渡された2本の結束紙幣搬送ベルト55bと、結束紙幣搬送ベルト55bに所定間隔で設けられた複数の搬送突起55cとによって形成されている。結束紙幣搬送ステージ53によって、結束紙幣搬送路75の搬送面まで持ち上げられた結束紙幣は、プーリ55aによって反時計回りに駆動される結束紙幣搬送ベルト55bの搬送突起55cによって、後方(装置前面側)から押されて装置背面側へ搬送される。そして、結束紙幣識別部60によって金種を判定された後、金種に応じて、対応する結束紙幣金種別収納部72に収納される。
結束紙幣搬送路75には、結束紙幣回収カセット70と、3つの結束紙幣金種別収納部72とに対応して、開閉機構75aが設けられている。開閉機構75aは、搬送位置と収納繰出位置の2つの位置を取る。搬送位置とは、開閉機構75aを構成する開閉板によって結束紙幣搬送路75の搬送面の一部を形成して、結束紙幣を通過させる位置である。収納繰出位置とは、結束紙幣搬送路75を構成する開閉板を搬送路の外側へ退避させて、結束紙幣回収カセット70及び結束紙幣金種別収納部72への結束紙幣の収納と、結束紙幣回収カセット70及び結束紙幣金種別収納部72からの結束紙幣の繰り出しとを行う位置である。すなわち、収納繰出位置は、結束紙幣搬送路75を搬送される結束紙幣を結束紙幣回収カセット70及び結束紙幣金種別収納部72へ収納する収納位置であり、結束紙幣回収カセット70及び結束紙幣金種別収納部72に収納されている結束紙幣を結束紙幣搬送路75へ繰り出す繰出位置でもある。
また、結束紙幣回収カセット70には、開閉機構75aに対応して、カセット開閉機構70bが設けられている。カセット開閉機構70bは、開放位置と閉鎖位置の2つの位置を取る。開放位置とは、カセット開閉機構70bを構成するシャッターを開いて、結束紙幣搬送路75から落下させた結束紙幣の結束紙幣回収カセット70内部への収納と、内部に収納されている結束紙幣の結束紙幣搬送路75への繰り出しとを行う位置である。閉鎖位置とは、結束紙幣回収カセット70から結束紙幣を取り出せないように、カセット開閉機構70bを構成するシャッターを閉じて閉鎖する位置である。
カセット開閉機構70bは、結束紙幣回収カセット70を紙幣処理装置1にセットしてロックしたときにはシャッターを開いた開放位置となり、結束紙幣回収カセット70のロックを解除して紙幣処理装置1から抜き取るときにはシャッターを閉じた閉鎖位置となる。これにより、紙幣処理装置1に結束紙幣回収カセット70をセットして利用する際には、紙幣処理装置1にロックして、カセット開閉機構70bを開放位置にしてシャッターが開いた結束紙幣回収カセット70を、結束紙幣金種別収納部72と同様に利用することができる。また、紙幣処理装置1から結束紙幣を回収するために、結束紙幣回収カセット70のロックを解除して紙幣処理装置1の右側面側から抜き取る際には、カセット開閉機構70bを閉鎖位置にしてシャッターを閉じて、内部に収納されている結束紙幣を抜き取れないようにすることにより、結束紙幣に係るセキュリティを確保することができる。
結束紙幣回収カセット70及び結束紙幣金種別収納部72には、上下に移動可能なステージ70a、72aが設けられている。ステージ70a、72aの位置を上下方向に調整することにより、開閉機構75aを収納繰出位置にして結束紙幣搬送路75から落下させた結束紙幣を受けて、ステージ70a、72a上に積層状態で集積する。また、結束紙幣搬送路75の開閉機構75aを収納繰出位置にした状態で、ステージ70a、72aを上昇させることにより、内部に収納されている結束紙幣を1つずつ結束紙幣搬送路75へ繰り出せるようになっている。
図4は、結束紙幣103の搬送及び収納について説明する模式図である。結束紙幣搬送路75上の結束紙幣103を、結束紙幣回収カセット70及び結束紙幣金種別収納部72の上部を通過させて搬送する場合には、図4(a)に示すように、通過する位置にある開閉機構75aを搬送位置にして、結束紙幣103を通過させる。
一方、結束紙幣103を、結束紙幣回収カセット70又は結束紙幣金種別収納部72に収納する場合には、図2に示すステージ70a、72aが、収納する結束紙幣103を受け取る高さまで上昇して停止する。そして、図4(b)に示すように、開閉機構75aを収納繰出位置にして、結束紙幣103をステージ70a、72a上に落下させて収納する。結束紙幣103の収納が終了すると、結束紙幣搬送路75から落下した結束紙幣103を受けたステージ70a、72aは下方へ退避して、開閉機構75aは図4(a)に示す搬送位置へ戻る。
結束紙幣回収カセット70及び結束紙幣金種別収納部72から結束紙幣103を繰り出す際には、図4(b)に示すように、開閉機構75aを収納繰出位置にする。そして、ステージ70a、72a上に積層状態で集積されている結束紙幣のうち一番上にある結束紙幣を結束紙幣搬送路75上に送り出せる高さまでステージ70a、72aが上昇して停止する。結束紙幣は、時計回りに駆動される結束紙幣搬送ベルト55bの搬送突起55cによって後方(装置背面側)から押されて搬送される。結束紙幣金種別収納部72から繰り出した結束紙幣は、結束紙幣回収カセット70へ収納することもできるし、出金部16から出金することもできる。
結束紙幣金種別収納部72に収納している結束紙幣の数が所定数を超えると、超えた分の結束紙幣が、結束紙幣金種別収納部72から繰り出されて結束紙幣回収カセット70へ収納されるようになっている。また、バラ紙幣金種別収納部34に収納するバラ紙幣の枚数が予め設定された所定枚数を超えると、超過分のバラ紙幣を含む所定枚数(例えば100枚)のバラ紙幣から結束紙幣を作成して、結束紙幣金種別収納部72又は結束紙幣回収カセット70に収納するようになっている。そして、結束紙幣回収カセット70を紙幣処理装置1の右側面側から抜き取ることによって、結束紙幣を回収することができる。なお、超過分として結束するバラ紙幣の枚数(作成する結束紙幣の数)は設定により変更できるようになっている。
なお、結束紙幣回収カセット70によって結束紙幣を回収する際には、結束紙幣回収カセット70に対応する結束紙幣搬送路75の開閉機構75aが図4(a)に示す搬送位置となる。そして、結束紙幣回収カセット70が再び紙幣処理装置1にセットされて結束紙幣を結束紙幣回収カセット70へ収納するまでの間、同図(b)に示す収納繰出位置となることはなく、搬送位置で固定される。これにより、紙幣処理装置1では、結束紙幣回収カセット70を脱着する間も結束紙幣回収カセット70がない状態でも紙幣処理を行うことができる。
結束紙幣金種別収納部72に収納されている結束紙幣を出金部16から出金する際には、結束紙幣搬送ステージ53が、結束紙幣を受け取る高さまで上昇して停止する。そして、結束紙幣搬送機構55によって結束紙幣搬送路75を搬送した結束紙幣を、結束紙幣搬送ステージ53上に落下させる。結束紙幣搬送路75から落下した結束紙幣を受けた結束紙幣搬送ステージ53は、結束紙幣支持機構(爪部材)54の下側まで下降する。こうして、図3(b)に示すように、結束紙幣を出金部16から出金可能な状態とする。複数の結束紙幣を出金する場合には、結束紙幣搬送ステージ53が徐々に下降しながら、結束紙幣搬送路75を1つずつ搬送される結束紙幣を順に受け取る。そして、全ての結束紙幣を受け取った後、結束紙幣搬送ステージ53は、結束紙幣支持機構(爪部材)54の下側まで下降する。
図4(c)は、同図(a)に示す状態を、上方から見た図を示している。結束紙幣搬送路75を搬送される結束紙幣103は、2本の結束紙幣搬送ベルト55bのそれぞれに設けられた搬送突起55cによって、長手の離れた位置を搬送方向後方側から押されて搬送される。
図5は、紙幣処理装置1の機能構成概略を示すブロック図である。制御部10には、入金部14と、出金部16と、入金リジェクト部24と、出金リジェクト部26と、第1搬送部81、第1アーム機構51、第2アーム機構52、結束紙幣搬送ステージ53、結束紙幣搬送機構55及び結束紙幣搬送路75を含む搬送部80と、表裏反転部22と、紙幣識別部20と、結束紙幣識別部60と、一時保留部30と、整理一時保留部40と、バラ紙幣一括収納部32と、バラ紙幣金種別収納部34と、紙幣結束部45と、結束紙幣回収カセット70と、結束紙幣金種別収納部72と、LAN等のネットワークを利用するための通信インターフェイス90とが接続されている。また、制御部10には、紙幣処理装置1に装着された結束紙幣回収カセット70をロックするロック機構130が接続されているが、ロック機構の詳細は後述する。制御部10が、これら各部の機能及び動作を制御することにより、本実施形態で説明するバラ紙幣の搬送、識別、収納、繰出及び結束と、結束紙幣の搬送、識別、収納及び繰出とを含む各処理を実現している。
また、通信インターフェイス90を介して、紙幣処理装置1とは別に設けられた紙幣処理装置や操作端末等の外部装置と紙幣処理装置1とを接続することにより、制御部10は、外部装置からの指示を受けて各部の制御を行うことができる。また、紙幣識別部20及び結束紙幣識別部60による識別計数結果や各部の動作状況を、制御部10から外部装置へ送信することも可能となっている。
紙幣処理装置1は、装置内でバラ紙幣及び結束紙幣を搬送する搬送部80として、バラ紙幣のみを1枚ずつ搬送するバラ紙幣搬送部80aと、1枚又は複数枚のバラ紙幣と結束紙幣との両方を搬送することができるバラ紙幣・結束紙幣搬送部80bと、結束紙幣のみを1つずつ搬送する結束紙幣搬送部80cとを有している。
バラ紙幣・結束紙幣搬送部80bは、図2に示すように、整理一時保留部40に集積された1枚又は複数枚のバラ紙幣と紙幣結束部45で作成された結束紙幣とを第1アーム機構51によって上方へ搬送する第2搬送部82と、第1アーム機構51との間で受け渡されたバラ紙幣及び結束紙幣を第2アーム機構52によって出金部16へ向けて搬送する第3搬送部83とを含んでいる。
結束紙幣搬送部80cは、第2アーム機構52から受けた結束紙幣を結束紙幣搬送ステージ53によって上方へ搬送する第4搬送部84と、結束紙幣搬送ステージ53と結束紙幣回収カセット70及び結束紙幣金種別収納部72との間で、結束紙幣搬送機構55及び結束紙幣搬送路75によって結束紙幣を搬送する第5搬送部85とを含んでいる。
次に、結束紙幣回収カセット70の機能及び動作について説明する。図6は、紙幣処理装置1に装着した結束紙幣回収カセット70をロックする方法を説明する模式図である。図6では、装置前面側から見た紙幣処理装置1及び結束紙幣回収カセット70内部構造を模式的に示している。図6(a)は結束紙幣回収カセット70を紙幣処理装置1から取り外した状態を示し、同図(b)は結束紙幣回収カセット70を紙幣処理装置1に装着してロックした状態を示している。
結束紙幣回収カセット70には、結束紙幣を収納する収納空間内で結束紙幣を下方から支持するステージ70aと、収納空間へ結束紙幣を収納するための開口部を開閉するカセット開閉機構70bと、結束紙幣回収カセット70に対して固定された遮光板70e及びロック板70fが設けられている。
カセット開閉機構70bは、折り曲げ可能なシャッターによって構成されている。シャッターの側方(図面奥行方向)両端をシャッターガイドによって支持した状態でシャッターの移動を制御することにより、図6(a)に示すように開口部を閉鎖する閉鎖位置と、同図(b)に示すように開口部を開放する開放位置との間でシャッターを移動できるようになっている。なお、ステージ70a及びカセット開閉機構70bは図示しない駆動機構によって駆動される。
図6(a)に示すように、結束紙幣回収カセット70が紙幣処理装置1から取り外されている間は、カセット開閉機構70bを構成するシャッターが閉鎖位置で固定され、結束紙幣回収カセット70内に収納されている結束紙幣を開口部から取り出せないようになっている。また、紙幣処理装置1では、結束紙幣回収カセット70が取り外されている間は、結束紙幣回収カセット70に対応する結束紙幣搬送路75の開閉機構75aが、図6(a)に示す搬送位置で固定される。開閉機構75a上を通過させながら結束紙幣104を搬送することができるので、結束紙幣回収カセット70を着脱する作業を行っている間も結束紙幣回収カセット70を取り外している間も紙幣処理を行うことが可能であり、紙幣処理装置1を休止状態とする必要がない。
紙幣処理装置1には、結束紙幣回収カセット70の有無を検知するカセット検知センサ120が設けられている。カセット検知センサ120は、投光部と受光部との間で投受光する検知光によって結束紙幣回収カセット70の有無を検知する。また、紙幣処理装置1には、結束紙幣回収カセット70を固定するためのロック機構130(130a〜130d)が設けられている。ロック機構130は、回転軸130bに回動可能に支持されたロックアーム130aと、ロックアーム130aをロック位置へ付勢するバネ部材130cと、バネ部材130cによる付勢に逆らってロックアーム130aを時計回りに強制的に回動させてロック解除位置とするためのロックアーム駆動部130dとを有している。
紙幣処理装置1に結束紙幣回収カセット70を装着する際には、結束紙幣回収カセット70のロック板70fがロックアーム130aの前方(図6右側)に接触する。ロックアームの前方側は曲面形状になっており、結束紙幣回収カセット70を押し込む際には、ロック板70fの移動に合わせてロックアーム130aが、図6(a)に示すロック位置から時計回りに回動するようになっている。そして、ロック板70fが、回動したロックアーム130aの曲面部を通過すると、ロックアーム130aは、バネ部材130cによる付勢によって反時計回りに回動して元のロック位置へ戻る。
この結果、図6(b)に示すように、紙幣処理装置1に回転軸130bが固定されたロックアーム130aと、結束紙幣回収カセット70に固定されたロック板70fとが係合した状態となり、紙幣処理装置1内で結束紙幣回収カセット70がロックされる。
また、結束紙幣回収カセット70を紙幣処理装置1に装着すると、結束紙幣回収カセット70の遮光板70eが、カセット検知センサ120の投光部と受光部との間で検知光を遮光する。検知光の遮光によって結束紙幣回収カセット70の装着が検知されると、カセット開閉機構70bが制御され、カセット開閉機構70bを構成するシャッターが、図6(a)に示す閉鎖位置から同図(b)に示す開放位置に移動する。これにより、結束紙幣搬送路75の開閉機構75aが図6(b)に示す収納繰出位置となった際には、開放された開口部から結束紙幣回収カセット70内に結束紙幣104を収納することができる。なお、図6(b)には示していないが、開閉機構75aが開く際には、先に上昇させたステージ70aが、開口部から落下する結束紙幣104を受け止めることにより、結束紙幣回収カセット70内では整列した積層状態で結束紙幣が収納されるようになっている。
結束紙幣の回収等を行うために結束紙幣回収カセット70を紙幣処理装置1から取り外す場合には、紙幣処理装置1に接続された別の紙幣処理装置や操作端末等の外部装置の操作表示部で、結束紙幣回収カセット70を取り外すための操作が行われる。この操作を受けて、紙幣処理装置1では、ロックアーム駆動部130dが制御され、ロックアーム130aを時計回りに回動してロック解除位置へ移動させる。また、カセット開閉機構70bが制御され、カセット開閉機構70bを構成するシャッターが、図6(a)に示す閉鎖位置へ移動して、開口部を閉鎖した状態で固定される。また、結束紙幣回収カセット70に対応して設けられた結束紙幣搬送路75の開閉機構75aが、図6(a)に示す搬送位置で固定される。
こうして、結束紙幣回収カセット70のロックが解除されると、結束紙幣回収カセット70を紙幣処理装置1の右側面から抜き取ることができる。カセット検知センサ120によって、結束紙幣回収カセット70が抜き取られたことが検知されるとロックアーム駆動部130dによるロックアーム130aの駆動が解除され、バネ部材130cによる付勢によってロックアーム130aが回動し、再びロック位置へ戻る。
紙幣処理装置1では、結束紙幣回収カセット70に対応して設けられた開閉機構75aが搬送位置で固定されるので、結束紙幣回収カセット70を取り外す際にも、その後も、紙幣処理を継続して行うことができる。また、紙幣処理装置1から取り外した結束紙幣回収カセット70では、内部に収納されている結束紙幣を取り出すことができないように、カセット開閉機構70bによって開口部が閉鎖されているので、結束紙幣に係るセキュリティを確保することができる。
紙幣処理装置1から結束紙幣を回収するために、内部に結束紙幣が収納された状態で紙幣処理装置1から抜き取った結束紙幣回収カセット70では、鍵部70dの鍵穴に鍵を差して解錠して蓋体70cを開き、内部に収納されている結束紙幣を回収する作業が行われる。なお、このとき、予め空の結束紙幣回収カセット70を準備しておけば、抜き取った結束紙幣回収カセット70に代えて、空の結束紙幣回収カセット70を紙幣処理装置1に装着して通常通り紙幣処理装置1を利用することができる。
結束紙幣回収カセット70から結束紙幣を回収する作業をすぐに行えない場合には、結束紙幣回収カセット70を、セキュリティを確保した状態で保管する。図7及び図8を参照しながら結束紙幣回収カセット70の保管方法について説明する。
図7は、結束紙幣回収カセット70を利用する紙幣処理システムの例を示す斜視図である。この例では、紙幣処理システムは、紙幣処理装置1と、現金バスと呼ばれる貨幣管理装置2を含んでいる。紙幣処理装置1と貨幣管理装置2との間は、図7に破線で示したように、通信インターフェイス90によって通信可能に接続されている。
貨幣管理装置2は、バラ紙幣、結束紙幣、棒金と呼ばれる包装硬貨等の貨幣を収納する複数のドロア211〜214(貨幣収納部)と、有価証券等を収納するドロア215と、貨幣管理装置2の全体を制御する制御部225と、各種情報を入力するための操作部226と、各種情報を出力表示するための表示部227と、貨幣管理装置2を利用する利用者を特定するために利用者が所持するIDカードの内容を読み取るIDカードリーダ228とを含んでいる。貨幣管理装置2には大量の貨幣が収納されているため、IDカードを利用して利用者の認証が行われるようになっている。なお、これら各部を利用して行われる貨幣管理装置2の動作については特開2011−107753号公報に開示しているため説明を省略し、本実施形態の説明に必要な機能及び動作について説明する。また、本実施形態では、紙幣処理装置1から結束紙幣回収カセット70を取り外す際や、結束紙幣回収カセット70から結束紙幣を取り出して貨幣管理装置2へ収納する際には認証処理が行われるが、これについても説明を省略する。
貨幣管理装置2では、ドロア211〜214の下方に結束紙幣回収カセット70用の収納スペースが設けられている。図7に示すように、このスペースに結束紙幣回収カセット70を挿入して貨幣管理装置2で保管することができる。貨幣管理装置2の内部には、図6に示したカセット検知センサ120及びロック機構130と同一構造のカセット検知センサ及びロック機構が設けられており、貨幣管理装置2に設けられたスペースに結束紙幣回収カセット70をスライドさせながら押し込むと、ロック機構によって結束紙幣回収カセット70がロックされるようになっている。なお、貨幣管理装置2が備えるロック機構の構造は特に限定されず、結束紙幣回収カセット70を貨幣管理装置2に挿入した際にこれをロックすることができれば、図6に示したロック機構とは異なる構造であっても構わない。
カセット検知センサによって結束紙幣回収カセット70の脱着を検知することができるので、貨幣管理装置2では、カセット検知センサによる検知信号に基づいて、結束紙幣回収カセット70が貨幣管理装置2に脱着された日時の記録等の処理を行うことができる。
貨幣管理装置2で保管されていた結束紙幣回収カセット70を取り外す際には、操作部226を操作することにより貨幣管理装置2に設けられたロック機構を制御して、結束紙幣回収カセット70のロックを解除する。ロックを解除すると、貨幣管理装置2から結束紙幣回収カセット70を引き抜くことができる。
このように、紙幣処理装置1から取り外した結束紙幣回収カセット70を貨幣管理装置2に装着してロックすることによりセキュリティを確保した状態で結束紙幣回収カセット70を保管することができる。
また、紙幣処理システムでは、紙幣処理装置1と貨幣管理装置2との間で連携して処理を行うことも可能となっている。紙幣処理装置1では、結束紙幣回収カセット70に収納される結束紙幣の金種及び数が管理されている。紙幣処理装置1から結束紙幣回収カセット70が取り外されると、取り外した結束紙幣回収カセット70に収納されている結束紙幣の数及び金種を示す情報が、紙幣処理装置1から貨幣管理装置2へ送信される。なお、結束紙幣回収カセット70に収納される結束紙幣の金種及び数の管理と、貨幣管理装置2への関連情報の送信とについては、これらの処理を紙幣処理装置1によって行う態様の他、紙幣処理装置1に接続された別の紙幣処理装置や操作端末等の外部装置によって行う態様であっても構わない。
貨幣管理装置2では、紙幣処理装置1から結束紙幣回収カセット70を取り外してすぐに、又は結束紙幣回収カセット70を図7に示すように一旦貨幣管理装置2に収納して保管した後に、結束紙幣回収カセット70に収納されている結束紙幣を取り出して貨幣管理装置2の対応するドロア211〜214に収納する作業が行われる。
この作業を行う担当者は、貨幣管理装置2の操作部226を操作して、この作業が、結束紙幣回収カセット70から回収した結束紙幣を貨幣管理装置2に収納するものであることを示す情報を入力すると共に、この作業で貨幣管理装置2に収納した結束紙幣の金種及び数を入力する。
貨幣管理装置2では、各ドロア211〜214の開閉を検知できるようになっており、各ドロア211〜214には貨幣の重量を測定するためのロードセルが設けられている。また、貨幣管理装置2では、各ドロア211〜214に収納する貨幣の金種は予め設定されており、開閉されたドロア211〜214内の貨幣の重量の変化に基づいて、収納された貨幣及び取り出された貨幣の量を検出できるようになっている。結束紙幣回収カセット70から取り出した結束紙幣をドロア211〜214に収納する作業時にも、収納された結束紙幣の金種及び数が検出される。
貨幣管理装置2では、担当者による操作部226での操作に基づいて、結束紙幣回収カセット70から回収した結束紙幣が対応する各ドロア211〜214に収納されたことを認識すると、先に紙幣処理装置1から受信していた結束紙幣回収カセット70内の結束紙幣の数及び金種を示す情報と、担当者が操作部226を操作して入力した結束紙幣の数及び金種と、各ドロア211〜214のロードセルを利用して重量の変化から検出した結束紙幣の数及び金種とをそれぞれ比較する。そして、比較結果を、表示部227への情報表示や音声等によって報知する。比較結果が一致しなかった場合には、担当者は、報知された情報を確認して結束紙幣の数や金種を再確認する作業を行うことができる。ただし、担当者による結束紙幣の数及び金種の入力と、ロードセルを利用した結束紙幣の数及び金種の検知とは、いずれか一方のみを行う態様であってもよい。
また、貨幣管理装置2では、この他にも結束紙幣回収カセット70に関する監視を行うことができる。具体的には、紙幣処理装置1から、結束紙幣回収カセット70に関する情報を受信してから所定時間が経過しても、結束紙幣回収カセット70が貨幣管理装置2の所定の収納スペースに装着されない場合に、これを利用者に報知して確認を促すことができる。また、結束紙幣回収カセット70を貨幣管理装置2に装着して保管を開始してから所定時間が経過しても、結束紙幣回収カセット70を取り外して結束紙幣をドロア211〜214に収納する作業が行われない場合に、これを利用者に報知して確認を促すことができる。これにより、結束紙幣が収納されている結束紙幣回収カセット70が、紙幣処理装置1から取り外された状態で放置されたり、貨幣管理装置2に装着して保管されたまま放置されたりすることを回避することができる。
なお、複数個の結束紙幣回収カセット70を用する場合には、各カセットを識別するための識別情報を示すバーコードを結束紙幣回収カセット70上に貼り付けて、各カセットを区別する。例えば、紙幣処理装置1に接続された外部装置や貨幣管理装置2にバーコードリーダを接続して、結束紙幣回収カセット70を紙幣処理装置1に装着する際、結束紙幣回収カセット70を貨幣管理装置2に装着する際、結束紙幣回収カセット70から結束紙幣を取り出して貨幣管理装置2に収納する作業を行う際のそれぞれで、バーコードリーダによって各カセットの識別情報を取得する。これにより、紙幣処理装置1では結束紙幣回収カセット70のそれぞれに収納される結束紙幣の数や金種を、カセット毎に管理することができる。また、貨幣管理装置2では所定スペースに装着して保管される結束紙幣回収カセット70や、結束紙幣を回収して貨幣管理装置2に収納する作業の対象となる結束紙幣回収カセット70を区別することができる。この結果、複数の結束紙幣回収カセット70のそれぞれを区別しながら、上述した各処理を行うことができる。また、貨幣管理装置2では、例えば、先に紙幣処理装置1から結束紙幣の数及び金種を示す情報を受信していた結束紙幣回収カセット70の識別情報と、貨幣管理装置2で取得した結束紙幣回収カセット70の識別情報とを比較して、両者が一致しない場合に、これを利用者に報知して確認を促すこともできる。
この他、紙幣処理システムでは、貨幣管理装置2に加えて又は代えて、結束紙幣回収カセット70を保管するための専用のクレードル170を利用することもできる。図8は、結束紙幣回収カセット70を保管するためのクレードル170を利用する紙幣処理システムの例を示す斜視図である。クレードル170は、例えば、紙幣処理装置1が設置されている場所の近傍で、床面に固定して利用される。
クレードル170は上面が開口されたボックス形状を有し、この開口から結束紙幣回収カセット70を挿入して固定した状態で保管できるようになっている。具体的には、クレードル170の開口内の底面に、図6に示したカセット検知センサ120及びロック機構130と同一構造のカセット検知センサ及びロック機構が設けられており、クレードル170の上方から開口内に結束紙幣回収カセット70を挿入すると、クレードル170の設けられたロック機構によって結束紙幣回収カセット70がロックされる。なお、クレードル170が備えるロック機構の構造は特に限定されず、結束紙幣回収カセット70をクレードル170の開口内に挿入した際にこれをロックすることができれば、図6に示したロック機構と異なる構造であっても構わない。
クレードル170は、外部装置と通信可能な通信インターフェイスを有しており、紙幣処理装置1とクレードル170との間は、図8に破線で示したように、通信インターフェイス90によって通信可能に接続されている。また、クレードル170は、通信インターフェイス90を介して、紙幣処理装置1と接続された別の紙幣処理装置や操作端末等の外部装置とも通信可能に接続される。これにより、外部装置が備える操作表示部を利用してクレードル170のロック機構を制御したり、カセット検知センサによる検知結果を外部装置で取得して利用したりすることができる。例えば、クレードル170に設けられたカセット検知センサで検知した結束紙幣回収カセット70の脱着日時等を記録することができる。
結束紙幣回収カセット70をクレードル170から取り外す際には、外部装置の操作表示部を操作することにより、クレードル170に設けられたロック機構を制御して、ロックを解除する。そして、結束紙幣回収カセット70を持ち上げるようにしてクレードル170から取り外す。
このように、紙幣処理装置1から取り外した結束紙幣回収カセット70をクレードル170に装着してロックすることにより、セキュリティを確保した状態で結束紙幣回収カセット70を保管することができる。
紙幣処理装置1から取り外した結束紙幣回収カセット70の保管方法については、結束紙幣回収カセット70を紙幣処理装置1の筐体の外側面にロックして保管するようにしてもよい。この場合は、空の結束紙幣回収カセット70を予め筐体の外側面にロックしておいて、結束紙幣が収納された結束紙幣回収カセット70を紙幣処理装置1から取り外す際に、空の結束紙幣回収カセット70を筐体外側面から取り外した後、紙幣処理装置1から取り外した結束紙幣回収カセット70を筐体外側面にロックして保管する。空の結束紙幣回収カセット70は、紙幣処理装置1に装着して利用する。筐体外側面への結束紙幣回収カセット70のロック方法については、図6に示すようにロック板70fやロックアーム130a等から成るロック機構を利用する態様であってもよいし、より簡便な方法を採用してもよい。例えば、紙幣処理装置1の筐体に筐体外側面から突出するように設けた金属板にロック用の貫通孔を設けておいて、この貫通孔を通したチェーンロックを結束紙幣回収カセット70の取っ手に通してロックすることにより、チェーンロックのロックを解除しないと、結束紙幣回収カセット70を紙幣処理装置1に装着したり持ち去ったりできないようにする。
紙幣処理装置1から結束紙幣回収カセット70を抜き取った後、別途用意していた空の結束紙幣回収カセット70を装着することにより、通常通りに紙幣処理を継続できるが、これに加えて、紙幣処理装置1では、結束紙幣回収カセット70を取り外した状態で紙幣処理装置1を長時間継続して利用できるようになっている。以下、図9を参照しながら具体的に説明する。
図9は、紙幣処理装置1でバラ紙幣から結束紙幣を作成して結束紙幣回収カセット70に収納する処理について説明する模式図である。紙幣処理装置1では、バラ紙幣金種別収納部34のそれぞれに収納するバラ紙幣の上限枚数が設定されている。各バラ紙幣金種別収納部34では、バラ紙幣の収納枚数が上限枚数に達すると、所定枚数のバラ紙幣を超過分とする。そして、超過分とされたバラ紙幣から結束紙幣を作成して結束紙幣回収カセット70に収納する処理が行われる。これにより、バラ紙幣金種別収納部34へ収納可能なバラ紙幣の枚数を増やすことができる。なお、超過分とするバラ紙幣の枚数は設定により変更できるようになっている。
具体的には、バラ紙幣の収納枚数が上限枚数に達すると、バラ紙幣金種別収納部34から100枚のバラ紙幣を繰り出して、矢印91で示すように、第1搬送部81によって搬送して、紙幣識別部20で識別した後、表裏反転部22を経て整理一時保留部40へ搬送する。なお、表裏反転部22によって表裏を揃えるよう設定されている場合には、紙幣識別部20による表裏の識別結果に基づいてバラ紙幣の表裏が揃えられる。
結束対象となる100枚のバラ紙幣を、バラ紙幣金種別収納部34から繰り出して整理一時保留部40へ収納した後、矢印92で示すように、第2搬送部82を構成する第1アーム機構51が整理一時保留部40内の全てのバラ紙幣を掴んで紙幣結束部45へ搬送する。紙幣結束部45によって、100枚のバラ紙幣を結束して結束紙幣が作成されると、第1アーム機構51は、作成された結束紙幣を上方へ搬送して第2アーム機構52へ引き渡す。第3搬送部83を構成する第2アーム機構52は、矢印93で示すように、第1アーム機構51から受けた結束紙幣を出金部16へ搬送する。このとき、出金部16では、結束紙幣搬送ステージ53が下方へ移動する。第2アーム機構52は、出金部16内の結束紙幣搬送ステージ53上へ結束紙幣を載置した後、装置背面側へ後退する。第4搬送部84を構成する結束紙幣搬送ステージ53は、第2アーム機構52から結束紙幣を受け取ると、矢印94で示すように上昇する。そして、上昇した結束紙幣搬送ステージ53上の結束紙幣は、矢印95で示すように、結束紙幣搬送機構55によって結束紙幣搬送路75を搬送されて結束紙幣回収カセット70に収納される。
このように、バラ紙幣金種別収納部34に収納されている100枚のバラ紙幣から結束紙幣を作成して結束紙幣回収カセット70に収納する処理を行うが、この処理を行うか否かを判定する基準となる、バラ紙幣金種別収納部34の収納上限枚数には、第1閾値及び第2閾値2つの閾値がある。第1閾値は、結束紙幣回収カセット70が紙幣処理装置1にロックされている場合の閾値であり、第2閾値は、紙幣処理装置1で結束紙幣回収カセット70のロックが解除されている場合の閾値である。結束紙幣回収カセット70が利用されている間の第1閾値は、結束紙幣回収カセット70が取り外されて利用できない間の第2閾値より少ない紙幣枚数となっている。
すなわち、結束紙幣回収カセット70が紙幣処理装置1から取り外されると、バラ紙幣金種別収納部34に収納するバラ紙幣の収納上限枚数を第1閾値から第2閾値に変更する。これにより、バラ紙幣金種別収納部34に収納可能な紙幣枚数を増やして、バラ紙幣金種別収納部34のバラ紙幣から超過分として結束紙幣を作成して結束紙幣回収カセット70へ搬送して収納する処理が行われにくいようにする。この結果、結束紙幣回収カセット70に結束紙幣を搬送する必要が生じて、結束紙幣回収カセット70が取り外されているために紙幣処理が停止するという状況の発生を抑制することができる。
また、バラ紙幣金種別収納部34の閾値を第2閾値に設定したにも拘わらず、バラ紙幣の収納枚数が第2閾値を超えて、超過分とされるバラ紙幣が発生した場合には、この超過分のバラ紙幣から作成した結束紙幣の収納先を、結束紙幣回収カセット70から結束紙幣金種別収納部72に変更して、金種に応じて対応する結束紙幣金種別収納部72に収納する。これにより、紙幣処理装置1から結束紙幣回収カセット70を取り外した状態で、長時間継続して紙幣処理装置1を利用することができる。
なお、バラ紙幣金種別収納部34に収納されているバラ紙幣から結束紙幣を作成して結束紙幣回収カセット70に収納する態様を示したが、各バラ紙幣金種別収納部34で、バラ紙幣の収納枚数が上限枚数に達すると、超過分とされたバラ紙幣から結束紙幣を作成して結束紙幣金種別収納部72へ搬送して収納するよう設定することもできる。例えば、通常は、バラ紙幣金種別収納部34に収納されていたバラ紙幣から作成した結束紙幣を結束紙幣金種別収納部72に収納するようにして、バラ紙幣金種別収納部34に収納されていたバラ紙幣から作成した結束紙幣をすぐに回収する場合にのみ結束紙幣回収カセット70に収納するように設定する。このようにすれば、作成した結束紙幣を結束紙幣金種別収納部72に収納しておいて、この結束紙幣を、出金部16から結束紙幣を出金する出金処理に利用することができる。
結束紙幣金種別収納部72のそれぞれにおいても、収納する結束紙幣の上限数が設定されており、この上限数に到達すると、所定数の結束紙幣が、超過分の結束紙幣として結束紙幣金種別収納部72から繰り出されて結束紙幣回収カセット70に収納されるようになっている。ただし、結束紙幣回収カセット70が紙幣処理装置1から取り外されると、結束紙幣金種別収納部72から結束紙幣回収カセット70への結束紙幣の移動を禁止するようになっている。なお、結束紙幣回収カセット70が紙幣処理装置1から取り外されている間、結束紙幣金種別収納部72からの結束紙幣の繰り出しを禁止するものではなく、結束紙幣金種別収納部72に収納していた結束紙幣を繰り出して出金部16へ搬送して出金する処理を行うことは可能である。
上述してきたように、本実施形態に係る紙幣処理装置1によれば、紙幣処理装置1の利用を続けながら、紙幣処理装置1内で超過分として回収された結束紙幣が収納される結束紙幣回収カセット70を装置側面から抜き取ることができる。紙幣処理装置1から結束紙幣回収カセット70を取り外す際に、結束紙幣回収カセット70に対応して設けられた結束紙幣搬送路75の開閉機構75aが、結束紙幣を搬送可能な搬送位置に固定される。これにより、紙幣処理装置1で紙幣処理を実行している最中であっても紙幣処理装置1から結束紙幣回収カセット70を抜き取ることが可能であり、結束紙幣回収カセット70を抜き取った後も、紙幣処理装置1で紙幣処理を行うことができる。
また、紙幣処理装置1に結束紙幣回収カセット70を装着している場合と、紙幣処理装置1から結束紙幣回収カセット70を取り外している場合とで、紙幣処理に必要な紙幣枚数を超える超過分のバラ紙幣の有無を判定する閾値を変更することができる。これにより、紙幣処理装置1から結束紙幣回収カセット70が取り外されている間に、結束紙幣回収カセット70に超過分の結束紙幣を収納するために紙幣処理を中断せざるを得ない状況の発生を抑制して、紙幣処理装置1の利用を長時間継続することができる。
また、紙幣処理装置1から取り外した結束紙幣回収カセット70を、貨幣管理装置2や専用のクレードル170に装着してロックした状態で保管することにより、結束紙幣が収納されている結束紙幣回収カセット70に係るセキュリティを確保することができる。例えば、紙幣処理装置1から結束紙幣回収カセット70を取り外して貨幣管理装置2やクレードル170で保管した状態で、紙幣処理装置1の利用を継続することができる。また、紙幣処理装置1の利用を続けながら、貨幣管理装置2やクレードル170で保管していた結束紙幣回収カセット70から結束紙幣を取り出して貨幣管理装置2等に収納する作業を行うことができる。そして、空になった結束紙幣回収カセット70を紙幣処理装置1に戻す際にも、紙幣処理装置1の利用を停止することなく、紙幣処理が実行されている最中であっても結束紙幣回収カセット70を紙幣処理装置1に装着することができる。