JP2004277828A - サーメット被覆金属部品、その製造方法および搬送用ロール - Google Patents

サーメット被覆金属部品、その製造方法および搬送用ロール Download PDF

Info

Publication number
JP2004277828A
JP2004277828A JP2003072112A JP2003072112A JP2004277828A JP 2004277828 A JP2004277828 A JP 2004277828A JP 2003072112 A JP2003072112 A JP 2003072112A JP 2003072112 A JP2003072112 A JP 2003072112A JP 2004277828 A JP2004277828 A JP 2004277828A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
coating
cermet
mainly composed
coated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003072112A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuo Hamashima
和雄 浜島
Kimihiko Sato
公彦 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP2003072112A priority Critical patent/JP2004277828A/ja
Publication of JP2004277828A publication Critical patent/JP2004277828A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B35/00Transporting of glass products during their manufacture, e.g. hot glass lenses, prisms
    • C03B35/14Transporting hot glass sheets or ribbons, e.g. by heat-resistant conveyor belts or bands
    • C03B35/16Transporting hot glass sheets or ribbons, e.g. by heat-resistant conveyor belts or bands by roller conveyors
    • C03B35/18Construction of the conveyor rollers ; Materials, coatings or coverings thereof
    • C03B35/181Materials, coatings, loose coverings or sleeves thereof

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Rollers For Roller Conveyors For Transfer (AREA)
  • Re-Forming, After-Treatment, Cutting And Transporting Of Glass Products (AREA)
  • Coating By Spraying Or Casting (AREA)

Abstract

【課題】溶融ガラス搬送用ロールなどとして最適な、高温においてもクラックや剥離が生じず、長期間使用可能なサーメット被覆金属部品、その製造方法および搬送用ロールの提供。
【解決手段】金属母材の表面に、MoおよびWの少なくともいずれか、Co、CrおよびBを主成分とするセラミックス相と、CoおよびCrを主成分とする金属相とからなる被覆第一層と、さらに該被覆第一層の上にセラミックスを主体とする被覆第二層が形成されていることを特徴とするサーメット被覆金属部品、その製造方法および搬送用ロール。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、搬送用ロール、特にフロート法などによって製造される溶融板ガラスなどを搬送するために用いるロールなどに適したサーメット被覆金属部品および、その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、フロート法によって板ガラスを製造する工程では、溶融すずの上面を流れてきたガラスリボンと呼ばれる高温ガラスの連続した薄層をすず浴から引き上げるためのリフトアウトロールや、該リボンを移動させながら徐々に冷却していくためのレアロールなど多くの搬送ロールが用いられている。このような搬送ロールとしては、鉄基合金を主体とするもののみだけではなく、溶融シリカ粉末の結合体を主体にしたものなどが使用されている。
【0003】
また、鉄基合金の母材の表面に被覆層を形成したものも多く用いられており、Co基の耐熱合金を被覆したもの(特許文献1及び2)、アスベスト系材料を被覆したもの、および酸化物セラミックスやセラミックスと金属の混合物を被覆したもの(特許文献1及び3)など、多様な被覆金属ロールが提案され、実用に供されている。さらには被覆材料の特性の維持や剥離を防止するために、被覆層を多層にする試みもなされており、ZrO系セラミックスの表面層と炭化クロム系サーメット下地層の組み合わせ(特許文献4)などが提案されている。
【0004】
しかし、これら従来の搬送ロールはいずれも、ガラスリボンの搬送ロールとして十分に満足できるものではない。特にディスプレイ用板ガラスの製造分野においては、ガラスに要求される品質が建築用ガラスなどに較べて格段に高いため、製品品質に悪い影響を与えず、かつ長期間使用できる搬送ロールが求められている。
【0005】
該搬送ロールに関連する板ガラスの品質不良には、高温ガラス自体のロール表面への固着に起因するものや、ロール表面への凝着物に起因するものなどがある。すず浴から取り出した直後のガラスリボンは十分に高温であり、表面が鉄基金属のままであるロールに接すると、両者の間では容易に微視的な接着が生じる。ガラスリボンが移動すると、接着した部分のガラスはリボンから剥離しロールの表面に残留する。熱伝導に優れた金属ロールのために熱を奪われた微小な残留物は硬化し、後から搬送されてくるガラスリボンの表面に傷を発生させる原因となる。また、ガラスリボンの下面には、微量の金属すずや酸化すずが付着している。このようなガラスリボンを搬送すると、該付着物の一部は搬送ロール表面に強固に凝着し、前述のガラス残留物と同様にガラスリボンの表面に傷を発生させる可能性が小さくない。
【0006】
溶融シリカ粉末を結合させたロールでは、鉄基金属に比べガラスやすずの付着は生じ難くなるが、一方で固着力が十分でないシリカの微粒子がガラスリボンの表面に転写され欠陥の要因になるなど問題点がある。また、該ロールには表面が汚染された場合のメンテナンスが困難であるなど実用上の問題点も多く残されている。
【0007】
前述した鉄基合金の母材表面に被覆層を形成させる従来技術は、このようなガラスリボンに生じる傷の防止を、その目的の一つとして提案されたものであるが、いずれも十分な効果を得るにいたっていない。Co基合金の被覆には、ガラスとロールを接着し難くする効果は認められるもののすずや酸化すずの凝着防止には余り効果がなく、アスベスト系材料の被覆には環境面での問題があるばかりでなく、それ自身の出すダストが傷の生成要素となる場合がある。
【0008】
これに対し酸化物セラミックスを主体とする材料の被覆は、ガラスやすずの付着を生じ難くするには効果的であるが、搬送ロールの取り付けや整備の際、または使用中に、その一部または全部が剥がれてしまい長期間の使用に耐えない。この剥離は、高温下で使用するロール母材と被膜の熱膨張の大きな差異に起因しており、成膜条件などの変更で対処できるものではない。この点、酸化物セラミックス被膜の下地として、耐熱金属や炭化物サーメットの被膜を形成する方法は、該ロールの使用初期における剥離を防止するためには効果的である。しかし、耐熱金属被膜の熱膨張係数は母材の熱膨張係数に近く、酸化物セラミックス被膜の熱膨張係数とは差異があるため、ガラスリボンの搬送域の整備などのために熱衝撃が繰り返し付与されると、被膜の剥離を防ぐことが困難になる。また、表層のセラミックス層は緻密質ではなく空気を遮断できないため、下地層には高温耐酸化性が求められる。一般に耐熱金属は、最外表面に緻密で密着力の大きいCr酸化物などの保護酸化被膜を形成して酸化の進行に耐えるが、すず浴に近い領域での該搬送ロールの使用環境では、すず浴側の非酸化雰囲気の影響を受け十分な保護酸化被膜が形成しにくく、このことも被膜の剥離の要因ともなっている。
【0009】
サーメットなどの金属とセラミックスの複合材料を下地として利用することは、母材とセラミックス表層の熱的・機械的特性の差異を緩和するためには非常に効果的である。しかし、炭化クロムなどの炭化物セラミックスの高温酸化性は決して良好ではなく、該搬送ロールの使用環境においては十分ではないため、長期間において被膜の剥離を防止することはできない。また炭化物系サーメットは、材料組成内のC量によって大きく特性が変わることがよく知られている材料であり、溶射法などで成膜した材料のC量を制御することは難しいので安定した特性の被膜を得ることは容易ではない。さらに炭化物サーメット中のC量は高温の低酸素雰囲気では安定ではないため、窒素−水素雰囲気であるすず浴雰囲気の影響を受ける領域で使用する搬送ロール表面に形成された炭化物サーメットの特性は変化する。この結果、酸化物セラミックス層と母材を強固に接合する下地層としての炭化物サーメット層の役割が十分に果されなくなるため、被膜の剥離が生じ易くなる。
【0010】
【特許文献1】
特開平4−260622号公報
【特許文献2】
特開平8−175828号公報
【特許文献3】
特開平4−260623号公報
【特許文献4】
特開2000−273614号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ガラス片や錫などに起因する凝着物がつき難く、化学的な安定性が高く、また、高温においてもサーメット被膜のクラックや母材からの剥離が生じず、長期間の使用に耐えるサーメット被覆金属部品、および、そのサーメット被覆金属部品を用いたガラス搬送用ロールの提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
金属母材の表面に、MoおよびWの少なくともいずれか、Co、CrおよびBを主成分とするセラミックス相と、CoおよびCrを主成分とする金属相とからなる被覆第一層と、さらに該被覆第一層の上にセラミックスを主体とする被覆第二層が形成されていることを特徴とするサーメット被覆金属部品およびそのサーメット被覆金属部品を用いた搬送用ロールを提供する。
また、金属母材の表面に、MoおよびWの少なくともいずれか、Co、CrおよびBを主成分とするセラミックス相と、CoおよびCrを主成分とする金属相とからなる被覆第一層を、粉末を原料とする溶射法により形成し、さらに該被覆第一層の上にセラミックスを主体とする被覆第二層を、粉末を原料とする溶射法により形成することを特徴とするサーメット被覆金属部品の製造方法を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るサーメット被覆金属部品の好ましい実施形態について詳説する。
金属母材に被覆する被覆第一層はサーメットであり、MoおよびWの少なくともいずれか、Co、Cr及びBを含有する複合硼化物が主体であるセラミックス相と、CoおよびCrを主体とする金属相とからなる。
被覆第一層におけるセラミック相を構成する各元素について、好ましい含有量は、Mo:60質量%以下、W:74質量%以下、Co:15〜36質量%、Cr:3〜16質量%、B:4〜7質量%である。セラミック相が含有しうる必須成分以外の成分としては、Nb、Ta、V、不可避不純物などが挙げられる。
金属相が含有しうる必須成分以外の成分としては、Ti、Al、Ta、Nb、不可避不純物などが挙げられる。
被覆第一層は、セラミックスと金属の特徴を具備しており、硼化物セラミックスの特徴を反映して800℃程度までの温度域での硬度低下が少ないことと、WC−Co系や炭化クロムなど炭化物を主体にしたサーメット被膜と比較して良好な高温耐酸化性を有している。
【0014】
被覆第一層におけるセラミックス相の好ましい比率は、40〜80質量%である。40質量%未満になると被覆第二層のセラミックス層との機械的特性の差異が大きくなり過ぎ、温度変化が生じた場合に両者の界面で剥離が生じ易くなる傾向がある。一方、80質量%を超えると、被膜自体の緻密性が低下し、母材が雰囲気に晒されることを防止することが出来なくなる傾向がある。該比率のより好ましい範囲は50〜75質量%である。ここでセラミックス相の割合は、被覆第一層の断面の写真に基づき、セラミックス相の面積率を求め、質量率に換算することにより得ることができる。
【0015】
また、被覆第一層の金属相におけるCoとCrの含有量の合計は75質量%以上であることが望ましく、これはCo−Cr系合金が高温でのガラスとの固着を防ぐために有効であり、75質量%未満になると十分な効果が得られない場合があるためである。
さらに、Cr含有量のCo含有量に対する質量比は0.15〜0.40であることが好ましい。この質量比が0.15に満たないと、高温での使用時に被膜の酸化を防止する酸化クロム薄膜の生成が不十分になる場合がある。逆に0.40を超えると、Co−Cr系合金中にσ相が相当量出現しサーメット被膜の強靭性を低下せしめるため、温度の変化によりクラックが生じ易くなる傾向がある。
【0016】
被覆第一層で被覆される金属母材としては、特に限定されないが、たとえば、炭素鋼、ステンレス鋼など鉄を主体とする金属を挙げることができる。
本発明のサーメット被膜金属部品を搬送用ロールに適用する場合には、金属母材として、少なくとも表面が上記のような金属からなるロール形状部材を使用すればよい。
【0017】
被覆第一層の上に形成される被覆第二層は、好ましくは酸化ジルコニウムを主成分とするセラミックスである。酸化ジルコニウムを主体とする被膜は、高温においてもガラスやすずおよび酸化すずが付着し難く、被膜中に不連続で微細なクラックが多数存在するため熱サイクルが付加されても、大規模なクラックや脱落が生じ難い。酸化ジルコニウムは安定化されていることが好ましく、例えば8質量%酸化イットリウム安定化酸化ジルコニウムが適しているが、酸化マグネシウムや酸化セリウムにより安定化されたものも使用することができる。
被覆第二層における酸化ジルコニウムの含有量は、60質量%以上が好ましい。他の成分としては、前述の酸化イットリウム、酸化マグネシウム、酸化セリウムに加えて、酸化アルミニウム、酸化チタニウムなどを挙げることができる。
【0018】
本発明において、被覆第一層の厚みは、好ましくは0.03〜0.15mm、より好ましくは0.05〜0.1mmである。
被覆第二層の厚みは、好ましくは0.05〜0.5mm、より好ましくは0.1〜0.4mmである。
【0019】
被覆第一層の厚みが0.03mm未満であると被膜のガス遮断性が悪くなり母材の酸化が生じるため、被覆第一層と母材の接合力が十分でなくなる場合があり、該厚みが0.15mmを超えると被膜内に蓄積される内部応力が高まり、やはり被覆第一層と母材の接合力が十分でなくなる場合がある。
一方、被覆第二層の厚みが0.05mm未満であると、熱衝撃の緩衝層としての効果が低下し、被覆部材が熱サイクルを受けた際に被膜が剥離する可能性が大きくなる場合がある。また、被覆第二層が0.5mmより厚くなると、メンテナンスなどの際に機械的な力が作用すると、それ自体が脆性である被膜内での大規模クラックが生じ易くなる傾向がある。
【0020】
本発明における被覆第一層および被覆第二層はいずれも、溶射法によって形成されるのが一般的である。
溶射法により被覆第一層および被覆第二層を形成する場合、原料は粉末原料を使用することが好ましい。尚、粉末原料を混合、造粒、低温焼結、粉砕、分級などを行い造粒仮焼粉や焼結粉砕粉として、溶射することが好ましい。
【0021】
被覆第一層は、サンドブラストなどによって表面を粗化した金属母材に、プラズマ溶射法または高速フレーム溶射法などによって形成することができるが、高速フレーム溶射法によるのが好ましい。
一方、被覆第二層は微粉原料を用いた高速フレーム溶射法によることも可能であるが、高い熔融温度が実現できるプラズマ溶射法によるのが好ましい。
【0022】
溶射によって形成された被覆第一層および被覆第二層の溶射被膜は原料が溶融した飛沫の基板への衝突、凝着、積層によって形成されるため、被膜の表面はかなりの凹凸を有しており、この凹凸があまり大きいと搬送されるガラスリボンに傷を与える可能性が高い。したがって、被覆第二層の表面の粗さはRa(中心線平均粗さ)が1.6μm以下とするのが好ましい。表面粗さを調整する方法は、溶射後のダイヤモンド工具などによる機械的な研磨や溶射原料の微粉末化を選択することが出来るが、これに限定されるものではない。
【0023】
【実施例】
以下に、実施例を挙げてさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、以下において、下地層および表層は、それぞれ被覆第一層および被覆第二層に対応するものである。
【0024】
(実験例1)
ステンレス鋼(SUS304)を母材とし溶射法により、表1に示すように、A:Co−Cr−Al−Y合金単層、B:Co−Cr−Al−Y合金下地層と酸化イットリウムで安定化された酸化ジルコニウム表層の二層、C:炭化クロムサーメット下地層と酸化イットリウムで安定化された酸化ジルコニウム表層の二層およびD:本発明が提供するホウ化物サーメット下地層と酸化ジルコニウム表層の二層の計四種の被覆試料を作製した。さらに、比較のためのE:非被覆試料も準備し評価試験に供した。尚、被覆試料A〜Cにおける各溶射材料は市販のものである。
下地層の厚みは、およそ50μm、表層の厚みは、およそ200μmである。
また、被覆試料Dにおける被覆第一層の構成比はセラミックス相58質量%、金属相42質量%であった。
【0025】
〔ガラス凝着性評価〕
前述の5種類の試料から各々直径16mmの円板サンプルを切り抜き、被覆面を接触面として700℃に制御された大気雰囲気の炉中で、固定されたソーダライムガラスの表面に押付けた。押付け荷重は20kgとし、3分間押付けた後に一定速度(0.5mm/分)で引き剥がし、この際に生じる抵抗力(kg)を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
Figure 2004277828
【0027】
〔被膜の強靭性及び密着性の評価〕
幅10mm、長さ100mm、厚み1mmのサンプルをA−D試料から各々2本切り出した内の一本に、窒素雰囲気中で300℃から800℃間まで1000℃/分の速度で加熱した後、800℃に30分間温度を保持し、300℃まで30分間で風冷する熱サイクルを20サイクルづつ付加した。この後、これらの熱サイクルを付与したサンプルを、切り出したままのサンプルとともに、図1で示したような、被膜側が外側になるように半径32mmの円板に設置し、押し当てて90°まで曲げる試験に供した。得られた結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
Figure 2004277828
【0029】
〔高温耐酸化性の評価〕
30mm角、厚さ2mmのサンプルをA−D試料から切り出し、700℃に保持した空気の気流を有した炉中に暴露し、各サンプルの酸化増量を測定し、図2の結果を得た。
【0030】
上記の結果、本発明が提供するサーメット被覆金属部品はガラスに凝着し難く、被膜の耐割れ性および耐剥離性、さらには高温耐酸化性にも優れ、溶融ガラス搬送ロールに適していることが検証された。
【0031】
(実験例2)
Cr鋼のロール素材に本発明が提供する二層溶射被膜を次のように形成した。始めに下地層として、Mo−Co−Cr−B系ほう化物を主体とする55質量%セラミックスと45質量%のCo−Cr系合金からなるサーメット溶射被膜を、高速フレーム溶射法(タファー社のJP5000型装置を使用)により50μmの厚さに成膜した。下地層を構成する元素の割合は、Mo:34.5質量%、Co:46.2質量%、Cr:15.7質量%、B:3.6質量%である。この下地層の上に表層として、プラズマ溶射法(メテコ社製装置を使用)により、酸化イットリウム安定化ジルコニア(メテコ社製204B−NS原料を使用)被膜を200μmの厚みで形成した。この後、溶射被膜の表面をダイヤモンド工具を用いて湿式研削し、十点平均粗さ:Rz=0.3μm(Raとして1.6μm以下)まで仕上げた。
【0032】
この被覆ロールを、フロート法による板ガラス製造ラインのガラスリボン冷却域内のすず浴出口直後の搬送ロールとして挿入し実用に供した。挿入後、本被覆ロールはガラス製品に欠点を生成することなく連続的に使用でき、使用開始11ヶ月後に設備のメンテナンスのために取り外した際にも、被膜の剥離は生じておらず、すず基因の付着物も極めて少なかった。
なお、同様にして、従来の炭化クロムサーメット下地層に酸化イットリウム安定化ジルコニア表層の構成で二層溶射が施されたロールを使用した場合は、約6ヶ月の使用の後に引き出したところ、部分的あるいは全面的に被膜の剥離が観察された。
【0033】
【発明の効果】
本発明のサーメット被覆金属部品によるロールを高温におけるガラスリボンの搬送に適用すると、最終のガラス製品の欠点発生を低く押さえることが可能であり、ロール自体も被膜の剥離やクラックの発生がなく長期間にわたり安定して使用することができる。すなわち、本発明のサーメット被覆金属部品は表層が酸化ジルコニウムを主体とする材料であるため、高温下においてもガラスやすず及びすず酸化物が付着し難くガラスリボンに欠点を与えるロール面上の固化生成物が生じ難い。また、本発明のサーメット被覆金属部品における下地層は、Moおよび/またはWと、Co、Cr、およびBを主成分とするセラミックス相と、CoおよびCrを主成分とする金属相からなっているため、金属母材への密着力が非常に高く、緻密性、高温耐酸化性、高温での化学的安定性にも優れている。この結果、下地層は母材の高温酸化を防止し、外部から与えられる機械的、熱的、化学的な変化に対しても被膜剥離や大規模クラックの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】サーメット被覆金属部品サンプルの被膜密着性を測定するための試験の概略を示す図である。
【図2】サーメット被覆金属部品サンプルの高温酸化増量の測定結果である。
【符号の説明】
10:90°押し曲げたサーメット被覆金属部品サンプル
11:試験用治具
12:押し曲げ前のサーメット被覆金属部品サンプル
13:押し曲げ方向
14:固定点

Claims (8)

  1. 金属母材の表面に、MoおよびWの少なくともいずれか、Co、CrおよびBを主成分とするセラミックス相と、CoおよびCrを主成分とする金属相とからなるサーメットからなる被覆第一層と、さらに該被覆第一層の上にセラミックスを主体とする被覆第二層が形成されていることを特徴とするサーメット被覆金属部品。
  2. 該被覆第二層が酸化ジルコニウムを主成分とするセラミックス層であることを特徴とする請求項1に記載の部品。
  3. 該被覆第一層におけるセラミックス相の比率が40〜80質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の部品。
  4. 該被覆第一層における金属相におけるCo含有量とCr含有量との総量が75質量%以上であり、Cr含有量のCo含有量に対する質量比が0.15〜0.40であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の部品。
  5. 該被覆第一層の厚みが0.03mm〜0.15mmであり、該被覆第二層の厚みが0.05mm〜0.5mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の部品。
  6. 金属母材の表面に、MoおよびWの少なくともいずれか、Co、CrおよびBを主成分とするセラミックス相と、CoおよびCrを主成分とする金属相とからなる被覆第一層を、粉末を原料とする溶射法により形成し、さらに該被覆第一層の上にセラミックスを主体とする被覆第二層を、粉末を原料とする溶射法により形成することを特徴とするサーメット被覆金属部品の製造方法。
  7. 金属母材の表面に、MoおよびWの少なくともいずれか、Co、CrおよびBを主成分とするセラミックス相と、CoおよびCrを主成分とする金属相とからなる被覆第一層と、さらに該被覆第一層の上にセラミックスを主体とする被覆第二層が形成されていることを特徴とする搬送用ロール。
  8. 当該搬送用ロールがガラス搬送用であることを特徴とする請求項7に記載の搬送用ロール。
JP2003072112A 2003-03-17 2003-03-17 サーメット被覆金属部品、その製造方法および搬送用ロール Pending JP2004277828A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003072112A JP2004277828A (ja) 2003-03-17 2003-03-17 サーメット被覆金属部品、その製造方法および搬送用ロール

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003072112A JP2004277828A (ja) 2003-03-17 2003-03-17 サーメット被覆金属部品、その製造方法および搬送用ロール

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004277828A true JP2004277828A (ja) 2004-10-07

Family

ID=33288394

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003072112A Pending JP2004277828A (ja) 2003-03-17 2003-03-17 サーメット被覆金属部品、その製造方法および搬送用ロール

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004277828A (ja)

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006283105A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Jfe Steel Kk 炉内構造物被覆用溶射被膜およびその形成方法
JP2007211293A (ja) * 2006-02-09 2007-08-23 Fujimi Inc 溶射皮膜及び溶射用粉末
CN100453700C (zh) * 2005-11-29 2009-01-21 上海宝钢设备检修有限公司 一种表面梯度保护涂层及其制备方法
WO2009014028A1 (ja) * 2007-07-23 2009-01-29 Asahi Glass Co., Ltd. フロートガラスの製造方法及びフロートガラスの製造設備
WO2009060868A1 (ja) * 2007-11-06 2009-05-14 Asahi Glass Co., Ltd. フロート板ガラス搬送用ロール、その製造方法およびそれを用いたフロート板ガラスの製造方法
WO2009113638A1 (ja) * 2008-03-13 2009-09-17 旭硝子株式会社 ガラス搬送用ロールおよびその製造方法ならびにそれを用いた板ガラスの製造方法
WO2011118534A1 (ja) * 2010-03-25 2011-09-29 日本電気硝子株式会社 ガラス板の製造方法及びその装置
JP2012086989A (ja) * 2010-10-15 2012-05-10 Nippon Electric Glass Co Ltd ガラス板製造装置及びガラス板製造方法
FR2996224A1 (fr) * 2012-10-03 2014-04-04 Saint Gobain Bombage de feuilles de verre au defile sur un lit de rouleaux
KR20160020438A (ko) 2013-06-18 2016-02-23 아사히 가라스 가부시키가이샤 유리 반송용 롤 및 그 제조 방법, 및 그것을 사용한 판 유리의 제조 방법
WO2018116856A1 (ja) 2016-12-21 2018-06-28 旭硝子株式会社 金属間化合物溶射被膜の形成方法、前記溶射被膜、前記溶射被膜を有する金属製品の製造方法、およびガラス搬送用ロール

Cited By (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006283105A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Jfe Steel Kk 炉内構造物被覆用溶射被膜およびその形成方法
CN100453700C (zh) * 2005-11-29 2009-01-21 上海宝钢设备检修有限公司 一种表面梯度保护涂层及其制备方法
JP2007211293A (ja) * 2006-02-09 2007-08-23 Fujimi Inc 溶射皮膜及び溶射用粉末
US7862911B2 (en) 2006-02-09 2011-01-04 Fujimi Incorporated Thermal spray coating and thermal spray powder
WO2009014028A1 (ja) * 2007-07-23 2009-01-29 Asahi Glass Co., Ltd. フロートガラスの製造方法及びフロートガラスの製造設備
JP5428858B2 (ja) * 2007-07-23 2014-02-26 旭硝子株式会社 フロートガラスの製造方法及びフロートガラスの製造設備
TWI386378B (zh) * 2007-11-06 2013-02-21 Asahi Glass Co Ltd Floating plate glass transfer roller, manufacturing method thereof, and method for manufacturing floating flat glass using the same
WO2009060868A1 (ja) * 2007-11-06 2009-05-14 Asahi Glass Co., Ltd. フロート板ガラス搬送用ロール、その製造方法およびそれを用いたフロート板ガラスの製造方法
KR101398270B1 (ko) 2007-11-06 2014-05-22 아사히 가라스 가부시키가이샤 플로트 판유리 반송용 롤, 그의 제조 방법 및 그것을 사용한 플로트 판유리의 제조 방법
JP5316418B2 (ja) * 2007-11-06 2013-10-16 旭硝子株式会社 フロート板ガラス搬送用ロール、その製造方法およびそれを用いたフロート板ガラスの製造方法
WO2009113638A1 (ja) * 2008-03-13 2009-09-17 旭硝子株式会社 ガラス搬送用ロールおよびその製造方法ならびにそれを用いた板ガラスの製造方法
JP5474760B2 (ja) * 2008-03-13 2014-04-16 トーカロ株式会社 ガラス搬送用ロールおよびその製造方法ならびにそれを用いた板ガラスの製造方法
JP2011201727A (ja) * 2010-03-25 2011-10-13 Nippon Electric Glass Co Ltd ガラス板の製造方法及びその装置
WO2011118534A1 (ja) * 2010-03-25 2011-09-29 日本電気硝子株式会社 ガラス板の製造方法及びその装置
JP2012086989A (ja) * 2010-10-15 2012-05-10 Nippon Electric Glass Co Ltd ガラス板製造装置及びガラス板製造方法
FR2996224A1 (fr) * 2012-10-03 2014-04-04 Saint Gobain Bombage de feuilles de verre au defile sur un lit de rouleaux
WO2014053776A1 (fr) * 2012-10-03 2014-04-10 Saint-Gobain Glass France Bombage de feuilles de verre au defile sur un lit de rouleaux
CN103857637A (zh) * 2012-10-03 2014-06-11 法国圣戈班玻璃厂 在辊子床上移动的玻璃片材的弯曲
US9714186B2 (en) 2012-10-03 2017-07-25 Saint-Gobain Glass France Bending of sheets of glass running on a bed of rolls
CN103857637B (zh) * 2012-10-03 2017-08-15 法国圣戈班玻璃厂 在辊子床上移动的玻璃片材的弯曲
EA028441B1 (ru) * 2012-10-03 2017-11-30 Сэн-Гобэн Гласс Франс Способ и устройство для изгибания стеклянных листов путем пропускания их через валки
KR20160020438A (ko) 2013-06-18 2016-02-23 아사히 가라스 가부시키가이샤 유리 반송용 롤 및 그 제조 방법, 및 그것을 사용한 판 유리의 제조 방법
WO2018116856A1 (ja) 2016-12-21 2018-06-28 旭硝子株式会社 金属間化合物溶射被膜の形成方法、前記溶射被膜、前記溶射被膜を有する金属製品の製造方法、およびガラス搬送用ロール

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Xiong et al. The oxidation behavior and mechanical performance of Ti60 alloy with enamel coating
JP5474760B2 (ja) ガラス搬送用ロールおよびその製造方法ならびにそれを用いた板ガラスの製造方法
JP2004277828A (ja) サーメット被覆金属部品、その製造方法および搬送用ロール
JP6763441B2 (ja) 金属間化合物溶射被膜の形成方法、前記溶射被膜、前記溶射被膜を有する金属製品の製造方法、およびガラス搬送用ロール
TW200932689A (en) Roller for conveying float plate glass, process for producing the same, and process for producing float plate glass with the same
WO2017217281A1 (ja) セラミックス被膜付部材およびそれを用いたガラス製品の生産設備
TW200416294A (en) Corrosion-resistant member and method for producing same
Sainz et al. Protective Si–Al–O–Y glass coatings on stainless steel in situ prepared by combustion flame spraying
JP2000233986A (ja) めっき浴用部材およびその製造方法
JP4229508B2 (ja) 高温ハースローラー
JP6493840B2 (ja) ガラス搬送用ロールおよびその製造方法ならびにそれを用いた板ガラスの製造方法
JP2000273614A (ja) 溶融ガラス製造設備用ロールおよびその製造方法
JP4332449B2 (ja) 鋼板の連続焼鈍炉用ハースロールに被覆した溶射被膜
JP3092820B2 (ja) フロートガラス製造用ロール
JP2007153656A (ja) ガラス搬送用部材およびその製造方法
JP5303725B2 (ja) 溶融ガラス塊成形用金型およびその製造方法
JP3092818B2 (ja) フロートガラス製造用ロール
JP2509765B2 (ja) 溶射用粉末およびロ―ルの溶射被覆方法
JP4268491B2 (ja) 搬送ロール及び連続焼鈍炉用ハースロール
JPH07133126A (ja) ガラス加熱炉の搬送ロール
JP2006037168A (ja) ガラス製造設備用被覆部品およびその製造方法
JP2000154033A (ja) 搬送用ロールの製造方法
JP3224463B2 (ja) 高熱膨張率硬質酸化物を含むサーメット溶射材料および溶射皮膜をもつハースロール
EP4343016A1 (en) Coating material for in-furnace structure, surface coating method, and in-furnace structure
JPH073426A (ja) 耐熱性溶射材料と溶射加工を行なった耐熱性部材