以下に、添付図面を参照して、本発明に係る貨幣処理装置、貨幣処理システム及び貨幣処理方法の実施例を説明する。なお、実施例1では、金融機関のバックヤードなどで出納機として用いられる貨幣入出金機に本発明を適用する場合を示し、実施例2では、金融機関の窓口で担当者が使用する貨幣入出金機に本発明を適用する場合を示す。
<貨幣入出金機の概念>
まず、本実施例1に係る貨幣入出金機の概念について説明する。図1は、実施例1に係る貨幣入出金機の概念を説明するための説明図である。同図に示す貨幣入出金機1は、銀行などの金融機関の店舗に配設され、貨幣の入金及び出金を行う出納機である。貨幣入出金機1は、バラ紙幣、包装紙幣、バラ硬貨、包装硬貨を装置内部に収納し、出金要求に対応する貨幣を出金する。
貨幣を複数の封筒に小分けして用意する支払準備処理を行う場合には、まず、操作者(銀行員)がID認証を行ってログインすることによって、貨幣入出金機1が利用可能となり、支払準備処理の実行を選択する。次に、図1(1)に示すように、貨幣入出金機1は、出金要求情報(複数件分)の取得を行う。図1(1)では、15000円を入れた50個の封筒等を準備する場合を示しており、貨幣入出金機1は、「15000円×50件」を出金要求情報として取得している。出金要求情報は、任意の方法で取得することができる。例えば、操作者が出金要求情報を貨幣入出金機1に直接入力してもよいし、貨幣入出金機1が他の装置から通信により出金要求情報を受信してもよい。また、USB(Universal Serial Bus)メモリなどの記憶媒体に格納された出金要求情報を読み出すことで取得してもよい。
貨幣入出金機1は、出金要求情報を取得すると、まず、そのうちの1件分の貨幣を出金処理する(2)。その後、操作者による払出指示を受け付けた場合に(3)、次の1件分の貨幣を出金処理する。貨幣入出金機1は、1件分の出金処理(2)と払出指示の受付(3)とを繰り返し、全件分の出金処理を終えた場合に処理を終了する。
このように、貨幣入出金機1は、複数の出金要求情報を一括して取得した(1)後、1件分の出金処理(2)と払出指示の受付(3)とを繰り返すことで、断続的に貨幣の払出を行う。このため、連続して複数の出金取引を行う場合に、人的負担及び人為的なミスを軽減しつつ効率的に出金を行うことができる。
<貨幣入出金機の外観構成>
次に、本実施例1に係る貨幣入出金機1の外観構成について説明する。図2は、図1に示した貨幣入出金機の外観を示す斜視図である。図2に示すように、実施例1に係る貨幣入出金機1は、紙幣入出金装置10及び硬貨入出金装置110が左右に並ぶよう配置されることにより構成されている。紙幣入出金装置10は、バラ紙幣の入金処理や出金処理を行うことができるとともに、機体内で所定枚数(例えば、100枚)のバラ紙幣を結束して帯封紙幣を作成、作成した帯封紙幣の出金処理とを行うことができる。硬貨入出金装置110は、バラ硬貨の入金処理や出金処理を行うことができるとともに、機体内で所定枚数(例えば、50枚)のバラ硬貨に紙やフィルム等の包装媒体を巻くことにより包装硬貨を作成し、作成した包装硬貨の出金処理を行うことができる。
<紙幣入出金装置の構成>
次に、貨幣入出金機1における紙幣入出金装置10の構成について図2及び図3を用いて説明する。図3は、図2に示した貨幣入出金機における紙幣入出金装置の内部構成を示す構成図である。図2及び図3に示すように、紙幣入出金装置10は略直方体形状の筐体12を有しており、この筐体12の前面には、筐体12の外部から内部にバラ紙幣を入金するための投入部14、筐体12の内部から外部にバラ紙幣を出金するためのバラ紙幣投出部24、筐体12の内部から外部に帯封紙幣を出金するための帯封紙幣投出部48がそれぞれ設けられている。なお、図3における筐体12の左側の側面が紙幣入出金装置10の前面側(すなわち、図2に示すように紙幣入出金装置10を手前側から見たときの正面側)となっており、図3における右方向が筐体12の奥行き方向となっている。
図2に示すように、投入部14の前面は筐体12の外部に開口しており、操作者はこの開口を介して投入部14の内部にアクセスする(具体的には、投入部14の内部に手を入れる)ことができる。このことにより、操作者は投入部14の内部にバラ紙幣の束を投入することができる。
一方、バラ紙幣投出部24及び帯封紙幣投出部48にはそれぞれシャッター24a、48aが設けられており、これらのシャッター24a、48aは、バラ紙幣投出部24の前面に面する開口(すなわち、バラ紙幣の出金口)や帯封紙幣投出部48の前面に面する開口(すなわち、帯封紙幣の出金口)をそれぞれ開閉する。シャッター24a、48aによりバラ紙幣投出部24や帯封紙幣投出部48の開口が開かれると、操作者はバラ紙幣投出部24や帯封紙幣投出部48の内部にそれぞれアクセスする(具体的には、バラ紙幣投出部24や帯封紙幣投出部48の内部に手を入れる)ことが可能となり、当該操作者はバラ紙幣投出部24や帯封紙幣投出部48に集積されているバラ紙幣や帯封紙幣を筐体12の内部から外部に取り出すことができる。これらのシャッター24a、48aはシャッター駆動部24b、48b(図9参照)によりそれぞれ駆動される。
なお、実施例1に係る紙幣入出金装置10では、バラ紙幣投出部24は、バラ紙幣の出金処理が行われる際にバラ紙幣を筐体12の外部に排出するための出金部として機能するとともに、入金処理時に後述する識別部20により識別することができなかったバラ紙幣や、識別部20により正常なバラ紙幣ではないと識別されたバラ紙幣を筐体12の外部に排出するための入金リジェクト部として機能する。
また、図3に示すように、筐体12の前面におけるバラ紙幣投出部24の下方には、紙幣入出金装置10においてバラ紙幣の出金処理が行われる際にバラ紙幣投出部24により筐体12の外部に出金すべきではないと判断されたバラ紙幣が集積される出金リジェクト部26が設けられている。出金リジェクト部26の前面は筐体12の外部に開口しておらず、操作者は筐体12から紙幣入出金装置10の本体部分を手前側に引き出さない限りこの出金リジェクト部26にアクセスすることができない。
図3に示すように、投入部14には、当該投入部14に投入されたバラ紙幣を1枚ずつ筐体12の内部に繰り出すための繰出部16が設けられている。また、紙幣入出金装置10の筐体12の内部には、当該筐体12内でバラ紙幣を1枚ずつ搬送する搬送部18が設けられており、繰出部16により投入部14から繰り出されたバラ紙幣は搬送部18により筐体12内で搬送される。また、搬送部18には識別部20が設けられており、搬送部18により搬送されるバラ紙幣は識別部20によりその金種、真偽、表裏、正損、新旧、搬送状態等が識別される。また、搬送部18には表裏反転部22が設けられている。表裏反転部22は、識別部20により識別されたバラ紙幣の表裏が揃うように反転させる。
また、図3に示すように、搬送部18には入金一時保留部30、混合バラ紙幣収納部32及び複数(図3に示す例では3つ)の金種別バラ紙幣収納部34がそれぞれ接続されており、搬送部18は、これらの入金一時保留部30、混合バラ紙幣収納部32及び各金種別バラ紙幣収納部34にバラ紙幣を搬送する。ここで、入金一時保留部30、混合バラ紙幣収納部32及び各金種別バラ紙幣収納部34にはそれぞれ図3における上下方向に移動可能となっているステージ30a、32a、34aが設けられており、バラ紙幣は、これらのステージ30a、32a、34a上に積層状態で集積される。
また、入金一時保留部30の上端部の近傍には紙幣繰出繰入部30bが設けられており、当該入金一時保留部30に一時的に保留されているバラ紙幣は紙幣繰出繰入部30bにより1枚ずつ搬送部18に繰り出される。また、紙幣繰出繰入部30bにより搬送部18から入金一時保留部30にバラ紙幣が1枚ずつ繰り入れられる。入金一時保留部30には、バラ紙幣の入金処理において識別部20により識別されたバラ紙幣が混合バラ紙幣収納部32や各金種別バラ紙幣収納部34に収納される前に一時的に保留される。
また、混合バラ紙幣収納部32及び各金種別バラ紙幣収納部34の上端部の近傍にはそれぞれ紙幣繰出繰入部32b、34bが設けられており、混合バラ紙幣収納部32や各金種別バラ紙幣収納部34に収納されているバラ紙幣は紙幣繰出繰入部32b、34bにより1枚ずつ搬送部18に繰り出される。また、紙幣繰出繰入部32b、34bにより搬送部18から混合バラ紙幣収納部32や各金種別バラ紙幣収納部34にバラ紙幣が1枚ずつ繰り入れられる。各金種別バラ紙幣収納部34には、それぞれ予め設定された特定の金種のバラ紙幣(例えば、千円紙幣、五千円紙幣及び一万円紙幣からなる3つの金種のバラ紙幣)が金種毎に収納される。一方、混合バラ紙幣収納部32には、各金種別バラ紙幣収納部34に割り当てられていない金種のバラ紙幣(例えば、二千円紙幣)や損券、ならびに後述するオーバーフロー紙幣等が混合状態で収納される。
図2及び図3に示すように、筐体12の下部には下部扉12aが設けられており、この下部扉12aを開くことにより操作者は入金一時保留部30の内部へのアクセスが可能となる。また、入金一時保留部30、混合バラ紙幣収納部32及び各金種別バラ紙幣収納部34は、筐体12の内部から手前側に(すなわち、図3における左方向に)引き出し可能となっている引出ユニット13に収容されている。そして、操作者が下部扉12aを開いて引出ユニット13を筐体12の内部から手前側に引き出すことにより、当該操作者は混合バラ紙幣収納部32や各金種別バラ紙幣収納部34の引出ユニット13からの取り外しと装着が可能となる。また、本実施例に係る紙幣入出金装置10では、引出ユニット13を筐体12の内部にロックするためのロック機構50(図9参照)が引出ユニット13に設けられている。
また、図3に示すように、搬送部18には複数(図3に示す例では2つ)の整理一時保留部40が接続されており、当該搬送部18から各整理一時保留部40にバラ紙幣が送られるとこれらの整理一時保留部40にバラ紙幣が積層状態で集積される。また、本実施例1に係る紙幣入出金装置10では、所定枚数(例えば、100枚)のバラ紙幣からなる紙幣束に帯封紙を巻くことにより帯封紙幣を作成する帯封部42が各整理一時保留部40の隣に設けられている。
また、図3に示すように、筐体12の内部において帯封部42の近傍にはアーム機構44が設けられており、当該アーム機構44は各整理一時保留部40、帯封部42及び後述する帯封紙幣揚送部46の間で移動可能である。アーム機構44は、各整理一時保留部40に集積された所定枚数のバラ紙幣からなる紙幣束を帯封部42に搬送する。また、帯封部42において帯封処理が行われる際に、所定枚数のバラ紙幣からなる紙幣束を保持しているアーム機構44はこの帯封部42に移動し、当該帯封部42においてアーム機構44の上下一対のアーム部により挟持された状態にある紙幣束の外周面に帯封紙が巻かれる。また、帯封部42において帯封処理が行われた後、アーム機構44は帯封部42から帯封紙幣揚送部46に移動して、この帯封紙幣揚送部46のステージ46a(後述)上に帯封紙幣を受け渡す。このような動作を繰り返すことにより、複数の帯封紙幣を帯封紙幣揚送部46のステージ46a上に集積させることができる。
帯封紙幣揚送部46には、図3における上下方向に移動可能なステージ46aが設けられており、帯封部42により作成された帯封紙幣がアーム機構44からステージ46a上に受け渡されると、当該ステージ46a上に帯封紙幣が集積される。そして、アーム機構44からステージ46a上に1又は複数の帯封紙幣が受け渡された後、ステージ46aが図3における上方向に移動することにより帯封紙幣投出部48と同じ高さレベルに到達し、シャッター48aが開くと、操作者は帯封紙幣投出部48の内部にアクセスしてステージ46a上に集積されている帯封紙幣を筐体12の外部に取り出すことができる。また、(シャッター48aが閉じられたまま)ステージ46aが更に上昇すると、当該ステージ46a上に集積されている帯封紙幣を後述する帯封紙幣搬送部60に受け渡したり、帯封紙幣搬送部60から帯封紙幣をステージ46a上に集積させることができる。
図3に示すように、筐体12の内部における上部領域には、複数(図3に示す例では4つ)の帯封紙幣収納部70が設けられており、これらの帯封紙幣収納部70には、帯封部42により作成された帯封紙幣が積層状態で収納される。具体的には、各帯封紙幣収納部70には、それぞれ予め設定された特定の金種の帯封紙幣が収納される。なお、予め設定された特定の金種の帯封紙幣が収納される帯封紙幣収納部70が4つ設けられる代わりに、複数の帯封紙幣収納部70のうち少なくとも1つの帯封紙幣収納部70に金種が異なる帯封紙幣が混合状態で収納されるように構成してもよい。
各帯封紙幣収納部70の内部にはそれぞれ図3における上下方向に移動可能なステージ70aが設けられており、帯封紙幣収納部70の上端部(天井部分)に設けられた開口(図示せず)からこれらの各帯封紙幣収納部70に送られた帯封紙幣はステージ70a上に積層状態で集積される。また、各帯封紙幣収納部70から帯封紙幣を出す場合には、ステージ70aが上昇することにより各帯封紙幣収納部70の上端部(天井部分)に設けられた開口から帯封紙幣が上方に出される。
また、これらの各帯封紙幣収納部70の上方には帯封紙幣の搬送を行う帯封紙幣搬送部60が設けられている。帯封紙幣搬送部60は、複数の突起60aが等間隔で設けられた循環ベルト60bを有しており、この循環ベルト60bは図3における時計回りの方向及び反時計回りの方向の両方向に循環移動することができる。そして、帯封紙幣搬送部60により帯封紙幣が搬送される際に、当該帯封紙幣は循環ベルト60bの下面に沿って突起60aにより引っ掛けられた状態で図3における左右いずれかの方向に移動する。また、図3に示すように、帯封紙幣搬送部60による帯封紙幣の搬送路における帯封紙幣揚送部46の上端と帯封紙幣収納部70との間には判別部62が設けられており、帯封紙幣搬送部60により搬送される帯封紙幣は当該判別部62によりその金種が判別される。
ここで、帯封部42により作成された帯封紙幣を各帯封紙幣収納部70に収納させる際には、アーム機構44から帯封紙幣が帯封紙幣揚送部46のステージ46a上に受け渡された後に当該ステージ46aが上昇して帯封紙幣搬送部60の近傍の位置まで到達する。また、循環ベルト60bは図3における反時計回りの方向に循環移動する。このことにより、ステージ46a上の帯封紙幣のうち最上位にある帯封紙幣が突起60aにより引っ掛けられて循環ベルト60bの下面に沿って図3における右方向に搬送され、判別部62によりその金種が判別された後、当該判別部62による判別結果に基づいて対応する各帯封紙幣収納部70に収納される。一方、各帯封紙幣収納部70に収納されている帯封紙幣を帯封紙幣投出部48により筐体12の外部に出金する際には、循環ベルト60bは図3における時計回りの方向に循環移動し、各帯封紙幣収納部70から上方に押し出された最上位の帯封紙幣が突起60aにより引っ掛けられて循環ベルト60bの下面に沿って図3における左方向に搬送される。また、ステージ46aが上昇して帯封紙幣搬送部60の近傍の位置まで到達する。そして、帯封紙幣搬送部60により搬送される帯封紙幣の金種が判別部62により判別された後、当該帯封紙幣はステージ46a上に集積される。複数の帯封紙幣を出金する際には、帯封紙幣の送り込みに合わせてステージ46aが所定量(具体的には、帯封紙幣の厚み寸法相当)ずつ下降する。ステージ46a上に所定の数の帯封紙幣が集積されると当該ステージ46aが帯封紙幣投出部48と同じ高さレベルまで下降し、シャッター48aが開く。
<硬貨入出金装置の構成>
次に、貨幣入出金機1における硬貨入出金装置110の構成について図2及び図4〜図8を用いて説明する。図4は、図2に示した貨幣入出金機における硬貨入出金装置を正面側から見たときの内部構成を示す構成図である。図5は、図2に示した貨幣入出金機における硬貨入出金装置を左側方から見たときの内部構成を示す構成図である。図6は、図2に示した貨幣入出金機における硬貨入出金装置を右側方から見たときの内部構成を示す構成図である。図7は、硬貨入出金装置における入金繰出部及び入金搬送部を上方から見たときの構成を示す構成図である。また、図8は、硬貨入出金装置における各構成部材間での硬貨の流れを示す説明図である。
図2及び図4〜図8に示すように、硬貨入出金装置110は、略直方体形状の筐体112と、筐体112の上面に設けられた硬貨投入口121に投入されたバラ硬貨を筐体112の内部に繰り出す入金繰出部120と、入金繰出部120により繰り出されたバラ硬貨を搬送する入金搬送部128と、入金搬送部128により搬送されるバラ硬貨を識別する入金識別部129とを備えている。また、図7に示すように、入金搬送部128には、入金識別部129により正常な硬貨ではないと識別されたバラ硬貨や入金識別部129により識別することができなかったバラ硬貨をリジェクト硬貨として選別するリジェクト選別部130、入金識別部129により特定の任意の金種の硬貨であると識別されたバラ硬貨を選別する任意選別部134、及び入金識別部129により各々の金種の硬貨であると識別されたバラ硬貨を選別する複数の金種別選別部136がそれぞれ設けられている。また、筐体112の内部には、任意選別部134や各金種別選別部136により選別されたバラ硬貨を金種毎に一時的に保留する入金一時保留部140、及び入金一時保留部140から送られたバラ硬貨を金種毎に収納するとともに収納されているバラ硬貨を繰り出すことができる複数の収納繰出部152がそれぞれ設けられている。また、筐体112の内部には、任意選別部134により選別されたバラ硬貨を紙やフィルム等の包装媒体により包装することによって包装硬貨を作成する包装部160、包装部160により作成された包装媒体を収納する包装硬貨収納ユニット200及び包装部160により作成された包装媒体を筐体112の内部で搬送する包装硬貨搬送ユニット210がそれぞれ設けられている。このような硬貨入出金装置110の各構成部材の詳細について以下に説明する。
図4、図5及び図7に示すように、入金繰出部120は、筐体112の上面に設けられた硬貨投入口121に投入されたバラ硬貨を受け入れる供給円盤122と、この供給円盤122からバラ硬貨が適量ずつ供給される回転円盤124と、回転円盤124からバラ硬貨を1枚ずつ入金搬送部128に繰り出す繰出機構126とを有している。
図7に示すように、入金搬送部128は、入金繰出部120から繰り出されたバラ硬貨を搬送路に沿って搬送する搬送ベルトを有している。ここで、搬送ベルトとしては例えば入金搬送部128の搬送路に沿って移動する丸ベルトが用いられ、入金繰出部120から繰り出されたバラ硬貨は当該丸ベルトとの間で働く摩擦力により搬送路に沿って搬送される。また、入金搬送部128には、当該入金搬送部128により搬送されるバラ硬貨の金種、真偽、正損、新旧、表裏、搬送状態等の識別を行う入金識別部129が設けられている。入金識別部129によるバラ硬貨の識別情報は後述する制御部300に送られる。
また、図7に示すように、入金搬送部128には、入金識別部129により正常な硬貨ではないと識別されたバラ硬貨や入金識別部129により識別することができなかったバラ硬貨をリジェクト硬貨として選別するリジェクト選別部130が設けられている。また、図5に示すように、筐体112の内部には、リジェクト選別部130により選別されたリジェクト硬貨としてのバラ硬貨が集積される入金リジェクト部138、及びリジェクト選別部130から入金リジェクト部138にリジェクト硬貨としてのバラ硬貨を送る入金リジェクト用シュート131がそれぞれ設けられている。ここで、図2に示すように、操作者は筐体112の前面から入金リジェクト部138の内部にアクセス可能であり、入金リジェクト部138に送られたリジェクト硬貨としてのバラ硬貨を操作者は筐体112の前面から取り出すことができる。
また、図7に示すように、入金搬送部128において、硬貨の搬送方向におけるリジェクト選別部130の下流側には、入金識別部129により特定の任意の金種の硬貨であると識別されたバラ硬貨を選別する任意選別部134が設けられている。ここで、任意選別部134により選別される特定の任意の金種の硬貨とは、例えばバラ硬貨の包装処理において包装部160によって包装媒体により包装されることにより包装硬貨とされるべきバラ硬貨や、特定の金種の硬貨の計数処理において袋装着部に装着される貯留袋175(図5において二点鎖線で表示)に送られるべきバラ硬貨のことをいう。
また、図7に示すように、入金搬送部128において、硬貨の搬送方向における任意選別部134の更に下流側には、入金識別部129により各々の金種の硬貨であると識別されたバラ硬貨を選別する複数の金種別選別部136が設けられている。具体的には、複数の金種別選別部136として、硬貨の搬送方向における上流側から順に、5円硬貨を選別する5円硬貨選別部136a、1円硬貨を選別する1円硬貨選別部136b、50円硬貨を選別する50円硬貨選別部136c、100円硬貨を選別する100円硬貨選別部136d、10円硬貨を選別する10円硬貨選別部136e及び500円硬貨を選別する500円硬貨選別部136fが設けられている。ここで、リジェクト選別部130、任意選別部134及び5円硬貨選別部136aは、ソレノイド等の電気的駆動機構によって強制的にバラ硬貨を分岐孔に落とし込ませる構成となっている。一方、1円硬貨選別部136b、50円硬貨選別部136c、100円硬貨選別部136d及び10円硬貨選別部136eは、小径硬貨から大径硬貨の順にバラ硬貨を径の大きさで選別して該当する分岐孔に落とし込ませる構成となっている。また、500円硬貨選別部136fは、5円硬貨選別部136a、1円硬貨選別部136b、50円硬貨選別部136c、100円硬貨選別部136d及び10円硬貨選別部136eの各分岐孔に落とし込まれなかったバラ硬貨を500円硬貨として当該500円硬貨選別部136fに対応する分岐孔に落とし込ませる構成となっている。
また、図4及び図5に示すように、筐体112の内部において入金搬送部128の下方には入金一時保留部140が設けられている。入金一時保留部140は、任意選別部134により選別されたバラ硬貨が一時的に保留される任意一時保留部142と、各金種別選別部136により選別されたバラ硬貨が金種別に一時的に保留される金種別一時保留部144とを有している。ここで、任意一時保留部142は、その上部及び底部が開口した枠体から構成されている。また、金種別一時保留部144は、5円、1円、50円、100円、10円、500円の各金種に対応する保留領域144a、144b、144c、144d、144e、144fに区画された、その上部及び底部が開口した枠体から構成されている。また、任意一時保留部142及び金種別一時保留部144は互いに連結されており、これらの任意一時保留部142及び金種別一時保留部144は一体的に水平方向に移動する。また、任意一時保留部142や金種別一時保留部144の下方には板状の底部材146が設けられており、これらの任意一時保留部142や金種別一時保留部144の枠体の底部に設けられた開口が底部材146により選択的に閉止可能である。また、図4及び図5に示すように、入金一時保留部140は、任意一時保留部142及び金種別一時保留部144を水平方向(具体的には、図4における左右方向)に移動させる第1駆動機構145と、底部材146を水平方向(具体的には、図4における左右方向)に移動させる第2駆動機構147とを有している。
また、図4及び図5に示すように、筐体112の内部において入金一時保留部140の更に下方には、入金一時保留部140から送られたバラ硬貨を筐体112の外部に排出するための排出部150、入金一時保留部140から送られたバラ硬貨を金種毎に収納するとともに収納されているバラ硬貨を繰り出すことができる複数の収納繰出部152、入金一時保留部140の任意一時保留部142から送られたバラ硬貨を包装部160や後述する袋装着部に装着された貯留袋175に送るシュート機構170、及び入金一時保留部140の任意一時保留部142から送られたバラ硬貨が収納されるバラ硬貨一括収納箱198(図2参照、図4や図5では図示せず)がそれぞれ設けられている。
入金一時保留部140における金種別一時保留部144は、各金種別選別部136の分岐孔の真下かつ排出部150の真上の位置である第1位置と、各収納繰出部152の真上の位置である第2位置との間で図4における左右方向に移動可能である。また、底部材146は、第1位置にある金種別一時保留部144の底部の開口を塞ぐ第1位置と、第1位置にある金種別一時保留部144の底部の開口を開く第2位置との間で図4における左右方向に移動可能である。また、実施例1に係る硬貨入出金装置110が待機状態にあるときには金種別一時保留部144は第1位置に位置するとともに底部材146も第1位置に位置する。ここで、金種別一時保留部144が第1位置に位置するとともに底部材146が第1位置に位置しているときには、各金種別選別部136の分岐孔に落とし込まれたバラ硬貨は金種別一時保留部144の各保留領域144a〜144fに金種毎に一時的に保留される。そして、金種別一時保留部144の各保留領域144a〜144fにバラ硬貨が一時的に保留されている状態から第1駆動機構145により金種別一時保留部144が第1位置から第2位置に移動させられると、金種別一時保留部144の各保留領域144a〜144fの底部に設けられた開口が開くことにより各保留領域144a〜144fからバラ硬貨が自重により落下して各収納繰出部152の収納領域152a〜152f(後述)に金種毎に送られ、各収納繰出部152の収納領域152a〜152fに金種毎に収納される。一方、金種別一時保留部144の各保留領域144a〜144fにバラ硬貨が一時的に保留されている状態から第2駆動機構147により底部材146が第1位置から第2位置に移動させられると、金種別一時保留部144の各保留領域144a〜144fの底部に設けられた開口が開くことにより各保留領域144a〜144fからバラ硬貨が自重により落下して排出部150に送られ、この排出部150に金種混合状態で集積される。
また、入金一時保留部140における任意一時保留部142は、第1駆動機構145による当該任意一時保留部142の移動方向(具体的には、図4における左右方向)に沿って並ぶ第1保留領域及び第2保留領域に区画されたものから構成されている。そして、金種別一時保留部144が第1位置に位置しているときには任意一時保留部142の第1保留領域が任意選別部134の分岐孔の真下に位置するとともに排出部150の真上に位置する。なお、このときに底部材146が第1位置に位置しているときには任意一時保留部142の第1保留領域の底部の開口が当該底部材146により塞がれ、任意選別部134の分岐孔に落とし込まれたバラ硬貨は任意一時保留部142の第1保留領域に一時的に保留される。また、金種別一時保留部144が第2位置に位置しているときには任意一時保留部142の第1保留領域がバラ硬貨一括収納箱198の真上に位置する。そして、任意一時保留部142の第1保留領域にバラ硬貨が一時的に保留されている状態から第1駆動機構145により金種別一時保留部144が第1位置から第2位置に移動させられると、任意一時保留部142の第1保留領域の底部に設けられた開口が開くことによりこの第1保留領域からバラ硬貨が自重により落下してバラ硬貨一括収納箱198に送られ、このバラ硬貨一括収納箱198に収納される。一方、任意一時保留部142の第1保留領域にバラ硬貨が一時的に保留されている状態から第2駆動機構147により底部材146が第1位置から第2位置に移動させられると、任意一時保留部142の第1保留領域の底部に設けられた開口が開くことによりこの第1保留領域からバラ硬貨が自重により落下して排出部150に送られ、当該排出部150に集積される。また、第1駆動機構145によって、入金一時保留部140における任意一時保留部142を、その第2保留領域が任意選別部134の分岐孔の真下に位置する第3位置に移動させることができる。ここで、任意一時保留部142が第3位置に位置しているときには、任意選別部134の分岐孔に落とし込まれたバラ硬貨は任意一時保留部142の第2保留領域に送られた後、この第2保留領域を通過してシュート機構170の上部シュート172(後述)に送られる。
図5等に示すように、複数の収納繰出部152の各々は、それぞれ、5円、1円、50円、100円、10円、500円の各金種に対応する収納領域152a、152b、152c、152d、152e、152fを有しており、これらの収納領域152a〜152fにバラ硬貨が金種別に収納される。より詳細には、各収納繰出部152の収納領域152a〜152fには、入金一時保留部140の金種別一時保留部144の各保留領域144a〜144fからバラ硬貨がそれぞれ送られる。また、各収納繰出部152において収納領域152a〜152fの底部には回転円盤等の硬貨繰出部152pがそれぞれ設けられており、各硬貨繰出部152pにより各収納繰出部152の収納領域152a〜152fからバラ硬貨が1枚ずつ繰り出される。また、各収納繰出部152の下方には水平方向に延びるコンベア154が設けられており、各硬貨繰出部152pにより各収納繰出部152の収納領域152a〜152fから繰り出されたバラ硬貨はコンベア154により搬送される。ここで、コンベア154には、当該コンベア154により搬送されるバラ硬貨の金種、真偽、正損、新旧、表裏、搬送状態等の識別を行う出金識別部155が設けられている。出金識別部155によるバラ硬貨の識別情報は後述する制御部300に送られる。また、出金識別部155により識別されたバラ硬貨はコンベア154により出金用シュート158を介して出金箱190に送られるか、あるいは包装用シュート157を介して包装部160に送られる。
排出部150は、筐体112の前面から操作者が手前側に引き出し可能な返却箱150aを有しており、入金一時保留部140における任意一時保留部142の第1保留領域や金種別一時保留部144の各保留領域144a〜144fから送られたバラ硬貨が金種混合状態で返却箱150aに集積される。
バラ硬貨一括収納箱198は、筐体112の前面から操作者が手前側に引き出し可能であり、入金一時保留部140における任意一時保留部142の第1保留領域から送られたバラ硬貨が集積される。
図5に示すように、シュート機構170は、入金一時保留部140における任意一時保留部142の第2保留領域から送られたバラ硬貨が通過する上部シュート172と、この上部シュート172から分岐した貯留用シュート174及び包装用シュート176とを有する。上部シュート172から貯留用シュート174や包装用シュート176への分岐箇所には分岐部材178が設けられている。上部シュート172から分岐部材178により包装用シュート176に分岐させられたバラ硬貨は包装部160に送られる。一方、図5に示すように、貯留用シュート174の下流側端部に位置する排出側開口174aは筐体112の前面に開口する。この排出側開口174aの近傍には、図5において二点鎖線で示すような貯留袋175を筐体112の前面に装着させる袋装着部(図示せず)が設けられている。そして、袋装着部に貯留袋175が装着されているときには、上部シュート172から分岐部材178により貯留用シュート174に分岐させられたバラ硬貨は排出側開口174aから貯留袋175に送られてこの貯留袋175に貯留される。
出金箱190は、筐体112の前面から操作者が手前側に引き出し可能であり、本実施例1に係る硬貨入出金装置110においてバラ硬貨の出金処理が行われる際に、各収納繰出部152の収納領域152a〜152fから繰り出されたバラ硬貨がコンベア154により出金用シュート158を介して出金箱190に送られる。また、出金箱190には、操作者が当該出金箱190を筐体112の前面から手前側に引き出す際に把持される取っ手190aが設けられ、取っ手190aを操作者が把持することにより出金箱190を筐体112から容易に引き出すことができる。また、出金箱190には図示しないロック機構が設けられており、このロック機構により出金箱190は筐体112の内部にロックされる。一方、ロック機構によるロックが解除されると、操作者は出金箱190を筐体112の前面から手前側に引き出すことができる。そして、出金箱190の着脱状態を検知する着脱検知センサや、出金箱190内の硬貨の有無を検知する有無検知センサが設けられる。また、図4に示すように、出金箱190の底部には開口が設けられているとともに、この開口はシャッタ部材192により選択的に閉じられる。また、筐体112の下部には、出金リジェクト箱156と、出金箱190の底部に設けられた開口から出金リジェクト箱156にバラ硬貨を送る出金リジェクト用シュート194がそれぞれ設けられている。そして、本実施例1に係る硬貨入出金装置110においてバラ硬貨の出金処理が行われる際に、出金されるべきバラ硬貨の金種とは異なる金種のバラ硬貨が収納繰出部152の各収納領域152a〜152fから繰り出されて出金箱190に送られたり、収納繰出部152の各収納領域152a〜152fからのバラ硬貨の繰り出しエラーによって各収納領域152a〜152fから繰り出されたバラ硬貨の枚数が不確定となってしまったりした場合には、出金箱190の底部に設けられた開口がシャッタ部材192により開かれ、出金箱190に送られたバラ硬貨はこの出金箱190から出金リジェクト用シュート194を介して出金リジェクト箱156に送られる。
包装部160は、シュート機構170の包装用シュート176や包装用シュート157により当該包装部160に送られたバラ硬貨が集積されるとともに集積されたバラ硬貨を1枚ずつ繰り出す集積部としての回転円盤162と、回転円盤162により繰り出されたバラ硬貨を搬送するコンベア163と、コンベア163により搬送されたバラ硬貨が積層状態で集積されるとともに集積された所定の枚数(例えば、50枚)のバラ硬貨を紙やフィルム等の包装媒体により包装する包装機構168とを有している。ここで、包装機構168は上方から見て仮想の正三角形の各頂点に位置する3本の包装ローラ168aを有しており、各包装ローラ168aの間の包装領域において所定枚数重積した重積硬貨が包装媒体により包装されることにより包装硬貨が作成される。図6に示すように、包装機構168により作成された包装硬貨はこの包装機構168から下方に排出される。また、包装機構168の下方には包装硬貨用シュート165及び横搬送部167が設けられており、包装機構168により作成された包装硬貨が当該包装機構168から下方に排出されると、この排出された包装硬貨は包装硬貨用シュート165を通って横搬送部167に送られ、この横搬送部167により包装硬貨搬送ユニット210に向かって搬送される。また、横搬送部167と包装硬貨搬送ユニット210との間には、横搬送部167から包装硬貨搬送ユニット210への包装硬貨の放出と放出規制とを切り換える切換部材169が設けられている。
また、図4等に示すように、包装部160においてコンベア163の下方には排出シュート164が設けられており、包装機構168により所定の枚数(例えば、50枚)のバラ硬貨を包装する際に所定の枚数に満たない端数分のバラ硬貨はコンベア163から排出シュート164に送られてこの排出シュート164により出金リジェクト箱156に送られる。また、出金リジェクト箱156の近傍には、端数分のバラ硬貨を収納する端数硬貨収納箱197が設けられているとともに、この出金リジェクト箱156には、排出シュート164から送られた端数分のバラ硬貨を出金リジェクト箱156及び端数硬貨収納箱197の何れかに分岐させる分岐部材196が設けられている。このような分岐部材196が設けられていることにより、コンベア163から排出シュート164に送られた端数分のバラ硬貨を出金リジェクト箱156及び端数硬貨収納箱197のうち何れかに収納させることができる。
図6に示すように、包装硬貨搬送ユニット210は、筐体112の内部における上部及び下部にそれぞれ設けられた2つのプーリ212と、これらの2つのプーリ212に掛け渡された無端状の循環ベルト214と、2つのプーリ212のうち一方のプーリ212を回転駆動させることにより循環ベルト214を図6における時計回りの方向及び反時計回りの方向に循環移動させる駆動モータ(図示せず)とを有している。また、図6に示すように、循環ベルト214には、包装硬貨搬送ユニット210により搬送されるべき包装硬貨が引っ掛けられる突起216が等間隔で複数設けられている。ここで、各突起216は、当該突起216と包装硬貨とが接する面が循環ベルト214の延びる方向(すなわち、図6における上下方向)に対して所定の角度(例えば、60°)をなして傾斜する方向に当該循環ベルト214から突出して形成されている。このように各突起216が循環ベルト214の延びる方向に対して傾斜していることにより、突起216に引っ掛けられた包装硬貨はその自重により突起216上で循環ベルト214側に寄せられる。そして、循環ベルト214が図6における反時計回りの方向に循環移動すると、包装硬貨は突起216に引っ掛けられた状態で(すなわち、突起216上で循環ベルト214側に寄せられた状態で)循環ベルト214の移動に合わせて図6における反時計回りの方向に沿って搬送される。また、循環ベルト214は、所定量だけ移動すると所定時間だけ停止し、その後再び所定量だけ移動するような動作が繰り返し行われる間欠移動を行うよう、駆動モータにより駆動される。
また、図6に示すように、筐体112の内部において包装硬貨搬送ユニット210の近傍には、包装硬貨の収納を行う包装硬貨収納ユニット200が設けられている。ここで、包装硬貨収納ユニット200は、同一金種の複数の包装硬貨を一列に収納する複数(図6に示す例では6つ)の収納トレイ240を有しており、各収納トレイ240には包装硬貨が金種別に収納される。各収納トレイ240は水平方向に対して傾斜しており、収納トレイ240に収納されている包装硬貨は、包装硬貨搬送ユニット210に近い側である収納トレイ240の最前部に向かって転がる。また、各収納トレイ240は鉛直方向に沿って並ぶよう配置されている。また、各収納トレイ240に収納される包装硬貨の金種は収納トレイ240毎に予め設定されている。
また、各収納トレイ240は、図6に示す位置から包装硬貨搬送ユニット210に向かって(すなわち、図6における左方向に)移動可能であり、各収納トレイ240が包装硬貨搬送ユニット210における循環ベルト214の近傍の位置まで進出したときに、各収納トレイ240に収納されている包装硬貨が循環ベルト214の突起216に1つずつ受け渡される。また、各収納トレイ240の前端部分(すなわち、図6における左端部分)と、包装硬貨搬送ユニット210との間には、各収納トレイ240に対応して複数のストッパ部分204aが設けられたストッパ機構204が上下方向に移動可能に配置されている。このストッパ機構204が下降位置にあるときには、包装硬貨搬送ユニット210に向かって進出した収納トレイ240の最前部の包装硬貨にストッパ部分204aが接触してこの最前部の包装硬貨が循環ベルト214の突起216に受け渡されない。この場合には、循環ベルト214により搬送される包装硬貨が突起216から収納トレイ240の最前部に受け渡され、この収納トレイ240に収納される。一方、ストッパ機構204が上昇位置にあるときには、包装硬貨搬送ユニット210に向かって進出した収納トレイ240の最前部の包装硬貨にストッパ部分204aが接触せず、この最前部の包装硬貨が循環ベルト214の突起216に受け渡される。
また、筐体112の前面において包装硬貨搬送ユニット210の前部域には、包装硬貨出金部230、包装硬貨一括収納箱232及び包装硬貨投出部236がそれぞれ設けられている。また、包装硬貨出金部230、包装硬貨一括収納箱232及び包装硬貨投出部236の各々に対応して、包装硬貨搬送ユニット210の循環ベルト214により搬送される包装硬貨を選択的に包装硬貨出金部230、包装硬貨一括収納箱232及び包装硬貨投出部236にそれぞれ分岐させる分岐部材218、219、220が設けられている。また、分岐部材220により包装硬貨搬送ユニット210から分岐させられた包装硬貨を包装硬貨投出部236に送る包装硬貨投出用シュート238が設けられている。ここで、図2に示すように、操作者は筐体112の前面から包装硬貨出金部230にアクセス可能であり、包装硬貨出金部230に送られた包装硬貨を操作者は筐体112の外部に取り出すことができる。また、図2に示すように、操作者は筐体112の前面から包装硬貨投出部236にアクセス可能であり、分岐部材220により包装硬貨搬送ユニット210の循環ベルト214から分岐させられて包装硬貨投出用シュート238により包装硬貨投出部236に送られた包装硬貨を操作者は筐体112の外部に取り出すことができる(具体的には、包装硬貨投出部236の下方に箱状の容器を置いて、投出される包装硬貨をこの容器で受け入れる)。また、循環ベルト214を図6における時計回りの方向に循環移動させた場合には、横搬送部167により包装硬貨搬送ユニット210に送られた包装硬貨をすぐに包装硬貨投出用シュート238経由で包装硬貨投出部236に送ることができる。
また、図2に示すように、筐体112の前面側における右側部分には開閉可能な前扉114が設けられており、当該前扉114を開くことにより筐体112内の包装硬貨収納ユニット200にアクセスすることができる。より詳細には、前扉114には上述した包装硬貨出金部230、包装硬貨一括収納箱232、包装硬貨投出部236及び包装硬貨搬送ユニット210が取り付けられており、前扉114を開いたときにはこれらの包装硬貨出金部230、包装硬貨一括収納箱232、包装硬貨投出部236及び包装硬貨搬送ユニット210も前扉114と一体的に移動する。このことにより、操作者は前扉114を開くと包装硬貨収納ユニット200にアクセスして収納トレイ240を取り出すことにより収納トレイ240に包装硬貨を収納したり収納トレイ240から包装硬貨を取り出したりすることができる。
また、図2に示すように、筐体112の前面側における左側部分にも開閉可能な前扉115が設けられている。また、筐体112の内部において前扉115の裏側には複数の引出ユニットが設けられており、操作者は前扉115を開くことにより各引出ユニットを筐体112の手前側に引き出すことができる。また、各引出ユニットにはロック機構250(図9参照)が設けられており、当該ロック機構250は対応する引出ユニットを筐体112の内部にロックする。
<貨幣入出金機の機能的な内部構成>
次に、図2に示した貨幣入出金機1の機能的な内部構成を説明する。図9は、図2に示した貨幣入出金機1の機能ブロック図である。貨幣入出金機1には、当該貨幣入出金機1の各構成部材の制御を行う制御部300が設けられている。より詳細には、図9に示すように、制御部300には、紙幣入出金装置10の投入部14、繰出部16、搬送部18、識別部20、表裏反転部22、入金一時保留部30(具体的には、入金一時保留部30に設けられたステージ30aの駆動機構(図示せず)や紙幣繰出繰入部30b)、混合バラ紙幣収納部32(具体的には、混合バラ紙幣収納部32に設けられたステージ32aの駆動機構(図示せず)や紙幣繰出繰入部32b)、各金種別バラ紙幣収納部34(具体的には、各金種別バラ紙幣収納部34に設けられたステージ34aの駆動機構(図示せず)や紙幣繰出繰入部34b)、帯封部42、アーム機構44、帯封紙幣揚送部46、帯封紙幣搬送部60、判別部62、各帯封紙幣収納部70(具体的には、各帯封紙幣収納部70に設けられたステージ70aの駆動機構(図示せず))、引出ユニット13に設けられたロック機構50、各シャッター24a、48aを開閉させるシャッター駆動部24b、48b等がそれぞれ接続されている。そして、識別部20によるバラ紙幣の識別結果に係る信号や判別部62による帯封紙幣の金種の判別結果に係る情報等が制御部300に送られるとともに、制御部300は紙幣入出金装置10の各構成部材に指令信号を送ることによりこれらの構成部材の動作を制御する。
また、図9に示すように、制御部300には、硬貨入出金装置110の入金繰出部120、入金搬送部128、入金識別部129、各選別部130、134、136、入金一時保留部140、各収納繰出部152、コンベア154、出金識別部155、包装部160、包装硬貨収納ユニット200、包装硬貨搬送ユニット210、各分岐部材218、219、220、ロック機構250等がそれぞれ接続される。入金識別部129や出金識別部155によるバラ硬貨の識別情報はこれらの入金識別部129や出金識別部155から制御部300に送られる。また、制御部300は、硬貨入出金装置110の各構成部材に指令の信号を送ることによりこれらの構成部材の動作を制御する。
また、図9に示すように、制御部300には、操作表示部302、印字部304、記憶部306及び通信インターフェース部308がそれぞれ接続されている。図2に示すように、操作表示部302は、例えば硬貨入出金装置110の筐体112の上部に設けられたタッチパネル等からなり、紙幣入出金装置10や硬貨入出金装置110における紙幣や硬貨の処理状況や、紙幣入出金装置10や硬貨入出金装置110に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報を表示する。また、操作者はこの操作表示部302により制御部300に様々な指令や情報を入力することができる。また、図2に示すように、印字部304は、紙幣入出金装置10や硬貨入出金装置110における紙幣や硬貨の処理状況や、紙幣入出金装置10や硬貨入出金装置110に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報をレシート等に印刷するプリンタ等から構成されている。また、記憶部306は、紙幣入出金装置10や硬貨入出金装置110における紙幣や硬貨の処理履歴や、紙幣入出金装置10や硬貨入出金装置110に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報を記憶する。また、制御部300は通信インターフェース部308を介して上位端末等の外部装置310に対して様々な信号の送受信を行うことができる。
また、制御部300は、出金要求取得部300a、払出制御部300b、個別印字制御部300c、合計印字制御部300d、貨幣抜取検知部300e、払出指示受付部300f及び出金要求加工部300gを有する。
出金要求取得部300aは、支払準備処理に際し、複数件分の出金要求情報を取得する処理を行う処理部である。支払準備処理では、1つの封筒に入れる金額が1件分の出金要求情報に対応し、複数の出金要求情報は、異なる金額であってもよい。複数の出金要求情報は、例えば操作表示部302に対する操作者の操作により入力される。また、通信インターフェース部308が他の装置から複数の出金要求情報を含む出金要求データを受信してもよい。また、USBメモリなどの記憶媒体に格納された出金要求情報を読み出すことで取得してもよい。出金要求取得部300aは、取得した出金要求情報を記憶部306に格納する。
払出制御部300bは、各出金要求情報に対応する貨幣を貨幣の収納部から所定の出金口に断続的に払い出させるよう制御する処理部である。具体的には、紙幣については、金種別バラ紙幣収納部34からバラ紙幣投出部24に払い出し、硬貨については複数の収納繰出部152から出金箱190に払い出す。
払出制御部300bは、出金要求取得部300aが複数件分の出金要求情報を取得したならば、まず、そのうちの1件分の貨幣を出金処理する。その後、貨幣抜取検知部300eが貨幣抜取を検知した場合、若しくは払出指示受付部300fが払出指示を受け付けた場合に、次の1件分の貨幣を出金処理する。すなわち、貨幣抜取又は払出指示を次の出金処理のトリガーとして用いるのである。払出制御部300bは、1件分の出金処理とトリガーの検知とを繰り返し、全件分の出金処理を終えた場合に処理を終了する。
個別印字制御部300cは、各出金要求情報に対応する貨幣の払い出しに対応して、個別出金レシートを印字部304に印字させる処理部である。個別出金レシートは、1件分の出金要求情報に係る事項を印字したものであり、例えば対応する封筒への貼付などに用いられる。個別出金レシートを印字するタイミングについては適宜設定することができるが、1件分の出金処理とともに対応する個別出金レシートを印字することが好適である。
合計印字制御部300dは、1回の支払準備処理において取得される複数の出金要求情報に対応する貨幣の払出合計の合計出金レシートを印字部304に印字させる処理部である。合計出金レシートには、各出金要求情報に示された金額を合計した払出合計金額、各出金要求情報に関する事項などを印字することができ、支払準備処理の管理等に用いられる。合計出金レシートを印字するタイミングについては適宜設定することができるが、最初の出金処理の前や、最後の出金処理の後に行うことが好適である。
貨幣抜取検知部300eは、出金口からの貨幣の抜き取りを検知する処理部である。具体的には、紙幣の場合、バラ紙幣投出部24及び出金箱190にセンサを設け、払い出した貨幣(紙幣)が操作者により取り出されたことを検知する。一方、硬貨の場合は、出金硬貨が出金箱190へ払い出された後、着脱検知センサによって出金箱190の取り外しおよび再装着が検知され、且つ、有無検知センサによって出金箱190内の硬貨が無くなったことが検知されると、払い出した貨幣(硬貨)が操作者により取り出されたことを検知する。貨幣抜取検知部300eによる検知結果は、既に説明したように、出金処理のトリガーとして用いることができる。貨幣の抜き取りの検知をトリガーとして用いない場合には、制御部300に貨幣抜取検知部300eを設けない構成としてもよい。
払出指示受付部300fは、貨幣の払出指示を受け付ける処理部である。具体的には、払出指示受付部300fは、未出金の出金要求情報が残っている場合に、操作表示部302に払出指示を受け付けるための操作ボタンを表示し、この操作ボタンへの操作を払出指示として受け付ける。払出指示受付部300fにより受け付けられた払出指示は、既に説明したように、出金処理のトリガーとして用いることができる。払出指示の受付をトリガーとして用いない場合には、制御部300に払出指示受付部300fを設けない構成としてもよい。
出金要求加工部300gは、過去に受け付けた出金要求情報を記憶部306から読み出して加工する処理を行う。具体的には、出金要求加工部300gは、操作者の操作に基づいて過去に受け付けた出金要求情報を出力する。出力先は、操作表示部302であってもよいし、外部の装置に送信してもよい。操作者は、出力された過去の出金要求情報(データ形式)をベースとして、金額や金種別枚数(必要時には、処理日付)を修正したり、出金要求情報の追加、複写、削除等を行うことによって、新たな出金要求情報を簡単に生成することができる。このようにして生成された出金要求情報は、出金要求取得部300aに渡されて出金処理が開始される。
<データの一例>
次に、出金要求情報の一例について図10を用いて説明する。図10は、出金要求情報の一例を示す図である。図10に示す出金要求情報は、取引No、金額、金種別枚数を対応付けたデータである。図10では、取引Noは3桁の主番号と2桁の枝番号の組合せである。3桁の主番号は1つの支払準備処理に対応する。2桁の枝番号は、1つの支払準備処理に含まれる複数の出金要求情報を識別するために用いられる。
図10に示した出金要求情報は、全て主番号「456」の支払準備処理に含まれる出金要求情報である。具体的には、取引No「456−01」は、金額「¥123,500」であり、一万円12枚と、一千円3枚とを含む貨幣の出金を要求している。同様に、取引No「456−02」は、金額「¥123,500」であり、一万円12枚と、一千円3枚とを含む貨幣の出金を要求している。また、取引No「456−03」及び取引No「456−04」は、金額「¥89,600」であり、一万円8枚、五千円1枚、一千円4枚を含む貨幣の出金を要求している。
出金要求情報は、図10に示した項目に限定されず、任意の項目を対応付けることができる。例えば、出金要求情報に受取人(顧客)の氏名や識別情報などを対応付けてもよい。また、操作を行った操作者の識別情報、操作の日時、合計金額や払い出される各金種の合計枚数、1つの支払準備処理に含まれる出金要求情報の数などを対応付けてもよい。
<貨幣入出金機の処理手順>
次に、図2に示した貨幣入出金機1における支払準備処理の処理手順について説明する。図11は、図2に示した貨幣入出金機1における支払準備処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、ここでは、操作者がID認証に成功し、操作メニューから払出準備処理が選択された以降の手順について説明する。
まず、出金要求取得部300aは、支払準備処理に際し、全件分の出金要求情報の入力を受け付け(ステップS101)、完了ボタン操作を受け付ける(ステップS102)。合計印字制御部300dは、全件分の出金要求情報に基づいて、合計出金レシートを印字する(ステップS103)。このとき、データ処理上は、一連の出金処理が確定される。
ステップS103の後、払出制御部300bは、1件分の貨幣を出金処理し(ステップS104)、個別印字制御部300cは、対応する個別出金レシートを印字部304に印字させる(ステップS105)。
ステップS105の後、払出制御部300bは、ステップS101で入力された全件分の出金処理が終了したか否かを判定する(ステップS106)。出金処理のされていない出金要求情報が残っているならば(ステップS106;No)、払出指示受付部300fは、貨幣の払出指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS107)。払出指示を受け付けていなければ(ステップS107;No)、払出指示受付部300fは、再度ステップS107に移行することで払出指示を待機する。操作者は、払い出された貨幣を封筒に入れ、個別出金レシートを貼付した後、払出指示の操作を行うことになる。
払出制御部300bは、払出指示を受け付けたならば(ステップS107;Yes)、ステップS104に移行し、1件分の出金処理を実行する(ステップS104)。そして、全件分の出金処理が終了したならば(ステップS106;Yes)、払出制御部300bは、支払準備処理を終了する。
なお、図11では、操作者が操作表示部302を操作することで全件分の出金要求情報の入力を行う場合を示したが、全件分の出金要求情報を他の装置や記憶媒体から取得することとしてもよい。この場合には、ステップS101は「他の装置や記憶媒体からの全件分の出金要求情報の取得」となり、ステップS102は「確認ボタン操作の受付」となる。
また、図11では、払出指示の受付をトリガーとして次の出金処理を行う場合を示したが、貨幣抜取をトリガーとして用いてもよい。この場合には、ステップS107では「貨幣抜取の検知」の有無を判定することになる。また、払出指示と貨幣抜取の双方をトリガーとして用いる場合には、ステップS107では「払出指示の受付又は貨幣抜取の検知」の有無を判定することになる。
また、図11では、最初の出金処理の前に合計出金レシートを印字し、1件分の出金処理とともに対応する個別出金レシートを印字する場合を示したが、合計出金レシートや個別出金レシートの印字のタイミングは適宜変更可能である。例えば、全件分の出金処理が終了した後に合計出金レシートや個別出金レシートを印字してもよい。
<表示画面の具体例>
次に、支払準備処理に係る表示画面の具体例について説明する。図12及び図13は、支払準備処理に係る表示画面の具体例についての説明図である。図12(a)は、操作表示部302に表示される支払準備処理のメインメニュー画面である。このメインメニュー画面では「準備」「支払」「準備金戻し」のボタンが表示される。
「準備」ボタンを操作すると、図12(b)の出金要求情報入力画面が表示される。出金要求情報入力画面は、左右に分割されており、右側には出金要求情報の金額を1件ずつ入力するためのテンキーと、入力結果である出金要求情報の一覧が表示される。また、出金要求情報入力画面の左側には、出金要求情報の数である件数(伝票枚数)と、合計の金額が表示される。
出金要求情報入力画面の下方には、完了ボタンが表示されており、この完了ボタンの操作を受け付けると、貨幣入出金機1は合計出金レシートを印字した後、図13(c)に示す出金画面を操作表示部302に表示する。出金画面は、左右に分割されており、左側に未出金分の出金要求情報が一覧表示されている。また、右側には貨幣入出金機1の外観を表示しつつ、合計出金レシートの払出位置を表示して、合計出金レシートの抜き取りをうながす。合計出金レシートが抜き取られると、図13(d)に示すダイアログ表示が行われ、払出指示ボタンが操作されると、1件分の出金処理が実行される。このとき、貨幣が払出されると、貨幣(硬貨、紙幣)の払出位置を表示して、貨幣の抜き取りをうながす。
さらに、貨幣入出金機1は、1件分の出金処理が終わる度に、個別出金レシートを印字し、図13(d)に示すダイアログ表示を行う。
図13(d)に示すダイアログ表示では、次の出金処理が全件数のうちの何件目であるか、出金の金額などの情報ととともに、払出指示のための操作ボタンが表示される。図13(d)では、「取引番号 456」「次は 3件目(全6件)です。」「89,600円出金します。」などの情報ととともに、払出指示ボタンを表示した状態を示している。
出金した貨幣が抜き取られ、払出指示ボタンが操作されたならば、次の出金要求情報に係る出金が行われ、図13(c)の出金画面が更新され、個別出金レシートが印字され、図13(d)のダイアログが新たに表示されることになる。なお、出金した貨幣が抜き取られていない状態で払出指示ボタンが操作された場合には、警告を報知(表示や音声による)して次の出金は行わない。尚、貨幣抜取をトリガーとして次の出金処理が行われる場合には、表示されるダイアログに払出指示ボタンは含まれず、貨幣抜取の検知に基づいて次の出金要求情報に係るダイアログに切り替えられる。
貨幣入出金機1は、出金処理、個別出金レシートの印字、表示の更新と払出指示の受付を、全件分の処理が終了するまで繰り返す。全件分の処理が終了すると、図12(a)の画面に戻って、次の指示に備える。
<レシートの具体例>
次に、貨幣入出金機1が印字するレシートの一例について説明する。図14は、貨幣入出金機1が印字するレシートの一例を示す図である。図14(a)は、合計出金レシートの一例である。合計出金レシートには、1つの支払い準備処理に関する項目が印字される。図14(a)では、支払い準備に係る合計レシートであること、支払準備処理を行った日時「2016/02/15 14:11」、操作者を識別する操作者ID「0012」、取引Noの主番号「456」、出金要求情報の数を示す件数「6」、合計の金額「¥605,400−」が印字されている。
図14(b)は、個別出金レシートの一例である。個別出金レシートには、1つの出金要求情報に関する項目が印字される。図14(b)の1件目の個別出金レシートでは、支払い準備に係る個別レシートであること、支払準備処理を行った日時「2016/02/15 14:11」、取引No「456−01」、金額「¥123,500−」が印字されている。2件目の個別出金レシートでは、取引Noが「456−02」であり、その他は1件目の個別出金レシートと同一である。3件目の個別出金レシートでは、取引Noが「456−03」であり、金額が「¥89,600−」となっている。
なお、図14に示した項目に限らず、合計出金レシートや個別出金レシートには任意の項目を印字することが可能である。例えば、操作者IDにより特定される操作者の氏名を合計出金レシートに印字してもよい。また、個別出金レシートに操作者に関する情報、支払準備処理全体の合計金額、支払準備処理に含まれる出金要求情報の数、出金された貨幣を受け取る人物に関する情報(氏名等)などを印字してもよい。また、個別出金レシートに貨幣を受け渡す予定日を印字してもよい。
上述してきたように、本実施例1に係る貨幣処理装置である貨幣入出金機1は、出金要求取得部300aが複数の出金要求情報を取得し、払出制御部300bが各出金要求情報に対応する貨幣を貨幣の収納部から所定の出金口に断続的に払い出すよう請御する。このため、連続して複数の出金取引を行う場合に、人的負担及び人為的なミスを軽減しつつ効率的に出金を行うことができる。
本実施例2では、金融機関の窓口で担当者が使用する貨幣入出金機に本発明を適用する場合について説明する。図15は、実施例2に係る貨幣入出金機の外観を示す斜視図である。実施例2に係る貨幣入出金機600は、金融機関の窓口等に設置されるものであり、紙幣および硬貨の入出金処理をそれぞれ行う。より詳細に説明すると、金融機関の窓口等において二人のテラーが1台の貨幣入出金機600を共用し、図15に示す貨幣入出金機600の両側にそれぞれテラーが配置されるとともに各テラーに対応して二台のモニタ(図示せず)が設置される。
図15に示すように、貨幣入出金機600は、略直方体形状の筐体602を有しており、この筐体602の前面上方に紙幣入金口610が設けられるとともに筐体602の上面に硬貨入金口650が設けられる。また、筐体602の前面において紙幣入金口610の下方には紙幣出金口640が設けられるとともに、紙幣出金口640の更に下方にはリジェクト部642が設けられ、このリジェクト部642の両側の側方にはそれぞれ硬貨出金ボックス652が配置される。ここで、紙幣入金口610、紙幣出金口640および硬貨入金口650は二人のテラーが共用するのに対し、リジェクト部642の両側に設けられた各硬貨出金ボックス652は各テラーにそれぞれ対応する。また、図15に示すように、紙幣入金口610には、当該紙幣入金口610の開閉を行うシャッタ540が設けられており、また、紙幣出金口640にも、当該紙幣出金口640の開閉を行うシャッタ550が設けられている。また、貨幣入出金機600の筐体602の前面における紙幣出金口640やリジェクト部642の下方には前面扉644が設けられており、この前面扉644を開くことにより後述するカセット部622を筐体602内から手前側に引き出すことができる。
また、貨幣入出金機600の筐体602の上面における硬貨入金口650の両側の側方には、紙幣占有ボタン684、硬貨占有ボタン686、紙幣出金口ランプ690および硬貨出金口ランプ692がそれぞれ設けられている。これらの紙幣占有ボタン684、硬貨占有ボタン686、紙幣出金口ランプ690および硬貨出金口ランプ692はそれぞれ左右一対となるよう配置されており、各ボタン684、686や各ランプ690、692は各テラーに対応する。また、貨幣入出金機600の筐体602の上面における硬貨入金口650の後方には例えばタッチパネル等からなる操作表示部682が設けられている。図15では操作表示部682は倒れた状態で示されているが、この操作表示部682を図15に示す状態から鉛直方向上方に延びるよう立たせることができる。操作者はこの操作表示部682により様々な情報や指令を入力することができる。また、操作表示部682には、貨幣入出金機600における貨幣の処理状況に関する情報や在高に関する情報が表示される。なお、操作表示部682に表示される、貨幣入出金機600における貨幣の処理状況に関する情報には、例えば、ジャム等の通常のエラーに係る情報や、リジェクト部642に送られたリジェクト紙幣に係る情報等が含まれる。具体的には、貨幣入出金機600における貨幣の処理状況に関する情報として、「機体内で紙幣の詰まりが発生しました」「出金口のリジェクト紙幣を抜き取って下さい」等のメッセージが操作表示部682に表示されるようになる。また、貨幣入出金機600の筐体602の前面には電源スイッチ680が設けられており、操作者がこの電源スイッチ680をオンにすることにより貨幣入出金機600において紙幣や硬貨の入出金処理を行うことができる。
図16は、図15に示した貨幣入出金機の内部構成を示す構成図である。図16に示すように、貨幣入出金機600の筐体602の内部には、紙幣の入出金処理を行う紙幣処理部604と、硬貨の入出金処理を行う硬貨処理部606とがそれぞれ設けられている。紙幣処理部604の構成の詳細について以下に説明する。
既に説明したように、貨幣入出金機600の筐体602の前面上方に紙幣入金口610が設けられているが、この紙幣入金口610には紙幣繰出機構612が設置されており、筐体602の外部から紙幣入金口610に投入された紙幣は紙幣繰出機構612により1枚ずつ筐体602の内部に繰り出される。より詳細には、図16に示すように、紙幣繰出機構612は、左右一対のキッカローラ612a、左右一対のフィードローラ612bおよび左右一対のゲートローラ612cを有している。このような紙幣繰出機構612において、紙幣入金口610に投入された紙幣はキッカローラ612aによりフィードローラ612bとゲートローラ612cとの間の隙間に向かって1枚ずつ蹴り出され、この蹴り出された紙幣は、フィードローラ612bによって貨幣入出金機600の筐体602内に1枚ずつ繰り出される。
また、紙幣入金口610には搬送部614が接続されており、紙幣繰出機構612により筐体602の内部に繰り出された紙幣は搬送部614により1枚ずつ搬送される。ここで、搬送部614には識別部616が設けられており、搬送部614により搬送される紙幣は識別部616によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別される。また、搬送部614には表裏反転部618が設けられており、搬送部614により搬送される紙幣は表裏反転部618によりその表裏が整えられる。具体的には、表裏反転部618に送られた紙幣のうち、例えば裏面が上側となっている紙幣のみの表裏が反転されることにより、この表裏反転部618から出された紙幣は全て表面(おもてめん)が上側となる。
また、搬送部614にはリジェクト部642が接続されており、識別部616により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣が搬送部614からリジェクト部642に送られる。リジェクト部642は筐体602の前面から引き出すことができ、筐体602の前面から引き出されたリジェクト部642は筐体602の外部からアクセス可能である。このことにより、操作者はこのリジェクト部642に集積されたリジェクト紙幣を手動で取り出すことができる。
また、搬送部614には複数(例えば5つ)の一時保留部620が接続されている。ここで、各一時保留部620は並列に並ぶよう配設されており、搬送部614から各一時保留部620に搬送された紙幣は、これらの一時保留部620において積層状態で集積されることにより一時的に保留される。また、各一時保留部620の下方には例えば2つの紙幣収納カセット624および例えば3つの紙幣集積部626がそれぞれ設けられており、各一時保留部620に一時的に保留された紙幣は各紙幣収納カセット624や各紙幣集積部626に送られる。ここで、図16に示すように、筐体602の内部において各紙幣収納カセット624はカセット部622に着脱自在に収容され、このカセット部622は前面扉644を開くことにより筐体602から前方に(すなわち、図16における左方向に)引き出すことができる。このように、カセット部622を筐体602から前方に引き出すことにより、紙幣が収納された紙幣収納カセット624をカセット部622から取り出し、この紙幣収納カセット624を回収することができる。一方、各紙幣集積部626に集積された紙幣は、これらの紙幣集積部626から搬送部614に繰り出され、各紙幣集積部626から搬送部614に繰り出された紙幣は紙幣出金口640に送られ、このようにして紙幣の出金処理が行われる。
貨幣入出金機600の筐体602の内部に設けられた硬貨処理部606は、硬貨の入出金処理を行う。具体的には、上面に設けられた硬貨入金口650に投入された硬貨を識別部(図示せず)により識別し、その後この硬貨を筐体602内に収納することによって硬貨の入金処理を行ったり、筐体602内に収納された硬貨を各硬貨出金ボックス652に送ることによって硬貨の出金処理を行う。硬貨処理部606の詳細な説明は省略する。
既に説明したように、貨幣入出金機600の筐体602の上面には、左右一対の紙幣占有ボタン684および左右一対の硬貨占有ボタン686がそれぞれ設けられており、各ボタン684、686は各テラーに対応している。そして、貨幣入出金機600の側方に座っている各テラーが対応する紙幣占有ボタン684や硬貨占有ボタン686を押下することにより、このテラーに関連する紙幣や硬貨の入出金処理を行うことができる。また、貨幣入出金機600の筐体602の上面には、左右一対の紙幣出金口ランプ690および左右一対の硬貨出金口ランプ692がそれぞれ設けられており、各ランプ690、692は各テラーに対応している。そして、紙幣出金口640に出金紙幣が集積されたり硬貨出金ボックス652に出金硬貨が集積されたりすると、紙幣や硬貨の入出金処理を行っているテラーに対応する紙幣出金口ランプ690や硬貨出金口ランプ692が点灯する。
次に、図15に示した貨幣入出金機600の機能的な内部構成を説明する。図17は、図15に示した貨幣入出金機600の機能ブロック図である。図17に示すように、貨幣入出金機600の筐体602内には、当該貨幣入出金機600の各構成要素の制御を行う制御部700が設けられている。図17に示すように、制御部700には紙幣処理部604、硬貨処理部606、電源スイッチ680、操作表示部682、紙幣占有ボタン684、硬貨占有ボタン686、紙幣出金口ランプ690、硬貨出金口ランプ692等が接続されている。また、制御部700には記憶部702、通信部704、設定部706等がそれぞれ接続されている。記憶部702には、貨幣入出金機600における貨幣の処理状況や在高に関する情報が記憶される。また、通信部704により、制御部700は貨幣入出金機600以外の外部装置(例えば、上位装置)と信号の送受信を行う。また、設定部706により、貨幣入出金機600の動作モードの設定を行うことができる。
また、制御部700は、出金要求取得部700a、払出制御部700b、個別印字制御部700c、合計印字制御部700d、貨幣抜取検知部700e、払出指示受付部700f及び出金要求加工部700gを有する。これらの処理部は、実施例1に示した出金要求取得部300a、払出制御部300b、個別印字制御部300c、合計印字制御部300d、貨幣抜取検知部300e、払出指示受付部300f及び出金要求加工部300gに対応する処理を行う。このため、貨幣入出金機600は、実施例1と同様に、複数の出金要求情報に基づいて貨幣を断続的に払い出すことができる。
ここで、貨幣入出金機600は左右のテラーで共用されるが、左右のテラーに対してモニタと操作端末はそれぞれ設置されている。このため、貨幣入出金機600は、左右の操作端末から出金要求情報を取得することができる。また、出金処理中には、左右のいずれの操作端末からの指示に基づいて出金を行っているかを表示し、硬貨については対応する側の硬貨出金ボックス652に払い出す。
上述してきたように、本実施例2に係る貨幣処理装置である貨幣入出金機600は、左右のテラーで共用され、実施例1と同様に、複数の出金要求情報に基づいて貨幣を断続的に払い出すことができる。このため、連続して複数の出金取引を行う場合に、人的負担及び人為的なミスを軽減しつつ効率的に出金を行うことができる。
なお、上述の実施例1及び2では説明を省略したが、出金要求情報に基づいて一旦出金した貨幣を貨幣入出金機1,600に戻し、出金処理を取り消すことも可能である。具体的には、戻し入れる対象の貨幣及び個別出金レシートを手元に置いて、支払準備処理のメインメニュー画面で「準備金戻し」ボタンを操作し、個別出金レシートに印字された取引No(主番号+枝番)を入力することで、該当する出金処理に関する情報(出金日時、出金金額等)が操作表示部に表示される。次に、貨幣を投入し、投入金額が出金金額と一致すると、出金処理の取消しが行われる。実施例1及び2に示したように、出金処理と個別出金レシートとが1対1で対応しているので、かかる出金処理の取り消しを容易に行うことができる。また、個別出金レシートにコードを印字し、該コードをリーダで読み取ることで取引Noを特定してもよい。この機能は、例えば6件の出金準備を行ったにも関わらず、受け渡し予定日に5件しか受け渡しを行えなかった場合に、残った1件分の出金貨幣を戻し入れる際に利用される。
また、出金処理中に、残りの金額の合計を一括して出金できるように構成してもよい。例えば、6件の出金要求情報を入力し、4件目まで出金処理が終了した時点で一括出金指示を入力すると、残り2件分の金額が一括で出金される。このように残りの金額分を一括して出金すれば、一括して出金した貨幣を手作業で適正な封筒に入れつつ、貨幣入出金機を他の作業に割り当てることができる。なお、一括出金時には、対応する個別レシートは、出金要求情報毎に分けて印字してもよいし、一括して印字するようにしてもよい。この機能は、支払準備処理中に、操作者に急用が発生した場合や、他の操作者が貨幣入出金機を急いで使用したい状態になったときに有効である。
また、出金要求情報の入力に際し、1回の支払準備処理で入力できる件数の上限や合計金額の上限を設定してもよい。操作性を考慮すると、過大な件数や金額は好ましくないためである。上限を設定した場合には、上限値に近づくと、警告を出力するよう構成することが好適である。この警告には、例えば画面へのポップアップ表示、背景色の切替、警告音などを用いることができる。なお、操作者の権限レベルなどに基づいて、それぞれの上限値を変更することも可能である。
また、出金要求情報の入力時に、入力値と在高情報を比較し、入力値が在高情報を上回ると、警告を出力するように構成してもよい。在高情報としては、合計金額、金種別枚数を用いることができる。
また、出金処理の中断を可能としてもよい。例えば、6件の出金要求情報を入力し、4件目まで出金処理が終了した時点で中断指示を入力すると、残り2件の出金処理に関する情報を記憶した状態で、中断する。このとき、中断された2件の出金処理に関する情報は記憶部に記憶されている。このように中断を可能とすれば、操作者がその場を離れて別の処理を行う、貨幣入出金機を他の操作者が使用する、といった運用が可能になる。中断後は、同一の操作者であることを認証した上で、残りの出金処理が再開可能とすればよい。なお、中断中は、中断中の出金処理があることを示すアイコンを操作画面(待機画面、等)に表示してもよい。アイコンをクリックすれば、出金処理の再開画面に移行し、操作者の認証を行って出金処理を再可能とすることが好適である。また、中断ではなく、残りの出金処理を取止めることができるように構成してよい。
また、出金処理の途中でエラーが発生した場合には、実行中の出金処理1件分をエラーとして処理し、当該出金処理を再出金した後、続きの出金処理を実行することが好適である。
また、上述した個別出金レシートと合計出金レシートの双方を印字することは必須ではなく、いずれかのみを印字するモードや、レシートの印字を行わないモードを選択可能としてもよい。
また、1つの出金要求情報において、100枚以上の紙幣あるいは50枚以上の硬貨を出金する場合は、束紙幣あるいは包装硬貨を出金することとしてもよい。
また、上述の実施例1及び実施例2では、金融機関に設置された貨幣入出金機が支払い準備処理を行う場合を例示して説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、各種の貨幣処理装置に適用可能であり、連続して複数の出金取引を行う場合に適用できる。また、紙幣のみを取り扱う装置や、硬貨のみを取り扱う装置に適用することもできる。
また、上述の各実施例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成であることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。