JP2019137562A - フロートガラス製造方法 - Google Patents

フロートガラス製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019137562A
JP2019137562A JP2018019233A JP2018019233A JP2019137562A JP 2019137562 A JP2019137562 A JP 2019137562A JP 2018019233 A JP2018019233 A JP 2018019233A JP 2018019233 A JP2018019233 A JP 2018019233A JP 2019137562 A JP2019137562 A JP 2019137562A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas
gas discharge
discharge nozzle
heat treatment
float
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018019233A
Other languages
English (en)
Inventor
史朗 谷井
Shiro Tanii
史朗 谷井
洋一 世良
Yoichi Sera
洋一 世良
丈宜 三浦
Takenori MIURA
丈宜 三浦
智 倉田
Satoshi Kurata
智 倉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP2018019233A priority Critical patent/JP2019137562A/ja
Priority to CN201910084531.6A priority patent/CN110117152A/zh
Publication of JP2019137562A publication Critical patent/JP2019137562A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B18/00Shaping glass in contact with the surface of a liquid
    • C03B18/02Forming sheets
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C17/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating
    • C03C17/22Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with other inorganic material
    • C03C17/23Oxides
    • C03C17/245Oxides by deposition from the vapour phase
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C2218/00Methods for coating glass
    • C03C2218/10Deposition methods
    • C03C2218/15Deposition methods from the vapour phase
    • C03C2218/152Deposition methods from the vapour phase by cvd
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C2218/00Methods for coating glass
    • C03C2218/30Aspects of methods for coating glass not covered above
    • C03C2218/355Temporary coating

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Geochemistry & Mineralogy (AREA)
  • Re-Forming, After-Treatment, Cutting And Transporting Of Glass Products (AREA)
  • Glass Compositions (AREA)

Abstract

【課題】エッチング処理後の白曇りをより抑止できる、フロートガラス製造方法の提供。【解決手段】フロートバスで成形したガラスリボンを、熱処理炉に設けた複数本の搬送ローラを用いて搬送しながら徐冷し、前記熱処理炉の内部で搬送している前記ガラスリボンの下方に設けられるガス吐出ノズルから、前記ガラスリボンの下面に向けて、SO2ガスおよびSO3ガスから選ばれる少なくとも1つの酸化硫黄ガスを吐出し、搬送方向最も上流側に配置される前記ガス吐出ノズルとして、前記熱処理炉の内部雰囲気の酸素ガス濃度が1体積%以上になる搬送方向位置であって且つ前記熱処理炉の内部雰囲気の温度がフロートガラスのガラス転移点よりも100℃を超えて低くなる搬送方向位置に配置したものを用いることを特徴とするフロートガラス製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、フロートガラス製造方法に関する。
フロートガラス製造装置は、溶融金属の上で溶融ガラスを流動させることによりガラスリボンに成形するフロートバスと、ガラスリボンを所定方向に搬送しながら徐冷する熱処理炉とを有する。熱処理炉は、ドロスボックスと徐冷炉とを有する。ドロスボックスには複数本のリフトアウトローラが設けられ、徐冷炉には複数本のレアローラが設けられる。
複数本のリフトアウトローラは、フロートバスに貯留されている溶融金属からガラスリボンを引き上げると共に、ガラスリボンをフロートバスからドロスボックスに搬入する。一方、複数本のレアローラは、徐冷炉の内部でガラスリボンを搬送することによってガラスリボンを徐冷する。徐冷されたガラスリボンを所定の寸法に切断することによって、フロートガラスが得られる。
フロートガラス製造装置は、徐冷炉の内部で搬送されているガラスリボンの下方に、ガス吐出ノズルを有する。ガス吐出ノズルは、ガラスリボンの下面に向けて、SOガスを吐出する。これにより、ガラスリボンの下面に硫酸塩の結晶が複数形成される。複数の硫酸塩の結晶は、ガラスリボンの下面に分散しており、レアローラとガラスリボンとの衝突を和らげる緩衝材として機能する。
緩衝材は、ガラスリボンの徐冷後に、洗浄などによって除去される。緩衝材が除去されたガラス表面をエッチング処理すると、ガラス表面において可視光が散乱されて白く曇る現象(以下、「白曇り」とも呼ぶ。)が生じることがあった。これは、緩衝材がガラス表面に斑模様に形成され、緩衝材が形成された領域のエッチングレートは緩衝材が形成されなかった領域のエッチングレートよりも高いためである。
そこで、特許文献1では、徐冷炉の入口と最上流のレアローラとの間において、ガラスリボンの下面にSOガスおよび空気を大量に供給する。これにより、ガラスリボンの下面に形成される硫酸塩の結晶サイズを小さくしてエッチング後の白曇りを抑制しつつ、緩衝材としての機能を維持する。
国際公開第2015/194569号
エッチング処理後の白曇りをより抑止できる、フロートガラス製造方法が望まれていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、エッチング処理後の白曇りをより抑止できる、フロートガラス製造方法の提供を主な目的とする。
本発明の一態様によれば、
フロートバスで成形したガラスリボンを、熱処理炉に設けた複数本の搬送ローラを用いて搬送しながら徐冷し、
前記熱処理炉の内部で搬送している前記ガラスリボンの下方に設けられるガス吐出ノズルから、前記ガラスリボンの下面に向けて、SOガスおよびSOガスから選ばれる少なくとも1つの酸化硫黄ガスを吐出し、
搬送方向最も上流側に配置される前記ガス吐出ノズルとして、前記熱処理炉の内部雰囲気の酸素ガス濃度が1体積%以上になる搬送方向位置であって且つ前記熱処理炉の内部雰囲気の温度がフロートガラスのガラス転移点よりも100℃を超えて低くなる搬送方向位置に配置したものを用いることを特徴とするフロートガラス製造方法が提供される。
本発明の一態様によれば、エッチング処理後の白曇りをより抑止できる、フロートガラス製造方法が提供される。
図1は、一実施形態によるフロートガラス製造装置の断面図である。 図2は、一実施形態によるガラスリボン、レアローラ、ガス吐出ノズルおよびガス採取ノズルの位置関係を示す平面図である。 図3は、一実施形態によるガラスリボンの下面における一連の化学反応を示す図である。 図4は、第1変形例によるフロートガラス製造装置の断面図である。 図5は、第2変形例によるフロートガラス製造装置の断面図である。 図6は、実施例1および比較例1、2で得られたフロートガラスのエッチング後のボトム面の顕微鏡写真である。 図7は、簡易試験でエッチング処理した研磨面の顕微鏡写真である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において、同一の又は対応する構成には、同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。
(フロートガラス製造装置の概略)
図1は、一実施形態によるフロートガラス製造装置の断面図である。図1において、X方向はガラスリボン6の搬送方向、Y方向はガラスリボン6の幅方向、Z方向は鉛直方向である。X方向、Y方向およびZ方向は、互いに垂直な方向である。
フロートガラス製造装置10は、溶融金属2の上で溶融ガラス4を流動させることによりガラスリボン6に成形するフロートバス20と、フロートバス20から引き出したガラスリボン6を所定方向に搬送しながら徐冷する熱処理炉30とを有する。
フロートバス20は、溶融金属2を貯留する浴槽21を有する。溶融金属2としては、代表的には溶融スズまたは溶融スズ合金が用いられる。フロートバス20の内部は、溶融金属2の酸化を抑制するため、還元性雰囲気で満たされる。還元性雰囲気は、例えば窒素ガスと水素ガスとを含む。また、フロートバス20の内部は、フロートバス20の外部からの大気の混入を抑制するため、大気圧よりも高い正圧に保たれる。
フロートバス20は、浴槽21に貯留されている溶融金属2の上に連続的に溶融ガラス4を供給し、溶融金属2の上で溶融ガラス4を流動させることにより板状のガラスリボン6に成形する。ガラスリボン6は、溶融金属2の液面上を流動しながら徐々に冷却され固くなる。ガラスリボン6は、浴槽21の下流域において溶融金属2から引き上げられ、続いて熱処理炉30の入口から出口に向かって熱処理炉30の内部を搬送されながら徐冷される。
熱処理炉30は、フロートバス20の出口壁22に隣接される。熱処理炉30は、ドロスボックス40と、ドロスボックス40よりも搬送方向下流側に設けられる徐冷炉50とを有する。ドロスボックス40の内部雰囲気の温度は、搬送方向上流側から搬送方向下流側に向うほど低くなるように制御される。また、徐冷炉50の内部雰囲気の温度は、搬送方向上流側から搬送方向下流側に向うほど低くなるように制御される。
ドロスボックス40には、複数本のリフトアウトローラ41が設けられる。また、徐冷炉50には、複数本のレアローラ51が設けられる。本実施形態ではリフトアウトローラ41およびレアローラ51が、特許請求の範囲に記載の搬送ローラに対応する。
複数本のリフトアウトローラ41は、フロートバス20に貯留されている溶融金属2からガラスリボン6を引き上げると共に、ガラスリボン6をフロートバス20からドロスボックス40に搬入する。一方、複数本のレアローラ51は、徐冷炉50の内部でガラスリボン6を搬送することによってガラスリボン6を徐冷する。
(フロートガラス製造方法の概略)
フロートガラス製造方法は、フロートバス20に貯留されている溶融金属2の上で溶融ガラス4を流動させることによりガラスリボン6に成形する。また、フロートガラス製造方法は、フロートバス20に貯留されている溶融金属2からガラスリボン6を引き上げると共にフロートバス20から熱処理炉30に搬送する。さらに、フロートガラス製造方法は、熱処理炉30に設けた複数本のリフトアウトローラ41および複数本のレアローラ51を用いてガラスリボン6を搬送しながら徐冷する。さらにまた、フロートガラス製造方法は、熱処理炉30で徐冷されたガラスリボン6を所定の寸法に切断することによって、フロートガラスを得る。フロートガラスは、例えばソーダライムシリケートガラス、アルミノシリケートガラス、ボレートガラス、リチウムアルミノシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス等で形成される。
フロートガラスは、例えば、モル%表示で、SiOを50〜80%、Alを0.1〜25%、Bを0〜10%、LiO+NaO+KOを3〜30%、MgOを0〜25%、CaOを0〜25%およびZrOを0〜5%含む。なお、例えば、「MgOを0〜25%含む」とは、MgOは必須ではないが25%まで含んでもよいという意味である。
フロートガラスのより具体的なガラス組成としては、モル%表示で、下記(i)〜(iv)のガラスの組成が挙げられる。
(i)SiOを63〜73%、Alを0.1〜25%、NaOを10〜20%、KOを0〜1.5%、MgOを5〜13%およびCaOを4〜10%含むガラス組成
(ii)SiOを50〜74%、Alを1〜25%、NaOを6〜14%、KOを3〜11%、MgOを2〜15%、CaOを0〜6%およびZrOを0〜5%含有し、SiOおよびAlの含有量の合計が75%以下、NaOおよびKOの含有量の合計が12〜25%、MgOおよびCaOの含有量の合計が7〜15%であるガラス組成
(iii)SiOを68〜80%、Alを4〜25%、NaOを5〜16%、KOを0〜1%、MgOを4〜15%およびZrOを0〜1%含有するガラス組成
(iv)SiOを63〜75%、Alを2〜12%、MgOを5〜15%、CaOを0.5〜10%、SrOを0〜3%、BaOを0〜3%、NaOを10〜18%、KOを0〜8%、ZrOを0〜3%、Feを0.003〜0.1%含有し、RO/Al(式中、ROはNaO+KOである)が3.0以上7.0以下であるガラス組成。
(ガラスリボンの下面における緩衝材の形成)
図2は、一実施形態によるガラスリボン、レアローラ、ガス吐出ノズルおよびガス採取ノズルの位置関係を示す平面図である。図2において、黒丸はガス吐出ノズル52のガス吐出口52aを示し、白丸はガス採取ノズル61のガス採取口61aを示す。
フロートガラス製造装置10は、図1に示すように徐冷炉50の内部で搬送されているガラスリボン6の下方に、ガス吐出ノズル52を有する。ガス吐出ノズル52は図2に示すようにY方向に平行な直線部を有し、直線部はY方向に間隔をおいて複数のガス吐出口52aを有する。ガス吐出ノズル52は、図1ではX方向に1つのみ設けられるが、X方向に複数設けられてもよい。
ガス吐出ノズル52は、ガラスリボン6の下面に向けて、ガス吐出口52aから、SOガスおよびSOガスから選ばれる少なくとも1つの酸化硫黄ガスを吐出する。これにより、ガラスリボン6の下面に硫酸塩の結晶が複数形成される。複数の硫酸塩の結晶は、ガラスリボン6の下面に分散しており、レアローラ51とガラスリボン6との衝突を和らげる緩衝材として機能する。
ガス吐出ノズル52は、酸化硫黄ガス流量制御弁53が途中に設けられる酸化硫黄ガス配管54を介して酸化硫黄ガス供給源55と接続される。酸化硫黄ガス流量制御弁53が開放されると、酸化硫黄ガスがガス吐出ノズル52から吐出される。一方、酸化硫黄ガス流量制御弁53が閉止されると、酸化硫黄ガスがガス吐出ノズル52から吐出されない。
酸化硫黄ガス供給源55は、本実施形態では酸化硫黄ガスとしてSOガスのみを酸化硫黄ガス配管54に供給する。酸化硫黄ガス配管54を介してガス吐出ノズル52から吐出されたSOガスの一部は、徐冷炉50の内部で酸化されSOガスになる。SOガスが硫酸塩の結晶の生成に寄与していると考えられるため、SOガスが安定に存在できるように徐冷炉50の内部は酸化性雰囲気とされる。酸化性雰囲気は、徐冷炉50の出口から徐冷炉50の内部に流入する大気によって形成される。そのため、徐冷炉50の内部雰囲気の酸素ガス濃度は、搬送方向上流側から搬送方向下流側に向うほど高くなる傾向にある。
ガス吐出ノズル52は、ガス吐出ノズル52の周辺での酸素ガス濃度を高めるため、酸素含有ガス流量制御弁56が途中に設けられる酸素含有ガス配管57を介して酸素含有ガス供給源58と接続されてもよい。酸素含有ガスは、酸素ガスを含むものであればよく、純粋な酸素ガスでもよいし、空気でもよい。酸素含有ガス流量制御弁56が開放されると、酸素含有ガスがガス吐出ノズル52から吐出される。一方、酸素含有ガス流量制御弁56が閉止されると、酸素含有ガスがガス吐出ノズル52から吐出されない。
図3は、一実施形態によるガラスリボンの下面における一連の化学反応を示す図である。図3(a)は、一実施形態によるガラスリボンの下面にヤケ層が形成される反応を示す図である。図3(b)は、一実施形態によるガラスリボンの下面に硫酸塩の結晶が形成される反応を示す図である。図3(c)は、一実施形態によるガラスリボンの下面に中間生成物が形成される反応を示す図である。
まず、図3(a)に示すように、徐冷炉50の内部雰囲気に含まれるHOガスがガラスリボン6と反応し、ガラスリボン6の下面にヤケ層16が形成される。なお、図3では図示を省略するが、ガラスリボン6の上面にもヤケ層が形成される。ヤケ層16は、HO中のプロトン(Hイオン)とガラスリボン中のカチオン(例えばNaイオン)とがイオン交換することによって形成される。
次いで、図3(b)に示すように、ガラスリボン6の下面のアルカリイオン(例えばNaイオン)とSOガスとが中和反応し、NaSOなどの硫酸塩の結晶17が複数形成される。硫酸塩の結晶17が形成され始めるX方向位置は、搬送方向最も上流側に配置されるガス吐出ノズル52(図1参照)のX方向位置である。以下、搬送方向最も上流側に配置されるガス吐出ノズル52のX方向位置を、ガス吐出位置P1(図1参照)とも呼ぶ。
次いで、図3(c)に示すように、硫酸塩の結晶17が成長するとき、硫酸塩の結晶17にアルカリイオンが集まり、未中和のアルカリイオンおよびOHイオンを含む中間生成物18が形成される。
本発明者は、中間生成物18がガラスリボン6の下面をアルカリ融解させる反応と、徐冷炉50の内部雰囲気の温度との関係に着目した。そして、本発明者は、実験等によって徐冷炉50の内部雰囲気の温度がT0(T0=Tg−100)よりも低い場合に、中間生成物18がガラスリボン6の下面をアルカリ融解させる反応を抑制でき、アルカリ融解による変質領域19の形成を抑制でき、白曇りを抑制できることを見出した。白曇りは、変質領域19と、その周辺の領域とのエッチングレートの違いによって生じると考えられる。T0の単位およびTgの単位は℃であり、Tgはフロートガラスのガラス転移点(以下、「転移点」とも呼ぶ。)である。実験の内容については、実施例の欄で説明する。
本実施形態では、徐冷炉50の内部雰囲気の酸素ガス濃度が1体積%以上になる搬送方向位置であって且つ徐冷炉50の内部雰囲気の温度がT0よりも低くなる搬送方向位置に、ガス吐出ノズル52が配置される。これにより、SOガスが存在できる条件下で中間生成物18が形成され始める温度をT0よりも低く抑える。その結果、中間生成物18がガラスリボン6の下面をアルカリ融解させる反応を抑制でき、アルカリ融解による変質領域19の形成を抑制でき、白曇りを抑制できる。
ガス吐出位置P1において、徐冷炉50の内部雰囲気の酸素ガス濃度は、例えば1体積%以上であり、好ましくは3体積%以上であり、より好ましくは5体積%以上である。ガス吐出位置P1において酸素ガス濃度が1体積%以上であると、ガス吐出ノズル52から吐出されたSOガスの一部がSOガスに変化しSOとして存在できる。
ガス吐出位置P1において、徐冷炉50の内部雰囲気の温度は、例えばT0よりも低く、好ましくは転移点Tgよりも120℃を超えて低く(つまりT1(T1=Tg−120)よりも低く)、より好ましくは転移点Tgよりも140℃を超えて低い(つまりT2(T2=Tg−140)よりも低い)。ガス吐出位置P1における温度がT0よりも低いと、中間生成物18が形成され始める温度をT0よりも低く抑えることができる。その結果、中間生成物18がガラスリボン6の下面をアルカリ融解させる反応を抑制でき、アルカリ融解による変質領域19の形成を抑制でき、白曇りを抑制できる。
ガス吐出位置P1において、徐冷炉50の内部雰囲気の温度は、好ましくは300℃以上である。硫酸塩の結晶17が形成され始める温度を300℃以上に設定でき、十分な量の緩衝材をガラスリボン6の下面に形成できる。
本実施形態では、ガス吐出位置P1において、徐冷炉50の内部雰囲気に含まれるSOガスおよびSOガスの合計濃度が50体積ppm以上であるように、搬送方向最も上流側のガス吐出ノズル52が酸化硫黄ガスを吐出する。
酸化硫黄ガスの吐出量は、酸化硫黄ガス流量制御弁53の開度で制御できる。酸化硫黄ガス流量制御弁53の開度が大きいほど、酸化硫黄ガスの吐出量が多く、ガス吐出位置P1でのSOガスおよびSOガスの合計濃度が高い。
ガス吐出位置P1でのSOガスおよびSOガスの合計濃度が50体積ppm以上であると、硫酸塩の結晶17を形成するのに十分な量の酸化硫黄ガスを供給できる。ガス吐出位置P1でのSOガスおよびSOガスの合計濃度は、好ましくは100体積ppm以上、より好ましくは200体積ppm以上である。
一方、ガス吐出位置P1でのSOガスおよびSOガスの合計濃度が20000体積ppm以下であると、酸化硫黄ガスの使用量を必要最小限に抑えることができ、酸化硫黄ガスの吐出による徐冷炉50の腐食を抑制できる。ガス吐出位置P1でのSOガスおよびSOガスの合計濃度は、好ましくは15000体積ppm以下、より好ましくは10000体積ppm以下である。
フロートガラス製造装置10は、ガス吐出位置P1において徐冷炉50の内部雰囲気を採取するガス採取ノズル61を有する。ガス採取ノズル61は、ガス吐出ノズル52の搬送方向下流側にガス吐出ノズル52に隣接して設けられる。ガス採取ノズル61は、図2に示すようにZ方向視で、ガラスリボン6のY方向中心と重なるガス採取口61aを有する。ガス採取口61aとガス吐出口52aとは同じ高さに設けられる。
ガス採取ノズル61は、酸化硫黄ガス検知管62と、酸素ガス検知管63とに接続されている。酸化硫黄ガス検知管62は、ガス採取口61aにおいて採取したガスに含まれるSOガスおよびSOガスの合計濃度を測定する。酸素ガス検知管63は、ガス採取口61aにおいてガスに含まれる酸素ガスの濃度を測定する。ガス採取口61aとガス吐出口52aとのX方向距離は50mm程度であって十分に短い。
ガス吐出位置P1における酸素ガス濃度が1体積%以上であると、ガス吐出ノズル52から吐出されたSOガスの一部がSOガスに変化しSOとして存在できる。
ところで、本実施形態では、搬送方向最も上流側のガス吐出ノズル52を、従来よりも搬送方向下流側(つまり低温側)に配置してある。そのため、フロートバス20の出口23を通過してからガス吐出位置P1に至るまでの、ガラスリボン6の移動距離が長い。
そこで、本実施形態では、搬送方向最も上流側のガス吐出ノズル52よりもさらに搬送方向上流側に設けられる複数本の搬送ローラのうち半数以上の搬送ローラのそれぞれの外周面にカーボン保護膜を形成する。カーボン保護膜は搬送ローラとガラスリボン6との衝突を和らげる緩衝材として機能するため、ガラスリボン6に傷が付くことを抑制できる。
例えば、ドロスボックス40の内部には、カーボンブロック49が設けられる。カーボンブロック49は、各リフトアウトローラ41の下方に設けられ、各リフトアウトローラ41に押し付けられることにより、各リフトアウトローラ41の外周面にカーボン保護膜を形成する。
同様に、徐冷炉50の内部には、カーボンブロック59が設けられる。カーボンブロック59は、搬送方向最も上流側のガス吐出ノズル52よりもさらに搬送方向上流側に設けられる各レアローラ51の下方に設けられ、各レアローラ51に押し付けられることにより、各レアローラ51の外周面にカーボン保護膜を形成する。
ところで、熱処理炉30の内部は、上下一対の仕切壁31、32によって仕切られてよい。上下一対の仕切壁31、32は、ドロスボックス40と徐冷炉50との境界に設けられ、ドロスボックス40の内部と徐冷炉50の内部との間でのガスの出入りを制限する。
ドロスボックス40の内部は、フロートバス20の内部から流入する還元性雰囲気で満たされる。また、ドロスボックス40の内部は、ドロスボックス40の外部からの大気の混入を抑制するため、窒素ガスを導入するなどして大気圧よりも高い正圧に保たれる。一方、徐冷炉50の内部は、徐冷炉50の出口から侵入する大気などによって酸化性雰囲気で満たされる。
上側の仕切壁31の下端とガラスリボン6の上面との間に形成される隙間の大きさZ1は、例えば3mm以上10mm以下である。また、下側の仕切壁32の上端とガラスリボン6の下面との間に形成される隙間の大きさZ2は、例えば3mm以上10mm以下である。ガラスリボン6は、上下一対の仕切壁31、32の間に形成される隙間を通過することにより、ドロスボックス40から徐冷炉50に搬入される。また、ガラスリボン6と上下一対の仕切壁31、32との間に形成される隙間において、ドロスボックス40の内部の還元性雰囲気と徐冷炉50の内部の酸化性雰囲気とが反応して火炎の燃焼が生ずる。
本実施形態では、ガス吐出位置P1が、上下一対の仕切壁31、32よりも搬送方向下流側に配置される。そのため、ガス吐出位置P1での酸素ガス濃度を十分に高くすることができる。また、ドロスボックス40の内部における酸素ガス濃度を十分に低くすることができ、ドロスボックス40の内部に設置されるカーボンブロック49の酸化による焼失を抑制できる。
なお、徐冷炉50は、上下一対の仕切壁31、32(以下、「第1の仕切壁31、32」とも呼ぶ。)とガス吐出位置P1との間に、第2の仕切壁を有してもよい。第1の仕切壁31、32と第2の仕切壁とで形成される空間には、徐冷炉50の内部に設置されるカーボンブロック59の酸化による焼失を抑制するため、窒素ガスを導入してもよい。ここで、ガラスリボン6と上下一対の第2の仕切壁との間に形成される隙間においては、ガラスリボン6と第1の仕切壁31、32との間に形成される隙間よりも温度が低いため、火炎の燃焼が生じにくい。
図4は、第1変形例によるフロートガラス製造装置の断面図である。本変形例のフロートガラス製造装置10Aと上記実施形態のフロートガラス製造装置10とを比較すると、本変形例の熱処理炉30は上記実施形態の熱処理炉30Aと搬送方向距離が同じであるが、本変形例のドロスボックス40Aは上記実施形態のドロスボックス40よりも搬送方向距離が長く、本変形例の徐冷炉50Aは上記実施形態の徐冷炉50よりも搬送方向距離が短い。本変形例では、上下一対の仕切壁31、32として、フロートバス20の出口壁22から搬送方向下流側に3m以上離して配置したものを用いる。つまり、フロートバス20の出口壁22と上下一対の仕切壁31、32との搬送方向における間隔Sが3m以上である。フロートバス20の出口23からガス吐出位置P1までの距離が同じ場合であって前記第2の仕切壁が無い場合、間隔Sが長いほど、還元性雰囲気に曝されるカーボンブロック49の数が増加し、酸化性雰囲気に曝されるカーボンブロック59の数を低減できる。間隔Sは、好ましくは5m以上であり、より好ましくは7m以上である。
図5は、第2変形例によるフロートガラス製造装置の断面図である。本変形例のフロートガラス製造装置10Bは、上記実施形態のフロートガラス製造装置10よりも、ガス吐出位置P1の搬送方向位置が上流側にある。本変形例では、フロートバス20の出口壁22から上下一対の仕切壁31、32までの間で、つまり、間隔Sの間でドロスボックス40の内部雰囲気の温度を50℃以上低下させる。ドロスボックス40の内部雰囲気の温度勾配は、ドロスボックス40の内部に配置されるヒータなどで制御され、ガラスリボン6が熱応力で破損しないように設定される。間隔Sは3m以上でもよいが、本変形例では3m未満とされる。ドロスボックス40においてガラスリボン6を急冷することによって、ガス吐出位置P1をフロートバス20の出口壁22に近付けることができ、緩衝材である硫酸塩の結晶17が形成され始める位置をフロートバス20の出口壁22に近付けることができる。これにより、前記第2の仕切壁が無い場合に、酸化性雰囲気に曝されるカーボンブロック59の数を低減できる。
なお、フロートバス20の出口23での雰囲気温度を転移点Tg以下に制御してもよい。フロートバス20の出口23での雰囲気温度は、フロートバス20の内部に配置されるヒータで制御できる。フロートバス20の出口23での雰囲気温度を転移点Tg以下に制御すれば、ドロスボックス40においてガラスリボン6を急冷しなくても、図5と同程度に、ガス吐出位置P1をフロートバス20の出口壁22に近付けることができる。また、フロートバス20の出口23での雰囲気温度を転移点Tg以下に制御すると共に、ドロスボックス40においてガラスリボン6を急冷すれば、ガス吐出位置P1をフロートバス20の出口壁22にさらに近付けることができる。
以下、実施例および比較例について説明する。なお、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1では、図1に示すフロートガラス製造装置10を用いて、フロートガラスを製造した。フロートガラスは、モル%表示で、SiOを68.8%、Alを2.9%、NaOを14.2%、KOを0.1%、MgOを6.1%、CaOを7.8%含有するガラス組成であった。このガラス組成のTgは550℃であって、T0(T0=Tg−100)は450℃であった。Tg(転移点)は、日本工業規格(JIS R 3103−3:2001)に準拠して測定した。
<ガス吐出ノズル>
搬送方向最も上流側のガス吐出ノズル52は、徐冷炉50の内部雰囲気の温度が410℃になるX方向位置に配置した。搬送方向最も上流側のガス吐出ノズルは、0.3m/hのノルマル流量でSOガスを吐出し、空気を吐出しなかった。酸化硫黄ガス配管54の途中には、SOガスをSOガスに置換する触媒を設けなかった。
<ガス採取ノズル>
ガス吐出位置P1での、徐冷炉50の内部雰囲気に含まれるSOガスおよびSOガスの合計濃度は、ガステック社製のSO検知管(型番:5M)により測定したところ、2500体積ppmであった。
また、ガス吐出位置P1での、徐冷炉50の内部雰囲気の酸素ガス濃度は、ガステック社製のO検知管(型番:31B)により測定したところ、20体積%であった。なお、ガステック社製のO検知管(型番:31B)は3体積%未満の酸素ガス濃度を測定できないので、3体積%未満の酸素ガス濃度を測定する場合、テストー社製のO濃度計(例えばtesto350)を用いればよい。
ガス吐出位置P1において酸素ガス濃度が20体積%であったため、ガス吐出ノズル52から吐出されたSOガスの一部はSOガスに変化しSOガスとして存在しているものと推定される。
<S count>
フロートガラスの下面(溶融金属との接触面、以下、「ボトム面」とも呼ぶ。)に形成された硫酸塩の結晶の総量は、S count(以下、単に「SC」とも呼ぶ。)で評価した。SCは、蛍光X線分析装置を用いて測定され、フロートガラスのボトム面のS−Kα線ピーク強度から、参照ガラスのボトム面のS−Kα線ピーク強度を差し引いた値として求められる。参照ガラスとしては、ガス吐出ノズル52からガスを全く吐出しない以外、実施例1で得られたフロートガラスと同一の条件で製造したものを用いた。
蛍光X線分析装置としては、リガク社製ZSX100eを用いた。S−Kα線ピーク強度の測定条件を表1に示す。
硫酸塩の結晶が緩衝材としての機能を十分に発現するため、SCは5kcps以上であることが好ましい。
<白曇りの有無>
SCの測定後、フロートガラスのボトム面を洗浄して硫酸塩の結晶を除去した後、フロートガラスのボトム面をフッ酸水溶液でエッチング処理し、白曇りの有無を目視で確認した。フッ酸水溶液としては、フッ酸(HF)を2質量%、塩酸(HCl)を18質量%、水を80質量%含むものを用いた。
[比較例1]
比較例1では、ガス吐出ノズルのX方向位置および吐出量を変更した以外、実施例1と同じ条件で実験を行った。比較例1では、搬送方向最も上流側のガス吐出ノズル52のX方向位置において、徐冷炉50の内部雰囲気の温度は540℃であった。搬送方向最も上流側のガス吐出ノズルは、0.3m/hのノルマル流量でSOガスを吐出すると共に4m/hのノルマル流量で空気を吐出した。酸化硫黄ガス配管54の途中には、SOガスをSOガスに置換する触媒を設けた。ガス吐出位置P1での、徐冷炉50の内部雰囲気に含まれるSOガスおよびSOガスの合計濃度は、ガステック社製のSO検知管(型番:5H)により測定したところ、5000体積ppmであった。なお、実施例1で用いたSO検知管(型番:5M)は3600体積ppmまでしか測定できないが、比較例1で用いたSO検知管(型番:5H)は20000体積ppmまで測定できる。また、ガス吐出位置P1での、徐冷炉50の内部雰囲気の酸素ガス濃度は3体積%であったため、ガス吐出ノズル52から吐出されたSOガスの一部はSOガスに変化しSOガスとして存在しているものと推定される。
[比較例2]
比較例2では、ガス吐出ノズルのX方向位置および吐出量を変更した以外、実施例1と同じ条件で実験を行った。比較例2では、搬送方向最も上流側のガス吐出ノズル52のX方向位置において、徐冷炉50の内部雰囲気の温度は540℃であった。搬送方向最も上流側のガス吐出ノズルは、1.5m/hのノルマル流量でSOガスを吐出すると共に5m/hのノルマル流量で空気を吐出した。酸化硫黄ガス配管54の途中には、SOガスをSOガスに置換する触媒を設けなかった。ガス吐出位置P1での、徐冷炉50の内部雰囲気に含まれるSOガスおよびSOガスの合計濃度は、ガステック社製のSO検知管(型番:5H)により測定したところ、10000体積ppmであった。また、ガス吐出位置P1での、徐冷炉50の内部雰囲気の酸素ガス濃度は14体積%であったため、ガス吐出位置P1において十分な濃度の酸素ガスが存在しており、ガス吐出ノズル52から吐出されたSOガスの一部はSOガスに変化しSOガスとして存在しているものと推定される。
[実施例1および比較例1、2のまとめ]
表2に、実施例1および比較例1、2の実験条件および実験結果を示す。また、図6に、実施例1および比較例1、2で得られたフロートガラスのエッチング後のボトム面の顕微鏡写真を示す。図6に示す各顕微鏡写真の撮像領域は、縦3μm×横3μmである。
表2および図6から明らかなように、実施例1では、比較例1、2とは異なり、搬送方向最も上流側に配置されるガス吐出ノズル52として、徐冷炉50の内部雰囲気の酸素ガス濃度が1体積%以上になる搬送方向位置であって且つ徐冷炉50の内部雰囲気の温度がT0(T0=450℃)よりも低くなる搬送方向位置に配置したものを用いたため、SCが5kcpsであって且つ白曇りの発生を抑制できた。
[簡易試験]
酸化硫黄ガス雰囲気下、熱処理炉の内部雰囲気の温度と、エッチング処理後の白曇りの発生との関連性を調べるために、石英炉芯管を用いる簡易試験を行った。簡易試験で用いるフロートガラスは、実施例1および比較例1、2で用いたガラス組成と同一である。
簡易試験は、下記(1)〜(8)の手順で行った。
(1)板厚0.6mmのフロートガラスのボトム面を0.1mm研磨し、続いて仕上げ研磨としてバフ研磨を施すことにより、ボトム面に形成されたスズ成分に富む変質層を除去した。バフ研磨には、セリア砥粒を用いた。
(2)バフ研磨後のフロートガラスから、矩形状(縦30mm×横30mm)のガラス板を切り出した。切り出したガラス板をエタノールと蒸留水を1:1で混合した液に浸漬し、超音波洗浄を10分間行った。
(3)石英炉芯管の内部に、ガラス板の研磨面を上方に向けてガラス板を設置した。ガラス板の近傍には、温度を測定する熱電対を設置した。
(4)石英炉芯管の内部に窒素ガスを供給しながら、熱電対の測定温度が設定温度になるまで石英炉芯管をヒータで加熱した。設定温度は、400℃、450℃、500℃、550℃の中から選択した。
(5)熱電対の測定温度が設定温度になるように維持しながら、石英炉芯管の内部に酸化硫黄含有ガスを30秒間供給した。酸化硫黄含有ガスとしては、SOガスを0.2体積%、SOガスを5.0体積%、酸素ガスを5.0体積%、水蒸気を2.0体積%、窒素ガスを87.8体積%含むものを用いた。
(6)酸化硫黄含有ガスの供給を停止し、代わりに窒素ガスを石英炉芯管の内部に供給しながら、ガラス板を室温まで冷却した。
(7)室温まで冷却されたガラス板を石英炉芯管の内部から取り出し、ガラス板の研磨面に形成された硫酸塩の結晶の総量を表すSCを測定した。SCの測定条件は、実施例1と同じ条件とした。
(8)ガラス板の研磨面を洗浄し、硫酸塩の結晶を除去した後、ガラス板の研磨面をフッ酸水溶液でエッチング処理し、白曇りの有無を調べた。フッ酸水溶液としては、実施例1と同じ配合のものを用いた。
表3に、簡易試験の結果を示す。
表3から明らかなように、ガラス板の研磨面を酸化硫黄含有ガスに曝す温度がT0(T0=450℃)よりも低い場合に、白曇りの発生を抑制できた。また、ガラス板の研磨面を酸化硫黄含有ガスに曝す温度が400℃、450℃、500℃、550℃のいずれの場合にも、十分な量の硫酸塩の結晶が形成された。なお、実施例1や比較例1、2に比べて、簡易試験のSCが大きかったのは、予め研磨によってスズ成分に富む変質層を除去したためと推定される。
図7に、簡易試験でエッチング処理した研磨面の顕微鏡写真を示す。図7(a)は400℃で酸化硫黄含有ガスに曝し、続いて窒素ガスに曝しながら室温まで冷却し、その後エッチング処理した研磨面の顕微鏡写真である。図7(b)は450℃で酸化硫黄含有ガスに曝し、続いて窒素ガスに曝しながら室温まで冷却し、その後エッチング処理した研磨面の顕微鏡写真である。図7(c)は500℃で酸化硫黄含有ガスに曝し、続いて窒素ガスに曝しながら室温まで冷却し、その後エッチング処理した研磨面の顕微鏡写真である。図7(d)は550℃で酸化硫黄含有ガスに曝し、続いて窒素ガスに曝しながら室温まで冷却し、その後エッチング処理した研磨面の顕微鏡写真である。図7における各顕微鏡写真の撮像領域は、縦3μm×横3μmである。
図7から明らかなように、ガラス板の研磨面を酸化硫黄含有ガスに曝す温度がT0(T0=450℃)よりも低い場合に、変質領域19の痕跡が認められなかった。一方、ガラス板の研磨面を酸化硫黄含有ガスに曝す温度がT0(T0=450℃)以上である場合、円形状の変質領域19の痕跡が認められた。変質領域19と、その周辺の領域とのエッチングレートの違いにより、白曇りが発生したと考えられる。
以上、フロートガラス製造方法の実施形態などについて説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
10、10A、10B フロートガラス製造装置
20 フロートバス
21 浴槽
30、30A 熱処理炉
31、32 仕切壁
40、40A ドロスボックス
41 リフトアウトローラ
49 カーボンブロック
50、50A 徐冷炉
51 レアローラ
52 ガス吐出ノズル
59 カーボンブロック

Claims (9)

  1. フロートバスで成形したガラスリボンを、熱処理炉に設けた複数本の搬送ローラを用いて搬送しながら徐冷し、
    前記熱処理炉の内部で搬送している前記ガラスリボンの下方に設けられるガス吐出ノズルから、前記ガラスリボンの下面に向けて、SOガスおよびSOガスから選ばれる少なくとも1つの酸化硫黄ガスを吐出し、
    搬送方向最も上流側に配置される前記ガス吐出ノズルとして、前記熱処理炉の内部雰囲気の酸素ガス濃度が1体積%以上になる搬送方向位置であって且つ前記熱処理炉の内部雰囲気の温度がフロートガラスのガラス転移点よりも100℃を超えて低くなる搬送方向位置に配置したものを用いることを特徴とするフロートガラス製造方法。
  2. 搬送方向最も上流側に配置される前記ガス吐出ノズルのガス吐出位置で前記熱処理炉の内部雰囲気に含まれるSOガスおよびSOガスの合計濃度が50体積ppm以上になるように、搬送方向最も上流側の前記ガス吐出ノズルから前記酸化硫黄ガスを吐出する、請求項1に記載のフロートガラス製造方法。
  3. 搬送方向最も上流側に配置される前記ガス吐出ノズルのガス吐出位置で前記熱処理炉の内部雰囲気に含まれるSOガスおよびSOガスの合計濃度が20000体積ppm以下になるように、搬送方向最も上流側の前記ガス吐出ノズルから前記酸化硫黄ガスを吐出する、請求項1または2に記載のフロートガラス製造方法。
  4. 搬送方向最も上流側に配置される前記ガス吐出ノズルとして、前記熱処理炉の内部雰囲気の温度が300℃以上になる搬送方向位置に配置したものを用いる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフロートガラス製造方法。
  5. 搬送方向最も上流側の前記ガス吐出ノズルよりもさらに搬送方向上流側に設けられる複数本の前記搬送ローラのうち半数以上の前記搬送ローラのそれぞれの外周面にカーボン保護膜を形成する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフロートガラス製造方法。
  6. 搬送方向最も上流側に配置される前記ガス吐出ノズルとして、前記熱処理炉の内部を仕切る上下一対の仕切壁よりも搬送方向下流側に配置したものを用いる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のフロートガラス製造方法。
  7. 前記上下一対の仕切壁として、前記フロートバスの出口壁から搬送方向下流側に3m以上離して配置したものを用いる、請求項6に記載のフロートガラス製造方法。
  8. 前記フロートバスの出口壁から前記上下一対の仕切壁までの間で、前記熱処理炉の内部雰囲気の温度を50℃以上低下させる、請求項6または7に記載のフロートガラス製造方法。
  9. 前記フロートバスの出口での雰囲気温度を前記ガラス転移点以下に制御する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のフロートガラス製造方法。
JP2018019233A 2018-02-06 2018-02-06 フロートガラス製造方法 Pending JP2019137562A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018019233A JP2019137562A (ja) 2018-02-06 2018-02-06 フロートガラス製造方法
CN201910084531.6A CN110117152A (zh) 2018-02-06 2019-01-29 浮法玻璃制造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018019233A JP2019137562A (ja) 2018-02-06 2018-02-06 フロートガラス製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019137562A true JP2019137562A (ja) 2019-08-22

Family

ID=67520427

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018019233A Pending JP2019137562A (ja) 2018-02-06 2018-02-06 フロートガラス製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2019137562A (ja)
CN (1) CN110117152A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021149396A1 (ja) * 2020-01-20 2021-07-29 Agc株式会社 硫酸塩付きリチウムシリケートガラス板、リチウムシリケートガラス板、及びその製造方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112374735B (zh) * 2020-12-09 2022-06-21 蚌埠中光电科技有限公司 一种浮法玻璃退火窑二氧化硫喷吹装置

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002051767A1 (fr) * 2000-12-26 2002-07-04 Nippon Sheet Glass Co.,Ltd. Verre a glace avec film protecteur et son procede de fabrication
WO2009014028A1 (ja) * 2007-07-23 2009-01-29 Asahi Glass Co., Ltd. フロートガラスの製造方法及びフロートガラスの製造設備
WO2015029455A1 (ja) * 2013-09-02 2015-03-05 日本板硝子株式会社 ガラス板の製造方法及びガラス板
WO2015088010A1 (ja) * 2013-12-13 2015-06-18 旭硝子株式会社 化学強化用ガラスおよび化学強化ガラス並びに化学強化ガラスの製造方法
WO2015115100A1 (ja) * 2014-01-31 2015-08-06 日本板硝子株式会社 ガラス板の製造方法及びガラス板
WO2015194569A1 (ja) * 2014-06-20 2015-12-23 旭硝子株式会社 ガラス板及びその製造方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102004045666B4 (de) * 2004-09-18 2007-04-19 Schott Ag Gefloatetes Spezialglas sowie Verfahren zu seiner Herstellung
WO2009148141A1 (ja) * 2008-06-06 2009-12-10 旭硝子株式会社 板ガラスの製造装置及び板ガラスの製造方法
JP2010223483A (ja) * 2009-03-23 2010-10-07 Mitsubishi Electric Corp 焼成炉及び焼成炉を使用して作製した太陽電池セル
DE102014203564B4 (de) * 2014-02-27 2018-05-03 Schott Ag Floatverfahren zur Herstellung einer Floatglasscheibe und Floatglasscheibe

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002051767A1 (fr) * 2000-12-26 2002-07-04 Nippon Sheet Glass Co.,Ltd. Verre a glace avec film protecteur et son procede de fabrication
WO2009014028A1 (ja) * 2007-07-23 2009-01-29 Asahi Glass Co., Ltd. フロートガラスの製造方法及びフロートガラスの製造設備
WO2015029455A1 (ja) * 2013-09-02 2015-03-05 日本板硝子株式会社 ガラス板の製造方法及びガラス板
WO2015088010A1 (ja) * 2013-12-13 2015-06-18 旭硝子株式会社 化学強化用ガラスおよび化学強化ガラス並びに化学強化ガラスの製造方法
WO2015115100A1 (ja) * 2014-01-31 2015-08-06 日本板硝子株式会社 ガラス板の製造方法及びガラス板
WO2015194569A1 (ja) * 2014-06-20 2015-12-23 旭硝子株式会社 ガラス板及びその製造方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
山添勝巳: "グラスの腐食機構", 神鋼パンテック技報, vol. 35, no. 1, JPN6021018391, 1991, pages 26 - 30, ISSN: 0004644454 *

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021149396A1 (ja) * 2020-01-20 2021-07-29 Agc株式会社 硫酸塩付きリチウムシリケートガラス板、リチウムシリケートガラス板、及びその製造方法
CN114929640A (zh) * 2020-01-20 2022-08-19 Agc株式会社 带有硫酸盐的锂硅酸盐玻璃板、锂硅酸盐玻璃板及其制造方法
CN114929640B (zh) * 2020-01-20 2024-03-08 Agc株式会社 带有硫酸盐的锂硅酸盐玻璃板、锂硅酸盐玻璃板及其制造方法

Also Published As

Publication number Publication date
CN110117152A (zh) 2019-08-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5281634B2 (ja) ガラス板およびガラス板の製造方法
JP6023791B2 (ja) 化学強化ガラス板およびフラットパネルディスプレイ装置
KR102615608B1 (ko) 유리 용융물 표면상에서의 기포 수명 감소 방법
TWI552972B (zh) A molten glass manufacturing apparatus, a method for producing a molten glass, and a method for manufacturing the same
TW200811068A (en) Process for producing alkali-free glass substrate
KR102035081B1 (ko) 유리판
US20200140314A1 (en) Method for manufacturing alkali-free glass substrate
JP2019137562A (ja) フロートガラス製造方法
CN1876585B (zh) 特种浮法玻璃和它的制造方法
TWI666179B (zh) Glass plate and manufacturing method thereof
JP2021024782A (ja) わずかな結晶割合を有する熱成形された化学的に強化可能なガラス製品、殊に板状の化学的に強化可能なガラス製品、ならびにそれを製造する方法および装置
WO2014123089A1 (ja) ガラス製造方法
WO2007052489A1 (ja) 光学ガラス、光学ガラスの製造装置およびその製造方法
JP7024373B2 (ja) ディスプレイ用ガラス基板
JP2016064926A (ja) ガラス製造方法
WO2021149396A1 (ja) 硫酸塩付きリチウムシリケートガラス板、リチウムシリケートガラス板、及びその製造方法
CN105579406B (zh) 玻璃板
JP2022188662A (ja) フロートガラス製造方法
JP2011157234A (ja) 無アルカリガラス基板、並びにその製造方法及び製造装置
WO2014196539A1 (ja) ガラス板、発光モジュールおよびガラス板製造方法
KR102080003B1 (ko) 유리판의 제조 방법 및 유리판
JP2020158382A (ja) 無アルカリガラス基板

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180216

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20180216

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200826

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210426

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210525

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210616

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211124

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220517