JPWO2009014028A1 - フロートガラスの製造方法及びフロートガラスの製造設備 - Google Patents

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Abstract

本発明は、汚れや疵の発生を防止することが可能なフロートガラスの製造方法及びフロートガラスの製造設備を提供する。本発明は、溶融金属を収容した溶融金属浴槽の水平な浴面に溶融ガラスを連続的に供給してガラスリボンを形成し、前記ガラスリボンを前記浴面から引き上げ、複数の搬送ロールによって徐冷炉に搬送するフロートガラスの製造方法において、前記搬送ロールの表面に炭素膜を形成した状態で、前記ガラスリボンを形成、引き上げ、搬送することを特徴とするフロートガラスの製造方法に関する。

Description

本発明は、フロートガラスの製造方法及びフロートガラスの製造設備に関するものである。
フロートガラスの製造方法においては、まず、溶融金属を収容した浴槽の水平な浴面に溶融ガラスを連続的に供給してガラスリボンを形成し、次にガラスリボンを、溶融金属浴槽出口より引き上げて溶融金属浴槽外へ引き出す。このガラスリボンを浴槽の出口から引き上げる延伸力で目標の厚みに成形する。次いで、ガラスリボンを搬送ロール(リフトアウトロールともいう)によって搬送させて徐冷炉に搬入し、徐冷炉内を搬送させながら徐冷する。その後、ガラスリボンを所定の長さに切断することによって、板状のフロートガラスを製造する。
上記のフロートガラスの製造方法(以下、フロート法という)は、ガラスの一面を溶融金属の浴面によって形成するとともに、他面である自由面は溶融ガラスが溶融金属上に広がることによって形成されるので、ガラスの平坦性が極めて高くなり、また、大量生産にも適した方法である。従って、自動車用ガラス、建築用ガラス、プラズマディスプレイ用ガラス及び液晶ディスプレイ用ガラス等の板ガラス生産に適用されている。
ところで、フロート法においては、ガラスリボンを溶融金属の浴面から引き上げる際、溶融金属がガラスリボンの下面に付着して溶融金属浴槽から持ち出され、リフトアウトロールの外周面に付着する場合がある。付着した溶融金属は、リフトアウトロールの外周面において凸部となる酸化物を生成したり、あるいはリフトアウトロールの外周面を腐食して凹部や微細な傷を生じさせ、ガラスリボンに汚れや疵を発生させる虞れがある。
また、フロート法においては、溶融金属浴槽の溶融金属が、溶融金属浴面から引き上げられて前記浴面から離れる部分より下流に位置する浴槽壁上端部およびその近傍に付着しやすい。そして、この付着した溶融金属が、ガラスリボンの下面に再付着することによって溶融金属浴槽から持ち出され、リフトアウトロールの外周面に付着して、上記と同様に、凸部となる酸化物を生成したり、リフトアウトロールの外周面を腐食して凹部や微細な疵を生じさせ、ガラスリボンに汚れや疵を発生させる虞れがある。
このようなリフトアウトロールの外周面における酸化物の生成や外周面の腐食を防止するために、従来、特許文献1に記載されているようにロール胴部を石英で形成したリフトアウトロールが使用されている。ロール胴部を石英で形成することによって、溶融金属やその酸化物の付着がある程度抑制することが可能になっている。
特開2006−37168号公報
上記のように、ロール胴部の表面が石英で構成されたリフトアウトロールでは、溶融金属やその酸化物の付着をある程度抑制することが可能であるが、完全に抑制されるものではない。特に、いわゆるフラットパネルディスプレイの基板に使用されるガラスを製造する際には、ごく僅かな汚れや疵の発生でもディスプレイの表示不良の原因になるので、ガラスリボンの汚れや疵の発生を極力防止する必要がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、ガラスリボンにおける汚れや疵の発生を防止することが可能なフロートガラスの製造方法及びフロートガラスの製造設備を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明のフロートガラスの製造方法は、溶融金属を収容した溶融金属浴槽の水平な浴面に溶融ガラスを連続的に供給してガラスリボンを形成し、前記ガラスリボンを前記浴面から引き上げ、複数の搬送ロールによって徐冷炉に搬送するフロートガラスの製造方法において、前記搬送ロールの表面に炭素膜を形成した状態で、前記ガラスリボンを形成、引き上げ、搬送することを特徴とする。
次に、本発明のフロートガラスの製造設備は、溶融金属が収容され、前記溶融金属の水平な浴面に溶融ガラスが連続的に供給されてガラスリボンが形成される溶融金属浴槽と、前記ガラスリボンが徐冷される徐冷炉と、前記溶融金属浴槽から前記徐冷炉に前記ガラスリボン搬送する搬送ロールと、が備えられたフロートガラスの製造設備において、前記搬送ロールの表面に炭素膜が形成されていることを特徴とする。
本発明のフロートガラスの製造方法によれば、搬送ロールの表面に炭素膜が形成されるので、搬送ロールに対する溶融金属やその酸化物の付着を防止することができ、汚れや疵が無いガラスリボンを製造できる。また、炭素膜は潤滑剤としても機能するため、搬送ロールとガラスリボンとの間に速度差が生じてガラスリボンが搬送ロールのロール面上で擦れた場合でも、ガラスリボンに疵をつけるおそれがない。
また、本発明のフロートガラスの製造方法においては、溶融金属浴槽の浴槽壁上端部及びその近傍の表面に炭素膜を形成してもよく、この場合は、浴槽壁上端部およびその近傍に溶融金属やその酸化物が付着しにくくなり、浴槽壁上端部およびその近傍の表面から溶融金属やその酸化物がガラスリボンの下面に付着することがなく、これにより搬送ロールに対する溶融金属やその酸化物の再付着を防止することができ、汚れや疵が無いガラスリボンを製造できる。
また、本発明のフロートガラスの製造方法においては、炭素含有ガスを供給し熱分解させて炭素膜を形成することが好ましく、この場合には、ガラスリボンの製造中に炭素膜が摩耗または分解した場合でも炭素膜を新たに形成することができ、これにより、汚れや疵が無いガラスリボンを連続して製造できる。
また、本発明のフロートガラスの製造方法においては、炭素含有ガスとしてアセチレンを選択することが好ましく、この場合には、緻密な炭素膜を容易に形成することができ、搬送ロールや浴槽壁上端部等に対する溶融金属またはその酸化物の付着を防止することができ、汚れや疵が無いガラスリボンを製造できる。
次に、本発明のフロートガラスの製造設備によれば、搬送ロールの表面に炭素膜が形成されているので、搬送ロールに対する溶融金属やその酸化物の付着が防止され、汚れや疵が無いガラスリボンを製造できる。また、炭素膜は潤滑剤としても機能するため、搬送ロールとガラスリボンとの間に速度差が生じてガラスリボンが搬送ロールのロール面上で擦れた場合でも、ガラスリボンに疵をつけるおそれがない。
また、本発明のフロートガラスの製造設備においては、溶融金属浴槽の浴槽壁上端部およびその近傍の表面に炭素膜が形成されていてもよく、これにより浴槽壁上端部等に対する溶融金属やその酸化物の付着が防止されて、搬送ロールに対する溶融金属やその酸化物の再付着が防止され、汚れや疵が無いガラスリボンを製造できる。
また、本発明のフロートガラスの製造設備において、炭素含有ガスを供給し熱分解させて炭素膜を形成する炭素膜形成装置が備えられることが好ましく、搬送ロール表面や浴槽壁上端部およびその近傍の表面に炭素膜を容易に形成することができる。これにより、これら部材への溶融金属やその酸化物の付着が防止され、汚れや疵が無いガラスリボンを製造できる。
また、本発明のフロートガラスの製造設備において、搬送ロールの長手方向に沿って少なくとも1つのガス供給ノズルを配置することで、搬送ロールの搬送ロール表面の全面に炭素膜を形成することができる。
また、本発明のフロートガラスの製造設備においては、炭素含有ガスとしてアセチレンを選択することが好ましく、この場合には、緻密な炭素膜を容易に形成可能となり、搬送ロールや浴槽壁上端部等に対する溶融金属またはその酸化物の付着が防止され、汚れや疵が無いガラスリボンを製造できる。
図1は、本発明の実施形態であるフロートガラスの製造設備を示す断面模式図である。 図2は、図1のフロートガラスの製造設備に備えられた炭素膜形成装置を示す斜視模式図である。 図3は、図2の炭素膜形成装置を構成する導入部を示す斜視模式図である。 図4は、炭素膜形成装置を構成する導入部の設置例を示す断面模式図である。 図5は、炭素膜形成装置を構成する導入部の設置例をガラスリボンの移動方向から見た模式図である。 図6は、炭素膜形成装置を構成する導入部の別の設置例を示す断面模式図である。 図7は、炭素膜形成装置を構成する導入部の他の設置例を示す断面模式図である。 図8は、図1のフロートガラスの製造設備に備えられた溶融金属浴槽の浴槽壁上端部を示す断面模式図である。 図9は、実施例における炭素膜形成用の実験装置を示す断面模式図である。 図10は、実施例における炭素膜の摩擦係数の評価装置を示す断面模式図である。 図11は、実施例2において製造した炭素膜を示す写真である。 図12は、実施例2において製造した炭素膜の走査型電子顕微鏡写真である。
符号の説明
1a…溶融金属、1b…浴面、1c…溶融金属浴槽、1e…浴槽壁上端部、2a…リフトアウトロール(搬送ロール)、2b…ロール面、3…徐冷炉、5…溶融ガラス、6…ガラスリボン、11…炭素膜形成装置、12…ガス供給部(ガス供給手段)、14b…ガス供給ノズル、30…炭素膜、TO…テイクオフ部
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。尚、以下の説明において参照する図面は、本実施形態のフロートガラスの製造設備及びフロートガラスの製造方法を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の製造設備の寸法関係とは異なる場合がある。
まず本実施形態のフロートガラスの製造設備(以下、製造設備という)について説明する。図1は、本実施形態のフロートガラスの製造設備を示す断面模式図であり、図2は、図1のフロートガラスの製造設備に備えられた炭素膜形成装置を示す斜視模式図である。
図1に示す製造設備は、ガラス原料を溶解し、清澄させる溶解清澄槽(図示略)の後段に設置されたメタルバス1と、メタルバス1の後段に設置されたメタルバスイグジット部2と、メタルバスイグジット部2の後段に設置された徐冷炉3とから概略構成されている。
また、徐冷炉3の後段には、ガラスリボン6の表面を検査する図示略の欠点検出器と、冷却されたガラスリボン6を切断する図示略の切断機とが備えられている。
メタルバス1は、図1に示すように、溶融金属1aが満たされた溶融金属浴槽1cと、溶融金属浴槽1cの上部に設置された上部構造体1dとからなり、メタルバス1の内部が外部雰囲気とは極力遮断されるように構成されている。また、メタルバスイグジット部2は、リフトアウトロール2aを備えた下部ケーシングであるドロスボックス2Aと、上部ケーシングであるシーリングゲート2Bとから概略構成されている。
溶融金属浴槽1cには、金属錫等からなる溶融金属1aが満たされており、溶解清澄槽(図示略、以下同様)から溶融ガラス5がこの溶融金属1aの浴面1b上に連続的に供給されるように構成されている。また、上部構造体1dには図示略のパイプが備えられ、このパイプから水素及び窒素からなる還元性混合ガスが供給されて、メタルバス1内が常に大気圧以上の還元性雰囲気に保持されている。これにより、メタルバス1の内部が外部雰囲気とは極力遮断されるようになっている。メタルバス内の還元雰囲気は、ガラスリボン6が引き出されるメタルバス1の出口からドロスボックス2A側にも流出するようになっている。
次に、ドロスボックス2Aにはリフトアウトロール2a(搬送ロール)が備えられており、溶融金属浴槽1cから板状に成形されたガラスリボン6をリフトアウトロール2aの牽引力によって引き出すように構成されている。リフトアウトロール2aは、石英で形成されたロール胴部とロール胴部を支持するシャフトから概略構成されており、このロール胴部のロール面には炭素膜が形成されている。炭素膜は、後述する炭素膜形成装置によって、ガラスリボンの形成、引き上げ若しくは搬送中に、または生産開始前やこれらの合間に形成されるものである。この炭素膜によって、溶融金属1aまたはその酸化物が、リフトアウトロール2aに対して付着しにくくなっている。なお、リフトアウトロール2aの本数に特に制限はなく、ガラスリボン6を徐冷炉に搬送できれば何本備えても良い。
また、各リフトアウトロール2aの下部には、溶融金属浴槽1cと徐冷炉3との間の気流を遮断するために、グラファイト製のシールブロック21が配置されている。各シールブロック21は、その上面が各リフトアウトロール2aのロール面と接するように台座22の上に設置されている。
また、メタルバスイグジット部2には、図示略のヒータが設けられており、ガラスリボン6の温度を調整できるようになっている。更に、リフトアウトロール2aの下方には、窒素等の不活性ガスを噴出させる図示略の配管が設置されている。この不活性ガスは400〜600℃に予熱した後に噴出することが好ましい。これは、不活性ガスによってガラスリボン6が局部的に冷却されるのを防ぐためである。
また、リフトアウトロール2aの上方には、鋼材製のシーリングゲート2Bが設けられている。また、メタルバスイグジット部2の入口及び出口と、ガラスリボン6とリフトアウトロール2aとの接点の上方とにそれぞれ、ステンレス製のドレープ2cが配置されている。各ドレープ2cは、シーリングゲート2Bから吊り下げられた状態でガラスリボン6と接触しない位置に設置されている。ドレープ2cを設けることによって、溶融金属浴槽1c内の圧力低下ならびに溶融金属浴槽1c内への酸素の侵入による溶融金属1aの汚染が防止できるようになっている。
次に、徐冷炉3には、レヤーロール3bが備えられており、ドロスボックス2Aから搬送されたガラスリボン6を、レヤーロール3bによって徐冷炉3内を搬送するように構成されている。
溶解清澄槽で溶融された溶融ガラス5は、溶解清澄槽から溶融金属浴槽1cの溶融金属1aの浴面1b上に連続的に供給され、溶融ガラス5を所望の厚みと幅のガラスリボン6に成形した後、リフトアウトロール2a(搬送ロール)の牽引力によって溶融金属浴槽1cの出口から引き出される。ガラスリボン6は、メタルバスイグジット部2を通過して徐冷炉3に搬送され、徐冷炉3内部を通過する際に徐々に冷却される。
次に図2に示すように、本実施形態の製造設備には、リフトアウトロール2aに炭素膜を形成するための炭素膜形成装置11が備えられている。炭素膜形成装置11は、リフトアウトロール2aのロール面(表面)の周囲に炭素含有ガスを供給し、炭素含有ガスを熱分解させてロール面に炭素膜を形成するものであって、ガス供給部12(ガス供給手段)と、リフトアウトロール2aの長手方向に沿ってロール面に対向するように配置された少なくとも1つのガス供給ノズルと、ガス供給部12に接続されてガス供給ノズルに炭素含有ガスを導く少なくとも1つの導入部13と、から構成されている。ガス供給ノズル及び導入部13が複数の場合、各導入部13は、ガス供給部12から分岐して接続され、各リフトアウトロール2aの回転軸に平行な方向(長手方向)に沿って延在している。なお、ガス供給ノズルは、リフトアウトロール2aのロール面周囲に略均一に、炭素含有ガスを供給できればどのような形状でもよく、リフトアウトロール2aと略同じ長さの一体のノズルでも良いし、噴出し口直径1mm〜30mmの個別のノズルが複数リフトアウトロール面に沿って配置されても良い。
ガス供給部12は、炭素含有ガスと不活性ガスとの混合ガスを供給するものであって、炭素含有ガス源12aと不活性ガス供給源12bとから構成されている。炭素含有ガス源12aから供給される炭素含有ガスとしては、例えば炭化水素が好ましく、その中でもアセチレンが特に好ましい。また、不活性ガス供給源12bから供給される不活性ガスとしては、例えば窒素ガス等が好ましい。不活性ガスは、600℃程度に加熱されていることが好ましい。また、この混合ガス(以下、導入ガスという)における炭素含有ガスの濃度は、例えば30体積%以下が好ましい。更に、導入ガスの温度は、500℃〜600℃の範囲が好ましい。600℃以下であるとガス供給部12及び導入部13内部において炭素含有ガスが分解しにくく、500℃以上であるとコーティングされる部材を冷やして製造プロセスに影響を与えるおそれが少なくなる。
導入部13は、図3に示すように、中空部14aを有する円筒状のノズル用外挿管14(以下、外挿管14という)と、外挿管14の中空部14aに挿入された複数のガス供給用内挿管15(以下、内挿管15という)とから構成されている。図3においては、4本の内挿管15が備えられており、各内挿管15は、それぞれ異なる長さとされている。また、各内挿管15の一端15a側がガス供給部12に接続されており、各内挿管の他端15b側にはガス供給口15cが開口されている。また、外挿管14には、その長手方向に沿って複数のガス供給ノズル14bが設けられている。各ガス供給ノズル14bは、各内挿管の他端15bにあるガス供給口15cの位置と対応する箇所に設けられている。
この構成によって、ガス供給部12から導入部13に供給された導入ガスは、導入部13を構成する内挿管15を流通してガス供給口15cから放出され、放出された導入ガスはそれぞれ、近くにあるガス供給ノズル14bを主に通過して外部に放出されるようになっている。なお、外挿管14の先端部14cは閉塞されており、これにより導入ガスが先端部14cから漏出しないように構成されている。図3においては、一点鎖線によって導入ガスの流れを示している。
図4及び図5には、導入部13の設置例を、断面模式図及びガラスリボン6の移動方向から見た模式図で示している。導入部13を構成する外挿管14は、例えば図4に示すように、リフトアウトロール2aの下側であって、グラファイト製のシールブロック21の内部に設置されている。シールブロック21は上述したように、溶融金属浴槽1cと徐冷炉3との間の気流を遮断するために、リフトアウトロール2aのロール面2bと接するように設置されるが、図4に示すように、このシールブロック21の上面21aに溝部21bを形成し、この溝部21bに導入部13をなす外挿管14を挿入して設置するとよい。また、外挿管14を設置する場合は、ガス供給ノズル14bをロール面2b側に向けて設置するとよい。更に、シールブロック21による気流の遮断機能を有効に機能させるためには、シールブロック21に設けた溝部21bを塞ぐようにリフトアウトロール2aを配置するとよい。溝部21bを塞ぐようにリフトアウトロール2aを配置するとともに、この溝部21bに外挿管14を設置することで、外挿管14のガス供給ノズル14bから放出された導入ガスが溝部21bの外部に拡散し難くなり、シールブロック21に設けた溝部21bは、炭素含有ガスの反応室として機能する。
また、図5に示すように、導入部13をリフトアウトロール2aに設置する場合は、外挿管14に設けたガス供給ノズル14bが、リフトアウトロール2aの回転軸方向に沿って等間隔に並ぶように配置するとよい。これにより、リフトアウトロール2aのロール面2bのほぼ全面に渡って導入ガスが均等に供給されるので、炭素膜の成長速度がほぼ一定になる。なお、図4及び図5においては、リフトアウトロール2aのロール面2bに炭素膜30が形成された状態を図示している。
次に、図6には、導入部13の別の設置例を断面模式図で示している。この別の設置例では、先の例とは異なり、シールブロック21からやや離れた位置であってロール面2bと対向する位置に導入部13を設置している。この場合は、外挿管14に気流制御板16を取り付けるとよい。気流制御板16は、ガス供給ノズル14bを挟むように一対で設置し、かつロール面2b側に突出するように設置するとよい。気流制御板16を設けることで、ロール面2bに導入ガスが接し易くなり、ロール面2bと外挿管14との間から導入ガスが拡散して流出する量を減少させることができる。また、本例によれば、シールブロック21とロール面2bが接触しているので、気流の遮断機能をより機能させることができる。
次に、図7には、導入部の他の設置例を断面模式図で示している。この他の設置例では、図4に示す例と同様に、シールブロック21の上面21aに溝部21cを形成し、この溝部21cに導入部13をなす外挿管14を挿入するが、図4と異なる点は、溝部21cの形成位置をロール面2bの接触位置Sからやや外れた位置に設置している点である。更に詳細に言うと、シールブロック21とロール面2bとの接触位置Sからロール2aの回転方向の進行側に片寄った位置に設置している。また、シールブロック21の端部には突出部21bが形成されており、この突出部21bによって、ロール面2bとシールブロック21との間隔が狭くなっている。これにより、外挿管14のガス供給ノズル14bから放出された導入ガスが溝部21cの外部に拡散し難くなり、シールブロック21に設けられた溝部21cが、炭素含有ガスの反応室として機能する。また、本例によれば、シールブロック21による気流の遮断機能をより機能させることができる。
次に、上記の製造設備を用いたフロートガラスの製造方法について説明する。
図1において、溶解清澄槽で溶融された溶融ガラス5を、溶解清澄槽から溶融金属浴槽1cの溶融金属1aの浴面1b上に連続的に供給する。溶融ガラス5を所望の厚みと幅のガラスリボン6に成形した後、リフトアウトロール2aの牽引力によって溶融金属浴槽1cの出口から引き出し、引き出されたガラスリボン6は、リフトアウトロール2aによってメタルバスイグジット部2内を搬送されて徐冷炉3に送られる。徐冷炉3に送られたガラスリボン6は、徐冷炉3内部を通過する際に徐々に冷却される。
このガラスリボン6の形成、引き上げ若しくは搬送といった一連の操作と同時に、またはこれらの操作の合間に、図2に示すガス供給部12から、炭素含有ガスと不活性ガスからなる導入ガスを導入部13に供給する。導入部13に供給された導入ガスは、ガス供給用の内挿管15を経由して、外挿管14の各ガス供給ノズル14bから、回転するリフトアウトロール2aのロール面2bに向けて放出される。このとき、導入ガスに含まれる炭素含有ガスが、ロール面2bにおいて熱分解して、ロール面2bに緻密な炭素膜30が形成される。また、導入ガスが供給される際には、リフトアウトロール2aを回転させることが、ロール面2bの全面に炭素膜を均一な厚みで形成できるので好ましい。
フロートガラスの製造設備に備えられるリフトアウトロール2aは、溶融金属浴槽1c中の溶融金属1aの酸化を防止するために水素ガスを含む還元雰囲気下に設置されている。また、リフトアウトロール2aは、溶融金属浴槽1cから引き上げられたガラスリボン6が接するので、ガラスリボンの反りや割れを防止するために、650℃〜700℃程度の高温雰囲気中に配置されている。このような還元性で高温の雰囲気中においては、炭素含有ガスとしてはアセチレンを用いることが、緻密な炭素膜30を形成できる点から好ましい。アセチレンはロール表面2bにおいて還元分解されて炭素膜30を形成する。
また、リフトアウトロール2aのロール面2bは、例えば、石英、Fe等で形成されていることが好ましい。
導入ガスにおける炭素含有ガス、好ましくはアセチレンガスの濃度は、40体積%以下が好ましく、10〜20体積%の範囲がより好ましい。濃度が40体積%以下であれば、均質な炭素膜が形成され、炭素の凝集体が形成されにくくなる。また、濃度が10〜20体積%の範囲であれば、アセチレンの供給量が十分なものとなり、炭素膜30をより均一に形成することができる。
また、導入ガスの供給量は、ロールのサイズ、ロールの回転速度、暴露するための開口部面積に合せて適宜設定すればよい。
また、導入ガスの供給は、一定の時間を空けて間欠的に供給してもよいが、炭素膜30の均質性を保つためには、常に連続して供給することが好ましい。ロール面2bに形成された炭素膜は、還元雰囲気中に設置されるので通常は酸化分解されないが、徐冷炉3側から微量の酸素がドロスボックス2Aの内部に混入する場合があり、このような場合には、微量の酸素によって炭素膜30が酸化分解され、炭素膜30の膜厚が部分的に薄くなったり、炭素膜30が部分的に消失する場合もある。また、ガラスリボン6はリフトアウトロール2aとは僅かにスリップしながら搬送されているため炭素膜が磨耗することも避けがたい。従って、炭素膜30の均質性を保つためには、原料ガスを常に連続して供給することが好ましい。
なお、炭素膜30の厚みは特に制限されないが、好ましくは0.01μm〜10μmの範囲である。炭素膜30の厚みが0.01μm以上であれば、溶融金属1aまたはその酸化物の付着を確実に防止できるので好ましい。また、炭素膜30の厚みが10μm以下であれば、炭素膜30が剥がれてガラスリボン6に付着するおそれがない。また、万一、ガラスリボン6に炭素膜30の一部が付着した場合でも、ガラスリボン6が搬送される後段の徐冷炉3は大気雰囲気なので、炭素膜30が大気雰囲気中の酸素によって酸化されて二酸化炭素となり、ガラスリボン6の表面から消失するので、ガラスの品質上、特に問題にならない。より好ましい炭素膜30の厚みは0.1μm〜1μmの範囲である。
以上説明したように、上記のフロートガラスの製造方法によれば、リフトアウトロール2aのロール面2bに炭素膜30を形成するので、Sn等の溶融金属1aに対するリフトアウトトロール2aの濡れ性を低減させることが可能になる。これにより、リフトアウトロール2aに対する溶融金属1aやその酸化物の付着を、炭素膜30の形成によって防止することができ、また、炭素膜30は潤滑剤としても機能するため、汚れや疵が無いガラスリボン6を製造できる。
本発明では、リフトアウトロール2aに対する炭素膜30の形成と同時に、ガラスリボン6の下側に隣接する部材である溶融金属浴槽1cの浴槽壁上端部1eおよび浴槽壁上端部近傍に炭素膜を形成してもよい。
図8に、図1のフロートガラスの製造設備に備えられた溶融金属浴槽1cの浴槽壁上端部1eを断面模式図で示す。
溶融金属浴槽1cの浴槽壁上端部1eとは、図8に示すように、ガラスリボン6のテイクオフ部TOの下流にある浴槽壁1fの上端部である。なお、ガラスリボン6のテイクオフ部TOとは、溶融金属1aの浴面1bからガラスリボン6を連続的に引き上げる際にガラスリボン6が浴面1bから離れる位置を指す。このテイクオフ部TO近傍に位置する浴槽壁上端部1eは、ガラスリボン6の下側に隣接する部材であるが、溶融金属1aやその酸化物が付着しやすい部分である。浴槽壁上端部1eに付着した溶融金属1aやその酸化物が、ガラスリボン6の下面に再付着することによって溶融金属浴槽1cから持ち出され、リフトアウトロール2a等の搬送ロールの外周面に付着する場合がある。
また、浴槽壁上端部近傍とは、図8に示すように、ガラスリボン6のテイクオフ部TOの下流にある浴槽壁1eの側壁部1gであって、浴槽壁上端部1eを挟む側壁部1gである。この側壁部1gにも溶融金属1aやその酸化物が付着しやすい。
そこで、上記のリフトアウトロール2aの場合と同様に、浴槽壁上端部1eおよび/または側壁部1gの周囲に炭素膜形成装置のガス供給ノズル114bを配置し、このガス供給ノズル114bから炭素含有ガスを供給して、炭素膜31を形成することが好ましい。
炭素膜31を形成することにより、溶融金属1aに対する浴槽壁上端部1eおよび/または側壁部1gの濡れ性を低減することが可能になり、溶融金属1aが付着しにくくなる。
これによりガラスリボン6、リフトアウトロール2aに対する溶融金属1aまたはその酸化物の付着を防止することができ、汚れや疵が無いガラスリボン6を製造できる。なお、浴槽壁上端部1eへの炭素膜31のコーティングに用いる炭素含有ガスとしては、例えば、アセチレン、エチレン、エタン、メタン、プロパン等を例示できる。
(実験1)
図9に示す炭素膜形成用の実験装置を用いて、リフトアウトロールのロールの構成材料である石英ガラス板(サンプル)105に炭素膜を形成し、形成された炭素膜について各種の評価を行った。
図9に示す実験装置について説明すると、この実験装置100は、管状の反応容器101の外周に加熱ヒータ102が配設された管型電気炉103を主体として構成されている。反応容器101の内部には、耐熱性材料からなるサンプル台104が設置され、このサンプル台104には炭素膜が形成される石英ガラス板105が設置されている。また、反応容器101には、炭素含有ガスを含む導入ガスを供給する石英ガラス製の供給管106が配設されている。供給管106の先端にあるガス供給ノズル106aは、石英ガラス板105の表面近傍に配置されており、炭素含有ガスを石英ガラス板105の表面の周囲に供給できるようになっている。更に、反応容器101には、水素を含む還元性ガスを供給する別の供給管107が配設されている。
上記の実験装置を用いた炭素膜の形成方法について説明する。まず、反応容器101のサンプル台104に、石英ガラス板105を設置し、導入ガスが石英ガラス板105の表面に吹きかけられるようにガス供給ノズル106aを配置する。次に、ガラス製造設備のメタルバスイグジット部と同様の雰囲気になるように、別の供給管107から水素と窒素の混合ガスからなる還元性ガスを反応容器101内に供給する。そして、加熱ヒータ102によって反応容器内を所定の処理温度まで昇温する。その後、ガス供給ノズル106aより所定の濃度の導入ガス(所定の炭化水素と窒素との混合ガス)を導入し、所定の処理時間に渡って炭素膜の形成処理を行った後、導入ガスの導入を停止して残ガスを排出した後温度を下げる。
上記の手順に従って、炭素含有ガスの種類、導入ガス中の炭素含有ガスの濃度、処理温度及び処理時間を下記表1の通りに設定して、実施例1〜13及び比較例1〜2のサンプルを得た。
得られたサンプルについて、石英ガラス板105の表面状態を光学顕微鏡及び走査電子顕微鏡(SEM)で観察した。炭素膜が形成されたものについては、炭素膜の摩擦係数の測定を行うとともに、錫の濡れ性を評価した。結果を表2に示す。
炭素膜の摩擦係数の測定は、図10に示す評価装置を用いて行った。図10に示す評価装置について説明すると、この評価装置200は、管状の容器201の外周に加熱ヒータ202が配設された管型電気炉203を主体として構成されている。容器201の内部には、ステンレス製の一対のロール切片204が設置され、一方のロール切片204には位置計測用のルビー針204aが埋め込まれている。これらのロール切片204上には、上記の実験装置によって処理された石英ガラス板105が被処理面を下にして設置されている。
石英ガラス板105上には重り205aが載せられており、ロール切片204との接触面積当たり100gの荷重が印加されている。更に、石英ガラス板105には白金ワイヤー206が取り付けられ、白金ワイヤー206は巻取器207に接続されており、ロール切片に対して石英ガラス板105を30mm/分の速度で摺動できるようになっている。また白金ワイヤー206には、荷重計208が組み込まれており、ロール切片に対する石英ガラス板105の摩擦力を計測可能になっている。更に、容器201には、水素と窒素との混合ガスを供給する供給管209が配設されている。
そして、容器201内の雰囲気を、ガラス製造設備のメタルバスイグジット部と同様の雰囲気になるように、供給管209から水素と窒素の混合ガスを供給し、加熱ヒータ202によって容器201内を500℃まで昇温した状態で、巻取器を作動させて摩擦力の評価を行った。計測された摩擦力から、摩擦係数を求めた。結果を表2に示す。
また、錫の濡れ性については、高温での金属の濡れ性を評価する装置(アルバック株式会社製のWET1200)を用いて実施した。同装置の加熱ステージ上に上記の実験装置によって処理された石英ガラス板105を被処理面を上にして設置し、石英ガラス板105に開けた小さな孔より、溶けた錫を噴出させ、溶融状態の錫のその接触角を測定した。
接触角が110°以上のものを「良好」と評価し、110°未満のものを「不十分」と評価した。結果を表2に示す。
Figure 2009014028
Figure 2009014028
表1及び表2に示すように、比較例1には熱処理の場合を示し、比較例2には未処理の場合を示すが、これら比較例1及び2では炭素膜が無いため、摩擦係数も高く、錫に対してすぐに濡れてしまった。
一方、アセチレン(C)を用いて炭素膜の形成を行った場合は、実施例1〜11に示すように、650℃〜700℃の範囲で熱分解が起こり、良好な炭素膜が形成された。一例として、実施例2のサンプルの表面状態を図11及び図12に示す。図11は、ガラスに炭素膜が付いた状態を肉眼で観察した写真で、光沢からガラス表面に均一な厚さの平滑な膜が生成しているのが判る。図12は、図11の炭素膜を電子顕微鏡で観察した写真で、表面は径10nm程度の炭素の微粒子(白い部分)が均一に隙間無く分布しており、この膜が非常に緻密で傷付きにくいことが判る。これにより実施例2のサンプルには、緻密で均質な炭素膜が形成されていることが明らかである。
また、プロパン(C)、ベンゼン(C)のようなアセチレン(C)以外の炭素膜の形成を行った場合でも、実施例12および13に示すように、1000℃の程度の温度で熱分解が起こり、良好な炭素膜が形成された。
また、炭素膜が形成された実施例1〜13においては、摩擦係数が低く、錫に対する濡れ抑制も良好であった。
(実験2)
ガラス製造設備のメタルバスイグジット部に、図2〜5に示す炭素膜形成装置を設置して実機試験を行った。図2〜5に示すように、回転するリフトアウトロールの下側にガス供給ノズルを設置して、ロール表面に原料ガスが吹き出るようにして、原料ガスを噴出させた場合と噴出させない場合でのガラスリボンのスリップ傷の発生頻度などを比較した。
導入ガスは、窒素と混合してアセチレン濃度20%に調整した混合ガス(導入ガス)を用い、直径300mm、長さ4mのリフトアウトロールに対して、導入ガスの供給量を0.6m/hとした。また、雰囲気温度(メタルバスイグジット部内の温度)を700℃とし、雰囲気ガスは水素と窒素との混合ガスとした。
その結果、噴出された導入ガスにより、リフトアウトロールのロール面は、炭素膜が生成され黒変し、成膜前に比べて、ガラスリボンのスリップ傷の発生頻度が約50%まで低下した。ガラスリボンに付着した炭素膜片によって欠点が発生することが懸念されたが、実際には大気雰囲気に晒された時点で炭素膜片が燃焼消滅し、欠点とはならなかった。
以上のように、搬送ロールの表面に炭素膜が形成させることにより、搬送ロールに対する溶融金属やその酸化物の付着を防止することができ、汚れや疵が無いガラスリボンを製造できる。また、炭素膜は潤滑剤としても機能するため、搬送ロールとガラスリボンとの間に速度差が生じてガラスリボンが搬送ロールのロール面上で擦れた場合でも、ガラスリボンに疵をつけるおそれがない。さらに導入ガスを連続または間欠して搬送ロールの周辺に噴出させ、磨耗等によって減少した炭素膜を補強することにより、長期間汚れや疵が無いガラスリボンを製造できる。
また、溶融金属浴槽の浴槽壁上端部及びその近傍に炭素膜を形成させることにより、浴槽壁上端部およびその近傍に溶融金属やその酸化物が付着しにくくなり、浴槽壁上端部およびその近傍にから溶融金属やその酸化物がガラスリボンの下面に付着することがない。
したがって、搬送ロールに対して溶融金属やその酸化物の再付着を防止することができ、汚れや疵が無いガラスリボンを製造できる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2007年7月23日出願の日本特許出願2007−190708に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

Claims (9)

  1. 溶融金属を収容した溶融金属浴槽の水平な浴面に溶融ガラスを連続的に供給してガラスリボンを形成し、前記ガラスリボンを前記浴面から引き上げ、複数の搬送ロールによって徐冷炉に搬送するフロートガラスの製造方法において、
    前記搬送ロールの表面に炭素膜を形成した状態で、前記ガラスリボンを形成、引き上げ、搬送することを特徴とするフロートガラスの製造方法。
  2. 前記ガラスリボンが前記浴面から引き上げられて前記浴面から離れる部分より下流に位置する前記溶融金属浴槽の浴槽壁上端部および前記浴槽壁上端部近傍の表面に、炭素膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフロートガラスの製造方法。
  3. 前記炭素膜が、炭素含有ガスを熱分解させて形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフロートガラスの製造方法。
  4. 前記炭素含有ガスがアセチレンであることを特徴とする請求項3に記載のフロートガラスの製造方法。
  5. 溶融金属が収容され、前記溶融金属の水平な浴面に溶融ガラスが連続的に供給されてガラスリボンが形成される溶融金属浴槽と、前記ガラスリボンが徐冷される徐冷炉と、前記溶融金属浴槽から前記徐冷炉に前記ガラスリボン搬送する搬送ロールと、が備えられたフロートガラスの製造設備において、
    前記搬送ロールの表面に炭素膜が形成されていることを特徴とするフロートガラスの製造設備。
  6. 前記前記浴面から離れる部分より下流に位置する前記溶融金属浴槽の浴槽壁上端部および前記浴槽壁上端部近傍の表面に、炭素膜が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のフロートガラスの製造設備。
  7. 炭素含有ガスを供給し、熱分解させて前記炭素膜を形成する炭素膜形成装置が備えられていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のフロートガラスの製造設備。
  8. 炭素膜形成装置が、前記搬送ロールの長手方向に沿って前記搬送ロール表面に対向するように配置された少なくとも1つのガス供給ノズルと、前記ガス供給ノズルに前記炭素含有ガスを供給するガス供給手段と、前記ガス供給手段から前記ガス供給ノズルに前記炭素含有ガスを導くガス導入部と、から構成されることを特徴とする請求項7に記載のフロートガラスの製造設備。
  9. 前記炭素含有ガスがアセチレンであることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のフロートガラスの製造設備。
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