WO2019244337A1

WO2019244337A1 - 貨幣収納装置及び貨幣収納方法

Info

Publication number: WO2019244337A1
Application number: PCT/JP2018/023801
Authority: WO
Inventors: 清晃小林
Original assignee: グローリー株式会社
Priority date: 2018-06-22
Filing date: 2018-06-22
Publication date: 2019-12-26

Abstract

収納袋に貨幣を収納できない状況において貨幣を適切に処理できるようにする。　貨幣を収納するための袋に前記貨幣を収納できない第一の状態では、前記袋に前記貨幣を収納する収納処理を禁止する縮退運転を行わせる。

Description

貨幣収納装置及び貨幣収納方法

　本発明は、袋の内部に貨幣を収納する貨幣収納装置及び貨幣収納方法に関する。

　従来、装置内に取り込んだ貨幣を収納袋に収納し、この収納袋を貨幣の回収前に密封して、貨幣を収納袋に密封した状態で回収できるようにした貨幣収納装置が使用されている（例えば特許文献１）。

国際公開第２０１６／１３６５１７号

　特許文献１では明記されていないが、このタイプの貨幣収納装置は、収納袋を封止してから新しい収納袋がセットされるまでの間、貨幣処理全般を実行できない状態となる。

　本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、収納袋に貨幣を収納できない状況において貨幣を適切に処理できるようにした貨幣収納装置及び貨幣収納方法を提供することを目的とする。

　上記目的を達成するために、本発明の貨幣収納装置は、貨幣を収納するための袋が取り付けられる取付部と、前記袋に前記貨幣を収納できない第一の状態では、前記袋に前記貨幣を収納する収納処理を禁止する縮退運転を行わせる制御部と、を備える。

　上記目的を達成するために、本発明の貨幣収納方法は、袋に貨幣を収納できない第一の状態であるか否かを判定するステップと、前記第一の状態では、前記収納処理を禁止する縮退運転を行うステップと、を含む。

　本発明によれば、収納袋に貨幣を収納できない状況において貨幣を適切に処理できる。

一実施形態に係る紙幣収納装置の模式図。収納繰出部の構成を示す模式図。紙幣収納機構の左側面図。図１のＸ部の鉛直方向断面図。紙幣収納装置の制御系の構成を示す機能ブロック図。一実施形態に係る貨幣収納方法の制御フローを示すフローチャート。

　以下、本発明の実施の形態に係る貨幣収納装置について、図面を参照しながら説明する。以下に示す各実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除するものではない。また、以下の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。さらに、本実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。

　なお、実施の形態を説明するための全図において、同一要素は原則として同一の符号を付し、その説明を省略することもある。

［１．構成］
　以下、本発明に係る貨幣収納装置の一形態として、貨幣の内、紙幣の収納を行う紙幣収納装置について説明する。

　図１は、一実施形態に係る紙幣収納装置１０の模式図である。紙幣収納装置１０は、概してスーパーマーケット及び銀行等の店舗のフロントオフィス領域又はバックオフィス領域に配置されるものである。紙幣収納装置１０は、紙幣の入金処理等の様々な処理を行うことができるように構成されている。以下の説明では、紙幣処理装置１０の操作表示部８２の配置された側を前とし、その反対側を後とし、前後方向と直交する水平方向を幅方向とする。また、前から後に向かって視た場合を基準に左右を定める。

　紙幣収納装置１０は、略直方体形状の筐体１２を有している。筐体１２の内部には、上部ユニットである処理部１４および下部ユニットである金庫部１６がそれぞれ当該筐体１２の前面から前方に引き出し可能に収容されている。金庫部１６の前面は、開閉可能な金庫扉１６ａとなっている。金庫扉１６ａには金庫扉１６ａを施錠するロック機構（第二ロック機構）１６ｂが設けられている。

　処理部１４内、具体的には筐体１２の前側上部には、筐体１２の外部から内部に紙幣を投入するための受入ホッパ等から構成される投入部２０が設けられている。投入部２０には、当該投入部２０に積層された紙幣を１枚ずつ筐体１２の内部に繰り出す紙幣繰出機構２０ａが設けられている。

　処理部１４内には、紙幣を１枚ずつ搬送する主搬送部２４が設けられている。紙幣繰出機構２０ａにより投入部２０から繰り出された紙幣は、主搬送部２４により１枚ずつ搬送される。

　処理部１４内、具体的には主搬送部２４の近傍には、識別部２８が設けられている。識別部２８は、主搬送部２４によって搬送される紙幣の金種、真偽、表裏、正損、新旧及び搬送状態等を識別する。

　処理部１４内、具体的には筐体１２の前面における投入部２０の下方には、筐体１２の内部から外部に紙幣を排出するための排出部２２が設けられている。排出部２２には主搬送部２４が接続されている。

　排出部２２は羽根車２２ａを有している。羽根車２２ａは、図１に示される状態、すなわち左側面視において、反時計回りの方向に回転する。よって、主搬送部２４によって排出部２２に搬送された紙幣は、羽根車２２ａが有する２枚の羽根の間に挟まれた状態で、当該羽根とともに回転移動することにより、排出部２２に整列された状態で集積する。排出部２２は筐体１２の外部からアクセス可能となっており、操作者は排出部２２に集積された紙幣を筐体１２の前面から取り出すことができる。

　処理部１４内には、テープ式の収納繰出部３０が設けられている。収納繰出部３０は、主搬送部２４に接続されている。主搬送部２４によって収納繰出部３０に搬送された紙幣は、当該収納繰出部３０に収納される。また、収納操出部３０は、収納している紙幣を１枚ずつ主搬送部２４に繰り出すことができる。詳細には、収納繰出部３０は、正逆両方向に回転可能なドラム３０ａを有している。ドラム３０ａの外周面には一対の帯状のテープ３１の各一端が接続されている。そして、主搬送部２４から収納繰出部３０に搬送された紙幣は、１枚ずつテープ３１とともにドラム３０ａに巻き取られる。一方、ドラム３０ａを逆方向に回転させるとともに、一対のテープ３１をドラム３０ａから送り出すことにより、ドラム３０ａに巻き取られている紙幣を、主搬送部２４に繰り出すことができる。

　また、処理部１４内において、主搬送部２４から、分岐搬送部２５，２６が分岐し、金庫部１６内において、分岐搬送部２６から４つの分岐搬送部２７がさらに分岐している。これらの主搬送部２４および分岐搬送部２５，２６，２７から本発明の搬送部が構成される。

　分岐搬送部２５は、後に説明する紙幣収納機構３２に接続している。分岐搬送部２７は、後に説明する収納繰出部６０Ａ～６０Ｄに接続している。主搬送部２４から分岐搬送部２５に搬送された紙幣は、紙幣収納機構３２に装着された収納袋３４に送られ、収納袋３４内に収納される。本実施形態では、分岐搬送部２５に搬送された紙幣は、収納袋３４の開口部３４ａの直ぐ上方（開口部近傍）に設けられた一時保留部４５を介して収納袋３４へ供給される。一時保留部４５及び一時保留部４５を収容するケーシング４９については後述する。

　本実施形態では、収納袋３４にスタッキング型のものが使用される。なお、収納袋に、フリーフォール型のものが使用されてもよい。

　主搬送部２４から分岐搬送部２６を介して分岐搬送部２７に搬送された紙幣は、収納繰出部６０Ａ～６０Ｄに収納される。

　処理部１４の上部前方、具体的には筐体１２の上部前方には、操作表示部８２が取り付けられている。操作表示部８２は例えばタッチパネルである。操作表示部８２には、紙幣収納装置１０における紙幣の入金処理等の処理状況や、各収納袋３４に収納されている紙幣の在高等に関する情報が表示される。また、操作者は操作表示部８２を操作することにより制御部８０（図５参照）に対して様々な指令を与えることができる。

　金庫部１６内には、後側に収納繰出部６０Ａ～６０Ｄが上下に並べて設けられ、前側に紙幣収納機構３２が設けられている。なお、紙幣収納機構３２の数は、１つに限られないことは勿論であり、複数でもよい。紙幣収納機構３２を複数設ける場合は、例えば前後方向および幅方向の少なくとも一方向に並べて紙幣収納機構３２が複数設けられる。

　収納繰出部６０Ａ～６０Ｄは、紙幣の収納と繰り出しが可能なリサイクル式の収納部である。収納繰出部６０Ａ～６０Ｄは、巻き取り式のものまたは積層式のものが使用される。巻き取り式の収納繰出部６０Ａ～６０Ｄは、１つ又は２つの回転体６１を有する。本実施の形態では、上三段の収納繰出部６０Ａ～６０Ｃがそれぞれ２つの回転体６１を有する巻き取り式であり、最下段の収納繰出部６０Ｄが１つの回転体６１を有する巻き取り式である。

　紙幣収納機構３２は、紙幣送り出し部４８、一対の取付部材（取付部）３６、及び、ステージ４０を備えている。

　以下、収納繰出部６０Ａ～６０Ｄ及び紙幣収納機構３２についてさらに説明する。

　先ず、収納繰出部６０Ａ～６０Ｄについて説明する。収納繰出部６０Ａ～６０Ｃと収納繰出部６０Ｄとは、回転体６１の数が異なるだけなので、収納繰出部６０Ｄを例に取り、図２を参照してその構成を説明する。図２は、収納繰出部６０Ｄの構成を示す模式図である。

　収納繰出部６０Ｄには、前述の回転体６１と、リール６２ａ，６２ｂと、テープ６３ａ，６３ｂと、テープ６３ａ，６３ｂを案内する複数のプーリ６４とが設けられている。テープ６３ａとテープ６３ｂとは、その一端側を重ね合わされた状態で回転体６１に巻回されている。また、テープ６３ａの他端側はリール６２ａに巻回され、テープ６３ｂの他端側はリール６２ｂに巻回されている。このような構成により、制御部８０が、図示しない駆動装置の作動を制御して回転体６１を巻き取り方向又は送り出し方向に適宜回転させることで、テープ６３ａ，６３ｂに挟み付けた状態で紙幣を収納又は送り出せるようになっている。

　また、収納繰出部６０Ｄの紙幣の出入口と、分岐搬送部２７の紙幣の出入口とには、それぞれ、紙幣の搬送を案内するガイド６５が設けられている。各ガイド６５は、紙幣の搬送経路を挟むようにして設けられた一対のガイド部材６５ａを備える。

　各ガイド部材６５ａは回動可能に構成されている。ガイド６５は、一対のガイド部材６５ａが実線で示されるように互いに平行となる閉状態と、一対のガイド部材６５ａが二点鎖線で示されるように先端を互いに離隔させるように傾斜する開状態との何れかの状態となる。通常は、ガイド部材６５ａはバネにより閉方向に付勢されており、ガイド６５は、実線で示される閉状態となる。そして、収納繰出部６０Ｄ側の各ガイド部材６５ａは、基端を収納繰出部６０Ｄの出入口のプーリ６４の回転軸に固定されている。

　また、各ガイド部材６５ａの互いに対向する面には、紙幣センサ６６が設けられている。この紙幣センサ６６により、収納繰出部６０Ｄの出入口における紙幣の詰まりを検出できる。

　このような構成により、収納繰出部６０Ｄの紙幣の出入口又は分岐搬送部２７の紙幣の出入口で、紙幣の詰まりが生じた場合には、操作者が手作業によりガイド６５を開状態にすることで、詰まった紙幣を容易に取り除くことができるようになっている。特に、収納繰出部６０Ｄと分岐搬送部２７との両方にガイド６５が設けられているので、詰まった紙幣をより一層容易に取り除くことができる。

　また、収納繰出部６０Ｄや分岐搬送部２７における紙幣の詰まりが解消しないまま、収納繰出部６０Ｄを所定方向（この場合、後方）に引き抜いて紙幣収納装置１０から取り出す際には、予め操作者が手作業によりガイド６５を開状態にする。これにより、収納繰出部６０Ｄを取り出す際、詰まった紙幣がガイド６５に引っかかって損壊してしまうことを防止できる。なお、このようなガイド６５を使用した構成は、収納繰出部を上下方向に引き抜く構造の紙幣収納装置にも適用できる。

　また、収納繰出部６０Ｄ側のガイド６５を構成するガイド部材６５ａはそれぞれプーリ６４の回転軸に固定されているので、詰まった紙幣を取り除く際、テープ６３ａ，６３ｂが損傷することが抑制される。

　次に、紙幣収納機構３２について図３を参照して説明する。図３は、紙幣収納機構３２の左側面図である。紙幣収納機構３２は、上述したように、一対の取付部材３６を有している。一対の取付部材３６は、所定距離だけ離れて配置されている。これらの取付部材３６の間に、収納袋３４が、その開口部３４ａが上方になるように取り付けられる。具体的には、各取付部材３６の上面には複数のピン３６ａが幅方向に間隔をあけて突設され、収納袋３４の開口部３４ａには、各取付部材３６の各ピン３６ａに対応して孔が設けられている。そして、当該穴のそれぞれにピン３６ａを通すことで、収納袋３４が一対の取付部材３６により前後で保持される。

　一方の取付部材（例えば前側の取付部材３６）は、その位置が固定され、他方の取付部材（例えば後側の取付部材３６）は、一方（位置固定）の取付部材３６に向かって移動することができるように構成されている。なお、両取付部材３６がそれぞれ相手側に向かって移動するように構成してもよい。

　また、各取付部材３６には加熱部材３８が設けられている。

　一方の取付部材３６が他方の取付部材３６に向かって相対的に移動し、収納袋３４を介して一対の取付部材３６同士が押圧した状態で、加熱部材３８を発熱させると、収納袋３４の開口部３４ａが加熱される。こうすることにより、収納袋３４の開口部３４ａをヒートシール（熱封止）することができる。なお、収納袋３４は、開口部３４ａをヒートシールされた後も、回収業者等により取付部材３６から取り外されるまでは、取付部材３６に取り付けられたままとなる。このため、紙幣収納装置１０は収納袋３４に紙幣を収納できない状態となる。

　加熱部材３８は電気式のものであり、開口部３４ａをヒートシールする際の消費電力量は非常に多い。このため、紙幣収納装置１０の運転に必要な電力をヒートシール時に確保できなくなるおそれがある場合には、加熱部材３８のヒートシール時、紙幣収納装置１０における加熱部材３８のヒートシール以外の動作を禁止するようにしてもよい。

　さらに、後側の取付部材３６の前面には発光部３７ａが設けられ、前側の取付部材３６の後面には受光部３７ｂが設けられている。発光部３７ａと受光部３７ｂとにより、取付部材３６に収納袋３４が取り付けられたことを検出する取付検出部３７が構成されている（図５参照）。すなわち、受光部３７ｂにより閾値以上の光量が検出されなかった場合には、発光部３７ａからの光が収納袋３４により遮蔽されているとして、取付部材３６へ収納袋３４が取り付けられていることが検出される。逆に、受光部３７ｂにより閾値を超える光量が検出された場合には、取付部材３６へ収納袋３４が取り付けられていないことが検出される。

　紙幣収納機構３２は、分岐搬送部２５から金庫部１６に送られた紙幣を収納袋３４に送るための紙幣送り出し部４８を有している。また、紙幣収納機構３２は、紙幣送り出し部４８から送られた紙幣が一時的に保留される一時保留部４５を有している。また、紙幣収納機構３２は、収納袋３４の底部が載置されるステージ４０を有している。

　紙幣送り出し部４８は、ローラ及びベルト等の組み合わせによって構成されている。紙幣送り出し部４８は、分岐搬送部２５から金庫部１６に送られた紙幣を１枚ずつ一時保留部４５上に送る。

　一時保留部４５は、前後に配置された一対の板状の支持部材（第二開閉部）４４を備えている。支持部材４４の上に、紙幣送り出し部４８から送られてきた紙幣が集積し保持される。したがって、支持部材４４の上方が本発明の保持領域として機能する。支持部材４４の基端部分には水平方向（幅方向）に延在する軸４４ａが設けられている。各支持部材４４は、軸４４ａを中心として、下方（図３中の矢印方向）に回動できるように構成されている。さらに説明すると、各支持部材４４が水平姿勢となって、それらの先端の間の隙間が小さくなる閉鎖状態になると、一時保留部４５は上方に集積した紙幣を保持する保持状態となる。その一方、各支持部材４４がその先端を下方に傾斜させた開状態となってそれらの先端の間に大きな隙間が形成されると、一時保留部４５はこの隙間から上方に集積した紙幣を下方の収納袋３４に供給する供給状態となる。

　一時保留部４５は、図３では省略しているが、図１に示すようにケーシング４９内に収容されている。ケーシング４９には、一時保留部４５の前方に扉（第一開閉部）４９ａが備えられている。この扉４９ａには、扉４９ａを閉状態に保持するロック機構（第一ロック機構）４９ｂが備えられている。回収業者等は、このロック機構４９ｂを解錠してこの扉４９ａを開けば、一時保留部４５（すなわち一対の支持部材４４及び一対の軸４４ａ）を、ケーシング４９内から取り出せ、さらには金庫部１６から取り出し、一時保留部４５の紙幣を回収できる。なお、ケーシング４９の底壁には、一時保留部４５から下方の収納袋３４に紙幣を供給できるよう、開口部４９ｃが設けられている。

　なお、ケーシング４９には、収容した一時保留部４５内の紙幣の有無を目視により確認できるよう覗き窓を設けてもよい。

　ここで、このロック機構４９ｂと、金庫扉１６ａのロック機構１６ｂとで、アンロック条件が互いに異なる設定となっている。具体的には、ロック機構４９ｂとロック機構１６ｂとが物理的な鍵により解錠される場合、ロック機構４９ｂとロック機構１６ｂとには互いに異なる鍵が使用される。ロック機構４９ｂとロック機構１６ｂとが電子錠の場合、操作者情報（ＩＤ情報）に応じて、ロック機構４９ｂとロック機構１６ｂとの両方を解除できたり、ロック機構４９ｂとロック機構１６ｂとの内の一方だけを解除できたりするようにする。或いは、ロック機構４９ｂとロック機構１６ｂとが電子錠の場合、ロック機構４９ｂとロック機構１６ｂとで、解錠用のパスワードに異なるパスワードが設定される。

　再び図３を参照すると、ステージ４０には、取付部材３６により保持された収納袋３４の少なくとも一部が載置される。ステージ４０は、前後に配置されそれぞれ水平方向に延在する一対の棒状の挟持部材４０ａから構成されている。これらの挟持部材４０ａは、取付部材３６により保持された収納袋３４を前後から挟むように配置される。また、これらの挟持部材４０ａは、各挟持部材４０ａの基端部に設けられた図示しないヒンジ部により互いに連結されている。各挟持部材４０ａは水平面に沿ってヒンジ部を中心として回動できるように構成されている。これらの挟持部材４０ａの先端どうしが離隔してステージ４０が開くと、挟持部材４０ａの間に隙間が形成される。取付部材３６により保持された収納袋３４は、当該収納袋３４の一部がこの隙間を通って各ステージ４０の下方に延在することとなる。なお、一方の挟持部材４０ａだけが回動するようにしてもよい。

　ステージ４０は電動アクチュエータ等のステージ駆動部４１（図５参照）により駆動される。具体的には、ステージ駆動部４１が作動して挟持部材４０ａが回動することで、ステージ４０は水平面に沿ってヒンジ部を中心として開閉する。さらに、ステージ駆動部４１が作動することによってステージ４０が昇降する。

　ステージ４０は、所定の移動範囲において一対の取付部材３６から離れる方向および一対の取付部材３６に近づく方向に移動できるように構成されている。すなわち、本実施形態の場合、ステージ４０は所定の移動範囲において上下方向に移動できるように構成されている。

　紙幣収納機構３２は、一対のステージ４０の鉛直方向における位置を検知する位置センサ７９を備えている。位置センサ７９は、第１センサ７９ａおよび第２センサ７９ｂを含む。

　第１センサ７９ａは、ステージ４０がステージ４０の可動範囲の下限に位置するときに、当該ステージ４０を検知する。また、第２センサ７９ｂは、収納袋３４に収納されている紙幣がフル状態またはニアフル状態（本実施形態の場合はフル状態）となったときに、当該ステージ４０を検知する。

　また、各挟持部材４０ａにはそれぞれ加熱部材４２が設けられている。これらの加熱部材４２は、収納袋３４をヒートシールすることができるように構成されている。具体的には、収納袋３４を紙幣収納機構３２から取り出される前に、回収業者等による収納袋３４をヒートシールする旨の操作を操作表示部８２が受け付けると、操作表示部８２はヒートシール指令を制御部８０に送信する。制御部８０は、操作表示部８２からヒートシール指令を受信すると、挟持部材４０ａを移動させる移動装置（図示略）に指令を送信する。この結果、一方の挟持部材４０ａが他方の挟持部材４０ａに向かって移動し、これらの挟持部材４０ａが互いに近接した状態となる。この状態で、収納袋３４に紙幣を収納したときに底部となる箇所に各加熱部材４２から熱が与えられることにより、当該箇所がヒートシールされる。

　加熱部材４２は加熱部材３８と同様に電気式である。加熱部材４２によるヒートシール時、加熱部材３８によるヒートシール時と同様の理由により、紙幣収納装置１０における加熱部材４２のヒートシール以外の動作を禁止するようにしてもよい。

　一時保留部４５の上方には押し込み板４６が設けられている。押し込み板４６の上部には、パンタグラフ５０が接続されている。パンタグラフ５０が上下方向に伸縮することによって、押し込み板４６は上下方向に移動する。加えて、図３に実線と二点鎖線とで示されているように、押し込み板４６は上下に回動可能にパンタグラフ５０に取り付けられている。

　そして、一時保留部４５と押し込み板４６の間に、紙幣送り出し部４８が配置されているので、紙幣送り出し部４８から送り出される紙幣は、一時保留部４５と押し込み板４６の間に送り出され、集積される。このとき、押し込み板４６は、紙幣を案内するガイドとしても機能する。集積される紙幣の量が増えるに従い、紙幣の積層高さが高くなり、紙幣によって押し込み板４６が上方に押し上げられる。

　押し込み板４６の近傍には、一時保留部４５に集積された紙幣の量を検知する紙幣センサ４７が設けられている。一時保留部４５に集積された紙幣の高さが所定高さとなり、押し込み板４６が二点鎖線で示す状態から回動して実線で示す状態になると、紙幣センサ４７は、一時保留部４５に紙幣が所定高さまで積層されたことを検知する。これにより、一時保留部４５に保留される紙幣がフル状態またはニアフル状態になったことが検知される。

　また、パンタグラフ５０および一時保留部４５には共用のステッピングモータ５４（図５参照）が備えられている。このステッピングモータ５４が正逆回転すると、パンタグラフ５０が上下に伸縮して押し込み板４６が上下移動し、且つ、一時保留部４５が開閉する。

　なお、回収業者等による収納袋３４の回収は、収納袋３４を取付部材３６と一体に前方にスライドさせて金庫部１６から取り出すことにより行われ、収納袋３４を、一時保留部４５とは別に金庫部１６から取り出すことができる。金庫部１６から取り出すことのできる一時保留部４５と収納袋３４との組み合わせパタンを、一時保留部４５内の紙幣の有無に応じて変更してもよい。具体的には、例えば、紙幣センサ４７により一時保留部４５内に紙幣の有ることが検知されていない場合には、扉４９ａのロック機構４９ｂを特別な解錠操作なしに解錠して取り出し可能とする。すなわち、収納袋３４と一時保留部４５との両方を金庫部１６から取り出せる。一方、紙幣センサ４７により一時保留部４５内に紙幣の有ることが検知されている場合には、扉４９ａのロック機構４９ｂを解錠するためには、前述のように物理的な鍵による解錠操作を必要とする。

　ここで、図４を参照して、マニュアルノブ１７について説明する。マニュアルノブ１７は、処理部１４から金庫部１６に搬送される際に詰まってしまった紙幣を取り出すためのものであり、分岐搬送路２５，２６に設けられている。ここでは、分岐搬送路２６に設けられているものを例に取りマニュアルノブ１７について説明する。図４は、図１のＸ部の鉛直方向断面図である。なお、図４に示されているマニュアルノブ１７及び搬送ロール１８は図１では省略されている。

　金庫部１６の上壁に設けられた紙幣の搬送路内には、４つの搬送ロール１８が設けられている。マニュアルノブ１７は、これらの搬送ロール１８の少なくとも一つに図示しないリンク機構を介して接続されており、その上部が金庫部１６から露出するように配置されている。操作者は、このマニュアルノブ１７を手動で回転させることで、リンク機構を介してして搬送ロール１８を回転させることができる。

　そして、搬送ロール１８を、図４中に矢印で示す方向、すなわち金庫部１６から紙幣を排出する方向にだけ回転させることができるように、マニュアルノブ１７にはワンウェイクラッチが設けられている。

　このような構成により、操作者は、上方の処理部１４を金庫部１６の上面から取り外した後、金庫部１６の上面から露出したマニュアルノブ１７の一部を回転させることで、詰まってしまった紙幣を排除することができる。この際、当該ワンウェイクラッチの作用により、紙幣が金庫部１６内に送り込まれることが防止される。紙幣が金庫部１６内に送り込まれてしまうと、金庫扉１６ａのロック機構１６ｂを解錠しなければならないが、ロック機構１６ｂの解錠は、特定の権限を有する人間にしか行えないため、紙幣を取り出して紙幣収納装置１０を再稼働させるまでに時間が掛かる。しかしながら、このようにワンウェイクラッチを設けることでこのような不具合が防止される。

［２．制御構成］
　図５は、紙幣収納装置の制御系の構成を示す機能ブロック図である。紙幣収納装置１０は、制御部８０を備えている。

　制御部８０は、投入部２０に設けられた紙幣繰出機構２０ａ、排出部２２に設けられた羽根車２２ａを駆動するための駆動部２２ｂ（図１では図示せず）、主搬送部２４、分岐搬送部２５，２６，２７、識別部２８および収納繰出部３０に通信可能に接続されている。また、制御部８０は、紙幣収納機構３２に通信可能に接続されている。なお、紙幣収納機構３２は、発光部３７ａと受光部３７ｂとからなる取付検出部３７、加熱部材３８、ステージ駆動部４１、加熱部材４２、一時保留部４５に集積された紙幣の量を検知する紙幣センサ４７、ステッピングモータ５４、ステージ位置を検知する位置センサ７９、および、紙幣送り出し部４８を有している。ステッピングモータ５４は、一時保留部４５を構成する各支持部材４４の軸４４ａを所定量回転駆動する。

　識別部２８による紙幣の識別結果の情報や、紙幣センサ４７や、位置センサ７９等による検知情報が、制御部８０に送信される。制御部８０はこれらの情報に基づいて、紙幣収納装置１０を構成する各部を制御する。

　また、制御部８０には、操作表示部８２、記憶部８４、印字部８６および通信インターフェース部８８がそれぞれ接続されている。操作表示部８２は、前述のとおりのものである。

　記憶部８４は、紙幣収納装置１０における紙幣の入金処理等の処理履歴や、各収納袋３４に収納されている紙幣の金種や在高等に関する情報などを記憶する。記憶部８４は、これらの情報を、制御部８０を介して識別部２８から取得する。制御部８０は、記憶部８４に記憶された情報を適宜参照し、紙幣収納装置１０の制御に使用する。

　印字部８６は、紙幣収納装置１０における紙幣の入金処理等の処理履歴や、各収納袋３４に収納されている紙幣の在高等に関する情報をレシート等に印字する。

［３．紙幣収納装置の運転モード］

　収納袋３４に紙幣を収納する際の、紙幣収納装置１０の運転を説明する。なお、紙幣収納装置１０を構成する各部の運転は、制御部８０が各部を制御することにより行われる。

　［３－１．通常運転］
　先ず、紙幣収納装置１０の通常運転について説明する。なお、通常運転とは、後述の縮退運転が行われずに、収納袋３４に紙幣を収納する収納処理や、計数処理などのその他の処理が許容される運転モードをいう。

　操作者によって投入部２０に紙幣が投入され、操作表示部８２が操作されると、投入部２０に投入された紙幣は、１枚ずつ、筐体１２内に繰り出され、主搬送部２４により搬送される。続いて、識別部２８により、紙幣の金種、真偽、表裏、正損、新旧、搬送状態等が識別される。

　識別部２８により正常な紙幣であると識別された紙幣は、収納繰出部３０に送られ、収納繰出部３０に一時的に収納される。収納繰出部３０に一時的に収納された紙幣の金種毎の枚数および総額が、操作表示部８２に表示される。表示内容を確認した操作者によって、入金処理の承認操作が行われると、収納繰出部３０から紙幣が１枚ずつ主搬送部２４に繰り出される。紙幣は、主搬送部２４、および、分岐搬送部２６，２７を経由して当該紙幣を収納すべき収納繰出部６０Ａ，６０Ｂ，６０Ｃ，６０Ｄの何れかに搬送される。或いは、紙幣は、主搬送部２４、分岐搬送部２５および紙幣送り出し部４８を経由して、当該紙幣を収納すべき収納袋３４の上部に配置された一時保留部４５の上に一時的に集積され、その後、一時保留部４５から収納袋３４に供給される。

　ここで、本実施形態では、収納袋３４には、所定の金種の紙幣の他、装置外に回収すべき紙幣や、識別部２８により偽券や外国紙幣と識別された紙幣が搬送される。通常運転中、収納袋３４に搬送される紙幣を、偽券や外国紙幣を含めて、以下「特定紙幣」ともいう。

　一時保留部４５上に所定枚数、例えば１００枚の紙幣からなる紙幣束が集積されると、ステッピングモータ５４が回転する。すると、一時保留部４５を構成する支持部材４４は、軸４４ａを中心として、図３に矢印で示すようにそれぞれ下方に回転し、一時保留部４５が下方に向かって開く。よって、一時保留部４５上の紙幣束は、上下に集積された状態を保ったまま自重で落下し、収納袋３４に収納される。先に収納袋３４内に収納されている紙幣束がある場合は、当該紙幣束の上に、一時保留部４５の上に集積されていた紙幣束が落下する。

　なお、ステッピングモータ５４が回転すると、パンタグラフ５０は下方に伸び、押し込み板４６は下方に移動する。よって、一時保留部４５上に一時的に保留されている紙幣束が収納袋３４に落下し、収納される際、押し込み板４６は、紙幣束の上面を押さえつけることができ、紙幣束の積層状態を維持することができる。また、一部の紙幣が一時保留部４５上に残留してしまったとしても、当該紙幣は、押し込み板４６によって収納袋３４内に向けて押し込まれる。

　一時保留部４５上から収納袋３４内に紙幣束が移動すると、移動した紙幣束の積層高さ分、一対のステージ４０がステージ駆動部４１により下方に移動させられる。続いて、押し込み板４６は、可動範囲の上限、すなわち待機位置に移動する。よって、次に一時保留部４５上から収納袋３４内に移動する紙幣束を収納するための保持空間が、収納袋３４の内部、具体的には、収納袋３４内に積層されている紙幣束の上方に形成される。

　［３－２．縮退運転］
　次に、紙幣収納装置１０の縮退運転について説明する。なお、縮退運転とは、収納袋３４に紙幣を収納する収納処理が禁止される一方で、その他の処理が許容される運転モードをいう。縮退運転中、制御部８０は、ステッピングモータ５４の動作を制限して、一時保留部４５を閉状態に保持する。

　縮退運転について具体的に説明する。

　縮退運転は、収納袋３４に紙幣を収納することのできない第一状態のときに実行される。具体的には、以下のケース１、ケース２及びケース３の何れかのケースを満たしている場合、制御部８０は、収納袋３４がこれ以上の紙幣を収納できない第一状態にあるとして縮退運転を実行する。
（ケース１）制御部８０が、取付部材３６に収納袋３４が取り付けられていないことを示す検出情報を、取付検出部３７から受信した場合。
（ケース２）制御部８０が、収納袋３４が取付部材３６に収納袋３４が取り付けられていることを示す検出情報を受信し、且つ、収納袋３４のヒートシールが完了した旨の検出情報を受信している場合。ヒートシールは所定時間ｔｈの加熱により行われ、当該加熱が開始されてから所定時間ｔｈが経過したことを検出することで、ヒートシールの完了の検出が行われる。この場合、例えばヒートシールを開始してからの経過時間を測定するタイマがヒートシールの完了を検出する検出装置となる
（ケース３）制御部８０が、収納袋３４に収納されている紙幣がフル状態にあることを、第２センサ７９ｂから受信している場合。

　縮退運転中、一時保留部４５は特定紙幣を保持する。すなわち、一時保留部４５は、通常運転中は、収納袋３４に供給される前に特定紙幣を一時的に保持する役割であったのに対し、縮退運転中は、収納袋３４に代わって特定紙幣を収容する役割となり、通常運転中と縮退運転中とで役割が変わる。

　制御部８０は、第一状態にある収納袋３４が別の収納袋３４に交換されると、縮退運転は解除され、一時保留部４５が供給状態とされる。ここで、制御部８０は、取付検出部３７から収納袋３４を検出した旨の情報を一旦受信しなくなった後、取付検出部３７から収納袋３４を検出した旨の情報を受信したとき、収納袋３４が別の収納袋３４に交換されたと判断する。本実施形態では、制御部８０は、別の収納袋３４に交換されたと判断した時点で直ちに一時保留部４５を供給状態とする。

　ここで、制御部８０は、上述したように、識別部２８による識別結果の情報を受信し、当該情報を記憶部８４に記憶させる。例えば、制御部８０は、偽券や外国紙幣が入金された場合には、この偽券や外国紙幣が、収納繰出部６０Ａ，６０Ｂ，６０Ｃ，６０Ｄ、一時保留部４５及び収納袋３４の何れに収納されているか記憶させる。また、縮退運転により特定紙幣が収納繰出部６０Ａ，６０Ｂ，６０Ｃ，６０Ｄに収納された場合には、制御部８０は、各収納繰出部６０Ａ，６０Ｂ，６０Ｃ，６０Ｄに収納されている特殊紙幣の枚数を記憶部８４に記憶させる。

　ここで、収納袋３４が別の収納袋３４に交換されたことを前提として、一時保留部４５に保留されている特定紙幣の金種に基づいて縮退運転を解除するか否かを、制御部８０が判断するようにしてもよい。具体的には、制御部８０は、収納袋３４が交換されたと判断し、且つ、記憶部８４を参照して一時保留部４５に偽券や外国紙幣が収納されていることを確認できなかった場合には、縮退運転を解除する。その一方、制御部８０は、収納袋３４が交換されたと判断しても、一時保留部４５に偽券や外国紙幣が収納されていることを確認した場合には、縮退運転を解除しない。

　これは、次の理由による。一時保留部４５に偽券や外国紙幣が収納されているにもかかわらず、縮退運転を解除すると、この偽券や外国紙幣が一時保留部４５から収納袋３４に供給されることとなる。一時保留部４５に収納される紙幣に比べて、収納袋３４に収納される紙幣は遥かに多いので、収納袋３４から偽券や外国紙幣を取り出すのに手間がかかる。このため、偽券や外国紙幣は、一時保留部４５に収納されているときに取り除くことが好ましい。そこで、一時保留部４５に偽券や外国紙幣が収納されている場合には、縮退運転を継続させるようにして、偽券や外国紙幣が収納袋３４に供給されないようにしている

　この場合、操作者が、金庫扉１６ａと扉４９ａとを開けて一時保留部４５から偽券や外国紙幣を取り出した後、操作表示部８２を操作することにより、一時保留部４５内の紙幣を収納袋３４に供給することができる。換言すれば、制御部８０は、一時保留部４５を供給状態にするための操作を操作表示部８２が受け付けた場合には、一時保留部４５を供給状態に制御する。

　なお、縮退運転中、制御部８０は、紙幣の入金処理の処理履歴に基づいて、一時保留部４５内の特定紙幣の枚数が、一時保留部４５に収納できる上限の枚数に達したと判断した場合には、その後に入金された特定紙幣を他の場所に搬送する。

　具体的には、制御部８０は、特定紙幣を、収納繰出部６０Ａ～６０Ｄの何れかに搬送するように、主搬送部２４および分岐搬送部２５，２６，２７を制御する。さらに、収納繰出部６０Ａ～６０Ｄの紙幣の枚数が収納できる上限の枚数に達した場合には、制御部８０は、その後に入金された特定紙幣を、排出部２２からリジェクトさせるように、主搬送部２４および分岐搬送部２５，２６，２７を制御する。

　制御部８０は、記憶部８４を参照して、収納繰出部６０Ａ～６０Ｄの何れかに特定紙幣が収納されている場合には、通常運転に復帰した際、この特定紙幣を収納袋３４に供給するよう主搬送部２４を制御する。

［４．制御フロー］
　本発明の一実施形態としての貨幣収納方法について図６を参照して説明する。図６は一実施形態に係る貨幣収納方法の制御フローを示すフローチャートである。なお、この制御フローは、紙幣収納装置１０の作動中は繰り返し実行される。

　先ず、ステップＳ１０（第一ステップ）で、制御部８０は、収納袋３４がこれ以上の紙幣を収納できない第一状態にあるか否かを判定する。

　ステップＳ１０において、制御部８０は、収納袋３４が第一状態ではないと判定すると、ステップＳ２０で紙幣収納装置１０を通常運転するように制御する。

　一方、ステップＳ１０において、制御部８０は、収納袋３４が第一状態であると判定すると、ステップＳ３０（第二ステップ）で紙幣収納装置１０を縮退運転するように制御する。そして、制御部８０は、ステップＳ４０で縮退運転の解除条件が満たされているか否かを判定する。制御部８０は、縮退運転の解除条件が満たされていないと判定した場合には、ステップＳ３０に戻り、紙幣収納装置１０が引き続き縮退運転を行うように制御する。その一方、制御部８０は、縮退運転の解除条件（本実施形態では収納袋３４の交換）が満たされていると判定した場合には、ステップＳ５０で紙幣収納装置１０を通常運転するように制御する。
［５．効果］
　収納袋３４に紙幣を収納できない第一の状態、すなわち、収納袋３４がセットされていない状態、セットされた収納袋３４がシールされている状態、又は、セットされた収納袋３４がフル状態の場合、縮退運転が行われる。縮退運転では、収納袋３４への紙幣の供給処理は禁止されるものの、これ以外の処理、例えば入金処理などは引き続き行える。すなわち、収納袋３４に紙幣を収納できない状態において紙幣を適切に処理できる。

　制御部８０は、縮退運転中に、取付部材３６に収納袋３４が取り付けられていないとの情報の取得後、取付部材３６に収納袋３４が取り付けられているとの情報を取得した場合、すなわち収納袋３４が交換された場合には、縮退運転を解除する。したがって、収納袋３４が交換された場合には、実行できる処理が制限されない通常運転に戻って、紙幣を適切に処理できる。

　縮退運転中は、一時保留部４５から収納袋３４への紙幣の供給が禁止されるので、収納袋３４へ供給できない紙幣を、一時保留部４５に収納することができる。

　一時保留部４５において紙幣が置かれる一対の支持部材４４を、下方に開く開状態とすることにより、或いは、一時保留部４５を包囲するケーシング４９の扉４９ａを開けることにより、一時保留部４５から紙幣を取り出すことができる。

　一時保留部４５を包囲するケーシング４９の扉４９ａにロック機構４９ｂを設けることで、権限のない人間により、一時保留部４５から紙幣が持ち去られることを防止できる。

　収納袋３４を格納する金庫部１６の金庫扉１６ａの解錠条件と、一時保留部４５を包囲するケーシング４９の扉４９ａの解錠条件とを互いに異ならせることで、権限に応じて、金庫内にアクセスできる範囲を設定することができる。

　一時保留部４５内に偽券や外国紙幣があると一時保留部４５を供給状態としない場合には、収納袋３４に偽券や外国紙幣が供給されてしまう前に、収納袋３４から偽券や外国紙幣を容易に取り出すことが可能となる。一時保留部４５は収納袋３４に比べて紙幣の収納枚数が少ないので、偽券や外国紙幣の取り出しを、収納袋３４において行うよりも容易に行える。

　操作表示部８２を操作することで、一時保留部４５を供給状態とすることができる。よって、一時保留部４５に偽券等が収納されているため制御部８０の制御により一時保留部４５が供給状態とされない場合でも、一時保留部４５から偽券等を取り除いた後、操作表示部８２を操作して一時保留部４５から紙幣を収納袋３４に供給できる。

　制御部８０は、別の収納袋３４に交換されたと判断した時点で直ちに一時保留部４５を供給状態とするので、速やかに通常運転に復帰できる。

　縮退運転中に、通常運転中であれば収納袋３４に搬送される金種がリジェクトされる場合も、この収納袋３４に搬送されるはずの金種を除いた紙幣については入金処理を継続できる。

　縮退運転中に、通常運転中であれば収納袋３４に搬送される金種が収納繰出部６０Ａ～６０Ｄの何れかに搬送される場合も、収納袋３４への紙幣の供給処理以外の処理、例えば入金処理などを引き続き行える。

［６．変形例］
　（１）上記実施形態では、（ケース１）収納袋３４が取付部材３６に取り付けられていない場合、（ケース２）収納袋３４がシールされている場合、（ケース３）収納袋３４がフル状態の場合、の３つのケースの場合に、縮退運転が行われるようにしたが、これに限定されない。つまり、紙幣収納装置を、ケース１の場合にだけ縮退運転を行わせるように構成したり、ケース２の場合にだけ縮退運転を行わせるように構成したり、ケース３の場合にだけ縮退運転を行わせるように構成したりしてもよい。或いは、紙幣収納装置を、これらの３つのケースの内の２つのケースについて縮退運転を行わせるように構成してもよい。

　（２）上記実施形態では、縮退運転中、特定紙幣の搬送先を、一時保留部４５、排出部２２及び収納繰出部６０Ａ～６０Ｄの何れから適宜選択するようにしたが、これに限定されない。つまり、縮退運転中の特定紙幣の搬送先を、一時保留部４５だけになるように紙幣収納装置を構成したり、排出部２２だけになるように紙幣収納装置を構成したり、収納繰出部６０Ａ～６０Ｄだけになるように紙幣収納装置を構成したりしてもよい。或いは、縮退運転中の特定紙幣の搬送先を、一時保留部４５，排出部２２及び収納繰出部６０Ａ～６０Ｄの内の２つの搬送先を組み合わせてもよい。具体的には、例えば、縮退運転中の特定紙幣を一時保留部４５に搬送し、一時保留部４５がこれ以上特定紙幣を収納できないようであれば特定紙幣を排出部２２に搬送するようにしてもよい。

　（３）上記実施形態では、収納袋３４のシールをヒートシールにより行うようにした。本発明における収納袋３４のシールとは、不法に開けられないように収納袋３４の開口部３４ａが閉じられることであり、開口を閉じる方法は何ら限定されない。例えば収納袋３４を接着剤によりシールしてもよい。

　上記実施形態では、本発明の貨幣処理装置及び貨幣処理方法を紙幣の処理に適用したが、硬貨の処理に適用してもよい。

　本発明は、収納袋に貨幣を収納する紙幣収納装置及び紙幣収納方法に適用でき、その産業上の利用可能性は高い。

　１０　紙幣収納装置
　１２　筐体
　１４　処理部
　１６　金庫部
　１６ａ　金庫扉
　１６ｂ　ロック機構（第二ロック機構）
　１７　マニュアルノブ
　２０　投入部
　２０ａ　紙幣繰出機構
　２２　排出部
　２２ａ　羽根車
　２２ｂ　駆動部
　２４　主搬送部
　２５，２６，２７　分岐搬送部
　２８　識別部
　３０　収納繰出部
　３０ａ　ドラム
　３１　テープ
　３２　紙幣収納機構
　３４　収納袋
　３４ａ　開口部
　３６　取付部材
　３６ａ　ピン
　３８　加熱部材
　４０　ステージ
　４０ａ　挟持部材
　４２　加熱部材
　４５　一時保留部
　４４　支持部材
　４４ａ　軸
　４６　押し込み板
　４７　紙幣センサ
　４８　紙幣送り出し部
　４９　ケーシング
　４９ａ　扉
　４９ｂ　ロック機構（第一ロック機構）
　５０　パンタグラフ
　６０Ａ，６０Ｂ，６０Ｃ，６０Ｄ　収納繰出部
　６１　回転体
　６２ａ，６２ｂ　リール
　６３ａ，６３ｂ　テープ
　６４　プーリ
　６５　ガイド
　６５ａ　ガイド部材
　６６　紙幣センサ
　７９　位置センサ
　８０　制御部
　８２　操作表示部（受付部）
　８４　記憶部
　８６　印字部
　８８　通信インターフェース部

Claims

　貨幣を収納するための袋が取り付けられる取付部と、
　前記袋に前記貨幣を収納できない第一の状態では、前記袋に前記貨幣を収納する収納処理を禁止する縮退運転を行わせる制御部と、を備える、貨幣収納装置。
　前記制御部は、前記取付部に前記袋が取り付けられていないとの情報を取得した場合に、前記第一の状態と判定する、請求項１に記載の貨幣収納装置。
　前記袋をシールするシール機構をさらに備え、
　前記制御部は、前記取付部に取り付けられた前記袋がシールされているとの情報を取得した場合に、前記第一の状態と判定する、請求項１または２に記載の貨幣収納装置。
　前記制御部は、前記取付部に取り付けられた前記袋が前記貨幣をこれ以上収納できないフル状態であるとの情報を取得した場合に、前記第一の状態と判定する、請求項１～３の何れか一項に記載の貨幣収納装置。
　前記制御部は、前記縮退運転中に、前記取付部に前記袋が取り付けられていないとの情報を取得した後に、前記取付部に袋が取り付けられているとの情報を取得した場合に、前記縮退運転を解除する、請求項１～４の何れか一項に記載の貨幣収納装置。
　前記貨幣は保持領域に保持され、
　少なくとも、前記保持領域に前記貨幣を保持する保持状態、および、前記保持領域内の前記貨幣を袋の開口部から前記袋内に供給する供給状態、となりうる一時保留部、をさらに備え、
　前記制御部は、前記縮退運転中は、前記一時保留部を前記供給状態にしない、請求項１～５の何れか一項に記載の貨幣収納装置。
　前記保持領域の内部と前記保持領域の外部とを、遮蔽し、または、連通させる開閉部をさらに備える、請求項６に記載の貨幣収納装置。
　前記開閉部は、前記保持領域と前記袋の前記開口部との間で前記一時保留部に備えられ、
　前記開閉部は、開状態となることで前記一時保留部を前記供給状態とする、請求項７に記載の貨幣収納装置。
　前記開閉部は、
　前記保持領域から前記貨幣を装置外部へ取り出すための第一開閉部と、
　前記保持領域と前記袋の前記開口部との間で前記一時保留部に備えられ、開状態となることで前記一時保留部が前記供給状態となる第二開閉部と、を備える、請求項７に記載の貨幣収納装置。
　前記開閉部を閉状態にロックする第一ロック機構をさらに備える、請求項７～９の何れか一項に記載の貨幣収納装置。
　前記袋を収容し、かつ、金庫扉と、前記金庫扉を閉状態にロックする第二ロック機構とを有する金庫部をさらに備え、
　前記第一ロック機構と第二ロック機構とで異なるアンロック条件が設定された、請求項１０に記載の貨幣収納装置。
　少なくとも、前記貨幣を保持する保持状態、および、前記貨幣を前記袋に供給する供給状態、となりうる一時保留部をさらに備え、
　前記制御部は、前記縮退運転中に、前記一時保留部内に前記貨幣が収納されているとの情報を取得すると共に、前記取付部に前記袋が取り付けられていないとの情報を取得した後に前記取付部に前記袋が取り付けられているとの情報を取得した場合に、前記縮退運転を解除するか否かを判断する、請求項１～４の何れか一項に記載の貨幣収納装置。
　前記貨幣の種別を識別する識別部をさらに備え、
　前記制御部は、前記識別部から前記一時保留部内の前記貨幣の種別に関する種別情報を取得し、前記種別情報に基づいて、前記縮退運転を解除するか否かを判断する、請求項１２に記載の貨幣収納装置。
　前記一時保留部を前記供給状態とする操作を受け付ける受付部をさらに備え、
　前記制御部は、前記操作を受け付けた場合に、前記一時保留部を前記供給状態とする、請求項１２に記載の貨幣収納装置。
　少なくとも、前記貨幣を保持する保持状態、および、前記貨幣を前記袋に供給する供給状態、となりうる一時保留部をさらに備え、
　前記制御部は、前記縮退運転中に、前記取付部に前記袋が取り付けられていないとの情報を取得した後に前記取付部に前記袋が取り付けられているとの情報を取得した時点で、前記縮退運転を解除して前記一時保留部を前記供給状態とする、請求項１～４の何れか一項に記載の貨幣収納装置。
　前記貨幣を排出する排出部と、
　前記排出部に接続され、前記貨幣を搬送する搬送部と、
　をさらに備え、
　前記制御部は、
　前記袋に前記貨幣を収納できる第二状態では、前記収納処理とその他の処理とを許容する通常運転を行わせ、
　前記縮退運転中に、前記通常運転中であれば前記袋へと搬送される所定の種別の貨幣を、前記排出部へと搬送するように、前記搬送部を制御する、請求項１～１５の何れか一項に記載の貨幣収納装置。
　前記貨幣を収納し、または、収納した前記貨幣を繰り出す収納繰出部と、
　前記収納繰出部と前記袋とに接続され、前記貨幣を搬送する搬送部と、
　をさらに備え、
　前記制御部は、
　前記袋に前記貨幣を収納できる第二状態では、前記収納処理とその他の処理とを許容する通常運転を行わせ、
　前記縮退運転中は、前記通常運転であれば前記袋へと搬送される所定の種別の貨幣を、前記収納繰出部へと搬送するように前記搬送部を制御し、
　前記縮退運転が解除され前記通常運転に復帰すると、前記所定の種別の貨幣を繰り出すように前記収納繰出部を制御すると共に、繰り出された前記所定の種別の貨幣が前記袋に収納されるように前記搬送部を制御する、請求項１～１５の何れか一項に記載の貨幣収納装置。
　袋に貨幣を収納できない第一の状態であるか否かを判定するステップと、
　前記第一の状態では、前記収納処理を禁止する縮退運転を行うステップと、を含む、貨幣収納方法。