実施の形態
《構成》
以下、本発明に係る紙葉類処理装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、図1乃至図4は本発明の実施の形態を説明するための図である。
本実施の形態では紙葉類処理装置の一例として紙幣処理装置500を用いて以下説明するが、これに限られることはないことには留意が必要である。すなわち、本実施の形態の紙葉類処理装置は、紙幣、商品券、小切手、バーコードチケット等の紙葉類を処理することができるものであればよく、特に紙幣のみを処理する紙幣処理装置500に限られるものではない。
図1に示すように、本実施の形態の紙幣処理装置500は、バラ紙幣を収納するバラ紙幣処理装置100と、例えば100枚の紙幣を帯封紙によって結束することで束紙幣を生成する束紙幣処理装置200とを備えている。図1に示すように、バラ紙幣処理装置100と束紙幣処理装置200とは左右に並ぶよう配置されており、図2のバラ紙幣処理装置100で示されたアーム部210と、束紙幣処理装置200で示されたアーム部210とが左右方向で重なるようにして配置されている。
[バラ紙幣処理装置100]
まず、バラ紙幣処理装置100について説明する。
図1に示すように、バラ紙幣処理装置100は筐体102を有しており、この筐体102には、外部から筐体102内に紙幣を投入するための紙幣投入部110と、後述する金種別紙幣収納部(特許請求の範囲の「バラ収納部」に対応する。)142から繰り出された紙幣を筐体102内から外部に出金するためのバラ紙幣出金部(特許請求の範囲の「バラ出金部」に対応する。)152がそれぞれ設けられている。また、図2(a)に示すように、紙幣投入部110には紙幣繰出部112が設けられており、外部から紙幣投入部110に投入された紙幣は紙幣繰出部112により1枚ずつ筐体102内に繰り出されるようになっている。また、紙幣繰出部112には入金搬送部114が連結されており、紙幣繰出部112により筐体102内に繰り出された紙幣は入金搬送部114により1枚ずつ搬送されるようになっている。入金搬送部114には入金識別部116が設けられており、入金搬送部114により搬送される紙幣は入金識別部116によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別されるようになっている。また、紙幣の搬送方向における入金識別部116の下流側には表裏反転部118が設けられており、入金識別部116により識別された紙幣は表裏反転部118によりその表裏が整えられるようになっている。一例を示すならば、表裏反転部118に送られた紙幣のうち、裏面が上側となっている紙幣のみの表裏が反転されることにより、この表裏反転部118から出された紙幣は全て表面(おもてめん)が上側となるようになる。また、入金搬送部114には入金リジェクト部120が連結されており、入金識別部116により正常な紙幣ではないと識別された紙幣や識別することができなかった紙幣はリジェクト紙幣として入金搬送部114から入金リジェクト部120に送られるようになっている。入金リジェクト部120はバラ紙幣処理装置100の筐体102の外部からアクセス可能となっており、操作者はこの入金リジェクト部120に集積されたリジェクト紙幣を取り出すことができるようになっている。
また、入金搬送部114には1つの一括一時保留部130と、複数(本実施の形態では4つ)の金種別一時保留部132とがそれぞれ連結されている。入金搬送部114から一括一時保留部130や各金種別一時保留部132に搬送された紙幣は、これらの一括一時保留部130や各金種別一時保留部132において積層状態で集積されることにより一時的に保留されるようになっている。なお、一括一時保留部130には複数の金種の紙幣が混合状態で一時的に保留されるようになっており、また、各金種別一時保留部132にはそれぞれ特定の金種の紙幣が一時的に保留されるようになっている。また、一括一時保留部130の下方には当該一括一時保留部130に対応して、混合状態のバラ紙幣を集積して収納する1つの一括紙幣収納部140が設けられている。また、各金種別一時保留部132の下方には各金種別一時保留部132に対応して、特定の金種からなるバラ紙幣を集積して収納する金種別紙幣収納部142が設けられている。
一括紙幣収納部140及び各金種別紙幣収納部142にはそれぞれ紙幣繰出部144が設けられており、これらの一括紙幣収納部140及び各金種別紙幣収納部142から紙幣が1枚ずつ紙幣繰出部144により後述する下部搬送部146に繰り出されるようになっている。
また、図2(a)に示すように、各紙幣繰出部144には下部搬送部146が連結されており、各紙幣繰出部144により一括紙幣収納部140や各金種別紙幣収納部142から繰り出された紙幣は下部搬送部146により1枚ずつ搬送されるようになっている。ここで、下部搬送部146には出金識別部148が設けられており、下部搬送部146により搬送される紙幣は出金識別部148によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別されるようになっている。また、下部搬送部146には出金搬送部150が連結されており、下部搬送部146で搬送された紙幣は出金搬送部150により1枚ずつ引き続き搬送されるようになっている。
図2(a)に示すように、出金搬送部150にはバラ紙幣出金部152、出金リジェクト部154、2つの整理一時保留部(特許請求の範囲の「一時保留部」に対応する。)160がそれぞれ連結されており、出金識別部148により識別された紙幣のうち、筐体102の外部に投出されるべき紙幣は出金搬送部150によりバラ紙幣出金部152に送られてこのバラ紙幣出金部152に集積されるようになっている。バラ紙幣出金部152はバラ紙幣処理装置100の筐体102の外部からアクセス可能となっており(図1参照)、操作者はこのバラ紙幣出金部152に集積されたバラ紙幣を取り出すことができるようになっている。なお、バラ紙幣出金部152は開閉自在のシャッター152aを有している。ちなみに、上述した紙幣投入部110も開閉自在のシャッター110aを有しているが、紙幣投入部110には当該シャッター110aが設けられていなくてもよい。
また、出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣や識別することができなかった紙幣はリジェクト紙幣として出金搬送部150により出金リジェクト部154に送られるようになっている(図2(a)参照)。なお、出金リジェクト部154に集積されたリジェクト紙幣を取り出すためには、操作者はバラ紙幣処理装置100の筐体102に設けられた扉(図示せず)を開いて出金リジェクト部154内のリジェクト紙幣を取り出すこととなる。
また、出金識別部148により識別された紙幣のうち、束紙幣処理装置200により帯封されるべき紙幣は出金搬送部150により整理一時保留部160に送られるようになっている。各整理一時保留部160では、出金搬送部150から送られた紙幣が積層状態で集積されるようになっている。なお、本実施の形態では、出金識別部148により識別された紙幣を出金搬送部150により表裏反転部118に送ることができるようになっており、この表裏反転部118で表裏を反転させた後で整理一時保留部160に送ることもできるようになっている。
図2(a)に示すように、入金搬送部114や出金搬送部150における分岐箇所には分岐部材170がそれぞれ設けられており、これらの分岐部材170により分岐箇所における紙幣の搬送先が決められるようになっている。また、入金搬送部114、下部搬送部146及び出金搬送部150の各々には紙幣の検出を行う紙幣検出センサ180が複数設けられている。また、本実施の形態では、出金搬送部150における、出金識別部148と各整理一時保留部160との間には、紙幣厚さ検知センサ182及び半券検知センサ184がそれぞれ設けられている。また、半券検知センサ184は、出金搬送部150のうちバラ紙幣出金部152への入口部分にも設けられている。
また、図2(a)に示すように、本実施の形態のバラ紙幣処理装置100は、一括一時保留部130及び4つの金種別一時保留部132を含む中間ブロック300を備えており、この中間ブロック300はバラ紙幣処理装置100の筐体102から図2(a)における左方向(筐体102の前面側)に引き出し可能となっている。なお、この中間ブロック300は筐体102から完全に取り外すことはできず、一括一時保留部130や各金種別一時保留部132が外部に露出すると中間ブロック300を筐体102からこれ以上引き出すことができないようになっている。また、バラ紙幣処理装置100は、一括紙幣収納部140、各金種別紙幣収納部142、下部搬送部146、出金識別部148等を含む収納ブロック350を備えている。また、中間ブロック300や収納ブロック350の上方には、紙幣投入部110、入金識別部116、表裏反転部118、入金リジェクト部120、バラ紙幣出金部152、出金リジェクト部154、整理一時保留部160等を含む上部ブロック360が設けられている。
[束紙幣処理装置200]
次に、束紙幣処理装置200について説明する。
図2(b)に示すように、束紙幣処理装置200は筐体202を有している。バラ紙幣処理装置100の筐体102及び束紙幣処理装置200の筐体202内には、これらの筐体102,202内で移動可能なアーム部210が設けられている。また、束紙幣処理装置200の筐体202内には、アーム部210により整理一時保留部160から取り出された紙幣を結束するための帯封部212が設けられている。また、帯封部212の近傍にはテープセット部214が設けられており、このテープセット部214から帯封紙が帯封部212に送られることによって、帯封部212において例えば100枚の紙幣が帯封紙によって巻かれるようになっている。なお、帯封部212はヒータ213を有しており、このヒータ213は、例えば100枚の紙幣を巻いた帯封紙の一部を加熱して圧着することで、当該紙幣を結束することとなる。帯封部212には束紙幣搬送部216が連結されており、帯封部212により生成された束紙幣は束紙幣搬送部216により束紙幣出金部218に搬送されるようになっている。束紙幣出金部218は束紙幣処理装置200の筐体202の外部からアクセス可能となっており(図1参照)、操作者はこの束紙幣出金部218に送られた束紙幣を取り出すことができるようになっている。
また、図2(b)に示すように、束紙幣処理装置200は、束紙幣を前後方向(図2(b)の左右方向)で搬送する束紙幣収納出金用搬送部220と、束紙幣を上下方向で搬送するリフト部224とを有している。束紙幣収納出金用搬送部220には束紙幣判別部222が設けられており、この束紙幣判別部222は、束紙幣収納出金用搬送部220で搬送される束紙幣の金種等の判別を行うようになっている。なお、図2(b)ではリフト部224が筐体202内の下方に位置づけられているように示されているが、これは図面を簡略化しているためであり、実際にはリフト部224は、筐体202内の下方から上方まで移動自在となっている。そして、リフト部224は、束紙幣収納出金用搬送部220によって前面側まで搬送された束紙幣に下面から当接し、束紙幣出金部218の開口218bまで当該束紙幣を搬送できるようになっている。なお、束紙幣収納出金用搬送部220の前面側の部分は上方に揺動可能となっており、リフト部224が束紙幣収納出金用搬送部220よりも上方に移動する際には、当該前面側の部分が上方に揺動し、リフト部224の上方への移動に対して干渉しないようになっている。ちなみに、図1に示すように、束紙幣出金部218の開口218bには開閉自在なシャッター218aが設けられている。
また、図2(b)に示すように、束紙幣収納出金用搬送部220の下方には複数(本実施の形態では5つ)の束紙幣収納部230が設けられており、帯封部212により生成された束紙幣のうち、束紙幣出金部218から筐体202の外部に投出されない束紙幣は束紙幣収納出金用搬送部220により束紙幣収納部230内に収納されるようになっている。なお、一例としては、最も前面側(図2(b)の左側)に位置する束紙幣収納部230は一時的に束紙幣を保留するためのものであり、前面側から2番目に位置する束紙幣収納部230は1万円の束紙幣を収納するためのものであり、前面側から3番目に位置する束紙幣収納部230は千円の束紙幣を収納するためのものであり、前面側から4番目及び5番目に位置する束紙幣収納部230は適宜選択した金種の束紙幣を収納するためのものとなっている。ちなみに、本実施の形態の束紙幣収納部230の各々は筐体202に対して着脱自在となっており、束紙幣収納部230を筐体202に対してロックするロック部(図示せず)を解除することで筐体202から取り外すことができるようになっている。
また、各束紙幣収納部230はカセット駆動部232を有しており、これらのカセット駆動部232により、各束紙幣収納部230に収納された束紙幣が束紙幣収納出金用搬送部220に繰り出されるようになっている。各束紙幣収納部230から束紙幣収納出金用搬送部220に繰り出された束紙幣は束紙幣収納出金用搬送部220によって前面側に搬送される。そして、束紙幣収納出金用搬送部220の前面側まで搬送された束紙幣はリフト部224により図2(b)における上下方向に搬送可能となっている。そして、リフト部224によって上方に移動された束紙幣は束紙幣出金部218の開口218bから筐体202の外部に取り出し可能となる。また、筐体202の前面側下方には回収用の開口225bを含む回収部225が設けられており、リフト部224によって下方に搬送された束紙幣はこの開口225bから筐体202の外部に投出可能となっている。なお、図1に示すように、回収用の開口225bには開閉自在なシャッター225aが設けられている。
ちなみに、金種別紙幣収納部142から紙幣を繰り出して束紙幣を生成する際の動作の一例は以下のようになっている。
紙幣処理装置500が待機状態となっているときに、操作者が束紙幣作成処理開始の指令及び作成されるべき束紙幣の1又は複数の金種を筐体102,202の前面や上面に設けられたタッチパネルやキーボード等からなる操作部30(図2参照)によって入力すると、当該金種の紙幣が対応する金種別紙幣収納部142から1枚ずつ紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出される。そして、下部搬送部146によって搬送された紙幣は出金識別部148によりその金種、新旧等が識別され(真偽、正損をさらに識別できるようにしてもよい。)、出金識別部148により識別された紙幣は出金搬送部150によって1枚ずつ搬送される。出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣や識別することができなかった紙幣はリジェクト紙幣として出金搬送部150から出金リジェクト部154に送られる。他方、出金識別部148により正常な紙幣であると識別された紙幣は出金搬送部150により各整理一時保留部160に送られる。整理一時保留部160では、出金搬送部150から送られた紙幣が積層状態で集積される。そして、束紙幣を構成すべき所定枚数(例えば100枚)の紙幣が整理一時保留部160に集積されると、整理一時保留部160に集積された所定枚数の紙幣は、アーム部210によってこれらの整理一時保留部160から取り出され、束紙幣処理装置200の帯封部212に搬送される。そして、束紙幣処理装置200において、テープセット部214から帯封紙が帯封部212に送られ、ヒータ213によって帯封紙が圧着されることによって、帯封部212において所定枚数の紙幣からなる束紙幣が生成される。
図2に示すように、本実施の形態の紙幣処理装置500には、当該紙幣処理装置500のバラ紙幣処理装置100及び束紙幣処理装置200の各構成要素の制御を行う制御部10が設けられている。制御部10にはバラ紙幣処理装置100及び束紙幣処理装置200の各構成要素がそれぞれ接続されており、バラ紙幣処理装置100の入金識別部116や出金識別部148による紙幣の識別結果に関する情報や、紙幣検出センサ180、紙幣厚さ検知センサ182、半券検知センサ184による紙幣の検知結果に関する情報や、束紙幣判別部222による束紙幣の金種等の判別結果に関する情報等が制御部10に送られるようになっている。また、制御部10は、バラ紙幣処理装置100及び束紙幣処理装置200の各構成要素に指令信号を送ることによりこれらの構成要素の制御を行うようになっている。
本実施の形態の紙幣処理装置500は、束紙幣に関する処理を行う複数の処理ブロックを備えている。図3に示すように、処理ブロックのうちの一つは、所定枚数の紙幣を結束して束紙幣を生成する帯封ブロック410であり、処理ブロックのうちの別の一つは、束紙幣を出金する出金ブロック420であり、処理ブロックのうちのさらに別の一つは、束紙幣を収納するとともに束紙幣を出金ブロック420に繰り出す収納繰出ブロック430である。
より具体的には、図4に示すように、帯封ブロック410は、上述した構成要素のうち、帯封されるべき紙幣を一時的に積層状態で集積する整理一時保留部160と、整理一時保留部160に集積された紙幣を取り出すためのアーム部210と、アーム部210により取り出された紙幣を結束するための帯封部212と、帯封紙を帯封部212に送るテープセット部214と、帯封部212により生成された束紙幣を束紙幣出金部218に搬送する束紙幣搬送部216とを含んでいる。なお、本実施の形態では、バラ紙幣処理装置100に含まれる整理一時保留部160と、バラ紙幣処理装置100及び束紙幣処理装置200の両方に含まれるアーム部210も帯封ブロック410に含まれていることには留意が必要である。
また、出金ブロック420は、上述した構成要素のうち、筐体202内で束紙幣を上下方向に搬送するリフト部224と、リフト部224によって上方に移動された束紙幣や束紙幣搬送部216によって搬送された束紙幣を筐体202の外部からアクセス可能とする束紙幣出金部218と、リフト部224によって下方に移動された束紙幣を外部に投出する回収部225とを含んでいる(図4参照)。
また、収納繰出ブロック430は、束紙幣を収納する束紙幣収納部230と、束紙幣を束紙幣収納部230の後面側(図2(b)の右側)に搬送したり束紙幣収納部230から繰り出された束紙幣を束紙幣収納部230の前面側(図2(b)の左側)に搬送したりする束紙幣収納出金用搬送部220とを含んでいる(図4参照)。
本実施の形態の制御部10は、所定条件において、いずれかの処理ブロックにおける束紙幣に関する処理を停止させるが、残りの処理ブロックでは束紙幣に関する処理を行うよう紙幣処理装置500を制御する。より具体的には、制御部10は、所定条件において、帯封ブロック410、出金ブロック420及び収納繰出ブロック430のいずれか一つ以上の処理ブロックにおける束紙幣に関する処理を停止させるが、残りの処理ブロックでは束紙幣に関する処理を行うよう紙幣処理装置500を制御する。
なお、処理ブロックにおける束紙幣に関する処理を停止させる際には、各処理ブロックに含まれる構成要素を一つ以上停止させることとなる。すなわち、帯封ブロック410における束紙幣に関する処理を停止させる際には、制御部10は、帯封ブロック410に含まれる整理一時保留部160、アーム部210、帯封部212、テープセット部214及び束紙幣搬送部216のいずれか1つ以上における処理を停止させる。また、出金ブロック420における束紙幣に関する処理を停止させる際には、制御部10は、出金ブロック420に含まれるリフト部224、シャッター218aを含む束紙幣出金部218及びシャッター225aを含む回収部225のいずれか1つ以上における処理を停止させる。また、収納繰出ブロック430における束紙幣に関する処理を停止させる際には、制御部10は、カセット駆動部232を含む束紙幣収納部230及び束紙幣収納出金用搬送部220のいずれか1つ以上における処理を停止させる。
また、「所定条件」の一例としては、処理ブロックのいずれかで故障等の不具合が発生したときを挙げることができる。このように処理ブロックのいずれかで不具合が発生した場合には、制御部10は、当該処理ブロックにおける束紙幣に関する処理を停止させるが、残りの処理ブロックでは束紙幣に関する処理を行うよう紙幣処理装置500を制御する。
具体的な例を示すと、仮に整理一時保留部160で不具合が発生したときには、制御部10は、帯封ブロック410内で束紙幣を生成する処理を停止させるようになっている。すなわち、紙幣を整理一時保留部160内に集積している途中で不具合が発生した場合等には、当該整理一時保留部160から所定枚数の紙幣をアーム部210によって搬送して束紙幣を生成することができないので、アーム部210、帯封部212、テープセット部214及び束紙幣搬送部216のいずれか1つ以上の駆動を停止させ、紙幣処理装置500を縮退運転する。なお、このような場合であっても、別の整理一時保留部160で対象となっている金種の紙幣を集積させることができる場合には、当該別の整理一時保留部160から所定枚数の紙幣をアーム部210によって搬送して束紙幣を生成することができ、上述のような縮退運転を行う必要はない。ちなみに縮退運転を行って駆動を停止させるというのは、停止されている部材に対して制御部10から制御信号が送信されないようになっている状態のことを意味している。
また、本実施の形態の紙幣処理装置500は、様々な情報を表示する表示部20と、様々な音声を発するスピーカー25とを有している(図2参照)。そして、帯封ブロック410で束紙幣を生成する処理が停止されている間に、バラ収納部である金種別紙幣収納部142に集積された紙幣の枚数がニアフル状態又はフル状態となって一定枚数以上となったときに、表示部20やスピーカー25等からなる報知部が、帯封ブロック410の停止要因の解除を開始するよう報知するようになってもよい。
また、制御部10は、帯封ブロック410で束紙幣を生成する処理が停止されている間に、バラ収納部である金種別紙幣収納部142に集積された紙幣の枚数がニアフル状態又はフル状態となって一定枚数以上となったときに、少なくとも金種別紙幣収納部142に紙幣を集積させる処理を停止させるようにしてもよい。
また、制御部10は、帯封ブロック410で束紙幣を生成する処理が停止されている間に、バラ収納部である金種別紙幣収納部142に集積された紙幣の枚数がニアフル状態又はフル状態となって一定枚数以上となったときに、当該金種別紙幣収納部142内の紙幣を回収するよう表示部20やスピーカー25等からなる報知部に報知させたりしてもよいし、また、当該金種別紙幣収納部142内の紙幣を自動的に回収させるようにしてもよい。
なお、表示部20は本実施の形態のように操作部30と別体になっていてもよいが、例えばタッチパネル等の部材が表示部20と操作部30の両方の機能を兼ねるようになっていてもよい。ちなみに、図2に示すように、表示部20、スピーカー25及び操作部30の各々は制御部10に接続されており、制御部10は、操作部30から入力された情報を取得し、また、表示部20、スピーカー25及び操作部30の各々に対して指令信号を送信してこれらを制御するようになっている。
処理ブロックの少なくともいずれか一つは危険な要素になりうる監視対象部材を有しており、監視対象部材を有する処理ブロックにおける束紙幣に関する処理が停止されている間であっても、当該監視対象部材の状況を常時検知する検知部が設けられていてもよい。このような態様においては、制御部10は監視対象部材の状況を検知することができなくなったときに、紙幣処理装置500における束紙幣に関する処理を停止させるようにしてもよい。また、監視対象部材を有する処理ブロックにおける束紙幣に関する処理が停止されている間、スイッチを遮断状態にする等、監視対象部材への電力供給を物理的に停止するようにしてもよい。
一例を示すならば、上述した監視対象部材は帯封ブロック410の帯封部212に含まれるヒータ213である。そして、検知部215は帯封ブロック410で束紙幣に関する処理が停止されている間であっても、ヒータ213の状況(例えば温度状況)を常時検知する。そして、制御部10は、ヒ−タ213からのレスポンスが返信されず、ヒータ213の状況を検知することができなくなったときに、又は、ヒータ213が設定温度以上になったときに、紙幣処理装置500における束紙幣に関する処理を停止させる又は紙幣処理装置500自体を停止させるようにしてもよい。また、帯封ブロック410における束紙幣に関する処理が停止されている間、スイッチ(図示せず)を遮断状態にする等してヒータ213への電力供給を物理的に停止するようにしてもよい。なお、本実施の形態の検知部215は通常運転時にもヒータ213の状況(例えば温度状況)を常時検知している。
また、制御部10は、帯封ブロック410(図3参照)で束紙幣を生成する処理が停止されている間、操作部30から指示された金種の束紙幣が、出金するよう指示された束数未満しか束紙幣収納部230に収納されていないときに、不足する束数に対応する枚数の紙幣をバラ状態で、金種別紙幣収納部142から繰り出してバラ紙幣出金部152から出金するよう紙幣処理装置500を制御してもよい。より具体的には、帯封ブロック410で束紙幣を生成する処理が停止されている間、操作部30から指示された金種の束紙幣が、出金するよう指示された束数未満しか束紙幣収納部230に収納されていないときに、不足する束数に対応する枚数(例えば、「不足する束数×100」枚)の紙幣を当該金種を収納した金種別紙幣収納部142から下部搬送部146に繰り出して、下部搬送部146及び出金搬送部150によって当該紙幣を一枚ずつバラ紙幣出金部152まで搬送して当該バラ紙幣出金部152に集積させ、外部からアクセス可能としてもよい。
また、制御部10は、収納繰出ブロック430(図3参照)における束紙幣を出金ブロック420に繰り出す処理が停止されている間、束紙幣を出金するよう指示された場合に、金種別紙幣収納部142から繰り出された所定枚数(例えば100枚)の紙幣を帯封ブロック410で結束して束紙幣を生成し、出金ブロック420から当該束紙幣を出金するよう紙幣処理装置500を制御してもよい。より具体的には、金種別紙幣収納部142から例えば100枚の紙幣を繰り出して整理一時保留部160に一時的に保留する。そして、アーム部210で当該100枚の紙幣を整理一時保留部160から帯封部212に搬送して、帯封部212においてテープセット部214から送られた帯封紙で当該100枚の紙幣を結束することで束紙幣を生成する。そして、このようにして生成された束紙幣を束紙幣搬送部216によって束紙幣出金部218に搬送し、シャッター218aを開けて筐体202の外部からアクセス可能とする。
制御部10は、収納繰出ブロック430(図3参照)における束紙幣を出金ブロック420に繰り出す処理が停止されている間において、バラ収納部である金種別紙幣収納部142内に収納されている紙幣の枚数が出金するよう指示された束数に対応する枚数未満のときには、表示部20やスピーカー25等からなる報知部にその旨を報知させるとともに束紙幣葉類の出金を停止してもよいし、また、不足する枚数の紙幣を機内に装填するよう表示部20やスピーカー25等からなる報知部にその旨を報知させてもよい。
なお、帯封ブロック410に単独で故障等の不具合が発生した場合には、当該帯封ブロック410の駆動を停止させ、バラ紙幣処理装置100と、束紙幣処理装置200の出金ブロック420及び収納繰出ブロック430を駆動する縮退運転に自動で切り替わってもよい(図3参照)。ちなみに、帯封ブロック410の駆動が停止されている場合でも、ヒータ213の温度等を検知する検知部215は継続して駆動されていてもよい。
また、収納繰出ブロック430に単独で故障等の不具合が発生した場合には、当該収納繰出ブロック430の駆動を停止させ、バラ紙幣処理装置100と、帯封ブロック410及び出金ブロック420を駆動する縮退運転に自動で切り替わってもよい(図3参照)。
なお、出金ブロック420に故障等の不具合が発生した場合には、束紙幣を外部からアクセス可能な状態としたり外部に束紙幣を投出したりすることができないことから、束紙幣処理装置200全体の駆動を停止し、バラ紙幣処理装置100のみを駆動する縮退運転に自動で切り替わってもよい。
次に、帯封ブロック410の駆動を停止させても行うことができる処理について、具体例を列挙する。
第一に、束紙幣出金処理を挙げることができる。この処理では、まず、束紙幣収納部230が束紙幣を束紙幣収納出金用搬送部220に繰り出し、当該束紙幣収納出金用搬送部220が前面側(図3の左側)に向かって当該束紙幣を搬送する。この際、束紙幣判別部222による束紙幣の金種等の判別が行われるとともに、束紙幣の束数が計数される。そして、束紙幣収納出金用搬送部220の前面側まで束紙幣が搬送されると、当該束紙幣はリフト部224によって上方に移動され、シャッター218a(図1参照)が開けられた開口218bを介して外部からアクセス可能となる。
第二に、束紙幣自動精査処理を挙げることができる。この処理では、ある束紙幣収納部230から全ての束紙幣を束紙幣収納出金用搬送部220に繰り出し、当該束紙幣収納出金用搬送部220が前面側(図3の左側)に向かって各束紙幣を搬送する。この際、束紙幣判別部222による各束紙幣の金種等の判別が行われるとともに、束紙幣の束数が計数される。このようにして束紙幣収納出金用搬送部220の前面側まで搬送された束紙幣はリフト部224の上方で積み重なって一時的に保留される。なおこの際、リフト部224は徐々に下方に移動し、束紙幣収納出金用搬送部220によって搬送された束紙幣は順次積み重なっていく。そして、対象となっている束紙幣収納部230から全ての束紙幣が繰り出されて束紙幣判別部222による金種等の判別が終了すると、リフト部224の上方で積み重なった束紙幣が束紙幣収納出金用搬送部220に順次戻され、束紙幣収納出金用搬送部220の後面側(図3の右側)に向かって搬送されて、元の束紙幣収納部230に戻される。なお、束紙幣収納出金用搬送部220が前面側(図3の左側)に向かって各束紙幣を搬送する際に束紙幣判別部222が各束紙幣の金種等の判別を行う代わりに又は当該判別に加えて、束紙幣収納出金用搬送部220が後面側(図3の右側)に向かって各束紙幣を搬送する際に束紙幣判別部222が各束紙幣の金種等の判別を行ってもよい。
第三に、束紙幣回収処理を挙げることができる。この処理では、ある束紙幣収納部230から回収対象となる束紙幣を束紙幣収納出金用搬送部220に繰り出し、当該束紙幣収納出金用搬送部220が前面側(図3の左側)に向かって各束紙幣を搬送する。この際、束紙幣判別部222による各束紙幣の金種等の判別が行われるとともに、束紙幣の束数が計数される。このようにして束紙幣収納出金用搬送部220の前面側まで搬送された束紙幣はリフト部224の上方で積み重なっていく。なおこの際、リフト部224は徐々に下方に移動し、束紙幣収納出金用搬送部220によって搬送された束紙幣は順次積み重なっていく。最終的には、リフト部224によって束紙幣が下方に移動されてシャッター225aが開けられた回収用の開口225bからこれらの束紙幣が投出されることとなる。
第四に、束紙幣機外装填処理及びリジェクト束戻し処理を挙げることができる。この処理では、操作者が束紙幣出金部218の開口218bを介して束紙幣を筐体202内のリフト部224上に載置する。その後、リフト部224が下方に移動して束紙幣収納出金用搬送部220まで達し、リフト部224から束紙幣収納出金用搬送部220上に束紙幣が移動され、当該束紙幣が束紙幣収納出金用搬送部220で後面側(図3の右側)に向かって搬送されることとなる。この際、束紙幣判別部222による各束紙幣の金種等の判別が行われる。そして、束紙幣判別部222による判別結果に基づいて、収納されるべき束紙幣収納部230に当該束紙幣が収納されることとなる。なお、束紙幣機外装填処理では機内在高が増加するのに対して、リジェクト束戻し処理は本来収納されているべき束紙幣を機内に戻す処理であることから機内在高の増加がなく、この点で両者は異なっている。
第五に、束紙幣装填処理を挙げることができる。この処理では、一時的に束紙幣を収容している束紙幣収納部230(例えば最も前面側に位置する束紙幣収納部230)から全ての束紙幣を束紙幣収納出金用搬送部220に繰り出し、当該束紙幣収納出金用搬送部220が前面側(図3の左側)に向かって各束紙幣を搬送する。この際、束紙幣判別部222による各束紙幣の金種等の判別が行われるとともに、束紙幣の束数が計数される。このようにして束紙幣収納出金用搬送部220の前面側まで搬送された束紙幣はリフト部224の上方で積み重なって一時的に保留される。なおこの際、リフト部224は徐々に下方に移動し、束紙幣収納出金用搬送部220によって搬送された束紙幣は順次積み重なっていく。そして、一時的に束紙幣を収容している束紙幣収納部230から全ての束紙幣が繰り出されて束紙幣判別部222による金種等の判別が終了すると、リフト部224の上方で積み重なった束紙幣が束紙幣収納出金用搬送部220に順次戻され、束紙幣収納出金用搬送部220の後面側(図3の右側)に向かって搬送され、束紙幣判別部222による判別結果に基づいて、収納されるべき束紙幣収納部230に収納されることとなる。ちなみに、束紙幣収納出金用搬送部220が前面側(図3の左側)に向かって各束紙幣を搬送する際に束紙幣判別部222が各束紙幣の金種等の判別を行う代わりに又は当該判別に加えて、束紙幣収納出金用搬送部220が後面側(図3の右側)に向かって各束紙幣を搬送する際に束紙幣判別部222が各束紙幣の金種等の判別を行ってもよい。なお一例として、一時的に束紙幣を収容している束紙幣収納部230に予め一定の量の束紙幣を装填したうえで、当該束紙幣収納部230を筐体202に取り付けてやることもできる。
次に、収納繰出ブロック430の駆動を停止させても行うことができる処理について、具体例を列挙する。
既に述べた処理ではあるが、第一に、結束出金処理及び結束回収処理を挙げることができる。この処理では、対象となっている金種の紙幣を収納した金種別紙幣収納部142から所定枚数(例えば100枚)の紙幣を繰り出して整理一時保留部160まで搬送する。そして、このように整理一時保留部160内に集積された所定枚数の紙幣をアーム部210で挟持して、当該整理一時保留部160から帯封部212に搬送する。その後で、帯封部212において束紙幣を生成し、このようにして生成された束紙幣を束紙幣搬送部216によって束紙幣出金部218に搬送し、筐体202の外部からアクセス可能とするか(結束出金処理)、リフト部224で下方まで搬送して回収用の開口225bから筐体202の外部に投出する(結束回収処理)。なお一括紙幣収納部140に損券等が収納されている場合には、損券結束出金処理又は損券結束回収処理を行うこともできる。この処理では、損券等を収納した一括紙幣収納部140から所定枚数(例えば100枚)の紙幣を繰り出して整理一時保留部160まで搬送する。そして、このように整理一時保留部160内に集積された所定枚数の紙幣をアーム部210で挟持して、当該整理一時保留部160から帯封部212に搬送する。その後で、帯封部212において束紙幣を生成し、このようにして生成された束紙幣を束紙幣搬送部216によって束紙幣出金部218に搬送し、筐体202の外部からアクセス可能とするか(損券結束出金処理)、リフト部224で下方まで搬送して回収用の開口225bから筐体202の外部に投出する(損券結束回収処理)。
第二に、整理出金処理及び整理回収処理を挙げることができる。この処理では、操作者が紙幣投入部110から所定枚数(例えば100枚)のバラ紙幣を投入すると、投入された所定枚数のバラ紙幣が整理一時保留部160まで搬送される。そして、このように整理一時保留部160内に集積された所定枚数の紙幣をアーム部210で挟持して、当該整理一時保留部160から帯封部212に搬送する。その後で、帯封部212において束紙幣を生成し、このようにして生成された束紙幣を束紙幣搬送部216によって束紙幣出金部218に搬送し、筐体202の外部からアクセス可能とするか(整理出金処理)、リフト部224で下方まで搬送して回収用の開口225bから筐体202の外部に投出する(整理回収処理)。
上述したように、帯封ブロック410に単独で故障等の不具合が発生した場合には、バラ紙幣処理装置100と、束紙幣処理装置200の出金ブロック420及び収納繰出ブロック430を駆動する縮退運転を行い、収納繰出ブロック430に単独で故障等の不具合が発生した場合には、当該収納繰出ブロック430の駆動を停止させ、バラ紙幣処理装置100と、帯封ブロック410及び出金ブロック420を駆動する縮退運転を行い、出金ブロック420に故障等の不具合が発生した場合には、束紙幣処理装置200全体の駆動が停止され、バラ紙幣処理装置100のみを駆動する縮退運転を行うようにすることができるが、バラ紙幣処理装置100を利用した動作の例としては以下のような、入金処理、出金処理、精査処理等を挙げることができる。
まず、紙幣処理装置500のバラ紙幣処理装置100において入金処理を行う際の動作について図2(a)を用いて説明する。紙幣処理装置500が待機状態となっているときに、紙幣投入部110にバラ紙幣を投入するとともに、操作者が入金処理開始の指令を操作部30から入力すると、紙幣投入部110に投入された紙幣は紙幣繰出部112により1枚ずつ筐体102内に繰り出され、入金搬送部114により搬送される。そして、入金搬送部114により搬送される紙幣は入金識別部116によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別される。入金識別部116により識別された紙幣は表裏反転部118によりその表裏が整えられる。また、入金識別部116により正常な紙幣ではないと識別された紙幣や識別することができなかった紙幣はリジェクト紙幣として入金搬送部114から入金リジェクト部120に送られる。他方、入金識別部116により正常な紙幣であると識別された紙幣は、入金搬送部114により一括一時保留部130又は各金種別一時保留部132に送られ、これらの一時保留部で一時的に保留されるようになる。具体的には、入金識別部116により正常な紙幣であると識別された紙幣は、対応する金種の金種別一時保留部132に送られるが、この対応する金種の金種別紙幣収納部142がフル状態である場合には、当該紙幣は一括一時保留部130に送られるようになる。そして、紙幣投入部110に投入された紙幣が全て筐体102内に繰り出され、入金リジェクト部120、一括一時保留部130又は各金種別一時保留部132に送られると、操作者に対して入金確定の指令を促すメッセージが表示部20に表示される。このとき、操作者が操作部30から入金確定の指令を入力すると、一括一時保留部130や各金種別一時保留部132に一時的に保留されている紙幣が、対応する一括紙幣収納部140や各金種別紙幣収納部142に送られ、これらの紙幣収納部に収納されるようになる。このようにして、紙幣処理装置500のバラ紙幣処理装置100における入金処理に係る一連の動作が完了する。
次に、紙幣処理装置500のバラ紙幣処理装置100によりバラ紙幣の出金処理を行う際の動作について説明する。紙幣処理装置500が待機状態となっているときに、操作者が出金処理開始の指令及び出金すべき紙幣の金種毎の枚数や合計金額等を操作部30から入力すると、出金すべき金種の紙幣が各金種別紙幣収納部142から1枚ずつ紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出される。そして、下部搬送部146により搬送される紙幣は出金識別部148によりその金種、新旧等が識別され、出金識別部148により識別された紙幣は出金搬送部150により1枚ずつ搬送される。出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣や識別することができなかった紙幣はリジェクト紙幣として出金搬送部150から出金リジェクト部154に送られる。他方、出金識別部148により正常な紙幣であると識別された紙幣は出金搬送部150によりバラ紙幣投出部152に送られ、このバラ紙幣投出部152に集積される。なお、バラ紙幣投出部152はシャッター152aを開けることで外部からアクセス可能となっている。このようにして、紙幣処理装置500のバラ紙幣処理装置100における出金処理に係る一連の動作が完了する。
次に、紙幣処理装置500のバラ紙幣処理装置100により精査処理を行う際の動作について説明する。紙幣処理装置500が待機状態となっているときに、操作者が精査処理開始の指令を操作部30から入力したり、金融機関や店舗等の営業時間外の予め設定された時刻になったりすると、収納部140,142に収納された紙幣が、当該収納部140,142から1枚ずつ紙幣繰出部144により下部搬送部146に繰り出される。そして、下部搬送部146により搬送される紙幣は出金識別部148により識別及び計数が行われる。ここで、出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣や識別することができなかった紙幣はリジェクト紙幣として出金搬送部150から出金リジェクト部154に送られる。他方、出金識別部148により正常な紙幣であると識別された紙幣は出金搬送部150から表裏反転部118に送られる。そして、表裏反転部118に送られた紙幣は当該表裏反転部118によりその表裏が整えられた後(なお、紙幣が表裏反転部118を通過するだけで、紙幣の表裏を表裏反転部118が整えない態様を採用してもよい。)、繰り出された収納部140,142に対応する一時保留部130,132に送られて当該一時保留部130,132で一時的に保留される。一時保留部130,132が満杯になると、一旦収納部140,142からの紙幣の繰出しを停止して、一時保留部130,132の紙幣を対応する収納部140,142に戻す。この際、収納部140,142内では、仕切り板(図示せず)により、未だ収納部140,142に残っている紙幣と一時保留部130,132から送られてきた紙幣とが混ざることはないようになっている。一時保留部130,132内の紙幣が収納部140,142に送られて一時保留部130,132内が空になると、収納部140,142からの紙幣の繰出しを再開し、精査処理を開始した時点で収納部140,142内に集積されていた全ての紙幣が収納部140,142から繰り出されるまでこの動作を繰り返す。
《効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態によって達成される効果であって、まだ述べていない効果又はとりわけ重要な効果について説明する。
本実施の形態によれば、制御部10が、所定条件において、いずれかの処理ブロックにおける束紙幣に関する処理を停止させるが、残りの処理ブロックでは束紙幣に関する処理を行うよう紙幣処理装置500を制御する。このため、束紙幣の処理に関して縮退運転を行うことができる。
より具体的には、本実施の形態では、制御部10が、所定条件において、帯封ブロック410、出金ブロック420及び収納繰出ブロック430のいずれか一つ以上の処理ブロックにおける束紙幣に関する処理を停止させるが、残りの処理ブロックでは束紙幣に関する処理を行うよう紙幣処理装置500を制御する。このため、帯封ブロック410、出金ブロック420及び収納繰出ブロック430のいずれか一つで束紙幣に関する処理が停止されても、残りの処理ブロックでは束紙幣に関する処理を継続して行うことができ、束紙幣の処理に関して縮退運転を行うことができる。つまり、本実施の形態によれば、仮に帯封ブロック410、出金ブロック420及び収納繰出ブロック430のいずれかで処理ができない状態となっても、残りの処理ブロックで束紙幣に関する処理を継続して行うことができることから、紙幣処理装置500を有効に活用できる。
さらに具体的には、本実施の形態では、帯封ブロック410に単独で故障等の不具合が発生した場合に、当該帯封ブロック410の駆動を停止させ、バラ紙幣処理装置100と、束紙幣処理装置200の出金ブロック420及び収納繰出ブロック430を駆動する縮退運転に自動で切り替わる態様を採用することができる。このような態様を採用した場合には、帯封ブロック410に単独で故障等の不具合が発生した場合に自動的に帯封ブロック410を利用しない縮退運転を実現することができる。
また、本実施の形態では、収納繰出ブロック430に単独で故障等の不具合が発生した場合に、当該収納繰出ブロック430の駆動を停止させ、バラ紙幣処理装置100と、帯封ブロック410及び出金ブロック420を駆動する縮退運転に自動で切り替わる態様を採用することもできる。このような態様を採用した場合には、収納繰出ブロック430に単独で故障等の不具合が発生した場合に自動的に収納繰出ブロック430を利用しない縮退運転を実現することができる。
また、本実施の形態では、出金ブロック420に故障等の不具合が発生した場合に、束紙幣処理装置200全体の駆動を停止し、バラ紙幣処理装置100のみを駆動する縮退運転に自動で切り替わる態様を採用することができる。このような態様を採用した場合には、出金ブロック420に故障等の不具合が発生した場合に自動的に束紙幣処理装置200を利用しない縮退運転を実現することができる。
ここで、上記のように、帯封ブロック410、収納繰出ブロック430、出金ブロック420のいずれかに不具合が発生した場合に、不具合が発生した処理ブロックの駆動を停止させ、不具合の発生していない処理ブロックを駆動する縮退運転に自動で切り替わるようになっていてもよいし、縮退運転をするか否かを操作者が選択できるようにしてもよい。
なお、本実施の形態では、バラ紙幣処理装置100に含まれる整理一時保留部160が帯封ブロック410に含まれており(図4参照)、整理一時保留部160に故障等の不具合が発生した場合に、帯封ブロック410内で束紙幣を生成する処理を停止させ、より具体的にはアーム部210、帯封部212、テープセット部214及び束紙幣搬送部216のいずれか1つ以上の駆動を停止させるようになっている。このため、整理一時保留部160に不具合が発生した場合であっても、帯封ブロック410の駆動を停止させ、バラ紙幣処理装置100と、束紙幣処理装置200の出金ブロック420及び収納繰出ブロック430を駆動する縮退運転を行うことができる。なお、本実施の形態では、整理一時保留部160がバラ紙幣処理装置100に含まれる態様を用いて説明しているが、これはあくまでも一例であり、整理一時保留部は束紙幣処理装置200に含まれていてもよい。
ちなみに、本実施の形態における態様では、帯封ブロック410(図3参照)の駆動が停止された状態であっても、上述した、束紙幣出金処理、束紙幣自動精査処理、束紙幣回収処理、束紙幣機外装填処理、リジェクト束戻し処理、束紙幣装填処理等の処理を行うことができる。また、収納繰出ブロック430の駆動が停止された状態であっても、上述した、結束出金処理、結束回収処理、損券結束出金処理、損券結束回収処理、整理出金処理、整理回収処理等の処理を行うことができる。
また、本実施の形態では、帯封ブロック410で束紙幣を生成する処理が停止されている間に、バラ収納部である金種別紙幣収納部142に集積された紙幣の枚数がニアフル状態又はフル状態となって一定枚数以上となったときに、表示部20やスピーカー25等からなる報知部が、帯封ブロック410の停止要因の解除を開始するよう報知する態様を採用することができる。このような態様を採用した場合には、操作者は金種別紙幣収納部142にこれ以上バラ紙幣を集積できなくなる状態が近づいており、帯封ブロック410の停止要因を解除しなければならないことを容易に把握することができる。
また、本実施の形態では、帯封ブロック410で束紙幣を生成する処理が停止されている間に、バラ収納部である金種別紙幣収納部142に集積された紙幣の枚数がニアフル状態又はフル状態となって一定枚数以上となったときに、金種別紙幣収納部142に紙幣を集積させる処理を停止させる態様を採用することもできる。このような態様を採用した場合には、対象となっている金種別紙幣収納部142へ紙幣を集積できない状態となってしまうことを未然に防止することができる。
また、本実施の形態では、帯封ブロック410で束紙幣を生成する処理が停止されている間に、バラ収納部である金種別紙幣収納部142に集積された紙幣の枚数がニアフル状態又はフル状態となって一定枚数以上となったときに、当該金種別紙幣収納部142内の紙幣を回収するよう、表示部20やスピーカー25等からなる報知部が報知するようにしてもよい。この場合には、操作者は、帯封ブロック410で束紙幣を生成する処理が停止されている間に他の処理ブロックでの縮退運転を引き続き行なうには、金種別紙幣収納部142内の紙幣を回収しなければならないことを容易に把握することができる。
また、本実施の形態では、帯封ブロック410で束紙幣を生成する処理が停止されている間に、バラ収納部である金種別紙幣収納部142に集積された紙幣の枚数がニアフル状態又はフル状態となって一定枚数以上となったときに、金種別紙幣収納部142内の紙幣を自動的に回収させるようにしてもよい。このように金種別紙幣収納部142から紙幣を回収して金種別紙幣収納部142内の紙幣を空にすることにより又は少なくすることにより、帯封ブロック410で束紙幣を生成する処理が停止されている間に、他の処理ブロックでの縮退運転を引き続き行なうことが可能になる。なお、回収処理は、金種別紙幣収納部142から下部搬送部146に紙幣を繰出し、出金識別部148及び出金搬送部150を通過した紙幣を、バラ紙幣出金部152へ送って行う。
また、本実施の形態の検知部は、監視対象部材を有する処理ブロックにおける束紙幣に関する処理が停止されている間であっても当該監視対象部材の状況を常時検知する。そして、検知部が監視対象部材の状況を検知することができなくなったときに、制御部10は紙幣処理装置500における束紙幣に関する処理を停止させる。このため、危険な要素になりうる監視対象部材が何ら監視されない状況で、縮退運転が行われることを防止することができる。なお、監視対象部材を有する処理ブロックにおける束紙幣に関する処理が停止されている間、スイッチを遮断状態にする等、監視対象部材への電力供給を物理的に停止する態様を採用する場合には、当該監視対象部材に由来する危険要素を物理的に取り除くことができる。なお、このように監視対象部材への電力供給を物理的に停止する場合には、検知部が監視対象部材の状況を常時検知する必要は必ずしもない。
この態様について、監視対象部材が帯封ブロック410の帯封部212に含まれるヒータ213である場合を例にとって説明する。本実施の形態の検知部215は、ヒータ213を有する帯封ブロック410における束紙幣に関する処理が停止されている間であっても当該ヒータ213の状況を常時検知する。そして、検知部215がヒータ213の状況を検知することができなくなったときに、又は、ヒータ213が設定温度以上になったときに、制御部10は紙幣処理装置500における束紙幣に関する処理を停止させる又は紙幣処理装置500自体を停止させる。このため、危険な要素になりうるヒータ213が何ら監視されない状況で、又は、ヒータ213が設定温度以上になった状態で、縮退運転が行われることを防止することができる。なお、ヒータ213を有する帯封ブロック410における束紙幣に関する処理が停止されている間、スイッチを遮断状態にする等、ヒータ213への電力供給を物理的に停止する態様を採用する場合には、当該ヒータ213に由来する危険要素を物理的に取り除くことができる。なお、このようにヒータ213への電力供給を物理的に停止する場合には、検知部215がヒータ213の状況を常時検知する必要は必ずしもない。
また、本実施の形態の制御部10は、帯封ブロック410(図3参照)で束紙幣を生成する処理が停止されている間、出金するよう指示された束数未満の束紙幣しか収納繰出ブロック430の束紙幣収納部230が収納していないときに、不足する束数に対応する枚数の紙幣をバラ状態で、金種別紙幣収納部142から繰り出してバラ紙幣出金部152から出金するよう紙幣処理装置500を制御する。このため、仮に帯封ブロック410で束紙幣を生成することができない場合であっても、操作者は自己が必要とする量の紙幣を紙幣処理装置500から提供を受けることができる。
また、本実施の形態の制御部10は、収納繰出ブロック430における束紙幣を出金ブロック420に繰り出す処理が停止されている間、束紙幣を出金するよう指示された場合に、金種別紙幣収納部142から繰り出された所定枚数(例えば100枚)の紙幣を帯封ブロック410で結束して束紙幣を生成し、出金ブロック420から当該束紙幣を出金するよう紙幣処理装置500を制御する。このため、仮に収納繰出ブロック430における束紙幣を出金ブロック420に繰り出すことができない場合であっても、操作者は自己が必要とする束数の束紙幣を紙幣処理装置500から提供を受けることができる。
この際、金種別紙幣収納部142内に収納されているバラ紙幣の枚数が出金要求された束数に相当する枚数未満のときには、表示部20やスピーカー25等からなる報知部にその旨を報知させるとともに束紙幣の出金を停止してもよい。この場合には、操作者は、束紙幣の出金が停止されてもその理由を容易に把握することができる。また、このように金種別紙幣収納部142内に収納されているバラ紙幣の枚数が出金要求された束数に相当する枚数未満のときには、不足する枚数の紙幣を機内に装填するよう表示部20やスピーカー25等からなる報知部にその旨を報知させるようにしてもよい。この場合には、操作者は、束紙幣を出金させるには何を行えばよいかを容易に把握することができる。なお、不足する紙幣の装填は、紙幣投入部110から紙幣を投入することで行うか、又は、金種別紙幣収納部142を筐体102から引き出して直接補充することで行えばよい。
最後になったが、上述した各実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。