以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態による貨幣入金機は、硬貨や紙幣等の貨幣の入金処理や計数処理を行うものであり、このような貨幣入金機はスーパーマーケットやショッピングモール等の商業施設における出納室に設置されたり、自動販売機のメンテナンス会社の営業所に設置されたりするようになっている。図1乃至図20は、本実施の形態による貨幣入金機を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による貨幣入金機の外観を示す斜視図であり、図2および図3は、図1に示す貨幣入金機における硬貨入金装置の内部の構成を示す側面図や上面図であり、図4は、図1に示す貨幣入金機における紙幣入金装置の内部の構成を示す側面図である。また、図5は、図1に示す貨幣入金機の制御系の構成を示す機能ブロック図である。また、図6は、図1に示す貨幣入金機の上部カバーを上方に開くとともに操作表示部の支持部を前方に倒したときの紙幣入金装置の内部構成を示す側面図である。また、図7乃至図14は、図1に示す貨幣入金機の筐体内で紙幣のジャム(詰まり)等の異常が発生したときに、エラー解除のために筐体の内部から外部にジャムの要因となる紙幣を取り出す際の動作を示す斜視図である。また、図15乃至図19は、図1に示す貨幣入金機の筐体内で紙幣のジャム(詰まり)等の異常が発生したときに、エラー解除のために筐体の内部から外部にジャムの要因となる紙幣を取り出す際における紙幣入金装置の内部構成の一部を示す側面図である。また、図20(a)〜(d)は、図1に示す貨幣入金機においてエラー解除のために筐体の内部から外部にジャムの要因となる紙幣を取り出す際に操作表示部に表示されるガイダンス画面を示す図である。
まず、本実施の形態による貨幣入金機1の構成について図1乃至図5を用いて説明する。図1は、本実施の形態による貨幣入金機1の外観を示す斜視図である。図1に示すように、本実施の形態による貨幣入金機1は略直方体形状の筐体1aを有している。また、貨幣入金機1の筐体1aを手前側から見て当該貨幣入金機1の左側部分には硬貨の入金処理や計数処理を行う硬貨入金装置10が設けられており、一方、貨幣入金機1の筐体1aを手前側から見て当該貨幣入金機1の右側部分には紙幣の入金処理や計数処理を行う紙幣入金装置50が設けられている。また、図1に示すように、貨幣入金機1の筐体1aの上部には上部カバー2が設けられており、この上部カバー2を上方に開くことにより操作者は硬貨入金装置10や紙幣入金装置50の内部にアクセスすることができるようになっている(図6や図7等参照)。より詳細には、上部カバー2は水平方向に延びる軸2pを中心として図1に示す状態から上方に回転することができるようになっている。ここで、硬貨入金装置10の投入部12(後述)における硬貨の投入口および紙幣入金装置50の投入部52(後述)における紙幣の投入口はそれぞれ上部カバー2に設けられている。一方、後述する操作表示部86、88は上部カバー2とは別に設けられており、上部カバー2を上方に開いても操作表示部86、88の位置は変化しないようになっている(図7参照)。
また、本実施の形態の貨幣入金機1には、上部カバー2が上方に開かれたときにこのことを検知する上部カバー開閉検知センサ(図示せず)が設けられている。また、本実施の形態の貨幣入金機1には、上部カバー2を閉状態でロックするためのロック部(図示せず)が設けられており、貨幣入金機1において硬貨や紙幣の計数処理や入金処理が行われているときにはロック部により上部カバー2が閉状態にロックされて当該上部カバー2を上方に開くことができないようになっている。
次に、本実施の形態の貨幣入金機1における硬貨入金装置10の構成について図2および図3を用いて説明する。上述したように、図2は、硬貨入金装置10の内部を側方から見たときの構成を示す側面図であり、図3は、図2に示す硬貨入金装置10の内部における上部領域を上方から見たときの構成を示す上面図である。図2および図3に示すように、硬貨入金装置10は、筐体1aの外部から内部に硬貨を投入するための投入部12と、投入部12により筐体1aの内部に投入された硬貨を搬送するための搬送部14と、搬送部14により搬送される硬貨の金種、真偽、正損等の識別を行う識別部16とを備えている。
より詳細には、図2および図3に示すように、投入部12には、水平状態となるよう配置された円盤形状の回転盤13が設けられており、当該回転盤13が回転することにより、筐体1aの外部から投入されこの回転盤13の上に載置された硬貨が1枚ずつ当該回転盤13から搬送部14に繰り出されるようになっている。また、投入部12には、筐体1aの外部から当該投入部12に投入された硬貨を検知するための投入硬貨検知センサ(図示せず)が設けられている。また、図1に示すように、筐体1aの上面には硬貨の投入口の開閉を行うシャッタ12aが設けられており、当該シャッタ12aが開かれたときに操作者は筐体1aの外部から投入部12に硬貨を投入することができるようになっている。このようなシャッタ12aは操作者が手動で開閉を行うことができるようになっている。
また、搬送部14は、図3において矢印で示す方向に循環移動を行う無端状の搬送ベルト14aと、当該搬送ベルト14aが張架される複数のプーリ14b、14cとを有しており、複数のプーリ14b、14cのうちある一つのプーリ14bには当該プーリ14bを回転駆動させる駆動モータ(図示せず)が設けられている。また、無端状の搬送ベルト14aには、当該搬送ベルト14aの長手方向に沿って複数の突起が間隔を空けて設けられており、各突起により硬貨が1枚ずつ押動されて搬送されるようになっている。このような搬送部14において、駆動モータがプーリ14bを回転駆動させることにより無端状の搬送ベルト14aが図3において矢印で示す方向に循環移動し、このことにより投入部12により筐体1aの内部に投入された硬貨が1枚ずつ搬送ベルト14aにより搬送されるようになる。
また、搬送部14には、識別部16による硬貨の識別結果に基づいて硬貨の振り分けを行う振分機構18が設けられている。具体的には、振分機構18は、識別部16により正常な硬貨であると識別された硬貨を当該搬送部14から分岐させて後述する一時保留部26に送るようになっている。より詳細に説明すると、搬送部14において硬貨が搬送される搬送面において振分機構18の近傍には開口が設けられている。そして、振分機構18が搬送部14における硬貨の搬送面から上方に突出した突出位置に移動すると、搬送部14の搬送ベルト14aにより搬送される硬貨が当該開口を介して搬送部14から下方に落下して後述する一時保留部26に送られるようになる。また、搬送部14の下流側端部の近傍には開口20が設けられており、振分機構18により搬送部14から分岐されなかった硬貨、すなわち識別部16により正常な硬貨ではないと識別された硬貨や識別部16により識別することができなかった硬貨がリジェクト硬貨として当該開口20から下方に落下し、後述するリジェクト部28に送られるようになっている。
図2に示すように、硬貨入金装置10において搬送部14の下方には一時保留部26およびリジェクト部28がそれぞれ設けられている。ここで、一時保留部26は、硬貨入金装置10の奥行き方向(すなわち、図2における左右方向)において移動可能となっており、図2において実線や二点鎖線で示される3箇所の位置に移動することができるようになっている。また、一時保留部26は、その頂部および底部に開口が設けられた略直方体形状の枠体を有している。また、図2における中央位置にある一時保留部26と、搬送部14における硬貨の搬送面において振分機構18の近傍に設けられた開口との間には一時保留用シュート22が設けられており、振分機構18により振り分けられた硬貨は一時保留用シュート22を通って一時保留部26に送られるようになっている。また、リジェクト部28と、搬送部14の下流側端部の近傍に設けられた開口20との間にはリジェクト用シュート24が設けられており、開口20から落下したリジェクト硬貨はリジェクト用シュート24を通ってリジェクト部28に送られるようになっている。
図1に示すように、リジェクト部28は貨幣入金機1の筐体1aの前面側から操作者がアクセスすることができるようになっており、このリジェクト部28にリジェクト硬貨が送られると、操作者はリジェクト部28からリジェクト硬貨を取り出すことができるようになっている。
また、硬貨入金装置10の奥行き方向において手前側に位置する一時保留部26(すなわち、図2において左側に位置する一時保留部26)の下方には硬貨返却箱30が設けられており、一時保留部26が図2における中央の位置から左側の位置に移動すると、当該一時保留部26に一時的に保留されている硬貨がこの一時保留部26から自重により落下して硬貨返却箱30に送られるようになっている。このような硬貨返却箱30は筐体1aから手前側に引き出し可能となっている。具体的には、硬貨返却箱30を筐体1aの内部にロックするためのロック部31(図5参照)が設けられており、当該ロック部31によるロック状態が解除されると、硬貨返却箱30を筐体1aから手前側に引き出すことができるようになる。また、図1に示すように、硬貨返却箱30の前面には、操作者が把持するための把持部分30aが設けられており、ロック部31によるロック状態が解除された後、操作者が把持部分30aを把持して硬貨返却箱30を筐体1aから手前側に引き出すことにより、硬貨返却箱30に収納されている硬貨を筐体1aの外部に返却することができるようになる。
また、硬貨入金装置10の内部における下部領域には硬貨収納カセット40が収容されており、硬貨入金装置10の奥行き方向において奥側に位置する一時保留部26(すなわち、図2において右側に位置する一時保留部26)と、硬貨収納カセット40との間には収納用シュート32が設けられている。このことにより、一時保留部26が図2における中央の位置から右側の位置に移動すると、当該一時保留部26に一時的に保留されている硬貨がこの一時保留部26から自重により落下して、収納用シュート32を介して硬貨収納カセット40に送られ、当該硬貨収納カセット40に収納されるようになる。なお、硬貨収納カセット40は筐体1aの外部に取り出すことができるようになっている。具体的には、図1に示すように貨幣入金機1の筐体1aの前面における下部領域には、警送会社の警備員等の所定の権限を有する者しか開くことができない扉1bが設けられており、この扉1bを開くことにより硬貨収納カセット40を筐体1aの外部に取り出すことができるようになる。警送会社の警備員等により筐体1aの外部に取り出された硬貨収納カセット40は、警送会社の管理本部や現金処理センターに運搬され、硬貨収納カセット40から取り出された硬貨がこの管理本部等で管理されるようになる。
次に、本実施の形態の貨幣入金機1における紙幣入金装置50の構成について図4を用いて説明する。上述したように、図4は、紙幣入金装置50の内部を側方から見たときの構成を示す側面図である。図4に示すように、紙幣入金装置50は、筐体1aの外部から紙幣が束状態で投入される投入部52と、投入部52に投入された紙幣を1枚ずつ筐体1aの内部に繰り出すための繰出機構54と、繰出機構54により筐体1aの内部に繰り出された紙幣を搬送するための搬送部56と、搬送部56により搬送される紙幣の金種、真偽、正損等の識別を行う識別部58とを備えている。また、図1に示すように、筐体1aの上面には紙幣の投入口の開閉を行うシャッタ52aが設けられており、当該シャッタ52aが開かれたときに操作者は筐体1aの外部から投入部52に紙幣の束を投入することができるようになっている。このようなシャッタ52aは操作者が手動で開閉を行うことができるようになっている。また、投入部52には、筐体1aの外部から当該投入部52に投入された紙幣を検知するための投入紙幣検知センサ(図示せず)が設けられている。
また、搬送部56における識別部58よりも下流側の箇所には、識別部58により識別された紙幣をリジェクト部62および一時保留部64のうちいずれか一方に振り分ける分岐部60が設けられている。具体的には、分岐部60において、識別部58により正常な紙幣であると識別された紙幣は一時保留部64に送られるよう振り分けられ、一方、識別部58により正常な紙幣ではないと識別された紙幣や識別部58により識別することができなかった紙幣はリジェクト紙幣としてリジェクト部62に送られるよう振り分けられるようになっている。
図1に示すように、リジェクト部62は貨幣入金機1の筐体1aの前面側から操作者がアクセスすることができるようになっており、このリジェクト部62にリジェクト紙幣が送られると、操作者はリジェクト部62からリジェクト紙幣を取り出すことができるようになっている。
また、図4に示すように、紙幣入金装置50の内部における下部領域において一時保留部64の真下の位置には紙幣収納カセット70が収容されている。そして、一時保留部64に紙幣が一時的に保留された後、入金確定の指令が貨幣入金機1の本体制御部80(後述)に与えられると、一時保留部64から紙幣収納カセット70に紙幣が一括して送られ、この紙幣収納カセット70に収納されるようになっている。なお、紙幣収納カセット70は筐体1aの外部に取り出すことができるようになっている。具体的には、上述したように、貨幣入金機1の筐体1aの前面における下部領域には扉1bが設けられており、この扉1bを開くことにより紙幣収納カセット70を筐体1aの外部に取り出すことができるようになる。警送会社の警備員等により筐体1aの外部に取り出された紙幣収納カセット70は、警送会社の管理本部や現金処理センターに運搬され、紙幣収納カセット70から取り出された紙幣がこの管理本部等で管理されるようになる。
また、図1に示すように、貨幣入金機1の筐体1aの前面における一時保留部64の手前側の位置には扉1cが設けられているとともに、当該扉1cを閉状態にロックするための扉ロック部65(図5参照)が設けられている。そして、当該扉ロック部65による扉1cのロック状態が解除されると、操作者は扉1cを手前右側に開いて一時保留部64の内部にアクセスすることができるようになる。このようにして、一時保留部64に紙幣が一時的に保留された後、返却の指令が貨幣入金機1の本体制御部80(後述)に与えられると、扉ロック部65による扉1cのロック状態が解除され、操作者は扉1cを開くことにより一時保留部64の内部から紙幣を取り出すことができるようになり、よって筐体1aの外部に紙幣が返却されるようになる。そして、操作者が手動で扉1cを閉じると、扉ロック部65により扉1cが再び閉状態にロックされるようになる。なお、一時保留部64に一時的に保留された紙幣を紙幣収納カセット70に収納させる際には、扉ロック部65による扉1cの閉状態のロックが維持されたままとなる。
次に、本実施の形態による貨幣入金機1の制御系の構成について図5を用いて説明する。図5に示すように、本実施の形態による貨幣入金機1には、当該貨幣入金機1の各構成部材の制御を行う本体制御部80が設けられている。また、硬貨入金装置10には当該硬貨入金装置10の各構成部材(具体的には、投入部12、搬送部14、識別部16、振分機構18、一時保留部26、ロック部31等)に接続された硬貨制御部81が設けられており、当該硬貨制御部81により硬貨入金装置10の各構成部材が制御されるようになっている。また、紙幣入金装置50には当該紙幣入金装置50の各構成部材(具体的には、繰出機構54、搬送部56、識別部58、分岐部60、一時保留部64、扉ロック部65等)に接続された紙幣制御部82が設けられており、当該紙幣制御部82により紙幣入金装置50の各構成部材が制御されるようになっている。図5に示すように、硬貨入金装置10に設けられた硬貨制御部81や紙幣入金装置50に設けられた紙幣制御部82はそれぞれ本体制御部80に通信可能に接続されている。
また、図1に示すように、貨幣入金機1の筐体1aの上面には、プリンタ等の印字部84、タッチパネル等の2つの操作表示部86、88および操作者が携帯するIDカード等の記録媒体92に記憶された情報(具体的には、IDカードのID情報等)を読み取るための磁気カードリーダ等の読取部90がそれぞれ設けられており、これらの印字部84、操作表示部86、88、読取部90はそれぞれ本体制御部80に通信可能に接続されている。印字部84は、貨幣入金機1における貨幣の入金処理や計数処理の結果に係る情報や、硬貨収納カセット40や紙幣収納カセット70に収納されている硬貨や紙幣の金種毎の枚数や合計金額に係る情報をレシートに印字するようになっている。また、操作表示部86、88には、貨幣入金機1における貨幣の入金処理や計数処理の結果に係る情報や、硬貨収納カセット40や紙幣収納カセット70に収納されている硬貨や紙幣の金種毎の枚数や合計金額に係る情報が表示されるようになっている。また、操作者は、操作表示部86、88を操作することにより本体制御部80に様々な指示を与えることができるようになっている。また、操作者が携帯するIDカード等の記録媒体92には、IDカードのID情報等の様々な情報を記憶する記憶部92aが設けられており、この記録媒体92を磁気カードリーダ等の読取部90に通すと、当該記憶部92aに記憶された情報が読取部90により読み取られるようになっている。具体的には、操作者が記録媒体92を読取部90に通すことにより、当該操作者の権限を認証することができるようになり、所定の権限を有する操作者のみが貨幣入金機1において貨幣の入金処理や計数処理、回収処理を行うことができるようになる。
また、本実施の形態の貨幣入金機1では、図1等に示すように、操作表示部86、88を支持するための支持部4が設けられており、この支持部4を筐体1aの手前側に開くことができるようになっている。より詳細には、支持部4は、その下端部分(基端部分)に設けられた水平方向に延びる軸4p(図4や図6等参照)を中心として揺動可能となっている。また、図1や図4、図6等に示すように、操作表示部86、88を支持するための支持部4は、貨幣入金機1の筐体1aの前壁部分の少なくとも一部を構成しており、この支持部4は筐体1aの手前側に開くことができるようになっている。また、支持部4の軸4pには、当該支持部4を筐体1aの手前側に開いた状態から元の所定位置(具体的には、図6において二点鎖線で示す位置)に戻る方向に付勢するための付勢部として例えばねじりバネ等が設けられている。このことにより、操作者が手動で支持部4を筐体1aの手前側に開いた後、この支持部4から手を離すと当該支持部4は自動的に図6において二点鎖線で示す元の所定位置に戻るようになっている。
また、本実施の形態では、操作表示部86、88を支持するための支持部4は、上部カバー2が上方に開かれた状態においてのみ、筐体1aの手前側に開くことができるようになっている。すなわち、上部カバー2が閉じているときには、支持部4の上端部分が図示しない係合部材によって上部カバー2に係合することにより、当該支持部4を筐体1aの手前側に開くことができないようになっている。
また、図5に示すように、本体制御部80には記憶部94が通信可能に接続されている。このような記憶部94は貨幣入金機1の筐体1aの内部に設けられており、当該記憶部94には、貨幣入金機1における貨幣の入金処理や計数処理の結果に係る情報や、硬貨収納カセット40や紙幣収納カセット70に収納されている硬貨や紙幣の金種毎の枚数や合計金額に係る情報が記憶されるようになっている。
また、本体制御部80には通信インターフェース部98が通信可能に接続されており、本体制御部80は、この通信インターフェース部98により、貨幣入金機1の外部に設けられた上位端末等の外部装置と信号の送受信を行うことができるようになっている。
次に、このような構成からなる本実施の形態の貨幣入金機1の動作(具体的には、硬貨入金装置10や紙幣入金装置50において硬貨や紙幣の入金処理が行われるときの動作)について説明する。なお、以下に示す貨幣入金機1の動作は、本体制御部80が当該貨幣入金機1の各構成部材を制御することにより、あるいは本体制御部80が硬貨制御部81や紙幣制御部82を経由して硬貨入金装置10や紙幣入金装置50の各構成部材を制御することにより行われるようになっている。
まず、硬貨入金装置10において硬貨の入金処理が行われるときの動作について以下に説明する。操作者が自己のIDカード等の記録媒体92を読取部90に通すことにより、当該操作者の権限が認証された後、この操作者が操作表示部86、88により入金処理開始の指令を本体制御部80に与えると、当該操作者は貨幣入金機1の筐体1aの上面に設けられたシャッタ12aを手動で開くことにより筐体1aの外部から硬貨を投入部12に投入することができるようになる。投入部12に投入された硬貨は当該投入部12に設けられた回転盤13により1枚ずつ筐体1aの内部に繰り出され、搬送部14により搬送される。この際に、識別部16により硬貨の金種、真偽、正損等の識別が行われる。識別部16により正常な硬貨であると識別された硬貨は振分機構18により搬送部14から分岐させられ、一時保留用シュート22を介して一時保留部26に送られ、この一時保留部26に一時的に保留される。この際に、一時保留部26は図2における中央の位置に維持される。また、識別部16により正常な硬貨ではないと識別された硬貨や識別部16により識別することができなかった硬貨はリジェクト硬貨として開口20から落下し、リジェクト用シュート24を介してリジェクト部28に送られる。上述したように、貨幣入金機1の筐体1aの前面側から操作者がリジェクト部28にアクセスすることができるようになっているため、リジェクト部28にリジェクト硬貨が送られると、操作者はリジェクト部28からリジェクト硬貨を取り出すことができるようになる。
投入部12に投入された硬貨が全て当該投入部12に設けられた回転盤13により筐体1aの内部に繰り出されて一時保留部26またはリジェクト部28に送られると、操作表示部86、88には入金確定の承認を求めるメッセージが表示される。そして、操作者が入金確定の指令を操作表示部86、88により本体制御部80に入力すると、一時保留部26は図2における中央の位置から右側の位置に移動し、この一時保留部26に一時的に保留されている硬貨が当該一時保留部26から自重により落下し、収納用シュート32を介して硬貨収納カセット40に送られ、この硬貨収納カセット40に収納されるようになる。一方、操作者が入金確定の指令の代わりに返却の指令を操作表示部86、88により本体制御部80に入力すると、一時保留部26は図2における中央の位置から左側の位置に移動し、この一時保留部26に一時的に保留された硬貨が当該一時保留部26から自重により落下して硬貨返却箱30に送られるようになる。また、返却の指令が本体制御部80に入力されると、ロック部31によるロック状態が解除され、硬貨返却箱30は筐体1aから手前側に引き出し可能となる。その後、操作者が把持部分30aを把持して硬貨返却箱30を筐体1aから手前側に引き出すことにより、硬貨返却箱30に収納されている硬貨が筐体1aの外部に返却される。
次に、紙幣入金装置50において紙幣の入金処理が行われるときの動作について説明する。操作者が自己のIDカード等の記録媒体92を読取部90に通すことにより、当該操作者の権限が認証された後、この操作者が操作表示部86、88により入金処理開始の指令を本体制御部80に与えると、当該操作者は貨幣入金機1の筐体1aの上面に設けられたシャッタ52aを手動で開くことにより筐体1aの外部から紙幣の束を投入部52に投入することができるようになる。投入部52に紙幣の束が投入されると、シャッタ52aを操作者が手動で閉じた後に繰出機構54によって紙幣が1枚ずつ筐体1aの内部に繰り出され、搬送部56により搬送される。この際に、識別部58により紙幣の金種、真偽、正損等の識別が行われる。識別部58により正常な紙幣であると識別された紙幣は分岐部60により一時保留部64に送られ、この一時保留部64に一時的に保留される。また、識別部58により正常な紙幣ではないと識別された紙幣や識別部58により識別することができなかった紙幣はリジェクト紙幣としてリジェクト部62に送られる。上述したように、貨幣入金機1の筐体1aの前面側から操作者がリジェクト部62にアクセスすることができるようになっているため、リジェクト部62にリジェクト紙幣が送られると、操作者はリジェクト部62からリジェクト紙幣を取り出すことができるようになる。
投入部52に投入された紙幣が全て繰出機構54により筐体1aの内部に繰り出されて一時保留部64またはリジェクト部62に送られると、操作表示部86、88には入金確定の承認を求めるメッセージが表示される。そして、操作者が入金確定の指令を操作表示部86、88により本体制御部80に入力すると、一時保留部64に一時的に保留された紙幣が当該一時保留部64から紙幣収納カセット70へ送り込まれ、この紙幣収納カセット70に収納されるようになる。一方、操作者が入金確定の指令の代わりに返却の指令を操作表示部86、88により本体制御部80に入力すると、扉ロック部65による扉1cのロック状態が解除され、操作者は扉1cを開くことにより一時保留部64から紙幣を取り出すことができるようになる。このようにして、一時保留部64に収納されている紙幣が筐体1aの外部に返却される。なお、硬貨の入金処理と紙幣の入金処理は同時並行的に行われ、単一の入金確定の指令あるいは返却の指令によって硬貨および紙幣の両方の収納動作または返却動作が行われる。
また、本実施の形態の貨幣入金機1では、筐体1a内で硬貨や紙幣のジャム(詰まり)等の異常が発生したときに、エラー解除のための筐体1aの外部への硬貨や紙幣の取り出しの手順に係るガイダンス画面が操作表示部86、88に表示されるようになっており、操作者は、この操作表示部86、88に表示されるガイダンス画面に従って、上部カバー2を筐体1aから上方に開いた後、筐体1aの内部に手を入れて当該筐体1aの内部から外部にジャムの要因となる硬貨や紙幣を取り出すようになっている。このようなエラー解除のために筐体1aの外部へ硬貨や紙幣を取り出す際の動作について図6乃至図20を用いて説明する。上述したように、図6は、図1に示す貨幣入金機1の上部カバー2を上方に開くとともに操作表示部86、88の支持部4を前方に倒したときの紙幣入金装置50の内部構成を示す側面図である。また、図7乃至図14は、図1に示す貨幣入金機1の筐体1a内で紙幣のジャム(詰まり)等の異常が発生したときに、エラー解除のために筐体1aの内部から外部にジャムの要因となる紙幣を取り出す際の動作を示す斜視図である。また、図15乃至図19は、図1に示す貨幣入金機1の筐体1a内で紙幣のジャム(詰まり)等の異常が発生したときに、エラー解除のために筐体1aの内部から外部にジャムの要因となる紙幣を取り出す際における紙幣入金装置50の内部構成の一部を示す側面図である。また、図20(a)〜(d)は、図1に示す貨幣入金機1においてエラー解除のために筐体1aの内部から外部にジャムの要因となる紙幣を取り出す際に操作表示部86、88に表示されるガイダンス画面を示す図である。なお、以下の説明では、紙幣入金装置50において紙幣のジャム等の異常が発生したときにこの紙幣入金装置50から紙幣を取り出してエラー解除を行う際の動作について述べるが、硬貨入金装置10において硬貨のジャム等の異常が発生したときにも同様の方法で硬貨入金装置10から硬貨を取り出してエラー解除を行うことができるようになっている。
筐体1a内で硬貨や紙幣のジャム(詰まり)等の異常が発生したときには、まず、図20(a)に示すように、操作者に対して上部カバー2を筐体1aから上方に開くことを指示する旨のガイダンス画面が操作表示部86、88に表示される。そして、図7や図15に示すように、操作者が操作表示部86、88に表示されるガイダンス画面に従って上部カバー2を筐体1aから上方に開くと、当該操作者は紙幣入金装置50の内部にある搬送部56、識別部58、分岐部60等にアクセスすることができるようになり、これらの搬送部56、識別部58、分岐部60の各構成部材から紙幣を取り出すことができるようになる。上部カバー2を筐体1aから上方に開いた後、搬送部56、識別部58、分岐部60の各構成部材から紙幣を取り出す際の動作の詳細について以下に説明する。
図8や図15に示すように、識別部58の下端部分には水平方向に延びる軸58pが設けられており、この軸58pを中心として識別部58を図15における反時計回りの方向に回転させることにより当該識別部58を図8や図15に示す状態から手前側に開くことができるようになっている。また、本実施の形態の貨幣入金機1には、識別部58が前方に開かれたときにこのことを検知する識別部開閉検知センサ(図示せず)が設けられている。なお、図9は、図8に示す状態から識別部58を前方に開いたときの当該識別部の構成を示す斜視図であり、また、図16は、図15に示す状態から識別部58を前方に開いたときの紙幣入金装置50の内部構成の一部を示す側面図である。また、識別部58の上端部分には取っ手58aが設けられており、操作者はこの取っ手58aを指で持つことにより識別部58を図8や図15に示す状態から手前側に開くことができるようになっている。
操作者が上部カバー2を筐体1aから上方に開き、このことが図示しない上部カバー開閉検知センサにより検知されると、図20(b)に示すように、操作者に対して識別部58(図面における表示は「紙幣ユニット」)を手前側に開くことを指示する旨のガイダンス画面が操作表示部86、88に表示される。そして、操作者が操作表示部86、88に表示されるガイダンス画面に従って、軸58pを中心として識別部58を回転させることにより当該識別部58を図8や図15に示す状態から手前側に開くと、この識別部58の内部に残留している紙幣を貨幣入金機1の筐体1aの外部へ取り出すことができるようになる。
また、本実施の形態では、図15等に示すように、識別部58の上方には、当該識別部58の取っ手58aに光を照射するLED照明等の照明部66が設けられている。そして、この照明部66により取っ手58aに光が照射されることにより、操作者は上部カバー2を筐体1aから上方に開いた後、識別部58を前方に開く際にどの部分を操作すれば良いかが一目で分かるようになり、操作者にとっての利便性を向上させることができる。なお、識別部58の上方に照明部66を設ける代わりに、識別部58の取っ手58a自体にLED照明等の照明部(発光部)を設けてもよい。この場合でも、操作者は上部カバー2を筐体1aから上方に開いた後、識別部58を前方に開く際にどの部分を操作すれば良いかが一目で分かるようになる。
また、図10、図11、図15乃至図17等に示すように、紙幣の搬送方向における識別部58の上流側に設けられた搬送部56は、手前側上方に開くことができる可動搬送部分56aおよび位置固定で設けられた固定搬送部分56bから構成されており、これらの可動搬送部分56aおよび固定搬送部分56bの間で紙幣が搬送されるようになっている。より詳細には、図15乃至図17等に示すように、可動搬送部分56aの上端部分には水平方向に延びる軸56pが設けられており、この軸56pを中心として可動搬送部分56aを図15乃至図17等における時計回りの方向に回転させることにより可動搬送部分56aを手前側上方に開き、可動搬送部分56aと固定搬送部分56bとの間に残留する紙幣を外部へ取り出すことができるようになっている。また、本実施の形態の貨幣入金機1には、搬送部56の可動搬送部分56aが手前側上方に開いたときにこのことを検知する搬送部開閉検知センサ(図示せず)が設けられている。なお、図10は、図8に示す状態から識別部58を前方に開いたときの搬送部56の可動搬送部分56aの構成を示す斜視図であり、図11は、図10に示す状態から搬送部56の可動搬送部分56aを手前側上方に開いたときの当該可動搬送部分56aの構成を示す斜視図である。また、図17は、図16に示す状態から搬送部56の可動搬送部分56aを手前側上方に開いたときの紙幣入金装置50の内部構成の一部を示す側面図である。なお、本実施の形態では、識別部58を図9や図16に示すように手前側に開いた後でないと、搬送部56の可動搬送部分56aを手前側上方に開くことができないようになっている。すなわち、識別部58が図8や図15に示すように閉じられた状態にあるときには、搬送部56の可動搬送部分56aを手前側上方に開こうとしても当該可動搬送部分56aが識別部58に引っ掛かってしまいこの可動搬送部分56aを手前側上方に開くことができないようになっている。
また、図12乃至図14、図18および図19に示すように、紙幣の搬送方向における識別部58の下流側に設けられた分岐部60は、奥側上方に開くことができる可動搬送部分60aおよび位置固定で設けられた固定搬送部分60bから構成されており、これらの可動搬送部分60aおよび固定搬送部分60bの間で紙幣が搬送され、分岐爪60c(図19参照)により紙幣の分岐が行われるようになっている。より詳細には、図18および図19に示すように、可動搬送部分60aの後端部分には水平方向に延びる軸60pが設けられており、この軸60pを中心として可動搬送部分60aを図18や図19における時計回りの方向に回転させることにより可動搬送部分60aを奥側上方に開き、可動搬送部分60aと固定搬送部分60bとの間に残留する紙幣を外部へ取り出すことができるようになっている。また、本実施の形態の貨幣入金機1には、分岐部60の可動搬送部分60aが奥側上方に開かれたときにこのことを検知する分岐部開閉検知センサ(図示せず)が設けられている。ここで、操作表示部86、88を支持するための支持部4が図17に示すような所定位置にあるときには、操作者は分岐部60の可動搬送部分60aを操作しづらいため、当該操作者は分岐部60の可動搬送部分60aに手を触れる前に肘によって図18に示すように支持部4を筐体1aから手前側に倒し、分岐部60の可動搬送部分60aを見やすくした後にこの可動搬送部分60aを奥側上方に開くようになっている。本実施の形態では、このように、支持部4を筐体1aから手前側に倒すことによって筐体1aの内部における作業スペースを広げることができ、よって操作者にとっての作業性を向上させることができる。なお、図12は、図7に示す状態から操作表示部86、88の支持部4を前方に倒したときの外観を示す斜視図であり、図13は、図7に示す状態から操作表示部86、88の支持部4を前方に倒したときの分岐部60の可動搬送部分60aの構成を示す斜視図であり、図14は、図13に示す状態から分岐部60の可動搬送部分60aを奥側上方に開いたときの当該可動搬送部分60aの構成を示す斜視図である。また、図18は、図15に示す状態から操作表示部86、88の支持部4を前方に倒したときの紙幣入金装置50の内部構成の一部を示す側面図であり、図19は、図18に示す状態から分岐部60の可動搬送部分60aを上方に開いたときの紙幣入金装置50の内部構成の一部を示す側面図である。なお、本実施の形態では、識別部58を図9や図16に示すように手前側に開くと、分岐部60の可動搬送部分60aを奥側上方に開こうとしても当該可動搬送部分60aが識別部58に引っ掛かってしまいこの可動搬送部分60aを奥側上方に開くことができないようになっている。
また、本実施の形態では、図18等に示すように、分岐部60の可動搬送部分60aの手前側には、当該可動搬送部分60aの先端部分に光を照射するLED照明等の照明部68が設けられている。そして、可動搬送部分60aを開くべきタイミングに、照明部68により当該可動搬送部分60aの先端部分に光が照射されることにより、操作者は上部カバー2を筐体1aから上方に開くとともに操作表示部86、88の支持部4を筐体1aから手前側に倒した後、分岐部60の可動搬送部分60aを奥側上方に開く際にどの部分を操作すれば良いかが一目で分かるようになり、操作者にとっての利便性を向上させることができる。なお、分岐部60の可動搬送部分60aの手前側に照明部68を設ける代わりに、分岐部60の可動搬送部分60a自体にLED照明等の照明部(発光部)を設けてもよい。この場合でも、操作者は上部カバー2を筐体1aから上方に開くとともに操作表示部86、88の支持部4を筐体1aから手前側に倒した後、分岐部60の可動搬送部分60aを奥側上方に開く際にどの部分を操作すれば良いかが一目で分かるようになる。
操作者は、上記の方法により紙幣入金装置50における搬送部56、識別部58および分岐部60の各構成部材から紙幣を取り出した後、各可動部分を閉じ、支持部4から手を離すことによって当該支持部4を図4に示すような元の位置に戻すとともに上部カバー2を閉じることにより、エラー解除動作が完了する。具体的には、支持部4を図4に示すような元の位置に戻すとともに上部カバー2を閉じ、上部カバー2が閉じたことが図示しない上部カバー開閉検知センサにより検知されると、操作表示部86、88には図20(c)に示すような装置リセット中であることを示すガイダンス画面が表示され、その後、操作表示部86、88に表示される画面は図20(d)に示すような待機画面に戻るようになる。
なお、硬貨入金装置10において硬貨のジャム等の異常が発生したときにも、紙幣入金装置50における搬送部56、識別部58および分岐部60の各構成部材から紙幣を取り出す上記の方法と同様の方法で硬貨入金装置10から硬貨を取り出してエラー解除を行うことができるようになっている。すなわち、操作者は上部カバー2を上方に開くことにより硬貨入金装置10における回転盤13や搬送部14等にアクセスすることができるようになり、これらの回転盤13や搬送部14等から硬貨を取り出すことによりエラー解除を行うことができるようになる。
以上のような構成からなる本実施の形態の貨幣入金機1によれば、エラー解除のための筐体1aの外部への硬貨や紙幣の取り出しの手順に係るガイダンス画面を少なくとも表示させることができる操作表示部86、88は、開閉可能となっている上部カバー2とは別に筐体1aに設けられており、上部カバー2を開けることによって筐体1aの内部にアクセス可能となっている。この場合には上部カバー2を上方に開いても操作表示部86、88は上部カバー2と一体的に移動することがないため、上部カバー2を筐体1aから開いた後に当該筐体1aの内部から外部にジャムの要因となる硬貨や紙幣を取り出す際に、上部カバー2が開かれた状態でも操作表示部86、88に表示されるガイダンス画面の視認性を維持することができ、よって、操作者にとっての作業性を向上させることができる。すなわち、従来技術ではエラー解除のための筐体外への硬貨や紙幣の取り出しの手順に係るガイダンス画面を表示させる操作表示部が上部カバーに取り付けられており、上部カバーを筐体から上方に開くと操作表示部もカバーと一体的に上方に移動するようになっていたため、上部カバーを筐体から上方に開いたときに、操作者にとって操作表示部に表示されるガイダンス画面が見にくくなり、筐体の内部から外部にジャムの要因となる硬貨や紙幣を取り出す際の作業性が悪くなってしまうという問題があった。これに対し、本実施の形態では、上部カバー2を筐体1aから上方に開いても操作表示部86、88の位置が変わらないため、操作表示部86、88に表示されるガイダンス画面の視認性を維持することができる。
また、本実施の形態の貨幣入金機1においては、上述したように、筐体1aの外部から内部に硬貨を投入するための投入部12の投入口や筐体1aの外部から内部に紙幣を投入するための投入部52の投入口が上部カバー2に設けられている。
また、本実施の形態の貨幣入金機1においては、上述したように、操作表示部86、88を所定位置(具体的には、図4に示す位置)から移動させることができるようになっている。より詳細には、操作表示部86、88を支持するための支持部4が設けられており、この支持部4は当該支持部4の基端部分に設けられた軸4pを中心として揺動可能となっている。この場合には、支持部4を所定位置から移動させることにより筐体1a内での作業スペースを広くすることができ、よって操作者にとっての作業性を向上させることができる。ここで、図4に示すように、支持部4は貨幣入金機1の筐体1aの前壁部分の少なくとも一部を構成している。また、図6や図12に示すように、支持部4は筐体1aの手前側に開くことができるようになっている。また、上述したように、支持部4を元の所定位置に戻る方向に付勢するための図示しない付勢部(具体的には、例えばねじりバネ等)が設けられており、このことより操作者は支持部4から手を離すだけでこの支持部4を元の所定位置に戻すことができるようになっている。
また、本実施の形態の貨幣入金機1においては、上述したように、上部カバー2が開かれた状態においてのみ操作表示部86、88を所定位置から移動させることができるようになっている。このことにより、筐体1aの内部から硬貨や紙幣を取り除くために上部カバー2を開く場合以外では操作表示部86、88が所定位置から移動してしまうことがないため、操作表示部86、88が不用意に移動してしまうことを防止することができる。
なお、本実施の形態による貨幣入金機1やこの貨幣入金機1による貨幣処理方法は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、変形例に係る貨幣入金機として、操作表示部86、88を支持するための支持部4を筐体1aから手前側に倒すのではなく横に開くことができるようになっていてもよい。具体的には、支持部4は鉛直方向に延びる軸(図示せず)を中心として揺動可能となっており、支持部4を図1に示すような所定位置から当該軸を中心として回転させることにより筐体1a内での作業スペースを広くすることができるようになっていてもよい。
また、本実施の形態による貨幣入金機は、操作表示部86、88を支持するための支持部4が軸4pを中心として揺動可能となっているものに限定されることはない。本実施の形態による貨幣入金機として、筐体1aの内部から外部にジャムの要因となる貨幣を取り出す際に、上部カバー2が開かれた状態でも操作表示部86、88に表示されるガイダンス画面の視認性を維持することができるものであれば、図1乃至図20に示すような構成以外のものを用いることができる。このような変形例に係る貨幣入金機1sの構成について図21を用いて以下に説明する。なお、図21に示すような変形例に係る貨幣入金機1sは、図1乃至図20に示す貨幣入金機1と比較して操作表示部86、88が支持部4により支持されるのではなく上部カバー2aに取り付けられるとともに当該上部カバー2aが複数のカバー部分2m、2nから構成されている点が異なるのみであり、他の構成部材については図1乃至図20に示す貨幣入金機1と実質的に同一となっている。このため、図21に示すような変形例に係る貨幣入金機1sを説明するにあたり、図1乃至図20に示す貨幣入金機1と略同一の構成部材については同一の参照符号を付してその説明を省略する。
図21に示すように、変形例に係る貨幣入金機1sの上部カバー2aは第1カバー部分2mおよび第2カバー部分2nから構成されており、第1カバー部分2mは水平方向に延びる軸2pを中心として筐体1aに対して回転可能となっている。また、第2カバー部分2nの上面には操作表示部86、88が設けられている。また、第1カバー部分2mおよび第2カバー部分2nは例えば蝶番(ヒンジ)2qにより接続されており、上部カバー2aが筐体1aから上方に開かれた後に第2カバー部分2nを第1カバー部分2mに対して手前側に倒すよう回転させることができるようになっている。このように、上部カバー2aを筐体1aから上方に開きながら、第2カバー部分2nを第1カバー部分2mに対して手前側に倒すよう回転させることにより操作表示部86、88の向きを変えることができ、よって操作者はこの第2カバー部分2nに設けられた操作表示部86、88に表示されるガイダンス画面を見ながら筐体1aの内部から貨幣を取り除く作業を行うことができるようになる。また、図21に示すような変形例に係る貨幣入金機1sの前壁部分6は、図1乃至図20に示すような支持部4と同様に、筐体1aから前方に倒すことができるようになっていてもよい。このことにより、前壁部分6を図21に示すような所定位置から前方に倒すことによって筐体1a内での作業スペースを広くすることができ、よって操作者にとっての作業性を向上させることができる。
図21に示すような変形例に係る貨幣入金機1sによれば、上部カバー2aが開かれた状態において操作表示部86、88の向きを変えることができるようになっている。より詳細には、上部カバー2aは複数のカバー部分(具体的には、第1カバー部分2mおよび第2カバー部分2n)から構成されており、各カバー部分2m、2nは他のカバー部分に対して回転可能に接続されており、上部カバー2aが開かれた状態において第2カバー部分2nを第1カバー部分2mに対して回転させることにより操作表示部86、88の向きを変えることができるようになっている。このような技術的事項により、上部カバー2aを筐体1aから開いた後に当該筐体1aの内部から外部にジャムの要因となる硬貨や紙幣を取り出す際に、上部カバー2aが開かれた状態でも操作表示部86、88に表示されるガイダンス画面の視認性を維持することができ、よって、操作者にとっての作業性を向上させることができる。すなわち、図21に示すような変形例に係る貨幣入金機1sでは、操作表示部86、88が上部カバー2aに取り付けられている場合でも、当該上部カバー2aを筐体1aから上方に開いたときに操作表示部86、88に表示されるガイダンス画面の視認性を維持することができる。
なお、操作表示部86、88が上部カバーに設けられるような変形例に係る貨幣入金機において、図21に示すように当該上部カバーを複数のカバー部分に分割する代わりに、上部カバーに対して操作表示部86、88を回転自在に取り付けるようにしてもよい。この場合でも上部カバーが開かれた状態において操作表示部86、88の向きを変えることができるようになるため、上部カバーを筐体1aから開いた後に当該筐体1aの内部から外部にジャムの要因となる硬貨や紙幣を取り出す際に、上部カバーが開かれた状態でも操作表示部86、88に表示されるガイダンス画面の視認性を維持することができ、よって、操作者にとっての作業性を向上させることができる。
また、本発明による貨幣処理装置は、貨幣の入金処理や計数処理を行う貨幣入金機に限定されることはない。本発明による貨幣処理装置として、貨幣の入金処理および出金処理をそれぞれ行うことができる貨幣入出金機が用いられてもよい。また、本発明による有価媒体処理装置は、貨幣の処理を行うものに限定されることはなく、貨幣以外の有価媒体(例えば、小切手や商品券等の有価証券)の処理を行うものであってもよい。このような貨幣入出金機や有価媒体処理装置にも本発明の原理を適用することができる。