JP3600824B2 - 循環式貨幣処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙幣、硬貨の入出金の取り扱いができる循環式貨幣処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、実開平6−75061号公報に記載されているように、銀行等の金融機関用であって、2人のテラー間に配置されて紙幣、硬貨の入出金の取り扱いができる一体形で占有スペースの小さい循環式貨幣処理装置が知られている。この循環式貨幣処理装置は、硬貨処理ユニットを装置本体の前部扉の内側に配置し、紙幣処理ユニットを装置本体の後部側に配置したもので、紙幣処理ユニットの前後方向の長さを抑えるために紙幣を収納する紙幣カセットの紙幣収納部の数を紙幣の金種数より少なくし、空いたスペースを利用して縦型の硬貨処理ユニットを配置するようにしている。そのため、紙幣処理ユニットでは、紙幣収納部の数が紙幣の金種数より少ないことから、各紙幣収納部を金種別に設定する場合には収納できない金種が生じて出金可能金種が制限され、紙幣収納部を金種別収納部に設定しないで金種混合状態で収納するように設定した場合には出金指定金種の紙幣が繰り出されるまでに時間がかかったりして出金処理の効率が悪くなっている。さらに、装置本体の前部扉に硬貨処理ユニットを備えるので、前部扉が重く開閉操作しにくくなっている。
【0003】
また、一般的に、銀行等の金融機関においては、金種別の紙幣収納部を備えた紙幣入出金装置をテラーの脇机の間に置き、硬貨入出金装置を脇机の上または紙幣入出金装置の上に置くことが多く、占有スペースが大きくなっている。そして、業務終了に伴う締上収集時には、紙幣入出金装置内の紙幣が紙幣カセットに収集され、硬貨入出金装置内の硬貨が硬貨カセットに収集されるので、離れた場所にある各々のカセットを取り出さなければならず、操作が面倒である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、実開平6−75061号公報に記載された紙幣、硬貨の入出金の取り扱いができる一体形の循環式貨幣処理装置では、装置本体の前後に硬貨処理ユニットおよび紙幣処理ユニットを配設するため、紙幣処理ユニットの紙幣収納部の数を紙幣の金種数より少なくする必要があるが、各紙幣収納部を金種別に設定する場合には収納できない金種が生じて出金可能金種が制限され、紙幣収納部を金種別収納部に設定しないで金種混合状態で収納するように設定した場合には出金指定金種の紙幣が繰り出されるまでに時間がかかり、出金処理の効率が悪い問題がある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、紙幣、硬貨の入出金の取り扱いができる一体形の構成でありながら、紙幣の全金種のスタッカを備えることにより、紙幣の入出金を効率よくできる循環式貨幣処理装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の循環式貨幣処理装置は、装置本体と、この装置本体の上面手前側の幅方向中央位置に上方に向けて設けられ、入金硬貨が投入される硬貨入金口と、前記装置本体の幅方向中央位置でかつ前記硬貨入金口より前側に設けられ、入金紙幣が投入される紙幣入金口と、前記装置本体の幅方向中央位置でかつ前記硬貨入金口より前側に設けられ、出金紙幣が払い出される紙幣出金口と、前記硬貨入金口より前側下部位置で前記紙幣出金口の近傍に設けられ、出金硬貨が払い出される硬貨出金口と、前記装置本体の前面から奥行き方向に向けて、金種別に紙幣を収納するとともに収納された紙幣を繰り出す金種別のスタッカを配置し、入金処理時には前記紙幣入金口から入金紙幣を受け入れて入金処理し、入金紙幣のうち出金に循環使用する入金紙幣は対応する金種別のスタッカに収納し、出金処理時には出金紙幣を対応する金種のスタッカから繰り出して前記紙幣出金口に払い出す紙幣処理ユニットと、前記装置本体における前記紙幣処理ユニットの上部に設けられ、前記硬貨入金口から入金硬貨を受け入れて入金処理するとともに出金処理により出金硬貨を前記硬貨出金口へ払い出し、入金硬貨を出金硬貨に循環使用する硬貨処理ユニットであって、前記装置本体の幅方向に金種別に並んで配置され金種別に硬貨をばら状態で収納するとともに収納された硬貨を繰り出す金種別の硬貨収納繰出部を備え、各金種別の硬貨収納繰出部には装置本体の奥行き方向に張設され硬貨をばら状態で載せるとともに装置本体の前方へ向けて硬貨を繰り出すベルトがそれぞれ設けられた硬貨処理ユニットと、前記装置本体内の幅方向中央位置で最前位の金種別のスタッカの前側域に着脱可能に配置され、収集時に金種別のスタッカの紙幣を収集する紙幣カセットと、前記装置本体内の前記紙幣カセットとは幅方向に異なる幅方向一側位置に対して着脱可能に配置され、金種別の硬貨収納繰出部の硬貨を収集する硬貨カセットとを具備しているものである。
【0007】
そして、装置本体の幅方向に金種別に並んで配置され金種別に硬貨をばら状態で収納するとともに収納された硬貨を繰り出す金種別の硬貨収納繰出部を備え、各金種別の硬貨収納繰出部には装置本体の奥行き方向に張設され硬貨をばら状態で載せるとともに装置本体の前方へ向けて硬貨を繰り出すベルトが設けられた硬貨処理ユニットの構成により、硬貨処理ユニットの高さ方向を低く抑えて、紙幣処理ユニットの上部に硬貨処理ユニットを配設可能とする。そのため、紙幣、硬貨の入出金の取り扱いができる一体形の構成でありながら、紙幣の全金種のスタッカを備えて紙幣の入出金の効率がよく、しかも、例えば装置本体の扉等に硬貨処理ユニットを設けることがない。さらに、紙幣カセットと硬貨カセットとを装置幅方向に並べて配置し、紙幣カセットおよび硬貨カセットを容易に取り扱える。また、装置本体の上面手前側の幅方向中央位置に上方に向けて硬貨入金口を設け、装置本体の幅方向中央位置でかつ硬貨入金口より前側に紙幣入金口および紙幣出金口を設け、硬貨入金口より前側下部位置で紙幣出金口の近傍に硬貨出金口を設けたため、装置本体を2人のテラー間に配設して使用する場合に、左右どちらのテラーからでも操作しやすく、紙幣、硬貨の入出金の効率をよくできる。
【0008】
請求項2記載の循環式貨幣処理装置は、請求項1記載の循環式貨幣処理装置において、紙幣処理ユニットは、紙幣出金口の下部位置で装置本体の前面幅方向中央位置に設けられて出金リジェクト紙幣を収納するリジェクトボックスとこのリジェクトボックス内の出金リジェクト紙幣の取り出しを可能とする出金リジェクト紙幣用取出口とを有し、入金処理時には紙幣入金口から入金紙幣を受け入れて入金処理し、入金紙幣のうち出金に循環使用する入金紙幣は対応する金種別のスタッカに収納し、出金処理時には出金紙幣を対応する金種のスタッカから繰り出して紙幣出金口に払い出すとともに、出金し得ない出金リジェクト紙幣をリジェクトボックスに収納するものである。
【0009】
そして、紙幣出金口の下部位置で装置本体の前面幅方向中央位置にリジェクトボックスおよび出金リジェクト紙幣用取出口を設けたため、装置本体を2人のテラー間に配設して使用する場合に、左右どちらのテラーからでも出金リジェクト紙幣を取り出しやすくできる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の循環式貨幣処理装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0011】
図5ないし図7において、銀行等の金融機関において左右の2人のテラー間に設置されて紙幣、硬貨の入出金の取り扱いが可能な循環式貨幣処理装置11を示し、この循環式貨幣処理装置11は、装置本体12を有し、この装置本体12は、縦型で、装置幅方向(前面から見て左右方向)の寸法が小さく、装置奥行き方向(前面から見て前後方向)に長く構成されており、装置本体12の上面手前側から前面上部側にかけて操作部13が配設されている。
【0012】
操作部13の上面手前側の幅方向中央位置には、上方に向けて開口された硬貨入金口14が形成されている。この硬貨入金口14は、シャッタ15で自動開閉され、このシャッタ15の開放により硬貨の投入が可能になっている。
【0013】
操作部13の前面最上部の幅方向中央位置でかつ硬貨入金口14の前側には、斜め上方に向けて開口された紙幣入金口16が形成されている。この紙幣入金口16は、シャッタ17で自動開閉され、このシャッタ17の開放により紙幣の投入が可能になっている。なお、紙幣は、紙幣の長手方向を装置幅方向に、紙幣の短手方向を装置奥行き方向にそれぞれ合わせて、紙幣入金口16に挿入される。
【0014】
操作部13の前面の幅方向中央位置でかつ紙幣入金口16の下方には、斜め上方に向けて開口された紙幣出金口18が形成されている。この紙幣出金口18は、シャッタ19で自動開閉され、このシャッタ19の開放により紙幣出金口18に装置内から払い出された紙幣の取り出しが可能となっている。紙幣出金口18の両側近傍には、紙幣出金口18に紙幣が払い出されたことを点滅表示する紙幣出金ランプ20がそれぞれ配設されている。なお、紙幣は、紙幣の長手方向を装置幅方向に、紙幣の短手方向を装置奥行き方向にそれぞれ合わせて、紙幣出金口18から払い出される。
【0015】
操作部13の前面の幅方向中央位置でかつ紙幣出金口18の下方には、前方に向けて開口されたリジェクトボックス取出口21が形成され、このリジェクトボックス取出口21内にリジェクト紙幣を収納するリジェクトボックス22が着脱可能に配置されている。リジェクトボックス取出口21は、リジェクトボックス取出口21の閉鎖状態で施錠、解錠するリジェクトボックスキー23を有する蓋体24で開閉される。
【0016】
操作部13の前面の幅方向左右端位置でかつ紙幣出金口18の近傍には、左右のテラー用に硬貨出金口25がそれぞれ形成されている。この各硬貨出金口25は、装置本体12の幅方向左右端位置にそれぞれ形成された凹状の硬貨出金ボックス取付部26に位置され、この硬貨出金ボックス取付部26には装置内から払い出される硬貨を受け入れる硬貨出金ボックス27が着脱可能に配置されている。硬貨出金ボックス27は硬貨出金ボックス取付部26に装填された状態で図示しない施錠機構によって施錠、解錠されるように構成されている。各硬貨出金口25の近傍には、対応する硬貨出金口25に硬貨が払い出されたことを点滅表示する硬貨出金ランプ28がそれぞれ配設されている。
【0017】
操作部13の上面の幅方向左右端位置には、左右のテラー用にキー入力部29がそれぞれ配設され、これら各キー入力部29には、左右のテラーで硬貨(硬貨処理ユニット)および紙幣(紙幣処理ユニット)の入出金処理の占有を指示および処理開始を指示する紙幣処理ユニット占有キー30および硬貨処理ユニット占有キー31がそれぞれ配設されているとともに、処理をキャンセルする紙幣用キャンセルキー32および硬貨用キャンセルキー33がそれぞれ配設されている。これら各キー30〜33には図示しないランプが内蔵され、このランプは、例えば対応する各処理ユニットが占有されている場合に点灯、対応する各所理ユニットが占有されていない場合に消灯する等、必要に応じて点灯、消灯されるように構成されている。
【0018】
操作部13の上面右側には、表示部34および複数のファンクションキー35が配設されている。表示部34では、ファンクションキー35の機能、トラブル時のメッセージやガイダンスメッセージなどが表示される。ファンクションキー35では、表示部34の表示切換(金種別等)、紙幣および硬貨の装填や締上収集等の処理選択、処理ユニット選択等の操作が可能になっている。
【0019】
操作部13の前面には、紙幣入金口16の左側に装置の電源をオンオフする電源スイッチ36が配設され、紙幣出金口18の左側に入金出金モード管理キー37が配設され、紙幣出金口18の右側に上部キー38が配設されている。入金出金モード管理キー37は、テラーモードと精査モードとに切換可能とし、テラーモードでは入金処理や出金処理等が実行され、精査モードでは紙幣および硬貨の装填や締上収集等が実行される。上部キー38では、装置本体12の上部ユニットを施錠、解錠する。
【0020】
また、装置本体12の前面でかつ操作部13のリジェクトボックス取出口21の下方には、下部扉39が開閉可能に取り付けられている。この下部扉39には、下部扉39の閉鎖状態で施錠、解錠される下部扉キー40が配設されている。そして、下部扉39の内側の装置本体12内には、紙幣カセット41が装置幅方向中央位置に着脱可能に配置されているとともに、この紙幣カセット41に対して装置幅方向の一側に並んで硬貨カセット42が着脱可能に配置されている。
【0021】
また、装置本体12は、図1に示すように、下部ユニット43と上部ユニット44とを有し、下部ユニット43と上部ユニット44とは共に引出可能に構成されている。各ユニット43,44の下部には複数の車輪45がそれぞれ配設され、これら車輪45によって走行移動可能に構成されている。
【0022】
次に、図1において、循環式貨幣処理装置11の紙幣処理ユニット51を示し、この紙幣処理ユニット51は、入金紙幣を出金紙幣に循環使用するもので、装置本体12内に配設され、紙幣搬送部52、紙幣識別部53、金種別のスタッカ54a〜54c、および複数(第1および第2)のカセット55a,55bを有する紙幣カセット41を備えている。
【0023】
紙幣搬送部52は、紙幣入金口16に投入される入金紙幣の入金処理と紙幣出金口18へ払い出す出金紙幣の出金処理とに応じて紙幣を反対方向(以下、紙幣入金口16から紙幣が搬送される方向に対応した方向を順送り方向といい、この順送り方向と反対方向を逆送り方向という)へ搬送する双方向搬送可能に、ベルト機構やローラ機構等によって構成されている。そして、紙幣搬送部52は、紙幣入金口16から紙幣を受け入れて1枚ずつ繰り出す紙幣入金部57を有し、この紙幣入金部57から繰り出される紙幣を搬送する入金搬送路58が形成され、この入金搬送路58から紙幣を受け入れて搬送する循環搬送路59が形成され、この循環搬送路59から各スタッカ54a〜54cおよび各カセット55a,55bに対して順送り方向に搬送される紙幣を導入する導入搬送路60がそれぞれ形成され、各スタッカ54a〜54cおよび各カセット55a,55bから循環搬送路59に対して紙幣を逆送り方向に導出する導出搬送路61がそれぞれ形成され、循環搬送路59から紙幣出金口18に紙幣を搬送する出金搬送路62が形成され、この出金搬送路62で搬送されてくる紙幣を集積するとともに集積された紙幣を紙幣出金口18から前方へ突出移動させる紙幣出金部63、循環搬送路59からリジェクトボックス22にリジェクト紙幣を搬送するリジェクト搬送路64が形成され、循環搬送路59の途中に紙幣の表裏を反転させる表裏反転部65が形成されている。
【0024】
循環搬送路59は、入金搬送路58から装置後方へ延びる上側搬送路66、およびこの上側搬送路66の後端から折返して装置前方へ延びる下側搬送路67を有し、これら上側搬送路66から下側搬送路67にかけて紙幣の双方向搬送が可能に構成されている。上側搬送路66の前端と下側搬送路67の前端との間には、下側搬送路67から上側搬送路66に紙幣を送る順送り搬送路68が形成されているとともに、この順送り搬送路68より装置後方で上側搬送路66から下側搬送路67に紙幣を送る逆送り搬送路69が形成されている。そして、順送り搬送路68を順送り方向に搬送される紙幣が出金搬送路62およびリジェクト搬送路64に搬送可能に構成されている。
【0025】
表裏反転部65は、上側搬送路66を逆送り方向に搬送される紙幣を受け入れて搬送するとともに、搬送途中で搬送方向を逆転させてから逆送り搬送路69を通じて下側搬送路67に搬送するようにしており、これにより紙幣の表裏が逆転される。
【0026】
また、紙幣識別部53は、紙幣搬送部52の循環搬送路59の上側搬送路66の後端側に配設され、紙幣搬送部52にて双方向に搬送される紙幣の金種や真偽を識別可能に構成されている。
【0027】
また、各スタッカ54a〜54cは、紙幣の全金種(千円、五千円、一万円)に対応して金種毎に備え、これらが装置本体12内に装置奥行き方向に沿って並列に配設され、紙幣搬送部52の循環搬送路59から対応する導入搬送路60を通じて金種別に紙幣を受け入れて収納可能とするとともに、収納された紙幣を対応する導出搬送路61を通じて循環搬送路59に繰出可能に構成されている。各スタッカ54a〜54c内には、収納される紙幣を載せて昇降するリフト70が配設され、このリフト70を昇降駆動するリフト駆動部71がスタッカ54a〜54cの後側に配設されている。
【0028】
各スタッカ54a〜54cの上部には、金種別に紙幣を一時保留する紙幣一時保留部72がそれぞれ配設されている。この各紙幣一時保留部72では、紙幣搬送部52の循環搬送路59から対応する導入搬送路60を通じて搬送されてくる紙幣を集積し、一時保留紙幣の収納時には一時保留紙幣が下方のスタッカ54a〜54c内に収納され、一時保留紙幣の返却時には一時保留紙幣が導出搬送路61を通じて循環搬送路59に1枚ずつ繰り出される。
【0029】
また、紙幣カセット41は、下部扉39の開放によって装置本体12内に着脱可能に配設され、紙幣を収納する2つ(第1および第2)のカセット55a,55bを装置奥行き方向に沿って並列に備え、各カセット55a,55bに装填された補充紙幣が対応する導出搬送路61を通じて循環搬送路59に繰り出されるとともに、締上収集時等に回収紙幣が循環搬送路59から対応する導入搬送路60を通じて収納される。各カセット55a,55b内には、収納される紙幣を載せて昇降するリフト73が配設されている。
【0030】
一方のカセット55bの上部には、入金時にスタッカ54a〜54cまたは紙幣一時保留部72に入りきらないオーバーフロー紙幣や識別不能なリジェクト紙幣を一時保留する紙幣一時保留部74が配設されている。この紙幣一時保留部74では、紙幣搬送部52から対応する導入搬送路60を通じて搬送されてくる紙幣が集積され、一時保留紙幣の収納時には一時保留紙幣が下方のカセット55b内に収納され、一時保留紙幣の返却時や再識別時には一時保留紙幣が対応する導出搬送路61を通じて循環搬送路59に1枚ずつ繰り出される。
【0031】
そして、紙幣カセット41は、装置本体12の底部に前後方向にスライド可能に設置される図示しないスライド部にセットされており、下部扉39を開放し、紙幣カセット41の紙幣カセット蓋41bをセットし、スライド部を介して紙幣カセット41を装置本体12内から手前に引き出すとともに上方に引き抜くことで取出可能になっている。紙幣カセット41のセット時は、紙幣カセット41の前面に把手部41aを設けた紙幣カセット蓋41bが位置している。
【0032】
また、紙幣処理ユニット51は、紙幣カセット41のブロック、各スタッカ54a〜54cおよびリフト駆動部71や対応する紙幣搬送部52の一部等を有するブロック、装置本体12の前側の紙幣搬送部52の一部等を有する上部ユニットのブロック、装置本体12の後側の紙幣搬送部52の一部や紙幣識別部53等を有する上部ユニットのブロックにそれぞれブロック化され、それら各ブロック毎に機構および制御がそれぞれ独立されている。
【0033】
そして、装置本体12にセットした状態では各ブロック間の紙幣搬送部52に隙間が生じないように各ブロック間を密着させているが、各スタッカ54a〜54cのブロックにはプッシュレバー75が設けられており、下部ユニット43を装置本体12から引き出した際にプッシュレバー75によって各スタッカ54a〜54c間およびスタッカ54aと紙幣カセット41との間に隙間を作り、スタッカ54a〜54c、紙幣カセット41の紙幣搬送部52を開けやすくして、詰まった紙幣の除去等の復旧処理やメンテナンスが容易にできるようになっている。
【0034】
次に、図2において、紙幣カセット41の内部機構を示し、各カセット55a,55b内に配置される各リフト73は、紙幣を略水平に載置可能とする平板状に形成され、リフトベース76上に伸縮機構(パンタグラフ機構)77によって支持されている。
【0035】
伸縮機構77は、交差状に配置される一対のリンク78,79を複数組み有し、一方のリンク78の一端がリフト73の下面に、他方のリンク79の一端がリフトベース76の上面にそれぞれ回動自在に連結されるとともに、一方のリンク78の他端がリフトベース76の上面に、他方のリンク79の他端がリフト73の下面にそれぞれリフトベース76の上面およびリフト73の下面に沿ってスライド自在および回動自在に連結されており、リフト73がリフトベース76に対して略水平姿勢で昇降可能に支持されている。伸縮機構77にはリフト73をリフトベース76に対して上昇する方向に付勢する図示しないばねが取り付けられ、一方のリンク78にはリフト73がリフトベース76に対して所定高さに上昇した位置で他方のリンク79に当接してリフト73の上昇を規制するストッパ80が取り付けられている。そして、リフト73上に載る紙幣量が少ない場合にはばねの付勢によってストッパ80で規制される高さまでリフト73が上昇され、リフト73上に載る紙幣量が多い場合には紙幣重量でばねの付勢に抗してリフト73が下降され、これにより、最上部に位置する紙幣をカセット55a,55bの上方に配置される繰出機構に対して安定した押圧力で押圧でき、紙幣の繰り出しが良好に行なわれる。
【0036】
両カセット55a,55bの間、すなわちカセット55a,55bの装置奥行き方向に、各カセット55a,55b内のリフト73を昇降させるリフト駆動部81がそれぞれ配設されている。各リフト駆動部81は、略垂直に立設されたスライド軸82を有し、このスライド軸82に沿って上下動可能にスライド部材83が係合され、このスライド部材83にリフトベース76を支持するアーム84が突設されている。各スライド軸82と平行に隣接して図示しない上部プーリと下部プーリ85との間に無端状の駆動ベルト86が張設され、この駆動ベルト86にスライド部材83が連結されている。下部プーリ85は図示しないモータで正逆回転駆動される駆動軸87に取り付けられ、この駆動軸87の正逆回転に応じて駆動ベルト86を介してリフトベース76が昇降される。そして、リフト駆動部81がカセット55a,55bの奥行き方向に位置していることで、装置幅方向の寸法が狭く構成されている。
【0037】
また、各カセット55a,55b内の紙幣の有無を検知する紙幣検知手段88をそれぞれ備えており、各紙幣検知手段88は、発光器89および受光器90を対とするセンサ91を複数組み有し、これらセンサ91が紙幣カセット41が装填される装置本体12側で各カセット55a,55bの上方位置に対応して配設されている。各カセット55a,55bのリフト73には各発光器89および各受光器90に対向して検知光の通過を許容する切欠部92が形成され、リフトベース76には発光器89からの検知光を入射するとともに受光器90に向けて出射するプリズム93が配設されている。そして、各紙幣検知手段88では、紙幣で検知光が遮光されるときに紙幣が有りを検知し、検知光が遮光されなければ紙幣が無しを検知するもので、このとき、リフトベース76にプリズム93を取り付けているので、1組のセンサ91で複数箇所を検知でき、紙幣有無を安定して検知できる。
【0038】
次に、図3および図4において、循環式貨幣処理装置11の硬貨処理ユニット101を示し、この硬貨処理ユニット101は、入金硬貨を出金硬貨に循環使用するもので、装置本体12の紙幣処理ユニット51の上部に配設され、硬貨搬送部102、硬貨識別部103および複数の硬貨収納繰出部104を備え、下部に硬貨を収納する前記硬貨カセット42が配置されている。
【0039】
硬貨搬送部102は、硬貨入金口14の下方に配設されて硬貨入金口14に投入される硬貨を受け入れる硬貨受入部106を有し、この硬貨受入部106の底部には硬貨を1列状態で繰り出す繰出ベルト107が装置幅方向でかつ左斜め上方に向けて張設され、この繰出ベルト107の繰出方向の上方に繰り出される硬貨を1層に規制する逆転ローラ108が配設されている。したがって、繰出ベルト107の繰出方向への回動と逆転ローラ108の逆転とにより、硬貨受入部106から硬貨が1層1列状態で順次繰り出される。
【0040】
繰出ベルト107の繰出方向の末端には装置本体12内の左側に沿って装置後方へ向かう識別分岐搬送路109が形成され、この識別分岐搬送路109の始端位置に硬貨識別部103が配設されている。識別分岐搬送路109の後端からは装置幅方向に沿って選別搬送路110が形成され、この選別搬送路110には硬貨を金種別に選別する複数の選別部111が配設されている。各選別部111は、選別搬送路110の底板112に形成された選別孔113を選別板114で開閉する構造が採られており、対応金種の硬貨が到達する際に選別板114が開放されて硬貨が選別孔113から落下され、対応金種以外の硬貨が到達する際には選別板114が閉鎖されて硬貨が選別孔113上を通過するように構成されている。そして、選別搬送路110の上流側から下流側に5円、1円、50円、100円、10円および500円の金種別の選別部111が順に配設されているとともに、最上流部にオーバーフロー硬貨用の選別部111が配設されている。
【0041】
識別分岐搬送路109の途中にはリジェクト硬貨を分岐するリジェクトゲート115が配設され、このリジェクトゲート115の下方に装置幅方向に沿って左右いずれの方向にも硬貨を搬送可能とする中継搬送部116が形成されている。なお、この中継搬送部116上がリジェクト硬貨を一時保留するリジェクト硬貨一時保留部として構成されている。
【0042】
中継搬送部116の左端には、中継搬送部116の左端部からの硬貨の流出を規制する左側の出金保留切換部117が開閉可能に配設されている。中継搬送部116の左端下方には出金保留切換部117の開放状態で中継搬送部116から送り込まれる硬貨を受け入れるとともに左側の硬貨出金口25を通じて硬貨出金ボックス27に送り込む左側の出金搬送部118が配設されている。
【0043】
中継搬送部116の右端には、中継搬送部116の右端部からの硬貨の流出を規制する右側の出金保留切換部119が開閉可能に配設されている。中継搬送部116の右端下方には出金保留切換部119の開放状態で中継搬送部116から送り込まれる硬貨を受け入れて前方へ搬送する右側の出金搬送部120が配設されている。この出金搬送部120上には硬貨を硬貨受入部106に再投入するように切換可能とする再投入切換部121が配設され、出金搬送部120の前端には硬貨を受け入れて右側の硬貨出金口25を通じて右側の硬貨出金ボックス27に送り込むシュート122が配設されている。このシュート122の途中には、硬貨を硬貨カセット42に導くカセットシュート123が接続されているとともに、シュート122内を案内される硬貨をカセットシュート123内に導くように切換可能とするカセットシュート切換部124が配設されている。
【0044】
また、硬貨識別部103は、硬貨搬送部102の始端位置に配設され、搬送される硬貨の金種や真偽を識別するように構成されている。
【0045】
また、硬貨収納繰出部104は、装置奥行き方向に沿って長く、装置幅方向に並んで配設されており、金種別の各選別部111の下方位置に対応して左側から右側の順に5円、1円、50円、100円、10円および500円の金種別の硬貨収納繰出部104が配設されているとともに、最も左側のオーバーフロー硬貨用の選別部111の下方位置に対応してオーバーフロー硬貨用の硬貨収納繰出部104が配設されている。
【0046】
各硬貨収納繰出部104は、左右両側に側板126を有し、これら側板126間の底部に平ベルトにて構成されるベルト127が装置奥行き方向に沿って前側が上昇するとともに後側が下降する傾斜状態に張設されている。ベルト127は側板126間に前後に配置されるプーリ128,129に掛け回され、前側のプーリ128は各硬貨収納繰出部104に共通の1本の連結軸130で一体的に回動可能とされ、後側のプーリ129は各硬貨収納繰出部104に共通の1本の駆動軸131で一体的に回動可能とされ、この駆動軸131が図示しないモータで正逆回転駆動される。したがって、各硬貨収納繰出部104のベルト127が一体的に正逆回転駆動される。なお、ベルト127の上面が前方へ向かう方向を繰出方向と呼び、後方へ向かう方向を収納方向と呼ぶ。
【0047】
ベルト127上には、選別部111の下方域に硬貨をばら状態で一時保留する硬貨一時保留部132が形成され、この硬貨一時保留部132の後方域に硬貨をばら状態で収納する硬貨収納部133が形成され、硬貨一時保留部132と硬貨収納部133との間には仕切部134が開閉可能に配設され、硬貨収納部133の後面には後面板135が配設されている。なお、最も左側のオーバーフロー硬貨用の硬貨収納繰出部104は、仕切部134を備えず、硬貨一時保留部132と硬貨収納部133とは仕切られていない。
【0048】
ベルト127上の硬貨一時保留部132の前側には各硬貨収納繰出部104に共通の逆転ローラ136が配設され、この逆転ローラ136がベルト127の繰出方向への回動とは逆方向に回転されて、硬貨が1層に規制される。したがって、ベルト127と逆転ローラ136と図示しない両側のガイド板とで、硬貨が1層1列状態に規制されて順次繰り出されるように構成されている。逆転ローラ136の前側には、ベルト127上で硬貨の繰り出しを停止させる図示しないストッパ機構が配設されているとともに、繰り出される硬貨を計数する図示しない計数手段が配設されている。
【0049】
ベルト127の前端には、中継搬送部116との間に案内板137が配設されているとともに、この案内板137の上方に硬貨を中継搬送部116に送り出す送出ローラ138が配設されている。
【0050】
また、硬貨カセット42は、上面に硬貨処理ユニット101のカセットシュート123から導かれる回収硬貨を受け入れる硬貨受入口140が形成され、前面に把手部42aが形成されている。そして、硬貨カセット42は、装置本体12の底部に前後方向にスライド可能に設置される図示しないスライド部にセットされており、下部扉39を開放し、スライド部を介して硬貨カセット42を装置本体12内から手前に引き出すとともに上方へ引き抜くことで取出可能となっている。
【0051】
次に、循環式貨幣処理装置11による処理を説明する。
【0052】
まず、図8(a)(b)において、紙幣処理ユニット51への紙幣の初期補充処理について説明する。
【0053】
テラーにより、装置本体12内から取り出されている紙幣カセット41の例えば一方のカセット55aに各金種の補充紙幣を一緒に装填し、下部扉39を開放してその紙幣カセット41を装置本体12内に装填し、下部扉39を閉じ、入金出金モード管理キー37が精査モードの状態でファンクションキー35により紙幣の補充処理を指令する。
【0054】
紙幣の補充処理の指令により、図8(a)に示すように、一方のカセット55aからの補充動作が開始される(紙幣の主な搬送経路を太線で示す)。一方のカセット55aから1枚ずつ繰り出される補充紙幣は、導出搬送路61を通じて循環搬送路59に送り込まれ、この循環搬送路59の上側搬送路66を順送り方向に搬送されて紙幣識別部53で識別される。
【0055】
紙幣識別部53で正常と識別された補充紙幣は、循環搬送路59の下側搬送路67から金種別の導入搬送路60を通じて金種別の紙幣一時保留部72に送り込まれて一時保留される。金種別の紙幣一時保留部72に所定枚数(例えば100枚)の紙幣が一時保留された場合には、一時保留紙幣が下方の金種別のスタッカ54a〜54cに収納される。
【0056】
紙幣識別部53で例えば循環搬送路59を搬送される補充紙幣が重なっていたりして所定の識別動作ができず再識別することによって正常と識別される可能性のある再識別可能なリジェクト紙幣と識別された場合には、そのリジェクト紙幣が循環搬送路59の下側搬送路67の末端まで搬送されるとともに紙幣カセット41の紙幣一時保留部74に送り込まれて一時保留される。
【0057】
紙幣識別部53で正常でなく再識別不可なリジェクト紙幣と識別された場合には、一方のカセット55aから補充紙幣の繰り出しが一時停止され、そのリジェクト紙幣が循環搬送路59の下側搬送路67の末端を通じて紙幣出金口18に送り込まれ、補充動作終了後に、シャッタ19が開放されてリジェクト紙幣が取出可能に払い出されるとともに、占有指示したテラー側の紙幣出金ランプ20が点滅される。なお、機内取込みモードが設定されている場合には、再識別不可なリジェクト紙幣はリジェクトボックス22に送り込まれて回収収納される。
【0058】
紙幣カセット41の一方のカセット55aからの補充紙幣の繰り出しが完了するとともに、紙幣搬送部52内を搬送される補充紙幣の搬送が完了し、紙幣識別部53にて紙幣を所定時間検知しなくなった後、紙幣カセット41の紙幣一時保留部74にリジェクト紙幣が一時保留されている場合には、図8(b)に示すように、紙幣一時保留部74のリジェクト紙幣は、紙幣一時保留部74から1枚ずつ繰り出されるとともに導出搬送路61を通じて循環搬送路59の下側搬送路67に送り込まれ、この循環搬送路59の下側搬送路67から上側搬送路66に順送り方向に搬送されて紙幣識別部53で再識別される。再識別の結果、正常と識別された補充紙幣は金種別の紙幣一時保留部72に一時保留され、異常と識別されたリジェクト紙幣は紙幣出金口18に取出可能に払い出されるかリジェクトボックス22に送り込まれて回収収納される。
【0059】
そして、再識別を含む補充紙幣の一時保留および収納が完了するとともに、再識別不可なリジェクト紙幣の払出または回収収納が完了することで、金種別の紙幣一時保留部72の一時保留紙幣が下方の金種別のスタッカ54a〜54cに収納され、紙幣の初期補充の完了となる。
【0060】
なお、初期補充では、紙幣カセット41の他方のカセット55bにも補充紙幣を装填して補充することも可能であるとともに、紙幣カセット41からの補充後に紙幣入金口16から補充紙幣を投入して補充することも可能である。
【0061】
この初期補充後に、入金出金モード管理キー37がテラーモードに切り換えられ、入金処理および出金処理が可能となる。
【0062】
次に、図8(c)〜(e)において、紙幣の入金処理について説明する。
【0063】
左右いずれかのテラーにより装置本体12の左右の対応する側のキー入力部29の紙幣処理ユニット占有キー30を操作すると、操作されたテラー側の占有モードとなり、紙幣入金口16のシャッタ17が開放される。テラーにより、入金紙幣を紙幣入金口16に投入し、紙幣処理ユニット占有キー30を再度操作すると、紙幣入金口16のシャッタ17が閉鎖され、入金処理が開始される。
【0064】
このとき、紙幣処理ユニット占有キー30の操作により紙幣入金占有だけでなく、同時に硬貨占有を行なって、紙幣および硬貨共に入金処理するようにしてもよい。
【0065】
図8(c)に示すように、紙幣入金口16に投入された紙幣は、紙幣入金部57から1枚ずつ繰り出され、入金搬送路58を通じて循環搬送路59の上側搬送路66に送り込まれ、この循環搬送路59の上側搬送路66を順送り方向に搬送されて紙幣識別部53で識別される。
【0066】
紙幣識別部53で正常と識別された入金紙幣は、循環搬送路59の下側搬送路67から金種別の導入搬送路60を通じて金種別の紙幣一時保留部72に送り込まれて一時保留される。
【0067】
紙幣識別部53で例えば循環搬送路59を搬送される紙幣が重なっていたりして所定の識別動作ができず再識別することによって正常と識別される可能性のある再識別可能なリジェクト紙幣と識別された場合には、そのリジェクト紙幣が循環搬送路59の下側搬送路67の末端まで搬送されるとともに紙幣カセット41の紙幣一時保留部74に送り込まれて一時保留される。
【0068】
紙幣識別部53で正常でなく再識別不可なリジェクト紙幣と識別された場合には、そのリジェクト紙幣が循環搬送路59の下側搬送路67の末端を通じて紙幣出金口18に送り込まれ、シャッタ19が開放されてリジェクト紙幣が取出可能に返却されるとともに、占有指示したテラー側の紙幣出金ランプ20が点滅される。テラーにより返却されたリジェクト紙幣が取り出されたら、シャッタ19が閉じられる。
【0069】
紙幣入金口16からの入金紙幣の繰り出しが完了するとともに、紙幣搬送部52からの入金紙幣の搬送が完了し、紙幣識別部53にて紙幣を所定時間検知しなくなった後、紙幣カセット41の紙幣一時保留部74にリジェクト紙幣が一時保留されている場合には、図8(d)に示すように、紙幣一時保留部74内のリジェクト紙幣は、紙幣一時保留部74から1枚ずつ繰り出されるとともに導出搬送路61を通じて循環搬送路59の下側搬送路67に送り込まれ、この循環搬送路59の下側搬送路67から上側搬送路66に順送り方向に搬送されて紙幣識別部53にて再識別される。再識別の結果、正常と識別された補充紙幣は金種別の紙幣一時保留部72に一時保留され、異常と識別されたリジェクト紙幣は紙幣出金口18に取出可能に返却される。
【0070】
そして、再識別を含む入金紙幣の一時保留が完了するとともに、再識別不可なリジェクト紙幣の返却が完了した後、例えば循環式貨幣処理装置11と接続されてテラーにより操作される端末機で入金紙幣の計数結果を表示し、テラーによる入金収納指令、または入金返却指令に待機する。
【0071】
テラーにより端末機が操作され、入金収納が指令されると、紙幣一時保留部72に一時保留されていた紙幣が下方の金種別のスタッカ54a〜54cに収納され、入金処理が完了となる。
【0072】
また、テラーにより紙幣用キャンセルキー32が操作され、入金返却が指令されると、図8(e)に示すように、紙幣一時保留部72に一時保留されていた紙幣は、金種別に紙幣一時保留部72から1枚ずつ繰り出されるとともに導出搬送路61を通じて循環搬送路59に送り込まれ、この循環搬送路59を逆送り方向に搬送されて紙幣識別部53にて識別され、循環搬送路59の上側搬送路66から逆送り搬送路69を通じて、または返却紙幣の表裏が一定の向きとなるように表裏反転部65を通じて返却紙幣の表裏が逆転されて下側搬送路67に送られ、この下側搬送路67を順送り方向に搬送されて紙幣出金口18に送り込まれ、全ての返却紙幣が紙幣出金口18に送り込まれたら、シャッタ19が開放されて返却紙幣が取出可能に返却されるとともに占有指示したテラー側の紙幣出金ランプ20が点滅される。返却紙幣が取り出されると、シャッタ19が閉じられ、入金処理が完了となる。
【0073】
次に、図8(f)において、紙幣の出金処理について説明する。
【0074】
左右いずれかのテラーが循環式貨幣処理装置11と接続される端末機を操作し、出金処理を指令するとともに、出金金額や出金希望金種および枚数を入力すると、出金が指令されたテラー側の占有モードとなり、出金処理が開始される。
【0075】
このとき、紙幣の枚数と共に硬貨の枚数も入力されて出金指令されると、紙幣・硬貨の出金となる。
【0076】
出金処理が開始されると、出金該当金種の出金紙幣は、該当するスタッカ54a〜54cから金種別に1枚ずつ順に繰り出されるとともに導出搬送路61を通じて循環搬送路59に送り込まれ、この循環搬送路59を逆送り方向に搬送されて紙幣識別部53にて識別される。
【0077】
紙幣識別部53で正常と識別された出金紙幣は、循環搬送路59の上側搬送路66から逆送り搬送路69を通じて、または返却紙幣の表裏が一定の向きとなるように表裏反転部65を通じて返却紙幣の表裏が逆転されて下側搬送路67の前部側に送られ、この下側搬送路67を順送り方向に搬送されて紙幣出金口18に送り込まれる。
【0078】
紙幣識別部53で例えば循環搬送路59を搬送される出金紙幣が重なっていたりして所定の識別動作ができず再識別することによって正常と識別される可能性のある再識別可能なリジェクト紙幣と識別された場合、そのリジェクト紙幣が、循環搬送路59の上側搬送路66から逆送り搬送路69を通じて下側搬送路67の前部側に送られ、この下側搬送路67の前部側を順送り方向に搬送されるとともに紙幣カセット41の一方のカセット55aに送り込まれて収納され、損券は他方のカセット55bに収納される。
【0079】
紙幣識別部53で正常でなく再識別不可なリジェクト紙幣と識別された場合には、そのリジェクト紙幣が、循環搬送路59の上側搬送路66から逆送り搬送路69を通じて下側搬送路67の前部側に送られ、この下側搬送路67の前部側を順送り方向に搬送されるとともにリジェクトボックス22に送り込まれて収納される。
【0080】
リジェクト紙幣の発生により不足する金種の紙幣は、該当するスタッカ54a〜54cから再繰り出しされる。
【0081】
出金分の出金紙幣が紙幣出金口18に送り込まれたら、該当するテラー側の紙幣処理ユニット占有キー30のランプが点滅され、テラーにより紙幣処理ユニット占有キー30が押し下げられることでシャッタ19が開放されて出金紙幣が取出可能に払い出されるとともに、該当するテラー側の紙幣出金ランプ20が点滅され、出金紙幣の取り出し後にシャッタ19が閉じられ、出金処理が完了となる。
【0082】
また、出金処理中において、リジェクトボックス22に所定枚数のリジェクト紙幣が送り込まれて満杯となると、出金処理が一時停止され、テラーによるリジェクトフル解除処理がなされる。すなわち、テラーにより、鍵を使ってリジェクトボックスキー23を解錠して蓋体24を開放し、リジェクトボックス22をリジェクトボックス取出口21から引き出すとともに、リジェクトボックス22内からリジェクト紙幣を取り出し、さらに、空となったリジェクトボックス22をリジェクトボックス取出口21に装填して、蓋体24を閉じ、リジェクトボックスキー23を施錠し、出金処理の再開を指令する。
【0083】
次に、図9(a)〜(d)において、紙幣の締上収集処理について説明する。
【0084】
テラーにより、入金出金モード管理キー37を精査モードに切り換え、ファンクションキー35により締上収集処理を指令する。
【0085】
締上収集処理の指令により、図9(a)に示すように、紙幣が一方のカセット55aから空になるまで1枚ずつ繰り出され、導出搬送路61を通じて循環搬送路59に送り込まれ、この循環搬送路59の上側搬送路66を順送り方向に搬送されて紙幣識別部53で識別され、正常と識別されれば金種別のスタッカ54a〜54cに収納され、リジェクト紙幣と識別されれば他方のカセット55bに収納される。
【0086】
続いて、図9(b)に示すように、紙幣が他方のカセット55bから空になるまで1枚ずつ繰り出され、導出搬送路61を通じて循環搬送路59に送り込まれ、この循環搬送路59の上側搬送路66を順送り方向に搬送されて紙幣識別部53で識別され、正常と識別されれば循環搬送路59の下側搬送路67から金種別の導入搬送路60を通じて金種別のスタッカ54a〜54cに収納され、リジェクト紙幣と識別されれば循環搬送路59の下側搬送路67の末端を通じてリジェクトボックス22に収納される。
【0087】
続いて、図9(c)に示すように、1つの金種のスタッカ54aに収納されている紙幣が、そのスタッカ54aから1枚ずつ順に繰り出されるとともに導出搬送路61を通じて循環搬送路59に送り込まれ、この循環搬送路59を逆送り方向に搬送されて紙幣識別部53にて識別され、循環搬送路59の上側搬送路66から逆送り搬送路69を通じて、または返却紙幣の表裏が一定の向きとなるように表裏反転部65を通じて返却紙幣の表裏が逆転されて下側搬送路67の前部側に送られ、この下側搬送路67を順送り方向に搬送されて一方のカセット55aに送り込まれて収納される。
【0088】
また、一方のカセット55aへの紙幣の送り込み途中で、一方のカセット55aに所定枚数の紙幣が収納されて満杯になれば、図9(d)に示すように、紙幣の送り込み収納が他方のカセット55bに切り換えられ、他方のカセット55bへの紙幣の送り込み収納が継続してなされる。
【0089】
また、1つの金種のスタッカ54aから全ての紙幣が繰り出されたら、次の金種のスタッカ54bから紙幣が繰り出され、続いて、残りの金種のスタッカ54cから紙幣が繰り出され、全ての金種別のスタッカ54a〜54cに収納されている紙幣が紙幣カセット41の各カセット55a,55bに収納される。
【0090】
そして、テラーにより、下部扉39を解錠して開放し、紙幣カセット41を装置本体12の手前側に引き出すとともに上方へ引き抜き、下部扉39を閉じることにより、紙幣の締上収集処理が完了となる。このとき、硬貨の締上収集処理も一緒にすることにより、下部扉39の開閉時に硬貨カセット42も一緒に取り出すことができ、各カセット41,42を同時に取り扱いできて便利になる。
【0091】
次に、図10(a)〜(c)において、硬貨処理ユニット101への硬貨の初期補充処理について説明する。
【0092】
テラーにより、入金出金モード管理キー37を精査モードに切り換え、ファンクションキー35で硬貨の補充処理を指令すると、硬貨入金口14のシャッタ15が開放される。そして、テラーにより、各金種の補充硬貨を一括して硬貨入金口14に投入し、ファンクションキー35で硬貨の補充処理を指令すると、硬貨入金口14のシャッタ15が閉じて補充処理が開始される。
【0093】
図10(a)に示すように、硬貨入金口14に投入された補充硬貨は、硬貨受入部106に受け入れられて貯留され、硬貨受入部106の底部の繰出ベルト107の繰出回転と逆転ローラ108の逆回転とによって硬貨受入部106内から1枚ずつ識別分岐搬送路109に繰り出され、硬貨識別部103で識別される。
【0094】
硬貨識別部103で正常と識別された補充硬貨は、識別分岐搬送路109から選別搬送路110に搬送され、該当する金種の選別部111で選別され、金種別の硬貨収納繰出部104のベルト127上に送り込まれる。このとき、仕切部134が開放されていて硬貨一時保留部132と硬貨収納部133とが連通されているとともに、ベルト127は収納方向へ回動されており、ベルト127上に送り込まれた補充硬貨は選別部111の下方位置から後方へ送られて硬貨収納部133内にばら状態(山盛り状態)で収納される。
【0095】
硬貨識別部103で異常と識別されたリジェクト硬貨は、識別分岐搬送路109のリジェクトゲート115で分岐され、中継搬送部116に送り込まれて一時保留される。
【0096】
また、硬貨受入部106からの補充硬貨の繰り出しが完了するとともに、識別分岐搬送路109および選別搬送路110内での補充硬貨の搬送が完了し、硬貨識別部103にて補充硬貨を所定時間検知しなくなった後、中継搬送部116にリジェクト硬貨が一時保留されている場合には、図10(b)(c)に示すように、リジェクト硬貨の再識別処理が開始される。
【0097】
中継搬送部116上のリジェクト硬貨は、中継搬送部116にて右端へ向けて搬送されて右側の出金搬送部120に送り込まれ、この出金搬送部120で前方へ向けて搬送されるとともにその搬送途中で再投入切換部121により硬貨受入部106に再投入され、そして、硬貨受入部106内から1枚ずつ識別分岐搬送路109に再び繰り出され、硬貨識別部103で再識別される。
【0098】
再識別の結果、正常と識別された補充硬貨は該当する金種の硬貨収納繰出部104にばら状態で収納される。
【0099】
再識別の結果、異常と識別されたリジェクト硬貨は、リジェクトゲート115で分岐されて中継搬送部116に一時保留され、硬貨受入部106からのリジェクト硬貨の繰り出しが完了した後に、中継搬送部116にて左端へ向けて搬送されて左側の出金搬送部118に送り込まれ、この出金搬送部118により左側の硬貨出金ボックス27に払い出される。リジェクト硬貨が左側の硬貨出金ボックス27に払い出されると、左側の硬貨出金ランプ28が点滅される。そして、テラーにより、硬貨処理ユニット占有キー31が操作されたら硬貨出金ボックス27のロックが解除され、硬貨出金ボックス27が引き出されて硬貨出金ボックス27内のリジェクト硬貨が取り出され、空となった硬貨出金ボックス27が元の場所に装填される。
【0100】
そして、再識別を含む補充硬貨の収納が完了するとともに、リジェクト硬貨の取り出しが完了することで、硬貨の初期補充の完了となる。
【0101】
この初期補充後に、入金出金モード管理キー37がテラーモードに切り換えられ、入金処理および出金処理が可能となる。
【0102】
次に、図11(a)〜(e)において、硬貨の入金処理について説明する。
【0103】
左右いずれかのテラーにより装置本体12の左右の対応する側のキー入力部29の硬貨処理ユニット占有キー31を操作すると、操作されたテラー側の占有モードとなり、硬貨入金口14のシャッタ15が開放される。テラーにより、入金硬貨を硬貨入金口14に投入し、テラーにより硬貨処理ユニット占有キー31を再度操作すると、硬貨入金口14のシャッタ15が閉鎖され、入金処理が開始される。
【0104】
図11(a)に示すように、左側の硬貨処理ユニット占有キー31により入金占有し、硬貨入金口14に投入された入金硬貨は、硬貨受入部106に受け入れられて貯留され、硬貨受入部106の底部の繰出ベルト107の繰出回転と逆転ローラ108の逆回転とによって硬貨受入部106内から1枚ずつ識別分岐搬送路109に繰り出され、硬貨識別部103で識別される。
【0105】
硬貨識別部103で正常と識別された補充硬貨は、識別分岐搬送路109から選別搬送路110に搬送され、該当する金種の選別部111で選別され、金種別の硬貨収納繰出部104のベルト127上に送り込まれる。このとき、仕切部134が仕切位置に移動されていて硬貨一時保留部132と硬貨収納部133とが仕切られているとともに、ベルト127は収納方向へ回動されており、金種別の硬貨収納繰出部104のベルト127上に落下した補充硬貨は、選別部111の下方位置から硬貨一時保留部132内の後方へ送られてばら状態で一時保留される。また、正常と識別された入金硬貨でも、硬貨一時保留部132に所定枚数の硬貨が収納されて満杯となった金種や、硬貨収納部133に所定枚数の硬貨が収納されて満杯となっている金種については、オーバーフロー硬貨とされ、選別搬送路110の最上流に位置するオーバーフロー硬貨用の選別部111で選別され、オーバーフロー硬貨用の硬貨収納繰出部104に送り込まれてばら状態で一時保留される。
【0106】
硬貨識別部103で異常と識別されたリジェクト硬貨は、識別分岐搬送路109のリジェクトゲート115で分岐され、中継搬送部116に送り込まれて一時保留される。
【0107】
また、硬貨受入部106からの入金硬貨の繰り出しが完了するとともに、識別分岐搬送路109および選別搬送路110内での入金硬貨の搬送が完了し、硬貨識別部103にて入金硬貨を所定時間検知しなくなった後、中継搬送部116にリジェクト硬貨が一時保留されている場合には、図11(b)(c)に示すように、リジェクト硬貨の再識別処理が開始される。
【0108】
中継搬送部116上のリジェクト硬貨は、中継搬送部116にて右端へ向けて搬送されて右側の出金搬送部120に送り込まれ、この出金搬送部120で前方へ向けて搬送されるとともにその搬送途中で再投入切換部121により硬貨受入部106に再投入され、そして、硬貨受入部106内から1枚ずつ識別分岐搬送路109に再び繰り出され、硬貨識別部103で再識別される。
【0109】
再識別の結果、正常と識別された補充硬貨は該当する金種の硬貨収納繰出部104またはオーバーフロー硬貨用の硬貨収納繰出部104にばら状態で収納される。
【0110】
再識別の結果、異常と識別されたリジェクト硬貨は、リジェクトゲート115で分岐されて中継搬送部116に一時保留され、硬貨受入部106からのリジェクト硬貨の繰り出しが完了した後に、左側で入金占有しているので中継搬送部116にて左端へ向けて搬送されて左側の出金搬送部118に送り込まれ、この出金搬送部118により左側の硬貨出金ボックス27に払い出される。リジェクト硬貨が左側の硬貨出金ボックス27に払い出されると、左側の硬貨出金ランプ28が点滅される。そして、テラーにより、硬貨処理ユニット占有キー31が操作されたら硬貨出金ボックス27のロックが解除され、硬貨出金ボックス27が引き出されて硬貨出金ボックス27内のリジェクト硬貨が取り出され、空となった硬貨出金ボックス27が元の場所に装填される。
【0111】
そして、再識別を含む入金硬貨の一時保留が完了するとともに、再識別後のリジェクト硬貨の返却が完了した後、例えば循環式貨幣処理装置11と接続されてテラーにより操作される端末機で入金硬貨の計数結果を表示し、テラーによる入金収納指令、または入金返却指令に待機する。
【0112】
テラーにより端末機が操作され、入金収納が指令されると、図11(d)に示すように、金種別の硬貨収納繰出部104の硬貨一時保留部132に一時保留されていた硬貨は、仕切部134の開放とベルト127の収納方向への回動とにより後方の硬貨収納部133にばら状態で収納される。オーバーフロー硬貨用の硬貨収納繰出部104に収納されていたオーバーフロー硬貨は、ベルト127の繰出方向への回動と逆転ローラ136の逆転とにより硬貨収納繰出部104内から中継搬送部116に1枚ずつ繰り出され、この中継搬送部116にて右端へ向けて搬送されて右側の出金搬送部120に送り込まれ、この出金搬送部120にて前方へ搬送されてシュート122に放出され、シュート122内のカセットシュート切換部124を介してカセットシュート123に導かれ、硬貨カセット42内に回収収納される。これら硬貨の収納により、入金処理が完了となる。
【0113】
また、テラーにより硬貨用キャンセルキー33が操作され、入金返却が指令されると、図11(e)に示すように、金種別の硬貨収納繰出部104の硬貨一時保留部132に一時保留されていた硬貨、およびオーバーフロー硬貨用の硬貨収納繰出部104に収納されていた硬貨は、ベルト127の繰出方向への回動と逆転ローラ136の逆転とにより硬貨収納繰出部104内から中継搬送部116に1枚ずつ繰り出され、例えば左側のテラーで占有されている場合には中継搬送部116にて左側へ向けて搬送されて左側の出金搬送部118に送り込まれ、左側で入金占有しているので出金搬送部118により左側の硬貨出金ボックス27に払い出される。返却硬貨が左側の硬貨出金ボックス27に払い出されると、左側の硬貨出金ランプ28が点滅される。そして、テラーにより、硬貨処理ユニット占有キー31が操作されたら硬貨出金ボックス27のロックが解除され、硬貨出金ボックス27が引き出されて硬貨出金ボックス27内の返却硬貨が取り出され、空となった硬貨出金ボックス27が元の場所に装填され、入金処理が完了となる。
【0114】
次に、図12(a)において、硬貨の出金処理について説明する。
【0115】
左右いずれかのテラーが循環式貨幣処理装置11と接続される端末機を操作し、出金処理を指令するとともに、出金金額や出金希望金種および枚数を入力すると、出金が指令されたテラー側の占有モードとなり、出金処理が開始される。
【0116】
出金処理が開始されると、出金金種に該当する金種の出金硬貨は、ベルト127の繰出方向への回動と逆転ローラ136の逆転とにより該当する硬貨収納繰出部104内から中継搬送部116に1枚ずつ繰り出され、また、出金金種に該当しない金種の硬貨、出金金種に該当する金種でも所定の出金枚数を繰り出し終わった金種の硬貨は、ストッパ機構によって繰り出し規制される。そして、中継搬送部116に繰り出された出金硬貨は、例えば左側のテラーで占有されている場合には中継搬送部116にて左側へ向けて搬送されて左側の出金搬送部118に送り込まれ、この出金搬送部118により左側の硬貨出金ボックス27に払い出される。出金硬貨が左側の硬貨出金ボックス27に払い出されると、左側の硬貨出金ランプ28が点滅される。そして、テラーにより、硬貨処理ユニット占有キー31が操作されたら硬貨出金ボックス27のロックが解除され、硬貨出金ボックス27が引き出されて硬貨出金ボックス27内の出金硬貨が取り出され、空となった硬貨出金ボックス27が元の場所に装填され、出金処理が完了となる。
【0117】
次に、図12(b)において、硬貨の締上収集処理について説明する。
【0118】
テラーにより、入金出金モード管理キー37を精査モードに切り換え、ファンクションキー35により締上収集処理を指令する。
【0119】
締上収集処理の指令により、各金種別の硬貨収納繰出部104内の硬貨は、ベルト127の繰出方向への回動と逆転ローラ136の逆転とにより硬貨収納繰出部104内から中継搬送部116に1枚ずつ繰り出され、この中継搬送部116にて右端へ向けて搬送されて右側の出金搬送部120に送り込まれ、この出金搬送部120にて前方へ搬送されてシュート122に放出され、シュート122内のカセットシュート切換部124を介してカセットシュート123に導かれ、硬貨カセット42内に回収収納される。
【0120】
そして、テラーにより、下部扉39を解錠して開放し、硬貨カセット42を装置本体12の手前側に引き出すとともに上方へ引き抜き、下部扉39を閉じることにより、硬貨の締上収集処理が完了となる。このとき、紙幣の締上収集処理も一緒にすることにより、下部扉39の開閉時に紙幣カセット41も一緒に取り出すことができ、各カセット41,42を同時に取り扱いできて便利になる。
【0121】
以上のように、装置本体12の幅方向に金種別に並んで配置され金種別に硬貨をばら状態で収納するとともに収納された硬貨を繰り出す金種別の硬貨収納繰出部104を備え、各金種別の硬貨収納繰出部104には装置本体12の奥行き方向に張設され硬貨をばら状態で載せるとともに装置本体12の前方へ向けて硬貨を繰り出すベルト127が設けられた硬貨処理ユニット101の構成により、硬貨処理ユニット101の高さ方向を低く抑えることができ、紙幣処理ユニット51の上部に硬貨処理ユニット101を配設できる。そのため、紙幣、硬貨の入出金の取り扱いができる一体形で占有スペースが小さい構成でありながら、紙幣の全金種のスタッカ54a〜54bを備えて紙幣の入出金を効率よくできる。しかも、装置本体12の下部扉39等に硬貨処理ユニット101を設けることがなく、下部扉39等を軽く容易に操作できる。
【0122】
さらに、リジェクト紙幣を収納するリジェクトボックス22を、紙幣カセット41から分離して、紙幣出金口18の近傍位置で装置本体12に対して着脱可能に配置したので、紙幣カセット41を取り出すことなく、リジェクトボックス22のみを容易に取り出すことができる。
【0123】
さらに、紙幣カセット41からリジェクトボックス22を分離するとともに紙幣カセット41のリフト駆動部71を装置奥行き方向に配置することにより、紙幣カセット41の装置幅方向を小形にでき、そのため、下部扉39の内側の装置本体12内に、紙幣カセット41と硬貨カセット42とを装置幅方向に並べて配置でき、下部扉39の開放により紙幣カセット41および硬貨カセット42を容易に取り扱うことができる。
【0124】
さらに、硬貨搬送部102により硬貨を硬貨識別部103に対して循環搬送可能とするので、硬貨の再識別が可能となり、リジェクト硬貨の発生を低減できる。
【0125】
【発明の効果】
請求項1記載の循環式貨幣処理装置によれば、装置本体の幅方向に金種別に並んで配置され金種別に硬貨をばら状態で収納するとともに収納された硬貨を繰り出す金種別の硬貨収納繰出部を備え、各金種別の硬貨収納繰出部には装置本体の奥行き方向に張設され硬貨をばら状態で載せるとともに装置本体の前方へ向けて硬貨を繰り出すベルトが設けられた硬貨処理ユニットの構成により、硬貨処理ユニットの高さ方向を低く抑えることができ、紙幣処理ユニットの上部に硬貨処理ユニットを配設でき、そのため、紙幣、硬貨の入出金の取り扱いができる一体形の構成でありながら、紙幣の全金種のスタッカを備えて紙幣の入出金を効率よくでき、しかも、例えば装置本体の扉等に硬貨処理ユニットを設けることがない。さらに、紙幣カセットと硬貨カセットとを装置幅方向に並べて配置でき、紙幣カセットおよび硬貨カセットを容易に取り扱うことができる。また、装置本体の上面手前側の幅方向中央位置に上方に向けて硬貨入金口を設け、装置本体の幅方向中央位置でかつ硬貨入金口より前側に紙幣入金口および紙幣出金口を設け、硬貨入金口より前側下部位置で紙幣出金口の近傍に硬貨出金口を設けたため、装置本体を2人のテラー間に配設して使用する場合に、左右どちらのテラーからでも操作しやすく、紙幣、硬貨の入出金の効率をよくできる。
【0126】
請求項2記載の循環式貨幣処理装置によれば、請求項1記載の循環式貨幣処理装置の効果に加えて、紙幣出金口の下部位置で装置本体の前面幅方向中央位置にリジェクトボックスおよび出金リジェクト紙幣用取出口を設けたため、装置本体を2人のテラー間に配設して使用する場合に、左右どちらのテラーからでも出金リジェクト紙幣を取り出しやすくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の循環式貨幣処理装置の一実施の形態を示す紙幣処理ユニットの概略側面図である。
【図2】同上紙幣処理ユニットの紙幣カセットの内部機構を示す斜視図である。
【図3】同上循環式貨幣処理装置の硬貨処理ユニットおよび硬貨カセットの概略側面図である。
【図4】同上硬貨処理ユニットおよび硬貨カセットの概略平面図である。
【図5】同上循環式貨幣処理装置の斜視図である。
【図6】同上循環式貨幣処理装置の操作部の平面図である。
【図7】同上循環式貨幣処理装置の正面図である。
【図8】同上紙幣処理ユニットによる紙幣搬送系路を示し、(a)(b)は初期補充処理の説明図、(c)(d)(e)は入金処理の説明図、(f)は出金処理の説明図である。
【図9】同上紙幣処理ユニットによる紙幣搬送系路を示し、(a)〜(d)は締上収集処理の説明図である。
【図10】同上硬貨処理ユニットによる硬貨搬送系路を示し、(a)〜(c)は初期補充処理の説明図である。
【図11】同上硬貨処理ユニットによる硬貨搬送系路を示し、(a)〜(e)は入金処理の説明図である。
【図12】同上硬貨処理ユニットによる硬貨搬送系路を示し、(a)は出金処理の説明図、(b)は締上収集処理の説明図である。
【符号の説明】
11 循環式貨幣処理装置
12 装置本体
14 硬貨入金口
16 紙幣入金口
18 紙幣出金口
22 リジェクトボックス
25 硬貨出金口
41 紙幣カセット
42 硬貨カセット
51 紙幣処理ユニット
54a〜54c スタッカ
101 硬貨処理ユニット
104 硬貨収納繰出部
127 ベルト
Claims (2)
- 装置本体と、
この装置本体の上面手前側の幅方向中央位置に上方に向けて設けられ、入金硬貨が投入される硬貨入金口と、
前記装置本体の幅方向中央位置でかつ前記硬貨入金口より前側に設けられ、入金紙幣が投入される紙幣入金口と、
前記装置本体の幅方向中央位置でかつ前記硬貨入金口より前側に設けられ、出金紙幣が払い出される紙幣出金口と、
前記硬貨入金口より前側下部位置で前記紙幣出金口の近傍に設けられ、出金硬貨が払い出される硬貨出金口と、
前記装置本体の前面から奥行き方向に向けて、金種別に紙幣を収納するとともに収納された紙幣を繰り出す金種別のスタッカを配置し、入金処理時には前記紙幣入金口から入金紙幣を受け入れて入金処理し、入金紙幣のうち出金に循環使用する入金紙幣は対応する金種別のスタッカに収納し、出金処理時には出金紙幣を対応する金種のスタッカから繰り出して前記紙幣出金口に払い出す紙幣処理ユニットと、
前記装置本体における前記紙幣処理ユニットの上部に設けられ、前記硬貨入金口から入金硬貨を受け入れて入金処理するとともに出金処理により出金硬貨を前記硬貨出金口へ払い出し、入金硬貨を出金硬貨に循環使用する硬貨処理ユニットであって、前記装置本体の幅方向に金種別に並んで配置され金種別に硬貨をばら状態で収納するとともに収納された硬貨を繰り出す金種別の硬貨収納繰出部を備え、各金種別の硬貨収納繰出部には装置本体の奥行き方向に張設され硬貨をばら状態で載せるとともに装置本体の前方へ向けて硬貨を繰り出すベルトがそれぞれ設けられた硬貨処理ユニットと、
前記装置本体内の幅方向中央位置で最前位の金種別のスタッカの前側域に着脱可能に配置され、収集時に金種別のスタッカの紙幣を収集する紙幣カセットと、
前記装置本体内の前記紙幣カセットとは幅方向に異なる幅方向一側位置に対して着脱可能に配置され、金種別の硬貨収納繰出部の硬貨を収集する硬貨カセットと
を具備していることを特徴とする循環式貨幣処理装置。 - 紙幣処理ユニットは、紙幣出金口の下部位置で装置本体の前面幅方向中央位置に設けられて出金リジェクト紙幣を収納するリジェクトボックスとこのリジェクトボックス内の出金リジェクト紙幣の取り出しを可能とする出金リジェクト紙幣用取出口とを有し、入金処理時には紙幣入金口から入金紙幣を受け入れて入金処理し、入金紙幣のうち出金に循環使用する入金紙幣は対応する金種別のスタッカに収納し、出金処理時には出金紙幣を対応する金種のスタッカから繰り出して紙幣出金口に払い出すとともに、出金し得ない出金リジェクト紙幣をリジェクトボックスに収納することを特徴とする請求項1記載の循環式貨幣処理装置。
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